説明

C環修飾型三環式ベンゾナフチリジノン・タンパク質キナーゼ阻害薬及びこれらの使用

C環修飾型三環式ベンゾナフチリジノン化合物及びこれらの類似体、このような化合物を含む医薬組成物、及びこれらの化合物の製造方法が開示されている。化合物は、タンパク質キナーゼ・シグナル伝達の阻害、調節及び/又は変調の影響を受けやすい疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害薬、このような阻害薬を含む医薬組成物、及びこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タンパク質キナーゼは、多種多様な細胞プロセスを調節する上で中心的役割を果たし、ひいては細胞機能の制御を維持する上で広範囲のタンパク質群である。このようなキナーゼの一部としては、Akt、Axl,Aurora A、Aurora B、Lck、Fyn,Lyn、Yes、dyrk2、epha2、fgfr3、vegfr3、igflr、IKK2、JNK3、Vegfr2、MEK1、MET、Ron、Rsk1、CHK1、P70s6K、Plk1、RSK1、Src、TrkA、Zap70、cKit、bRaf、EGFR、Jak2、PI3K、NPM−Alk、c−Abl,BTK,FAK,PDGFR、TAK1、LimK、Flt3,Flt1、PDK1及びErkが挙げられる。
【0003】
タンパク質キナーゼが媒介する事象によって引き起こされる非常な細胞応答は、多様な疾患をもたらす。これらの疾患は自己免疫疾患、炎症性疾患、神経系疾患及び神経変性疾患、癌、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病及びホルモン関連疾患を含む。従って、治療薬として効果的なタンパク質キナーゼ阻害薬を見いだそうという多大な努力が医薬品化学分野において成されている。
【0004】
Srcキナーゼのようなタンパク質キナーゼの小分子阻害薬が最近報告されているが、しかし細胞質分裂に対するその効果はまだ詳細に研究されるべきである。保存的セリン/トレオニン・キナーゼのAurora群は、細胞分裂中に本質的な機能を果たす。3つの哺乳動物パラローグ、すなわちAurora A、B及びCは配列が極めて類似しているが、しかしこれらの位置、機能、基質、調節相手は著しく異なっている。Auroraキナーゼのうちの1つの高選択性で極めて強力な小分子阻害剤であるVX−680は、細胞周期の進行を遮断し、そして種々様々なヒト腫瘍タイプのアポトーシスを誘発する(Harrington EA他、Natl. J. Med., (2004) 10:262-267)。別の新規の細胞周期阻害薬JNJ-7706621は、いくつかのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)及びAuroraキナーゼの強力な阻害作用を示し、また種々の起源の腫瘍細胞の増殖を選択的にブロックした(Emanuel S.他、Cancer Res., 2005, 65:9038-9046)。Auroraキナーゼの阻害に起因する付加的な細胞作用は、核内倍加及びヒストンH3リン酸化反応の阻害を含んだ。
【0005】
Auroraキナーゼ阻害剤はまた、Hauf他(J. Cell. Biol., 2003, 161:281-294)及びDitchfield他(J. Cell. Biol., 2003, 161:267-280)によって同定されており、Hauf他は、細胞を単指向染色体とともに後期に入らせるAurora Bの阻害剤としてインドリノン(Hesperadin)を記述しており、Ditchfield他は、ZM447439((4−(4−(N−ベンゾイルアミノ)アニリノ)−6−メトキシ−7−(3−(1−ホルホリノ)プロポキシ)キナゾリン)、つまり、染色体の整列、分離、及び細胞質分裂を妨害するAuroraキナーゼ阻害剤を開示している。
【0006】
Aprea ABは、野生型p53腫瘍抑制遺伝子とHDM2、つまり腫瘍遺伝子タンパク質との相互作用を妨害することによって腫瘍細胞成長を阻害し、これにより、タンパク質キナーゼ・シグナル伝達を介してアポトーシスを誘発するp53の能力を修復する9H−カルバゾール誘導体を記述している(国際公開第2004/035580号パンフレット)。
【0007】
PP Takeda Pharmaceuticals Co., Ltd.によって開示されたピリド−インドール誘導体は、チロシンキナーゼ及びサイクリン依存性キナーゼの阻害薬であり、従って抗腫瘍薬、抗菌薬、及び抗ウイルス薬として有用である(国際公開第2008/016184号パンフレット)。
【0008】
しかし、異常タンパク質キナーゼによるシグナル伝達を阻害、変調、及び/又は調節することができ、これにより増殖性疾患、例えば癌及び心臓血管疾患、神経変性疾患、炎症性疾患、及び内分泌関連疾患を効果的に治療することができるタンパク質キナーゼ阻害薬が必要である。このタンパク質キナーゼ阻害薬は、疾患治療のための併用療法において、また診断ツールとして有用であることも望まれる。
【0009】
本発明のこれらの化合物、及びこれらの化合物を含む医薬組成物は、個々に提供されるか、又はキットの形で提供される。本発明にはまた、調節されていないタンパク質キナーゼ活性をアクティブに変調するか又は阻害する化合物を調製する方法も含まれる。
【0010】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、以下の説明及び主張から当業者には明らかである。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明の化合物は、AuroraキナーゼA、B及びC、及びLimK、Fyn、Lyn、Yes、Lck、Src、KDR、Met、Ron、Axl、Flt−3、及びFGFR3タンパク質キナーゼの選択的な、そして極めて強力なアデノシントリホスフェート(ATP)競合的阻害剤である。本発明はまた、これらの化合物の医薬的に許容される誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体を、あらゆる比を成すこれらの混合物を含めて提供する。これらの新規の化合物の使用によって治療される疾患は、一次、二次、及び転移癌、例えばメラノーマ、リンパ腫、白血病、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、膵臓、腎臓癌、CNS癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、及び子宮頸癌を含む。さらに、アレルギー、喘息、神経変性疾患、内分泌疾患、免疫疾患、心臓血管疾患、代謝疾患、及び増殖性疾患全てを、本発明の化合物の使用によって治療することができる。
【0012】
1つの態様において、本発明は式I又は式II:
【0013】
【化1】

【0014】
{上記式中、
T、U、V、W、X、Y及びZはそれぞれ独立して、正確な原子価に応じて、C、CH、N、O又はSであり;
LはNR’、O、CR’R’、Sであるか、又は存在せず;
RはH;ハロ;CN;NO2;C1−C6アルキル;CF3;アリール;ヘテロアリール;アラルキル;アルカリル;ヘテロアルキル;又は炭素環;C(=O)OR’;アルキル−C(=O)−;−C(=O)アリール;アリール−NH−C(=O)−アリール;アリール−C(=O)−NH−アリール;アリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−アリール;−C(=O)NH−アリール;アリール−C(=O)−;OR’;R’−SO2−:SO2−R’;SR’;R’−NH−C(=O)−;アルキル−O−C(=O)−;R’−アルキル−;R’−C(=O);NR’R’であり;これらのうちのいずれも任意に置換されていてよく;又は存在せず;
R’はH;アルキル;ハロアルキル;アルキルハロ;炭素環;アリール;ヘテロアリール、トリチル、ヘテロアルキル、又はカルボン酸エステルであり;これらのうちのいずれも任意にさらに置換されていてよく;
1〜R4はH、ハロ、C−R’、NR’R’、又はOR’であり;
-----は二重結合の存在又は不存在を表し;
アリール、ヘテロアリール、又は炭素環は任意に置換型又は無置換型であってよく、
そしてアリール、ヘテロアリール、及び/又は炭素環の任意の組み合わせで、単環、二環又は三環構造であってよい}
に基づく化合物、並びに、あらゆる比の混合物を含む、医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体を提供する。
【0015】
好ましい実施態様の場合、式Iに基づく化合物において、T、U、V及びWの全てが、正確な原子価に応じて同時にC又はCHであることはない。
【0016】
別の好ましい実施態様の場合、式Iに基づく化合物は、医薬的に許容される希釈剤、賦形剤、担体などと一緒に医薬製剤中に組み込まれる。当業者には明らかなように、「希釈剤」、「賦形剤」、及び「担体」という用語には重複が生じる。
【0017】
本発明の他の好ましい実施態様の例は次の通りである。
【0018】
本発明の第2の好ましい実施態様は、LがNR’であり、Rが置換型ベンズアミドフェニル部分であり、XがCHであり、YがNであり、ZがNであり、そしてR2がHである化合物を含む。
【0019】
本発明の第3の好ましい実施態様は、LがNR’であり、Rが置換型フェニルアミノ部分であり、T、U、V及びWのそれぞれがCHであり、そしてR〜RがHである化合物である。
【0020】
本発明の第4の好ましい実施態様は、LがNR’であり、Rが置換型ベンズアミドフェニル部分であり、T、V及びWのそれぞれがCHであり、そしてUがNであり、R1、R2及びR4がHであり;そしてR3がベンジルである化合物である。
【0021】
式I又は式IIに基づく有効量のキナーゼ阻害薬を患者に投与することを含む、キナーゼタンパク質の阻害を必要とする患者を治療する方法も、本発明に含まれる。好ましい実施態様において、式I又は式IIに基づく化合物は、1種又は2種以上の医薬的に許容される希釈剤、賦形剤、担体などとともに医薬製剤中に組み込まれ、そしてこの医薬製剤はさらに任意には、キットとしてパッケージングされてよい。ここに提供されるのは、このような医薬組成物、及び、あらゆるタイプの癌を含む増殖性疾患を治療するために、調節されていない又はかく乱されたタンパク質キナーゼ活性を変調及び/又は阻害する方法であって、これを必要とする患者に、式I又は式IIに基づく有効量のキナーゼ阻害薬を投与することを含む方法である。
【0022】
さらなる態様の場合、本発明は、とりわけ腫瘍形成、血管形成、動脈硬化、眼疾患、炎症性疾患、関節炎、及び再狭窄から選択された一員である疾患又は状態を治療又は予防する方法を提供する。この方法は、これを必要とする患者に、治療的に有効量の式I化合物又は医薬的に許容されるその塩、プロドラッグ、エナンチオマー、互変異性体、水和物、溶媒和物、又はラセミ混合物を投与することを含む。式I化合物はさらに、所定の既存の癌化学療法における相加又は相乗効果をもたらし、且つ/又は、所定の既存の癌化学療法及び放射線療法の効力を回復させるために使用することができる。
【0023】
また本発明の範囲には、化合物1−51及び医薬的に許容される塩、これらそれぞれのプロドラッグ、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー又はラセミ混合物も入る。
【0024】
本明細書中に使用される、化合物の「溶媒和物」という用語は、化合物の塩の溶媒和物を含むものとする。
【0025】
本発明の付加的な実施態様は、薬剤として使用するための式I又は式IIに基づく化合物;キナーゼタンパク質の阻害を必要とする患者を治療する薬剤を調製するための式I又は式IIに基づく化合物の使用;及び単一部位癌又は転移性癌の細胞増殖を抑制又は低減する、又は癌転移を阻害又は抑制する薬剤を調製するための、式I又は式IIに基づく化合物の使用、を含む。
【0026】
本発明はまた、治療において使用するための、例えばキナーゼタンパク質を変調又は阻害する必要のある増殖性疾患又は炎症性疾患の患者を治療するための式I又は式IIに基づく化合物、又は、医薬的に許容されるその誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体をも、あらゆる比のその混合物を含めて包含する。
【0027】
本発明の化合物を合成する方法も、本発明の範囲に含まれる。
【0028】
さらに、本発明は、キナーゼ関連の機能不全、特に哺乳動物における血管形成、癌、腫瘍の形成、成長及び増殖、動脈硬化、眼疾患、例えば加齢による黄斑変性症、脈絡膜血管新生、及び糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性疾患、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶反応、代謝疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病及び血管・免疫疾患のような疾患を治療する必要のある患者の治療のためのさらなる薬剤活性成分と一緒に、式I又は式IIに基づく化合物を併用することに関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
なし。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、タンパク質キナーゼによる、具体的にはAuroraキナーゼA、B及びC、及びLimK、Fyn,Lyn、Yes、Lyk、Src、KDR、Met、Ron、Axl、Flt−3、及びFGFR3タンパク質キナーゼによるシグナル伝達を阻害、調節、及び/又は変調する化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、及びキナーゼ関連疾患及び病状の治療に化合物を使用する方法に関する。第1の態様において、本発明は、式I又は式II:
【0031】
【化2】

【0032】
{上記式中、
T、U、V、W、X、Y及びZはそれぞれ独立して、正確な原子価に応じて、C、CH、N、O又はSであり、但しT、U、V及びWの全てが同時にCであることはないものとし;
LはNR’、O、CR’R’、Sであるか、又は存在せず;
RはH;ハロ;CN;NO2;C1−C6アルキル;CF3;アリール;ヘテロアリール;アラルキル;アルカリル;ヘテロアルキル;又は炭素環;C(=O)OR’;アルキル−C(=O)−;−C(=O)アリール;アリール−NH−C(=O)−アリール;アリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−アリール;−C(=O)NH−アリール;アリール−C(=O)−;OR’;R’−SO2−:SO2−R’;SR’;R’−NH−C(=O)−;アルキル−O−C(=O)−;R’−アルキル−;R’−C(=O);NR’R’であり;これらのうちのいずれも任意に置換されていてよく;又は存在せず;
R’はH;アルキル;ハロアルキル;アルキルハロ;炭素環;アリール;ヘテロアリール、トリチル、ヘテロアルキル、又はカルボン酸エステルであり;これらのうちのいずれも任意にさらに置換されていてよく;
1〜R4はH、ハロ、C−R’、NR’R’、又はOR’であり;
-----は二重結合の存在又は不存在を表し;
アリール、ヘテロアリール、又は炭素環は任意に置換型又は無置換型であってよく、
そしてアリール、ヘテロアリール、及び/又は炭素環の任意の組み合わせで、単環、二環又は三環構造であってよい}
に基づく化合物、並びに、あらゆる比の混合物を含む、医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体を提供する。
【0033】
好ましい実施態様において、式I又は式IIに基づく化合物は、1種又は2種以上の医薬的に許容される希釈剤、賦形剤、担体などとともに医薬製剤中に組み込まれる。「希釈剤」、「賦形剤」及び「担体」という用語の重複は当業者には明らかである。
【0034】
本発明の化合物は、タンパク質キナーゼの阻害又は変調を必要とする患者の治療に有用であり、ひいては炎症性及び/又は増殖性障害の治療にも有用である。
【0035】
本発明の第2の好ましい実施態様では、LはNR’であり、Rは置換型フェニル部分であり、XはCHであり、YはNであり、ZがNであり、そしてR1及びR2はそれぞれHである。
【0036】
本発明の第3の好ましい実施態様では、LはNR’であり、Rは置換型フェニル部分であり、T、U、V及びWのそれぞれはCH2であり、そしてR1〜R4のそれぞれはHである。
【0037】
本発明の第4の好ましい実施態様では、LはNR’であり、Rは置換型フェニル部分であり、T、V及びWのそれぞれはCHであり、そしてUはNであり、R1、R2及びR4のそれぞれはHであり;そしてR3はベンジルである。
【0038】
本発明の第5の好ましい実施態様では、LはNR’であり、Rは置換型フェニルアミノ部分であり、T、V及びWのそれぞれはCH2であり、UはNであり、そしてR1〜R4のそれぞれはHである。
【0039】
本発明の第6の好ましい実施態様では、LはNR’であり、Rは置換型フェニルアミノ部分であり、XはOであり、Y及びZのそれぞれはCであり、そしてR1及びR3はそれぞれHである。
【0040】
本発明の第7の好ましい実施態様では、化合物は式(I)、(II)又は(iii)に一致し、LはNHであり、そしてRはアリール−C(=O)−NH−アリール−であり、アリール部分のそれぞれは無置換型であるか、又は独立してハロ又はCF3によって一置換又は二置換されていてよい。
【0041】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、式I又は式IIのうちの少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種のさらなる薬剤活性成分とを含む薬剤に関する。
【0042】
好ましくは、このような薬剤は、Aurora Aキナーゼ(EC 2.7.11.1)、Aurora Bキナーゼ(EC 2.7.11.1)及びAurora Cキナーゼ(EC 2.7.11.1)、Lck(EC 2.7.10.2)、Lyn(EC 2.7.10.2)、Lim(EC 2.7.11.1)、Yes(EC 2.7.10.2)、Fyn(EC 2.7.10.2)、Src(EC 2.7.10.2)、KDR(EC 2.7.10.1)、Met(EC 1.1.1.34)、Ron(EC 1.1.1.19)、Axl(EC 2.7.10.1)、Flt−3(EC 2.7.10.1)、及びFGFR3(EC 2.7.10.1)から成る群から選択された酵素の阻害によって影響を与えられる疾患を治療するためのものである。本発明による極めて好ましい薬剤は、AuroraキナーゼA、B及び/又はCの変調又は阻害によって影響を与えられる疾患を治療するためのものである。
【0043】
別の好ましい実施態様において、本発明は、(a) 有効量の本発明による式I及び式IIの化合物と、(b) 有効量のさらなる薬剤活性成分とから成る別々のパックを含むキット又はセットに関する。
【0044】
本発明の化合物は、タンパク質キナーゼの阻害又は変調を必要とする患者の治療に有用であり、ひいては炎症性及び/又は増殖性障害、例えば癌の治療にも有用である。従って、キナーゼタンパク質の変調又は阻害を必要とする患者を治療する方法であって、式I又は式IIに基づく有効量のキナーゼ阻害薬を患者に投与することを含む方法も本発明に含まれる。式I及び式IIの化合物はさらに、既存の癌化学療法における相加又は相乗効果をもたらし、且つ/又は、既存の癌化学療法及び放射線療法の効力を回復させるために使用することができる。
【0045】
好ましい実施態様において、式I又は式IIに基づく化合物は、医薬的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体のうちの1種又は2種以上とともに医薬製剤中に組み込まれ、そしてさらに任意には、キットとしてパッケージングされてよい。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、とりわけ腫瘍形成、血管形成、動脈硬化、眼疾患、炎症性疾患、関節炎、及び再狭窄から選択された一員である疾患又は状態を治療又は予防する方法を提供する。この方法は、これを必要とする患者に、治療的に有効量の式I又は式IIの化合物又は医薬的に許容されるその塩、プロドラッグ、エナンチオマー、互変異性体、水和物、溶媒和物、又はラセミ混合物を投与することを含む。
【0047】
また本発明の範囲には、化合物1−51及び医薬的に許容される塩、これらそれぞれのプロドラッグ、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー又はラセミ混合物も入る。
【0048】
本発明の付加的な実施態様は、薬剤として使用するための式Iに基づく化合物;キナーゼタンパク質の阻害を必要とする患者を治療する薬剤を調製するための式Iに基づく化合物の使用;及び単一部位癌又は転移性癌の細胞増殖を抑制又は低減する、又は癌転移を阻害又は抑制する薬剤を調製するための、式I又は式IIに基づく化合物の使用、を含む。
【0049】
本発明はまた、キナーゼ関連の機能不全、特に哺乳動物における血管形成、癌、腫瘍の形成、成長及び増殖、動脈硬化、眼疾患、例えば加齢による黄斑変性症、脈絡膜血管新生、及び糖尿病性網膜症、炎症性疾患、血液病、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性疾患、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶反応、代謝疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病及び血管・免疫疾患のような疾患を治療する必要のある患者の治療のためのさらなる薬剤活性成分と一緒に、式I又は式IIの化合物を併用することに関する。
【0050】
II.定義
本明細書に使用される本発明の化合物の記述はいずれの事例においても、医薬的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、互変異性体、エナンチオマー、立体異性体、類似体又は誘導体を含み、これらには、あらゆる比を成すこれらの混合物が含まれる。
【0051】
置換基が左から右へ書かれたコンベンショナルな化学式によって指定される場合、これらは任意には、右から左へ構造を書くことから生じる置換基を含み、例えば−CH2O−は任意には−OCH2−をも示す。
【0052】
「アルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に断りのない限り、C原子数1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の非分枝状(線状)又は分枝状鎖、又は環状炭化水素基、又はこれらの組み合わせを意味する。この用語は好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチル、ペンチル、又はヘキシルを意味し、そしてシクロアルキル及びビシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びノルボルネンなどを意味する。定義されたアルキル鎖内の1〜7つの水素原子は、F、Cl及び/又はBrによって置換されていてよく、且つ/又は、1つ又は2つのCH2基は、O、S、SO、SO2及び/又はCH=CH基によって置換されていてよい。
【0053】
本明細書中に使用される「ハロアルキル」及び「アルキルハロ」という用語はそれぞれ、アルキル基に結合されたハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素、及び、逆にハロゲン原子に結合されたアルキル基を意味する。
【0054】
「アルキレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、−CH2CH2CH2−によって例示されるような、アルカンから誘導される二価基を意味する。「アルキレン」は好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン又はtert−ブチレン、ペンチレン、1−、2−又は3−メチルブチレン、1,1−、1,2−又は2,2−ジメチルプロピレン、1−エチルプロピレン、ヘキシレン、1−、2−、3−又は4−メチルペンチレン、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−又は3,3−ジメチルブチレン、1−又は2−エチルブチレン、1−エチル−1−メチルプロピレン、1−エチル−2−メチルプロピレン、1,1,2−又は1,2,2−トリメチルプロピレン、又はジフルオロメチレンを意味する。特に好ましくは、C原子数1,2,3,4,5又は6のアルキレン、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン又はtert−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ジフルオロメチレン、テトラフルオロエチレン又は1,1−ジフルオロエチレンである。
【0055】
「環状アルキレン」(「シクロアルキレン」)は好ましくは、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン又はシクロへプチレンを意味する。
【0056】
「アリール」という用語は、特に断りのない限り、ポリ不飽和の芳香族単環又は多環、好ましくは1〜3つの環を意味し、多環は互いに縮合されるか又は共有結合される。「アリール」という用語は例えば、フェニル、o−、m−又はp−トリル、o−、m−又はp−エチルフェニル、o−、m−又はp−プロピルフェニル、o−、m−又はp−イソプロピルフェニル、o−、m−又はp−tert−ブチルフェニル、o−、m−又はp−ヒドロキシフェニル、o−、m−又はp−ニトロフェニル、o−、m−又はp−アミノフェニル、o−、m−又はp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−又はp−(N−メチルアミノカルボニル)−フェニル、o−、m−又はp−アセトアミドフェニル−、o−、m−又はp−メトキシフェニル、o−、m−又はp−エトキシフェニル、o−、m−又はp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−又はp−(N,N−ジメチル−アミノ)フェニル、o−、m−又はp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−又はp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−又はp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、ジフルオロフェニルを含むo−、m−又はp−フルオロフェニル、ジブロモフェニルを含むo−、m−又はp−ブロモフェニル、ジクロロフェニルを含むo−、m−又はp−クロロフェニル、o−、m−又はp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−又はp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−又はp−メチルスルファニルフェニル、o−、m−又はp−シアノフェニル、o−、m−又はp−カルボキシフェニル、o−、m−又はp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−又はp−ホルミルフェニル、o−、m−又はp−アセチルフェニル、o−、m−又はp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−又はp−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル、o−、m−又はp−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル、o−、m−又はp−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル、o−、m−又はp−(ピペリジニルカルボニル)フェニル、o−、m−又はp−[2−(モルホリン−4−イル)エトキシ]フェニル、o−、m−又はp−[3−(N,N−ジエチルアミノ)プロポキシ]フェニル、o−、m−又はp−[3−(3−ジエチルアミノ−プロピル)ウレイド]フェニル、o−、m−又はp−(3−ジエチルアミノプロポキシカルボニルアミノ)フェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、又は3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、又は3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、又は3,5−ジブロモフェニル、2,4−、又は2,5−ジニトロフェニル、2,5−、又は3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−、又は2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−、又は3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−、又は3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、5−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール、2−クロロ−4−フルオロ、又は2,5−ジメチル−4−クロロフェニル(を意味する。)
【0057】
好ましい実施態様の場合、「アリール」は好ましくは、無置換型であるか、又は1つ又は2つ以上のハロゲン、OR、CN、CONH2、又は複素環によって独立して一置換、二置換、又は三置換されたフェニルを意味し、RはH、アルキル、又は1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含むアルキル鎖であり、或いは置換基は、これらが結合されたフェニルの炭素原子と接合することにより、第2の環を形成し、これにより二環式構造を提供する。
【0058】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、S、Si、P及びBから選択された1〜4つのヘテロ原子を含有するアリール環を意味し、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されており、そして窒素原子は任意に四級化されている。ヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子を介して分子の残りに結合することができる。アリール及びヘテロアリール基の一例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、7−アザインドール、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、6−キノリル、1−ピペリジニル、3−ベンゾフラニル、及び4−ベンゾジオキシニルが挙げられる。上記アリール及びヘテロアリール環系のそれぞれに対する置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0059】
簡略にするため、「アリール」という用語は、他の用語、例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、又はアリールアルキルとの組み合わせで使用するときには、任意には、上記のアリール環及びヘテロアリール環の両方を含む。従って、「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は任意には、アリール基がアルキル基(例えばベンジル、フェネチル、及びピリジルメチルなど)に結合されている基を含む。このアルキル基は、炭素原子(例えばメチレン基)が例えば酸素原子(例えばフェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、及び3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)によって置換されているアルキル基を含む。これと同じ定義が逆に「アルカリル」という用語にも当てはまり、アルカリルは、アルキル基がアリール基に結合されている基を含む。用語「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」のそれぞれは、任意には、指示された基の無置換、一置換、二置換又は三置換形態を含む。
【0060】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)という用語は、従来通りの意味において使用され、そしてそれぞれ酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して、分子の残りに結合されたアルキル基を意味する。
【0061】
アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれる基を含む、アルキル基及びヘテロアルキル基に対する置換基は、総称的に「アルキル基置換基」と呼び、これらは、例えば置換型又は無置換型アリール、置換型又は無置換型ヘテロアリール、置換型又は無置換型ヘテロシクロアルキル、及び−R1{−R1は−OH、O−アルキル、−CN、ハロ、−C(O)OH、−C(O)O(アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH(アルキル)、−C(O)N(アルキル)2、−CH2OH、−CH2O(アルキル)、−CH2NH2、−CH2NH(アルキル)、CH2N(アルキル)2、−SO2OH、−SO2O(アルキル)、−SO2NH2、−SO2NH(アルキル)、及び−SO2N(アルキル)2である}から選択された種々の基のうちの1つ又は2つ以上であり得る。置換基に関する上記考察から当業者には明らかなように、「アルキル」という用語は、水素基以外の基に結合された炭素原子を含む基、例えばハロアルキル(例えば−CF3及び−CH2CF3)及びアシル(例えば−C(O)CH3、−C(O)CF3、及び−C(O)CH2OCH3など)を含むものとする。
【0062】
アルキル基に関して記載された置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基に対する置換基は総称的に「アリール基置換基」と呼ぶ。置換基は例えば、置換型又は無置換型アルキル、置換型又は無置換型アリール、置換型又は無置換型ヘテロアリール、置換型又は無置換型ヘテロシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−CN、−ハロ、−C(O)OH、−C(O)O(アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH(アルキル)、−C(O)N(アルキル)2、−CH2OH、−CH2O(アルキル)、−CH2NH2、−CH2NH(アルキル)、−CH2N(アルキル)2、−SO2OH、−SO2O(アルキル)、−SO2NH2、−SO2NH(アルキル)、N(アルキル)SO2(アルキル)、及び−SO2N(アルキル)2から選択される。
【0063】
本明細書中に使用される「アシル」という用語は、カルボニル残基を含有する置換基C(O)Rを意味する。Rに対応する模範的な種は、H、ハロゲン、置換型又は無置換型アルキル、置換型又は無置換型アリール、置換型又は無置換型ヘテロアリール、及び置換型又は無置換型ヘテロシクロアルキルを含む。
【0064】
本明細書中に使用される用語「縮合環系」は、少なくとも2つの環を意味する。それぞれの環は別の環と、少なくとも2つの原子を共有する。「縮合環系」は芳香環並びに非芳香環を含んでよい。「縮合環系」の例は、ナフタレン、インドール、キノリン、クロメン、及びノルボルナンなどである。
【0065】
本明細書中に使用される「治療」という用語は、特定の疾患の予防、又は既存の状態の治療の両方を意味する。
【0066】
本明細書中に使用される「治療的に有効量」という用語は、本発明の化合物、材料、又は本発明の化合物を含む組成物の量であって、哺乳動物におけるタンパク質キナーゼ受容体を同時にブロック又は阻害し、これにより、任意の医学的治療に適用できる妥当な損益比で、治療される細胞内のその経路の生物学的因果関係を遮断することによって、何らかの所期治療効果をもたらすのに効果的な量を意味する。
【0067】
「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書中に記載された化合物上に見いだされる具体的な置換基に応じて、相対的に非毒性の酸又は塩基で調製された活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を十分な量の所期塩基と、ニートの状態で又は好適な不活性溶媒中で接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、又はマグネシウム塩、又は同様の塩を含む。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を、十分な量の所期酸と、ニートの状態で又は好適な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などから誘導された塩、並びに、相対的に非毒性の酸、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリスルホン酸、クエン酸、酒石酸、及びメタンスルホン酸などから誘導された塩を含む。また、アミノ酸、例えばアルギン酸などの塩、及び有機酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸などの塩も含まれる(例えばBerge他、J. Pharma. Science, 1977, 66, 1-19参照)。本発明の或る特定の化合物は、化合物が塩基付加塩又は酸付加塩に変換されるのを可能にする塩基性及び酸性双方の官能基を含有する。
【0068】
化合物の中性形態は好ましくは、コンベンショナルな様式で、塩を塩基又は酸と接触させ、そして親化合物を単離することにより再生される。化合物の親形態は、所定の物理特性が種々の塩形態とは異なっているが、しかしその他の点では、塩は、本発明の目的上、化合物の親形態と等価である。
【0069】
本発明による化合物は、最終的な非塩形態で使用することができる。他方において、本発明はまた、これらの化合物をその医薬的に許容される塩の形態で使用することに関する。これらの塩は、種々の有機及び無機の酸及び塩基から、当業者に知られた手順によって誘導することができる。式I化合物の医薬的に許容される塩の形態は、大部分がコンベンショナルな方法によって調製される。式I化合物がカルボキシル基を含有する場合、その好適な塩のうちの1種は、対応する塩基付加塩を提供するように、化合物と好適な塩基とを反応させることによって形成することができる。このような塩基は例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウム及び水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシド、及びナトリウムプロポキシド;及び種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミン及びN−メチルグルタミンである。式I化合物のアルミニウム塩も同様に含まれる。或る特定の式I化合物の場合、これらの化合物を医薬的に許容される有機及び無機酸、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素、又はヨウ化水素、他の鉱物酸及びこれらの対応塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、又はリン酸塩など、及びアルキル及びモノアリールスルホン酸塩、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、及びベンゼンスルホン酸塩、及びその他の有機酸、及びこれらの対応塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、及びアスコルビン酸塩などで処理することにより、酸付加塩を形成することができる。従って、式I化合物の医薬的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタン−プロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル−硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテレート(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタン−スルホネート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモエート、ペクチン酸、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩を含むが、しかしこれは限定を表すものではない。
【0070】
さらに、本発明による化合物の塩基塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛塩を含むが、これは限定を表すものではない。上記塩のうち、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウム及びカリウム、及びアルカリ土類金属塩、カルシウム及びマグネシウムが好ましい。医薬的に許容される有機非毒性塩基から誘導される式I化合物の塩は、第一、第二、及び第三アミン、天然発生置換型アミンをも含む置換型アミン、環状アミン、及び塩基イオン交換体樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジル−エチレン−ジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩を含むが、しかしこれは限定を表すものではない。
【0071】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物は、(C1−C4)−アルキルハロゲン化物、例えばメチル、エチル、イソプロピル、及びtert−ブチルクロリド、ブロミド及びヨージド;ジ(C1−C4)アルキルスルフェート、例えばジメチル、ジエチル、及びジアミルスルフェート;(C10−C18)アルキルハリド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリルクロリド、ブロミド及びヨージド;及びアリール−(C1−C4)アルキルハリド、例えばベンジルクロリド及びフェネチルブロミドのような物質を使用して四級化することができる。本発明による水溶性及び油溶性双方の化合物を、このような塩を使用して調製することができる。
【0072】
好ましい上述の医薬塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシレート、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸、トシル酸塩、及びトロメタミンを含むが、これは限定を表すものではない。
【0073】
特に好ましいのは、塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、リン酸塩、硫酸塩及びコハク酸塩である。
【0074】
塩基性式I化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分な量の所期酸と接触させることにより調製され、コンベンショナルな様式で塩が形成される。遊離塩基は、塩形態を塩基と接触させ、遊離塩基をコンベンショナルな様式で単離することにより再生させることができる。遊離塩基形態は、或る物理特性、例えば極性溶媒中の溶解度が、その対応する塩形態とは或る点で異なってはいるものの、本発明の目的上、塩はその他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0075】
上述のように、式I化合物の医薬的に許容される塩基付加塩は、金属又はアミン、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンで形成される。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムである。好ましい有機アミンはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミン及びプロカインである。
【0076】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分な量の所期塩基と接触させることにより調製され、コンベンショナルな様式で塩が形成される。遊離酸は、塩形態を酸と接触させ、遊離酸をコンベンショナルな様式で単離することにより再生させることができる。遊離酸形態は、或る物理特性、例えば極性溶媒中の溶解度が、その対応する塩形態とは或る点で異なってはいるものの、本発明の目的上、塩はその他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0077】
本発明による化合物が、このタイプの医薬的に許容される塩を形成することができる2種以上の基を含有する場合、本発明はまた複数の塩を含有する。典型的な複数塩形態は、例えば二酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウム及び三塩酸塩を含むが、これは限定を表すものではない。
【0078】
本明細書中に含まれる「医薬的に許容される塩」は、式I化合物をその塩のうちの1つの形態で含む活性成分であって、具体的には、この塩形態が活性成分の遊離形態、又は活性成分の以前に使用されたその他の塩形態と比較して改善された薬物動態特性を活性成分に与える場合の活性成分を意味する。活性成分の医薬的に許容される塩形態は、以前は有することがなかった所期薬物動態特性を持って、この活性成分を初めて提供することもでき、また、体内の治療効力に関してこの活性成分の薬力学特性にポジティブな影響を与えることさえできる。
【0079】
本発明はさらに、少なくとも1種の式I化合物及び/又は医薬的に使用可能なその誘導体、溶媒和物、及び立体異性体(あらゆる比のその混合物)と、任意には賦形剤及び/又はアジュバントとを含む薬剤に関する。
【0080】
本明細書中に使用される「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で1種又は2種以上の化学変化を容易に受けることにより、本発明の化合物の活性形態を提供する化合物形態を意味する。例えば、典型的なプロドラッグは、本発明の化合物のカルボン酸エステル形態を含む。模範的な実施態様では、プロドラッグは、薬物分子が血液脳関門又は他の膜障壁を横切ることを必要とする疾患及び状態の治療及び/又は予防に適している。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境内で化学的又は生化学的な方法によって、本発明の化合物に変換することもできる。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬を有する経皮パッチ・リザーバ内に置かれると、本発明の化合物にゆっくりと変換することができる。
【0081】
本発明の或る特定の化合物は、「非溶媒和」形、並びに「水和」形を含む「溶媒和」形を成して存在している。一般に、溶媒和形は非溶媒和形と等価であり、両方とも本発明の範囲に含まれる。本発明の或る化合物は、多結晶形又は非晶質形を成して存在していてよい。一般に、全ての物理的形態を、ここで考えられた方法において使用することができ、これらの形態は本発明の範囲内に含まれるものとする。「化合物、又は化合物の医薬的に許容される塩、水和物、多形体、又は溶媒和物」という表現は、これらの状態のうちの1つ又は2つ以上で存在する材料を含むものとする。
【0082】
本明細書中で使用される「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、及びリン(P)を含む。
【0083】
「ヘテロアルキル」という用語はそれ自体で、又は別の用語との組み合わせで、特に断りがない限り、定められた数の炭素原子と、O、N、Si、B、P及びSから成る群から選択された少なくとも1つのヘテロ原子とから成る、安定した直鎖又は分枝鎖、又は環状炭化水素基、又はこれらの組み合わせを意味し、そしてこの場合、窒素及び硫黄原子は任意には酸化することができ、窒素ヘテロ原子は任意には四級化することができる。ヘテロ原子O、N、S、B、P及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、又はアルキル基が分子の残りに付着される位置に位置することができる。一例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、Si(CH33、−CH2−CH=N−OCH3、及び−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。最大2つのヘテロ原子が、例えばCH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH33のように連続することができる。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語も、それ自体で、又は別の置換基の部分として、一例を挙げるならば−CH2−CH2−S−CH2−CH2及びCH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−によって示されるような、ヘテロアルキルから誘導される二価基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子が、鎖末端のいずれか又は両方を占めることもできる(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、及びアルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン連結基及びヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の式が書かれている方向によって、アルキレン及びヘテロアルキレンに対する連結基の配向は暗示されない。例えば、式−CO2R’−は、−C(O)OR’及び−OC(O)R’の両方を表す。
【0084】
「シクロアルキル」又は「炭素環」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語はこれら自体で、又は別の用語との組み合わせで、特に断りがない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状変更形を意味する。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は環内の任意の位置を占める。「シクロアルキル」、「炭素環」及び「ヘテロシクロアルキル」置換基は分子の残りに、直接に又はリンカーを介して付着することができる。リンカーは例えばアルキルである。シクロアルキルの一例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ノルボルナニル、及びノルボルネンなどが挙げられる。本明細書中に使用される「炭素環」という用語は、任意の完全飽和環構造を意味し、その一例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルなどが挙げられ、これらの単環、二環、三環形も含まれる。ヘテロシクロアルキルの一例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、及び2−ピペラジニルなどが挙げられる。
【0085】
本明細書中に使用される「C環修飾型三環式ベンゾナフチリジン」という用語は、下記構造配置:
【0086】
【化3】

【0087】
によって示されるベンゾナフチリジン骨格に付加された第三の環を意味し、
上記式中、C環は任意には置換されていてよく、そしてサイズが4から7員まで変化してよく、これらのうちのそれぞれの員は炭素又はヘテロ原子であってよい。
【0088】
特に断りがない限り、「ハロ」及び「ハロゲン」という用語はこれら自体で、又は別の置換基の部分として、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むものとする。例えばハロ(C1−C4)アルキルという用語は、例えばトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、及び3−ブロモプロピルなどを含むものとする。
【0089】
本明細書中に含まれる、合成に利用される試薬は、特に断りのない限り、下記意味を有している:「S−Phos」は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルであり;「Pd(OAc)2」は酢酸パラジウム(II)であり;「K2CO3」は炭酸カリウムであり;「KOH」は水酸化カリウムであり;「X−Phos」は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルであり;「NaOtBu」はナトリウムtert−ブトキシドであり;そして「t−BuOH」はtert−ブチルヒドロキシドである。
【0090】
本発明の或る特定の化合物は、非対称の炭素原子(光心)又は二重結合を有しており、ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、及び個々の異性体が本発明の範囲内に含まれる。光学活性の(R)−及び(S)−異性体は、キラル・シントン又はキラル試薬を使用して調製し、或いは慣用的な技術を用いて分解することができる。本明細書中に記載された化合物がオレフィン二重結合、又は幾何学的非対称の他の中心を含有するときには、そして特に断りのない場合には、化合物はE及びZ幾何異性体を含むものとする。同様に、全ての互変異性体も含まれる。
【0091】
本明細書中に使用される「宿主」又は「これを必要とする患者」という用語は、任意の哺乳類種、例えば霊長類種、具体的にはヒト;齧歯類;ウサギ;馬、牛、羊、犬、猫などであってよい。動物モデルは、獣医学の治療及び実験的研究にとって重要であり、ヒトの疾患の治療のためのモデルを提供する。
【0092】
化合物の「治療的に有効量」とは、投与すると、これを必要とする宿主又は患者において所望の有益な結果をもたらす化合物量を意味する。この量は例えば宿主の年齢及び体重、治療を必要とする正確な疾患状態、及びその重症度、製剤の性質、及び投与方法を含む数多くのファクターに依存し、そして最終的には、医師又は獣医によって決定される。腫瘍性成長の治療のための本発明による化合物の有効量は、例えば、1日当たり、宿主受容者の体重1kg当たり0.1〜100mg/kg/日である。より具体的には、1日当たり体重1kg当たり1〜10mg/kg/日である。こうして、70kgの成体哺乳動物に対する1日当たりの実際量は、通常70〜700mgであり、この量は1日当たり単回の投与として投与することができ、或いは一連の部分投与、例えば1日当たり2、3、4、5又は6回の投与を行って、1日の総投与量が同じになるようにすることもできる。塩又は溶媒和物又はその生理的機能性誘導体の有効量は、本発明による化合物自体の有効量の一部として決定することができる。同様の投与が、上述の他の状態の治療にも適していると想定することができる。
【0093】
いかなる薬物投与量も、特定の化合物活性物質、特定の疾患、患者の状態などに依存する。治療投与量は典型的には、患者の生存能力が維持された状態で、標的組織内の不所望の細胞個体数を低減するようなレベルで十分であると考えられる。治療は一般に、細胞個体数の低減が発生するまで、例えば細胞負荷量が最小約50%低減するまで続けられ、そして体内で不所望な細胞がもはや事実上検出されなくなるまで、続けられてもよい。
【0094】
III. 医薬組成物、投与量、及び投与経路
本発明の化合物は生の化学物質として投与することができるが、これらの化合物を医薬組成物として提供することが好ましい。従って、本発明の1態様は、式I化合物又は医薬的に許容し得るその塩、水和物又は溶媒和物を、医薬的に許容し得る1種又は2種以上の担体及び任意には1種又は2種以上の他の治療成分と一緒に含む、医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、またその受容体に有害ではないという意味で「許容される」。「医薬的に許容し得る担体」という用語は、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、及び、医薬製剤中に組み込むのに適したその他の要素を含む。
【0095】
式I化合物を含有する医薬組成物は、単位投与形態で好都合に提供し、製薬分野でよく知られた方法のうちのいずれかによって調製することができる。好ましい単位投与製剤は、有効投与量、又はその適宜の一部の量の活性成分、又は医薬的に許容し得るその塩を含有する製剤である。予防又は治療のための投与量の規模は典型的には、治療されるべき状態の性質及び重症度、及び投与経路とともに変化する。投与量、そしておそらく投与頻度は、個々の患者の年齢、体重、及び反応に応じても変化することになる。一般に、一日総投与量は、単回投与又は数回に分割された投与の形で、1日当たり約0.1mg〜1日当たり約7000mg、好ましくは1日当たり約1mg〜1日当たり約100mg、より好ましくは1日当たり約25mg〜1日当たり約50mgである。好ましい投与単位製剤は、上記のような一日投与量又は部分投与量、又は相応の一部の量の活性成分を含む製剤である。さらに、このタイプの医薬製剤は、製薬分野で概ね知られた方法を用いて調製することができる。いくつかの実施態様では、一日総投与量は、1日当たり約50mg〜1日当たり約500mg、好ましくは1日当たり約100mg〜1日当たり約500mgであってよい。通常、小児及び65歳を超える患者、及び腎臓又は肝臓の機能に障害がある患者は最初は少量を受容し、そして個体の反応及び/又は血中レベルに基づいて投与量を滴定することが推奨される。当業者には明らかなように、いくつかの事例では、これらの範囲外の投与量を用いることが必要な場合がある。さらに、臨床医又は治療担当医師は、個々の患者の反応と相俟って、どのように、そしていつ治療を中断、調節、又は終了するかを知っていることが重要である。
【0096】
医薬製剤は、任意の所期の好適な方法、例えば経口(口腔又は舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所(口腔、舌下又は経皮を含む)、膣又は非経口(皮下、筋内、静脈内又は皮内を含む)法による投与に適合させることができる。このような製剤は、例えば活性成分と賦形剤又はアジュバントと組み合わせることによって、医薬分野で知られている全ての方法を用いて調製することができる。
【0097】
経口投与のために適合された医薬製剤は、別個の単位、例えばカプセル又は錠剤、粉末又は顆粒;水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液;食用泡状物質又は泡状食品;又は水中油液体エマルジョン又は油中水液体エマルジョンとして投与することができる。活性成分はボーラス、舐剤又はペーストとして存在していてもよい。
【0098】
こうして、例えば、錠剤又はカプセルの形態の経口投与の場合、活性成分は、経口用、非毒性の、医薬的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、及び水などと組み合わせることができる。化合物を好適な微細なサイズに粉末化し、そしてこれを、同様に粉末化された医薬賦形剤、例えば食用炭水化物、例えば澱粉又はマンニトールと混合することにより、粉末が調製される。香味料、保存剤、分散剤及び色素が同様に存在していてもよい。
【0099】
上記のように粉末混合物を調製し、そして成形ゼラチン・シェルにこれを満たすことにより、カプセルが製造される。充填作業前に粉末混合物には、流動促進剤及び潤滑剤、例えば固形の高分散ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はポリエチレングリコールを添加することができる。カプセルを摂取した後、薬剤の効用を改善するために、崩壊剤又は可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムを同様に添加することもできる。
【0100】
加えて、所望の場合又は必要な場合、好適なバインダー、潤滑剤及び崩壊剤、並びに色素を混合物中に取り入れることもできる。好適なバインダーは、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース又はベータ−ラクトース、トウモロコシから作られた甘味剤、天然及び合成ゴム、例えばアカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びワックスなどを含む。これらの投与形態において使用される潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤の一例としては、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、及びキサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を用意し、混合物を顆粒化又は乾式プレスし、潤滑剤及び崩壊剤を添加し、そして混合物全体をプレスして錠剤をもたらすことにより製剤される。粉末混合物は、上記のように、好適な様式で粉末化された化合物を希釈剤又はベースと混合し、そして任意には、バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン又はポリビニル−ピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラジン、吸収促進剤、例えば第四級塩、及び/又は吸収剤、例えばベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムと混合することにより調製される。粉末混合物は、これをバインダー、例えばシロップ、澱粉ペースト、アカシアゴム、又はセルロース又はポリマー材料の溶液で湿潤し、これを、篩を通してプレスすることにより顆粒化することができる。顆粒化の代わりとして、粉末混合物を、打錠機を通して流動させ、不均一な形状の塊をもたらし、これらを粉砕して顆粒を形成することもできる。顆粒は、錠剤鋳型にくっつくのを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱物油を添加することにより潤滑することができる。潤滑された混合物を次いでプレスすることにより、錠剤を提供する。活性成分を自由流動性の不活性賦形剤と合体させ、次いでプレスすることにより、顆粒化工程又は乾式プレス工程を実施することなしに直接に錠剤を提供することもできる。シェラック・シーリング層から成る透明又は不透明保護層、糖又はポリマー材料から成る層、及びワックスから成る光沢層が存在していてよい。異なる投与単位同士を区別できるようにするために、これらのコーティングに色素を添加することができる。
【0101】
経口用液体、例えば溶液、シロップ及びエリキシル剤を投与単位形態で調製することができるので、所与の量が、予め指定された量の化合物を含む。シロップは、水溶液中に化合物を好適な香味剤とともに溶解することができるのに対して、エリキシル剤は、非毒性アルコール性ビヒクルを使用して調製される。懸濁液は非毒性ビヒクル中に式I化合物を分散させることにより製剤することができる。可溶化剤及び乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル、保存剤、香味添加剤、例えばペパーミント油又は天然甘味料又はサッカリン、又はその他の人工的な甘味剤などを同様に添加することもできる。
【0102】
経口投与用の投与単位製剤は、所望の場合にはマイクロカプセル内に封入することができる。この製剤は、例えば粒子状材料をポリマー、ワックスなどの中にコーティングするか又は埋め込むことにより、放出が延長又は遅延されるように調製することもできる。
【0103】
式I化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び生理学的機能性誘導体は、リポソーム送達システム、例えば小単層ベシクル、大単層ベシクル、及び多層ベシクルの形態で投与することもできる。リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンから形成することができる。
【0104】
式I化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び生理学的機能性誘導体は、化合物分子がカップリングされている個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。化合物は、ターゲット薬剤担体としての可溶性ポリマーにカップリングすることもできる。このようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール又はパルミトイル基によって置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含む。化合物はさらに、薬剤の制御放出を達成するのに適した生分解性ポリマーの類、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋型又は両親媒性のブロックコポリマーにカップリングされてもよい。
【0105】
経皮投与のために適合された医薬製剤は、受容者の表皮と広範囲に密接するために独立したプラスターとして投与することができる。従って、例えば活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般論として記載されているように、イオントフォレーゼによってプラスターから送達することができる。
【0106】
局所投与のために適合された医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレイ、エアロゾル又はオイルとして製剤することができる。
【0107】
眼又はその他の外部組織、例えば口腔及び皮膚を治療するために、製剤は好ましくは局所用軟膏又はクリームとして適用される。軟膏を投与するための製剤の場合、活性成分は、パラフィンベース又は水混和性クリームベースとともに採用することができる。或いは、活性成分は、水中油クリームベース又は油中水ベースを有するクリームを提供するように製剤することもできる。眼への局所適用のために適合された医薬製剤は、活性成分が好適な担体、具体的には水性溶媒中に溶解又は懸濁されている点眼剤を含む。
【0108】
口腔内の局所適用のために適合された医薬製剤は、キャンディ、トローチ、及びマウスウォッシュを含む。
【0109】
直腸投与のために適合された医薬製剤は、坐剤又は浣腸剤の形態で投与することができる。
【0110】
担体物質が固形である、鼻腔投与のために適合された医薬製剤は、粒度が例えば20〜500ミクロンの粗粉末を含み、これは鼻の近くに保持された、粉末を含有する容器から鼻道を介して素早く吸入することにより投与される。担体物質として液体を含む鼻腔スプレイ又は点鼻剤を投与するのに適した製剤は、水中又は油中の活性成分の溶液を含む。
【0111】
吸入による投与のために適合された医薬製剤は、微粒子状のダスト又はミストを含んでいる。これらのダスト又はミストは、種々のタイプのエアロゾルを含む加圧ディスペンサー、ネブライザー又は吸入器によって発生させることができる。
【0112】
膣投与のために適合された医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレイ製剤として投与することができる。
【0113】
非経口投与のために適合された医薬製剤は、製剤が治療されるべき受容者の血液と等張性にされる、抗酸化剤と緩衝剤と静菌剤と溶質とを含む水性及び非水性の滅菌注射液;及び、懸濁媒質と増粘剤とを含んでよい水性及び非水性の滅菌注射液を含んでいる。製剤は、単回投与又は複数回投与用容器、例えば密閉アンプル及びバイアルで投与し、そしてフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができるので、使用直前に滅菌担体液、例えば注射用水を加えるだけでよい。処方箋に従って調製される注射液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から、即席の注射溶液及び懸濁を調製することができる。直腸投与のための製剤は、通常の担体、例えばカカオバター又はポリエチレングリコールを有する坐剤として提供することができる。口腔内の局所投与、例えば口腔又は舌下投与のための製剤は、香味ベース、例えばスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含むキャンディと、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアのようなベース中に活性成分を含むトローチを含む。
【0114】
製剤は、特定タイプの製剤に関して技術分野において通常に用いられる他の物質を含んでいてもよい。このように、例えば、経口投与に適した製剤は香味剤を含んでいてよい。
【0115】
化合物又は組成物の製剤は、非経口(皮下、皮内、筋内、静脈内、腹膜及び関節内)、直腸、イオン導入、鼻腔内、吸入、及び経口(皮膚、口腔、舌下及び眼内を含む)投与に適した任意の形態を含む。最も好適な経路は、受容体の状態及び障害に依存する。全ての方法は、化合物又は医薬的に許容し得るその塩又は溶媒和物(「活性成分」)を、1種又は2種以上の付属成分を形成する医薬的に許容し得る担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液状担体又は微粉末固形担体又はその両方と均一且つ密接に会合させ、そして次いで、必要な場合、この製剤を所期生成物形状に成形することにより、調製される。経口用製剤は当業者によく知られており、これらの一般的な調製方法は、あらゆる標準的な製薬テキスト、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy., A. R. Gennaro編 (1995), Lippincottに見いだされる。
【0116】
本発明の1態様は、キット形態で販売されてよい医薬的活性物質を用いて疾患/状態を治療することを意図する。キットは、シリンジ、ボックス、及びバッグなどの内部に含有された本発明の化合物を含む。典型的には、キットは化合物の投与のための指示書を含む。キット形態は、種々異なる投与濃度及び/又は形態(例えば経口及び非経口)が販売される場合、又は、組み合わされた個々の成分の滴定が、処方した医師によって望まれる場合に特に有利である。
【0117】
このようなキットの一例はいわゆるブリスターパックである。ブリスターパックはパッケージング業界においてよく知られており、医薬単位投与形態(錠剤、カプセルなど)のパッケージングのために幅広く使用されている。これらは一般には、好ましくは透明のプラスチック材料フォイルでカバーされた比較的剛性の材料のシートから成っている。パッケージング過程中、プラスチック・フォイルに凹部が形成される。凹部は、パッケージングされるべき錠剤又はカプセルのサイズ及び形状を有している。錠剤又はカプセルを凹部内に置き、そして比較的剛性の材料のシートを、凹部が形成された方向とは反対側のフォイル面で、プラスチック・フォイルに対して密閉する。具体的な投与量情報が通常、それぞれのブリスターパック上にスタンプされる。
【0118】
本発明の別の特定の実施態様において、意図された使用の順序に従って、一日投与量を一回分ずつディスペンシングするように構成されたディスペンサーが提供される。
【0119】
IV. 治療又は予防の方法
別の態様の場合、本発明は、キナーゼ関連の機能不全、特に哺乳動物における血管形成、癌、腫瘍の形成、成長及び増殖、動脈硬化、眼疾患、例えば加齢による黄斑変性症、脈絡膜血管新生、及び糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性疾患、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶反応、代謝疾患、自己免疫疾患、血液病、肝硬変、糖尿病及び血管・免疫疾患から選択された一員である疾患又は状態を治療又は予防する方法を提供する。この方法は、これを必要とする患者に、治療的に有効量の式I化合物又は医薬的に許容し得るその塩、水和物、プロドラッグ、互変異性体、エナンチオマー、又はラセミ混合物を投与することを含む。
【0120】
本発明による治療対象は、上記状態に対する治療を必要とするヒト(患者)及びその他の哺乳動物を含む。
【0121】
本発明の化合物は、細胞分裂の阻害に関して独自の薬理学的特性を有しており、そして細胞内のSrcキナーゼ酵素の活性に影響を与える。従って、これらの化合物は、Srcキナーゼ活性によって変調された状態及び障害、特に癌関連の腫瘍及び障害を治療するのに効果的である。1実施態様において、本発明の化合物は、他の現行の治療基準と比較して副作用が軽減されることと関連する。
【0122】
本発明の化合物は典型的には、既知の抗癌薬よりも選択性が高く、或る特定のタンパク質キナーゼ活性を阻害するためのより高い選択性を示す。化合物はまた、良好な生体利用性を含む有利な活性プロフィールを示す。従って、本発明の化合物は、調節されていない又はかく乱されたタンパク質キナーゼ活性と関連する障害を治療するための数多くの従来より周知の方法を凌ぐ利点をもたらす。
【0123】
本明細書中で定義した抗癌治療は、単独療法として適用されてよく、或いは、本発明の化合物に加えて、コンベンショナルな外科的手術又は放射線療法又は化学療法を伴ってよい。このような化学療法は、抗腫瘍薬の下記カテゴリーのうちの1つ又は2つ以上を含んでよい:
(i)内科的腫瘍学において使用されるような、抗増殖/抗腫瘍/DNA損傷剤及びこれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばcis−プラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナオトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン及びニトロソウレア;抗代謝剤、例えば抗葉酸剤(例えばフルオロピリミジン、例えば5−フルオロウラシル及びテガフル)、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア及びゲムシタビン;抗腫瘍抗生物質、例えばアントラサイクリン(例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン及びミトラマイシン;抗有糸分裂剤、例えばビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)、及びタクソイド(例えばタキソール及びタキソテール);トポイソメラーゼ阻害剤、例えばエピポドフィロトキシン(例えばエトポシド及びテニポシド)、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン及びカンプトセシン;及び細胞分化剤、例えばオールトランス・レチノイン酸、13−cis−レチノイン酸及びフェンレチニド;
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びヨードキシフェン;エストロゲン受容体ダウンレギュレーター、例えばフルベストラント;抗アンドロゲン剤、例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド及びシプロテロン酢酸塩;LHRHアンタゴニスト又はLHRHアゴニスト、例えばゴセレリン、ロイプロレリン及びブセレリン;プロゲステロン、例えばメゲストロール酢酸塩;アロマターゼ阻害剤、例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール及びエキセメスタン;及び5’−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
(iii)癌細胞浸潤を阻害する物質、例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤(例えばマリマスタート)、ウロキナーゼ・プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤;
(iv)成長因子機能の阻害剤、例えば成長因子抗体、成長因子受容体抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(商標)]及び抗erbb1抗体セツキシマブ[C225];ファルネシル・トランスフェラーゼ阻害剤、セリン/トレオニン・キナーゼ阻害剤及びセリン/トレオニン・キナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子群の阻害剤、例えばEGFR群セリン/トレオニン・キナーゼ阻害剤(例えばN(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N(3−エチニルフェニル)−6,7ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI-744)及び6アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033);血小板由来成長因子群の阻害剤;及び肝細胞成長因子群の阻害剤;
(v)抗血管新生剤、例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの、例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(商標)];
国際公開第97/22596号、同第97/30035号、同第97/32856号、及び同第98/13354号の各パンフレットに開示されているような化合物、及び他のメカニズムによって働く化合物(例えばリノミド、インテグリン機能の阻害剤、及びアンギオスタチン);
(vi)血管損傷剤、例えばコムブレタスタチンA4及び国際公開第99/02166号、同第00/40529号、同第00/41669号、同第01/92224号、同第02/04434号、及び同第02/08213号の各パンフレットに開示された化合物;
(vii)アンチセンス療法、例えば上記のものを標的としたもの、例えばISIS 2503、抗Rasアンチセンス;
(viii)遺伝子療法アプローチ、例えば異常遺伝子、例えば異常p53又は異常BRCA1又はBRCA2の置換アプローチ;遺伝子指向酵素プロドラッグ療法(GDEPT)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ又は細菌性ニトロレダクターゼ;及び化学療法又は放射線療法に対する患者の耐容度の増大、例えば多剤耐性遺伝子療法;及び
(ix)免疫療法、例えば患者の腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivo及びin-vivoアプローチ、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子によるトランスフェクション;T細胞アネルギーを低減するためのアプローチ、トランスフェクトされた免疫細胞、例えばサイトカインでトランスフェクトされた樹状細胞を使用したアプローチ;サイトカインでトランスフェクトされた腫瘍細胞系を使用したアプローチ;及び抗イディオタイプ抗体を使用したアプローチ。
【0124】
下記表1の薬剤は、専らというわけではないが、式I化合物と組み合わされることが好ましい。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【0131】
個々の治療成分を同時に、又は連続して、又は別々にディスペンシングすることにより、このタイプの併用治療を達成することができる。このタイプの組み合わせ生成物は、本発明による化合物を採用する。
【0132】
V.一般的な合成
本発明の組成物は一般に、類似の化合物を合成するための当業者に知られた方法によって調製される。これらは下記一般スキーム、及び下記調製例によって示されている。ほとんどの出発材料は、例えばAldrich Chemicals Co. 又はSigma Chemical Companyのような供給会社から商業的に入手することができる。商業的に入手できない化合物は、 “Organic Reactions”, 第1-40巻, John Wiley & Sons (1991); “Rodd's Chemistry of Carbon Compounds”,第1-5巻及び補足、Eleservier Science Publishers (1989); “Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis”, 第1-15巻, John Wiley & Sons (1991); “Advanced Organic Chemistry”, Jerry March, John Wiley & Sons, 第4版 (1992); Luecking他, ChemMedChem 2007, 2, 63-77; 及びNicolaou他, Agew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 4490-4527のような参考文献に記載された下記手順によって当業者により合成されてよい。本発明の全ての化合物は、発明者によって開発されたプロセスによって合成した。
【0133】
下記スキームは、本発明の化合物のための一般的な合成を示している。
【0134】
【化4】

【0135】
【化5】

【0136】
【化6】

【0137】
【化7】

【0138】
VI. 例
例1(中間体)
【0139】
【化8】

【0140】
2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−シクロヘキス−1−エンカルボン酸エチル(1)
水素化ナトリウム(1.35g,33.9mmol)のジエチルエーテル(150mL)中の懸濁液に、エチル2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート(5.00g,29.4mmol)のジエチルエーテル(30mL)溶液を液滴状に添加した。2時間にわたって室温で攪拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(5.7mL,33.8mmol)を液滴状に添加し、そして反応混合物を16時間にわたって室温で攪拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム(200mL)で急冷し、そして生成物をエーテル(3x100mL)で抽出した。合体させたエーテル抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮することにより化合物(1)を提供した。これをさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0141】
例2(中間体)
【0142】
【化9】

【0143】
エチル2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロへキシ−1−エン−1−カルボキシレート(2)
例(1)の化合物(6.50g,21.5mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(6.01g,23.6mmol)、ジクロロ[ビス(トリフェニルホスホラニル)]パラジウム(1.51g,2.1mool)、トリフェニルホスフィン(1.13g,4.3mmol)、及びK2CO3(5.94g,43.0mmol)をジオキサン中で懸濁させ、そして100℃で一晩にわたって攪拌した。室温まで冷却した後、反応物を濃縮し、エーテル及び水を添加し、そして混合物をエーテルで抽出した。合体させたエーテル抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。粗生成物をシリカゲル・クロマトグラフィを介して精製することにより化合物(2)(1.8g,収率16%−2ステップ)を無色の油として提供した。LC−MS(M+H=281,観測値=281)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.32(t,J=3.6Hz,3H),1.33(s,12H),1.55(m,4H),2.20(m,4H),4.18(q,J=3.6Hz,2H)。
【0144】
例3
【0145】
【化10】

【0146】
1−クロロ−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(3)
4−クロロ−3−ヨードピリジン−2−アミン(1.40g,5.50mmol)、2(1.70g;6.05mmol)、Pd(OAc)2(0.12g、0.55mmol)、S−Phos(0.45g,1.10mmol)、及びK2CO3(1.52g,11.00mmol)をジオキサン/水(8mL/1mL)中に懸濁させ、そして100℃で一晩にわたって攪拌した。室温まで冷却した後、混合物を氷水中に注いだ。結果として生じた析出物を濾過し、水及びEtOAcで洗浄し、そして真空下で乾燥させることにより、化合物(3)(600mg,収率46%)を提供した。LC−MS(M+H=235,観測値=235)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.70(m,4H),3.18(m,2H),3.65(m,2H),7.32(d,J=7.6Hz,1H),8.31(d,J=7.6Hz,1H)。
【0147】
例4
【0148】
【化11】

【0149】
1−(5−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソル−4−イルアミノ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(4)
例3の化合物(100mg、0.37mmol)、5−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソル−4−イルアミン(95mg、0.55mmol)、Pd(OAc)2(4mg、0.02mmol)、X−Phos(18mg,0.04mmol)、及びNaOtBu(106mg,1.11mmol)をジオキサン(2.0mL)中に懸濁させ、そして100℃で一晩にわたって攪拌した。反応混合物をEtOAc/H2Oで希釈した。結果として生じた析出物を濾過し、EtOAcで洗浄し、そして真空下で乾燥させることにより、化合物4(19mg,収率14%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=370,観測値=370)。
【0150】
例5
【0151】
【化12】

【0152】
N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(5)
例(3)の化合物(150.0mg、0.64mmol)をエーテル(5mL)及びHCl(エーテル中1.28mL;1.00M;1.28mmol)中に懸濁させ、そして混合物を室温で2時間にわたって攪拌した。反応混合物を濃縮し、そしてNMP(2mL)中に再懸濁させた。N−(4−アミノフェニル)ベンズアミド(163mg,0.77mmol)を添加し、そして反応混合物を150℃で3時間にわたって攪拌した。室温まで冷却した後、水を添加した。結果として生じた析出物を濾過し、水及びMeOHで洗浄し、そして真空下で乾燥させることにより、化合物(5)(70mg,収率27%)を提供した。LC−MS(M+H=411,観測値=411)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.70(m,4H),1.64(m,2H),1.71(m,2H),2.67(m,2H),3.13(m,2H),6.81(m,1H),7.1879(m,1H),7.74(m,2H),7.76(m,1H),7.97(m,1H),8.03(m,1H),10.25(s,1H),11.67(s,1H)。
【0153】
例6
【0154】
【化13】

【0155】
4−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−1−ベンズアミド(6)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=497,観測値=497)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.67(m,2H),1.73(m,2H),2.50(m,2H),3.19(m,2H),6.77(m,1H),7.28(m,2H),7.73(m,2H),7.78(m,2H),8.04(m,1H),8.58(s,1H),10.64(s,1H)。
【0156】
例7
【0157】
【化14】

【0158】
2,3−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(7)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=447,観測値=447)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.68(m,2H),1.73(m,2H),2.51(m,2H),3.20(m,2H),6.77(d,J=8.1Hz,2H),7.27(d,J=8.1Hz,2H),7.32(m,1H),7.49(m,1H),7.64(m,1H),7.78(d,J=8.0Hz,2H),8.03(d,J=8.0Hz,2H),8.59(s,1H),10.63(s,1H)。
【0159】
例8
【0160】
【化15】

【0161】
3,4−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(8)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=447,観測値=447)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.67(m,2H),1.73(m,2H),2.53(m,2H),3.20(m,2H),6.77(m,1H),7.28(m,2H),7.64(m,1H),7.82(m,1H),7.91(m,1H),8.06(m,2H),8.68(s,1H),10.41(s,1H)。
【0162】
例9
【0163】
【化16】

【0164】
3,5−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(9)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=447,観測値=447)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.67(m,2H),1.74(m,2H),2.51(m,2H),3.19(m,2H),6.77(m,1H),7.28(m,2H),7.54(m,1H),7.71(m,1H),7.79(m,1H),8.05(m,2H),8.59(s,1H),10.44(s,1H)。
【0165】
例10
【0166】
【化17】

【0167】
4−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(10)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=429,観測値=429)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.66(m,2H),1.73(m,2H),2.53(m,2H),3.19(m,2H),6.77(m,1H),7.32(m,2H),7.41(m,2H),7.81(m,2H),8.05(m,2H),8.68(s,1H),10.35(s,1H)。
【0168】
例11
【0169】
【化18】

【0170】
2−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(11)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=497,観測値=497)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.67(m,2H),1.73(m,2H),2.53(m,2H),3.20(m,2H),6.77(m,1H),7.28(m,2H),7.56(m,1H),7.76(m,2H),7.92−8.06(m,3H),8.48(s,1H),10.70(s,1H)。
【0171】
例12
【0172】
【化19】

【0173】
3,5−ジクロロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(12)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=479,観測値=479)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.67(m,2H),1.73(m,2H),2.53(m,2H),3.20(m,2H),6.78(m,1H),7.27(m,1H),7.78(m,2H),7.89(s,1H),7.99(m,2H),8.05(m,1H),10.48(s,1H)。
【0174】
例13
【0175】
【化20】

【0176】
2,6−ジクロロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド(13)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=479,観測値=479)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.66(m,2H),1.71(m,2H),2.53(m,2H),3.16(m,2H),6.82(m,1H),7.24(m,2H),7.53(m,1H),7.58(m,2H),7.68(s,2H),8.05(m,1H),10.74(s,1H)。
【0177】
例14
【0178】
【化21】

【0179】
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(14)
標題化合物を、例1の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。
【0180】
例15
【0181】
【化22】

【0182】
5−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(15)
標題化合物を、例1の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。
【0183】
例16
【0184】
【化23】

【0185】
1−ベンジル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル(16)
標題化合物を、例1の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。
【0186】
例17
【0187】
【化24】

【0188】
1−ベンジル−5−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸エチルエステル(17)
標題化合物を、例1の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。
【0189】
例18
【0190】
【化25】

【0191】
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3]ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(18)
標題化合物を、例2の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=382,観測値=382)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.22(t,3H),1.24(s,12H),1.44(s,9H),2.33(m,2H),3.45(m,2H),4.10(m,2H),4.21(q,2H)。
【0192】
例19
【0193】
【化26】

【0194】
5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル4−エチルエステル(19)
標題化合物を、例2の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=382,観測値=382)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.22(t,3H),1.24(s,12H),1.44(s,9H),2.33(m,2H),3.45(m,2H),4.10(m,2H),4.21(q,2H)。
【0195】
例20
【0196】
【化27】

【0197】
1−ベンジル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル(20)
標題化合物を、例2の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=372,観測値=372)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.22(t,3H),1.32(s,12H),2.34(m,1H),2.50(m,1H),3.21(m,2H),3.62(m,2H),3.62(s,2H),4.17(q,2H),7.33(m,5H)。
【0198】
例21
【0199】
【化28】

【0200】
1−ベンジル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸エチルエステル(21)
標題化合物を、例2の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=372,観測値=372)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.25(t,3H),1.32(s,12H),2.42(m,2H),2.61(m,2H),3.14(s,2H),3.62(s,2H),4.17(q,2H),7.33(m,5H)。
【0201】
例22
【0202】
【化29】

【0203】
4−クロロ−9−オキソ−5,8,9,10−テトラヒドロ−6H−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−7−カルボン酸tert−ブチルエステル(22)
標題化合物を、例3の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=336,観測値=336)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.44(s,9H),3.29(m,2H),3.50(m,2H),4.28(s,2H),7.36(d,1H),8.38(d,1H)。
【0204】
例23
【0205】
【化30】

【0206】
4−クロロ−9−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−1,6,10−トリアザ−フェナントレン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル(23)
標題化合物を、例3の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=336,観測値=336)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.43(s,9H),3.39(m,2H),3.68(m,2H),4.98(s,2H),7.38(d,1H),8.35(d,1H)。
【0207】
例24
【0208】
【化31】

【0209】
4−フルオロ−N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド(24)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=498,観測値=498)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.31(m,2H),3.47(m,2H),4.04(s,2H),6.79(m,1H),6.99(m,2H),7.68(m,2H),7.80(m,2H),8.14(m,1H),8.31(s,1H),9.14(br,2H),10.59(s,1H)。
【0210】
例25
【0211】
【化32】

【0212】
4−フルオロ−N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(25)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=430,観測値=430)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.31(m,2H),3.47(m,2H),4.04(s,2H),6.80(m,1H),7.19(m,3H),7.37(m,3H),7.78(m,2H),8.05(m,2H),8.14(m,1H),8.21(s,1H),9.18(br,2H),10.59(s,1H)。
【0213】
例26
【0214】
【化33】

【0215】
3,4−ジフルオロ−N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(26)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=448,観測値=448)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.30(m,2H),3.49(m,2H),4.04(s,2H),6.79(d,1H),7.19(d,2H),7.77(m,4H),8.14(m,1H),8.24(s,1H),9.04(br,2H),10.34(s,1H)。
【0216】
例27
【0217】
【化34】

【0218】
N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(27)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=412,観測値=412)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.31(m,2H),3.46(m,2H),4.14(s,2H),6.79(d,1H),7.19(d,2H),7.56(m,4H),7.78(d,2H),7.95(d,2H),8.15(d,1H),9.06(br,2H),10.28(s,1H)。
【0219】
例28
【0220】
【化35】

【0221】
N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,6,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(28)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=412,観測値=412)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.35(m,2H),3.65(m,2H),4.12(s,2H),6.99(d,1H),7.20(d,2H),7.57(m,4H),7.77(d,2H),7.80(d,2H),8.12(d,1H),9.01(br,2H),10.16(s,1H)。
【0222】
例29
【0223】
【化36】

【0224】
N−[4−(7−ベンジル−9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(29)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=502,観測値=502)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.27(m,2H),3.57(m,2H),4.14(m,2H),4.53(s,2H),6.79(d,1H),7.17(d,2H),7.59(m,7H),7.79(d,2H),7.96(d,2H),8.15(d,1H),8.21(s,1H),10.29(s,1H)。
【0225】
例30
【0226】
【化37】

【0227】
4−フルオロ−N−[4−(7−ベンジル−9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド(30)
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(M+H=588,観測値=588)。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ3.27(m,2H),3.57(m,2H),4.14(m,2H),4.53(s,2H),6.79(d,1H),7.17(d,2H),7.51(m,7H),7.67(d,2H),7.86(d,2H),8.13(d,1H),8.16(s,1H),10.59(s,1H)。
【0228】
例31
【0229】
【化38】

【0230】
9−クロロ−2−トリチル−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−4(5H)−オン(31)
メチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トリチル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(1165mg,2.36mmol)、4−クロロ−3−ヨードピリジン−2−アミン(600mg,2.36mmol)、Pd(OAc)2(37mg、0.17mmol)、及びS−Phos(135mg,0.33mmol)を20ml密閉管内に入れた。ジオキサン(2mL)及び水性K2CO3(1.72mL,2.0M)を添加し、そして反応混合物を130℃で3時間にわたって攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、そして析出物を濾過した。析出物をEtOAc、水、及びメタノールで洗浄することにより、31(828mg、収率76%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+Na=485,観測値=485)。
【0231】
例32
【0232】
【化39】

【0233】
9−クロロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−4(5H)−オン(32)
例31の化合物(800mg,1.73mol)のアセトン(12mL)中の懸濁溶液に、ジオキサン中の4.0M HCl(2.5mL,10.37mmol)を添加した。反応混合物を35℃で一晩にわたって攪拌した。結果として生じた析出物を濾過し、アセトンで洗浄することにより、32(400mg,収率100%)を黄色生成物として提供した。LC−MS(M+H=221,観測値=221)。
【0234】
例33
【0235】
【化40】

【0236】
N−(4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)フェニル)ベンズアミド(33)
例31の化合物(80mg,0.36mmol)、N−(4−アミノフェニル)−ベンズアミド(114mg,0.38mmol)、NMP(1mL)、及びジオキサン中の4.0M HCl(90μl,0.36mmol)を、密閉管容器に添加した。管を30分間にわたって130℃のマイクロ波中に置いた。粗反応混合物をHPLCによって精製することにより、33(11mg、収率6%)を黄色固形物として提供した。LC−MS(M+H=397,観測値=397)。
【0237】
例34
【0238】
【化41】

【0239】
4−フルオロ−N−(4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)フェニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(34)
例31の化合物(300mg、1.36mmol)、N−(4−アミノフェニル)−4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(425mg,1.43mmol)、及びHCl(ジオキサン中4.0M)(272μl、2.72mmol)をNMP(8.0mL)中に溶解し、150℃で3時間にわたって攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水性NaHCO3 aq(100mL)中に注いだ。結果として生じた析出物を濾過し、そして真空下で乾燥させることにより34(450mg)を褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=483,観測値=483)。
【0240】
例35
【0241】
【化42】

【0242】
9−クロロ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(35)
アルゴン下のTHF(50mL)中のジイソプロピルアミン(2.72g,3.77mL,26.9mmol)の溶液に、塩化エチルマグネシウム(THF中の2M溶液、12.8mL,25.6mmol)を添加した。溶液を室温で24時間にわたってアルゴン下で攪拌した。エチル3−フロエート(1.8g,1.73mL,12.8mmol)をゆっくりと添加し、有色溶液を15分間にわたって室温で攪拌した。塩化トリブチル錫(10.8g,9.0mL,33.3mmol)を添加し、そして混合物を室温で2時間にわたってアルゴン下で攪拌した。飽和NH4Cl溶液を添加することにより反応物を急冷し、これをH2Oで希釈し、そしてCH2Cl2で2回抽出した。合体させた抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、そして減圧下で溶媒を除去した。シリカ上のクロマトグラフィ(ヘプタン中0−10% EtOAc)により粗混合物を精製することにより、錫中間体(2.36g,43%)を淡黄色の油として提供した。1H NMR (400 MHz,CDCl3)δppm 0.89(t,J=7.30Hz,9H)1.17(t,J=2.15Hz,6H)1.25−1.35(m,6H)1.36(t,J=7.13Hz,3H)1.51−1.60(m,6H)4.31(q,J=7.13Hz,2H)6.74(d,J=1.71Hz,1H)7.66(d,J=1.76Hz,1H)。
2−アミノ−4−クロロ−3−ヨードピリジン(1.0g,3.93mmol)、上記の錫中間体(2.02g,4.72mmol)、及びPd(Ph34(0.45g、0.39mmol)を乾燥ジオキサン(10mL)中で懸濁させ、そしてマイクロ波(出力200W、最大温度150℃)中で3時間にわたって加熱した。形成された析出物を濾過によって捕集し、乾燥させることにより35(234mg,27%)を白色固形物として乾燥させた。LC−MS(M+H=221,観測値=221)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 7.17(d,J=2.00Hz,1H)7.47(d,J=5.32Hz,1H)8.25(d,J=2.00Hz,1H)8.45(d,J=5.27Hz,1H)12.39(s,1H)。
【0243】
例36
【0244】
【化43】

【0245】
N−[4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)−フェニル]ベンズアミド(36)
9−クロロ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(80mg,0.36mmol)及び4’−アミノベンズアニリド(0.39g,1.81mmol)を合体させ、マイクロ波(250w,150℃)中で1時間にわたって加熱した。粗材料をセライト(Celite)上に吸収し、シリカ上のクロマトグラフィ(CH2Cl2中0−10% メタノール)により精製することにより、36(7mg,5%)を黄色の油として提供した。LC−MS(M+H=397,観測値=397)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 5.16(s,1H)6.61−6.67(m,1H)6.70(d,J=5.86Hz,1H)7.00−7.05(m,1H)7.12(d,J=2.00Hz,1H)7.41(s,1H)7.55(s,2H)7.86(d,J=8.83Hz,1H)7.96(s,2H)8.05−8.11(m,1H)8.12(d,J=2.00Hz,1H)8.45(s,1H)10.33(s,1H)11.82(s,1H)。
【0246】
例37
【0247】
【化44】

【0248】
9−フェニルアミノ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(37)
9−クロロ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(80mg,0.36mmol)、アニリン(0.51mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(17mg,0.02mmol)、X−phos(35mg,0.07mmol)、及びK2CO3(100mg,0.73mmol)を無水t−ブタノール(3mL)中のアルゴン下で合体させ、加熱することにより16時間にわたって還流させた。粗混合物をCH2Cl2及びMeOHで希釈し、セライト(Celite)上に吸収し、そしてシリカ上のクロマトグラフィ(CH2Cl2中0−5% MeOH)により精製することによって、37(20mg,20%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+H=278,観測値=278)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 6.77(d,J=5.81Hz,1H)7.12(d,J=2.05Hz,1H)7.17−7.23(m,1H)7.38−7.47(m,4H)8.10(d,J=5.81Hz,1H)8.12(d,J=2.00Hz,1H)8.50(s,1H)11.85(s,1H)。
【0249】
例38
【0250】
【化45】

【0251】
9−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(38)
標題化合物を、例37の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより38(収率18%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+H=308,観測値=308)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 3.79(s,3H)6.49(d,J=5.91Hz,1H)7.00−7.05(m,2H)7.11(d,J=2.05Hz,1H)7.30−7.35(m,2H)8.03(d,J=5.86Hz,1H)8.10(d,J=2.05Hz,1H)8.33(s,1H)11.79(s,1H)。
【0252】
例39
【0253】
【化46】

【0254】
9−(4−クロロ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(39)
標題化合物を、例37の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより39(収率12%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+H=312,観測値=312)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 6.79(d,J=5.81Hz,1H)7.12(d,J=2.00Hz,1H)7.42(d,J=6.64Hz,2H)7.45−7.50(m,2H)8.13(d,J=1.90Hz,2H)8.59(s,1H)11.87(br.s.,1H)。
【0255】
例40
【0256】
【化47】

【0257】
9−(3−メトキシ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(40)
標題化合物を、例37の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより40(収率28%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+H=308,観測値=308)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 3.77(s,3H)6.73−6.80(m,1H)6.85(d,J=5.86Hz,1H)6.99(d,J=1.46Hz,2H)7.12(d,J=2.00Hz,1H)7.29−7.37(m,1H)8.11(d,J=5.81Hz,1H)8.13(d,J=2.05Hz,1H)8.48(s,1H)11.85(s,1H)。
【0258】
例41
【0259】
【化48】

【0260】
9−(3−クロロ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(41)
標題化合物を、例37の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより41(収率18%)を白色固形物として提供した。LC−MS(M+H=312,観測値=312)。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 6.88(d,J=5.81Hz,1H)7.12(d,J=2.00Hz,1H)7.20(ddd,J=7.78,1.95,1.10Hz,1H)7.38(d,J=1.85Hz,1H)7.42(d,J=7.86Hz,1H)7.47(t,J=1.98Hz,1H)8.13(d,J=2.00Hz,1H)8.16(d,J=5.81Hz,1H)8.66(s,1H)11.90(s,1H)。
【0261】
例42
【0262】
【化49】

【0263】
5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(42)
3−フロ酸(2.5g,22.3mmol)、塩化チオニル(7.22ml,0.0992mole)及びトルエンを合体させ、2.5時間にわたって70℃まで加熱した。混合物を濃縮し、次いでCH2Cl2(44mL)中に再懸濁させ、そして0℃まで冷却した。2−アミノ−3−ブロモピリジン(5.13g,29.6mmol)及びトリエチルアミン(3.07g,30.3mmol)を添加し、そして混合物を室温で一晩にわたって撹拌した。反応物を5% HCl(40mL)で急冷し、そして生成物をEtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。ヘプタン/EtOAc(7/3)で溶離するシリカゲル・クロマトグラフィによって、粗生成物を精製することにより、フラン−3−カルボン酸(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−(フラン−3−カルボニル)アミド(1.14g)を黄色固形物として提供した。
フラン−3−カルボン酸(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−(フラン−3−カルボニル)アミド(180mg,0.50mmol)、トリストリフェニルホスフィンパラジウム(58mg,0.05mmol)、酢酸カリウム(75mg,0.77mmol)及びジメチルアセトアミド(4mL)を10ml マイクロ波管内で合体させ、そして140℃及び300Wで30分間にわたって加熱した。混合物を1:1 ブライン:水(15mL)中に注ぎ、エーテル(3x10mL)で抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。ヘプタン/EtOAc(1:1)で溶離するシリカゲル・クロマトグラフィによって、粗生成物を精製することにより、42を提供した。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)δppm 7.11(d)7.34(dd)8.16(d)8.33(s)8.55(dd)12.12(br.s.)。
【0264】
例43
【0265】
【化50】

【0266】
2−ブロモ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(43)
5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(167mg,0.897mmol)、NBS(160mg,0.897mmol)及びDMF(2.6ml)を合体させ、そして60℃で1.5時間にわたって加熱した。反応混合物をH2O(20ml)中に注いだ。結果として生じた析出物を濾過し、H2Oで洗浄し、そして真空下で乾燥させることにより、43(183mg,収率77%)を提供した。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6)d ppm 7.28(s)7.34(dd)8.33(dt)8.56(dd)12.25(s)。
【0267】
例44
【0268】
【化51】

【0269】
5H−チエノ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン(44)
2−アミノ−3−ブロモピリジン(25g,14.4mmol)及び無水酢酸を合体させ、125℃で12時間にわたって、次いで室温で一晩にわたって攪拌した。混合物を濃縮し、そして残留物をエーテル(300mL)中に再溶解し、そして2N NaOH(5x100mL)で抽出した。水性抽出物のpHを濃HClでpH=7に調節し、そして生成物をCH2Cl2(5x100mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮することにより、N−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)アセトアミド(収率72%)をオフホワイト固形物として提供した。1H NMR (400 MHz,CDCl3)δppm 2.44(s)6.95(dd)7.87(dd)7.96(br.s.)8.34(dd)。
N−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)アセトアミド(12.25g,0.057mol)のTHF(100mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%,2.96g,0.0741モル)を窒素下でポーション状に添加した。水素発生が終了したら、THF(25ml)中のチオフェン−3−カルボニルクロリド(10.9g,0.0741モル)を液滴状に添加し、そして反応混合物を一晩にわたって室温で撹拌した。反応物をH2O(100mL)で急冷し、そしてCH2Cl2(2x100ml)で抽出した。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。ヘプタン/EtOAc(7:3)で溶離するシリカゲル・クロマトグラフィによって、粗生成物を精製することにより、チオフェン−3−カルボン酸アセチル−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−アミド(13.4g,収率72%)を白色固形物として提供した。1H NMR (400 MHz,CDCl3−d)d ppm 2.59(s)7.14−7.20(m)7.20−7.25(m)7.67(dd)7.95(dd)8.46(dd)。LC/MS(M+1)325。
チオフェン−3−カルボン酸アセチル−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−アミド(1.05g,3.22mmol)、トリストリフェニルホスフィンパラジウム(0.373g,0.32mmol)、酢酸カリウム(0.48g,4.84mmol)及びジメチルアセトアミド(32mL)を合体させ、そして100℃で12時間にわたって、次いで室温で週末にわたって加熱した。混合物を1:1 ブライン:H2O(50mL)中に注ぎ、エーテル(4x25mL)で抽出した。有機ポーションをMgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。MeOHと一緒に、次いで高温アセトニトリルと一緒に粉砕することにより、純粋な44を提供した。1H NMR (400 MHz,DMSO−d6):δppm 7.30(dd)7.62(d)7.87(d)8.32(dd)8.51(dd)12.11(br.s.)。
【0270】
例45
【0271】
【化52】

【0272】
1−(3−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(45)
標題化合物を、例4の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより、45(収率52%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=398,観測値=398)。
【0273】
例46
【0274】
【化53】

【0275】
1−(4−アミノ−フェノキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(46)
例3の化合物(500mg,2.13mmol)、4−アミノフェノール(465mg,4.26mmol)、及び炭酸セシウム(2.77g,8.52mmol)をDMF(20.0mL)中に懸濁させ、そしてマイクロ波中で30分間にわたって120℃で攪拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、結果として生じた析出物を濾過した。析出物をMeOHと一緒に粉砕し、濾過し、そして真空下で乾燥させることにより、46(350mg,収率54%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=308,観測値=308)。
【0276】
例47
【0277】
【化54】

【0278】
1−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イルオキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(47)
標題化合物を、例46の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより、47(収率65%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=350,観測値=350)。
【0279】
例48
【0280】
【化55】

【0281】
1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルオキシ)−フェニル]−アミド(48)
例46の化合物(40mg,0.13mmol)、1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸(45mg,0.20mmol)、DIEA(0.06mL,0.39mmol)、及びBop−Cl(66mg,0.26mmol)をジオキサン(2.0mL)中で検索させ、そして室温で一晩にわたって攪拌した。反応混合物をEtOAC/H2Oで希釈した。結果として生じた析出物を濾過し、H2Oで洗浄し、そして真空下で乾燥させることにより、48(45mg,収率66%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=523,観測値=523)。
【0282】
例49
【0283】
【化56】

【0284】
1−{4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イルオキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(49)
標題化合物を、例48の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより、49(収率51%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=565,観測値=565)。
【0285】
例50
【0286】
【化57】

【0287】
1−(キノリン−7−イルオキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン(50)
標題化合物を、例46の調製に関して記載した手順にしたがって合成することにより、50(収率5%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=344,観測値=344)。
【0288】
例51
【0289】
【化58】

【0290】
1−(5−tert−ブチル−2−m−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルオキシ)−フェニル]−尿素(51)
例46の化合物(50mg,0.16mmol)、(5−tert−ブチル−2−m−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(79mg,0.20mmol)、及びDIEA(0.08mL,0.49mmol)をDMSO(2.0mL)中に懸濁させ、そして60℃で一晩にわたって攪拌した。反応混合物をEtOAc/H2Oで希釈し、そしてExtrelutカラムを通して濾過した。カラムをEtOAcで洗浄し、そして濾液を濃縮した。そしてヘキサン中、25〜100%勾配のEtOAcで溶離するBiotageを介して、粗生成物を精製することにより、51(23mg,収率25%)を黄褐色の固形物として提供した。LC−MS(M+H=563,観測値=563)。
【0291】
例52
【0292】
【化59】

【0293】
4−フルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(515(M+H))。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.6956(m,4H),2.5071(m,2H),3.2031(m,2H),6.3589(m,1H),7.2997(m,2H),7.7475(m,2H),7.8153(m,2H),8.0407(m,1H),8.6588(s,1H),10.6704(s,1H)。
【0294】
例53
【0295】
【化60】

【0296】
3−フルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−ベンズアミド
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(515(M+H))。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.7002(m,4H),2.5071(m,2H),3.2131(m,2H),6.3989(m,1H),7.2997(m,2H),7.7754(m,4H),7.8153(m,2H),8.0407(m,1H),10.2162(s,1H),10.5404(s,1H)。
【0297】
例54
【0298】
【化61】

【0299】
4−フルオロ−N−[2−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(515(M+H))。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.6389(m,2H),1.7112(m,2H),2.5016(m,2H),3.1131(m,2H),6.9608(m,1H),7.2997(m,2H),7.6834(m,2H),7.7953(m,2H),8.1249(m,1H),8.7188(s,1H),10.3522(s,1H)。
【0300】
例55
【0301】
【化62】

【0302】
3,4−ジフルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(465(M+H))。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.6746(m,2H),1.7378(m,2H),2.5355(m,2H),3.2077(m,2H),7.5552(m,1H),7.6514(m,2H),7.8435(m,3H),8.0607(m,2H),10.2304(m,1H),10.5399(s,1H)。
【0303】
例56
【0304】
【化63】

【0305】
2,3−ジフルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド
標題化合物を、例5の調製に関して記載した手順にしたがって合成した。LC−MS(465(M+H))。1H NMR (400 MHz,d6−DMSO):δ1.6665(m,4H),2.5355(m,2H),3.1903(m,2H),6.3756(m,1H),7.3327(m,2H),7.4948(m,2H),7.5435(m,1H),7.8061(m,1H),8.0167(m,2H),8.1325(s,1H),10.8161(s,1H)。
【0306】
下記表2は、本発明の化合物のIC50濃度(nM)を示す。
【0307】
【表7】

【0308】
【表8】

【0309】
【表9】

【0310】
【表10】

【0311】
【表11】

【0312】
【表12】

【0313】
【表13】

本発明の教示の点から、ある変更及び修飾が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされることが当業者には理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又は式II:
【化1】

{上記式中、
T、U、V、W、X、Y及びZはそれぞれ独立して、正確な原子価に応じて、C、CH、N、O又はSであり;
LはNR’、O、CR’R’、Sであるか、又は存在せず;
RはH;ハロ;CN;NO2;C1−C6アルキル;CF3;アリール;ヘテロアリール;アラルキル;アルカリル;ヘテロアルキル;又は炭素環;C(=O)OR’;アルキル−C(=O)−;−C(=O)アリール;アリール−NH−C(=O)−アリール;アリール−C(=O)−NH−アリール;アリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−ヘテロアリール;ヘテロアリール−NH−C(=O)−アリール;−C(=O)NH−アリール;アリール−C(=O)−;OR’;R’−SO2−:SO2−R’;SR’;R’−NH−C(=O)−;アルキル−O−C(=O)−;R’−アルキル−;R’−C(=O);NR’R’であり;これらのうちのいずれも任意に置換されていてよく;又は存在せず;
R’はH;アルキル;ハロアルキル;アルキルハロ;炭素環;アリール;ヘテロアリール、トリチル、ヘテロアルキル、又はカルボン酸エステルであり;これらのうちのいずれも任意にさらに置換されていてよく;
1〜R4はH、ハロ、C−R’、NR’R’、又はOR’であり;
-----は二重結合の存在又は不存在を表し;
アリール、ヘテロアリール、又は炭素環は任意に置換型又は無置換型であってよく、
そしてアリール、ヘテロアリール、及び/又は炭素環の任意の組み合わせで、単環、二環又は三環構造であってよい。}
で表わされる化合物、並びに、あらゆる比の混合物を含む、医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体。
【請求項2】
T、U、V及びWの全てが、正確な原子価に応じて同時にC又はCHであることはない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化2】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
LはNHであり、そしてRはアリール−C(=O)−NH−アリールであり、アリール部分のそれぞれは無置換型であるか、又はハロ又はCF3によって独立して一置換又は二置換され得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
LがNHであり、そしてRがアリール−C(=O)−NH−アリールである式(iii)であり、アリール部分のそれぞれは無置換型であるか、又はハロ又はCF3によって独立して一置換又は二置換され得る、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
ハロがフッ素である、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項7】
トリフルオロメタンスルホニルオキシ−シクロヘキス−1−エンカルボン酸エチル;
エチル2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロへキシ−1−エン−1−カルボキシレート;
1−クロロ−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(5−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソル−4−イルアミノ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド;
4−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−1−ベンズアミド;
2,3−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
3,4−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
3,5−ジフルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
4−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
2−フルオロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3,5−ジクロロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
2,6−ジクロロ−N−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル;
5−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル;
1−ベンジル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル;
1−ベンジル−5−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸エチルエステル;
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3]ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル;
5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル4−エチルエステル;
1−ベンジル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル;
1−ベンジル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸エチルエステル;
4−クロロ−9−オキソ−5,8,9,10−テトラヒドロ−6H−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−7−カルボン酸tert−ブチルエステル;
4−クロロ−9−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−1,6,10−トリアザ−フェナントレン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル;
4−フルオロ−N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3,4−ジフルオロ−N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド;
N−[4−(9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド;
N−[4−(7−ベンジル−9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド;
4−フルオロ−N−[4−(7−ベンジル−9−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,7,10−トリアザ−フェナントレン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
9−クロロ−2−トリチル−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−4(5H)−オン;
9−クロロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−4(5H)−オン;
N−(4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)フェニル)ベンズアミド;
4−フルオロ−N−(4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[3,4−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)フェニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
9−クロロ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
N−[4−(4−オキソ−4,5−ジヒドロ−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−9−イルアミノ)−フェニル]ベンズアミド;
9−フェニルアミノ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
9−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
9−(4−クロロ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
9−(3−メトキシ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
9−(3−クロロ−フェニルアミノ)−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
2−ブロモ−5H−フロ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
5H−チエノ[3,2−c][1,8]ナフチリジン−4−オン;
1−(3−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(4−アミノ−フェノキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イルオキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
1−{4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イルオキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(キノリン−7−イルオキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−6−オン;
1−(5−tert−ブチル−2−m−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルオキシ)−フェニル]−尿素;
4−フルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3−フルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−ベンズアミド;
4−フルオロ−N−[2−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3,4−ジフルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド;及び
2,3−ジフルオロ−N−[3−フルオロ−4−(6−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[c][1,8]ナフチリジン−1−イルアミノ)−フェニル]−1−ベンズアミド
から成る群から選択される化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物、又は医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体又は立体異性体、又はその任意の混合物と、医薬的に許容される担体、賦形剤、アジュバント及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物又は薬剤。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物、及び医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体又は立体異性体、又はその任意の混合物の、タンパク質キナーゼ・シグナル伝達の過剰発現又は異常活性に起因する宿主の疾患を治療する薬剤の製造のための使用。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物の、タンパク質キナーゼの阻害によって改善又は予防される疾患を治療する薬剤の製造のための使用。
【請求項11】
該タンパク質キナーゼは、Aurora Aキナーゼ、Aurora Bキナーゼ、Aurora Cキナーゼ、Lyk、Lyn、Yes、LimK、Fyn、Src、KDR、Met、Ron、Axl、Flt−3、及びFGFR38から成る群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
該疾患が、血管形成、癌、腫瘍の形成、成長及び増殖、動脈硬化、眼疾患、例えば加齢による黄斑変性症、脈絡膜血管新生、及び糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性疾患、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶反応、代謝疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病及び血管・免疫疾患から成る群から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
該疾患が癌である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
癌が、メラノーマ、リンパ腫、白血病、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、膵臓、直腸癌、中枢神経系の癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、及び子宮頸癌から成る群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
(a) 有効量の、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物、又は、あらゆる比の混合物を含む、医薬的に許容されるそのプロドラッグ、誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体及び立体異性体と、
(b) 有効量の第2の薬剤活性成分と
の別々のパックから成るキット。

【公表番号】特表2012−512246(P2012−512246A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542212(P2011−542212)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/066319
【国際公開番号】WO2010/077530
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】