説明

C型肝炎の治療のための組成物および方法

本発明は、1つ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)抗原を組換えによりコードおよび発現する細菌を使用して、かかる抗原を送達するための組成物および方法を提供する。ある実施形態では、細菌プラットフォームは、リステリア・モノサイトゲネスの弱毒化および不活化されるが代謝的に活性な形態の使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦支援の研究または開発に関する声明)
本発明は、一部分において、国立衛生研究所によって授与された助成金第1 U01 AI070834−01号の下、アメリカ合衆国政府の支援によってなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、一般に、C型肝炎感染に罹患する、または罹患する恐れのある対象の治療に関する。より具体的には、本発明は、1つ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)抗原を組換えによりコードし、発現する細菌を使用した、かかる抗原の送達のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の背景技術の説明は、単に、読者の本発明の理解を補助するために提供され、本発明の先行技術を説明するか、または構成することは認められない。
【0003】
C型肝炎は、世界中で罹患および死亡の主要な原因である。世界的には、推計一億7千万人がHCVに感染しており、米国ではほぼ4百万人が、慢性的に感染しており、ヨーロッパでは9百万に及ぶ人々が、慢性的に感染している。急性疾患は、回復、劇症肝炎、通常の肝機能の介在期間を伴う再発性肝炎、不顕性慢性感染、慢性活動性肝炎、および硬変を引き起こす可能性がある。HCVに暴露された者の内、80%は慢性的に感染し、キャリアの少なくとも30%は、硬変および肝細胞癌を含む、慢性肝疾患を発症する。
【0004】
先進国における慢性的HCV感染患者に対する現在の標準治療であるインターフェロンα(INF−α)およびリバビリンは、最も一般的なHCV遺伝子型1〜3の間で、差別的な有効性を示している。約80%のHCV遺伝子型2および3の患者に有効であるのに対して、HCV遺伝子型1に慢性的に感染した患者の約50%のみが、INF−α/リバビリンでの治療後に、持続的ウイルス応答を示す。米国における慢性HCV感染の70〜80%は、遺伝子型1である。さらに、INF−αおよびリバビリンの毒性および耐性プロファイルが、HCV治療におけるそれらの使用を限定している。
【0005】
多くの治験薬が臨床開発中であるが、免疫系の治療およびウイルスプロテイナーゼ(NS3)およびウイルスポリメラーゼ(NS5B)等の特定のHCV遺伝子産物の機能を標的とする小分子が含まれる。例えば、IC41は、7つの関連するC型肝炎ウイルス(HCV)T細胞エピトープおよびヘルパーT細胞(Th)1/Tc1アジュバントポリ‐L‐アルギニンを含有する合成ペプチドワクチンである。IC41は、報告によると、健康人においてHCVに特異的なインターフェロン(INF)−ガンマ分泌CD4+およびCD8+T細胞を誘発した。また、報告によると、M−ISA720およびCpGジヌクレオチドを含むアジュバント混合物と共に組換え型HCV NS3およびNS5Bタンパク質は、CD4(+)およびCD8(+)T細胞応答を誘発した。これらの方法のいずれも、依然として、慢性的なHCV環境において、現在の標準治療を越える優れた効果および耐性を確立していない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、抗原等の組換えによりコードおよび発現する細菌を使用し、1つ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)抗原の送達のための組成物および方法を提供する。
【0007】
本発明の第1様態では、本発明は、対象における、C型肝炎ウイルス(HCV)に対するT細胞応答を誘発する方法に関する。これらの方法は、1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドを発現する細菌を含む組成物を、対象に投与することを含み、アミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される、1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する、1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質と(ii)の1つ以上のアミノ酸配列との組み合わせを含む。
【0008】
本明細書に記載されるとおり、そのような方法は、該対象において、組換え発現した免疫原性HCV抗原ポリペプチドに対して、抗原に特異的なT細胞(CD4+および/またはCD5+)応答を活性化させることができる。好ましくは、対象に送達されると、本発明の組成物は、送達の24時間後に、IL−12p70、IFN−γ、IL−6、TNFα、およびMCP−1からなる群から選択される1つ以上の、および好ましくはそれぞれの、タンパク質の血清中濃度の増加を誘発し、細菌によって発現された、免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上に対するCD4+および/またはCD8+抗原に特異的なT細胞応答を誘発する。
【0009】
本発明の関連する様態では、本発明は、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)に対するT細胞応答を誘発するために有用な組成物に関する。そのような組成物は、核酸分子を含み、その配列が1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドをコードし、そのアミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される、1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(ii)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む、細菌を含む。
【0010】
そして、他の関する様態では、本発明は、単離された核酸分子に関し、その配列が1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドをコードし、そのアミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される、1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(ii)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む。
【0011】
適切な免疫原性HCV抗原ポリペプチド配列を選択する方法を、以下に詳細を記載し、代表的な免疫原性HCV抗原ポリペプチド配列を、提供する。選択方法は、リステリアActA−N100のピーク疎水性を超える疎水性の領域を有さない、隣接HCVアミノ酸配列の1つ以上の選択と、1つ以上のMHCクラスエピトープをコードすることが予測される隣接HCVアミノ酸配列の1つ以上の選択、および/または1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される隣接HCVアミノ酸配列の1つ以上の選択と、を含むことができる。そのようなポリペプチドのCD4+および/またはCD8+のT細胞応答を生成する能力は、本明細書で詳細が記載された様々な方法によって確認することができ、当技術分野でよく知られている。
【0012】
ある実施形態では、免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、全長コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群と、そのような全長HCV抗原に対して少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bの断片と、そのような断片に対して少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列から独立して選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む。
【0013】
好ましい実施形態においては、免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、全長NS3,全長NS5b、NS3に由来するアミノ酸配列、およびNS5bに由来するアミノ酸配列からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、派生アミノ酸配列は、NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、NS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、NS3からの少なくとも100個の連続する残基に対して少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基に対して少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなる群から独立して選択することができる。
【0014】
前述のアミノ酸配列の原料物質となることができる数々のHCV分離株は、当技術分野で知られている。好ましい実施形態においては、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bのアミノ酸配列は、好ましくは、遺伝子型1HCV共通配列から、最も好ましくは、遺伝子型1aまたは1bの共通配列からの共通配列である。代表的な共通配列を、以下に提供する。タンパク質の配列を、1つ以上の挿入、欠失、および/または代替によって、変更することができる。
【0015】
特に好ましいHCV抗原ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、および83からなる群から選択される、1つ以上、および好ましくはそれぞれのアミノ酸配列を含む。
【0016】
シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、リステリア・モノサイトゲネス、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌、チフス菌、またはマイクロバクテリア菌種を含むがこれに限定されるものではない多くの細菌種は、ワクチンとして使用するために開発されており、本発明でのワクチンプラットフォームとして使用することができる。このリストは、限定を意味するものではない。本発明は、ワクチンプラットフォームとして弱毒化、共生、および/または不活化されるが代謝的に活性な菌種の使用を熟慮する。好ましい実施形態においては、細菌は、1つ以上の本発明の免疫原性HCV抗原ポリペプチド、細菌による発現のためにコードする核酸配列を含むリステリア・モノサイトゲネスである。この核酸は、最も好ましくは、細菌のゲノムに組み込まれる。リステリア・モノサイトゲネスの弱毒化および不活化されるが代謝的に活性な形態が特に好ましく、actAおよび/またはinlBにおいて弱毒突然変異を宿すむリステリア・モノサイトゲネスが、好ましい実施形態において以下に記載される。
【0017】
本明細書に記載されているワクチン組成物は、HCV感染に対して適切な免疫応答を誘発するために十分な量において、単独または薬剤的に許容される賦形剤と組み合わせて、宿主に投与することができる。対象におけるT細胞応答を誘発するために選択される好ましい条件は、対象に対してワクチンプラットフォームの静脈内投与を含むが、投与は、経口、静脈内、皮下、経皮、皮内、筋肉内、粘膜、非経口、臓器内、病巣内、鼻腔内、吸入、眼内、血管内、結節内で、表面剥離、直腸、腹腔内、または様々な既知の投与方法のいずれか1つまたは組み合わせによってであり得る。
【0018】
ある好ましい実施形態においては、免疫応答を刺激するために対象に免疫原性HCV抗原ポリペプチドを含有する有効量のワクチンを投与した後、第2のワクチンを投与する。これは、当技術分野では、「プライムブースト」療法と呼ばれる。そのような療法では、本発明の組成物および方法は、「プライム」送達として、「ブースト」送達として、または「プライム」および「ブースト」の両方として使用することができる。そのような療法の例を以下に記載する。
【0019】
本発明で用いる好ましいリステリア・モノサイトゲネスは、発現したprfA転写因子を構成的に活性な状態に固定するprfA遺伝子において突然変異を含む。例えば、PrfA*突然変異体(G155S)は、プライムブースト静脈内または筋肉内免疫療法後の機能細胞性免疫を高めるために示される。
【0020】
ある実施形態では、免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、インフレーム分泌シグナル配列を含む1つ以上の融合タンパク質として発現される、したがって、細菌による可溶性HCV抗原ポリペプチドの分泌をもたらす。多数の代表的なシグナル配列は、細菌発現系で用いることを、当技術分野で知られている。細菌がリステリア・モノサイトゲネスの場合、分泌シグナル配列が、リステリア・モノサイトゲネスシグナル配列であることが好ましく、最も好ましくはActAシグナル配列である。追加のActAまたは他のリンカーアミノ酸は、免疫原性HCV抗原ポリペプチドに融合して発現することができる。好ましい実施形態においては、1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、(例えば、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択される)インフレームのActA−N100配列、またはActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質として発現される。
【0021】
好ましい実施形態においては、ワクチン組成物は、
(a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるActA−N100配列、またはActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(b)NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(c)NS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
を含む融合タンパク質を発現するリステリア・モノサイトゲネスを含み、融合タンパク質は、リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーターに機能可能に結合される核酸配列から発現される。特に好ましい実施形態においては、(c)のアミノ酸配列は、NS5bのアミノ酸1−342(および好ましくは、配列番号18もしくは配列番号19のアミノ酸1−342を含む)またはその突然変異誘導体を含み、該突然変異は、NS5bのRNAポリメラーゼ活性を不活性化し(および好ましくは、配列番号22もしくは配列番号23に描写された突然変異)、(b)のアミノ酸配列は、NS3のアミノ酸172−484(および好ましくは配列番号13もしくは配列番号14のアミノ酸172−484を含む)またはその突然変異誘導体を含み、該突然変異は、NS3のヘリカーゼ活性(および好ましくは配列番号20もしくは配列番号21に描写される突然変異)を不活性化する。
リステリア・モノサイトゲネス細菌からの発現の場合、ある実施形態では、HCV抗原ポリペプチドをコードする核酸配列は、リステリア・モノサイトゲネスによる発現に対してコドン最適化される。本明細書で以下に記載するように、異なる生物は、しばしば「コドンバイアス」を表示する、つまり、特定のアミノ酸をコードする所定のコドンが、遺伝コードに見られる程度は、生物間で大きく変化する。一般的に、遺伝子がより珍しいコドンを含有すれば、異種タンパク質が、特定のホストシステム内で妥当な水準で発現されることは少なくなる。これらの水準は、珍しいコドンが集中してまたはタンパク質のN末端部分に出現する場合、さらに低くなる。珍しいコドンとアミノ酸配列を修正せずにホストシステムのコドンバイアスをより密接に反映する他のものと差し替えることで、機能的なタンパク質の発現の水準を増加することができる。コドン最適化の方法を以下に記載する。
【0022】
本発明の方法および組成物は、予防薬としてまたはHCV治療ワクチンとしての療法の使用を見出すことができる。好ましい実施形態においては、事前に診断された慢性HCV感染を基に、本発明の組成物を受けるために、対象を選択する。
【0023】
本発明は、その応用において、以下の説明に記載されるか、または図面に図示される構成の詳細およびコンポーネントの配置に限定されないと理解されるべきである。本発明は、記載された実施形態に加えて、様々な方法で実践および実施され得る。また、本明細書、ならびに要約で用いられる表現および専門用語は、説明を目的としており、限定として見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0024】
したがって、当業者は、本開示の基となる概念が、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基盤として、容易に利用され得ることを理解するであろう。それ故、特許請求の範囲は、本発明の精神およびから逸脱しない限り、そのような等価物の構成を含んでいると見なすことが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明および各種特性およびその有利な詳細は、添付図面に図示されたならびに以下の記載に詳述された実施形態に関して、より十分に説明される。図面に図示されている特性は、必ずしも縮尺通りではないことに注意すべきである。既知のコンポーネントおよび加工技術の記載は、本発明を不必要に分かりづらくしないために省略される。本明細書で使用されている例は、当業者が本発明を実施すことをさらに可能にするために、単に、本発明が実践することができる方法の理解を容易にすることを目的としている。したがって、例は、本発明の範囲を限定していると解釈されるべきではない。図面では、参照番号のように、いくつかの図に亘って対応する部分を指定する。
【0026】
【図1】は、リステリア・モノサイトゲネスワクチン株ANZ−521の派生を描写する概略図である。
【0027】
【図2】は、リステリア・モノサイトゲネスANZ100の中心のinlBに挿入されたHCVNS5B−NS3の抗原発現カセットを描写した概略図である。
【0028】
【図3】は、リステリア・モノサイトゲネスANZ−521の構成において使用される様々な構成を描写する。
【0029】
【図4】は、HCVNS5AおよびNS3の免疫原性エピトープをマップするために使用されるペプチドを描写する。
【0030】
【図5】は、HCVNS5AおよびNS3の免疫原性エピトープのペプチドマッピングを描写する。
【0031】
【図6】は、マウスにおける、NS3およびNS5b特有のCD4+およびCD8+のT細胞免疫を描写する。
【0032】
【図7】は、遺伝子型1共通配列を基にしてHCVコア、NS3、およびNS5b抗原と融合したActA−N100のために描画したカイト・ドーリトル水治療法を描写する。
【0033】
【図8】は、各種のActA−N100HCV抗原融合のリステリアによる抗原発現を描写する。パネルAは、5の区分にコア配列1‐190、1‐180、および1‐177を示す。パネルBは、3‐10の区分にNS3配列1‐631、1‐484、22‐631、22‐484、22‐280、172‐484、172‐631、および416‐631を示す。パネルCは、3〜7の区分にNS5配列1‐574、1‐342、320‐591、および320‐574を示す。各パネルの区分1および2は、リステリア・モノサイトゲネスCRS−207による抗原挿入およびメソテリン発現を示さない陰性および陽性対照である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、1つ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)抗原をコードし発現するバクテリアを使用した、能動免疫療法の送達のための組成物および方法に関する。
【0035】
本発明は、以下の記載または図面における図示に掲げる構成の詳細およびコンポーネントの配置の応用に、限定されないと理解されるべきである。本発明は、記載された実施形態に加えて、様々な方法で実践および実施され得る。また、本明細書ならびに要約で用いられている表現および専門用語は、説明を目的としており、限定として見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0036】
このように、当業者は、本開示の基となる概念が、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基盤として、容易に利用することができることに感謝するであろう。それ故、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、そのような均等の構成を請求項が含んでいると見なすことが重要である。
【0037】
1.定義
【0038】
遺伝子における突然変異、または該遺伝子を含む細菌における突然変異を表すために使用される略語は、以下のとおりである。一例として、略語「リステリア・モノサイトゲネスΔActA」は、ActA遺伝子の一部またはすべてが欠失されたことを意味する。デルタ記号(Δ)は、欠失を意味する。上付きのマイナス記号(リステリアActA)を含む略語は、例えば、欠失、点変異、またはフレームシフト変異として、ActA遺伝子が、突然変異したことを意味する。
【0039】
人間、哺乳動物、哺乳類の対象、動物、獣医学の対象、プラセボの対象、研究対象、実験対象、細胞、組織、臓器、または生物液に適用する「投与」は、限定されないが、対象、細胞、組織、臓器、または生物液等に対する外因性リガンド、試薬、プラセボ、小分子、医薬品、治療薬、診断用薬、または組成物の接触を指す。「投与」は、例えば、治療、薬物動態、診断、研究、プラセボ、および実験方法を指すことができる。細胞の治療は、細胞の試薬との接触、ならびに液体が細胞と接触している場合、液体と試薬との接触を包含する。また、「投与」は、試薬、診断、結合組成物による、または別の細胞による、例えば、細胞のインビトロおよびエクスビボ治療も包含する。
【0040】
リガンドおよび受容体と関係する「作用薬」は、受容体を刺激する分子、分子の組み合わせ、複合体、または試薬の組み合わせを含む。例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の作用薬は、GM−CSF、GM−CSFの変異タンパク質もしくは誘導体、GM−CSFのペプチド模倣薬、GM−CSFの生物学的機能を模倣する小分子、またはGM−CSF受容体を刺激する抗体を包含することができる。
【0041】
リガンドおよび受容体に関係する「拮抗薬」は、受容体を阻害、対抗、下方調節、および/または除感作する分子、分子の組み合わせ、または複合体を含む。「拮抗薬」は、受容体の構成的活性を阻害する任意の試薬を包含する。構成的活性は、リガンド/受容体相互作用がない場合に現れるものである。また、「拮抗薬」は、受容体の刺激(または調節)による活性を阻害または阻止する任意の試薬を包含する。一例として、GM−CFS受容体の拮抗薬には、いかなる限定も示唆するものではないが、リガンド(GM−CFS)に結合しそれが受容体と結合することを阻止する抗体、または受容体と結合しリガンドが受容体と結合することを阻止する抗体、あるいは抗体が、不活性構造に受容体を固定する場合が含まれる。
【0042】
本明細書で使用されるように、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に関する「類似体」は、元のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質と同様または同一の機能を有する別のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を指すが、同様または同一のアミノ酸配列または元のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の構造を必ずしも含むとは限らない。類似体は、好ましくは以下のうち少なくとも1つを満たす。(a)元のアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するタンパク剤、(b)厳しい条件下で元のアミノ酸配列をコードする核酸配列とハイブリッド形成する核酸配列によってコードされたタンパク剤、および(c)元のアミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一の核酸配列によってコードされたタンパク剤。
【0043】
「抗原提示細胞」(APC)は、T細胞に抗原を提示するために使用する免疫系の細胞である。APCは、樹枝状細胞、単球、マクロファージ、辺縁帯クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、T細胞、およびB細胞を含む。樹枝状細胞は、少なくとも2つの分化系列に発生する。第1の分化系列は、前DC1、骨髄DC1、および成熟DC1を包含する。だ第2の分化系列は、CD34++CD45RA初期前駆多能性細胞、CD34++CD45RA細胞、CD34++CD45RA++CD4IL−3Rα++プロDC2細胞、CD4CD11c形質細胞様前DC2細胞、リンパ性ヒトDC2形質細胞様由来DC2、および成熟DC2を包含する。
【0044】
「弱毒化(attenuation)」および「弱毒化(attenuated)」は、宿主に対する毒性を軽減するように修正された、細菌、ウイルス、寄生物、感染生物、プリオン、腫瘍細胞、感染生物内の遺伝子等を包含する。宿主は、ヒトもしくは動物の宿主、または臓器、組織、もしくは細胞であり得る。非限定的な例を挙げると、細菌は、宿主細胞との結合を軽減するため、ある宿主細胞から別の宿主細胞への伝播を軽減するため、細胞外増殖を軽減するため、または宿主細胞内の細胞内増殖を軽減するために弱毒化することができる。弱毒化は、例えば、毒性の兆候、LD50、臓器からのクリアランス率、または競合的指標を測定することによって判断することができる(例えば、Auerbuch et al(2001)Infect Immunity69:5953−5957を参照)。弱毒化は、一般的に少なくとも25%、より一般的には少なくとも50%、最も一般的には少なくとも100%(2倍)、標準的に少なくとも5倍、より標準的には少なくとも10倍、最も標準的には少なくとも50倍、多くの場合は少なくとも100倍、より多くの場合は少なくとも500倍、最も多くの場合は少なくとも1000倍、大抵は少なくとも5000倍、より大抵は少なくとも10,000倍、最も大抵は少なくとも50,000倍、および最も多くの場合は少なくとも100,000倍のLD50の増加および/またはクリアランス率の増加という結果をもたらす。
【0045】
「弱毒化遺伝子」は、遺伝子が、和らげる、軽減する、または排除する方法で突然変異した場合、毒性、病理、または病原性を宿主に仲介する遺伝子、宿主内での増殖、または宿主内での生存を包含する。軽減または排除は、突然変異しなかった(または親)遺伝子によって仲介された病原性または毒性と突然変異遺伝子によって仲介された病原性または毒性を比較することによって査定することができる。「突然変異遺伝子」は、遺伝子の調節領域、遺伝子のコーディング領域、遺伝子の非コード領域、またはその組み合わせ内の欠失、点変異、フレームシフト突然変異、を包含する。
【0046】
「保存的に修正された変異体」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に修正された変異体とは、同一アミノ酸配列をコードする核酸、または1つ以上の同類置換を有するアミノ酸配列を指す。同類置換の例は、以下のグループのうちの1つにおけるアミノ酸と同グループの別のアミノ酸の交換である(Leeらに発行された米国特許第5,767,063号、Kyte and Doolittle(1982)J.Mol.Biol.157:105‐132)。
(1)疎水性:ノルロイシン、イソロイシン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、システイン、メチオニン、
(2)中性親水性:システイン、セリン、スレオニン、
(3)酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸、
(4)塩基性:アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:グリシン、プロリン、
(6)芳香族:トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、および
(7)小さなアミノ酸:グリシン、アラニン、セリン。
【0047】
「有効量」は、限定されないが、病状または疾患の症状または兆候を改善、反転、緩和、阻止、または診断することができる量を包含する。明確なまたは文脈によって指示がない限り、「有効量」は、症状を改善するために十分な最低限の量に限定されない。
【0048】
「細胞外液」は、例えば、血清、血漿、血液、間質液、脳脊髄液、分泌液、リンパ液、胆液、汗、糞便、および尿を包含する。「細胞外液」は、例えば全血または凝固血液等、コロイドまたは懸濁液を含むことができる。
【0049】
ポリペプチドとの関連で「断片」という用語は、より大きいポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも5連続するアミノ酸残基、少なくとも10連続するアミノ酸残基、少なくとも15連続するアミノ酸残基、少なくとも20連続するアミノ酸残基、少なくとも25連続するアミノ酸残基、少なくとも40連続するアミノ酸残基、少なくとも50連続するアミノ酸残基、少なくとも60連続するアミノ酸残基、少なくとも70連続するアミノ酸残基、少なくとも80連続するアミノ酸残基、少なくとも90連続するアミノ酸残基、少なくとも100連続するアミノ酸残基、少なくとも125連続するアミノ酸残基、少なくとも150連続するアミノ酸残基、少なくとも175連続するアミノ酸残基、少なくとも200連続するアミノ酸残基、または少なくとも250連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドを含む。
【0050】
「遺伝子」とは、オリゴペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸配列を指す。オリゴペプチドまたはポリペプチドは、生物学的に活性、抗原的に活性、生物学的に不活性、または抗原的に不活性等であり得る。遺伝子という用語は、例えば、特定のオリゴペプチドまたはポリペプチドをコードする読み取り枠の和(ORF)、イントロンをコードするORFの和プラス核酸、ORFの和および機能可能に結合されるプロモーター、ORFの和および機能可能に結合されるプロモーターおよび任意のイントロン、ORFの和および機能可能に結合されるプロモーター、イントロン、およびプロモーター、ならびにエンハンサー等の他の調節要素を包含する。ある実施形態では、「遺伝子」は、遺伝子の発現を調節するためにシス内に必要な任意の配列を包含する。遺伝子という用語は、同様に抗原またはペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の抗原的に活性な断片を包含するペプチドをコードする核酸を指す。遺伝子という用語は、コードされたペプチドもしくはタンパク質が、任意の生物学的活動を有すること、またはペプチドまたはタンパク質は抗原的に活性であることを必ずしも示唆しているわけではない。非発現配列をコードする核酸配列は、一般的に偽遺伝子と考えられる。遺伝子という用語は、同様に、リボソームRNA、転移RNA、またはリボザイム等の、リボ核酸をコードする核酸配列を包含する。
【0051】
リステリア等の細菌の「増殖」は、限定なしに、細菌生理学およびコロニー形成に関する遺伝子の機能、複製、タンパク質含有量の増加、および/または脂質含量の増加を包含する。明確にまたは文脈によって特定されない限り、リステリアの増殖は、宿主細胞の外側の細菌の増殖、および宿主細胞の内側の増殖を含む。遺伝子に関係する増殖は、いかなる限定も示唆するものではないが、エネルギー生産を仲介するもの(例えば、解糖、クレブス回路、シトクロム)、アミノ酸、糖類、脂質、ミネラル、プリン類、およびピリミジンの同化および/または異化、栄養素輸送、転写、翻訳、および/または複製を含む。一部の実施形態では、リステリア細菌の「増殖」は、リステリア細菌の細胞内増殖、すなわち、哺乳類細胞のような、宿主細胞内部の増殖を指す。リステリア細菌の細胞内増殖は、光学顕微鏡検査またはコロニー形成単位アッセイ(CFU)で測定することができるが、増殖は、測定のいかなる技術にも限定されない。リステリア抗原、リステリア核酸配列、またはリステリア細菌特有の資質の量等の生化学的パラメーターは、増殖を査定するために使用され得る。一部の実施形態では、増殖を仲介する遺伝子は、特に細胞内増殖を仲介するものである。一部の実施形態では、特に細胞内増殖を仲介する遺伝子は、遺伝子の不活性化が細胞内増殖率を軽減するが、検出可能な程度に、実質的に、感知できるほどに細胞外増殖率を軽減しない(例、肉汁内に増殖)遺伝子、または遺伝子の不活性化が、細胞外増殖率を軽減するよりも大きく細胞内増殖率を軽減する遺伝子を包含するが、限定されない。限定されない例を提供すると、一部の実施形態では、不活性化は、細胞外増殖よりも大きく細胞内増殖率を軽減する遺伝子は、不活性化を、細胞内増殖を正常または最大値の50%未満に軽減するが、細胞外増殖を最大値のたった1〜5%、5〜10%、または10〜15%に軽減する状況を包含する。本発明は、ある様態において、細胞内増殖内で弱毒化されたが細胞外増殖内で弱毒化されないリステリア、細胞内増殖内で弱毒化されず細胞外増殖内で弱毒化されないリステリア、ならびに細胞内増殖内で弱毒化されないが細胞外増殖で弱毒化されるリステリアを包含する。
【0052】
「疎水性解析」とは、「A Simple Method for Displaying the Hydropathic Character of a Protein」のKyteとDoolittleの方法によるポリペプチド配列の解析を指す。J.Mol.Biol.157(1982)105−132.この方法では、それぞれのアミノ酸は、4.6と‐4.6との間の疎水性スコアを与えられる。4.6スコアは、最も疎水性であり、−4.6スコアは、最も親水性である。その後、ウィンドウサイズが設定される。ウィンドウサイズは、疎水性スコアがウィンドウ内の第1のアミノ酸に平均され割り当てられるアミノ酸の数である。アミノ酸の第1のウィンドウから計算を開始し、疎水性スコアの平均をそのウィンドウで計算する。その後、ウィンドウは、1つのアミノ酸を下へ動かし、すべての疎水性スコアの平均を第2のウィンドウで計算する。このパターンは、各ウィンドウの平均スコアを計算し、それをウィンドウ内の第1のアミノ酸に割り当て、タンパク質の最後まで継続する。平均は、グラフに描画される。Y軸は、疎水性スコアを表し、X軸は、ウィンドウ番号を表す。以下の疎水性スコアは、20の一般的なアミノ酸に使用される。
【表1】

【0053】
「標識」された組成物は、分光、光化学、生化学、免疫化学、同位体、または化学方法によって、直接または間接に検出可能である。例えば、有用な標識は、32P、33P、35S、14C、H、125I、安定同位体、エピトープ標識、蛍光染料、電子密度の高い試薬、基質、または例えば酵素免疫測定法で使用されるような酵素、またはフルオレット(例えば、RozinovとNolan(1998)Chem.Biol.5:713−728を参照)を含む。
【0054】
「リガンド」とは、受容体の作用薬または拮抗薬である小分子、ペプチド、ポリペプチド、または膜結合性のまたは膜結合型の分子を指す。「リガンド」は、同様に作用薬または拮抗薬でない結合剤を包含し、作用薬または拮抗薬の性質を決して有しない。慣例により、「リガンド」が第1の細胞で膜結合型の場合、受容体は、通常第2の細胞に発生する。第2の細胞は、第1の細胞と同じ同一性(同じ名前)を有することができる、または異なる同一性(異なる名前)を有することができる。リガンドまたは受容体は、完全に細胞内であることができる、すなわち、シトソル、細胞核、またはその他の細胞内区画のいくつかに、存在することができる。リガンドまたは受容体は、例えば、細胞内区画から原形質膜の外層へ、場所を変更することができる。リガンドおよび受容体の複合体は、「リガンド受容体複合体」と称される。リガンドおよび受容体が、シグナル経路に関与する場合、リガンドは、上流位置に発生し、受容体は、シグナル経路の下流位置に発生する。
【0055】
「核酸」とは、一本鎖、二本鎖形態、または複数鎖形態である、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそのポリマーを指す。核酸の限定されない例は、例えばcDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドである。特定の核酸配列は、同様に黙示的に「対立遺伝子多型」および「スプライス変異」を包含することができる。
【0056】
プロモーターおよびmRNAをコードする核酸においての「機能可能に結合される」とは、プロモーターが、核酸の転写を始めるために使用することができることを意味する。
【0057】
「配列同一性パーセント」および「配列同一性%」という用語は、2つ以上のアミノ酸または核酸配列の比較もしくはアライメントによって見つけられる配列同一性の割合を意味する。同一性パーセントは、配列を並べ、2つの整列配列間の一致の正確な数を計算し、短配列の長さで割り、その結果に100をかけることによって2つの分子間の配列情報の直接比較によって決定され得る。同一性パーセントの計算のためのアルゴリズムは、スミス―ウォーターマン相同性検索アルゴリズムである(例えば、Kann and Goldstein(2002)Proteins 48:367−376;Arslan, et al.(2001)Bioinformatics 17:327−337を参照)。
【0058】
「精製された」および「単離された」とは、ポリペプチドについて言及する際、そのポリペプチドが、本来関連する他の生物高分子が実質的に不在の場合に存在することを意味する。本明細書で使用される「精製された」という用語は、存在するポリペプチドの重量またはそれ以上によって、同定されたポリペプチドは、多くの場合少なくとも50%の割合を占め、より多くの場合少なくとも60%の割合を占め、典型的には少なくとも70%の割合を占め、より典型的に少なくとも75%の割合を占め、最も典型的に少なくとも80%の割合を占め、大抵は少なくとも85%の割合を占め、より大抵は少なくとも90%の割合を占め、最も大抵は少なくとも95%の割合を占め、慣習的に少なくとも98%の割合を占めることを意味する。水、緩衝液、塩、洗剤、還元剤、プロテアーゼ阻害薬、安定剤(アルブミン等の添加タンパク質を含む)、および賦形剤、および1000未満の分子量を有する分子は、一般的にポリペプチド純度決定に使用されない。例えば、Covacciらに発行された米国特許第6,090,611号の純度の説明を参照されたい。
【0059】
「ペプチド」とは、ペプチド結合によってアミノ酸が相互に結合された場合、アミノ酸の短配列を指す。ペプチドは、自由にまたは高分子、脂質、オリゴまたは多糖、および/またはポリペプチド等の、別の部分と結合して発生することができる。ペプチドがポリペプチド鎖に組み込まれる場合、「ペプチド」という用語は、特にアミノ酸の短配列を指すためにさらに使用することができる。「ペプチド」は、ペプチド結合または他の種類の連鎖として、別の部分と結合することができる。ペプチドは、最大の長さが慣習または前後関係の機能である場合、少なくとも2つのアミノ酸の長さおよび一般的に約25のアミノ酸未満の長さである。「ペプチド」および「オリゴペプチド」という用語は、交互に使用することができる。
【0060】
「タンパク質」とは、一般的にポリペプチド鎖を含むアミノ酸の配列を指す。タンパク質は、同様に、ポリペプチドの3次元構造を指すことができる。「変性タンパク質」とは、残基3次元構造のいくつかを有する部分的に変性した、または代わりに、本質的に無作為の3次元構造、すなわち完全に変性したポリペプチドを指す。本発明は、例えばグリコシル化、リン酸化応答、硫酸化、ジスルフィド結合生成、アミド分解、異性化、シグナルまたはリーダー配列処理における切断点、共有結合性のおよび非共有結合した共同因子、酸化変異体等を伴う、ポリペプチド変異体の試薬、およびをポリペプチド変異体使用する方法、を包含する。ジスルフィド結合タンパク質の形成は、記載される(例えば、Woycechowsky and Raines(2000)Curr.Opin.Chem.Biol.4:533−539;Creighton, et al.(1995)Trends Biotechnol.13:18−23を参照)。
【0061】
例えば核酸、細胞、動物、ウイルス、プラスミド、もしくはベクター等に関して使用された場合、「組換え」は、外因性、非天然核酸の導入、天然核酸の変更による、または組換え核酸、細胞、ウイルス、プラスミド、もしくはベクターから全体的もしくは部分的な派生による修正を示す。組換えタンパク質とは、組換え核酸、ウイルス、プラスミド、またはベクター等から派生したタンパク質を指す。「組換え細菌」は、例えば、突然変異、欠失、挿入、および/または再配列のために組換え方法でゲノムが設計された場合、細菌を包含する。「組換え細菌」は、同様に、例えば、プラスミドまたは第2染色体、またはゲノム外核酸が変更された細菌等の、組換えゲノム外核酸を含むように修正された細菌を包含する。
【0062】
「試料」とは、例えば、細胞、組織、臓器、液体、ガス、エアロゾル、スラリー、コロイド、または凝固物質等の、人間、動物、プラセボ、または研究試料からの試料を指す。「試料」は、例えば人間もしくは動物から取り除かずにインビボで試験することができる、またはインビトロで試験することができる。試料は、例えば組織学的方法によって、処理後に試験することができる。「試料」は、同様に、例えば液体を含む細胞または組織試料または液体から分離された細胞または組織試料を指す。「試料」は、同様に、人間または動物から採取された細胞、組織、臓器、もしくは、液体、または処理されたもしくは保存された細胞、組織、臓器、もしくは液体を指す。
【0063】
「選択可能なマーカー」は、選択可能なマーカーを含む細胞をまたは、それに対して選択することを許す核酸を包含する。選択可能なマーカーの例は、限定なしに、例えば、(1)本来なら毒性である化合物(例えば、抗生物質)に対して抵抗を提供する産物をコードする、または本来なら無害である化合物(例えば、ショ糖)に対して感受性をコードする核酸、(2)本来なら受容細胞で不足している産物をコードする核酸(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー)、(3)遺伝子産物の活動を抑制する産物をコードする核酸、(4)容易に同定することができる産物をコードする核酸(例えば、ベータガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、細胞表面タンパク質、エピトープ標識、フラッグタグ等の表現型マーカー)、(5)例えば、PCRまたは分子指標のハイブリッド形成法で同定することができる核酸を、含む。
【0064】
リガンド/受容体、核酸/相補的核酸、抗体/抗原、または他の結合対(例えば、サイトカインとサイトカイン受容体)を言及する際、「特異的に」または「選択的に」結合するとは、タンパク質および他の生物製剤の不均一集団における、タンパク質の存在の決定をする結合応答を示す。したがって、指定された条件下では、指定のリガンドは、特定の受容体と結合し、相当量において、試料に存在する他のタンパク質に結合しない。特異結合は、同様に、を意味することができる。例えば、意図した方法の結合化合物、核酸リガンド、抗体、または抗体の抗原結合部位に由来する結合組成物は、その標的と他の結合化合物との親和性よりも、多くの場合少なくとも25%大きい、より多くの場合少なくとも50%大きい、最も多くの場合少なくとも100%(2倍)大きい、典型的には少なくとも10倍大きい、もっと典型的には少なくとも20倍大きい、最典型的には、少なくとも100倍大きい親和性と、を結合する。
【0065】
典型的な実施形態では、抗体は、スキャチャード解析によって決定したとおり、約10リットル/モルよりも大きい親和性を有するだろう(Munsen, et al.(1980)Analyt.Biochem.197:220−239)。ある結合化合物は、1つ以上の標的と特異的に結合することができることが、当業者によって認識される、例えば、抗体が、抗体のオリゴ糖として抗原、レクチンに、ならびに/または抗体のFc領域としてFc受容体に、特異的に結合する。
【0066】
細菌の「伝播」は、「細胞から細胞への伝播」、すなわち、例えば、小胞によって仲介されるように、第1の宿主細胞から第2の宿主細胞への細菌の感染を包含する。伝播に関係する機能は、例えば、アクチンの尾の形成、偽足のような伸展の形成、および二重膜の空胞の形成を含むが限定されない
【0067】
本明細書で使用される「対象」という用語は、人体またはヒト以外の生物を指す。したがって、本明細書に記載される方法および組成物は、人間および動物の疾患に適用できる。ある実施形態では、対象は、「患者」、すなわち、疾患または健康状態に対する医療ケアを受けて生きている人間である。これは、病理学的兆候を調査されている定義された病気のない人を含む。好ましくは、既存のHCV感染、最も好ましくは慢性感染を有する対象である。
【0068】
リコンビナーゼの「標的部位」は、リコンビナーゼによって認識された、結合された、ならびに/または作用された核酸配列または領域である(例えば、Grahamらに発行された米国特許第6,379,943号、Smith and Thorpe(2002)Mol.Microbiol.44:299−307、Groth and Calos(2004)J.Mol.Biol.335:667−678、Nunes−Duby, et al.(1998) Nucleic Acids Res. 26:391−406を参照)。
【0069】
「治療に有効な量」は、患者に利点を十分に示す、すなわち、治療されている病気の症状の減少、防止、または改善をもたらす、試薬または医薬組成物の量として定義されている。薬剤または医薬組成物が、診断用薬を含む場合、「診断上有効な量」は、信号、映像、または他の診断パラメーターを十分に産出する量として定義される。製剤処方の有効な量は、個人の感受性度、年齢、性別、および個人の体重、および個人の特異な応答等の要素によって変化するであろう(例えば、Nettらに発行された米国特許第5,888,530号を参照)。
【0070】
(病気または疾患に関して)「治療」または「処理」は、好ましくは臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るための方法である。本発明の目的として、疾患に関しての有益なまたは所望の結果は、以下の1つ以上を含むが限定されない。疾患に関連する状態の改善、疾患の治療、疾患の重症度の軽減、疾患の進行の妨げ、1つ以上の疾患に関連する症状の緩和、疾患に悩んでいる者の生活の質の向上、および/または生存期間の延長。同様に、本発明の目的として、状態に関しての有益なまたは所望の結果は、以下の1つ以上を含むが限定されない。病気の改善、病気の治療、病気の重症度の軽減、病気の進行の妨げ、1つ以上の病気に関連する症状の緩和、病気に悩んでいる者の生活の質の向上、および/または生存期間の延長。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、癌治療に使用され、有益なまたは所望の結果は、以下の1つ以上を含むが限定されない。新生または癌性細胞の蔓延の軽減(または破壊)、癌に含まれる新生細胞の転移の軽減、腫瘍の大きさの縮小、癌による症状の減少、癌に悩む者の生活の質の向上、疾患を治療するために必要な他の投薬量の減少、癌の進行の妨げ、および/または癌を有する患者の生存期間の延長。状況次第によって、例えば、対象が試薬の投与によって改善されることが期待される疾患を含むような状況において、対象の「治療」は、対象が治療を必要としていることを示唆することができる。
【0071】
「ワクチン」は、予防接種を包含する。ワクチンは、同様に、治療ワクチン、例えば、ワクチンによって提供される抗原またはエピトープに関連する病気または疾患を含む哺乳動物に投与されるワクチン、を包含する。
【0072】
2.C型肝炎抗原
【0073】
HCVは、約3,000のアミノ酸の前駆体ポリタンパク質をコードする大きな読み取り枠を含むプラス鎖RNAゲノムを有する。このポリタンパク質は、宿主およびウイルスプロテアーゼによってコア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5b抗原と呼ばれる10ウイルスタンパクに分割される。以下の例は、コア、NS5b、およびNS3の使用を扱うが、これらのHCV抗原配列のいずれかまたはそれ以上は、本明細書に記載されるワクチン組成物および方法で使用することができる。
【0074】
本明細書で使用されているように、「HCV抗原」という用語は、(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から選択された1つ以上の全長HCVタンパク質、および/または(ii)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から別々に選択された1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上のポリペプチド配列、を含むアミノ酸配列をコードするポリペプチドを指す本明細書に記載されているHCV抗原は、個々に使用することができるが、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から選択された少なくとも2,3,4,5、またはそれ以上のHCVタンパク質からのポリペプチド配列を含む組み合わせで使用されることが好ましい。以下に記載されるとおり、好ましいHCV抗原は、NS3および/またはNS5bポリペプチド配列またはそれらから派生した配列を含む。
【0075】
述べたとおり、本発明で使用されるHCV抗原は、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/もしくはNS5b抗原の全長バージョンを含むことができる、または1つ以上のそのような全長HCV抗原「に由来する」配列を含むことができる。本明細書で使用される「に由来する」とは、指定のHCV抗原または抗原と比較して、1つ以上の保存アミノ酸の変化を有するポリペプチド、指定のHCV抗原または抗原から1つ以上の単離エピトープを含むポリペプチド、または指定のHCV抗原または抗原と免疫学的交差応答するペプチドまたはポリペプチドを意味する。
【0076】
一部の実施形態では、HCV抗原「に由来する」抗原は、1つ以上の全長HCV抗原の部分列(「断片」)を含む。したがって、「HCV抗原」とは、i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から選択された1つ以上の全長HCVタンパク質、および/または(ii)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から別々に選択された1つ以上のHCVタンパク質の1つ以上のポリペプチド部分列、を含むポリペプチドを指すことができる。様々な実施形態において、派生HCV抗原は、全長HCV抗原から得た少なくとも8のアミノ酸、少なくとも12のアミノ酸、少なくとも20のアミノ酸、少なくとも50のアミノ酸、少なくとも75のアミノ酸、少なくとも100のアミノ酸、または少なくとも200のアミノ酸またはそれ以上の断片を含む。
【0077】
抗原は、元の(全長)HCV抗原から得られる少なくとも1つのMHCクラスIエピトープおよび/または少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープをコードする配列を含むことができる。公表されているアルゴリズムは、MHCクラスIおよび/またはクラスIIの分子を結合するエピトープを選択するために使用することができる。例えば、予測アルゴリズム「BIMAS」は、ペプチド/HLA複合体の予測ハーフタイム分離によって起こりえるエピトープを結合するHLAを順位付けする。「SYFPEITHI」アルゴリズムは、ペプチドを一次および二次アンカー残基HLA結合の存在から成るスコアによって順位付けする。両方のコンピュータアルゴリズムは、事前に発行したHLA結合エピトープと同様の結合モチーフ有する所定のタンパク質内のアミノ酸配列を基にした対象エピトープを採点する。他のアルゴリズムも同様に、さらなる生物学的試験のための対象を同定するために使用することができる。
【0078】
抗原の誘導体は、同様に、派生されたHCV抗原の部分に対して少なくとも約80%の配列相同性、少なくとも約85%の配列相同性、少なくとも約90%の配列相同性、少なくとも約95%の配列相同性、または少なくとも約98%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、ワクチン構成によって発現したHCV抗原は、野生型とは異なるため、抗原は、それぞれのタンパク質の1つ以上の機能にとって重要であるモチーフに設計された1つ以上の突然変異を含む。例えば、遺伝子型1の共通配列のNS5bの場合、GDDからGNH(NS5bのアミノ酸317の始め)の不活性化二重突然変異は、完全にRNAポリメラーゼ活性を不活性化する。同様に、遺伝子型1共通配列のNS3の場合、アミノ酸290から開始のモチーフIIからAASHへの突然変異(DECH)は、ヘリカーゼ活性を無効にする。
【0079】
少なくとも6つの遺伝子型および50を超えるHCVのサブタイプが知られている。以下の例は、遺伝子型1抗原の使用を扱うが、本明細書に記載する方法および組成物は、すべてのHCV遺伝子型およびサブタイプに適用できる。したがって、本発明での1つ以上の抗原配列の使用は、どの特定のHCV遺伝子型/サブタイプからも得ることができる。
【0080】
予防または治療HCVワクチンは、現在入手不可能であり、ワクチンの開発の重大な課題は、ウイルスに潜在する多様性である。擬似種、または密接に関係したが特異的な遺伝子配列の群れとして各感染者に存在するため、HCVは、人々間および内の両方で多様性に富んでいる。したがって、効果的なHCVワクチンの開発の戦略の1つは、個々のサブタイプからではなく、所定の抗原に対するそれぞれの位置によく見られるアミノ酸を基にした特定の遺伝子型の共通配列から1つ以上の抗原を得ることである。例えば、国際公開第06/086188号を参照されたく、これは、すべての表、図、および特許請求の範囲を含んで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。共通配列の論理的利点の1つは、ワクチン株と現代の分離株との遺伝的差異を最小限にすることであり、多様性を半分までに効果的に減らす、したがって交差応答を誘発することの可能性を強めた可能性がある。共通配列ワクチンはまた、共通部分が地理的領域で変化する可能性は低いため、産生がより効率的であるだろう。
【0081】
したがって、好ましい実施形態においては、使用されるHCV抗原は、HCV共通配列を基づいている。例えば、HCV抗原は、(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から選択された1つ以上の全長HCVタンパク質の共通配列、および/または(ii)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、および/またはNS5bからなる群から別々に選択された1つ以上の全長HCVタンパク質の共通配列に由来する1つ以上のポリペプチド配列を含むアミノ酸配列をコードするポリペプチドであり得る。以下の表は、様々なHCV分離体に対するスイスプロット入力データを提供する。
【表2】











【0082】
以下の共通配列は、好ましいが、本質的には代表的であり、限定されると見なされるべきではない。
コア、共通遺伝子型1a(配列番号7)
MSTNPKPQRK TKRNTNRRPQ DVKFPGGGQI VGGVYLLPRR GPRLGVRATR 50
KTSERSQPRG RRQPIPKARR PEGRTWAQPG YPWPLYGNEG CGWAGWLLSP 100
RGSRPSWGPT DPRRRSRNLG KVIDTLTCGF ADLMGYIPLV GAPLGGAARA 150
LAHGVRVLED GVNYATGNLP GCSFSIFLLA LLSCLTVPAS A 191

コア、共通遺伝子型1b(配列番号8)
MSTNPKPQRK TKRNTNRRPQ DVKFPGGGQI VGGVYLLPRR GPRLGVRATR 50
KTSERSQPRG RRQPIPKARR PEGRAWAQPG YPWPLYGNEG MGWAGWLLSP 100 RGSRPSWGPT DPRRRSRNLG KVIDTLTCGF ADLMGYIPLV GAPLGGAARA 150 LAHGVRVLED GVNYATGNLP GCSFSIFLLA LLSCLTIPAS A 191

E1、共通遺伝子型1a(配列番号9)
YQVRNSSGLY HVTNDCPNSS VVYEAADAIL HTPGCVPCVR EGNASRCWVA 50
VTPTVATRDG KLPTTQLRRH IDLLVGSATL CSALYVGDLC GSVFLVGQLF 100
TFSPRHHWTT QDCNCSIYPG HITGHRMAWN MMMNWSPTAA LVVAQLLRIP 150
QAIMDMIAGA HWGVLAGIKY FSMVGNWAKV LVVLLLFAGV DA 192

E2、共通遺伝子型1a(配列番号10)
ETHVTGGNAG RTTAGLVGLL TPGAKQNIQL INTNGSWHIN STALNCNESL 50
NTGWLAGLFY QHKFNSSGCP ERLASCRRLT DFAQGWGPIS YANGSGLDER 100
PYCWHYPPRP CGIVPAKSVC GPVYCFTPSP VVVGTTDRSG APTYSWGAND 150
TDVFVLNNTR PPLGNWFGCT WMNSTGFTKV CGAPPCVIGG VGNNTLLCPT 200
DCFRKYPEAT YSRCGSGPRI TPRCMVDYPY RLWHYPCTIN YTIFKVRMYV 250
GGVEHRLEAA CNWTRGERCD LEDRDRSELS PLLLSTTQWQ VLPCSFTTLP 300
ALSTGLIHLH QNIVDVQYLY GVGSSIASWA IKWEYVVLLF LLLADARVCS 350
CLWMMLLISQ AEA 363

p7、共通遺伝子型1a(配列番号11)
ALENLVILNA ASLAGTHGLV SFLVFFCFAW YLKGRWVPGA VYALYGMWPL 50
LLLLLALPQR AYA 63

NS2、共通遺伝子型1a(配列番号12)
LDTEVAASCG GVVLVGLMAL TLSPYYKRYI SWCMWWLQYF LTRVEAQLHV 50
WVPPLNVRGG RDAVILLTCV VHPALVFDIT KLLLAIFGPL WILQASLLKV 100
PYFVRVQGLL RICALARKIA GGHYVQMAII KLGALTGTCV YNHLAPLRDW 150
AHNGLRDLAV AVEPVVFSRM ETKLITWGAD TAACGDIING LPVSARRGQE 200
ILLGPADGMV SKGWRLL 217

NS3、共通遺伝子型1a(配列番号13)
APITAYAQQT RGLLGCIITS LTGRDKNQVE GEVQIVSTAA QTFLATCING 50
VCWTVYHGAG TRTIASSKGP VIQMYTNVDQ DLVGWPAPQG ARSLTPCTCG 100
SSDLYLVTRH ADVIPVRRRG DSRGSLLSPR PISYLKGSSG GPLLCPAGHA 150
VGIFRAAVCT RGVAKAVDFI PVENLETTMR SPVFTDNSSP PAVPQSFQVA 200
HLHAPTGSGK STKVPAAYAA QGYKVLVLNP SVAATLGFGA YMSKAHGIDP 250
NIRTGVRTIT TGSPITYSTY GKFLADGGCS GGAYDIIICD ECHSTDATSI 300
LGIGTVLDQA ETAGARLVVL ATATPPGSVT VPHPNIEEVA LSTTGEIPFY 350
GKAIPLEVIK GGRHLIFCHS KKKCDELAAK LVALGINAVA YYRGLDVSVI 400
PTSGDVVVVA TDALMTGYTG DFDSVIDCNT CVTQTVDFSL DPTFTIETTT 450
LPQDAVSRTQ RRGRTGRGKP GIYRFVAPGE RPSGMFDSSV LCECYDAGCA 500
WYELTPAETT VRLRAYMNTP GLPVCQDHLE FWEGVFTGLT HIDAHFLSQT 550
KQSGENFPYL VAYQATVCAR AQAPPPSWDQ MWKCLIRLKP TLHGPTPLLY 600
RLGAVQNEVT LTHPVTKYIM TCMSADLEVV T 631

NS3、共通遺伝子型1b(配列番号14)
APITAYSQQT RGLLGCIITS LTGRDKNQVE GEVQVVSTAT QSFLATCVNG 50
VCWTVYHGAG SKTLAGPKGP ITQMYTNVDQ DLVGWQAPPG ARSLTPCTCG 100
SSDLYLVTRH ADVIPVRRRG DSRGSLLSPR PVSYLKGSSG GPLLCPSGHA 150
VGIFRAAVCT RGVAKAVDFV PVESMETTMR SPVFTDNSSP PAVPQTFQVA 200
HLHAPTGSGK STKVPAAYAA QGYKVLVLNP SVAATLGFGA YMSKAHGVDP 250
NIRTGVRTIT TGAPITYSTY GKFLADGGCS GGAYDIIICD ECHSTDSTTI 300
LGIGTVLDQA ETAGARLVVL ATATPPGSVT VPHPNIEEVA LSNTGEIPFY 350
GKAIPIETIK GGRHLIFCHS KKKCDELAAK LSGLGLNAVA YYRGLDVSVI 400
PTSGDVVVVA TDALMTGFTG DFDSVIDCNT CVTQTVDFSL DPTFTIETTT 450
VPQDAVSRSQ RRGRTGRGRR GIYRFVTPGE RPSGMFDSSV LCECYDAGCA 500
WYELTPAETS VRLRAYLNTP GLPVCQDHLE FWESVFTGLT HIDAHFLSQT 550
KQAGDNFPYL VAYQATVCAR AQAPPPSWDQ MWKCLIRLKP TLHGPTPLLY 600
RLGAVQNEVT LTHPITKYIM ACMSADLEVV T 631

NS4a、共通遺伝子型1a(配列番号15)
STWVLVGGVL AALAAYCLST GCVVIVGRIV LSGKPAIIPD REVLYQEFDE 50
MEEC 54

NS4b、共通遺伝子型1a(配列番号16)
SQHLPYIEQG MMLAEQFKQK ALGLLQTASR HAEVITPAVQ TNWQKLEVFW 50
AKHMWNFISG IQYLAGLSTL PGNPAIASLM AFTAAVTSPL TTGQTLLFNI 100
LGGWVAAQLA APGAATAFVG AGLAGAALDS VGLGKVLVDI LAGYGAGVAG 150
ALVAFKIMSG EVPSTEDLVN LLPAILSPGA LAVGVVFASI LRRRVGPGEG 200
AVQWMNRLIA FASRGNHVSP THYVPESDAA ARVTAILSSL TVTQLLRRLH 250
QWISSECTTP C 261

NS5a、共通遺伝子型1a(配列番号17)
SGSWLRDIWD WICEVLSDFK TWLKAKLMPQ LPGIPFVSCQ RGYRGVWRGD 50
GIMHTRCHCG AEITGHVKNG TMRIVGPRTC KNMWSGTFFI NAYTTGPCTP 100
LPAPNYKFAL WRVSAEEYVE IRRVGDFHYV SGMTTDNLKC PCQIPSPEFF 150
TELDGVRLHR FAPPCKPLLR EEVSFRVGLH EYPVGSQLPC EPEPDVAVLT 200
SMLTDPSHIT AEAAGRRLAR GSPPSMASSS ASQLSAPSLK ATCTANHDSP 250
DAELIEANLL WRQEMGGNIT RVESENKVVI LDSFDPLVAE EDEREVSVPA 300
EILRKSRRFA PALPVWARPD YNPLLVETWK KPDYEPPVVH GCPLPPPRSP 350
PVPPPRKKRT VVLTESTLPT ALAELATKSF GSSSTSGITG DNTTTSSEPA 400
PSGCPPDSDV ESYSSMPPLE GEPGDPDLSD GSWSTVSSGA DTEDVVCC 448

NS5b、共通遺伝子型1a(配列番号18)
SMSYSWTGAL VTPCAAEEQK LPINALSNSL LRHHNLVYST TSRSACQRQK 50
KVTFDRLQVL DSHYQDVLKE VKAAASKVKA NLLSVEEACS LTPPHSAKSK 100
FGYGAKDVRC HARKAVNHIN SVWKDLLEDS VTPIDTTIMA KNEVFCVQPE 150
KGGRKPARLI VFPDLGVRVC EKMALYDVVS KLPLAVMGSS YGFQYSPGQR 200
VEFLVQAWKS KKTPMGFSYD TRCFDSTVTE SDIRTEEAIY QCCDLDPQAR 250
VAIKSLTERL YVGGPLTNSR GENCGYRRCR ASGVLTTSCG NTLTCYIKAQ 300
AACRAAGLRD CTMLVCGDDL VVICESAGVQ EDAASLRAFT EAMTRYSAPP 350
GDPPQPEYDL ELITSCSSNV SVAHDGAGKR VYYLTRDPTT PLARAAWETA 400
RHTPVNSWLG NIIMFAPTLW ARMILMTHFF SVLIARDQLE QALDCEIYGA 450
CYSIEPLDLP PIIQRLHGLS AFSLHSYSPG EINRVAACLR KLGVPPLRAW 500
RHRARSVRAR LLSRGGRAAI CGKYLFNWAV RTKLKLTPIA AAGQLDLSGW 550
FTAGYSGGDI YHSVSRARPR WFWFCLLLLA AGVGIYLLPN R 591

NS5b、共通遺伝子型1b(配列番号19)
SMSYTWTGAL ITPCAAEESK LPINALSNSL LRHHNMVYAT TSRSASQRQK 50
KVTFDRLQVL DDHYRDVLKE MKAKASTVKA KLLSVEEACK LTPPHSAKSK 100
FGYGAKDVRN LSSKAVNHIR SVWKDLLEDT ETPIDTTIMA KNEVFCVQPE 150
KGGRKPARLI VFPDLGVRVC EKMALYDVVS TLPQAVMGSS YGFQYSPGQR 200
VEFLVNAWKS KKNPMGFAYD TRCFDSTVTE NDIRVEESIY QCCDLAPEAR 250
QAIRSLTERL YIGGPLTNSK GQNCGYRRCR ASGVLTTSCG NTLTCYLKAS 300
AACRAAKLQD CTMLVCGDDL VVICESAGTQ EDAASLRVFT EAMTRYSAPP 350
GDPPQPEYDL ELITSCSSNV SVAHDASGKR VYYLTRDPTT PLARAAWETA 400
RHTPVNSWLG NIIMYAPTLW ARMILMTHFF SILLAQEQLE KALDCQIYGA 450
CYSIEPLDLP QIIQRLHGLS AFSLHSYSPG EINRVASCLR KLGVPPLRVW 500
RHRARSVRAK LLSQGGRAAT CGKYLFNWAV RTKLKLTPIP AASQLDLSGW 550
FVAGYSGGDI YHSLSRARPR WFMLCLLLLS VGVGIYLLPN R 591

NS3、遺伝子型1aDECH−>AASH突然変異体(配列番号20)
APITAYAQQT RGLLGCIITS LTGRDKNQVE GEVQIVSTAA QTFLATCING 50
VCWTVYHGAG TRTIASSKGP VIQMYTNVDQ DLVGWPAPQG ARSLTPCTCG 100
SSDLYLVTRH ADVIPVRRRG DSRGSLLSPR PISYLKGSSG GPLLCPAGHA 150
VGIFRAAVCT RGVAKAVDFI PVENLETTMR SPVFTDNSSP PAVPQSFQVA 200
HLHAPTGSGK STKVPAAYAA QGYKVLVLNP SVAATLGFGA YMSKAHGIDP 250
NIRTGVRTIT TGSPITYSTY GKFLADGGCS GGAYDIIICA ASHSTDATSI 300
LGIGTVLDQA ETAGARLVVL ATATPPGSVT VPHPNIEEVA LSTTGEIPFY 350
GKAIPLEVIK GGRHLIFCHS KKKCDELAAK LVALGINAVA YYRGLDVSVI 400
PTSGDVVVVA TDALMTGYTG DFDSVIDCNT CVTQTVDFSL DPTFTIETTT 450
LPQDAVSRTQ RRGRTGRGKP GIYRFVAPGE RPSGMFDSSV LCECYDAGCA 500
WYELTPAETT VRLRAYMNTP GLPVCQDHLE FWEGVFTGLT HIDAHFLSQT 550
KQSGENFPYL VAYQATVCAR AQAPPPSWDQ MWKCLIRLKP TLHGPTPLLY 600
RLGAVQNEVT LTHPVTKYIM TCMSADLEVV T 631

NS3、遺伝子型1bDECH−>AASH突然変異体(配列番号21)
APITAYSQQT RGLLGCIITS LTGRDKNQVE GEVQVVSTAT QSFLATCVNG 50
VCWTVYHGAG SKTLAGPKGP ITQMYTNVDQ DLVGWQAPPG ARSLTPCTCG 100
SSDLYLVTRH ADVIPVRRRG DSRGSLLSPR PVSYLKGSSG GPLLCPSGHA 150
VGIFRAAVCT RGVAKAVDFV PVESMETTMR SPVFTDNSSP PAVPQTFQVA 200
HLHAPTGSGK STKVPAAYAA QGYKVLVLNP SVAATLGFGA YMSKAHGVDP 250
NIRTGVRTIT TGAPITYSTY GKFLADGGCS GGAYDIIICA ASHSTDSTTI 300
LGIGTVLDQA ETAGARLVVL ATATPPGSVT VPHPNIEEVA LSNTGEIPFY 350
GKAIPIETIK GGRHLIFCHS KKKCDELAAK LSGLGLNAVA YYRGLDVSVI 400
PTSGDVVVVA TDALMTGFTG DFDSVIDCNT CVTQTVDFSL DPTFTIETTT 450
VPQDAVSRSQ RRGRTGRGRR GIYRFVTPGE RPSGMFDSSV LCECYDAGCA 500
WYELTPAETS VRLRAYLNTP GLPVCQDHLE FWESVFTGLT HIDAHFLSQT 550
KQAGDNFPYL VAYQATVCAR AQAPPPSWDQ MWKCLIRLKP TLHGPTPLLY 600
RLGAVQNEVT LTHPITKYIM ACMSADLEVV T 631

NS5b、遺伝子型1aGDD−>GNH突然変異体(配列番号22)
SMSYSWTGAL VTPCAAEEQK LPINALSNSL LRHHNLVYST TSRSACQRQK 50
KVTFDRLQVL DSHYQDVLKE VKAAASKVKA NLLSVEEACS LTPPHSAKSK 100
FGYGAKDVRC HARKAVNHIN SVWKDLLEDS VTPIDTTIMA KNEVFCVQPE 150
KGGRKPARLI VFPDLGVRVC EKMALYDVVS KLPLAVMGSS YGFQYSPGQR 200
VEFLVQAWKS KKTPMGFSYD TRCFDSTVTE SDIRTEEAIY QCCDLDPQAR 250
VAIKSLTERL YVGGPLTNSR GENCGYRRCR ASGVLTTSCG NTLTCYIKAQ 300
AACRAAGLRD CTMLVCGNLL VVICESAGVQ EDAASLRAFT EAMTRYSAPP 350
GDPPQPEYDL ELITSCSSNV SVAHDGAGKR VYYLTRDPTT PLARAAWETA 400
RHTPVNSWLG NIIMFAPTLW ARMILMTHFF SVLIARDQLE QALDCEIYGA 450
CYSIEPLDLP PIIQRLHGLS AFSLHSYSPG EINRVAACLR KLGVPPLRAW 500
RHRARSVRAR LLSRGGRAAI CGKYLFNWAV RTKLKLTPIA AAGQLDLSGW 550
FTAGYSGGDI YHSVSRARPR WFWFCLLLLA AGVGIYLLPN R 591

NS5b、遺伝子型1bGDD−>GNH突然変異体(配列番号23)
SMSYTWTGAL ITPCAAEESK LPINALSNSL LRHHNMVYAT TSRSASQRQK 50
KVTFDRLQVL DDHYRDVLKE MKAKASTVKA KLLSVEEACK LTPPHSAKSK 100
FGYGAKDVRN LSSKAVNHIR SVWKDLLEDT ETPIDTTIMA KNEVFCVQPE 150
KGGRKPARLI VFPDLGVRVC EKMALYDVVS TLPQAVMGSS YGFQYSPGQR 200
VEFLVNAWKS KKNPMGFAYD TRCFDSTVTE NDIRVEESIY QCCDLAPEAR 250
QAIRSLTERL YIGGPLTNSK GQNCGYRRCR ASGVLTTSCG NTLTCYLKAS 300
AACRAAKLQD CTMLVCGNLL VVICESAGTQ EDAASLRVFT EAMTRYSAPP 350
GDPPQPEYDL ELITSCSSNV SVAHDASGKR VYYLTRDPTT PLARAAWETA 400
RHTPVNSWLG NIIMYAPTLW ARMILMTHFF SILLAQEQLE KALDCQIYGA 450
CYSIEPLDLP QIIQRLHGLS AFSLHSYSPG EINRVASCLR KLGVPPLRVW 500
RHRARSVRAK LLSQGGRAAT CGKYLFNWAV RTKLKLTPIP AASQLDLSGW 550
FVAGYSGGDI YHSLSRARPR WFMLCLLLLS VGVGIYLLPN R 591

【0083】
本発明のワクチン組成物における1つ以上の抗原またはその誘導体の使用の選択は、組換え抗原をうまく発現し、分泌するために最適な細菌の能力および/または抗原特有のCD4+および/またはCD8+T細胞応答を開始するための組換え抗原の能力の査定を含む、様々な方法で実施することができる。以下に記載があるとおり、特定の細菌送達手段で使用するための抗原の最終選択に達するためには、組換え抗原のこれらの属性は、先天性免疫応答ならびに組換え発現したHCV抗原に対する抗原特有のT細胞応答の両方を開始するため、好ましくは完全なワクチンプラットフォームの能力と結び付けられる(HCV抗原に対して選択された細菌発現システムを意味する)。
【0084】
適切な抗原の仮決定は、選択した細菌宿主(例、リステリア)によってうまく組換え発現され免疫原性である抗原または抗原断片を選択することによって行うことができる。本明細書で使用される「免疫原性」という用語は、抗原が、抗原特有のT細胞応答(CD4+および/またはCD8+)を誘導することが可能であることを意味している。好ましいHCV抗原またはその誘導体は、1つ以上の以下のポリペプチド配列を含む。IPVENLETTMRSPVF(配列番号1)、NLETTMRSPVFTDNS(配列番号2)、PPAVPQSFQVAHLHA(配列番号3)、PQSFQVAHLHAPTGS(配列番号4)、FQVAHLHAPTGSGKS(配列番号5).他の好ましいHCV抗原またはその誘導体は、NS3から1つ以上の以下のポリペプチド配列を含む。
LETTMRSPVFTDNSSPPVVP(配列番号42):
SPVFTDNSSPPAVPQ(配列番号43):
VPQSFQVAHLHAPTG(配列番号44):
FQVAHLHAPTGSGKS(配列番号45):
KVPAAYAAQGYKVLV(配列番号46):
PAAYAAQGYKVLVLNPSVAA(配列番号47):
AAKGYKVLVLNPSVA(配列番号48):
VLVLNPSVAA(配列番号49):
AQGYKVLVLNPSVAA(配列番号50):
QGYKVLVLNPSVAA(配列番号51):
GYKVLVLNPSVAAT(配列番号52):
GYKVLVLNPSVAATLGFGAY(配列番号53):
GVRTITTGSPITYSTYGKFL(配列番号54):
ITYSTYGKFLADGGCSGGAY(配列番号55):
LADAGCSGGAYDIIICDE(配列番号56):
GGAYDIIICDECHST(配列番号57):
DIIICDECHSTDATS(配列番号58):
TDATSILGIGTVLDQAETAG(配列番号59):
ATSILGIGTVLDQAE(配列番号60):
VIKGGRHLIFCHSKKKCD(配列番号61):
GRHLIFCHSKR(配列番号62):
KCDELAAKLVALGIN(配列番号63):
GINAVAYYRGLDVSVIPTSG(配列番号64):
IPTNGDVVVVSTDALMTG(配列番号65):
ALMTGYTGDFDSVID(配列番号66):
DFDSVIDCNTCVTQTVDF(配列番号67):
SVIDCNTCVTQTVDFSLDPT(配列番号68):
CNTCVTQTVDFSLDPTFT(配列番号69):
NTCVTQTVDFSLDPT(配列番号70):
PTFTIETTTLPQDAVSRT(配列番号71):
TQTVDFSLDPTFTIE(配列番号72):
EQYVDFSLDPTFSIE(配列番号73):
および/またはNS5bから1つ以上の以下のポリペプチド配列。
LRHHNLVYSTTSRSACQRQK(配列番号74):
KVTFDRLQVLDSHYQDVLKE(配列番号75):
SVWKDLLEDNVTPIDTTIMA(配列番号76):
KGGRKPARLIVFPDLGVRVC(配列番号77):
KPARLIVFPDLGVRVCEK(配列番号78):
KLPLAVMGSSYGFQYSPGQR(配列番号79):
VEFLVQAWKSKKTPMGFSYD(配列番号80):
SDIRTEEAIYQCCDLDPQAR(配列番号81):
QCCDLDPQARVAIKSLTERL(配列番号82):
GYRRCRASGVLT(配列番号83)。

【0085】
組換え抗原を発現し分泌するために選択した細菌の能力は、以下に記載するように、疎水性プロットによって推測することができ/または直接ウエスタンブロット分析によって測定することができる。
【0086】
ある実施形態では、HCV抗原は、目的のHCV抗原と構成される融合の一部として使用されるリステリアActAタンパク質またはその断片のピーク疎水性を超える疎水性の領域を有さないように選択される。最も好ましくは、HCV抗原は、リステリアActA−N100のピーク疎水性を超える疎水性の領域を有さないように選択される。
【0087】
ウエスタンブロットにおいて、組換え抗原の発現の直接観測は、組換えによって産生されるHCV抗原配列を検出する抗体を使用してまたは融合タンパク質としてHCV抗原と発現する非CHV配列(「タグ」)を検出する抗体を使用して行うことができる。以下に記載した例において、抗原は、リステリアActAタンパク質のN末端部分との融合として発現され、成熟N末端18ActAのアミノ酸に対応する合成ペプチドに反して起きた抗ActA抗体(ATDSEDSSLNTDEWEEEK(配列番号24))は、タンパク質産物の出現を検出するために使用することができる。
【0088】
抗原の免疫原性を検査するための分析は、本明細書に記載され、よく当技術分野で知られている。例として、選択した細菌によって組換えにより産生された抗原は、抗原のカルボキシル末端でインフレームに位置する8アミノSIINFEKL(配列番号25)ペプチド(別名SL8およびovalbumin257−264)をコードする核酸配列を含むために、随意に構成され得る。C末端SL8エピトープ等の組成物は、(i)組換え抗原がN末端からC末端まで全体において発現されることを証明するため、そして(ii)インビトロ抗原提示分析を使用してMHCクラスI経路を介して組換え抗原を提示するための抗原提示細胞の能力を証明するために、代理として機能する。そのような提示分析は、以下に記載するB3ZT細胞ハイブリドーマ細胞株と一緒にクローン化したC57BL/6派生の樹状細胞株DC2.4を使用して、行うことができる。
【0089】
あるいは、またはさらに、免疫原性は、以下に記載されるELISPOT分析を使用して検査することができる。ELISPOT分析は、本来は抗原特有の抗体を分泌するB細胞を列挙するために開発されたが、その後各種タスク、特に単一細胞レベルでのサイトカイン産生細胞の同定および列挙に適合された。脾臓は、適切な細菌ワクチン、およびを接種した動物、および細胞ワクチンで発現する1つ以上のHCV抗原に由来するペプチドでまたはペプチドなしで一晩培養した単離脾細胞から採取することができる。固定化抗体は、どの分泌されたIFN−γも捕らえる、したがって分泌されたIFN−γおよびワクチンに対する免疫応答の査定の事後測定を可能にする。
【0090】
3.細菌発現系−「ワクチンプラットフォーム」
【0091】
共通配列抗原の送達のためのワクチンプラットフォームの選択は、効果的なワクチンのための別の重要な要素である。シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、リステリア・モノサイトゲネス、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌、チフス菌、またはマイクロバクテリア菌種を含むがこれに限定されるものではない.多くの細菌種は、ワクチンとして使用するために開発されており、本発明で使用することができる。このリストは、限定されるものではありません。例えば、国際公開第04/006837号、国際公開第07/103225号、および国際公開第07/117371号のそれぞれを参照されたく、それぞれ、すべての表、図、および請求項を含んで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ワクチン組成物に使用される細菌ベクターは、通性の細胞内細菌ベクターであり得る。細菌は、本明細書で記載されるポリペプチドを宿主生物における、抗原提示細胞へ送達するために使用することができる。本明細書で記載されるとおり、リステリア・モノサイトゲネスは、HCV抗原の発現のために好ましいワクチンプラットフォームを提供する。
【0092】
弱毒化および共生の両方の微生物は、ワクチン抗原のキャリアとしての使用に成功しているが、HCV抗原の細菌キャリアまたはその誘導体は、随意に弱毒化または不活化されるが代謝的に活発(KBMA)である。製剤に使用されているキャリア株の遺伝的背景、弱化に成功するために選択された突然変異の種類、および免疫原の固有特性は、誘発された免疫応答の範囲および質を最適化するために調節することができる。細菌キャリアによって刺激される免疫応答を最適化するために考慮される一般的な要因は、キャリアの選択、特定背景の株、突然変異の弱毒化および弱毒化のレベル、弱毒化表現型の安定化および最適用量の確立を含む。考慮するべき他の抗原に関連した要因は、抗原の固有特性、発現系、抗原表示形態および組換え表示型の安定化、分子の調節およびワクチン接種スケジュールの同時発現を含む。
【0093】
ワクチンプラットフォームの好ましい特性は、組換え発現したHCV抗原に対する先天性免疫応答ならびに抗原特有のT細胞応答の両方を開始する。例えば、本明細書に記載されるHCV抗原を発現するリステリア・モノサイトゲネスは、肝内のタイプ1インターフェロン(INF−α/β)およびケモカインおよびサイトカインの下流縦列を誘発する。この肝内の免疫刺激の応答において、NK細胞および抗原提示細胞(APC)は、肝臓に補充される。これらの細胞は、T細胞応答がLmを全滅するために開始するように活性化される、同時にリステリア・モノサイトゲネスワクチンプラットフォームによって発現するHCV抗原に対するT細胞応答も同様に開始する。ある実施形態では、本発明のワクチンプラットフォームは、IL−12p70、IFN−γ、IL−6、TNFα、およびMCP−1からなる群から選択されたサイトカインおよびケモカインの1つ以上、および好ましくはすべての血清濃度で対象にワクチンプラットフォームを送達後24時間にて増加を誘発し、ワクチンプラットフォームによって発現される1つ以上のHCV抗原に対するCD4+および/またはCD8+抗原特有のT細胞応答を誘発する。他の実施形態において、本発明のワクチンプラットフォームは、同様に、マウスモデル系において、DX5、CD11b、およびCD43等の活性化マーカーの上方調節によってまたは、標的細胞として使用された51Cr−ラベル付のYAC−1細胞を使用して測定されたNK細胞媒介の細胞溶解活性によって証明された常在未成熟肝臓NK細胞の成熟を誘発する。
【0094】
各種の実施形態にて、本発明のワクチンおよび免疫原性組成物は、所望のHCV抗原を発現するように構成されるリステリア・モノサイトゲネスを含むことができる。ワクチンベクターとして機能するリステリア・モノサイトゲネスの能力は、Wesikirch, et al., Immunol. Rev. 158:159−169 (1997)で論評されている。リステリア・モノサイトゲネスの自然生物学の所望の特性の多くは、それをHCV治療ワクチンの用途に対して誘引プラットフォームにする。中心的な論理的根拠は、リステリア・モノサイトゲネスの細菌内のライフサイクルが、HCV感染の消散に必要であるとして知られているCD4+およびCD8+T細胞免疫の効果的な刺激を可能にすることである。TLR(TLR2、TLR5、TLR9)およびヌクレオチド結合オリゴマー化領域(NOD)を含む複数の病原体特異的分子パターン(PAMP)受容体は、感染時にリステリア・モノサイトゲネス高分子との相互作用に応じて誘発され、HCV共通配列抗原に対するCD4+およびCD8+T細胞応答の開発に深刻な影響を与える、先天性免疫エフェクターの全活性化およびTh−1偏光サイトカインの放出という結果をもたらす。強力な肝内免疫応答を引き起こす肝臓に常在するAPCの向性のため、Lmは、特にHCVワクチンによく適している。
【0095】
リステリア・モノサイトゲネス株は、近年、癌およびHIV等の病原体の注入を認めない臨床症状への免疫応答を誘発するために抗原の送達を免疫系へ提供する異種タンパク質の効果的な細菌内送達手段として開発されている。米国特許第6,051,237号、Gunn et al., Immunol., 167:6471−6479(2001)、Liau, et al., Cancer Research, 62:2287−2293(2002)、米国特許第6,099,848号、国際公開第99/25376号、国際公開第96/14087号、および米国特許第5,830,702号)のそれぞれを参照されたく、これらはそれぞれ、すべての表、図、および特許請求の範囲を含んで、その全体が参照として組み込まれる。リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)抗原を発現する組換えリステリア・モノサイトゲネスワクチンは、同様に抗原に保護細胞を仲介する免疫を誘発するように示されている(Shen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:3987−3991(1995)。
【0096】
弱毒化および不活化されるが代謝的に活性な免疫原性組成物に有用なリステリア・モノサイトゲネスの形態が産生されている(国際公開第07/103225号、および国際公開第07/117371号、それぞれ、すべての表、図、および特許請求の範囲を含んで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。リステリア・モノサイトゲネスのActAタンパク質は、細菌内移動の原因であるアクチン補充および重合現象促進するために十分である。人間の安全性試験は、リステリア・モノサイトゲネスのactA/plcB除去弱毒化形態の経口投与が、成人において深刻な続発症を引き起こすことがないことを報告している(Angelakopoulos et al., Infection and Immunity,70:3592−3601(2002))。 他のリステリア・モノサイトゲネスの弱毒化形態の種類も同様に、記載されている(例えば、栄養要求、異種抗原を発現するリステリア弱毒化株を記載する、国際公開第99/25376号および米国特許第6,099,848号を参照)。
【0097】
ある実施形態では、本発明のワクチン組成物に使用されるリステリア・モノサイトゲネスは、actAおよび/またはinlBにおける弱毒突然変異を含む弱毒生株であり、好ましくは、actAおよびinlBのすべてまたは一部の欠失(本明細書では「LmΔactA/ΔinlB」と称される)であり、目的のHCV抗原の発現をコードする組換えを含む。最も好ましくは、これらの抗原は、NS5B、NS3共通配列抗原の内1つまたは両方に由来する1つ以上の免疫原性配列を含む。HCV抗原は、好ましくは、細胞発現配列の支配下にあり、安定的にリステリア・モノサイトゲネスゲノムに組み込まれている。そのようなリステリア・モノサイトゲネスワクチン株は、したがって真核生物転写または翻訳要素を用いない。
【0098】
本発明は、同様に少なくとも1つの限定因子、例えばプロモーターまたは転写因子におけるリステリア弱毒化を検討する。以下は、プロモーターに関する。ActA発現は、2つの異なるプロモーターによって調節される(Lauer, et al. (2002)J.Bacteriol.184:4177−4186)。同時に、inlAおよびinlB発現は、5つのプロモーターによって調節される(Lingnau, et al. (1995)Infect. Immun.63:3896−3903)。転写因子prfAは、多くのリステリア・モノサイトゲネス遺伝子の転写、例えばhly、plcA,ActA、mpl、prfAおよびiapに必要である。PrfAの調節性質は、例えばPrfA依存プロモーター(PinlC)およびPrfA−boxによって仲介される。本発明は、ある実施形態では、少なくとも1つのActAプロモーター、inlBプロモーター、PrfA、PinlC、PrfAボックス等において不活性化、突然変異、または欠失したものをコードする核酸を提供する(例えば、Lalic Mullthaler, et al. (2001)Mol.Microbiol.42:111−120、Shetron−Rama, et al. (2003)Mol. Microbiol.48:1537‐1551、Luo, et al. (2004)Mol.Microbiol.52:39‐52を参照)。PrfAは、Gly145Ser突然変異、Gly155Ser突然変異、またはGlu77Lys突然変異によって構成的活性型にすることができる。(例えば、Mueller and Freitag(2005)Infect.Immun.73:1917−1926、Wong and Freitag(2004)J.Bacteriiol.186:6265‐6276、Ripio, et al. (1997)J.Bacteriol.179:1533−1540を参照)。
【0099】
弱毒化は、例えば加熱処理または化学修飾によって生じることができる。弱毒化は、同様に、例えば、代謝、細胞外増殖、または細胞内増殖、リステリアprfA、ActA、リステリオリシン(LLO)および接着仲介因子(例えば、inlAまたはinlB等のインターナリン)、mpl、ホスファチジルコリンホスホリパーゼC(PC−PLC)、ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI PLC、plcA遺伝子)、上記のいずれかの組み合わせ等の毒性因子をコードする核酸の遺伝子組み換えを調節する核酸の遺伝子組み換えによって生じることができる。弱毒化は、対応する適切な親リステリアによって示された生物学的機能と弱毒化リステリアの生物学的機能を比較することによって査定することができる。
【0100】
本発明は、他の実施形態にて、架橋剤、ソラレン、ナイトロジェンマスタード、シスプラチン、かさ高い付加物、紫外線、γ線照射、それらのいずれかの組み合わせ等の核酸対象薬剤で治療することによって弱毒化するリステリアを提供する。通常、架橋剤の1つの分子によって産出される障害は、二重らせんの両方の構造の架橋結合に関与する。本発明のリステリアは、同様に、例えば、uvrA、uvrB、uvrAB、uvrC、uvrD、uvrAB、phrA、および/または例えばrecA等、組換え修復を仲介する遺伝子の核酸修復遺伝子の少なくとも1つを、突然変異することによって弱毒化することができる。さらに、本発明は、核酸対象薬剤および核酸修復遺伝子を仲介することの両方によってリステリア弱毒化を提供する。また、本発明は、ソラレン等の核酸対象薬剤、および/またはソラレン等の感光性核酸架橋剤での治療、その後に紫外線への暴露を包含する。
【0101】
本発明において有用な弱毒化リステリアは、例えば、米国特許公開第2004/0228877号および第2004/0197343号に記載され、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。リステリアの特定の株が所望の弱毒化を提供するかを査定するための各種の分析は、例えば、米国特許第2004/0228877号、第2004/0197343号、および第2005/0249748号において提供され、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
他の実施形態において、本発明のワクチン組成物に使用されるリステリア・モノサイトゲネスは、LmΔactA/ΔinlBに由来する不活化されるが代謝的に活性な(KBMA)プラットフォームであり、同様にヌクレオチド除去修復(NER)経路のDNA回復酵素をコードする遺伝子、uvrAおよびuvrBの両方が失欠され、目的のHCV抗原の発現をコードする組換えDNAを含む。これらの抗原は、最も好ましくは、取得したNS5B、NS3共通配列抗原の1つまたは両方に由来する1つ以上の免疫原性配列を含む。HCV抗原は、好ましくは、細胞発現配列の支配下にあり、安定的にリステリア・モノサイトゲネスゲノムに組み込まれている。KBMAプラットフォームは、合成ソラレン、S−59、および長波長紫外線光線での併用治療による光化学不活性化に対して非常に敏感である。不活化であるが、KBMA Lmワクチンは、過度的に、遺伝子産物を発現することができ、ファゴリソソームから逸脱することならびに機能細胞性免疫および野生型WT Lmおよびワクシニアウイルス攻撃に対する予防を誘発することを可能にする。
【0103】
ある実施形態では、弱毒化またはKBMAリステリア・モノサイトゲネスワクチン株は、(本明細書で、PrfA*突然変異体として称される)構成的に活性なPrfA遺伝子を含む。PrfAは、病原性遺伝子の発現を誘発し、適切に設計されたワクチン株において異種抗原(Ags)をコードした細菌内で活性化した転写因子である。上記に記載されたように、ActA遺伝子の発現は、prfAに応答し、ActAプロモーターは、prfA応答調節要素である。prfA G155S対立遺伝子の封入は、重大な弱毒生またはKBMAワクチンの増強されたワクチン効能を与えることができる。好ましいPrfA突然変異体は、2008年5月19日に出願されたCOMPOSITIONS COMPRISING PRFA* MUTANT LISTERIA AND METHODS OF USE THEREOFと題された米国仮特許仮出願第61/054,454号に記載され、これは、すべての表、図、および特許請求の範囲を含んで、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0104】
残基155のグリシンを含むリステリア・モノサイトゲネスPrfAの配列は、以下のとおりである。(配列番号26)
MNAQAEEFKK YLETNGIKPK QFHKKELIFN QWDPQEYCIF LYDGITKLTS 50
ISENGTIMNL QYYKGAFVIM SGFIDTETSV GYYNLEVISE QATAYVIKIN 100
ELKELLSKNL THFFYVFQTL QKQVSYSLAK FNDFSINGKL GSICGQLLIL 150
TYVYGKETPD GIKITLDNLT MQELGYSSGI AHSSAVSRII SKLKQEKVIV 200
YKNSCFYVQN LDYLKRYAPK LDEWFYLACP ATWGKLN 237

【0105】
残基155のグリシンを含むリステリア・モノサイトゲネスPrfAの配列は、以下のとおりである。(配列番号27)
MNAQAEEFKK YLETNGIKPK QFHKKELIFN QWDPQEYCIF LYDGITKLTS 50
ISENGTIMNL QYYKGAFVIM SGFIDTETSV GYYNLEVISE QATAYVIKIN 100
ELKELLSKNL THFFYVFQTL QKQVSYSLAK FNDFSINGKL GSICGQLLIL 150
TYVYSKETPD GIKITLDNLT MQELGYSSGI AHSSAVSRII SKLKQEKVIV 200
YKNSCFYVQN LDYLKRYAPK LDEWFYLACP ATWGKLN 237

【0106】
4.抗原性コンストラクト
【0107】
本発明の細胞ワクチン株によって発現された抗原性コンストラクトは、少なくとも発現されるべきHCV抗原と融合した、分泌を支援するため細胞ワクチンプラットフォーム内で動作可能な分泌配列をコードする核酸を含み、そこで結果として生じた融合タンパク質は、細胞ワクチンプラットフォームによる融合タンパク質の発現に必要な調節塩基配列(例えば、プロモーター)に機能可能に結合される。本発明は、分泌されたポリペプチドおよびペプチド抗原に限定しないが、同様にリステリアまたは他の細菌から分泌されなかった、または分泌され得なかったポリペプチドおよびペプチドを包含する。しかし、好ましくは、HCV抗原は、株が受け手に接種された場合、細菌ワクチン株によって可溶性、分泌型で発現される。
【0108】
表1は、異種抗原等の融合タンパク質パートナー配列と融合するために使用されるシグナルペプチドの多くの非限定例を開示する。シグナルペプチドは、3つの領域を含有する傾向がある。正電気を帯びたN末端(1〜5残基長)、疎水性領域(7〜15残基長)、および中性だが極性C末端領域。
【表3】

【0109】
以下に記載される代表的な実施形態では、HCVエピトープ配列は、ワクチンを接種した宿主内の細菌からHCV融合タンパク質の発現および分泌を許可するリステリア・モノサイトゲネス ActAタンパク質のアミノ末端部分と融合したシグナルポリペプチドとして発現することができる。これらの実施形態では、抗原性コンストラクトは、融合タンパク質をコードする核酸配列と機能可能に結合されるプロモーターを含むポリヌクレオチドであることができ、そこで、融合タンパク質は、(a)修正されたActAおよび(b)修正されたActA配列の後に融合タンパク質として発現される1つ以上のHCVエピトープを含む。
【0110】
「修正されたActA」とは、少なくともActAシグナル配列を含むが、ActA配列の全体を含まない、またはそのようなActA配列に対して少なくとも約80%の配列相同性、少なくとも約85%の配列相同性、少なくとも約90%の配列相同性、少なくとも約95%の配列相同性、または少なくとも約98%の配列相同性を有するリステリア・モノサイトゲネスActAタンパク質の連続する部分を意味する。ActAシグナル配列は、MGLNRFMRAMMVVFITANCITINPDIIFA(配列番号41)である。一部の実施形態では、プロモーターは、国際公開第07/103225号、および国際公開第07/117371号からのActAプロモーターであり、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0111】
一例として、修正されたActAは、少なくともActAの最初の59のアミノ酸、または少なくともActAの最初の59のアミノ酸に対して少なくとも約80%の配列相同性、少なくとも約85%の配列相同性、少なくとも約90%の配列相同性、少なくとも約95%の配列相同性、または少なくとも約98%の配列相同性を有する配列を含むことができる。一部の実施形態では、修正されたActAは、少なくともActAの最初の100のアミノ酸、またはActAの最初の100のアミノ酸に対する少なくとも約80%の配列相同性、少なくとも約85%の配列相同性、少なくとも約90%の配列相同性、少なくとも約95%の配列相同性、または少なくとも約98%の配列相同性を有する配列を含む。言い換えれば、一部の実施形態では、修正されたActA配列は、残基100またはそれ以降で切断された(ActAシグナル配列を含む)ActAのN末端断片に対応する。
【0112】
ActA−N100は、以下の配列(配列番号37)を有する。
VGLNRFMRAM MVVFITANCI TINPDIIFAA TDSEDSSLNT DEWEEEKTEE 50
QPSEVNTGPR YETAREVSSR DIEELEKSNK VKNTNKADLI AMLKAKAEKG 100
この配列では、第1の残基は、バリンとして描写され、ポリペプチドは、メチオニンとこの位置にリステリアによって合成される。したがって、ActA−N100も同様に、以下の配列(配列番号38)を有する。
MGLNRFMRAM MVVFITANCI TINPDIIFAA TDSEDSSLNT DEWEEEKTEE 50
QPSEVNTGPR YETAREVSSR DIEELEKSNK VKNTNKADLI AMLKAKAEKG 100
ActA−N100も同様に、修正されたActAおよびHCV抗原配列のC末端残基の間にある1つ以上の追加残基を含む。以下の配列において、ActA−N100は、BanH1部分に含まれることによって追加された2つの残基によって延長される。
VGLNRFMRAM MVVFITANCI TINPDIIFAA TDSEDSSLNT DEWEEEKTEE 50
QPSEVNTGPR YETAREVSSR DIEELEKSNK VKNTNKADLI AMLKAKAEKG 100
GS 102
第1の残基と合成された場合、メチオニンは、配列を有する(配列番号39)。
MGLNRFMRAM MVVFITANCI TINPDIIFAA TDSEDSSLNT DEWEEEKTEE 50
QPSEVNTGPR YETAREVSSR DIEELEKSNK VKNTNKADLI AMLKAKAEKG 100
GS 102
(配列番号40)。
【0113】
代表的なコンストラクトは、以下および国際公開第07/103225号に記載され、当該公開は、参照により本明細書に組み込まれる。(以前は、CRS−100、BB‐IND12884およびclinicaltrials.gov識別子NCT00327652として知られていた)ANZ−100は、いずれの外来性抗原の発現配列もなしに、リステリア・モノサイトゲネスΔactA/ΔinlBプラットフォームからなる。国際公開第07/103225号に記載される代表的なコンストラクトにおいて、このプラットフォームは、ActA−N100との融合としてヒトメソテリンを発現するために設計されている。メソテリン発現ワクチンは、メソテリンを過剰に発現することで知られる進行癌のある対象における第1相治験において現在評価されている、CRS‐207(BB‐IND 13389およびclinicaltrials.gov識別子NCT00585845)を使用して、肝転移の進行癌のある対象において、評価されている。本発明は、メソテリン配列をHCV抗原配列で置き換えることによって、このワクチンの修正を検討する。
【0114】
1つの生物によってコードされた配列は、選択されたワクチンプラットフォーム細菌株における最適発現のために必ずしもコドン最適化されないが、本発明も同様に、リステリア・モノサイトゲネス等の細菌によって発現するためのコドン最適化によって変化する核酸を提供する。
【0115】
各種の実施形態において、少なくとも任意の非最適なコドンの1パーセントは、最適なコドンを提供するために変化される、より標準的には少なくとも5パーセント変化される、最も標準的には少なくとも10パーセント変化される、多くの場合は少なくとも20%変化される、より多くの場合は少なくとも30%変化される、最も多くの場合は少なくとも40%変化される、大抵は少なくとも50%変化される、より大抵は少なくとも60%変化される、最も大抵は少なくとも70%変化される、至適に少なくとも80%変化される、より至適に少なくとも90%変化される、最も至適に少なくとも95%変化され、慣習的に任意の非最適なコドンの100%は、リステリア発現(表2)に対してコドン最適化される。
【表4】

【0116】
本発明は、本発明のワクチンプラットフォームを作製または設計するリステリア種および株の多くを供給する。本発明のリステリアは、表3に開示された種および株に限定されない。
【表5】



【0117】
4.治療組成物。
【0118】
本明細書に記載されるワクチン組成物は、単独または医薬的に許容される賦形剤と組み合わせてのいずれかで、HCV感染に対する適切な免疫応答を十分に誘発する量で、宿主に投与することができる。免疫応答は、限定なしに、特異的免疫応答、非特異的免疫応答、特異的および非特異的応答の両方、先天性応答、一次免疫応答、適応免疫、二次免疫応答、記憶免疫応答、免疫細胞活性化、免疫細胞増殖、免疫細胞分化、およびサイトカイン発現を含むことができる。本発明のワクチンは、例えば、冷凍、凍結乾燥、懸濁液として、細胞ペーストとして、または固体マトリクスまたはゲルマトリクスと複合体を形成して保存することができる。
【0119】
ある実施形態においては、免疫応答を刺激するために対象に免疫原性HCV抗原ポリペプチドを含有する有効量のワクチンを投与した後、第2のワクチンを投与する。これは、当技術分野では、「プライムブースト」療法と呼ぶ。そのような療法では、本発明の組成物および方法は、「プライム」送達として、「ブースト」送達として、または「プライム」および「ブースト」の両方として使用することができる。
【0120】
例として、抗原ポリペプチドをコードし発現する不活化されるが代謝的に活性なリステリアを含む第1のワクチンは、「プライム」として、送達することができ、抗原ポリペプチドをコードする弱毒化されたが代謝的に活性なリステリアを含む第2のワクチンは、「ブースト」として送達することができる。しかし、プライムおよびブーストの両方が、本発明の方法および組成物を利用する必要がないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、本発明の細菌ワクチン方法および組成物と一緒に他のワクチンの様式を検討する。以下は、適切な混合プライムブースト療法の例である。DNA(例、プラスミド)ワクチンプライム/細菌ワクチンブースト、ウイルスワクチンプライム/細菌ワクチンブースト、タンパク質ワクチンプライム/細菌ワクチンブースト、DNAプライム/細菌ワクチンブーストプラスタンパク質ワクチンブースト、細菌ワクチンプライム/DNAワクチンブースト、細菌ワクチンプライム/ウイルスワクチンブースト、細菌ワクチンプライム/タンパク質ワクチンブースト、細菌ワクチンプライム/細菌ワクチンブーストプラスタンパク質ワクチンブースト等。このリストは、限定されるものではない。
【0121】
プライムワクチンおよびブーストワクチンは、同じ経路または異なる経路で投与することができる。「異なる経路」という用語は、例えば、口腔、非口腔、腸内、非経口、直腸、結節内(リンパ節)、静脈内、動脈、皮下、筋肉内、腫瘍周辺、腫瘍内、注入、粘膜、鼻、脳脊髄腔内または脳脊髄液等の部位等の、体の異なる部位、ならびに、例えば、経口、静脈、および筋肉内等の、異なる様式により包含するが限定されない。
【0122】
有効量のプライムまたはブーストワクチンは、一回量が投与され得るが、一回量に限定されない。したがって、投与は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上のワクチンの投与であり得る。本方法のワクチンが1回より多く投与される場合、投与は、1分、2分、3、4、5、6、7、8、9、10分以上の時間間隔で、約1時間、2時間、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間等の間隔で、間隔を置くことができる。時間との関連で、「約」という用語は、任意の時間間隔の30分以内の付加または差し引きを意味する。投与は、同様に、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、およびそれらの組み合わせの時間間隔で間隔を置くことができる。本発明は、時間を同等にあけた投与間隔に限定されず、限定しない例を提供すると、1日、4日、7日、および25日での投与からなるプライミングスケジュール等の、等しくない間隔での投与を包含する。
【0123】
ある実施形態では、ブーストワクチン接種の投与は、プライムワクチン接種の開始後約5日、プライムワクチン接種の開始後約10日、約15日、約20日、約25日、約30日、約35日、約40日、約45日、約50日、約55日、約60日、約65日、約70日、約75日、約80日、約6ヶ月、プライムワクチン接種の開始後約1年に開始することができる。好ましくは、プライムおよびブーストワクチン接種の1つまたは両方が、本発明の組成物の送達を含む。
【0124】
「医薬的に許容される賦形剤」または「診断的に許容される賦形剤」は、滅菌蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液、アミノ酸を基にした緩衝液、または重炭酸緩衝液を含むが限定されない。選択する賦形剤および使用する賦形剤の量は、投与方法に依存するであろう。経口、静脈内、皮下、皮膚、皮内、粘膜、非経口、臓器内、病巣内、鼻腔内、吸入、眼内、血管内、結節内で、表面剥離、直腸、腹腔内、または様々な投与方法のいずれか1つまたは組み合わせによって投与することができる。投与は、注射、注入、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0125】
非口腔経路による本発明のワクチンの投与は、耐性を避けることができる。方法は、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、経口、粘膜、尿路経由、生殖路経由、消化管経由、または吸入での投与のための当技術分野で知られている。
【0126】
特定の患者に対する有効量は、治療されている病気の症状、患者の全体的な健康状態、投与方法および投与量、ならびに副作用の重症度等の要因によって変化し得る。治療および診断の方法に対する指針は、入手可能である(例えば、Maynard, et al. (1996) A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice, Interpharm Press, Boca Raton, FL: Dent (2001) Good Laboratory and Good Clinical Practice, Urch Publ., London, UKを参照)。
【0127】
本発明のワクチンは、それぞれの1回分が、少なくとも1000細菌性細胞/kg体重、標準的に少なくとも10,000細胞、より標準的には少なくとも100,000細胞、最も標準的には少なくとも100万細胞、多くの場合少なくとも1000万細胞、より多くの場合は少なくとも1億細胞、典型的に少なくとも10億細胞、大抵は少なくとも100億細胞、慣習的に少なくとも1000億細胞、時々少なくとも1兆細胞/kg体重を含む場合、1回分または用量で投与することができる。本発明は、ソラレン治療前のCFUと同等の、細菌投与の単位がコロニー形成単位(CFU)である場合、または単位が細菌性細胞数である場合、上記の投与量を提供する。
【0128】
本発明のワクチンは、各投与量が、湿重量で、70kgの体重につき10から10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgの体重につき2x10から2x10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgの体重につき5x10から5x10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgの体重につき10から10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2.0x10から2.0x10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき5.0x10から5.0x10の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき10から1010の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2x10から2x1010の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき5x10から5x1010の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき1011から1012の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2x1011から2x1012の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき5x1011から5x1012の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき1012から1013の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2x1012から2x1013の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき5x1012から5x1013の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき1013から1014の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2x1013から2x1014の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき5x1013から5x1014の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき1014から1015の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)、70kgにつき2x1014から2x1015の細菌(または1.7平方メートル表面積につき、または1.5kgの肝重量につき)等を含む場合、1回分または用量で投与することができる。
【0129】
投与量が、毎日注射1回、2日おきに注射1回、3日おきに注射1回、4日おきに注射1回、5日おきに注射1回、6日おきに注射1回、または7日おきに注射1回で投与された場合、例えば、1日のみ、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、5週間、またはそれ以上の間、注射スケジュールが維持される場合、上記の投与量の1回以上も同様に提供される。本発明も同様に、例えば、比較的に大きな最初の細菌投与量の後比較的小さな次投与量、または比較的小さな最初の投与量の後大きな投与量等、上記の投与およびスケジュールの組み合わせを含む。
【0130】
例えば、1回/週、2回/週、3回/週、4回/週、5回/週、6回/週、7回/週、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回等の服薬スケジュールは、本発明に使用可能である。服薬スケジュールは、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、および12ヶ月等の合計期間の投薬を包含する。
【0131】
上記の服薬スケジュールのサイクルを提供する。サイクルは、例えば、約7日おき、14日おき、21日おき、28日おき、35日おき、42日おき、49日おき、56日おき、63日おき、70日おき等、繰り返すことができる。非服薬間隔は、例えば、約7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、56日、63日、70日等であり得る場合、サイクル間に生じることができる。これに関して、「約」という用語は、1日増減する、2日増減する、3日増減する、4日増減する、5日増減する、6日増減する、または7日増減することを意味する。
【0132】
本発明は、経口のリステリア投与方法を包含する。また、静脈内リステリア投与方法も提供する。さらに、提供されたものは、経口、筋肉内、静脈内、皮内、および/または皮下のリステリア投与方法である。本発明は、肉ベース、または、肉または畜産物に由来するポリペプチドを含む培地において栽培することによって調製される、リステリア細菌、または培養もしくはリステリア細菌の懸濁液を供給する。また、本発明は、肉もしくは畜産物を含有しない培地において栽培することによって調製される、植物ポリペプチドを含有する培地において栽培することによって調製される、酵母産物を基にしていない培地上で栽培することによって調製される、または酵母ポリペプチドを含有する培地上で栽培することによって調製される、リステリア細菌、または培養またはリステリア細菌の懸濁液を、を供給する。
【0133】
追加の治療薬と同時投与する方法は、当技術分野でよく知られている(Hardman, et al. (eds.) (2001) Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., McGraw‐Hill, New York, NY: Poole and Peterson (eds.) (2001) Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach, Lippincott, Williams & Wilkins, Phila., PA: Chabner and Longo (eds.) (2001) Cancer Chemotherapy and Biotherapy, Lippincott, Williams & Wilkins, Phila., PA)。
【0134】
本発明は、本発明のワクチン組成物と共に投与するための試薬を提供する。これらの試薬は、INF−α、リバビリン、レボビリン(levovirin)、ビラミジン(viramidine)、テラプレビル(telaprevir)、ボセプレビル(boceprevir)、PEG‐INF−α、および他の免疫療法を含む他のHCV療法、を含む。このリストは、限定されるものではない。試薬は、本発明のワクチン組成物と同時にまたは単独で(前または後に)投与されることができる。例えば、試薬は、本発明のワクチン組成物の直前(もしくは直後)に、同日に、1日前(もしくは後)に、1週間前(もしくは後)に、1ヶ月前(もしくは後)に、または本発明のワクチン組成物の2ヶ月前(もしくは後)等に、投与することができる。
【0135】
細胞傷害性T細胞応答起こすために有益な追加薬剤も、同様に使用できる。そのような薬剤は、本明細書では、キャリアと称される。これらは、限定なしに、B7共刺激分子、インターロイキン‐2、インターフェロン‐γ、GM−CSF、CTLA‐4拮抗薬、OX‐40/OX‐40リガンド、CD40/CD40リガンド、サルグラモスチム、レバミソール、ワクシニアウイルス、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、リポソーム、ミョウバン、完全または不完全フロインドアジュバント、解毒エンドトキシン、鉱油、リポレシチン(lipolecithin)、プルロニックポリオール(pluronic polyols)、ポリアニオン、ペプチド、および油乳剤または炭化水素乳剤等の界面活性物質を含む。細胞傷害性T細胞応答に対して抗体応答を優先的に刺激するT細胞免疫応答を誘発するためのキャリアが好ましいが、両方の種類の応答を刺激するものも、同様に使用することができる。薬剤がポリペプチドである場合、ポリペプチド自身またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、投与することができる。キャリアは、抗原提示細胞(APC)または樹枝状細胞等の細胞であり得る。抗原提示細胞は、マクロファージ、樹枝状細胞、およびB細胞等の細胞型を含む。他のプロフェッショナル抗原提示細胞は、単球、辺縁帯クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、相互に入り込んだ樹枝状細胞、濾胞樹状細胞、およびT細胞を含む。通性抗原提示細胞も、同様に使用することができる。通性抗原提示細胞の例は、星状膠細胞、濾胞上皮細胞、内皮、および線維芽細胞を含む。キャリアは、ポリペプチドを発現するため、または後にワクチン接種した個人の細胞に発現するポリヌクレオチドを送達するために変換される細菌細胞であり得る。水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム等のアジュバントは、免疫応答を誘発する、強める、または延長するために、ワクチンの能力を増加するために、追加され得る。サイトカイン、ケモカイン、およびCpGのような細菌核酸配列、トール様受容体(TLR)9作用薬、ならびにリポタンパク質、LPS、モノホスホリル脂質A、リポタイコ酸、イミキモド、レシキモド、および別々に使用されるまたは記載される組成物と併用される他の免疫変調成分のようなものを含むTLR2、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、TLR9のための追加作用薬等の追加材料も、同様に潜在的なアジュバントである。アジュバントの他の代表例は、キラヤサポナリアおよびコリネバクテリウム・パルバムの皮から精製された均質サポニンを含む合成アジュバントQS‐21を含む(McCune et al., Cancer, 1979: 43:1619)。アジュバントが、最適化の対象であることを理解されるであろう。つまり、当業者は、使用するための最高のアジュバントを決定するために日常の実験に、従事することができる。
【0136】
治療薬の有効量は、標準的には少なくとも10%、より標準的には少なくとも20%、最も標準的には少なくとも30%、典型的に少なくとも40%、より典型的に少なくとも50%、最も典型的に少なくとも60%、多くの場合は少なくとも70%、より多くの場合は少なくとも80%、および最も多くの場合は少なくとも90%、慣習的に少なくとも95%、より慣習的に少なくとも99%、および最も慣習的に少なくとも99.9%症状を和らげるまたは改善する量である。
【0137】
本発明の試薬および方法は、1回のみのワクチン接種を含む、または第1のワクチン接種を含む、または少なくとも1つのブースターワクチン接種を含む、少なくとも2つのブースターワクチン接種を含む、または少なくとも3つのブースター接種を含むワクチンを提供する。ブースターワクチン接種に対するパラメーターの指針は、入手可能である。例えば、Marth (1997) Biologicals 25:199‐203: Ramsay, et al. (1997) Immunol. Cell Biol. 75:382‐388: Gherardi, et al. (2001) Histol. Histopathol. 16:655‐667: Leroux‐Roels, et al. (2001) ActA Clin. Belg. 56:209‐219: Greiner, et al. (2002) Cancer Res. 62:6944‐6951: Smith, et al. (2003) J. Med. Virol. 70:Suppl.1:S38‐S41: Sepulveda‐Amor, et al. (2002) Vaccine 20:2790‐2795を参照)。
【0138】
治療薬の処方は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、または懸濁液の形態における、生理学的に許容されるキャリア、賦形剤、または安定剤と混合することによって保存のために調製することができる(例えば、Hardman, et al. (2001) Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw‐Hill, New York, NY: Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, NY: Avis, et al. (eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY: Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY: Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Marcel Dekker, NY: Weiner and Kotkoskie (2000) excipient Toxicity and Safety, Marcel Dekker, Inc., New York, NYを参照)。
【0139】
実施例
【0140】
以下の実施例は、本発明を説明するために用いる。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを目的としない。
【0141】
実施例1.ANZ100の開発
【0142】
リステリア・モノサイトゲネスANZ100ワクチンプラットフォーム株は、野生型リステリア・モノサイトゲネス株10403のストレプトマイシン耐性変異体である、リステリア・モノサイトゲネス株10403Sのプロファージなしの誘導体である、リステリア・モノサイトゲネス株DP L4056に由来する。Lm10403株は、先ずヒト皮膚障害から分離され(Edman 1968)、ストレプトマイシン耐性株10403Sは、BishopおよびHinrichsによって最初に説明された(Bishop 1987)。10403Sにおけるストレプトマイシン耐性は、TからCの核酸置換が56の位置におけるK(t(Arg)アミノ酸の代わりにR(Lys)を挿入するリボソームタンパク質遺伝子rpsLのコドン56において単一突然変異に位置し、Lm10403SからDP L4056株を分離するために使用するプロセスは、これまでに詳しく説明されている(Lauer 2002)。
【0143】
actAおよびinlB病原性遺伝子の除去、相同的組み換えによって遂行した。各遺伝子の欠失は、3つのステップを必要とする:(1)欠失対立遺伝子を含む組換えプラスミドの構成、(2)プラスミドの宿主染色体との一体化、および(3)プラスミドベクター配列および野生型の対立遺伝子の切除。LmΔactA/ΔinlB株CERS382.20を、マウスにおける病原性および免疫原性を基にした2つのPCR陽性の候補から選択した。C57Bl/6マウスにおける病原性を、競争指標分析を使用して評価した。両方の候補を、同等に弱毒化し、非ファージ処理したΔactA/ΔinlB研究株と同じレベルの弱毒化を観察した。次に、候補の、Balb/Cマウスにおいて、免疫優勢のKd限定LLOエピトープに対して特異的なT細胞を刺激するためのそれらの能力を検査した。候補または非ファージ処理されたΔactA/ΔinlB株間の、免疫効能における識別可能な差はなかった。両方の候補は、弱毒化および免疫効能を基にした非ファージ処理された研究株に相当したため、1つの候補(CERS382.20)を、さらなる性質決定のために選択した。
【0144】
actAおよびinlBの両方の遺伝子座を包含する重複PCR産物を、Lm株CERS382.20およびDP L4056の新鮮なコロニー懸濁液から増幅した。PCR産物を、配列し、それぞれの遺伝子座の単一連続するDNA配列を構築した、したがってCERS382.20におけるactAおよびinlB遺伝子の両方の正確な開始から終止コドン欠失を確認した。10403Sにおいて記載されたコドン56におけるrpsL突然変異を、CERS382.20に保存し、染色体DNAから直接増幅したPCR産物の配列分析によって文書化した。CERS382.20のストレプトマイシン耐性表現型を、選択培地上の増殖によって証明した。ストレプトマイシン耐性表現型を、臨床株の同定を容易にするために使用し、他のリステリアおよび非リステリア種と区別する。
【0145】
実施例2.HCV抗原の評価
【0146】
カイト・ドーリトル水治療法を、タンパク質の疎水性を描写するための基準として広く利用する。疎水性を、個々のアミノ酸残基に対し、および5から7のアミノ酸の引窓を超えた値を合計するため、溶媒和エンタルピーから計算する。0を超える値の領域は、疎水性である。HCVコア、NS3、およびNS5b抗原の最初のカイト・ドーリトル評価は、ActA−N100から得たピーク疎水性値以下の領域を同定するためであった。これを超える値は、リステリアにおいてよく発現しないポリペプチド配列を表すことができる。これらの結果を、図7に描写する。
【0147】
図8は、ウエスタンブロットで測定されるように、様々なActA−N100HCV抗原融合のリステリアによる抗原組換え発現を描写する。個々のHCV配列(コア配列1‐190、1‐180、および1‐177、NS3配列1‐631、1‐484、22‐631、22‐484、22‐280、172‐484、172‐631、および416‐631、ならびにNS5配列1‐574、1‐342、320‐591、および320‐574)を、細菌プロモーター(リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーター)の制御の下抗原発現カセットからActA−N100融合として発現する。発現カセットは、安定的にリステリア・モノサイトゲネスゲノムに組み込まれる。宿主細胞において大いに誘発するため、リステリア・モノサイトゲネスactAプロモーターを、選択した。
【0148】
肉汁培養からのウエスタンブロットを、0.7(late log)のOD600へ酵母エキス培地において増殖した細菌培養のTCA沈殿浮遊物の当量で実施した。Lm感染宿主細胞からのウエスタンブロットに関して、J774細胞またはDC2.4細胞は、50または100の感染の多重度(MOI)を1時間接種し、細胞を、リン酸緩衝食塩水および50μg/mLゲンタマイシンが補充されたダルベッコ変法イーグル培地で3x洗浄した。早い時点では、DC2.4を、感染後1.5または2.5時間で収穫した。遅い時点では、J774細胞を、7時間で収穫した。細胞を、SDS試料緩衝液で溶解し、収集し、4〜12%ポリアクリルアミドゲルで実施し、ウエスタンブロット分析のためにニトロセルロース膜へ伝播した。すべてのウエスタンブロットは、ActAタンパク質の成熟N末端に反して起きたポリクローナル抗体を利用した。
【0149】
図において、リそれぞれのパネルにおける1および2の区分は、ステリア株CRS‐207による抗原挿入およびメソテリン発現を示さない負および正の対照である。パネルAは、3、4、および5の区分における、コア配列1‐190、1‐180、および1‐177を示す。パネルBは、3‐10の区分における、NS3配列1‐631、1‐484、22‐631、22‐484、22‐280、172‐484、172‐631、および416‐631を示す。パネルCは、3‐7の区分における、NS5配列1‐574、1‐342、320‐591、および320‐574を示す。これらの図に見られるように、NS3172‐484は、NS5b1‐342も同様に、強発現を示す。図8の矢印は、発現配列から予測されたものより実質的に低い分子量である、産出されているタンパク質産物を示す。
【0150】
組換えリステリア・モノサイトゲネスからのこれらの様々なActA−N100HCV抗原融合の組換え発現も、同様に無傷のC末端SL8マウスT細胞エピトープの存在を評価するために使用した。SL8エピトープは、組換え抗原がN末端からC末端まで全体において発現していることを証明するため、ならびにMHCクラスI経路を介して組換え抗原を提示するための抗原提示細胞の能力を証明するために、タグとして機能する。各リステリア・モノサイトゲネスを、DC2.4細胞を感染するために使用した。感染で、組換えリステリア・モノサイトゲネスは、DC2.4細胞内で融合ポリペプチドを発現し、分泌した。DC2.4細胞が、ペプチドを適切に提示する場合、これを、レポーターT細胞ハイブリドーマライン(B3Z T細胞ハイブリドーマ)として検出することができる。結果を、以下の表に提示する。
【表6】

【0151】
カイト・ドーリトル疎水性解析を基に、タンパク質の発現結果、抗原提示データ、NS5Bタンパク質のアミノ酸1‐342、およびNS3のアミノ酸172‐484を、ワクチンコンストラクトにおける使用のために選択した。
【0152】
実施例3.ANZ521の開発
【0153】
リステリア・モノサイトゲネス株ANZ521は、ANZ100ワクチンプラットフォームを基にしたリステリアワクチン株である。ANZ521の起源および派生を描写する概略図を、図1に提供する。
【0154】
ANZ521を開発するためには、抗原発現カセット(図2A)を、HCV遺伝子産物、NS5bおよびNS3の一部を、細菌プロモーター(リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーター)の制御の下コードするように構成した。発現カセットを、リステリア・モノサイトゲネスゲノム(図2B)に、安定的に組み込んだ。宿主細胞において大いに誘発するため、リステリア・モノサイトゲネスactAプロモーターを、選択した。NS5bおよびNS3配列を含むHCV抗原を、ワクチン接種した宿主における、感染APCにおいて細菌からHCV NS5B‐NS3融合タンパク質の発現および分泌を最大限にする、ActAタンパク質(「ActA−N100」)のアミノ末端100アミノ酸と融合した単一ポリペプチドとして、発現する。
【0155】
発現した成熟ActA−N100‐HCV NS5B‐NS3融合タンパク質は、730のアミノ酸の長さで78.5kDaの予測した分子量である。NS5b‐NS3抗原発現カセットは、NS5bタンパク質(全長NS5bは、591aaである)のアミノ酸1‐342、およびNS3(全長NS3は、631aaである)のアミノ酸172‐484をコードする。HCV NS5b‐NS3アミノ酸配列は、HCV NS5bおよびNS3共通配列(Cox 2005、Ray 2005)に由来し、DNA配列のコードを、リステリア・モノサイトゲネスにおける発現のために最適なコドンを利用するために、再合成した。融合タンパク質としてリステリア・モノサイトゲネスから抗原を切断し、合成し、分泌するため、それらの天然構造または活性を有することはあり得ないが、タンパク質がそれらの内因性活性を有さないことを保証するために、部位特異的突然変異を、それぞれのタンパク質の活性のために重要であるモチーフに設計する。NS5Bポリメラーゼが、機能しないことを保証するために、アミノ酸配列を、二重突然変異を不活性化するGDDからGNH(NS5bのアミノ酸319から開始)を含有するために変更し、そこでそれぞれの変化が、RNAポリメラーゼ活性を完全に不活性化する(Lohmann 1997)。NS3ヘリカーゼ活性を不活性化するために、モチーフII(DECH)を、NS3のアミノ酸292から開始して、AASHへ突然変異した(Wardell 1999)。解媒セリンが、このコンストラクトにおいて提示されないため、NS3は、プロテアーゼ活性を有することはあり得ない。(Bartenschlager 1993)。
【0156】
ActA−N100‐HCV NS5B‐NS3共通配列抗原発現カセットを、LmΔactA/ΔinlB「親」株の染色体の(Δ)inlB遺伝子座で、標準的な対立遺伝子交換法を使用して挿入した。遺伝子交換ベクターを、直接相同的組み換えを、株382.20(図3A)の染色体のinlB遺伝子座へ方向付けるために、構成した。先ず、重複拡張によるスプライシング(splicing by overlap extension, SOE)PCRを、inlB遺伝子座の相同性上流の1315bpからinlB遺伝子座の相同性下流の1265bpを誘発するために使用した。一意的なKpnIおよびSacI限定酵素部位を、ベクターにHCV NS5b‐NS3抗原カセットを挿入するために使用した上流および下流相同の接合部で、追加した。結果の2606bpのPCR産物を、接合を容易にするために、伝達起点(oriT)を含有するように修正された遺伝子交換ベクターpKSV7(Smith 1992)の誘導体である温度感受性遺伝子交換ベクターpBHE261にクローン化し、「pBHE1151のinlB遺伝子交換ベクター」プラスミドを生じる。次に、actAプロモーター、actA遺伝子(ActA−N100断片をコードする)のアミノ末端300bpからなる発現カセット、およびコドン最適化HCV NS5b‐NS3共通配列抗原融合は、pBHE1151のinlB遺伝子交換ベクターにクローン化され、プラスミドpBHE1366(図3B)を生じる。
【0157】
プラスミドpBHE1366を、接合によって株CERS382.20に移し、接合完了体を、クロラムフェニコール(Cm)が補充されたプレートで選択する。個々のプラスミドを含有するコロニーを、採取し、肉汁培養において42℃で2回継代し、inlB遺伝子座でプラスミドの一体化のための選択するために、事前に温めたCmプレートに蒔いた。単一コロニーを、高温プレートから採取し、肉汁において30℃で5〜10回、非選択的に継代し、30℃で単一コロニーに対して蒔いた。HCV NS5b‐NS3共通配列発現カセットを含有するクローンを、以下の基準を基に選択した。ストレプトマイシン耐性、クロラムフェニコール感受性、HCV NS5b‐NS3配列に対するPCR陽性、pKSV7ベクター配列に対するPCR陰性、およびNS5bコードされた配列の挿入内にアニールするプライマー、および相同的組み換えを方向付けるために使用する1.3kb外の第2のプライマー付のPCRによるゲノム遺伝子座の確認。
【0158】
クローンを、Lm感染DC2.4組織培養細胞において、ActAの成熟N末端に対して向けられた抗体を使用するウエスタンブロットによって、ActA−N100‐HCV NS5B‐NS3融合タンパク質の発現のために選別した。最終クローン(BH2064)を、発現カセットの正確な挿入を確認したinlB遺伝子座で完全に配列し、HCV特異的T細胞応答の誘発、および感染のマウスモデルにおける生物内分布に対して検査した。
【0159】
実用的なANZ‐521ワクチン産物は、ダルベッコ(Dulbecco)リン酸緩衝食塩水(DPBS)および9%v/vグリセロールにおいて1x1010cfu/mLの微量力価で弱毒化リステリア・モノサイトゲネス株BH2064の1.5mLを含む。産物は、−60℃以下で冷凍保存することができる。
【0160】
実施例4.細菌で発現されたHCV抗原の免疫原性
【0161】
組換えリステリア・モノサイトゲネスを、マウスにおけるコードされた異種抗原に対して、強力なCD4+およびCD8+T細胞免疫を誘発するために示している。NS5bおよびNS3特異的T細胞免疫を誘発するためのHCV NS5b‐N3を発現するLmΔactA/ΔinlBの能力を、単一の予防接種後に、様々なマウス株において測定した。最初は、HCV抗原配列のC末端で追加SL8マウスT細胞エピトープを含有するコンストラクトを、免疫原性を確立するために使用した。これは、SL8エピトープが不足しているANZ521を使用して、後に確認された。
【0162】
NS5bおよびNS3特異的CD4+およびCD8+T細胞応答を、11のアミノ酸によって重なる入れ子状態にした15のアミノ酸ペプチドを含むペプチドライブラリーを使用してELISPOTまたは細菌内サイトカイン解析分析によって測定した。ライブラリーは、HCV NS5bおよびNS3の完全な配列に及ぶ。NS5bペプチドライブラリーのプール1および2は、NS5b断片を覆う、NS3ペプチドライブラリーのプール2および3は、ANZ‐521(図4)によって発現するNS3断片を覆う。最初の実験を、SL8タグコンストラクトで実施した。このコンストラクトは、SJLマウスにおけるNS3特異的免疫、およびすべての評価されたマウス株における、NS5b特異的免疫を誘発した:Balb/c、C57BL/6、FVB/n、C3HおよびSJLマウス(図5A)。
【0163】
HCV NS3タンパク質の2つの領域に位置したSJLにおけるNS3特異的T細胞応答:ペプチド44/45およびペプチド49から51によって覆われたアミノ酸(図5B)。これらは、以下の配列に対応する:IPVENLETTMRSPVF(配列番号1)、NLETTMRSPVFTDNS(配列番号2)、PPAVPQSFQVAHLHA(配列番号3)、PQSFQVAHLHAPTGS(配列番号4)、およびFQVAHLHAPTGSGKS(配列番号5)。後の実験は、これらの領域をそれぞれCD8+およびCD4+T細胞エピトープとして同定した(データ表示なし)。
【0164】
NS3およびNS5b特異的CD4+およびCD8+T細胞免疫も同様に、ANZ‐521の単一静脈内投与後、マウスにおける細菌内サイトカイン解析によって証明した(図6)。免疫のあるマウスの脾細胞を、細菌内サイトカイン染色のためのブレフェルジンAの存在下で、関連するペプチドで5時間刺激した。刺激された細胞を、CD4およびCD8に対して表面染色し、サイトフィックス/サイトパーム(cytofix/cytoperm)キットを使用して修理し透過処理した(BD Biosciences, San Jose, CA)。細胞を、IFN−γ、TNFαおよび/またはIL‐2に対して染色した。試料を、FACSCantoフローサイトメーターを使用して(BD Biosciences)入手した。データを、CD4+またはCD8+のイベントを排他的に含むために開閉し、IFN−γを発現しているこれらの細胞の割合を測定した。
【0165】
本発明を、当業者が作製および使用するために、十分詳細に説明および例証したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な代替、修正、および改善が明白であるはずである。本明細書で提供した実施例は、好ましい実施形態を代表するものであり、模範的なものであって、本発明の範囲の限定を意図するものではない。その中の修正および他の用途が当業者には思い浮かぶであろう。これらの修正は、本発明の精神内に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
【0166】
当業者には、様々な置換および修正を、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示された本発明に対して行い得ることが、容易に明らかとなるであろう。
【0167】
明細書で言及されたすべての特許および刊行物は、本発明に関する当業者の水準を示す。すべての特許および刊行物は、それぞれ個々の刊行物が、参照によって組み込まれると具体的かつ個々に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0168】
本明細書で図示的に説明された本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素、限定がない場合にも好適に実践することができる。したがって、例えば、本明細書の各事例において、「含む」、「本質的になる」、および「なる」という表現のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。採用されている用語および表現は、限定ではなく説明のための用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、記載された特性のいずれの同等物またはその一部も除くことを意図するものではなく、様々な修正が、特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特性によって具体的に開示されたが、当業者は、本明細書に開示された概念の修正および変形を用いることが可能であり、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0169】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)に対するT細胞応答を誘発するための方法であって、前記方法は、
前記対象における前記T細胞応答を誘発するように選択される条件下で、1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドを発現する細菌を含む組成物を、前記対象に投与することを含み、前記アミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される、1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する、1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質と(ii)の1つ以上のアミノ酸配列との組み合わせ
を含む、方法。
【請求項2】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、全長NS3、全長NS5b、NS3に由来するアミノ酸配列、およびNS5bに由来するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、および83からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細菌は、前記細菌のゲノムに組み込まれる前記1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、リステリア・モノサイトゲネスである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記細菌は、actA欠失突然変異体もしくはactA挿入突然変異体、inlB欠失突然変異体もしくはinlB挿入突然変異体、またはactA欠失もしくはactA挿入およびinlB欠失もしくはinlB挿入の両方を含むΔactA/ΔinlB突然変異体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上をコードするポリヌクレオチドは、前記細菌の病原性遺伝子に組み込まれており、前記ポリヌクレオチドの前記組み込みが、前記病原性遺伝子の発現を破壊するか、または前記病原性遺伝子のコード配列を破壊する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記病原性遺伝子は、actAまたはinlBである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細菌は、弱毒化リステリア・モノサイトゲネスである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記細菌は、Lm ΔactA/ΔinlBである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細菌は、前記細菌の核酸を修復する能力を減弱する遺伝子突然変異をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記遺伝子突然変異は、phrB、uvrA、uvrB、uvrC、uvrD、およびrecAから選択される1つ以上の遺伝子である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記細菌は、不活化されるが代謝的に活性なリステリア・モノサイトゲネスである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記核酸配列は、リステリア・モノサイトゲネスによる発現のためにコドン最適化される、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記対象における前記T細胞応答を誘発するように選択される前記条件は、前記対象に、経口、筋肉内、静脈内、皮内、および皮下からなる群から選択される1つ以上の投与経路によって、前記リステリア・モノサイトゲネスを投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、分泌シグナル配列を含む融合タンパク質として発現される、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記分泌シグナル配列は、リステリア・モノサイトゲネスActAシグナル配列である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるインフレームのActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質として発現される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、
(a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(b)NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(c)NS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
を含む融合タンパク質を発現するリステリア・モノサイトゲネスを投与することを含み、前記融合タンパク質は、リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーターに機能可能に結合される核酸配列から発現される、請求項1に記載の方法。

【請求項23】
前記リステリア・モノサイトゲネスは、配列番号18もしくは配列番号19の配列を有するNS5bのアミノ酸1〜342、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS5bのRNAポリメラーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、配列番号13もしくは配列番号14の配列を有するNS3のアミノ酸172〜484、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS3のヘリカーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、を含む融合タンパク質を発現する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、
(a)配列番号7〜23からなる群から選択されるHCVコンセンサス配列に記載される配列を有する、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される1つ以上の全長HCVタンパク質、
(b)(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上のアミノ酸配列、または、
(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(b)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、リステリアActA−N100のピーク疎水性を越える疎水性の領域を有さない、1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測されるコア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bsのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測される、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記対象は、慢性HCV感染を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物は、前記対象に送達されると、前記送達の24時間後に、IL−12p70、IFN−γ、IL−6、TNFα、およびMCP−1からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の血清中濃度の増加を誘発し、前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上に対するCD4+および/またはCD8+抗原に特異的なT細胞応答を誘発する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
核酸分子を含み、その配列が1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドをコードし、そのアミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(ii)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む、細菌を含む、組成物。
【請求項32】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、全長NS3、全長NS5b、NS3に由来するアミノ酸配列、およびNS5bに由来するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、および83からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記細菌は、前記細菌のゲノムに組み込まれる前記核酸配列を含む、リステリア・モノサイトゲネスである請求項31〜35のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
前記細菌は、actA欠失突然変異体もしくはactA挿入突然変異体、inlB欠失突然変異体もしくはinlB挿入突然変異体、またはactA欠失もしくはactA挿入およびinlB欠失もしくはinlB挿入の両方を含むΔactA/ΔinlB突然変異体である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上をコードするポリヌクレオチドは、前記細菌の病原性遺伝子に組み込まれており、前記ポリヌクレオチドの前記組み込みが、前記病原性遺伝子の発現を破壊するか、または前記病原性遺伝子のコード配列を破壊する、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
前記病原性遺伝子は、actAまたはinlBである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記細菌は、弱毒化リステリア・モノサイトゲネスである、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
前記細菌は、Lm ΔactA/ΔinlBである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記細菌は、前記細菌の核酸を修復する能力を減弱する遺伝子突然変異をさらに含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
前記遺伝子突然変異は、phrB、uvrA、uvrB、uvrC、uvrD、およびrecAから選択される1つ以上の遺伝子である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項40に記載の組成物。
【請求項45】
前記細菌は、不活化されるが代謝的に活性なリステリア・モノサイトゲネスである、請求項36に記載の組成物。

【請求項46】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記核酸配列は、リステリア・モノサイトゲネスによる発現のためにコドン最適化される、請求項36に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物は、医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項49】
前記核酸分子は、前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドを、分泌シグナル配列を含む融合タンパク質としてコードする、請求項31〜35のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記分泌シグナル配列は、リステリア・モノサイトゲネスActAシグナル配列である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記核酸分子は、前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドを、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるインフレームのActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質としてコードされる、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物は、核酸分子を含むリステリア・モノサイトゲネスを含み、その配列は、
(a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(b)NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(c)NS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
を含む融合タンパク質をエンコードし、前記融合タンパク質をコードする前記核酸分子は、リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーターに機能可能に結合される、請求項31の組成物。
【請求項53】
前記リステリア・モノサイトゲネスは、核酸分子を含み、その配列は、配列番号18もしくは配列番号19の配列を有するNS5bのアミノ酸1〜342、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS5bのRNAポリメラーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、配列番号13もしくは配列番号14の配列を有するNS3のアミノ酸172〜484、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS3のヘリカーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、を含む融合タンパク質をコードする、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、
(a)配列番号7〜23からなる群から選択されるHCVコンセンサス配列に記載される配列を有する、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される1つ以上の全長HCVタンパク質、
(b)(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上のアミノ酸配列、または、
(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(b)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項55】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、リステリアActA−N100のピーク疎水性を越える疎水性の領域を有さない、1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項56】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項57】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項58】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bsのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、を含む、請求項31に記載の組織物。
【請求項59】
対象におけるHCV予防または慢性HCV感染を治療する方法であって、前記方法は、
前記対象における前記T細胞応答を誘発するように選択される条件下で、1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドを発現する細菌を含む組成物を、前記対象に投与することを含み、そのアミノ酸配列は、
(i)コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される1つ以上の全長HCVタンパク質、
(ii)(i)からの1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上の免疫原性アミノ酸配列、または、
(i)の1つ以上の全長HCVタンパク質と(ii)の1つ以上のアミノ酸配列との組み合わせ
を含む、方法。
【請求項60】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、全長NS3、全長NS5b、NS3に由来するアミノ酸配列、およびNS5bに由来するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項62】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、NS3からの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、およびNS5bからの少なくとも100個の連続する残基と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、および83からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記細菌は、前記細菌のゲノムに組み込まれる前記1つ以上の免疫原性HCV抗原ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、リステリア・モノサイトゲネスである、請求項59〜63のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記細菌は、actA欠失突然変異体もしくはactA挿入突然変異体、inlB欠失突然変異体もしくはinlB挿入突然変異体、またはactA欠失もしくはactA挿入およびinlB欠失もしくはinlB挿入の両方を含むΔactA/ΔinlB突然変異体である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上をコードするポリヌクレオチドは、前記細菌の病原性遺伝子に組み込まれており、前記ポリヌクレオチドの前記組み込みが、前記病原性遺伝子の発現を破壊するか、または前記病原性遺伝子のコード配列を破壊する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記病原性遺伝子は、actAまたはinlBである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記細菌は、弱毒化リステリア・モノサイトゲネスである、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記細菌は、Lm ΔactA/ΔinlBである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記細菌は、前記細菌の核酸を修復する能力を減弱する遺伝子突然変異をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記遺伝子突然変異は、phrB、uvrA、uvrB、uvrC、uvrD、およびrecAから選択される1つ以上の遺伝子である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記細菌は、不活化されるが代謝的に活性なリステリア・モノサイトゲネスである、請求項64に記載の方法。

【請求項74】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、そのゲノムは、構成的に活性であるprfAタンパク質をコードする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記核酸配列は、リステリア・モノサイトゲネスによる発現のためにコドン最適化される、請求項64に記載の方法。
【請求項76】
前記対象における前記T細胞応答を誘発するように選択される前記条件は、前記対象に、経口、筋肉内、静脈内、皮内、および皮下からなる群から選択される1つ以上の投与経路によって、前記リステリア・モノサイトゲネスを投与することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項77】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、分泌シグナル配列を含む融合タンパク質として発現される、請求項59〜63のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記分泌シグナル配列は、リステリア・モノサイトゲネスActAシグナル配列である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるインフレームのActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質として発現される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記方法は、
(a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40からなる群から選択されるActA−N100配列、または前記ActA−N100配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(b)NS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS3からの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
(c)NS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列、またはNS5bからの少なくとも100個の連続する残基を含むアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列と、
を含む融合タンパク質を発現するリステリア・モノサイトゲネスを投与することを含み、前記融合タンパク質は、リステリア・モノサイトゲネスActAプロモーターに機能可能に結合される核酸配列から発現される、請求項59に記載の方法。

【請求項81】
前記リステリア・モノサイトゲネスは、配列番号18もしくは配列番号19の配列を有するNS5bのアミノ酸1〜342、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS5bのRNAポリメラーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、配列番号13もしくは配列番号14の配列を有するNS3のアミノ酸172〜484、またはその突然変異誘導体であって、前記突然変異は、NS3のヘリカーゼ活性を不活性化させる突然変異誘導体と、を含む融合タンパク質を発現する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、
(a)配列番号7〜23からなる群から選択されるHCVコンセンサス配列に記載される配列を有する、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bからなる群から選択される1つ以上の全長HCVタンパク質、
(b)(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質に由来する1つ以上のアミノ酸配列、または、
(a)の1つ以上の全長HCVタンパク質および(b)の1つ以上のアミノ酸配列の組み合わせを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項83】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、リステリアActA−N100のピーク疎水性を越える疎水性の領域を有さない、1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項85】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項86】
前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドは、1つ以上のMHCクラスIエピトープをコードすることが予測される、コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、1つ以上のMHCクラスIIエピトープをコードすることが予測される、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5bのうちの1つ以上のコンセンサス配列からの1つ以上の連続するHCVアミノ酸配列と、を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項87】
前記方法は、対象における慢性HCV感染の治療する方法である、請求項59に記載の方法。
【請求項88】
前記組成物は、前記対象に送達されると、前記送達の24時間後に、IL−12p70、IFN−γ、IL−6、TNFα、およびMCP−1からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の血清中濃度の増加を誘発し、前記免疫原性HCV抗原ポリペプチドのうちの1つ以上に対するCD4+および/またはCD8+抗原に特異的なT細胞応答を誘発する、請求項59に記載の方法。
【請求項89】
前記方法は、慢性HCV感染に罹患していない対象におけるHCV予防の方法である、請求項59に記載の方法。
【請求項90】
請求項31〜58のうちのいずれか1項に記載の組成物と、
医薬的に許容される賦形剤医薬組成物と、を含む、医薬組成物。
【請求項91】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、prfA*突然変異体である、請求項14または16に記載の方法。
【請求項92】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、prfA*突然変異体である、請求項44または46に記載の組成物。
【請求項93】
前記細菌は、リステリア・モノサイトゲネスprfA突然変異体であり、prfA*突然変異体である、請求項72または74に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2011−529077(P2011−529077A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520209(P2011−520209)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051596
【国際公開番号】WO2010/011870
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020678)
【Fターム(参考)】