説明

Bi12MO20粉体の製造方法および放射線撮像パネルを構成する光導電層

【課題】 液相法により、粒子径の小さなBi12MO20粉体(ただし、MはSiまたはGeである。)を製造する。
【解決手段】 アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はBi12MO20粉体の製造方法および、この粉体を利用した放射線撮像パネルを構成する光導電層に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Bi12MO20(ただし、MはSiまたはGeである。)は光導電性、誘電性を有するため、電子写真材料、X線検出材料、セラミックコンデンサーなどの用途が検討されている。これらの用途にBi12MO20を用いる場合、Bi12MO20粉体の製造は従来より構成元素の単独酸化物を混合、焼成するという固相法によって行われており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、固相法により得られる粉体は組成が不均一であったり、粒子形状やサイズが不均一であるために、均一で高密度の成型体あるいは良好なセラミックを形成するには限界がある。また、固相法の実施には粉砕、混合工程が不可欠であるが、この工程の際に容器から不純物が混入することが避けられず、充分な性能をもった完成品を得ることができないという問題がある。
【0004】
このような固相法に対して、液相法によりBi12MO20を製造する方法が知られている。例えば、非特許文献2にはBi(NO33と、Si源としてNa2O・xSiO2や、Ge源としてGeO2を酸に溶解させ、水酸化アルカリ金属を添加して沈殿させ、pHを調整後、適当な温度にしてBi12MO20を合成する方法が記載されている。
【非特許文献1】Matjaz Valant and Danilo Suvorov ;“J.Am.Ceram.Soc”84(12), p2900(2001)
【非特許文献2】H.S.Horowitz, A.J.Jacobson, J.M.Mewsam ;“Solid State Ionics ”32/33 (1989)p678-690
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献2に記載されている製造方法により製造されるBi12MO20粉体の粒子径は10μm程度の大きな粒子であるため、緻密な成型体あるいは高密度のセラミックを形成することはできず、例えば、このような粒子径の大きなBi12MO20粉体によって製造された光導電層は充填密度が低いために発生電荷の捕集効果が悪いという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、液相法による粒子径の小さなBi12MO20粉体の製造方法、およびこのBi12MO20粉体を使用した放射線撮像パネルを構成する光導電層を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のBi12MO20粉体(ただし、MはSiまたはGeである。以下、この記載は省略する)の製造方法は、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させることを特徴とするものである。
【0008】
前記剪断型攪拌機の攪拌羽根の周速度は3m/sec以上であることが好ましい。また、前記攪拌混合は、前記アルカリ性溶液と前記水溶解性ビスマス化合物溶液を80℃以上のアルカリ母液に添加しながら行うことが好ましい。
【0009】
前記アルカリ性母液は、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、NR4OH(Rは炭素数1〜3のアルキル基)からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。前記水溶解性ビスマス化合物は、硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、三臭化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0010】
前記アルカリ可溶性ケイ素化合物がアルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩であることが好ましく、前記アルカリ可溶性ゲルマニウム化合物はアルカリ金属または四級アンモニウムのゲルマン酸塩であることが好ましい。アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液は、上記ケイ酸塩あるいはゲルマン酸塩の他に、混合されるビスマス塩を中和するに足りる量のアルカリをも含むことが好ましい。ここで、用いられるアルカリは前記アルカリ性母液のアルカリと同じ群のなかから任意に選択される。
【0011】
本発明の放射線撮像パネルを構成する光導電層は、放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させ得られたBi12MO20粉体を用いて製造されたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のBi12MO20粉体の製造方法は、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させ粉体を得るので、平均粒子径が0.5〜2μmという従来の液相法に比べて格段に粒子サイズの小さい粉体を得ることが可能である。また、固相法のように粉砕、混合工程の際に不純物が混入することがなく、均一組成のBi12MO20粉体を得ることが可能である。
【0013】
本発明の放射線撮像パネルを構成する光導電層は、上記したように均一組成であって粒子サイズが小さいBi12MO20粉体により構成されるので、発生電荷の捕集効果が高く、電気ノイズを小さくすることができるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高い光導電層とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のBi12MO20粉体の製造方法は、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させることを特徴とする。
【0015】
剪断型攪拌機とは、回転翼の他に固定環(ステーター)を備えた攪拌機であって、回転翼と固定環との微細な間隙で起こる強力な剪断効果や衝撃力を利用して液体の微粒化効果を高める攪拌機であって、例えば、攪拌翼の外周部分を鋸様の刃としこれを交互に上下へ折り曲げた歯付円板形インペラを高速回転させる攪拌機、攪拌翼の外周近傍の過度なキャビテーションを防止するための邪魔板の役目をする固定環を組み合わせた高速回転剪断型攪拌機、あるいはシャフトの先端部分(ジェネレーター)が固定外刃と回転内刃からなり、液中で内刃が高速回転すると、ジェネレーター内の液が、遠心力で外刃に開けられた窓から放射状に激しく噴射すると同時に、ジェネレーター内に液が入り込み、容器全体に強力な対流を起こして超音波、高周波などの効果により微砕、均一化を行う細胞破砕機(いわゆるホモジナイザー)等が含まれる。
【0016】
剪断型攪拌機の攪拌羽根の周速度は3m/sec以上であることが好ましい。周速度とは攪拌羽根の外周速度を意味する。攪拌混合は、アルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液を80℃以上のアルカリ母液に添加しながら行うことが好ましい。このように攪拌混合を行うことにより、より粒子径が小さくかつ均一なBi12MO20粉体を得ることが可能となる。なお、アルカリ母液にはケイ素源あるいはゲルマニウム源となるアルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物を溶解して用いてもよい。
【0017】
水溶解性ビスマス化合物は、硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、三臭化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、三臭化ビスマスを適宜混合して用いてもよい。アルカリ可溶性ケイ素化合物はアルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩であることが好ましく、アルカリ可溶性ゲルマニウム化合物はアルカリ金属または四級アンモニウムのゲルマン酸塩であることが好ましい。 ここで、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液は、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物を、アルカリ性母液と同様のLiOH、NaOH、KOH、RbOH、NR4OH(Rは炭素数1〜3のアルキル基)に溶解して調整することができる。
【0018】
このような反応を行うことが可能な装置として、図1にBi12MO20粉体の製造装置の一例を示す。Bi12MO20粉体の製造装置1はアルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液とを攪拌混合して反応を行う反応漕2、反応漕2を加温および保温するジャケット3、アルカリ性溶液が注入される溶液漕4、水溶解性ビスマス化合物溶液が注入される溶液漕5、溶液漕4および5の各々から反応漕2へアルカリ性溶液および水溶解性ビスマス化合物溶液を送液する送液流路6および7、反応漕2内の溶液を攪拌する剪断型攪拌機8、この剪断型攪拌機8を駆動するモーター9からなる。送液流路6および7の反応漕側の液流出口は、図1に示すように剪断型攪拌機8の近傍に設置されていることが好ましい。このように設置することによって、アルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液が接触するそばから反応させることができ、より粒子径が小さくかつ均一なBi12MO20粉体を得ることが可能となる。
【0019】
手順としては、反応漕2にアルカリ母液を注入し、ジャケット3によりアルカリ母液を80℃以上に加温する。溶液漕4および5のそれぞれにアルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液を準備し、モーター9を駆動してタービン型攪拌機8でアルカリ母液を攪拌混合し、この状態でアルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液をそれぞれの送液流路6およぶ7から送液する。このようにすることによってアルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液をより均一に反応させることが可能となる。アルカリ性溶液と水溶解性ビスマス化合物溶液の添加が終わった後もしばらく攪拌混合を行う。得られた分散物を減圧濾過法あるいは遠心分離法により液成分を除去することにより、目的とする粉体を得ることができる。なお、ここで得られる粉体は合成に伴う副生成物を含む粗精製のものであるため、水およびアルコール洗浄により精製することが好ましい。
【0020】
得られた粉体を用いて光導電層を製造する具体的な方法としては、例えば、真空中でBi12MO20粉体をキャリアガスで巻き上げて、そのBi12MO20粉体の混じったキャリアガスを真空中で支持体に吹き付けてBi12MO20粉体を堆積させるエアロゾルデポジション法、Bi12MO20粉体を一軸プレス機あるいは冷間等方圧プレス機を用いて高圧力で膜状に成型した後、高温で焼結させるプレス焼結法、数100℃の高温と数10〜数100MPaの等方的な圧力をBi12MO20粉体に同時に加えて処理するHIP法(Hot Isostatic Pressing:熱間等方圧加工法)」、Bi12MO20粉体に対して、数100℃の高温と一軸方向からのみの加圧によってプレスするホットプレス法、Bi12MO20粉体をバインダーを用いて塗布してグリーンシート(バインダーを含んだ膜)を作製し、このグリーンシートを焼成して脱バインダー化及び粉末の焼結化を行う方法(以下、グリーンシート法)などの公知の方法を用いることができる。
【0021】
上記グリーンシート法に用いられるバインダーとしては、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキルメタアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリスリレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、セルロースアセテート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等が好ましい。
【0022】
本発明のBi12MO20粉体の製造方法のように、アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させ粉体を得ると、平均粒子径が0.5〜2μmという従来の液相法に比べて格段に粒子サイズの小さい粉体を得ることが可能であり、また、固相法のように粉砕、混合工程の際に不純物が混入することがないため、均一組成のBi12MO20粉体を得ることが可能である。
【0023】
そして、このように粒子径が小さくまた、純度の高い均一組成のBi12MO20粉体を用いて製造された光導電層は、発生電荷の捕集効果が高まり、電気ノイズが小さくなるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高いものとすることができる。
【0024】
続いて本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層を有する放射線撮像パネルについて説明する。放射線撮像パネルには、放射線を直接電荷に変換し電荷を蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsIなどのシンチレータで光に変換し、その光をa−Siフォトダイオードで電荷に変換し蓄積する間接変換方式があるが、本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層は前者の直接変換方式に用いることができる。なお、放射線としてはX線の他、γ線、α線などについて使用することが可能である。
【0025】
また、本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層は、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器により読み取る、いわゆる光読取方式にも、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)にも用いることができる。
【0026】
まず、前者の光読取方式に用いられる放射線撮像パネルを例にとって説明する。図2は本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層を有する放射線撮像パネルの一実施の形態を示す断面図を示すものである。
【0027】
この放射線撮像パネル20は、後述する記録用の放射線L1に対して透過性を有する第1の導電層21、この導電層21を透過した放射線L1の照射を受けることにより導電性を呈する記録用放射線導電層22、導電層21に帯電される電荷(潜像極性電荷;例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ、電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷;上述の例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層23、後述する読取用の読取光L2の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層24、読取光L2に対して透過性を有する第2の導電層25を、この順に積層してなるものである。
【0028】
ここで、導電層21および25としては、例えば、透明ガラス板上に導電性物質を一様に塗布したもの(ネサ皮膜等)が適当である。電荷輸送層23としては、導電層21に帯電される負電荷の移動度と、その逆極性となる正電荷の移動度の差が大きい程良く、ポリN−ビニルカルバゾール(PVK)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1'−ビフェニル〕−4,4'−ジアミン(TPD)やディスコティック液晶等の有機系化合物、或いはTPDのポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレン、PVK)分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。特に、有機系化合物(PVK,TPD、ディスコティック液晶等)は光不感性を有するため好ましく、また、誘電率が一般に小さいため電荷輸送層23と読取用光導電層24の容量が小さくなり読み取り時の信号取り出し効率を大きくすることができる。
【0029】
読取用光導電層24には、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc( Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。
【0030】
記録用放射線導電層22には、本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層を使用する。すなわち、本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造される光導電層は、記録用放射線導電層である。
【0031】
続いて、静電潜像を読み取るために光を用いる方式について簡単に説明する。図3は放射線撮像パネル20を用いた記録読取システム(静電潜像記録装置と静電潜像読取装置を一体にしたもの)の概略構成図を示すものである。この記録読取システムは、放射線撮像パネル20、記録用照射手段90、電源50、電流検出手段70、読取用露光手段92並びに接続手段S1、S2とからなり、静電潜像記録装置部分は放射線撮像パネル20、電源50、記録用照射手段90、接続手段S1とからなり、静電潜像読取装置部分は放射線撮像パネル20、電流検出手段70、接続手段S2とからなる。
【0032】
放射線撮像パネル20の導電層21は接続手段S1を介して電源50の負極に接続されるとともに、接続手段S2の一端にも接続されている。接続手段S2の他端の一方は電流検出手段70に接続され、放射線撮像パネル20の導電層25、電源50の正極並びに接続手段S2の他端の他方は接地されている。電流検出手段70はオペアンプからなる検出アンプ70aと帰還抵抗70b とからなり、いわゆる電流電圧変換回路を構成している。
【0033】
導電層21の上面には被写体9が配設されており、被写体9は放射線L1に対して透過性を有する部分9aと透過性を有しない遮断部(遮光部)9bが存在する。記録用照射手段90は放射線L1を被写体9に一様に曝射するものであり、読取用露光手段92は赤外線レーザ光やLED、EL等の読取光L2を図3中の矢印方向へ走査露光するものであり、読取光L2は細径に収束されたビーム形状をしていることが望ましい。
【0034】
以下、上記構成の記録読取システムにおける静電潜像記録過程について電荷モデル(図4)を参照しながら説明する。図3において接続手段S2を開放状態(接地、電流検出手段70の何れにも接続させない)にして、接続手段S1をオンし導電層21と導電層25との間に電源50による直流電圧Edを印加し、電源50から負の電荷を導電層21に、正の電荷を導電層25に帯電させる(図4(A)参照)。これにより、放射線撮像パネル20には導電層21と25との間に平行な電場が形成される。
【0035】
次に記録用照射手段90から放射線L1を被写体9に向けて一様に曝射する。放射線L1は被写体9の透過部9aを透過し、さらに導電層21をも透過する。放射線導電層22はこの透過した放射線L1を受け導電性を呈するようになる。これは放射線L1の線量に応じて可変の抵抗値を示す可変抵抗器として作用することで理解され、抵抗値は放射線L1によって電子(負電荷)とホール(正電荷)の電荷対が生じることに依存し、被写体9を透過した放射線L1の線量が少なければ大きな抵抗値を示すものである(図4(B)参照)。なお、放射線L1によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表している。
【0036】
放射線導電層22中に生じた正電荷は放射線導電層22中を導電層21に向かって高速に移動し、導電層21と放射線導電層22との界面で導電層21に帯電している負電荷と電荷再結合して消滅する(図4(C),(D)を参照)。一方、放射線導電層22中に生じた負電荷は放射線導電層22中を電荷転送層23に向かって移動する。電荷転送層23は導電層21に帯電した電荷と同じ極性の電荷(本例では負電荷)に対して絶縁体として作用するものであるから、放射線導電層22中を移動してきた負電荷は放射線導電層22と電荷転送層23との界面で停止し、この界面に蓄積されることになる(図4(C),(D)を参照)。蓄積される電荷量は放射線導電層22中に生じる負電荷の量、即ち、放射線L1の被写体9を透過した線量によって定まるものである。
【0037】
一方、放射線L1は被写体9の遮光部9bを透過しないから、放射線撮像パネル20の遮光部9bの下部にあたる部分は何ら変化を生じない( 図4(B)〜(D)を参照)。このようにして、被写体9に放射線L1を曝射することにより、被写体像に応じた電荷を放射線導電層22と電荷転送層23との界面に蓄積することができるようになる。なお、この蓄積せしめられた電荷による被写体像を静電潜像という。
【0038】
次に静電潜像読取過程について電荷モデル(図5)を参照しつつ説明する。接続手段S1を開放し電源供給を停止すると共に、S2を一旦接地側に接続し、静電潜像が記録された放射線撮像パネル20の導電層21および25を同電位に帯電させて電荷の再配列を行った後に(図5(A)参照)、接続手段S2を電流検出手段70側に接続する。
【0039】
読取用露光手段92により読取光L2を放射線撮像パネル20の導電層25側に走査露光すると、読取光L2は導電層25を透過し、この透過した読取光L2が照射された光導電層24は走査露光に応じて導電性を呈するようになる。これは上記放射線導電層22が放射線L1の照射を受けて正負の電荷対が生じることにより導電性を呈するのと同様に、読取光L2の照射を受けて正負の電荷対が生じることに依存するものである(図5(B)参照)。なお、記録過程と同様に、読取光L2によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表している。
【0040】
電荷輸送層23は正電荷に対しては導電体として作用するものであるから、光導電層24に生じた正電荷は蓄積電荷に引きつけられるように電荷輸送層23の中を急速に移動し、放射線導電層22と電荷輸送層23との界面で蓄積電荷と電荷再結合をし消滅する(図5(C)参照)。一方、光導電層24に生じた負電荷は導電層25の正電荷と電荷再結合をし消滅する(図5(C)参照)。光導電層24は読取光L2により十分な光量でもって走査露光されており、放射線導電層22と電荷輸送層23との界面に蓄積されている蓄積電荷、即ち静電潜像が全て電荷再結合により消滅せしめられる。このように、放射線撮像パネル20に蓄積されていた電荷が消滅するということは、放射線撮像パネル20に電荷の移動による電流Iが流れたことを意味するものであり、この状態は放射線撮像パネル20を電流量が蓄積電荷量に依存する電流源で表した図5(D)のような等価回路でもって示すことができる。
【0041】
このように、読取光L2を走査露光しながら、放射線撮像パネル20から流れ出す電流を検出することにより、走査露光された各部(画素に対応する)の蓄積電荷量を順次読み取ることができ、これにより静電潜像を読み取ることができる。なお、本放射線検出部動作については特開2000-105297号等に記載されている。
【0042】
次に、後者のTFT方式の放射線撮像パネルについて説明する。この放射線撮像パネルは、図6に示すように放射線検出部100とアクティブマトリックスアレイ基板(以下AMA基板)200が接合された構造となっている。図7に示すように放射線検出部100は大きく分けて放射線入射側から順に、バイアス電圧印加用の共通電極103と、検出対象の放射線に感応して電子−正孔対であるキャリアを生成する光導電層104と、キャリア収集用の検出電極107とが積層形成された構成となっている。共通電極の上層には放射線検出部支持体102を有していてもよい。
【0043】
光導電層104は本発明の製造方法によって得られたBi12MO20粉体を用いて製造されるものである。共通電極103や検出電極107は、例えばITO(インジウム錫酸化物)や、AuあるいはPtなどの導電材料からなる。バイアス電圧の極性に応じて、正孔注入阻止層、電子注入阻止層が共通電極103や検出電極107に付設されていてもよい。
【0044】
AMA基板200の各部の構成について簡単に説明する。AMA基板200は図8に示すように、画素相当分の放射線検出部105の各々に対して電荷蓄積容量であるコンデンサ210とスイッチング素子としてTFT220とが各1個ずつ設けられている。支持体102においては、必要画素に応じて縦1000〜3000×横1000〜3000程度のマトリックス構成で画素相当分の放射線検出部105が2次元配列されており、また、AMA基板200においても、画素数と同じ数のコンデンサ210およびTFT220が、同様のマトリックス構成で2次元配列されている。光導電層で発生した電荷はコンデンサ210に蓄積され、光読取方式に対応して静電潜像となる。TFT方式においては、放射線で発生した静電潜像は電荷蓄積容量に保持される。
【0045】
AMA基板200におけるコンデンサ210およびTFT220の具体的構成は、図7に示す通りである。すなわち、AMA基板支持体230は絶縁体であり、その表面に形成されたコンデンサ210の接地側電極210aとTFT220のゲート電極220aの上に絶縁膜240を介してコンデンサ210の接続側電極210bとTFT220のソース電極220bおよびドレイン電極220cが積層形成されているのに加え、最表面側が保護用の絶縁膜250で覆われた状態となっている。また接続側電極210bとソース電極220bはひとつに繋がっており同時形成されている。コンデンサ210の容量絶縁膜およびTFT220のゲート絶縁膜の両方を構成している絶縁膜240としては、例えば、プラズマSiN膜が用いられる。このAMA基板200は、液晶表示用基板の作製に用いられるような薄膜形成技術や微細加工技術を用いて製造される。
【0046】
続いて放射線検出部100とAMA基板200の接合について説明する。検出電極107とコンデンサ210の接続側電極210bを位置合わせした状態で、両基板100、200を銀粒子などの導電性粒子を含み厚み方向のみに導電性を有する異方導電性フィルム(ACF)を間にして加熱・加圧接着して貼り合わせることで、両基板100、200が機械的に合体されると同時に、検出電極107と接続側電極210bが介在導体部140によって電気的に接続される。
【0047】
さらに、AMA基板200には、読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とが設けられている。読み出し駆動回路260は、図8に示すように、列が同一のTFT220のドレイン電極を結ぶ縦(Y)方向の読み出し配線(読み出しアドレス線)280に接続されており、ゲート駆動回路270は行が同一のTFT220のゲート電極を結ぶ横(X)方向の読み出し線(ゲートアドレス線)290に接続されている。なお、図示しないが、読み出し駆動回路260内では、1本の読み出し配線280に対してプリアンプ(電荷−電圧変換器)が1個それぞれ接続されている。このように、AMA基板200には、読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とが接続されている。ただし、AMA基板200内に読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とを一体成型し、集積化を図ったものも用いられる。
【0048】
なお、上述の放射線検出器100とAMA基板200とを接合合体させた放射線撮像装置による放射線検出動作については例えば特開平11-287862号などに記載されている。
以下に本発明のBi12MO20粉体の製造方法および放射線撮像パネルを構成する光導電層の製造例を示す。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
硝酸ビスマス・五水塩(Bi(NO33・5H2O:純度99.9%)482gを800ml、1N硝酸水溶液に溶解し、これに水を加えて1000mlとして添加液aを調整した。別に、メタケイ酸カリウム12.9gと水酸化カリウム325gを水に溶解し1000mlとし添加液bを調整した。一方、メタケイ酸カリウム7.7.gと水酸化カリウム281gを水に溶解して5000mlとし母液Pを調整した。
【0050】
図1に示す剪断型攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2に母液Pを注入し、送液漕4に添加液aを送液漕5に添加液bをそれぞれ注入した。ジャケット3により母液Pを加熱して母液Pの温度を90℃とした。モーター9の回転速度を毎分4000回転に設定して剪断型攪拌機8により母液Pを攪拌した。このときの攪拌羽根の周速度は3.5m/分であった。この状態を維持して、送液漕4から添加液aを送液漕5から添加液bをそれぞれ毎分20mlの速度で反応漕2に添加した。添加終了後、更に30分間攪拌を継続した後、常温まで冷却し生成した薄黄色の分散物を濾過した。濾過後、0.1Nの水酸化カリウム溶液で3回、さらに水で数回洗浄した後、エタノール洗浄してBi12SiO20の粉体を得た。
【0051】
得られた粉体を四ホウ酸リチウムで溶解し、プラズマ誘導発光分析法(ICP)で組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は12.01であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。さらに、粉末粒子の走査型電子顕微鏡では立方体の粒子であること、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定では平均粒子径が1μmであることが確認された。
【0052】
(実施例2)
酸化ビスマス(純度99.9999%)232gを6Nの塩酸溶液に加え、60℃で1時間加温した状態で攪拌して溶解し、水を加えて1モル濃度の三塩化ビスマスの塩酸溶液1000mlを調整した(添加液c)。別に、水酸化テトラメチルアンモニウム577gを含む水溶液を攪拌しながら、ここにテトラエトキシシラン(純度99.9999%)17.4gを含む50%エタノール溶液をゆっくりと添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて1000mlとし添加液dを調整した。また、母液として水酸化テトラメチルアンモニウム474gを含む水溶液を攪拌しながら、テトラエトキシシラン(純度99.9999%)10.4gを含む50%エタノール溶液をゆっくりと添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて5000mlとし母液Qを調整した。
【0053】
図1に示す剪断型攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2に母液Qを、送液漕4に添加液cを送液漕5に添加液dをそれぞれ注入し、実施例1と同様の条件で反応させてBi12SiO20の粉体を得た。得られた粉体を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は12.06であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。さらに、粉末粒子の走査型電子顕微鏡では立方体の粒子であること、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定では平均粒子径が0.8μmであることが確認された。
【0054】
(実施例3)
水酸化テトラメチルアンモニウム413gを含む水溶液を攪拌しながら、ここにテトラエトキシシラン(純度99.9999%)17.4gを含む50%エタノール溶液をゆっくりと添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて1000mlとし添加液eを調整した。別に、水酸化テトラメチルアンモニウム47gを含む水溶液を攪拌しながら、テトラエトキシシラン(純度99.9999%)1.0gを含む50%エタノール溶液をゆっくりと添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて5000mlとし母液Rを調整した。
【0055】
図1に示す剪断型攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2に母液Rを、送液漕4に添加液cを送液漕5に添加液eをそれぞれ注入し、実施例1と同様の条件で反応させてBi12SiO20の粉体を得た。得られた粉体を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は12.04であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。さらに、粉末粒子の走査型電子顕微鏡では立方体の粒子であること、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定では平均粒子径が0.7μmであることが確認された。
【0056】
(実施例4)
水酸化テトラメチルアンモニウム413gを含む水溶液を攪拌しながら、ここに酸化ゲルマニウム(純度99.99%)8.724gを添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて1000mlとし添加液fを調整した。別に、水酸化テトラメチルアンモニウム47gを含む水溶液を攪拌しながら、酸化ゲルマニウム(純度99.99%)0.52gを添加し、60℃で1時間攪拌し、水を加えて5000mlとし母液Sを調整した。
【0057】
図1に示す剪断型攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2に母液Sを、送液漕4に添加液cを送液漕5に添加液fをそれぞれ注入し、実施例1と同様の条件で反応させてBi12GeO20の粉体を得た。得られた粉体を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は12.06であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12GeO20の結晶構造であった。さらに、粉末粒子の走査型電子顕微鏡では立方体の粒子であること、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定では平均粒子径が0.9μmであることが確認された。
【0058】
(比較例1)
比較例1では非特許文献2に記載されている方法により粉体を製造した。すなわち、実施例1で調整された添加液aおよび添加液bを母液Pに常温で添加した。文献記載とおり直ちに析出が起こった。反応液のpHを14に調整した後、75℃に加温し、2日に亘って攪拌を継続した。得られた分散物を実施例1と同様に濾過、洗浄して粉体を得た。
【0059】
得られた粉体を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は11.20であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。さらに、粉末粒子の走査型電子顕微鏡では約10μmのサイズの立方体粒子であること、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定では平均粒子径が約9μmであることが確認された。
【0060】
(比較例2)
Bi23粉末(純度99.9999%)279.6gとSiO2粉末(純度99.9999%)6.00gをエタノール200mlに分散しアルミナ製ボールミルを用いて混合、粉砕した。エタノールを蒸発させた後、アルミナ坩堝中に入れ800℃で8時間仮焼成した。これをアルミナ乳鉢で粉砕し、さらにアルミナ製ボールミルにて粉砕しBi12SiO20の粉体を得た。得られた粉体を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は12.01であった。また、粉末X線回折法で測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。粉末粒子の走査型電子顕微鏡では1μm以下の粒子から最大では10μmの破砕片を含んでおり、また、レーザー回折式粒度分布測定装置からも1μm以下の粒子から最大5μmに亘る広い粒子径分布を示すことが確認された。
【0061】
(光導電層の製造)
実施例1〜3で得られたBi12SiO20粉体および実施例4で得られたBi12GeO20粉体、比較例1および比較例2で得られたBi12SiO20粉体それぞれ50gにエタノール50mlを加え、さらにバインダーとして0.4%のポリビニルブチラールを加え、軽く素分散した後、3.7%のポリビニルブチラールと0.8重量%のフタル酸ジオクチルを加え、自公転式ミキサーを用いて充分混合分散してスラリーを得た。得られたスラリーをコータを用いて離型剤が塗設されたフィルムベース上に塗布してグリーンシートを調整した。成型体は室温下で24時間かけて乾燥した後、平面性の良いサファイア製セッター上に移し、これを大気雰囲気下10時間かけて450℃まで昇温してバインダーを取り除いた。これをガス置換型のマッフル炉でアルゴンガス流通下、840℃で2時間焼成して500μm厚の光導電層を得た。
【0062】
(評価方法および評価結果)
上記で製造した光導電層の両面に金を600nmの厚みで蒸着し、この両電極間に1kVの電圧を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量を測定した。結果を、粒子径、Bi/Mの原子比、光導電層の密度とともに表1に示す。発生電荷量は比較例2の発生電荷量を1とした相対比で示した。また、密度はアルキメデス法により測定したものである。
【0063】
【表1】

【0064】
表1に示すように、実施例1〜4のBi12SiO20粉体またはBi12GeO20粉体はBi/M比及び粒子径から明らかなように、比較例1および2の製造方法で製造したBi12SiO20粉体に比較して、粒子径の小さい、均一な組成と均一な粒子サイズの結晶構造を持ったBi12SiO20粉体またはBi12GeO20粉体であった。そして、このような小さいサイズの粉体によって製造された光導電層は、緻密な構造のものであり、比較例2に示す従来の固相法で合成したBi12SiO20粉体に比較して、倍近い発生電荷量を得ることができた。なお、比較例1では粒子径が大きいために光導電層の製造段階で亀裂が発生し、発生電荷量を測定することができなかった。
【0065】
以上のように、本発明のBi12MO20粉体の製造方法によれば、従来の液相法に比べて格段に粒子サイズの小さい粉体を得ることが可能であり、固相法のように粉砕、混合工程の際に不純物が混入することがないので、均一組成のBi12MO20粉体を得ることが可能である。また、このBi12MO20粉体により製造された光導電層は、発生電荷の捕集効果が大きいために感度が高く、電気ノイズが小さいため粒状性のよい画像を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の製造方法に使用できる剪断型攪拌機を備えた製造装置の一実施の形態を示す模式概略図
【図2】本発明の製造方法により製造される光導電層を有する放射線撮像パネルの一実施の形態を示す断面図
【図3】放射線撮像パネルを用いた記録読取システムの概略構成図
【図4】記録読取システムにおける静電潜像記録過程を電荷モデルにより示した図
【図5】記録読取システムにおける静電潜像読取過程を電荷モデルにより示した図
【図6】放射線検出器とAMA基板の合体状態を示す概略模式図
【図7】AMA基板の等価回路を示す電気回路図
【図8】放射線検出部の画素分を示す概略断面図
【符号の説明】
【0067】
1 製造装置
2 反応漕
3 ジャケット
4 溶液漕
5 溶液漕
6 送液流路
7 送液流路
8 タービン型攪拌機
9 モーター
21 導電層
22 記録用放射線導電層
23 電荷輸送層
24 記録用光導電層
25 導電層
20 放射線撮像パネル
70 電流検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性ケイ素化合物またはアルカリ可溶性ゲルマニウム化合物のアルカリ性溶液と、水溶解性ビスマス化合物溶液とを80℃以上で剪断型攪拌機により攪拌混合して反応させることを特徴とするBi12MO20粉体(ただし、MはSiまたはGeである。)の製造方法。
【請求項2】
前記剪断型攪拌機の攪拌羽根の周速度が3m/sec以上であることを特徴とする請求項1記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項3】
前記攪拌混合を前記アルカリ性溶液と前記水溶解性ビスマス化合物溶液を80℃以上のアルカリ母液に添加しながら行うことを特徴とする請求項1または2記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ性母液がLiOH、NaOH、KOH、RbOH、NR4OH(Rは炭素数1〜3のアルキル基)からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項3記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項5】
前記水溶解性ビスマス化合物が硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、三臭化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ可溶性ケイ素化合物がアルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ可溶性ゲルマニウム化合物がアルカリ金属または四級アンモニウムのゲルマン酸塩であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のBi12MO20粉体の製造方法。
【請求項8】
放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、該光導電層が請求項1〜7いずれか1項記載の製造方法によって得られた粉体を用いて製造されたものであることを特徴とする光導電層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−248820(P2006−248820A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65128(P2005−65128)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】