説明

C群髄膜炎菌に対するワクチン

【課題】キャリアに接合された修正C群髄膜炎菌多糖を含んだ高度免疫原性ワクチンの提供、更にOAc陰性変異体に由来する修正多糖とキャリアとの複合体を含有した高度免疫原性ワクチンを提供する。
【解決手段】キャリア分子にカップリングされた修正C群髄膜炎菌多糖(GCMP)からなる免疫原性複合体。GCMPは様々な程度までO−脱アセチル化により修正される。この修正GCMP複合体は強い免疫原性応答を促進する。この複合体による免疫で生産された抗血清は天然多糖と交差反応する。加えて、これらの抗血清は強力な殺菌活性を有するクラスの抗体を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
C群髄膜炎菌に対するワクチン
発明の分野
この出願は1992年8月31日付で出願された米国出願第07/938,367号の一部継続である。
本発明はC群髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対して有用なワクチンの製造に関し、これらのワクチンは修正C群莢膜多糖の複合体を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
C群髄膜炎菌は世界中における細菌性髄膜炎の大部分の原因である。この病気を予防する現行手段は、精製されたC群莢膜多糖から構成されるワクチンからなる。これらのワクチンは成人に有効であるが、子供では免疫原性に乏しい。幼児で乏しいという結果が非常に望ましくないのは、人口のこのセクションがこれら感染の最高罹患率を有しているからである。
C群髄膜炎菌多糖(GCMP)は弱い免疫原であり、このためこれら多糖の免疫原性を高めてワクチンとしてそれらの有効性を拡大させようという努力があった。この目標を達成する1つの可能な方法は、少し見込みがあったが、これらの多糖とタンパク質のようなキャリアとの接合によるものである。
様々な研究者が完全な莢膜多糖を単離及び精製して、それらをキャリアタンパク質に共有結合させた。これらの複合体はその多糖単独よりも免疫原性である。
【0003】
多くの例がこれら複合体抗原の成功について示す文献でみられる。1つのこのような例、米国特許第4,673,574号明細書は、免疫原性化合物を形成するために、キャリアタンパク質に接合された細菌莢膜多糖の使用について記載している。もう1つの例、米国特許第4,356,170号明細書は、キャリアタンパク質にカップリングされた特異的多糖、A群髄膜炎菌多糖(GAMP)からなる複合体の免疫原性について記載している。これらの複合体は有効レベルの抗原を宿主に送達する上で改善された方法を提供する。これら特許双方の開示は参考のためすべて本明細書に組み込まれる。
【0004】
免疫原性を増加させるもう1つの方法は、米国特許第4,727,136号明細書でみられるように、B群髄膜炎菌多糖(GBMP)抗原で見込みがあった。
この方法では多糖のシアリル部分のN−アセチル基をN−プロペニル基で置き換え、その後修正された多糖をキャリアタンパク質に接合させている。これらの複合体は良い免疫原であって、天然GBMPと効果的に交差反応する。この発見は、多糖抗原への置換基の付加が抗体による認識用に追加の免疫原性部位又はエピトープを形成できることを証明している。
【0005】
O−アセチル陽性C群髄膜炎菌から現在製造されているワクチンは、免疫原性に乏しいことが知られている。O−アセチル陰性変異体に由来するワクチンは免疫原性であるという報告があった。Glode ら,The Journal ofInfectionsDisease,Vol.139,No.1,Jan.1979,pp52-59;Steinkoff ら,Infection and Immunity,Oct.1981,pp.144-145 ;Arakere ら,Infection and Immunity,Dec.1991,pp.4349-4356 参照。
【0006】
ほとんどのC群髄膜炎菌株は、O−アセチル基がシアル酸残基のC−7とC−8との間にもっぱら分布するO−アセチル陽性(OAc+)多糖を生産する。既知OAc−陰性(OAc−)株の中には髄膜炎菌C群MC19細菌がある。
本発明の目的は、キャリアに接合された修正C群髄膜炎菌多糖を含んだ高度免疫原性ワクチンを提供すること、更にOAc陰性変異体に由来する修正多糖とキャリアとの複合体を含有した高度免疫原性ワクチンを提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
本発明は、OAc+株に由来する髄膜炎菌C群多糖(GCMP)のO−脱アセチル化による化学的修正と、高免疫原性物質を得るためキャリアへの脱アセチル化多糖の接合に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、これら多糖の有効サイズを減少させるために、OAc+株からの脱アセチル化多糖を断片化し、しかもOAc−株からの多糖を断片化する方法に更に関する。
【0009】
本発明は、高免疫原活性を有するもっと低分子量の断片を得るために、天然のままか又は脱アセチル化されたC群多糖の解重合に更に関する。
本発明は、キャリア物質に直接又はキャリア物質に結合分子を介してカップリングさせるための反応部位を与える残基をOAc+株からの脱アセチル化多糖内に形成する方法にも関する。
【0010】
加えて、本発明は、O−脱アセチル化髄膜炎菌C群多糖、OAc−株からの多糖をキャリア物質にカップリングさせて作られた免疫原性複合体、又は多糖とキャリアが共有結合された断片化髄膜炎菌C群多糖に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、キャリア物質と髄膜炎菌のO−脱アセチル化C群多糖、OAc−株からの多糖、これら多糖の断片又は非脱アセチル化多糖の断片とを共有結合させることからなる免疫原性複合体の製造方法が開示されている。
本発明は、細菌性髄膜炎にかかりやすい哺乳動物で強力な殺菌性ワクチンとしての、O−脱アセチル化C群多糖又はOAc−多糖の複合体の用途に更に関する。ワクチンは水酸化アルミニウム又はステアリルチロシンのようなアジュバントを含有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の具体的な説明
C群髄膜炎菌多糖(GCMP)の免疫原性を高めるために、修正GCMPが作られ、キャリア分子に共有結合される。更に、単離されたままか又は修正形いずれかのOAc−株からの多糖がキャリア分子に共有結合される。多糖複合体は様々な化学的、物理的又は酵素的カップリング反応から形成することができる。用いられるカップリング技術は、用いられる結合剤と、キャリア物質又は分子上の反応基に依存している。様々なカップリング操作が当業者に知られており、容易に使用できる。
【0013】
キャリア物質又は分子とは、多糖分子にカップリングされうる基を有したあらゆる物質又は分子として本発明では定義される。ポリマーキャリアは天然又は合成物質であり、水溶性でも又は非水溶性であってもよい。キャリア物質又は分子は、最も一般的には種類上タンパク質である。タンパク質キャリアの場合に、タンパク質はカップリングに使える反応基を有した生理学上許容されるタンパク質であれば何でもよい。一級又は二級アミノ基を含んだいかなるタイプのキャリアも使用できる。反応性遊離アミノ基は、ヒドロキシル、アルデヒド、カルボン酸等のような部分を介して多糖にうまくカップリングさせることができる。適切なタンパク質には天然ペプチド及びタンパク質、例えば牛血清アルブミン、合成修正により細菌毒素から誘導される細菌トキソイド、例えばジフテリアトキソイド、破傷風菌トキソイド、百日咳毒素又は百日咳トキソイド、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) 組換えエキソプロテインA及びウェルチ菌(Clostridium perfringens) 外毒素がある。細菌に由来する他のタンパク質も用いてよい。細菌源は、例えばインフルエンザ菌(Hemophilus influenza)、髄膜炎菌、肺炎双球菌、β−溶血連鎖球菌及び大腸菌(E.coli)であってもよい。
【0014】
合成ポリリジンのようなリジン残基を含む他のタンパク質も有用である。他のタンパク質キャリアと他の非タンパク質キャリア分子も当業者によく知られており、本発明でキャリア分子として使用できる。非水溶性キャリアの例はアミノアルキル−セファロース、例えばアミノプロピル又はアミノヘキシルセファロースと、アミノプロピル−ガラスである。化学的に結合されたアミノ基を含むように修正された他のキャリアも用いてよい。このようなキャリアは、アミノアルキル基が共有結合鎖を介して結合された多糖から誘導してもよい。
本発明の一面によれば、OAc+株からのC群多糖におけるシアリル基の7及び/又は8位のO−アセチル基は、適切な試薬との処理で髄膜炎菌C群多糖から様々な程度で選択的に除去される。多くの脱アセチル化試薬が当業者に知られている。好ましくは、脱アセチル化は水性媒体中マイルドな塩基性条件下で、例えば約0.01〜0.5N水酸化ナトリウム、好ましくは0.1N水酸化ナトリウム中約0〜50℃、好ましくは25℃で行われる。水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等のような他の塩基性溶液もこの反応に使用できる。その反応で用いられる脱アセチル化反応温度及び塩基濃度は、マイルドな条件が維持されることだけに注意すれば、変えることができる。反応条件は、C群多糖の脱アセチル化だけが望ましい程度に達するように制御されることが好ましい。O−脱アセチル化は、望ましい脱アセチル化度に達するまで、即ち0.1N NaOH中で約1〜25時間、好ましくは約16時間かけて行われる。
【0015】
マイルドな条件を用いる脱アセチル化反応からのO−脱アセチル化多糖の収率は、典型的には80%を超える。O−脱アセチル化度は、用いられる条件に応じて、約30〜100%である。典型的には、温度及び反応時間を変えれば、多糖のO−脱アセチル化度を変えることができる。好ましくは80%以上の範囲のO−脱アセチル化、最も好ましくは100%の脱アセチル化が行われる。
キャリア分子への接合前に(脱アセチル化の前又は後で)多糖鎖を断片化又は解重合させることも望ましい。多糖は多くの試薬に感受性であり、酢酸のような弱酸で加水分解されるか又はメタ過ヨウ素酸塩のような試薬で酸化される。本発明の好ましい態様において、非脱アセチル化多糖、脱アセチル化多糖又はOAc−株からの多糖はメタ過ヨウ素酸塩酸化による接合のために断片化及び活性化される。当業者であれば、このステップの反応を行うため他の方法についてもわかるであろう。
【0016】
本発明の免疫原性複合体は、O−脱アセチル化GCMP又はOAc−株からの多糖の断片上に還元性末端基を最初に形成し、その後還元性末端基を還元アミノ化でキャリア物質又は分子のアミノ基と反応させることにより製造される。還元性末端基はいずれか適切な方法で、例えば選択的加水分解、即ち酸又は酵素によるか、あるいは酸化開裂、即ちメタ過ヨウ素酸塩により形成される。接合は水素化シアノホウ素アニオンのような還元剤を含有した水性溶液中で還元アミノ化により行われることが好ましい。多糖をキャリア分子にカップリングさせる他の方法は当業者に知られている。
【0017】
好ましいカップリング方法では2ステップ反応を要する。多糖はアルデヒド部分を形成するためにメタ過ヨウ素酸塩酸化され、その後キャリア分子上に遊離アミノ基の存在下及び適切な還元剤の存在下で反応させる。適切な還元剤には、典型的には、重要な還元性末端を還元しないばかりかキャリア分子又は物質に悪影響を与えない、水素化シアノホウ素、水素化ホウ素ナトリウム又は他の還元剤がある。還元剤は、加水分解されたGCMP断片のカルボニル基とキャリア分子又は物質のアミノ基との間で形成されるシッフ塩基中間体のマイルドな選択的還元剤として作用する。このタイプの接合に関して典型的な反応条件はJenningsらの米国特許第4,356,170号明細書で示されており、これは参考のためすべて組み込まれる。
【0018】
しかしながら、本発明の複合体ワクチンは還元アミノ化で生産されたものに限定されないことが理解されるべきである。このため、ワクチンは Scheerson,R.ら,Preparation,Characterization and Immunogeniciiy ofHaemophilus influenzae Type b PolysaccharideーProtein Conjugates(B型インフルエンザ菌多糖−タンパク質複合体の製造、特徴及び免疫原性),J.Exp.Med.,1952,361-476(1980) 及びLance K.Gordonの米国特許第4,644,059号明細書で記載されるように、アジピンジヒドラジドスペーサーを用いて多糖をキャリアタンパク質と接合させることにより製造してもよい。一方、Marburg,S.ら,"Biomolecular Chemistry of Macromolecules: Synthesis of Bacterial Polysaccharide Conjugaieswith Neisseria meningitides Membrane Protein"(高分子の生体分子化学:髄膜炎菌膜タンパク質との細菌多糖複合体の合成),J.Am.Chem.Soc.,108,5282-5287(1986)に記載されたような二元スペーサー技術、又は可能であればAndersonの米国特許第4,673,574号明細書で言及されるような還元性末端法も用いてよい。これら引用文献の開示は参考のためすべて本明細書に組み込まれる。
【0019】
本発明の免疫原性複合体は、1種以上の製薬上許容される賦形剤及び場合により他の成分と共に処方してもよい。製薬上許容される賦形剤は、処方物の他成分と適合して、そのレシピエントに有害でないという意味で“許容”されねばならない。処方物は便宜上単位剤形で供与され、製薬業界で周知のいずれかの方法で製造される。
【0020】
活性成分として多糖複合体を含有したワクチンの製法は当業界でよく知られている。典型的には、このようなワクチンは液体溶液又は懸濁液いずれかの注射剤として製造される;注射前に液体中への溶解又は懸濁に適した固体形態も製造してよい。製剤は乳化させてもよい。活性な免疫原性成分は、製薬上許容されて活性成分と適合する賦形剤とよく混合される。適切な賦形剤は、例えば水、塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等及びそれらの組合せである。加えて、所望であれば、ワクチンは湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤又はワクチンの有効性を高めるアジュバントのような補助物質を少量で含有してもよい。当業者に知られるいかなる適切なアジュバントも使用できる。適切なアジュバントには、特にステアリルチロシン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及び硫酸アルミニウムがある。水酸化アルミニウムアジュバントで作られたワクチンは特に有効であることがわかった。ワクチンは通常非経口で注射により、例えば皮下又は筋肉内いずれかに投与される。他の投与様式に適した追加処方には坐剤と、一部の場合には経口処方がある。坐剤の場合、伝統的な結合剤及びキャリアには例えばポリアルカレングリコール又はトリグリセリドがある;このような坐剤は活性成分を0.5〜10%、好ましくは1〜2%の範囲で含有した混合物から形成される。経口処方は、例えば製薬グレードのマンニトール、セルロース、炭酸マグネシウム等のような常用賦形剤を含有している。これらの組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性処方又は粉末の形態をとり、10〜95%、好ましくは25〜70%の活性成分を含有している。
【0021】
ワクチンは投薬処方と適合したやり方で、治療上有効でかつ免疫原性であるような量で投与される。投与される量は被治療体、抗体を合成する被治療体免疫系の能力と、望まれる保護の程度に依存している。投与が要求される活性成分の正確な量は担当者の判断に依存し、各個体毎に異なる。しかしながら、適切な投与量範囲は個体当たり活性成分が数百マイクログラム程度である。初回投与及びブースターショットに適した方法も様々であり、これは初回投与の後1又は2週間隔の注射又は他の投与で代表される。
【0022】
本発明のワクチンは哺乳動物で抗GCMP抗体を有効レベルで誘導させる。このワクチンはどの年齢の哺乳動物に注射投与してもよく、病気にかかりやすい哺乳動物に免疫原性量の複合体を投与することで髄膜炎菌に起因する全身感染に対して活性な免疫を誘導するために利用される。
【0023】
通常、約5〜約100μg、好ましくは約10〜50μgを含有したワクチンが、若い哺乳動物でGCMPに対する抗体を有効レベルで誘導させるために適している。正確な投与量は実験で決定される。少ない用量を数回かけて連続的に与えることが、1回の注射として同量の複合体を与えるよりも優れていると予想される。
更にもう1つの面において、本発明はC群髄膜炎菌に起因する髄膜炎から保護できるγ−グロブリン分画を提供する。その分画は本発明のワクチンで哺乳動物を免疫することにより生産される。次いでその分画は上記生物に起因する進行性感染から保護するか又はそれを治療するために個体に投与される。このことから、本発明の免疫原性ワクチン複合体がそれらの好ましい免疫原性からみて治療抗血清源となることは明らかであろう。本発明の複合体はモノクローナル抗体及び可能であれば抗イディオタイプ抗体を作る上でも有用である。
髄膜炎菌C群多糖のO−脱アセチル化は、約0〜50℃、好ましくは25℃で約1〜25時間、好ましくは約16時間にわたる0.01〜 0.5N NaOH、好ましくは0.1N NaOHのようなマイルドな塩基での処理により行える。7及び/又は8位からアセチル基の除去はNMRスペクトル測定で確認される。
【0024】
後のステップで、多糖はスーパーデックス(Superdex)200プレップグレードでのようなゲル濾過により精製される。過ヨウ素酸ナトリウムを用いる還元部分解重合は、最大免疫応答を示す上で最適のサイズを有した活性化多糖を得るために、OAc+株からの非脱アセチル化多糖、脱アセチル化多糖と、OAc−株からの多糖で行われる。多糖はゲル濾過により精製され、塩を除去するために透析され、凍結乾燥される。次いでそれは還元アミノ化反応により破傷風菌トキソイドのような適切なタンパク質キャリアにカップリングされる。得られた複合体はゲル濾過により精製し、チャールズ・リバーズ(Charles Rivers)から購入したFRW異型交配スイス・ウエブスター(Swiss Webster)マウスで免疫原性について分析する。
【実施例1】
【0025】
C群髄膜炎菌多糖(GCMP)のO−脱アセチル化
天然髄膜炎菌C群多糖(188mg)を0.1N水酸化ナトリウム溶液(30ml)に溶解した。混合液を25℃で16時間攪拌した。次いでそれを4℃で水に対して透析し、凍結乾燥した。白色綿毛状固体物として得た多糖(144mg、77%)は、H−NMRスペクトル測定(500MHz)によると、O−脱アセチル化されていることを示した。
【実施例2】
【0026】
O−脱アセチル化C群多糖(GCMP)−(−)の精製
O−脱アセチル化多糖(141mg)をダルベッコのPBS(10ml)に溶解し、スーパーデックス200プレップグレード(2.6×100cm)カラムでゲル濾過により精製した。カラムを100ml/hrで溶出させ、5.0ml分画を集めた。溶出液を示差屈折計及びUV(280nm)検出器でモニターした。示差屈折計で検出される第一の主ピークを含有して、UV吸収物質を実質上含有しない分画を合わせた。水に対する透析と凍結乾燥後に、精製GCMP−(−)(108mg、77%)を白色綿毛状固体物として得た。その固体物質はブラッドフォード(Bradford)法によりタンパク質について及び260nmでUV吸光度により核酸について分析した。表1で示したように、これらの汚染物質はこの精製ステップで実質上減少している。加えて、スペロース(Superose) 12ゲル濾過カラム〔ファルマシア(Pharmacia) 〕を用いたHPLCによるGCMP−(−)の分析では、それが出発天然多糖(GCMP)でも観察されるシャープなボイド容量ピークとして溶出することを示しており、精製された多糖が高分子量形で存在することを示唆している。
【実施例3】
【0027】
精製GCMP−(−)の酸化及びサイズ分け
メタ過ヨウ素酸ナトリウムによる多糖の酸化は、後におけるタンパク質とのカップリングのために多糖を活性化して、しかも最良の免疫応答を発揮することが既に示されたもっと小さな断片に多糖を開裂するという二重目的に役立つ。異なるロットの多糖は最良の多糖鎖長にする上で異なるヨウ素酸塩酸化条件を要することも既に示されているため、これらの条件は小規模反応(5mg)で最初に決めて、その後大規模反応を行う。典型的には、反応時間及び温度を各々2時間及び25℃で一定に保ち、メタ過ヨウ素酸ナトリウムの濃度を脱イオン水中3〜12ミリモルで変える。小及び大規模反応時における多糖の濃度も6〜10mg/ml で一定に保つ。2時間経過後、過剰(〜10倍)の1.0Mエチレングリコール溶液を、未反応メタ過ヨウ素酸ナトリウムを破壊するために反応溶液に加える。少くとも30分間の反応後に、溶液は酸化された多糖の平均分子量を決定するために目盛付きスペロース12カラムを用いてHPLCにより分析する。12000〜16000ドルトンの分子量の平均を有する多糖を与える反応条件を、下記反応で示されるような大規模反応で用いる。
【0028】
精製GCMP−(−)(63mg)を脱イオン水(4.81ml)に溶解した。この溶液に21mmolメタ過ヨウ素酸ナトリウム溶液(4.81ml)を加えて、多糖を6.55mg/ml及びNaIOを10.5mmolで有する脱イオン水中の反応混合液を得た。反応を暗所中25℃で2時間進行させ、その後1Mエチレングリコール(0.96ml)で30分間処理した。この物質は12800ドルトンの平均分子量を有する広域ピークとしてスペロース12カラムから溶出する。溶液の容量を凍結乾燥機で約5mlに減少させ、物質を溶出緩衝液としてダルベッコのPBSを用いるスーパーデックス200プレップグレードカラム(2.6×100cm)でゲル濾過により精製し、5ml分画を集めた。10000〜18000の平均分子量を有する物質を含有した分画を合わせる。脱イオン水に対する透析と凍結乾燥の後に、酸化及びサイズ分けされた多糖〔o〕−GCMP−(−)(16.0mg、23%)を白色綿毛状固体物として得たが、これはスペロース12でのFPLCにより14500ドルトンの平均分子量を有することが示された。
【0029】
【表1】


【実施例4】
【0030】
〔o〕−GCMP−(+)の製造
天然GCMP(350mg)を0.02N NaOH(36ml)に溶解し、25℃で3時間インキュベートした。次いでこの溶液に0.1M NaIO(36ml)を加え、内容物を25℃で更に50分間インキュベートした。次いで反応液を50%エチレングリコール(5.3ml)で20分間処理し、混合液を5000rpmで10分間かけて遠心により清澄化した。上澄を脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥して、固体物300mgを得た。その物質をバイオ−ゲル(Bio-Gel) A − 0.5mカラムでサイズ分けして、11500ドルトンの分子量を有する酸化及びサイズ分けされた多糖(〔o〕−GCMP−(+))を得た。
【実施例5】
【0031】
破傷風菌トキソイドタンパク質モノマー(TT)の精製
〔2.1mg/mlのタンパク質を含有している(標準としてヒトIgGを用いるブラッドフォードタンパク質アッセイ)〕静かに攪拌された破傷風菌トキソイド溶液〔スタテンス・セルミンスチツ(Statens Seruminstitu)〕(75ml)中に硫酸アンモニウム(42.1g)を少量ずつ45分間かけて加え、80%飽和溶液を得た。混濁溶液を4℃で一夜おいて、タンパク質の沈降を完了させた。沈殿物を15000rpm (23000g)で20分間の遠心により集め、原タンパク質10%以下を含有した上澄を捨てた。ぺレットをダルベッコのPBS緩衝液(10ml)に再溶解し、バイオ−ゲルA−0.5mカラムでゲル濾過により分別した。破傷風菌トキソイドモノマーに相当する主ピークをプールし、脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥して、白色綿毛状固体物としてTTを得た(65.4mg、 41%)。
【実施例6】
【0032】
破傷風菌トキソイド(TT)へのO−脱アセチル化C群髄膜炎菌多糖(〔o〕−GCMP−(−))のカップリング
pH7.5の0.20Mリン酸緩衝液(0.222ml)中に〔o〕−GCMP−(−) (10mg)、TT(3.3mg)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(6.8mg)を含有した溶液を37℃で数日保つ。反応溶液をPBS緩衝液(0.5ml)で希釈し、不溶性物質をエッペンドルフ遠心機で10000rpmで2分間の遠心により除去した。上澄を1.6×100cmバイオ−ゲルA−0.5mカラム上にいれて、0.15M NaCl+0.02%チメロサールにより20ml/hrで溶出させた。ボイド容量で溶出するピークに相当する分画をプールして、O−脱アセチル化C群髄膜炎菌多糖−破傷風菌トキソイド複合体〔GCMP−(−)−TT〕を得た。プールした溶液をブラッドフォード法によりタンパク質に関して分析したところ、タンパク質2.86mg(収率87%)を含有していることを示した。その複合体中の多糖含有率をシアル酸の含有率から見積り、これをシアル酸に関してレゾルシノールアッセイにより決定したところ、0.997mgの多糖を含有していることが示された(収率10%)。複合体の特徴は表2にまとめた。
【実施例7】
【0033】
破傷風菌トキソイドへのO−アセチル化C群髄膜炎菌多糖(〔o〕−GCMP−(+))のカップリング pH7.5の0.20Mリン酸緩衝液(0.20ml)中に〔o〕−GCMP−(+) (10.2mg)、TT(2.9mg)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(5.2mg)を含有した溶液を37℃で5日間保つ。複合体をゲル濾過クロマトグラフィーにより精製し、例6で記載されたように分析した。この複合体溶液はタンパク質2.7mg(収率93%)及び多糖1.06mg(収率10.4%)を含有している。この複合体の特徴は表2にまとめた。
【0034】
【表2】


【0035】
[実施例7A]
(−)−GCMP−TTワクチンの製造
(−)−GCMP−TTワクチンを前記例のGCMP−(−)−TTワクチンと同様のやり方で製造するが、但し多糖は髄膜炎菌C群株MC19細菌から得る。この細菌はO−アセチル部分を欠いたGCMPを生産する。
【実施例8】
【0036】
複合体ワクチン溶液の製造及び生物学的研究
例6及び7で記載された複合体溶液を、全ワクチン中の多糖濃度が10μg/mlであるように、塩水(0.15M NaCl+0.02%チメロサール)で希釈した。これらワクチンの半分は1.0mg/mlの濃度で水酸化アルミニウムアジュバントも含有していた。
これらワクチンの免疫原性は4〜6週齢異型交配スイス・ウエブスタ−FRW雌性マウスで調べた。動物を0、14及び28日目にワクチン0.2mlで皮下注射し、抗体アッセイ用の血清を38日目に集めた。
【実施例9】
【0037】
髄膜炎菌C群多糖に対するマウス抗体に関する酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)
ELISAは、微量滴定プレートを適切な多糖〔GCM P−(−)又はGCMP−(+)〕 ヒト血清アルブミン(HSA)複合体でコートし、その後BSA阻止緩衝液で処理して行った。次いでPBS−ツイーン緩衝液による血清の希釈を行った。プレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄し、室温で30分間にわたり第二抗体〔ヤギ抗マウスIgG(H+L)−ぺルオキシダーゼ〕で処理した。この後にPBS−ツイーンで十分に洗浄し、Kirkegaard & Perry() で記載されたように調製されたばかりのTMBぺルオキシダーゼ基質で処理した。15分間後に、酵素反応を各ウェルに加えられた1Mリン酸で停止させ、吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて分析した。ELISA力価は表3にまとめた。
【実施例10】
【0038】
髄膜炎菌C血清群に関する殺菌アッセイ
殺菌活性は、適切な希釈倍率の試験血清及びべビーウサギ血清(補体源)の存在下37℃で1時間にわたり髄膜炎菌C群(株C11)をインキュベートすることにより調べた。第一の場合は試験血清を欠き、第二の場合は熱不活化補体を含有している2種の陰性コントロールも同様にインキュベートした。次いでこれら溶液の一部(50μl)をチョコレート寒天プレート上に重複して適用し、生存菌について調べるため5%CO中35〜37℃で一夜インキュベートした。翌朝、コロニーの数を各プレート上でカウントし、平均を重複したものについて計算する。血清殺菌力価は50%生存率を示す血清希釈倍率として報告する。異なるワクチンに関する殺菌活性は表3にまとめた。
【0039】
【表3】


【0040】
2タイプの複合体で免疫されたマウスの各群から得られた血清のELISAによる分析では、双方の群のマウスでIgG抗体の高力価の存在を示した。更に修正株に対する殺菌アッセイを用いた血清の分析でも意外な結果を示した。双方のワクチン群から得られた血清に関するELISA力価は同様であったが、修正複合体で免疫されたマウスから得られる血清は、天然複合体ワクチンをうけたマウスからの血清と比較したとき、優れたレベルの殺菌性抗体を有していた。この研究の結果は、本複合体ワクチンが強い殺菌活性を有したクラスの抗体を誘導させることを示唆している。
【0041】
C群髄膜炎菌多糖−破傷風菌トキソイド複合体(GCMP−TT)の合成
O−アセチル陽性株から単離したC群髄膜炎菌多糖を精製し、希塩基で部分的に又は完全にO−脱アセチル化した。そのO−脱アセチル化多糖と塩基で処理されていない精製多糖ロットを部分的に解重合し、活性化し、精製した。精製及び活性化多糖ロットにおけるO−アセチル化の程度及び位置は高分解能核磁気共鳴(NMR)スぺクトル分析(600MHz)により調べ、平均分子量はゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより調べた。このデータのまとめに関しては表4参照。破傷風菌トキソイドタンパク質へのこれら活性化多糖のカップリング(4)から、表5に示されたGCMP−TT複合体を得たが、そこではGCMP−TT複合体の多糖含有率%についてもまとめている。
【0042】
ワクチン溶液の製造及び生物学的研究
GCMP−TT複合体溶液を0.01%チメロサール含有塩水で希釈し、免疫マウスに直接用いるか(塩水)、あるいは水酸化アルミニウム(Alアジュバント)又はステアリルチロシン(Stアジュバント)に吸着させた。各最終ワクチン溶液又は混合液は、複合体多糖含有量に関して10μg/mlで複合体を含有していた。すべてのワクチン処方は、破傷風菌トキソイド及び多糖コントロールと一緒に、0、14及び28日目にワクチン溶液又は混合液0.2mlの皮下注射により雌性マウス(4〜6週齢)10匹の群で試験した。血清を38日目に集め、それをELISA又は殺菌アッセイにより分析するまで凍結貯蔵した。
【0043】
血清学的研究
複合体ワクチン中のC群髄膜炎菌多糖に対する免疫応答はそれらのELISA力価で表示する。各々の血清を2つの方法で分析した。第一にコーティング抗原(GCMP−ヒト血清アルブミン複合体)はO−アセチル陰性多糖を含有し、第二にコーティング抗原(GCMP−牛血清アルブミン複合体)はO−アセチル陽性多糖を含有していた。ELISAデータは図1、2、4及び5で示されている。遊離破傷風菌トキソイドタンパク質、O−アセチル陽性多糖及びO−アセチル陰性多糖を含有したコントロールからの血清は、分析された最低希釈倍率時(1/1000)に検出しうるELISA力価を何も示さなかった。すべての血清は、髄膜炎菌C群株C11、O−アセチル陽性株に対する補体依存性殺菌活性についても分析した。図3及び6で示された殺菌力価は50%生存率を示す血清希釈倍率である。コントロールからのすべての血清は、分析された最低希釈倍率時(1/1000)に殺菌活性を示さなかった。
【0044】
結果及び考察 この研究で製造された複合体のすべてに対する免疫応答は、ELISA及び補体依存性殺菌アッセイの双方を用いて、3種の異なるワクチン処方で評価した。
その処方には、複合体の塩水溶液、あるいは水酸化アルミニウム又はステアリルチロシンに吸着された混合物がある。
【0045】
すべての複合体からの血清に関するELISAは、複合体が水酸化アルミニウム上に吸着されたときに実質上最高で、それらがそれらの塩水溶液として注射されたときに最低の免疫応答を示す(図1、2、4及び5参照)。ステアリルチロシンで複合化された複合体はすべてのケースで塩水溶液よりも高い免疫応答を示したが、その免疫応答はすべてのケースで水酸化アルミニウム吸着複合体の場合よりも数倍低かった。殺菌アッセイでは3種のワクチン処方で同様の傾向を示した(図3及び6参照)。
【0046】
複合体多糖の平均分子量が類似しているGCMP−TT複合体(12000〜14800、表1参照)に関するELISA力価は図1及び2で示されている。
図1において、ELISA力価をO−アセチル陰性多糖含有のコーティング抗原(GCMP−HSA)で得た。この抗原については、最高力価が最小O−アセチル化多糖で得られたというような、複合体多糖のELISA力価とO−アセチル化の程度との間に逆の関係がある。完全に異なるパターンが図2で観察され、そこではO−アセチル陽性多糖含有のコーティング抗原(GCMP−BSA)で得られた力価が示されている。この場合において、ELISA力価はO−アセチル含有率が増加していくと増加するが、しかしながら最少量のO−アセチル化と最大量を含んだ複合体との間にある力価の差異は、O−アセチル陰性コーティング抗原を用いて観察されたときほど大きくはない(図1参照)。O−アセチル化の程度と髄膜炎菌C群株C11(O−アセチル陽性株)に対する補体依存性殺菌活性との間の関係は図3で示されている。O−アセチル化の程度が増加すると、殺菌活性に著しい減少がある。このように、殺菌活性はO−アセチル陰性コーティング抗原で得られたELISA力価と密接に相関している(図1参照)。水酸化アルミニウム上に吸着された複合体の場合、ELISA及び殺菌アッセイの双方に関して、O−アセチル化の程度が5%から70%に増加するときに力価で約3倍の減少が観察される。図1〜3で示されるように、ワクチンの3種の処方は3アッセイの各々で同様の傾向を示す。図1〜3で示された関係は、血清の反復分析でも観察された。
【0047】
O−アセチル化の程度及び処方のタイプに加えて、複合体ワクチン中における多糖のサイズは免疫応答に大きな影響を有する。これは多糖が61〜65%O−アセチル化されたGCMP−TT複合体に関して図4〜6で示されている。同様の傾向は2つのELISAで観察される(図4及び5)。最高ELISA力価は、多糖が12000ドルトンの平均分子量を有する、水酸化アルミニウム及びステアリルチロシン処方中の複合体ワクチンで観察されるが、差異は水酸化アルミニウム吸着複合体の場合に特に大きい。2つのELISAとは対照的に、水酸化アルミニウム及びステアリルチロシン処方に関する殺菌力価は6600ドルトン多糖のとき最高であり、多糖のサイズが増加すると減少する(図6参照)。
【0048】
【表4】

O-アセチル化%は、シアル酸残基の7及び8位におけるメチンプロトンの積分値を3位におけるプロトンの場合と比較することにより、高分解能NMRスペクトル分析で調べる。
【0049】
【表5】

【0050】
本明細書で記載された例及び態様は説明目的のためのみであって、それからみて様々な修正又は変更が本出願の精神及び範囲と添付された請求の範囲の中に含まれることを当業者に示唆していることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】血清ELISA力価に関するGCMP−TT複合体中の多糖O−アセチル化の効果。ELISAプレートはO−アセチル陰性GCMP−HSA複合体でコートした。
【図2】血清ELISA力価に関するGCMP−TT複合体中の多糖O−アセチル化の効果。ELISAプレートはO−アセチル陽性GCMP−BSA複合体でコー卜した。
【図3】補体依存性殺菌活性に関するGCMP−TT複合体中の多糖O−アセチル化の効果。殺菌活性は髄膜炎菌C群株C11、O−アセチル陽性株に対して調べた。
【図4】血清ELISA力価に関するGCMP−TT複合体中の多糖サイズの効果。ELISAプレー卜はO−アセチル陰性GCMP−HSA複合体でコートした。
【図5】血清ELISA力価に関するGCMP−TT複合体中の多糖サイズの効果。ELISAプレートはO−アセチル陽性GCMP−BSA複合体でコートした。
【図6】補体依存性殺菌活性に関するGCMP−TT複合体中の多糖サイズの効果。殺菌活性は髄膜炎菌C群株C11、O−アセチル陽性株に対して調べた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適切なキャリア物質又は分子に共有結合された、シアル酸残基の7及び8基の少くとも30%がヒドロキシル基であるO−脱アセチル化C群髄膜炎菌多糖又はその断片又は断片化された非脱アセチル化C群髄膜炎菌多糖からなる免疫原性複合体。
【請求項2】
キャリア物質又は分子がタンパク質である、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項3】
キャリアが破傷風菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日咳毒素、百日咳トキソイドと、β−溶血連鎖球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎双球菌及び大腸菌から選択される細菌に由来する免疫原性タンパク質からなる群より選択される、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項4】
キャリアが破傷風菌毒素又はトキソイドである、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項5】
共有結合が還元アミノ化反応により得られる、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項6】
多糖がOAc+株に由来して、約30〜100%の程度までO−脱アセチル化されている、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項7】
約80%以上のO−脱アセチル化度を有する、請求項6に記載の免疫原性複合体。
【請求項8】
多糖がOAc−株に由来する、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項9】
多糖が接合前に断片化されている、請求項1、5又は8に記載の免疫原性複合体。
【請求項10】
断片化された非脱アセチル化C群多糖が約5000〜約20000ドルトンの分子量を有する、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項11】
i)マイルドな塩基性反応条件下で髄膜炎菌C群多糖又はその断片をO−脱アセチル化する;
ii)脱アセチル化多糖をカップリング用に活性化する;及び
iii)脱アセチル化多糖をキャリア分子とカップリングさせるステップからなる、免疫原性複合体の製造方法。
【請求項12】
過ヨウ素酸ナトリウムを用いた多糖の解重合により髄膜炎菌C群多糖断片を形成することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
多糖の活性化がメタ過ヨウ素酸ナトリウムで行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
カップリングが還元アミノ化で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
還元アミノ化が水素化シアノホウ素の存在下で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
免疫学上適切なタンパク質に接合された、シアル酸残基の7及び8基の約30%以上がヒドロキシル基である髄膜炎菌のC群多糖又はその断片からなる抗原性複合体。
【請求項17】
タンパク質が破傷風菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、交差反応物質(CRM)、百日咳毒素、百日咳トキソイド又は細菌タンパク質キャリアである、請求項1又は16に記載の複合体。
【請求項18】
タンパク質及び多糖が−CH2−NH−タンパク質結合鎖で共有結合されている、請求項1、16又は17に記載の複合体。
【請求項19】
請求項1又は16に記載の複合体の免疫原性量と製薬上許容される注射用賦形剤を含んだワクチン。
【請求項20】
生理学上許容されるアジュバントを更に含んだ、請求項19に記載のワクチン。
【請求項21】
アジュバントが水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム又はステアリルチロシンである、請求項20に記載のワクチン。
【請求項22】
アジュバントが水酸化アルミニウムである、請求項20に記載のワクチン。
【請求項23】
感染しやすい哺乳動物被治療体に請求項19に記載のワクチンの治療上有効量を投与するステップからなる、髄膜炎菌感染に対する哺乳動物の免疫方法。
【請求項24】
ワクチンを非経口投与することからなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ワクチンが体重kg当たり約1〜25μgの投与量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物を請求項19に記載のワクチンで免疫して、γ−グロブリンを上記哺乳動物から回収することにより製造する、C群髄膜炎菌に起因する髄膜炎に対して受動保護できるγ−グロブリン分画。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−44955(P2008−44955A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242721(P2007−242721)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【分割の表示】特願平6−507372の分割
【原出願日】平成5年8月30日(1993.8.30)
【出願人】(507279510)バクスター、ヘルスケア、ソシエテ、アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】