説明

C−7置換5−アンドロステンの製造方法

本発明は、式Iにより表される新規7−カルボキシ置換ステロイド化合物の製造方法に関し、ここで、
R1は、HまたはCOR2であり;
R2は、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシであり;
Z1は、CH2であり、ここで、OR3は、α配置にあり;R3はH又は‐COR2であり;
Z2は、-CH-であるか;或いは、
Z1及びZ2は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し;
Qは、または
Yは、−CN、-CH2-CH=CH2、C1-6アルキル、C1-6アルキルCHR4C(O)ArまたはCHR4C(O)X C1-6アルキル;CHR4(O)XAr、又はCHR4HC(O)XC1-6アルキルであり、ここで、R4はOC1-6アルキル又はアリールであり、
Xは、O又はSである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エプレレノン(eplerenone)など、一定のC−7置換ステロイドは、それらのアルドステロンアンタゴニスト活性に関して周知であり、そしてしたがって、循環系の病気の治療及び予防に有用である。エプレレノンは、米国特許第4,559,332号及び同第5,981,744号並びにPCT国際特許出願公開第WO98/25948号及び同第WO97/21720号などのいくつかの特許及び特許出願の対象である。しかしながら、エプレレノンの新しく且つ拡張された臨床的使用は、このステロイド及び他の関連するステロイドの改善された製造方法に対する必要性を生じさせた。エプレレノン及び関連するステロイド化合物の有効な合成に対する主な障害は、カルボキシ基のC−7における導入またはカルボキシ基に変換し得る官能性である。
【0002】
アリル誘導体、そして特別には酢酸アリル、安息香酸アリル、ピバル酸アリルなどは、既に記載されているように、ルイス酸の影響下、「アリル化」と呼ばれる過程において求核試薬と反応することが知られている。アリル化反応は、多くの基質に応用されてきた。例えば、グリカルはアリル化によってアリルグリコシド、グリコシルシアニド、及びグリコサルアジドを生成することが示された(Yadav, J.S., et. al., Tetrahedron Lett., 2001, 42, 4057)。酢酸アリル及び炭酸アリルは対応するシアニドを生じさせる(Yasushi, T., et. al., J. Org. Chem., 1993, 58, 16)。電子に富む芳香族及びヘテロ芳香族は、対応するアリル化生成物を生じさせる(Malkov, A.V., et al., J. Org. Chem., 1999, 64, 2751)。しかしながら、これまでのところ、エプレレノンのような7−カルボキシ置換ステロイドへの変換において有用な7−置換ステロイドを生じさせるために、アリル化反応はステロイドに応用されていない。3,7−ジアセトキシ−7−ヒドロキシアンドロスト−5−エン、又は対応する7−メタンスルホン酸は、ハーシュ(harsh)触媒である塩化アルミニウムを使用してフェノール及びアニソールと反応させられた(Negi, A.S. et.al., Steroids, 1995, 60, 470)。結果物7−アリール誘導体は、C−7エピマーの混合物として低収率で得られた。さらに、該7−アリール誘導体は7−カルボキシ置換ステロイドの製造における使用には最良なものではなかった。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約
本発明は、以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は‐COR2であり;
R2は、C1−C6アルキルまたはC1−C6アルコキシであり;
Z1はCH2または
【化2】

であり、ここで、OR3は、α配置にあり;
R3はH又は‐COR2であり;
Z2は、-CH-であるか;或いは、
Z1及びZ2は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し;
Qは、以下の:
【化3】

であり;
Yは、−CN、-CH2-CH=CH2
【化4】

CHR4C(O)Ar、CHR4C(O)C1-6アルキル、CHR4C(O)XAr、又はCHR4C(O)XC1-6アルキルであり、ここで、R4はOC1-6アルキル又はアリールであり、Xは、O又はSである。}
により表される新規7−カルボキシ置換ステロイド化合物の製造方法に関する。
【0004】
これらの新規中間体は、7−カルボキシ置換ステロイド化合物の製造において有用であり、そして特に、本発明は、9,11−α−エポキシ−17−α−ヒドロキシ−3−オキソプレグナ−4−エン−α−21−ジカルボキシリックアシッド、γ−ラクトン、メチルエステル(エプレレノン;エポキシメクスレノン(epoxymexrenone))の新規且つ有利な製造方法を対象とする。
【0005】
本発明の方法中の主要ステップは、以下の式II:
【化5】

{式中、
R1及びR3は、独立してH、C(O)OR2又はCOR2から選ばれ、且つR1又はR2のうちの少なくとも1つがC(O)OR2又はCOR2であり;
Z1、Z2、R2及びQは式Iと同じである。}
により表される新規ステロイド中間体を、ルイス酸触媒の存在下で、以下の:C1-4−トリアルキルシリルシアニド、C1-4−トリアルキルシリルエノールエーテル、C1-4−トリアルキルシリルオキシケテンチオアセタール(すなわち、RCH=C(OSiRC1-6アルキル)SRC1-6アルキル)、アリルトリ−C1-4−アルキルシラン、アリルトリ−C1-4−アルキルスタンナン、2−C1-4−アルキルフラン及び2−C1-4−アルキルピロールから成る群から選ばれる求核試薬と反応させるステップである。
【0006】
式IIの化合物の中には、C-5、−C6、−C7−OR3に、アリルアルコール誘導体の構造要素がある。「アリル化」反応を利用する新規合成スキームが実施態様の説明において詳述される。
【0007】
実施態様の説明
定義
詳細な説明においては、以下の定義が使用される。
それ自体または他の置換基の部分としての「アルキル」という用語は、特記されないかぎり、直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素ラジカルまたはそれらの組み合わせを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの同族体及び異性体などを含むがこれらに限定されない。
【0008】
単独で使用されるか又は(アリールオキシ、アリールチオキシ、アラルキルなどのように)他の用語と組み合わせて使用される「アリール」(Ar)という用語は、特記されない限り、単一の環又は一緒になって融合しているか若しくは共有結合で連結された複数の環であることのできる芳香族置換基を意味する。
【0009】
求核試薬という用語は、Morrison, R.T. et. al., Organic Chemistry, sixth edition, Prentice Hall pub., 1992, p.172に記載のように、炭素の核を攻撃する傾向のある電子豊富な試薬を意味する。
【0010】
ルイス酸という用語は、McQuarrie, D.A. et. al., General Chemistry, third edition, W.H. Freeman and Company pub., 1991, p.665に定義されたように、電子対受容体を意味する。
【0011】
実施態様の説明
驚くべきことに、発明者らは、式IIのC−7−ヒドロキシ−C−5△6−エンステロイドが多様な求核試薬とアリル化反応して、表1に示すような対応するC−7置換ステロイド誘導体を生成することを発見した。好適な求核試薬は、ルイス酸触媒存在下におけるC1−4−トリアルキルシリルシアニド、C1−4−トリアルキルシリルエノールエーテル、トリアルキルシリルオキシケテンチオアセタール(RCH=C(OSiR3)SR)、アリルトリ−C1−4−アルキルシラン、アリルトリ−C1−4−アルキルスタンナン、2−C1−4アルキルフラン及び2−C1−4−アルキルピロールを含むが、これらに限定されない。好適なルイス酸は、Sc(OTf)3、Ce(OTf)3、Fe(ClO4)2、Cu(ClO4)2及びYb(OTf)3、のような遷移元素トリフレート(OTf=OSO2CF3)、並びにMo(CO)5(OTf)2、及び[Mo(CO)4Br2]2などのモリブデン(II)複合体を含むが、これらに限定されない。
【0012】
【表1】

しかしながら、同様の条件下において、インドール及びオルシノールでは10%未満の収率であって、複雑な混合物を生成した。ビニルトリメチルシラン及びトリメチルシリルアセチレンは反応しなかった。
【0013】
スキームの要約
上記のように、式Iの化合物はエプレレノンの合成において出発物質として使用されることができる。スキームI及びIIは、本発明の方法によって製造された式Iの化合物の、エプレレノン製造における使用の例の模式的工程図を提供する。
【0014】
【化6】

【0015】
【化7】

【0016】
スキームI〜IIのための出発物質1(スキームI)(3β、7β、11α−トリヒドロキシ−5−アンドロステン−17−オン)は、2つの方法のうちの1つにおいて得られる。1つの方法は、まず5−アンドロステン−3β−オール−17−オンをディプロディア・ゴシッピナ(Diplodia gossypina) ATCC20517(ボツリオディプロディア・テオブロメ(Botryodiplodia theobromae)IFO6469の同義語)の液内培養と接触させて5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンを生成し(実施例10を参照)、そして5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンをアスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)ATCC18500の液内培養と接触させて5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オン1(スキームI)を生成する。或いは、5−アンドロステン−3β−オール−17−オンをアブシディア・コエルレア(Absidia coerulea)ATCC6647の液内培養と接触させて5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オン1(スキームI)を得ることもできる。
【0017】
ステップIA及びIIB
ヒドロキシ中間体1及び11(スキームII)は、本分野で周知の方法によって3級有機塩基の存在下でアシル化試薬によってアシル化されて2及び12を生じる。アシル化試薬は、低級カルボン酸無水物、低級カルボン酸塩化物、低級アルキルカルボニル塩化物、低級アルキル炭酸無水物、などを含む。好適な3級有機塩基は、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどを含む。或いは、混合炭酸塩(RO-CO-O-)の製造は、公表された方法(Harada, T., et al., J. Carbohydrate Chem., (1995), 14,165)を改変することによって、3級有機塩基の存在下でアルコキシカルボニルオキシベンズトリアゾールとの反応によって達成されることできる。
【0018】
ステップI-B及びII-E
ルイス酸存在下での、通常、アセトニトリル又は塩化メチレンのような不活性溶媒中における、トリアシル化化合物2(スキームI)及び14(スキームII)の求核試薬との反応は、それぞれ3(スキームI)及び15(スキームII)を生じさせる。好適な求核試薬は、トリアルキルシリルシアニド、3−シリル置換アルケン、酢酸エノール、シリルエノルエーテル、アリールスタンナン、N-アルキルピロール、N,N-ジアルキルアニリン、シリルエノールチオエステル、シリルエノールエステル、及び2−アルキル置換フランのような電子豊富なヘテロ芳香族を含むが、これらに限定されない。好適なルイス酸は、Sc(OTf)3、Ce(OTf)3、及びYb(OTf)3のような遷移元素トリフレート(OTf=OSO2CF3)並びにMo(CO)5(OTf)2、および[Mo(CO)4Br2]2などのモリブデン(II)複合体を含むが、これらに限定されない。
【0019】
ステップI-C及びII-F
4(スキームI)又は16(スキームII)を得るための3(スキームI)及び15(スキームII)のアシル基の加水分解は、場合により共溶媒を伴うメタノールを溶媒として用い、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸水素リチウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩を使用して達成される。
【0020】
ステップI-D及びII-A
17−オキソ中間体4(スキームI)及び1(スキームI)は、文献記載の方法によってアセチレンと反応させられて、対応する付加化合物5(スキームI)及び11(スキームII)を提供する(例えば、以下の:Schwede, W., et.al., Steroids, (1998), 63 166; Corey, E.J. et all., J. Amer. Chem. Soc. (1999), 121, 710-714; Schwede, W. et al., Steroids (1998), 63(3), 166-177; Ali, H. et. al., J. Med. Chem. (1993), 36(21), 3061; Turuta, A.M. et. al., Mendeleev Commun.(1992), 47-8; Kumar, V. et. al., Tetrahedron (1991), 47(28), 5099; Page, P.C., Tetrahedron(1991), 47, 2871-8; Curts, S.W. et. al., Steroids(1991), 56, 8;Kataoka, H. et al., Chem. Lett. (1990), 1705-8,; Christiansen,R.G. et al., J.Med. Chem.(1990), 33(8),2094-100を参照のこと)。場合により、ステップII-Aのトリヒドロキシ化合物1は、アセチレンの添加前に単離されずにトリメチルシリル化されることができる。ヘキサメチルジシラザンとトリメチルシリルクロライド又はサッカリンのような弱酸触媒によってシリル化が達成されることができる。アセチレンの添加に続いて、弱い鉱酸、酢酸、リン酸、フッ化テトラ−アルキルアンモニウムなどとの反応中にトリメチルシリル基が除去される。
【0021】
ステップE
ラクトール中間体6(スキームI)及び13(スキームII)の形成は、文献記載の方法(Wuts, P.G.M., et. al., J. Org. Chem. 1989, 54, 5180; Botteghi, C., et. al., Tetrahedron, 2001, 57, 1631)によって、触媒量のロジウム触媒及びロジウム結合リガンドの存在下で一酸化炭素及び水素で5及び12をヒドロホルミル化することによって達成される。反応は、14〜500psi、好ましくは100〜200psiの圧力において行われる。水素の一酸化炭素に対する比率は、1/5〜5/1、通常は1/1である。好適なロジウム触媒は、酢酸ロジウム、塩化ロジウム、及びジカルボニルアセチルアセトナートロジウムIIを含む。好適なリガンドは、キサントフォス、二座ホスファイトなどの、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト二座ホスフィンを含む。
【0022】
ステップI-Fa及びII-D
6(スキームI)から6a(スキームI)及び16(スキームII)から7(スキームII)への酸化は、様々な標準的酸化試薬で達成されることができる。好適な酸化試薬の例は、以下の:インドサクシニミド/テトラブチルヨウ化アンモニウム(Kraus, George A. Bioorganic & Medical Chemistry Letters (2000)、10(9)、895-897;Barrett, A.G.M. et. al., J. Org. Chem. (1989), 54(14), 3321);ジョーンズ試薬(アセトン中クロム酸)(Panda, J., et. al., Tetrahedron Letters (1999), 40, 6693; Tomioka, K., et. al., J. Org. Chem. (1988), 53(17), 4094):炭酸銀(Chow, T.J., et. al., J. Chem. Soc., Perkin Transactions 1, (1999), 1847 );クロロクロム酸ピリジニウム(Uchiyama, M., et. al., Tetrahedron Letters (2000), 41(51), 10013; Vanderiei, J. M. de L,. Synthetic Communications (1998), 28(16), 3047; Kassou, M., et al., Journal of Organic Chemistry (1997), 62, 3696; Rehnberg, N., et. al., J. Org. Chem. (1990), 55(14), 4340-9;RuO4/テトラアルキルアンモニウム塩/3級アミンN-オキサイド(Jeewoo, K., et. al., Chem. Lett. (1995), (4), 299);ジクロム酸ピリジニウム(Paquette, L.A., et. al., J. Am. Chem. Soc. (1995), 117(4), 1455-6);次亜塩素酸ソーダ/3級アミンN-オキサイド(Waldemar, A., et. al., Chem. Rev., (2001), 101, 3499);アルミニウムアルコキシド/アセトン(Ooi, T., et. al., Synthesis(2002), 279; Djerassi., C. et. al., Org React. (1951), 6, 207);トリアセトキシパーイオドインダン(triacetoxyperiodoindane)(Martin, J. C. et. al., J. Amer. Chem. Soc., (1991), 113, 7277)を含む。
【0023】
ステップFb
ステップFaの酸化において5−6二重結合が結合しなかった場合、6a(スキームI)中のC5-6位置からC4-5位置への二重結合の移動が、0℃〜80℃の不活性有機溶媒または水性の溶媒混合物中で6a(スキームI)を有機酸または無機酸と接触させることによって達成される。好適な有機酸は、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、オキサロ酢酸及びトリクロロ酢酸などを含むがこれらに限定されない。好適な無機酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、過塩素酸などを含むが、これらに限定されない。或いは、上記触媒は、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデカン(DBU)などのような3級有機塩基、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのような無機塩基であることができる。二重結合の移動は、記載されている(Bakshi, et. al., 米国特許第5,237,064号;Pollack, et. al., J. Amer. Chem. Soc., 1987, 109, 5048; Tsubuki, et. al., J. Org. Chem., 1992, 57, 2930; Zeng. et.al., J. Amer. Chem. Soc., 1991, 113, 3838)。
【0024】
ステップI-H及びII-I、J
11−ヒドロキシ中間体7(スキームI)及び18(スキームII)の脱水は、記載されたように(米国特許第4,559,332号)、五塩化りんを用いて達成される。或いは、11−ヒドロキシ中間体は、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸エステルに変換され、続いて、PCT国際特許出願公開第WO97/21720号及び同第WO98/25948号に記載のとおりに、脱水に作用するための塩基で処理されることができる。
【0025】
ステップI-H及びII-H
7(スキームI)中のフラン環の8(スキームII)のメチルエステルへの分解は、実施例中に記載のとおりに、オゾン分解、酸化及びエステル化によって達成される。
【0026】
ステップI-J及びII-K
既知の中間体9(スキームI)から10(スキームI)(エプレレノン)への変換は、米国特許第4,559,332号及び同第5,981,744号中に記載されている。
【実施例】
【0027】
出発物質1の製造、方法1
ステップ1:5−アンドロステン−3β−オール−17−オンから5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンへの生物変換
【化8】

【0028】
ディプロディア・ゴッシッピナATCC20571(ボツリオディプロディア・テオブロメIFO6469と同義語)の液内培養を10Lの発酵スケールで用いて、5−アンドロステン−3β−オール−17−オンから5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンへの生物変換を行う。
【0029】
(A)一次シード段階
ディプロディア・ゴシッピナATCC20571の冷凍栄養細胞を解凍し、ポテト−デキストロース−寒天培地のプレート(PDA)に移し、そして28℃で72時間インキュベートする。100mLの一次シード培地を入れた、500mLのシリコン処理し点刻された(stippled)振とうフラスコに接種するために、単一の菌糸栓(mycelial-plug)(直径6〜7mm)を使用する。一次シード培地は、(RO水リッターあたり)以下の:デキストリン、50g;大豆粉、35g;セレロース、5g;塩化コバルト6水和物、2mg;シリコン消泡剤(SAG471)、0.5mLを含み;滅菌前に、水酸化ナトリウム(2N)でpH7.0〜7.2に調節される。280r.p.m.に設定された環境制御インキュベーター−シェーカー(controlled -environment incubator-shaker)(1秒あたり1旋回(1" orbital stroke))を用いて、ディプロディア・ゴシッピナATCC20571を28℃で48時間インキュベーションする。
【0030】
(B)二次−シード段階
1.2mLの栄養性一次シード培養液(接種率0.012%[v/v])を用いて10リッターの二次シード発酵液に接種する。二次シード培地は、(RO水1リッターあたり)以下の:セレロース、60g;大豆粉、25g;大豆油、30mL;硫酸マグネシウム7水和物、1g;リン酸二水素カリウム、0.74g;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸、2mL;シリコン消泡剤(SAG471)、0.5mLを含み;滅菌前に、濃硫酸でpH3.95〜4.00に調節される。二次シード培地を含む発酵槽を、ジャケットと注入蒸気の両方を使用して、121℃で20分間滅菌する。滅菌中の振とう速度は、200r.p.m.である。滅菌後、培地のpHを、滅菌された硫酸(5%)を用いて4.0に調節する。ディプロディア・ゴシッピナATCC20571を、以下の初期パラメーター:振とう、100r.p.m.;背圧=5psig;空気流=2.5SLM(0.25VVM);低DO設定点、30%;pH制御なし、を用いて28℃でインキュベーションする。DOが最初に30%まで低下したとき、空気流を5SLM(0.5VVM)まで増加する。培養液が再び低DOとなったとき、振とうを制御することによって低DOを維持する。OURが約10及び約15mM/L/hの間であるとき、二次シード培養液を、接種後約60時間で回収する。
【0031】
(c)ステロイド生物変換
10リッターのステロイド−生物変換発酵液に500mLの栄養性二次シード培養液(接種率5%[v/v])を用いて接種する。ステロイド生物変換培地は、二次シード培地と同じである。滅菌条件及びpH調節は、二次シード培地についての記載したのと同じである。ディプロディア・ゴシッピナATCC20571を、低DO設定点が30%から50%に増加された以外は、二次シード培養において使用したものと本質的に同じ初期パラメーターを用いて28℃でインキュベートした。最初にDOが50%まで低下したとき、空気流を2.5SLM(0.25VVM)から5SLM(0.5VVM)に増加した。培養液が再び低DOとなったとき、振とうを制御することによって、50%DOを維持する。接種の24時間後に開始して、最小容量の0.2%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸に懸濁した微小化5−アンドロステン−3β−オール−17−オンを、1時間の間隔で、総量400gとなるまで発酵液に加える。接種の約3日後に、さらに100gのセレロースを10Lの発酵液に加える。
【0032】
生物変換培養液を、5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンについて毎日TLCを使用してアッセイする。全発酵物のうちの1ミリリッターを10mLのメタノールで抽出する。遠心分離(3,000×gで10分間)によって、細胞を水性−メタノール混合液から分離し、数マイクロリッターをTLCに適用する。TLCプレートをシクロヘキサン:酢酸エチル:メタノール(90:60:15)中で展開し、TLCに50%硫酸をスプレーし、その後オーブン中で炭化することによって生成物を可視化する。生成物を50%硫酸をスプレーすることによって青色に変わる標準物質と比較する。5−アンドロステン−3β−オール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンへの生物変換は、接種の約4日後に完了する。
【0033】
(D)単離方法
回収された発酵液全体を遠心分離し、豊富な固体が回収される。該豊富な固体を、10リッターの塩化メチレンで抽出し、該豊富な抽出物を遠心分離によって回収する。抽出物を研磨し、そして蒸留によって約1リッターに濃縮し、結晶性のスラリーを−10℃に冷却する。上記結晶をろ過によって回収し、冷塩化メチレンで洗浄して脱色し、乾燥して精製結晶性5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンを227グラム得る。
【0034】
ステップ2:5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換
【化9】

【0035】
アスペルギルス・オクラセウスATCC18500(NRRL405の同義語)の液内培養を10Lの発酵スケールで用いて、5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換を行う。
【0036】
(A)一次シード段階
アスペルギルス・オクラセウスATCC18500の一次シード培養液を実施例12にディプロディア・ゴシッピナATCC20571について記載されたとおりに調製する。
【0037】
(B)二次シード段階
1.2mLの栄養性一次シード培養液を用いて10リッターの二次シード発酵液に接種する(0.012%[v/v]接種率)。二次シード培地は(RO水1リッターあたり)以下の:セレロース、40g;大豆粉、25g;大豆油、30mL;硫酸マグネシウム7水和物、1g;リン酸二水素カリウム、0.74g;ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、0.25mL;シリコン消泡剤(SAG471)、0.5mLを含み、;滅菌前に濃硫酸でpH3.95〜4.00に調節する。二次シード培地を含む発酵液を、ジャケットと注入蒸気の両方を使用して、121℃で20分間滅菌する。滅菌中の振とう速度は、200r.p.m.である。滅菌後、培地のpHを、滅菌された硫酸(5%)を用いて4.0に調節する。アスペルギルス・オクラセウスATCC18500を、以下の初期パラメーター:振とう、100r.p.m.;背圧=5psig;空気流=2.5SLM(0.25VVM);低DO設定点、50%;pH制御なし、を用いて28℃でインキュベーションする。DOが最初に50%まで低下したとき、空気流を5SLM(0.5VVM)まで増加する。培養液が再び低DOとなったとき、振とうを制御することによって、50%DOを維持する。OURが約20及び約26mM/L/hの間であるとき、二次シード培養液を、接種後50〜54時間で回収する。
【0038】
(C)ステロイド生物変換
500mLの栄養性二次シード培養液を用いて10リッターのステロイド生物発酵液に接種する(5%[v/v]接種率)。ステロイド−生物変換培地は、ノニルフェノキシポリエトキシエタノールが0.25mL/Lから2mL/Lに増加し、滅菌前のpHを濃硫酸で2.95〜3.00に調節すること以外は、本質的に二次シード培地と同じである。滅菌条件は、二次シード培地について記載したとおりである。滅菌後、培地のpHを、滅菌された硫酸(5%)を用いて3.0に調節する。アスペルギルス・オクラセウスATCC18500を、最初に振とうを200r.p.m.に設定する以外は、本質的に二次シード培養について使用されたと同じ初期パラメーターを使用してインキュベートする。接種後約18時間において、最小容量の0.2%ノニルフェノキシポリエトキシエタノールに懸濁した200gの微小化5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンを上記10Lの発酵液に添加する。
【0039】
生物変換培養液を毎日、実施例10に記載のとおりにTLCを用いて5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンについてアッセイする。5−アンドロステン−3β、7β−ジオール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換は、接種後約4日で完了する。
【0040】
(D)単離方法
発酵液中の固体全部を遠心分離によって回収する。液体は捨てる。該豊富な固体を、45℃〜50℃において、10リッターの80%アセトン20%水で抽出し、温かい抽出物をろ過によって清澄にする。該豊富なろ液を、蒸留によって濃縮し、アセトンを除去して粗結晶の水性のスラリーを得る。上記粗結晶をろ過によって回収し、母液を捨てる。水で湿った結晶を600ミリリッターの塩化メチレン中で粉砕して不純物を除去し、(55℃に加熱することによって)700ミリリッターのメタノールに溶解し、そして5グラムのDarcoG−60カーボンで脱色する。ろ過によってカーボンを除去後、ろ液を濃縮して生成物を結晶化する。さらに300mLのn−酢酸ブチルを添加することによってメタノールを除去し、濃厚な結晶性のスラリーに濃縮する。結晶をろ過し、n−酢酸ブチルで洗浄し、乾燥して精製結晶性5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンを158グラム得る。
【0041】
1の製造、方法2:5−アンドロステン−3β−オール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換
【化10】

【0042】
アブシディア・コエルレア(Absidia coerulea)ATCC6647の液内培養を10Lの発酵スケールで用いて、5−アンドロステン−3β−オール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換を行う。
【0043】
(A)一次シード段階
アブシディア・コエルレアATCC6647の一次シード培養液を実施例12においてディプロディア・ゴシッピナATCC20571について記載したとおりに調製する。
【0044】
(B)二次シード段階
1.2mLの栄養性一次シード培養液を用いて10リッターの二次シード発酵液に接種する(0.012%[v/v]接種率)。二次シード培地は(RO水1リッターあたり)以下の:デキストリン、50g;大豆粉、35g;セレロース、5g;塩化コバルト7水和物、2mg;シリコン消泡剤(SAG471)、0.5mLを含み;滅菌前に濃硫酸でpH4.95〜5.00に調節する。二次シード培地を含む発酵液を、ジャケットと注入蒸気の両方を使用して、121℃で20分間滅菌する。滅菌中の振とう速度は、200r.p.m.である。滅菌後、培地のpHは、滅菌された硫酸(5%)を用いて5.0に調節する。アブシディア・コエルレアATCC6647を、以下の初期パラメーター:振とう、100r.p.m.;背圧=5psig;空気流=2.5SLM(0.25VVM);低DO設定点、50%;pH制御なし、を用いて28℃でインキュベーションする。DOが最初に30%まで低下したとき、空気流を5SLM(0.5VVM)まで増加する。培養液が再び低DOとなったとき、振とうを制御することによって、30%DOを維持する。OURが約4及び約7mM/L/hの間であるとき、二次シード培養液を、接種後約76時間で回収する。
【0045】
(C)ステロイド生物変換
500mLの栄養性二次シード培養液を用いて10リッターのステロイド生物発酵液に接種する(5%[v/v]接種率)。ステロイド−生物変換培地は(RO水1リッターあたり)以下の:デキストリン、50g;大豆粉、35g;セレロース、20g;シリコン消泡剤(SAG471)、0.5mLを含み;濃硫酸で滅菌前pHを2.95〜3.00に調節する。滅菌条件は、二次シード培地について記載したとおりである。滅菌後、培地のpHを、滅菌された硫酸(5%)を用いて3.0に調節する。アブシディア・コエルレアATCC6647を、二次シード培養について使用されたと同じ初期パラメーターを使用してインキュベートする。接種後約17時間において、最小容量の0.2%オクチルフェノキシポリエトキシエタノールに懸濁した200gの微小化5−アンドロステン−3β−オール−17−オンを上記10Lの発酵液に添加する。
【0046】
生物変換培養液を毎日、実施例1に記載のとおりにTLCを用いて5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンについてアッセイする。5−アンドロステン−3β−オール−17−オンの5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンへの生物変換は、接種後約6〜7日で完了する。
【0047】
(D)単離方法
発酵液中の固体全部を遠心分離によって回収する。液体は捨てる。該豊富な固体を、45℃〜50℃において、10リッターの85%アセトン15%水で抽出し、温かい抽出物をろ過によって清澄にする。該豊富なろ液を、蒸留によって濃縮し、アセトンを除去して粗結晶の水性のスラリーを得る。上記粗結晶をろ過によって回収し、母液を捨てる。水で湿った結晶を600ミリリッターの塩化メチレン中で粉砕して不純物を除去し、(55℃に加熱することによって)700ミリリッターのメタノールに溶解し、そして5グラムのDarcoG−60カーボンで脱色する。ろ過によってカーボンを除去後、ろ液を濃縮して生成物を結晶化する。さらに300mLのn−酢酸ブチルを添加することによってメタノールを除去し、濃厚な結晶性のスラリーに濃縮する。結晶をろ過し、n−酢酸ブチルで洗浄し、乾燥して粗結晶性5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンを75.5グラム得る。
【0048】
粗結晶を600ミリリッターの塩化メチレン中で粉砕してさらなる不純物を除去し、(55℃に加熱することによって)700ミリリッターのメタノールに溶解し、そして5グラムのDarcoG-60カーボンで脱色する。ろ過によってカーボンを除去した後、ろ液を濃縮して生成物を結晶化する。300mLのn−酢酸ブチルを添加することによって、さらにメタノールを除去し、濃厚な結晶性スラリーに濃縮する。結晶をろ過し、n−酢酸ブチルで洗浄し、そして乾燥して精製結晶性5−アンドロステン−3β、7β、11α−トリオール−17−オンを42.1グラム得る。
【0049】
実施例1:トリカーボネート2の形成
ピリジン(100ml)に溶解したトリオール1(スキーム1)(10.00g、31ミリモル)を3NのRBF250mlに加えた。この溶液に、トリエチルアミン(31ml、218ミリモル)、カルボメトキシベンズトリアゾール(24.2g、125ミリモル)、及び4−N,N-ジメチルアミノピリジン(1.2g、9.4ミリモル)を添加した。スラリーを2時間攪拌し、この間にすべてが溶解する。追加のカルボメトキシベンズトリアゾール(12g、62ミリモル)及びトリエチルアミン(10ml、73ミリモル)を添加した。いったん固体が溶解すれば、反応は完結した。水(300ml)をゆっくりと加え、そして混合物を氷浴中で冷却した。沈殿をろ過し、10%塩酸(2×35ml)及びヘキサン(3×50ml)で洗浄し、真空オーブンで24時間乾燥して標題化合物2(スキーム1)を得た。13C NMR(CDCl3)δ217.78, 155.60, 155.23, 154.88, 144.48, 122.35, 78.58, 76.81, 75.39, 55.29, 54.93, 51.09, 49.47, 47.79, 38.48, 37.89, 36.19, 36.08, 27.96, 23.58, 19.07, 14.40。
【0050】
実施例2:フラン3の形成(スキームI)
アセトニトリル7mL中のトリカーボネート2(1.0g、2.02ミリモル)溶液を、2−メチルフラン(0.2mL、2.22ミリモル)及び0.298gのSc(OTf)3で室温で1時間処理した。TLC(30%EtOAc/Hex)が反応が完了したことを示す。25%EtOAc/Hexを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーによってフラン3が0.92g得られる(収率96%)。13C NMR(CDCl3) δ217.88, 171.08, 155.34, 154.93, 152.38, 151.49, 140.72, 123.98, 110.56, 106.45, 77.50, 75.89, 60.51, 54.98, 54.71, 47.45, 46.57, 38.73, 37.66, 36.21, 35.91, 27.96, 22.22, 19.14, 13.98, 13.77。
【0051】
実施例3:ジオール4の形成(スキームI)
10mLのMeOH中のジカーボネート3(1.0g)溶液を、500mgのK2CO3で処理し、40℃に温める。TLCが反応の完了を示すまで、混合物を攪拌する。完了したら、スラリーを水に注ぎ、生成物をEtOAcで分離する。有機物を濃縮すると、粘ちょうな油としてジオール4が得られる。1H NMR(CDCl3)δ5.7(s,H), 5.45(d, J=5.7Hz, 1H), 3.45(m, 1H), 3.29(t, J=5.1Hz, 1H), 2.09(s, 3H), 1.1(s, 3H), 0.75(s, 3H)。
【0052】
実施例4:アルキン5の形成(スキームI)
-10℃における50mLのTHF中の2.8g(25.0ミリモル)のt−BuOKの溶液をアセチレンで30分間通気処理した。その後、アセチレンによる通気処理を続けながら、10mLのTHF中のケトン11の溶液をゆっくりと添加した。混合物を-10℃で1時間攪拌後、10mlの水中の2.0mlの酢酸を加えた。混合物を水に注ぎ込んだ後、生成物をEtOAc抽出によって分離した。共沸混合物によって酢酸を除去するために、トルエンを使用した。NMRスペクトルは、少量の酢酸とトルエンの存在を示した;収量2.25g。13C NMR(CDCl3)δ153.77, 151.21, 142.66, 122.83, 110.12, 106.1, 87.3, 79.42, 74.03, 72.29, 69.48, 50.61, 47.49, 45.70, 43.64, 42.87, 39.38, 39.06, 38.29, 37.68, 31.84, 23.7, 21.26, 19.27, 14.19, 13.9。
【0053】
実施例5:ラクトール6の形成(スキームI)
20mLのEtOAc中の1.55gのアルキン5(スキームI)、27mgのRh2(OAc)2及び92mgのPh3PをCOで100psi、及びH2で100psiに加圧し、一夜80℃に加熱した。混合物を濃縮し、90%EtOAc/Hexを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにかけると、2つの分画が得られた。分画1は、NMRによって出発物質を回収することが示された。分画2は、所望のラクトールであった。CMRは、ラクトール混合物のシグナルを94.8及び94.5ppmで示す。
【0054】
実施例6:5,6−エノン6aの形成(スキームI)
20mLのCH2Cl2及び5mLの水の中の2.0gの上記ラクトール、50mgのKBr、12mgのTEMPO、800mgのNaHCO3を5℃に冷却する。その後、温度を6℃未満に保持しつつ、8mLの1.1M NaOClでゆっくりとこの混合物を処理する。添加後、上記混合物をさらに30分間攪拌し、その後、生成物をCH2Cl2で分離して6aを得る(スキームI)。13C NMR(CDCl3)δ209.82, 176.37, 153.19, 151.78, 143.34,128.15, 121.41, 110.62, 106.53, 94.35, 72.0, 55.39, 50.44, 47.99, 44.41, 42.26, 39.03, 38.63, 37.1, 35.67, 31.9, 29.19, 23.39, 18.33, 15.69, 14.07。
【0055】
実施例7:酸による4,5−エネオン7の形成(スキームl)
エタノール(10ml)中の5,6−エネオン6a(スキームI)(500mg)及び蓚酸(200mg)の混合物を40℃で3時間加熱する。エタノールを減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(50ml)に溶解し、該有機物溶液を水で洗浄し(2×50ml)、硫酸ナトリウム上で乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して4,5−エノン7を得る(スキームI)。
【0056】
実施例8:塩基による4,5−エネオン7の形成
テトラヒドロフラン(5ml)中の5,6−エネオン6a(500mg)及びDBU(200mg)の混合物を還流しながら3時間加熱する。その後、冷却し、塩化アンモニウム溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出する。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮する。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、4,5−エノン7を得る。
【0057】
実施例9:ジエネオン9の形成(スキームI)
1.2gのアルコール7の溶液を10mLのTHFに溶解し、-33℃に冷却する。その後、PCl5(950mg)をすべて一度に加える。溶液を-33℃で3時間攪拌し、そして、水を加えることによって反応停止する。生成物をEtOAcで分離し、ジエン9を得る(スキームI)。これをEtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0058】
実施例10:フラン置換基からのメチルエステルの形成
方法A
【化11】

【0059】
100mlの塩化メチレン中のフラン誘導体8(スキームI)(1.0g、2.280ミリモル)の溶液を-79℃まで冷却した。その溶液にO3/O2の気流を10分間通し、その後、混合物を室温まで温め、そして固体残渣に濃縮し、これを1/1のメタノール/塩化メチレン50mlに入れ、1.0mlのピリジンで処理し、室温で18時間攪拌した。該溶液をその後−80℃まで冷却した。そして、その溶液にO3/O2の気流を4分間通した。該混合物をその後100mlの酢酸エチルで希釈し、70mlの炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。水相を塩酸水溶液でpH0.5まで酸性化し、その後、塩化メチレンで抽出して泡となるまで濃縮した(重量:250mg)。該泡をトルエン/メタノールに溶解し、室温においてトリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中2.0M溶液を0.5ml、1.0ミリモル)で処理し、その後、オイルとしてエステル9を得るまで該溶液を濃縮した。
【0060】
方法B
ステップ1)5α、17β‐ジヒドロキシプレグナ‐9(11)−エン−3−オン、7α、21−ジカルボキシリックアシッド、ビス−γ−ラクトン8a(スキームI)
【化12】

【0061】
アセトン(500ml)及び水(150ml)中の17β−ヒドロキシ−7α−(5’−メチル−2’−フリル)−プレグナ−4,9(11)−ジエン−3−オン−21−カルボキシリックアシッド、γラクトン(100g、0.23778モル)及び酢酸カリウム(50.0g、0.5094モル、2.14当量)を10℃に冷却し、酸化還元電位の上昇が起こるまで水(100ml)中のジブロマンティン(dibromantin)(34.0g、0.1189モル、0.50モル当量)のスラリーで処理する。この時点において、LC分析はエネジオン(enedione)(III‐シス)への完全な変換を示す。その後、エネジオン(III-シス)を含む反応混合物をイソブチルビニルエーテル(1.0ml、0.768g、7.668ミリモル、0.032当量)で反応停止し、濃厚なスラリーに濃縮し、塩化メチレン(200ml)で希釈し、20℃の濃塩酸(50.0ml、0.50モル、2.10当量)で処理する。混合物を20〜25℃で2時間攪拌し、この時点でLC分析はエネジオン(III−トランス)への完全な変換を示す。エネジオン(III−トランス)を含む有機相を分離し、塩化メチレン(80ml)及びメタノール(300ml)で希釈し、−48℃に冷却した。LC分析がエネジオン(III-トランス)の完全な消失を示すまで、O3/O2の気流をこの混合物に泡立つようにして通し、そして、混合物をジメチルスルフィド(30.0ml、25.38g、0.4085モル、1.72当量)で反応停止し、−20℃で16時間攪拌して、300ml以下の容量に濃縮し、メタノール(350ml)で希釈し、約300mlの容量に濃縮し、イソプロパノール(40ml)及びメタノール(80ml)で希釈し、温かい(55〜60℃)炭酸水素カリウム(120g、1.1986モル、5.04当量)の水溶液(240ml)で処理する。このスラリーを5〜10℃に冷却し、過酸化水素(50%、66.0g、33.0g(0.9703モル、4.08当量)の過酸化水素を含む)を3時間にわたって加える。混合物を4時間攪拌し、ジメチルスルフィド(40ml、33.84g、0.5447モル、2.29当量)で反応停止する。20〜25℃で23時間攪拌後、混合物を塩化メチレン(100ml)及び水(80ml)で希釈し、濃塩酸でpH=3.0に酸性化する。二相の混合物を36℃に加熱し、その後相分離し、水相を塩化メチレン(100ml)で抽出する。有機相を併合し、水(75ml)で洗浄し、水相を塩化メチレン(25ml)で逆抽出する。有機相を併合し、150mlの容量まで濃縮し、ベンゼンスルホン酸(1.0gの90%純度の物質、0.90g(5.690ミリモル、0.0239当量)のベンゼンスルホン酸を含む)及びアセトン(50ml)で処理する。その後、混合物を大気圧下で160mlに濃縮し、アセトン(250ml)で希釈し、200mlの容量に濃縮し、12℃に冷却してろ過する。ろ過ケーキを冷アセトン(2×25ml)で洗浄し、窒素気流で乾燥させて標題化合物を得る。CMR(100MHz、CDCl3)206.8, 176.47, 175.41, 139.63, 124.00, 94.89, 90.97, 47.08, 43.90, 42.36, 41.58, 41.07, 38.93, 36.97, 35.16, 33.01, 32.42, 32.42, 31.35, 29.10, 23.08, 22.98 及び14.23 δ;NMR(400 MHz, CDCl3)0.94, 1.40, 1.4〜2.8及び5.70;MS(CI, NH3)m/e=385(P+H,100%)。
【0062】
ステップ2)17β−ヒドロキシ−7α−カルボメトキシプレグナ−4,9(11)−ジエン−3−オン−21−カルボキシリックアシッド、γラクトン9(スキームI)
【化13】

【0063】
アセトン(200ml)及び水(100ml)中の5α、17β−ジヒドロキシプレグナ−9(11)−エン−3−オン、7α、21−ジカルボキシリックアシッド、ビス−γ−ラクトン(50.0g、0.13005モル)及び炭酸水素カリウム(16.92g、0.1690モル、1.30当量)を45℃で2時間攪拌する。このとき、LCによれば、5,7−ラクトン(VII)のカルボン酸(VI)への変換は完了している。そして、得られた混合物をジメチルスルフェート(22.92g、0.1817モル、1.40当量)で処理し、45℃で3時間攪拌し、そして炭酸水素カリウム(1.3g、0.0130モル、0.100当量)の水溶液(10ml)、続いて純粋なトリエチルアミン(1.81ml、1.314g、0.0130モル、0.100当量)で処理する。混合物を45℃で1時間攪拌し、濃塩酸(1.92ml、2.304g、0.852g(0.0234モル、0.180当量)の塩酸を含む)で反応停止し、0℃に冷却し、減圧下で150mlの容量まで濃縮し(ポット温度は13℃)、そしてろ過し、ろ過ケーキを水(2×25ml)で洗浄し、乾燥して標題化合物9を得る(スキームI)。
【0064】
実施例11:エプレレノンの形成
米国特許第4,559,332号、同第5,981,744号、及びPCT国際特許出願公開第WO97/21720号及び同第WO98/25948号に記載の方法のように、ジエネオン9(スキームI)を酸化してエプレレノンを得る。
【0065】
実施例12:トリメチルシリルシアニドのIによるアリル化
10mLのCH2Cl2中、トリアセテートI(表1)(1.0g、2.24ミリモル)の溶液を14℃まで冷却し、0.6mLのTMSCN及び100mgのSc(OTf)3で処理した。混合物を5時間攪拌し、酢酸エチルで抽出した。抽出物の濃縮中、結晶が溶液から沈殿した。これらをろ過し、乾燥してニトリル18をアイソマー混合物として得た。13C NMR(CDCl3、混合物として)δ147.31, 146.0, 131.68, 129.39, 128,12, 119.23, 115.47, 115.04, 62.74, 82.50, 51.13, 49.0, 47.72, 44.38, 43.67, 43.05, 37.32, 37.04, 36.32, 33.58, 32.09, 32.0, 27.92, 27.79, 26.75, 23.68, 23.32, 20.45, 19.13, 18.26, 12.30。
【0066】
実施例13:アリルトリメチルシランのVによるアリル化
アセトニトリル中、トリアセテート(V)(表1)及びアリルトリメチルシランの溶液を室温においてSc(OTf)3で処理する。1時間後、水をゆっくりと加え、生成物を沈殿させる。ろ過及び乾燥によってアリル誘導体19を得る。13C NMR(CDCl3)δ221.05, 170.89, 193.87, 137.62, 127.15, 116.36, 74.26, 47.81, 46.29, 38.61, 37.49, 36.23, 35.61, 35.31, 31.57, 28.04, 22.61, 20.56, 19.64, 13.48。
【0067】
実施例14:17−オキソ中間体へのアセチレン付加
【化14】

【0068】
ステップ1:
攪拌された400mlの塩化メチレン中のトリオール1のスラリー50.0gへヘキサメチルジシラザン(HMDS)(100ml)を加える。サッカリン(0.57g)を加え、そして混合物を還流しながら3時間加熱し、その間にスラリーは徐々に溶解して清澄な琥珀色の溶液となる。水(5ml)を加えていかなる過剰のHMDSも反応停止させる。5分後、還流しながら混合物を350mlの粗いフリットろ過漏斗上のCH2Cl2の湿ったマグネソール層32.6gを通してろ過する。ろ液は清澄でほとんど無色であるべきである。ろ過ケーキを2×100mlのCH2Cl2で洗浄する。併合したろ液を減圧下で濃縮し、2回、残留塩化メチレンを500mlのテトラヒドロフラン(THF)とともに蒸発させて除去し、加えるごとに乾燥するまで濃縮して白色の固体を得る。
【0069】
ステップ2:
500mlTHF中のカリウムt−ブトキシド(42.0g)の懸濁液を、氷/メタノール浴で−9±5℃に冷却する。少なくとも1時間、中程度に攪拌しながら該混合物表面のすぐ下にアセチレンを泡立つように加える。反応温度を0±5℃に維持しながら、THF(400ml)中の上記によるシリル化ステロイド中間体を30分にわたって添加する。添加後、混合物をさらに1時間、5±5℃において攪拌する。反応混合物を15±5℃まで温度上昇させつつ、ゆっくりと水(100ml)を加える。125mlの10%HClをゆっくりと加えてpHを2.5〜3に低下させる。必要に応じて少量の5%HClを加えてpHを2.5〜3に維持しつつ、該混合物をpH2.5〜3において、20±5℃で1〜2時間攪拌する。加水分解が完了したら、半分飽和したNaHCO3溶液を加えてpHを5.5〜6に上昇させる。混合物を酢酸エチル(500ml)で希釈し、相分離する。水相を酢酸エチルで抽出し、併合した酢酸エチル相を水、ブライン(brine)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して付加生成物2を得る。13C NMR(DMSO-d6)δ141.99, 127.38, 89.37, 77.73, 75.24, 72.13, 70.54, 67.68, 54.13, 49.57, 47.43, 43.94, 42.58, 40.52, 40.22, 39.01, 38.09, 31.95, 25.8, 18.58, 14.09。
【0070】
実施例15:ヒドロキシアセチル化
【化15】

【0071】
ピリジン(150ml)中に溶解したテトラオール11(スキームII)(50.00g、144ミリモル)の混合物を氷浴中で10℃未満に冷却する。ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.7g、14ミリモル)を加え、その後、溶液の温度を10℃未満に維持する速度で無水酢酸(41.4ml、439ミリモル)をゆっくりと添加する。添加後、反応混合物を室温まで温める。混合物を酢酸エチル(75ml)及び水(50ml)で希釈し、5分攪拌し、相分離する。有機相を10%HCl(4×25ml)、続いてH2O(2×50ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。生成物をトルエン(100ml)から再結晶化する。13C NMR(CDCl3)δ170.68, 170.10, 143.48, 128.90, 128.10, 125.17, 122.59, 86.63, 78.21, 75.07, 74.40, 72.79, 71.47, 50.16, 48.07, 47.02, 38.76, 38.06, 37.83, 37.67, 36.92, 27.66, 24.18, 21.74, 21.44, 18.65, 13.06。
【0072】
実施例16:アセチレン付加物のヒドロホルミル化
【化16】

【0073】
酢酸エチル(200ml)中、トリアセテート12(スキームII)(25.4g、54ミリモル)、PPh3(2.13g、8.1ミリモル)及びRh2(OAc)4(716mg、1.62ミリモル)の溶液を170psiの圧力の水素/一酸化炭素の1/1混合物下、80℃で加熱する。混合物を減圧下濃縮し、生成物13(スキームII)をカラムクロマトグラフィー(70/30EtOAc/Hex及び500gシリカ)によって精製する。この化合物のCMRスペクトルは、開環した及び閉環したアイソマーによって複雑であり、したがって、完全に特徴づけされなかった。
【0074】
実施例17:ラクトールからラクトンへの酸化
【化17】

【0075】
ラクトール4(スキームI)(25g、50ミリモル)、塩化メチレン(250ml)、水(38ml)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(156mg、1ミリモル)、KBr(595mg、5ミリモル)、及びNaHCO3(5.5g、65ミリモル)の混合物を氷浴中で10℃以下に冷却する。1.1M次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)溶液(50ml、55ミリモル)をゆっくりと加える。混合物を室温まで温度上昇させ、水(50ml)で希釈する。相分離し、有機相をブライン(2×50ml)で洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過及び濃縮して、オフホワイトの泡として5を得る。13C NMR(CDCl3)δ177.94, 172.60, 172.15, 171.58, 145.49, 124.36, 96.18, (79.22, 78.90, 78.59 CDCl3), 76.59, 74.57, 72.63, 52.14, 49.55, 47.75, 40.00, 39.75, 39.61, 38.65, 37.47, 32.74, 30.85, 29.56, 26.01, 23.61, 23.37, 23.17, 23.11, 20.52, 16.19。
【0076】
実施例18:フラニル化
【化18】

【0077】
25mLのアセトニトリル中のトリアセテート14(スキームI)(1.30g、2.58ミリモル)、2−メチルフラン(0.8mL)を20℃において、250mgのSc(OTf)3で処理し、1時間攪拌した。生成物をEtOAc抽出によって単離し、シリカゲル上のクロマトグラフィーで、40%EtOAc/Hexを用いて精製して、フラン15を1.0g(収率74%)得た。13C NMR(CDCl3)δ176.27, 170.45, 169.85, 152.53, 150.96, 140.60, 123.45, 110.05, 106.01, 94.95, 73.39, 71.37, 46.50, 45.40, 44.60, 38.55, 38.37, 38.06, 37.78, 37.74, 36.89, 35.41, 31.81, 30.72, 28.96, 28.93, 27.69, 23.07, 22.63, 21.74, 20.98, 18.80, 14.83, 14.13, 14.06, 13.62。
【0078】
実施例19:アセテート加水分解
【化19】

【0079】
20mLのメタノール中の810mgのジアセテート15(スキームII)、112mgのK2CO3の混合物を室温で一夜攪拌した。TLCは、反応が完了しなかったことを示したため、さらに100mgのK2CO3を添加し、TLCが反応完了を示すまで攪拌を続けた。混合物を1MのHClで酸性化し、生成物をEtOAcで抽出した。100%EtOAcを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーによって610mgのジオール16(スキームII)(収率89.5%)を得た。13C NMR(CDCl3)δ176.68, 153.20, 150.79, 142.05, 122.32, 109.80, 105.94, 95.3, 71.83, 68.64, 50.13, 45.81, 44.88, 42.73, 42.62, 39.01, 38.56, 37.73, 36.81, 35.44, 31.57, 30.84, 29.06, 23.13, 18.81, 15.27, 13.64。
【0080】
実施例20:17を形成するための16の酸化
【化20】

【0081】
ジオール16(スキームII)を2mLのトルエン及び0.1mLのアセトンに溶解し、そして50mgのアルミニウムイソプロポキシドで処理し、100℃に加熱した。数時間後、変換が起こらなかったため、0.1mLのシクロヘキサノンを添加し、そして混合物を一夜加熱した。生成物17(スキームII)を、酢酸エチルを溶出剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって単離した。13C NMR(CDCl3)δ199.96, 177.05, 170.32, 153.34, 150.74, 126.7, 109.14, 106.33, 95.54, 69.08, 52.50, 46.26, 46.0, 43.58, 40.13, 39.05, 38.8, 37.93, 36.92, 35.66, 34.59, 31.33, 29.47, 23.06, 18.83, 16.01, 13.90。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

{式中、
R1はHまたは‐COR2であり;
R2は、C1−C6アルキルまたはC1−C6アルコキシであり;
Z1はCH2または
【化2】

であり、ここで、OR3は、α配置にあり;
R3はH又は‐COR2であり;
Z2は、-CH-であるか;或いは、
Z1及びZ2は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し;
Qは、以下の:
【化3】

であり;
Yは、−CN、-CH2-CH=CH2
【化4】

CHR4C(O)Ar、CHR4C(O)C1-6アルキル、CHR4C(O)XAr、又はCHR4C(O)XC1-6アルキルであり、ここで、R4はOC1-6アルキル又はアリールであり、Xは、O又はSである。}
により表される7−置換ステロイド化合物の製造方法であって、以下のステップ:
以下の式II:
【化5】

{式中、
R1及びR3、Z1、Z2、R2並びにQは、式Iと同じである。}
により表されるステロイド中間体を、ルイス酸触媒の存在下で求核試薬と反応させること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
上記式I:
{式中、
R1は、Hまたは‐COR2であり;
R2は、C1‐C6アルキルまたはC1‐C6アルコキシであり;
Z1は、CH2、または
【化6】

であり、ここで、OR3はα配置にあり;
R3は、H、または‐COR2であり;
Z2は、-CH-であるか;或いは、
Z1及びZ2は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し;
Qは、以下の:
【化7】

であり;
Yは、−CN、-CH2-CH=CH、
【化8】

CHR4C(O)Ar、CHR4C(O)C1-6アルキル、CHR4C(O)XAr、又はCHR4C(O)XC1-6アルキルであり、ここで、R4はOC1-6アルキル又はアリールであり、Xは、O又はSである。}
により表される、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに以下のステップ:
a)式Iのケトステロイドを、3級有機塩基の存在下で、C1〜C6アルキルクロロホルメートまたはベンジルクロロホルメートまたはアルコキシカルボニルベンズトリアゾールと反応させて以下の式2:
【化9】

{式中、
RはC1‐C6アルキルまたはベンジルである}
により表されるトリカーボネートを得ること;
b)式2により表されるトリーアシル化合物を、ルイス酸触媒の存在下で、2−C1-6−アルキルフランと反応させて以下の式3:
【化10】

により表されるジアシルエステル化合物を得ること;
c)式3により表される上記ジアシルエステル化合物を、塩基の存在下で、加水分解して以下の式4:
【化11】

により表されるジヒドロキシエステルを得ること;
d)式4により表される化合物を、強塩基の存在下で、アセチレンと反応させて以下の式5:
【化12】

により表されるアセチレン性化合物を得ること;
e)式XVIIにより表される化合物を、ロジウム触媒リガンドの存在下で、一酸化炭素と反応させて以下の式6:
【化13】

により表されるラクトールを得ること;
f)式6により表されるラクトールを酸化して、以下の式6a:
【化14】

により表されるラクトンを得ること;
g)式6aの4,5−二重結合を異性化して以下の式7:
【化15】

により表されるラクトンを得ること;
h)式7の化合物をブロム化、オゾン化、酸化及びエステル化して以下の式8:
【化16】

により表されるエステルを得ること;
i)式8により表される化合物を脱水して以下の式9:
【化17】

により表される中間体を得ること;
j)式9のジエネオンを酸化することによって以下の式10:
【化18】

により表されるエプレレノンを得ること、
を含む、前記方法。
【請求項4】
生成物であって、
以下のステップ:
以下の式II:
【化19】

{式中、
R1はHまたは‐COR2であり;
R2は、C1−C6アルキルまたはC1−C6アルコキシであり;
Z1はCH2または
【化20】

であり、ここで、OR3は、α配置にあり;
R3はH又は‐COR2であり;
Z2は、-CH-であるか;或いは、
Z1及びZ2は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し;
Qは、以下の:
【化21】

である。}
により表されるステロイド中間体を、ルイス酸触媒の存在下で、求核試薬と反応させること、
を含む方法によって製造される、前記生成物。
【請求項5】
以下の式6a:
【化22】

により表される化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、さらに以下のステップ:
a)式Iにより表される化合物をアセチレンと反応させて以下の式11:
【化23】

により表される化合物を得ること;
b)式11により表される化合物をアシル化して以下の式12:
【化24】

により表される化合物を得ること;
c)式12により表される化合物をヒドロホルミル化して以下の式13:
【化25】

により表される化合物を得ること;
d)式13により表される化合物を酸化して以下の式14:
【化26】

により表される化合物を得ること;
e)式14により表される化合物を、ルイス酸の存在下で、2−アルキルフランと接触させて以下の式15:
【化27】

により表される化合物を得ること;
f)式15により表される化合物を加水分解して以下の式16:
【化28】

により表される化合物を得ること;
g)式16により表される化合物を酸化して、以下の式17:
【化29】

により表される化合物を得ること;
h)式17により表される化合物のフラン環を変換して、以下の式18:
【化30】

により表されるメトキシカルボニル化合物を得ること;
i)式18により表される化合物を変換して、以下の式19:
【化31】

により表されるスルホネートエステルを得ること;
j)式19のスルホネートエステルを脱離させて、以下の式9:
【化32】

により表される化合物を得ること;
k)式9により表される化合物を酸化して、以下の式10:
【化33】

により表される化合物、エプレレノンを得ること、
を含む、前記方法。
【請求項7】
生成物であって、以下のステップ:
a)5−アンドロステン‐3β、7β、11α−トリオール−17−オンをアセチレンと反応させて、以下の式11:
【化34】

により表される化合物を得ること;
b)式11により表される化合物をアシル化して、以下の式12:
【化35】

により表される化合物を得ること;
c)式12により表される化合物をヒドロホルミル化して、以下の式13:
【化36】

により表される化合物を得ること;
d)式13により表される化合物を酸化して、以下の式14:
【化37】

により表される化合物を得ること;
e)式14により表される化合物を、ルイス酸の存在下で、2−アルキルフランと接触させて、以下の式15:
【化38】

により表される化合物を得ること;
f)式15により表される化合物を加水分解して、以下の式16:
【化39】

により表される化合物を得ること;
g)式16により表される化合物を酸化して、以下の式17:
【化40】

により表される化合物を得ること;
h)式17により表される化合物のフラン環を変換して、以下の式18:
【化41】

により表されるメトキシカルボニル化合物を得ること;
i)式18により表される化合物を、以下の式19:
【化42】

により表されるスルホネートエステルに変換すること;
j)式19により表されるスルホネートエステルを脱離させて、以下の式9:
【化43】

により表される化合物を得ること;
k)式9により表される化合物を酸化して、以下の式10:
【化44】

により表される化合物、エプレレノンを得ること、
を含む方法により製造される、前記生成物。
【請求項8】
さらに、アセチレンとの反応の前に式Iの化合物をシリル化して、シリル化中間体を得て、そして前記シリル基を式11により表される化合物の単離の間に除去することを含む、請求項6に記載のエプレレノンの製造方法。

【公表番号】特表2006−508962(P2006−508962A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551389(P2004−551389)
【出願日】平成15年3月21日(2003.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/007284
【国際公開番号】WO2004/043986
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】