説明

CATVシステム

【課題】 双方向増幅器で増幅可能な周波数帯域内と異なる周波数帯域を有する電気信号も双方向通信に利用できるCATVシステムを提供する。
【解決手段】CATVシステム1は、モデム信号を生成する第1〜第4のケーブルモデム33A〜33Dと双方向増幅器15と分岐・混合器37を有し、増幅器15はCATV信号を増幅する。モデム33Bはモデム33Aで生成されCATV伝送路13A及び分岐・混合器を介して受けた第1の下りモデム信号を下りデータ信号に変換し、モデム33Dはモデム33Cで生成されCATV伝送路13Bを介して受けた第2の上りモデム信号を上りデータ信号に変換し、モデム33B,33Dは通信路C1を介して受けた上りデータ信号及び下りデータ信号から第1の上りモデム信号及び第2の下りモデム信号をそれぞれ生成し、モデム33Aは第1の上りモデム信号を受け、モデム33Cは、第2の下りモデム信号を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向通信が可能なCATVシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
もともと、CATVシステムは、同軸ケーブルなどから構成されるCATV伝送路を介してヘッドエンドから加入者宅に映像信号などを配信する片方向伝送であった。しかし、近年、CATV伝送路の広帯域内性を利用してケーブルインターネットやケーブルテレビ電話などを実現するために、加入者宅側からヘッドエンド側へも情報を発信できるいわゆる双方向通信が可能なCATVシステムが開発されている。このような双方向通信が可能なCATVシステムでは、同じCATV伝送路によって伝送される下り信号及び上り信号を区別するために、使用する周波数帯域内を変えている。例えば、下り信号は、周波数帯域として70MHz〜770MHzを利用し、上り信号は、周波数帯域として10MHz〜55MHzを利用している。
【0003】
双方向通信可能なCATVシステムを利用してケーブルインターネットを実現する際には、パソコン(PC)などの端末はケーブルモデムを介してCATV伝送路に接続されることになる。このケーブルモデムとして、従来の上り信号や下り信号で利用されていない800MHz〜1.5GHzの周波数帯域での任意の50MHz帯を利用することによって高速データ伝送を可能ならしめるケーブルモデムが知られている。
【特許文献1】特開平10―229551号公報
【特許文献2】特開平2001―358742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の上り信号や下り信号で利用されていない周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号を利用するケーブルモデムを、マンションなどの集合住宅を含むCATVシステムに適用する場合、次のような問題が生じていた。
【0005】
すなわち、集合住宅がCATVシステムに加入している場合、集合住宅内でヘッドエンドからの電気信号を分配することになる。この分配による電気信号の劣化を防止するために、集合住宅内には電気信号を増幅する増幅器が設置されるが、前述したような双方向CATVシステムでは、下り信号及び上り信号を増幅する双方向増幅器が利用されることになる。この双方向増幅器は、従来の下り及び上りの電気信号が利用する周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号の増幅を補償するように設計されているので、上記のように、従来使用されていない周波数帯域内を利用した場合、双方向増幅器を介してデータ伝送ができないという問題点が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、双方向増幅器で増幅可能な周波数帯域と異なる周波数帯域を有する電気信号も双方向通信に利用できるCATVシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るCATVシステムは、ヘッドエンドと集合住宅内の加入者宅との間で双方向通信が可能なCATVシステムであって、(1)ヘッドエンドに接続される第1のCATV伝送路及び加入者宅に接続される第2のCATV伝送路に接続されており、第1のCATV伝送路から入力される第1の周波数帯域内の周波数成分を有する下りCATV信号を増幅して第2のCATV伝送路に出力すると共に、第2のCATV伝送路から入力される第2の周波数帯域内の周波数成分を有する上りCATV信号を増幅して第1のCATV伝送路に出力する双方向増幅器と、(2)第1のCATV伝送路に接続されており、第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第1の下りモデム信号を生成する第1のケーブルモデムと、(3)第1のケーブルモデムと第1のCATV伝送路との接続部より下流側であって双方向増幅器までの間の第1のCATV伝送路上に設けられている分岐・混合器と、(4)第1のCATV伝送路と分岐・混合器を介して接続されており、第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第1の上りモデム信号を生成すると共に、第1のCATV伝送路及び分岐・混合器を介して入力される第1の下りモデム信号を下りデータ信号に変換する第2のケーブルモデムと、(5)加入者宅に設置され第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第2の上りモデム信号を生成する第3のケーブルモデムに第2のCATV伝送路を介して接続されている第4のケーブルモデムであって、第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第2の下りモデム信号を生成し第2のCATV伝送路を介して入力される第2の上りモデム信号を上りデータ信号に変換する上記第4のケーブルモデムと、を備え、
(A)第2のケーブルモデムと第4のケーブルモデムとは、下りデータ信号及び上りデータ信号を伝送する通信路によって接続されており、(B)第2のケーブルモデムは、下りデータ信号を第4のケーブルモデムに送信し、第4のケーブルモデムは、受信した下りデータ信号を変換することによって第2の下りモデム信号を生成し、(C)第4のケーブルモデムは、上りデータ信号を第2のケーブルモデムに送信し、第2のケーブルモデムは、受信した上りデータ信号を変換することによって第1の上りモデム信号を生成し、(D)分岐・混合器は、上流側から入力される下りCATV信号を下流側の第1のCATV伝送路に出力し、下流側から入力される上りCATV信号を上流側の第1のCATV伝送路に出力し、上流側から入力される第1の下りモデム信号を第2のケーブルモデムに出力し、第2のケーブルモデムから入力される第1の上りモデム信号を上流側の第1のCATV伝送路に出力することを特徴とする。
【0008】
上記構成では、分岐・混合器は、下りCATV信号を分岐・混合器よりも上流側の第1のCATV伝送路から分岐・混合器よりも下流側の第1のCATV伝送路に通すので、下りCATV信号は第1のCATV伝送路を通って双方向増幅器に入力され増幅される。そして、双方向増幅器は、増幅した下りCATV信号を第2のCATV伝送路に出力するので、下りCATV信号は、集合住宅内の加入者宅に到達することになる。
【0009】
また、上りCATV信号は第2のCATV伝送路を介して双方向増幅器に入力される。双方向増幅器は、上りCATV信号を増幅した後に第1のCATV伝送路に出力する。これにより、上りCATV信号は、第1のCATV伝送路上に設けられた分岐・混合器に入力されることになる。この分岐・混合器は、上りCAV信号を下流側の第1のCATV伝送路から上流側の第1のCATV伝送路に通すので、上りCATV信号はヘッドエンドに到達できる。
【0010】
また、第1のケーブルモデムで生成された第1の下りモデム信号は、上記接続部を介して第1のCATV伝送路に入力される。これによって、接続部よりも下流側の第1のCATV伝送路では、下りCATV信号と第1の下りモデム信号とが伝送されることになる。そして、接続部と双方向増幅器との間に設けられた分岐・混合器は、第1のCATV伝送路から入力される第1の下りモデム信号を、第2のケーブルモデムに向けて出力するので、第1の下りモデム信号は、第2のケーブルモデムに入力されることになる。
【0011】
この第2のケーブルモデムは、第1の下りモデム信号を前述した下りデータ信号に変換して第4のケーブルモデムに送信する。第4のケーブルモデムは受信した下りデータ信号を変換して第2の下りモデム信号を生成する。そして、第2の下りモデム信号は、第2のCATV伝送路を介して加入者宅に設置された第3のケーブルモデムに到達することになる。
【0012】
また、第3のケーブルモデムで生成された第2の上りモデム信号は、第2のCATV伝送路を介して第4のケーブルモデムに入力される。第4のケーブルモデムは、入力された第2の上りモデム信号を上りデータ信号に変換して第2のケーブルモデムに送信し、第2のケーブルモデムは、受信した上りデータ信号を第1の上りモデム信号に変換して、分岐・混合器に向けて出力する。
【0013】
分岐・混合器は、第2のケーブルモデムからの第1の上りモデム信号を上流側の第1のCATV伝送路に出力するので、第1の上りモデム信号は、接続部を介して第1のケーブルモデムに入力されることになる。
【0014】
以上のように、上記構成のCATVシステムでは、第1のケーブルモデムで生成された第1の下りモデム信号は、双方向増幅器を介さずに第2の下りモデム信号として第3のケーブルモデムに到達することになる。逆に、第2の上りモデム信号は、双方向増幅器を介さずに第1の上りモデム信号として第1のケーブルモデムに到達することになる。その結果として、第1及び第2のCATV伝送路が双方向増幅器によって接続されていても、第1のケーブルモデムと第3のケーブルモデムとの間で双方向通信が可能である。
【0015】
また、本発明に係るCATVシステムでは、第1の下りモデム信号及び第1の上りモデム信号は、第3の周波数帯域のうちの第4の周波数帯域内の周波数成分を有しており、第2の下りモデム信号及び第2の上りモデム信号は、第3の周波数帯域のうちの第4の周波数帯域と異なる第5の周波数帯域内の周波数成分を有していることが好ましい。
【0016】
この場合、第4の周波数帯域と、第5の周波数帯域とが異なるので、第1の下りモデム信号(第1の上りモデム信号)と第2の上りモデム信号(第2の下りモデム信号)とが干渉することがない。その結果として、第1のケーブルモデムと第3のケーブルモデムとの間でより正確な通信が可能である。
【0017】
更に、本発明に係るCATVシステムにおける第1の周波数帯域は70MHz〜770MHzであり、第2の周波数帯域は10MHz〜55MHzであり、第3の周波数帯域は800MHz〜1.5GHzであることが好適である。
【0018】
また、本発明に係るCATVシステムでは、加入者宅に設けられ第2のCATV伝送路に接続される受信端末より上流側であって第3のケーブルモデムと第2のCATV伝送路との接続部までの間の第2のCATV伝送路上に設けられており、第2の下りモデム信号及び第2の上りモデム信号を選択的に減衰させるフィルタを更に備えることが好ましい。
【0019】
上記の構成では、、第3のケーブルモデムと第2のCATV伝送路との接続部と、受信端末との間にフィルタが設けられているので、第3のCATV伝送路及び第2のCATV伝送路を伝送してきた第2の下りモデム信号及び第2の上りモデム信号が受信端末に入力されることが抑制されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のCATVシステムによれば、双方向増幅器で増幅可能な周波数帯域と異なる周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号を利用して双方向通信を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面と共に本発明に係るCATVシステムの好適な実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、CATVシステム1は、複数の加入者宅3,3を有するマンションなどの集合住宅5をそのサービスエリア内に有する。CATVシステム1は、加入者宅3に放送番組等を配信するヘッドエンド7を有しており、ヘッドエンド7と加入者宅3との間で双方向通信が可能な双方向CATVシステムである。なお、ヘッドエンド7は、図示していない電話網などにも接続されており、ケーブルテレビ電話なども実現できるようになっている。
【0023】
本明細書では、ヘッドエンド7側から加入者宅3側に向かう信号の流れを「下り」と称し、加入者宅3側からヘッドエンド7側に向かう信号の流れを「上り」と称す。
【0024】
CATVシステム1では、ヘッドエンド7からサービスエリア内に設置された光ノード9までは光ファイバケーブル11が敷設されており、光ノード9から集合住宅5までは複数の同軸ケーブルを有するCATV伝送路(第1のCATV伝送路)13Aが敷設されている。すなわち、CATV伝送路13Aは、光ノード9及び光ファイバケーブル11を介してヘッドエンド7に接続されている。そして、集合住宅5内では複数の同軸ケーブルを有するCATV伝送路(第2のCATV伝送路)13Bによってネットワークが形成されている。
【0025】
上記光ノード9は光信号と電気信号とを相互に変換し、ヘッドエンド7から送信された光信号を周波数帯域70MHz〜770MHz(第1の周波数帯域)内の周波数成分を有する電気信号に変換してCATV伝送路13Aに出力する。また、加入者宅3から送信されCATV伝送路13A,13Bを介して伝送されてきた周波数帯域10MHz〜55MHz(第2の周波数帯域)内の周波数成分を有する電気信号を光信号に変換してヘッドエンド7に送信する。
【0026】
本明細書では、下り信号であって周波数帯域70MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号及びそれに対応する光信号を下りCATV信号と称し、上り信号であって、周波数帯域10MHz〜55MHz内の周波数成分を有する電気信号及びそれに対応する光信号を上りCATV信号と称す。この下りCATV信号には、例えば、放送信号や映像信号などが含まれ、上りCATV信号には、音声信号、放送配信要求などの要求信号、伝送機器の応答信号などが含まれる。
【0027】
集合住宅5の棟内には、CATV伝送路13Aに接続された双方向増幅器15が設置されている。また、集合住宅5には、BS放送を受信するための受信器17(例えば、アンテナ)が設けられている。受信器17は、受信した放送信号を周波数帯域内が1032MHz〜1350MHzである電気信号に変換し、その電気信号を同軸ケーブルからなるCATV伝送路13Cを介して双方向増幅器15に入力する。周波数帯域内1032MHz〜1350MHzの電気信号をBS信号とも称す。
【0028】
双方向増幅器15のヘッドエンド7側の端部には、端子15a,15bが設けられ、加入者宅3側の端部には、端子15cが設けられている。端子15a,15bにはCATV伝送路13A,13Cが接続され、端子15cにはCATV伝送路13Bが接続されている。そして、双方向増幅器15は、CATV伝送路13A,13CとCATV伝送路13Bとを電気的に接続している。
【0029】
双方向増幅器15は、1000MHz以上の周波数成分を有する電気信号を選択的に通す一対のハイパスフィルタ19A,19B、周波数帯域70MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号を選択的に通す一対のミディアムパスフィルタ21A,21B及び周波数帯域5MHz〜55MHz内の周波数成分を有する電気信号を選択的に通す一対のローパスフィルタ23A,23Bを有する。
【0030】
ハイパスフィルタ19Aは端子15bに接続されており、ミディアムパスフィルタ21A及びローパスフィルタ23Aは端子15aに接続されており、ハイパスフィルタ19B、ミディアムパスフィルタ21B及びローパスフィルタ23Bは、端子15cに接続されている。
【0031】
そして、ハイパスフィルタ19A,19B同士は、BS信号の周波数帯域の電気信号を増幅する増幅器25Aを介して接続されている。同様に、ミディアムパスフィルタ21A,21B同士は、下りCATV信号の周波数帯域の電気信号を増幅する増幅器25Bを介して接続されている。また、ローパスフィルタ23A,23B同士は、上りCATV信号の周波数帯域の電気信号を増幅する増幅器25Cを介して接続されている。
【0032】
したがって、双方向増幅器15に端子15a,15bを介してCATV伝送路13A,13Cから電気信号が入力されると、その電気信号のうち下りCATV信号は、ミディアムパスフィルタ21Aを通って増幅器25Bで電気的に増幅された後、ミディアムパスフィルタ21Bを通過してCATV伝送路13Bに出力される。また、上流側から入力された電気信号のうちBS信号は、ハイパスフィルタ19Aを通って増幅器25Aで電気的に増幅された後、ハイパスフィルタ19Bを通過してCATV伝送路13Bに出力される。
【0033】
更に、下流側から端子15cを介して入力される電気信号のうち上りCATV信号は、ローパスフィルタ23Bを通過して増幅器25Cで電気的に増幅された後に、ローパスフィルタ23Aを通過してCATV伝送路13Aに出力される。
【0034】
このように、上記構成の双方向増幅器15では、下り信号に含まれる下りCATV信号及びBS信号の増幅が確実に補償されている。また、上り信号に含まれる上りCATV信号の増幅も確実に補償されている。
【0035】
双方向増幅器15から加入者宅3,3まではCATV伝送路13Bが敷設されている。CATV伝送路13Bは、分岐・混合器27Aを介して複数の同軸ケーブルが接続されることで双方向増幅器15と加入者宅3,3との間のネットワークを構成している。加入者宅3内に引き込まれたCATV伝送路13Bには、CATV信号の受信端末としてのセットトップボックス(以下、「STB」を称す)29が設けられている。
【0036】
STB29にはテレビ受像機31が接続されており、STB29は、受信した下りCATV信号を音声・画像データに変換してテレビ受像機31に入力する。また、STB29は、ヘッドエンド7への放送配信要求等の要求信号などを周波数帯域10MHz〜55MHz内の周波数成分を有する電気信号(すなわち、上りCATV信号)としてヘッドエンド7に向けて出力する機能を有することも好適である。
【0037】
また、テレビ受像機31にはBS信号の受信端末としてのBSチューナ32が接続されている。BSチューナ32は、STB29の前段に設けられた分岐・混合器27Eを介してCATV伝送路13Bに接続されており、分岐・混合器27Eを介して入力されるBS信号を音声・画像データに変換してテレビ受像機31に入力する。
【0038】
なお、CATV伝送路13Bには、加入者宅3内に設置された電話などもモデムを介して接続されており、電話などの音声が周波数帯域10MHz〜55MHz内の周波数成分を有する電気信号(すなわち、上りCATV信号)に変換されて上流側に音声信号として伝送されることになる。
【0039】
また、CATVシステム1では、ケーブルインターネットを実現するために、第1のケーブルモデム33A、第2のケーブルモデム33B、第3のケーブルモデム33C及び第4のケーブルモデム33Dを有する。以下の説明では、第1〜第4のケーブルモデム33A,33B,33C,33Dを単に、モデム33A,33B,33C,33Dと称す。モデム33A〜33Dは、例えば、c.Link技術を利用したc.Linkモデムである。
【0040】
モデム33A〜33Dは、イーサネット(登録商標)規格のデータ信号と、CATVシステム1で伝送可能なモデム信号(例えば、c.Link信号)とを互いに変換する。以下では、上記データ信号をインターネット信号とも称す。
【0041】
モデム33A〜33Dが生成するモデム信号は、下りCATV信号、BS信号及び上りCATV信号などで利用されていない周波数帯域800MHz〜1.5GHz(第3の周波数帯域)のうち任意の50MHz帯域幅を利用している。また、モデム33A〜33Dは、変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用している。
【0042】
モデム33Aとモデム33Bとは、周波数帯域800MHz〜1.5GHzのうち同じ50MHz帯域幅の周波数帯域を利用しており、モデム33Aとモデム33Bとの間で高速なデータ伝送が可能となっている。モデム33Aとモデム33Bとが通信に利用する50MHz帯域幅の周波数帯域(第4の周波数帯域)を周波数帯域αと称す。
【0043】
また、モデム33Cとモデム33Dとは、周波数帯域内800MHz〜1.5GHzのうち周波数帯域αと異なる50MHz帯域幅の周波数帯域を使用しており、モデム33Cとモデム33Dとの間で高速なデータ伝送が可能となっている。モデム33Cとモデム33Dとが通信に利用している50MHzの帯域幅を有する周波数帯域(第5の周波数帯域)を周波数帯域βと称す。
【0044】
更に、モデム33Bとモデム33Dとは、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブルC1(以下、単に「ケーブルC1」と称す)によって接続されている。その結果として、モデム33Aとモデム33Cとが、モデム33B及びモデム33Dを介して通信できることになる。ここでは、モデム33Bとモデム33DとはケーブルC1で接続されているとしたが、イーサネット(登録商標)規格のデータ信号を伝送可能な通信路で接続されていればよい。
【0045】
上記モデム33A〜33D間のネットワークについて詳細に説明する。
【0046】
図1に示すように、モデム33Aは、集合住宅5の棟外に設けられており、インターネット網35に例えばイーサネット(登録商標)ケーブルC2を介して接続されている。また、モデム33Aは、同軸ケーブルからなるCATV伝送路13Dを介してCATV伝送路13Aに接続されている。より具体的には、CATV伝送路13Dは、CATV伝送路13A上に設けられた分岐・混合器(接続部)27Bを介してCATV伝送路13Aと接続されている。
【0047】
モデム33Aは、インターネット網35から入力されるインターネット信号を変換することによって周波数帯域α内の周波数成分を有するモデム信号を生成してCATV伝送路13Dに出力する。モデム33Aが生成するモデム信号を第1の下りモデム信号とも称す。また、モデム33Aは、CATV伝送路13Dから入力される周波数帯域α内の周波数成分を有するモデム信号(後述する第1の上りモデム信号)をインターネット信号に変換してインターネット網35に出力する。
【0048】
CATV伝送路13A,13Dを接続する分岐・混合器27Bは、モデム33AからCATV伝送路13Dに出力され伝送されてきた第1の下りモデム信号を受けてCATV伝送路13Aに出力する。また、分岐・混合器27Bは、CATV伝送路13Aによって上流側に伝送される第1の上りモデム信号(後述)をCATV伝送路13Dに出力する。これにより、第1の上りモデム信号がモデム33Aに入力されることになる。
【0049】
このモデム33AとCATV伝送路13Aを介して通信するモデム33Bは、棟内であって加入者宅3外に設置されている。モデム33Bは、双方向増幅器15と分岐・混合器27Bとの間のCATV伝送路13A上に設けられた分岐・混合器37に同軸ケーブルからなるCATV伝送路13Eを介して接続されている。
【0050】
分岐・混合器37は、3つの端子37a,37b,37cを有しており、端子37aは、分岐・混合器37より上流側のCATV伝送路13A(すなわち、図中のCATV伝送路13Aa)と接続され、端子37bは、CATV伝送路13Eと接続され、端子37cは分岐・混合器37より下流側のCATV伝送路13A(すなわち、図中のCATV伝送路13Ab)と接続される。
【0051】
また、分岐・混合器37は、770MHz以上の周波数成分を有する電気信号を選択的に通すハイパスフィルタ39と、周波数帯域5MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号を選択的に通すローパスフィルタ41とを有する。
【0052】
そして、分岐・混合器37よりも上流側のCATV伝送路13Aは端子37aを介してハイパスフィルタ39及びローパスフィルタ41に接続され、CATV伝送路13Eは端子37bを介してハイパスフィルタ39に接続され、分岐・混合器37よりも下流側のCATV伝送路13Aは端子37cを介してローパスフィルタ41に接続されている。
【0053】
これにより、上流側のCATV伝送路13Aから入力される電気信号のうち770MHz以上の周波数成分を有する電気信号はハイパスフィルタ39を通ってCATV伝送路13Eに出力され、周波数帯域5MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号はローパスフィルタ41を通って下流側のCATV伝送路13Aに出力される。
【0054】
また、下流側のCATV伝送路13Aから入力される電気信号のうち周波数帯域5MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号はローパスフィルタ41を通って上流側のCATV伝送路13Aに出力される。更に、CATV伝送路13Eから入力される周波数帯域770MHz以上の周波数成分を有する電気信号はハイパスフィルタ39を通って上流側のCATV伝送路13Aに出力される。
【0055】
したがって、モデム33Aから出力された第1の下りモデム信号は、双方向増幅器15には入力されずに、分岐・混合器37及びCATV伝送路13Eを介してモデム33Bに入力されることになる。
【0056】
モデム33Bは、第1の下りモデム信号をインターネット信号に変換して、例えばケーブルC1を介してモデム33Dに送信する。モデム33Bが生成するインターネット信号を下りインターネット信号(下りデータ信号)とも称す。また、モデム33Bは例えばケーブルC1を介してモデム33Dから入力されるインターネット信号(上りインターネット信号)をモデム信号に変換してCATV伝送路13Eに出力する。このモデム33Bが生成するモデム信号を第1の上りモデム信号とも称す。なお、第1の下りモデム信号と第1の上りモデム信号は、同じ周波数成分を有する信号である。
【0057】
このモデム33Bとインターネット信号を送受信するモデム33Dは、集合住宅5の棟内であって加入者宅3外に設置されており、同軸ケーブルからなるCATV伝送路13Fを介してCATV伝送路13Bに接続されている。より具体的には、CATV伝送路13Fは、CATV伝送路13B上に設けられた分岐・混合器27Cに接続されている。
【0058】
モデム33Dは、モデム33Bから例えばケーブルC1を介して入力される下りインターネット信号を変換して周波数帯域β内の周波数成分を有するモデム信号を生成する。このモデム33Dが生成するモデム信号を第2の下りモデム信号とも称す。また、モデム33Dは、CATV伝送路13Fから入力される周波数帯域β内の周波数成分を有するモデム信号をインターネット信号に変換して例えばケーブルC1を介してモデム33Bに送信する。モデム33Dが生成するインターネット信号を上りインターネット信号(上りデータ信号)とも称す。
【0059】
このモデム33DとCATV伝送路13Bを介して通信するモデム33Cは、加入者宅3内に設置されており、加入者宅3内のインターネット端末としてのパソコン(PC)43にイーサネット(登録商標)ケーブルC3(以下、単に「ケーブルC3」と称す)を介して接続されている。また、モデム33Cは、同軸ケーブルからなるCATV伝送路13Gを介してCATV伝送路13Bに接続されている。より具体的には、CATV伝送路13Gは、CATV伝送路13B上に設けられた分岐・混合器(接続部)27Dに接続されている。
【0060】
モデム33Cは、PC43から入力されたインターネット信号を変換して周波数帯域β内の周波数成分を有するモデム信号を生成する。モデム33Cが生成するモデム信号を、第2の上りモデム信号とも称す。なお、第2の下りモデム信号と第2の上りモデム信号は、同じ周波数成分を有する信号である。また、モデム33Cは、CATV伝送路13Gを介して入力される第2の下りモデム信号をインターネット信号に変換してケーブルC3を介してPC43に入力する。
【0061】
CATV伝送路13BとCATV伝送路13Gを接続する接続部としての分岐・混合器27Dは、モデム33CからCATV伝送路13Gに出力され伝送されてきた第2の上りモデム信号を受けてCATV伝送路13Bに出力する。また、分岐・混合器27Dは、CATV伝送路13Bによって伝送されてきた第2の下りモデム信号をCATV伝送路13Gに出力する。なお、分岐・混合器27Dが、下り信号から第2の下りモデム信号を選択的に抽出してCATV伝送路13Gに出力することは好適である。
【0062】
ところで、モデム33Cとモデム33Dとの間で送受信される第2の下りモデム信号や第2の上りモデム信号が、仮に、下りCATV信号やBS信号等と一緒にSTB29やBSチューナ32に入力されるとすると、STB29内とBSチューナ32内においてそれぞれ下りCATV信号及びBS信号から変換される音声・画像データが影響を受ける虞がある。
【0063】
そのため、CATVシステム1では、分岐・混合器27Dと分岐・混合器27Eとの間のCATV伝送路13B上に、周波数帯域β内の周波数成分を有する電気信号を選択的に遮断し、下りCATV信号やBS信号を通すノッチフィルタ(NF)45が設けられている。これにより、STB29及びBSチュー32には、周波数帯域β内の周波数成分を有する電気信号は入力されずに、下りCATV信号及びBS信号が確実に入力されることになる。
【0064】
上記CATVシステム1の動作について説明する。
【0065】
光信号としてのCATV信号がヘッドエンド7から光ファイバケーブル11に出力されると、光ノード9は、その光信号を周波数帯域70MHz〜770MHz内の周波数成分を有する電気信号に変換してCATV伝送路13Aに出力する。これによって、光ノード9より下流のCATV伝送路13Aには、下りCATV信号が伝送されることになる。
【0066】
また、インターネット網35からモデム33Aにインターネット信号が入力されると、モデム33Aは、インターネット信号を第1の下りモデム信号に変換してCATV伝送路13Dに出力する。CATV伝送路13Dによって伝送される第1の下りモデム信号は、分岐・混合器27Bを介してCATV伝送路13Aに出力される。これによって、分岐・混合器27Bよりも下流のCATV伝送路13Aを伝播する下り信号には、下りCATV信号及び第1の下りモデム信号が含まれることになる。
【0067】
このCATV伝送路13A上には分岐・混合器37が設けられており、分岐・混合器37は、入力される下り信号のうち第1の下りモデム信号を、CATV伝送路13Eに出力し、下りCATV信号を、下流側のCATV伝送路13A(CATV伝送路13Ab)に出力する。これによって、第1の下りモデム信号は、CATV伝送路13Eを介してモデム33Bに入力され、下りCATV信号は、CATV伝送路13Aを介して双方向増幅器15に入力される。
【0068】
モデム33Bは、入力された第1の下りモデム信号を下りインターネット信号に変換した後にモデム33Dに送信する。そして、モデム33Dは、受信した下りインターネット信号を第2の下りモデム信号に変換した後、CATV伝送路13Fに出力する。これによって、第2の下りモデム信号は、分岐・混合器27Cを介してCATV伝送路13Bに入力されることになる。
【0069】
また、双方向増幅器15は、入力された下りCATV信号を増幅した後にCATV伝送路13Bに出力する。この際、双方向増幅器15は、CATV伝送路13Cを介して双方向増幅器15に入力されるBS信号も増幅してCATV伝送路13Bに出力する。したがって、CATV伝送路13Bでは、増幅された下りCATV信号及びBS信号が伝送されることになる。
【0070】
そして、双方向増幅器15から出力された下りCATV信号及びBS信号は、分岐・混合器27CによってCATV伝送路13Fを伝送してきた第1の下りモデム信号と重畳された後に加入者宅3に伝送される。
【0071】
CATV伝送路13Bによって伝送される第2の下りモデム信号は、加入者宅3内の分岐・混合器27D及びCATV伝送路13Gを介してモデム33Cに入力される。モデム33Cは、入力された第2の下りモデム信号をインターネット信号に変換した後、ケーブルC3に出力する。これによって、第2の下りモデム信号に対応するインターネット信号がPC43に入力されることになる。
【0072】
また、分岐・混合器27Dを通過した下りCATV信号及びBS信号は、NF45を通過した後にSTB29、BSチューナ32にそれぞれ入力される。これによって、STB29、BSチューナ32には、下りCATV信号、BS信号がそれぞれ入力される一方、第2の下りモデム信号が入力されないようになっている。そして、STB29は、受信した下りCATV信号を音声データ及び画像データに変換してテレビ受像機31に入力する。また、BSチューナ32は受信したBS信号を音声データ及び画像データに変換してテレビ受像機31に入力する。
【0073】
次に、上り信号について説明するが、下り信号と流れが逆であること以外は動作は同様であるので、簡単に説明する。PC43から出力されたインターネット信号は、モデム33Cによって第2の上りモデム信号に変換される。
【0074】
そして、モデム33Cから出力された第2の上りモデム信号はCATV伝送路13G及び分岐・混合器27Dを介してCATV伝送路13Bに入力される。この際、CATV伝送路13Bには、STB29や電話などから出力された上りCATV信号が伝送されているので、第2の上りモデム信号は、上りCATV信号に重畳されることになる。これにより、分岐・混合器27Dより上流側のCATV伝送路13Bでは、第2の上りモデム信号及び上りCATV信号が双方向増幅器15側に伝送される。
【0075】
そして、双方向増幅器15は、周波数帯域5MHz〜55MHz内の周波数成分を有する電気信号を選択的に上流側に通し、他の周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号は遮断する。特に、ローパスフィルタ23Bが通す周波数帯域と周波数帯域βとは離れているため、第2の上りモデム信号は、双方向増幅器15内を通過しないようになっている。そのため、第2の上りモデム信号は、双方向増幅器15より下流に設けられた分岐・混合器27C、及びCATV伝送路13Fを介してモデム33Dに入力される。
【0076】
モデム33Dは第2の上りモデム信号を上りインターネット信号に変換してモデム33Bに送信する。モデム33Bは、受信した上りインターネット信号を第1の上りモデム信号に変換してCATV伝送路13Eに出力する。CATV伝送路に出力された第1の上りモデム信号は、分岐・混合器37に入力される。
【0077】
一方、双方向増幅器15は、周波数帯域10MHz〜55MHz内の周波数成分を有する上りCATV信号を増幅した後にCATV伝送路13Aに出力するので、上りCATV信号は、CATV伝送路13Aを介して分岐・混合器37に入力される。
【0078】
分岐・混合器37は、端子37bを介してCATV伝送路13Eから入力される第1の上りモデム信号をヘッドエンド7側のCATV伝送路13A(CATV伝送路13Aa)に出力し、端子37cを介して下流側のCATV伝送路13A(CATV伝送路13Ab)から入力される上りCATV信号をヘッドエンド7側のCATV伝送路13A(CATV伝送路13Aa)に出力する。そのため、分岐・混合器37よりも上流側のCATV伝送路13Aでは、第1の上りモデム信号と上りCATV信号とが伝送される。
【0079】
そして、第1の上りモデム信号は、分岐・混合器27B及びCATV伝送路13Dを介してモデム33Aに入力され、モデム33Aは、入力された第1の上りモデム信号をインターネット信号に変換してインターネット網35に出力する。
【0080】
また、上りCATV信号は、CATV伝送路13Aによって伝送され、光ノード9で光信号に変換された後にヘッドエンド7に入力される。
【0081】
以上説明したようにCATVシステム1では、モデム33Aとモデム33Bとが周波数帯域α内の周波数成分を有するモデム信号(第1の下りモデム信号、第1の上りモデム信号)によって通信可能であり、モデム33Cとモデム33Dとが周波数帯域α内と異なる周波数帯域β内の周波数成分を有するモデム信号(第2の下りモデム信号、第2の上りモデム信号)によって通信可能である。更に、モデム33Bとモデム33Dとは、ケーブルC1によって接続されているので、イーサネット(登録商標)規格に基づいた双方向通信が可能である。
【0082】
その結果として、モデム33Aとモデム33Cとの間で高速なデータ通信が可能となっている。
【0083】
このように、モデム33Aとモデム33Cとは双方向増幅器15を介さずに通信が可能となっているので、双方向増幅器15が増幅を補償している周波数帯域と異なる周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号(モデム信号)を利用してもモデム33Aとモデム33Cとの間で確実に双方向通信ができる。
【0084】
また、双方向増幅器15を介していないので、双方向増幅器15によってモデム信号の周波数帯域におけるノイズが増幅されることもない。更に、モデム33Aとモデム33Bとの間で使用する周波数帯域α内と、モデム33Cとモデム33Dとの間で使用する周波数帯域β内とが異なるため、仮に双方向増幅器15内をモデム信号が通過したとしても、第2のモデム信号と第1のモデム信号とが干渉することがない。その結果、モデム33Aとモデム33Cとの間で確実に正確なデータ通信ができる。
【0085】
また、双方向増幅器15の上流側には、ハイパスフィルタ39及びローパスフィルタ41を備えた分岐・混合器37がCATV伝送路13A上に設けられているので、第1のモデム信号が双方向増幅器15に入力されることが抑制されている。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、モデム33A〜33Dが使用する周波数帯域は、周波数帯域800MHz〜1.5GHzのうちの50MHzの帯域幅を有する周波数帯域に限られない。
【0087】
モデム33A〜33Dが使用する周波数帯域は、双方向増幅器15に入力される下りCATV信号及び上りCATV信号の周波数帯域(より具体的には、周波数帯域10MHz〜55MHz及び周波数帯域70MHz〜770MHz)、並びに、BS信号の周波数帯域以外の周波数帯域のうちの周波数帯域を利用するものであればよい。
【0088】
なお、BS信号が双方向増幅器15に入力されない場合には、双方向増幅器15に入力される下りCATV信号及び上りCATV信号の周波数帯域以外の周波数帯域を利用していればよい。
【0089】
また、集合住宅5をマンションとしたが、例えば、ビル、ホテルなど複数の加入者が含まれているものであればよい。上記実施形態では、モデム33A、分岐・混合器(接続部)27Bは棟外に設置されているが、棟内に設置されていてもよい。
【0090】
更に、モデム33Bとモデム33Dとは、通信路としてケーブルC1で接続されているとしたが、イーサネット(登録商標)規格によって通信路が確立されていれば(換言すれば、通信路で接続されておれば)よい。そのため、例えば、無線LANによってイーサネット(登録商標)規格に基づくデータ信号を送受信することも可能である。
【0091】
また、モデム33DとCATV伝送路13Bとは分岐・混合器27Cによって接続されているとしたが、この分岐・混合器27Cが分岐・混合器37と同様に上り信号のうち第2の上りモデム信号を選択的にCATV伝送路13Fに出力するという周波数選択特性を有することは好適である。これにより、双方向増幅器15に第2の上りモデム信号や第2の下りモデム信号が入力されることが抑制される。
【0092】
更にまた、モデム33Aとモデム33Bとの間の通信で使用する周波数帯域とモデム33Cとモデム33Dとの間の通信で使用する周波数帯域とは異なるものとしたが、増幅器を介した後、モデム信号が十分に減衰しており、互いに影響を与えない場合は、同じであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係るCATVシステムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0094】
1…CATVシステム、3…加入者宅、5…集合住宅、7…ヘッドエンド、13A…CATV伝送路(第1のCATV伝送路)、13B…CATV伝送路(第2のCATV伝送路)、15…双方向増幅器、27B…分岐・混合器(第1のケーブルモデムと第1のCATV伝送路との接続部)、27D…分岐・混合器(第3のケーブルモデムと第2のCATVモデムとの接続部)、32…BSチューナ、33A…第1のケーブルモデム、33B…第2のケーブルモデム、33C…第3のケーブルモデム、33D…第4のケーブルモデム、37…分岐・混合器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドエンドと集合住宅内の加入者宅との間で双方向通信が可能なCATVシステムであって、
前記ヘッドエンドに接続される第1のCATV伝送路及び前記加入者宅に接続される第2のCATV伝送路に接続されており、前記第1のCATV伝送路から入力される第1の周波数帯域内の周波数成分を有する下りCATV信号を増幅して前記第2のCATV伝送路に出力すると共に、前記第2のCATV伝送路から入力される第2の周波数帯域内の周波数成分を有する上りCATV信号を増幅して前記第1のCATV伝送路に出力する双方向増幅器と、
前記第1のCATV伝送路に接続されており、第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第1の下りモデム信号を生成する第1のケーブルモデムと、
前記第1のケーブルモデムと前記第1のCATV伝送路との接続部より下流側であって前記双方向増幅器までの間の前記第1のCATV伝送路上に設けられている分岐・混合器と、
前記第1のCATV伝送路と前記分岐・混合器を介して接続されており、前記第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第1の上りモデム信号を生成すると共に、前記第1のCATV伝送路及び前記分岐・混合器を介して入力される前記第1の下りモデム信号を下りデータ信号に変換する第2のケーブルモデムと、
前記加入者宅に設置され前記第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第2の上りモデム信号を生成する第3のケーブルモデムに第2のCATV伝送路を介して接続されている第4のケーブルモデムであって、前記第3の周波数帯域内の周波数成分を有する第2の下りモデム信号を生成し前記第2のCATV伝送路を介して入力される前記第2の上りモデム信号を上りデータ信号に変換する第4のケーブルモデムと、
を備え、
前記第2のケーブルモデムと前記第4のケーブルモデムとは、前記下りデータ信号及び前記上りデータ信号を伝送する通信路によって接続されており、
前記第2のケーブルモデムは、前記下りデータ信号を前記第4のケーブルモデムに送信し、前記第4のケーブルモデムは、受信した前記下りデータ信号を変換することによって前記第2の下りモデム信号を生成し、
前記第4のケーブルモデムは、前記上りデータ信号を前記第2のケーブルモデムに送信し、前記第2のケーブルモデムは、受信した前記上りデータ信号を変換することによって前記第1の上りモデム信号を生成し、
前記分岐・混合器は、上流側から入力される前記下りCATV信号を下流側の前記第1のCATV伝送路に出力し、下流側から入力される前記上りCATV信号を上流側の前記第1のCATV伝送路に出力し、上流側から入力される前記第1の下りモデム信号を前記第2のケーブルモデムに出力し、前記第2のケーブルモデムから入力される前記第1の上りモデム信号を上流側の前記第1のCATV伝送路に出力することを特徴とするCATVシステム。
【請求項2】
前記第1の下りモデム信号及び前記第1の上りモデム信号は、前記第3の周波数帯域のうちの第4の周波数帯域内の周波数成分を有しており、
前記第2の下りモデム信号及び前記第2の上りモデム信号は、前記第3の周波数帯域のうちの前記第4の周波数帯域と異なる第5の周波数帯域内の周波数成分を有していることを特徴とする請求項1に記載のCATVシステム。
【請求項3】
前記第1の周波数帯域は70MHz〜770MHzであり、
前記第2の周波数帯域は10MHz〜55MHzであり、
前記第3の周波数帯域は800MHz〜1.5GHzであることを特徴とする請求項1又は2に記載のCATVシステム。
【請求項4】
前記加入者宅に設けられ前記第2のCATV伝送路に接続される受信端末より上流側であって前記第3のケーブルモデムと前記第2のCATV伝送路との接続部までの間の前記第2のCATV伝送路上に設けられており、前記第2の下りモデム信号及び前記第2の上りモデム信号を選択的に減衰させるフィルタを更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のCATVシステム。

【図1】
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