C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチド
【課題】信頼性のある診断および予後の手段、病気の予防および/または治療のための
ワクチンおよび免疫療法的な治療薬を提供すること。
【解決手段】新しく特徴付けられたHCVエピトープを含有するポリペプチド、そのようなポリペプチドを製造する方法、そのようなポリペプチドを使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定されたポリペプチド、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)。
ワクチンおよび免疫療法的な治療薬を提供すること。
【解決手段】新しく特徴付けられたHCVエピトープを含有するポリペプチド、そのようなポリペプチドを製造する方法、そのようなポリペプチドを使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定されたポリペプチド、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染の流行を管理する物質および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、HCV感染の検出、予防および治療において免疫学的試薬として有用なポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、最初、Houghtonらにより非A非B型肝炎(NANBH)の原因として同定され、そして特徴付けられた。このことは、免疫学的試薬として有用な、多くの一般的かつ特異的なポリペプチドの開示を導いた。Houghtonら、特許文献1;Houghtonら、特許文献2;非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照。これらの刊行物は、HCV一般に関する広範な背景およびHCVポリペプチド免疫学的試薬の製造および使用を当該技術分野に提供する。それゆえ、簡潔さのために、特にこれらの刊行物の開示は、参考として本明細書中に援用される。
【0003】
他者により、Houghtonらの研究が直ちに利用され、そして拡大された。例えば、Highfieldら、特許文献3(Wellcome Foundation Ltd.);Wang、特許文献4(United Biomedical Inc.);Leungら、特許文献5(Abbott Laboratories);Habitsら、特許文献6(Akzo N.V.);Reyesら、特許文献7(Genelabs Inc.);Makiら、特許文献8(Tonen Corp.);およびKamadaら、特許文献9(Shionogi Seiyaku K.K.)を参照。
【0004】
HCVのキャリアおよびHCV汚染された血液または血液製剤をスクリーニングおよび同定する高感度で特異的な方法は、医療における重要な進歩である。輸血後肝炎(PTH)は、輸血患者の約10%で起こり、そしてHCVは、これらの患者の90%までの割合を占める。これらの病気の主要な問題は、慢性的な肝損傷へしばしば進行することである(25〜55%)。患者の看護、そして血液および血液製剤による、または密接な対人接触によるHCV感染の予防には、HCVに関連する抗体を検出するために、信頼性のある診断および予後の手段(例えば、HCVポリペプチド)が必要とされる。そのようなポリペプチドはまた、病気の予防および/または治療のためのワクチンおよび免疫療法的な治療薬として有用である。
【0005】
HCVは、比較的新しい因子なので、病気の臨床経過および集団におけるHCVの疫学の一層の研究を可能にすべく、さらなる免疫学的試薬を明らかにし続ける必要性がある。
【特許文献1】欧州特許出願公開第318,216号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第388,232号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2,239,245号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第442,394号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第445,423号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第451,891号明細書
【特許文献7】国際公開第91/15516号パンフレット
【特許文献8】欧州特許出願公開第468,657号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第469,348号明細書
【非特許文献1】Chooら、Science(1989)244:p.359−362
【非特許文献2】Kuoら、Science(1989)244:p.362−364
【非特許文献3】Houghtonら、Hepatology(1991)14:p.381−388
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、信頼性のある診断および予後の手段、病気の予防および/または治療のためのワクチンおよび免疫療法的な治療薬を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規なHCVエピトープの特徴付けに関する。これらのエピトープの特徴付けをすることにより、HCVに対する抗体と免疫学的に反応する、および/またはインビボで抗HCV抗体の産生を起こすポリペプチド生成物の製造が可能となる。これらのポリペプチド生成物は、診断テストにおける標準物または試薬として、および/またはワクチンの成分として、有用である。これらのポリペプチド配列内に含まれるHCVエピトープに対する抗体、例えば、ポリクローナルおよびモノクローナルの両方を含有する抗体は、例えば、診断テストにおいて、治療薬として、抗ウイルス剤のスクリーニング用に、そしてHCVポリペプチドまたは粒子の単離/精製のうち単離用に有用な試薬である。
【0008】
最も広い意味では、本発明は、本明細書中に開示された新しく特徴付けられたHCVエピトープを含有するポリペプチド、そのようなポリペプチドを製造する方法(例えば、組換え方法および合成方法)、そのようなポリペプチドを使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定されたポリペプチド、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)に関する。同様に、本明細書中に開示されたHCVエピトープに対する抗体(ポリクローナル、モノクローナル、または、例えば結合フラグメント、一本鎖抗原結合タンパク質などの等価物)はまた、本発明の範囲内に包含される。さらに、そのような抗体を作製する方法、そのような抗体を使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定された抗体、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)もまた、本発明の範囲内に包含される。
【0009】
本発明の別の局面は、適切な容器内に上記の抗体を含有して、HCV抗原の存在について試料を分析するキットに関する。本発明のさらに別の局面は、適切な容器内に上記のようなポリペプチドを含有して、HCV抗原に対する抗体の存在について試料を分析するキットに関する。
【0010】
本発明のさらに別の局面は、以下の通りである:新たに開示されたHCVエピトープを含有するポリペプチドを産生する方法であって、該方法が、該ポリペプチドを発現させる条件下でHCVエピトープを含有するポリペプチドをコードする配列を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することを包含する方法であり;そしてこの方法により産生したそのようなHCVエピトープを含有するポリペプチドである。
【0011】
イムノアッセイ法もまた、本発明に包含される。その例として、HCV抗原を検出するイムノアッセイ法であって、抗原−抗体複合体を形成させるような条件下で上記のような抗体と共にHCV抗原を含有すると思われる試料を培養すること;および、その抗体を含有する抗原−抗体複合体を検出することを包含するイムノアッセイ法がある。抗HCV抗体を検出するイムノアッセイ法であって、抗原−抗体複合体を形成させるような条件下で、上記のようなポリペプチドと共に抗HCV抗体を含有すると思われる試料をインキュベーションすること;および、そのポリペプチドを含有する抗原−抗体複合体を検出することを包含するイムノアッセイ法もある。
【0012】
さらに、本明細書中に記載されるHCVエピトープを含有する免疫原性ペプチドを含有する、HCV感染の治療用ワクチンが、本発明中に包含される。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、HCVに対する抗体を産生する方法であって、該方法が、免疫応答を生じるのに十分な量で本明細書中に記載のHCVエピトープを含有する単離された免疫原性ポリペプチドを対象に投与することを包含する方法である。
【0014】
本発明の上記の局面は、以下の式
aax−aay
で表されるHCVエピトープを発見したことにより達成されている。
ここで、aaはアミノ酸を示す;
xおよびyは、y−x≧6である整数である;
aax−aayは、図1のアミノ酸配列の一部分を示す;そして、
xは、以下の23−34、36、66−79、81−94、96−98、101−103、186−189、191、206、223、232、256、286、297−299、321、347、357、413、414、432、465−471、480−484、501、502、521、540−549、579、594−599、601−613、641、662−665、685、705、706、729、782−789、801、851−855、893、916、928、946、952−954、1026、1072、1109、1112−1117、1218、1240、1280−1285、1322、1338、1371、1384、1410、1411、1454、1492、1493、1532−1535、1560、1561、1566−1568、1571−1577、1601−1607、1615−1620、1655、1695、1710−1712、1728、1729、1758−1762、1781、1808、1821、1851、1880、1908−1913、1925、1940−1948、1951、1966−1969、1999、2001−2004、2006−2014、2024、2048−2053、2055−2057、2071、2088−2093、2108、2122−2148、2165、2187、2226−2232、2244−2249、2267、2281−2286、2288、2289、2325−2327、2346、2347、2349、2382、2401、2417−2422、2439−2444、2446−2456、2469、2471−2476、2495、2533、2534、2573−2578、2602−2604、2606−2612、2632−2638、2660、2676−2679、2688−2693、2707、2721、2757−2762、2779、2794、2795、2797−2799、2801、2802、2817−2843、2863−2867、2878−2884、2886−2895
から成る群から選択される。
【0015】
上記の目的はまた、以下の式
aax−aay
で表されるHCVエピトープを用いて達成される。
ここで、aaはアミノ酸を示す;
xおよびyは、y−x≧6である整数である;
aax−aayは、図1のアミノ酸配列の一部分を示す;そして、
Xは、以下の35(yが45以下の場合)、80(yが90以下の場合)、95(yが110以下の場合)、99(yが120以下の場合〉、100(yが150以下の場合)、190(yが210以下の場合)、500(yが550以下の場合)、600(yが625以下の場合)、1260(yが1280以下の場合)、1569(yが1931以下の場合)、1570(yが1590以下の場合)、1694(yが1735以下の場合)、1949(yが2124以下の場合)、1950(yが1985以下の場合)、2000(yが2050以下の場合)、2005(yが2025以下の場合)、2054(yが2223以下の場合)、2250(yが2330以下の場合)、2287(yが2385以下の場合)、2290(yが2310以下の場合)、2345(yが2375以下の場合)、2348(yが2464以下の場合)、2445(yが2475以下の場合)、2470(yが2490以下の場合)、2605(yが2620以下の場合)、2780(yが2830以下の場合)、2796(yが2886以下の場合)、2800(yが2850以下の場合)、および2885(yが2905以下の場合)、から成る群から選択される。
【0016】
上記式のいずれかにおいて、x−yは、本発明のいくつかの実施態様において、10、20、30、40または50より小さいか、または、等しい数であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書中で言及される刊行物への完全な引用は、「背景」または「参考文献」の節に見い出され得る。
【0018】
I.定義
「C型肝炎ウイルス」または「HCV」は、その病原性株がNANBHを引き起こす当該分野で認識されたウイルス種、および弱毒化株またはそれから誘導される欠陥干渉粒子を表す。一般的には、「背景」と題する節に引用された刊行物を参照。HCVゲノムは、RNAから成っている。RNAを含有するウイルスは、比較的高い割合で自然突然変異を有することが知られており、すなわち組み入れられたヌクレオチド当り10−3〜10−4の頻度で起こることが報告されている(FieldsおよびKnipe(1986))。それゆえ、遺伝子型の異質性および流動性は、RNAウイルスに固有であり、HCV種内で毒性または無毒性であり得る多種類の株/分離株がある。種々のHCV株/分離株の増殖、同定、検出および分離は、文献に十分に記載されている。さらに、本明細書中での開示は、種々の株/分離株に対する診断薬およびワクチンの調製を可能にし、そして薬学的使用のための抗ウイルス剤、例えば、HCVの複製を阻害する薬剤、に対するスクリーニング手法において使用する組成物および方法の調製を可能にする。
【0019】
HCVの幾つかの異なった株/分離株の情報は、本明細書中に開示され、特にCDC/HCV1株または分離株(HCV1とも呼ばれる)が開示されている。1つの株または分離株、例えば、部分的ゲノムまたはアミノ酸配列、からの情報は、当業者が、標準的技法を用いて新しい株/分離株を分離し、そしてそのような新しい株/分離株がHCVであるかどうかを同定することを十分可能にする。例えば、幾つかの異なった株/分離株が以下に記載されている。これらの株は、多くのヒト血清から(および異なった地域から)得られ、HCV1のゲノム配列からの情報を利用して分離された。
【0020】
本明細書中で提供される情報によれば、HCVはフラビウイルス科と遠い関係にあり得ることが示される。フラビウイルス科は、小さな膜で包まれたヒトの病原体である多数のウイルスを包含する。フラビウイルス粒子の形態および構成は公知であり、そしてBrinton(1986)により考察されている。一般に、形態に関しては、フラビウイルスは、中央に脂質二重層で囲まれたヌクレオキャプシドを含有している。ビリオンは、球状であり、直径が約40〜50nmである。それらのコアは、直径が約25〜30nmである。ビリオンのエンベロープの外表面に沿って、末端に直径約2nmのこぶを有する長さ約5〜10nm突出部がある。この科の代表的な例としては、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルスおよびデング熱ウイルスがある。それらは、HCVのゲノムよりわずかに大きく、約3500個のアミノ酸を有するポリタンパク質前駆体をコードする正鎖RNAゲノム(〜11,000ヌクレオチド)を有している。個々のウイルスタンパク質は、この前駆体ポリペプチドから開裂されて生じる。
【0021】
HCVゲノムRNAのゲノム構造およびヌクレオチド配列が推定されている。そのゲノムは、〜10,000ヌクレオチドを含有する一本鎖RNAのようである。そのゲノムは、正鎖であり、そして約3,000個のアミノ酸を有するポリタンパク質をコードしている連続的で翻訳されるオープンリーディングフレーム(ORF)を有している。そのORFにおいて、構造タンパク質はN末端領域の最初の約4分の1においてコードされており、ポリタンパク質の大部分は非構造タンパク質に対応するようである。すべての既知のウイルス配列と比較すると、小さいが重要な共直線性の相同性が、フラビウイルス科の非構造タンパク質および(現在フラビウイルスの一部分であるとも考えられている)ペスチウイルスで見られる。
【0022】
HCV1のヌクレオチド配列においてコードされる推定アミノ酸および他の証拠に基づくと、コードされたHCVポリタンパク質の可能なタンパク質ドメインおよびおよその境界は、次の通りである:
【0023】
【表1】
【0024】
しかしながら、これらのドメインは仮のものである。例えば、E1−NS2の境界は、多分750〜810領域にあり、そしてNS3−NS4の境界は、約1640〜1650領域である。Cの191個のアミノ酸バージョンは、(例えば、約170アミノ酸の長さに)さらにプロセシングされる前駆体であり、そしてNS2、NS4およびNS5のタンパク質は、各々さらにプロセシングされて2つの成熟タンパク質になることもまた立証されている。
【0025】
HCVの異なった株、分離株またはサブタイプは、HCV1と比べて、アミノ酸および核酸における変異を含有すると予想される。多くの分離株は、HCV1と比べて、全アミノ酸配列において高い(すなわち、約40%より高い)相同性を示すと予想される。しかし、他より相同性の少ないHCV分離株があることもまた見い出され得る。これらは、種々の判定基準に従ってHCVとして定義される。それらの基準としては、例えば、HCV1のポリタンパク質と同様の大きさのポリタンパク質をコードしている約9,000ヌクレオチドから約12,000ヌクレオチドまでのORF、HCV1のポリタンパク質と同様の疎水性および/または抗原性を有するコードされたポリタンパク質、およびHCV1で保存される共直線性ペプチド配列の存在である。さらに、ゲノムは、正鎖RNAであろう。
【0026】
HCVは、少なくとも1つのエピトープをコードし、そのエピトープは、HCV1ポリタンパク質中のエピトープで免疫学的に同定される。エピトープは、既知のフラビウイルスと比較した場合、HCVに特有である。このエピトープの特有性は、抗HCV抗体との免疫反応性および既知のフラビウイルス種に対する抗体との免疫反応性の欠如により測定され得る。免疫反応性を測定する方法は、当該分野では公知であり、例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISAアッセイ、赤血球凝集反応、およびアッセイに適切な方法のいくつかの例が、本明細書中で提供される。あるいは、HCVエピトープの配列とフラビウイルス科のメンバーの既知の配列との比較が、「特有性」を評価するために用いられ得る。
【0027】
上記に加えて、核酸の相同性およびアミノ酸の相同性の以下のパラメーターが、単独または組合せのいずれかで利用され、HCVとして株/分離株が同定される。HCV株および分離株は、進化的に関連しているので、ヌクレオチドレベルでのゲノムの全体の相同性は、約10%またはそれより高いものであり得、おそらく約40%またはそれより高く、おそらく約60%またはそれより高く、そしてなおいっそうおそらく約80%またはそれより高いものであろうし、そして、少なくとも約13個のヌクレオチドの対応する連続した配列があるであろう。HCVゲノム内に可変領域および超可変領域があることは注目すべきである;それゆえ、これらの領域の相同性は、ゲノム全体の相同性より有意に低いと予想されることが注目されるべきである。推定のHCV株ゲノム配列と、例えばCDC/HCVl cDNAとの間の対応が、当該分野の公知の方法により決定され得る。例えば、それらは、推定HCVからのポリヌクレオチドの配列情報と、本明細書中に記載のHCV cDNA配列との直接の比較により決定され得る。例えば、さらに、相同領域間で安定な二量体(例えば、S1消化の前に用いられる二量体)を形成するような条件下で、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼイションを行い、次いで一本鎖に特異的なヌクレアーゼで消化し、次いで消化されたフラグメントの大きさを決定することにより、それらは決定され得る。
【0028】
HCV株または分離株の進化上の関係により、推定HCV株または分離株が、ポリペプチドレベルでの相同性により同定され得る。一般に、HCV株または分離株は、ポリペプチドレベルで、少なくとも10%の相同性があり、約40%以上の相同性があり、おそらく約70%以上の相同性があり、そしてなおいっそうおそらく約80%以上の相同性があることが予想され、そしてある種のものは約90%以上の相同性さえあり得る。アミノ酸配列相同性の決定方法は、当該分野では公知である。例えば、アミノ酸配列は直接決定され得、そして本明細書中に記載の配列と比較され得る。あるいは、推定HCVのゲノム物質のヌクレオチド配列が決定され(通常は、cDNA中間体を経て)、その中にコードされるアミノ酸配列が決定され、そして対応する領域が比較され得る。
【0029】
本明細書中に用いられるところの、指定された配列「に由来する」ポリヌクレオチドとは、指定されたヌクレオチド配列の領域に対応して、およそ少なくとも約6個のヌクレオチド配列、好ましくは少なくとも約8個のヌクレオチド配列、より好ましくは少なくとも約10〜12個のヌクレオチド配列、そしていっそうより好ましくは少なくとも約15〜20個のヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチド配列を示す。「対応する」とは、指定された配列に相同的であるか、または、相補的であることを意味する。好ましくは、ポリヌクレオチドの由来する領域の配列は、HCVゲノムに特有の配列に相同的であるか、または、相補的である。配列がHCVゲノムに特有であるかどうかは、当業者に公知の方法により決定され得る。例えば、その配列は、(優先日の時点での)データバンク(例えば、Genebank)の配列と比較されて、非感染の宿主または他の生物中に存在するかどうかが決定され得る。その配列はまた、(優先日の時点での)他のウイルス性因子の肝炎を誘発することが知られているウイルス性因子、例えば、HAV、HBVおよびHDVを含む既知の配列およびフラビウイルス科のメンバーと比較され得る。由来する配列と他の配列との対応性または非対応性はまた、適切に厳密な条件下でのハイブリダイゼイションにより決定され得る。核酸配列の相補性を決定するハイブリダイゼイション法は、当該分野では公知である。例えば、Maniatisら(1982)を参照。さらに、ハイブリダイゼイションにより形成される二量体ポリヌクレオチドのミスマッチはまた、例えば、二重体ポリヌクレオチド内の一本鎖領域を特異的に消化するS1のようなヌクレアーゼとの消化を包含する公知の方法により決定され得る。典型的なDNA配列が「由来」し得る領域は、例えば、特異的なエピトープをコードする領域、および非転写および/または非翻訳の領域を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0030】
由来するポリヌクレオチドは、必ずしも示されたヌクレオチド配列に物理的に由来せず、例えば、化学合成またはDNA複製または逆転写または転写を包含するような任意の方法により生じ得る。さらに、指定の配列の領域に対応する領域の組合せは、意図する方法と合致するように、当該分野で公知の方法で改変され得る。
【0031】
同様に、指定されたアミノ酸配列または核酸配列「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、配列内でコードされるポリペプチドのアミノ酸配列またはその一部分と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを示す。ここで、その一部分は、少なくとも3〜5個のアミノ酸、そしてより好ましくは、少なくとも8〜10個のアミノ酸、そしてより好ましくは少なくとも11〜15個のアミノ酸から成り、あるいは配列内でコードされるポリペプチドと免疫学的に同一であり得る。この用語はまた、指定された核酸配列から発現されるポリペプチドを包含する。
【0032】
組換えまたは由来するポリペプチドは、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されない;それは、例えば、化学合成、または組換え発現系の発現、または変異HCVを含むHCVからの分離を包含する任意の方法により生じ得る。組換えまたは由来のポリペプチドは、その配列内にアミノ酸または非天然アミノ酸の1個またはそれ以上の類似体を含有し得る。アミノ酸の類似体を配列内に挿入する方法は、当該分野では公知である。それはまた、1個またはそれ以上の標識を含有し得、これは当該分野では公知である。
【0033】
本明細書中で用いられる「組換えポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム起源、cDNA起源、半合成起源、または合成起源のポリヌクレオチドを意味し、そしてそれは、その起源または操作により、(1)天然で会合しているポリヌクレオチドの全部または一部分と会合していない、(2)天然で結合しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに結合している、または(3)天然には存在しない。
【0034】
本明細書中で用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形、すなわちリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかを示す。この用語は、分子の一次構造のみを示す。それゆえ、この用語は、二本鎖および一本鎖のDNAおよびRNAを包含する。それはまた、既知のタイプの改変、例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ化」、1個またはそれ以上の天然由来のヌクレオチドの類似体との置換、ヌクレオチド間の改変(例えば、非電荷的結合による改変(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および電荷的結合による改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオニートなど)、ペンダント部分を含有する改変、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを包含する)、インターカレーターによる改変(例えば、アクリジン、プソラレンなど)、キレーターを含有する改変(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)、アルキレーターを含有する改変、改変された結合による改変(例えば、α−アノマー性核酸など)、およびポリヌクレオチドの非改変形を包含する。
【0035】
「精製された」ポリペプチドは、そのポリペプチドが、実質的に他のポリペプチドのない状態で存在すること、すなわち、組成物中に所望のポリペプチドを最低約50重量%(組成物中、所望のポリペプチド/総ポリペプチド)、好ましくは最低約70重量%、そしてより好ましくは最低約90重量%を、組成物中の非タンパク質様物質に関係なく含有することを示す。ウイルス性ポリペプチドを精製する方法は、当該分野では公知である。精製された抗体が同様に定義される。
【0036】
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養物」、および微生物または単細胞体として培養される高等真核細胞系を表すような他の用語は、組換えベクターまたは他の転移DNAに対するレシピエントとして用いられ得る、または用いられて来た細胞を示し、そして形質転換された元の細胞の子孫を包含する。単一の親細胞の子孫は、元の親細胞と形態学的に、あるいは相補的なゲノムDNAまたは全DNAにおいて、自然変異、偶発性変異または意図的変異によって、必ずしも完全に同一ではないことが理解される。
【0037】
「レプリコン」は、任意の遺伝的要素であり、例えば、プラスミド、染色体、ウイルス、コスミッドなどであり、細胞すなわち、自身の制御下で複製し得る細胞内のポリヌクレオチド複製の独立単位として挙動する。
【0038】
「ベクター」は、結合したセグメントの複製および/または発現を引き起こすように別のポリヌクレオチドセグメントが結合しているレプリコンである。
【0039】
「制御配列」は、それらが連結するコード配列を発現するのに必要なポリヌクレオチド配列を示す。そのような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる;原核細胞では、一般に、そのような制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、およびターミネーターを含有する;真核細胞では、一般に、そのような制御配列は、プロモーター、ターミネーターおよび、ある場合にはエンハンサーを含有する。「制御配列」という用語は、最低限その存在が発現に必要であるすべての成分を含有することを意味し、そしてその存在が有益である他の成分、例えば、リーダー配列もまた含有し得る。
【0040】
「作動可能に連結された」は、上記の成分が、それらの成分を意図した方法で機能させる関係であるように並べて配置することを示す。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合する条件下で行われるような方法で連結される。
【0041】
「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの領域である;この領域は、コード配列の一部分または全コード配列を表す。
【0042】
「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合、mRNAに転写され、そして/またはポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。コード配列の境界は、5’末端での翻訳開始コドンおよび3’末端での翻訳終止コドンにより決定される。コード配列は、mRNA、cDNAおよび組換えポリヌクレオチド配列を包含し得るが、それらに限定されるものではない。
【0043】
「により/として免疫学的に同定可能な」は、指定されたポリペプチド、通常HCVタンパク質中にもまた存在するエピトープおよびポリペプチドの存在することをいう。免疫学的な同一性は、抗体による結合および/または結合における競合により決定され得る;これらの方法は、当業者には公知である。
【0044】
本明細書中で用いられるように、「エピトープ」は、ポリペプチドの抗原性決定基をいう。エピトープは、抗体の結合部位を決定する3個またはそれ以上のアミノ酸を含有し得る。一般に、エピトープは、少なくとも5個のアミノ酸から成り、そしてある場合には少なくとも8個のアミノ酸から成る。エピトープのマッピングの方法は、当該分野では公知である。
【0045】
ポリペプチド内に含まれる特異的エピトープを抗体が認識することによりそのポリペプチドが抗体に結合するとき、そのポリペプチドは抗体と「免疫学的に反応」する。免疫学的な反応性は、抗体結合により、特に抗体結合の反応速度論により、および/または抗体が反応するエピトープを含有する既知のポリペプチドを競合因子として用いて結合する際の競合反応により、決定され得る。ポリペプチドが抗体と免疫学的に反応するかどうかを決定する方法は、当該分野では公知である。
【0046】
本明細書中で用いられる「抗体」という用語は、少なくとも1個の抗体結合部位から成るポリペプチドまたはポリペプチド群をいう。「抗体結合部位」または「結合ドメイン」は、抗体分子の可変ドメインの折りたたみで形成されており、エピトープの特徴と相補的であるような、内部表面の形状および電荷の分布を有する三次元結合空間を形成し、抗原と免疫学的に反応させる。抗体結合部位は、重鎖ドメインおよび/または軽鎖ドメイン(それぞれVHおよびVL)から形成され得、そしてそれらのドメインは、抗原結合に寄与する超可変ループ構造を形成する。「抗体」という用語は、例えば、脊推動物抗体、ハイブリッド抗体、キメラ抗体、変異抗体、一価抗体、Fabタンパク質および単一ドメイン抗体を包含する。
【0047】
本明細書中で用いられる「単一ドメイン抗体」(dAb)は、VHドメインから成る抗体であり、指定された抗原と免疫学的に反応する。dAbは、VLドメインを含有しないが、抗体中に存在することが知られている他の抗原結合ドメイン、例えばκドメインおよびλドメインを含有し得る。dAbを調製する方法は、当該分野では公知である。例えば、Wardら(1989)を参照。
【0048】
抗体はまた、VHおよびVLドメイン、および他の既知の抗原結合ドメインから成り得る。これらのタイプの抗体およびそれらの調製方法の例は、当該分野では公知であり(例えば、米国特許第4,816,467号を参照。本明細書中に援用されている。)、そして以下のことを包含する。例えば、「脊椎動物抗体」は、テトラマーまたはその凝集体である抗体を示し、軽鎖および重鎖を含有する。その軽鎖および重鎖は、通常、「Y」立体配置内に凝集され、そして鎖間の共有結合的連結を有し得るか、または有し得ない。脊椎動物抗体において、特定の抗体のすべての鎖のアミノ酸配列は、インサイチュまたはインビトロ(例えば、ハイブリドーマで)でその抗体を産生するリンパ球により産生されるある種の抗体において見い出される鎖と相同性がある。脊椎動物抗体は、典型的に、自然抗体、例えば、精製されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含する。これらの抗体の調製方法の例としては、下記に示す。
【0049】
「ハイブリッド抗体」は、一方の対の重鎖および軽鎖が、第一抗体の重鎖および軽鎖と相同的であるが、他方の対の重鎖および軽鎖が、異なる第二抗体の重鎖および軽鎖と相同的である、という抗体である。典型的には、これら2つの対の各々は、異なるエピトープと結合し、特に異なる抗原上で結合する。この結果、「二価」の性質、すなわち2つの抗原を同時に結合する能力を生じる。そのようなハイブリッドはまた、下記のように、キメラ鎖を用いて形成され得る。
【0050】
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖が融合タンパク質である抗体である。典型的には、その鎖の定常ドメインは、ある特定の種および/またはクラスに由来し、そして可変ドメインは、異なる種および/またはクラスに由来する。さらに、重鎖または軽鎖のいずれかまたは両方が、異なる起源の抗体の配列を模倣する配列の組合せから成ることは、これらの起源のクラスが異なるか、または起源の異なった種であるかどうか、そして融合点が、可変部/定常部の境界にあるかどうか、を包含する。それゆえ、その定常領域または可変領域のいずれも既知の抗体配列を摸倣しない抗体を産生することは可能である。次いで、例えば、可変領域が特定の抗原に対して高い特異的な親和性を有し、または定常領域への補体結合の程度を大きくし得るような抗体を構築すること、あるいは特定の定常領域が有する性質を他に改良することが可能となる。
【0051】
別の例としては「変異抗体」があるが、それは、脊椎動物抗体における天然由来のアミノ酸配列が変異された抗体をいう。組換えDNA技術を用いて、抗体を、所望の特徴を得るために再設計し得る。可能な変異は多数あり、そしてそれは、1個またはそれ以上のアミノ酸の変化からある領域、例えば、定常領域、の完全な再設計までの範囲で可能である。定常領域における変化は、一般的に、所望の細胞プロセス特性を得る変化であり、例えば、補体結合、膜との相互作用、および他のエフェクター機能における変化がある。可変領域における変化は、抗原結合特性を変化させるためになされ得る。抗体はまた、分子または物質の特異的な細胞または組織部位への特異的な送達を促進するように設計され得る。所望の改変は、分子生物学における既知の方法、例えば、組換え法、部位特異的突然変異誘発によってなされ得る。
【0052】
また別の例は「一価抗体」であり、これは、別の重鎖のFc(すなわち、定常)領域に結合した重鎖/軽鎖のダイマーから成る集合体である。このタイプの抗体は、抗原転調を生じない。例えば、Glennieら(1982)を参照。
【0053】
抗体の定義内には、抗体の「Fab」フラグメントもまた含まれる。「Fab」領域は、重鎖および軽鎖の部分に関し、この部分は、重鎖および軽鎖の枝部分を含有し、かつ特殊化された抗原に対し免疫学的結合を示すが、Fc部分を欠く配列と、およそ等価であるか、または類似している。「Fab」は、1本の重鎖および1本の軽鎖の集合体(通常Fab’として知られる)、および2本のH鎖および2本のL鎖を含有するテトラマー(F(ab)2と呼ばれる)を含み、選択的に所望の抗原または抗体ファミリーと反応し得る。「Fab」抗体は、上記に類似のサブセット、すなわち、「脊椎Fab」、「ハイブリッドFab」、「キメラFab」、および「改変Fab」に分けられ得る。抗体の「Fab」フラグメントを生成する方法は、当該分野において周知であり、例えば、タンパク質分解、および組換え法による合成を包含する。
【0054】
また「抗体」という用語には、一本鎖抗原結合(SCA)タンパク質が含まれ、例えば、1992年6月15日に発行のCancer Research中のSchlom、J.共著の論文(および本明細書中に援用された論文)に記戟されたタイプがある。
【0055】
本明細書中で用いられている「免疫原性ポリペプチド」という用語は、単独であるいはキャリアと結合して、アジュバンドの存在または非存在下で、細胞性および/または体液性の免疫応答を生じさせるポリペプチドをいう。
【0056】
「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーについていい、特定の長さの生成物をいうわけではない;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後の改変物(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)について言わず、すなわちこれを除外する。本定義内には、例えば、1つまたはそれ以上のアミノ酸のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを包含する)を含有するポリペプチド、置換された結合を有するポリペプチド、および当該分野で知られる他の改変物が、天然産生および非天然産生のいずれであっても含まれ得る。
【0057】
本明細書中で用いられている「形質転換」は、挿入に用いられる方法に関わらず、外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞へ挿入することをいう。挿入に用いられる方法には、例えば、直接取込み、形質導入、f交配、またはエレクトロポーレーションがある。外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(例えば、プラスミド)として維持され得るか、あるいは宿主ゲノム中に組み込まれ得る。
【0058】
本明細書中で用いられている「処置」は、予防および/または治療についていう。
【0059】
本明細書中で用いられている「個体」は、脊推動物、特に多数の哺乳類種についていい、動物(例えばイヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、モルモットなど)および霊長類(サル、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトを包含する)を包含するが、これに限定されない。
【0060】
本明細書中で用いられている核酸の「センス鎖」は、mRNAの配列と配列相同性を有する配列を含む。「アンチセンス鎖」は、「センス鎖」の配列に相補性である配列を含む。
【0061】
本明細書中で用いられているウイルスの「正鎖ゲノム」は、そのゲノム、すなわちRNAまたはDNAのいずれかが一本鎖であり、ウイルスポリペプチドをコードするゲノムである。正鎖RNAウイルスの例には、トガウイルス科(Togaviridae)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、およびカリシウイルス科(Caliciviridae)が含まれる。フラビウイルス科(Flaviviridae)もまた含まれ、このウイルスは、以前トガウイルス科として分類されていた。FieldsおよびKnipe(1986)を参照。
【0062】
本明細書中で用いられている「生体成分含有抗体」は、目的とする抗体源である個体生体の成分をいう。生体成分含有抗体は、当該分野において周知であり、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、気道の外分泌、腸管の外分泌、生殖管の外分泌、涙、唾液、乳、白血球、および骨髄腫を包含するが、これに限定されない。
【0063】
本明細書中で用いられている「生体試料」は、個体から単離した組織または液状物の試料を言い、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外分泌、気道の外分泌、腸管の外分泌、生殖管の外分泌、涙、唾液、乳、血球、腫瘍、器官、およびインビトロ細胞培養成分の試料(細胞培地における細胞の増殖から得られる馴化培地、推定上ウイルスに感染した細胞、組換え細胞、および細胞成分を包含するがこれに限定されない)もまた包含するが、これに限定されない。
【0064】
II.発明の説明
本発明の実施においては、他に指示されていなければ、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法が用いられ、これらは当該分野の技術範囲内である。このような技法は、文献に充分に説明されている。例えば、以下を参照。Maniatis、FitschおよびSambrook、「Molecular Cloning;A Laboratory Manual」(1982);「DNA Cloning、Volumes I and II」(D.N Glover編 1985);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編 1984);「Nucleic Acid Hybridization」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編 1984);「Transcription and Translation」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編 1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編 1986);「Immobilized Cells And Enzymes」(IRL Press、1986);B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984);シリーズ、「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells」(J.H.MillerおよびM.P.Calos編 1987、Cold Spring HarborLaboratory)、Meth Enzymol第154巻および第155巻(それぞれ、WuおよびGrossman、およびWu編)MayerおよびWalker編(1987)、「Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology」(Academic Press、London);Scopes(1987)「Protein Purification:Principles and Practice」、第2版(Springer−Verlag、N.Y.);および「Handbook of Experimental Immunology」I〜IV巻(D.M,WeirおよびC.C.Blackwell編 1986)。本明細書中に記載の全ての特許、特許出願、および刊行物は、上記および下記ともに、本明細書中に参考として援用されている。
【0065】
II.A.短型HCVポリペプチド
本発明の有用な物質および方法は、新規なHCVエピトープを以下のように同定することにより実行可能となる。これらのエピトープ(または抗原領域)を知ることにより、短縮型HCV配列を含有するポリペプチドの構築が可能となる。このポリペプチドは、免疫学的試薬として用いられ得る。
【0066】
少なくとも1つのウイルスエピトープをコードする短縮型HCVアミノ酸配列は、有用な免疫学的試薬である。例えば、このような短縮型配列を含むポリペプチドは、イムノアッセイの試薬として用いられ得る。これらのポリベプテドはまた、抗血清の生成またはワクチンのための組成物における候補サブユニット抗原である。これらの短縮型配列は天然ウイルスタンパク質の種々の既知の処理により生成され得るが、一般に、HCV配列を含む合成または組換えポリペプチドを調製することが好ましい。これらの短縮型ポリペプチドを含むポリペプチドは、HCV配列(連続したまたは連続しない1つまたはそれ以上のエピトープ)のみから、またはHCV配列および融合タンパク質中の異種配列から、形成され得る。有用な異種配列は、組換え宿主から分泌させるか、HCVエピトープの免疫反応性を高めるか、またはポリペプチドのイムノアッセイ支持体またはワクチンキャリアヘの結合を容易にする配列を包含する。例えば、ヨーロッパ公開公報第116,201号;米国特許第4,772,840号;ヨーロッパ公開公報第259,149号;米国特許第4,629,783号。これらの文献の開示は、本明細書中に参考として援用されている。
【0067】
短縮型HCV配列を含むポリペプチドのサイズは、広い範囲で変化し得る。最小サイズは1つのHCVエピトープを与えるのに充分なサイズの配列であり、一方最大サイズは重要ではない。便宜上、最大サイズは、通常、所望のHCVエピトープ、および異種配列がある場合にはその機能を与えるのに必要なサイズよりも実質的に大きいサイズではない。典型的には、短縮型HCVアミノ酸配列は、長さが約5(または8)から約100アミノ酸までの範囲内にある。しかし、より典型的には、HCV配列は、最大の長さが約50(または40)アミノ酸であり、時には最大の長さは約20、25、または30アミノ酸である。少なくとも約8、10、12、または15アミノ酸のHCV配列を選択することが、通常望ましい。
【0068】
本明細書中に記載のように有用である短縮型HCVアミノ酸配列(オクタマー)の例は、以下の実施例中で説明される。これらのペプチドは1つのエピトープを必ずしも正確にマッピングしないことが理解されるべきである。配列中の非免疫原性部分は、従来の方法を用いて定められ、記載の配列から除かれ得る。さらに、エピトープを含有するか、または免疫原性である付加的な短縮型HCVアミノ酸配列が、本明細書中に記載のようにして同定され得る。
【0069】
以下で開示される短縮型HCVアミノ酸配列を含むポリペプチド生成物は、個々のペプチドとして調製され得るか、またはより大きなポリペプチド中に取り込まれ得て、本明細書中に記載のような使用に用いられ得る。好ましい適用においては、E1および/またはE2ドメインから得られる短縮型配列が、ワクチンおよび治療生成物に適用される。通常、ドメインのいずれもが診断上の有用性を有し得るが、C、NS3、NS4、およびNS5が特に好ましく、Cエピトープと1つまたはそれ以上のNS3、NS4、またはNS5ドメインから得られるエピトープとの組合せが特に好ましい。
【0070】
II.B.ポリペプチドの調製
HCVアミノ酸配列をコードするDNA配列が得られることにより、ポリペプチドの抗原活性領域をコードする発現ベクターの構築が可能となる(例えば、図2を参照)。これらの抗原活性領域は、コートまたはエンベロープ抗原、コア抗原、または非構造性の抗原から由来し得る。非構造性の抗原には、例えば、ポリヌクレオチド結合タンパク質、ポリヌクレオチドポリメラーゼ、およびウイルス粒子の複製および/または集合に必要とされる他のウイルスタンパク質が包含される。所望のポリペプチドをコードするフラグメントは、例えば、従来の制限消化を用いてウイルスcDNAクローンから、または合成法により誘導され、そして、例えば、β−ガラクトシダーゼまたはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のような融合配列の部分、好ましくはSODを含み得るベクターに連結される。SODの融合配列を含むポリペプチドの産生に有用である方法およびベクターは、1986年10月1日に発行されたヨーロッパ公開公報第0196056号に記載されている。SODおよびHCVポリペプチドの融合ポリペプチドをコードするベクター、すなわちNANB5−1−1、NANB81、およびC100−3(これはHCV cDNAの合成体中でコードされる)は、それぞれ、IV.B.1、IV.B.2、およびIV.B.4の部に記載されている。オープンリーディングフレームを含むHCV cDNAのいずれの所望の部分(あるいはそれらの合成変形物)も、組換えポリペプチド、例えば、成熟タンパク質または融合タンパク質を発現するために用いられ得る。
【0071】
あるいは、HCVエピトープを含有するポリペプチドは、図面および実施例のアミノ酸配列に基づいて、標準的方法を用いる化学合成により与えられ得る。
【0072】
所望のポリペプチド配列をコードするDNAは、融合型か非融合型かに関わらず、そして分泌を可能にするシグナル配列を含むかどうかに関わらず、いずれかの便利な宿主に適切である発現ベクター中に連結され得る。真核生物および原核生物の両方の宿主系が、組換えポリペプチドの形成に現在用いられており、宿主細胞株は、ヨーロッパ公開公報第318,216号に提示されている。次いで、ポリペプチドを、溶解させた細胞、または細胞培地から単離し、目的とする使用に必要とされる程度にまで精製する。精製は、当該分野において既知である方法によりなされ得、その方法には、例えば、分別抽出、塩分画、イオン交換樹脂クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、遠心分離などがある。例えば、タンパク質を精製する種々の方法に関するMethods of Enzymologyを参照。このようなポリペプチドは、診断用薬として用いられ得、または中和抗体を生じるポリペプチドは、ワクチンに処方され得る。これらのポリペプチドに対して生成させた抗体もまた、診断用薬として、または受動免疫療法のために用いられ得る。さらに、以下で議論されるように、これらのポリペプチドに対する抗体は、例えば、HCV粒子を単離し、同定するのに有用である。
【0073】
HCVポリペプチドはまた、HCVビリオンから単離され、(まだ短縮されていない場合は)短縮され得る。ビリオンは、組織培養におけるHCV感染細胞中で、または感染宿主中で生育し得る。
【0074】
II.C.抗原ポリペプチドの調製、およびキャリアとの複合体化
ポリペプチドの抗原領域は、一般的に比較的短い。典型的には8個から10個のアミノ酸またはそれより短い長さである。わずか5個程度のアミノ酸のフラグメントでも、抗原領域を特徴付け得る。これらのセグメントは、HCV抗原の領域に対応し得る。従って、基準としてHCVのcDNAを用いて、HCVポリペプチドの短いセグメントをコードするDNAが、融合タンパク質として、または単離されたポリペプチドとして、組換えにより発現され得る。さらに、短いアミノ酸配列は、化学的合成により、好都合に得られ得る。合成されたポリペプチドが、正確に形成されて正しいエピトープを提供するものの、短すぎるので免疫原性でない場合には、このポリペプチドは適切なキャリアと連結され得る。
【0075】
このような連結を行うための多くの技法が、当該分野において知られている。その例としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)(Pierce Company(Rookford,Illinois)から入手)を用いるジスルフィド結合の形成がある(ペプチドがスルフヒドリル基を有しない場合には、これはシステイン残基の付加により提供され得る)。これらの試薬は、試薬自身と1方のタンパク質上のペプチドシステイン残基との間でジスルフィド結合を創り出し、そして他方のタンパク質におけるリジン上のε−アミノ基または他の遊離アミノ基を介してアミド結合を創り出す。種々のそのようなジスルフィド/アミド形成剤が既知である。例えば、Immun Rev(1982)62:185を参照。他の二官能性カップリング剤は、ジスルフィド結合ではなくチオエーテルを形成する。多くのこれらのチオ−エーテル形成剤が市販されている。例えば、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸、2−ヨード酢酸、4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸などの反応性エステルがある。これらのカルボキシル基は、コハク酸イミドまたは1−ヒドロキシル−2−ニトロ−4−スルホン酸ナトリウム塩との結合により活性化され得る。カップリング剤のさらなる方法は、ヨーロッパ公開公報第259,149号に記載のロタウイルス/「結合ペプチド」系を用い、それらの開示は、本明細書中に援用されている。上記のリストは包括的ではなく、指定の化合物の改変物が使用され得ることは明らかである。
【0076】
宿主に有害な抗体の産生をそれ自身誘発しない任意のキャリアが使用され得る。適切なキャリアは、典型的には、代謝速度の遅い巨大分子、例えば、タンパク質;ポリサッカライド(例えば、ラテックス官能化セファロース(Sepharose)(登録商標)、アガロース、セルロース、セルロースビーズなど);ポリマー性アミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジンなど);アミノ酸コポリマー;および不活性ウイルス粒子である。例えば、セクションII.D.を参照。特に、有用なタンパク質基質は、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、および当業者に公知の他のタンパク質である。
【0077】
II.D.HCVエピトープを含有するハイブリッド粒子免疫原の調製
HCVのエピトープの免疫原性は、粒子形成タンパク質と融合させるかまたは構築させた哺乳類系または酵母系においてエピトープを調製することによっても高められ得る。粒子形成タンパク質としては、例えば、B型肝炎表面抗原に関連するものなどがある。例えば、米国特許第4,722,840号を参照。粒子形成タンパク質コード配列にHCVエピトープが直接連結している構築物は、HCVエピトープに関して免疫原性であるハイブリッドを生成する。さらに、調製される全てのベクターは、HBVに対して特異的であり、例えばプレ−Sペプチドのような種々の程度の免疫原性を有するエピトープを含有している。従って、HCV配列を含む粒子形成タンパク質から構築される粒子は、HCVおよびHBVに関して免疫原性である。
【0078】
肝炎表面抗原(HBSAg)は、S.cerevisiae(P.Talenzuelaら(1982))、および例えば哺乳類細胞(P.Valenzuelaら(1984))において、形成され、構築されて粒子となることが示されている。このような粒子の形成により、モノマーサブユニットの免疫原性が高められることが示されている。この構築物は、プレ表面(プレ−S)領域の55アミノ酸を含むHBSAgの免疫優性エピトープをも含有し得る。Neurathら(1984)。酵母において発現し得るプレ−S−HBSAgの構築物は、1986年3月19日に発行されたヨーロッパ公開公報第174,444号に開示されており;酵母の発現のための非相同のウイルス配列を含むハイブリッドは、1966年3月26日に発行されたヨーロッパ公開公報第175,261号に開示されている。これらの構築物はまた、SV40−ジヒドロ葉酸レダクターゼベクターを用いて、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞においても発現され得る(Michelleら(1984))。
【0079】
さらに、粒子形成タンパク質コード配列の一部は、HCVエピトープをコードするコドンで置換され得る。この置換では、酵母または哺乳類において免疫原性粒子を形成するためにユニットが集合することを仲介するのに必要でない領域は削除され得、これによりHCVエピトープとの競合から付加的なHBV抗原部位が除去され得る。
【0080】
II.E.ワクチンの調製
ワクチンは、1つあるいはそれ以上の、HCV由来の免疫原性ペプチドから調製され得る。これらのポリペプチドは種々の宿主細胞(例えば、バクテリア、酵母、昆虫、または哺乳類細胞)で発現され得、またはウイルス調製物から単離され得るか、あるいは合成により生成され得る。HCVに対する1価または多価のワクチンは、1つあるいはそれ以上の構造タンパク質由来の1つあるいはそれ以上のエピトープ、および/または1つあるいはそれ以上の非構造タンパク質由来の1つあるいはそれ以上のエピトープから構成され得る。これらのワクチンは、例えば組換えHCVポリペプチドおよび/またはビリオンから単離されたポリペプチドから構成され得る。特に、1つあるいはそれ以上の以下に示すHCVタンパク質、またはそれら由来のサブユニット抗原を含むワクチンが考察される:E1、E2、C、NS2、NS3、NS4、およびNS5。特に好ましいワクチンは、E1および/またはE2、またはそれらのサブユニットを含んでいる。
【0081】
上記に加え、1つあるいはそれ以上の組換えHCVポリペプチドを発現する弱毒化微生物の生ワクチンを調製することもまた可能である。適切な弱毒化微生物は、当該分野で既知であり、例えばウイルス(例、ワクチニアウイルス(Brownら(1986)を参照))、およびバクテリアを包含する。
【0082】
活性成分として免疫原性ポリペプチドを含有するワクチンの調製は、当業者に既知である。典型的には、このようなワクチンは、溶液または懸濁液のいずれかとして、注入可能に調製される;注入前の液体中の溶解または懸濁に適した固形物の形態でもまた調製され得る。調製物はまた乳濁され得、またはタンパク質がリポソームにカプセル化され得る。活性免疫原性成分は、薬学的に受容可能であって、活性成分に適合した賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの混合物がある。さらに、所望であれば、ワクチンは、少量の補助剤(例えば加湿剤または乳化剤)、pH緩衝剤、および/またはワクチンの効能を高めるアジュバントを含有し得る。有効であり得るアジュバントの例は、限定されないが、以下を包含する:水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、nor−MDPと称せられる)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEと称せられる)、およびRIBI。RIBIは、バクテリアから抽出した3成分、すなわちモノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(HPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween(登録商標)80エマルジョン中に含有している。アジュバントの効能は、HCV抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドおよび種々のアジュバントから構成されるワクチンを投与することにより生じる、この免疫原性ポリペプチドに対する抗体の量を測定することにより決定され得る。
【0083】
本ワクチンは、通常非経口的に、例えば皮下注射または筋内注射のような、注射により投与される。他の投与態様に適切な別の処方としては、坐薬、およびある場合には経口処方薬が挙げられる。坐薬について、従来の結合剤および担体には、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ得る;このような坐薬は、活性成分を0.5%から10%までの範囲で、好ましくは1%から2%までの範囲で含有する混合物から形成され得る。経口処方薬は、通常用いられる賦形剤を含有する。この賦形剤としては、例えば、薬学的なグレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出処方剤、または粉末剤の形態をとり、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。 タンパク質は、中性または塩基性の形態でワクチンに処方され得る。薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基により形成される)であって、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または有機酸(酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸など)により形成される塩を包含する。遊離カルボキシル基による塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第2鉄)、および有機塩基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。
【0084】
II.F.ワクチンの投与量および投与
本ワクチンは、投与処方に適した方法で、そして予防および/または治療効果があるような量で投与される。投与されるべき量は、通常投与当たり抗原を5μgから250μgまでの範囲であり、これは、処置される患者、その患者の免疫系での抗体合成能、および所望の防御の程度に依存する。投与されるべき活性成分の正確な量は、医師の判断に依存し得、各患者に特有であり得る。
【0085】
本ワクチンは、単独投与スケジュールで、または好ましくは複合投与スケジュールで与えられ得る。複合投与スケジュールでは、予防接種の開始時期に1〜10の個別の投与を行い、続いて免疫応答を維持するおよびまたは強化するのに必要とされる時間間隔で、例えば2回目の投与として1〜4ヵ月後に、別の投与を行い得る。必要であれば、数ヶ月後に引続き投与を行い得る。投与のレジメもまた、少なくとも部分的には、個体の必要性により決定され、医師の判断に依存する。
【0086】
さらに、免疫原性HCV抗原を含有するワクチンは、他の免疫制御剤(例えば、免疫グロブリン)と共に投与され得る。
【0087】
II.G.HCVエピトープに対する抗体の調製
本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチドは抗体を産生するために用いられ、この抗体はポリクローナルおよびモノクローナルを包含する。ポリクローナル抗体が所望である場合、選択された哺乳類(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)を、HCVエピトープを有する免疫原性ポリペプチドで免疫感作する。感作動物由来の血清を採集し、既知の手法に従って処理する。HCVエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合、このポリクローナル抗体はイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る。ポリクローナル抗血清を産生および処理する方法は当該分野で既知であり、例えばMayerおよびWalker(1987)を参照。あるいは、ポリクローナル抗体は、既にHCVに感染した哺乳類から単離され得る。
【0088】
HCVエピトープに対するモノクローナル抗体もまた、当業者により容易に製造され得る。ハイブリドーマによりモノクローナル抗体を産生する一般的な方法は、周知である。不朽抗体産生細胞株は、細胞融合により生成され得、また、腫瘍遺伝子DNAによるBリンパ球の直接形質転換またはEpstein−Barrウイルスでの形質移入のような他の方法によっても生成され得る。例えば、M.Schreierら(1980);Hammerlingら(1981);Kennettら(1980);さらに米国特許第4,341,761号;第4,399,121号;第4,427,783号;第4,444,887号;第4,466,917号;第4,472,500号;第4,491,632号;および第4,493,890号を参照。HCVエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体のパネルは、種々の特性(例えばイソタイプ、エピトープ親和性など)についてスクリーンされ得る。
【0089】
HCVエピトープに対する抗体は、モノクローナルおよびポリクローナルとも、特に診断に有用であり、また中和抗体は受動免疫療法に有用である。モノクローナル抗体は、特に、抗イディオタイプ抗体を増大させるために用いられ得る。
【0090】
抗イディオタイプ抗体は、それに対する防御が望まれる感染因子の抗原の「内部イメージ」を有する免疫グロブリンである。例えば、Nisonoff.A.ら(1981)およびDreesmanら(1985)を参照。抗イディオタイプ抗体を増大させる方法は、当該分野において既知である。例えば、Grzych(1985)、MacNamaraら(1984)、およびVytdehaagら(1985)を参照。これらの抗イディオタイプ抗体はまた、NANBHの治療、予防接種、および/または診断、およびHCV抗原の免疫原性領域の解明のために有用であり得る。
【0091】
II.H.イムノアッセイおよび診断キット
本発明のポリペプチドおよび抗体共に、例えば、生体試料における、HCV抗体の存在、またはウイルスおよび/またはHCVポリペプチド(またはエピトープ)の存在を検出するイムノアッセイにおいて有用である。イムノアッセイの設計は多くの変化を受け易く、多くの形式が当該分野において既知である。このイムノアッセイは、HCV由来の少なくとも1つのウイルスエピトープを利用する。1つの実施態様においては、イムノアッセイは、HCV由来の複数のウイルスエピトープの組合せを利用する。これらのエピトープは、同一のまたは種々のウイルスポリペプチドに由来し得、個々の組換えまたは天然のポリペプチド中に存在し得るか、または同一の組換えポリペプチド中に存在し得る。イムノアッセイは、例えば、ウイルスエピトープに対する1つのモノクローナル抗体、1つのウイルス抗原の複数のエピトープに対するモノクローナル抗体の組合せ、種々のウイルス抗原の複数のエピトープに対するモノクローナル抗体、同一のウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、または種々のウイルス抗原に対するポリクローナル抗体を用い得る。プロトコルはまた、例えば、競合、または直接反応、またはサンドウィッチ型アッセイに基づき得る。プロトコルはまた、例えば固体支持体を用い得るか、または免疫沈降によるものであり得る。ほとんどのアッセイは、標識抗体または標識ポリペプチドの使用を包含する;この標識は、例えば酵素、蛍光、ケミルミネッセンス、放射線、または染色分子であり得る。プローブからのシグナルを増幅するアッセイもまた既知である;このようなアッセイの例としては、ビオチンとアビジンとを用いるアッセイ、および酵素標識および媒介イムノアッセイ(例えばELISAアッセイ(以下に記載する))が挙げられる。
【0092】
典型的には、抗HCV抗体に対するイムノアッセイは、抗体を含有する疑いのある試験試料(例えば生体試料)を選別および調製すること、次いでその試験試料を、抗原抗体複合体が形成し得る条件下で抗原性(すなわちエピトープ含有)HCVポリペプチドと共にインキュベートすること、さらに次いでそのような複合体の形成を検出することを包含する。適切なインキュベーション条件は、当該分野において周知である。このイムノアッセイは、限定はされないが、均一または不均一な形式であり得、標準タイプまたは競合タイプからなり得る。
【0093】
不均一形式では、インキュベーション後のポリペプチドからの試料の分離を容易にするために、ポリペプチドを典型的には固体支持体に結合させる。用いられ得る固体支持体の例には、ニトロセルロース(例えば、膜状またはマイクロタイターウェル状)、ポリ塩化ビニル(例えば、シート状またはマイクロタイターウェル状)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ状またはマイクロタイタープレート状)、ポリフッ化ビニリジン(Immulon(登録商標)として知られる)、ジアゾ化紙、ナイロン膜、活性化ビーズ、およびプロテインAビーズがある。例えば、DyanatechImmulon(登録商標)1またはImmulon(登録商標)2マイクロタイタープレートまたは0.25インチポリスチレンビーズ(Precision Plastic Ball)が、不均一形式において用いられ得る。抗原性ポリペプチドを含有する固体支持体は、典型的には試験試料から分離した後で、結合された抗体の検出前に洗浄される。標準形式および競合形式共に、当該分野において既知である。
【0094】
均一形式では、試験試料は溶液中の抗原と共にインキュベートされる。例えば、このインキュベートは、形成される抗原抗体複合体のいずれもを沈降させる条件下で行われ得る。これらのアッセイの標準形式および競合形式共に、当該分野において既知である。
【0095】
標準形式では、抗体抗原複合体を形成するHCV抗体量は、直接モニターされる。これは、抗HCV抗体上のエピトープを認識する標識抗異種(例えば、抗ヒト)抗体が複合体形成により結合するかどうかを測定することにより行われ得る。競合形式では、試料中のHCV抗体量は、複合体中の既知の量の標識抗体(または他の競合リガンド)の結合への競合効果をモニターすることにより推定される。
【0096】
抗HCV抗体を含有する形成された複合体(または、競合アッセイの場合では、競合抗体の量)は、多くの既知の方法のいずれかにより検出され、その方法は形式に依存する。例えば、複合体中の非標識HCV抗体は、標識と複合体化された抗異種Igの複合体(例えば、酵素標識)を用いて検出され得る。
【0097】
HCVポリペプチドが分析物であるイムノアッセイでは、試験試料、典型的には生体試料は、抗原抗体複合体が形成され得る条件下で、抗HCV抗体と共にインキュベートされる。種々の形式が採用され得る。例えば、「サンドウィッチアッセイ」が採用され得るが、このアッセイでは、固体支持体に結合した抗体を試験試料と共にインキュベートし、洗浄して、分析物に対する標識された第2の抗体と共にもう一度インキュベートし、そして支持体を再び洗浄する。分析物は、第2の抗体が支持体に結合されていることを測定することにより検出される。競合アッセイでは、これは不均一または均一のいずれかであり得るが、通常、試験試料を抗体とインキュベートし、そして標識した競合抗原もまた、続けてまたは同時にインキュベートする。これらおよび他の形式は、当該分野において周知である。
【0098】
HCV感染について有効な検出システムは、上述のようにエピトープのパネルの使用を包含し得る。パネル中のエピトープは、1つまたは複数のポリペプチド中に構築され得る。種々のエピトープに対するアッセイは、連続的にまたは同時に行い得る。
【0099】
固相酵素免疫測定法(ELISA)は、抗原濃度または抗体濃度のいずれかを測定するために用いられ得る。この方法は、抗原または抗体に対する酵素の複合体化に依存し、定量標識として結合した酵素活性を用いる。抗体を測定するためには、既知の抗原を固相(例えば、マイクロプレートまたはプラスチックカップ)に固定し、それを試験血清希釈液とインキュベートし、洗浄し、さらに酵素で標識した抗免疫グロブリンとインキュベートし、再び洗浄する。標識するのに適切な酵素は、当該分野において既知であり、例えばワサビダイコン(horseradish)ペルオキシダーゼを包含する。特異的な基質を加え、生成物の形成または基質の利用を比色法により測定することにより、固相に結合した酵素活性を測定する。結合した酵素活性は、結合した抗体の量の正の関数である。
【0100】
抗原を測定するためには、既知の特異的な抗体を固相に固定し、抗原を含有する試験物質を加え、インキュベーション後に固相を洗浄し、さらに別の酵素標識抗体を加える。洗浄後、基質を加え、酵素活性を比色法により評価し、抗原濃度に関連づける。免疫診断に好適であり適切な標識化試薬を含むキットは、適切な材料を包装することにより組み立てられる。このキットは、適切な容器の中に、HCVエピトープを含有する本発明のポリペプチドまたはHCVエピトープに対する抗体を含み、さらにこのアッセイの実施に必要とされる他の試薬および材料、および適切なアッセイの指示書を含む。
【0101】
III.一般方法
本発明の実施に用いられる一般的な方法は、例えば本明細書中に引用した参考文献、特にヨーロッパ公開公報第318,216号および第388,232号、および文献目録に載せた参考文献中に見いだされ得る。これらの文献は、本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0102】
IV.実施例
以下に記載する本発明の実施例は、例示の目的でのみ提示され、本発明の範囲を制限しない。本明細書の開示を考慮すると、請求項の範囲内にある多くの実施態様が当業者に明らかである。
【0103】
IV.A.HCVゲノムのエピトープマッピング
以下の実施例は、図1に示されるHCV1ポリタンパク質配列上で行われたエピトープマッピング実験の結果である。図3〜11に示されるように、HCV分離株間には異質性があり、これらのアミノ酸の置換が以下に記載のオクタマー中でなされ得ることを示している。他のHCV分離株の対応する位置でのアミノ酸での置換に加え、特定のアミノ酸の合成アナログでの置換または電荷に基づく保存的置換など(特に置換が抗体結合を破壊しない場合)は、本発明の範囲内にある。
【0104】
IV.A.1.重複ペプチドの合成
8×12配列のブロックに配置したポリエチレン製ピン(Coselco Mimetopes,Victoria,Australia)を、室温で30分間ピンを浴槽(20%v/vピペリジンのジメチルホルムアミド(DHF)溶液)中に置くことにより調製した。次いでこのピンを取り出してDMF中で5分間洗浄し、次いでメタノール中で4回(各洗浄に2分)洗浄した。ピンを少なくとも10分間空気乾燥させ、次いでDMF中で最終的に洗浄した(5分)。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、367mg)をDMF(80mL)に溶解し、Fmoc保護アミノ酸を結合させるために用いた:Fmoc−L−A1a−OPfp、Fmoc−L−Cys(Trt)−OPfp、Fmoc−L−Asp(O−tBu)−OPfp、Fmoc−L−Glu(O−tBu)−OPfp、Fmoc−L−Phe−OPfp、Fmoc−Gly−OPfp、Fmoc−L−His(Boc)−OPfp、Fmoc−L−Ile−OPfp、Fmoc−L−Lys(Boc)−OPfp、Fmoc−L−Leu−OPfp、Fmoc−L−Met−OPfp、Fmoc−L−Asn−OPfp、Fmoc−L−Pro−OPfp、Fmoc−L−Gln−OPfp、Fmoc−L−Arg(Mtr)−OPfp、Fmoc−L−Ser(t−Bu)−ODhbt、Fmoc−L−Thr(t−Bu)−ODhbt、Fmoc−L−Val−OPfp、およびFmoc−L−Tyr−OPfp。
【0105】
保護アミノ酸をHOBtと共にマイクロタイタープレートウェル中に置き、ピンブロックをプレート上に配し、ピンをウェル中に浸漬した。次いでこの組合せをプラスチックバッグ中にシールし、25℃で18時間反応させて最初のアミノ酸をピンに結合させた。次いでブロックを取り外し、ピンをDHF(2分)、MeOH(4×2分)で洗浄し、さらにDMF(2分)で洗浄して、結合アミノ酸を清浄化し、脱保護した。この手順を繰り返して、さらに各アミノ酸を結合させ、全てのオクタマーを調製した。
【0106】
次いで遊離N末端をアセチル化し、遊離アミドを代償した。これは、エピトープのほとんどはN末端に存在せず、従って関連する正の電荷を有さないことによる。マイクロタイタープレートのウェルをDMF/無水酢酸/トリエチルアミン(5:2:1v/v/v)で満たし、ピンをウェル中で20℃で90分間反応させることにより、アセチル化を行った。次いでこのピンをDMF(2分)およびMeOH(4×2分)で洗浄し、少なくとも10分間空気乾燥した。
【0107】
ピンをトリフルオロ酢酸/フェノール/ジチオエタン(95:2.5:2.5v/v/v)を用いてポリプロピレンバッグ中室温で4時間処理し、側鎖保護基を除去した。次いでピンをジクロロメタン(2×2分)中で洗浄し、さらに5%ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン(2×5分)、ジクロロメタン(5分)中で洗浄し、そして少なくとも10分間空気乾燥した。次いでピンを水(2分)、次いでMeOH(18時間)中で洗浄し、減圧下で乾燥し、シールしたプラスチックバッグ中にシリカゲル上で保存した。
IV.A.2.ペプチドのアッセイ
上記のように調製したオクタマー含有ピンを、初めに破壊緩衝液(1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%2−メルカプトエタノール、0.1M NaH2PO4)中60℃で30分間超音波処理した。次いでピンを水(60℃)に数回浸漬し、続いて沸騰MeOH(2分)に浸漬し、空気乾燥した。次いで遮断緩衝液200μL(1%オボアルブミン、1%BSA、0.1%Tween(登録商標)、および0.05%NaN3のPBS溶液)を含有するマイクロタイターウェル中で、25℃で1時間攪拌しながらピンを前被覆した。次いで、このピンを、HCVを有すると診断されたヒト患者から得られた抗血清175μLを含有するマイクロタイターウェル中に浸漬し、4℃で一晩インキュベートした。ピンは3人の患者から得た抗血清に対してアッセイした。標本#PAA 3663−s(「A」)は、HCVウェスタンブロット、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:1000希釈)に対するHCV ELISAで強い反応を示し、C100、5−1−1、およびC33c(C22は行わず)に対するRIBA応答で>4+を示した。(抗原/クローン名は、ヨーロッパ公開公報第318,216号および第388,232号、およびOrtho Diagnostics Systems,Inc.から入手可能なHCVイムノアッセイに関する文献中に記載されている名前による。)血漿原液は遮断緩衝液中で1:500に希釈した。標本#PAA 33028(「B」)は、HCVウェスタンブロット、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:500希釈)に対するHCV ELISAで強い反応を示し、C100、5−1−1、C33C、およびC22に対するRIBA応答で>4+を示した。ポリクローナル抗血清は、プロテインAカラムを通すことにより部分的に精製し、遮断緩衝液中で1:200に希釈して用いた。標本#PAA s32931(「C」)は、HCVウェスタンブロット(3+)、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:64希釈)に対するHCVELISAで中程度の反応を示し、C100および5−1−1に対する(C33cおよびC22は行わず)RIBA応答でそれぞれ3+および4+を示した。ポリクローナル抗血清は、プロテインAカラムを通すことにより部分的に精製し、遮断緩衝液中で1:500に希釈して用いた。
【0108】
ピンをPBS/Tween(登録商標)20(4×10分)中で室温で洗浄し、次いでワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIg抗血清(175μL、NaN3を含まない遮断緩衝液中に1:2000で希釈)を含有するマイクロタイターウェル中で25℃で1時間攪拌しながらインキュベートした。抗ヒト抗血清はヒトIg軽鎖および重鎖に対して特異的であり、IgGクラスとIgMクラスの両方と反応する。ピンを再びPBS/Tween(登録商標)20(4×10分)中で室温で洗浄した。NaH2PO4(1M、200mL)およびクエン酸(1M、160mL)を2Lに蒸留水で希釈し、pHを4.0に調整することにより、基質溶液を調製した。使用する直前に、アジノ−ジ−3−エチルベンズチアゾジンスルホネート(ABTS、50mg)および過酸化水素(0.3μL/mL)を100mLの緩衝液に加えて、基質溶液を完成した。この基質溶液(150μL)をマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、ピンをウェル中に浸漬し、暗所で25℃でインキュベートした。発色後、ピンを取り出して反応を停止させ、この溶液の吸光度を405nmで読み取った。
【0109】
以下に示したオクタマーを、抗HCV抗血清と免疫反応させた。3つの抗血清全てと反応するペプチドをエピトープとして記し、一方1つまたは2つの抗血清とのみ反応するペプチドを弱エピトープ(「〜」で示した)として記した。特に強いエピトープは、番号ではなく文字で示した(例えば、EpAA)。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
【表9】
【0118】
IV.B.識別アッセイ
初期抗原を後期抗原と区別するために以下のアッセイを行った。初期抗原に対する抗体が検出され得、そしてその抗体はHCV感染をより迅速に診断するのに用いられ得る。
【0119】
高ALTを有するが、抗C100−3抗体に対して陰性であるヒト患者から連続して採血を行った。血清転換(seroconversion)(C−100−3陽性)が完了する前に得た5人の血液をプールし、そして1:2000に希釈してアッセイに使用した。このアッセイは、上記のセクションIV.A.の記載の通りに行った。しかし、一方のセットのピンをワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG特異的抗血清とインキュベートし、他方のセットのピンをワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgM特異的抗血清とインキュベートした。IgM抗体と免疫反応するエピトープが初期抗原である。
【0120】
この結果は、ほとんどの初期のエピトープはアミノ酸約480位からアミノ酸約650位までの範囲の領域内で見い出されることを示した。特に、強IgMエピトープは、アミノ酸番号506、510、523、553、562、580から始まるオクタマーであり、そして590位から620位までの領域であった。この領域に由来するエピトープを有する抗原を用いるアッセイは、他の抗原を用いるアッセイよりも早い時点でHCV感染の診断を行い得る。
【0121】
さらに、開心術輸血後に非A非B型肝炎になった5人の患者から採取した血漿標本を試験し、この研究は3〜12年続けた。最初の採血日は1週間未満で行った。1つのコア抗原(C22)、2つのエンベロープ抗原(E1およびE2)、および3つの非構造領域抗原(C33c、C100、およびNS5)に対するEIAにより、各標本をIgGおよびIgMに対して試験した。C22およびC33cに対するIgM応答は、それらの抗原のIgG応答を上回ったことが分かった。NS−5もまたIgM応答を誘導したが、この応答はその抗原のIgG応答を上回るものではなかった。従って、C22およびC33c領域に由来したエピトープを用いることにより、そしてIgM結合に対してアッセイすることにより、感染の極めて初期の段階を測定し得るアッセイが作製され得る。C33c領域に対する抗体は長期間持続するので、C33cに関する診断用アッセイが最も信頼性があることが示唆される。
【0122】
IV.C.種々の固体由来のHCV分離株における配列変異
CDC/HCV1から外れる配列を含むHCVの分離株をヒト個体において同定し、そのうちいくつかは抗C100−3抗体に対して血清学的に陽性であった(EC10は抗体陰性)。CDC/HC1配列を用いてPCR法により増幅したHCVゲノムのセグメントをクローニングし、配列決定することにより、これらの新規な分離株の同定が行われた。この方法は、本明細書中に記載のHCV cDNA配列に基づいたプライマーおよびプローブを用いる。本方法の最初の工程は、逆転写酵素を用いて、HCVゲノムまたはその複製中間体のいずれかに対するcDNAの合成である。HCV cDNAの合成後、そして増幅前に、試料中のRNAを当該分野で周知の方法により分解する。次いで、HCV cDNAの指定されたセグメントを適切なプライマーの使用により増幅した。増幅された配列をクローニングし、そして増幅された配列を含むクローンをプローブにより検出する。そのプローブは、プライマー間にある配列に相補的であるが、プライマーとは重複していない。
【0123】
IV.C.1.米国においてヒトから単離されたHCV分離株
HCVビリオン源として用いられる血液試料を、North Carolina州、Charlotteにある米国赤十字社(American Red Cross)、およびMissouri州、Kansas Cityのカンザス州地域血液センター(Community Blood Center of Kansas)から得た。ELISAアッセイを用いて、HCV C100−3抗原に対する抗体に対して試料をスクリーニングし、そしてポリクローナルヤギ抗ヒトHRPを用いて補足的なウェスタンブロット分析を行い、抗HCV抗体を測定した。米国赤十字社およびカンザス州地域血液センターからそれぞれ得た2つの試料の#23および#27は、これらのアッセイによりHCV陽性であることが決定された。
【0124】
これらの試料の血清に存在するウイルス粒子をBradleyら(1985)により記載された条件下で超遠心分離により単離した。10μg/mLのプロテナーゼK、および0.1%SDSの最終濃度で、プロテナーゼKおよびSDSで消化することによりRNAを粒子から抽出した;消化は37℃で1時間行った。ウイルスRNAをクロロホルム−フェノールで抽出することによりさらに精製した。
【0125】
RNAの調製におけるHCV RNAをcDNAに逆転写した。cDNAの両鎖を合成した後、次いで、得られたcDNAをPCR法により増幅した。各HCV分離株に由来する3つのクローン中のHCV cDNAを配列分析にかけた。分析は本質的にChenおよびSeeburg(1985)に記載された方法によった。
【0126】
試料23および27のHCV由来のクローンのコンセンサス配列を、それぞれ図3および図4に示す。これらの図中に可変配列もまた示されており、これはコンセンサス配列中にコードされたアミノ酸である。
【0127】
図5および図6は、試料23、27、およびHCV1の一列に並んだプラス(+)鎖ヌクレオチド配列(図5)および推定アミノ酸配列(図6)の比較を示す。図6中のHCV1のアミノ酸配列は、HCVゲノムRNAにおける大きなORFによりコードされたHCVポリタンパク質のアミノ酸番号129〜467を表している。図5および図6の試験は、3つの単離クローンの配列において変異があることを示す。ヌクレオチドレベルおよびアミノ酸レベルでの配列変異を以下に記載の表にまとめた。表では、SおよびNS1を示すポリペプチドは、それぞれアミノ酸番号130から〜380まで、および380から〜470までを表し、これらのドメインは既知である。番号付けは、推定のイニシエーターメチオニンから開始する。用語SおよびNS1は、フラビウイルスモデルを用いてポリペプチドをコードする配列の位置決定に基づく。しかし、上記のように、最近の証拠により、HCVとフラビウイルスとの間では、ウイルスポリペプチドドメインに関して、特に推定E/NS1ドメインにおいて、全体的な相関性がないことが示唆される。実際、HCVポリペプチドおよびそれらのコーディングドメインは、フラビウイルスモデルから実質的に外れていることを示し得る。
【0128】
【表10】
【0129】
新たに単離されたHCV配列中には変異があるが、試料23および27(HCV23およびHCV27と呼ばれる)から得たクローン配列は、各々1019個のヌクレオチドを含んでおり、選択されたクローンにおいて、この領域では欠失および付加による突然変異がないことを示す。図5および図6中の配列はまた、単離された配列が、この領域内では転位が生じていないことを示す。
【0130】
HCV1およびHCVの他の分離株に対するコンセンサス配列の比較を、上記の表にまとめる。チンパンジーHCV1分離株とヒトから単離されたHCVとの間の配列変異は、ヒト起源のHCV間で見られる変異とほぼ同じである。
【0131】
2つの推定ドメイン中の配列変異が一様でないことは重要である。推定S領域の配列は、比較的定常的であり、領域を通じてランダムに散在していると思われる。それに対して、推定NS1領域は全配列よりも変異の割合が高く、そして変異は約28個のアミノ酸からなる超可変区域にあると考えられている。この超可変区域は、推定ポリタンパク質の推定N末端から下流の約70個のアミノ酸の位置に存在する。
【0132】
検出された変異は増幅過程で生じたと考察され得るが、全ての変異がこの結果により生じた訳ではないと考えられる。Taqポリメラーゼが、1サイクルにつきDNA鋳型10キロ塩基当り約1塩基の割合で配列中にエラーをもたらすと判断されている(Saikiら(1988))。この判断によれば、7エラーまでは1019bpのDNAフラグメントのPCR増幅中にもたらされ得る。しかし、HCV−23およびHCV−27の3つのサブクローンは、それぞれ29塩基および14塩基の変異を生じた。以下のことにより、これらの変異は天然に生じていることが示唆される。塩基の変化のうち約60%は、アミノ酸配列を変化させないサイレント突然変異である。PCR増幅中にTaqポリメラーゼによりもたらされた変異は、ランダムに生じていると考えられる;しかし、この結果により、可変配列は少なくとも1つの特異的領域内に固まって存在していることが示される。
【0133】
IV.C.2.イタリアおよび米国においてヒトから単離されたHCV分離株
異なる分離株に存在するHCV RNAのセグメントをHCV/cPCR法により増幅した。これらの断片は、推定HCVポリタンパク質の開始コドンをコードするメチオニンの下流〜0.6Kbから〜1.6Kbの領域に及ぶ。この分離株は、HCV感染体から得た生物学的標本に由来する。さらに詳細には、HCT#18分離株は米国の個体から得たヒト血漿に由来し、EC1およびEC10はイタリア人患者の肝生検から得たものであり、そしてThはアメリカ人患者の末梢血液の単核細胞画分に由来する。比較のHCV RNAセグメントをチンパンジーから単離した。
【0134】
フェノール:CHCl3:イソアミルアルコール抽出液を用いて、ヒト血漿標本からRNAを抽出した。0.1mLまたは0.01mLの血漿のいずれかを、10〜40μg/mLのポリアデニル酸を含有するTENB/プロテナーゼK/SDS溶液(0.05M Tris−HCL(pH8.0)、0.001M EDTA、0.1M NaCl、1mg/mLプロテナーゼK、および0.5%SDS)により、最終容量を1.0mLにまで希釈し、そして37℃で60分間インキュベートした。このプロテナーゼK消化の後、得られた血漿画分をTE(50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA)飽和フェノール(pH6.5)を用いて抽出することにより除タンパクした。遠心分離によりフェノール相を分離し、そして0.1%SDSを含有するTENBで再抽出した。各抽出で生じた水相をプールし、そして等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール[1:1(99:1)]で2回抽出し、次いで等量のクロロホルム/イソアミルアルコールの99:1混合液で2回抽出した。遠心分離による相分離に続いて、水相に最終濃度0.2Mとなるように酢酸ナトリウムを加え、核酸を2倍容量のエタノールを加えて沈澱させた。沈澱した核酸を、SW41ローター中で38K、4℃で60分間、またはマイクロヒュージ管中で10K、4℃で10分間、超遠心分離により回収した。
【0135】
肝生検から抽出したRNAは、Dr.F.Bonino(Ospedale Maggiore di S.Giovanni Battista,Torino,Italy)により提供された。単核細胞画分は、個人の血液の一部をFicoll−Paque(登録商標)(Pharmacia Corp)によって、製造会社の指示書に従って用いて沈澱させることにより得た。全RNAを、Chooら(1989)に記載のグアニジニウムチオシアネート法を用いて画分から抽出した。
【0136】
試料から得たHCV cDNAの合成を逆転写酵素を用いて行った。エタノール沈澱に続いて、沈澱したRNA画分または核酸画分を乾燥し、そして蒸留水で処理したDEPC中に再懸濁した。核酸の二次構造を65℃で10分間加熱して破壊し、そして試料を氷上で急冷した。肝臓由来の全RNA1〜3μgを用いて、または10〜100μLの血漿から抽出した核酸(またはRNA)から、cDNAを合成した。合成は逆転写酵素を使用し、製造会社であるBRLにより指定されたプロトコルを用いて、そして25μL反応液中で行った。cDNA合成のための全ての反応混合物には、23単位のRNAaseインヒビター、Rnasin(登録商標)(Fisher/Promega)を含ませた。cDNA合成に続いて、反応混合物を水で希釈し、そして10分間沸騰させ、氷上で急冷させた。
【0137】
各セットの試料を2ラウンドのPCR増幅にかけた。反応用のプライマーを選択し、「EnvL」および「EnvR」と称する領域を増幅した。「EnvL」領域は、ヌクレオチド669〜1243位を含有し、そして推定アミノ酸117〜308位をコードする;「EnvR」領域は、ヌクレオチド1215〜1629位を含有し、そして推定アミノ酸300〜408位をコードする(推定アミノ酸は推定メチオニン開始コドンを起点に番号を付けている)。
【0138】
PCR反応は、1μgのRNase Aを加えたこと以外は、基本的に製造者の指示書(Cetus−Perkin−Elmer)に従って行った。この反応は100μLの最終容量で行った。1サイクルを94℃で1分、37℃で2分、および72℃で3分行い、最終サイクルでは72℃で延長して7分間行うというレジメにより、PCRを30サイクル行った。次いで、試料をフェノール:CHCl3で抽出し、エタノール沈澱を2回行い、10mM Tris HCl(pH8.0)中で再懸濁し、そしてCentricon−30(Amicon)濾過を用いて濃縮した。この手法により、30ヌクレオチド未満のサイズのオリゴヌクレオチドが効率よく除去される;従って、最初のラウンドのPCR増幅のプライマーが除去される。
【0139】
次いで、Centricon−30濃縮試料を2回目のラウンドのPCR増幅にかけた。1サイクルを94℃で1分、60℃で1分、および72℃で2分行い、最終サイクルでは72℃で延長して7分間行うというレジメにより、PCRによる増幅を35サイクル行った。次いで、試料をフェノール:CHCl3で抽出し、2回沈澱させ、そしてEcoRIで消化した。PCR反応生成物を、6%ポリアクリルアミドゲルの電気泳動によりその生成物を分離することにより分析された。得られるPCR生成物の推定サイズのDNAをゲルから電気溶出し、そしてpGEM−4プラスミドベクター内またはλgt11内のいずれかにサブクローニングした。増幅の最初のラウンド後のEnvLおよびEnvRについて得られた生成物のサイズは、それぞれ615bpおよび683bpであった;2回目ラウンドの増幅後のEnvLおよびEnvRについて得られた生成物のサイズは、それぞれ414bpおよび575bpであった。宿主細胞を形質転換するために、増幅生成物を含有するプラスミドを用いた;DH5−αを形質転換するためにpGEM−4プラスミドを用い、C600デルタ−HFLを形質転換するためにλgtllを用いた。適切なHCVプローブとハイブリダイズする形質転換細胞のクローンか、または正確なサイズの挿入部分を有する形質転換細胞のクローンのいずれかを選択した。次いで、挿入部分をM13内にクローニングし、そして配列決定した。HCV/cPCR生成物の全てに対するプローブは、PCR増幅により調製されたHCVcDNAの32P標識断片から成っていた。
【0140】
EnvL領域内の変異に関する配列情報は、HCT#18から得た3つのクローン、THから得た2つのクローン、EC1から得た3つのクローン、およびHCV1クローンから得られた。これらのクローンに由来する各分離株の混成ヌクレオチド配列の比較を図7に示す。この図では、各配列は、EnvL領域のセンス鎖の5’から3’までを示しており、そしてこの配列は一列になっている。縦列および大文字は配列相同性を示し、列の欠如および小文字は相同性がないことを示す。列内に示された配列を以下に示す:第1列、Thorn;第2列、EC1;第3列、HCT#18;第4列、HCV1。
【0141】
EnvR領域内の変異に関する配列情報は、EC10の2つのクローンおよびHCV1クローンから得られた。この2つのEC10クローンは、ただ1個のヌクレオチドが異なっていた。EC10(クローン2)および混成のHCV1配列のヌクレオチド配列の比較を図8に示す;各配列は、EnvR領域のセンス鎖の5’から3’までを示しており、そしてこの配列は一列になっている。配列間の2重点は配列相同性を示す。
【0142】
EnvL領域(アミノ酸番号117〜308)およびEnvR領域(アミノ酸番号300〜438)内にコードされたアミノ酸配列の各分離株に対する比較を、それぞれ図9および図10に示す。上記のように、図中には、JH23およびJH27分離株の配列が包含される。日本人の分離株から得た配列もまた示す;これらの配列は日本のDr.T.Miyamuraから提供された。これらの図では、HCV1に対する領域全体において、その領域に対するアミノ酸配列が示され、そして種々の分離株における非相同的アミノ酸が示される。
【0143】
図9に見られるように、EnvL領域では、HCV1と他の分離株との間で全体で約93%の相同性がある。HCT18、Th、およびEC1は、HCV1と97%の相同性を有し;JH23およびJH27は、それぞれHCV1と約96%および約95%の相同性を有する。図10は、EnvR領域での相同性が、EnvL領域での相同性よりも顕著に低いことを示す;さらに、1つのサブ領域が超可変部(すなわち、アミノ酸383〜405位の部分)であると思われる。このデータを以下の表にまとめる。
【0144】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0145】
VI.産業上の利用性
本明細書中で同定されたエピトープは、例えば、HCV感染に対する血液のスクリーニング、臨床上のHCV診断、抗体の産生、および医薬品の製造などの適用に対して、上記のようなポリペプチド生成物を製造するために用いられ得る。他の適用は上記の通りであり、そしてさらに別の適用も当業者には極めて明らかである。
【0146】
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【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1a】HCVプロトタイプ分離株のHCV1のポリタンパク質を示す。
【図1b】図1aの続きである。
【図1c】図1bの続きである。
【図2a】HCV1の混成cDNAを示す。
【図2b】図2aの続きである。
【図2c】図2bの続きである。
【図2d】図2cの続きである。
【図2e】図2dの続きである。
【図2f】図2eの続きである。
【図3a】ヒト分離株23のヌクレオチドコンセンサス配列を示す。変異株の配列は上記配列の下に示す。コンセンサス配列中にコードされるアミノ酸もまた示す。
【図3b】図3aの続きである。
【図4a】ヒト分離株27のヌクレオチドコンセンサス配列を示す。変異株の配列は上記配列の下に示す。コンセンサス配列中にコードされるアミノ酸もまた示す。
【図4b】図4aの続きである。
【図5a】ヒト分離株23および27、およびHCV1の一列に並んだヌクレオチド配列を示す。相同的な配列は、記号(*)で示す。非相同的な配列は、小文字で示す。
【図5b】図5aの続きである。
【図5c】図5bの続きである。
【図6】ヒト分離株23および27、およびHCV1の一列に並んだアミノ酸配列を示す。相同的な配列は、記号(*)により示す。非相同的な配列は、小文字で示す。
【図7a】分離株のThorn、EC1、HCT #18、およびHCV1の一列に並んだ混成ヌクレオチド配列の比較を示す。
【図7b】図7aの続きである。
【図7c】図7bの続きである。
【図8】EC10のヌクレオチド配列および混成のHCV1配列の比較を示す;EC10配列は、点の上の列であり、そしてHCV1配列は、点の下の列である。
【図9】ヒト分離株のHCT #18、JH23、JH27、Thorne、EC1、およびHCV1のコンセンサス配列の「EnvL」領域内にコードされるアミノ酸配列117〜308(HCV1と比較して)の比較を示す。
【図10】ヒト分離株のHCT #18、JH23、JH27、Thorne、EC1、およびHCV1のコンセンサス配列の「EnvR」領域内にコードされるアミノ酸配列330〜360(HCV1に比較して)の比較を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染の流行を管理する物質および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、HCV感染の検出、予防および治療において免疫学的試薬として有用なポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、最初、Houghtonらにより非A非B型肝炎(NANBH)の原因として同定され、そして特徴付けられた。このことは、免疫学的試薬として有用な、多くの一般的かつ特異的なポリペプチドの開示を導いた。Houghtonら、特許文献1;Houghtonら、特許文献2;非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照。これらの刊行物は、HCV一般に関する広範な背景およびHCVポリペプチド免疫学的試薬の製造および使用を当該技術分野に提供する。それゆえ、簡潔さのために、特にこれらの刊行物の開示は、参考として本明細書中に援用される。
【0003】
他者により、Houghtonらの研究が直ちに利用され、そして拡大された。例えば、Highfieldら、特許文献3(Wellcome Foundation Ltd.);Wang、特許文献4(United Biomedical Inc.);Leungら、特許文献5(Abbott Laboratories);Habitsら、特許文献6(Akzo N.V.);Reyesら、特許文献7(Genelabs Inc.);Makiら、特許文献8(Tonen Corp.);およびKamadaら、特許文献9(Shionogi Seiyaku K.K.)を参照。
【0004】
HCVのキャリアおよびHCV汚染された血液または血液製剤をスクリーニングおよび同定する高感度で特異的な方法は、医療における重要な進歩である。輸血後肝炎(PTH)は、輸血患者の約10%で起こり、そしてHCVは、これらの患者の90%までの割合を占める。これらの病気の主要な問題は、慢性的な肝損傷へしばしば進行することである(25〜55%)。患者の看護、そして血液および血液製剤による、または密接な対人接触によるHCV感染の予防には、HCVに関連する抗体を検出するために、信頼性のある診断および予後の手段(例えば、HCVポリペプチド)が必要とされる。そのようなポリペプチドはまた、病気の予防および/または治療のためのワクチンおよび免疫療法的な治療薬として有用である。
【0005】
HCVは、比較的新しい因子なので、病気の臨床経過および集団におけるHCVの疫学の一層の研究を可能にすべく、さらなる免疫学的試薬を明らかにし続ける必要性がある。
【特許文献1】欧州特許出願公開第318,216号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第388,232号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2,239,245号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第442,394号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第445,423号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第451,891号明細書
【特許文献7】国際公開第91/15516号パンフレット
【特許文献8】欧州特許出願公開第468,657号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第469,348号明細書
【非特許文献1】Chooら、Science(1989)244:p.359−362
【非特許文献2】Kuoら、Science(1989)244:p.362−364
【非特許文献3】Houghtonら、Hepatology(1991)14:p.381−388
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、信頼性のある診断および予後の手段、病気の予防および/または治療のためのワクチンおよび免疫療法的な治療薬を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規なHCVエピトープの特徴付けに関する。これらのエピトープの特徴付けをすることにより、HCVに対する抗体と免疫学的に反応する、および/またはインビボで抗HCV抗体の産生を起こすポリペプチド生成物の製造が可能となる。これらのポリペプチド生成物は、診断テストにおける標準物または試薬として、および/またはワクチンの成分として、有用である。これらのポリペプチド配列内に含まれるHCVエピトープに対する抗体、例えば、ポリクローナルおよびモノクローナルの両方を含有する抗体は、例えば、診断テストにおいて、治療薬として、抗ウイルス剤のスクリーニング用に、そしてHCVポリペプチドまたは粒子の単離/精製のうち単離用に有用な試薬である。
【0008】
最も広い意味では、本発明は、本明細書中に開示された新しく特徴付けられたHCVエピトープを含有するポリペプチド、そのようなポリペプチドを製造する方法(例えば、組換え方法および合成方法)、そのようなポリペプチドを使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定されたポリペプチド、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)に関する。同様に、本明細書中に開示されたHCVエピトープに対する抗体(ポリクローナル、モノクローナル、または、例えば結合フラグメント、一本鎖抗原結合タンパク質などの等価物)はまた、本発明の範囲内に包含される。さらに、そのような抗体を作製する方法、そのような抗体を使用する方法(例えば、診断薬、ワクチンおよび治療薬)、およびそのような使用に適合した製造物、組成物または製剤(例えば、イムノアッセイ法または他の支持体に固定された抗体、経口のまたは注入可能な薬学的組成物)もまた、本発明の範囲内に包含される。
【0009】
本発明の別の局面は、適切な容器内に上記の抗体を含有して、HCV抗原の存在について試料を分析するキットに関する。本発明のさらに別の局面は、適切な容器内に上記のようなポリペプチドを含有して、HCV抗原に対する抗体の存在について試料を分析するキットに関する。
【0010】
本発明のさらに別の局面は、以下の通りである:新たに開示されたHCVエピトープを含有するポリペプチドを産生する方法であって、該方法が、該ポリペプチドを発現させる条件下でHCVエピトープを含有するポリペプチドをコードする配列を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することを包含する方法であり;そしてこの方法により産生したそのようなHCVエピトープを含有するポリペプチドである。
【0011】
イムノアッセイ法もまた、本発明に包含される。その例として、HCV抗原を検出するイムノアッセイ法であって、抗原−抗体複合体を形成させるような条件下で上記のような抗体と共にHCV抗原を含有すると思われる試料を培養すること;および、その抗体を含有する抗原−抗体複合体を検出することを包含するイムノアッセイ法がある。抗HCV抗体を検出するイムノアッセイ法であって、抗原−抗体複合体を形成させるような条件下で、上記のようなポリペプチドと共に抗HCV抗体を含有すると思われる試料をインキュベーションすること;および、そのポリペプチドを含有する抗原−抗体複合体を検出することを包含するイムノアッセイ法もある。
【0012】
さらに、本明細書中に記載されるHCVエピトープを含有する免疫原性ペプチドを含有する、HCV感染の治療用ワクチンが、本発明中に包含される。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、HCVに対する抗体を産生する方法であって、該方法が、免疫応答を生じるのに十分な量で本明細書中に記載のHCVエピトープを含有する単離された免疫原性ポリペプチドを対象に投与することを包含する方法である。
【0014】
本発明の上記の局面は、以下の式
aax−aay
で表されるHCVエピトープを発見したことにより達成されている。
ここで、aaはアミノ酸を示す;
xおよびyは、y−x≧6である整数である;
aax−aayは、図1のアミノ酸配列の一部分を示す;そして、
xは、以下の23−34、36、66−79、81−94、96−98、101−103、186−189、191、206、223、232、256、286、297−299、321、347、357、413、414、432、465−471、480−484、501、502、521、540−549、579、594−599、601−613、641、662−665、685、705、706、729、782−789、801、851−855、893、916、928、946、952−954、1026、1072、1109、1112−1117、1218、1240、1280−1285、1322、1338、1371、1384、1410、1411、1454、1492、1493、1532−1535、1560、1561、1566−1568、1571−1577、1601−1607、1615−1620、1655、1695、1710−1712、1728、1729、1758−1762、1781、1808、1821、1851、1880、1908−1913、1925、1940−1948、1951、1966−1969、1999、2001−2004、2006−2014、2024、2048−2053、2055−2057、2071、2088−2093、2108、2122−2148、2165、2187、2226−2232、2244−2249、2267、2281−2286、2288、2289、2325−2327、2346、2347、2349、2382、2401、2417−2422、2439−2444、2446−2456、2469、2471−2476、2495、2533、2534、2573−2578、2602−2604、2606−2612、2632−2638、2660、2676−2679、2688−2693、2707、2721、2757−2762、2779、2794、2795、2797−2799、2801、2802、2817−2843、2863−2867、2878−2884、2886−2895
から成る群から選択される。
【0015】
上記の目的はまた、以下の式
aax−aay
で表されるHCVエピトープを用いて達成される。
ここで、aaはアミノ酸を示す;
xおよびyは、y−x≧6である整数である;
aax−aayは、図1のアミノ酸配列の一部分を示す;そして、
Xは、以下の35(yが45以下の場合)、80(yが90以下の場合)、95(yが110以下の場合)、99(yが120以下の場合〉、100(yが150以下の場合)、190(yが210以下の場合)、500(yが550以下の場合)、600(yが625以下の場合)、1260(yが1280以下の場合)、1569(yが1931以下の場合)、1570(yが1590以下の場合)、1694(yが1735以下の場合)、1949(yが2124以下の場合)、1950(yが1985以下の場合)、2000(yが2050以下の場合)、2005(yが2025以下の場合)、2054(yが2223以下の場合)、2250(yが2330以下の場合)、2287(yが2385以下の場合)、2290(yが2310以下の場合)、2345(yが2375以下の場合)、2348(yが2464以下の場合)、2445(yが2475以下の場合)、2470(yが2490以下の場合)、2605(yが2620以下の場合)、2780(yが2830以下の場合)、2796(yが2886以下の場合)、2800(yが2850以下の場合)、および2885(yが2905以下の場合)、から成る群から選択される。
【0016】
上記式のいずれかにおいて、x−yは、本発明のいくつかの実施態様において、10、20、30、40または50より小さいか、または、等しい数であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書中で言及される刊行物への完全な引用は、「背景」または「参考文献」の節に見い出され得る。
【0018】
I.定義
「C型肝炎ウイルス」または「HCV」は、その病原性株がNANBHを引き起こす当該分野で認識されたウイルス種、および弱毒化株またはそれから誘導される欠陥干渉粒子を表す。一般的には、「背景」と題する節に引用された刊行物を参照。HCVゲノムは、RNAから成っている。RNAを含有するウイルスは、比較的高い割合で自然突然変異を有することが知られており、すなわち組み入れられたヌクレオチド当り10−3〜10−4の頻度で起こることが報告されている(FieldsおよびKnipe(1986))。それゆえ、遺伝子型の異質性および流動性は、RNAウイルスに固有であり、HCV種内で毒性または無毒性であり得る多種類の株/分離株がある。種々のHCV株/分離株の増殖、同定、検出および分離は、文献に十分に記載されている。さらに、本明細書中での開示は、種々の株/分離株に対する診断薬およびワクチンの調製を可能にし、そして薬学的使用のための抗ウイルス剤、例えば、HCVの複製を阻害する薬剤、に対するスクリーニング手法において使用する組成物および方法の調製を可能にする。
【0019】
HCVの幾つかの異なった株/分離株の情報は、本明細書中に開示され、特にCDC/HCV1株または分離株(HCV1とも呼ばれる)が開示されている。1つの株または分離株、例えば、部分的ゲノムまたはアミノ酸配列、からの情報は、当業者が、標準的技法を用いて新しい株/分離株を分離し、そしてそのような新しい株/分離株がHCVであるかどうかを同定することを十分可能にする。例えば、幾つかの異なった株/分離株が以下に記載されている。これらの株は、多くのヒト血清から(および異なった地域から)得られ、HCV1のゲノム配列からの情報を利用して分離された。
【0020】
本明細書中で提供される情報によれば、HCVはフラビウイルス科と遠い関係にあり得ることが示される。フラビウイルス科は、小さな膜で包まれたヒトの病原体である多数のウイルスを包含する。フラビウイルス粒子の形態および構成は公知であり、そしてBrinton(1986)により考察されている。一般に、形態に関しては、フラビウイルスは、中央に脂質二重層で囲まれたヌクレオキャプシドを含有している。ビリオンは、球状であり、直径が約40〜50nmである。それらのコアは、直径が約25〜30nmである。ビリオンのエンベロープの外表面に沿って、末端に直径約2nmのこぶを有する長さ約5〜10nm突出部がある。この科の代表的な例としては、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルスおよびデング熱ウイルスがある。それらは、HCVのゲノムよりわずかに大きく、約3500個のアミノ酸を有するポリタンパク質前駆体をコードする正鎖RNAゲノム(〜11,000ヌクレオチド)を有している。個々のウイルスタンパク質は、この前駆体ポリペプチドから開裂されて生じる。
【0021】
HCVゲノムRNAのゲノム構造およびヌクレオチド配列が推定されている。そのゲノムは、〜10,000ヌクレオチドを含有する一本鎖RNAのようである。そのゲノムは、正鎖であり、そして約3,000個のアミノ酸を有するポリタンパク質をコードしている連続的で翻訳されるオープンリーディングフレーム(ORF)を有している。そのORFにおいて、構造タンパク質はN末端領域の最初の約4分の1においてコードされており、ポリタンパク質の大部分は非構造タンパク質に対応するようである。すべての既知のウイルス配列と比較すると、小さいが重要な共直線性の相同性が、フラビウイルス科の非構造タンパク質および(現在フラビウイルスの一部分であるとも考えられている)ペスチウイルスで見られる。
【0022】
HCV1のヌクレオチド配列においてコードされる推定アミノ酸および他の証拠に基づくと、コードされたHCVポリタンパク質の可能なタンパク質ドメインおよびおよその境界は、次の通りである:
【0023】
【表1】
【0024】
しかしながら、これらのドメインは仮のものである。例えば、E1−NS2の境界は、多分750〜810領域にあり、そしてNS3−NS4の境界は、約1640〜1650領域である。Cの191個のアミノ酸バージョンは、(例えば、約170アミノ酸の長さに)さらにプロセシングされる前駆体であり、そしてNS2、NS4およびNS5のタンパク質は、各々さらにプロセシングされて2つの成熟タンパク質になることもまた立証されている。
【0025】
HCVの異なった株、分離株またはサブタイプは、HCV1と比べて、アミノ酸および核酸における変異を含有すると予想される。多くの分離株は、HCV1と比べて、全アミノ酸配列において高い(すなわち、約40%より高い)相同性を示すと予想される。しかし、他より相同性の少ないHCV分離株があることもまた見い出され得る。これらは、種々の判定基準に従ってHCVとして定義される。それらの基準としては、例えば、HCV1のポリタンパク質と同様の大きさのポリタンパク質をコードしている約9,000ヌクレオチドから約12,000ヌクレオチドまでのORF、HCV1のポリタンパク質と同様の疎水性および/または抗原性を有するコードされたポリタンパク質、およびHCV1で保存される共直線性ペプチド配列の存在である。さらに、ゲノムは、正鎖RNAであろう。
【0026】
HCVは、少なくとも1つのエピトープをコードし、そのエピトープは、HCV1ポリタンパク質中のエピトープで免疫学的に同定される。エピトープは、既知のフラビウイルスと比較した場合、HCVに特有である。このエピトープの特有性は、抗HCV抗体との免疫反応性および既知のフラビウイルス種に対する抗体との免疫反応性の欠如により測定され得る。免疫反応性を測定する方法は、当該分野では公知であり、例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISAアッセイ、赤血球凝集反応、およびアッセイに適切な方法のいくつかの例が、本明細書中で提供される。あるいは、HCVエピトープの配列とフラビウイルス科のメンバーの既知の配列との比較が、「特有性」を評価するために用いられ得る。
【0027】
上記に加えて、核酸の相同性およびアミノ酸の相同性の以下のパラメーターが、単独または組合せのいずれかで利用され、HCVとして株/分離株が同定される。HCV株および分離株は、進化的に関連しているので、ヌクレオチドレベルでのゲノムの全体の相同性は、約10%またはそれより高いものであり得、おそらく約40%またはそれより高く、おそらく約60%またはそれより高く、そしてなおいっそうおそらく約80%またはそれより高いものであろうし、そして、少なくとも約13個のヌクレオチドの対応する連続した配列があるであろう。HCVゲノム内に可変領域および超可変領域があることは注目すべきである;それゆえ、これらの領域の相同性は、ゲノム全体の相同性より有意に低いと予想されることが注目されるべきである。推定のHCV株ゲノム配列と、例えばCDC/HCVl cDNAとの間の対応が、当該分野の公知の方法により決定され得る。例えば、それらは、推定HCVからのポリヌクレオチドの配列情報と、本明細書中に記載のHCV cDNA配列との直接の比較により決定され得る。例えば、さらに、相同領域間で安定な二量体(例えば、S1消化の前に用いられる二量体)を形成するような条件下で、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼイションを行い、次いで一本鎖に特異的なヌクレアーゼで消化し、次いで消化されたフラグメントの大きさを決定することにより、それらは決定され得る。
【0028】
HCV株または分離株の進化上の関係により、推定HCV株または分離株が、ポリペプチドレベルでの相同性により同定され得る。一般に、HCV株または分離株は、ポリペプチドレベルで、少なくとも10%の相同性があり、約40%以上の相同性があり、おそらく約70%以上の相同性があり、そしてなおいっそうおそらく約80%以上の相同性があることが予想され、そしてある種のものは約90%以上の相同性さえあり得る。アミノ酸配列相同性の決定方法は、当該分野では公知である。例えば、アミノ酸配列は直接決定され得、そして本明細書中に記載の配列と比較され得る。あるいは、推定HCVのゲノム物質のヌクレオチド配列が決定され(通常は、cDNA中間体を経て)、その中にコードされるアミノ酸配列が決定され、そして対応する領域が比較され得る。
【0029】
本明細書中に用いられるところの、指定された配列「に由来する」ポリヌクレオチドとは、指定されたヌクレオチド配列の領域に対応して、およそ少なくとも約6個のヌクレオチド配列、好ましくは少なくとも約8個のヌクレオチド配列、より好ましくは少なくとも約10〜12個のヌクレオチド配列、そしていっそうより好ましくは少なくとも約15〜20個のヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチド配列を示す。「対応する」とは、指定された配列に相同的であるか、または、相補的であることを意味する。好ましくは、ポリヌクレオチドの由来する領域の配列は、HCVゲノムに特有の配列に相同的であるか、または、相補的である。配列がHCVゲノムに特有であるかどうかは、当業者に公知の方法により決定され得る。例えば、その配列は、(優先日の時点での)データバンク(例えば、Genebank)の配列と比較されて、非感染の宿主または他の生物中に存在するかどうかが決定され得る。その配列はまた、(優先日の時点での)他のウイルス性因子の肝炎を誘発することが知られているウイルス性因子、例えば、HAV、HBVおよびHDVを含む既知の配列およびフラビウイルス科のメンバーと比較され得る。由来する配列と他の配列との対応性または非対応性はまた、適切に厳密な条件下でのハイブリダイゼイションにより決定され得る。核酸配列の相補性を決定するハイブリダイゼイション法は、当該分野では公知である。例えば、Maniatisら(1982)を参照。さらに、ハイブリダイゼイションにより形成される二量体ポリヌクレオチドのミスマッチはまた、例えば、二重体ポリヌクレオチド内の一本鎖領域を特異的に消化するS1のようなヌクレアーゼとの消化を包含する公知の方法により決定され得る。典型的なDNA配列が「由来」し得る領域は、例えば、特異的なエピトープをコードする領域、および非転写および/または非翻訳の領域を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0030】
由来するポリヌクレオチドは、必ずしも示されたヌクレオチド配列に物理的に由来せず、例えば、化学合成またはDNA複製または逆転写または転写を包含するような任意の方法により生じ得る。さらに、指定の配列の領域に対応する領域の組合せは、意図する方法と合致するように、当該分野で公知の方法で改変され得る。
【0031】
同様に、指定されたアミノ酸配列または核酸配列「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、配列内でコードされるポリペプチドのアミノ酸配列またはその一部分と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを示す。ここで、その一部分は、少なくとも3〜5個のアミノ酸、そしてより好ましくは、少なくとも8〜10個のアミノ酸、そしてより好ましくは少なくとも11〜15個のアミノ酸から成り、あるいは配列内でコードされるポリペプチドと免疫学的に同一であり得る。この用語はまた、指定された核酸配列から発現されるポリペプチドを包含する。
【0032】
組換えまたは由来するポリペプチドは、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されない;それは、例えば、化学合成、または組換え発現系の発現、または変異HCVを含むHCVからの分離を包含する任意の方法により生じ得る。組換えまたは由来のポリペプチドは、その配列内にアミノ酸または非天然アミノ酸の1個またはそれ以上の類似体を含有し得る。アミノ酸の類似体を配列内に挿入する方法は、当該分野では公知である。それはまた、1個またはそれ以上の標識を含有し得、これは当該分野では公知である。
【0033】
本明細書中で用いられる「組換えポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム起源、cDNA起源、半合成起源、または合成起源のポリヌクレオチドを意味し、そしてそれは、その起源または操作により、(1)天然で会合しているポリヌクレオチドの全部または一部分と会合していない、(2)天然で結合しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに結合している、または(3)天然には存在しない。
【0034】
本明細書中で用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形、すなわちリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかを示す。この用語は、分子の一次構造のみを示す。それゆえ、この用語は、二本鎖および一本鎖のDNAおよびRNAを包含する。それはまた、既知のタイプの改変、例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ化」、1個またはそれ以上の天然由来のヌクレオチドの類似体との置換、ヌクレオチド間の改変(例えば、非電荷的結合による改変(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および電荷的結合による改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオニートなど)、ペンダント部分を含有する改変、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを包含する)、インターカレーターによる改変(例えば、アクリジン、プソラレンなど)、キレーターを含有する改変(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)、アルキレーターを含有する改変、改変された結合による改変(例えば、α−アノマー性核酸など)、およびポリヌクレオチドの非改変形を包含する。
【0035】
「精製された」ポリペプチドは、そのポリペプチドが、実質的に他のポリペプチドのない状態で存在すること、すなわち、組成物中に所望のポリペプチドを最低約50重量%(組成物中、所望のポリペプチド/総ポリペプチド)、好ましくは最低約70重量%、そしてより好ましくは最低約90重量%を、組成物中の非タンパク質様物質に関係なく含有することを示す。ウイルス性ポリペプチドを精製する方法は、当該分野では公知である。精製された抗体が同様に定義される。
【0036】
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養物」、および微生物または単細胞体として培養される高等真核細胞系を表すような他の用語は、組換えベクターまたは他の転移DNAに対するレシピエントとして用いられ得る、または用いられて来た細胞を示し、そして形質転換された元の細胞の子孫を包含する。単一の親細胞の子孫は、元の親細胞と形態学的に、あるいは相補的なゲノムDNAまたは全DNAにおいて、自然変異、偶発性変異または意図的変異によって、必ずしも完全に同一ではないことが理解される。
【0037】
「レプリコン」は、任意の遺伝的要素であり、例えば、プラスミド、染色体、ウイルス、コスミッドなどであり、細胞すなわち、自身の制御下で複製し得る細胞内のポリヌクレオチド複製の独立単位として挙動する。
【0038】
「ベクター」は、結合したセグメントの複製および/または発現を引き起こすように別のポリヌクレオチドセグメントが結合しているレプリコンである。
【0039】
「制御配列」は、それらが連結するコード配列を発現するのに必要なポリヌクレオチド配列を示す。そのような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる;原核細胞では、一般に、そのような制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、およびターミネーターを含有する;真核細胞では、一般に、そのような制御配列は、プロモーター、ターミネーターおよび、ある場合にはエンハンサーを含有する。「制御配列」という用語は、最低限その存在が発現に必要であるすべての成分を含有することを意味し、そしてその存在が有益である他の成分、例えば、リーダー配列もまた含有し得る。
【0040】
「作動可能に連結された」は、上記の成分が、それらの成分を意図した方法で機能させる関係であるように並べて配置することを示す。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合する条件下で行われるような方法で連結される。
【0041】
「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの領域である;この領域は、コード配列の一部分または全コード配列を表す。
【0042】
「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合、mRNAに転写され、そして/またはポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。コード配列の境界は、5’末端での翻訳開始コドンおよび3’末端での翻訳終止コドンにより決定される。コード配列は、mRNA、cDNAおよび組換えポリヌクレオチド配列を包含し得るが、それらに限定されるものではない。
【0043】
「により/として免疫学的に同定可能な」は、指定されたポリペプチド、通常HCVタンパク質中にもまた存在するエピトープおよびポリペプチドの存在することをいう。免疫学的な同一性は、抗体による結合および/または結合における競合により決定され得る;これらの方法は、当業者には公知である。
【0044】
本明細書中で用いられるように、「エピトープ」は、ポリペプチドの抗原性決定基をいう。エピトープは、抗体の結合部位を決定する3個またはそれ以上のアミノ酸を含有し得る。一般に、エピトープは、少なくとも5個のアミノ酸から成り、そしてある場合には少なくとも8個のアミノ酸から成る。エピトープのマッピングの方法は、当該分野では公知である。
【0045】
ポリペプチド内に含まれる特異的エピトープを抗体が認識することによりそのポリペプチドが抗体に結合するとき、そのポリペプチドは抗体と「免疫学的に反応」する。免疫学的な反応性は、抗体結合により、特に抗体結合の反応速度論により、および/または抗体が反応するエピトープを含有する既知のポリペプチドを競合因子として用いて結合する際の競合反応により、決定され得る。ポリペプチドが抗体と免疫学的に反応するかどうかを決定する方法は、当該分野では公知である。
【0046】
本明細書中で用いられる「抗体」という用語は、少なくとも1個の抗体結合部位から成るポリペプチドまたはポリペプチド群をいう。「抗体結合部位」または「結合ドメイン」は、抗体分子の可変ドメインの折りたたみで形成されており、エピトープの特徴と相補的であるような、内部表面の形状および電荷の分布を有する三次元結合空間を形成し、抗原と免疫学的に反応させる。抗体結合部位は、重鎖ドメインおよび/または軽鎖ドメイン(それぞれVHおよびVL)から形成され得、そしてそれらのドメインは、抗原結合に寄与する超可変ループ構造を形成する。「抗体」という用語は、例えば、脊推動物抗体、ハイブリッド抗体、キメラ抗体、変異抗体、一価抗体、Fabタンパク質および単一ドメイン抗体を包含する。
【0047】
本明細書中で用いられる「単一ドメイン抗体」(dAb)は、VHドメインから成る抗体であり、指定された抗原と免疫学的に反応する。dAbは、VLドメインを含有しないが、抗体中に存在することが知られている他の抗原結合ドメイン、例えばκドメインおよびλドメインを含有し得る。dAbを調製する方法は、当該分野では公知である。例えば、Wardら(1989)を参照。
【0048】
抗体はまた、VHおよびVLドメイン、および他の既知の抗原結合ドメインから成り得る。これらのタイプの抗体およびそれらの調製方法の例は、当該分野では公知であり(例えば、米国特許第4,816,467号を参照。本明細書中に援用されている。)、そして以下のことを包含する。例えば、「脊椎動物抗体」は、テトラマーまたはその凝集体である抗体を示し、軽鎖および重鎖を含有する。その軽鎖および重鎖は、通常、「Y」立体配置内に凝集され、そして鎖間の共有結合的連結を有し得るか、または有し得ない。脊椎動物抗体において、特定の抗体のすべての鎖のアミノ酸配列は、インサイチュまたはインビトロ(例えば、ハイブリドーマで)でその抗体を産生するリンパ球により産生されるある種の抗体において見い出される鎖と相同性がある。脊椎動物抗体は、典型的に、自然抗体、例えば、精製されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含する。これらの抗体の調製方法の例としては、下記に示す。
【0049】
「ハイブリッド抗体」は、一方の対の重鎖および軽鎖が、第一抗体の重鎖および軽鎖と相同的であるが、他方の対の重鎖および軽鎖が、異なる第二抗体の重鎖および軽鎖と相同的である、という抗体である。典型的には、これら2つの対の各々は、異なるエピトープと結合し、特に異なる抗原上で結合する。この結果、「二価」の性質、すなわち2つの抗原を同時に結合する能力を生じる。そのようなハイブリッドはまた、下記のように、キメラ鎖を用いて形成され得る。
【0050】
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖が融合タンパク質である抗体である。典型的には、その鎖の定常ドメインは、ある特定の種および/またはクラスに由来し、そして可変ドメインは、異なる種および/またはクラスに由来する。さらに、重鎖または軽鎖のいずれかまたは両方が、異なる起源の抗体の配列を模倣する配列の組合せから成ることは、これらの起源のクラスが異なるか、または起源の異なった種であるかどうか、そして融合点が、可変部/定常部の境界にあるかどうか、を包含する。それゆえ、その定常領域または可変領域のいずれも既知の抗体配列を摸倣しない抗体を産生することは可能である。次いで、例えば、可変領域が特定の抗原に対して高い特異的な親和性を有し、または定常領域への補体結合の程度を大きくし得るような抗体を構築すること、あるいは特定の定常領域が有する性質を他に改良することが可能となる。
【0051】
別の例としては「変異抗体」があるが、それは、脊椎動物抗体における天然由来のアミノ酸配列が変異された抗体をいう。組換えDNA技術を用いて、抗体を、所望の特徴を得るために再設計し得る。可能な変異は多数あり、そしてそれは、1個またはそれ以上のアミノ酸の変化からある領域、例えば、定常領域、の完全な再設計までの範囲で可能である。定常領域における変化は、一般的に、所望の細胞プロセス特性を得る変化であり、例えば、補体結合、膜との相互作用、および他のエフェクター機能における変化がある。可変領域における変化は、抗原結合特性を変化させるためになされ得る。抗体はまた、分子または物質の特異的な細胞または組織部位への特異的な送達を促進するように設計され得る。所望の改変は、分子生物学における既知の方法、例えば、組換え法、部位特異的突然変異誘発によってなされ得る。
【0052】
また別の例は「一価抗体」であり、これは、別の重鎖のFc(すなわち、定常)領域に結合した重鎖/軽鎖のダイマーから成る集合体である。このタイプの抗体は、抗原転調を生じない。例えば、Glennieら(1982)を参照。
【0053】
抗体の定義内には、抗体の「Fab」フラグメントもまた含まれる。「Fab」領域は、重鎖および軽鎖の部分に関し、この部分は、重鎖および軽鎖の枝部分を含有し、かつ特殊化された抗原に対し免疫学的結合を示すが、Fc部分を欠く配列と、およそ等価であるか、または類似している。「Fab」は、1本の重鎖および1本の軽鎖の集合体(通常Fab’として知られる)、および2本のH鎖および2本のL鎖を含有するテトラマー(F(ab)2と呼ばれる)を含み、選択的に所望の抗原または抗体ファミリーと反応し得る。「Fab」抗体は、上記に類似のサブセット、すなわち、「脊椎Fab」、「ハイブリッドFab」、「キメラFab」、および「改変Fab」に分けられ得る。抗体の「Fab」フラグメントを生成する方法は、当該分野において周知であり、例えば、タンパク質分解、および組換え法による合成を包含する。
【0054】
また「抗体」という用語には、一本鎖抗原結合(SCA)タンパク質が含まれ、例えば、1992年6月15日に発行のCancer Research中のSchlom、J.共著の論文(および本明細書中に援用された論文)に記戟されたタイプがある。
【0055】
本明細書中で用いられている「免疫原性ポリペプチド」という用語は、単独であるいはキャリアと結合して、アジュバンドの存在または非存在下で、細胞性および/または体液性の免疫応答を生じさせるポリペプチドをいう。
【0056】
「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーについていい、特定の長さの生成物をいうわけではない;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後の改変物(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)について言わず、すなわちこれを除外する。本定義内には、例えば、1つまたはそれ以上のアミノ酸のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを包含する)を含有するポリペプチド、置換された結合を有するポリペプチド、および当該分野で知られる他の改変物が、天然産生および非天然産生のいずれであっても含まれ得る。
【0057】
本明細書中で用いられている「形質転換」は、挿入に用いられる方法に関わらず、外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞へ挿入することをいう。挿入に用いられる方法には、例えば、直接取込み、形質導入、f交配、またはエレクトロポーレーションがある。外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(例えば、プラスミド)として維持され得るか、あるいは宿主ゲノム中に組み込まれ得る。
【0058】
本明細書中で用いられている「処置」は、予防および/または治療についていう。
【0059】
本明細書中で用いられている「個体」は、脊推動物、特に多数の哺乳類種についていい、動物(例えばイヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、モルモットなど)および霊長類(サル、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトを包含する)を包含するが、これに限定されない。
【0060】
本明細書中で用いられている核酸の「センス鎖」は、mRNAの配列と配列相同性を有する配列を含む。「アンチセンス鎖」は、「センス鎖」の配列に相補性である配列を含む。
【0061】
本明細書中で用いられているウイルスの「正鎖ゲノム」は、そのゲノム、すなわちRNAまたはDNAのいずれかが一本鎖であり、ウイルスポリペプチドをコードするゲノムである。正鎖RNAウイルスの例には、トガウイルス科(Togaviridae)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、およびカリシウイルス科(Caliciviridae)が含まれる。フラビウイルス科(Flaviviridae)もまた含まれ、このウイルスは、以前トガウイルス科として分類されていた。FieldsおよびKnipe(1986)を参照。
【0062】
本明細書中で用いられている「生体成分含有抗体」は、目的とする抗体源である個体生体の成分をいう。生体成分含有抗体は、当該分野において周知であり、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、気道の外分泌、腸管の外分泌、生殖管の外分泌、涙、唾液、乳、白血球、および骨髄腫を包含するが、これに限定されない。
【0063】
本明細書中で用いられている「生体試料」は、個体から単離した組織または液状物の試料を言い、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外分泌、気道の外分泌、腸管の外分泌、生殖管の外分泌、涙、唾液、乳、血球、腫瘍、器官、およびインビトロ細胞培養成分の試料(細胞培地における細胞の増殖から得られる馴化培地、推定上ウイルスに感染した細胞、組換え細胞、および細胞成分を包含するがこれに限定されない)もまた包含するが、これに限定されない。
【0064】
II.発明の説明
本発明の実施においては、他に指示されていなければ、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法が用いられ、これらは当該分野の技術範囲内である。このような技法は、文献に充分に説明されている。例えば、以下を参照。Maniatis、FitschおよびSambrook、「Molecular Cloning;A Laboratory Manual」(1982);「DNA Cloning、Volumes I and II」(D.N Glover編 1985);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編 1984);「Nucleic Acid Hybridization」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編 1984);「Transcription and Translation」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編 1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編 1986);「Immobilized Cells And Enzymes」(IRL Press、1986);B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984);シリーズ、「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells」(J.H.MillerおよびM.P.Calos編 1987、Cold Spring HarborLaboratory)、Meth Enzymol第154巻および第155巻(それぞれ、WuおよびGrossman、およびWu編)MayerおよびWalker編(1987)、「Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology」(Academic Press、London);Scopes(1987)「Protein Purification:Principles and Practice」、第2版(Springer−Verlag、N.Y.);および「Handbook of Experimental Immunology」I〜IV巻(D.M,WeirおよびC.C.Blackwell編 1986)。本明細書中に記載の全ての特許、特許出願、および刊行物は、上記および下記ともに、本明細書中に参考として援用されている。
【0065】
II.A.短型HCVポリペプチド
本発明の有用な物質および方法は、新規なHCVエピトープを以下のように同定することにより実行可能となる。これらのエピトープ(または抗原領域)を知ることにより、短縮型HCV配列を含有するポリペプチドの構築が可能となる。このポリペプチドは、免疫学的試薬として用いられ得る。
【0066】
少なくとも1つのウイルスエピトープをコードする短縮型HCVアミノ酸配列は、有用な免疫学的試薬である。例えば、このような短縮型配列を含むポリペプチドは、イムノアッセイの試薬として用いられ得る。これらのポリベプテドはまた、抗血清の生成またはワクチンのための組成物における候補サブユニット抗原である。これらの短縮型配列は天然ウイルスタンパク質の種々の既知の処理により生成され得るが、一般に、HCV配列を含む合成または組換えポリペプチドを調製することが好ましい。これらの短縮型ポリペプチドを含むポリペプチドは、HCV配列(連続したまたは連続しない1つまたはそれ以上のエピトープ)のみから、またはHCV配列および融合タンパク質中の異種配列から、形成され得る。有用な異種配列は、組換え宿主から分泌させるか、HCVエピトープの免疫反応性を高めるか、またはポリペプチドのイムノアッセイ支持体またはワクチンキャリアヘの結合を容易にする配列を包含する。例えば、ヨーロッパ公開公報第116,201号;米国特許第4,772,840号;ヨーロッパ公開公報第259,149号;米国特許第4,629,783号。これらの文献の開示は、本明細書中に参考として援用されている。
【0067】
短縮型HCV配列を含むポリペプチドのサイズは、広い範囲で変化し得る。最小サイズは1つのHCVエピトープを与えるのに充分なサイズの配列であり、一方最大サイズは重要ではない。便宜上、最大サイズは、通常、所望のHCVエピトープ、および異種配列がある場合にはその機能を与えるのに必要なサイズよりも実質的に大きいサイズではない。典型的には、短縮型HCVアミノ酸配列は、長さが約5(または8)から約100アミノ酸までの範囲内にある。しかし、より典型的には、HCV配列は、最大の長さが約50(または40)アミノ酸であり、時には最大の長さは約20、25、または30アミノ酸である。少なくとも約8、10、12、または15アミノ酸のHCV配列を選択することが、通常望ましい。
【0068】
本明細書中に記載のように有用である短縮型HCVアミノ酸配列(オクタマー)の例は、以下の実施例中で説明される。これらのペプチドは1つのエピトープを必ずしも正確にマッピングしないことが理解されるべきである。配列中の非免疫原性部分は、従来の方法を用いて定められ、記載の配列から除かれ得る。さらに、エピトープを含有するか、または免疫原性である付加的な短縮型HCVアミノ酸配列が、本明細書中に記載のようにして同定され得る。
【0069】
以下で開示される短縮型HCVアミノ酸配列を含むポリペプチド生成物は、個々のペプチドとして調製され得るか、またはより大きなポリペプチド中に取り込まれ得て、本明細書中に記載のような使用に用いられ得る。好ましい適用においては、E1および/またはE2ドメインから得られる短縮型配列が、ワクチンおよび治療生成物に適用される。通常、ドメインのいずれもが診断上の有用性を有し得るが、C、NS3、NS4、およびNS5が特に好ましく、Cエピトープと1つまたはそれ以上のNS3、NS4、またはNS5ドメインから得られるエピトープとの組合せが特に好ましい。
【0070】
II.B.ポリペプチドの調製
HCVアミノ酸配列をコードするDNA配列が得られることにより、ポリペプチドの抗原活性領域をコードする発現ベクターの構築が可能となる(例えば、図2を参照)。これらの抗原活性領域は、コートまたはエンベロープ抗原、コア抗原、または非構造性の抗原から由来し得る。非構造性の抗原には、例えば、ポリヌクレオチド結合タンパク質、ポリヌクレオチドポリメラーゼ、およびウイルス粒子の複製および/または集合に必要とされる他のウイルスタンパク質が包含される。所望のポリペプチドをコードするフラグメントは、例えば、従来の制限消化を用いてウイルスcDNAクローンから、または合成法により誘導され、そして、例えば、β−ガラクトシダーゼまたはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のような融合配列の部分、好ましくはSODを含み得るベクターに連結される。SODの融合配列を含むポリペプチドの産生に有用である方法およびベクターは、1986年10月1日に発行されたヨーロッパ公開公報第0196056号に記載されている。SODおよびHCVポリペプチドの融合ポリペプチドをコードするベクター、すなわちNANB5−1−1、NANB81、およびC100−3(これはHCV cDNAの合成体中でコードされる)は、それぞれ、IV.B.1、IV.B.2、およびIV.B.4の部に記載されている。オープンリーディングフレームを含むHCV cDNAのいずれの所望の部分(あるいはそれらの合成変形物)も、組換えポリペプチド、例えば、成熟タンパク質または融合タンパク質を発現するために用いられ得る。
【0071】
あるいは、HCVエピトープを含有するポリペプチドは、図面および実施例のアミノ酸配列に基づいて、標準的方法を用いる化学合成により与えられ得る。
【0072】
所望のポリペプチド配列をコードするDNAは、融合型か非融合型かに関わらず、そして分泌を可能にするシグナル配列を含むかどうかに関わらず、いずれかの便利な宿主に適切である発現ベクター中に連結され得る。真核生物および原核生物の両方の宿主系が、組換えポリペプチドの形成に現在用いられており、宿主細胞株は、ヨーロッパ公開公報第318,216号に提示されている。次いで、ポリペプチドを、溶解させた細胞、または細胞培地から単離し、目的とする使用に必要とされる程度にまで精製する。精製は、当該分野において既知である方法によりなされ得、その方法には、例えば、分別抽出、塩分画、イオン交換樹脂クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、遠心分離などがある。例えば、タンパク質を精製する種々の方法に関するMethods of Enzymologyを参照。このようなポリペプチドは、診断用薬として用いられ得、または中和抗体を生じるポリペプチドは、ワクチンに処方され得る。これらのポリペプチドに対して生成させた抗体もまた、診断用薬として、または受動免疫療法のために用いられ得る。さらに、以下で議論されるように、これらのポリペプチドに対する抗体は、例えば、HCV粒子を単離し、同定するのに有用である。
【0073】
HCVポリペプチドはまた、HCVビリオンから単離され、(まだ短縮されていない場合は)短縮され得る。ビリオンは、組織培養におけるHCV感染細胞中で、または感染宿主中で生育し得る。
【0074】
II.C.抗原ポリペプチドの調製、およびキャリアとの複合体化
ポリペプチドの抗原領域は、一般的に比較的短い。典型的には8個から10個のアミノ酸またはそれより短い長さである。わずか5個程度のアミノ酸のフラグメントでも、抗原領域を特徴付け得る。これらのセグメントは、HCV抗原の領域に対応し得る。従って、基準としてHCVのcDNAを用いて、HCVポリペプチドの短いセグメントをコードするDNAが、融合タンパク質として、または単離されたポリペプチドとして、組換えにより発現され得る。さらに、短いアミノ酸配列は、化学的合成により、好都合に得られ得る。合成されたポリペプチドが、正確に形成されて正しいエピトープを提供するものの、短すぎるので免疫原性でない場合には、このポリペプチドは適切なキャリアと連結され得る。
【0075】
このような連結を行うための多くの技法が、当該分野において知られている。その例としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)(Pierce Company(Rookford,Illinois)から入手)を用いるジスルフィド結合の形成がある(ペプチドがスルフヒドリル基を有しない場合には、これはシステイン残基の付加により提供され得る)。これらの試薬は、試薬自身と1方のタンパク質上のペプチドシステイン残基との間でジスルフィド結合を創り出し、そして他方のタンパク質におけるリジン上のε−アミノ基または他の遊離アミノ基を介してアミド結合を創り出す。種々のそのようなジスルフィド/アミド形成剤が既知である。例えば、Immun Rev(1982)62:185を参照。他の二官能性カップリング剤は、ジスルフィド結合ではなくチオエーテルを形成する。多くのこれらのチオ−エーテル形成剤が市販されている。例えば、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸、2−ヨード酢酸、4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸などの反応性エステルがある。これらのカルボキシル基は、コハク酸イミドまたは1−ヒドロキシル−2−ニトロ−4−スルホン酸ナトリウム塩との結合により活性化され得る。カップリング剤のさらなる方法は、ヨーロッパ公開公報第259,149号に記載のロタウイルス/「結合ペプチド」系を用い、それらの開示は、本明細書中に援用されている。上記のリストは包括的ではなく、指定の化合物の改変物が使用され得ることは明らかである。
【0076】
宿主に有害な抗体の産生をそれ自身誘発しない任意のキャリアが使用され得る。適切なキャリアは、典型的には、代謝速度の遅い巨大分子、例えば、タンパク質;ポリサッカライド(例えば、ラテックス官能化セファロース(Sepharose)(登録商標)、アガロース、セルロース、セルロースビーズなど);ポリマー性アミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジンなど);アミノ酸コポリマー;および不活性ウイルス粒子である。例えば、セクションII.D.を参照。特に、有用なタンパク質基質は、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、および当業者に公知の他のタンパク質である。
【0077】
II.D.HCVエピトープを含有するハイブリッド粒子免疫原の調製
HCVのエピトープの免疫原性は、粒子形成タンパク質と融合させるかまたは構築させた哺乳類系または酵母系においてエピトープを調製することによっても高められ得る。粒子形成タンパク質としては、例えば、B型肝炎表面抗原に関連するものなどがある。例えば、米国特許第4,722,840号を参照。粒子形成タンパク質コード配列にHCVエピトープが直接連結している構築物は、HCVエピトープに関して免疫原性であるハイブリッドを生成する。さらに、調製される全てのベクターは、HBVに対して特異的であり、例えばプレ−Sペプチドのような種々の程度の免疫原性を有するエピトープを含有している。従って、HCV配列を含む粒子形成タンパク質から構築される粒子は、HCVおよびHBVに関して免疫原性である。
【0078】
肝炎表面抗原(HBSAg)は、S.cerevisiae(P.Talenzuelaら(1982))、および例えば哺乳類細胞(P.Valenzuelaら(1984))において、形成され、構築されて粒子となることが示されている。このような粒子の形成により、モノマーサブユニットの免疫原性が高められることが示されている。この構築物は、プレ表面(プレ−S)領域の55アミノ酸を含むHBSAgの免疫優性エピトープをも含有し得る。Neurathら(1984)。酵母において発現し得るプレ−S−HBSAgの構築物は、1986年3月19日に発行されたヨーロッパ公開公報第174,444号に開示されており;酵母の発現のための非相同のウイルス配列を含むハイブリッドは、1966年3月26日に発行されたヨーロッパ公開公報第175,261号に開示されている。これらの構築物はまた、SV40−ジヒドロ葉酸レダクターゼベクターを用いて、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞においても発現され得る(Michelleら(1984))。
【0079】
さらに、粒子形成タンパク質コード配列の一部は、HCVエピトープをコードするコドンで置換され得る。この置換では、酵母または哺乳類において免疫原性粒子を形成するためにユニットが集合することを仲介するのに必要でない領域は削除され得、これによりHCVエピトープとの競合から付加的なHBV抗原部位が除去され得る。
【0080】
II.E.ワクチンの調製
ワクチンは、1つあるいはそれ以上の、HCV由来の免疫原性ペプチドから調製され得る。これらのポリペプチドは種々の宿主細胞(例えば、バクテリア、酵母、昆虫、または哺乳類細胞)で発現され得、またはウイルス調製物から単離され得るか、あるいは合成により生成され得る。HCVに対する1価または多価のワクチンは、1つあるいはそれ以上の構造タンパク質由来の1つあるいはそれ以上のエピトープ、および/または1つあるいはそれ以上の非構造タンパク質由来の1つあるいはそれ以上のエピトープから構成され得る。これらのワクチンは、例えば組換えHCVポリペプチドおよび/またはビリオンから単離されたポリペプチドから構成され得る。特に、1つあるいはそれ以上の以下に示すHCVタンパク質、またはそれら由来のサブユニット抗原を含むワクチンが考察される:E1、E2、C、NS2、NS3、NS4、およびNS5。特に好ましいワクチンは、E1および/またはE2、またはそれらのサブユニットを含んでいる。
【0081】
上記に加え、1つあるいはそれ以上の組換えHCVポリペプチドを発現する弱毒化微生物の生ワクチンを調製することもまた可能である。適切な弱毒化微生物は、当該分野で既知であり、例えばウイルス(例、ワクチニアウイルス(Brownら(1986)を参照))、およびバクテリアを包含する。
【0082】
活性成分として免疫原性ポリペプチドを含有するワクチンの調製は、当業者に既知である。典型的には、このようなワクチンは、溶液または懸濁液のいずれかとして、注入可能に調製される;注入前の液体中の溶解または懸濁に適した固形物の形態でもまた調製され得る。調製物はまた乳濁され得、またはタンパク質がリポソームにカプセル化され得る。活性免疫原性成分は、薬学的に受容可能であって、活性成分に適合した賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの混合物がある。さらに、所望であれば、ワクチンは、少量の補助剤(例えば加湿剤または乳化剤)、pH緩衝剤、および/またはワクチンの効能を高めるアジュバントを含有し得る。有効であり得るアジュバントの例は、限定されないが、以下を包含する:水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、nor−MDPと称せられる)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEと称せられる)、およびRIBI。RIBIは、バクテリアから抽出した3成分、すなわちモノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(HPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween(登録商標)80エマルジョン中に含有している。アジュバントの効能は、HCV抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドおよび種々のアジュバントから構成されるワクチンを投与することにより生じる、この免疫原性ポリペプチドに対する抗体の量を測定することにより決定され得る。
【0083】
本ワクチンは、通常非経口的に、例えば皮下注射または筋内注射のような、注射により投与される。他の投与態様に適切な別の処方としては、坐薬、およびある場合には経口処方薬が挙げられる。坐薬について、従来の結合剤および担体には、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ得る;このような坐薬は、活性成分を0.5%から10%までの範囲で、好ましくは1%から2%までの範囲で含有する混合物から形成され得る。経口処方薬は、通常用いられる賦形剤を含有する。この賦形剤としては、例えば、薬学的なグレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出処方剤、または粉末剤の形態をとり、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。 タンパク質は、中性または塩基性の形態でワクチンに処方され得る。薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基により形成される)であって、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または有機酸(酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸など)により形成される塩を包含する。遊離カルボキシル基による塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第2鉄)、および有機塩基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。
【0084】
II.F.ワクチンの投与量および投与
本ワクチンは、投与処方に適した方法で、そして予防および/または治療効果があるような量で投与される。投与されるべき量は、通常投与当たり抗原を5μgから250μgまでの範囲であり、これは、処置される患者、その患者の免疫系での抗体合成能、および所望の防御の程度に依存する。投与されるべき活性成分の正確な量は、医師の判断に依存し得、各患者に特有であり得る。
【0085】
本ワクチンは、単独投与スケジュールで、または好ましくは複合投与スケジュールで与えられ得る。複合投与スケジュールでは、予防接種の開始時期に1〜10の個別の投与を行い、続いて免疫応答を維持するおよびまたは強化するのに必要とされる時間間隔で、例えば2回目の投与として1〜4ヵ月後に、別の投与を行い得る。必要であれば、数ヶ月後に引続き投与を行い得る。投与のレジメもまた、少なくとも部分的には、個体の必要性により決定され、医師の判断に依存する。
【0086】
さらに、免疫原性HCV抗原を含有するワクチンは、他の免疫制御剤(例えば、免疫グロブリン)と共に投与され得る。
【0087】
II.G.HCVエピトープに対する抗体の調製
本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチドは抗体を産生するために用いられ、この抗体はポリクローナルおよびモノクローナルを包含する。ポリクローナル抗体が所望である場合、選択された哺乳類(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)を、HCVエピトープを有する免疫原性ポリペプチドで免疫感作する。感作動物由来の血清を採集し、既知の手法に従って処理する。HCVエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合、このポリクローナル抗体はイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る。ポリクローナル抗血清を産生および処理する方法は当該分野で既知であり、例えばMayerおよびWalker(1987)を参照。あるいは、ポリクローナル抗体は、既にHCVに感染した哺乳類から単離され得る。
【0088】
HCVエピトープに対するモノクローナル抗体もまた、当業者により容易に製造され得る。ハイブリドーマによりモノクローナル抗体を産生する一般的な方法は、周知である。不朽抗体産生細胞株は、細胞融合により生成され得、また、腫瘍遺伝子DNAによるBリンパ球の直接形質転換またはEpstein−Barrウイルスでの形質移入のような他の方法によっても生成され得る。例えば、M.Schreierら(1980);Hammerlingら(1981);Kennettら(1980);さらに米国特許第4,341,761号;第4,399,121号;第4,427,783号;第4,444,887号;第4,466,917号;第4,472,500号;第4,491,632号;および第4,493,890号を参照。HCVエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体のパネルは、種々の特性(例えばイソタイプ、エピトープ親和性など)についてスクリーンされ得る。
【0089】
HCVエピトープに対する抗体は、モノクローナルおよびポリクローナルとも、特に診断に有用であり、また中和抗体は受動免疫療法に有用である。モノクローナル抗体は、特に、抗イディオタイプ抗体を増大させるために用いられ得る。
【0090】
抗イディオタイプ抗体は、それに対する防御が望まれる感染因子の抗原の「内部イメージ」を有する免疫グロブリンである。例えば、Nisonoff.A.ら(1981)およびDreesmanら(1985)を参照。抗イディオタイプ抗体を増大させる方法は、当該分野において既知である。例えば、Grzych(1985)、MacNamaraら(1984)、およびVytdehaagら(1985)を参照。これらの抗イディオタイプ抗体はまた、NANBHの治療、予防接種、および/または診断、およびHCV抗原の免疫原性領域の解明のために有用であり得る。
【0091】
II.H.イムノアッセイおよび診断キット
本発明のポリペプチドおよび抗体共に、例えば、生体試料における、HCV抗体の存在、またはウイルスおよび/またはHCVポリペプチド(またはエピトープ)の存在を検出するイムノアッセイにおいて有用である。イムノアッセイの設計は多くの変化を受け易く、多くの形式が当該分野において既知である。このイムノアッセイは、HCV由来の少なくとも1つのウイルスエピトープを利用する。1つの実施態様においては、イムノアッセイは、HCV由来の複数のウイルスエピトープの組合せを利用する。これらのエピトープは、同一のまたは種々のウイルスポリペプチドに由来し得、個々の組換えまたは天然のポリペプチド中に存在し得るか、または同一の組換えポリペプチド中に存在し得る。イムノアッセイは、例えば、ウイルスエピトープに対する1つのモノクローナル抗体、1つのウイルス抗原の複数のエピトープに対するモノクローナル抗体の組合せ、種々のウイルス抗原の複数のエピトープに対するモノクローナル抗体、同一のウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、または種々のウイルス抗原に対するポリクローナル抗体を用い得る。プロトコルはまた、例えば、競合、または直接反応、またはサンドウィッチ型アッセイに基づき得る。プロトコルはまた、例えば固体支持体を用い得るか、または免疫沈降によるものであり得る。ほとんどのアッセイは、標識抗体または標識ポリペプチドの使用を包含する;この標識は、例えば酵素、蛍光、ケミルミネッセンス、放射線、または染色分子であり得る。プローブからのシグナルを増幅するアッセイもまた既知である;このようなアッセイの例としては、ビオチンとアビジンとを用いるアッセイ、および酵素標識および媒介イムノアッセイ(例えばELISAアッセイ(以下に記載する))が挙げられる。
【0092】
典型的には、抗HCV抗体に対するイムノアッセイは、抗体を含有する疑いのある試験試料(例えば生体試料)を選別および調製すること、次いでその試験試料を、抗原抗体複合体が形成し得る条件下で抗原性(すなわちエピトープ含有)HCVポリペプチドと共にインキュベートすること、さらに次いでそのような複合体の形成を検出することを包含する。適切なインキュベーション条件は、当該分野において周知である。このイムノアッセイは、限定はされないが、均一または不均一な形式であり得、標準タイプまたは競合タイプからなり得る。
【0093】
不均一形式では、インキュベーション後のポリペプチドからの試料の分離を容易にするために、ポリペプチドを典型的には固体支持体に結合させる。用いられ得る固体支持体の例には、ニトロセルロース(例えば、膜状またはマイクロタイターウェル状)、ポリ塩化ビニル(例えば、シート状またはマイクロタイターウェル状)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ状またはマイクロタイタープレート状)、ポリフッ化ビニリジン(Immulon(登録商標)として知られる)、ジアゾ化紙、ナイロン膜、活性化ビーズ、およびプロテインAビーズがある。例えば、DyanatechImmulon(登録商標)1またはImmulon(登録商標)2マイクロタイタープレートまたは0.25インチポリスチレンビーズ(Precision Plastic Ball)が、不均一形式において用いられ得る。抗原性ポリペプチドを含有する固体支持体は、典型的には試験試料から分離した後で、結合された抗体の検出前に洗浄される。標準形式および競合形式共に、当該分野において既知である。
【0094】
均一形式では、試験試料は溶液中の抗原と共にインキュベートされる。例えば、このインキュベートは、形成される抗原抗体複合体のいずれもを沈降させる条件下で行われ得る。これらのアッセイの標準形式および競合形式共に、当該分野において既知である。
【0095】
標準形式では、抗体抗原複合体を形成するHCV抗体量は、直接モニターされる。これは、抗HCV抗体上のエピトープを認識する標識抗異種(例えば、抗ヒト)抗体が複合体形成により結合するかどうかを測定することにより行われ得る。競合形式では、試料中のHCV抗体量は、複合体中の既知の量の標識抗体(または他の競合リガンド)の結合への競合効果をモニターすることにより推定される。
【0096】
抗HCV抗体を含有する形成された複合体(または、競合アッセイの場合では、競合抗体の量)は、多くの既知の方法のいずれかにより検出され、その方法は形式に依存する。例えば、複合体中の非標識HCV抗体は、標識と複合体化された抗異種Igの複合体(例えば、酵素標識)を用いて検出され得る。
【0097】
HCVポリペプチドが分析物であるイムノアッセイでは、試験試料、典型的には生体試料は、抗原抗体複合体が形成され得る条件下で、抗HCV抗体と共にインキュベートされる。種々の形式が採用され得る。例えば、「サンドウィッチアッセイ」が採用され得るが、このアッセイでは、固体支持体に結合した抗体を試験試料と共にインキュベートし、洗浄して、分析物に対する標識された第2の抗体と共にもう一度インキュベートし、そして支持体を再び洗浄する。分析物は、第2の抗体が支持体に結合されていることを測定することにより検出される。競合アッセイでは、これは不均一または均一のいずれかであり得るが、通常、試験試料を抗体とインキュベートし、そして標識した競合抗原もまた、続けてまたは同時にインキュベートする。これらおよび他の形式は、当該分野において周知である。
【0098】
HCV感染について有効な検出システムは、上述のようにエピトープのパネルの使用を包含し得る。パネル中のエピトープは、1つまたは複数のポリペプチド中に構築され得る。種々のエピトープに対するアッセイは、連続的にまたは同時に行い得る。
【0099】
固相酵素免疫測定法(ELISA)は、抗原濃度または抗体濃度のいずれかを測定するために用いられ得る。この方法は、抗原または抗体に対する酵素の複合体化に依存し、定量標識として結合した酵素活性を用いる。抗体を測定するためには、既知の抗原を固相(例えば、マイクロプレートまたはプラスチックカップ)に固定し、それを試験血清希釈液とインキュベートし、洗浄し、さらに酵素で標識した抗免疫グロブリンとインキュベートし、再び洗浄する。標識するのに適切な酵素は、当該分野において既知であり、例えばワサビダイコン(horseradish)ペルオキシダーゼを包含する。特異的な基質を加え、生成物の形成または基質の利用を比色法により測定することにより、固相に結合した酵素活性を測定する。結合した酵素活性は、結合した抗体の量の正の関数である。
【0100】
抗原を測定するためには、既知の特異的な抗体を固相に固定し、抗原を含有する試験物質を加え、インキュベーション後に固相を洗浄し、さらに別の酵素標識抗体を加える。洗浄後、基質を加え、酵素活性を比色法により評価し、抗原濃度に関連づける。免疫診断に好適であり適切な標識化試薬を含むキットは、適切な材料を包装することにより組み立てられる。このキットは、適切な容器の中に、HCVエピトープを含有する本発明のポリペプチドまたはHCVエピトープに対する抗体を含み、さらにこのアッセイの実施に必要とされる他の試薬および材料、および適切なアッセイの指示書を含む。
【0101】
III.一般方法
本発明の実施に用いられる一般的な方法は、例えば本明細書中に引用した参考文献、特にヨーロッパ公開公報第318,216号および第388,232号、および文献目録に載せた参考文献中に見いだされ得る。これらの文献は、本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0102】
IV.実施例
以下に記載する本発明の実施例は、例示の目的でのみ提示され、本発明の範囲を制限しない。本明細書の開示を考慮すると、請求項の範囲内にある多くの実施態様が当業者に明らかである。
【0103】
IV.A.HCVゲノムのエピトープマッピング
以下の実施例は、図1に示されるHCV1ポリタンパク質配列上で行われたエピトープマッピング実験の結果である。図3〜11に示されるように、HCV分離株間には異質性があり、これらのアミノ酸の置換が以下に記載のオクタマー中でなされ得ることを示している。他のHCV分離株の対応する位置でのアミノ酸での置換に加え、特定のアミノ酸の合成アナログでの置換または電荷に基づく保存的置換など(特に置換が抗体結合を破壊しない場合)は、本発明の範囲内にある。
【0104】
IV.A.1.重複ペプチドの合成
8×12配列のブロックに配置したポリエチレン製ピン(Coselco Mimetopes,Victoria,Australia)を、室温で30分間ピンを浴槽(20%v/vピペリジンのジメチルホルムアミド(DHF)溶液)中に置くことにより調製した。次いでこのピンを取り出してDMF中で5分間洗浄し、次いでメタノール中で4回(各洗浄に2分)洗浄した。ピンを少なくとも10分間空気乾燥させ、次いでDMF中で最終的に洗浄した(5分)。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、367mg)をDMF(80mL)に溶解し、Fmoc保護アミノ酸を結合させるために用いた:Fmoc−L−A1a−OPfp、Fmoc−L−Cys(Trt)−OPfp、Fmoc−L−Asp(O−tBu)−OPfp、Fmoc−L−Glu(O−tBu)−OPfp、Fmoc−L−Phe−OPfp、Fmoc−Gly−OPfp、Fmoc−L−His(Boc)−OPfp、Fmoc−L−Ile−OPfp、Fmoc−L−Lys(Boc)−OPfp、Fmoc−L−Leu−OPfp、Fmoc−L−Met−OPfp、Fmoc−L−Asn−OPfp、Fmoc−L−Pro−OPfp、Fmoc−L−Gln−OPfp、Fmoc−L−Arg(Mtr)−OPfp、Fmoc−L−Ser(t−Bu)−ODhbt、Fmoc−L−Thr(t−Bu)−ODhbt、Fmoc−L−Val−OPfp、およびFmoc−L−Tyr−OPfp。
【0105】
保護アミノ酸をHOBtと共にマイクロタイタープレートウェル中に置き、ピンブロックをプレート上に配し、ピンをウェル中に浸漬した。次いでこの組合せをプラスチックバッグ中にシールし、25℃で18時間反応させて最初のアミノ酸をピンに結合させた。次いでブロックを取り外し、ピンをDHF(2分)、MeOH(4×2分)で洗浄し、さらにDMF(2分)で洗浄して、結合アミノ酸を清浄化し、脱保護した。この手順を繰り返して、さらに各アミノ酸を結合させ、全てのオクタマーを調製した。
【0106】
次いで遊離N末端をアセチル化し、遊離アミドを代償した。これは、エピトープのほとんどはN末端に存在せず、従って関連する正の電荷を有さないことによる。マイクロタイタープレートのウェルをDMF/無水酢酸/トリエチルアミン(5:2:1v/v/v)で満たし、ピンをウェル中で20℃で90分間反応させることにより、アセチル化を行った。次いでこのピンをDMF(2分)およびMeOH(4×2分)で洗浄し、少なくとも10分間空気乾燥した。
【0107】
ピンをトリフルオロ酢酸/フェノール/ジチオエタン(95:2.5:2.5v/v/v)を用いてポリプロピレンバッグ中室温で4時間処理し、側鎖保護基を除去した。次いでピンをジクロロメタン(2×2分)中で洗浄し、さらに5%ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン(2×5分)、ジクロロメタン(5分)中で洗浄し、そして少なくとも10分間空気乾燥した。次いでピンを水(2分)、次いでMeOH(18時間)中で洗浄し、減圧下で乾燥し、シールしたプラスチックバッグ中にシリカゲル上で保存した。
IV.A.2.ペプチドのアッセイ
上記のように調製したオクタマー含有ピンを、初めに破壊緩衝液(1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%2−メルカプトエタノール、0.1M NaH2PO4)中60℃で30分間超音波処理した。次いでピンを水(60℃)に数回浸漬し、続いて沸騰MeOH(2分)に浸漬し、空気乾燥した。次いで遮断緩衝液200μL(1%オボアルブミン、1%BSA、0.1%Tween(登録商標)、および0.05%NaN3のPBS溶液)を含有するマイクロタイターウェル中で、25℃で1時間攪拌しながらピンを前被覆した。次いで、このピンを、HCVを有すると診断されたヒト患者から得られた抗血清175μLを含有するマイクロタイターウェル中に浸漬し、4℃で一晩インキュベートした。ピンは3人の患者から得た抗血清に対してアッセイした。標本#PAA 3663−s(「A」)は、HCVウェスタンブロット、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:1000希釈)に対するHCV ELISAで強い反応を示し、C100、5−1−1、およびC33c(C22は行わず)に対するRIBA応答で>4+を示した。(抗原/クローン名は、ヨーロッパ公開公報第318,216号および第388,232号、およびOrtho Diagnostics Systems,Inc.から入手可能なHCVイムノアッセイに関する文献中に記載されている名前による。)血漿原液は遮断緩衝液中で1:500に希釈した。標本#PAA 33028(「B」)は、HCVウェスタンブロット、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:500希釈)に対するHCV ELISAで強い反応を示し、C100、5−1−1、C33C、およびC22に対するRIBA応答で>4+を示した。ポリクローナル抗血清は、プロテインAカラムを通すことにより部分的に精製し、遮断緩衝液中で1:200に希釈して用いた。標本#PAA s32931(「C」)は、HCVウェスタンブロット(3+)、HCV競合ELISA、クローンC100−3(1:64希釈)に対するHCVELISAで中程度の反応を示し、C100および5−1−1に対する(C33cおよびC22は行わず)RIBA応答でそれぞれ3+および4+を示した。ポリクローナル抗血清は、プロテインAカラムを通すことにより部分的に精製し、遮断緩衝液中で1:500に希釈して用いた。
【0108】
ピンをPBS/Tween(登録商標)20(4×10分)中で室温で洗浄し、次いでワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIg抗血清(175μL、NaN3を含まない遮断緩衝液中に1:2000で希釈)を含有するマイクロタイターウェル中で25℃で1時間攪拌しながらインキュベートした。抗ヒト抗血清はヒトIg軽鎖および重鎖に対して特異的であり、IgGクラスとIgMクラスの両方と反応する。ピンを再びPBS/Tween(登録商標)20(4×10分)中で室温で洗浄した。NaH2PO4(1M、200mL)およびクエン酸(1M、160mL)を2Lに蒸留水で希釈し、pHを4.0に調整することにより、基質溶液を調製した。使用する直前に、アジノ−ジ−3−エチルベンズチアゾジンスルホネート(ABTS、50mg)および過酸化水素(0.3μL/mL)を100mLの緩衝液に加えて、基質溶液を完成した。この基質溶液(150μL)をマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、ピンをウェル中に浸漬し、暗所で25℃でインキュベートした。発色後、ピンを取り出して反応を停止させ、この溶液の吸光度を405nmで読み取った。
【0109】
以下に示したオクタマーを、抗HCV抗血清と免疫反応させた。3つの抗血清全てと反応するペプチドをエピトープとして記し、一方1つまたは2つの抗血清とのみ反応するペプチドを弱エピトープ(「〜」で示した)として記した。特に強いエピトープは、番号ではなく文字で示した(例えば、EpAA)。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
【表9】
【0118】
IV.B.識別アッセイ
初期抗原を後期抗原と区別するために以下のアッセイを行った。初期抗原に対する抗体が検出され得、そしてその抗体はHCV感染をより迅速に診断するのに用いられ得る。
【0119】
高ALTを有するが、抗C100−3抗体に対して陰性であるヒト患者から連続して採血を行った。血清転換(seroconversion)(C−100−3陽性)が完了する前に得た5人の血液をプールし、そして1:2000に希釈してアッセイに使用した。このアッセイは、上記のセクションIV.A.の記載の通りに行った。しかし、一方のセットのピンをワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG特異的抗血清とインキュベートし、他方のセットのピンをワサビダイコンペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgM特異的抗血清とインキュベートした。IgM抗体と免疫反応するエピトープが初期抗原である。
【0120】
この結果は、ほとんどの初期のエピトープはアミノ酸約480位からアミノ酸約650位までの範囲の領域内で見い出されることを示した。特に、強IgMエピトープは、アミノ酸番号506、510、523、553、562、580から始まるオクタマーであり、そして590位から620位までの領域であった。この領域に由来するエピトープを有する抗原を用いるアッセイは、他の抗原を用いるアッセイよりも早い時点でHCV感染の診断を行い得る。
【0121】
さらに、開心術輸血後に非A非B型肝炎になった5人の患者から採取した血漿標本を試験し、この研究は3〜12年続けた。最初の採血日は1週間未満で行った。1つのコア抗原(C22)、2つのエンベロープ抗原(E1およびE2)、および3つの非構造領域抗原(C33c、C100、およびNS5)に対するEIAにより、各標本をIgGおよびIgMに対して試験した。C22およびC33cに対するIgM応答は、それらの抗原のIgG応答を上回ったことが分かった。NS−5もまたIgM応答を誘導したが、この応答はその抗原のIgG応答を上回るものではなかった。従って、C22およびC33c領域に由来したエピトープを用いることにより、そしてIgM結合に対してアッセイすることにより、感染の極めて初期の段階を測定し得るアッセイが作製され得る。C33c領域に対する抗体は長期間持続するので、C33cに関する診断用アッセイが最も信頼性があることが示唆される。
【0122】
IV.C.種々の固体由来のHCV分離株における配列変異
CDC/HCV1から外れる配列を含むHCVの分離株をヒト個体において同定し、そのうちいくつかは抗C100−3抗体に対して血清学的に陽性であった(EC10は抗体陰性)。CDC/HC1配列を用いてPCR法により増幅したHCVゲノムのセグメントをクローニングし、配列決定することにより、これらの新規な分離株の同定が行われた。この方法は、本明細書中に記載のHCV cDNA配列に基づいたプライマーおよびプローブを用いる。本方法の最初の工程は、逆転写酵素を用いて、HCVゲノムまたはその複製中間体のいずれかに対するcDNAの合成である。HCV cDNAの合成後、そして増幅前に、試料中のRNAを当該分野で周知の方法により分解する。次いで、HCV cDNAの指定されたセグメントを適切なプライマーの使用により増幅した。増幅された配列をクローニングし、そして増幅された配列を含むクローンをプローブにより検出する。そのプローブは、プライマー間にある配列に相補的であるが、プライマーとは重複していない。
【0123】
IV.C.1.米国においてヒトから単離されたHCV分離株
HCVビリオン源として用いられる血液試料を、North Carolina州、Charlotteにある米国赤十字社(American Red Cross)、およびMissouri州、Kansas Cityのカンザス州地域血液センター(Community Blood Center of Kansas)から得た。ELISAアッセイを用いて、HCV C100−3抗原に対する抗体に対して試料をスクリーニングし、そしてポリクローナルヤギ抗ヒトHRPを用いて補足的なウェスタンブロット分析を行い、抗HCV抗体を測定した。米国赤十字社およびカンザス州地域血液センターからそれぞれ得た2つの試料の#23および#27は、これらのアッセイによりHCV陽性であることが決定された。
【0124】
これらの試料の血清に存在するウイルス粒子をBradleyら(1985)により記載された条件下で超遠心分離により単離した。10μg/mLのプロテナーゼK、および0.1%SDSの最終濃度で、プロテナーゼKおよびSDSで消化することによりRNAを粒子から抽出した;消化は37℃で1時間行った。ウイルスRNAをクロロホルム−フェノールで抽出することによりさらに精製した。
【0125】
RNAの調製におけるHCV RNAをcDNAに逆転写した。cDNAの両鎖を合成した後、次いで、得られたcDNAをPCR法により増幅した。各HCV分離株に由来する3つのクローン中のHCV cDNAを配列分析にかけた。分析は本質的にChenおよびSeeburg(1985)に記載された方法によった。
【0126】
試料23および27のHCV由来のクローンのコンセンサス配列を、それぞれ図3および図4に示す。これらの図中に可変配列もまた示されており、これはコンセンサス配列中にコードされたアミノ酸である。
【0127】
図5および図6は、試料23、27、およびHCV1の一列に並んだプラス(+)鎖ヌクレオチド配列(図5)および推定アミノ酸配列(図6)の比較を示す。図6中のHCV1のアミノ酸配列は、HCVゲノムRNAにおける大きなORFによりコードされたHCVポリタンパク質のアミノ酸番号129〜467を表している。図5および図6の試験は、3つの単離クローンの配列において変異があることを示す。ヌクレオチドレベルおよびアミノ酸レベルでの配列変異を以下に記載の表にまとめた。表では、SおよびNS1を示すポリペプチドは、それぞれアミノ酸番号130から〜380まで、および380から〜470までを表し、これらのドメインは既知である。番号付けは、推定のイニシエーターメチオニンから開始する。用語SおよびNS1は、フラビウイルスモデルを用いてポリペプチドをコードする配列の位置決定に基づく。しかし、上記のように、最近の証拠により、HCVとフラビウイルスとの間では、ウイルスポリペプチドドメインに関して、特に推定E/NS1ドメインにおいて、全体的な相関性がないことが示唆される。実際、HCVポリペプチドおよびそれらのコーディングドメインは、フラビウイルスモデルから実質的に外れていることを示し得る。
【0128】
【表10】
【0129】
新たに単離されたHCV配列中には変異があるが、試料23および27(HCV23およびHCV27と呼ばれる)から得たクローン配列は、各々1019個のヌクレオチドを含んでおり、選択されたクローンにおいて、この領域では欠失および付加による突然変異がないことを示す。図5および図6中の配列はまた、単離された配列が、この領域内では転位が生じていないことを示す。
【0130】
HCV1およびHCVの他の分離株に対するコンセンサス配列の比較を、上記の表にまとめる。チンパンジーHCV1分離株とヒトから単離されたHCVとの間の配列変異は、ヒト起源のHCV間で見られる変異とほぼ同じである。
【0131】
2つの推定ドメイン中の配列変異が一様でないことは重要である。推定S領域の配列は、比較的定常的であり、領域を通じてランダムに散在していると思われる。それに対して、推定NS1領域は全配列よりも変異の割合が高く、そして変異は約28個のアミノ酸からなる超可変区域にあると考えられている。この超可変区域は、推定ポリタンパク質の推定N末端から下流の約70個のアミノ酸の位置に存在する。
【0132】
検出された変異は増幅過程で生じたと考察され得るが、全ての変異がこの結果により生じた訳ではないと考えられる。Taqポリメラーゼが、1サイクルにつきDNA鋳型10キロ塩基当り約1塩基の割合で配列中にエラーをもたらすと判断されている(Saikiら(1988))。この判断によれば、7エラーまでは1019bpのDNAフラグメントのPCR増幅中にもたらされ得る。しかし、HCV−23およびHCV−27の3つのサブクローンは、それぞれ29塩基および14塩基の変異を生じた。以下のことにより、これらの変異は天然に生じていることが示唆される。塩基の変化のうち約60%は、アミノ酸配列を変化させないサイレント突然変異である。PCR増幅中にTaqポリメラーゼによりもたらされた変異は、ランダムに生じていると考えられる;しかし、この結果により、可変配列は少なくとも1つの特異的領域内に固まって存在していることが示される。
【0133】
IV.C.2.イタリアおよび米国においてヒトから単離されたHCV分離株
異なる分離株に存在するHCV RNAのセグメントをHCV/cPCR法により増幅した。これらの断片は、推定HCVポリタンパク質の開始コドンをコードするメチオニンの下流〜0.6Kbから〜1.6Kbの領域に及ぶ。この分離株は、HCV感染体から得た生物学的標本に由来する。さらに詳細には、HCT#18分離株は米国の個体から得たヒト血漿に由来し、EC1およびEC10はイタリア人患者の肝生検から得たものであり、そしてThはアメリカ人患者の末梢血液の単核細胞画分に由来する。比較のHCV RNAセグメントをチンパンジーから単離した。
【0134】
フェノール:CHCl3:イソアミルアルコール抽出液を用いて、ヒト血漿標本からRNAを抽出した。0.1mLまたは0.01mLの血漿のいずれかを、10〜40μg/mLのポリアデニル酸を含有するTENB/プロテナーゼK/SDS溶液(0.05M Tris−HCL(pH8.0)、0.001M EDTA、0.1M NaCl、1mg/mLプロテナーゼK、および0.5%SDS)により、最終容量を1.0mLにまで希釈し、そして37℃で60分間インキュベートした。このプロテナーゼK消化の後、得られた血漿画分をTE(50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA)飽和フェノール(pH6.5)を用いて抽出することにより除タンパクした。遠心分離によりフェノール相を分離し、そして0.1%SDSを含有するTENBで再抽出した。各抽出で生じた水相をプールし、そして等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール[1:1(99:1)]で2回抽出し、次いで等量のクロロホルム/イソアミルアルコールの99:1混合液で2回抽出した。遠心分離による相分離に続いて、水相に最終濃度0.2Mとなるように酢酸ナトリウムを加え、核酸を2倍容量のエタノールを加えて沈澱させた。沈澱した核酸を、SW41ローター中で38K、4℃で60分間、またはマイクロヒュージ管中で10K、4℃で10分間、超遠心分離により回収した。
【0135】
肝生検から抽出したRNAは、Dr.F.Bonino(Ospedale Maggiore di S.Giovanni Battista,Torino,Italy)により提供された。単核細胞画分は、個人の血液の一部をFicoll−Paque(登録商標)(Pharmacia Corp)によって、製造会社の指示書に従って用いて沈澱させることにより得た。全RNAを、Chooら(1989)に記載のグアニジニウムチオシアネート法を用いて画分から抽出した。
【0136】
試料から得たHCV cDNAの合成を逆転写酵素を用いて行った。エタノール沈澱に続いて、沈澱したRNA画分または核酸画分を乾燥し、そして蒸留水で処理したDEPC中に再懸濁した。核酸の二次構造を65℃で10分間加熱して破壊し、そして試料を氷上で急冷した。肝臓由来の全RNA1〜3μgを用いて、または10〜100μLの血漿から抽出した核酸(またはRNA)から、cDNAを合成した。合成は逆転写酵素を使用し、製造会社であるBRLにより指定されたプロトコルを用いて、そして25μL反応液中で行った。cDNA合成のための全ての反応混合物には、23単位のRNAaseインヒビター、Rnasin(登録商標)(Fisher/Promega)を含ませた。cDNA合成に続いて、反応混合物を水で希釈し、そして10分間沸騰させ、氷上で急冷させた。
【0137】
各セットの試料を2ラウンドのPCR増幅にかけた。反応用のプライマーを選択し、「EnvL」および「EnvR」と称する領域を増幅した。「EnvL」領域は、ヌクレオチド669〜1243位を含有し、そして推定アミノ酸117〜308位をコードする;「EnvR」領域は、ヌクレオチド1215〜1629位を含有し、そして推定アミノ酸300〜408位をコードする(推定アミノ酸は推定メチオニン開始コドンを起点に番号を付けている)。
【0138】
PCR反応は、1μgのRNase Aを加えたこと以外は、基本的に製造者の指示書(Cetus−Perkin−Elmer)に従って行った。この反応は100μLの最終容量で行った。1サイクルを94℃で1分、37℃で2分、および72℃で3分行い、最終サイクルでは72℃で延長して7分間行うというレジメにより、PCRを30サイクル行った。次いで、試料をフェノール:CHCl3で抽出し、エタノール沈澱を2回行い、10mM Tris HCl(pH8.0)中で再懸濁し、そしてCentricon−30(Amicon)濾過を用いて濃縮した。この手法により、30ヌクレオチド未満のサイズのオリゴヌクレオチドが効率よく除去される;従って、最初のラウンドのPCR増幅のプライマーが除去される。
【0139】
次いで、Centricon−30濃縮試料を2回目のラウンドのPCR増幅にかけた。1サイクルを94℃で1分、60℃で1分、および72℃で2分行い、最終サイクルでは72℃で延長して7分間行うというレジメにより、PCRによる増幅を35サイクル行った。次いで、試料をフェノール:CHCl3で抽出し、2回沈澱させ、そしてEcoRIで消化した。PCR反応生成物を、6%ポリアクリルアミドゲルの電気泳動によりその生成物を分離することにより分析された。得られるPCR生成物の推定サイズのDNAをゲルから電気溶出し、そしてpGEM−4プラスミドベクター内またはλgt11内のいずれかにサブクローニングした。増幅の最初のラウンド後のEnvLおよびEnvRについて得られた生成物のサイズは、それぞれ615bpおよび683bpであった;2回目ラウンドの増幅後のEnvLおよびEnvRについて得られた生成物のサイズは、それぞれ414bpおよび575bpであった。宿主細胞を形質転換するために、増幅生成物を含有するプラスミドを用いた;DH5−αを形質転換するためにpGEM−4プラスミドを用い、C600デルタ−HFLを形質転換するためにλgtllを用いた。適切なHCVプローブとハイブリダイズする形質転換細胞のクローンか、または正確なサイズの挿入部分を有する形質転換細胞のクローンのいずれかを選択した。次いで、挿入部分をM13内にクローニングし、そして配列決定した。HCV/cPCR生成物の全てに対するプローブは、PCR増幅により調製されたHCVcDNAの32P標識断片から成っていた。
【0140】
EnvL領域内の変異に関する配列情報は、HCT#18から得た3つのクローン、THから得た2つのクローン、EC1から得た3つのクローン、およびHCV1クローンから得られた。これらのクローンに由来する各分離株の混成ヌクレオチド配列の比較を図7に示す。この図では、各配列は、EnvL領域のセンス鎖の5’から3’までを示しており、そしてこの配列は一列になっている。縦列および大文字は配列相同性を示し、列の欠如および小文字は相同性がないことを示す。列内に示された配列を以下に示す:第1列、Thorn;第2列、EC1;第3列、HCT#18;第4列、HCV1。
【0141】
EnvR領域内の変異に関する配列情報は、EC10の2つのクローンおよびHCV1クローンから得られた。この2つのEC10クローンは、ただ1個のヌクレオチドが異なっていた。EC10(クローン2)および混成のHCV1配列のヌクレオチド配列の比較を図8に示す;各配列は、EnvR領域のセンス鎖の5’から3’までを示しており、そしてこの配列は一列になっている。配列間の2重点は配列相同性を示す。
【0142】
EnvL領域(アミノ酸番号117〜308)およびEnvR領域(アミノ酸番号300〜438)内にコードされたアミノ酸配列の各分離株に対する比較を、それぞれ図9および図10に示す。上記のように、図中には、JH23およびJH27分離株の配列が包含される。日本人の分離株から得た配列もまた示す;これらの配列は日本のDr.T.Miyamuraから提供された。これらの図では、HCV1に対する領域全体において、その領域に対するアミノ酸配列が示され、そして種々の分離株における非相同的アミノ酸が示される。
【0143】
図9に見られるように、EnvL領域では、HCV1と他の分離株との間で全体で約93%の相同性がある。HCT18、Th、およびEC1は、HCV1と97%の相同性を有し;JH23およびJH27は、それぞれHCV1と約96%および約95%の相同性を有する。図10は、EnvR領域での相同性が、EnvL領域での相同性よりも顕著に低いことを示す;さらに、1つのサブ領域が超可変部(すなわち、アミノ酸383〜405位の部分)であると思われる。このデータを以下の表にまとめる。
【0144】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0145】
VI.産業上の利用性
本明細書中で同定されたエピトープは、例えば、HCV感染に対する血液のスクリーニング、臨床上のHCV診断、抗体の産生、および医薬品の製造などの適用に対して、上記のようなポリペプチド生成物を製造するために用いられ得る。他の適用は上記の通りであり、そしてさらに別の適用も当業者には極めて明らかである。
【0146】
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米国特許第4,341,76l号
米国特許第4,466,917号
米国特許第4,399,121号
米国特許第4,472,500号
米国特許第4,427,783号
米国特許第4,491,632号
米国特許第4,444,887号
米国特許第4,493,890号
米国特許第4,816,467号
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1a】HCVプロトタイプ分離株のHCV1のポリタンパク質を示す。
【図1b】図1aの続きである。
【図1c】図1bの続きである。
【図2a】HCV1の混成cDNAを示す。
【図2b】図2aの続きである。
【図2c】図2bの続きである。
【図2d】図2cの続きである。
【図2e】図2dの続きである。
【図2f】図2eの続きである。
【図3a】ヒト分離株23のヌクレオチドコンセンサス配列を示す。変異株の配列は上記配列の下に示す。コンセンサス配列中にコードされるアミノ酸もまた示す。
【図3b】図3aの続きである。
【図4a】ヒト分離株27のヌクレオチドコンセンサス配列を示す。変異株の配列は上記配列の下に示す。コンセンサス配列中にコードされるアミノ酸もまた示す。
【図4b】図4aの続きである。
【図5a】ヒト分離株23および27、およびHCV1の一列に並んだヌクレオチド配列を示す。相同的な配列は、記号(*)で示す。非相同的な配列は、小文字で示す。
【図5b】図5aの続きである。
【図5c】図5bの続きである。
【図6】ヒト分離株23および27、およびHCV1の一列に並んだアミノ酸配列を示す。相同的な配列は、記号(*)により示す。非相同的な配列は、小文字で示す。
【図7a】分離株のThorn、EC1、HCT #18、およびHCV1の一列に並んだ混成ヌクレオチド配列の比較を示す。
【図7b】図7aの続きである。
【図7c】図7bの続きである。
【図8】EC10のヌクレオチド配列および混成のHCV1配列の比較を示す;EC10配列は、点の上の列であり、そしてHCV1配列は、点の下の列である。
【図9】ヒト分離株のHCT #18、JH23、JH27、Thorne、EC1、およびHCV1のコンセンサス配列の「EnvL」領域内にコードされるアミノ酸配列117〜308(HCV1と比較して)の比較を示す。
【図10】ヒト分離株のHCT #18、JH23、JH27、Thorne、EC1、およびHCV1のコンセンサス配列の「EnvR」領域内にコードされるアミノ酸配列330〜360(HCV1に比較して)の比較を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCV抗体と免疫反応し得るポリペプチドであって、該HCV抗体と反応し得る免疫反応性部分は、アミノ酸配列VESENKVVを含むHCVポリペプチドの一部分であり、ここで該一部分が最大で25アミノ酸の長さを有する、免疫反応性ポリペプチド。
【請求項2】
前記一部分が最大で20アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載の免疫反応性ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のポリペプチドを含む、イムノアッセイ試薬。
【請求項4】
試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)タンパク質と免疫反応し得る抗体の存在を検出する方法であって、
固定化した、請求項3に記載のイムノアッセイ試薬を該試料と接触させる工程、
および
検出可能な標識を使用して、該試薬に結合した抗体を検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドが組換え発現または化学合成によって調製される、方法。
【請求項6】
HCV抗体と免疫反応し得るポリペプチドであって、該HCV抗体と反応し得る免疫反応性部分は、アミノ酸配列VESENKVVからなる、ポリペプチド。
【請求項1】
HCV抗体と免疫反応し得るポリペプチドであって、該HCV抗体と反応し得る免疫反応性部分は、アミノ酸配列VESENKVVを含むHCVポリペプチドの一部分であり、ここで該一部分が最大で25アミノ酸の長さを有する、免疫反応性ポリペプチド。
【請求項2】
前記一部分が最大で20アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載の免疫反応性ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のポリペプチドを含む、イムノアッセイ試薬。
【請求項4】
試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)タンパク質と免疫反応し得る抗体の存在を検出する方法であって、
固定化した、請求項3に記載のイムノアッセイ試薬を該試料と接触させる工程、
および
検出可能な標識を使用して、該試薬に結合した抗体を検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドが組換え発現または化学合成によって調製される、方法。
【請求項6】
HCV抗体と免疫反応し得るポリペプチドであって、該HCV抗体と反応し得る免疫反応性部分は、アミノ酸配列VESENKVVからなる、ポリペプチド。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−131629(P2007−131629A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314880(P2006−314880)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願2004−280446(P2004−280446)の分割
【原出願日】平成4年6月24日(1992.6.24)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願2004−280446(P2004−280446)の分割
【原出願日】平成4年6月24日(1992.6.24)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】
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