C−METキナーゼ阻害剤の結晶性塩酸塩
本発明は、化合物A、c−METキナーゼの阻害剤の結晶形態に関する。具体的には、本発明は、化合物Aの塩酸塩に関する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、c−Metキナーゼ阻害剤の結晶形態に関する。細胞増殖性障害の治療をはじめとする、c−Metキナーゼ機能と関連している種々の障害の治療のために、さまざまなc−Metキナーゼ阻害剤が開示されている。このような障害として、それだけには限らないが、癌、肥厚化、再狭窄、心肥大免疫障害及び炎症が挙げられる。c−Metキナーゼ阻害剤の代表的な例として、全文が本明細書に援用される、Merck & Co.,Inc.の2008年1月17日に公開された国際公開WO2008/008310に開示されるものが挙げられる。
【発明の概要】
【0002】
発明の要旨 本発明は、化合物A、c−METキナーゼの阻害剤の結晶形態に関する。具体的には、本発明は、化合物Aの塩酸塩に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IのX線回折パターンを示す図である。
【図2】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図3】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの典型的なDSC曲線を示す図である。
【図4】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの典型的な熱重量測定(TG)曲線を示す図である。
【図5】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物のX線回折パターンを示す図である。
【図6】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図7】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物の典型的なDSC曲線を示す図である。
【図8】化合物Aの結晶性一HCl塩水和物のX線回折パターンを示す図である。
【図9】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIのX線回折パターンを示す図である。
【図10】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物のX線回折パターンを示す図である。
【図11】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、化合物A、c−METキナーゼの阻害剤の結晶形態に関する。化合物Aはまた、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミド、
【0005】
【化1】

【0006】
としても知られており、これは、全文が本明細書に援用される、Merck & Co.,Inc.の2008年1月17日に公開された国際公開WO2008/008310に記載される手順によって調製できる。
【0007】
具体的には、本発明は、化合物Aの塩酸塩に関する。一HCl塩については、3種の公知の結晶形態:一HCl塩無水物形態I、一HCl塩水和物及び一HCl塩無水物形態IIがある。
【0008】
さらに、1.6−HCl塩について、3種の公知の結晶相:1.6−HCl塩DMF溶媒和物、1.6−HCl塩水和物及び1.6−HCl塩無水物がある。いくつかの純粋な1.6−HCl塩水和物サンプルの塩化物滴定によって、およそ1.6当量のHClが示されており、これは、1.6−HCl塩水和物は、1.6−HCl塩である可能性が高いことを示唆する。
【0009】
粉末X線回折研究は、分子構造、結晶化度及び多型性を特性決定するために広く使用されている。本発明の結晶性HCl塩の粉末X線回折パターンは、PW3040/60コンソールを備えたPhilips Analytical X’Pert PRO X−ray Diffraction Systemで作成した。供給源として、PW3373/00セラミックCu LEF X線管K−α放射線を使用した。
【0010】
一HCl塩無水物形態I 化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IのX線回折パターンは、図1に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、「形態I」、「一HCl塩無水物形態I」又は「化合物Aの一HCl塩無水物形態I」としても知られており、5.30、5.05、及び4.30オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、さらに、7.28、5.72、及び4.61オングストロームのd−スペーシングに対応する反射を特徴とする。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、6.48、4.41、及び3.42オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0011】
形態Iは、室温/53%相対湿度、室温/85%相対湿度、又は40℃/75%相対湿度下で5ヶ月間保存した後に物理的に安定であるとわかった。
【0012】
上記の粉末X線回折パターンに加えて、化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、固体炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトルをさらに特徴とする。固体炭素−13NMRスペクトルは、Bruker 4mm H/X/Y CPMASプローブを使用するBruker DSX 500WB NMRシステムで得られる。炭素−13NMRスペクトルは、変動振幅交差分極及び80kHzでのTPPMデカップリングを用いるプロトン/炭素−13交差分極マジックアングルスピニングを利用する。サンプルは、10.0kHzで回転され、90秒のリサイクル遅延を伴って合計512スキャンが集められる。10Hzのラインブロードニングをスペクトルに適用し、その後、FTを実施する。二次基準としてグリシンのカルボニル炭素を使用するTMSスケールで化学シフトが報告されている(176.70p.p.m.)。
【0013】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの固体炭素−13CPMAS NMR スペクトルが、図2に示されている。形態Iは、133.6、136.0、及び126.7p.p.m.のシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする。スペクトルはさらに、131.0、147.9、及び118.9p.p.m.のシグナルを特徴とする。
【0014】
DSCデータは、TA Instruments DSC 2910又は同等の機器を使用して獲得する。1〜7mgの間のサンプルを秤量してオープンパンに入れる。このパンを次いでクリンプし、熱量計セル中のサンプル位置に置く。空のクリンプされたパンを参照位置に置く。熱量計セルを閉じ、セルに窒素流を通した。加熱プログラムを、10℃/分の加熱速度で、およそ280℃の温度にサンプルを加熱するよう設定する。加熱プログラムを開始する。実施が完了した時点で、システムソフトウェア中に含まれるDSC分析プログラムを使用してデータを分析する。融解吸熱を、吸熱が観察される温度範囲の上方と下方のベースライン温度点の間で積分する。報告されるデータは、開始温度、ピーク温度及びエンタルピーである。
【0015】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの示差熱量計スキャン(differential calorimetry scan)が、図3に示されている。化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、融解及び分解による吸熱を示し、開始温度は244.7℃、ピーク温度は250.6℃、エンタルピー変化は84.5J/gであった。
【0016】
熱重量測定(TG)データは、Perkin ElmerモデルTGA7又は同等の機器を使用して獲得する。実験は、およそ280℃の最大温度まで10℃/分の加熱速度を使用して窒素流下で実施する。はかりを自動で風袋をはかった後、白金パンに5〜20mgのサンプルを加え、炉を上げ、加熱プログラムを開始する。重量/温度データが、機器によって自動的に集められる。機器ソフトウェア内のDelta Y機能を選択すること及び重量損失が算出される間の温度を選ぶことによって結果の分析を実施する。重量損失は、分解/蒸発の開始まで報告される。
【0017】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの特徴的な熱重量測定分析(TGA)曲線が、図4に示されている。TGAは、周囲温度〜約185℃で約0.04%の重量損失を示した。
【0018】
1.6−HCl塩水和物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物のX線回折パターンが、図5に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物はまた、「化合物Aの1.6−HCl塩水和物」、「1.6−HCl塩水和物」又は「チャンネル一水和物」としても知られ、12.58、6.31、及び5.18オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩水和物は、5.05、4.63、及び4.54オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。1.6−HCl塩水和物は、3.48、3.20、及び3.00オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0019】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルが、図6に示されている。
【0020】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の示差熱量計スキャンが、図7に示されている。1.6−HCl塩水和物は、脱水による吸熱を示し、開始温度は45.1℃、ピーク温度は、64.6℃、エンタルピー変化は、33.8J/gであった。1.6−HCl塩水和物は、融解及び分解による第2の吸熱を示し、開始温度は、219.2℃、ピーク温度は、245.9℃、エンタルピー変化は、225.9J/gであった。
【0021】
アセトン:H2O又は高水分活性を有するその他の共溶媒系においてスラリーにすると、1.6−HCl塩水和物は、一HCl塩水和物に変換する。1.6−HCl塩水和物は、55℃の純粋なDMF溶媒又は低水分活性を有するDMF:IPA:H2O共溶媒中で形態Iをスラリー形成することによって調製できる。さらに、1.6−HCl塩水和物は、過剰量の遊離HClを含む純粋なDMF溶媒又はDMF:IPA:H2O共溶媒中で形態Iをスラリー形成することによって調製できる。系における低水分活性及び化合物に対するHClの高いモル比は、形態Iの1.6−HCl塩水和物への変換にとって有利に働く。
【0022】
一HCl塩水和物 化合物Aの結晶性一HCl塩水和物のX線回折パターンが、図8に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩水和物は、「一HCl水和物」又は「化合物Aの一HCl塩水和物」としても知られ、20.60、10.20、及び9.14オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの一HCl塩水和物は、6.78、6.44、及び5.08オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの一HCl塩水和物は、4.93、3.98、及び3.34オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0023】
一HCl塩に関して、結晶性一HCl塩水和物は、室温又は40℃で、約0.57〜0.60の遷移水分活性を上回って一HCl塩無水物形態Iよりも熱力学的により安定である。この遷移水分活性は、アセトン:H2O、DMF:H2O及びTHF:H2O共溶媒におけるスラリー実験に基づいて決定した。しかし、形態Iの一HCl塩水和物への固体変換は、観察されなかった。形態Iは、室温/53%相対湿度、室温/85%相対湿度又は40℃/75%相対湿度下で5ヶ月間保存した後に物理的
に安定であるとわかった。結晶性一HCl塩水和物は、低い相対湿度に曝露される、又は高温で加熱されると、脱水し、一HCl塩無水物形態IIに変換する。
【0024】
一HCl塩無水物形態II 化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIのX線回折パターンが、図9に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIは、「形態II」、「化合物Aの一HCl塩無水物形態II」又は「一HCl塩無水物形態II」としても知られ、18.25、9.10、及び6.03オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、5.13、4.61、及び4.17オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、3.75、3.53、及び3.29オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0025】
結晶性一HCl塩無水物形態IIは、XRPDによって低結晶化度を示す。室温で、75%より高い相対湿度に曝露されると、再水和し、一HCl塩水和物に変換して戻る。一HCl塩無水物形態IIはまた、アセトン:H2O共溶媒又は0.57〜0.60を下回る水分活性を有するその他の共溶媒系においてスラリー形成されると、結晶性一HCl塩無水物形態Iに変換し得る。
【0026】
1.6HCl塩DMF溶媒和物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物のX線回折パターンが、図11に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、「DMF溶媒和物」、「1.6−HCl複合体のチャンネルDMF溶媒和物」、「化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物」又は「1.6−HCl DMF溶媒和物」としても知られ、12.98、8.76、及び6.39オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、6.19、5.10、及び4.34オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、3.51、3.44、及び3.04オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0027】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、DMF:H2O溶媒系においてスラリーにすると、HCl当量、水分活性、DMF活性、及び系全体の温度に依存して、1.6−HCl DMF溶媒和物に変換し得る。一般に、高当量のHCl、高いDMF活性、及び低い水分活性が、1.6−HCl DMF溶媒和物の形成にとって有利に働く。DMF溶媒和物は、一時的なチャンネル溶媒和物であり、低相対湿度で脱溶媒和すると、1.6−HCl塩無水物に変換する。
【0028】
1.6−HCl塩無水物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物のX線回折パターンが、図10に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物は、「化合物Aの1.6−HCl塩無水物」又は「1.6−HCl塩無水物」としても知られ、12.79、6.33、及び5.23オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩無水物は、5.03、4.30、及び4.14オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの1.6−HCl塩無水物は、3.93、3.63、及び3.50オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0029】
1.6−HCl塩無水物は、室温で、10〜95%相対湿度に曝露されると1.6−HCl塩水和物に変換する。DMF溶媒和物は、1.6−HCl塩無水物に対して極めて類似したXRPDパターンを示す。
【0030】
本発明の化合物は、以下の特定の実施例に従って調製できる。しかし、実施例において例示される化合物は、本発明として考慮される属のみを形成するとは解釈されるべきではない。当業者ならば、以下の調製手順の条件及びプロセスの公知の変法を使用して、これらの化合物を調製してもよいということは容易に理解されよう。すべての温度は、特に断りのない限り、摂氏温度である。
【実施例1】
【0031】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの調製調製 HClを調製するために、濃HCl水溶液(37重量%)を、IPAを用いて3.0Mに希釈する。溶液(洗浄及び媒体粉砕溶液)を調製するために、DMFで14.6重量%のIPAを調製する。媒体粉砕された種結晶調製物を調製するために、IPA/DMF溶媒中で15.0重量% APIを媒体粉砕する。IPA/DMFは、DMF中の、14.6重量% IPAである。
【0032】
バッチ 化合物Aの一HCl塩無水物形態Iを調製するために、55℃で7.0mL(6.65g)DMFに1.00gの化合物A遊離塩基一水和物を溶解する。次いで、0.05当量のHClを入れる。次いで、0.25重量%の媒体粉砕した種結晶(0.00625mgのAPI)を入れる。DMF中の14.6重量% IPA中の化合物A HCl種結晶の溶解度は、<2mg/mLである。種結晶床を1時間熟成させる。次いで、バッチを55℃で保持しながら、0.92当量のHClを8時間かけて入れる(直線充填速度)。分散は必要ではない。総HCl充填量は、0.97当量である。バッチを55℃から22℃へ1時間かけて冷却する。バッチを22℃で1時間保持し、次いで、濾過する。
【0033】
DMF中の14.6重量%IPA3mLを用いてケーキを洗浄する。3mLのIPAを用いてケーキをスラリー洗浄する(DMFを除去するために)。3mLのIPAを用いてケーキをスラリー洗浄する(DMFを除去するために)。3mLのIPAを用いてケーキを置換洗浄する。60℃で真空乾燥させる。
【実施例2】
【0034】
化合物Aの一HCl塩水和物の調製 化合物Aの一HCl塩水和物は、室温又は40℃で、アセトン:H2O、THF:H2O、DMF:H2O、又は約0.57〜0.60より高い水分活性を有するその他の有機溶媒−水共溶媒系において、一HCl塩無水物形態Iをスラリーにすることによって調製できる。
【実施例3】
【0035】
化合物Aの一HCl塩無水物形態IIの調製 化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、室温及び低RHで、又は高温で、化合物Aの一HCl塩水和物を脱水することによって調製できる。
【実施例4】
【0036】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の調製 1.6−HCl塩水和物は、4.9962gの化合物A一水和物を、可視的に清潔な容器に入れることによって調製できる。次いで、35mLのDMFを加える。容器を、55℃に予め加熱しておいた浴に接続する。
【0037】
1.687mLの濃HCl(12.1M;2当量)を、容器に入れる;バッチは、約1分間黄色の溶液のままであり、次いで、粘度の高い黄色のスラリーを形成する。スラリーを濾過し、DMF湿潤固体を、IPAを用いて5回洗浄する。
【0038】
浴を22℃に設定する。35分後、バッチをガラスフリットフィルターで濾過する。ケーキを、15mLのIPAを用いて2回スラリー洗浄し、次いで、15mLのIPAを用いて1回置換洗浄する。フィルターを、周囲雰囲気下、20分間真空に残し、次いで、40℃の真空オーブンに入れて一晩乾燥させる。
【実施例5】
【0039】
化合物Aの1.6−HCl塩無水物の調製 1.6−HCl塩無水物は、室温及び低い相対湿度で、又は高温で、1.6−HCl塩水和物を脱水することによって調製できる。
【実施例6】
【0040】
化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物の調製 1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、DMF溶媒中において、1.6−HCl塩水和物をスラリーにすることによって調製できる。
【背景技術】
【0001】
本発明は、c−Metキナーゼ阻害剤の結晶形態に関する。細胞増殖性障害の治療をはじめとする、c−Metキナーゼ機能と関連している種々の障害の治療のために、さまざまなc−Metキナーゼ阻害剤が開示されている。このような障害として、それだけには限らないが、癌、肥厚化、再狭窄、心肥大免疫障害及び炎症が挙げられる。c−Metキナーゼ阻害剤の代表的な例として、全文が本明細書に援用される、Merck & Co.,Inc.の2008年1月17日に公開された国際公開WO2008/008310に開示されるものが挙げられる。
【発明の概要】
【0002】
発明の要旨 本発明は、化合物A、c−METキナーゼの阻害剤の結晶形態に関する。具体的には、本発明は、化合物Aの塩酸塩に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IのX線回折パターンを示す図である。
【図2】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図3】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの典型的なDSC曲線を示す図である。
【図4】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iの典型的な熱重量測定(TG)曲線を示す図である。
【図5】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物のX線回折パターンを示す図である。
【図6】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図7】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物の典型的なDSC曲線を示す図である。
【図8】化合物Aの結晶性一HCl塩水和物のX線回折パターンを示す図である。
【図9】化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIのX線回折パターンを示す図である。
【図10】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物のX線回折パターンを示す図である。
【図11】化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、化合物A、c−METキナーゼの阻害剤の結晶形態に関する。化合物Aはまた、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミド、
【0005】
【化1】

【0006】
としても知られており、これは、全文が本明細書に援用される、Merck & Co.,Inc.の2008年1月17日に公開された国際公開WO2008/008310に記載される手順によって調製できる。
【0007】
具体的には、本発明は、化合物Aの塩酸塩に関する。一HCl塩については、3種の公知の結晶形態:一HCl塩無水物形態I、一HCl塩水和物及び一HCl塩無水物形態IIがある。
【0008】
さらに、1.6−HCl塩について、3種の公知の結晶相:1.6−HCl塩DMF溶媒和物、1.6−HCl塩水和物及び1.6−HCl塩無水物がある。いくつかの純粋な1.6−HCl塩水和物サンプルの塩化物滴定によって、およそ1.6当量のHClが示されており、これは、1.6−HCl塩水和物は、1.6−HCl塩である可能性が高いことを示唆する。
【0009】
粉末X線回折研究は、分子構造、結晶化度及び多型性を特性決定するために広く使用されている。本発明の結晶性HCl塩の粉末X線回折パターンは、PW3040/60コンソールを備えたPhilips Analytical X’Pert PRO X−ray Diffraction Systemで作成した。供給源として、PW3373/00セラミックCu LEF X線管K−α放射線を使用した。
【0010】
一HCl塩無水物形態I 化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IのX線回折パターンは、図1に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、「形態I」、「一HCl塩無水物形態I」又は「化合物Aの一HCl塩無水物形態I」としても知られており、5.30、5.05、及び4.30オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、さらに、7.28、5.72、及び4.61オングストロームのd−スペーシングに対応する反射を特徴とする。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態Iは、6.48、4.41、及び3.42オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0011】
形態Iは、室温/53%相対湿度、室温/85%相対湿度、又は40℃/75%相対湿度下で5ヶ月間保存した後に物理的に安定であるとわかった。
【0012】
上記の粉末X線回折パターンに加えて、化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、固体炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトルをさらに特徴とする。固体炭素−13NMRスペクトルは、Bruker 4mm H/X/Y CPMASプローブを使用するBruker DSX 500WB NMRシステムで得られる。炭素−13NMRスペクトルは、変動振幅交差分極及び80kHzでのTPPMデカップリングを用いるプロトン/炭素−13交差分極マジックアングルスピニングを利用する。サンプルは、10.0kHzで回転され、90秒のリサイクル遅延を伴って合計512スキャンが集められる。10Hzのラインブロードニングをスペクトルに適用し、その後、FTを実施する。二次基準としてグリシンのカルボニル炭素を使用するTMSスケールで化学シフトが報告されている(176.70p.p.m.)。
【0013】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの固体炭素−13CPMAS NMR スペクトルが、図2に示されている。形態Iは、133.6、136.0、及び126.7p.p.m.のシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする。スペクトルはさらに、131.0、147.9、及び118.9p.p.m.のシグナルを特徴とする。
【0014】
DSCデータは、TA Instruments DSC 2910又は同等の機器を使用して獲得する。1〜7mgの間のサンプルを秤量してオープンパンに入れる。このパンを次いでクリンプし、熱量計セル中のサンプル位置に置く。空のクリンプされたパンを参照位置に置く。熱量計セルを閉じ、セルに窒素流を通した。加熱プログラムを、10℃/分の加熱速度で、およそ280℃の温度にサンプルを加熱するよう設定する。加熱プログラムを開始する。実施が完了した時点で、システムソフトウェア中に含まれるDSC分析プログラムを使用してデータを分析する。融解吸熱を、吸熱が観察される温度範囲の上方と下方のベースライン温度点の間で積分する。報告されるデータは、開始温度、ピーク温度及びエンタルピーである。
【0015】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの示差熱量計スキャン(differential calorimetry scan)が、図3に示されている。化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、融解及び分解による吸熱を示し、開始温度は244.7℃、ピーク温度は250.6℃、エンタルピー変化は84.5J/gであった。
【0016】
熱重量測定(TG)データは、Perkin ElmerモデルTGA7又は同等の機器を使用して獲得する。実験は、およそ280℃の最大温度まで10℃/分の加熱速度を使用して窒素流下で実施する。はかりを自動で風袋をはかった後、白金パンに5〜20mgのサンプルを加え、炉を上げ、加熱プログラムを開始する。重量/温度データが、機器によって自動的に集められる。機器ソフトウェア内のDelta Y機能を選択すること及び重量損失が算出される間の温度を選ぶことによって結果の分析を実施する。重量損失は、分解/蒸発の開始まで報告される。
【0017】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの特徴的な熱重量測定分析(TGA)曲線が、図4に示されている。TGAは、周囲温度〜約185℃で約0.04%の重量損失を示した。
【0018】
1.6−HCl塩水和物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物のX線回折パターンが、図5に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩水和物はまた、「化合物Aの1.6−HCl塩水和物」、「1.6−HCl塩水和物」又は「チャンネル一水和物」としても知られ、12.58、6.31、及び5.18オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩水和物は、5.05、4.63、及び4.54オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。1.6−HCl塩水和物は、3.48、3.20、及び3.00オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0019】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルが、図6に示されている。
【0020】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の示差熱量計スキャンが、図7に示されている。1.6−HCl塩水和物は、脱水による吸熱を示し、開始温度は45.1℃、ピーク温度は、64.6℃、エンタルピー変化は、33.8J/gであった。1.6−HCl塩水和物は、融解及び分解による第2の吸熱を示し、開始温度は、219.2℃、ピーク温度は、245.9℃、エンタルピー変化は、225.9J/gであった。
【0021】
アセトン:H2O又は高水分活性を有するその他の共溶媒系においてスラリーにすると、1.6−HCl塩水和物は、一HCl塩水和物に変換する。1.6−HCl塩水和物は、55℃の純粋なDMF溶媒又は低水分活性を有するDMF:IPA:H2O共溶媒中で形態Iをスラリー形成することによって調製できる。さらに、1.6−HCl塩水和物は、過剰量の遊離HClを含む純粋なDMF溶媒又はDMF:IPA:H2O共溶媒中で形態Iをスラリー形成することによって調製できる。系における低水分活性及び化合物に対するHClの高いモル比は、形態Iの1.6−HCl塩水和物への変換にとって有利に働く。
【0022】
一HCl塩水和物 化合物Aの結晶性一HCl塩水和物のX線回折パターンが、図8に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩水和物は、「一HCl水和物」又は「化合物Aの一HCl塩水和物」としても知られ、20.60、10.20、及び9.14オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの一HCl塩水和物は、6.78、6.44、及び5.08オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの一HCl塩水和物は、4.93、3.98、及び3.34オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0023】
一HCl塩に関して、結晶性一HCl塩水和物は、室温又は40℃で、約0.57〜0.60の遷移水分活性を上回って一HCl塩無水物形態Iよりも熱力学的により安定である。この遷移水分活性は、アセトン:H2O、DMF:H2O及びTHF:H2O共溶媒におけるスラリー実験に基づいて決定した。しかし、形態Iの一HCl塩水和物への固体変換は、観察されなかった。形態Iは、室温/53%相対湿度、室温/85%相対湿度又は40℃/75%相対湿度下で5ヶ月間保存した後に物理的
に安定であるとわかった。結晶性一HCl塩水和物は、低い相対湿度に曝露される、又は高温で加熱されると、脱水し、一HCl塩無水物形態IIに変換する。
【0024】
一HCl塩無水物形態II 化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIのX線回折パターンが、図9に示されている。化合物Aの結晶性一HCl塩無水物形態IIは、「形態II」、「化合物Aの一HCl塩無水物形態II」又は「一HCl塩無水物形態II」としても知られ、18.25、9.10、及び6.03オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示す。化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、5.13、4.61、及び4.17オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、3.75、3.53、及び3.29オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0025】
結晶性一HCl塩無水物形態IIは、XRPDによって低結晶化度を示す。室温で、75%より高い相対湿度に曝露されると、再水和し、一HCl塩水和物に変換して戻る。一HCl塩無水物形態IIはまた、アセトン:H2O共溶媒又は0.57〜0.60を下回る水分活性を有するその他の共溶媒系においてスラリー形成されると、結晶性一HCl塩無水物形態Iに変換し得る。
【0026】
1.6HCl塩DMF溶媒和物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物のX線回折パターンが、図11に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、「DMF溶媒和物」、「1.6−HCl複合体のチャンネルDMF溶媒和物」、「化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物」又は「1.6−HCl DMF溶媒和物」としても知られ、12.98、8.76、及び6.39オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、6.19、5.10、及び4.34オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、3.51、3.44、及び3.04オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0027】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iは、DMF:H2O溶媒系においてスラリーにすると、HCl当量、水分活性、DMF活性、及び系全体の温度に依存して、1.6−HCl DMF溶媒和物に変換し得る。一般に、高当量のHCl、高いDMF活性、及び低い水分活性が、1.6−HCl DMF溶媒和物の形成にとって有利に働く。DMF溶媒和物は、一時的なチャンネル溶媒和物であり、低相対湿度で脱溶媒和すると、1.6−HCl塩無水物に変換する。
【0028】
1.6−HCl塩無水物 化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物のX線回折パターンが、図10に示されている。化合物Aの結晶性1.6−HCl塩無水物は、「化合物Aの1.6−HCl塩無水物」又は「1.6−HCl塩無水物」としても知られ、12.79、6.33、及び5.23オングストロームのd−スペーシングに対応する特徴的な反射を示した。化合物Aの1.6−HCl塩無水物は、5.03、4.30、及び4.14オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする。化合物Aの1.6−HCl塩無水物は、3.93、3.63、及び3.50オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をなおさらに特徴とする。
【0029】
1.6−HCl塩無水物は、室温で、10〜95%相対湿度に曝露されると1.6−HCl塩水和物に変換する。DMF溶媒和物は、1.6−HCl塩無水物に対して極めて類似したXRPDパターンを示す。
【0030】
本発明の化合物は、以下の特定の実施例に従って調製できる。しかし、実施例において例示される化合物は、本発明として考慮される属のみを形成するとは解釈されるべきではない。当業者ならば、以下の調製手順の条件及びプロセスの公知の変法を使用して、これらの化合物を調製してもよいということは容易に理解されよう。すべての温度は、特に断りのない限り、摂氏温度である。
【実施例1】
【0031】
化合物Aの一HCl塩無水物形態Iの調製調製 HClを調製するために、濃HCl水溶液(37重量%)を、IPAを用いて3.0Mに希釈する。溶液(洗浄及び媒体粉砕溶液)を調製するために、DMFで14.6重量%のIPAを調製する。媒体粉砕された種結晶調製物を調製するために、IPA/DMF溶媒中で15.0重量% APIを媒体粉砕する。IPA/DMFは、DMF中の、14.6重量% IPAである。
【0032】
バッチ 化合物Aの一HCl塩無水物形態Iを調製するために、55℃で7.0mL(6.65g)DMFに1.00gの化合物A遊離塩基一水和物を溶解する。次いで、0.05当量のHClを入れる。次いで、0.25重量%の媒体粉砕した種結晶(0.00625mgのAPI)を入れる。DMF中の14.6重量% IPA中の化合物A HCl種結晶の溶解度は、<2mg/mLである。種結晶床を1時間熟成させる。次いで、バッチを55℃で保持しながら、0.92当量のHClを8時間かけて入れる(直線充填速度)。分散は必要ではない。総HCl充填量は、0.97当量である。バッチを55℃から22℃へ1時間かけて冷却する。バッチを22℃で1時間保持し、次いで、濾過する。
【0033】
DMF中の14.6重量%IPA3mLを用いてケーキを洗浄する。3mLのIPAを用いてケーキをスラリー洗浄する(DMFを除去するために)。3mLのIPAを用いてケーキをスラリー洗浄する(DMFを除去するために)。3mLのIPAを用いてケーキを置換洗浄する。60℃で真空乾燥させる。
【実施例2】
【0034】
化合物Aの一HCl塩水和物の調製 化合物Aの一HCl塩水和物は、室温又は40℃で、アセトン:H2O、THF:H2O、DMF:H2O、又は約0.57〜0.60より高い水分活性を有するその他の有機溶媒−水共溶媒系において、一HCl塩無水物形態Iをスラリーにすることによって調製できる。
【実施例3】
【0035】
化合物Aの一HCl塩無水物形態IIの調製 化合物Aの一HCl塩無水物形態IIは、室温及び低RHで、又は高温で、化合物Aの一HCl塩水和物を脱水することによって調製できる。
【実施例4】
【0036】
化合物Aの1.6−HCl塩水和物の調製 1.6−HCl塩水和物は、4.9962gの化合物A一水和物を、可視的に清潔な容器に入れることによって調製できる。次いで、35mLのDMFを加える。容器を、55℃に予め加熱しておいた浴に接続する。
【0037】
1.687mLの濃HCl(12.1M;2当量)を、容器に入れる;バッチは、約1分間黄色の溶液のままであり、次いで、粘度の高い黄色のスラリーを形成する。スラリーを濾過し、DMF湿潤固体を、IPAを用いて5回洗浄する。
【0038】
浴を22℃に設定する。35分後、バッチをガラスフリットフィルターで濾過する。ケーキを、15mLのIPAを用いて2回スラリー洗浄し、次いで、15mLのIPAを用いて1回置換洗浄する。フィルターを、周囲雰囲気下、20分間真空に残し、次いで、40℃の真空オーブンに入れて一晩乾燥させる。
【実施例5】
【0039】
化合物Aの1.6−HCl塩無水物の調製 1.6−HCl塩無水物は、室温及び低い相対湿度で、又は高温で、1.6−HCl塩水和物を脱水することによって調製できる。
【実施例6】
【0040】
化合物Aの1.6−HCl塩DMF溶媒和物の調製 1.6−HCl塩DMF溶媒和物は、DMF溶媒中において、1.6−HCl塩水和物をスラリーにすることによって調製できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミド塩酸塩。
【請求項2】
5.30、5.05、及び4.30オングストロームのd−スペーシングに対応する、銅Kα照射を使用して集められた粉末X線回折パターンを特徴とする、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項3】
7.28、5.72、及び4.61オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする、請求項1に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物の形態I。
【請求項4】
6.48、4.41、及び3.42オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする、請求項1に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物の形態I。
【請求項5】
133.6、136.0、及び126.7p.p.mでシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項2に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項6】
131.0、147.9、及び118.9p.p.mでのシグナルをさらに特徴とする、請求項5に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項7】
244.7℃での融解開始を特徴とする、請求項6に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項8】
12.58、6.31、及び5.18オングストロームのd−スペーシングに対応する、銅Kα照射を使用して集められた粉末X線回折パターンを特徴とする、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【請求項9】
5.05、4.63、及び4.54オングストロームのd−スペーシングをさらに特徴とする、請求項8に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【請求項10】
219.2℃での融解開始を特徴とする、請求項9に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【請求項1】
結晶性1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミド塩酸塩。
【請求項2】
5.30、5.05、及び4.30オングストロームのd−スペーシングに対応する、銅Kα照射を使用して集められた粉末X線回折パターンを特徴とする、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項3】
7.28、5.72、及び4.61オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする、請求項1に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物の形態I。
【請求項4】
6.48、4.41、及び3.42オングストロームのd−スペーシングに対応する反射をさらに特徴とする、請求項1に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物の形態I。
【請求項5】
133.6、136.0、及び126.7p.p.mでシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項2に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項6】
131.0、147.9、及び118.9p.p.mでのシグナルをさらに特徴とする、請求項5に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項7】
244.7℃での融解開始を特徴とする、請求項6に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性一HCl塩無水物形態I。
【請求項8】
12.58、6.31、及び5.18オングストロームのd−スペーシングに対応する、銅Kα照射を使用して集められた粉末X線回折パターンを特徴とする、1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【請求項9】
5.05、4.63、及び4.54オングストロームのd−スペーシングをさらに特徴とする、請求項8に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【請求項10】
219.2℃での融解開始を特徴とする、請求項9に記載の1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドの新規結晶性1.6−HCl塩水和物。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【公表番号】特表2013−506671(P2013−506671A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532126(P2012−532126)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049556
【国際公開番号】WO2011/041157
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049556
【国際公開番号】WO2011/041157
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】
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