説明

CCR5アンタゴニストとして有用なピペラジン誘導体

【課題】選択的CCR5アンタゴニストとして有用なピペラジン誘導体、その化合物を含む薬学的組成物、およびこの化合物を使用する処置の方法の提供。
【解決手段】HIVの処置に関し、この処置は、有効量のCCR5アンタゴニストをこのような処置を必要とするヒトに投与する工程を包含する、方法;薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせたCCR5アンタゴニストの有効量を含む、HIVの処置のための薬学的組成物;固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて式IIのCCR5アンタゴニストの有効量を含む、薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、選択的CCR5アンタゴニストとして有用なピペラジン誘導体、その化合物を含む薬学的組成物、およびこの化合物を使用する処置の方法に関する。本発明はまた、本発明のCCR5アンタゴニストおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)の処置において有用である1つ以上の抗ウイルス剤もしくは他の薬剤の組み合わせの使用に関する。本発明はさらに、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置において、本発明のCCR−5アンタゴニストの単独または別の薬剤と組み合わせる使用に関する。
【0002】
HIV(後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質)によって引き起こされる世界的健康危機が、疑問の余地のないところであるが、薬物治療の最近の進歩は、AIDSの進行を遅延させる際に成功を収めてきており、このウイルスを制御するためのより安全で、より効果的で、あまり費用のかからない方法を発見する必要性がなおも存在する。
【0003】
CCR5遺伝子が、HIV感染に対する耐性において役割を果たすということが報告されている。HIV感染は、細胞レセプターCD4および二次的ケモカイン共レセプター分子との相互作用を介する、標的細胞膜へのウイルスの付着によって開始し、そして血液および他の組織を介して、感染細胞の複製および播種によって進行する。種々のケモカインレセプターが存在するが、感染の初期段階でインビボで複製する鍵病原性株であると考えられるマクロファージ向性HIVについては、HIVの細胞内への侵入のために必要とされる主要なケモカインレセプターはCCR5である。従って、ウイルスレセプターCCR5とHIVとの間の相互作用を妨害することは、細胞内へのHIVの侵入をブロックし得る。本発明は、CCR5アンタゴニストである低分子に関する。
【0004】
CCR−5レセプターは、炎症性疾患(例えば、関節炎、慢性関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息およびアレルギー)における細胞移転を媒介することが報告されており、そしてそのようなレセプターのインヒビターは、そのような疾患の処置および他の炎症性疾患または状態(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症、固形の器官移植片拒絶および対宿主性移植片病)の処置において有用であることが期待される。
【0005】
関連するピペラジン誘導体(例えばアルツハイマー病のような認知障害の処置において有用であるムスカリンアンタゴニスト)は、特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;および特許文献5において開示される。
【0006】
非特許文献1は、ヒトにおけるHIV−1感染の現在の臨床処置を開示しており、少なくとも3種類の薬物の組み合わせ、もしくはいわゆるHighly Active Antiretroviral Therapy(「HAART」)を含む;HAARTは、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(「NRTI」)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(「NNRTI」)およびHIVプロテアーゼインヒビター(「PI」)の種々の組み合わせを含む。従順な薬物未処置患者において、HAARTは、AIDSに対するHIV−1の死亡率および進行を減少させる際に有効である。しかし、これらの多種薬物治療は、HIV−1を除去せず、そして通常、長期処置が、多剤耐性を生じさせる。より良いHIV−1処置を提供するための新しい薬物治療の開発が、優先であることにかわりはない。
【特許文献1】米国特許第5,883,096号明細書
【特許文献2】米国特許第6,037,352号明細書
【特許文献3】米国特許第5,889,006号明細書
【特許文献4】米国特許第5,952,349号明細書
【特許文献5】米国特許第5,977,138号明細書
【非特許文献1】A−M.Vandammeら、Antiviral Chemistry&Chemotherapy、1998年 第9巻 p.187−203
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、HIVの処置に関し、この処置は、有効量のCCR5アンタゴニストをこのような処置を必要とするヒトに投与する工程を包含し、ここで、このCCR5アンタゴニストは、以下の構造式I;
【0008】
【化13】

またはその薬学的に受容可能な塩によって表わされ、ここで、
Xは、以下:
【0009】
【化14】

Rは、R6−フェニル、R6−ピリジル、R6−チオフェニルまたはR6−ナフチルであり;
1は、水素、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルであり;
2は、R7、R8、R9−フェニル;R7、R8、R9−置換6員へテロアリール;R7、R8、R9−置換6員へテロアリールN−オキシド;R10、R11−置換5員へテロアリール;ナフチル;フルオレニル;ジフェニルメチル
【0010】
【化15】

3は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリールまたはR6−ナフチルであり;
4は、水素、C1−C6アルキル、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
5およびR11は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
6は、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、CF3O−、CH3C(O)−、−CN、−CH3SO2−、−CF3SO2−、R14−フェニル、R14−ベンジル、CH3C(=NOCH3)−、CH3C(=NOCH2CH3)−、
【0011】
【化16】

、−NH2、−NHCOCF3、−NHCONH(C1−C6アルキル)、−NHCO(C1−C6アルキル)、−NHSO2(C1−C6アルキル)、5員ヘテロアリール、および
【0012】
【化17】

からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であり、ここで、Xは、−O−、−NH−または−N(CH3)−であり;
7およびR8は、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、−NR2021、−OH、−CF3、−OCH3、−O−アシル、および−OCF3からなる群から独立して選択され;
9は、R7、水素、フェニル、−NO2、−CN、−CH2F、−CHF2、−CHO、−CH=NOR20、ピリジル、ピリジルN−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)CONR2122、−NHCONH(クロロ−(C1−C6)アルキル)、−NHCONH((C3−C10)−シクロアルキル(C1−C6)アルキル)、−NHCO(C1−C6)アルキル、−NHCOCF3、−NHSO2N((C1−C6)アルキル)2、−NHSO2(C1−C6)アルキル、−N(SO2CF32、−NHCO2(C1−C6)アルキル、C3−C10シクロアルキル、−SR23、−SOR23、−SO223、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−OSO2(C1−C6)アルキル、−OSO2CF3、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、−CONR2021、−CON(CH2CH2−O−CH32、−OCONH(C1−C6)アルキル、−CO220、−Si(CH33または−B(OC(CH322であり;
10は、(C1−C6)アルキル、−NH2またはR12−フェニルであり;
12は、水素、(C1−C6)アルキル、−CF3、−CO220、−CN、(C1−C6)アルコキシおよびハロゲンならなる群から独立して選択される、1〜3個の置換基であり;
13、R14、R15およびR16は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
17およびR18は、水素およびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択されるか、またはR17およびR18は、一緒になってC2−C5アルキレン基となり、そして該R17およびR18に結合する炭素は、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリール、R6−ナフチル、C3−C10シクロアルキル、(C3−C10)シクロアルキル(C1−C6)アルキルまたは(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルであり;
20、R21およびR22は、HおよびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択され;そして
23は、C1−C6アルキルまたはフェニルである。
【0013】
RがR6−フェニルであり、特にここで、R6が単一の置換基であり、そして特にここで、R6置換基が4位にある式Iの化合物が、好ましい。さらに、R13、R14、R15およびR16が各々水素またはメチルであり、特に水素である式Iの化合物が好ましい。さらに、Xが−CHOR3、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR4)−である式Iの化合物が好ましく;R3についての好ましい定義は、ピリジル、特に2−ピリジルであり、R4についての好ましい定義は、(C1−C6)アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピルであり、R13についての好ましい定義は水素であり、そしてR19についての好ましい定義はR6−フェニルである。式Iの化合物について、R1は、好ましくは(C1−C6)アルキル、特にメチルである。
【0014】
式Iの化合物において、R2は、好ましくはR7、R8、R9−フェニル、R7、R8、R9−ピリジルもしくはそのN−オキシドであるか、またはR7、R8、R9−ピリジルである。R2がピリジルである場合、それは3−もしくは4−ピリジルであることが好ましく、そしてピリミジルの場合、それは5−ピリミジルであることが好ましい。R7およびR8置換基は、この分子の残部にその環を結合する炭素に隣接する炭素環メンバーに好ましくは結合され、そしてR9置換基は、任意の残りの非置換炭素環メンバー、例えば、以下:
【0015】
【化18】

に示されるような構造物に結合され得る。
【0016】
好ましいR7およびR8置換基は:(C1−C6)アルキル、特にメチル;ハロゲン、特にクロロ;および−NH2である。特に好ましいR9置換基は、水素である。
【0017】
以下の構造式II:
【0018】
【化19】

によって表される新規なCCR5アンタゴニスト化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もまた特許請求され、ここで
(1)Xaは、以下:
【0019】
【化20】

であり;
aは、R6a−フェニル、R6a−ピリジル、R6a−チオフェニルまたはR6−ナフチルであり;
1は、水素、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルであり;
2は、R7、R8、R9−フェニル;R7、R8、R9−置換6員へテロアリール;R7、R8、R9−置換6員へテロアリールN−オキシド;R10、R11−置換5員へテロアリール;ナフチル;フルオレニル;ジフェニルメチル
【0020】
【化21】

であり;
3は、R10−フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルまたはチアゾリルであり;
4は、水素、C1−C6アルキル、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
5およびR11は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
6aは、水素、ハロゲン、−CF3、CF3O−、−CN、−CF3SO2−、R12−フェニル、−NHCOCF3、5−員へテロアリールおよび
【0021】
【化22】

からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であり、ここで、Xは、−O−、−NH−または−N(CH3)−であり;
6は、R6aおよびCH3SO2−からなる群から独立して選択され;
7およびR8は、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、−NR2021、−OH、−CF3、−OCH3、−O−アシル、および−OCF3からなる群から独立して選択され;
9は、R7、水素、フェニル、−NO2、−CN、−CH2F、−CHF2、−CHO、−CH=NOR20、ピリジル、ピリジルN−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)CONR2122、−NHCONH(クロロ−(C1−C6)アルキル)、−NHCONH((C3−C10)−シクロアルキル(C1−C6)アルキル)、−NHCO(C1−C6)アルキル、−NHCOCF3、−NHSO2N((C1−C6)アルキル)2、−NHSO2(C1−C6)アルキル、−N(SO2CF32、−NHCO2(C1−C6)アルキル、C3−C10シクロアルキル、−SR23、−SOR23、−SO223、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−OSO2(C1−C6)アルキル、−OSO2CF3、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、−CONR2021、−CON(CH2CH2−O−CH32、−OCONH(C1−C6)アルキル、−CO220、−Si(CH33または−B(OC(CH322であり;
10は、(C1−C6)アルキル、−NH2またはR12−フェニルであり;
12は、水素、(C1−C6)アルキル、−CF3、−CO220、−CN、(C1−C6)アルコキシおよびハロゲンならなる群から独立して選択される、1〜3個の置換基であり;
13、R14、R15およびR16は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
17およびR18は、水素およびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択されるか、またはR17およびR18は、一緒になってC2−C5アルキレン基となり、そして該R17およびR18に結合する炭素は、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリール、R6−ナフチル、C3−C10シクロアルキル、(C3−C10)シクロアルキル(C1−C6)アルキルまたは(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルであり;
20、R21およびR22は、HおよびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択され;そして
23は、C1−C6アルキルまたはフェニルであるか、あるいは
(2)Xaは、
【0022】
【化23】

aは、R6b−フェニル、R6b−ピリジルまたはR6b−チオフェニルであり;
4aは、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH−(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
6bは、CH3SO2−であり;そして
1、R2、R3、R5、R14、R15、R16およびR19は、(1)に定義される通りである。
【0023】
式II(1)の化合物が好ましく、ここでRaは、R6a−フェニルであり、特にここで、R6aは単一の置換基であり、そして特にここで、R6a置換基は、4位に存在することが好ましい。式II(1)の化合物もまた好ましく、ここでXaは−CHOR3、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR4)−であり;R3についてのより好ましい定義は、ピリジルであり、特に2−ピリジルであり、R4についての好ましい定義は、(C1−C6)アルキルであり、特にメチル、エチル、またはイソプロピルであり、R13についての好ましい定義は、水素であり、そしてR19についての好ましい定義は、R6−フェニルである。式II(1)の化合物に関して、R1は、好ましくは(C1−C6)アルキルであり、特にメチルである。また、式II(1)の化合物に関して、R14、R15およびR16は、好ましくは水素である。
【0024】
式II(2)の化合物が好ましく、ここでRaは、R6a−フェニルであり、特にここで、R6aは単一の置換基であり、そして特にここで、R6b置換基は、4位に存在することが好ましい。式II(2)の化合物もまた好ましく、ここでXaは−CHOR3、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR4a)−であり;R3についてのより好ましい定義は、ピリジルであり、特に2−ピリジルであり、R4aについての好ましい定義は、シクロプロピルメチルおよびトリフルオロエチルであり、R13についての好ましい定義は、水素であり、そしてR19についての好ましい定義は、R6−フェニルである。式II(2)の化合物に関して、R1は、好ましくは(C1−C6)アルキルであり、特にメチルである。また、式II(2)の化合物に関して、R14、R15およびR16は、好ましくは水素である。
【0025】
式II(1)および(2)の化合物において、R2は、好ましくはR7、R8、R9−フェニル、R7、R8、R9−ピリジルもしくはそのN−オキシドであるか、またはR7、R8、R9−ピリジルである。R2がピリジルである場合、それは3−もしくは4−ピリジルであることが好ましく、そしてピリミジルの場合、それは5−ピリミジルであることが好ましい。R7およびR8置換基は、好ましくは、この分子の残部にその環を結合する炭素に隣接する炭素環メンバーに好ましくは結合され、そしてR9置換基は、式Iの化合物について示されるように、任意の残りの非置換炭素環メンバーに結合され得る。式IIの化合物についての好ましいR7およびR8置換基は、(C1−C6)アルキル(特に、メチル);ハロゲン(特に、クロロ);および−NH2であり;好ましいR9置換基は、ハロゲンである。
【0026】
本発明の別の局面は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて式IIのCCR5アンタゴニストの有効量を含む、HIVの処置のための薬学的組成物である。本発明の別の局面は、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置のための薬学的組成物であり、この薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて式IIのCCR5アンタゴニストの有効量を含む。
【0027】
本発明のさらに別の局面は、HIVの処置の方法であり、その方法は、式IIのCCR5アンタゴニスト化合物の有効量を、そのような処置の必要にあるヒトに投与する工程を包含する。本発明の別の局面は、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置の方法であり、その方法は、式IまたはIIのCCR5アンタゴニスト化合物の有効量を、そのような処置の必要にあるヒトに投与する工程を包含する。
【0028】
本発明のまた別の局面は、AIDSの処置のためにヒト免疫不全ウイルスの処置において有用な1つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤と組み合わせる本発明の式IまたはIIのCCR5アンタゴニストの使用である。本発明のまた別の局面は、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチまたは多発性硬化症の処置において有用な1つ以上の他の薬剤と組み合わせる本発明の式IまたはIIのCCR5アンタゴニストの使用である。その組み合わせの成分である、CCR5および抗ウイルス剤または他の薬剤は、単回投薬形態において投与され得るか、またはそれらは別々に投与され得る;その活性物の別個の投薬形態を含むキットもまた、意図される。
よって、本発明によって以下が提供される:
(1)以下の構造式II:
【化1A】

によって表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで
(1)Xaは、以下:
【化2A】

であり;
aは、R6a−フェニル、R6a−ピリジル、R6a−チオフェニルまたはR6−ナフチルであり;
1は、水素、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルであり;
2は、R7、R8、R9−フェニル;R7、R8、R9−置換6員へテロアリール;R7、R8、R9−置換6員へテロアリールN−オキシド;R10、R11−置換5員へテロアリール;ナフチル;フルオレニル;ジフェニルメチル
【化3A】

であり;
3は、R10−フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルまたはチアゾリルであり;
4は、水素、C1−C6アルキル、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
5およびR11は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
6aは、水素、ハロゲン、−CF3、CF3O−、−CN、−CF3SO2−、R12−フェニル、−NHCOCF3、5−員へテロアリールおよび
【化4A】

からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であり、ここで、Xは、−O−、−NH−または−N(CH3)−であり;
6は、R6aおよびCH3SO2−からなる群から独立して選択され;
7およびR8は、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、−NR2021、−OH、−CF3、−OCH3、−O−アシル、および−OCF3からなる群から独立して選択され;
9は、R7、水素、フェニル、−NO2、−CN、−CH2F、−CHF2、−CHO、−CH=NOR20、ピリジル、ピリジルN−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)CONR2122、−NHCONH(クロロ−(C1−C6)アルキル)、−NHCONH((C3−C10)−シクロアルキル(C1−C6)アルキル)、−NHCO(C1−C6)アルキル、−NHCOCF3、−NHSO2N((C1−C6)アルキル)2、−NHSO2(C1−C6)アルキル、−N(SO2CF32、−NHCO2(C1−C6)アルキル、C3−C10シクロアルキル、−SR23、−SOR23、−SO223、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−OSO2(C1−C6)アルキル、−OSO2CF3、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、−CONR2021、−CON(CH2CH2−O−CH32、−OCONH(C1−C6)アルキル、−CO220、−Si(CH33または−B(OC(CH322であり;
10は、(C1−C6)アルキル、−NH2またはR12−フェニルであり;
12は、水素、(C1−C6)アルキル、−CF3、−CO220、−CN、(C1−C6)アルコキシおよびハロゲンならなる群から独立して選択される、1〜3個の置換基であり;
13、R14、R15およびR16は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
17およびR18は、水素およびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択されるか、またはR17およびR18は、一緒になってC2−C5アルキレン基となり、そして該R17およびR18に結合する炭素は、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリール、R6−ナフチル、C3−C10シクロアルキル、(C3−C10)シクロアルキル(C1−C6)アルキルまたは(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルであり;
20、R21およびR22は、HおよびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択され;そして
23は、C1−C6アルキルまたはフェニルであるか、あるいは
(2)Xaは、
【化5A】

aは、R6b−フェニル、R6b−ピリジルまたはR6b−チオフェニルであり;
4aは、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH−(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
6bは、CH3SO2−であり;そして
1、R2、R3、R5、R14、R15、R16およびR19は、(1)に定義される通りである、
化合物。
(2) Rは、
【数1】

である、項目1に記載の化合物。
(3) Xが、−CHOR、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR)−である、式II(1)の、項目1に記載の化合物。
(4)Rがピリジルであり、Rが(C−C)アルキルであるか、またはR13が水素でありかつ、R19がR−フェニルである、項目3に記載の化合物。
(5)Xが、−CHOR、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR4a)−である、式II(2)の、項目1に記載の化合物。
(6)Rが、ピリジルであり、R4aが、シクロプロピルメチルまたはトリフルオロエチルであり、R13が水素であり、かつR19がRフェニルである、項目5に記載の化合物。
(7)Rが、R,R,R−フェニル;R,R,R−ピリジル;またはそのN−オキシド;あるいはR,R,R−ピリミジルである、項目1に記載の化合物。
(8)Rが、
【数2】

からなる群より選択される、項目7に記載の化合物。

(9)以下の式:
【化6A】

によって表される化合物からなる群から選択される、項目1に記載の化合物であって、ここでR6、XおよびR2は、以下の表:
【表1A】

















において定義される通りである、化合物。
(10)以下:
【化7A】

からなる群から選択される、化合物。
(11)ヒト免疫不全ウイルス、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置のための薬学的組成物であって、該組成物は、項目1に記載のCCR5アンタゴニストの有効量を薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物。
(12)ヒト免疫不全ウイルス、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置のための医薬の調製のための項目1に記載の化合物の使用。
(13)ヒト免疫不全ウイルスの処置において有用な1つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤と組み合わせた使用についての医薬の調製のための項目1に記載の化合物の使用。
(14) 前記抗ウイルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、プロテアーゼインヒビターからなる群より選択される、項目13に記載の使用。
(15) 固体の器官の移植拒絶、移植片対宿主疾患、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチまたは多発性硬化症を処置するための1以上の薬剤と併用するための医薬の調製のための、項目1に記載の化合物の使用。
(16)ヒト免疫不全ウイルス、固形の器官移植片拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置のための医薬の調製のための構造式IのCCR5アンタゴニストの使用であって、ここで、CCR5アンタゴニストは、以下の構造式I;
【化8A】

またはその薬学的に受容可能な塩によって表わされ、ここで、
Xは、以下:
【化9A】

Rは、R6−フェニル、R6−ピリジル、R6−チオフェニルまたはR6−ナフチルであり;
1は、水素、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルであり;
2は、R7、R8、R9−フェニル;R7、R8、R9−置換6員へテロアリール;R7、R8、R9−置換6員へテロアリールN−オキシド;R10、R11−置換5員へテロアリール;ナフチル;フルオレニル;ジフェニルメチル
【化10A】

3は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリールまたはR6−ナフチルであり;
4は、水素、C1−C6アルキル、フルオロ−C1−C6アルキル、シクロプロピルメチル、−CH2CH2OH、−CH2CH2−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)−O−(C1−C6)アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH2C(O)−NH(C1−C6)アルキルまたは−CH2C(O)−N((C1−C6)アルキル)2であり;
5およびR11は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
6は、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、CF3O−、CH3C(O)−、−CN、−CH3SO2−、−CF3SO2−、R14−フェニル、R14−ベンジル、CH3C(=NOCH3)−、CH3C(=NOCH2CH3)−、
【化11A】

、−NH2、−NHCOCF3、−NHCONH(C1−C6アルキル)、−NHCO(C1−C6アルキル)、−NHSO2(C1−C6アルキル)、5員ヘテロアリール、および
【化12A】

からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であり、ここで、Xは、−O−、−NH−または−N(CH3)−であり;
7およびR8は、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、−NR2021、−OH、−CF3、−OCH3、−O−アシル、および−OCF3からなる群から独立して選択され;
9は、R7、水素、フェニル、−NO2、−CN、−CH2F、−CHF2、−CHO、−CH=NOR20、ピリジル、ピリジルN−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)CONR2122、−NHCONH(クロロ−(C1−C6)アルキル)、−NHCONH((C3−C10)−シクロアルキル(C1−C6)アルキル)、−NHCO(C1−C6)アルキル、−NHCOCF3、−NHSO2N((C1−C6)アルキル)2、−NHSO2(C1−C6)アルキル、−N(SO2CF32、−NHCO2(C1−C6)アルキル、C3−C10シクロアルキル、−SR23、−SOR23、−SO223、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−OSO2(C1−C6)アルキル、−OSO2CF3、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、−CONR2021、−CON(CH2CH2−O−CH32、−OCONH(C1−C6)アルキル、−CO220、−Si(CH33または−B(OC(CH322であり;
10は、(C1−C6)アルキル、−NH2またはR12−フェニルであり;
12は、水素、(C1−C6)アルキル、−CF3、−CO220、−CN、(C1−C6)アルコキシおよびハロゲンならなる群から独立して選択される、1〜3個の置換基であり;
13、R14、R15およびR16は、水素および(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択され;
17およびR18は、水素およびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択されるか、またはR17およびR18は、一緒になってC2−C5アルキレン基となり、そして該R17およびR18に結合する炭素は、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19は、R6−フェニル、R6−ヘテロアリール、R6−ナフチル、C3−C10シクロアルキル、(C3−C10)シクロアルキル(C1−C6)アルキルまたは(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルであり;
20、R21およびR22は、HおよびC1−C6アルキルからなる群から独立して選択され;そして
23は、C1−C6アルキルまたはフェニルである、
使用。
(17) Rは、
【数1】

である、項目16に記載の使用。
(18) Xが、−CHOR、−C(R13)(R19)−または−C(=NOR)−である、項目16に記載の使用。
(19)Rがピリジルであり、Rが(C−C)アルキルであるか、またはR13が水素でありかつ、R19がR−フェニルである、項目18に記載の使用。
(20)Rが、R,R,R−フェニル;R,R,R−ピリジル;またはそのN−オキシド;あるいはR,R,R−ピリミジルである、項目16に記載の使用。
(21)Rが、
【数2】

からなる群より選択され、
ここで、RおよびRが、(C−C)アルキル、ハロゲンおよびーNHからなる群から選択され、そしてRが水素である、項目20に記載の使用。
(22)ヒト免疫不全ウイルスの処置のための項目16に記載の使用であって、該方法は、ヒト免疫不全ウイルスの処置において有用な1つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤をさらに含む、使用。
(23) 前記抗ウイルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、プロテアーゼインヒビターからなる群より選択される、項目22に記載の使用。
(24) 固体の器官の移植拒絶、移植片対宿主疾患、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチまたは多発性硬化症を処置するための1以上の薬剤と併用するための医薬の調製のための、項目16に記載の使用であって、これらの疾患を処置において有用な1以上のほかの薬剤を含む、使用。
(25)1つのパッケージにおいて別個の容器内にヒト免疫不全ウイルスを処置するために組み合わせた使用のための薬学的組成物を含むキットであって、該キットは、1つの容器において、薬学的に受容可能なキャリア内に項目16に記載の有効量のCCR5アンタゴニストを含む薬学的組成物を含み、そして別個の容器に、薬学的に受容可能なキャリア内にヒト免疫不全ウイルスの処置の際に有用な有効量の抗ウイルス剤または他の薬剤を含む1つ以上の薬学的組成物を含む、キット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合は、以下の用語は、以下で他に特に記載されない限りは、定義されているように使用される。
【0030】
アルキル(アルコキシ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノのアルキル部分)は、直鎖および分岐した炭素の鎖を示し、そして1個から6個までの炭素原子を含む。
【0031】
アルケニルは、1つまたは2つの不飽和結合(2つの不飽和結合が互いに隣接していないという条件で)を有している、C2−C6の炭素の鎖を示す。
【0032】
置換されたフェニルは、フェニル基がフェニル環状の任意の利用可能な部位で置換され得ることを意味する。
【0033】
アシルは、式アルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、アラルキル−C(O)−、(C3−C7)シクロアルキル−C(O)−、(C3−C7)シクロアルキル−(C1−C6)アルキル−C(O)−、およびヘテロアリール−C(O)−を有しているカルボン酸のラジカルを意味する。ここでは、アルキルおよびヘテロアリールは,本明細書中で定義されているものである;アリールは、R12−フェニルまたはR12−ナフチルであり;そしてアラルキルは、アリール−(C1−C6)アルキルであり、ここでは、アリールは上記で定義されているものである。
【0034】
ヘテロアリールは、O、S、またはNから独立して選択された1個または2個のヘテロ原子を有している、5個から6個の原子の環式の芳香族基または11個から12個の原子の二環式基を示す。上記のヘテロ原子(単数はまた複数)は、炭素環構造を遮り、そして、環が隣接している酸素および/またはイオウ原子を含まないという条件で、芳香族の特徴を提供するために十分な数の脱局在化されたπ電子を有する。6員環のヘテロアリール環については、炭素原子は、R7、R8またはR9基で置換され得る。窒素原子は、N−オキサイドを形成し得る。全ての位置異性体(例えば、2−ピリジル,3−ピリジル、および4−ピリジル)が意図される。代表的な6員環のヘテロアリール基は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピジダジニル、およびそれらのN−オキサイドである。5員環のヘテロアリール環については、炭素原子は、R10またはR11基で置換され得る。代表的な5員環のヘテロアリール環は、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、およびイソキサゾリルである。1つのヘテロ原子を有している5員環は、2位または3位を通じて連結され得る;2つのヘテロ原子を有している5員環は、好ましくは、4位を通じて連結される。二環式基は、代表的には、上記に記載されたヘテロアリール基(例えば、キノリル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、およびインドリル)に由来するベンゾ融合された環システムである。
【0035】
2での6員環のヘテロアリール環についての好ましい置換の位置は上記に記載される。R2が5員環のヘテロアリール基である場合には、R10およびR11置換基が、好ましくは、分子を休止させるために環を連結している炭素に対して隣接している炭素環のメンバーに対して結合させられる。そしてR11は好ましくはアルキルである;しかし、ヘテロ原子が分子の静止のために環を連結している炭素と隣接している場合(すなわち、2−ピロリルのような)は、R10は好ましくは、分子の静止のために環を連結している炭素と隣接している炭素環のメンバーに対して結合させられる。
【0036】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを示す。
【0037】
フルオロ(C1−C6)アルキルは、1〜5個のフッ素原子によって置換された直鎖または分枝のアルキル鎖を表し、このフッ素原子は、同じかまたは異なる炭素原子に結合され得、例えば、−CH2F、−CHF2、−CF3、F3CCH2−および−CF2CF3である。
【0038】
治療学的に有効な量のCCR5アンタゴニストは、より低いHIV−1−RNA血漿レベルに対して十分な量である。
【0039】
1つまたはそれ以上の、好ましくは1個から4個の、抗HIV治療に有用な抗ウイルス剤が、本発明のCCR5アンタゴニストと組合せて使用され得る。抗ウイルス剤(単数または複数)は、単一の投与量形態のCCR5アンタゴニストと組合せられ得るか、またはCCR5アンタゴニストおよび抗ウイルス剤(単数または複数)が、別々の投与量形態として同時にまたは連続して投与され得る。本発明の化合物と組合せた使用について意図される抗ウイルス剤は、ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、プロテアーゼインヒビターの化合物、ならびにこれらの分類には入らない以下に列挙される他の抗ウイルス薬物を含む。詳細には、HAARTとして公知の組合せが、本発明のCCR5アンタゴニストと組合せての使用について意図される。
【0040】
用語「ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素インヒビター」)「NRTI」)は、本明細書中で使用される場合は、ウイルスのゲノムHIV−1 RNAのプロウイルスHIV−A DNAへの転換を触媒する酵素である、HIV−1逆転写酵素の活性を阻害する、ヌクレオシドおよびヌクレオチド、ならびにそれらのアナログを意味する。
【0041】
代表的な適切なNRTIとして、以下が挙げられる:Glaxo Wellcome Inc.、Research Triangle,NC 27709からRETROVIRの登録商標のもとで入手可能なジドブジン(AZT);Bristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ 08543からVIDEXの登録商標のもとで入手可能なジダノシン(ddl);Roche Pharmaceutical,Nutley,NJ 07110からHIVIDの登録商標のもとで入手可能なザルシタビン(ddC);Bristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ 08543からZERITの登録商標のもとで入手可能なスタブジン(d4T);Glaxo Wellcome Inc.、Research Triangle,NC 27709からEPIVIRの登録商標のもとで入手可能なラミブジン(3TC);第WO96/30025号に開示されており、そしてGlaxo Wellcome Inc.、Research Triangle,NC 27709からZIAGENの登録商標のもとで入手可能なアバカビル(1592U89);Gilead Sciences,Foster City,CA 94404からPREVONの登録商標のもとで入手可能なアベホビルジピボキシル[ビス(POM)−PMEA];第EP−0358154号および第EP−0736533号に開示されており、そしてBristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ 08543による開発のもとのヌクレオシド逆転写酵素インヒビターである、ロブカビル(BMS−180194);Biochem Pharma,Laval,Quebec H7V,4A7,Canadaによる開発のもとでの逆転写酵素インヒビター(BCH−10618およびBCH−10619のラセミ混合物の形態で)である、BCH−10652;Emory Univ.の米国特許第5,814,639号もとでEmory Universityによって権利を得られ、そしてTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707による開発の下の、エミトリシタビン[(−)−FTC];Yale UniversityによってVion Pharmaceuticals,New Haven CT 06511によって権利を与えられた、β−L−FD4(β−L−D4Cとも呼ばれ、そしてβ−L−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロ−シチデンと命名された);第EP0656778号に開示され、そしてEmory UniversityおよびUniversity of GeorgiaからTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707に権利を与えられた、DAPD、プリンヌクレオシド、(−)−β−D−2,6,−ジアミノ−プリンジオキソラン;ならびにNIHによって発見され、そしてU.S.Bioscience Inc.,West Conshohoken,PA 19428による開発のものでの、酸安定性のプリンに基づく逆転写酵素インヒビターである、ロデノシン(FddA)、9−(2,3−ジデオキシ−2−フルオロ−b−D−スレオ−ペントフラノシル)アデニン。
【0042】
用語「非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター」(「NNRTI」)は、本明細書中で使用される場合は、HIV−1の逆転写酵素の活性を阻害する、ヌクレオシドではないものを意味する。
【0043】
代表的な適切なNNRTIとして、以下が挙げられる:Roxane Laboratories,Columbus,OH 43216の製品である、Boehringer IngelheimからVIRAMUNEの商標のもとで入手可能な、ネビラピン(nevirapine)(BI−RG−587);Pharmacia & Upjohn Co.,Bridgewater NJ 08807からRESCRIPTORの商標のもとで入手可能な、デラビラジン(delaviradine)(BHAP,U−90152);第WO94/03440号に開示されており、そしてDuPont Pharmaceutical Co.,Wilmington,DE 19880−0723からSUSTIVEの商標のもとで入手可能なベンゾオキサジン−2−オンである、エファビレンツ(efavirenz)(DMP−266);Pharmacia and Upjohn,Bridgewater NJ 08807により開発中の、フロピリジン−チオ−ピリミドである、PNU−142721;AG−1549(以前は、Shionogi #S−1153);第WO96/10019号に開示されており、そしてAgouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla CA 92037−1020により臨床的に開発中の、5−(3,5−ジクロロフェニル)−チオ−4−イソプロピル−1−(4−ピリジル)メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルカーボネート;Mitsubishi Chemical Co.によって発見され、そしてTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707により開発中の、MKC−442(1−(エトキシ−メチル)−5−(1−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン;ならびに、NIHの米国特許第5,489,697号に開示されており、Med Chem Researchに権利を与えられたクマリン誘導体である、(+)−カラノリド(calanolide)A(NSC−675451)およびB(これは、経口投与が可能な生成物としてVita−Investとともに、同時に生じる(+)カラノリドAである)。
【0044】
用語「プロテアーゼインヒビター」(「PI」)は、本明細書中で使用される場合は、感染性のHIV−1中に見出される個々の機能的なタンパク質への、ウイルスのポリタンパク質前駆体(例えば、ウイルスGAG、およびGAG Polポリタンパク質)のタンパク質溶解性の切断に必要とされる酵素である、HIV−1プロテアーゼのインヒビターを意味する。HIVプロテアーゼインヒビターとして、ペプチド模倣構造、高分子量(7600ダルトン)、および実質的なペプチド特性(例えば、CRIXIVAN(Merckから入手可能))を有している化合物、ならびに非ペプチドのプロテアーゼインヒビター(例えば、VIRACEPT(Agouronから入手可能))が挙げられる。
【0045】
代表的な適切なPIとして、以下が挙げられる:Roche Pharmaceuticals,Nutley,NJ 07110−1199による、INVIRASEの商標のもとで硬質ゲルカプセル中で、およびFORTOVASEの商標のもとでの軟質ゲルカプセルとして入手可能である、サキナビル(saquinavir)(Ro 31−8959);Abbott Laboratories,Abbott Park,IL 60064からNORVIRの商標のもとで入手可能な、リトナビル(ritonavir)(ABT−538);Merck & CO.,Inc.、West Point,PA 19486−0004からCRIXIVANの商標のもとで入手可能な、インジナビル(indinavir)(MK−639);Agouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla CA 92037−1020からVIRACEPTの商標のもとで入手可能な、ネルフナビル(nelfnavir)(AG−1343);Vertex Pharmaceuticals,Inc.,Cambridge,MA 02139−4211により開発中の、そしてGlaxo−Wellcome,Research Triangle,NCから拡大されたアクセスプログラムのもとで入手可能な、非ペプチドプロテアーゼインヒビターである、商標AGENERASEのアムプレナビル(amprenavir)(141W94);Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ 08543から入手可能な、ラシナビル(lasinavir)(BMS−234475)(最初は、Novartis,Basel,Switzerland(CGP−61755)によって発見された);Dupontによって発見され、そしてTriangle Pharmaceuticalsにより開発中の、環式の尿素である、DMP−450;Bristol−Myers Squibb,Princeton、NJ 08543による、第2世代のHIV PIとして開発中の、アザペプチドであるBMS−2322623;Abbott,Abbott Park,IL 60064により開発中の、ABT−538;ならびに、Shionogi(Shionogi #S−1153)によって発見され、そしてAgouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla CA 92037−1020により開発中の、経口活性イミダゾールカルバメートである、AG−1549。
【0046】
他の抗ウイルス剤として、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシド(pentafuside)、およびYissum Project No.11607が挙げられる。T細胞の活性化に関与している酵素である、リボヌクレオシドトリホスフェートレダクターゼインヒビターであるヒドロキシウレア(Droxia)は、NCIで発見され、そしてBristol−Myers Squibbより開発中である;前臨床試験においては、これは、ジダノシン(didanosine)の活性に対して共作用性の影響を有することが示されており、そしてスタブジン(stavudine)とともに研究されている。IL−2は、Ajinomoto第EP−0142268号、Takeda第EP−0176299号、ならびにChiron米国特許第RE33653号、同第4530787号、同第4569790号、同第4604377号、同第4748234号、同第4752585号、および同第4949314号に開示されており、Chiron Corp.,Emeryville,CA 94608−2997から、水での再構成および稀釈の際のIV注入またはsc投与のための凍結乾燥させられた粉末として、PROLEUKIN(aldesleukin)の商標のもとで入手可能である;約百万から約2千万IU/日のscの投与量が好ましい;約1千五百万IU/日scの投与量が、より好ましい。IL−2は、第WO96/25171号に開示されており、そしてRoche
Pharmaceuticals,Nutley,NJ 07110−1199、およびAmerican Home Products,Madison,NJ 07940から入手可能である;約0.5マイクログラム/kg/日から約10マイクログラム/kg/日のscの投与量が好ましい。ペンタフシド(DP−178、T−20)は、36アミノ酸の合成のペプチドであり、米国特許第5,464,933号に開示されており、Duke UniversityからTrimerisに権利を与えられた。ここでは、Duke Universityと共同研究においてペンタフシドを開発している;ペンタフシドは、標的の膜に対するHIV−1の融合を阻害することによって作用する。ペンタフシド(3〜100mg/日)が、連続的なsc注入として与えられるか、または3重の組合せ治療に不応性のHIV−1ポジティブの患者に対して、エファビレンツおよび2PIとともに注射される;100mg/日の使用が好ましい。Yissum Project No.11607は、HIV−1のVifタンパク質に基づく合成のタンパク質であり、これは、Yissum Research Development Co.,Jerusalem 91042、Israelによって前臨床的に開発されている。リバビリンである、1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドは、ICN Pharmaceuticals,Inc.,Costa Mesa,CAから入手可能である;その製造および処方は、米国特許第4,211,771号に記載されている。
【0047】
用語「抗HIV−1治療」は、本明細書中で使用される場合は、ヒトにおけるHIV−1の感染を処置するために、単独でまたは複数の組合せ治療の一部として(特に、HAART3重および4重の組合せ治療)有用であることが見出された任意の抗HIV−1薬物を意味する。代表的な適切な公知の抗HIV−1治療として、(i)2個のNRTI、1個のPI、第2のPI、および1個のNNRTIから選択される、少なくとも3個の抗HIV−1薬;ならびに(ii)NNRTIおよびPIから選択される少なくとも2個の抗HIV−1薬のような、複数の薬剤の組合せ治療が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な適切なHAART−複数の薬物の組合せ治療として、以下が挙げられる:
(a)2個のNRTIおよび1個のPIのような、3重の組合せ治療;または(b)2個のNRTIおよび1個のNNRTI;ならびに(c)2個のNRTI、1個のPI、および第2のPIまたは1個のNNRTIのような4重の組合せ治療。未処置の患者の処置においては、3重の組合せ治療を用いて抗HIV−1処置を開始することが好ましい;2個のNRTIおよび1個のPIの使用は、PIに対して非寛容である限りは好ましい。薬物の組合せは必須である。CD4+およびHIV−1−RNA血漿レベルは、3〜6ヶ月ごとにモニターされるはずである。ウイルスは、プラトーに負荷されるべきである、第4の薬剤(例えば、1個のPIまたは1個のNNRTI)が添加され得る。代表的な治療がさらに記載される下記の表を参照のこと:
抗HIV−1である複数の薬物の組合せ治療
A.3重の組合せ治療
1.2個のNRTI1+1個のPI2
2.2個のNRTI1+1個のNNRTI3
B.4重の組合せ治療4
2個のNRTI+1個のPI+第2のPIまたは1個のNNRTI
C.代替:5
2個のNRTI1
1個のNRTI5+1個のPI2
2個のPI6±1個のNRTI7またはNNRTI3
1個のPI2+1個のNRTI7+1個のNNRTI3
表の注釈
1.以下の1つ:ジドブジン+ラミブジン(lamivudine);ジドブジン+ジダノシン;スタブジン+ラミブジン;スタブジン+ジダノシン;ジドブジン+ザルシタビン(zalcitabine)
2.インジナビル、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル、またはサキナビルの軟質のゲルカプセル。
3.ネビラピンまたはデラビルジン。
4.A−M.Vandamneら、Antiviral Chemistry & Chemotherapy 9:187、193−197頁、および図1+2を参照のこと。
5.代替のレジメは、合併症の問題または毒性に起因して、推奨されるレジメを行うことが不可能な患者のため、および推奨されているレジメについて失敗したかまたはそれについて再発した患者のためである。2重のヌクレオシドの組合せが、多くの患者においてHIV耐性および臨床的な失敗を導き得る。
6.ほとんどのデータを、サキナビルおよびリトナビルを用いて得た(それぞれ、400mgのビット)。
7.ジドブジン、スタブジン、またはジダノシン。
【0048】
慢性関節リウマチ、移植、および移植片対宿主疾患、炎症性腸疾患、および多発性硬化症の処置において公知の薬剤(これらは、本発明のCCR5アンタゴニストと組合せて投与され得る)は、以下の通りである:
固体の器官の移植拒絶および移植片対宿主疾患:免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンおよびインターロイキン−10(IL−10)、タクロリム、抗リンパ球グロブリン、OKT−3抗体、およびステロイド;
炎症性腸疾患:IL−10(米国特許第5,368,854号を参照のこと)、ステロイド、およびアズルフィジン(azulfidine);
慢性関節リウマチ:メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、ステロイド、およびミコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil);
多発性硬化症:インターフェロン−β、インターフェロン−α、およびステロイド。
【0049】
本発明のCCR5アンタゴニスト化合物は、種々の異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、およびアトロプイソマー)の形態で存在し得る。本発明は、純粋な形態およびラセミ混合物を含む混合物の形態の両方での、全てのこのような異性体を含む。
【0050】
特定の化合物は、性質が酸性である。例えば、カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基を保有している化合物である。これらの化合物は、薬学的に受容可能な塩を形成し得る。このような塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、金塩、および銀塩が挙げられ得る。薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルクアミンなど)と形成される塩もまた、意図される。
【0051】
特定の塩基性化合物もまた、薬学的に受容可能な塩(例えば、酸添加塩)を形成する。例えば、ピリド窒素原子は、強酸と塩を形成し得、一方、塩基性の置換基(例えば、アミノ基)を有している化合物はまた、より弱い酸と塩を形成し得る。塩の形成のために適切な酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ならびに当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸である。塩は、従来の様式で塩を生じるために十分な量の所望される酸と、遊離の塩基の形態を接触させることによって調製される。遊離の塩基の形態は、稀い水性のNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、および重炭酸ナトリウムのような、適切な稀い水性の塩基溶液で塩を処理することによって再生され得る。遊離の塩基の形態は、特定の物理的特性(例えば、極性の溶媒中での可溶性)においていくらか、それらのそれぞれの塩の形態とは異なるが、酸および塩基の塩は、それ以外は、本発明の目的については、それらのそれぞれの塩基の形態と同等である。
【0052】
全てのこのような酸および塩基の塩が、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であると考えられる。そして全ての酸および塩基の塩が、本発明の目的で、対応する化合物の遊離の形態と同等であると見なされる。
【0053】
本発明の化合物は、当該分野で公知の手順によって、例えば、以下の反応スキームに記載されている手順によって、以下の実施例に記載されている方法によって、そして米国特許第5,883,096号;同第6,037,352号;同第5,889,006号;同第5,952,349号;および同第5,977,138号に記載されている方法を使用することによって、作製され得る。
【0054】
以下の溶媒および試薬は、示される略号によって、本明細書中で言及され得る:テトラヒドロフラン(THF);エタノール(EtOH);メタノール(MeOH);酢酸(HOAcまたはAcOH);酢酸エチル(EtOAc);N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);トリフルオロ酢酸(TFA);無水トリフルオロ酢酸(TFAA);1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT);m−クロロ過安息香酸(MCPBA);トリエチルアミン(Et3N);ジエチルエーテル(Et2O);tert−ブトキシカルボニル(BOC);1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);ジメチルスルホキシド(DMSO);p−トルエンスルホン酸(p−TSA);カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDA);4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);N,N,N−ジイソプロピルエチルアミン(Dipea);および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(DEC)。RTは室温である。
【0055】
XがCHO(C=O)−(C1〜C6)−アルキル、CHO(C=O)−(C1〜C6)−アルコキシ、CHO(C=O)−NH−(C1〜C6)アルキル、CHNR5(C=O)−(C1〜C6)アルキル、CHNR5(C=O)−(C1〜C6)アルコキシ、CHNR5(C=O)−NH−(C1〜C6)アルキル、またはCHOR3(であり、そしてここでR14、R15およびR16が水素)である、式IおよびIIの化合物は、スキーム1〜4に従って調製される:
【0056】
【化24】

R、R7およびR8が式Iについて規定されたとおりであり、ZがCHまたはNであり、そしてR1がメチルのようなアルキル基である、式3の化合物を、スキーム1に記載するように調製した。ケトン1(これの合成は、WO98/05292に記載された)を、ArCOOH、EDClまたはDEC、およびHOBT、またはArCOCl(ここでArは、R7、R8が置換されたフェニルまたはピリジルである)を用いる標準的なアミド化に供し、次いでNaBH4と反応させて、3を得た。アルキルハライド、アシルクロリド(R3COCl)、アルキルクロロホルメート(ClCOOR3)およびイソシアニド(O=C=NR3)による、遊離ヒドロキシル部分の誘導体化は、それぞれエーテル4a、エステル4b、カーボネート4c、およびカルバメート4dを与えた。ここでR3は、低級アルキル基である。アリールオキシ化合物5を、ヒドロキシル3とフェニルまたはピリジルのハライドとの、塩基の存在下での縮合の後に得た。
【0057】
【化25】

あるいは、式5の化合物を、最初にN−Bocケトン1aをアルコール6に還元し、次いで遊離ヒドロキシル基を、スキーム2に示すようにハロゲン置換したアリールにより塩基の存在下で官能基化するか、またはPPh3および式R192C−N=N−CO220(ここでR20はC1〜C6低級アルキルである)のアゾビカルボキシレートの存在下でヒドロキシ置換されたアリールもしくはヘテロアリール(ここでZ1はスキーム1において規定されるとおりである)で官能基化することにより、調製し得る。Boc保護基の除去およびアミドへの転換を、スキーム1のように実施する。この経路は、R3における種々のアリールオキシ部分およびヘテロアリールオキシ部分を、求核置換またはMitsunobu型反応の使用により、中間体6に導入することを可能にする。
【0058】
【化26】

R、R1、R7、R8およびZがスキーム1において記載されるとおりである、式8の化合物を、ケトン2の、CH3ONH2・HClでのオキシム基への転換により調製し、そしてBH3・S(CH32で還元して、アミン8を得た。遊離アミン部分の、アルキルクロロホルメート(ClCOOR20、ここでR20はC1〜C6アルキルである)、またはイソシアニド(O=C=NR3)での誘導体化により、それぞれカルバメート化合物9および尿素化合物10を得た。
【0059】
【化27】

キラルアナログの調製を、化学的分割により実施した。アルコール6をキラルなBoc保護されたアミノ酸とカップリングさせて、ジアステレオ異性体11aおよび11bを得、これらをクロマトグラフィーにより分離した。次いで、キラルな補助物を、各ジアステレオ異性体についてNaOHで除去し、そしてスキーム2に記載する同じ一連の反応を、各個々のエナンチオマーに対して実施して、化合物12aおよび12bを得た。
【0060】
XがC=NOR4である、式IまたはIIのオキシムを、対応するケトンから、当業者に公知のいくつかの方法のいずれかにより、調製する。
【0061】
【化28】

スキーム5において、RおよびR1が式IおよびIIに対して規定したとおりであるケトン1aを、CH3OHまたはエタノールのような溶媒に溶解し、そしてO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩のようなR4置換ヒドロキシルアミンで、酢酸ナトリウムのような塩基の存在下で処理する。O−置換オキシム13のZ体およびE体の、得られる混合物を分離し得るか、またはこの混合物を引き続き使用して最後に分離し得る。BOC保護基を、水性HClまたはトリフルオロ酢酸のような酸での処理により除去し、そして得られるアミンを、標準的な条件下で酸とカップリングさせて、式IまたはIIの化合物を得る。
【0062】
【化29】

あるいは、ケトン1aを類似の条件下でHONH2・HClで処理し、分離後に、E−オキシムおよびZ−オキシムを生成し得る。次いで、各オキシムをヘキサメチルジシラジドカリウムのような塩基で、DMFのような適切な溶媒中で処理し、次いでアルキル化剤(例えば、CH3I、ジメチルスルフェート、CH3CH2I、トリフルオロエチルトリフレートまたは類似の求電子剤)での処理により、所望のO−置換オキシムを得る。
【0063】
式1aのケトン出発物質を、スキーム7および8に示すような公知の方法により、調製し得る。
【0064】
【化30】

スキーム7において、N−トリフルオロアセチルイソニペコトイルクロリド17と芳香族基R−Hとの、AlCl3のような適切な触媒の存在下かつ必要に応じてCH2Cl2のような溶媒中でのフリーデル−クラフツ縮合により、ケトン18を得、これをそのエチレンケタール19に、標準的な条件下で転換する。N−トリフルオロアセチル基を除去し、そして得られる遊離アミン20を、N−BOC−ピペリジン−4−オンで、チタンイソプロポキシドのような脱水剤の存在下で処理し、続いてジエチルアルミニウムシアニドで処理して、アミノニトリル21を得る。このアミノニトリルを、CH3MgBrまたはビニルマグネシウムブロミドのようなグリニャール試薬(R1Mg−ハライド)で処理して、アルキル化生成物22を得る。このケタールを、水性酸での処理により除去し、続いて無水BOCを使用する標準的な条件下で再保護することにより、1aを得る。
【0065】
【化31】

あるいは、N−BOC−ピペリドンのウィッティッヒオレフィン化により調製した23(Chenら、Tetrahedron Lett.、37、30(1996)、5233−5234)を、スキーム7に記載した手順と類似の手順により中間体25に変換する。25を、ヒドロボレーション/酸化によりアルコール26に転換する。アルコール26を、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)とN−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)との混合物のような適切な酸化剤で処理して、アルデヒド27を得る。このアルデヒドを、アリールリチウム試薬で、エーテルまたはTHFのような適切な溶媒中で処理し、そして得られるアルコール28を、Dess−Martin過ヨウ素酸塩またはTPAP/NMOのような酸化剤で処理して、所望のケトンを得る。
【0066】
Xが−C(R13)(R19)−であり、ここでRおよびR19が同じであるか、またはRおよびR19が異なる、式IまたはIIの化合物を、それぞれスキーム9および10に従って調製する。これらのスキームは、RおよびR19が各々フェニルであるプロセス、ならびにRがフェニルでありR19がCF3−フェニルであるスキームにより、それぞれ例示されるが、一般的な手順は、他のR基およびR19基に適用される。
【0067】
【化32】

N−BOC−4−ピペリドンをCBr4で処理して、式44のジブロモ化合物を得、次いでこれを、フェニルボロン酸で処理して、式45のBOC保護されたジフェニルメチレンピペリジンを得る。メチレン結合を、標準的な条件を使用して還元して、式46のBOC保護されたジフェニルメチルピペリジンを得、このBOC基を除去し、そして式47のアミンを、スキーム7の化合物20〜22について記載したように処理し、このBOC基をTFAでの処理により除去し、そして得られるアミンを、標準的なアミド化手順(例えば、試薬R2COOHならびにEDCl、HOBTおよび塩基のようなカップリング剤での処理)に供して、式48の化合物を得る。
【0068】
【化33】

N−BOC−ピペリドンを、ジエチルベンジルホスホネートのような試薬で処理して、式49のフェニルメチレンピペリジンを得、次いでこれを臭素化して、式50のブロモフェニルメチレンピペリジンを得る。BOC保護基を、標準的な条件(例えば、TFAでの処理)を使用して除去して、アミン51を得、そしてアミン51を、スキーム7の化合物20〜22について記載したように処理して、アミノニトリル52を得、次いで保護されたアミン53を得る。アミン53を、4−CF3−フェニルボロン酸のような試薬で処理して、化合物54を得、そしてメチレン結合を、標準的な条件を使用して還元して、ラセミ体の55を得る。BOC基を、TFAでの処理により除去し、そして得られるアミンを、標準的なアミド化手順(例えば、試薬R2COOHならびにEDCl、HOBTおよび塩基のようなカップリング剤での処理)に供して、式56のラセミ化合物を得る。
【0069】
本発明において有用な化合物は、以下の代表的な実施例によって説明される。ここでは、開示の範囲を制限するようには解釈されないはずである。本発明の範囲内である代替の機構的な経路および同様の構造は、当業者に明らかであり得る。
【0070】
(実施例1)
【0071】
【化34】

遊離アミン29(1.45g、3.97mmol)および2,6−ジメチル−ベンゾイルクロリド(840mg、5.0mmol)の1N NaOH水溶液(20ml)およびCH2Cl2(20ml)中の溶液を、一晩室温で攪拌した。この反応混合物をCH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして高真空下で濃縮して30(1.97g、97%)を淡黄色泡沫として得た。
【0072】
ケトン30(550mg、1.11mmol)のCH3OH(6ml)溶液に、NaBH4(60mg、1.59mmol)を添加し、この溶液を一晩室温で攪拌した。次いでこの反応混合物を0.1N NaOHに注ぎ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して31(543mg、98%)を淡黄色泡沫として得た。
【0073】
(実施例1A)
アルコール31(50mg、0.10mmol)の無水DMF(0.5ml)溶液に、NaH(6.0mg、0.25mmol)、次いでヨー化エチル(12μl、0.15mmol)を添加し、そしてこの反応系を4時間40℃で攪拌した。反応混合物を0.1N NaOH水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮した。分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、9:1で溶出)により精製し、1A(31mg,59%)を無色油状物として得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ7.39(br d、J=8.4Hz、2H)、7.02−7.12(m,3H),6.95(m,2H),3.94(m,1H),3.79(d,J=7.2Hz,1H)3.10−3.35(m,4H),2.60−3.00(m,3H),2.19(br s,6H),1.60−2.10(m,5H),1.05−1.50(m,5H),1.08(br t,3H),0.94(s,3H);HRMS(MH+)527.2271。
【0074】
(実施例1B)
アルコール31(50mg、0.10mmol)およびピリジン(16.2μl、0.20mmol)の無水CH2Cl2(0.5mL)溶液に、塩化プロピオニル(30μl、0.30mmol)を添加し、そしてこの溶液を一晩室温で攪拌した。この反応混合物を、1Aのように処理し、分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、9:1で溶出)後に無色油状物として1B(44.7mg、81%)を得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.42(br d,J=8.2Hz,2H),7.05−7.15(m,3H),6.97(m,2H),5.40(d,J=7.8Hz,1H),4.09(m,1H),3.43(m,1H),3.23(m,1H),2.96(m,1H),2.82(m,1H),2.70(m,1H),2.21(d,3H),1.60−2.10(m,5H),1.05−1.45(m,5H),1.08(m,3H),0.95(s,3H);HRMS(MH+)555.2230。
【0075】
(実施例1C):アルコール31(29.4mg、0.059mmol)およびピリジン(9.5μl、0.118mmol)の無水CH2Cl2(0.3mL)溶液に、クロロギ酸メチル(13.8μl、0.18mmol)を添加し、そしてこの溶液を一晩室温で攪拌した。この反応混合物を、1Aのように処理し、分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、9:1で溶出)後に無色油状物として1C(15mg、46%)を得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.46(br d,J=8.4Hz,2H),7.14(d,J=8.4Hz,2H),7.09(m,1H),6.98(m,2H),5.21(d,J=7.2Hz,1H),4.09(m,1H),3.71(m,3H),3.45(m,1H),3.24(m,1H),2.97(m,1H),2.82(m,1H),2.70(m,1H),2.22(br s,3H),1.60−2.10(m,5H),1.10−1.50(m,5H),0.95(s,3H);HRMS(MH+)557.2017。
【0076】
(実施例1D):
アルコール31(30mg、0.060mmol)、ピリジン(9.7μl、0.12mmol)およびメチルイソシアネート(40μl,0.68mmol)の無水THF(0.3ml)溶液を5時間45℃で攪拌した。この反応混合物を1Aのように処理し、分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、9:1で溶出)後に無色油状物として1D(25mg、75%)を得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.42(br d,J=8.2Hz,2H),7.05−7.15(m,3H),6.98(m,2H),5.34(m,1H),4.08(m,1H),3.44(m,1H),3.24(m,1H),3.19(s,3H),2.96(m,1H),2.65−2.85(m,2H),2.20(br s,3H),1.55−2.10(m,5H),1.10−1.50(m,5H),0.95(s,3H);HRMS(MH+)556.2169。
【0077】
(実施例1E):
アルコール31(50mg、0.10mmol)、鉱油中60%NaH(6mg、0.15mmol)、および2−クロロピリジン(28.2μl、0.30mmol)の無水DMF(0.5ml)溶液を、16時間90℃で攪拌した。この反応混合物を、1Aのように処理し、分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、9:1で溶出)後に無色油状物として1E(50mg、86%)を得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.98(m,1H),7.47(br t,J=7.2Hz,1H),7.38(d,J=8.0Hz,2H),7.21(d,J=8.0Hz,2H),6.95−7.15(m,3H),6.65−6.80(m,2H),5.74(br d,J=7.0Hz,1H),4.09(m,1H),3.44(m,1H),3.24(m,1H),2.65−3.05(m,3H),2.22および2.23(s,3H),1.60−2.15(m,5H),1.10−1.50(m,5H),0.87(s,3H);HRMS(MH+)576.2230。
【0078】
同様の手順を使用して、以下の構造の化合物を調製した。
【0079】
【化35】

ここでR3、R6およびR2は、以下の表に規定される通りである。
【0080】
【表2】

実施例1の化合物のさらなるデータ。
【0081】
【数3】

(実施例2)
【0082】
【化59】

ケトン32(0.60g、1.29mmol)およびNaBH4(60mg、1.59mmol)のCH3OH(5ml)溶液を、一晩室温で攪拌した。この反応混合物を、0.1N NaOHに注ぎ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して33(0.60g、100%)を白色泡沫として得た。
【0083】
アルコール33(543mg、1.2mmol)の無水トルエン(4ml)溶液に、KHMDAの0.5Nトルエン溶液(2.6ml、1.30mmol)を添加し、次いで15分後に2−ブロモピリジン(125μl、1.30mmol)を加えた。この反応系を5時間60℃に加熱し、室温に冷却し、そして5%NaHCO3水溶液(25ml)に注いだ。CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して得られた油状物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/AcOEt/Et3N 50:50:1〜40:60:1で溶出)により精製し、34a(310mg、49%)を黄色泡沫として得た。
【0084】
34a(310mg、0.57mmol)の無水CH2Cl2(2ml)およびTFA(2ml)の溶液を30分室温で攪拌した。濃縮後、残渣を1N NaOH水溶液に溶解し、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して34b(220mg、87%)を、白色泡沫として得た。
【0085】
遊離アミン34b(85mg、0.19mmol)、2,4−ジメチルニコチン酸(50mg、1.45mmol)、DEC(60mg、0.31mmol)HOBT(50mg、0.37mmol)およびN−メチルモルホリン(80ml、0.72mmol)の無水DMF(1ml)溶液を一晩40℃で攪拌した。濃縮後、残渣を0.1N NaOH水溶液に溶解し、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を濃縮して得られた残渣を、シリカゲル上の分取クロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH/NH4OH、96:4:1)により精製し、35(954mg、85%)を無色油状物として得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.33(d,J=5.1Hz,1H),7.99(dd,J=4.8および1.8Hz,1H),7.86(d,J=8.4Hz,2H),7.56(d,J=8.4Hz,2H),7.53(m,1H),6.96(d,J=5.1Hz,1H),6.75−6.85(m,2H),4.15(m,1H),3.45(m,1H),3.30(m,1H),3.02(s,3H),2.99(m,2H),2.79(m,1H),2.47および2.48(s,3H),2.45(m,1H),2.25および2.26(s,3H),1.65−2.15(m,5H),1.15−1.55(m,5H),0.90(s,3H);HRMS(MH+)577.2858。
【0086】
同様の手順を使用して、以下の構造の化合物を調製した。
【0087】
【化60】

ここでR3、R6およびR2は、以下の表で規定されるとおりである。
【0088】
【表4】





実施例2の化合物のさらなるデータ。
【0089】
【表5】


(実施例3)
【0090】
【化36】

ケトン30(1.5g、3.22mmol)のCH3OH(50ml)溶液に、酢酸ナトリウム(5.0g、47mmol)およびO−メチルヒドロキシアミン塩酸塩(3.26g、47mmol)を添加し、そしてこの溶液を室温で24時間攪拌した。次いで生じた混合物を、NaOH水溶液に注ぎ、そしてCH2Cl2で抽出した。合わせた抽出物を乾燥し、濃縮しそしてクロマトグラフして、1.50g(94%)のオキシム36をE異性体とZ異性体の混合物として得た。
【0091】
オキシム36(0.200g、0.380mmol)のTHF(5ml)攪拌溶液に、BH3・THF(1.0MTHF溶液)を0℃で加え、次いでこの溶液を室温に昇温し、そして1時間攪拌した。次いでこの反応混合物を、0℃に冷却し、そして1N KOHのCH3OH(5ml)溶液を加えた。この反応系をゆっくり60℃に2時間で昇温し、室温に冷却し、水でクエンチし、そしてCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、そしてシリカゲル上でクロマトグラフして(20%EtOH/EtOAcで溶出)0.100g(50%)のアミン37を得た。
【0092】
アミン37(0.015g、0.030mmol)の攪拌溶液に、ピリジン(0.5ml)およびClCOOCH3(0.25ml)を加え、そしてこの溶液を一晩攪拌した。次いで水に注ぎ、EtOAcで抽出し、乾燥し、濃縮し、そして分取クロマトグラフィーにより精製して、0.010gの所望の生成物38を得た:1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.45(d,2H),7.05−7.12(m,3H),6.95(d,2H),4.95(m,1H),4.45(m,1H),4.15(m,1H),3.62(s,3H),3.47(m,1H),3.25(m,1H),2.88−3.10(m,3H),2.25(s,6H),1.20−2.10(m,12H),0.90(s,3H);HRMS(MH+)558.3013。
【0093】
(実施例4)
【0094】
【化37】

アルコール39ab(660mg、1.41mmol)、Boc−Thr(t−Bu)−OH(413mg、1.50mmol)、DEC(290mg、1.50mmol)およびDMAP(190mg、1.55mmol)の無水CH2Cl2(5ml)溶液を、一晩室温で攪拌した。この反応混合物を飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、そしてNa2SO4で乾燥した。溶媒を濃縮した後に得られた残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにかけ(CH2Cl2/アセトン、9:1で溶出)、以下の溶出の順に得た:(i)第1に40a(391mg,38%)、白色泡沫として;(ii)第2に40b(391mg、38%)、白色泡沫として。
【0095】
ジアステレオ異性体40a(391mg、0.54mmol)のCH3OH(3ml)溶液に、NaOH(110mg、2.75mmol;5当量)を加え、そしてこの溶液を65℃で3時間攪拌した。次いで、最終的な混合物を1N NaOH水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、39a(エナンチオマーA)(246mg、98%)を白色泡沫として得た。(同じ手順に従って、40bより39b(エナンチオマーB)を得た。40aは、43a(エナンチオマーA)を与え、そして40bは43b(エナンチオマーB)を与えた)。
【0096】
アルコール39a(210mg,0.45mmol)、鉱油中60%NaH
(23mg、0.96mmol)および2−ブロモピリジン(60μl;0.62mmol)の無水DMF(1.5ml)溶液を2時間75℃で攪拌した。この反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そしてシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/AcOEt/Et3N、60:40:0.5〜40:60:0.5)により精製して41a(143mg,59%)を得た。
【0097】
41a(93mg、0.17mmol)におけるBoc保護基の除去は、34bと同じように進行し、42a(68mg、91%)を白色泡沫として得た。
【0098】
アミン42a(50mg,0.11mmol)を、35の合成について記載される条件に従って4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸とカップリングし、43a(28mg、44%)を得た。1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.92(s,1H),8.02(m,1H),7.51(m,1H),7.51(brt,J=8.4Hz,1H),7.41(d,J=8.4Hz,2H),7.24(d,J=8.4Hz,2H),6.78(m,1H),6.73(m,1H),5.78(m,1H),4.19(m,1H),3.41(m,1H),3.36(m,1H),2.94(m,1H),2.78(m,1H),2.44および2.46(s,3H),1.65−2.15(m,5H),1.15−1.50(m,5H),0.90(s,3H));HRMS(MH+)578.2140。
【0099】
以下の化合物を同様の方法により調製した。
【0100】
【化38】

ここでR3、R6およびR2は、以下の表で規定される通りである。
【0101】
【表6】


実施例4の化合物のさらなるデータ。
【0102】
【表7】

(実施例5)
【0103】
【化39】

1)無水トリフルオロ酢酸(TFAA)(300ml)をイソニペコチン酸(96g)に0℃で加え、この反応混合物を4時間加熱還流する。過剰のTFAAを減圧化で除去し、反応混合物をEtOAcに溶解し、水で洗浄し、そして濃縮して160gのアミドを得る。50gのこのアミドをSOCl2(300ml)で処理し、そしてこの反応混合物を一晩加熱還流した。次いで過剰の塩化チオニルを減圧下で除去して54gの酸塩化物を得る。
【0104】
2)AlCl3(11g)を工程1の生成物(10g)のブロモベンゼン(40ml)溶液に周囲温度でゆっくりと加え、そしてこの反応混合物を4時間加熱還流する。次いで冷却し、濃HClと氷との混合物に注ぎ、そして生成物をEtOAcで抽出する。有機層を分離し、そして水、半飽和NaHCO3溶液で洗浄し、そして濃縮して16.21gの所望のケトンを得る。
【0105】
3)工程2の生成物(16.21g)をエチレングリコール(25ml)およびp−トルエンスルホン酸(0.5g)を含有するトルエン(200ml)に溶解する。この反応混合物を水の共沸除去でさらなる水が収集されなくなるまで加熱還流した。この反応混合物を濃縮して17.4gの所望のケタールを得た。
【0106】
4)工程3の粗生成物(17.4g)を、CH3OH(100ml)に溶解し、そしてこれに水(25ml)およびK2CO3(12g)を加え、そしてこの反応混合物を周囲温度で一晩攪拌する。この反応混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出する。有機層を分離し、水そしてブラインで洗浄し、そして濃縮して12.55gの所望のアミンを得た。
【0107】
5)工程4の生成物(7.2g、23mmol)およびN−BOC−ピペリジン−4−オン(4.8g、24mmol)の1,2−ジクロロエタン(20ml)攪拌溶液に、チタンイソプロポキシド(6.7ml、32.3mmol)を加え、そしてこの混合物を12時間室温で攪拌する。この反応混合物を濃縮し、そしてシアン化ジエチルアルミニウムの1.0M溶液(35ml)を室温で加え、そして3時間攪拌する。次いでこの反応混合物をEtOAcで希釈し、水(5ml)でクエンチし、そして2時間攪拌する。次いでこの混合物をセライトを通してろ過し、そして生じたろ液を濃縮し、そして30%EtOAc/ヘキサンでクロマトグラフして7.3g(63%)の所望のシアン化物を得る。
【0108】
6)工程5の生成物(7.3g、14.03mmol)のTHF(100ml)攪拌溶液に、CH3MgBrの3.0M Et2O溶液(14.0ml、42mmol)を室温で加え、そしてこの混合物を2時間攪拌した。次いでこの反応混合物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出する。この抽出物を濃縮して7.0gの所望のメチル化化合物を得る。
【0109】
7)工程6の粗製ケタールをEtOAc(100ml)および6N HCl(40ml)に溶解し、濃HCl(10ml)を加え、そしてこの混合物を室温で24時間攪拌する。次いでこの反応混合物を20%NaOHで中和し、EtOAcで抽出し、乾燥しそして濃縮して5.0g(98%)のアミンを得る。
【0110】
8)工程7の生成物(5.0g、13.6mmol)のエーテル(200ml)攪拌溶液に、10%NaOH(50ml)およびBOC2Oを加え、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌する。二層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮し、そして20%EtOAc/ヘキサンでクロマトグラフして5.1g(79%)の所望の生成物を得る。
【0111】
9)工程8(1.5g、3.22mmol)のCH3OH(50ml)攪拌溶液に、酢酸ナトリウム(5.0g、47mmol)およびO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩を加え、そしてこの混合物を室温で24時間攪拌する。次いで生じた混合物をNaOH水溶液に注ぎ、そしてCH2Cl2で抽出する。合わせた抽出物を乾燥し、濃縮し、そしてクロマトグラフして1.5g(94%)のオキシムをEおよびZ異性体の混合物として得る。
【0112】
10)工程9の生成物(1.5g、3.0mmol)のCH2Cl2(10ml)攪拌溶液に、TFA(3mL)を加え、そしてこの混合物を室温で2時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、そして10%NaOHに注ぎ、そしてCH2Cl2で抽出する。合わせた抽出物を乾燥し、濃縮して1.2g(100%)のアミンを得る。
【0113】
11)工程10の生成物(1.3g、3.2mmol)のCH2Cl2攪拌溶液に、2,6−ジメチル安息香酸(0.74g、4.96mmol)、EDCl(0,94g、4.94mmol)、DIPEA(0.84g、6.58mmol)およびHOBT(0.66g、4.94mmol)を加え、そしてこの混合物を12時間室温で攪拌する。この反応混合物をNaHCO3でクエンチし、そしてCH2Cl2で抽出する。合わせた抽出物を乾燥し、そして濃縮して1.6gのオキシムをEおよびZ異性体の混合物として得る。これらの異性体をCH2Cl2:Et2O(4:1)で溶出することによりクロマトグラフして分離し、0.77gのE異性体および0.49gのZ異性体を得る。
E異性体:300MHz−1H−NMR(CDCl3)δ 7.5(d,2H),7.23(m,2H),7.10(m,1H),6.90(d,2H),4.03(m,1H),3.90(s,3H),3.55(m,1H),3.20(m,3H),3.00(m,3H),2.82(m,1H),2.24(s,3H),2.23(s,3H),2.15(m,3H),1.80−1.20(m,5H),0.92(s,3H);MS FAB+ 実測値=526.2070;計算値=526.2069
Z異性体:300 Mhz−1H NMR (CDCl3)δ 7.50(d,2H),7.15−6.95(m,5H),4.15(m,1H),3.80(s,3H),3.45(s,3H),3.25(s,3H),3.00(m,2H),2.24(s,3H),2.25(s,3H),2.10(m,2H),1.80−1.50(m,7H),0.92(s,3H);MS FAB+実測値=526.2072;計算値=526.2069。
【0114】
以下の化合物を類似の方法により調製した。
【0115】
【化40】

ここでX、R6およびR2は、以下の表で規定される通りである。
【0116】
【表8】





実施例5の化合物についてのさらなるデータ。
【0117】
【表9】

(実施例6)
【0118】
【化41】

A)中間体27の調製(スキーム8(R1=CH3))。
【0119】
1)23(40.0g、0.203mol)をEtOAc(200ml)および濃塩酸(80ml)中で1.5時間激しく攪拌する。この溶液を濃縮し、Et2O(300ml)およびH2O(150ml)で希釈し、水層を分離し、そして有機層をH2O(20ml)で1回抽出する。合わせた水層を濃縮し、そして残渣を24時間高真空下で乾燥して26.7g(84%)の白色固体を得る。4Åモレキュラーシーブを含む無水ClCH2CH2Cl(80mL)中のこの塩酸塩およびN−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(43.8g、0.22mol)に、DBU(33.2ml、0.22mol)およびチタン(IV)イソプロポキシド(65.5ml、0.22mol)を続けて0℃で加え、この反応混合物を室温まで昇温させ、そして一晩室温で攪拌する。次いでこの混合物を0℃に冷却し、そしてトルエン中1Nのシアン化ジエチルアルミニウム(260ml、0.26mol)を激しく攪拌しながら添加する。この反応系を室温まで昇温させ、そしてさらに3時間攪拌し、その後CH2Cl2(300ml)、EtOAc(300ml)、およびセライト(50g)を加える。反応混合物を0℃に冷却し、水(40ml)を激しく攪拌しながらゆっくり加え、そしてさらに5分間室温で攪拌した後、過剰の水をNa2SO4でクエンチする。次いで最終混合物をセライトで濾過し、エバポレートし、そしてシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、8:2で溶出)に供して、50.3g(83%)の24を無色油状物として得、これは放置すると固化した。
【0120】
2)24(27.7g、90.6mmol)の無水THF(200mL)溶液に、0℃でEt2O中3MのCH3MgBr(91ml、3当量)を激しく攪拌しながらゆっくり加えた。加えた後、この反応系を室温まで昇温させ、3時間攪拌する。次いでこの反応系を飽和NH4Cl水溶液に注ぎ、Et2Oで抽出(4回)し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して27.1g(100%)の25を無色油状物として得る。
【0121】
3)25(11.6g、39.3mmol)の無水THF(50ml)溶液に、0℃でTHF中2NのBH3・S(CH32(14ml、28mmol)をゆっくり加え、そしてこの溶液を2日間室温で攪拌する。最終混合物を約50mlに濃縮し、そしてゆっくりと氷冷EtOH/THF1:1(50ml)に注ぐ。15分後、0℃で、50mlのpH7緩衝溶液を加え、次いで30%H22水溶液(50ml)をゆっくり加える。この反応混合物を一晩室温で攪拌し、1N NaOHで希釈し、そしてCH2Cl2で抽出する。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮し、次いでシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/EtOH、8:2で溶出)に供して9.69g(79%)の26を無色油状物として得る。
【0122】
4)26(11.2g、35.8mmol)およびN−メチルモルホリンN−オキシド(4.67g、39.4mmol)の無水CH2Cl2(100ml)溶液を1時間室温で攪拌し、0℃に冷却し、そしてTPAP(885mg)を分けて加える。この反応系を室温まで昇温させそして1時間攪拌する。次いでこの反応を1時間で完了させるためにさらにN−メチル−モルホリンN−オキシド(1.30g、11mmol)およびTPAP(300mg)を加える。この反応混合物をセライトで濾過し、濃縮し、次いでシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン、8:2〜7:3で溶出)に供して5.91g(53%)の27を黄色油状物として得る。
【0123】
B)実施例6の表題化合物の調製
1)1−ブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼン(4.20ml,
28.0mmol)の無水THF(100mL)溶液を−78℃に冷却し、そしてヘキサン中2.5Nのn−BuLi(11.2 ml、28.0mmol)をシリンジで加える。この反応混合物を−50℃に10分間昇温し、−78℃に冷却し、そしてアルデヒド27(6.20g,20.0mmol)無水THF(15 ml)溶液を滴下する。30分間−78℃で攪拌した後、次いで30分間−20℃で攪拌し、この溶液を半ブラインに注ぎ、そしてCH2Cl2(3×100ml)で抽出する。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、そして濃縮して8.85g(94%)のアルコールを黄色油状物として得る。
2)工程1の生成物(8.85g,39.3mmol)のCH2Cl2(100 ml)溶液に、0℃でDess−Martinペルヨージナン(19.70g,
2.5当量)を加え、反応混合物を2時間室温で攪拌する。さらに8.0 gのDess−Martinペルヨージナンを加え、そしてこの反応系をさらに4時間攪拌する。この溶液を飽和NaHCO3水溶液および飽和Na223水溶液の1:1混合物(200ml)に注ぎ、10分間攪拌し、CH2Cl2で抽出し、そしてNa2SO4で乾燥する。溶媒の濃縮後に得られた残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc,7:3で溶出)で精製し、5.48g(63%)のケトンを黄色油状物として得る。
【0124】
3)工程2の生成物(2.85g、6.05mmol)、HONH2・HCI(2.08g,30mmol)、およびAcONa(2.46g,30mmol)のEtOH(50mL)溶液を、N2下4時間加熱還流する。溶媒のエバポレーションの後、残渣を0.1N NaOHに溶解し、CH2Cl2で抽出する。溶媒のエバポレーションの後に得られた残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーに供し、最初にE−ヒドロキシム(CH2Cl2/EtOAc、7:3で溶出;0.84g;29%)、次いでZ−ヒドロキシム(CH2Cl2/EtOAc 1:1で溶出;1.10g;37%)を、両方の生成物を白色固体として得る。
【0125】
4)Z−ヒドロキシム(0.89g,1.84mmol)の無水DMF(5ml)懸濁液に、トルエン中0.5NのKHMDA(4.0ml,2.02mmol)を0℃でゆっくり加えると、黄色溶液が生じる。2分後、この温度で、ジメチル硫酸(350μl、3.7mmol)ゆっくりと加え、そしてこの溶液を室温まで昇温させ、そして1時間攪拌する。この混合物を0.1N NaOH水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥する。溶媒の濃縮後に得られた残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、75:25で溶出)により精製して、0.55g(62%)のZ−メトキシムを淡黄色油状物として得る。
【0126】
5)Z−メトキシム(0.59g、1.18mmol)の無水CH2Cl2(6ml)およびTFA(3ml)中の溶液を、1時間室温で攪拌する。濃縮後、この残渣を1N NaOH水溶液に溶解し、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して0.47g(100%)の遊離アミンを白色泡沫として得る。
【0127】
6)工程5の生成物(470mg、1.18mmol)、2,4−ジメチルニコチン酸(220mg、1.45mmol)、DEC(280mg、1.45mmol)、HOBT(243mg、1.80mmol)およびN−メチルモルホリン(0.33ml、3.0mmol)の無水DMF溶液を14時間攪拌する。濃縮した後、残渣を0.1N NaOH水溶液に溶解し、CH2Cl2で抽出し、そしてNa2SO4で乾燥する。溶媒の濃縮後に得られた残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン、7:3〜1:1で溶出)により精製し、640mg(100%)の、無色油状物を得る。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.35(d,J=7.8Hz,1H),7.25(AB系,4H),6.98(d,J=7.8Hz,1H),4.22(m,1H),3.82(s,3H),3.43(m,1H),3.33(m,1H),2.99(m,2H),2.85(m,1H),2.49(s,3H,アトロプ異性体a)および2.51(s,3H,アトロプ異性体b),2.26(s,3H,アトロプ異性体a)および2.28(s,3H,アトロプ異性体b),1.95−2.21(m,3H),1.20−1.90(m,7H),0.92(s,3H);HRMS(M+H+)533.2747。
【0128】
工程B−4、B−5およびB−6に従い、E−オキシムを使用して対応するE−メトキシム生成物を得る。
【0129】
以下の化合物を同様の手順により調製する。
【0130】
【化42】

ここで、R4、R6およびR2は、表に規定されるとおりである。
【0131】
【表10】



実施例6の化合物についてのさらなるデータ。
【0132】
【表11】

(実施例7)
実施例6の化合物の代替の合成
1)実施例6、工程B−2の生成物(566mg、1.20mmol)を、実施例6、工程B−3に示される条件と同様の条件を使用して、H3CONH2・HClで処理する。得られるZ−およびE−メトキシム(methoxime)の粗混合物を、分取用シリカゲルTLCプレート(ヘキサン/EtOAc、80:20で溶離する)で分離して、溶離の順で、第1にE−メトキシム(175mg;29%)、次いでZ−メトキシム(175mg;29%)を、両方とも油状物として得る。
【0133】
2)工程1のZ−メトキシム(75mg;0.15mmol)を、実施例6、工程B−2に示される条件と同様の条件に従って脱保護し、そして得られる遊離アミン(46mg)を、実施例6、工程B−6に示される条件度同様の条件を使用して、2,4−ジメチルニコチン酸を用いるアミド化に直接供し、50mg(82%)の無色の油状物を得る。
【0134】
以下の化合物を、同様の手順で調製する:
【0135】
【化43】

ここで、R4、R6およびR2は、以下の表で定義されるとおりである:
【0136】
【表12】



実施例7の化合物についてのさらなるデータ:
【0137】
【表13】

(実施例8)
【0138】
【化44】

1)DMF(25ml)中の実施例5、工程8の生成物(0.500g、1.07mmol)の撹拌溶液に、ナトリウムメチルメルカプチド(0.113g、1.62mmol)を添加し、そしてその混合物を、70℃で12時間加熱する。次いで、この反応混合物を室温まで冷却し、Et2Oで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮して、0.437g(97%)のスルフィドを得る。
【0139】
2)EtOH(30ml)中の、工程1の生成物(1.00g;2.31mmol)、H3CONH2・HCl(3.80g、46.2mmol)、およびAcONa(3.79g、46.2mmol)の溶液を、窒素下で4時間加熱還流する。溶媒をエバポレートした後、残渣を水性0.1N NaOHにとり、そしてCH2Cl2で抽出する。この溶媒をエバポレートした後に得られる残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけて、初めに、E−オキシム(Et2O/CH2Cl2、1:4で溶離;0.45g;24%)、次にZ−オキシム(0.25g、15%)を得る。
【0140】
3)CH3OH(5ml)中の工程2のZ−オキシム(0.250g、0.543mmol)の溶液に、0℃で、オキソン(oxone)(5mlのCH3OH中1.00g、1.627mmol)を添加し、そしてその混合物を、0℃で4時間撹拌する。次いで、この反応を10%NaOHでクエンチし、濃縮し、水(10ml)中に注ぎ入れ、そしてCH2Cl2で抽出し、乾燥し、そして濃縮して、0.220g(82%)のスルホンを得る。
【0141】
4)CH2Cl2(5ml)中の工程3の生成物(0.300g、0.608mmol)の撹拌溶液に、TFA(1ml)を添加し、そしてこの混合物を室温で2時間撹拌する。この反応混合物を濃縮し、10%NaOHに注ぎ入れ、そしてCH2Cl2で抽出する。合わせた抽出物を乾燥し、そして濃縮して、0.420g(100%)のアミンを得る。
【0142】
5)CH2Cl2中の工程4の生成物(0.45g、0.114mmol)の撹拌溶液に、2,6−ジメチルニコチン酸(0.26g、0.172mmol)、DEC(0.33g、0.172mmol)、N,N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.2ml)、およびHOBT(0.24g、0.172mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で12時間撹拌する。この反応混合物をNaHCO3でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、乾燥し、濃縮し、そして分取用クロマトグラフィー(20% EtOH/EtOAc)で精製して、0.046g(76%)のZ−オキシムアミドを得る。
【0143】
【数1】

以下の化合物を、同様の様式で調製した:
【0144】
【化45】

ここで、X、R6およびR2は、以下の表で定義されるとおりである:
【0145】
【表14】

(実施例9)
【0146】
【化46】

出発アミン(2.0g、5.7mmol)をCHCl3(57ml;=ストック溶液A 約0.1M)に溶解する。430μlのストック溶液A(0.043mmol)を、0.25g(約0.22mmol)の樹脂結合カルボジイミド(これは、ポリエチレンSPEカートリッジにおいて、DMF(2ml)中にて、100℃で、Argopore−Cl樹脂と1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドとを反応させることにより、調製した)のスラリーに添加する。この混合物に、5−メチル−3−[2−クロロフェニル]イソキサゾール−4−カルボン酸の1M DMF溶液(0.12ml、0.12mmol)、HOBT(DMF中0.5M溶液、86μl)およびDMAP(DMF中0.05M溶液、25μml)を添加する。この混合物を14時間振盪し、濾過し、その濾液に、Amberlyst−15樹脂(0.3g、約1.5mmol)を添加する。この樹脂を、1〜2時間振盪し、濾過し、そして以下の溶媒、THF、CH2Cl2およびCH3OHの各々で2回洗浄し、次いで、THFおよびCH2Cl2で洗浄する。この樹脂をCH3OH中の2M NH3で処理する(30分間で1回、そして5分間で1回)。これらの濾液を合わせて、減圧下にて濃縮すると、表題化合物が得られる。LCMSにより、MH+=570(算出したMW571);TLC Rf=0.45(CH2Cl2/CH3OH/NH4OH(95/5/0.5))。
【0147】
同様の手順を使用して、以下の化合物を調製した:
【0148】
【化47】

ここでR2は、以下の表で定義されるとおりである:
【0149】
【表15】

(実施例10)
【0150】
【化48】

工程1:無水THF(2ml)中の、アルコール39ab(406mg;0.87mmol)、3−ヒドロキシ−ピリジン(95.1mg;1mmol)、およびPPh3(262mg;1mmol)の溶液に、ジエチルアゾジカルボキシレート(160ml;1mmol)を0℃で添加し、そしてその混合物を、室温で一晩加温した。この反応物を、5% NaHCO3水溶液に注ぎ入れ、CH2Cl2で抽出し、そしてNa2SO4で乾燥した。溶媒を濃縮した後、得られた油状物を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH 97:3〜95:5で溶離)で精製して、所望の化合物(290mg;61%)を油状物として得た。
【0151】
工程2:工程1の生成物(290mg;0.53mmol)のBoc−保護基の除去を、実施例2のように進行させて、所望のアミン(210mg;89%)を白色の泡状物として得た。
【0152】
工程3:実施例2に記載される条件に従って、工程2のアミン(50mg;0.11mmol)を、4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸に結合して、表題化合物(32mg;49%)を無色の油状物として得た:
【0153】
【数2】

同様の手順を使用して、以下の構造の化合物を調製した:
【0154】
【化49】

ここで、R3、R6およびR2は、以下の表で定義されるとおりである:
【0155】
【表16】


実施例10の化合物についてのさらなるデータ:
【0156】
【表3】

(実施例11)
【0157】
【化50】

1)N−Boc−4−ピペリドン(10g、50mmol)およびPPh3(53g、200mmol)を、CH3CN(100ml)にとった。この溶液を0℃まで冷却し、そしてCBr4(33g、100mmol)を0℃でこの溶液に添加した。この溶液を0℃で15分間撹拌し、そして25℃で2時間撹拌した。Et2O(200ml)を添加し、そして得られた混合物を、SiO2のプラグを通して濾過した。濃縮して黄色の固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(9/1 ヘキサン/Et2O、SiO2)で精製して、10g(56%)のジブロモ生成物を白色固体として得た。
【0158】
2)工程1の生成物(1g、2.8mmol)、PhB(OH)2(1.2g、9.9mmol)、PdCl2(PPh32(197mg、0.28mmol)、およびNa2CO3(897mg、8.5mmol)の溶液を、THF/H2O(4/1、20ml)にとり、そして窒素下で24時間、65℃で撹拌した。この溶液を、EtOAcとH2Oとの間で分配し、水層をEtOAcで抽出し、そして合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。濾過しそして濃縮して、暗褐色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(9/1 ヘキサン/Et2O、SiO2)により精製して、941mg(96%)の所望の生成物を白色の固体として得た。m.p.=152〜135℃。
【0159】
3)工程2の生成物(500mg、1.4mmol)、および炭素担持Pd(OH)2(100mg、2重量%Pd(乾燥物基準)、50重量%H2O)の溶液を、CH3OH(20ml)にとり、Parr装置中、水素(50psi)下で15時間振盪した。この混合物を濾過し、そして濃縮して、501mg(99%)のジフェニルメチルピペリジンを無色の油状物として得た。
【0160】
4)CH2Cl2(15ml)中の工程3の生成物(500mg、1.4mmol)の溶液に、TFA(1.4ml)を添加した。この溶液を25℃で23時間撹拌した。この溶液を濃縮し、そして残渣を、CH2Cl2と1N NaOHとの間で分配した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、349mg(99%)の遊離アミンを黄色の油状物として得た。m.p.(HCl)=220〜230℃より上で分解。HRMS(C1822N)(MH+):計算値 252.1752、実測値 252.1751、
5)工程4の生成物(349mg、1.4mmol)、N−Boc−4−ピペリドン(280mg、1.4mmol)、およびTi(OiPr)4(0.42l、1.4mmol)の溶液を、窒素下で、CH2Cl2(15ml)にとった。25℃で17時間撹拌した後、Et2AlCN(2.8mmol、トルエン中1.0M、2.8ml)を添加し、そしてこの溶液を25℃でさらに18時間撹拌した。この溶液を飽和NaHCO3でクエンチし、EtOAcで希釈し、そしてCeliteを通して濾過した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせたEtOAc層をNa2SO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。分取用薄層クロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、430mg(67%)の所望の生成物を油状物として得た。
【0161】
6)THF(20ml)中の工程5の生成物(430mg、0.94mmol)の溶液を、窒素下で0℃まで冷却した。CH3MgBr(Et2O中3.0Mの1.6ml、4.7mmol)を0℃で添加し、そしてその溶液を25℃で19時間撹拌した。この反応混合物を、飽和NH4Clでクエンチし、CH2Cl2および1N NaOHで希釈した(pH試験紙で水層をチェック、pH=8−10)。この層を分離し、そして水層をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、275mg(65%)の生成物を黄色の油状物として得た。
【0162】
7)CH2Cl2(15ml)中の、工程6の生成物(275mg、0.61mmol)の溶液に、TFA(0.60ml)を添加し、そしてその溶液を25℃で18時間撹拌した。この溶液を濃縮し、そして残渣を、CH2Cl2と1N NaOHとの間で分配した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、209mg(99%)のアミンを黄色の油状物として得た。HRMS(C24332)(NH+):計算値 349.2644、実測値 349.2638。
【0163】
8)工程7の生成物(50mg、0.14mmol)、2,6−ジメチル−安息香酸(63mg、0.42mmol)、EDCl(54mg、0.28mmol)、HOBT(38mg、0.28mmol)、およびiPr2NEt(0.10ml)の溶液を、CH2Cl2(3ml)にとった。この溶液を25℃で18時間撹拌し、次いで、CH2Cl2で希釈し、そして1N NaOHで洗浄した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、そして濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。分取用薄層クロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、47mg(70%)の表題化合物を無色の油状物として得た。m.p.(HCl塩)=195〜201℃。HRMS(C33412O)(MH+):計算値 481.3219、実測値 481.3225。
【0164】
同様の手順を使用して、以下の構造の化合物を調製した:
【0165】
【化51】

ここで、R6およびR2は、以下の表で定義されるとおりである:
【0166】
【表17】

(実施例12)
【0167】
【化52】

1)N−Boc−4−ピペリドン(10g、50mmol)およびジエチルベンジルホスホネート(12.6g、55mmol)を、窒素下で、乾燥THF(50ml)にとった。NaH(2.4g、60mmol、オイル分散物中60重量%)を、25℃でこの溶液に添加した。得られた混合物を、3.5時間、加熱還流した。この溶液を、EtOAcと飽和NH4Clとの間で分配し、水層をEtOAcで抽出し、そして合わせたEtOAc層をブラインで洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10/1 ヘキサン/Et2O、SiO2)で精製して、9.85g(72%)の所望の化合物を固体として得た。m.p.=63〜65℃。
【0168】
2)工程1の生成物(5.0g、18mmol)のCH2Cl2(100ml)溶液に、臭素(1ml、20mmol;10mlCH2Cl2中に溶解)を、0℃で滴下した。この溶液を0℃で15分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。粗生成物をtert−ブタノール/THF(4/1、100ml)にとり、そしてKOtBu(4.1g、36mmol)をこの溶液に滴下した。この黄色の混合物を25℃で5時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を、EtOAcと飽和NH4Clとの間で分配し、水層をEtOAcで抽出し、そして合わせたEtOAc層をブラインで洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、黄色の固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(7/1 ヘキサン/Et2O、SiO2)で精製して、5.2g(81%)の所望の生成物を黄色の固体として得た。m.p.=80〜83℃。
【0169】
3)CH2Cl2(25ml)中の工程2の生成物(2.1g、5.9mmol)の溶液に、TFA(5.9ml)を添加した。この溶液を25℃で5時間撹拌し、濃縮し、そして残渣をCH2Cl2と1N NaOHとの間で分配した。水層をCH2Cl2で抽出し、そして合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、1.46g(98%)のアミンをオレンジ色の油状物として得た。m.p.(HCl塩)=185〜195℃より上で分解。HRMS(C1215BrN)(MH+):計算値 254.0367、実測値 254.0374。
【0170】
4)工程3の生成物(1.4g、5.6mmol)、N−Boc−4−ピペリドン(1.1g、5.6mmol)、およびTi(OiPr)4(1.7g、5.6mmol)の溶液を、窒素下で、CH2Cl2(30ml)にとった。25℃で18時間撹拌した後、Et2ALCN(6.7mmol、6.7ml、トルエン中1.0M)をこの溶液に添加し、そしてこの溶液を25℃でさらに18時間撹拌した。この溶液を飽和NaHCO3でクエンチし、EtOAcで希釈し、そしてCeliteを通して濾過した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせたEtOAc層をNa2SO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、2.0g(78%)の所望の生成物をオフホワイトの固体として得た。
【0171】
5)THF(30ml)中の工程4の生成物(2.0g、4.3mmol)の溶液を、窒素下で0℃まで冷却した。CH3MgBr(Et2O中3.0M、7.2ml、21mmol)を、0℃で、この溶液に添加した。この溶液を25℃まで加温し、そしてその温度で16時間撹拌した。この反応混合物を、飽和NH4Clでクエンチし、そしてCH2Cl2および1N NaOHで希釈した(pH試験紙で水層をチェック、pH=8〜10)。これらの層を分離し、そして水層をCH2Cl2で抽出し、そして合わせた有機層をNa2SO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(3/1
ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、1.56g(82%)の所望の生成物を黄色の油状物として得た。
【0172】
6)工程5の生成物(300mg、0.67mmol)、4−CF364B(OH)2(380mg、2mmol)、PdCl2(PPh32(50mg、0.067mmol)、およびNa2CO3(210mg、2mmol)の溶液を、THF/H2O(4/1、15ml)にとり、そして窒素下、65℃で18時間撹拌した。この溶液をEtOAcとH2Oとの間で分配し、そして水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。濾過しそして濃縮して暗褐色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(4/1 ヘキサン/EtOAc、SiO2)で精製して、229mg(67%)の所望の生成物を無色の油状物として得た。
【0173】
7)工程6の生成物(229mg、0.45mmol)、および炭素担持Pd(OH)2(200mg、20重量%Pd(乾燥物基準)、50重量%H2O)の溶液を、CH3OH(35ml)にとり、そしてParr装置中、水素(50psi)下で20時間振盪した。この混合物を濾過し、そして濃縮して、232mg(100%)の(±)−生成物を無色の泡状物として得た。HRMS(C304023)(MH+):計算値 517.3042、実測値 517.3050。
【0174】
8)CH2Cl2(15ml)中の工程7の生成物(235mg、0.45mmol)の溶液に、TFA(0.45ml)を添加した。この溶液を25℃で24時間撹拌し、次いで濃縮し、そして残渣をCH2Cl2と1N NaOHとの間で分配した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、146mg(78%)の(±)−アミンを黄色の油状物として得た。
【0175】
9)工程8の生成物(102mg、0.25mmol)、4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸(110mg、0.75mmol)、EDCl(96mg、0.50mmol)、HOBT(70mg、0.50mmol)、およびiPr2NEt(0.17ml)の溶液を、CH2Cl2(3ml)にとった。この溶液を25℃で18時間撹拌し、次いでCH2Cl2で希釈し、そして1N NaOHで洗浄した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して黄色の油状物を得た。分取用薄層クロマトグラフィー(1/1 アセトン/ヘキサン、SiO2)で精製して、121mg(88%)の表題化合物を無色の油状物として得た。m.p.(HCl塩)=186〜191℃。HRMS(C32384OF3)(MH+):計算値 551.2998、実測値 551.3012。
【0176】
工程9に使用した4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸は、以下のプロセスにより作製した:
【0177】
【化53】

工程1:ジアセト酢酸エチル(93.4g)、Cs2CO3(185g)、およびCH3CN(550ml)を、オーバーヘッドメカニカルスターラーを使用して、一緒に混合した。CH3CN(50ml)を添加し、そして得られた混合物を0℃まで冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸メチル(88.6g)を滴下し、そして添加後に、冷却浴を取り外した。この混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、そして塩をEt2O(2×50ml)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、そしてEt2O(300ml)を添加した。得られた混合物を濾過し、濾過ケーキをEt2O(2×100ml)で洗浄し、Et2O抽出物を合わせ、そして半分の用量になるまでエバポレートした。この溶液を氷浴中で冷却し、そして冷却した(0℃)2N NaOH(pH=11)で一回洗浄した。Et2O層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そしてエバポレートして、所望の生成物を黄色の液体として得(64.7g、収率65%)、これは次の工程に直接使用した。
【0178】
工程2:工程1の生成物(64.2g)、エタノール中のナトリウムエトキシド(市販の溶液;21重量%;113g)、および酢酸ホルムアミジン(36.2g)を、室温で一緒に混合した。4時間還流した後、この混合物を室温まで冷却し、得られた沈殿物を濾去し、そしてエタノールを減圧下で除去した。得られた液体を水とCH2Cl2との間で分配し、そして水層をCH2Cl2(3×150ml)で抽出した。CH2Cl2抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、そしてエバポレートして黒色の粗液体(50.7g)を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(980g;溶離液として、4:1 ヘキサン:EtOAc)で精製した。適切な画分をエバポレートした後、所望の生成物(28.5g)を46%の収率で単離し、そしてこれを次の工程に直接使用した。
【0179】
工程3:工程2の生成物(28.1g)、NaOH(6.72g)、水(65ml)、およびEtOH(130ml)を、室温で一緒に混合し、そして1時間加熱還流した。得られた溶液を室温まで冷却し、そして厚いペーストが生じるまで、揮発物質を除去した。水(20ml)を添加し、その混合物を0℃まで冷却し、そして濃HCl(14.3ml)を撹拌しながら滴下した。得られた白色の沈殿物を濾過して回収し、冷水(2×10ml)で洗浄し、そして30分間吸引しながら空気乾燥した。得られた白色固体をトルエン(2×20ml)で処理し、そして溶媒を減圧下、50℃で除去し、次いで、減圧(1mmHg)下で18時間乾燥した。所望の生成物(14.9g)を、白色固体として単離した(収率63%)。mp:176〜178℃。C7822の元素分析:計算値 C 55.26%、H 5.30%、N 18.41%;実測値 C 55.13%、H 5.44%、N 18.18%。
【0180】
生成物の第2クロップを、(上記の)水性濾液を乾固するまでバポレートして単離し、そして水(20ml)を添加した。得られた混合物を室温で5分間撹拌し、氷浴中で冷却し、そして形成した沈殿物を濾過により回収した。得られた固体を冷水(2×5ml)で洗浄し、そして上記のように乾燥して、生成物(4.68g)をクリーム色の固体として得、合わせた収率は83%であった。
【0181】
(実施例13)
【0182】
【化54】

工程1:無水THF(15ml)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.89g;4.80mmol)の懸濁液に、−40℃で、n−BuLi(ヘキサン中2.5N、2.12ml;5.3mmol)をシリンジで添加した。この反応物を0℃まで加温し、この温度で30分間撹拌し、そして実施例6、工程B−2の生成物(2.24g;4.8mmol)の溶液を添加した。次いで、この溶液を室温で一晩加温し、CH2Cl2に注ぎ入れ、そして飽和NaHCO3、次いでブラインで洗浄した。有機相を濃縮した後に得られた残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc、9:1で溶離)で精製して、0.56g(25%)の油状物を得た。
【0183】
工程2:工程1の生成物(0.56g;1.2mmol)、および9−BBN(THF中0.5N、3ml;1.5mmol)の溶液を、不活性雰囲気下で2時間還流した。この溶液の一部(1.5ml;0.59mmolの理論上の中間体)を、DMF(0.40ml)および水(80μl)中の、1−クロロ−3−ヨードベンゼン(88μl;0.71mmol)、PdCl2dppf.CH2Cl2(19.8mg)、トリフェニルアルシン(24.1mg)、およびCs2CO3(25mg)の混合物に添加した。この反応物を60℃で2時間撹拌し、そして室温で一晩撹拌し、5% NaHCO3水溶液に注ぎ入れ、そしてCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮し、そしてシリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、8:2で溶離)で精製して、100mg(29%)の油状物を得た。
【0184】
工程3:工程2の生成物(100mg;0.17mmol)のBoc−保護基を、実施例2のようにして除去して、所望のアミン(70mg;86%)を得た。このアミン(45mg;0.09mmol)を、実施例2に記載される条件に従って、4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸と結合して、表題化合物を無色の油状物として得た(32mg)。
【0185】
【数4】

同様の手順を使用して、以下の化合物もまた調製した:
【0186】
【化55】

(実施例14)
【0187】
【化56】

2が2,6−ジメチルフェニルである化合物を調製するために:
1)実施例12の工程5の生成物(300g、0.67mmol)、4−CF3OC64B(OH)2(410mg、2mmol)、PdCl2(PPh32(50mg、0.067mmol)、およびNa2CO3(210mg、2mmol)の溶液を、THF/H2O(4/1、15ml)にとり、そして窒素下、65℃で19時間撹拌した。この溶液を、EtOAcとH2Oとの間で分配し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。濾過し、そして濃縮して、暗褐色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(4/1 ヘキサン/Et2O、SiO2)で精製して、356mg(100%)の所望の生成物を黄色の油状物として得た。
【0188】
2)工程1の生成物(340mg、0.64mmol)、および炭素担持Pd(OH)2(300mg、20重量%Pd(乾燥物基準)、50重量%H2O)の溶液を、CH3OH(35ml)にとり、そして水素(50psi)下、Parr装置で18時間振盪した。この混合物を濾過し、そして濃縮して、341mg(100%)の生成物、(±)−1を無色の泡状物として得た。
【0189】
3)アミン(±)−1を、キラルHPLC分離により分離した。この条件は以下の通りである:CHIRALCEL(登録商標)ODTM(5cm×30cm);25℃のヘキサン/イソプロピルアルコール/ジエチルアミン 75/25/0.05);254nm検出。ピーク1、(+)エナンチオマーの保持時間およびピーク2,(−)−エナンチオマーの保持時間は、それぞれ、3.8分および4.9分であった[CHIRALCEL(登録商標)ODTM(ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン 90/10/0.1)、25℃、254nm]。ピーク1およびピーク2は、それぞれ、カラムからの第1および第2溶離ピークである。エナンチオマー(IおよびII)を、脱保護し(CH2Cl2/TFA)、そして、実施例11、工程7および8に記載される条件を使用して、遊離アミンを2,6−ジメチル安息香酸に結合した。遊離塩基をEtOAcにとり、Et2O中1MのHClで粉砕することによって塩酸塩を得た。
【0190】
上記の化合物、14Aおよび14Bのデータ、ならびに同様の様式で作製されたさらなる化合物のデータを、以下の表に示す。各場合において、エナンチオマー番号Iは、(+)−1から誘導され、そしてエナンチオマー番号IIは、(−)−1から誘導される。
【0191】
【表18】

(実施例15)
【0192】
【化57】

1)ジブロモ−オレフィン(3.55g、10mmol)およびTFA(10ml)を、CH2Cl2に溶解し、25℃で20時間攪拌した。この溶液を、濃縮した。この残渣を、CH2Cl2および1NのNaOHの間で分配した。水相をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機相を、乾燥(Na2SO4)した。濾過および濃縮して、無色の油状物として遊離ピペリジン(2.4g、94%)を得た。この遊離ピペリジン(2.41、9.45mmol)を、(a)N−Boc−4−ピペリドン/Ti(OiPr)4、および(b)Et2AlCNで連続して処理し、実施例11の工程5に記載されるようなシアノアミンを得た。
【0193】
2)工程1の生成物およびMeMgBr(16ml、3.0M(Et2O中))を、THF(30ml)に溶解し、そして25℃で19時間攪拌した。この溶液を、1NのNaOHおよびEtOAcでクエンチした。この混合物を、濾過(セライト)した。水相をEtOAcで抽出し、得られたEtOAc相を、ブラインで洗浄し、そして乾燥(Na2SO4)した。濾過および濃縮により、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(6/1のヘキサン/EtOAc、SiO2)により精製し、固体としてビニルブロミド(2.54g(遊離ピペリジンの69%))を得た。融点(遊離塩基)85〜90℃。HRMS(MH+)C183222Brの計算値387.1647;実測値387.1638。
【0194】
3)工程2の生成物(200mg、0.52mmol)、4−CF364B(OH)2(344mg、1.8mmol)、PdCl2(PPh32(36mg、0.052mmol)、およびNa2CO3(165mg、1.56mmol)を、THF/H2O(4/1、10ml)に溶解し、そして75℃(油浴)で21時間加熱した。この溶液を、EtOAcおよびH2Oの間で分割した。水相をEtOAcで抽出し、得られたEtOAc相をブラインで洗浄し、そして乾燥(Na2SO4)した。濾過および濃縮して、黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(3/1〜1/1のヘキサン/EtOAc、SiO2)での精製により、油状物としてフェニル置換オレフィン(210mg、89%)を得た。HRMS(MH+)C2536223の計算値453.2729;実測値453.2728。
【0195】
4)工程3の生成物を、実施例11の工程3に記載されるように水素添加した。この還元した生成物を脱保護し、そして実施例11の工程7−8に記載されるような2,6−ジメチル安息香酸と結合させ、黄色の油状物として表題化合物(37mg、55%)を得た。融点(HCl塩)130〜140℃。HRMS(MS+)C2938ON23の計算値487.2936;実測値487.2928。
【0196】
類似の手順を使用して、以下の化合物
【0197】
【化58】

を調製した:融点(HCl塩)135−145℃。HRMS(MH+)C2938223の計算値503.2885;実測値503.2896。
【0198】
本発明の化合物のCCR5の阻害性およびアンタゴニスト活性を決定するために、以下のアッセイが使用できる。
【0199】
(CCR5薄膜結合アッセイ)
CCR5薄膜結合アッセイを利用するハイスループットスクリーニングにより、RANTES結合の阻害を確認する。このアッセイは、NIH3T3細胞から調製した薄膜を利用するが、この細胞は、ヒトCCR5ケモカインレセプタ(これは、このレセプタの天然リガンドであるRANTESに結合する能力を有する)を発現する。96ウェルプレートフォーマットを使用して、膜調製物を、1時間にわたって、化合物の存在または不在下で、125I−RANTESでインキュベートする。化合物を、0.001μg/ml〜1μg/mlの範囲にわたって連続希釈し、そして3連で試験する。反応混液をガラス繊維フィルターで収集し、そして十分に洗浄する。複製物の全総数を平均し、全125I−RANTE結合の50%を阻害するのに必要な濃度として、データを報告する。この薄膜結合アッセイにおいて強力な活性を有する化合物を、さらに、二次細胞ベースHIV−1エントリーアッセイおよび複製アッセイで特性付ける。
【0200】
(HIV−1エントリーアッセイ)
Connorら、Viroloav,206(1995),p.935〜944で記述されているように、数個のHIV−1エンベロープ遺伝子の1個をコード化するプラスミドと共に、HIV−1のNL4−3株をコードするプラスミド(これは、エンベロープ遺伝子の突然変異およびルシフェラーゼレポータプラスミドの導入により変性した)の同時形質移入によって、複製欠陥HIV−1レポータビリオンを産生した。リン酸カルシウム沈殿による2種のプラスミドの形質移入に続いて、3日目にて、そのウイルス上澄み液を収集し、機能的ウイルス力価を決定した。これらのストックを、次いで、CD4およびケモカインレセプタCCR5を安定に発現するU87細胞(これは、試験化合物と共にまたはそれなしで、予めインキュベートされている)を感染するのに使用する。感染は、37℃で、2時間にわたって行われ、それらの細胞を洗浄し、培地を化合物含有新鮮培地で置き換える。これらの細胞を3日間インキュベートし、溶解し、そしてルシフェラーゼ活性を決定した。結果は、そのコントロール培養液中のルシフェラーゼ活性の50%を阻害する必要がある化合物の濃度として報告される。
【0201】
(HIV−1複製アッセイ)
このアッセイは、一次末梢血単核細胞または安定U87−CCR5細胞株を使用して、抗−CCR5化合物が一次HIV−1株の感染を阻害する効果を決定する。それらの一次リンパ球を、正常で健康なドナーから精製し、そして感染の3日前、PHAおよびIL−2でインビトロ刺激する。96ウェルフォーマットを使用して、37℃で、1時間にわたって、細胞を薬剤で前処理し、引き続いて、M−トロピックHIV−1単離体に感染させる。感染に続いて、これらの細胞を洗浄して、残留接種物を除去し、そして化合物の存在下にて、4日間培養する。培養物上澄み液を収集し、ウイルスp24抗原濃度を決定することにより、ウイルス複製を測定する。
【0202】
(カルシウムフレックスアッセイ)
HIVコレセプタCCR5を発現する細胞に、この天然CCR5リガンドの化合物の添加前、カルシウム感受性染料を装填する。アゴニスト特性を備えた化合物は、この細胞において、カルシウムフレックス信号を誘導するのに対して、CCR5アンタゴニストは、それ自体は信号伝達を誘導しないが天然リガンドRANTESによる信号伝達を阻害できる化合物として、同定されている。
【0203】
(GTPγS結合アッセイ(第二薄膜結合アッセイ))
GTPγS結合アッセイは、CCR5リガンドにより、レセプタ活性を測定する。このアッセイは、35S標識GTPのレセプタ結合タンパク質(Gタンパク質)への結合(これは、適当なリガンドによるレセプタ活性化の結果として、起こる)を測定する。このアッセイでは、このCCR5リガンド、RANTESを、CCR5発現細胞に由来の薄膜でインキュベートし、このレセプタ活性化(または結合)に対する結合は、結合した35S標識をアッセイすることにより、決定する。このアッセイは、化合物が、レセプタの活性化を誘発することによるアゴニスト特性、あるいは、競合または非競合様式で結合するRANTESの阻害を測定することによるアンタゴニスト特性を示すかどうかを、定量的に決定する。
【0204】
(走化性アッセイ)
この走化性アッセイは、機能的アッセイであり、これは、試験化合物のアゴニスト対アンタゴニスト特性を特徴付ける。このアッセイは、ヒトCCR5(BaF−550)を発現する非粘着性マウス細胞株が、試験化合物または天然リガンド(すなわち、RANTES,MIP−1β)のいずれかに応答して、薄膜を横切って移動する能力を測定する。細胞は、この浸透性膜を横切って、アゴニスト活性を備えた化合物に向かって移動する。アンタゴニストである化合物は、走化性を誘発しないだけでなく、公知CCR5リガンドに応答して、細胞移動を阻害できる。
【0205】
炎症性状態でのCCケモカインレセプタ(例えば、CCR−5レセプタ)の役割は、以下のような文献で報告されている:Immunology Letters,57,(1997),117-120(関節炎);Clinical &Experimental Rheumatology,17(4)(1999),p.419-425(関節リウマチ); Clinical & Experimental Immunology,117(2)(1999),p.237-243(アトピー性皮膚炎);International Journal of Immunopharmacology,20(11)(1998),p.661-7(乾癬);Journal of Allergy & Clinical Immunology,100(6,Pt2)(1997),p.S52-5(喘息);およびJournal of Immunology,159(6)(1997),p.2962〜72(アレルギー)。
【0206】
RANTES結合の阻害を決定するアッセイでは、本発明の化合物は、約0.1〜約2000nMのKiの活性範囲であり、好ましい化合物は、約0.1〜約1000nM、さらに好ましくは、約0.1〜500nM、最も好ましくは、約1〜100nMの活性範囲を有する。RANTES結合の阻害を決定するために、この試験において、式IおよびIIの好ましい化合物および代表的な化合物についての結果は、以下の表で示す。この表では、「Ex.No.」は、「実施例番号」を意味し、そして「nM」は、「ナノモル」を意味する。
【0207】
【表19】

本発明で記述したCCR5アンタゴニスト化合物の製薬組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの粉末および錠剤は、約5〜約95%の活性成分から構成され得る。適当な固形キャリアは、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖またはラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセルは、経口投与に適当な固形投薬形状で使用できる。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物の製造方法の例は、Aで見出され得る。Gennaro(著),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18版(1990),Mack
Publishing Co.,Easton,Pennsylvania.
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例として、非経口注射には、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得、または経口溶液、懸濁液および乳濁液には、甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0208】
吸入に適当なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固形物が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と配合され得る。
【0209】
また、固形製剤も挙げられ、これらは、使用直前、経口投与または非経口投与のいずれかのために、液体形状に転化されるように意図されている。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0210】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。この経皮化合物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または懸濁液の形態をとり得、この目的のために当該技術分野で通例であるように、マトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含有できる。
【0211】
好ましくは、この化合物は、経口的に投与される。
【0212】
好ましくは、この製薬製剤は、単位投薬形状である。このような形状では、この製剤は、適当なサイズの単位用量に再分割されるが、これは、適当な量の活性成分(例えば、所望の目的を達成するのに有効な量)を含有する。
【0213】
単位用量の製剤中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約10mg〜約500mg、好ましくは、約25mg〜約300mg、さらに好ましくは、約50mg〜約250mg、最も好ましくは、約55mg〜約200mgで変動または調整され得る。
【0214】
使用されるCCR5化合物の実際の投薬量は、患者の要求および治療する病気の重症度に依存して、変わり得る。特定の状態に適当な投薬レジメンの決定は、当該技術分野の範囲内である。便宜上、その全1日投薬量は、分割されて、必要な日に、少しずつ投与され得る。
【0215】
本発明のCCR5アンタゴニスト化合物の投与の量および頻度および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、年齢、患者の状態および体格だけでなく治療する症状の重症度のような要因を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な推奨1日投薬レジメンは、2回〜4回の分割用量で、約100mg/日〜約300mg/日の範囲、好ましくは、150mg/日〜約250mg/日の範囲、さらに好ましくは、約200mg/日であり得る。
【0216】
CCR5アンタゴニストと組み合わせて使用される、NRTI、NNRTI、PIおよび他の試薬の用量および投薬レジメンは、添付文書にある認可用量および投薬レジメンを考慮して、または患者の年齢、性別および状態および処置される状態の重症度を考慮したプロトコルで述べられているように、担当医の判断によって決定される。
【0217】
本発明のHIV−1治療の目的は、決定可能な限度未満でHHV−1−RNAウイルスの負荷を減少させることである。本発明の文脈中で「HHV−1−RNAの決定可能な限度」とは、定量的なマルチサイクルリバーストランスクリプターゼPCR法によって測定される場合に、患者の1mgの血漿中に約200未満〜約50未満の複製のHIV−1−RNAが存在することを意味する。HIV−1−RNAは、好ましくは、本発明において、Amplicor−1 Monitor1.5方法(Roche Diagnsoticsから市販されている)によって測定される。
【0218】
本発明は、その特定の実施形態に関連して記述されているものの、その多くの代替、改良および変更は、当業者に明らかである。このような全ての代替、改良および変更は、本発明の精神および範囲内に入ると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2006−225407(P2006−225407A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152916(P2006−152916)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【分割の表示】特願2000−615390(P2000−615390)の分割
【原出願日】平成12年5月1日(2000.5.1)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】