説明

C型肝炎を治療するためのチエノピリジン

本発明によれば、ウイルスの複製、好ましくはC型肝炎ウイルス(HCV)複製を阻害することができる化合物が同定され、かつそれらを使用するための方法が提供された。本発明の一態様において、ウイルス感染症の治療または予防において有用な化合物が提供される。本発明の別の態様において、HCV感染症の治療または予防において有用な化合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2004年7月22日に出願された米国仮出願第60/589,876号の恩典を主張する。
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルスの翻訳制御を改変するチエノピリジン化合物を用いてC型肝炎を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
全世界で推定1億7千万人の人々が、C型肝炎の原因病原体であるC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していると報告されている。HCV感染症の70〜80%は慢性の肝臓感染症を招き、その結果として、肝線維症、肝硬変、および肝細胞癌を含む重度の肝臓疾患をもたらし得る(115)。
【0004】
HCVは、フラビウイルス科(Flaviviridae)のヘパシウイルス(Hepacivirus)属に相当し(106)、9.6kbのプラス鎖RNAゲノムを含む。HCVゲノムの特徴には、3,010個のアミノ酸からなるポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳を指示する配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードする5'非翻訳領域(UTR)が含まれる。HCVのORFに続いて、HCV変種によって長さが異なる3'-UTRが存在し、これはアンチゲノム鎖合成の開始に必要とされる配列をコードしている(79)。
【0005】
HCVのIRESおよび3'-UTRの双方とも、ゲノムの翻訳および複製に必要とされるRNA構造体の領域を含む。HCVポリタンパク質は翻訳後に処理されて、構造タンパク質のコア(推定上のヌクレオカプシド)、E1およびE2、ならびに非構造(NS)タンパク質NS2〜NS5Bを含む、少なくとも10種の成熟したウイルスタンパク質になる。
【0006】
3種の異なる要素、すなわち(1)HCV IRESの全体構造の完全性、(2)HCVゲノムの3'末端領域、および(3)HCV IRESエレメントと相互に作用し、かつ翻訳開始を補助するトランス作用性細胞因子が、HCV IRESを介した翻訳に関与していることが示された(35)。
【0007】
真核細胞におけるタンパク質合成の開始は、大部分は、5'キャップ依存的な、第1AUGの規則(first AUG rule)に従う(61)。しかし、次第に多数のウイルス(6、12、28、31a、50、95、97、98、105、128)および細胞mRNA(18、39、45、78、91、130)が、翻訳開始を指示するためにIRESエレメントを使用することが示された。1992年に、HCV RNAゲノムの5'UTRにおいてIRESエレメントが報告され(129)、ウイルスタンパク質の合成がキャップ非依存的に開始されることが示唆された。
【0008】
バイシストロン性発現系を使用して、IRESエレメントの機能を定義および評価することができる。この試験系は2種の異なるレポーター遺伝子を含み、このうち5'側に近いレポーター遺伝子はキャップ依存的な翻訳機序によって発現されるのに対し、第2のレポーターは、遺伝子間空間に挿入された上流の配列がIRES配列エレメントを含む場合にのみ発現される。この系を用いて、HCVの5'UTR中の推定上のIRESが、ウイルスタンパク質の翻訳制御に関与するIRESとして機能することが明白に実証された(133)。in vitroの翻訳、RNAトランスフェクション、および突然変異誘発の研究により、HCVの5'UTRがIRESエレメントを含むことのさらなる証拠が提供された(23、41、42、108、129、132、133、134)。in vitroおよび細胞ベースの研究の双方により、HCVのIRESが、細胞の翻訳開始因子をウイルスRNAの内部部位へ導くことが実証され(56、58、120)、したがって、HCV IRESの活性が機能的に実証された。総合すると、これらの結果は、HCVの5'-UTRが、HCVのタンパク質翻訳の内部開始機構において活発かつ非常に重要な役割を果たしているIRESエレメントを含むことを実証する。
【0009】
IRESは、HCVゲノムの最も高度に保存された領域のうちの1つであり、ウイルスの複製およびタンパク質合成のための極めて重要な性質を示している(13、118、122)。IRESの5'配列および3'配列の双方とも、翻訳開始の制御においてある役割を果たしているようであるが(42、109、110、113、136)、HCV IRESの機能のための最小限の配列要求は、44〜354ヌクレオチドの間の領域に位置づけられた(40)。
【0010】
生化学的探索およびコンピュータモデリングにより、HCVのIRESおよびその5'配列は折り畳まれて、4つの主要ドメインおよびシュードノットからなる異なる構造体になっていることが示唆されている(11、42、122)。ドメインIは、IRESエレメントの機能的部分ではないと思われる小型のステムループ構造体を含んでいるのに対し、ドメインII、III、およびIVは、HCV IRES活性を含んでいる(43、111)。HCV IRESの2次構造と3次構造の関係およびそれらの機能が、最近証明された(5、55、56、99、124)。ドメインIIおよびドメインIIIの双方とも、複数のステム、ループ、およびバルジからなり、かつIRES活性のために重要である(23、40、51、52、54、56、64、74、75、93、107、108、110、124、127、131、139)。ドメインIIは、解読プロセスに関係があるとされている、リボソームの立体配置の変化を誘導することができる(124)。ドメインIIIは、異なるHCV株の間で最も高度に構造が保存されている。これは、フラビウイルスIRESのコアを含み、かつ6つのサブドメインを有する(40)。様々な研究により、サブドメインIIIdが複雑な2次/3次構造を形成し、かつ開始活性のために重要であることが示された(55、56、57、124、129)。ドメインIVは、開始コドンにまたがる1つのステムループを有し、HCV IRESに特異的である(41、122)が、IRES活性におけるドメインIVの正確な役割は依然として物議をかもしている(41、112)。
【0011】
HCV IRESの役割は、ウイルスmRNA中の内部の開始コドンの近くに翻訳機序を位置づけることである。HCV IRESの翻訳開始機序は、5'キャップ依存的な翻訳開始の機序とは著しく異なる(7、21、31、35、81、96、114、123)。キャップ構造を有する細胞mRNAの大半は、翻訳開始プロセスに必要とされるいくつかの開始因子(eIF)を利用する。このプロセスの最初の段階は、5'キャップ構造と相互作用し、mRNAのキャップに近い領域に40Sリボソームサブユニットを動員するタンパク質を必要とする。次いでこの複合体は、翻訳が開始すると考えられるAUGコドンに到達するまで、キャップの3'を走査する(21、114)。しかし、HCVの場合、IRESが機能的に5'キャップ構造と入れ替わり、40SリボソームサブユニットおよびeIF3がRNAに直接結合することを可能にする。HCV IRESのサブドメインIIIdは、40Sリボソームサブユニットのための結合部位を含み、かつ翻訳開始に必要とされる開始因子は、eIF2、elF3、およびeIF4Eだけである(15、58、94、100、120、124)。
【0012】
ポリピリミジントラック結合(track-binding)タンパク質(PTB)およびLa自己抗原は、HCV IRESに結合し、かつその活性を高める非典型的な翻訳開始因子である(1、2、3、4、5、30、48、49、53)。PTB、すなわちRNAスプライシングに関与する57kDaのタンパク質はまた、ピコルナウイルス(picornavirus)mRNA、およびいくつかの細胞mRNAのIRESを介した効率的な翻訳開始のためにも必要である(10、11、36、53、59、89、92)。La自己抗原、すなわち2本鎖RNAを巻き戻す52kDaのタンパク質もまた、ポリオウイルスおよび細胞のIRESの活性を増大させる(38、85、86)。HCV IRESを介した翻訳開始に関与している他の細胞因子には、プロテアソームのαサブユニットPSMA7(62)、リボソームタンパク質S5(26)、リボソームタンパク質S9(24、25、100)、およびhnRNPL(33)が含まれる。しかし、HCV IRESを介した翻訳開始におけるこれらのRNA結合タンパク質の役割は不明である。最近、HCV複製に対するインターフェロン(IFN)αの活性が、Laタンパク質レベルの低下を引き起こすことによってHCV IRESを介した翻訳開始を標的とする可能性があることが報告された(117)。したがって、IRESと非典型的因子の相互作用を妨害する阻害物質は、効率的にHCV複製を阻害し、かつ細胞毒性が無い可能性がある。
【0013】
現在、インターフェロン(IFN)αおよびヌクレオシド類似体リバビリンの組合せのみが、HCV感染症の治療用に市販されている。しかし、これらの2種の作用物質は免疫調節薬であり、有効性は限られ、比較的毒性が高く、かつ高コストである(80、83、84、138)。治療の結果は6種の主要なHCV遺伝子型の間で異なるが、治療された全患者の約半数しか治療に反応せず、これは、ウイルスが、IFNの抗ウイルス作用を直接的にまたは間接的に減弱させ得るタンパク質生成物をコードしていることを示唆する。IFNはウイルス感染に応答して自然に産生され、また、IFNに細胞が曝露されると、様々なIFN刺激応答性遺伝子(ISG)の発現が誘導され、これらの遺伝子のうち多くは抗ウイルス機能を有する。ISG作用は、複製サイクル内の複数の時点でウイルス複製を制限することができる。
【0014】
HCVに苦しんでいる患者を治療する、より効果的な手段が依然として必要とされている。具体的には、既存の治療様式に対する交差耐性を誘発せず、かつ他の抗HCV剤との相乗作用を示す新規な抗ウイルス薬が必要とされている。本出願者らは、HCV感染を阻害する薬物候補を同定することを試み、抗HCV剤として有用なインドール化合物を同定することに成功した。1つの理論に限定されるものではないが、本発明の化合物は、IRESを介した開始、伸長、および終結、すなわち翻訳を阻害すると考えられている。
【0015】
本発明の化合物はまた、IRESエレメントを含むキャップ非依存的な他のウイルスの翻訳を阻害するのにも有用となり得る。このようなウイルスには、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、およびライノウイルスなどのピコルナウイルス属のもの;SARSなどのコロナウイルス属のもの;アルボウイルス属のもの;黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、および西ナイルウイルスなどのフラビウイルス属のもの、単純ヘルペスウイルスやカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどのヘルペスウイルス、または同様の複製様式を有する他の任意のウイルスが含まれる。さらに、本発明の化合物はまた、HIV、または同様の翻訳様式を有する他の任意のウイルスを阻害するのにも有用となり得る。
【0016】
本明細書において参照されるすべての文書は、あたかも本明細書で十分に説明されたかのように、参照により本出願に組み入れられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、HCV感染を阻害する化合物が同定され、かつそれらを使用するための方法が提供された。
【0019】
本発明の一態様において、HCV感染症の予防および/または治療において有用である式(I)の化合物が提供される。1つの理論に限定されるものではないが、本発明の化合物は、IRESを介した開始、伸長、および終結、すなわち翻訳を阻害すると考えられている。式(I)の化合物はまた、ウイルスがIRESエレメントを含む、他のウイルス感染症を抑制および/または治療するのにも有用となり得る。このようなウイルスには、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、およびライノウイルスなどのピコルナウイルス属のもの;SARSなどのコロナウイルス属のもの;アルボウイルス属のもの;黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、および西ナイルウイルスなどのフラビウイルス属のもの、単純ヘルペスウイルスやカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどのヘルペスウイルス、または同様の複製様式を有する他の任意のウイルスが含まれる。さらに、本発明の化合物はまた、HIV、または同様の翻訳様式を有する他の任意のウイルスを阻害するのにも有用となり得る。
【0020】
本発明の別の態様において、HCV感染症の予防および/または治療のための方法が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の態様において、HCV感染症の予防および/または治療用の本発明の化合物を含む薬剤組成物が提供される。
【0022】
一実施形態において、本発明は、HCV IRESを介した開始および翻訳を阻害するための方法であって、IRESを介した開始および翻訳を阻害するのに有効な量の本発明の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を対象としている。
【0023】
例示的な実施形態
実施形態1
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防および/または治療用の薬剤組成物であって、以下の式:
【化1】

【0024】
[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化2】

【0025】
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたもの;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化3】

【0026】
を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化4】

【0027】
・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化5】

【0028】
を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化6】

【0029】
を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化7】

【0030】
を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化8】

【0031】
を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化9】

【0032】
を形成する。]
を有する治療有効量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤および場合によっては追加の抗HCV剤と共に含む薬剤組成物。
【0033】
実施形態2
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0034】
実施形態3
Xがアミノ基または水素である、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0035】
実施形態4
Yが、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;または
ハロゲンで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールである、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0036】
実施形態5
Yが、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールである、
実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0037】
実施形態6
RがC1〜C6アルキルである、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0038】
実施形態7
Rがメチル基である、実施形態6に記載の薬剤組成物。
【0039】
実施形態8
R、R1、およびR2が独立にC1〜C6アルキルである、実施形態6に記載の薬剤組成物。
【0040】
実施形態9
R、R1、およびR2中の前記C1〜C6アルキルが独立にメチルまたはエチルである、実施形態6に記載の薬剤組成物。
【0041】
実施形態10
R1が、
C1〜C6アルキル;ならびに
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択される、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0042】
実施形態11
R1がC1〜C6アルキルである、実施形態10に記載の薬剤組成物。
【0043】
実施形態12
R1がメチルまたはエチルである、実施形態11に記載の薬剤組成物。
【0044】
実施形態13
R1がメチルまたはエチルである、実施形態12に記載の薬剤組成物。
【0045】
実施形態14
R2がC1〜C6アルキルである、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0046】
実施形態15
R2がメチルである、実施形態14に記載の薬剤組成物。
【0047】
実施形態16
前記化合物が、以下の化合物:
【表1】







からなる群から選択される、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0048】
実施形態17
前記化合物が、以下の化合物:
【表2】



からなる群から選択される、実施形態1に記載の薬剤組成物。
【0049】
実施形態18
以下の化合物:
【表3】







のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防または治療用の薬剤組成物。
【0050】
実施形態19
以下の化合物:
【表4】


のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防または治療用の薬剤組成物。
【0051】
実施形態20
前記組成物が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される追加の抗HCV剤をさらに含む、実施形態17に記載の薬剤組成物。
【0052】
実施形態21
以下の式:
【化10】

【0053】
[式中、
Xは、アミノまたは水素であり;
Yは、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
5員もしくは6員のヘテロアリールであってアルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
で場合によっては置換されたもの;
RはC1〜C6アルキルであり;
R1はC1〜C6アルキルであり、またはR1は、
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択され;かつ、
R2は、C1〜C6アルキル;またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノである。]
を有する化合物または薬剤として許容されるその塩を、追加の抗HCV剤および製薬上許容される賦形剤と共に含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防または治療用の薬剤組成物。
【0054】
実施形態22
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0055】
実施形態23
Rがメチル基である、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0056】
実施形態24
R、R1、およびR2が独立にC1〜C6アルキルである、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0057】
実施形態25
R、R1、およびR2中の前記C1〜C6アルキルが独立にメチルまたはエチルである、実施形態24に記載の薬剤組成物。
【0058】
実施形態26
R1がC1〜C6アルキルである、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0059】
実施形態27
R1がメチルまたはエチルである、実施形態26に記載の薬剤組成物。
【0060】
実施形態28
R2がC1〜C6アルキルである、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0061】
実施形態29
R2がメチルである、実施形態21に記載の薬剤組成物。
【0062】
実施形態30
対象のC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するため、または対象がHCVに感染するのを予防するための方法であって、以下の式:
【化11】

【0063】
[式中、
Xは、
水素;
シアノ基;
アミノ基;
【化12】

【0064】
5員もしくは6員のヘテロアリール;
アルコキシ基、シアノ基、もしくはハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、XはYと一緒になって、
【化13】

【0065】
を形成し、
Yは、
ハロゲン;
アミノ基;
【化14】

【0066】
-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
シアノ基;
-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
アルコキシもしくはシアノ基で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rbはハロアルキル、もしくはハロゲン、ハロアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
ニトロ基;
-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
-NHCORe基(Reは、ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;C1〜C6アルキルである)であり;
あるいは、Xと一緒になって、
【化15】

【0067】
を形成し、
Rは、
水素;
ハロアルキル;
ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
5員もしくは6員のヘテロアリール;
1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、RはR1と一緒になって、
【化16】

【0068】
を形成し、
R1は、
水素;
C6〜C8アリール;
C1〜C6アルキル;
OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
アルコキシであって、アルコキシ、または1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化17】

【0069】
を形成し、
R1はRと一緒になって、
【化18】

【0070】
を形成し、
R2は、
C1〜C6アルキル;
5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化19】

【0071】
を形成する。]
を有する、HCV阻害量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩および製薬上許容される賦形剤を含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0072】
実施形態31
追加の抗HCV剤を投与するステップをさらに含む、実施形態30に記載の方法。
【0073】
実施形態32
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
【0074】
実施形態33
Xがアミノ基または水素である、実施形態30に記載の方法。
【0075】
実施形態34
Yが、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;または
ハロゲンで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール、
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールである、実施形態30に記載の方法。
【0076】
実施形態35
Yが、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールである、
実施形態30に記載の方法。
【0077】
実施形態36
RがC1〜C6アルキルである、実施形態30に記載の方法。
【0078】
実施形態37
Rがメチル基である、実施形態36に記載の方法。
【0079】
実施形態58
R、R1、およびR2が独立にC1〜C6アルキルである、実施形態30に記載の方法。
【0080】
実施形態39
R、R1、およびR2中の前記C1〜C6アルキルが独立にメチルまたはエチルである、実施形態38に記載の方法。
【0081】
実施形態40
R1が、
C1〜C6アルキル;ならびに
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、からなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
【0082】
実施形態41
R1がC1〜C6アルキルである、実施形態40に記載の方法。
【0083】
実施形態42
R1がメチルまたはエチルである、実施形態41に記載の方法。
【0084】
実施形態43
R2がC1〜C6アルキルである、実施形態30に記載の方法。
【0085】
実施形態44
R2がメチルである、実施形態43に記載の方法。
【0086】
実施形態45
前記化合物が、以下の化合物:
【表5】







からなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
【0087】
実施形態46
前記化合物が、以下の化合物:
【表6】



からなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
【0088】
実施形態47
以下の化合物:
【表7】







のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防または治療用の薬剤組成物。
【0089】
実施形態48
以下の化合物:
【表8】


のうちの少なくとも1種を含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を予防または治療するための治療方法。
【0090】
実施形態49
対象のC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するため、または対象がHCVに感染するのを予防するための方法であって、以下の式:
【化20】

【0091】
[式中、
Xは、アミノまたは水素であり;
Yは、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールであり;
RはC1〜C6アルキルであり;
R1はC1〜C6アルキルであり、またはR1は、
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択され;かつ、
R2は、C1〜C6アルキル;またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノである。]
を有する、HCV阻害量の化合物または薬剤として許容されるその塩および製薬上許容される賦形剤を含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0092】
実施形態50
追加の抗HCV剤を投与するステップをさらに含む、実施形態49に記載の方法。
【0093】
実施形態51
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態50に記載の方法。
【0094】
実施形態52
対象のC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法であって、HCV阻害量の、以下の化合物:
【表9】







のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0095】
実施形態53
対象のC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法であって、HCV阻害量の、以下の化合物:
【表10】


のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0096】
実施形態54
ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される追加の抗HCV剤を投与するステップをさらに含む、実施形態53に記載の方法。
【0097】
実施形態55
以下の式:
【表11】






のうちの1つを有する化合物。
【0098】
実施形態56
以下の式:
【表12】


のうちの1つを有する化合物。
【0099】
実施形態57
対象における、配列内リボソーム進入部位(IRES)を含むウイルスによる感染症を治療または予防するための方法であって、以下の式:
【化21】

【0100】
[式中、
Xは、
水素;
シアノ基;
アミノ基;
【化22】

【0101】
5員もしくは6員のヘテロアリール;
アルコキシ基、シアノ基、もしくはハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、XはYと一緒になって、
【化23】

【0102】
を形成し、
Yは、
ハロゲン;
アミノ基;
【化24】

【0103】
-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
シアノ基;
-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
アルコキシもしくはシアノ基で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rbはハロアルキル、もしくはハロゲン、ハロアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
ニトロ基;
-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
-NHCORe基(Reは、ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;C1〜C6アルキルである)であり;
あるいは、Xと一緒になって、
【化25】

【0104】
を形成し、
Rは、水素;
ハロアルキル;
ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
5員もしくは6員のヘテロアリール;
1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、RはR1と一緒になって、
【化26】

【0105】
を形成し、
R1は、
水素;
C6〜C8アリール;
C1〜C6アルキル;
OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
アルコキシであって、アルコキシ、または1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化27】

【0106】
を形成し、
R1はRと一緒になって、
【化28】

【0107】
を形成し、
R2は、
C1〜C6アルキル;
5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化29】

【0108】
を形成する。]
を有する、ウイルス阻害量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩および製薬上許容される賦形剤を含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0109】
実施形態58
前記薬剤組成物が、追加の抗ウイルス剤をさらに含む、実施形態57に記載の方法。
【0110】
実施形態59
前記追加の抗ウイルス剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態58に記載の方法。
【0111】
実施形態60
対象における、配列内リボソーム進入部位(IRES)を含むウイルスによる感染症を治療または予防するための方法であって、以下の式:
【化30】

【0112】
[式中、
Xは、アミノまたは水素であり;
Yは、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール
であり;
RはC1〜C6アルキルであり;
R1はC1〜C6アルキルであり、またはR1は、
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択され;かつ、
R2は、C1〜C6アルキル;またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノである。]
を有する、ウイルス阻害量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【0113】
実施形態61
前記薬剤組成物が、追加の抗ウイルス剤をさらに含む、実施形態60に記載の方法。
【0114】
実施形態62
前記追加の抗ウイルス剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、実施形態61に記載の方法。
【0115】
実施形態63
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための薬剤組成物であって、以下の式:
【化31】

【0116】
[式中、
Xは、
水素;
シアノ基;
アミノ基;
【化32】

【0117】
5員もしくは6員のヘテロアリール;
アルコキシ基、シアノ基、もしくはハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、XはYと一緒になって、
【化33】

【0118】
を形成し、
Yは、
ハロゲン;
アミノ基;
【化34】

【0119】
-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
シアノ基;
-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
アルコキシもしくはシアノ基で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rbはハロアルキル、もしくはハロゲン、ハロアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
ニトロ基;
-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
-NHCORe基(Reは、ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;C1〜C6アルキルである)であり;
あるいは、Xと一緒になって、
【化35】

【0120】
を形成し、
Rは、
水素;
ハロアルキル;
ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
5員もしくは6員のヘテロアリール;
1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、RはR1と一緒になって、
【化36】

【0121】
を形成し、
R1は、
水素;
C6〜C8アリール;
C1〜C6アルキル;
OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
アルコキシであって、アルコキシ、または1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化37】

【0122】
を形成し、
R1はRと一緒になって、
【化38】

【0123】
を形成し、
R2は、
C1〜C6アルキル;
5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化39】

【0124】
を形成する。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を、IRES活性に影響を及ぼすことが当技術分野において公知の化合物および製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物。
【0125】
実施形態64
IRES活性に影響を及ぼすことが当技術分野において公知の前記化合物が、IRESを介したウイルスタンパク質の翻訳に影響を及ぼす、実施形態50に記載の薬剤組成物。
【0126】
実施形態65
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための薬剤組成物であって、以下の式:
【化40】

【0127】
[式中、
Xは、アミノまたは水素であり;
Yは、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール
であり;
RはC1〜C6アルキルであり;
R1はC1〜C6アルキルであり、またはR1は、
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択され;かつ、
R2は、C1〜C6アルキル;またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノである。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を、IRES活性に影響を及ぼすことが当技術分野において公知の化合物および製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物。
【0128】
実施形態66
IRES活性に影響を及ぼすことが当技術分野において公知の前記化合物が、IRESを介したウイルスタンパク質の翻訳に影響を及ぼす、実施形態65に記載の薬剤組成物。
【0129】
実施形態67
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための方法であって、以下の式:
【化41】

【0130】
[式中、
Xは、
水素;
シアノ基;
アミノ基;
【化42】

【0131】
5員もしくは6員のヘテロアリール;
アルコキシ基、シアノ基、もしくはハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、XはYと一緒になって、
【化43】

【0132】
を形成し、
Yは、
ハロゲン;
アミノ基;
【化44】

【0133】
-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
シアノ基;
-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
アルコキシもしくはシアノ基で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rbはハロアルキル、もしくはハロゲン、ハロアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
ニトロ基;
-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
-NHCORe基(Reは、ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;C1〜C6アルキルである)であり;
あるいは、Xと一緒になって、
【化45】

【0134】
を形成し、
Rは、水素;
ハロアルキル;
ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
5員もしくは6員のヘテロアリール;
1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、RはR1と一緒になって、
【化46】

【0135】
を形成し、
R1は、
水素;
C6〜C8アリール;
C1〜C6アルキル;
OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
アルコキシであって、アルコキシ、または1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化47】

【0136】
を形成し、
R1はRと一緒になって、
【化48】

【0137】
を形成し、
R2は、
C1〜C6アルキル;
5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化49】

【0138】
を形成する。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に前記対象に投与するステップを含む方法。
【0139】
実施形態68
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための方法であって、以下の式:
【化50】

【0140】
[式中、
Xは、アミノまたは水素であり;
Yは、
-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
-CORa基[式中、Raは、1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキル;ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール
であり;
RはC1〜C6アルキルであり;
R1はC1〜C6アルキルであり、またはR1は、
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ、
からなる群から選択され;かつ、
R2は、C1〜C6アルキル;またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノである。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に前記対象に投与するステップを含む方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0141】
本発明によれば、HCV翻訳を改変する化合物が同定され、かつHCV感染症を予防または治療するためにこれらの化合物を使用する方法が提供される。1つの理論に限定されるものではないが、本発明の化合物は、IRESを介した開始および翻訳を阻害すると考えられる。HCV IRESは、翻訳後に処理されて、構造タンパク質のコア(推定上のヌクレオカプシド)、E1およびE2、ならびに非構造(NS)タンパク質NS2〜NS5Bを含む、少なくとも10種の成熟したウイルスタンパク質になるウイルスポリタンパク質の翻訳を指示する。
【0142】
A 本発明の化合物
本発明の一態様において、HCV感染症の予防または治療に有用となり得る本発明の化合物が提供される。
【0143】
HCV IRESを介した開始および翻訳の阻害において有用な本発明の好ましい化合物には、以下に示されるような式(I)のものが含まれる。
【化51】

【0144】
[式中、
Xは、
水素;
シアノ基;
アミノ基;
【化52】

【0145】
5員もしくは6員のヘテロアリール;
アルコキシ基、シアノ基、もしくはハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリール
であり、
あるいは、XはYと一緒になって、
【化53】

【0146】
を形成し、
Yは、
ハロゲン;
アミノ基;
【化54】

【0147】
-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
シアノ基;
-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
アルコキシもしくはシアノ基で場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rbはハロアルキル、もしくはハロゲン、ハロアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
以下のもの、すなわち、
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
アルコキシ、ハロゲン、もしくはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
で場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール;
-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
ニトロ基;
-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
-NHCORe基(Reは、ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;C1〜C6アルキルである)
であり;
あるいは、Xと一緒になって、
【化55】

【0148】
を形成し、
Rは、水素;
ハロアルキル;
ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
5員もしくは6員のヘテロアリール;
1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
あるいは、RはR1と一緒になって、
【化56】

【0149】
を形成し、
R1は、
水素;
C6〜C8アリール;
C1〜C6アルキル;
OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
アルコキシであって、アルコキシ、または1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたもの
であり、
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化57】

【0150】
を形成し、
R1はRと一緒になって、
【化58】

【0151】
を形成し、
R2は、
C1〜C6アルキル;
5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
であり;
あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化59】

【0152】
を形成する。]
または薬剤として許容されるその塩であり、追加の抗HCV剤および製薬上許容される賦形剤と一緒にされる。
【0153】
他の好ましい実施形態において、本発明の化合物または組成物は、
【化60】

【0154】
ではない式Iの化合物を含む。
【0155】
本明細書において使用される場合、「アルキル」という用語は、一般に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、n-オクチルなどを含めて、直鎖状、分枝状、もしくは環状の形状の飽和ヒドロカルビル基、または環状および分枝状もしくは直鎖状のものの組合せを意味する。いくつかの実施形態において、アルキル置換基は、C1〜C8またはC1〜C6アルキル基でよい。
【0156】
本明細書において使用される場合、「アルキレン」とは、一般に、3-プロペニルを含むC2〜C6アルキレン基など、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケン基を意味する。
【0157】
本明細書において使用される場合、「アリール」とは、炭素環式芳香環構造体を意味する。5〜20個の炭素原子を有する芳香環は、アリール基の範囲に含まれる。アリール環構造体には、単環式、2環式、または3環式化合物など1つまたは複数の環構造を有する化合物が含まれる。アリール基の例には、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル(すなわちフェナントレン)、およびナフチル(すなわちナフタレン)環構造体が含まれる。いくつかの実施形態において、アリール基は場合によっては置換され得る。
【0158】
本明細書において使用される場合、「ヘテロアリール」とは、環中の1つまたは複数の原子、すなわち1つまたは複数のヘテロ原子が炭素以外の成分である、環式芳香環構造体を意味する。ヘテロ原子は、典型的にはO、S、またはN原子である。O、N、およびSヘテロアリール環構造体は、ヘテロアリールの範囲内に含まれ、かつ独立に選択可能である。環構造体には、単環式、2環式、または3環式化合物など1つまたは複数の環構造を有する化合物が含まれ得る。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、2つ以上のヘテロ原子、3つ以上のヘテロ原子、または4つ以上のヘテロ原子を含むヘテロアリール基から選択され得る。ヘテロアリール環構造体は、5個以上の原子、6個以上の原子、または8個以上の原子を含むものから選択され得る。ヘテロアリール環構造体の例には、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、1,3-ジアジン、1,2-ジアジン、1,2-ジアゾール、1,4-ジアザナフタレン、フラン、フラザン、イミダゾール、インドール、イソキサゾール、イソキノリン、イソチアゾール、オキサゾール、プリン、ピリダジン、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、キノキサリン、チアゾール、チオフェン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、およびキナゾリンが含まれる。
【0159】
本明細書において使用される場合、「複素環」とは、環中の1つまたは複数の原子、すなわち1つまたは複数のヘテロ原子が炭素以外の成分である、環式の環構造体を意味する。ヘテロ原子は、典型的にはO、S、またはN原子である。O、N、およびS複素環式の環構造体は、複素環の範囲内に含まれ、かつ独立に選択可能である。環構造体には、単環式、2環式、または3環式化合物など1つまたは複数の環構造を有する化合物が含まれ得る。複素環基の例には、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル(valerolactamyl)、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、またはテトラヒドロチオピラニルなどが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環は場合によっては置換され得る。
【0160】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」とは、一般に、-O-R構造を有する基を意味する。いくつかの実施形態において、Rは、C1〜C8アルキル基などのアルキル基でよい。
【0161】
本発明では、ハロ置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、およびアスタチンなどのハロゲンから独立に選択され得る。ハロアルキルは、1つまたは複数のハロゲンで置換された、上記に定義したようなアルキル基である。ハロアルコキシは、1つまたは複数のハロゲンで置換された、上記に定義したようなアルコキシ基である。
【0162】
本発明では、X、Y、R、R1、およびR2を含む1つまたは複数の官能基が式(I)の分子中に組み込まれる場合、開示されている分子内の任意の位置に現れる各官能基は、独立に選択され得、かつ必要に応じて、独立に置換され得る。さらに、より一般的な置換基が本発明の分子中の任意の位置に対して示される場合、その一般的置換基は、より特殊な置換基に交換され得、かつ結果として生じる分子は本発明の分子の範囲内であることが理解されよう。
【0163】
「置換された」または「場合によっては置換された」とは、化学基が具体的に言及されない限り、個々の置換基が、参照される置換基に対して適切であることが当業者に公知の化学基で置換され得ることを意味する。
【0164】
例示的なX置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表13】


【0165】
好ましいX置換基としては、アミノ基または水素が挙げられる。特に好ましいX置換基としては、アミノ基が挙げられる。
【0166】
例示的なY置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表14】



【0167】
好ましいY置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表15】

【0168】
例示的なR置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表16】

【0169】
好ましいR置換基としては、C1〜C6アルキルが挙げられ、かつより好ましいR置換基としては、メチルが挙げられる。
【0170】
例示的なR1置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表17】


【0171】
好ましいR1置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表18】

【0172】
例示的なR2置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表19】

【0173】
好ましいR2置換基としては以下のものが挙げられ、式中、*は、足場分子が連結する結合を示す。
【表20】

【0174】
本発明の化合物としては、以下のもの:
【表21】







が挙げられる。
【0175】
上記の化合物は、以下に説明するスキームおよび実施例を用いて調製された。これらの化合物を生成する他の方法は、当業者には公知である。
【0176】
本発明の好ましい化合物としては、以下のもの:
【表22】



が挙げられる。
【0177】
B 本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、当技術分野において公知の任意の方式で作製され得る。例えば、本発明の化合物は、以下の一般的スキームに従って調製され得る。
【0178】
本発明のチエノピリジン化合物は、標準的な周知の合成方法論を用いて得ることができる。本発明における化合物を調製するためのすべての出発原料および中間体は、市販されており、または公知の合成方法および試薬を用いて、市販の材料から調製することができる。
【0179】
構造式IIによって示される式Iの化合物(式中、R3は、アリール、ヘテロアリール、シアノ、COORc、CORd、CONRaRb、NO2、CONRaSO2Re、SO2Re、およびSO2NRaRbなどの電子不足基を示す)は、スキームAにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化61】

【0180】
周囲温度〜80℃の温度で、トリエチルアミンなどの有機または無機塩基の存在下、アルコールや非プロトン性極性溶媒など適切な溶媒中で、2-シアノチオアセトアミドA2で1,3-ジケトンA1を処理することにより、中間体の2-メルカプト-3-シアノピリジンA3が得られる。ナトリウムメトキシド(NaOMe)などの塩基の存在下、A4(Lは、活性化メチレンに結合される適切な脱離基を示す)でA3を直接処理して、式IIの化合物を得ることができる。
【0181】
好ましくは、標準的な水による後処理処置によってA3を単離し、次いで、高温、例えば50〜90℃で、炭酸カリウム(K2CO3)などの塩基の存在下、ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性溶媒中で、A4で処理して、式IIの化合物を得ることができる。反応性の劣る基質を変換するために、水素化ナトリウムも採用することができる。
【0182】
別法として、構造式IIによって示される式Iの化合物を、スキームBにおいて示される方法を用いて調製することもできる。
【化62】

【0183】
酸化アルミニウムの存在下、アルコールなど適切な溶媒中で、アルデヒドB1および2-シアノチオアセトアミドB2を縮合させることにより、中間体B3が得られる。例えばピペリジンやヘキサメチルジシラザンカリウム(KHMDS)などの塩基の存在下でのB3とケトンB4の縮合、その後に続く閉環および自己酸化により、中間体の2-メルカプト-3-シアノピリジンB5が得られる。先に説明した方法を用いてB6でB5を処理することによって、式IIの化合物へのB5の変換を実現することができる。
【0184】
構造式IIIによって示される式Iの化合物も、スキームCにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化63】

【0185】
周囲温度〜80℃の温度で、トリエチルアミンなど有機または無機塩基の存在下、アルコールや非プロトン性極性溶媒など適切な溶媒中で、2-シアノチオアセトアミドC2でケトエナミンC1を処理することにより、中間体の2-メルカプト-3-シアノピリジンC3が得られる。次いで、先に説明した方法を用いて、化合物C3を式IIIの化合物に変換することができる。
【0186】
構造式IVによって示される式Iの化合物は、スキームDにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化64】

【0187】
スキームAおよびB(式中、R1はOAcである)で示される方法を用いて調製される5-チエノピリジニルアセタートD1は、標準的な塩基加水分解によってD2に変換することができる。高温、典型的には50〜90℃で、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下、アセトニトリルなど適切な溶媒中で、1-ブロモ-2-クロロエタンなどの1,2-ジハロエタンD3で化合物D2を処理して、化合物D4にすることができる。塩基の存在下、適切な溶媒中で、第1級アミンまたは第2級アミンD5でD4を処理することにより、式IVの化合物が得られる。
【0188】
構造式Vによって示される式Iの化合物は、スキームEにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化65】

【0189】
スキームDで示される方法を用いて調製される5-ヒドロキシチエノピリジンE1を、塩基の存在下でE2型の化合物でアセチル化して、式Vの化合物を得ることができる。
【0190】
構造式VIによって示される式Iの化合物は、スキームFにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化66】

【0191】
塩基、例えば4-ジメチルアミノピリジンの存在下、ジクロロメタンなど適切な溶媒中で、トリフルオロメチルスルホン酸無水物で化合物F1を処理して、トリフラートF2を得ることができる。パラジウム触媒の存在下、鈴木カップリング法を用いてアリールボロン酸F3でF2を処理することにより、式VIの化合物が得られる。
【0192】
構造式VIIによって示される式Iの化合物は、スキームGにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化67】

【0193】
G3型のチエノピリジン(式中、Lは適切な脱離基、好ましくはClやBrなどのハロゲンを示す)は、塩基の存在下、G2でG1を処理することによって調製することができる。高温で、様々なアミンG4でG3を処理することにより、式VIIの化合物が得られる。
【0194】
構造式VIIIによって示される式Iの化合物は、スキームHにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化68】

【0195】
スキームAまたはBにおいて示される方法を用いて調製される3-アミノチエノピリジンH1を、温度20〜90℃、酢酸など無機または有機酸の存在下、適切な溶媒中または溶媒として酢酸を使用して、2,5-ジメトキシテトラヒドロフランで処理することにより、式VIIIの化合物が得られる。
【0196】
構造式IXによって示される式Iの化合物は、スキームIにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化69】

【0197】
スキームAまたはBにおいて示される方法を用いて調製される3-アミノチエノピリジンI1は、酸性水性溶媒中の亜硝酸ナトリウムなど標準的なジアゾ化法を用いて、またはアセトニトリルなど適切な溶媒中でBuONOなど有機亜硝酸を使用して、in situで生成されるジアゾニウム塩中間体を経て、KIまたはCuIを用いて3-ヨードチエノピリジンI2に変換することができる。次いで、温度25〜180℃、適切な溶媒、例えばN-メチルピロリジノン中、CuCNでヨウ化物I2を処理して、式IXの化合物を得ることができる。
【0198】
構造式Xによって示される式Iの化合物は、スキームJにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化70】

【0199】
スキームIにおいて示される方法を用いて調製される3-ヨードチエノピリジンJ1を、標準的な鈴木カップリング条件下、パラジウム触媒の存在下でアリールまたはヘテロアリールボロン酸J2と反応させて、式Xの化合物を得ることができる。
【0200】
構造式XIによって示される式Iの化合物は、スキームKにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化71】

【0201】
先に説明した方法を用いて調製されるチエノピリジン-2-カルボキシラートK1は、標準的な加水分解または脱アルキル法を用いて、対応する酸K2に変換することができる。例えば、50〜80℃の高温にて、THFなど適切な溶媒中で、水酸化ナトリウム溶液でK1を処理して、K2を得ることができる。別法として、例えば、K1がt-ブチルエステルの場合の、トリフルオロ酢酸による標準的な脱t-ブチル化;またはK1がメチルエステルの場合の、BBr3もしくはヨウ化トリメチルシリルを用いた標準的な脱メチル化など選択的な脱アルキル法を用いて、K1からK2を得ることもできる。次いで、K2を、塩化チオニルまたは塩化オキサリルで酸を処理することによって酸塩化物として活性化し、あるいは、標準的なペプチドカップリング化学反応、例えばDMF中PyBOPを用いて活性エステルまたは活性無水物として活性化し、続いてアミンK3で処理することによって、式XIの化合物を得ることができる。
【0202】
構造式XIIによって示される式Iの化合物(式中、R7は、C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたフェニル、またはC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリールを示す)は、スキームLにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化72】

【0203】
先のスキーム群において示される方法を用いて調製されるチエノピリジン-2-カルボン酸L1は、ジクロロエタン-DMFなど適切な溶媒系においてDCCまたはPSカルボジイミドを用いて活性化し、続いてテトラゾールL2で処理することができる。高温、例えば50〜150℃で反応物を加熱することにより、式XIIの化合物が得られる。
【0204】
構造式XIIIによって示される式Iの化合物は、スキームMにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化73】

【0205】
市販されているM1型のヒドロキシアミジンを、塩基、例えばPS-DIEAの存在下、ジクロロメタンなど適切な非プロトン性溶媒中で2-クロロアセチルクロリドM2と反応させて、O-アシル化ヒドロキシアミンM3を得ることができる。温度80〜110℃にて、適切な溶媒中でM3を加熱することにより、M4型の5-クロロメチル-1,2,4-オキサジアゾールが得られる。50〜80℃の高温で、塩基、例えばNaOMeまたはK2CO3の存在下、適切な溶媒、好ましくは、MeOHやDMFなどプロトン性または非プロトン性の極性溶媒中で、スキームAにおいて記載した化学反応を用いて得ることができるM5でM4を処理することにより、式XIIIの化合物を得ることができる。
【0206】
構造XIVによって示される式Iの化合物は、スキームNにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化74】

【0207】
先のスキーム群において示される方法を用いて調製されるチエノピリジン-2-カルボン酸N1は、tert-ブタノール中トリエチルアミンなど有機塩基の存在下でジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(N2)と反応すると、高温でクルチウス(Curtis)転位を受けてN3を生じ、このN3を、ジクロロメタンに溶かした50%TFA中で2-アミノチエノピリジンに変換して、式XIVの化合物を得ることができる。
【0208】
構造式XVによって示される式Iの化合物は、スキームOにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化75】

【0209】
スキームAにおいて先に説明した方法を用いて調製される3-アミノ-2-メチルスルホニルチエノピリジンO1は、高温、例えば50〜70℃で、アセトニトリル中、亜硝酸ブチルおよびCuIでO1を処理することによって、3-ヨード-2-メチルスルホニルチエノピリジンO2に変換することができる。周囲温度〜60℃の温度で、NMP中CuCNでO2を処理することにより、3-シアノ誘導体O3が得られる。次いで、25〜85℃の温度にて、アセトニトリルなど適切な溶媒中で、O3の2-メチルスルホニル基をO4型のアミンと反応させて、構造式XVの化合物を得ることができる。
【0210】
構造式XVIによって示される式Iの化合物は、スキームPにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化76】

【0211】
先に説明した方法を用いて調製される2-アミノチエノピリジンP1を、周囲温度〜110℃の温度で、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンなどの適切な有機溶媒、または塩基および溶媒としてのピリジン中で、酸塩化物(P2)で処理して、構造式XVIの化合物を得ることができる。
【0212】
構造式XVIIによって示される式Iの化合物は、スキームQにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化77】

【0213】
先に説明した方法を用いて調製される2-アミノチエノピリジンQ1は、標準的なザンドマイヤージアゾニウム化学反応を用いて、濃塩酸などの酸性水性溶媒中のNaNO2でQ1を処理し、続いてハロゲン化銅Q2を添加することにより、2ハロチエノピリジンQ3(ハロゲンは、好ましくはブロモまたはヨードである)に変換することができる。別法として、50〜70℃の高温で、適切な溶媒、好ましくはアセトニトリル中、ハロゲン化銅の存在下にて亜硝酸ブチルなどの有機亜硝酸でQ1を処理することによって、Q3を得ることもできる。次いで、適切な溶媒系において、様々なアリールまたはヘテロアリールボロン酸Q4と共にパラジウム触媒を使用する鈴木式カップリングに化合物Q3を供して、構造式XVIIの化合物を得ることができる。
【0214】
構造式XVIIIによって示される式Iの化合物は、スキームRにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化78】

【0215】
先のスキームSにおいて説明した方法を用いて調製される2-ハロチエノピリジンR1(ハロゲンは、好ましくはクロロ、ブロモ、またはヨードである)を、トルエンなど適切な溶媒系において、カリウムtert-ブトキシドなどの塩基の存在下、様々な置換型アニリン(R2)とのパラジウム触媒下アミノ化反応に供して、構造式XVIIIの化合物を得ることができる。別法として、類似の化学反応を採用することにより、スキームPにおいて説明した化学反応を用いて合成できるR3およびハロアリール化合物R4からXVIIIを調製することもできる。
【0216】
構造式XIXによって示される式Iの化合物は、スキームSにおいて示される方法を用いて調製することができる。
【化79】

【0217】
次いで、還流している酢酸中で、アリールアルデヒド(S2)、例えばベンズアルデヒドとS1型の化合物を反応させて処理することによって、構造式XIXの化合物を提供することができる。
【0218】
C 本発明の方法
本発明の方法は、一般に、治療有効量の本発明の少なくとも1種の化合物をHCV感染症の治療を必要とする対象に投与するステップを含む。好ましい実施形態において、本明細書で説明する式Iの化合物を含む組成物の治療有効量が、治療を必要とする対象に投与される。他の好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される化合物または組成物は、本明細書で説明する式Iの化合物であって、式Iの化合物が、以下ではない化合物を含む。
【0219】
他の好ましい実施形態において、本発明の化合物または組成物は、
【化80】

【0220】
ではない式Iの化合物を含む。
【0221】
本発明の化合物は、当技術分野において公知である任意の薬物送達経路を介して対象に投与され得る。具体的な例示的投与経路としては、経口、眼球(ocular)、直腸、口腔内、局所、鼻、眼(ophthalmic)、皮下、筋肉内、静脈内(ボーラスおよび輸注)、大脳内、経皮、および肺が挙げられる。HCVに感染した個体を本発明の化合物で処置して、HCVのさらなる複製を抑制または低減させることができる。
【0222】
本明細書において使用される場合、治療有効量という用語は、HCVの翻訳を阻害し、それによってHCV感染症を効果的に治療また寛解させるのに有効な本発明の化合物の量を意味する。化合物の効果は、(1)HCV-RNAの存在、(2)抗HCV抗体の存在、(3)血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベル(ALTおよびASTは、HCVに慢性的に感染している患者において増加している)、もしくは(4)肝細胞の損傷、またはそれらの任意の組合せを分析することによって測定することができる。患者に対する正確な有効量は、対象の体重、大きさ、および健康状態に依存すると考えられる。所与の患者に対する治療有効量は、臨床家の技能および判断の範囲内である常用的な実験法によって決定することができる。
【0223】
任意の化合物について、細胞培養アッセイで、またはマーモセットやタマリンなど適切な動物モデルで、治療有効量を最初に概算することができる。動物モデルは、適切な濃度範囲および投与経路を決定するのにも使用され得る。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量および投与経路を決定することができる。治療の有効性および毒性、例えばED50(母集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(母集団の50%において致死的な用量)は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって測定することができる。治療作用と毒性作用の用量比が治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。より大きな治療指数を示す薬剤組成物が好ましい。このような組成物中に含まれる投薬量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わず、ED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は、使用される剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0224】
より具体的には、本発明の化合物に関して観察される濃度と生物学的作用の関係は、約0.1μg/ml〜約100μg/mL、好ましくは約1μg/mL〜約50μg/mL、より好ましくは約5μg/mL〜約50μg/mL、さらにより好ましくは約10μg/mL〜約25μg/mLの範囲の初期の標的血漿中濃度を要する。このような血漿中濃度を実現するために、投与経路に応じて、0.1μg〜100,000mgまで変動する用量で本発明の化合物を投与してもよい。個々の投薬量および送達方法に関する手引きは、文献において提供されており、通常、当技術分野の開業医は入手可能である。一般に、投与量は、約40〜約100kgの体重の患者(この体重範囲を上回るまたは下回る患者、特に40kg未満の小児に対しては投与量を調整してよい)に対して、約1mg/日〜約10g/日、または約0.1g〜約3g/日、または約0.3g〜約3g/日、または約0.5g〜約2g/日の範囲で、単回投与、分割投与、または連続投与で与えられる。
【0225】
厳密な投薬量は、治療を必要とする対象に関係する因子を考慮して、開業医によって決定されることになる。投薬量および投与方法は、十分なレベルの活性物質を提供するように、または所望の作用を維持するように調整される。考慮され得る因子には、疾患状態の重症度、対象の全体的健康、対象の年齢、体重、および性別、食生活、投与の時間および頻度、薬物の組合せ、反応感受性、ならびに治療に対する耐性/応答が含まれる。長時間作用性の薬剤組成物は、個々の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3〜4日毎、毎週、または2週間毎に1回、投与してよい。
【0226】
D 本発明の化合物の代謝生成物
本明細書で説明する化合物のin vivoでの代謝生成物も、本発明の範囲内である。このような生成物は、主として酵素的プロセスにより、例えば投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などの結果として生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物をその代謝生成物を生じるのに十分な期間、哺乳動物の組織または哺乳動物に接触させるステップを含む方法によって生成される化合物を含む。このような生成物は、典型的には、放射標識(例えばC14またはH3)された本発明の化合物を調製するステップと、ラット、マウス、モルモット、サルなどの哺乳動物またはヒトに、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgより多い量)でそれを投与して、代謝が起こるのに十分な時間(典型的には約30秒〜30時間)を与えるステップと、尿、血液、または他の生物試料からその変換生成物を単離するステップとによって同定される。これらの生成物は、標識されているため、容易に単離される(他のものは、代謝生成物中で残存する抗原決定基に結合できる抗体を使用することによって分離される)。代謝生成物の構造は、従来の方法で、例えばMS分析またはNMR分析によって決定される。一般に、代謝生成物の分析は、当業者に周知である従来の薬物代謝研究と同じ方法で実施することができる。変換生成物は、それらが他の方法でin vivoで存在しない限り、それら自身の生物活性を有していない場合でも、本発明の化合物を治療用に投薬するための診断的アッセイにおいて有用である。
【0227】
E 本発明の薬剤組成物
本発明の化合物をそのままで投与することは可能であるが、薬剤組成物として化合物を処方することが好ましい場合がある。したがって、本発明のさらに別の態様において、本発明の方法において有用な薬剤組成物が提供される。本発明の薬剤組成物は、個々の投与形態および剤形に応じて、担体、溶剤、安定化剤、佐剤、希釈剤など製薬上許容される賦形剤と共に調製してよい。薬剤組成物は、一般に、生理学的に適合するpHを実現するように調製すべきであり、処方および投与経路に応じて、pH約3〜pH約11、好ましくはpH約3〜pH約7の範囲でよい。代替の実施形態において、pHがpH約5.0〜pH約8.0の範囲に調整されることが好ましい場合がある。
【0228】
より具体的には、本発明の薬剤組成物は、治療的にまたは予防的に有効な量の本発明の少なくとも1種の化合物を、1種または複数種の製薬上許容される賦形剤と共に含む。治療的にまたは予防的に有効な量の本発明の化合物は、ウイルス阻害量の前記化合物を含む。「ウイルス阻害量」とは、ウイルスの複製または感染力を阻害するのに十分な量を意味する。場合によっては、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物の組合せを含んでよく、または、抗ウイルス剤など、ウイルス感染症の治療に有用である任意の追加の有効成分を含んでよい。抗ウイルス剤としては、それだけには限らないが、非限定的な例としてα-インターフェロンを含むペグ化インターフェロン;非限定的な例としてα-インターフェロンを含む非ペグ化インターフェロン;リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体;グルコシダーゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤;ポリメラーゼ阻害剤;p7阻害剤;「Fuzeon(商標)」(Trimeris社)などの融合阻害剤を含む侵入阻害剤;ヘリカーゼ阻害剤;抗線維化薬;カスパーゼ阻害剤;Toll様受容体アゴニスト;「Merimepodib(商標)」(Vertex Pharmaceuticals社)など、IMPDHを標的とする薬物(イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤);合成チモシンα1(「ZADAXIN(商標)」、SciClonePharmaceuticals社);Chiron社によって製造されるものなどの予防用ワクチン、治療用ウイルスワクチン、ならびにInnogenetics社およびXTL社によって製造されるものなどの治療用抗体;ならびにヒスタミンなどの免疫調節薬が挙げられる。
【0229】
例えば、非経口投与または経口投与用の本発明の製剤は、最も典型的には固形剤、溶液剤、乳剤、または懸濁剤であるが、肺投与用の吸入可能な製剤は一般に液剤または散剤であり、粉末製剤が一般に好ましい。本発明の好ましい薬剤組成物は、生理学的に適合する溶媒で投与前に溶解される凍結乾燥された固形物として調製してもよい。本発明の代替の薬剤組成物は、シロップ剤、クリーム剤、軟膏剤、錠剤などとして調製してもよい。
【0230】
「製薬上許容される賦形剤」という用語は、本発明の化合物などの薬剤物質を投与するための賦形剤を意味する。この用語は、過度の毒性を伴わずに投与することができる任意の製薬用賦形剤を意味する。製薬上許容される賦形剤は、組成物を投与するのに使用される個々の方法によってだけではなく、投与される個々の組成物によって、ある程度決定される。したがって、本発明の薬剤組成物の多種多様の適切な製剤が存在する(例えば、レミングトンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)を参照されたい)。
【0231】
適切な賦形剤は、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸共重合体、および不活性ウイルス粒子など大型で緩徐に代謝される高分子を含む担体分子でよい。他の例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸などの抗酸化薬;EDTAなどのキレート剤;デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などの炭水化物;油、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールなどの液体;湿潤剤または乳化剤;pH緩衝化物質などが挙げられる。リポソームも、製薬上許容される賦形剤の定義内に含まれる。
【0232】
本発明の薬剤組成物は、所期の投与方法に適した任意の形態で調製してよい。経口使用のためのものである場合、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性の懸濁剤、非水性液剤、分散性の散剤もしくは顆粒剤(超微粉砕された粒子もしくはナノ粒子を含む)、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤を調製してよい。経口使用のための組成物は、薬剤組成物を製造するための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製してよく、かつ、このような組成物は、味が良い薬剤を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤、および保存剤を含めて、1種または複数種の作用物質を含んでもよい。
【0233】
錠剤と組み合わせて使用するのに特に適した製薬上許容される賦形剤としては、例えば、セルロース、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(cross-linked povidone)、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸などの崩壊剤;ポビドン、デンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤が挙げられる。錠剤はコーティングしなくてもよく、または、胃腸管における崩壊および吸着(adsorption)を遅延させ、かつそれによって、より長期間にわたる持続作用を実現するためのマイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を単独でまたはワックスと共に使用してよい。
【0234】
経口使用用の製剤は、有効成分が、不活性な固形希釈剤、例えばセルロース、ラクトース、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセル剤として、または有効成分が、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブ油など非水性もしくは油性の媒体と混合される軟ゼラチンカプセル剤として与えてもよい。
【0235】
別の実施形態において、本発明の薬剤組成物は、懸濁剤を製造するのに適した少なくとも1種の製薬上許容される賦形剤と混合された状態で本発明の化合物を含む懸濁剤として調製され得る。さらに別の実施形態において、本発明の薬剤組成物は、適切な賦形剤を添加することによって、懸濁剤の調製に適した分散性の粉末および顆粒として調製され得る。
【0236】
懸濁剤に関して使用するのに適した賦形剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムなどの懸濁化剤;天然のリン脂質(例えばレシチン)、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアラート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシクエタノール(heptadecaethyleneoxycethanol))、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)などの分散剤または湿潤剤;ならびにカルボマー、蜜ろう、硬パラフィン、またはセチルアルコールなどの増粘剤が挙げられる。懸濁剤は、酢酸、メチル、および/またはn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾアートなど1種または複数種の保存剤;1種または複数種の着色剤;1種または複数種の矯味剤;ならびにスクロースやサッカリンなど1種または複数種の甘味剤も含んでもよい。
【0237】
本発明の薬剤組成物は、水中油型のエマルジョンの形態でもよい。油相は、オリーブ油やラッカセイ油などの植物油、液状パラフィンなどの鉱物油、またはこれらの混合物でよい。適切な乳化剤としては、アカシアゴムやトラガカントゴムなど天然のゴム;大豆レシチンなど天然のリン脂質、脂肪酸から誘導されるエステルまたは部分エステル;ソルビタンモノオレアートなどのヘキシトール無水物;およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなどこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。乳剤は、甘味剤および矯味剤も含んでよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトール、またはスクロースなどの甘味剤と共に調製してもよい。このような製剤は、粘滑剤、保存剤、矯味剤、または着色剤も含んでよい。
【0238】
さらに、本発明の薬剤組成物は、無菌注射用の水性乳剤や油性懸濁剤など無菌注射製剤の形態でもよい。この乳剤および懸濁剤は、上述した適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知技術に従って調製され得る。無菌注射製剤は、1,2-プロパンジオール溶液など、非経口的に許容される無毒性の希釈液または溶媒に溶かした無菌注射用の溶液または懸濁液でもよい。無菌注射製剤は、凍結乾燥された粉末としても調製され得る。使用し得る許容されるビヒクルおよび溶媒としては、水、リンガー溶液、および等張な塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌の不揮発性油も、溶媒または懸濁媒体として使用してよい。このためには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含めて、任意の無刺激性の不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製において同様に使用され得る。
【0239】
一般に、本発明の方法において有用な本発明の化合物は実質的に水に不溶性であり、かつ大半の製薬上許容されるプロトン性溶媒および植物油に難溶性である。しかし、これらの化合物は、一般に、中鎖脂肪酸(例えばカプリル酸およびカプリン酸)またはトリグリセリドに可溶性であり、かつ中鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステルにおいて高い溶解性を有する。例えばエステル化、グリコシル化、PEG化などにより、化合物を送達により適するようにする(例えば溶解性、生物活性、嗜好性を高める、有害反応を低減するなど)化学的または生化学的部分の置換または付加によって改変された化合物もまた、本発明において企図される。
【0240】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、溶解性の低い化合物に適した脂質ベースの製剤中に経口投与用に配合され得る。脂質ベースの製剤は、一般にこのような化合物の経口バイオアベイラビリティを高めることができる。したがって、本発明の好ましい薬剤組成物は、治療的にまたは予防的に有効な量の本発明の化合物を、中鎖脂肪酸またはそのプロピレングリコールエステル(例えば、カプリル脂肪酸やカプリン脂肪酸など食用脂肪酸のプロピレングリコールエステル)およびポリオキシル40硬化ヒマシ油などの製薬上許容される界面活性剤からなる群から選択される、少なくとも1種の製薬上許容される賦形剤と共に含む。
【0241】
代替の好ましい実施形態において、水溶解性向上物質としてシクロデキストリンを添加してもよい。好ましいシクロデキストリンとしては、α-、β-、およびγシクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシル、およびマルトトリオシル誘導体が挙げられる。特に好ましいシクロデキストリン溶解性向上物質はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBC)であり、前述の組成物のうちの任意のものにこれを添加して、本発明の化合物の水溶解性特質をさらに改善してよい。一実施形態において、組成物は、0.1%〜20%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、より好ましくは1%〜15%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、さらにより好ましくは2.5%〜10%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む。使用される溶解性向上物質の量は、組成物中の本発明の化合物の量に応じて変わる。
【0242】
F 併用療法
化合物を含めて、HCV感染症の治療において有用な1種または複数種の他の有効成分と本発明の任意の化合物を、1つの剤形で、または治療を必要とする患者への同時投与もしくは逐次投与のための別々の剤形で組み合わせることもまた可能である。逐次投与される場合、この組合せは、2回以上の投与で投与され得る。代替の実施形態において、1種または複数種の本発明の化合物および1種または複数種の追加の有効成分を異なる経路によって投与することが可能である。
【0243】
本発明の化合物のウイルス阻害活性を増強し、または相乗的に高める役割を果たし得る様々な有効成分を、本発明の化合物と組み合わせて投与してよいことが、当業者には認識されよう。このような有効成分としては、抗HCV剤が挙げられる。抗HCV剤には、ウイルスを標的とする作用物質、ならびに免疫調節作用を有する作用物質が含まれる。例えば、抗HCV剤としては、それだけには限らないが例えばIFN-αを含むインターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、Toll様受容体アゴニスト、カスパーゼ阻害剤、およびグリコシダーゼ阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。さらに、本発明の化合物はまた、当業者に公知のIRES活性に影響を及ぼす他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
【0244】
本発明の方法によれば、有効成分の組合せは、(1)一緒に調製され、かつ投与されても、もしくは複合製剤中で同時に送達されてもよく、(2)別々の製剤として交互にもしくは同時に送達されてもよく、または(3)当技術分野で公知の他の任意の併用療法レジメンに従ってもよい。交互療法で送達される場合、本発明の方法は、例えば別々の液剤、乳剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、もしくはカプセル剤中で、または別々のシリンジに入れた異なる注射剤によって、有効成分を逐次的に投与または送達するステップを含み得る。一般に、交互療法の期間中、各有効成分の有効投薬量が逐次的に、すなわち順次投与されるのに対し、同時療法では、2種以上の有効成分の有効投薬量が共に投与される。様々な順序の間欠的な併用療法も使用され得る。
【0245】
本発明の理解を助けるために、以下の実施例が含まれる。当然、本発明に関する実験は、本発明を特に限定するものとして解釈されるべきではなく、かつ、当業者の認識範囲内であると考えられる現在公知の、または追って開発された本発明の変形例は、本明細書において記述し、特許請求するような本発明の範囲内であるとみなされる。
(実施例)
【0246】
以下の非限定的な実施例を参照して、より詳細に本発明を説明するが、これらの実施例は本発明をより十分に例示するために提供されるが、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、本発明のいくつかの化合物の調製、ならびにin vitroおよび/またはin vivoでのこれらの化合物の試験を例示する。当業者には、これらの実施例で説明される技術は、本発明の実施に際して良く機能する、本発明者らによって説明される技術であり、したがって、その実施のためにより好ましい態様に相当することが理解されよう。しかし、開示される個々の方法において多くの変更をすることができ、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果をなお得ることができることを、当業者は本開示に照らして認識しているはずであることを理解されたい。
【実施例1】
【0247】
本発明の化合物の調製
実施例1A:tert-ブチル3-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-B]ピリジン-2-カルボキシラート(化合物3)の調製
【化81】

【0248】
ステップA:室温、エタノール(100mL)中の2-シアノチオアセトアミド(6.33g、63.3mmol)およびトリエチルアミン(6.39g、8.81mL、63.3mmol)の混合物に、3-エチルペンタン-2,4-ジオン(8.1g、8.50mL、63.3mmol)を添加した。60℃で1時間攪拌した後、この混合物を室温まで放冷し、かつ冷水(800mL)中に注いだ。沈殿物の5-エチル-2-メルカプト-4,6-ジメチルニコチノニトリルをろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄し(30mLで2回)、かつ空気中で乾燥させて黄色の粉末を得た(10.87g、89%)。LC/MSにより、単一の成分(MS ES+ m/z:193)が示され、さらなる精製はせずにこれを使用した。
【0249】
ステップB:DMF(50mL)中の、上記で調製した5-エチル-2-メルカプト-4,6-ジメチルニコチノニトリル(3.84g、20.0mmol)、tert-ブチルブロモアセタート(4.29g、22.0mmol)、およびK2CO3粉末(6.90g、50.0mmol)の混合物を室温で20分間、次いで80℃で24時間攪拌した。次いで、この混合物を冷水(500mL)中に注いだ。沈殿物をろ過によって回収し、水で洗浄し、かつ空気中で乾燥させて黄色の粉末(5.90g、96%)を得て、表題化合物のtert-ブチル3-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-B]ピリジン-2-カルボキシラートを得た。
【0250】
様々な1,3-ジケトンおよび2-ハロ酢酸誘導体、または2-ハロアセトニトリルおよび2-ハロメチルヘテロ芳香族を用いることによって、上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物2、18、19、20、21、22、26、28、29、30、および56を調製した。
【0251】
実施例1B:tert-ブチル3-アミノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-l0-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-2-カルボキシラート(化合物45)の調製
【化82】

【0252】
ステップA:チオフェン-2-カルバルデヒド(20.0g、0.18mol)および2-シアノチオアセトアミド(17.8g、0.18mol)のメタノール(400mL)溶液に、中性のAl2O3(106g)を添加した。室温で48時間、懸濁液を攪拌し、次いでろ過した。その固形物をメタノールで洗浄し、ろ液を合わせ、次いでエバポレーションによって溶媒を除去して、2-シアノ-3-チエン-2-イルプロパ-2-エンチオアミド(30g、87%)を得た。
【0253】
ステップB:エタノール(100mL)中の2-シアノ-3-チエン-2-イルプロパ-2-エンチオアミド(4.2g、21mmol)、シクロヘプトン(2.4g、21mmol)、およびピペリジン(1.8g、22mmol)の混合物を一晩80℃まで加熱した。溶媒を除去した後、残留物を水で処理し、かつ酢酸エチルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒除去後に得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、2-メルカプト-4-チエン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-3-カルボニトリル(1.6g、25%)を得た。
【0254】
ステップC:エタノール(20mL)中の2-メルカプト-4-チエン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-3-カルボニトリル(143mg、0.5mmol)、tert-ブチルブロモアセタート(97mg、0.5mmol)、およびトリエチルアミン(51mg、0.5mmol)の混合物を室温で一晩攪拌し、次いでNaOMe(30mg、0.56mmol)を添加した。次いでこの混合物を30分間還流し、氷上に注いだ。沈殿物をろ過し、水で洗浄して、純粋なt-ブチル3-アミノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-2-カルボキシラートを得た。
【0255】
様々なアルデヒド、ケトン、および2-ハロ酢酸誘導体を用いて、上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物31、32、33、34、および46を調製した。
【0256】
実施例1C:t-ブチル3-アミノ-4,6-ジメチル-5-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(化合物67)の調製
【化83】

【0257】
ステップA:室温で、ペンタン-2,4-ジオン(67.5g、67.5mmol)のトルエン(1.5L)溶液にPb(OAc)4(300g、67.5mmol)を分割して添加した。次いで、反応混合物を110℃まで加熱し、かつ一晩攪拌した。室温まで放冷した後、この反応混合物を水(800mL)で反応停止させた。EtOAcで(800mLで3回)水層を抽出した。一緒にした有機層を塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、かつ減圧下で濃縮して、粗製の1-アセチル-2-オキソ-プロピルオキシアセタート(64g、60%)を得た。
【0258】
ステップB:上記化合物(40g、25.3mmol)のエタノール(1L)溶液に、Et3N(25.6g、25.3mmol)を添加した。0.5時間攪拌した後、2-シアノチオアセトアミド(25.3g、25.3mnol)のエタノール(150mL)溶液を滴加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、水(600mL)で反応を停止させ、EtOAcで(600mLで3回)水層を抽出した。一緒にした有機層を塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、かつ減圧下で濃縮して、粗生成物を得、これをエタノール(800mL)で溶解し、かつEt3N(17.3g、17.1mmol)で処理し、さらに0.5時間攪拌した。この溶液に、t-ブチルクロロアセタート(25.7g、17.2mmol)のエタノール(150mL)溶液を滴加し、次いでこの反応混合物を加熱還流し、かつ3時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を水(800mL)で処理し、また、沈殿物を回収し、エタノール(500mL)中に溶解させた。ナトリウムメトキシド(2.4g)を分割して(potionwise)この溶液に添加し、混合物を3時間加熱還流し、次いで濃縮した。次いで、得られる残留物を水(800mL)で処理し、かつ、ろ過により固形物を回収して、tert-ブチル5-アセトキシ-3-アミノ-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(19.6g、78%)を得た。
【0259】
ステップC:tert-ブチル5-アセトキシ-3-アミノ-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(19.6g、5.8mmol)のメタノール(300mL)溶液に、LiOHの5%水溶液(150mL)を添加し、かつこの混合物を一晩攪拌した。沈殿物を回収し、水で洗浄して、tert-ブチル3-アミノ-5-ヒドロキシ-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(12g、71%)を得た。
【0260】
ステップD:上記で得たtert-ブチル3-アミノ-5-ヒドロキシ-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(12g、40mmol)をCH3CN(300mL)中に溶解し、続いてK2CO3(11g、80mmol)および1-ブロモ-2-クロロエタン(5.7g、40mmol)を添加した。この混合物を8時間加熱還流し、水(100mL)を添加し、かつこの混合物を酢酸エチルで(60mLで3回)抽出した。有機層を0.5%水酸化ナトリウム水溶液(150mL)および塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで濃縮して、黄色の固形物としてtert-ブチル3-アミノ-5-(2-クロロエトキシ)-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(6.9g、50%)を得た。
【0261】
ステップE:上記で調製したtert-ブチル3-アミノ-5-(2-クロロエトキシ)-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(50mg、0.22mmol)をCH3CN(5mL)中に溶解し、続いてK2CO3(41mg、0.30mmol)、モルホリン(26mg、0.30mmol)、および触媒量のKIを添加した。この混合物を一晩加熱還流し、減圧下で溶媒を除去し、水を添加し、かつ酢酸エチル(10mL)で残留物を抽出し、また、有機相を水(5mLで3回)、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、分取HPLCで濃縮および精製して、表題化合物のtert-ブチル3-アミノ-4,6-ジメチル-5-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(20mg、30%)を得た。.
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物66、68、69、70、71、72、73、および74を調製した。
【0262】
実施例1D:tert-ブチル3-アミノ-4,6-ジメチル-5-(ピロリジン-1-カルボニルオキシ)-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(化合物75)の調製
【化84】

【0263】
CH3CN(1mL)中の実施例1C、ステップCで調製したtert-ブチル3-アミノ-5ヒドロキシ-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(40mg、0.14mmol)を、室温でEt3N(52mg、0.52mmol)およびピロリジン-1-カルボニルクロリド(51mg、0.39mmol)と混合した。3時間攪拌した後、混合物を減圧下で蒸発させ、水を添加し、かつ酢酸エチル(3mL)で抽出し、水(3mLで3回)、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して、tert-ブチル3-アミノ-4,6-ジメチル-5-(ピロリジン-1-カルボニルオキシ)-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(41mg、52%)を得た。
【0264】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物76を調製した。
【0265】
実施例1E:5-エチル-4,6-ジメチル-2-(5-フェニル-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-チエノ[2,3-b]ピリジン-3-イルアミン(化合物6)の調製
【化85】

【0266】
ジクロロエタン(8mL)およびDMF(2mL)の混合液に溶かした3-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸(0.16g、0.63mmol)の溶液に、PS-カルボジイミド(1.0g、1.26mmol)を添加した。この混合物を室温で15分間振とうし、続いて5-フェニルテトラゾール(0.042g、0.32mmol)を添加した。次いで、この混合物を80℃で一晩振とうした。次いで、ろ過によって樹脂を除去し、かつ熱クロロホルムで(5mLで2回)洗浄した。真空中でろ液を蒸発乾固し、クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル、9/1)によって精製して、生成物5-エチル-4,6-ジメチル-2-(5-フェニル-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-チエノ[2,3-b]ピリジン-3-イルアミン(0.063g、56%)を得た。
【0267】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、23を調製した。
【0268】
実施例1F:4,5,6-トリメチル-2-(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)-チエノ[2,3-b]ピリジン-3-イルアミン(化合物24)の調製
【化86】

【0269】
N-ヒドロキシ-ベンズアミジン(41mg、0.30mmol)のDCM(10mL)溶液にPS-DIEA(240mg、0.90mmol)を添加し、続いて塩化クロロアセチル(0.36mL、0.45mmol)を添加した。この混合物を室温で24時間振とうし、かつろ過して樹脂を除去した。次いで、溶媒をトルエンに交換し、得られた混合物を120℃で一晩、密封した試験管中で攪拌した。次いで、トルエンをDMF(10mL)に交換し、かつこの溶液にK2CO3(124mg、0.90mmol)および2-メルカプト-4,5,6-トリメチル-ニコチノニトリル(54mg、0.30mmol)を添加した。この混合物を80℃で一晩攪拌した後、それを水中に注いだ。沈殿物を回収し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題生成物の4,5,6-トリメチル-2-(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)-チエノ[2,3-b]ピリジン-3-イルアミン(21mg、21%)を得た。
【0270】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物25を調製した。
【0271】
実施例1G:シクロペンタンカルボン酸(3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチル-チエノ[2,3b]ピリジン-2-イル)アミド(化合物49)の調製
【化87】

【0272】
ステップA:実施例1Aで説明した手順と同様にして調製したメチル3-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(7.92g、30.0mmol)とアセトニトリル(150mL)中のCuI(11.40g、60.0mmol)との混合物にn-ブチルニトリット(6.18g、7.12mL、60.0mmol)を添加した。この混合物を50℃で24時間攪拌し、次いで水(500mL)中に注いだ。この混合物にジクロロメタン(100mL)を添加し、続いて、沈殿がすべて溶解されるまで、攪拌しながら濃水酸化アンモニウムを滴加した。ジクロロメタン層を分離し、水、塩水で洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒除去後に粗生成物を得、クロマトグラフィー(CH2Cl2/ヘキサン、1/9)にかけて、メチル3-ヨード-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(5.18g、46%)を得た。MS(ES+)m/z:376。
【0273】
ステップB:上記で調製したメチル3-ヨード-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(5.18g、13.8mmol)のNMP(100mL)溶液に、CuCN(2.47g、27.6mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。上記のように後処理を実施し、粗生成物をクロマトグラフィー(EtOAc/CH2Cl2、2.5/97.5)にかけて、純粋なメチル3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(2.70g、71%)を得た。MS(ES+)m/z:275。
【0274】
ステップC:上記で調製したメチル3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(2.70g、9.9mmol)のエタノール溶液(100mL)に、NaOH水溶液(1.25N、15.7mL、19.6mmol)を添加し、かつその混合物を60℃で2時間攪拌した。減圧下で揮発性物質を除去し、残留物を水(150mL)に溶解し、次いで濃HClを用いて酸性にし、pHを5〜6に調整した。沈殿物をろ過によって回収し、水で入念に洗浄し、空気中で乾燥させて、3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸(2.38g、93%)を得た。MS(ES-)m/z:259。
【0275】
ステップD:3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸(1.00g、3.85mmol)を、トリエチルアミン(0.78g、1.07mL、7.69mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.12g、7.69mmol)、および無水t-ブタノール(15mL)と混合した。この混合物を80℃で8時間攪拌し、続いて減圧下で揮発性物質を除去した。残留物にジクロロメタン(150mL)および飽和NaHCO3(40mL)を加え、かつこの混合物を室温で0.5時間攪拌した後、ろ過した。有機物質をろ液から分離し、かつ無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒除去後、残留物をクロマトグラフィーにかけて、(3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルを得た。MS(ES+)m/z:332。
【0276】
ステップE:上記で得られたt-ブチルカルバマートを室温で3時間、TFA(20mL)で処理し、次いで減圧下で蒸発乾固させた。K2CO3水溶液(50mL)中で2時間、残留物を攪拌した。沈殿物をろ過により回収、洗浄し、かつ空気中で乾燥させて、本質的に純粋な生成物である2-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニトリル、すなわち化合物35を得た(0.59g、ステップCのカルボン酸を基準として66%)。MS(ES+)m/z:232。
【0277】
ステップF:2-アミノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニトリル(23mg、0.10mmol)のピリジン(2.5mL)溶液に、シクロペンタンカルボニルクロリド(15mg、0.11mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌し、水(10mL)中に注ぎ、かつDCM(10mL)で抽出した。有機層を分離し、HCl(2N、3mLで2回)、水(3mLで3回)、および塩水(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去して、本質的に純粋なシクロペンタンカルボン酸(3-シアノ-5-エチル-4,6-ジメチルチエノ[2,3-b]ピリジン2-イル)アミド(28mg、86%)を得た。
【0278】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物50および53を調製した。
【0279】
実施例1H:2-(4-メトキシフェニル)-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル(化合物63)の調製
【化88】

【0280】
ステップA:tert-ブチルニトリット(1.66mL、0.0138mol)およびCuBr2(2.5g、0.011mol)をアセトニトリル(80mL)中で加熱して還流させた。次いで、アセトニトリル10mL中の2-アミノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル(3.0g、0.0092mol)をこの混合物に添加した。この混合物を80分間還流させ、その後溶媒を除去し、かつ残留物をEtOAc500mLとアンモニア水溶液100mLの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、かつMgSO4上で乾燥させた。次いで、残留物をクロマトグラフィーによって精製して、2-ブロモ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル約1gを得た。
【0281】
ステップB:2-ブロモ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル(45mg、0.116mmol)、p-メトキシフェニルボロン酸(21mg、0.138mmol)、NaHCO3(29mg、0.348mmol)、Bu4NBr(8mg、0.023mmol)、およびDME/H2O(4/1)1mLをシュレンク試験管に添加した。排気および窒素による充填し直し(back-filling)を2回実施した後、触媒量のPd(PPh3)4を添加した。密閉した混合物を80℃まで一晩加熱した。水中に注いだ後、酢酸エチルでこの混合物を抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物の2-(4-メトキシフェニル)-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル30mgを得た。
【0282】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物61および62を調製した。
【0283】
実施例1I:t-ブチル5-エチル-3-(4-メトキシ-フェニル)-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(化合物37)の調製
【化89】

【0284】
DME/H2O(1/1)0.5mLに溶かした化合物tert-ブチル5-エチル-3-ヨード-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(42mg、0.1mmol)の溶液に、K2CO3(41mg、0.3mmol)、Pd(PPh3)4(12mg、0.01mmol)、p-メトキシフェニルボロン酸(18mg、0.12mmol)を添加した。次いで、この混合物を16時間加熱還流した。室温まで放冷した後、減圧下で溶媒を蒸発させた。酢酸エチル(2mL)で残留物を溶解させ、水(2mLで3回)、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させた。分取HPLCにより、粗固形物を精製して、t-ブチル5-エチル-3-(4-メトキシ-フェニル)-4,6-ジメチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(12mg、30%)を得た。
【0285】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物36、37、39、40、42、および43を調製した。
【0286】
実施例1J:N-(3-シアノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-2-イル)-3-トリフルオロメチル-ベンズアミド(化合物58)の調製
【化90】

【0287】
実施例1Gで説明した化学反応を用いて調製した2-アミノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-3-カルボニトリル(100mg、0.31mmol)、3-トリフルオロメチル-塩化ベンゾイル(77mg、0.37mmol)、およびピリジン(20mL)中の触媒量のDMAPの混合物を還流下で1日加熱した。濃縮後、その残留物をEtOAcとH2Oの間に分配させた。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、かつ濃縮した。クロマトグラフィーによって残留物を精製して、N-(3-シアノ-4-チオフェン-2-イル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-1-チア-10-アザ-シクロヘプタ[f]インデン-2-イル)-3-トリフルオロメチル-ベンズアミド(40mg、26%)を得た。
【0288】
上述したのと同じ様式で以下の化合物:化合物57を調製した。
【0289】
実施例1K:4-ヒドロキシメチル-2-メチル-6-フェニル-6,7-ジヒドロ-5H-9-チア-1,5,7-トリアザ-フルオレン-8-オン(化合物38)の調製
【化91】

【0290】
ステップA:アセト酢酸エチル(60g、0.38mol)のエタノール(1.2L)溶液に、Et3N(38.5g、0.38mmol)を添加した。0.5時間攪拌した後、シアノチオアセトアミド(38.0g、0.38mol)のエタノール(200mL)溶液を滴加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌し、その後、水(750mL)で反応を停止させた。酢酸エチル(750mLで3回)で水層を抽出した。一緒にした有機層を塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、かつ減圧下で濃縮して、粗生成物(55g、65%)を得、これをエタノール800mL中に溶解させた。トリエチルアミン(25.3g、0.25mol)を添加し、0.5時間攪拌した後、2-クロロアセトアミド(23.3g、0.25mol)のエタノール(250mL)溶液を滴加した。添加後、反応混合物を加熱還流し、かつ3時間攪拌した。室温まで放冷した後、減圧下で溶媒の大半を蒸発させた。約50mLの残存溶液に水900mLを添加し、かつろ過後、粗固形物を回収した(68%、47g)。この固形物をエタノール600mL中に溶解させた。固形のナトリウムメトキシド(3.0g)を分割して添加し、かつこの混合物を3時間加熱還流した。室温まで放冷した後、減圧下で反応物を濃縮した。水(800)mLを残留物に添加し、かつろ過後、エチル3-アミノ-2-カルバモイル-6-メチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-4-カルボキシラートを回収した(85%、40g)。
【0291】
ステップB:無水THE(250mL)中のLiAlH4(22g,0.57mol)懸濁液に、エチル3-アミノ-2-カルバモイル-6-メチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-4-カルボキシラート(40g、143mmol)の無水THF(250mL)溶液を-40℃で滴加した。次いで、この反応物を室温まで昇温させ、かつ、この混合物を5時間加熱還流および攪拌した。室温まで放冷した後、0℃でNaOH水溶液(2N、22mL)によって反応を停止させ、セライト(Celite)を通してろ過し、かつTHFで(50mLで5回)洗浄した。このろ液を回収し、かつ減圧下で蒸発させて、粗製の3-アミノ-4-ヒドロキシメチル-6-メチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド(74%、25g)を得た。
【0292】
ステップC:3-アミノ-4-ヒドロキシメチル-6-メチル-チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド(100mg、0.42mmol)の酢酸(2mL)溶液に、ベンズアルデヒド(53mg、0.50mmol)を添加し、かつこの混合物を16時間加熱還流させた。室温まで放冷した後、水(2mL)および酢酸エチル(2mL)をそれに添加した。酢酸エチルで(2mLで3回)反応物をさらに抽出した。一緒にした有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させた。残留物を分取HPLCで精製して、表題化合物の4-ヒドロキシメチル-2-メチル-6-フェニル-6,7-ジヒドロ-5H-9-チア-1,5,7-トリアザ-フルオレン-8-オン(16mg、12%)を得た。
【実施例2】
【0293】
細胞ベースのHCV IRESモノシストロン性翻訳アッセイを用いた、低分子量化合物のスクリーニング
天然のHCV mRNA翻訳を厳密に模倣するように設計された細胞ベースのHCV IRESに調節されたモノシストロン性翻訳アッセイを用いて、化学ライブラリーをスクリーニングし、次いで、化学ライブラリーにおけるヒットに基づいて化合物類似体を作製し、同様にスクリーニングした。HCV IRES配列(HCV2b、ヌクレオチド18〜347)がプロモーターおよびホタルルシフェラーゼ(Fluc)レポーター遺伝子の間に挿入されている、pHCV IRESmonoと呼ばれるDNA構築体を作製する。安定にトランスフェクトされたHepG2(肝芽腫)細胞系統(HepGmono-4と呼ばれる)またはHuh細胞系統(Huhmono7と呼ばれる)、またはHela-細胞系統(HeIamonoと呼ばれる)は、ヒグロマイシンに対する抵抗性について選択することにより、pHCV IRESmono DNAを用いたトランスフェクションによって樹立される。
【実施例3】
【0294】
細胞ベースのキャップ依存的翻訳アッセイを用いた、HCV IRESに調節された翻訳に対する選択性の測定
翻訳アッセイを使用してHCV IRES阻害物質がスクリーニングされるため、選択されたヒットは、HCV IRES駆動性翻訳に特異的に作用することができ、または、哺乳動物細胞における一般的なタンパク質合成を調節することができる。一般的翻訳に作用する化合物は、著しい毒性を有する可能性が非常に高いと考えられる。この可能性を検討するため、様々な細胞ベースのキャップ依存的翻訳アッセイを、選択されたすべての化合物をさらに評価するために確立する。ベクター配列5'〜Flucの130ヌクレオチドを含むプラスミドDNAを構築する。本明細書において、この構築体をpLucと呼ぶ。293T細胞(ヒト胚性腎臓細胞系統)を用いて、キャップ依存的な翻訳アッセイで安定な細胞系統を樹立する。HepGmono-4およびpLucを化合物で20時間処理し、また、Flucシグナルを定量することによって活性を測定する。HCV IRES翻訳とキャップ依存的翻訳の間に5倍の選択性があることが望ましいとみなされる。例えば、これらの細胞ベースのキャップ依存的翻訳アッセイを用いて、本出願者らは、HCV IRES翻訳アッセイより少なくとも5倍高いIC50値をキャップ依存的翻訳アッセイにおいて示す化合物を同定した。
【0295】
さらに、ウェスタンブロットアッセイを使用して、これらの化合物がHCV IRES駆動性翻訳を選択的に阻害することをさらに実証する。HepGmono-4細胞およびpLuc細胞の双方を上述したように化合物で処理し、試験化合物で20時間処理した後、細胞を回収し、0.5%SDSを含むラミニン(Laminin)緩衝液中に溶解させる。タンパク質を10%SDS-PAGE上で分離させ、次いでニトロセルロース膜上に移し、かつFluc(RDI社)およびβ-アクチン(Oncogene社)に対する抗体を用いてブロットした。例えば、本発明の化合物のうちの一部をこの方式で試験したところ、予想されるように、Flucシグナルをエンドポイントとして使用するアッセイにおいてHCV IRES駆動性翻訳を選択的に阻害する化合物は、HepGmono-4細胞においてルシフェラーゼレポータータンパク質レベルの比較可能な低下を示し、かつウエスタンブロットにおいてpLucに対して相対的に不活性であった(データは示さない)。重要なことには、これらの化合物は、双方の細胞系統においてその翻訳がキャップ依存的である内在性β-アクチンの発現を阻害しなかった。一貫して、翻訳アッセイにおいて選択性を示さない化合物は、HCV IRESおよびキャップ依存的翻訳アッセイの双方においてタンパク質蓄積を阻害した(データは示さない)。予想されるように、一般的なタンパク質翻訳阻害剤ピューロマイシンも、HCV IRES駆動型およびキャップ依存的なタンパク質産生の双方を阻害した(データは示さない)。したがって、ウエスタンブロットの結果は、本発明の化合物がHCV IRES駆動性翻訳を選択的に阻害することを裏付ける。
【0296】
これらの細胞系統に対する試験条件を最適化し、かつ、RTリアルタイムPCRによりFluc mRNAレベルを定量することによって、化合物の活性に対するmRNAレベルの影響を制御する。例えば、本発明の化合物のうちの一部をこの方式で試験したが、HepGmono-4、またはHela細胞、またはHuh細胞と使用したキャップ依存的な翻訳細胞系統との間でFluc mRNAレベルの有意な差は観察されなかった(データは示さない)。
【実施例4】
【0297】
細胞のIRESを介した翻訳アッセイを用いた、HCV IRES駆動性翻訳に対する選択性の評価
いくつかのヒトmRNAがIRESエレメントを含むことが示されている(18、19、39、44、45、91、126、130)。HCV IRESの一次配列および二次構造は細胞性IRESのものとは異なっているが、選択性についての重要な試験は、選択された化合物が細胞性IRESに対して活性であるかどうかを測定することである。VEGF IRESは、in vitroアッセイにおいては乏しい開始活性しか示さないが、細胞ベースの翻訳アッセイでは相当な活性を示す(18、45)。例えば、本発明の化合物のうちの一部を試験したが、キャップ依存的な翻訳に関して良好な選択性を有する化合物はすべて、HCV IRESに対するよりもVEGF IRESに対して少なくとも5倍高いIC50値を示した(データは示さない)。これらのデータは、選択された化合物がウイルスのIRESに対する選択性を有することを示唆する。異なる構造を有することに加えて、VEGF IRESは、非典型的な細胞翻訳因子との異なる相互作用も有する。これらの差異が、本発明者らが同定したHCV IRES阻害物質の選択性をを引き起こすもととなっている可能性がある。細胞のIRESは、圧力や低酸素など、キャップ依存的な翻訳が妨害される条件下で機能するようである(19、126)。したがって、細胞のIRESに対する選択性の欠如は、必ずしも臨床的毒性の予測に役立つとは言えない場合がある。
【実施例5】
【0298】
細胞毒性の評価
細胞増殖に対する影響は、すべての薬物発見の試みにおいて重要な問題である。したがって、細胞増殖/細胞毒性アッセイを使用して、哺乳動物細胞の増殖に影響を及ぼす任意の化合物を排除する。細胞増殖に対する選択されたヒットの影響をヒト細胞系等293TおよびHuh7(ヒト肝芽腫細胞系統)で試験する。10%ウシ胎児血清、L-グルタミン、ペニシリン、およびストレプトマイシンを添加したダルベッコ改変イーグル培地中で細胞を増殖させる。対数期の細胞を試験化合物で3日間処理する。この際、使用する試験化合物の最高濃度は250μMである。Cell Titer 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega社、ウィスコンシン州、マディソン)を使用することによって、細胞増殖に対する化合物の影響を評価する。HepGmono-4においてIC50値に比べて少なくとも5倍高いCC50値を有する化合物が、活性と細胞毒性のあいだに十分な開き(window)を有するとみなされ、したがって、さらなる評価のために選択される。例えば、本発明の化合物のうちの一部をこの方式で試験したが、重要なことには、キャップ依存的翻訳に対して良好な選択性を有するすべての化合物が、IC50値に対するCC50の比において5倍を超える値も示した。
【実施例6】
【0299】
HCVレプリコン系における化合物有効性の評価
信頼がおけ、かつ容易に入手しやすい細胞培養物、およびHCV複製を許容する小型動物モデルの不足のため、新しい抗HCV剤の開発が制限されてきた。HCVレプリコンと呼ばれる、自己複製するサブゲノムHCV系が最近説明され、抗HCV阻害物質の有効性を評価するために幅広く使用されている(8、70、104)。インターフェロン(IFN)αならびにHCVプロテアーゼおよびポリメラーゼの阻害物質が、HCVレプリコン系において活性であることが報告されている(8、17、32、68、69、117)。
【0300】
バイシストロン性の系およびモノシストロン性の系を含むHCVレプリコンを同定し、HCV IRES阻害物質を試験するためのアッセイを確立する。バイシストロン性レプリコンにおいて、HCV IRESは、選択マーカー(Neoおよび/またはFlucレポーター)の発現を指示し、EMCV IRESは、ウイルスの非構造タンパク質の発現を媒介する。モノシストロン性レプリコンにおいて、HCV IRESは、ウイルスのタンパク質合成を直接媒介する。Flucレポーターシグナルを定量することによって、バイシストロン性レプリコンにおいてHCV IRES阻害物質を分析する。レプリコンを含む細胞を本発明の化合物と共に2日間培養する。インターフェロン(IFN)αを陽性対照として使用する。例えば、本発明の化合物のうちの一部をこの方式で試験したところ、これらの実験により、HCV IRESを介した翻訳を選択的に阻害する化合物が、マイクロモル範囲でバイシストロン性レプリコンにおけるFluc発現を阻害することが示された。
【0301】
以下の表(表1)において、
*=レプリコンまたはHCV-PVのIC50>2uM
**=レプリコンまたはHCV-PVのIC50が0.5uM〜2uM
***=レプリコンまたはHCV-PVのIC50<0.5uM
レプリコンのIC50値は、ホタルルシフェラーゼシグナルによって測定する。
【0302】
HCV-PVのIC50値は、ウイルスRNAの減少によって測定する。
【表23】



【実施例7】
【0303】
HCV-ポリオウイルスキメラを用いた、化合物活性の評価
HCV-ポリオウイルス(HCV-PV)キメラでは、図1に示すように、PV 5'UTRが、HCV 5'UTRおよび部分的な(最初の123個のアミノ酸)コアコード配列(HCV1bのヌクレオチド18〜710)によって置き換えられている(140)。結果として、ポリオウイルスタンパク質の発現は、HCV IRESの制御下にある。ポリオウイルスは、5'UTRに位置するIRESエレメントによってタンパク質翻訳開始が媒介されているピコルナウイルスである。HCV-PVキメラゲノムの5'末端には、PVのクローバーの葉に似たRNA構造体、すなわちゲノム結合タンパク質VPgを末端に有する極めて重要なシス作用性の複製シグナルがある。HCV-PVキメラの複製動態は、親のポリオウイルス(マホニー(Mahoney))の動態に一致し、細胞培養において細胞変性効果(CPE)をもたらし得る。ヘプタザイム(Heptazyme)、すなわちHCV IRESを標的とするリボザイムが、細胞培養においてキメラウイルスに対して活性であることが示された(76、77)。
【0304】
キメラウイルスに対する活性について化合物を評価するために、HeLa細胞を播種し、かつ37℃、5%CO2下で24時間インキュベートする。次いで、感染多重度(MOI)0.1で30分間、細胞をHCV-PVに感染させ、その後、化合物で1日処理する。細胞変性効果の変化、すなわちプラークアッセイによって化合物の活性を測定し、かつ/または、次いで、HCV IRESプライマーおよびプローブを用いるRTリアルタイムPCRによってウイルスRNA産生(例えば、表1を参照されたい)を定量する。
【実施例8】
【0305】
野生型ポリオウイルス(WT-PV)に対する化合物の活性評価およびポリオウイルスIRES翻訳アッセイ(WT-PV mono luc)
PV IRES配列(ヌクレオチド番号1〜742)がプロモーターおよびホタルルシフェラーゼ(Fluc)レポーター遺伝子の間に挿入されている、pPV IRESmonoと呼ばれるDNA構築体を作製する。ヒグロマイシンに対する抵抗性について選択することにより、pPV IRESmono DNAを用いたトランスフェクションによって、安定にトランスフェクトされた293T細胞系統を樹立する。先に説明したように、細胞を化合物で20時間処理し、また、Flucシグナルを定量することによって活性を測定する。表2に、本発明の化合物のうちの一部を用いて得られたデータを提供する。さらに、野生型ポリオウイルスに対する化合物の活性を評価するために、HeLa細胞を播種し、かつ37℃、5%CO2下で24時間インキュベートする。次いで、MOI0.1で30分間、細胞を野生型ポリオウイルスに感染させ、その後、化合物で1日処理する。細胞変性効果の変化(例えば表2を参照されたい)、すなわちプラークアッセイによって化合物の活性を測定し、かつ、ポリオウイルスIRESプライマーおよびプローブを用いるRTリアルタイムPCRによってRNA産生を測定する。
【0306】
さらに、化合物がポリオウイルスIRESまたは他のウイルスIRESにおいて活性である場合は、それらの化合物は、IRESを含む他のウイルスによるウイルス感染症を治療するのにも有用となり得る。
【表24】

【0307】
*WT-PV CPEの欄の「1」は、CPE(細胞変性効果)が25〜50%低減されていることを示す。WT-PV CPEの欄の「2」は、CPEが50〜75%低減されていることを示す。WT-PV CPEの欄の「3」は、CPEが75〜100%低減されていることを示す。
【実施例9】
【0308】
in vitro翻訳アッセイ
in vitro翻訳アッセイを使用して、HCV IRES RNAまたは細胞の翻訳因子に作用する化合物を区別することができる。例示的なアッセイにおいて、翻訳を指示すると考えられるmRNAは、Ambion RNA MegaTranscriptキット(Ambion社、テキサス州、オースティン)を用いて作製したpHCV IRESmonoプラスミドDNAのT7RNAポリメラーゼプロモーターから転写されたランオフ生成物である。当業者に公知の方法により、HeLa細胞溶解物を用いてin vitro翻訳を実施する。予備試験の結果により、本発明の化合物のうちの少なくとも1種が、HCV IRESRNA転写物と共にその化合物をプレインキュベートした後の方が、37℃で30分間、HeLa細胞溶解物と共にインキュベートした後、またはプレインキュベーション無しの場合よりも、HCV IRESに調節された翻訳に対して有意に高い活性を有することが示される(データは示さない)。これは、この化合物がin vitro翻訳アッセイにおいてHCV IRES RNAと相互に作用し得ることを示唆する。これらの化合物が選択的にHCV IRESに作用するかどうかを実証するために、in vitro翻訳の対照として細胞IRESのmRNA転写物と共にpLucを使用する。
【0309】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願のそれぞれが具体的かつ個別に参照により組み入れられることを示される場合と同程度に、参照により組み入れられる。
【0310】
上記に特定の実施形態を詳述したが、これらの実施形態において、その教示内容から逸脱することなく多くの修正が存在し得ることが、当業者には明瞭に理解されるであろう。このような修正はすべて本発明の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0311】
引用文献
















【図面の簡単な説明】
【0312】
【図1】HCV-PVキメラ構築体を示す図である。PVのクローバーの葉に似たRNA構造体、すなわちゲノム結合タンパク質VPgを末端に有する極めて重要なシス作用性の複製シグナルが、ゲノムの5'末端に位置している。閉じた棒線(HCV)および開いた棒線(PV)は、ウイルスのポリペプチドをコードしているオープンリーディングフレームを示す。HCVコアフラグメント(最初の123個のアミノ酸)遺伝子の位置は、△コアによって示されている。全体的に見て、HCV-PV中のHCV特異的配列は、ヌクレオチド18〜710に及ぶ(139)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防および/または治療用の薬剤組成物であって、以下の式:
【化1】

[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化2】

・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたものであり;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化3】

を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化4】

・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化5】

を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化6】

を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化7】

を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化8】

を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化9】

を形成する。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤および場合によっては追加の抗HCV剤と共に含む薬剤組成物。
【請求項2】
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
Xがアミノ基または水素である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
Yが、-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
・-CORa基[Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル、
ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール
で場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換されたもの
である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
RがC1〜C6アルキルである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
Rがメチル基である、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
R、R1、およびR2が独立にC1〜C6アルキルである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
R、R1、およびR2の前記C1〜C6アルキルが独立にメチルまたはエチルである、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
R1が、
・C1〜C6アルキル;ならびに
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
・C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ
からなる群から選択される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
R1がC1〜C6アルキルである、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
R1がメチルまたはエチルである、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
R2がC1〜C6アルキルである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
R2がメチルである、請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
対象のC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するため、または対象がHCVに感染するのを予防するための方法であって、以下の式:
【化10】

[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化11】

・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたもの;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化12】

を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化13】

・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化14】

を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化15】

を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化16】

を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化17】

を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化18】

を形成する。]
を有する、HCV阻害量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩および製薬上許容される賦形剤を含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
追加の抗HCV剤を投与するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の抗HCV剤が、ペグ化インターフェロン、非ペグ化インターフェロン、リバビリンまたはそのプロドラッグもしくは誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、p7阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤、抗線維化薬、カスパーゼ阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(IMPDH)を標的とする薬物、合成チモシンα1、治療用ワクチン、免疫調節薬、ヘリカーゼ阻害剤、およびToll様受容体アゴニストからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
Xがアミノ基または水素である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
Yが、-COORX基(RXは上記に定義したとおりである);
・-CORa基[Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル、
ハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換された5員もしくは6員のヘテロアリール
で場合によっては置換されたC6〜C8アリールで場合によっては置換されたもの
である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
RがC1〜C6アルキルである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
Rがメチル基である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R、R1、およびR2が独立にC1〜C6アルキルである、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
R、R1、およびR2の前記C1〜C6アルキルが独立にメチルまたはエチルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
R1が、
・C1〜C6アルキル;ならびに
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];および
・C1〜C6アルキル(1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたアルコキシ
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
R1がC1〜C6アルキルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
R1がメチルまたはエチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
R2がC1〜C6アルキルである、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
R2がメチルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
以下の化合物:
【化19】







のうちの少なくとも1種または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の予防または治療用の薬剤組成物。
【請求項29】
以下の化合物:
【化20】



のうちの少なくとも1種を投与するステップを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を予防または治療するための治療方法。
【請求項30】
以下の式:
【化21】







のうちの1つを有する化合物。
【請求項31】
以下の式:
【化22】



のうちの1つを有する化合物。
【請求項32】
対象における、配列内リボソーム進入部位(IRES)を含むウイルスによる感染症を治療または予防するための方法であって、以下の式:
【化23】

[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化24】

・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたもの;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化25】

を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化26】

・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化27】

を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化28】

を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化29】

を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化30】

を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化31】

を形成する。]
を有する、ウイルス阻害量の少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩および製薬上許容される賦形剤を含む薬剤組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項33】
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための薬剤組成物であって、以下の式:
【化32】

[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化33】

・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたもの;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化34】

を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化35】

・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化36】

を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化37】

を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化38】

を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化39】

を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化40】

を形成する。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を、場合によっては、IRES活性に影響を及ぼすことが当技術分野において公知の化合物および製薬上許容される賦形剤と共に含む薬剤組成物。
【請求項34】
ウイルスに感染した対象においてウイルスのIRES活性に影響を及ぼすための方法であって、以下の式:
【化41】

[式中、
Xは、
・水素;
・シアノ基;
・アミノ基;
【化42】

・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシ基、
シアノ基、もしくは
ハロゲンで場合によっては置換されたもの;
・あるいは、XはYと一緒になって、
【化43】

を形成し、
Yは、
・ハロゲン;
・アミノ基;
【化44】

・-SO2RX(RXはC1〜C6アルキルである);
・シアノ基;
・-COORX基(RXはC1〜C6アルキルである);
・C6〜C8アリールであって、
アルコキシもしくは
シアノ基
で場合によっては置換されたもの;
・-CORa
[式中、Raは、
1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルはC6〜C8アリールで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されたアミノ;
-NHRb基(Rb
・C6〜C8アリールであって、
ハロアルキル、もしくは
ハロゲン、
ハロアルコキシ
で場合によっては置換されたもの);または
C1〜C6アルキルで場合によっては置換された5員もしくは6員の複素環;
C1〜C6アルキル;
-SRX基(RXは上記に定義したとおりである)である];
・5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
C6〜C8アリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
5員もしくは6員のヘテロアリールであって、
アルコキシ、
ハロゲン、もしくは
C1〜C6アルキル
で場合によっては置換されたもの;
で場合によっては置換されたもの;
・-ORc(Rcは1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである)で場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;または
・ニトロ基;
・-NHRd基(Rdはアルコキシで場合によっては置換されたC6〜C8アリールである);
・-NHCORe基(Reは、
ハロアルキルで場合によっては置換されたC6〜C8アリール;
C1〜C6アルキルである)であり;
・あるいは、Xと一緒になって、
【化45】

を形成し、
Rは、
・水素;
・ハロアルキル;
・ヒドロキシルで場合によっては置換されたC1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員のヘテロアリール;
・1つもしくは複数のハロゲンで場合によっては置換されたC6〜C8アリールであり、
・あるいは、RはR1と一緒になって、
【化46】

を形成し、
R1は、
・水素;
・C6〜C8アリール;
・C1〜C6アルキル;
・OCORf(Rfは5員もしくは6員の複素環である);
・アミノ基で場合によっては置換されたアルコキシ[アミノ基は1つもしくは2つのC1〜C6アルキル(アルキルは1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノで場合によっては置換されている)で場合によっては置換されている];
・アルコキシであって、
アルコキシ、または
1つもしくは2つのC1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノ
で場合によっては置換されたC1〜C6アルキルで場合によっては置換された5〜8員の複素環で場合によっては置換されたものであり、
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化47】

を形成し、
・R1はRと一緒になって、
【化48】

を形成し、
R2は、
・C1〜C6アルキル;
・5員もしくは6員の複素環;
・C1〜C6アルキルで場合によっては置換されたアミノであり;
・あるいは、R1はR2と一緒になって、
【化49】

を形成する。]
を有する少なくとも1種の化合物または薬剤として許容されるその塩を製薬上許容される賦形剤と共に前記対象に投与するステップを含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−507518(P2008−507518A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522565(P2007−522565)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/024882
【国際公開番号】WO2006/019832
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【出願人】(307027898)
【出願人】(307027902)
【Fターム(参考)】