説明

CATV機器用筐体とその筐体を使用したCATV機器

【課題】光ケーブルやテンションメンバーを筐体から取り外さなくても、筐体内各種機器やユニット等を筐体内から取り出すことができるCATV機器を提供する。
【解決手段】本体2と蓋体のいずれか一方の周壁19に光ケーブル接続端子6を備えたCATV用機器の筐体において、光ケーブル接続端子6を備えた本体2又は蓋体の周壁19の一部に、光ケーブル接続端子6から筐体内に差し込まれるテンションメンバーTを支持できる支持体10を備え、支持体10は周壁内面よりも筐体内に突設され且つ前記テンションメンバーTの軸線方向先方に設けられたものである。支持体10は同一周壁の同一内面に一又は二以上設けることもできる。ケーブル接続端子6が本体2又は蓋体の対向する二つの周壁19に設けられている場合は、両周壁間の周壁19における夫々の光ケーブル接続端子6寄りの二箇所に設けることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、CATV伝送システムに敷設されるCATV機器用筐体と、その筐体を使用したCATV機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CATVシステムの伝送路には、光同軸増幅器、双方向増幅器、延長増幅器といった各種CATV機器が敷設される。CATVシステムの信号伝送方式には各種方式があり、その一つとして光・同軸ハイブリッド方式(HFC方式:Hybrid Fiber/Coaxial System方式)がある。HFC方式は、ケーブルテレビセンターから光送受信機(ノード)までの幹線については長距離伝送に適した光ケーブルを使用し、ノードから加入者宅までの支線については分岐・分配の容易な同軸ケーブルを使用する方式である。HFC方式ではCATV伝送路に光伝送機器が敷設される。
【0003】
光伝送機器敷設の一例を図9に示す。図9では光伝送機器Aの光ケーブル接続端子Bに光ケーブルCが接続され、光伝送機器Aの同軸ケーブル接続端子Dに同軸ケーブルEが接続され、分岐端子Fに同軸ケーブルGが接続される。この光伝送機器Aでは光ケーブルCから光伝送機器Aに入力される下り光信号が電気信号に変換(O/E変換)されて同軸ケーブル接続端子Dに送り出され、同軸ケーブル接続端子Dから光伝送機器Aに入力される上り電気信号が光信号に変換(E/O変換)されて光ケーブル接続端子Bに送り出される。また、必要に応じてO/E変換された分岐信号が分岐端子Fに送り出される。図9は双方向CATVシステムであるが、CATVシステムにはケーブルテレビセンターから加入者側に下り光信号を伝送するだけの単方向CATVシステムもある。単方向CATVシステムではE/O変換器や、上り信号処理回路等は存在しない。
【0004】
光伝送機器Aは、通常は、図10に示すように本体Hと蓋体Iとが連結部Jにおいて開閉可能に連結されて筐体Kが構成されている。本体Hと蓋体Iは必要に応じて分解する(取り外す)こともできる。通常、本体Hと蓋体Iはアルミダイキャスト製である。本体Hの周壁には光ケーブル接続端子B、同軸ケーブル接続端子D、個別給電用の給電端子、モニタ端子等も設けられている。本体H内には光伝送機器に必要なO/E変換器、E/O変換器をはじめとしてその他の機器が内蔵されており、それらの上からそれら機器の保護或いは目隠し等のために金属製のパネルLを被せ、そのパネルLの数箇所を本体HにネジMで止めてある。蓋体Iには、通常、同軸ケーブルE(図9)に重畳されるAC30/60Vや個別給電端子に給電される電源を本体H内の機器や回路に供給するための電源回路、その他の機器等が内蔵されている。
【0005】
光伝送機器Aは室内に設置されるものもあるが空中に架設されるものもある。空中に架設される場合、従来は図10に示すように、光ケーブルCの外皮を剥いで、外皮内のテンションメンバー(抗張力線)Tと信号線(光ファイバ)Nを外皮の外に引き出し、そのテンションメンバーTと光ファイバNを光ケーブルコネクタOに挿入して、光ケーブルCを光ケーブルコネクタOに取付け、光ケーブルコネクタOを光ケーブル接続端子Bに連結することにより、テンションメンバーTと光ファイバNを本体H内に通し、テンションメンバーTを上向きコ字状の受け具Pと下向きコ字状の押さえ具Qで挟み、受け具Pを下にして前記パネルLの上に止めネジRで固定して、テンションメンバーTをパネルLに固定している。前記光ファイバNはファイバ余長部Sとか他の機器や配線等と連結されている。
【0006】
テンションメンバーTを光伝送機器Aに固定するための固定具として、本件出願人の出願に係る特許文献1に示すものがあるが、これは、図10に示す受け具P、押さえ具Qに代えて使用するものであり、光伝送機器Aの筐体Kとは別体に成型され、筐体K内のパネルLやシャーシ等にネジ止め等して使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−121967号公報
【0008】
CATV伝送システムでは、運用開始後に、システムの拡張、変更、保守点検、修理等の作業を行うことがある。この場合、光伝送機器Aの筐体K内のO/E変換器、E/O変換器といった各種機器を筐体K(図10では本体H)から取り外して引き出すことがある。しかし、テンションメンバーTは図10に示すように本体H内のパネルLに固定されているため、本体H内の機器を引き出すためには、テンションメンバーTをパネルLから取り外して光ケーブルコネクタO(図10)を光ケーブル接続端子Bから取外さなければならないという面倒がある。また、前記作業の終了後は、本体Hから引き出した機器を本体H内に戻してから、先に取り外した光コネクタOを光ケーブル接続端子Bに接続し直し、さらには、テンションメンバーTをパネルLに固定し、光ファイバNを本体内の下の接続箇所に接続し直さなければならないという面倒があった。これら面倒は前記特許文献1の固定具を使用した場合も同様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の解決課題は、テンションメンバーをパネルから取り外したり、光コネクタをCATV機器から取り外したりしなくても、CATV機器の筐体内の各種機器を筐体から取り出すことができるようにして、テンションメンバーやケーブルを取り外す面倒や、接続し直す面倒がないCATV機器用筐体と、その筐体を使用したCATV機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(CATV機器用筐体)
本願発明のCATV機器用筐体は、開閉可能に連結された本体と蓋体で筐体が構成され、本体と蓋体は底面と周壁を備え、底面と反対側面が開口した箱状であり、本体と蓋体のいずれか一方の周壁に光ケーブル接続端子を備えたCATV用機器の筐体において、本体又は蓋体の周壁であって、光ケーブル接続端子の近くに、光ケーブル接続端子から筐体内に差し込まれるテンションメンバーを支持する支持体が設けられ、支持体は周壁内面よりも筐体内に突出して設けられ、前記テンションメンバーの軸線方向先方に設けられている。
【0011】
前記CATV機器用筐体における支持体を、同一周壁の同一面に一又は二以上設けることができる。
【0012】
前記CATV機器用筐体における支持体は、光ケーブル接続端子を備えた周壁と隣り合う周壁の内面に設けることができる。
【0013】
前記CATV機器用筐体において、光ケーブル接続端子を本体又は蓋体の対向する二つの周壁に設け、支持体を両周壁と隣合う周壁の光ケーブル接続端子寄りの二箇所に設けることができる。
【0014】
前記CATV機器用筐体において、支持体を、本体又は蓋体の周壁の内面から底面まで縦長に設けることができる。
【0015】
前記CATV機器用筐体において、本体又は蓋体をアルミダイキャスト製とし、支持体を本体又は蓋体と一体に成型することができる。
【0016】
前記CATV機器用筐体において、支持体を本体又は蓋体と別体に成型し、その支持体を本体又は蓋体に取付けることもできる。
【0017】
前記CATV機器用筐体において、支持体を、本体又は蓋体の周壁に設けたガイドに沿って設置固定することができる。
【0018】
前記CATV機器用筐体において、支持体の支持部を、周壁内面から筐体の内側に向けて下り傾斜の斜面とすることができる。
【0019】
前記CATV機器用筐体において、支持体の支持部にテンションメンバーを配置する嵌合溝を設け、嵌合溝を、光ケーブル接続端子から差し込まれるテンションメンバーの軸線方向に横断して設けることができる。
【0020】
前記CATV機器用筐体において、支持体の支持部を、光ケーブル接続端子から差し込まれるテンションメンバーを貫通可能な貫通孔とすることができる。
【0021】
(CATV機器)
本体と蓋体が開閉可能に連結されて筐体が構成され、本体と蓋体のいずれか一方に光ケーブル接続端子を備え、筐体内にCATV機器として必要な部材が内蔵されたCATV用機器において、筐体を前記支持体を備えたCATV機器用筐体とし、筐体内に被せるパネルを、前記支持体への接触を回避できる凹部を備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本願発明のCATV機器用筐体を使用したCATV機器は、その機能拡張、保守点検、修理等の作業をするに当たって筐体内の各種機器、ユニット等を取り外すときに、テンションメンバーを筐体内のパネルから取り外したり、光ケーブルを光ケーブル接続端子から取り外したりする必要がなく、それら取り外し作業の面倒が解消される。また、前記作業終了後にテンションメンバーや光ケーブルを接続し直す必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明のCATV機器用筐体を用いたCATV機器であって、本体に開閉可能に取付けられている蓋を180度開いた状態の一例を示す平面図。
【図2】本願発明のCATV機器用筐体の支持体部分の斜視図。
【図3】本願発明のCATV機器用筐体の支持体にテンションメンバーを配置し、テンションメンバーの上に押さえ具を被せてネジ止めした状態の断面図。
【図4】本願発明のCATV機器用筐体の支持部にテンションメンバーを固定するのに使用される押さえ具を示すものであり、(a)は外面側の斜視図、(b)は内面側の斜視図である。
【図5】本願発明のCATV機器用筐体の周壁に設けた溝状のガイド内に支持体を差し込んで周壁に取付けた場合の一例を示す斜視図。
【図6】本願発明のCATV機器用筐体の周壁に二つ並べて設けた支持体の上にテンションメンバーを配置した場合の一例を示す斜視図。
【図7】本願発明のCATV機器用筐体の周壁に設けた支持体に開口した貫通孔内をテンションメンバーが貫通した場合の一例を示す斜視図。
【図8】本願発明のCATV機器用筐体の支持部にテンションメンバーを固定するために使用される押さえ具を示すものであり、(a)は押さえ具のV字状の溝と支持体のV字状の溝の間にテンションメンバーを挟んだ場合の正面図、(b)は押さえ具のW字状の溝と支持体のW字状の溝の間にテンションメンバーを挟んだ場合の正面図。
【図9】CATV機器の架設配線説明図。
【図10】従来のCATV機器の本体に開閉可能に連結されている蓋体を180度開いた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(CATV機器用筐体)
本願発明のCATV機器用筐体の一例を図1〜図4に示す。この実施形態はCATV機器が光伝送機器の場合であり、外皮内にテンションメンバーと光ファイバが内蔵された光ケーブルを光伝送機器の光ケーブル接続端子に接続する場合の例である。
【0025】
図1の光伝送機器用筐体1は、既存の筐体と同様に、アルミダイキャスト製の本体2と蓋体3が、二箇所の連結部4において開閉可能に連結されて構成されている。本体2と蓋体3は連結部4から必要に応じて取り外し可能である。本体2にはメッセンジャーワイヤーWに取付ける(係止する)ためのワイヤー取付け部5が二つ設けられ、側面には光ケーブル接続端子6、同軸ケーブル接続端子7の他に分岐端子、個別給電用の給電端子、モニタ端子等の各種端子8も設けられている。光ケーブル接続端子6にはテンションメンバー内蔵の光ケーブルCが光ケーブルコネクタ9により接続され、同軸ケーブル接続端子7には図8の場合と同様に同軸ケーブルEが同軸ケーブル用コネクタ(図示せず)により接続される。光ケーブルコネクタ9は光ケーブル接続端子6にネジ込まれて固定されている。
【0026】
図1の本体2には、図2に示すように、光ケーブル接続端子6から本体2内に差し込まれるテンションメンバーTを本体2内で支持する支持体10が設けられている。この支持体10は本体2をアルミダイキャストで成型するときに本体2と一体に成型されている。支持体10は縦細長の突条であり、本体2の周壁11の内面12に縦向きにして本体2の底面13(図3)まで設けられ、内面12から本体2内に突出して設けられている。
【0027】
支持体10は、光ケーブル接続端子6を備えた周壁19と隣り合う周壁11の内面であって、本体2内に差し込まれるテンションメンバーTの軸線方向先方に設けて、テンションメンバーTをその差し込み方向先方で支持できるようにしてある。支持体10の上面にはテンションメンバーTを支持する支持部14が形成されている。この支持部14は周壁11の内面12から本体2の内側に向けて下り傾斜に形成されて、図1のように本体2をメッセンジャーワイヤーWに吊り下げ、蓋体3を180度開いて、作業者が本体2に向って作業すると、図3のようにその支持部(斜面)14が作業者側に向いて、支持部14にテンションメンバーTを配置し易くなり、その上に押さえ具15を被せ易くなり、押さえ具15を止めネジ16で支持部14の止め孔17(図2)にネジ止めし易くなるようにしてある。前記支持部14は、可能であれば、前記下り傾斜とは反対に、本体2の内側から周壁11の内面12に向けて上り傾斜にすることもできる。上り傾斜とすることにより、支持部14の上に配置したテンションメンバーTが、押さえ具15を被せて止めネジ16で止めるまでの間に支持部14の上から滑り落ちにくくなるという利点がある。
【0028】
前記支持部14には図2、図3のように嵌合溝18が設けられている。嵌合溝18は、図8(a)のように側面視V字形のものを一本設けることも、二本の溝をW字状に設けることもできる。図8(a)、(b)の嵌合溝18はその幅をテンションメンバーTが収まる程度の広さにし、更に、テンションメンバーTの軸方向(本体2内へのテンションメンバーTの差し込み方向)に支持部14を横断して設けて、嵌合溝18内にテンションメンバーTを配置し易くしてある。また、この嵌合溝18内にテンションメンバーTを配置すると、テンションメンバーTの上に押さえ具15を被せて、テンションメンバーTを支持部14にネジ止めするまでの間に、テンションメンバーTが嵌合溝18内に確実に支持されて、滑り落ちにくくなるようにもしてある。
【0029】
前記止め孔17は、図2に示すように、嵌合溝18の上下に開口されている。この止め孔17は押さえ具15を図3のようにネジ止めするためのものである。押さえ具15は図4(a)に示すように下向きコ字状であり、両側板15a間の間隔を支持部14の横幅よりも広くして、支持部14の上に被せると両側板15aが支持部14の両外側に配置されるようにしてある。また、両側板15aに被せ溝15bを設けて、支持部14の上に被せると、被せ溝15bが図3、図8(a)のようにテンションメンバーTの上に被さるようにしてある。図8(b)の場合は被せ溝15bを図8(b)の嵌合溝18と同じW字状にしてある。W字状とすることにより、テンションメンバーTが被せ溝15bの中央突起と嵌合溝18の中央突起により挟まれて、テンションメンバーTの挟着が一層強力になる。
【0030】
支持体10は必ずしもテンションメンバーTの軸線上にある必要はなく、テンションメンバーTの軸線から本体2の内側又は外側にオフセットしていてもよい。オフセットにすることで、テンションメンバーTの弾性力が支持体や押さえ具に対して押し付けるように働くため、テンションメンバーTの引っ張り抵抗が大きくなり、引っ張り耐力が向上する。
【0031】
図1では光ケーブル接続端子6が本体2の左右の周壁19の双方に設けられているため、支持体10を周壁11の幅方向両側(図1の左右両端側)に設けて、いずれの光ケーブル接続端子6からテンションメンバーTが差し込まれても、テンションメンバーTをネジ止めできるようにしてある。
【0032】
(支持体の他の実施例)
図2、図3に示した支持体10は、本体2と一体にアルミダイキャスト製にしてあるが、本体2と別体に成型したものを本体2の周壁11の内面12に、ネジ止めとか接着剤で取付けることもできる。その一例として、図5に示すように、本体2の周壁11の内面12に溝状のガイド20を縦向きに設けておき、そのガイド20内に、本体2と別体に成型した細長の支持体10を差し込み、その支持体10を本体2の周壁11の内面12にネジ止めするとか接着剤で接着する等して取付けることもできる。ガイド20は溝以外のものであってもよく、例えば、周壁11の内面12に支持体10の横幅よりも多少横幅の広い二本の突条を平行に縦向きに設けて、その突条間に支持体10を配置できるようにすることもできる。
【0033】
支持体10は図2では本体2の周壁11の内面12に一つ設けてあるが、図6のように周壁11の内面12に横に間隔をあけて二本並べて設けることもできる。この場合は一本のテンションメンバーTの二箇所を支持体10に止めることができるため、テンションメンバーTの固定が安定する。
【0034】
支持体10は図7に示すように、周壁11の内面12に横長に設け、その横幅方向に貫通孔21を開け、その貫通孔21内にテンションメンバーTを貫通できるようにし、支持体10の上面に止め孔17を開口して、夫々の止め孔17に止めネジ16(図2)をねじ込んでテンションメンバーTを支持体10に固定できるようにすることができる。図7の支持体10の上面も本体2の内側に向けて下り傾斜にすることも、本体2の内側から周壁11の内面12側に向けて上り傾斜にすることもができる。下り傾斜にすることにより、図1の場合と同様に、本体2をメッセンジャーワイヤーWに吊り下げ、蓋体3を180度開いて、作業者が本体2に向って作業すると、支持体10の上面が図3のように作業者側に向いて、上面にテンションメンバーTを配置し易くなり、その上に押さえ具15を被せ易くなり、押さえ具15を止めネジ16で上面の止め孔17にネジ止めし易くなる。図7の止め孔17は一つであってもよい。
【0035】
支持体10は、周壁11以外の箇所に設けることもできる。可能であれば光ケーブル接続端子6を備えた周壁19の内面に設けることも、周壁19とそれと隣り合う周壁11のコーナー部分に設けることもできる。いずれの場合も、光ケーブル接続端子6から本体2内に差し込まれたテンションメンバーTをその支持体10の上に載せることができるように、支持体10を筐体1内に突出させる。
【0036】
支持体10の形状、構造、取付け箇所等は図示した以外であってもよい。支持体10を二以上設けた場合は、それら支持体10の形状、構造は同じでも、異なってもよい。
【0037】
図示した実施形態は、光ケーブル接続端子6が本体2に設けられている場合であるが、光ケーブル接続端子6が蓋体3に設けられている場合は、支持体10は蓋体3の周壁に設けることもできる。光ケーブル接続端子6が本体2と蓋体3の双方に設けられている場合は、支持体10も本体2と蓋体3の双方に設けることができる。いずれの場合も、支持体10の形状、構造、取付け位置等の基本は、図1〜図7に示した前記実施形態と同様にすることができる。
【0038】
(CATV機器)
本願発明に係るCATV機器の一例を図1に示す。図1に示すものは、前記した本願発明のCATV機器用筐体の本体2内に、従来のCATV機器と同様に、光ケーブルCから光伝送機器に入力される下り光信号を電気信号に変換するO/E変換器、同軸ケーブルEから光伝送機器に入力される上り電気信号を光信号に変換するE/O変換器、その他の機器等が内蔵され、それらの上からパネルLを被せ、そのパネルLを本体2にネジ止めし、パネルLの上に各種ユニット22が搭載され、これら機器やユニット22が必要な光配線、電気配線が施されている。蓋体3にも従来のCATV機器と同様に、同軸ケーブルEに重畳されるAC30/60Vや個別給電端子に給電される電源を筐体1内の回路に供給するための電源回路やその他の機器等が内蔵されている。本体2の光ケーブル接続端子6には光ケーブルCを、同軸ケーブル接続端子7には同軸ケーブルE(図8)を接続することができ、分岐端子には分岐ケーブルGを接続することができる。
【0039】
本願発明では、必要に応じて、本体2、蓋体3に他の機器、ユニット22、回路基板等を設けることもできる。また、本体2に設けられている機器類を蓋体3に設け、蓋体3に設けられている機器類を本体2に設けることもできる。この場合は、本体2に設けられていた光ケーブル接続端子6、同軸ケーブル接続端子7、分岐端子、その他の端子等8を蓋体3に設けることができる。
【0040】
(テンションメンバー及び光ファイバの配線)
テンションメンバーと光ファイバが内蔵された光ケーブルのテンションメンバーを、本願発明のCATV機器に図1のように配線する場合の一例を、図2を参照して以下に説明する。
1.光ケーブルCの外皮先端部を剥離して、図2に示すように、テンションメンバーTと光ファイバNを外皮先端から突出させる。図2では図面を簡潔化するために光ファイバNは1本しか図示していないが、通常は複数本が多い。
2.図2のように、光ケーブルCの先端部に光ケーブルコネクタ9に取付けて、テンションメンバーTと光ファイバNを光ケーブルコネクタ9の先に突出させる。
3.光ケーブルコネクタ9を本体2の周壁19に取付けられている光ケーブル接続端子6にねじ込んで連結して、テンションメンバーTと光ファイバNを本体2体内に突出させる。
4.本体2内に突出させたテンションメンバーTを、本体2に設けた支持体10の支持部14の嵌合溝18内に配置し、その上から支持部14に、図4(a)、(b)に示す押さえ具15を図3のように被せ、その押さえ具15を図3のように支持部14の止め孔17にネジ止めして、テンションメンバーTを押さえ具15で固定する。
5.本体2内に差し込んだ光ファイバNを、本体2内のO/E変換器や光ファイバN等と接続する。その接続は、例えば、従来例と同様に、光ケーブルコネクタ9等を使用して行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
前記説明はテンションメンバーTが光ファイバNと共に外皮内に内蔵されている場合の例であるが、本願発明はテンションメンバーTが光ケーブルNの外皮の外に設けられている場合も使用することができる。その場合はテンションメンバーTを光ケーブルコネクタ9(図2)内に挿入して光ケーブルコネクタ9の先端側に突出させ、その光ケーブルコネクタ9を光ケーブル接続端子6(図2)にネジ止めするなどして、本体2(図2)内に突出させ、その突出部を支持体10にネジ止め等して固定することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 筐体
2 本体
3 蓋体
4 連結部
5 ワイヤー取付け部
6 光ケーブル接続端子
7 同軸ケーブル接続端子
8 同軸ケーブル接続端子(分岐端子等)
9 光ケーブルコネクタ
10 支持体
11 周壁
12 周壁の内面
13 本体の底面
14 支持体の支持部
15 押さえ具
15a 押さえ具の側板
15b 押さえ具の側板の押さえ溝
16 止めネジ
17 止め孔
18 嵌合溝
19 光ケーブル接続端子を備えた周壁
20 ガイド
21 貫通孔
22 ユニット
A 光伝送機器
B 光ケーブル接続端子
C 光ケーブル
D 同軸ケーブル接続端子
E 同軸(幹線用)ケーブル
F 分岐端子
G 同軸(分岐用)ケーブル
H 本体
I 蓋体
J 連結部
K 筐体
L パネル
M 止めネジ
N 光ファイバ
O 光ケーブルコネクタ
P 受け具
Q 押さえ具
R 止めネジ
S 余長部
T テンションメンバー
W メッセンジャーワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に連結された本体と蓋体で筐体が構成され、本体と蓋体は底面と周壁を備え、底面と反対側面が開口した箱状であり、本体と蓋体のいずれか一方の周壁に光ケーブル接続端子を備えたCATV用機器の筐体において、本体又は蓋体の周壁であって、光ケーブル接続端子の近くに、光ケーブル接続端子から筐体内に差し込まれるテンションメンバーを支持する支持体が設けられ、支持体は周壁内面よりも筐体内に突出して設けられ、前記テンションメンバーの軸線方向先方に設けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項2】
請求項1記載のCATV機器用筐体において、支持体を同一周壁の同一面に一又は二以上備えたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のCATV機器用筐体において、支持体が光ケーブル接続端子を備えた周壁と隣り合う周壁の内面に設けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、光ケーブル接続端子が本体又は蓋体の対向する二つの周壁に設けられ、支持体が両周壁と隣合う周壁の光ケーブル接続端子寄りの二箇所に設けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、支持体が本体又は蓋体の周壁の内面から底面まで縦長に設けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、本体又は蓋体がアルミダイキャスト製であり、支持体が本体又は蓋体と一体に成型されたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、支持体が本体又は蓋体と別体に成型され、本体又は蓋体に取付けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項8】
請求項7記載のCATV機器用筐体において、支持体が本体又は蓋体の周壁に設けられたガイドに沿って設置固定されたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、支持体の支持部が、周壁内面から筐体の内側に向けて下り傾斜の斜面であることを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、支持体の支持部にテンションメンバーを配置する嵌合溝を備え、嵌合溝は光ケーブル接続端子から差し込まれるテンションメンバーの軸線方向に横断して設けられたことを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項11】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体において、支持体の支持部が、光ケーブル接続端子から差し込まれるテンションメンバーを貫通可能な貫通孔であることを特徴とするCATV機器用筐体。
【請求項12】
本体と蓋体が開閉可能に連結されて筐体が構成され、本体と蓋体のいずれか一方に光ケーブル接続端子を備え、筐体内にCATV機器として必要な部材が内蔵されたCATV用機器において、筐体が請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のCATV機器用筐体であり、筐体内に被せるパネルが、支持体への接触を回避できる凹部を備えたことを特徴とするCATV機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50653(P2013−50653A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189652(P2011−189652)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000114226)ミハル通信株式会社 (38)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】