説明

C5aRアンタゴニスト

本発明はC5a受容体のモジュレータである化合物を提供する。前記化合物は置換されたピペリジンであり、病気に起因するC5a受容体の活性化が関与する疾患または異常を治療する方法に有用な医薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、2008年12月22日に出願されたアメリカ合衆国シリアル番号第61/139,919号の恩恵を主張する。その全内容は参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
連邦の後援を受けた研究開発のもとでなされた発明の権利に関する宣言
適用されず
【0003】
コンパクト・ディスクで提出された付録に掲載されている“配列リスト”、表、コンピュータ・プログラムに関する言及
適用されず
【背景技術】
【0004】
補体系は、免疫複合体のクリアランスにおいてと、感染性媒体、外来抗原、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞に対する免疫反応において、中心的な役割を果たしている。補体系が不適切に活性化されたり過剰に活性化されたりすると、重度の炎症とその結果生じる組織の破壊が原因で、有害な結末、それどころか潜在的に生命を脅かす結末につながる可能性がある。これらの結末は、例えば敗血症性ショック、心筋損傷、腸虚血/再灌流障害、移植片拒絶、臓器不全、腎炎、病気に起因する炎症、自己免疫疾患などのさまざまな異常として臨床的に出現する。
【0005】
補体系は、通常は血清中に不活性な状態で存在している一群のタンパク質からなる。補体系の活性化には、主に3つの異なる経路が含まれる。すなわち古典的経路、代替経路、レクチン経路である(『臨床免疫学:原理と実践』(R.R. Rich編、モーズビー出版、1996年)の中のV.M. Holers、363〜391ページ)。1)古典的経路はカルシウム/マグネシウム依存性カスケードであり、通常は抗原-抗体複合体の形成によって活性化される。この経路は、リガンドと複合体になるC反応性タンパク質の結合によってと、多くの病原体(グラム陰性細菌など)によって、抗体とは独立に活性化される可能性もある。2)代替経路はマグネシウム依存性カスケードであり、感受性のある所定の表面(例えば酵母と細菌の細胞壁の多糖や、ある種の生体ポリマー材料)にC3が堆積されて活性化されることによって活性化される。3)レクチン経路には、マンノース結合レクチンの初期の結合と、古典的経路に一般的なC2とC4のその後の活性化が関係する(Matsushita, M.他、J. Exp. Med. 第176巻 1497〜1502ページ (1992年);Suankratay, C.他、J. Immunol. 第160巻 3006〜3013ページ (1998年))。
【0006】
補体経路の活性化によって補体タンパク質の生物学的に活性なフラグメント(例えばC3a、C4a、C5aのアナフィラトキシン、C5b-9膜侵襲複合体(MAC))が生成する。これらはすべて、白血球の走化に影響を与え、マクロファージ、好中球、血小板、マスト細胞、内皮細胞を活性化させ、血管の透過性、細胞溶解、組織損傷を増大させることによって炎症反応を媒介する。
【0007】
補体C5aは、補体系の最も強力な炎症促進メディエータの1つである。(C5aペプチドは、モル数を基準にすると、C3aよりも炎症反応の誘導に関して100倍強力である。)C5aは、C5が活性化された形態である(分子量190kD)。C5aは、ヒト血清中に約80μg/ml存在する(Kohler, P.F.他、J. Immunol. 第99巻:1211〜1216ページ (1967年))。C5aは、2つのポリペプチド鎖、すなわち分子量が約115kDのα鎖と、分子量が約75kDのβ鎖からなる(Tack, B.F.他、Biochemistry 第18巻:1490〜1497ページ (1979年))。C5は、単鎖の前駆分子として生合成された後、プロセシングと分泌の間に酵素によって開裂して2鎖構造になる。開裂後、2本の鎖は少なくとも1つのジスルフィド結合と非共有相互作用によって一体となって保持される(Ooi, Y.M.他、J. Immunol. 第124巻:2494〜2498ページ (1980年))。
【0008】
C5は、補体経路が活性化している間にC5aフラグメントとC5bフラグメントになる。C5の活性化にとって重要な逆転写酵素は、古典的経路に関してはC4bとC2aとC3bからなる多サブユニット複合体であり、代替経路に関しては(C3b)2とBbとPからなる多サブユニット複合体である(Goldlust, M.B.他、J. Immunol. 第113巻:998〜1007ページ (1974年);Schreiber, R.D.他、Proc. Natl. Acad. Sci. 第75巻:3948〜3952ページ (1978年))。C5はα鎖の74〜75位(アルギニン-ロイシン)で開裂することによって活性化される。活性化後、α鎖のアミノ末端部から、74個のアミノ酸からなる11.2kDのペプチドC5aが放出される。C5aとC3aの両方とも、好中球と単球の強力な刺激因子である(Schindler, R.他、Blood 第76巻:1631〜1638ページ (1990年);Haeffner-Cavaillon, N.他、J. Immunol. 第138巻:794〜700ページ (1987年);Cavaillon, J.M.他、Eur. J. Immunol. 第20巻:253〜257ページ (1990年))。
【0009】
C5aは、アナフィラキシー特性に加え、好中球(Ward, P.A.他、J. Immunol. 第102巻:93〜99ページ (1969年))、好酸球(Kay, A.B.他、Immunol. 第24巻:969〜976ページ (1973年))、好塩基球(Lett-Brown, M.A.他、J. Immunol. 第117巻:246〜252ページ (1976年))、単球(Snyderman, R.他、Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 第138巻:387〜390ページ (1971年))の走化性遊走を誘導する。C5aとC5b-9の両方とも内皮細胞を活性化し、組織の炎症と損傷を媒介する活性化された白血球の封鎖に不可欠な接着分子を発現させる(Foreman, K.E.他、J. Clin. Invest. 第94巻:1147〜1155ページ (1994年);Foreman, K.E.他、Inflammation 第20巻:1〜9ページ (1996年);Rollins, S.A.他、Transplantation 第69巻:1959〜1967ページ (2000年))。C5aは、平滑筋を収縮させ、血管の透過性を増大させ、好塩基球とマスト細胞の脱顆粒を誘導し、リソソーム・プロテアーゼと酸化性フリー・ラジカルの放出を誘導することによって炎症反応の媒介もする(Gerard, C.他、Ann. Rev. Immunol. 第12巻:775〜808ページ (1994年))。さらに、C5aは肝臓急性期遺伝子の発現を変化させ、TNF-α、IL-1-β、IL-6、IL-8、プロスタグランジン、ロイコトリエンの産生を増やすことによって全体的な免疫反応を増大させる(『健康人と病人のヒト補体系』(Volanakis, J.E.編、マルセル・デッカー社、ニューヨーク)の中のLambris, J.D.他、83〜118ページ)。
【0010】
C5aのアナフィラキシー効果と走化性効果は、C5a受容体との相互作用を通じて媒介されると考えられている。ヒトC5a受容体(C5aR)は、膜に結合する52kDのG1タンパク質結合受容体であり、好中球、単球、好塩基球、好酸球、肝細胞、肺平滑筋細胞、肺内皮細胞、腎糸球体組織で発現する(Van-Epps, D.E.他、J. Immunol. 第132巻:2862〜2867ページ (1984年);Haviland, D.L.他、J. Immunol. 第154巻:1861〜1869ページ (1995年);Wetsel, R.A., Immunol. Lett. 第44巻:183〜187ページ (1995年);Buchner, R.R.他、J. Immunol. 第155巻:308〜315ページ (1995年);Chenoweth, D.E.他、Proc. Natl. Acad. Sci. 第75巻:3943〜3947ページ (1978年);Zwirner, J.他、Mol. Immunol. 第36巻:877〜884ページ (1999年))。C5aRのリガンド結合部位は複雑であり、少なくとも2つの物理的に分離可能な結合領域からなる。1つはC5aのアミノ末端(アミノ酸1〜20)とジスルフィド結合コア(アミノ酸21〜61)に結合するのに対し、2番目は、C5aカルボキシ末端(アミノ酸62〜74)に結合する(Wetsel, R.A., Curr. Opin. Immunol. 第7巻:48〜53ページ (1995年))。
【0011】
C5aは、炎症と組織損傷において重要な役割を果たしている。心肺バイパスと血液透析では、ヒトの血液が心肺機械または腎臓透析機械の人工表面と接触するとき、別の補体経路が活性化する結果としてC5aが形成される(Howard, R.J.他、Arch. Surg. 第123巻:1496〜1501ページ (1988年);Kirklin, J.K.他、J. Cardiovasc. Surg. 第86巻:845〜857ページ (1983年);Craddock, P.R.他、N. Engl. J. Med. 第296巻:769〜774ページ (1977年))。C5aは毛細血管の透過性を増大させ、浮腫、気管支収縮、肺血管収縮、白血球と血小板の活性化、組織(特に肺)への浸潤を引き起こす(Czermak, B.J.他、J. Leukoc. Biol. 第64巻:40〜48ページ (1998年))。抗C5aモノクローナル抗体を投与すると、心肺バイパスと心臓麻痺によって誘導される冠動脈内皮機能不全が減ることがわかった(Tofukuji, M.他、J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 第116巻:1060〜1068ページ (1998年))。
【0012】
C5aは、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多臓器不全(MOF)にも関与している(Hack, C.E.他、Am. J. Med. 1989年:第86巻:20〜26ページ;Hammerschmidt D.E. 他、Lancet 1980年;第1巻:947〜949ページ;Heideman M. 他、J. Trauma 1984年;第4巻:1038〜1043ページ;Marc, M.M.他、Am. J. Respir. Cell and Mol. Biol.、2004年:第31巻:216〜219ページ)。C5aは、単球による2つの重要なサイトカイン、TNF-αとIL-1の産生を増大させる。C5aは、敗血症性ショックの動物モデルにおいて、組織損傷(特に肺損傷)の進展で重要な役割を担っていることもわかっている(Smedegard G.他、Am. J. Pathol. 1989年;第135巻:489〜497ページ;Markus, S.他、FASEB Journal (2001年)、第15巻:568〜570ページ)。ラット、ブタ、非ヒト霊長類を用いた敗血症モデルでは、内毒素または大腸菌を用いた治療の前に動物に抗C5a抗体を投与すると、組織損傷が減るとともに、IL-6の産生が減った(Smedegard, G.他、Am. J. Pathol. 第135巻:489〜497ページ (1989年);Hopken, U.他、Eur. J. Immunol. 第26巻:1103〜1109ページ (1996年);Stevens, J.H.他、J. Clin. Invest. 第77巻:1812〜1816ページ (1986年))。より重要なのは、C5aを抗C5aポリクローナル抗体でブロックすると、ラットにおける敗血症の盲腸結紮/穿刺モデルで生存率の顕著な改善がわかったことである(Czermak, B.J.他、Nat. Med. 第5巻:788〜792ページ (1999年))。このモデルは、ヒトにおける敗血症の臨床症状と多くの特徴が共通する(Parker, S.J.他、Br. J. Surg. 第88巻:22〜30ページ (2001年))。同じ敗血症モデルにおいて、抗C5a抗体は、胸腺細胞のアポトーシスを抑制すること(Guo, R.F.他、J. Clin. Invest. 第106巻:1271〜1280ページ (2000年))と、MOFを阻止すること (Huber-Lang, M.他、J. Immunol. 第166巻:1193〜1199ページ (2001年))がわかった。抗C5a抗体は、ラットにおける肺損傷のコブラ毒因子モデルにおいてと、免疫複合体によって誘導される肺損傷においても保護的であった(Mulligan, M.S. et al. J. Clin. Invest. 第98巻:503〜512ページ (1996年))。免疫複合体を媒介とする肺損傷におけるC5aの重要性は、後にマウスで確認された(Bozic, C.R.他、Science 第26巻:1103〜1109ページ (1996年))。
【0013】
C5aは、心筋虚血-再灌流障害において主要なメディエータであることがわかっている。補体が欠乏するとマウスで心筋梗塞部のサイズが小さくなり(Weisman, H.F.他、Science 第249巻:146〜151ページ (1990年))、抗C5a抗体で治療すると後肢虚血-再灌流モデルのラット・モデルで障害が少なくなった(Bless, N.M.他、Am. J. Physiol. 第276巻:L57〜L63ページ (1999年))。心筋梗塞の間の再灌流障害は、モノクローナル抗C5a IgGで治療したブタでも顕著に少なくなった(Amsterdam, E.A.他、Am. J. Physiol. 第268巻:H448〜H457ページ (1995年))。組み換えヒトC5aRアンタゴニストは、外科的血管再生のブタ・モデルにおいて心筋梗塞部のサイズを小さくする(Riley, R.D.他、J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 第120巻:350〜358ページ (2000年))。
【0014】
C5aによって駆動される好中球は、多くの水疱性疾患(例えば水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)にも寄与する。これらは、臨床的に皮膚と粘膜の表皮下空間に現われる無菌水疱を特徴とする慢性と再発性の炎症性疾患である。皮膚基底膜に位置するケラチノサイトに対する自己抗体は、表皮基底ケラチノサイトがその下にある基底膜から剥離することの原因であると考えられているが、水疱は、上方の皮膚層と水疱洞内の両方に好中球が蓄積することも特徴とする。実験モデルでは、好中球の減少または補体(全種類またはC5だけ)の不在により、自己抗体の力価が大きい場合でさえ、表皮下の水疱の形成を抑制することができる。
【0015】
補体のレベルが上昇しているのは、関節リウマチの患者(Jose, P.J.他、Ann. Rheum. Dis. 第49巻:747〜752ページ (1990年);Grant, E.P.他、J. of Exp. Med.、 第196巻(11):1461〜1471ページ (2002年))と、ループス腎炎の患者(Bao, L.他、Eur. J. of Immunol., 第35巻(8), 2496〜2506ページ (2005年))と、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者(Porcel, J.M.他、Clin. Immunol. Immunopathol. 第74巻:283〜288ページ (1995年))においてである。C5aのレベルは疾患の重篤度と相関している。マウスとラットでコラーゲンによって誘導される関節炎は、ヒトにおける関節リウマチと似ている。C5a受容体が不足しているマウスは、モノクローナル抗コラーゲンAbsの注射によって誘導される関節炎から完全に保護されることが証明された(Banda, N.K.他、J. of Immunol.、2003年、第171巻:2109〜2115ページ)。したがってC5aおよび/またはC5a受容体(C5aR)の抑制は、これら慢性疾患の治療に役立つ可能性がある。
【0016】
補体系は炎症性腸疾患(IBD)の患者で活性化されていると考えられており、この疾患の発生においてある役割を果たしていると思われる。活性化された補体は、IBD患者の表面表皮細胞の管腔面のほか、粘膜筋板と粘膜下血管で見いだされた(Woodruff, T.M.他、J of Immunol.、2003年、第171巻:5514〜5520ページ)。
【0017】
C5aRの発現は、炎症のあるヒト中枢神経系の活性な星状細胞、小グリア細胞、内皮細胞で上方調節されている(Gasque, P.他、Am. J. Pathol. 第150巻:31〜41ページ (1997年))。C5aは、アルツハイマー病(Mukherjee, P.他、J. Neuroimmunol. 第105巻:124〜130ページ (2000年);O'Barr, S.他、J. Neuroimmunol. (2000年) 第105巻:87〜94ページ;Farkas, I..他、J. Immunol. (2003年) 第170巻:5764〜5771ページ)、パーキンソン病、ピック病、感染性海綿状脳障害といった神経変性疾患に関与している可能性がある。ニューロンのC5aRが活性化することによってアポトーシスが誘導される可能性がある(Farkas I.他、 J. Physiol. 1998年;第507巻:679〜687ページ)。したがってC5aおよび/またはC5aRを抑制すると、神経変性疾患の治療にも役立つ可能性がある。
【0018】
C5aの産生によってアトピー性皮膚炎(Neuber, K.他、Immunology 第7巻:83〜87ページ (1991年))と慢性蕁麻疹(Kaplan, A.P., J. Allergy Clin. Immunol. 第114巻;465〜474ページ (2004年))に関連する炎症が悪化するといういくつかの証拠がある。
【0019】
乾癬は、T細胞を媒介とした疾患であることが今や知られている(Gottlieb, E.L.他、Nat. Med. 第1巻:442〜447ページ (1995年))。しかし好中球とマスト細胞もこの疾患の発生に関与している可能性がある(Terui, T.他、Exp. Dermatol. 第9巻:1〜10ページ (2000年);Werfel, T.他、Arch. Dermatol. Res. 第289巻:83〜86ページ (1997年))。角質層の下に好中球が蓄積することが乾癬性プラークの炎症領域で観察されており、乾癬病変部(鱗屑)抽出液は非常に高レベルのC5aを含んでいて、好中球に対する強い走化活性を示す。これは、C5a抗体の添加によって抑制できる。T細胞と好中球はC5aによって走化性を誘導される(Nataf, S.他、J. Immunol. 第162巻:4018〜4023ページ (1999年);Tsuji, R.F.他、J. Immunol. 第165巻:1588〜1598ページ (2000年);Cavaillon, J.M.他、Eur. J. Immunol. 第20巻:253〜257ページ (1990年))。それに加え、C5aRの発現は、皮膚エリテマトーデスの病変部から単離したプラスマ樹状細胞(pDC)で証明されており、これらの細胞は、C5aに向かう走化性を示すことがわかった。これは、pDC上のC5aRをブロックすることが、SLEと乾癬の両方で炎症状態の皮膚に浸潤するpDCを減らすのに十分である可能性があることを示唆している。したがってC5aは、乾癬を治療するための重要な治療標的となる可能性がある。
【0020】
免疫グロブリンG含有免疫複合体(IC)は、多数の自己免疫疾患(例えば全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン病、グッドパスチャー症候群、過敏性肺炎)における病理生理学に関与している(Madaio, M.P.、Semin. Nephrol. 第19巻:48〜56ページ (1999年);Korganow, A.S.他、Immunity 第10巻:451〜459ページ (1999年);Bolten, W.K.、Kidney Int. 第50巻:1754〜1760ページ (1996年);Ando, M.他、Curr. Opin. Pulm. Med. 第3巻:391〜399ページ (1997年))。これらの疾患は非常に多様であり、一般に以下の1つ以上の臓器に影響を及ぼす:皮膚、血管、関節、腎臓、心臓、肺、神経系、肝臓(その中に肝硬変と肝臓線維症が含まれる)。これらのIC疾患における炎症反応の古典的な動物モデルは、多形核細胞の浸潤、出血、血漿滲出を特徴とするアルツス反応である(Arthus, M.、C. R. Soc. Biol. 第55巻:817〜824ページ (1903年))。最近の研究により、C5aRが欠乏したマウスは、ICによって誘導される組織損傷から保護されることがわかった(Kohl, J.他、Mol. Immunol. 第36巻:893〜903ページ (1999年);Baumann, U.他、J. Immunol. 第164巻:1065〜1070ページ (2000年))。これらの結果は、小さなペプチド性抗C5aRアンタゴニストがICの堆積によって起こる炎症反応を抑制するという観察と一致している(Strachan, A.J.他、J. Immunol. 第164巻:6560〜6565ページ (2000年))。C5aは、その受容体とともに、IC疾患の発症において重要な役割を果たしている。C5aとC5aRの阻害剤は、これらの疾患を治療するのに役立つ可能性がある。
【0021】
関連する技術の説明
【0022】
非ペプチドをベースとしたC5a受容体アンタゴニストが最近になってようやく文献に報告された(例えばSumichika, H.他、J. Biol. Chem. (2002年)、第277巻、49403〜49407ページ)。非ペプチドをベースとしたC5a受容体アンタゴニストの有効性は、マウスにおける内毒素性ショックの治療(Stracham, A. J.他、J. of Immunol. (2000年)、第164巻(12):6560〜6565ページ)と、ラット・モデルにおけるIBDの治療(Woodruff, T. M.他、J. of Immunol.、2003年、第171巻:5514〜5520ページ)に関して報告されている。非ペプチドをベースとしたC5a受容体のモジュレータも、ニューロジェン社による特許文献(例えばWO2004/043925、WO2004/018460、WO2005/007087、WO03/082826、WO03/08828、WO02/49993、WO03/084524)、ドンペ社による特許文献(WO02/029187)、クィーンランド大学による特許文献(WO2004/100975)に記載されている。
【0023】
文献には、多数の疾患と異常(特に自己免疫疾患と炎症性疾患)でC5aのレベルが上昇していることを示す多数の実験的証拠が存在している。したがって、上昇したアナフィラトキシン活性レベルに付随する病因イベント(例えば走化性)の抑制に役立つC5a受容体(C5aR)の新しい小さな有機分子モジュレータ(例えばアゴニスト、アンタゴニスト(これが好ましい)、部分アゴニスト)が相変わらず必要とされている。本発明は、この必要性とそれ以外の必要性を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
1つの特徴では、本発明により、一般式:
【化1】

を持つ化合物と、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体が提供される。ただしこの一般式において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0025】
本発明により、この明細書に提示した化合物に加え、これらの化合物を1又は複数種類含む医薬組成物と、その化合物を主にC5aシグナル伝達活性に関連する疾患を治療するための治療法で用いる方法がさらに提供される。
【0026】
さらに別の特徴では、本発明により、個人の疾患を診断する方法が提供される。その方法では、この明細書に提示した化合物を標識した形態で対象に投与した後、画像診断によってC5aRの存在または不在を明らかにする。関連する特徴では、組織サンプルまたは血液サンプルをこの明細書に提示した標識した化合物に接触させた後、サンプル中のC5aRの存在、または不在、または量を明らかにすることによって疾患を診断する方法を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1−1】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−2】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−3】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−4】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−5】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−6】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−7】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−8】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−9】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−10】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−11】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−12】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−13】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−14】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−15】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−16】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−17】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−18】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−19】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−20】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−21】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−22】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【図1−23】本発明の代表的な化合物の構造と活性を示している。これらの化合物は、通常は以下に一般論を示した方法と、実施例に示した方法で調製した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.略号と定義
【0029】
単独での、または別の置換基の一部としての“アルキル”という用語は、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子を有する(すなわちC1〜8は1〜8個の炭素を意味する)直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、s-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどがある。“アルケニル”という用語は、1つ以上の二重結合を有する不飽和アルキル基を表わす。同様に、“アルキニル”という用語は、1つ以上の三重結合を有する不飽和アルキル基を表わす。このような不飽和アルキル基の例として、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブチニルのほか、より高次の同族体と異性体がある。“シクロアルキル”という用語は、環に指定された数の原子を持ち、完全に飽和していて、環の頂点間の二重結合が1つ以下である炭化水素環を表わす(例えばC3〜6シクロアルキル)。“シクロアルキル”は、二環と多環の炭化水素環も意味し、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどがある。“ヘテロシクロアルキル”という用語は、N、O、Sの中から選択した1〜5個のヘテロ原子を含んでいて、窒素原子とイオウ原子が任意に酸化されていて、窒素原子が任意に四級化されているシクロアルキル基を表わす。ヘテロシクロアルキルは、単環系、二環系、多環系のいずれかが可能である。ヘテロシクロアルキル基の例として、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどがあるが、これだけに限られるわけではない。ヘテロシクロアルキル基は、環の炭素またはヘテロ原子を通じて分子の残部に結合させることができる。
【0030】
単独での、または別の置換基の一部としての“アルキレン”という用語は、アルカンから誘導される二価の基を意味し、その例は-CH2CH2H2CH2-である。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を持つが、本発明では10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。“低級アルキル”または“低級アルキレン”は、鎖がより短いアルキル基またはアルキレン基であり、一般に4個以下の炭素原子を有する。同様に、“アルケニレン”と“アルキニレン”は、“アルキレン”の不飽和形態で、それぞれ二重結合または三重結合を有するものを表わす。
【0031】
単独での、または別の用語と組み合わせての“ヘテロアルキル”という用語は、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子と、O、N、Si、Sからなるグループの中から選択した1〜3個のヘテロ原子とからなる、直鎖、分岐鎖、環式の安定な炭化水素基、またはこれらの組み合わせを意味する。ただし、その中の窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基内の任意の位置に位置することができる。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基の任意の位置(例えばアルキル基が分子の残部に結合する位置)に位置することができる。例として、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3などがある。例えば-CH2-NH-OCH3、-CH2-O-Si(CH3)3のように、ヘテロ原子が2個まで連続していてもよい。同様に、単独での、または別の用語と組み合わせての“ヘテロアルケニル”と“ヘテロアルキニル”という用語は、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子と、O、N、Si、Sからなるグループの中から選択した1〜3個のヘテロ原子とからなるアルケニル基またはアルキニル基をそれぞれ意味する。ただし、その中の窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基内の任意の位置に位置することができる。
【0032】
単独での、または別の置換基の一部としての“ヘテロアルキレン”という用語は、飽和、または不飽和、または多不飽和で、ヘテロアルキルに由来する2価の基を意味し、その例として、-CH2-CH2-S-CH2CH2-、-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-、-O-CH2-CH=CH-、-CH2-CH=C(H)CH2-O-CH2-、-S-CH2-C≡C-がある。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖の一端または両端も占めることができる(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。
【0033】
“アルコキシ”、“アルキルアミノ”、“アルキルチオ”(またはチオアルコキシ)という用語は通常の意味で用いられ、それぞれ、酸素原子、アミノ基、イオウ原子を通じて分子の残部に結合したアルキル基を表わす。それに加え、ジアルキルアミノ基では、その2つのアルキル部は同じでも異なっていてもよく、また、それぞれが結合する窒素原子と合わさって3〜7員の環を形成することもできる。したがって-NRaRbで表わされる基には、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどが含まれる。
【0034】
単独での、または別の置換基の一部としての“ハロ”または“ハロゲン”という用語は、特に断わらない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。したがって“ハロアルキル”などの用語には、モノハロアルキル、ポリハロアルキルが含まれる。例えば“C1〜4ハロアルキル”という用語には、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどが含まれる。
【0035】
“アリール”という用語は、特に断わらない限り、多不飽和の典型的には芳香族炭化水素基を意味する。その芳香族炭化水素基は、単環であっても、互いに縮合するか共有結合した多環(環は3つまで)であってもよい。“ヘテロアリール”という用語は、N、O、Sから選択した1〜5個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)を意味する。ただし、その中の窒素原子とイオウ原子は任意に酸化され、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されている。ヘテロアリール基はヘテロ原子を通じて分子の残部に結合することができる。アリール基の例として、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどがあり、ヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどがあるが、これだけに限られることはない。上記のアリール環系とヘテロアリール環系のそれぞれに対する置換基は、以下に記載する許容可能な置換基のグループの中から選択される。
【0036】
簡単にするため、“アリール”という用語を他の用語を組み合わせて用いるとき(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)には、上に定義したアリール環とヘテロアリール環の両方が含まれるものとする。したがって“アリールアルキル”には、アリール基がアルキル基に結合した基が含まれる(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)。
【0037】
いくつかの実施態様では、上記の用語(例えば“アルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”)に、示されている基が置換された形態と置換されていない形態の両方が含まれる。それぞれのタイプの基にとって好ましい置換基を以下に示す。簡単にするため、アリールとヘテロアリールという用語は、以下に示すように置換された形態または置換されていない形態を意味するのに対し、“アルキル”という用語と、それに関係する脂肪族基は、置換されていることが示されていない限り、置換されていない形態を意味する。
【0038】
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルとしばしば呼ばれる基を含む)に対する置換基としてさまざまな基が可能であり、-ハロゲン、-OR'、-NR'R"、-SR'、-SiR'R"R"'、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR'-C(O)NR"R"'、-NR"C(O)2R'、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R"、-NR'S(O)2R"、-CN、及び-NO2の中から選択され、その数は、ゼロ〜(2m'+1)である(ここにmは、これらの基に含まれる炭素原子の総数である)。R'、R"、R'"は、それぞれ独立に、水素、置換されていないC1〜8アルキル基、置換されていないヘテロアルキル基、置換されていないアリール基、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール基、置換されていないC1〜8アルコキシ基、置換されていないC1〜8チオアルコキシ基、置換されていないアリール-C1〜4アルキル基を意味する。R'とR"が同じ窒素原子に結合する場合には、これらの基が窒素原子と合わさって3員、4員、5員、6員、7員いずれかの環を形成することができる。例えば-NR'R"には、1-ピロリジニルと4-モルホリニルが含まれる。単独での、または別の置換基の一部としての“アシル”という用語は、アルキル基において、その基が結合する点に最も近い炭素上の2つの置換基が置換基=Oで置換された基を意味する(例えば-C(O)CH3、-C(O)CH2CH2OR'など)。
【0039】
同様に、アリール基とヘテロアリール基の置換基はさまざまであり、一般に、-ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R"、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R"、-C(O)R'、-OC(O)NR' R"、-NR"C(O)R'、-NR"C(O)2R'、-NR'-C(O)NR"R"'、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R"、-NR'S(O)2R"、-N3、ペルフルオロ(C1〜C4)アルコキシ、及びペルフルオロ(C1〜C4)アルキルの中から選択され、その数は、ゼロ〜芳香族環系上の空いた価数の総数である。R'、R"、R'"は、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、(置換されていないアリール)-C1〜4アルキル、置換されていないアリールオキシ-C1〜4アルキルの中から選択される。他の適切な置換基として、炭素原子が1〜4個のアルキレンによって環の原子に結合した上記の各アリール置換基がある。
【0040】
アリール環またはヘテロアリール環の隣り合った原子上の置換基のうちの2つは、任意に一般式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基(ここにTとUは、独立に、 -NH-、-O-、-CH2-、単結合のいずれかであり、qは、0 〜2の整数である)で置換されていてもよい。あるいは.アリール環またはヘテロアリール環の隣り合った原子上の置換基のうちの2つは、任意に一般式-A-(CH2)r-B-,の置換基(ここにAとBは、独立に、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-、単結合のいずれかであり、rは1〜3の整数である)で置換されていてもよい。このようにして形成される新しい環の単結合の1つは、任意に二重結合で置換されていてもよい。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣り合った原子上の置換基のうちの2つは、任意に一般式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基(ここにsとtは、独立に0〜3の整数であり、Xは、 -O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-のいずれかである)で置換されていてもよい。-NR'-と-S(O)2NR'の置換基R'は、水素または置換されていないC1-6アルキルから選択される。
【0041】
この明細書では、“ヘテロ原子”に、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ素(Si)が含まれるものとする。
【0042】
“イオン性液体”という用語は、主にイオンを含む任意の液体を意味する。本発明では、“イオン性液体”は、融点が比較的低い(例えば250℃未満)塩を意味することが好ましい。イオン性液体の例として、テトラフルオロホウ酸1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-ノニル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロミドなどがあるが、これだけに限られるわけではない。
【0043】
“医薬として許容可能な塩”という用語には、この明細書に記載した化合物に見られる個々の置換基に応じて比較的毒性のない酸または塩基を用いて調製される活性な化合物の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含んでいる場合には、そのような化合物の中性形態を十分な量の望む塩基とそのまま接触させるか、適切な不活性溶媒の中で接触させることにより、塩基添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な無機塩基に由来する塩として、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などがある。医薬として許容可能な有機塩基に由来する塩として、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンの塩(その中には置換されたアミン、環式アミン、天然のアミンなどが含まれる)があり、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含んでいる場合には、そのような化合物の中性形態を十分な量の望む酸とそのまま接触させるか、適切な不活性溶媒の中で接触させることにより、酸添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な酸添加塩の例として、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、モノ水素炭酸、リン酸、モノ水素リン酸、ジ水素リン酸、硫酸、モノ水素硫酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など)に由来する塩と、比較的非毒性の有機酸(酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)に由来する塩がある。アミノ酸(アルギン酸など)の塩と、有機酸(グルクロン酸、ガラクツロン酸など)の塩も含まれる(例えばBerge, S. M.他、「医薬用の塩」、 Journal of Pharmaceutical Science, 1977年、第66巻、1〜19ページを参照のこと)。本発明の特別ないくつかの化合物は、塩基性官能基と酸性官能基の両方を含んでいるため、その化合物を塩基添加塩または酸添加塩に変換することができる。
【0044】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させた後、親化合物を通常の方法で分離することによって再生できる。化合物の親形態は、さまざまな塩の形態とはいくつかの物理的特性(例えば極性溶媒への溶解度)が異なっているが、それ以外は、本発明の目的に関してその塩は化合物の親形態と同等である。
【0045】
本発明により、塩の形態に加え、プロドラッグの形態の化合物が提供される。この明細書に記載した化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化して本発明の化合物になる化合物である。それに加え、プロドラッグは、生体外環境で化学的方法または生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えばプロドラッグは、経皮パッチのリザーバの中に適切な酵素または化学物質とともに配置すると、ゆっくりと本発明の化合物に変換させることができる。
【0046】
本発明のいくつかの化合物は、溶媒化していない形態と溶媒化した形態(水和した形態が含まれる)で存在することができる。一般に、溶媒化した形態は溶媒化していない形態と同等であり、本発明の範囲に含まれるものとする。本発明のいくつかの化合物は、多結晶形態またはアモルファス形態で存在することができる。一般に、本発明で考慮する用途に関してはあらゆる物理的形態が同等であり、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0047】
本発明のいくつかの化合物は、不整炭素原子(光学中心)または二重結合を有する。ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、個々の異性体(例えば別々の鏡像異性体)はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。本発明の化合物は、そのような化合物を構成する1個以上の原子の位置に同位体を天然とは異なる割合で含んでいてもよい。例えば化合物を放射性同位体(例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)、炭素-14(14C))で標識することができる。同位体が異なる本発明のあらゆる化合物は、それが放射性であるかどうかに関係なく、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0048】
II.化合物
【0049】
1つの特徴では、本発明により、一般式(I):
【化2】

を持つ化合物と、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体が提供される。ただしこの一般式(I)において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0050】
一般式(I)において、置換基C1は、一実施態様では、フェニル、ピリジル、インドリル、及びチアゾリルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれは、任意に1〜3個のR1置換基で置換されている。好ましいのは、それぞれのR1が、独立に、-CN、-Rc、-NRaRb、及び-ORaからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合する場合には、その窒素原子と合わさってピロリジン環を形成することができ;それぞれのRcが、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、及びC3〜6シクロアルキルからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部が、任意にさらに1〜3個のヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換され;2つのR1置換基が隣り合った原子上にある場合には、合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成することである。本発明の選択された実施態様では、C1の選択は、
【化3】

の中からなされる。
【0051】
一般式(I)に戻ると、置換基C2は、一実施態様では、フェニル、ナフチル、ピリジル、及びインドリルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれは、任意に1〜3個のR2置換基で置換されている。好ましいのは、それぞれのR2が、独立に、ハロゲン、-Rf、-ORdからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRdは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択され;それぞれのRfが、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、RdとRfの脂肪族部と環状部が、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されていることである。本発明の選択された実施態様では、C2の選択は、
【化4】

からなるグループの中からなされる。
【0052】
置換基C3は、いくつかの実施態様では、C3〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル-C1〜2アルキル、フェニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペリジニルメチル、及びピロリジニルメチルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれは、任意に1〜3個のR3置換基で置換されている。好ましいのは、それぞれのR3が、独立に、ハロゲン、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgRh、-ORg、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、その中のX4はC1〜3アルキレンであり;それぞれのRgとRhが、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合する場合には、その窒素原子と合わさって、N、O、Sから選択した0〜1個の追加のヘテロ原子を含む5員または6員の環を形成することができて、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiが、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjが、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部が、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されていることである。本発明の選択された実施態様では、C3の選択は、
【化5】

からなるグループの中からなされる。別の実施態様では、C3の選択は、
【化6】

からなるグループの中からなされる。
【0053】
一般式(I)に戻ると、XはHであることが好ましい。
【0054】
一般式(I)の下位式:
【0055】
本発明の一実施態様では、一般式(I)の化合物は、下位式(Ia):
【化7】

を持つ。
【0056】
本発明の第2の実施態様では、一般式(I)の化合物は、下位式(Ib):
【化8】

を持つ。
【0057】
本発明の第3の実施態様では、一般式(I)の化合物は、下位式(Ic):
【化9】

を持つ。ただし、X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;下添字nは0〜2の整数であり;X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;下添字mは0〜2の整数である。
【0058】
本発明の第4の実施態様では、一般式(I)の化合物は、下位式(Id):
【化10】

を持つ。ただし、X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;下添字nは0〜2の整数であり;X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;下添字mは0〜2の整数である。
【0059】
本発明の第5の実施態様では、一般式(I)の化合物は、下位式(Ie):
【化11】

を持つ。ただし、下添字pは0〜3の整数であり;X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;下添字nは0〜2の整数であり;X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;下添字mは0〜2の整数である。
【0060】
別の選択された実施態様では、本発明の化合物は、
【化12】

によって表わされる。ただし、置換基R1、R2、R3と、下添字pは、すべて、一般式(I)に関して説明したのと同じ意味である。
【0061】
さらに別の選択された実施態様では、本発明の化合物は、
【化13】

によって表わされる。ただし、置換基R1、R3と、下添字pは、すべて、一般式(I)に関して説明したのと同じ意味である。
【0062】
特に好ましい一群の実施態様では、本発明の化合物は、一般式(Ie5)において、R3が、-NRgRh、-NHRj、-NHCH2Rjからなるグループの中から選択したメンバーであり、それぞれのRg、Rh、Rjが、一般式(I)に関して説明したのと同じ意味である化合物として表わされる。
【0063】
別の特に好ましい一群の実施態様では、本発明の化合物は、一般式(Ie5)において、R3が、-X4-NRgRh、-X4-Rj、及び-X4-NRhCORgからなるグループの中から選択されたメンバーであり、X4、Rg、Rh、Rjのそれぞれが、一般式(I)に関して説明したのと同じ意味である化合物として表わされる。
【0064】
一般式(I)を持つ本発明の化合物は、さまざまなジアステレオマーの形態で存在することができる(例えば開式(Ia)と(Ic)の置換基C1とC2は、互いにシスまたは互いにトランスであることが可能である)。この明細書では、シスまたはトランスという用語は、化学における通常の意味で使用する。すなわち基準面(例えば二重結合、環系(デカリン型の環系やヒドロキノロン型の環系など))に対する置換基の互いの位置を表わす。シス異性体では置換基は基準面の同じ側にあり、トランス異性体では置換基は互いに反対側にある。それに加え、本発明では異なる配座異性体と異なる回転異性体が考えられる。配座異性体は、配座の異なる異性体であり、1つ以上のσ結合のまわりの回転が異なっていてよい。
【0065】
化合物の調製
【0066】
当業者であれば、請求項に示した分子の合成に利用できるさまざまな方法が存在していることがわかるであろう。一般に、請求項に示した分子の合成に役立つ方法は4つの部分、すなわちピペリジン環の形成、2つのアミド結合の取り付け、C1、C2、C3への官能基の取り付け、C1、C2、C3上の官能基の改変からなり、これらは任意の順番で実行してよい。
【0067】
請求項の化合物を調製するいくつかの方法を以下に示す(反応式1〜6)。
【0068】
【化14】

【0069】
反応式1〜4は、ピペリジン環を形成するいくつかの方法を示している。ピペリジン環の2位でのカップリングは、反応式1〜2に示したように遷移金属を媒介としたカップリングを通じて、または金属を触媒とした有機金属種(例えば亜鉛酸塩またはマグネシウム塩)の付加を通じて(反応式3)実現できる。2位でのカップリングの後、遷移金属を媒介としたピリジン環の水素化により、ピペリジン環系が生じる(反応式1〜3)。反応式4に示したように、別の方法によってβアミノ酸がピペリジン環に付加される。当業者であれば、多くの合成法(例えば、アルキル化または閉環メタセシスを通じた非環式前駆体のC-CまたはC-Nの環化)によって置換されたピペリジンを作り出せることがわかるであろう。多彩な方法(例えば水素化ステップでの面選択性)によって相対的な立体化学を設定できる。キラル・リガンドまたはキラル助剤の使用、キラルジアステレオ異性体の分離、キラル出発材料の使用、古典的な分割などの多彩な方法により、絶対的な立体化学も設定できる。2,3-トランス立体化学を持つ化合物は、ピペリジンの形成中に設定される相対的な立体化学を持つこと、または反応式5に示したように2,3-シス-ピペリジンのエピマー化を通じて誘導することができる。
【0070】
【化15】

【0071】
ピペリジン環のアシル化を反応式6で説明する。反応式6の場合には、Xは、OH、Cl、Fなどの適切な基から選択すること、またはアミンを付加するためにカルボニル基を活性化することのできる任意の基(例えばOSu、イミダゾールなど)から選択することができる。このようなカップリングは、無機塩基、有機塩基、活性化剤(例えばHBTU)を使用して支援すること、さらには触媒(特にアミド結合の形成を支援することが従来から知られている触媒であるDMPA、HOBTなど)によっても支援することができる。適切なカップリング・パートナーとして、カルボン酸とピペリジン、フッ化アシルとアミン、などがある。当業者であれば、やはり望む生成物が得られる他の可能な組み合わせが存在することがわかるであろう。
【0072】
【化16】

【0073】
上記の多彩な方法を利用して本発明の化合物を調製した。そのうちのいくつかを実施例で説明する。
【0074】
一般式(I)を持つ特に興味深い特別な化合物のファミリーは、図1に示したような化合物、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体からなる。
【0075】
III.医薬組成物
【0076】
ヒトと動物でC5aの活性を変化させる組成物は、上記の化合物に加え、一般に医薬用の基剤または希釈剤を含んでいる。
【0077】
この明細書では、“組成物”という用語に、特定の諸成分を特定の量含む生成物のほか、直接または間接に特定の量の特定の諸成分の組み合わせから生じるあらゆる生成物が含まれるものとする。“医薬として許容可能な”は、基剤、希釈剤、賦形剤が製剤の他の諸成分と適合していて、レシピエントに害があってはならないことを意味する。
【0078】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は単位投与量の形態にすると好都合であり、薬学と薬送達の分野でよく知られている任意の方法で調製することができる。どの方法も、活性成分を、1種類以上の補助成分を構成する基剤と組み合わせるステップを含んでいる。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体基剤と細かく分割した固体基剤の一方または両方と均一かつ密に組み合わせた後、必要な場合には生成物を整形して望む製剤にすることによって調製する。医薬組成物の中で、対象となる活性な化合物は、疾患の進行または症状に対して望む効果を生じさせるのに十分な量が含まれている。
【0079】
活性成分を含む医薬組成物は、経口での使用に適した形態にすることができる。そのような形態として、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液、油性懸濁液、分散可能な粉末、分散可能な顆粒、アメリカ合衆国特許出願公開2002-0012680に記載されているようなエマルジョンと自己乳化剤、硬カプセル、軟カプセル、シロップ、エリキシル、溶液、頬パッチ、経口ゲル、チューインガム、噛むことのできる錠剤、発泡性粉末、発泡性錠剤がある。経口用の組成物は、医薬組成物の製造に関して従来から知られている任意の方法で調製でき、そのような組成物は、エレガントで口当たりのよい医薬組成物にするため、甘味剤、香味剤、着色剤、酸化防止剤、保存剤からなるグループの中から選択した1種類以上の化合物を含むことができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適していて医薬として可能な非毒性の賦形剤との混合物の形態で含んでいる。賦形剤として、例えば、不活性な希釈剤(セルロース、二酸化ケイ素、アルミニウム酸化物、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど);顆粒剤、崩壊剤(例えばコーン・スターチ、アルギン酸);結合剤(例えばPVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク)が可能である。錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅延させてより長期にわたって作用を維持するため公知の方法で腸用またはその他用のコーティングをされていてもよい。遅延材料として、例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルを使用することができる。これらは、アメリカ合衆国特許第4,256,108号、第4,166,452号、第4,265,874号に記載されている方法によってコーティングし、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成することができる。
【0080】
経口用の製剤は、活性成分と不活性な固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン)の混合物が中にある硬ゼラチン・カプセルとして、または活性成分と水または油媒体(例えばピーナツ油、液体パラフィン、オリーブ油)の混合物が中にある軟ゼラチン・カプセルとして提供することもできる。それに加え、エマルジョンは、水以外の混和成分(例えば油)を用いて調製し、界面活性剤(例えばモノ-ジグリセリド、PEGエステルなど)を用いて安定化させることができる。
【0081】
水性懸濁液は、活性成分を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物の形態で含んでいる。そのような賦形剤は懸濁剤であり、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム)が挙げられる。分散剤または湿潤剤として、天然のホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばポリステアリン酸オキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸に由来する部分エステルおよびヘキシトールとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビトール)、エチレンオキシドと、脂肪酸に由来する部分エステルおよび無水ヘキシトールとの縮合生成物(例えばポリエチレンモノオレイン酸ソルビタン)が可能である。水性懸濁液は、1種類以上の保存剤(例えばエチル安息香酸塩、n-プロピル安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩)、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、1種類以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン)も含むことができる。
【0082】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えばピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ココナツ油)または鉱物油(例えば液体パラフィン)に懸濁させることによって調製できる。油性懸濁液は、増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン、セチルアルコール)を含むことができる。甘味剤(上記のもの)と香味剤を添加して口当たりのよい調製物にすることができる。これら組成物は、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸)を添加して保存することができる。
【0083】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散可能な粉末と顆粒は、活性成分を、分散剤または湿潤剤と、懸濁剤と、1種類以上の保存剤との混合物の形態で提供する。適切な分散剤、湿潤剤、懸濁剤の例は、上記のものである。追加の賦形剤(例えば甘味剤、香味剤、着色剤)も存在していてよい。
【0084】
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態にすることもできる。油相として、植物油(例えばオリーブ油、ピーナツ油)または鉱物油(例えば液体パラフィン)、またはこれらの混合物が可能である。適切な乳化剤として、天然ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカントゴム)、天然のホスファチド(例えばダイズのレシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル(例えばポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン)が可能である。これらエマルジョンは、甘味剤と香味剤も含むことができる。
【0085】
シロップとエリキシルは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース)を用いて調製できる。このような製剤は、緩和剤、保存剤、香味剤、着色剤も含むことができる。経口溶液は、例えばシクロデキストリン、PEG、界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0086】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液の形態にすることができる。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤と、懸濁剤とを用いて公知の方法に従って製剤にすることができる。無菌の注射可能な組成物として、非経口投与が可能な非毒性の希釈剤または溶媒の中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば1,3-ブタンジオールの中の溶液)も可能である。使用できる許容可能な賦形剤および溶媒として、水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液がある。それに加え、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常は用いられる。この目的で、刺激のない任意の不揮発性油(例えば合成したモノグリセリドまたはジグリセリド)を使用できる。それに加え、脂肪酸(例えばオレイン酸)が、注射可能液の調製に使用されている。
【0087】
本発明の化合物は、薬を直腸に投与するための座薬の形態で投与することもできる。この組成物は、薬を、常温では固体だが直腸温では液体になる適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製でき、直腸で溶けて薬が放出される。そのような材料として、カカオバター、ポリエチレングリコールなどがある。それに加え、この化合物は、溶液または軟膏による目への送達を通じて投与することができる。さらに、対象とする化合物の経皮送達は、電離パッチなどによって実現できる。局所的な利用に関しては、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、懸濁液などが使用される。この明細書では、局所投与に含嗽液やうがい液の使用も含まれるものとする。
【0088】
本発明の化合物は、薬を標的に送達できる基剤として適したポリマーである基剤とカップルさせることもできる。そのようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン・コポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミド-フェノール、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンなどが挙げられる。さらに、本発明の化合物は、 薬の制御放出を実現するのに役立つ生体分解性ポリマーの1つのクラスである基剤とカップルさせることができる。そのような基剤として、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸またはポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート 、ヒドロゲルの架橋ブロック・コポリマーまたは両親媒性ブロック・コポリマーがある。ポリマーと半透過性ポリマー・マトリックスは、成形部品(例えばバルブ、ステント、チューブ、プロテーゼなど)にすることができる。本発明の一実施態様では、本発明の化合物をポリマー・マトリックスまたは半透過性ポリマー・マトリックスとカップルさせ、ステントまたはステント-移植装置にする。
【0089】
IV.C5aによって変化した疾患と異常を治療する方法
【0090】
本発明の化合物は、試験管内と生体内のさまざまな状況において、C5a受容体のアゴニスト、アンタゴニスト(これが好ましい)、部分アゴニスト、逆アゴニストとして使用できる。一実施態様では、本発明の化合物は、試験管内または生体内でC5a受容体のリガンド(例えばC5a)がC5a受容体に結合するのを抑制するのに使用できるC5aRアンタゴニストである。一般に、そのような方法は、水溶液の中で、リガンドがC5a受容体に結合するのに適した条件下にて、C5a受容体を、この明細書に記載した1種類以上の十分な量のC5a受容体モジュレータと接触させるステップを含んでいる。C5a受容体は、懸濁液(例えば分離された膜または細胞の調製物)、培養した細胞、分離した細胞、組織、臓器の中に存在することができる。
【0091】
C5a受容体と接触させるC5a受容体モジュレータの量は、例えばこの明細書に記載した放射性リガンド結合アッセイ、カルシウム動員アッセイ、走化性アッセイを利用して測定したときに試験管内でC5aがC5a受容体に結合するのを抑制するのに十分でなければならない。
【0092】
本発明の一実施態様では、本発明のC5aモジュレータを用いてC5a受容体のシグナル伝達活性を変化させる(抑制することが好ましい)。そのためには、例えば(試験管内または生体内で)そのモジュレータが受容体に結合するのに適した条件下で、本発明の1種類以上の化合物をC5a受容体と接触させる。受容体は、溶液、懸濁液、培養した細胞調製物、分離した細胞調製物、患者の中に存在することができる。シグナル伝達活性の何らかの変化は、カルシウム・イオン動員に対する効果を検出することによって、またはC5a受容体を媒介とした細胞走化性に対する効果を検出することによって調べることができる。一般に、有効な量のC5aモジュレータは、カルシウム動員アッセイにおいて試験管内でC5a受容体シグナル伝達活性を変化させるのに十分な量、または遊走アッセイにおいてC5a受容体を媒介とした細胞走化性を変化させるのに十分な量である。
【0093】
試験管内走化性アッセイにおいてC5a受容体を媒介とした細胞走化性(白血球(例えば好中球)の走化性が好ましい)を抑制するのに本発明の化合物を用いる場合には、その方法は、白血球細胞(特に霊長類の白血球細胞、その中でも特にヒト白血球細胞)を本発明の1種類以上の化合物と接触させる操作を含んでいる。濃度は、試験管内走化性アッセイにおいて白血球細胞の走化性を抑制するのに十分であることが好ましい。その結果、対照アッセイで観察される走化性のレベルは、上述のように、本発明の化合物を添加したアッセイで観察されるレベルよりも顕著に高くなる。
【0094】
別の一実施態様では、本発明の化合物をさらに、C5a受容体の変化に反応する疾患に苦しむ患者の治療に使用できる。この明細書では、“治療する”または“治療”という用語に、疾患を変化させる処置と症状の処置の両方が含まれ、そのどちらも、予防(すなわち症状が現われる前に、重篤な症状の予防、遅延、軽減を図る)または治療(すなわち症状が現われた後、症状の重篤度および/または期間を軽減する)であってよい。この明細書では、C5a受容体の活性が変化してC5a受容体の不適切な活性が小さくなる場合に、疾患が“C5a受容体の変化に反応する”と考える。この明細書では、“患者”という用語に、霊長類(特にヒト)、飼い馴らされて仲間となる動物(例えばイヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジなど)が含まれ、投与量はこの明細書に記載した値になる。
【0095】
C5aを変化させることによって治療できる疾患
【0096】
自己免疫疾患 - 例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ギラン-バレー症候群、膵臓炎、ループス腎炎、ループス糸球体腎炎、乾癬、クローン病、脈管炎、過敏性腸症候群、皮膚筋炎、多発性硬化症、気管支炎性喘息、天疱瘡、類天疱瘡、強皮症、重症筋無力症、自己免疫性の溶血状態と血小板減少状態、グッドパスチャー症候群(とそれに関連する糸球体腎炎、肺出血)、免疫脈管炎、組織移植拒絶、移植された臓器の超急性拒絶など。
【0097】
炎症性疾患とそれに関連する疾患 - 例えば、好中球減少症、敗血症、敗血症性ショック、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳卒中、炎症性腸疾患(IBD)、重度の火傷に付随する炎症、肺損傷、虚血-再還流障害、変形性関節炎のほか、急性(成人)呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、アトピー性皮膚炎、乾癬、慢性蕁麻疹、多臓器不全症候群(MODS)。病気に起因する続発症として、インスリン依存性糖尿病(糖尿病性網膜炎を含む)、ループス腎症、ヘイマン腎炎、膜性腎炎、他の形態の糸球体腎炎、接触過敏性反応、血液を例えば体外で循環させている間(例えば血液透析の間や、冠動脈バイパス移植や心臓の弁交換などの血管手術に付随して心臓-肺機械を経由させるとき)に補体を活性化させることのできる人工表面に血液が接触することによる炎症、他の人工血管または容器表面(例えば血管支援装置、人工心臓機械、輸血チューブ、血液保管バッグ、血漿瀉血、血小板瀉血など)と接触することに伴う炎症に付随するものなども含まれる。また、虚血/再還流障害に関係する疾患(例えば移植(固形臓器の移植を含む)から生じる疾患)と症候群(例えば虚血再還流障害、虚血性大腸炎、心臓虚血)も含まれる。本発明の化合物は、加齢性黄斑変性の治療にも役立つ可能性がある(Hageman他、P.N.A.S.、第102巻、7227〜7232ページ、2005年)。
【0098】
心臓血管疾患と脳血管疾患 - 例えば心筋梗塞、冠状動脈血栓症、血管閉塞、手術後血管再閉塞、アテローム性硬化症、外傷性中枢神経損傷、虚血性心疾患。一実施態様では、心筋梗塞または血栓症のリスクがある患者(すなわち心筋梗塞または血栓症に関してわかっている1つ以上のリスク因子(肥満、喫煙、高血圧、高コレステロール血症のほか、心筋梗塞または血栓症に以前なったことがあるか、その家系であることなど)を持つ患者)に本発明の化合物を有効な量投与し、心筋梗塞または血栓症のリスクを減らすことができる。
【0099】
さまざまな脈管炎 - 脈管炎は、血管の炎症を特徴とする。白血球の浸潤によって血管の壁が破壊され、白血球の遊走開始と、その結果として炎症部位に現われる障害に、補体経路が主要な役割を果たすと考えられている(『脈管炎』、第2版、BallとBridges編、オックスフォード大学出版、47〜53ページ、2008年)。本発明によって提供される化合物を治療に使えるのは、白血球破壊性血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ-ストラウス症候群、ヘノーホ-シェーンライン紫斑病、結節性多発性動脈炎、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)、寒冷グロブリン血症、巨細胞性動脈炎(GCA)、ベーチェット病、高安動脈炎(TAK)に対してである。
【0100】
HIV感染とエイズ - この明細書で提供するC5a受容体モジュレータは、HIVの感染を抑制したり、エイズの進行を遅らせたり、症状を軽くしたり、HIV感染とエイズ発症を低下させたりするのに使用できる。
【0101】
神経変性疾患とそれに関連する疾患 - さらに別の特徴では、この明細書で提供するC5aアンタゴニストは、アルツハイマー病、多発性硬化症、心臓肺バイパス手術とそれに関係する処置に伴う認知機能の低下の治療に使用できる。
【0102】
本発明の一実施態様では、本発明の化合物を用い、敗血症(とそれに付随する疾患)、COPD、関節リウマチ、ループス腎炎、多発性硬化症からなるグループの中から選択した疾患を治療することができる。
【0103】
この明細書で提供する治療法には、一般に、この明細書に記載した1種類以上の化合物の有効量を患者に投与する操作が含まれる。適した患者として、この明細書に示した疾患に苦しむ患者、またはこの明細書に示した疾患に感受性のある患者(すなわち予防措置)が挙げられる。この明細書に記載した治療の対象となる典型的な患者として、哺乳動物、特に霊長類、その中でも特にヒトが挙げられる。適した他の患者として、飼い馴らされて仲間となる動物(例えばイヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジなど)が挙げられる。
【0104】
一般に、この明細書で提供する治療法には、この明細書に記載した1種類以上の化合物の有効量を患者に投与する操作が含まれる。好ましい一実施態様では、本発明の化合物は、患者(例えばヒト)に経口投与または局所投与することが好ましい。有効な量は、C5a受容体の活性を変化させるのに十分な量および/または患者の症状を軽減したり緩和したりするのに十分な量が可能である。投与量は、試験管内で白血球細胞(例えば好中球)の走化性の抑制を検出できるくらいに化合物(または、プロドラッグの場合の活性な代謝産物)の血漿濃度を高くするのに十分な量であることが好ましい。治療計画は、使用する化合物と治療する個々の疾患に応じて異なる可能性がある。たいていの疾患の治療では、1日に4回以下という投与頻度が好ましい。一般に、1日に2回という投与計画がより好ましく、1日に1回投与することが特に好ましい。しかし特定の患者の特別な投与レベルと治療計画は、さまざまな因子(例えば使用する個々の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ(すなわちその患者に投与されている他の薬)、治療している疾患の重篤度)と、処方する医療従事者の判断に依存するであろうことが理解されよう。一般に、有効な治療を提供するのに十分な最少投与量を用いることが好ましい。患者は、一般に、治療または予防しようとする疾患に合った医学的基準または獣医学的基準を利用して治療効果をモニターすることができる。
【0105】
体重1kgにつき1日当たり約0.1mg〜約140mgという投与量のレベルが、病気に起因するC5aの活性が関与する疾患の治療または予防に有用である(ヒト患者一人当たり1日に約0.5mg〜約7g)。単一の剤形を作るのに基剤材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療する宿主と個々の投与モードによって異なるであろう。単位剤形は、一般に、約1mg〜約500mgの活性成分を含むことになる。経口投与、経皮投与、静脈内投与、皮下投与される化合物に関しては、5ng(ナノグラム)/ml〜10μg(マイクログラム)/mlという血清濃度を実現するのに十分な量の化合物を投与することが好ましい。より好ましいのは、20ng〜1μg/mlという血清濃度を実現するのに十分な化合物を投与することであり、最も好ましいのは、50ng〜200ng/mlという血清濃度を実現するのに十分な化合物を投与することである。(関節炎の治療を目的とした)滑膜への直接的な注入に関しては、局所濃度が約1マイクロモルとなるのに十分な化合物を投与せねばならない。
【0106】
投与頻度は、使用する化合物と治療する個々の疾患によっても異なる可能性がある。しかしたいていの疾患の治療では、1日に4回以下という投与頻度が好ましい。一般に、1日に2回という投与計画がより好ましく、1日に1回投与することが特に好ましい。しかし特定の患者の特別な投与レベルと治療計画は、さまざまな因子(例えば使用する個々の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ(すなわちその患者に投与されている他の薬)、治療している疾患の重篤度)と、他の因子(例えば処方する医療従事者の判断)に依存するであろうことが理解されよう。
【0107】
本発明の別の特徴では、本発明の化合物を、試験管内と生体内において医薬としてではないさまざまな用途で使用することができる。例えば本発明の化合物に標識し、C5a受容体の検出と局在を探すためのプローブとして利用することができる(細胞調製物または組織切片のサンプル)。本発明の化合物は、C5a受容体の活性を調べるアッセイにおいて正の対照として、すなわちC5a受容体に結合する候補化合物の能力を判断するための基準として使用することや、陽電子放射断層撮影法(PET)と単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)のための放射性トレーサとして使用することもできる。このような方法を利用して生体内でのC5a受容体の特徴を明らかにすることができる。例えば多数ある公知の技術のうちの任意のものを利用してC5a受容体モジュレータに標識し(例えばトリチウムなどの放射性核種で放射性標識する)、(例えば結合に要する時間を最初に調べることによって決まる)適切なインキュベーション時間にわたってサンプルとともにインキュベートすることができる。インキュベーションの後、結合しなかった化合物を(例えば洗浄によって)除去し、結合した化合物を、使用した標識に合った任意の方法で検出する(例えば放射性標識をした化合物の放射能写真撮影またはシンチレーション計数;分光法を利用すると、発光基と蛍光基を検出することができる)。対照として、標識した化合物と、標識していないそれよりも量が多い(例えば10倍多い)化合物とを含む同等のサンプルを同じ方法で処理することができる。試験サンプルの中に残る検出可能な標識が対照よりも多いことが、サンプル中にC5a受容体が存在していることを示している。検出アッセイ(例えば、培養細胞または組織サンプル中のC5a受容体の受容体放射能写真撮影(受容体マッピング))は、Kuharの『薬学における最新のプロトコル』(1998年、ジョン-ワイリー&サンズ社、ニューヨーク)の8.1.1節〜8.1.9節に記載されているようにして実行できる。
【0108】
この明細書に記載した化合物は、よく知られているさまざまな細胞分離法でも使用できる。例えばモジュレータを組織培養プレートやそれ以外の支持体の内面に連結させて固定化するためのアフィニティ・リガンドとして用い、そのことによってC5a受容体を試験管内で単離する(例えば受容体を発現している細胞を分離する)ことができる。好ましい1つの応用では、蛍光マーカー(例えばフルオレセイン)に結合したモジュレータを細胞と接触させた後、その細胞を蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって分析(または分離)する。
【0109】
図1には、この明細書に記載した代表的な化合物の構造と活性を示してある。この明細書に記載した結合アッセイに関し、活性を以下のように示す:+、500 nM≦IC50<2000 nM;++、50 nM≦IC50<500 nM;+++、5 nM≦IC50<50 nM;++++、IC50<5 nM。
【0110】
V.実施例
【0111】
以下の実施例は例示のためのものであり、権利を請求する本発明を制限するものではない。
【0112】
以下に使用する試薬と溶媒は、市場の供給元(例えばオールドリッチ・ケミカル社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国))から得ることができる。1H NMRスペクトルは、Varian Mercury 400MHz NMR分光器で記録した。顕著なピークはTMSと比較して与えられ、順番に記載する:多重性(s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項)及び陽子の数。質量分析の結果は、電荷に対する質量の比として報告し、その後に各イオンの相対的な豊富さを(カッコの中に)示す。実施例では、単一のm/eの値を、最も一般的な原子同位体を含むM+H(またはM-Hの記載もある)イオンに関して報告する。同位体のパターンは、すべての場合に予想される式に対応する。エレクトロスプレー・イオン化(ESI)分光分析を、ヒューレット-パッカード社のMSDエレクトロスプレー分光器で実施した。サンプルの供給にはHP1100 HPLCを用いた。通常は、分析物をメタノールに0.1mg/mlの濃度に溶かし、1マイクロリットルを送達溶媒とともにこの質量分析器に注入する。この質量分析器では、100〜1500ダルトンを走査した。1%のギ酸を含むアセトニトリル/水を送達溶媒として使用してプラスESIモードですべての化合物を分析することができた。以下に示す化合物は、2mMのNH4OAcを含むアセトニトリル/水を送達系として使用してマイナスESIモードでも分析することができた。
【0113】
本発明の実施例と明細書全体で以下の略号を用いる。
EtOH:エタノール
EtONa:ナトリウムエトキシド
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィ
MeOH:メタノール
【0114】
本発明の範囲に含まれる化合物は、当業者に知られている多彩な反応を利用し、以下に説明するようにして合成することができる。当業者であれば、別の方法を利用して本発明の標的化合物を合成できることと、この明細書に記載した方法がすべてではなく、興味の対象である化合物に至る広く適用できて実用的な経路が提示されていることもわかるであろう。
【0115】
この明細書で権利を主張するいくつかの分子は、異なる鏡像異性体の形態および異なるジアステレオマーの形態で存在することができ、これら化合物のそのような変異体は請求項に含まれる。
【0116】
この明細書でカギとなる化合物の合成に利用する実験手続きの詳細な説明により、さまざまな分子に至る。それらの分子は、同定するための物理的データと構造の表示によって記述される。
【0117】
当業者であれば、有機化学における標準的なワーク・アップ手続きの間、酸と塩基が頻繁に利用されることもわかるであろう。親化合物の塩が、必要な固有の酸性または塩基性を持つ場合には、この明細書に記載した実験手続きの間にその塩が生成されることがある。
【実施例1】
【0118】
シス-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボン酸(3-トリフルオロメチルフェニル)アミドの合成
【0119】
【化17】

【0120】
a)2-クロロ-3-カルボキシエチルピリジン(25g、134.7ミリモル)、フェニルボロン酸(21.04g、172.6ミリモル)、K2CO3(55.1g、399ミリモル)を1,4-ジオキサン(200ml)と水(200ml)に溶かした溶液にPd(PPh3)4(3.0g、2.6ミリモル)を添加した。この反応混合物を2時間にわたって100℃に加熱した。次にこの溶液を室温まで冷却し、ジオキサンを減圧下で除去した。得られた水層を酢酸エチルで抽出し、1つにまとめた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、セライトで濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2, 10〜100%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、2-フェニルピリジン誘導体が91%の収率で得られた(27.98 g)。LC-MS Rt(保持時間):2.45分、MS:(ES) m/z 228 (M+H+)。
【0121】
b)2-フェニル-ニコチン酸エチルエステル(20g、88ミリモル、上記のステップaで調製)をEtOH(60ml)と濃HCl(15ml)に溶かした溶液にPtO2(800mg, 3.52ミリモル)を添加した。パー・シェイカーを40〜45psiで1時間使用してこの反応混合物を水素化した。次に、この反応混合物 をセライトで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3で洗浄した。 フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、0〜20% MeOH/CH2Cl2)によって精製すると、望む生成物が85%の収率で得られた(17.4 g)。LC-MS Rt(保持時間):1.73分、MS:(ES) m/z 234 (M+H+)。
【0122】
c)反応フラスコの中で、 2-フルオロ-6-メチル安息香酸(3.79g、24.6ミリモル)をCH2Cl2(20ml)に溶かした溶液に塩化オキサリル(3.2ml、30.75ミリモル)を室温で添加した後、触媒量のDMFを添加した。この反応物を室温にて2時間にわたって撹拌し続けた。溶媒と過剰な塩化オキサリルを真空中で除去し、残留物を高真空下で20分間にわたって乾燥させた。得られた酸塩化物を乾燥CH2Cl2(20ml) に溶かし、0℃まで冷却した後、ステップbで作ったピペリジン(5.56g、20.5ミリモル)とEt3N(8.6ml、61.5ミリモル)を添加した。次にこの混合物を放置して室温まで温め、一晩撹拌した。この反応混合物をCH2Cl2で希釈し、水を添加した。層を分離し、水層をCH2Cl2で抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、10〜35%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む化合物が7.47g 得られた(収率99%)。LC-MS Rt(保持時間):2.50分と2.58分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 370 (M+H+)。
【0123】
d) ステップcからのエステル(2.98g、8.06ミリモル)をTHF(100ml)に溶かした溶液に水素化アルミニウムリチウム溶液(THFの中に2.0M、8.2ml、16.4ミリモル)を0℃で添加した。得られた溶液 を0℃で2時間にわたって撹拌し続けると、反応が完了した。15%NaOH水溶液(625μl)を一滴ずつ添加して反応を終わらせた後、H2O(625μl)を添加した。得られた濁ったコロイド状混合物に水(1.85ml)を追加して添加し、得られた混合物を室温にて1時間にわたって撹拌し続けた。次にこの混合物をセライト・プラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、33〜67% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む生成物が2.46g得られた(収率93%)。LC-MS:Rt(保持時間):1.90分と2.09分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 328 (M+H+)。
【0124】
e) ステップdからのアルコール(1.42g、4.33ミリモル)を酢酸(65 ml)に溶かした溶液を 、CrO3(2.61g、26.1ミリモル)のスラリーを含むH2O(16ml)に室温で添加した。得られた混合物を室温で反応を完了させるまで撹拌し続けた(90分)。この混合物をセライト・プラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、3〜10% CH2Cl2:MeOHの後、50〜67% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む生成物が1.03g得られた(収率70%)。LC-MS:Rt(保持時間):1.88分と2.12分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 342 (M+H+)。
【0125】
f) 上で調製した酸(34.2mg、0.1ミリモル)とトリエチルアミン(6当量)をCH2Cl2(1ml)に溶かした溶液に3-トリフルオロメチルアニリン(16.2mg、0.1ミリモル、1.0当量)を添加した。次にT3P(95.5mg、0.15ミリモル)をゆっくりと添加し、得られた溶液を室温にて1.5時間にわたって撹拌した。この反応混合物を CH2Cl2(1ml)で希釈し、1NのHCl水溶液で洗浄した後、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO4の上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、5〜40% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、生成物が白色の固形物として35mg得られた(収率73%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.22〜2.45 (m, 8H)、2.93〜3.32 (m, 3H)、6.77〜7.82 (m, 12H)、9.10 (s, 0.38H)、9.30 (s, 0.62H)。LC-MS:Rt(保持時間)=2.88分、MS:(ES) m/z 485 (M+H+)。
【実施例2】
【0126】
N-(3-t-ブチルフェニル)-1-(5-クロロ-3-メチルピコリノイル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボキサミドの合成
【0127】
【化18】

【0128】
a)無水ジクロロメタン(0.5M)に溶かした塩化2-クロロニコチノイル(1.05当量)を、3-t-ブチルアニリン(1当量)と2MのK2CO3水溶液(2.2当量)を無水ジクロロメタン(0.5 M)に溶かした溶液に0℃で30分間かけて添加し、この反応混合物を室温でさらに1.5時間にわたって撹拌した。層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。.1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮すると、望むアミドが泡状固形物として得られた。 それをさらに精製することなく次のステップで使用した。MS:(ES) m/z 289.1 (M+H+)。
【0129】
b)上記のピリジンアミド(1当量)、フェニルボロン酸(1.4当量)、2MのK2CO3水溶液(2.4当量)をトルエン(0.7M)に溶かした溶液にPd(PPh3)4(2〜5モル%)を添加し、この反応混合物を一晩(約12時間)にわたって100℃に加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物をセライトで濾過し、そのセライト・プラグをEtOAcで洗浄した。濾液を水で希釈し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を自動化フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、EtOAc-ヘキサンの10%〜100%の勾配)によって精製し、真空中で乾燥させると、2-フェニル-3-カルボキシアミドピリジンが60〜75%の収率で得られた。MS:(ES) m/z 331.2 (M+H+)。
【0130】
c)上で調製した2-フェニルピリジン誘導体(1当量)をEtOHと濃HCl(過剰量、比は4:1)に溶かした溶液に PtO2(10モル%)を添加し、パー・シェイカーを40〜45psiで1.5時間使用してこの反応混合物を水素化した。それをセライトで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を濃縮した。残留物をCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。次に残留物を自動化フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、CH2Cl2-MeOHの1%〜30%%の勾配)によって精製し、真空中で乾燥させると、表題の化合物が、泡状固形物として約85%の収率で得られた。MS:(ES) m/z 337.2 (M+H+)。
【0131】
d)5-クロロ-3-メチルピコリン酸(30mg、0.16ミリモル)とN-(3-t-ブチルフェニル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボキサミド(50mg、0.15ミリモル、上のcで調製)を無水DMF(1ml)に溶かした。 N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.15ml)を室温で添加した後、HCTU(67mg、0.16ミリモル)を添加した。周囲温度で2時間にわたって撹拌した後、LC-MSとTLC によって反応が完了したことがわかった。この反応混合物をEtOAc(50ml)で希釈し、1NのHCl(20ml)、飽和NaHCO3(30ml)、ブライン(30ml) で洗浄し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。残留物を分離用HPLC(0.1%TFAを含むMeCN-H2Oが20→95%の勾配)によって精製し、純粋な画分を凍結乾燥させると表題の化合物が得られた(50mg、収率67%)。HPLC保持時間=2.88分。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.42 (d, 1H, J=0.8 Hz)、7.97 (br, 1H)、7.59 (d, 1H, J=0.8 Hz)、7.56 (d, 1H, J=7.6 Hz)、7.34 (m, 3H)、7.20 (m, 3H)、7.10 (d, 1H, J=7.6 Hz)、6.61 (2セットのbr, 1H)、3.12 (2セットのm, 2H)、2.94 (3セットのm, 1H)、2.36 (s, 3H)、2.20 (2セットのbr, 2H)、1.74 (br複合, 2H)、1.29 (s, 9H)。MS:(ES) m/z 490.2 (M+H+)。
【実施例3】
【0132】
シス-1-(2-メチルベンゾイル)-2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0133】
【化19】

【0134】
a)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-クロロニコチンアミド(570.2mg、2ミリモル)、3-フルオロフェニルボロン酸(401.2mg、2.8ミリモル)、3mlのトルエン、1mlの2N炭酸カリウムの混合物を含む水にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(234.5mg、0.2ミリモル)を添加した。次に、この混合物を窒素雰囲気下で3時間にわたって90℃に加熱した後、室温まで冷却した。次に、この反応混合物を30mlの水と150mlのEtOAcで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。有機溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカ・ゲル・カラム(ヘキサン中に40%のEtOAc)によって精製すると、N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)ニコチンアミドが得られた(691.4mg、99%)。MS:(ES) m/z 394.5 (M+H+)。
【0135】
b)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)ニコチンアミド(501.2mg、1.4ミリモル)、酸化白金(51.9mg、0.21ミリモル)、濃HCl(400 μL、5.2ミリモル)の混合物を含む5mlのエタノール を水素風船下で一晩にわたって激しく撹拌した。この混合物を濾過し、固形物を25mlのメタノールで3回洗浄した。1つにまとめた溶液を減圧下で乾燥させた。残留物に30mlの飽和炭酸水素ナトリウムと150mlのEtOAcを添加した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。溶媒を蒸発させると、粗2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドが茶色の固形物として得られた。それをそのまま次のステップで使用した。MS:(ES) m/z 355.7 (M+H+)。
【0136】
c)2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド(上で調製、177.3mg、0.5ミリモル)を2mlのジクロロメタンに溶かした溶液にEt3N(100μl、過剰量)と塩化2-メチルベンゾイル(92.3mg、0.6ミリモル)を室温にて添加した。次に、得られた溶液をこの温度で反応が完了するまで撹拌した(10分間)。次に、この反応混合物を直接シリカ・ゲル・カラムに装填し、ISCO(ヘキサンの中に30%のEtOAc)を用いて精製すると、最終生成物である2-(3-フルオロフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドが得られた(151.2mg、収率64%)。1H NMR (400 MHZ, CDCl3, 回転異性体の混合物):δ 7.91 (s, 0.6H)、7.85 (s, 0.4H)、7.18〜7.46 (m, 9H)、7.11 (m, 1H)、6.95 (m, 1H)、6.67 (d, J=1.2 Hz, 1H)、3.36 (d, J=1.6 Hz, 0.4H)、3.26 (d, J=1.6 Hz, 1H)、3.05 (m, 1H)、2.89 (t, J=1.2 Hz, 1H)、2.45 (s, 1H)、2.02〜2.40 (m, 4H)、1.70〜1.84 (m, 3H)、1.44〜1.64 (s, 1H)、1.32 (s, 6H)、1.25 (s, 1H)。MS:(ES) m/z 473.2 (M+H+)。
【実施例4】
【0137】
シス-1-(2-メチルベンゾイル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0138】
【化20】

【0139】
a)2-ブロモニコチン酸(1.01 g、5ミリモル)を無水ジクロロメタン(8ml)に溶かした溶液にEDCI(1.34 g、7ミリモル)と3-t-ブチルアニリン(0.74 g、5ミリモル)を室温で添加し、得られた反応混合物を12時間にわたって撹拌した。次に、この混合物をジクロロメタンで希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウムと水で洗浄した。ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、2-ブロモ-N-(3-t-ブチルフェニル)ニコチンアミドが59%の収率で得られた(950mg)。Rt: 2.44分(20-100-5法)。MS:(ES) m/z 333、335 (M+H+)。
【0140】
b)シアン化銅(215mg、2.40ミリモル)をTHF(6ml)に懸濁させた懸濁液に塩化2,2-ジメチルプロピルマグネシウム(1M-ジエチルエーテル、4.8ml、4.8ミリモル)を-78℃で添加した。 同じ温度で1時間にわたって撹拌した後、2-ブロモ-N-(3-t-ブチルフェニル)ニコチンアミド(200mg、0.601ミリモル) を固体として一度に添加した。この反応混合物を徐々に室温まで温め、 一晩にわたって撹拌して反応させた。飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルを添加し、得られた反応混合物をセライトで濾過し、酢酸エチルで洗浄した。層を分離し、生成物をもう一度酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、20%〜50%酢酸エチルを含むヘキサンの勾配を利用して粗材料をシリカ・ゲル・カラム・クロマトグラフィによって精製すると、N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ニコチンアミドが得られた(168mg、0.517ミリモル、86%)。Rf=0.45(トルエン:酢酸エチル=2:1)。
【0141】
c)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ニコチンアミド(168mg、0.517ミリモル) をエタノール(5ml)に溶かした。酸化白金(11.6mg、0.0511ミリモル)を添加した後、濃塩酸(250 μL)を添加した。パー装置を45psiで1.5時間にわたって使用し、この反応混合物 を水素化した。この反応混合物の分析から変換が完全ではないことがわかったため、 一連の操作をもう一度繰り返した。酸化白金を濾過して除去し、溶媒を減圧下で除去した。粗材料を飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて中和し、 酢酸エチルで抽出した。次に、有機層をブラインで洗浄し、 無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去すると、粗2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミド(153mg)が得られた。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0142】
d)2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミド(84.8mg、0.257ミリモル)をピリジン(415μL、5.13ミリモル)に溶かした溶液に、塩化2-メチルベンゾイル(81.6mg、0.528ミリモル)を含むクロロホルム(415μL)を室温で添加した。触媒量の(計量していない)ジメチルアミノピリジンを添加して反応を促進させ、この混合物を3日間にわたって撹拌した。次に酢酸エチルと水をこの反応混合物に添加し、生成物を酢酸エチルで3回抽出した。1つにまとめた有機層を無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、10%〜20%酢酸エチルを含むヘキサンを用い、粗材料をシリカ・ゲル・クロマトグラフィによって精製すると、2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミドが得られた(47.0mg、0.105ミリモル、41%)。Rf=0.6(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。Rt=3.16分、3.26分(化合物は、いくつかの配座異性体の混合物として存在する。20-100-5法)。1H NMR (CDCl3) δ 9.68 (s, 1H)、9.43 (s, 1H)、8.33 (s, 1H)、8.28 (s, 1H))、6.97〜7.79 (m, 8H)、5.48 (br, 1H)、5.39 (dd, J=4, 10 Hz, 1H)、5.33 (dd, J=6, 6 Hz, 1H)、3.38 (ddd, J=4, 14, 14 Hz, 2H)、3.25 (dd, J=13, 13 Hz, 2H)、2.66 (dd, J=4, 8.4 Hz, 1H)、2.63 (ddd, J=2.8, 2.8, 8 Hz, 1H)、2.50 (s, 9H)、2.40 (s, 9H)、2.25 (s, 9H)、2.13 (s, 9H)、1.79〜1.99 (m, 2H)、1.23〜1.56 (m, 2H)、1.32 (s, 9H)、1.07 (s, 9H)、1.06 (s, 9H)、0.97 (s, 9H)、0.95 (s, 9H)。MS:(ES) m/z 449 (M+H+)。
【実施例5】
【0143】
シス-2-シクロペンチル-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0144】
【化21】

【0145】
a)窒素雰囲気下において、2-クロロニコチン酸メチルエステル(400mg、2.33ミリモル)、CuI(19mg、0.1ミリモル)、Pd(dppf)Cl2(42mg、0.06ミリモル)を無水ジメチルアセトアミド(1.7ml)に溶かして室温で撹拌している溶液に臭化シクロペンチル亜鉛(0.5 M、6.5ml、3.26ミリモル)を添加した。この反応混合物を3.5時間にわたって70℃に加熱した後、室温まで冷却し、セライトで濾過し、ケークを酢酸エチルで洗浄した。濾液を水とブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、10〜100% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む化合物が83%の収率で得られた(400mg)。LC-MS Rt(保持時間):1.87分;MS:(ES) m/z 206 (M+H+)。
【0146】
b)窒素雰囲気下において、-78℃の3-t-ブチルアニリン(580mg、3.89ミリモル)を含む乾燥THF(2ml)にn-BuLi(1.47ml、3.68ミリモル)を添加し、得られた溶液を0℃で10分間にわたって撹拌した。この反応混合物を再び-78℃に冷却し、乾燥THF(2ml)に溶かした2-シクロペンチル-ニコチン酸メチルエステル(400mg、1.94ミリモル)を添加した。この反応混合物を放置して2時間かけて0℃にした後、 飽和NH4Cl水溶液を用いて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO2、10〜100% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、純粋な化合物が91%の収率で得られた(572mg)。LC-MS Rt(保持時間):2.61分;MS:(ES) m/z 323 (M+H+)。
【0147】
c)濃HCl(1ml)を含むエタノール(10ml)にN-(3-t-ブチルフェニル)-2-シクロペンチルニコチンアミド(570mg、1.77ミリモル)を溶かした溶液に酸化白金(40mg、0.17ミリモル)を添加し、パー・シェイカーを40psiで1.5時間使用してこの溶液を水素化した。この反応混合物をセライトで濾過し、ケークをエタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、残留物を高真空下で2時間にわたって乾燥させると、望むピペリジンが HCl塩としてかなりの収率で得られた。LC-MS Rt(保持時間):1.97分;MS:(ES) m/z 329 (M+H+)。
【0148】
d)Et3N(142μL、1.02ミリモル)を含む乾燥CH2Cl2(1ml)に上で調製したシス-2-シクロペンチルピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチル-フェニル)アミド(123mg、0.34ミリモル)を溶かした溶液に塩化2-メチルベンゾイル(53mg、0.34ミリモル)を添加し、この混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。次に、この反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、1NのHCl水溶液、水、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相分離用HPLC(CH3CN-H2Oの20〜95%の勾配)によって精製し、乾燥させると(凍結乾燥装置)、表題の化合物が65%の収率で得られた(109mg)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.22〜1.48 (m, 11H)、1.56〜1.80 (m, 5H)、1.84〜2.06 (m, 4H)、2.10〜2.23 (m, 1H)、2.30 (s, 1.6H)、2.39 (s, 1.4H)、2.41〜2.50 (m, 1H)、2.71〜2.76 (m, 1H)、3.02〜3.09 (m, 1H)、3.25〜3.39 (m, 1H)、5.11 (bs, 1H)、7.05〜7.30 (m, 6H)、7.47〜7.55 (m, 2H)、8.32 (bs, 1H)。LC-MS Rt(保持時間):3.16分;MS:(ES) m/z 447 (M+H)+。LC-MS法:Agilent Zorbax SB-C18、2.1×50mm、5μ、35℃、流速1ml/分、20%〜100%Bの勾配で2.5分間、 100%Bで1.0分間の洗浄;A=0.1%ギ酸/5%アセトニトリル/94.9%水、B=0.1%ギ酸/5%水/94.9%アセトニトリル。
【実施例6】
【0149】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミドの合成
【0150】
【化22】

【0151】
b)シス-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルを実施例1に示したのと同様にして合成した。
【0152】
c:1)シス-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(61 g、174.8ミリモル)とジ-p-トルオイル-L-酒石酸(62 g、174.8ミリモル)をEtOH(500ml)に溶かした。この透明な溶液を濃縮し、吸引して乾燥させた。次に、得られた白色の塩を250mlの酢酸エチル に溶かすと透明な溶液が得られた。この溶液に500mlのTBMEをゆっくりと添加した。得られた溶液を乱さないようにして室温で3日間放置した。その時点で大量の白色の結晶が形成された。次に、それを濾過した後、100mlのTBMEで洗浄すると、白色の固形物が得られた(60 g)。
【0153】
上記の塩をエタノールに再び溶かし、濃縮し、吸引して乾燥させた。得られた塩を500mlのTHFに溶かした後、TBME(500ml)を添加した。得られた透明な溶液を乱さないようにしてさらに2.5日間にわたって室温で放置した。 得られた白色の結晶を濾過すると、塩が20.5g得られた(富化比は64:1)。
【0154】
c:2)その塩(16.7 g)をCH2Cl2(150ml)に懸濁させて0℃で撹拌している中に飽和NaHCO3 水溶液(100ml)を添加し、得られた反応混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。層を分離し、水層をCH2Cl2(50ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を飽和NaHCO3水溶液(2×100ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル が90%の収率と約97% eeで得られた。
【0155】
d)上で調製した(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(600mg、1.72ミリモル)を、Et3N(480μl、3.44ミリモル)が含まれた乾燥CH2Cl2(5ml)に溶かした0℃の溶液に、塩化2-メチルベンゾイル(266mg、1.72ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で一晩にわたって撹拌した。次に、この反応混合物をCH2Cl2(20ml)で希釈し、1NのHCl水溶液、水、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮すると、(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルがかなりの収率で得られた。この粗生成物をそのまま次のステップで使用した。
【0156】
e)上記の粗生成物(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(840mg、1.72ミリモル)を乾燥CH2Cl2(4ml)に溶かした0℃の溶液に、4NのHClを含む1,4-ジオキサン(5ml、20ミリモル)をゆっくりと添加した。HClを添加した後、得られた反応混合物を放置して室温にした後、1時間にわたって撹拌した。それをCH2Cl2(30ml)で希釈し、0℃まで冷却し、飽和NaHCO3水溶液を用いて中性にすると、(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(612mg)が、2ステップかけて97%の収率で得られた。
【0157】
f) (2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(612mg、1.67ミリモル)、シクロペンタノン(140mg、1.67ミリモル)、 酢酸(100mg、1.67ミリモル)を乾燥ジクロロエタンに溶かした溶液にNa(OAC)3BH(495mg、2.33ミリモル)を室温で添加し、得られた反応混合物を4時間にわたって50℃に加熱した後、室温まで冷却し、48時間にわたって撹拌した。次にそれをCH2Cl2(30ml)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。酢酸エチルとヘキサンを移動相として用いて残留物をISCOフラッシュ・カラム(40g カラム、0〜40%勾配)によって精製すると、(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルが得られた(450mg)。
【0158】
g)3-クロロ-4-メチルフェニルアミン(65mg、0.46ミリモル)を乾燥ジクロロエタン(1ml)に溶かした溶液にMe3Al(290μl、0.57ミリモル、トルエン中に2M)を周囲温度で添加した。20分間にわたって撹拌した後、乾燥ジクロロエタン(1ml)に溶かした(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(100mg、0.23ミリモル)を添加した。次に、この反応混合物を3時間にわたって85℃に加熱した後、室温まで冷却し、CH2Cl2(20ml)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。水層をCH2Cl2(20ml)で抽出し、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残留物を逆相分離用HPLC(添加物として0.1%のTFAを含むCH3CN-H2Oの20〜95%の勾配)によって精製し、さまざまな画分を含む生成物をまとめてプールし、濃縮した。残留物をCH2Cl2(30ml)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。CH2Cl2層を乾燥させ(MgSO4)、濃縮すると、純粋な(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミドが50%の収率で得られた。
【0159】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.4 (bs, 1H)、7.55 (s, 1H)、7.37〜7.05 (m, 9H)、6.55〜6.52 (m, 2H)、3.77〜3.70 (m, 1H)、3.30〜3.16 (m, 1H)、3.04〜2.91 (m, 2H)、2.43〜1.94 (m, 8H)、1.71〜1.46 (m, 11H)。
【実施例7】
【0160】
以下のものは、この明細書の実施例と同様の方法で調製して評価した代表的な化合物である。キャラクテリゼーションのデータを以下の化合物に関して与える。これらの化合物と、この明細書に記載したようにして調製した他の化合物に関する生物学的評価を図1に示す。
【0161】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0162】
【化23】

【0163】
1H NMR (400MHz, TFA-d) δ 7.91 (d, J=8.6 Hz, 1H)、7.84 (d, J=8.6 Hz, 1H)、7.58〜6.82 (m, 8H)、6.75 (t, J=8.6 Hz, 1H)、4.10〜4.00 (m, 1H)、3.60〜3.47 (m, 1H)、3.45〜3.41 (m, 1H)、3.33〜3.25 (m, 1H)、2.44〜2.22 (m, 7H)、2.04〜1.92 (m, 4H)、1.82〜0.169 (m, 7H)。
【0164】
(2R,3S)-1-(2-クロロベンゾイル)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0165】
【化24】

【0166】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ9.41 (bs, 0.5H)、9.03 (bs, 0.5H)、7.55 (s, 1H)、7.49〜7.39 (m, 3H)、7.31〜7.27 (m, 2H)、7.18〜7.04 (m, 2H)、6.83〜6.74 (m, 3H)、3.76〜3.64 (m, 1H)、3.22〜2.90 (m, 5H)、2.39 (s, 3H)、2.32〜2.20 (m, 1H)、2.16〜2.04 (m, 1H)、2.0〜1.86 (m, 2H)、1.80〜1.72 (m, 3H)、1.56 (bs, 5H)。
【0167】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミド
【0168】
【化25】

【0169】
1H NMR (DMSO-d6) δ 10.22 (s, 1H)、7.67 (dd, J=1.8 Hz, J=11.0 Hz, 1H)、7.04〜7.33 (m, 9H)、6.30 (dd, J=5.8 Hz, J=9.4 Hz, 1H)、5.52 (br, 1H)、3.56〜3.64 (m, 1H)、3.00〜3.17 (m, 2H)、2.90〜2.98 (m, 1H)、2.23 (2.24) (s, 3H)、1.97 (2.33) (s, 3H)、1.32〜2.22 (m, 12H)。
【0170】
(2R,3S)-1-(4-クロロベンゾイル)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0171】
【化26】

【0172】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.79 (bs, 1H)、7.62 (s, 1H)、7.52〜7.48 (m, 1H)、7.37〜7.30 (m, 5H)、7.13 (d, J=8.4 Hz, 1H)、6.52〜6.50 (m, 3H)、3.75〜3.69 (m, 1H)、3.44 (bs, 1H)、3.09〜2.97 (m, 2H)、2.39 (s, 3H)、2.37〜2.30 (m, 1H)、2.13〜2.08 (m, 1H)、2.10〜1.93 (m, 2H)、1.80〜1.59 (m, 7H)、1.48〜1.42 (m, 2H)。
【0173】
(2R,3S)-2-(4-シクロヘキシルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0174】
【化27】

【0175】
1H NMR (400MHz, CDCl3):δ 8.24 (m, 1H)、7.40〜6.85 (m, 8H)、6.65〜6.40 (m, 3H)、3.57 (s, 1H)、3.30〜2.90 (m, 4H)、2.50〜1.85 (m, 9H)、1.80〜1.50 (m, 5H)、1.40〜1.00 (m, 13H)。
【0176】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-ピロリジン-1-イル-フェニル)アミド
【0177】
【化28】

【0178】
1H NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.98 (m, 1H)、7.40〜7.18 (m, 3H)、7.10〜6.80 (m, 4H)、6.64〜6.40 (m, 3H)、3.80〜3.50 (m, 2H)、3.30〜2.90 (m, 6H)、2.50〜2.10 (m, 7H)、2.10〜1.80 (m, 8H)、1.80〜1.20 (m, 9H)。
【0179】
(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルオキシ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミド
【0180】
【化29】

【0181】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.68 (bs, 0.6H)、8.58 (bs, 0.4H)、7.59〜7.40 (m, 3H)、7.29〜6.90 (m, 4H)、6.80 (m, 2H)、6.65 (m, 1H)、4.72 (m, 1H)、3.30〜2.92 (m, 3H)、2.44 (s, 1H)、2.42〜2.30 (m, 1H)、2.30 (s, 1H)、2.29 (s, 2H)、2.20 (s, 2H)、2.19〜2.12 (m, 1H)、2.08〜1.92 (m, 2H)、1.90〜1.72 (m, 7H)、1.60 (m, 2H)。
【0182】
(±)-(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-クロロ-3-メチルフェニル)アミド
【0183】
【化30】

【0184】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.25 (bs, 0.4H)、8.16 (bs, 0.6H)、7.44〜7.20 (m, 6H)、7.06〜6.84 (m, 2H)、6.59〜6.50 (m, 2H)、3.75 (m, 1H)、3.66 (bs, 1H)、3.26〜2.92 (m, 3H)、2.43 (s, 1H)、2.42〜2.30 (m, 1H)、2.30 (s, 1H)、2.29 (s, 2H)、2.20 (s, 2H)、2.19〜2.12 (m, 1H)、2.08〜1.92 (m, 2H)、1.80〜1.58 (m, 7H)、1.45 (m, 2H)。
【0185】
(2R,3S)-2-(4-シクロブチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0186】
【化31】

【0187】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.20 (s, 0.6H)、8.39 (s, 0.4H)、7.44〜6.88 (m, 10H)、6.25 (dd, J=12 Hz, J=6 Hz, 1H)、6.45 (t, J=8.4 Hz, 1H)、3.87 (m, 1H)、3.26〜2.95 (m, 3H)、2.46〜2.05 (m, 8H)、1.86〜1.61 (m, 5H)、1.34〜1.11 (m, 9H)。
【0188】
(2R,3S)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルアミノ)フェニル]ピペリジン-3-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-フェニル)アミド
【0189】
【化32】

【0190】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.61 (s, 1H)、7.34〜6.92 (m, 10H)、6.78〜6.65 (m, 1H)、6.62〜6.53 (m, 1H)、3.98〜3.85 (m, 4H)、3.83〜3.70 (m, 1H)、3.55〜3.30 (m, 3H)、3.27〜2.98 (m, 4H)、2.42〜1.92 (m, 8H)、1.81〜1.45 (m, 7H)。
【0191】
(2R,3S)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-[4-((R)-2-トリフルオロメチルピロリジン-1-イルメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0192】
【化33】

【0193】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.01 (bs, 0.5H)、7.96 (bs, 0.5H)、7.55〜7.37 (m, 3H)、7.30〜7.19 (m, 6H)、7.13〜7.06 (m, 1H)、7.01〜6.90 (m, 1H)、6.85〜6.64 (m, 1H)、4.15〜4.11 (m, 1H)、3.58〜3.54 (m, 1H)、3.30〜3.20 (m, 2H)、3.17〜2.80 (m, 2H)、2.45〜2.17 (m, 4H)、2.00〜1.94 (m, 2H)、1.86〜1.60 (m, 8H)、1.31〜1.26 (m, 7H)。
【実施例8】
【0194】
材料と方法
【0195】
A.細胞
【0196】
1.C5a受容体を発現する細胞
【0197】
a)U937細胞
【0198】
U937細胞はC5aRを発現する単球細胞系であり、ATCC(ヴァージニア州)から入手できる。この細胞を、2mMのL-グルタミンと、1.5g/lの炭酸水素ナトリウムと、4.5g/lのグルコースと、10mMのヘペスと、1mMのピルビン酸ナトリウムと、10%FBSとを補足したRPMI-1640培地の中の懸濁液として培養した。細胞を5%CO2/95%空気、湿度100%、37℃の環境下で増殖させ、週に2回、1:6で継代培養し(細胞は1×105〜2×106細胞/mlの密度で培養した)、1×106細胞/mlで回収した。アッセイの前に細胞を0.5mMのサイクリックAMP(シグマ社、オハイオ州)で一晩にわたって処理した後、使用前に1回洗浄した。cAMPで処理したU937細胞は、C5aRリガンド結合アッセイと機能アッセイで使用できる。
【0199】
b)分離したヒト好中球
【0200】
オプションとして、ヒトまたはマウスの好中球を用いて化合物の活性を調べることができる。好中球は、新鮮なヒト血液から密度分離と遠心分離を利用して分離できる。簡単に説明すると、全血を同量の3%デキストランとともにインキュベートした後、45分間放置して分離する。分離後、最上層を15mlのフィコール(血液懸濁液30mlごとにフィコールを15ml)の上に層にして載せ、ブレーキなしで400×gで30分間にわたって遠心分離する。その後、試験管の底にあるペレットを分離し、PharmLyse RBC分解緩衝液(BDバイオサイエンシーズ社、サン・ホセ、カリフォルニア州)の中に再び懸濁させた後、サンプルをブレーキ付きで400×gで10分間にわたって遠心分離する。残った細胞ペレットを再び適度に懸濁させる。この細胞ペレットは好中球からなる。
【0201】
B.アッセイ
【0202】
1.C5aリガンド結合の抑制
【0203】
C5aRを発現するU937細胞をcAMPで処理してから遠心分離し、アッセイ用緩衝液(20mMのヘペス、pH7.1、140mMのNaCl、1mMのCaCl2、5mMのMgCl2、0.1%ウシ血清アルブミン)の中に3×106細胞/mlの濃度で再び懸濁させる。結合アッセイを以下のように設定した。化合物を5μl含むアッセイ用プレートに0.1mlの細胞を添加し、スクリーニングのため(または化合物のIC50を求めるための投与量-反応曲線決定の一部として)各化合物について最終濃度を約2〜10μMにした。次に125Iで標識した0.1mlのC5a(パーキン・エルマー・ライフ・サイエンシーズ社、ボストン、マサチューセッツ州から入手)をアッセイ用緩衝液に希釈して最終濃度を約50pMにしたもの(ウエル1つにつき約30,000cpmになる)を添加してからプレートを密封し、振盪機の土台の上で約3時間にわたって4℃でインキュベートした。真空細胞回収機(パッカード・インスツルメンツ社;メリデン、コネティカット州)の上にある、0.3%ポリエチレンイミン(PEI)溶液にあらかじめ浸しておいたGF/Bガラス製フィルタの上に、反応物を吸引して載せた。シンチレーション流体(40μl;Microscint 20、パッカード・インスツルメンツ社)を各ウエルに添加した後、プレートを密封し、放射能をトップカウント・シンチレーション・カウンタ(パッカード・インスツルメンツ社)で測定した。希釈剤だけ(全カウント用)または過剰なC5a(1μg/ml、非特異的結合用)を含む対照ウエルを用いて化合物の全抑制の割合を計算した。グラフパッド社(サン・ディエゴ、カリフォルニア州)のコンピュータ・プログラムPrismを用いてIC50値を計算した。IC50値は、放射性標識したC5aが受容体に結合する割合を50%低下させるのに必要な濃度である。(リガンドの結合と他の機能アッセイの説明に関するより詳細なことに関しては、Dairaghi他、J. Biol. Chem. 第274巻:21569〜21574ページ (1999年);Penfold他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 第96巻:9839〜9844ページ (1999年);Dairaghi他、J. Biol. Chem. 第272巻:28206〜28209ページ (1997年)を参照のこと)。
【0204】
2.カルシウムの動員
【0205】
オプションとして、化合物が細胞内でカルシウムの流れを抑制する能力をさらに調べることができる。細胞内に貯えられたカルシウムの放出を検出するため、細胞培地の中で細胞(例えばcAMPで刺激したU937細胞または好中球)を3μMのINDO-1AM染料(モレキュラー・プローブズ社、ユージン、オレゴン州)とともに室温にて45分間にわたってインキュベートした後、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄する。INDO-1AMの装填後、細胞をフラックス緩衝液(ハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)と1%FBS)の中に再び懸濁させる。カルシウムの動員をフォトン・テクノロジー・インターナショナル社の分光測光器(フォトン・テクノロジー・インターナショナル社;ニュー・ジャージー州)を用いて350nmで励起させて測定し、400nmと490nmでの蛍光発光を二重同時記録する。細胞内のカルシウムの相対的レベルは、400nm/490nm発光比として表記する。実験は、2mlのフラックス緩衝液の中に106個の細胞がそれぞれ含まれた複数のキュベットの中で常に混合しながら37℃で実施する。ケモカイン・リガンドは、1〜100nMの範囲で用いることができる。発光比を時間に関してプロットする(典型的には2〜3分間)。リガンドをブロックする候補化合物(10μMまで)を10秒の時点で添加し、次いで60秒の時点でケモカイン(すなわちC5a;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を添加し、150秒の時点で対照ケモカイン(すなわちSDF-1α;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を添加する。
【0206】
3.走化性アッセイ
【0207】
オプションとして、細胞の中で化合物が走化性を抑制する能力をさらに調べることができる。走化性アッセイは、96ウエルの走化性チェンバー(Neuroprobe;ゲサースバーグ、メリーランド州)の中で、5μmの小孔のあるポリカーボネート・ポリビニルピロリドンで被覆したフィルタを用い、走化性緩衝液(ハンクの平衡塩溶液(HBSS)と1%FBS)を利用して実施する。C5aRリガンド(すなわちC5a;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を用い、C5aRを媒介とした遊走が化合物を媒介として抑制されることを調べる。他のケモカイン(すなわちSDF-1α;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を特異性の対照として用いる。下方のチェンバーには29μlのケモカイン(すなわち0.03nMのC5a)とさまざまな量の化合物を装填する。上方のチェンバーには、20μlの中に100,000個のU937細胞または好中球細胞が含まれている。これらのチェンバーを37℃で1.5時間にわたってインキュベートし、下方のチェンバーにある細胞の数を、5倍に拡大した視野の中でウエルごとに細胞の数を直接数えることによって、またはCyQuantアッセイ(モレキュラー・プローブズ社)によって定量する。CyQuantアッセイは、核酸含量の測定と微視的観察を行なう蛍光染料法である。
【0208】
C.C5aの阻害剤の同定
【0209】
1.アッセイ
【0210】
C5a受容体がリガンドに結合するのを阻止する有機小分子を評価するため、細胞表面にC5aRを発現している細胞(例えばcAMPで刺激したU937細胞、または分離したヒト好中球)への放射性リガンド(すなわちC5a)の結合を検出するアッセイを利用した。結合を抑制した化合物では、競合的であるなしに関係なく、抑制されなかった対照よりも少ない放射能のカウントが観察される。
【0211】
同じ数の細胞をプレートの各ウエルに添加した。次に細胞を放射性標識したC5aとともにインキュベートした。細胞を洗浄して結合しなかったリガンドを除去した後、放射能のカウント数を定量することによって結合したリガンドを明らかにした。有機化合物なしでインキュベートした細胞が全カウント数を与える。非特異的結合は、細胞を、標識していないリガンドおよび標識したリガンドとともにインキュベートすることによって明らかにした。%抑制は以下の式によって決めた。
%抑制=(1-[(サンプルのcpm)−(非特異的cpm)]/[(全cpm)−(非特異的cpm)])×100
【0212】
2.投与量反応曲線
【0213】
候補化合物のC5aRに対するアフィニティと、リガンド結合を抑制する能力を確認するため、化合物の濃度が1×10-10〜1×10-4Mの範囲で抑制活性を調べた。このアッセイでは、化合物の量を変化させる一方で、細胞数とリガンドの濃度を一定に維持した。
【0214】
D.生体内効果モデル
【0215】
動物モデルで化合物の効果を明らかにすることにより、C5aを媒介とした疾患の治療における興味の対象である化合物の潜在的な効果を評価することができる。以下に説明するモデルに加え、興味の対象である化合物を研究するための他の適切な動物モデルは、Mizuno, M.他、Expert Opin. Investig. Drugs (2005年)、第14巻(7)、807〜821ページに見いだすことができる。この論文は、参考としてこの明細書にその全体が組み込まれているものとする。
【0216】
1.C5aで誘導される白血球減少症のモデル
【0217】
a)ヒトC5aRノック-イン・マウス・モデルにおいてC5aによって誘導される白血球減少症
【0218】
動物モデルにおける本発明の化合物の効果を調べるため、標準的な技術を利用して組み換えマウスを作り出すことができる。ここでは、マウスのC5aRをコードしている遺伝子配列をヒトC5aRをコードしている配列で置き換えてhC5aR-KIマウスが作り出される。このマウスでは、hC5aを投与すると、血管の壁面にあって血液の白血球と結合する接着分子が上方調節されて、その白血球が血流に入らないよう封鎖される。マウスに20μg/kgのhC5aを投与し、1分後に末梢血に含まれる白血球を標準的な方法で定量する。さまざまな投与量の本発明の化合物でマウスをあらかじめ治療すると、hC5aによって誘導される白血球減少症をほぼ完全に阻止することができた。
【0219】
b)カニクイザル・モデルにおいてC5aによって誘導される白血球減少症
【0220】
本発明の化合物の効果を非ヒト霊長類モデルで調べるため、C5aによって誘導される白血球減少症をカニクイザル・モデルで調べる。このモデルでは、hC5aを投与すると、血管の壁面にあって血液の白血球に結合する接着分子が上方調節されて、その白血球が血流に入らないよう封鎖される。カニクイザルに10μg/kgのhC5aを投与し、1分後に末梢血に含まれる白血球を定量する。
【0221】
ANCAによって誘導される脈管炎のマウス・モデル
【0222】
0日目に、ミエロペルオキシダーゼに対する精製抗体を50mg/kgの割合でhC5aR-KIマウスに静脈内注射する(Xiao他、J. Clin. Invest. 第110巻:955〜963ページ (2002年))。マウスにはさらに、本発明の化合物の毎日の投与量または賦形剤を7日間にわたって経口投与する。その後、マウスを安楽死させて腎臓を取り出し、組織学的検査にかける。腎臓切片の分析から、賦形剤で処理したマウスと比べて糸球内の半月形損傷と壊死性損傷の数と重篤度が有意に低下していることがわかる。
【0223】
2.脈絡膜新生血管形成のマウス・モデル
【0224】
加齢性黄斑変性(AMD)の治療における本発明の化合物の効果を調べるため、hC5aR-KIマウスの目のブルーフ膜をレーザー光凝固によって破壊する(Nozika他、PNAS 第103巻:2328〜2333ページ (2006年))。1〜2週間の間、マウスを賦形剤で治療するか、本発明の化合物を毎日経口投与または硝子体内投与して治療する。レーザーによって起こされた損傷の修復と新生血管形成を組織学と血管造影法によって評価する。
【0225】
3.関節リウマチのモデル
【0226】
a)破壊性関節炎のウサギ・モデル
【0227】
細菌の膜成分であるリポ多糖(LPS)を関節内に注射したときに候補化合物がウサギの炎症反応を抑制する効果を調べるため、破壊性関節炎のウサギ・モデルを利用する。この研究の設計は、関節炎で見られる破壊性関節炎を真似ている。LPSを関節内に注射することにより、サイトカインとケモカインの放出を特徴とする急性の炎症反応が起こる。そのサイトカインとケモカインの多くは、関節リウマチの関節で同定されている。これら走化性メディエータの上昇に応答して白血球の顕著な増加が滑液と滑膜の中で起こる。ケモカイン受容体のいろいろな選択的アンタゴニストがこのモデルで効果を持つことがわかっている(Podolin他、J. Immunol. 第169巻(11):6435〜6444ページ (2002年)を参照のこと)。
【0228】
本質的にPodolinら(上記文献)が記載しているようにしてウサギのLPSの研究を行ない、雌のニュージーランド・ウサギ(約2kg)の1つの膝にLPS(10ng)を、賦形剤だけ(1%のDMSOを含むリン酸緩衝化生理食塩水)とともに、または候補化合物(投与量1=50μMまたは投与量2=100μM)とともに合計体積1.0mlにして関節内投与して治療する。LPSを注射してから16時間後、膝を洗浄し、細胞をカウントする。治療のプラスの効果は、滑膜の炎症の組織病理学的評価によって明らかにした。組織病理学的評価では炎症スコアを利用する:1 - 最少、2 - 穏やか、3 - 中程度、4 - 中程度〜顕著。
【0229】
b)コラーゲンによって誘導される関節炎のラット・モデルにおける化合物の評価
【0230】
17日間進展させたコラーゲンII型関節炎の研究を行ない、関節炎によって誘導されるくるぶしの臨床的膨張に候補化合物が及ぼす効果を調べる。ラットのコラーゲン関節炎は、多数の抗関節炎剤の臨床前試験に広く用いられてきた多発性関節炎の1つの実験モデルである(Trentham他、J. Exp. Med. 第146巻(3):857〜868ページ (1977年);Bendele他、Toxicologic Pathol. 第27巻:134〜142ページ (1999年);Bendele他、Arthritis Rheum. 第42巻:498〜506ページ (1999年)を参照のこと)。このモデルの特徴は、ロバストで容易に測定できる多発性関節炎の発症および進行に信頼があることと、パンヌス形成ならびに穏やか〜中程度の骨吸収に伴う軟骨の顕著な破壊と、軟骨膜骨の増殖である。
【0231】
雌のルイス・ラット(約0.2kg)をイソフルランで麻酔し、この17日間にわたる研究の0日目と6日目に、2mg/mlのウシ・コラーゲンII型を含むフロイント不完全アジュバントを尾の付け根と背中の2つの部位に注射する。候補化合物を有効な投与量で0日目〜17日目まで毎日皮下投与する。足根関節の直径をノギスで測定し、関節の膨張の低下を効果の指標とする。
【0232】
4.敗血症のラット・モデル
【0233】
興味の対象である化合物が敗血症様の疾患に伴う一般的な炎症反応を抑制する効果を調べるため、敗血症の盲腸結紮・穿刺(CLP)ラット・モデルを用いる。ラットのCLP研究は、本質的にFujimura N.ら (American Journal Respiratory Critical Care Medicine 2000年; 第161巻:440〜446ページ)が記載しているようにして行なう。ここに簡単に記載すると、体重が200〜250gの両方の性別のウィスター・アルビノ・ラットを12時間絶食させた後、実験を開始する。ラットを通常の12時間昼と夜のサイクルに維持し、標準的なラットの餌を実験の12時間前まで与える。次にラットを4つの群に分ける。それは(i)2つの偽手術群と(ii)2つのCLP群である。これら2つの群(すなわち(i)と(ii))のそれぞれを賦形剤対照群と試験化合物群に分ける。敗血症をCLP法によって誘導する。簡単な麻酔下で切開が最少になるようにして正中線で開腹し、回腸弁の直下で盲腸を3-0絹糸を用いて結紮する。そのため腸が通じる状態が維持される。盲腸の対腸間膜面の互いに1cm離した2つの場所に18ゲージの針で穴を開け、糞便が押し出されるまで盲腸をやさしく圧迫する。次に腸を腹部に戻し、切開部を閉じる。手術が終わると体重100gにつき3mlの生理食塩水を皮下投与してすべてのラットを蘇生させる。手術後、ラットを絶食させるが、次の16時間は安楽死させるまで水を自由に飲めるようにする。偽手術群に開腹手術を行なって盲腸を操作するが、結紮も穿刺もしない。治療のプラスの効果を、組織と臓器の組織病理学的スコアの測定と、肝臓機能、腎臓機能、脂質過酸化に関してカギとなるいくつかの指標の測定によって調べる。肝機能をテストするため、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)とアラニントランスアミナーゼ(ALT)を測定する。血中尿素窒素とクレアチニンの濃度を調べて腎機能を評価する。炎症促進性サイトカイン(例えばTNF-α、IL-1β)の血清レベルもELISAによって調べる。
【0234】
5.実験的ループス腎炎のマウスSLEモデル
【0235】
興味の対象である化合物が全身性エリテマトーデス(SLE)に及ぼす効果を調べるため、MRL/lpr囓歯類SLEモデルを使用する。MRL/Mp-Tmfrsf6lpr/lpr株(MRL/lpr)が、一般に用いられているヒトSLEのマウス・モデルである。このモデルで化合物の効果を調べるため、オスのMRL/lprマウスを年齢が13週間の時点で対照群とC5aRアンタゴニスト群に等分した。次に、次の6週間にわたって浸透ポンプを通じて化合物または賦形剤をマウスに投与することで、投与された状態を維持するとともにマウスに対するストレスの効果を最少にする。発症して疾患が進行している6週間にわたって血清と尿のサンプルを2週間ごとに回収する。これらマウスの半数未満で糸球体硬化症が進行し、腎不全によって死ぬに至る。腎不全の1つの指標としての事後死亡は測定した基準の1つであり、治療がうまくいくと通常は試験群の中で突然死の発生が遅延する。それに加え、腎疾患の存在と程度も、血中尿素窒素(BUN)とアルブミン尿を測定して連続的にモニターすることができる。組織と臓器も19週間の時点で回収し、病理組織学と免疫組織化学で調べ、組織損傷と細胞浸潤に基づいて得点化する。
【0236】
6.COPDのラット・モデル
【0237】
囓歯類モデルにおいて煙によって誘導される気道の炎症を利用し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)での化合物の効果を評価することができる。ケモカインのさまざまな選択的アンタゴニストがこのモデルで効果を示すことがわかっている(Stevenson他、Am. J. Physiol Lung Cell Mol Physiol. 第288巻 L514〜L522ページ (2005年)を参照のこと)。COPDの急性ラット・モデルをStevensonらが記載しているようにして作る。興味の対象である化合物を経口で全身投与(すなわちIV投与)するか、噴霧化して局所的に投与する。オスのスプレーグ-ドーレー・ラット(350〜400g)をパースペックス・チェンバーの中に入れ、ポンプを通じて引き込むタバコの煙に曝露する(30秒ごとに50ml。間に新鮮な空気)。ラットの合計曝露時間は32分間である。曝露後7日目までにラットを安楽死させる。治療の何らかのプラスの効果を、炎症性細胞浸潤の低下と、ケモカインおよびサイトカインのレベル低下とによって評価する。
【0238】
慢性モデルでは、マウスまたはラットを、12ヶ月間までの期間、毎日タバコの煙に曝露する。化合物を毎日1回経口で全身投与するか、噴霧化して潜在的に局所的に投与する。動物は、急性モデル(Stevenson他)で観察された炎症に加え、ヒトCOPDに見られるのと似た気腫などの他の症状と、肺の化学的性質の変化も示す可能性がある(Martorana他、Am. J. Respir. Crit. Care Med. 第172巻(7):848〜853ページを参照のこと)。
【0239】
7.多発性硬化症のマウスEAEモデル
【0240】
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)はヒト多発性硬化症のモデルである。このモデルのバリエーションが以前から公開されており、この分野でよく知られている。典型的なプロトコルでは、C57BL/6(チャールズ・リヴァー・ラボラトリーズ社)マウスをEAEモデルとして用いる。4mg/mlのヒト型結核菌(シグマ-オールドリッチ社)を含む完全フロイント・アジュバント(CFA)の中で乳化状態になった200μgのミエリン希突起膠細胞糖タンパク質(MOG)35-55(ペプチド・インターナショナル社)を0日目に皮下投与してマウスを免疫化する。それに加え、0日目と2日目にマウスに200ngの百日咳毒素(カルバイオケム社)を腹腔内投与する。臨床スコアは0〜5のスケールに基づく:0、疾患の徴候なし;1、尾の弛緩;2、後肢の衰弱;3、後肢の麻痺;4、前肢の衰弱または麻痺;5、瀕死。評価する興味の対象である化合物の投与は、0日目(予防)または7日目(治療。疾患の組織学的証拠が存在するが、臨床的徴候を示すマウスはほとんどいないとき)に開始することができ、活性と薬物動態特性が適切である濃度にして1日に1回以上投与する(例えば100mg/kgを皮下投与)。化合物の効果は、重篤度を比較すること(賦形剤と化合物の存在下で比較した最大平均臨床スコア)によって、または脊柱から分離したマクロファージ(F4/80陽性)の数の減少を測定することによって比較できる。脊柱の単球細胞は、不連続なパーコル勾配を通じて分離することができる。ラット抗マウスF4/80-PEまたはラットIgG2b-PE(カルタグ・ラボラトリーズ社)を用いて細胞を染色し、サンプル1つにつき10μlのポリビーズ(ポリサイエンシーズ社)を用いたFACS分析によって定量することができる。
【0241】
8.腎臓移植のマウス・モデル
【0242】
マウスで移植モデルを実現できる。例えばC57BL/6マウスからBALB/cマウスへの同種異系腎臓移植モデルが、Faikah GuelerらによってJASN Express、2008年8月27日号に記載されている。簡単に述べると、マウスを麻酔し、ドナーの左腎臓を大動脈と腎臓静脈のカフに小さな大静脈カフを利用して取り付け、尿管をまとめて取り出す。レシピエントの左腎臓を摘出した後、血管のカフを、元の腎臓の血管の位置よりも下で、レシピエントの腹部大動脈と大静脈にそれぞれ吻合する。尿管は膀胱に直接吻合する。冷たい虚血の時間は60分間であり、温かい虚血の時間は30分間である。元の右腎臓は、同種異系移植のときに除去することができ、長期生存の研究では、移植4日後に除去することができる。マウスの一般的な体調を拒絶の証拠としてモニターする。化合物を用いたマウスの治療は、手術前に、または移植直後に例えば毎日皮下注射して開始することができる。マウスの腎機能と生存を調べる。自動化された方法(ベックマン・アナライザー社、クレフェルト、ドイツ国)で血清クレアチニンのレベルを測定する。
【0243】
9.虚血/再灌流のマウス・モデル
【0244】
虚血/再灌流障害のマウス・モデルをXiufen Zheng他、Am. J. Pathol.、第173巻:4ページ、2008年10月に記載されているようにして実現することができる。簡単に述べると、年齢が6〜8週間のCD1マウスを麻酔し、加熱パッドの上に置いて手術中は暖かさが維持されるようにする。腹部を切開した後、腎臓の茎を鋭利にならないようにして切開し、微小血管用鉗子を左腎臓の茎に25〜30分間設置する。虚血の後に鉗子と左腎臓を取り出し、切開部を縫合し、マウスを回復させる。血液を回収し、腎臓の健康状態の指標として血清クレアチニンとBUNを分析する。あるいはマウスの生存の時間変化をモニターする。化合物は、手術の前および/または後にマウスに投与することができ、血清クレアチニンに対する効果、BUN、マウスの生存を化合物の効果の指標として用いる。
【0245】
10.腫瘍増殖のマウス・モデル
【0246】
年齢が6〜16週間のC57BL/6マウスに1×105個のTC-1細胞(ATCC、ヴァージニア州)を右または左の後ろ脇腹に皮下注射する。約2週間後に細胞の注入を開始し、腫瘍のサイズが大きくなってマウスを殺ねばならなくなるまで、2〜4日ごとに腫瘍をノギスで測定する。マウスを安楽死させるとき、十分に検死した後に脾臓と腫瘍を取り出す。切除した腫瘍を測定して計量する。化合物は、腫瘍の注入前および/または後に投与することができ、化合物の効果を評価するのに腫瘍増殖の遅延または抑制を用いる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

を持つ化合物と、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体(ただしこの一般式において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;前記アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である)。
【請求項2】
Xが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(Ia):
【化2】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(Ib):
【化3】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
一般式:
【化4】

を持つ(ただし、
X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;
下添字nは、0〜2の整数であり;
X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;
下添字mは、0〜2の整数である)、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
一般式:
【化5】

を持つ(ただし、
X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;
下添字nは、0〜2の整数であり;
X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;
下添字mは、0〜2の整数である)、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
一般式:
【化6】

を持つ(ただし、
下添字pは、0〜3の整数であり;
X1は、N、CH、CR1からなるグループの中から選択され;
下添字nは、0〜2の整数であり;
X2は、N、CH、CR2からなるグループの中から選択され;
下添字mは、0〜2の整数である)、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
一般式:
【化7】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
一般式:
【化8】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
一般式:
【化9】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
一般式:
【化10】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
一般式:
【化11】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
一般式:
【化12】

を持つ、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
一般式:
【化13】

を持つ(ただしR3は、-NRgRh、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択したメンバーである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
一般式:
【化14】

を持つ(ただしR3は、-X4-NRgRh、-X4-Rj、及び-X4-NRhCORgからなるグループの中から選択したメンバーである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
C1が、フェニル、ピリジル、インドリル、及びチアゾリルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれが任意に1〜3個のR1置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
C2が、フェニル、ナフチル、ピリジル、及びインドリルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれが任意に1〜3個のR2置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
C3が、C3〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル-C1〜2アルキル、フェニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペリジニルメチル、及びピロリジニルメチルからなるグループの中から選択され、そのそれぞれが任意に1〜3個のR3置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
それぞれのR1が、独立に、-CN、-Rc、-NRaRb、及び-ORaからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合する場合には、その窒素原子と合わさってピロリジン環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、及びC3〜6シクロアルキルからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されていて;2つのR1置換基が隣り合った原子上にある場合には、合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成する、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
それぞれのR2が、独立に、ハロゲン、-Rf、-ORdからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRdは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択され;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、RdとRfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されている、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
それぞれのR3が、独立に、ハロゲン、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgRh、-ORg、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、その中のX4はC1〜3アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合する場合には、その窒素原子と合わさって、N、O、Sから選択した0〜1個の追加のヘテロ原子を含む5員または6員の環を形成することができて、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
C2が、
【化15】

からなるグループの中から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
C1が、
【化16】

からなるグループの中から選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
C3が、
【化17】

からなるグループの中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
C3が、
【化18】

からなるグループの中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
表1に示したグループの中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
医薬として許容可能な基剤と、一般式:
【化19】

を持つ化合物、その医薬として許容可能な塩、その水和物、その回転異性体とを含む医薬組成物(ただしこの一般式において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である)。
【請求項28】
病気に起因するC5a受容体の活性化が関与する疾患または異常に苦しむ哺乳動物、またはそのような疾患または異常にかかりやすい哺乳動物を治療する方法であって、その哺乳動物に、一般式:
【化20】

を持つ化合物、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体の有効量を投与する操作を含む方法(ただしこの一般式において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である)。
【請求項29】
C5a受容体を媒介とする細胞走化性を抑制する方法であって、一般式:
【化21】

を持つ化合物、その医薬として許容可能な塩、その水和物、及びその回転異性体を、C5a受容体調節する量で哺乳動物の白血球細胞に接触させる操作を含む方法(ただしこの一般式において、
C1は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR1置換基で置換されており;
C2は、アリール基とヘテロアリール基からなるグループの中から選択され、その中のヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち;アリール基とヘテロアリール基は、任意に1〜3個のR2置換基で置換されており;
C3は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル-C1〜4アルキル、アリール、アリール-C1〜4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1〜4アルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル-C1〜4アルキルからなるグループの中から選択され、その中のヘテロシクロアルキル基またはその一部は、N、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、ヘテロアリール基は、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した1〜3個のヘテロ原子を持ち、それぞれのC3は、任意に1〜3個のR3置換基で置換されており;
それぞれのR1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、-C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRa-C(O)NRaRb、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなるグループの中から選択され、その中のそれぞれのRaとRbは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRcは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;2つのR1置換基が隣り合った原子上にあるときには組み合わさって縮合した5員または6員の炭素環を形成し;
それぞれのR2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、-C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなるグループの中から選択され;その中のそれぞれのRdとReは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し;それぞれのRfは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループの中から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部と環状部は、任意にさらに1〜3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
それぞれのR3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなるグループの中から選択され、ここにX4はC1〜4アルキレンであり;それぞれのRgとRhは、独立に、水素、C1〜8アルキル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜8ハロアルキルの中から選択されるか、同じ窒素原子に結合するときには、その窒素原子と合わさって、環のメンバーとしてN、O、Sの中から選択した0〜2個の追加のヘテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、任意に1個または2個のオキソで置換されており;それぞれのRiは、独立に、C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C3〜6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなるグループの中から選択され;それぞれのRjは、C3〜6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなるグループの中から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部と環状部は、任意にさらに、1〜3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;
Xは水素またはCH3である)。
【請求項30】
前記疾患または異常が、炎症性の疾患または異常である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患または異常の選択が、好中球減少症、敗血症、敗血症性ショック、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳卒中、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、火傷に付随する炎症、肺損傷、変形性関節炎、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、虚血-再還流障害、急性呼吸促迫症候群、全身性炎症反応症候群、多臓器不全症候群、組織移植拒絶、及び移植された臓器の超急性拒絶からなるグループの中からなされる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患または異常が、心臓血管疾患または脳血管疾患である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患または異常の選択が、心筋梗塞、冠状動脈血栓症、血管閉塞、手術後血管再閉塞、アテローム性硬化症、外傷性中枢神経損傷、及び虚血性心疾患からなるグループの中からなされる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または異常が、自己免疫疾患である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患または異常の選択が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ギラン-バレー症候群、膵臓炎、ループス腎炎、ループス糸球体腎炎、乾癬、クローン病、脈管炎、過敏性腸症候群、皮膚筋炎、多発性硬化症、気管支炎性喘息、天疱瘡、類天疱瘡、強皮症、重症筋無力症、自己免疫性の溶血状態と血小板減少状態、グッドパスチャー症候群、免疫脈管炎、組織移植拒絶、及び移植された臓器の超急性拒絶からなるグループの中からなされる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記疾患または異常が、インスリン依存性糖尿病、ループス腎症、ヘイマン腎炎、膜性腎炎、糸球体腎炎、接触過敏性反応、及び人工表面に血液が接触することによる炎症からなるグループに付随した病気に起因する続発症である、請求項28に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図1−12】
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【図1−13】
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【図1−14】
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【図1−15】
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【図1−16】
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【図1−17】
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【図1−18】
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【図1−19】
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【図1−20】
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【図1−21】
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【図1−22】
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【図1−23】
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【公表番号】特表2012−513402(P2012−513402A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542536(P2011−542536)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/068941
【国際公開番号】WO2010/075257
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(507416218)ケモセントリックス,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】