説明

CAPを施行した潰瘍性大腸炎患者の予後予測方法

【課題】CAPを施行した潰瘍性大腸炎患者の長期治療効果(予後)を予測する方法、及び当該方法を実施するためのプログラム、並びに装置の提供。
【解決手段】潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測する方法であって、既にサイタフェレシスを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシスを施行後の手術の有無に係る出力因子とを当該人工ニューラルネットワークに適用して学習させる工程、及び、前記入力因子を入力した場合に、人工ニューラルネットワークを動作させることにより、サイタフェレシスを施行した場合における手術の必要性を出力する工程、を含むことを特徴とする、サイタフェレシス施行後の予後予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイタフェレシス(以下、「CAP」とも称する)を施行した潰瘍性大腸炎患者の長期治療効果(予後)を予測する方法、それを実行するためのプログラム及びそれを実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潰瘍性大腸炎は、我が国において急増している難治性の慢性炎症性疾患であり、特定疾患の一つである。潰瘍性大腸炎の病因には、遺伝的因子、環境因子など多因子が関与し、その病態は免疫炎症反応により修飾されているものと考えられているが、詳細は未だ明らかにされていない。
潰瘍性大腸炎の治療は、重症度に合わせて行われ、サラゾスルファピリジンや5−アミノサリチル酸の経口投与、プレドニゾロンの経口投与、更にはアザチオプリンや6−メルカプトプリン等の免疫調整剤との併用療法、重症例には、ステロイドの大量療法等が行われている。しかし、潰瘍性大腸炎は、生涯にわたり再燃と寛解を繰り返す疾患であり、これらの薬物療法のみでは治療抵抗性の難治例が存在することや長期投与による副作用の発現が問題となる。
【0003】
近年、白血球系細胞を体外循環で膜やビーズを用いて吸着、除去する治療法(サイタフェレシス(CAP)が開発され、その有用性が明らかにされている。具体的には、白血球除去療法(LCAP)や顆粒球吸着療法(GCAP)が副作用のない新たな治療法として普及されつつある。しかし、CAPがどのような機序で病態に作用し、疾患を改善させるかについて詳細は明らかにされていない。それ故、どのような症例に対しCAPの効果が得られのかが明らかでなく、これまでに内視鏡検査所見や血液検査所見などから長期経過を推測する試みが行われてきたが、いずれも有効な予測方法となっていない。結果として、CAPを施行した患者においても、経過中に手術を要したり、入院を必要としたりとQOLの低下をきたすことが多い。
従って、長期経過を的確に予測し、CAP施行の是非や薬剤投与の必要性に関する情報を提供することは、非常に重要な課題であるといえる。
【0004】
ところで、従来、医学研究領域において治療効果の評価解析は、各事象間の関係が線形であると仮定した理論を用いて行われており、例えば多重ロジスティック回帰分析を中心とした線形解析が行われていた。しかしながら、自然界における殆どの事象は直線で表されるような線形関係にはなく、非線形な関係にあるとされ、特に様々な患者背景をもつ個々の患者とその治療効果については非線形な関係が存在することがこれまでに報告され、その評価精度は期待されるほど高くはなかった。
【0005】
一方、最近、PEG(経皮的内視鏡下胃瘻造設術)の施行の是非の判断において、ANN(人工ニューラルネットワーク)に適用して算出された予後予測式を用いることにより、年齢、性別、脳血管障害の有無、悪性疾患の有無、胃瘻造設前の嚥下性肺炎の有無等の予測因子から、PEGが施行された後の生存日数、またはPEGが施行された後の嚥下性肺炎の発症の有無を予測できることが報告されている(特許文献1)。
しかしながら、ANNを用いた解析においても、如何なる予測因子を用いた場合に目的の診断が精度よく行われるか否かは、各事象固有の問題であり、他の疾患について応用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−268680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、CAPを施行した潰瘍性大腸炎患者の長期治療効果(予後)を予測する方法、並びに当該方法を実行するためのプログラム及び装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、CAPを施行した潰瘍性大腸炎患者について、入院歴及び手術歴を含む特定の情報を入力データとし、CAP施行後に手術が必要となるか否かを、非線形な関係についても検証可能なANN(人工ニューラルネットワーク)に適用して学習させることにより、CAPを施行した場合における当該患者の長期治療効果を的確に予測できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の1)〜6)に係るものである。
1)潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測する方法であって、既にサイタフェレシスを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシスを施行後の手術の有無に係る出力因子とを当該人工ニューラルネットワークに適用して学習させる工程、及び、前記入力因子を入力した場合に、人工ニューラルネットワークを動作させることにより、サイタフェレシスを施行した場合における手術の必要性を出力する工程、を含むことを特徴とする、サイタフェレシス施行後の予後予測方法。
2)前記入力データが、更にサイタフェレシス施行後の臨床活動指数及び免疫調整剤の投与計画を含む、上記1)の予後予測方法。
3)前記入力データが、更に年齢、性別、サイタフェレシスに使用した医療機器、罹患範囲、罹病期間、臨床経過による分類、サイタフェレシス施行前の臨床活動指数、及びステロイド剤の服用歴から選ばれる1種以上を含む上記2)の予後予測方法。
4)前記人工ニューラルネットワークを構成するユニットが、シグモイド関数及び/又は動径基底関数を使用したニューロンを使用する、上記1)〜3)の予後予測方法。
5)コンピューターに、上記1)〜4)の各工程を実行させるための、潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測するためのプログラム。
6)潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測するための装置であって、既にサイタフェレシスを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシス施行後の手術の有無に係る出力因子とを記憶したデータベースと、前記因子を人工ニューラルネットワークに適用して算出された予後予測式を記憶する予後予測式記憶部、予後予測式を算出するためのプログラムを記憶した解析プログラム記憶部、前記入力因子が入力され場合に、前記予後予測式を参照して、サイタフェレシスを施行した場合における手術の必要性を出力する処理部、とを備える潰瘍性大腸炎患者の予後予測装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、CAPを施行した場合の潰瘍性大腸炎患者の長期治療効果を予測するための予後予測方法、それを実行するプログラム、更にはそれを実施するための装置が提供され、これによれば、CAPを施行した場合に手術が必要となるか否かを、内視鏡検査所見や血液検査所見などからは不可能であった高い精度で、予測することができ、医師に対して長期的治療の観点から有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態の予測装置のハードウェア構成図。
【図2】本発明の実施の形態の予測装置による処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の、CAP施行後の予後予測方法は、潰瘍性大腸炎患者において、CAPを施行した場合の予後を予測する方法であって、既にCAPを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシスを施行後の手術の有無に係る出力因子とを当該人工ニューラルネットワークに適用して学習させる工程、及び、前記入力因子を入力した場合に、人工ニューラルネットワークを動作させることにより、CAPを施行した場合における手術の必要性を出力する工程を含むものである。
また、本発明のプログラムは、上記の各工程をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0013】
CAP(サイタフェレシス)とは、白血球系細胞を体外循環で膜やビーズを用いて吸着、除去する治療法であり、具体的には、顆粒球吸着療法(GCAP)と白血球除去療法(LCAP)とが報告されている。本発明においては、これらの何れの療法でも適用可能であるが、顆粒球吸着療法(GCAP)が好ましい。GCAPを施行する吸着機器としては「アダカラムTM」(株式会社JIMRO)、LCAPを施行する吸着機器としては「セルソーバE(旭化成クラレメディカル株式会社)」等が挙げられる。
【0014】
本発明においては、潰瘍性大腸炎患者に対してCAPを施行した場合における手術の必要性を診断するに先立って、既にCAPを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、CAP施行後の手術の有無に係る出力因子とを人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Networks)に適用し、係る因子間に存在する関係を学習させる。
ANNとは、人間の脳による神経学的処理をシミュレートする計算技術に基づいた学習システムであり、従属変数と独立変数の両方が存在するシステムをモデル化する上で有用なものである。ANNは、入力値と出力値との間に存在する関係をパターン化して学習し、さらに、入力値と出力値との間に存在する新たな関係を認識すればその関係をパターン化して学習することによって、入力値と出力値との間に存在する関係をより精度良くパターン化する(本発明では、この工程を「パターン化フェーズ」と称する)。そして、新たな入力値が入力された場合に、パターン化した関係を参照して、新たに入力された入力値に応じた出力値を回答する(本発明では、この工程を「診断フェーズ」と称する)。
【0015】
本発明において、上記の「入力値」に対応するパラメータを「入力因子」、「出力値」に対応するパラメータを「出力因子」と称する。また、上述のパターン化フェーズにおいて、「既に値が判明している入力値と出力値」を総じて「予測因子」とも称し、上述の診断フェーズにおいて、「新たに入力された入力値と、その入力値に応じた出力値」を総じて「診断因子」とも称する。
本発明において用いられる入力因子及び出力因子は下記表1の通りである。
【0016】


【表1】

【0017】
入力因子のうち、「CAPに使用した医療機器」としては、CAPの種類を特定するものであり、例えば「GCAP(顆粒球吸着療法)」か「LCAP(白血球除去療法)」かが入力される。
「罹患範囲」は、大腸における炎症部位を特定するものであり、具体的には、例えば「直腸炎型」、「左側大腸炎型」、「全大腸炎型」又は「特殊型」の何れかが入力される。
「臨床経過による分類」としては、例えば、「再燃緩解型」、「急性激症型」、「初回発作型」、又は「慢性持続型」等が入力される。
「CAP施行前の臨床活動指数(Clinical Activity Index)」及び「CAP施行後の臨床活動指数(Clinical Activity Index)」において、臨床活動指数とは、臨床症状をもとに患者の状態を数値化した指標である。
「免疫調整剤の投与計画」は、CAP施行後に免疫調整剤を使用するか否かを意味し、例えば6−メルカプトプリン、アザチオプリン等の免疫調整剤の投与の有無が入力される。
「入院歴」は、CAP施行前における入院治療の経験の有無が入力される。
「手術歴」は、CAP施行前における手術の経験の有無が入力される。
【0018】
斯かる入力因子のうち、「入院歴」及び「手術歴」は必須データであり、さらに「CAP施行後の臨床活動指数(Clinical Activity Index)」及び「免疫調整剤(特に6-メルカプトプリン)投与計画の有無」を含むことが好ましい。
【0019】
斯かる入力因子及び出力因子は、予測因子データベースとしてデータベース化されて記憶される。そして、ANNアルゴリズムを適用したプログラムに基づいて、予測因子データベースに記憶された複数人の患者の予測因子がパターン化される。
【0020】
本発明において用いられるANNの構造は任意に設定することができるが、通常パーセプトロンを層状に繋ぎ合わせた多層パーセプトロン(MLP)が採用され、入力層、中間層、出力層がいずれも1層からなる3層型ANNであるのが一般的である。入力層、中間層及び出力層の各層にはニューロンに相当するユニットが存在し、情報は入力層から中間層を経て出力層へと伝達されネットワークを形成する。中間層のユニット数を増やすことによって、より複雑な関数の近似が可能となる。しかし安易に増やすと過学習が起こり、ANNは不自然な予測をするようになる。これを避けるためには必要最小限のユニット数を設定する必要がある。中間層のユニット数を決定する普遍的な方法は開発されていないが、ANNの予測性を評価するテストデータを別に準備することによって予測精度をチェックし、予測誤差が最小となるANN構造を選ぶ方法が広く用いられている。使用ソフトウェアでは、MLPの最適化についてはバックプロパゲーション法、共役勾配降下法、準ニュートン法、Levenberg−Marquardt法、クイックプロパゲーション法、Delta−bar−delta法等が頻繁に用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、ユニット(ニューロン)において使用される動作関数としては、シグモイド関数の他、ヘビ関数、動径基底関数等を用いることができるが、シグモイド関数を用いるのが好ましい。
【0021】
例えば、中間層と出力層において各ユニットは、前層からの情報を、下記の(1)式によって統合し、(2)式のシグモイド関数を動作関数として次の層へと出力するものが挙げられる。
【0022】
【数1】

【0023】
ここで、wpqは次層のユニットqと前層のユニットp間の重み、xpは前層からの出力である.f(yq)は次の層への出力値として伝達される。αはシグモイド関数の勾配であり、この値が大きいほど動作関数の非線形性が増大する。ANNはwpq値の最適化を意味する「学習」と呼ばれるプロセスを経て、因子と特性間の非線形な定量関係を近似できるようになる。
【0024】
以下、上記のCAP施行後の予後予測方法を実行するための装置(以下、単に「予後予測装置」と称する。)について、その一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の予後予測装置のハードウェア構成図を示す。
本発明の予後予測装置は、入力部11、予測因子データベース12、解析プログラム記憶部13、予後予測式記憶部14、表示部15、処理部16を含んで構成される。当該予後予測装置は、例えば汎用PCによって構成される場合、入力部11はキーボード、マウス、テンキーなどの各種入力インタフェースによって実現され、予測因子データベース12は、ハードディスクドライブ(HDD)によって実現され、解析プログラム記憶部13及び予後予測式記憶部14はRAM(Random Access Memory)によって実現され、表示部15はCRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどの各種出力デバイスによって実現され、処理部16は、CPU(Central Processing Unit)によって実現される。入力部11、予測因子データベース12、解析プログラム記憶部13、予後予測式記憶部14、表示部15、処理部16を実現するデバイスは、上述したものに限るものではなく、以下に説明する、各部の機能を実行可能なデバイスを適宜利用することができる。
【0025】
まず、解析プログラム記憶部13には、上述したANNアルゴリズムが格納されている。予測因子データベース12には、上述したように既にCAPを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、CAPを施行後の手術の有無に係る出力因子が、データベース化されて記憶されている。予測因子データベース12に予測因子を記憶させる際には、処理部16は、入力部11によって装置利用者によって入力操作された数値を患者に対応させて記憶させる。
【0026】
処理部16により、解析プログラム記憶部13に展開されたANNアルゴリズムを適用したプログラムに基づいて、予測因子データベース12に記憶された複数人の患者の予測因子がパターン化される(図2参照)。具体的には、入力層と中間層において各ユニットは、予測因子データベース12から予測因子が入力層に入力されると(ステップ21)、入力層からの予測因子を中間層へと出力する(ステップ22)。続いて中間層と出力層において各ユニットは、中間層からの入力因子を動作関数(予後予測式とも称する)として出力層へと出力する(ステップ23)。そして、処理部16は、解析プログラム記憶部13に展開されたプログラムを実行して、予後予測式を算出すると、該予後予測式を予後予測式記憶部14に記憶する(ステップ24)。
【0027】
すなわち、予測因子のパターン化は、予測因子データベース12に記憶された予測因子を読み出し(ステップ21)、予後予測式を算出し(ステップ22、23)、算出した予後予測式を予後予測式記憶部14に記憶する(ステップ24)、という一連の処理によって実行される。
【0028】
診断フェーズにおいては、パターン化フェーズにおいて予後予測式を算出する上で参照した入力因子と同一項目の入力因子を入力部11を操作して入力する。そして、処理部16は、予後予測式記憶部14に記憶された予後予測式に、入力部11によって入力した入力因子を代入して出力因子を算出し、その算出した出力因子を表示部15によって出力する。CAPの施行の是非を判断する患者の入力因子を入力し、予後予測式を基に出力因子を算出し、算出した出力因子(CAP施行後の手術の有無)が表示部15に出力される。
【0029】
以上、本発明の予後予測方法を実施することによって、CAPを施行した場合の手術の必要性を高精度に予測することができる。この結果、患者に対するCAPの施行の是非を判断するに足る充分な予測結果を医師に通知することができる。
【実施例】
【0030】
実施例1 パターン化フェーズの構築
表2に挙げた1〜12項目を入力因子とし、これらの項目を用いて長期経過としてCAP施行後に手術に至るか否かを、ANNを用いてパターン化した。
ANNは、多層パーセプトロン(MLP)、放射状による関数ネットワーク(RBF)、及びリニアネットワーク(LIN)の3つのタイプを用いている。MLPは1つの入力層、1つ以上の中間層と、1つの出力層の各層からなり、出力層の中の1つのノードが結果を分類するために使用される。
【0031】
【表2】

【0032】
その結果、表3に示す如く、感度(手術になった症例を手術になると予測する確率 = 実際に手術になった症例のうち手術になると予測した症例数/実際に手術になった症例)及び特異度(手術にならなかった症例を手術にならないと予測する確率 = 実際に手術にならなかった症例のうち手術にならないと予測した症例/実際に手術にならなかった症例)において、極めて高い値を得ることができた。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例2 感度分析
さらに実施例1の結果をもとに、各因子における予後予測の感度分析を行った。
その結果、「治療前の入院歴」及び「治療前の手術歴」の2項目を除いた場合、さらに「CAP後の臨床活動指数(Clinical Activity Index)」及び「免疫調整剤の投与計画の有無」を加えた4項目を除いた場合、表4に示す如く感度、特異度ともに著しい低下がみられた。
【0035】
【表4】

【0036】
即ち、「治療前の入院歴」及び「治療前の手術歴」の2項目は、最重要因子であり、その次の重要因子として、「CAP後の臨床活動指数(Clinical Activity Index)」及び「免疫調整剤の投与計画の有無」が挙げられると考えられた。
【符号の説明】
【0037】
11 入力部
12 予測因子データベース
13 解析プログラム記憶部
14 予後予測式記憶部
15 表示部
16 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測する方法であって、既にサイタフェレシスを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシスを施行後の手術の有無に係る出力因子とを当該人工ニューラルネットワークに適用して学習させる工程、及び、前記入力因子を入力した場合に、人工ニューラルネットワークを動作させることにより、サイタフェレシスを施行した場合における手術の必要性を出力する工程、を含むことを特徴とする、サイタフェレシス施行後の予後予測方法。
【請求項2】
前記入力データが、更にサイタフェレシス施行後の臨床活動指数及び免疫調整剤の投与計画を含む、請求項1記載の予後予測方法。
【請求項3】
前記入力データが、更に年齢、性別、サイタフェレシスに使用した医療機器、罹患範囲、罹病期間、臨床経過による分類、サイタフェレシス施行前の臨床活動指数、及びステロイド剤の服用歴から選ばれる1種以上を含む請求項2記載の予後予測方法。
【請求項4】
前記人工ニューラルネットワークを構成するユニットが、シグモイド関数及び/又は動径基底関数を使用したニューロンを使用する、請求項1〜3の何れか1項記載の予後予測方法。
【請求項5】
コンピューターに、請求項1〜4のいずれか1項記載の各工程を実行させるための、潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測するためのプログラム。
【請求項6】
潰瘍性大腸炎患者において、サイタフェレシスを施行した場合の予後を予測するための装置であって、既にサイタフェレシスを施行した潰瘍性大腸炎患者について、少なくとも入院歴及び手術歴を含む入力因子と、サイタフェレシス施行後の手術の有無に係る出力因子とを記憶したデータベースと、前記因子を人工ニューラルネットワークに適用して算出された予後予測式を記憶する予後予測式記憶部、予後予測式を算出するためのプログラムを記憶した解析プログラム記憶部、前記入力因子が入力され場合に、前記予後予測式を参照して、サイタフェレシスを施行した場合における手術の必要性を出力する処理部、とを備える潰瘍性大腸炎患者の予後予測装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−130408(P2012−130408A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283106(P2010−283106)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(508136320)
【出願人】(510334918)
【出願人】(508136386)
【出願人】(000153258)株式会社JIMRO (6)
【Fターム(参考)】