説明

CATV伝送路機器のソフトウエア更新方法とそれに使用可能なCATV伝送路機器

【課題】 ソフトウエアの更新をCATVセンターで自動的に行って更新作業を軽減し、更新作業中にCATV信号が停波しないようにする。
【解決手段】 CATVセンターにおいて、ステータスモニタシステムを使用してCATV伝送路機器の半導体デバイスのソフトウエアデータを読み込み、そのソフトウエアデータを二以上に分割し、分割されたデータに送信順番を示す「順番コマンド」を付し、最後の分割データに最後のデータであることを示す「最後コマンド」を付してCATV伝送路機器に送信し、CATV伝送路機器はCATVセンターから送られる順番コマンド、「最後コマンド」が付いた分割データを受信し、「最後コマンド」が付された最後のデータまで受信して、CATV伝送路機器内の半導体デバイスに書き込まれているソフトウエアを更新するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はCATV伝送路における伝送路機器のプログラムの更新方法とそれに使用される伝送路機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CATVシステムでは、CATVセンターに実装されているステータスモニタシステム(ステータスモニタ親機)と、CATV用の中継増幅器、光変換装置、給電装置等といったCATV伝送路機器に実装されたステータスモニタユニット(ステータスモニタ子機)を利用して、CATV伝送路機器の動作の監視、制御をしている。近年のCATV伝送路機器のステータスモニタユニットには、プログラム(ソフトウエア)が書き込まれた(組み込まれた)CPUやPLD(Programmable Logic Device:プログラム書き込み可能な半導体デバイス)などの半導体デバイスといった部品が実装されて複雑な動作をするものが増えている。
【0003】
従来、CATVシステムにおいて、ソフトウエアをアップデートする方法として特許文献1がある。しかし、それは、BSデジタル放送において、テレビ放送信号とは別にBSデジタルチューナの動作プログラムを更新するために配信されるダウンロードデータを、BSデジタルチューナが取得して自己の動作プログラムを更新できるようにしたものであって、CATV用ステータスモニタに搭載のCPUやPLDに書き込まれているソフトウエアを更新する方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−282483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CATV伝送路機器内のCPUやPLD等に書き込まれたソフトウエアに不良が生じて修正作業が必要になった場合や、機能改善などのバージョンアップによりソフトウエアの更新が必要になった場合、従来は、古い半導体デバイスを、修正或いは更新されたソフトウエアが書き込まれた新たな半導体デバイスと交換したり、半導体デバイスが搭載されているCATV伝送路機器と交換作業を行ったりしていた。
【0006】
一箇所のCATV伝送路機器の更新作業を行うには、伝送路側とCATVセンター側に作業員を配置し、夫々の作業員が次のような作業を行っていた。
伝送路側の作業員は、
1.CATV伝送路機器の蓋を開ける。
2.CATV伝送路機器内部のソフトウエア書き込み端子に専用の書き込み器を繋いでソフトウエアを書き換え、新しいソフトウエアで動作させる。
3.CATV伝送路機器のモニタ端子にスペクトルアナライザを繋ぎ、ステータスモニタ通信用信号が正常に出力されていることを確認する。
4.ステータスモニタ通信が正常に動作していることをCATVセンターの作業員に確認する。
5.CATV伝送路機器の蓋を閉める。
CATVセンター側の作業員は、
1.伝送路側の作業員と連絡を取り、ソフトウエア更新後にステータスモニタ通信が正常に動作していることを、伝送路側の作業員に伝える。
【0007】
大規模なCATV施設では更新対象となるCATV伝送路機器の数が数千台もあるため、更新作業に多大な労力が必要となっている。また、前記作業中はCATV信号が停波するという難点もある。
【0008】
本願発明の課題は、前記ソフトウエアの更新をCATVセンターで自動的に行って更新作業を軽減し、更新作業中にCATV信号が停波しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、CATVセンターのステータスモニタシステムとCATV伝送路機器のステータスモニタユニットを使用して、CATV伝送路機器のCPUやPLD等の半導体デバイス(以下、単に「半導体デバイス」という。)に書き込まれているソフトウエアを更新或いは修正(以下、両者をまとめて「更新」という。)する方法において、前記CATVセンターにおいて、ステータスモニタシステムを使用して前記CATV伝送路機器の半導体デバイスのソフトウエアデータ(以下、「データ」という。)を読み込み、そのデータを二以上に分割し、分割されたデータ(分割データ)に送信順番を示す「順番コマンド」を付し、最後の分割データに最後のデータであることを示す「最後コマンド」を付して前記CATV伝送路機器に送信し、前記CATV伝送路機器は前記CATVセンターから送られる「順番コマンド」、「最後コマンド」が付いた分割データ(以下「コマンド付き分割データ」という。)を受信し、「最後コマンド」が付された最後のデータまで受信して、前記CATV伝送路機器内の半導体デバイスに書き込まれているソフトウエアを更新するようにした方法である。
【0010】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、前記CATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATV伝送路機器は「最後コマンド」の付いた最後の分割データを受信すると、自らが自動的に当該CATV伝送路機器をリセットする方法とすることができる。CATV伝送路機器は「最後コマンド」の付いた最後の分割データを受信すると全てのデータを受信したことを示す受信信号をCATVセンターに送信し、受信信号を受信した前記CATVセンターから前記CATV伝送路機器にリセット信号が送信されると、当該CATV伝送路機器がリセットされるようにすることもできる。
【0011】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、前記CATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、コマンド付き分割データの全てがCATV伝送路機器に受信されないとき(異常受信のとき)は、前記CATV伝送路機器よりCATVセンターにリクエスト信号を送信し、リクエスト信号を受信したCATVセンターからリクエストした前記CATV伝送路機器に、全て又は欠落したコマンド付き分割データを送信し、その分割データに更新するようにすることもできる。異常チェック(異常確認)はステータスモニタ通信の仕様と同じBCC(Block Check Character)方式で行うことができる。
【0012】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、前記CATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATVセンターから送られるコマンド付き分割データを、前記CATVセンターで選択された一部のCATV伝送路機器に個別に送信することも、CATVシステムの全てのCATV伝送路機器に一括して送信するようにすることもできる。
【0013】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、前記CATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、コマンド付き分割データの送信を、ステータスモニタ通信の合間に行うことができる。分割データをステータスモニタ通信の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短いデータ長に分割することもできる。この分割データはステータスモニタ通信のポーリング信号間の空き時間内に送信することも、ポーリング信号の送信時にポーリング信号に代えて送信して、本来送信するポーリング信号の送信タイミングをずらすようにすることもできる。
【0014】
本願発明のCATV伝送路機器は、CATVセンターのステータスモニタシステムと通信可能なステータスモニタユニットを備え、ステータスモニタユニットにはソフトウエアが書き込まれた半導体デバイスが実装され、前記ステータスモニタ通信によりCATV伝送路機器を監視、制御するCATVシステムのCATV伝送路機器において、前記CATV伝送路機器は当該CATV伝送路機器を動作させるソフトウエアを格納する動作領域と、前記CATVセンターから送信されたソフトウエアを格納する保存領域と、リセット後に最初に起動するソフトウエアを格納する起動領域を備え、プログラム構成として、分割データに付して前記CATVセンターから送信される「順番コマンド」及び「最後コマンド」を処理する通信データ処理部と、分割データが全部揃ったことを確認する確認部と、分割データが全部揃ったことが確認された後に前記CATV伝送路機器の半導体デバイスをリセットするリセット部を備えたものである。
【0015】
本願発明のCATV伝送路機器は、前記CATV伝送路機器において、CATV伝送路機器は当該CATV伝送路機器がリセットされている間はリセット前の回路状態を保持するようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は次のような効果がある。
1.データを二以上に分割して送信するので、既存の低速送信のステータスモニタ通信を使用してソフトウエアを更新することができる。
2.データをCATVセンターから二以上に分割して伝送路機器に送信するので、CATV伝送路機器がデータを受信することで勝手に更新することはない。また、更新状態をCATVセンターで確認することができる。
3.二以上に分割されたデータに、そのデータの順番を示す「順番コマンド」、最後の分割データであることを示す「最後コマンド」を付してあるので、分割データが全部揃ったかどうかを確認することができ、ソフトウエアの確実な更新が可能となる。
4.分割されたデータの全てがCATV伝送路機器で受信されない場合(異常受信時)は、CATV伝送路機器からCATVセンターに再送信を要求し、その要求に応じてデータが再送信されるので、データの更新が確実にできる。
5.CATV伝送路機器のソフトウエアを、CATVセンターからの制御で自動的に更新するので、個々の伝送路側に作業員を配置する必要がなく、更新作業人員の削減、作業時間の短縮が可能となる。CATV伝送路機器のある現場での高所作業、現場への車の移動などがなくなるので更新作業時間を短くできる。
6.データを二以上に分割して送信するため、通常のステータスモニタ通信の合間に送信することもでき、通常のステータスモニタ通信に支障を来さない。
7.CATVで運用されている放送を停波させることなくCATV伝送路機器のソフトウエアの更新ができる。
8.既存の上り伝送帯域を使用して、CATV伝送路機器が正常に受信できているかを確認することができるので、伝送システムを変更する必要がない。
9.ステータスモニタシステムで使用しているCATV伝送路機器のアドレスを利用してCATV伝送路機器を識別できるため、センターモデムに繋がる伝送路機器中の特定の1台を指定して送信することも、全てに一括で送信することもできる。
10.分割データをステータスモニタ通信の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短いデータ長に分割するので、分割データをステータスモニタ通信のポーリング信号間の空き時間内に送信することも、ポーリング信号の送信タイミングをずらして、ずれた空き時間(タイミング時)に、本来送信するポーリング信号に代えて分割信号を送信することもできるので、本来のステータスモニタ通信に影響がない。
【0017】
本願発明のCATV伝送路機器は次のような効果がある。
1.ステータスモニタユニットが、CATV伝送路機器を動作させるソフトウエアを格納する動作領域と、更新されたソフトウエアを格納しておく保存領域と、リセット後に最初に起動するプログラムを格納する起動領域を備えているので、更新中であっても、動作領域に保存されているソフトウエアでCATV伝送路機器を動作させることができ、CATV信号が停波しない。
2.プログラム構成として、CATVセンターから送信される分割データに付して送信される「順番コマンド」及び「最後コマンド」を処理する通信データ処理部と、分割された分割データが全部揃ったことを確認する確認部と、CATV伝送路機器をリセットするリセット部を備えているので、更新及び更新済みの確認まで確実に実行することができる。
3.CATV伝送路機器はリセットされている間は、リセット前の回路状態を保持できるので、更新に失敗してもやり直しができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】CATVシステムの概要説明図。
【図2】本願発明のステータスモニタシステムにおけるCATVセンターとCATV伝送路機器の概要説明図。
【図3】本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエアの更新手順におけるCATV伝送路機器が自らCATV伝送路機器をリセットする場合の通信説明図。
【図4】本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエアの更新手順において、CATVセンターがCATV伝送路機器をリセット制御する場合の通信説明図。
【図5】本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエアの更新手順において、ソフトウエアをCATVセンターからCATV伝送路機器に再送信する場合の通信説明図。
【図6】本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエアの更新手順において、ソフトウエアを多数のCATV伝送路機器に一括通信する場合の通信説明図。
【図7】本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエアの更新手順において、起動領域のプログラムの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1:CATV伝送路機器が自らリセットする場合)
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法の第1の例を図1〜図3に基づいて以下に説明する。本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法は、図1に示すようにCATVセンター(以下、「センター」という。)1のステータスモニタシステム(親機)と、センター1に接続されているCATV伝送路機器(以下、「伝送路機器」という。)2のステータスモニタユニット(子機)との間でステータスモニタ通信が可能な既存のCATVシステムにおいて、前記伝送路機器の半導体デバイスに保存されているソフトウエアを更新する場合であり、ソフトウエアの更新後に、伝送路機器が自ら伝送路機器の動作をリセットする場合である。
【0020】
この実施形態1では、伝送路機器2に送るソフトウエアデータを、センター1において二以上に分割して送信する。この伝送に先立って、伝送路機器2への通信仕様に「X番目のデータコマンド」、「最後のデータコマンド」という2種類のコマンドを用意し、伝送路機器2からセンター1への通信仕様に「X番目のデータ要求コマンド」、「正常終了コマンド」、「異常終了コマンド」の3種類のコマンドを用意しておく。
【0021】
伝送路機器2は図2に示すように、伝送路機器2を動作させるソフトウエアを格納する動作領域3と、更新されたソフトウエアを格納する保存領域4と、リセット後に最初に起動するソフトウエアを格納する起動領域5を備え、プログラム構成として、センター1から伝送される分割データの夫々に付して送信される「順番コマンド」及び最後の分割データに付して送信される「最後コマンド」を処理する通信データ処理部6と、分割データが全部揃ったことを確認する確認部7と、分割データが全部揃っていることが確認された後に伝送路機器2の半導体デバイスをリセットするリセット部8を備えたものとする。実施形態1の更新は、これら仕様を前提として図3の手順で更新する。図3の手順を以下に説明する。
【0022】
1.センター1のセンターモデム9に接続されたパソコンPC(図1)で、ステータスモニタシステムを使って、送信対象となる伝送路機器2をアドレスで選択し、選択された伝送路機器2へ送信する新しいソフトウエアの通信データを読み込み、そのデータを二以上に分割する。分割長は例えば、ステータスモニタ通信(例えばポーリング方式によるステータスモニタ通信)の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短いデータ長にする。分割数は任意数(N個)とし、分割された夫々のデータ(分割データ)に番号(順番番号)をつける。
2.センター1は選択されたアドレスの伝送路機器2に対して、はじめに「1番目のデータコマンド」と共に1番目の分割データを送信する。
3.「1番目のデータコマンド」を受信した伝送路機器2は、自己向けの分割データであることを確認し、その伝送路機器2の保存領域4に1番目の分割データを書き込む。
4.伝送路機器2は1番目のデータを受信したことを記憶してから、センターに「2番目のデータ要求コマンド」を送信する。
5.センター1は伝送路機器2に「2番目のデータコマンド」と2番目の分割データを送信する。
6.以後、最後の番号の分割データを送信し終えるまで、前記2〜5と同様の操作を繰り返す。
7.分割データ送信中に、通常のステータスモニタ通信も可能である。
8.伝送路機器2は、要求した番号(N番目の番号)と違う番号の分割データを受信すると、分割データを保存領域4に書き込まず、再度「N番目のデータ要求コマンド」をセンター1に送信する。
9.前記コマンドを受信したセンター1は、N番目の分割データを伝送路機器2に送信する。
10.N番目の分割データを受信した伝送路機器2は、センター1に対して「N+1番目のデータ要求コマンド」を送信する。
11.「N+1番目のデータ要求コマンド」を受信したセンター1は「最後のデータコマンド」と共に最後の分割データを伝送路機器2に送信する。このとき、センター1からソフトウエアをチェックするためのCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)のデータ(CRCデータ)を送信する。
12.伝送路機器2は前記「最後のデータコマンド」と共に最後の分割データを受信し、CRCデータをも受信したら、保存領域4のソフトウエアをCRC方式でチェックし、ソフトウエアが正しく揃っているか否かを確認する。
13.正しく揃っている場合は、ヘッダ情報として受信したソフトウエアのCRCデータの受信時間が、動作領域3のソフトウエアの受信時間よりも新しいことを示すカウンタを記録し、その後に、伝送路機器2自らが伝送路機器2をリセットする。
【0023】
(実施形態2:センターからリセット制御する場合)
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法の実施形態の第2の例を図4に基づいて以下に説明する。この実施形態は、ソフトウエアの更新後に、伝送路機器2をセンター1から制御してリセットする場合の例である。この更新方法は前記実施形態1の1〜12と同じ手順で操作し、その後に次の操作を行う。
1.前記12で、保存領域4のソフトウエアのCRCチェックを行ってソフトウエアが正しく揃っていることが確認されたときは、伝送路機器2は「正常終了コマンド」をセンター1に送信し、センター1からリセット命令を受信するまで動作を続ける。
2.伝送路機器2はセンター1からリセット命令を受信すると当該伝送路機器2が自動的にリセットされる。
【0024】
(実施形態3:受信データのチェックに失敗した場合)
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法の実施形態の第3の例を図5に基づいて以下に説明する。この実施形態は受信データのチェックに失敗した場合の一例である。この方法は前記実施形態1の1〜12の手順と同じ手順で操作してから次の操作を行う。
1.前記12の手順で、CRCチェックの結果が異常だった場合、「異常終了コマンド」をセンター1に送信する。
2.「異常終了コマンド」を受け取ったセンター1は、1番目の分割データから送信し直す。この場合、夫々の分割データに「順番コマンド」を、最後の分割データに「最後コマンド」を付す。
3.以後、正常終了するまで再送信を繰り返す。
なお、実施形態3では、「異常終了コマンド」を受け取ったセンター1は、すべての分割データを再度送信しているが、コマンド付き分割データの一部が伝送路機器2に受信されないとき(データが欠落等)は、伝送路機器2から分割データの一部が受信されていないことを通知するリクエスト信号をセンター1に送信し、センター1は、そのリクエスト信号で通知された欠落したコマンド付き分割データのみを再度送信することも可能である。
【0025】
(実施形態4:登録されている全ての伝送路機器に対して同時に通信(一括通信)する場合)
本願発明のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法の実施形態の第4の例を図6に基づいて以下に説明する。前記実施形態1〜3は任意の伝送路機器2を選択して、それら伝送路機器2のソフトウエアを更新する場合であるが、この実施形態はセンター1に登録されている全ての伝送路機器2に対して同時にデータを送信して(一括送信して)更新する場合の例である。この更新方法は基本的には前記実施形態1の更新操作と共通し、それとの差異は以下の通りである。この更新操作では、予め、以下の仕様に定めておく。
1.センター1からデータを送信する伝送路機器2のアドレスをグローバルアドレスとする。
2.ステータスモニタ通信の仕様上、複数の伝送路機器2から同時に上りデータを送信するとセンターモデムが正常に受信できないため、伝送路機器2はソフトウエアデータの受信に成功しても失敗してもセンター1に応答をしない。
3.センター1は分割データの送信後、適当な時間が経過したら、伝送路機器2からの応答を待たずに次の分割データを分割順に自動的に送信する。
【0026】
前記1〜3の仕様を前提として、ソフトウエアデータを図6に示す手順で更新する。
1.センター1に設置されているパソコンPC(図1)で、伝送路機器2のデータを読み込み、適当な大きさに分割する。分割数は任意数(N個)とし、分割された夫々のデータ(分割データ)に番号(順番番号)をつける。
2.センター1は、全ての伝送路機器2に対して、はじめに「1番目のデータコマンド」とともに、1番目のデータを送信する。
3.全ての伝送路機器2は、「1番目のデータコマンド」を受信すると、受信した伝送路機器2の保存領域4に1番目のデータを書き込む。
4.全ての伝送路機器2は、1番目のデータを受信したことを記憶するが、センター1への応答はしない。
5.センター1は、1番目のデータの送信後、適当な時間が経過したら、伝送路機器2からの応答を待たずに次の分割データ(2番目の分割データ)を、全ての伝送路機器2に送信する。
6.以後、前記2〜5と同様の操作をしてN番目の分割データまで送信を繰り返す。
7.前記分割データの送信中、通常のステータスモニタ通信も可能である。この場合は、センター1から伝送路機器2に個別アドレスで伝送路機器2のステータス情報を要求し、要求された伝送路機器2は当該伝送路機器2のステータス情報をセンター1に応答する。
8.センター1は、前記N番目の分割データの送信後、最後の分割データ及びCRCデータを送信する。
9.伝送路機器2は前記CRCデータの受信後、保存領域4に保存されたデータのCRCチェックを行い、ソフトウエアが正しく揃っているか確認する。
10.正しく揃っていた場合、ヘッダ情報として受信したソフトウエアのCRCデータの受信時間が、動作領域3のソフトウエアよりも新しいことを示すカウンタを記録し、その後、伝送路機器2をリセットする。
【0027】
(リセット後の伝送路機器の動作)
前記実施形態1〜4のいずれの場合も、リセット後の伝送路機器2の動作は次のようになる。
1.伝送路機器2はリセットされると、起動領域5のプログラムは、保存領域4と動作領域3のヘッダ情報から、夫々の領域に格納されているデータのCRCチェックを行う。
2.どちらのデータも正常だった場合、さらに夫々のヘッダ情報内のカウンタを比較し、保存領域4の方が新しかったらデータを動作領域3にコピーする。
3.CRCチェックの結果、どちらかのデータが異常だった場合、正常な方のデータをコピーする。
4.伝送路機器2は起動時に動作領域3のソフトウエアを確認し、動作領域3に保存されている新しいデータを読み込んで、そのソフトウエアで動作を開始する。
【0028】
前記実施形態における分割データの分割長は、ステータスモニタ通信の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短いデータ長としてあるが、可能であれば、ステータスモニタ通信の空き時間長よりも長くてもよい。
【0029】
分割データのデータ長がステータスモニタ通信の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短い場合は、その分割データを、ステータスモニタ通信のポーリング信号間の空き時間内に送信することも、ポーリング信号の送信タイミングをずらして、ずれた空き送信時に、本来送信するポーリング信号に代えて前記分割信号を送信することもできる。
【0030】
分割データのデータ長がステータスモニタ通信の空き時間長よりも長い場合は、ポーリング信号の送信タイミングをずらして、ずれた空き送信時に、本来送信するポーリング信号に代えて、前記分割信号を送信するのがよい。
【符号の説明】
【0031】
1 (CATV)センター
2 (CATV)伝送路機器
3 動作領域
4 保存領域
5 起動領域
6 通信データ処理部
7 確認部
8 リセット部
9 センターモデム
PC パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CATVセンターのステータスモニタシステムとCATV伝送路機器のステータスモニタユニットを使用して、CATV伝送路機器の半導体デバイスに書き込まれているソフトウエアを更新する方法において、
前記CATVセンターにおいて、ステータスモニタシステムを使用して前記CATV伝送路機器へ送信する新しいソフトウエアデータを読み込み、そのソフトウエアデータを二以上に分割し、分割されたデータに送信順番を示す「順番コマンド」を付し、最後の分割データに最後のデータであることを示す「最後コマンド」を付して前記CATV伝送路機器に送信し、前記CATV伝送路機器は前記CATVセンターから送られる「順番コマンド」、「最後コマンド」が付いた分割データを受信し、「最後コマンド」が付された最後のデータまで受信して、前記CATV伝送路機器内の半導体デバイスに書き込まれているソフトウエアを更新することを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項2】
請求項1記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATV伝送路機器は「最後コマンド」の付いた最後の分割データを受信すると、自らが自動的に当該CATV伝送路機器をリセットすることを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項3】
請求項1記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATV伝送路機器は「最後コマンド」の付いた最後の分割データを受信すると全てのデータを受信したことを示す受信信号をCATVセンターに送信し、受信信号を受信した前記CATVセンターから前記CATV伝送路機器にリセット信号が送信されると、当該CATV伝送路機器がリセットされることを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、コマンド付き分割データの全てがCATV伝送路機器に受信されないときは前記CATV伝送路機器よりCATVセンターにリクエスト信号を送信し、リクエスト信号を受信したCATVセンターからリクエストした前記CATV伝送路機器に全て又は欠落したコマンド付き分割データを送信し、その分割データに更新することを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATVセンターから送られるコマンド付き分割データを、前記CATVセンターで選択された一部のCATV伝送路機器に個別に送信することを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、CATVセンターから送られるコマンド付き分割データを、CATVシステムの全てのCATV伝送路機器に一括して送信することを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、コマンド付き分割データの送信を、ステータスモニタ通信の合間に行うことを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、分割データをステータスモニタ通信の空き時間に相当するデータ長又は空き時間よりも短いデータ長に分割することを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法において、分割データをステータスモニタ通信のポーリング信号間の空き時間内に送信するか、又はポーリング信号の送信時にポーリング信号に代えて送信して、本来送信するポーリング信号の送信タイミングをずらすようにしたことを特徴とするCATV伝送路機器のソフトウエア更新方法。
【請求項10】
CATVセンターのステータスモニタシステムと通信可能なステータスモニタユニットを備え、ステータスモニタユニットにはソフトウエアが書き込まれた半導体デバイスが実装され、前記ステータスモニタ通信によりCATV伝送路機器を監視、制御するCATVシステムのCATV伝送路機器において、
前記CATV伝送路機器は当該CATV伝送路機器を動作させるソフトウエアを格納する動作領域と、前記CATVセンターから送信されたソフトウエアを格納する保存領域と、リセット後に最初に起動するソフトウエアを格納する起動領域を備え、プログラム構成として、分割データに付して前記CATVセンターから送信される「順番コマンド」及び「最後コマンド」を処理する通信データ処理部と、分割データが全て揃ったことを確認する確認部と、分割データが全部揃ったことが確認された後に前記CATV伝送路機器の半導体デバイスをリセットするリセット部を備えたことを特徴とするCATV伝送路機器。
【請求項11】
請求項10記載のCATV伝送路機器において、CATV伝送路機器は当該CATV伝送路機器がリセットされた場合はリセット前に新しくインストールされたデータでかつ正常なソフトウエアを起動/動作させることを特徴とするCATV伝送路機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216894(P2012−216894A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78930(P2011−78930)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000114226)ミハル通信株式会社 (38)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】