説明

CCR9インヒビターおよびその使用方法

【課題】CCR9レセプターの阻害。
【解決手段】下式


によって表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで; Yは、C(O)、O、S、S(O)又はS(O); X、XおよびXは、N又はCR、但し、X、XまたはXの少なくとも1つがCR;R及びRは、H又は置換基; Rは、H、脂肪族カルボニル基、又は脂肪族エステル;環Aは、置換又は非置換;そしてAr及びArは、置換又は非置換のアリール基あるいは置換又は非置換のヘテロアリール基である、化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年5月24日に出願された米国仮出願第60/383,573号の優先権を主張する。ここで、該米国仮出願の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、ほぼ40個の6〜14kDの(グリコシル化されていない)ヘパリン結合タンパクから成る、大きな、増加しているファミリーであり、広範囲にわたる生物学的な機能の仲介をする(非特許文献1)。ケモカインは、2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステイン残基の部位に基づくファミリーに分割され得る(非特許文献2;非特許文献3);非特許文献4)。ケモカインレセプターもまた、結合するケモカインのタイプに基づくファミリーに分割され得るが、レセプターの副次的なファミリーを区別する明らかな構造の違いは、同定されていない(非特許文献5)。
【0003】
ケモカインは、白血球の癒着(adhesion)および溢出(extravasation)に生体的な役割を果たす。例えば、種々のインビトロのアッセイにおいて、ケモカインは、白血球の遊走または経内皮移動を誘発し得る(非特許文献6)、一方、インビボの注入(非特許文献7)または過剰量のケモカイン(非特許文献8)では、ケモカインの注入または発現部位で白血球の蓄積の結果となり得る。ケモカインのアンタゴニストは、白血球の輸送を妨げ得(非特許文献9)、ならびに急性および慢性の炎症に有益な効果を持ち得る(非特許文献10;非特許文献11)。ケモカインは、脈管形成を調整(非特許文献12)、造血を調節(非特許文献13)ならびにTリンパ球の活性を調節すると報告されている(非特許文献14;非特許文献15)。さらに、幾つかのケモカインレセプターは、M tropicおよびT tropic HIV−1の侵入に対して、CD4と一緒に共同レセプターとして作用する(非特許文献16;非特許文献17)。
【0004】
CD4リンパ球の幾つかの部分集合は、異なる生理学的部位に輸送効果があると公知である、種々の癒着分子の発現に基づき定義され得る(非特許文献18)。例えば、CLA+veメモリーCD4リンパ球は、皮膚に輸送し(非特許文献19)、一方CLA−veα4β7+veメモリーCD4リンパ球は、粘膜部位に輸送する(非特許文献20)。白
血球の内皮への癒着は、ローリング、活性化および停止を含む幾つかの重なる工程を伴うと考えられる。ローリング白血球は、癒着部位に発現した因子に露出され、結果として白血球の活性化およびインテグリン仲介の癒着のアップレギュレーションが起こる。上記のインテグリン仲介の相互作用の結果として、白血球は、内皮上に停止する(非特許文献21;非特許文献22)。白血球の活性およびインテグリン分子のアップレギュレーションは、ケモカインレセプターの関与が企図される百日咳毒素に感受性の反応機構を介して起こる(非特許文献23;非特許文献24)。
【0005】
メモリーCD4白血球は、特定のケモカインレセプターの発現に基づき分類され得る。例えば、CXCR3、CCR2およびCCR5(非特許文献25;非特許文献26;非特許文献27)はすべて、メモリーCD4リンパ球の部分集合上に発現され、特定のケモカインは、天然T細胞に選択的に作用する(非特許文献28)。さらに、上記のレセプターのリガンドである幾つかのケモカインは、炎症部位で発現が示され(非特許文献29)、および幾つかの場合では、チャレンジされた部位を排出するリンパ節で発現が示された(非特許文献30)。インビトロ由来のT1/T2リンパ球株は、異なってケモカインレセプターを発現すると示されている。特に、T1リンパ球は、CXCR3およびCCR5を選択的に発現し、T2リンパ球は、CCR4、CCR8およびCCR3を選択的に発現すると示されている(非特許文献31;非特許文献32;非特許文献33;非特許文献34;非特許文献35)。面白いことに、幾つかの場合、CCR4にはMDCおよびCXCR3にはIP−10のように、それぞれのケモカインレセプタ−についてのケモカインは、T1/T2環境に関したサイトカインによって誘導される(非特許文献36;非特許文献37)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Taub、D.D.およびOpenheim、J.J.、Ther.Immunol.,1:229−246(1994)
【非特許文献2】Kelner、G.S.ら、Science、266:12395−1399(1994)
【非特許文献3】Bazan、J.F.ら、Nature、385:640−644(1997
【非特許文献4】Pin、Y.ら、Nature、385:611−617(1997)
【非特許文献5】Mackay、C.R.、J.Exp.Med.、184:799−802(1996)
【非特許文献6】Taub、D.D.およびOpenheim、J.J.Ther.Immunol.、1:229−246(1994)
【非特許文献7】Taub、D.D.ら、J.Clin.Invest.、97:1931−1941(1996)
【非特許文献8】Fuentes、M.E.ら、J.Immunol.、155:5769−5776(1995)
【非特許文献9】Bargatze、R.F.およびButcher、E.C.、J.Exp.Med.、178:367−372(1993)
【非特許文献10】Sekido、N.ら、Nature、365:654−657(1993)
【非特許文献11】Karpus、W.J.ら、J.Immunol.、155:5003−5010(1995)
【非特許文献12】Gupta,S.Kら、Proc.Natl.Acad.USA,92:7799−7803(1995)
【非特許文献13】Taub,D.D.およびOpenheim,J.J.,Ther.Immunol.,1:229−246(1994)
【非特許文献14】Zhou,Z.ら、J.Immunol.151:4333−4341(1993)
【非特許文献15】Taub,D.D.ら、J.Immunol.,156:2095−2103(1996)
【非特許文献16】Choe,H.ら、Cell,85:1135−1148(1996)
【非特許文献17】Feng,Y.ら、Science,272:872−877(1996)
【非特許文献18】Mackay,C.R.,Curr.Opin.Immunol.,5:423−427(1993)
【非特許文献19】Berg,E.L.ら、Nature,174(6):1461−1466(1991)
【非特許文献20】Hamman,A.ら、J.Immunol.,152:3282−3292(1994)
【非特許文献21】Bargatze,R.F.およびButcher,E.C.,J.Exp.Med.,178:367−372(1993)
【非特許文献22】Bargatze,R.F.ら、Immunity,3:99−108(1995)
【非特許文献23】Bargatze,R.F.およびButcher,E.C.,J.Exp.Med.,178:367−372(1993)
【非特許文献24】Campbell,J.J.ら、Science,279:381−383(1998)
【非特許文献25】Qin,S.ら、Eur.J.Immunol.,26:640−647(1996)
【非特許文献26】Qin,S.ら、J.Clin.Invest.,101:746−754(1998)
【非特許文献27】Liao,F.ら、J.Immunol.,162:186−194(1999)
【非特許文献28】Adema,G.J.ら、Nature,387:713−717(1997)
【非特許文献29】Gonzalo,J.A.ら、J.Clin.Invest.,98:2332−2345(1996)
【非特許文献30】Tedla,N.ら、J.Immunol.,161:5663−5672(1998)
【非特許文献31】Bonecchi,R.G.ら、J.Exp.Med.,187:129−134(1998)
【非特許文献32】Sallusto,F.D.ら、J.Exp.Med.,187:875−883(1998)
【非特許文献33】Sallusto,F.,Science,277:2005−2007(1997)
【非特許文献34】Andrew,D.P.ら、J.Immunol 161:5027−5038(1998)
【非特許文献35】Zingoni,A.ら、J.Immunol.,161:547−555(1998)
【非特許文献36】Andrew,D.P.ら、J.Immunol 161:5027−5038(1998)
【非特許文献37】Luster,A.D.ら、Nature,315:672−676(1985)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
以下の構造式:
【化1】


によって表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで;
Yは、C(O)、O、S、S(O)またはS(O)であり;
、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XまたはXの少なくとも1つがCRであり;
各存在に対してのRおよびRは、各独立してHまたは置換基であり;
は、H、脂肪族カルボニル基、または脂肪族エステルであり;
環Aは、置換または非置換であり;そして
ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である、
化合物。
(項目2)
項目1に記載の化合物であって、Arは、フェニル、ナフチル、チエニル、またはチオナフテニルであり、各基は、置換または非置換である、化合物。
(項目3)
項目1に記載の化合物であって、Arは、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、またはピラジニルであり、各基は、置換または非置換である、化合物。
(項目4)
以下の構造式:
【化2】



によって表される項目1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、
ここで:Yは、S、O、S(O)またはS(O)であり;
19およびR20は、各独立して、Hまたは置換基である、化合物。
(項目5)
以下の構造式:
【化3】



によって表される項目1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、
ここで:R、R、R、R、R、および各Rは、独立して、H、脂肪族基、ハロアルキル、ハロ、COOH、NO、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;そして
は、CR、N、またはN−Oである、化合物。
(項目6)
以下の構造式:
【化4】



によって表される項目1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで:
は、CR、N、またはN−Oであり;
は、Hまたは電子求引基であり;
mおよびnは、各独立して、0または1〜3の整数であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12であるか;または2つの隣接するR基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシまたはハロアルキル基であるか;または2つの隣接するR10基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R11は、独立して、Hまたは脂肪族基であり;および
12は、脂肪族基である、化合物。
(項目7)
以下の構造式:
【化5】



によって表される項目1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで:
環Bは、置換または非置換であり;
pは、0または1〜3の整数であり;そして
各R13は、独立して、ハロ、または置換もしくは非置換のヘテロアリールである、化合物。
(項目8)
以下からなる群より選択される化合物:
【化6−1】


【化6−2】


【化6−3】


【化6−4】


【化6−5】


【化6−6】




(項目9)
薬学的に受容可能なキャリアおよび項目1に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
(項目10)
CCR9レセプター機能を阻害する必要のある患者において、CCR9レセプター機能を阻害する方法であって、その被験体に、以下の構造式
【化7】



によって表される有効量の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与する工程を包含し:
ここで:
Yは、C(O)、O、S、S(O)またはS(O)であり;
、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XおよびXの少なくとも1つがCRであり;
各存在に対してのRおよびRは、各独立してHまたは置換基であり;
は、H、脂肪族カルボニル基、または脂肪族エステルであり;
環Aは、置換または非置換であり;そして
ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である、
方法。
(項目11)
項目10に記載の方法であって、前記化合物は、A、B、C、およびDからなる群より選択される構造式によって表される、方法:
【化8】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで、R19およびR20は、各独立して、Hまたは置換基である;
【化9】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:R、R、R、R、R、および各Rは、独立して、H、脂肪族基、ハロアルキル、ハロ、COOH、NO、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;そして
は、CR、N、またはN−Oである;
【化10】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:
は、CR、N、またはN−Oであり;
は、Hまたは電子求引基であり;
mおよびnは、各独立して、0または1〜3の整数であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12であるか;または2つの隣接するR基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシまたはハロアルキル基であるか;または2つの隣接するR10基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R11は、独立して、Hまたは脂肪族基から選択され;および
12は、脂肪族基である;および
【化11】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで:
は、ハロ、ニトロ、アルキルカルボニル、またはトリハロアルキルであり;
pは、0または1〜3の整数であり;そして
各R13は、独立して、ハロ、置換または非置換のヘテロ環、または置換または非置換のヘテロアリールである、
方法。
(項目12)
項目10に記載の方法であって、前記被験体が、炎症性疾患または状態を処置される、方法。
(項目13)
炎症性疾患または状態を処置または予防する必要がある被験体において、炎症性疾患または状態を処置または予防する方法であって、その被験体に、以下の構造式:
【化12】



によって表される有効量の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与する工程を包含し、ここで;
Yは、C(O)、O、S、S(O)またはS(O)であり;
、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XおよびXの少なくとも1つがCRであり;
各存在に対してのRおよびRは、各独立してHまたは置換基であり;
環Aは、置換または非置換であり;
は、H、脂肪族基、アリール基、または脂肪族カルボニル基であり;そして
ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である、
方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、前記化合物は、A、B、C、およびDからなる群より
選択される構造式によって表される、方法:
【化13】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで、R19およびR20は、各独立して、Hまたは置換基である;
【化14】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:R、R、R、R、R、および各Rは、独立して、H、脂肪族基、ハロアルキル、ハロ、COOH、NO、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;そして
は、CR、N、またはN−Oである;
【化15】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:
は、CR、N、またはN−Oであり;
は、Hまたは電子求引基であり;
mおよびnは、各独立して、0または1〜3の整数であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12であるか;あるいは2つの隣接するR基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシまたはハロアルキル基であるか;または2つの隣接するR10基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R11は、独立して、Hまたは脂肪族基であり;および
12は、脂肪族基である;および
【化16】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで:
は、ハロ、ニトロ、アルキルカルボニル、またはトリハロアルキルであり;
pは、0または1〜3の整数であり;そして
各R13は、独立して、ハロ、置換または非置換のヘテロ環、または置換または非置換のヘテロアリールである、
方法。
(項目15)
項目13に記載の方法であって、前記化合物が、以下からなる群から選択される、方法:
【化17−1】


【化17−2】


【化17−3】


【化17−4】


【化17−5】


【化17−6】




(項目16)
項目13に記載の方法であって、前記炎症性疾患または状態が、クローン病または大腸炎である、方法。
(項目17)
項目13に記載の方法であって、前記炎症性疾患または状態が、セリアック病である、方法。
(項目18)
項目13に記載の方法であって、前記化合物が、CCR9へのリガンドの結合を阻害する、方法。
(項目19)
項目18に記載の方法であって、前記リガンドが、TECKである、方法。
(項目20)
白血球のCCR9媒介ホーミングを阻害することが必要な被験体において、白血球のCCR9媒介ホーミングを阻害する方法であって、その被験体に、以下の構造式:
【化18】



によって表される有効量の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与する工程を包含し、ここで;
Yは、C(O)、S、S(O)またはS(O)であり;
、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XおよびXの少なくとも1つがCRであり;
各存在に対してのRおよびRは、各独立してHまたは置換基であり;
は、H、脂肪族基、アリール基、または脂肪族カルボニル基であり;
環Aは、置換または非置換であり;そして
ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である、
方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、前記化合物は、A、B、C、およびDからなる群より選択される構造式によって表される、方法:
【化19】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで、R19およびR20は、各独立して、Hまたは置換基である;
【化20】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:R、R、R、R、R、および各Rは、独立して、H、脂肪族基、ハロアルキル、ハロ、COOH、NO、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;そして
は、CR、N、またはN−Oである;
【化21】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であり、ここで:
は、CR、N、またはN−Oであり;
は、Hまたは電子求引基であり;
mおよびnは、各独立して、0または1〜3の整数であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12であるか;あるいは2つの隣接するR基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシまたはハロアルキル基であるか;あるいは2つの隣接するR10基は、結合する原子と一緒になって、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し;
各R11は、独立して、Hまたは脂肪族基であり;および
12は、脂肪族基である;および
【化22】



またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、ここで:
は、ハロ、ニトロ、アルキルカルボニル、またはトリハロアルキルであり;
pは、0または1〜3の整数であり;そして
各R13は、独立して、ハロ、置換または非置換のヘテロ環、または置換または非置換のヘテロアリールである、
方法。
(項目22)
粘膜組織への白血球のホーミングを阻害する必要のある被験体において、粘膜組織への白血球のホーミングを阻害する方法であって、その被験体に、以下の構造式:
【化23】



によって表される有効量の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与する工程を包含し、ここで;
Yは、C(O)、S、S(O)またはS(O)であり;
、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XおよびXの少なくとも1つがCRであり;
各存在に対してのRおよびRは、各独立してHまたは置換基であり;
は、H、脂肪族基、アリール基、または脂肪族カルボニル基であり;
環Aは、置換または非置換であり;そして
ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である、
方法。
【0008】
本発明は、構造式Iに表される化合物、ならびにその化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物に関する;
【0009】
【化24】

【0010】
構造式Iにおいて、YはC(O)、O、S、S(O)またはS(O)であり;X、XおよびXは各独立して、NまたはCRであるが、但し、X、XおよびXの少なくとも1つがCRであり;各存在に対して、RおよびRは、各独立してHまたは置換基である。好ましい実施形態では、RおよびR部位の置換基は、各独立して脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ(aryloxy)、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、スルオナミド(sulonamido)、スルホン、スルホキシド、ヒドルオキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12である。R11およびR12は、さらに本明細書中に定義される;Rは、H、脂肪族カルボニル基、または脂肪族エステルであり;ArおよびArは、各独立して、置換または非置換のアリール基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基である。好ましくは、Arは、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のピリジル、置換または非置換のピリミジニルまたは置換または非置換のピラジニルである。好ましくは、Arは、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のピリジルである。より好ましくは、Arは、置換されたフェニルであり、Arは、置換されたピリジルである。環Aは、置換され、または置換されていない。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式IIに表される。
【0012】
【化25】

【0013】
構造式IIにおいて、Xは、N、N−OまたはCR;環A、環Bおよび環Cは、各独立して置換され、または置換されていない。Rは、Hまたは置換基である。Rについての置換基の例は、構造式Iの場合と同様に定義される。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式IIIに表される。
【0015】
【化26】

【0016】
構造式IIIにおいて、Xは、N、N−OまたはCRであり;環A、環Bおよび環Cは、各独立して置換され、または置換されていない。Rは、Hまたは置換基である。Rについての置換基の例は、構造式Iの場合と同様に定義される;およびRは、Hまたは電子求引基である。好ましくは、Rは、ハロ、ニトロ、アルキルカルボニルまたはトリハロアルキルである。さらに好ましくは、Rは、Cl、BrまたはNOである。
【0017】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式IVに表される。
【0018】
【化27】

【0019】
構造式IVにおいて、Ar、Ar、RおよびRは、構造式Iの場合と同様に定義される;R19およびR20は、各独立して、Hまたは置換基である。R19およびR20位の置換基の例には、脂肪族基、ハロアルキル基、エステル、アミド、アルキルカルボニル、ハロゲン、COOH、NO、アルコキシ、ハロアルコキシ、CN、アミノおよびアミノアルキルが挙げられる。
【0020】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式Vに表される。
【0021】
【化28】

【0022】
構造式Vにおいて、Xは、CR、NまたはN−Oであり;X、X、X、RおよびArは、構造式Iの場合と同様に定義される;R、R、R、R、Rは、独立して、H、脂肪族基、ハロアルキル基、ハロ、COOH、NOまたはアルコキシ、ハロアルコキシである。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式VIに表される。
【0024】
【化29】

【0025】
構造式VIにおいて、Xは、構造式Iの場合と同様に定義される;Xは、構造式Vの場合と同様に定義される;Rは、Hまたは電子求引基である;mおよびnは、独立して、0または1〜3の整数である;各Rは、独立して、脂肪族基、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ(aryloxy)、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドルオキシ、NR11CO12、C(O)N(R11、C(O)R12、CO12、OC(O)N(R11、OC(O)R12、N(R11またはNR11C(O)R12である;2つの隣接するR基は、結合する原子と一緒になって、縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する;各R10は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシまたはハロアルキル基であるか;または、2つの隣接するR10基は、結合する原子と一緒になって、縮合、飽和、不飽和、または部分的に不飽和の5〜7員環を形成し、N、OおよびSから選択された0、1または2つのヘテロ原子を有する;各R11は、独立して、Hまたは脂肪族基から選択される;R12は、脂肪族基である。
【0026】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式VIIに表される。
【0027】
【化30】

【0028】
構造式VIIにおいて、環Bは、置換され、または置換されていない;Xは、構造式Iの場合と同様に定義される;Rは、構造式VIの場合と同様に定義される;pは、0または1〜3の整数である;R13は、独立して、ハロ、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【0029】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、構造式VIIIに表される。
【0030】
【化31】

【0031】
構造式VIIIにおいて、A、Ar、Ar、X、R、Rは、構造式Iの場合と同様に定義される;R19およびR20は、構造式IVの場合と同様に定義される;Yは、S、O、S(O)またはS(O)である。
【0032】
本発明は、有効量の本発明の化合物、および/またはその薬学的受容可能な塩、溶媒和物および水和物をCCR9レセプターに接触させることにより、該CCR9レセプターを阻害する方法を提供する。
【0033】
ある実施形態では、被験体に有効量の本発明の化合物、および/またはその薬学的受容可能な塩、溶媒和物および水和物を投与することによって、該被験体のCCR9を介する白血球のホーミング(homing)を阻害する方法を提供する。好ましい実施形態では、上記の方法は、白血球の粘膜組織へのホーミングを阻害する。
【0034】
別の実施形態では、被験体に有効量の本発明の化合物、および/またはその薬学的受容可能な塩、溶媒和物および水和物を投与することによって、炎症疾患、例えばセリアック病または炎症性腸管疾患のような、CCR9レセプターが介する疾患を有する該被験体を処置する方法を提供する。
【0035】
本発明は、薬学的受容可能なキャリアおよび少なくとも1つの本発明の化合物を有する、薬学的な組成物を提供する。
【0036】
ケモカイン、およびそれに伴うレセプター(例えば、それぞれ、TECKおよびCCR9)は、白血球やリンパ球の多様な直系(lineage)の補充および活性化を増進させる、炎症誘発性媒介物質である。炎症部位でのケモカインの継続した放出は、慢性の炎症において、効果器細胞の前進中の移動を媒介する。CCR9および、それに関連するケモカインTECKは、炎症性腸管疾患のような慢性の炎症疾患に関与している。本発明の化合物のような、CCR9とそのリガンド(例えば、TECK)間の相互作用の小分子阻害剤は、レセプター−リガンド相互作用によって誘起される有害な炎症過程を阻害するのに有用であり、慢性の炎症疾患のような、CCR9によって媒介される疾患を処置するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、用語「脂肪族」は、直鎖、分枝または環状のC〜C12の炭化水素を意味し、ここでこの炭化水素は、完全に飽和し、または不飽和であるが芳香性のない1つ以上のユニットを含む。例えば、適切な脂肪族基には、置換または非置換の直鎖、分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル基および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルのような混成基が挙げられる。用語「アルキル」、「アルコキシ」および「アルキルチオ」には、1個〜12個の炭素原子を含む、直鎖および分枝鎖の両方が挙げられ、単独でまたは大きな部分の一部として使用される。用語「アルケニル」および「アルキニル」は、2個〜12個の炭素原子を含む、直鎖および分枝鎖の両方が挙げられ、単独でまたは大きな部分の一部として使用される。用語「シクロアルキル」には、完全に飽和し、または不飽和であるが芳香性のない1つ以上のユニットを含む環式C〜C12の炭化水素が挙げられ、単独でまたは大きな部分の一部として使用される。
【0038】
本明細書中で使用される場合、アリール基は、炭素環式芳香環系(例えば、フェニル)、縮合した多環式芳香環系(例えば、ナフチルおよびアントラセニル)および炭素環式非芳香環系に縮合した芳香環系(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)であり、6個〜約14個の炭素原子を有する。
【0039】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味し、場合として、1つ以上のハロゲン原子で置換され得る。用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0040】
用語「アリール」は、フェニル、ベンジル、フェネチル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシルおよび2−アントラシルのような5員〜14員の芳香環基を意味し、単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)」の場合と同様に、単独でまたは大きな部分の一部として使用される。用語「アリール」は、任意に置換された環も意味する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と取り替え可能に使用され得る。「アリール」には、芳香環が1つ以上の芳香環に縮合されている、縮合多環式芳香環系も挙げられる。例には、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシルおよび2−アントラシルが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「アリール」の範囲内に挙げられるのは、インダニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロナフチルのような、1つ以上の非芳香環に縮合した芳香環の群もある。ここで、ラジカルまたは結合部位は、芳香環上にある。
【0041】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄を意味し、窒素および硫黄の酸化形、塩基窒素の四級形を含む。用語「窒素」には、ヘテロ環式環の置換可能な窒素も挙げられる。実施例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、飽和または部分的に不飽和の環において、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)またはNR18(N−置換されたピロリジニルにおけるような)であり得る。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ環」には、1個以上の環炭素、好ましくは、1〜4個の環炭素が各々、N、OまたはSのようなヘテロ原子に置き換えられた、5〜14員、好ましくは5〜10員を有する非芳香環系が挙げられる。ヘテロ環の実施例には、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N置換されたジアゾロニル、1−フタリミジニル(1−pthalimidinyl)、ベンゾキサニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンズオキソラニル(benzoxolanyl)、ベンゾチオラニルおよびベンゾチオアニルが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ環」の範囲内に挙げられるのは、インドリニル、クロマニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロキノリニルのような、1つ以上の芳香環または非芳香環に縮合したヘテロ原子含有の非芳香環の基も含まれる。ここで、ラジカルまたは結合部位は、ヘテロ原子含有の非芳香環上にある。用語「ヘテロ環」は、飽和であろうと部分的に不飽和であろうと、任意に置換された環も意味する。
【0043】
用語「ヘテロアリール」は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」におけるような、大きな部分の一部として使用され、5〜14員を有するヘテロ芳香環の基を意味する。ヘテロアリール環の例には、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、3−チエニル、チアナフテニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、アクリジニルまたは、ベンゾイサゾリルが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」の範囲内に挙げられるのは、ヘテロ芳香環が、1つ以上の芳香環または非芳香環に縮合した基も含み、ここで、ラジカルまたは結合部位は、ヘテロ芳香環上にある。例には、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびピリド[3,4−d]ピリミジニルが挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、任意に置換された環も意味する。好ましいヘテロアリール基は、チエニル、ベンゾ(b)チエニル、ピロリル、インドリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フラニルおよびベンゾ(b)フラニルである。さらに好ましいヘテロアリール基は、ピリジルおよびチエニルである。
【0044】
本明細書中で使用される場合、アリールアルキル基は、1個〜12個の炭素原子を有するアルキル基によって化合物に結合したアリール置換基である。
【0045】
本明細書中で使用される場合、アルコキシ基は、酸素原子を介して化合物に結合したC〜C12アルキル基である。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびt−ブトキシが挙げられるが、これらだけに制限はされない。
【0046】
本明細書中で使用される場合、シクロアルコキシ基は、酸素原子を介して化合物に結合した環状のC〜C12炭化水素である。シクロアルコキシ基には、シクロプロポキシおよびシクロブトキシが挙げられるが、これらだけに制限はされない。
【0047】
本明細書中で使用される場合、ハロアルコキシは、酸素原子を介して化合物に結合したハロアルキル基である。好ましいハロアルコキシは、トリフルオロメトキシである。
【0048】
本明細書中で使用される場合、アリールオキシは、酸素原子を介して化合物に結合したアリール基である。好ましいアリール基は、フェノキシである。
【0049】
本明細書中で使用される場合、アリールアルコキシ基は、アリールアルキルのC〜C12アルキル位上に酸素原子を介して化合物に結合したアリールアルキル基である。好ましいアリールアルコキシ基は、フェニルメトキシである。
【0050】
本明細書中で使用される場合、アルキルチオ基は、硫黄原子を介して化合物に結合したC〜C12アルキル基である。
【0051】
本明細書中で使用される場合、脂肪族カルボニル基は、カルボニル基を介して化合物に結合した脂肪族基である。好ましい脂肪族カルボニルは、アセチルである。
【0052】
本明細書中で使用される場合、脂肪族エステル基は、エステル結合を介して化合物に結合した脂肪族基である(すなわち、−C(O)O−脂肪族)。
【0053】
電子求引基は、基の方向に双極子モーメントを生じる基である。適した電子求引基には、ハロ(好ましくはクロロ)、ハロアルキル(好ましくは、トリフルオロメチル)、ニトロ、シアノ、スルホンアミド、スルホンおよびスルホキシドが挙げられるが、これらに制限はされない。
【0054】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどが挙げられる)またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどが挙げられる)は、1つ以上の置換基を含有し得る。適した置換基の例には、脂肪族基、アリール基、ハロアルコキシ基、ヘテロアリール基、ハロ、ヒドルオキシ、OR14、COR14、COOR14、NHCOR14、OCOR14、ベンジル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルおよびトリクロロメチル)、シアノ、ニトロ、S(O)、S(O)、SO、SH、SR14、NH、NHR14、NR1415、NRS(O)−RおよびCOOHが挙げられ、ここで、R14およびR15は、各独立して、脂肪族基、シクロアルキル、アリール基またはアリールアルキル基である。アリールまたはヘテロアリール基についての別の置換基には、−R16、−OR16、−SR16、1,2−メチレン−ジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、保護されたOH(アシルオキシのような)、フェニル(Ph)、置換されたPh、−O(Ph)、置換された−O(Ph)、−CH(Ph)、置換された−CHCH(Ph)、置換された−CHCH(Ph)、−N(R16、−NR16CO16、−NR16NR16C(O)R16、−NR16NR16C(O)N(R16、−NR16NR16CO16、−C(O)C(O)R16、−C(O)CHC(O)R16、−CO16、−C(O)R16、−C(O)N(R16、−OC(O)N(R16、−S(O)16、−SON(R16、−S(O)R16、−NR16SON(R16、−NR16SO16、−C(=S)N(R16、−C(=NH)−N(R16、−(CHNHC(O)R16、−(CHNHC(O)CH(V−R16)(R16)が挙げられる;ここで、R16は、水素、置換され、または置換されていないヘテロアリールまたはヘテロ環式環、フェニル(Ph)、置換されたPh、−O(Ph)、置換された−O(Ph)、−CH(Ph)または、置換された−CH(Ph)である;yは、0〜6である;Vは、リンカー基である。アリールまたはヘテロアリール基上の好ましい置換基には、ハロ、ハロアルキル、スルホン、スルホキシド、ニトロ、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアルキルアミノ基が挙げられる。脂肪族基またはフェニル環上の置換基の実施例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドルオキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルが挙げられる。アリールまたはヘテロアリール基の置換基には、アリール基(炭素環式アリール基またはヘテロアリール基が挙げられる)、脂肪族基、シクロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヘテロアリール基、ヒドルオキシ、OR14、アルデヒド、COR14、COOR14、NHCOR14、OCOR14、ベンジル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルおよびトリクロロメチル)、ハロ、シアノ、ニトロ、SO、SH、SR14、NH、NHR14、NR1415、NRS(O)−RまたはCOOHが挙げられ、ここで、R14およびR15は、各独立して、脂肪族基、シクロアルキル、アリール基またはアリールアルキル基である。
【0055】
脂肪族基またはヘテロ環は、1つ以上の置換基を含み得る。ヘテロ環の脂肪族基の飽和炭素上の適した置換基の例には、アリールまたはヘテロアリール基について上記に載せたもの、および以下が挙げられる;=O、=S、=NNHR17、=NN(R17、=NNHC(O)R17、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NR17であり、ここで各R17は、水素、置換されていない脂肪族基または置換された脂肪族基である。脂肪族基上の置換基の例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、チオアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシ、カルボニル、アルキルカルボニル、ヒドルオキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルが挙げられる。
【0056】
非芳香族ヘテロ環の窒素上またはヘテロアリールの不飽和窒素上の適した置換基には、−R18、−N(R18、−C(O)R18、−CO18、−C(O)C(O)R18、−C(O)CHC(O)R18、−SO18、−SON(R18、−C(=S)N(R18、−C(=NH)−N(R18、および−NR18SO18が挙げられ;ここでR18は、水素、脂肪族基、置換された脂肪族基、フェニル(Ph)、置換されたPh、−O(Ph)、置換された−O(Ph)、−CH(Ph)または、置換されていないヘテロアリールまたはヘテロ環式環である。脂肪族基またはフェニル環上の置換基の例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドルオキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルが挙げられる。
【0057】
用語「リンカー基」または「リンカー」は、化合物の2つの部分を結合する有機部分を意味する。リンカーは、代表的には、原子(例えば、酸素または硫黄)、ユニット(例えば、−NH−、−CH−、−C(O)−または−C(O)NH−)、あるいは原子鎖(例えば、アルキレン鎖)から構成される。リンカーの分子量は、代表的に、14〜200の範囲内であり、好ましくは、約6原子までの長さを持つ、14〜96の範囲内である。リンカーの例には、置換され、または置換されていない、飽和C〜Cアルキレン鎖または不飽和C〜Cアルキレン鎖が挙げられる(ここで、鎖の1個または2個の飽和炭素は、必要に応じて、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−CONH−、−CONHNH−、−CO−、−OC(O)−、−NHCO−、−O−、−NHCONH−、−OC(O)NH−、−NHNH−、−NHCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−SONH−、または−NHSO−に、置き換えられる)。
【0058】
本発明のある化合物は、互変異性体で存在し得、全てのそのような化合物の互変異性体は、本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。他に示されない限り、ここで記載される構造はまた、全ての構造の立体化学的形態(つまり、各不斉中心についてRおよびSの立体配置)を含むことを意味する。それゆえ、本化合物の単一の立体化学異性体ならびに、エナンチオ混合体およびジアステレオ混合体は、本発明の範囲内である。他に示されない限り、ここで記載される構造はまた、1つ以上の同位体的に豊富な原子の存在のみが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素または三重水素による水素の置換あるいは、13C−または14C−の豊富な炭素による炭素の置換を除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0059】
本発明の化合物は、1μm未満のIC50sを有し;750nm未満であり;好ましくは、500nm未満であり;さらに好ましくは、250nm未満であり;なおさらに好ましくは、100nmであり;最も好ましくは、50nm未満であり;中でも最も好ましいのは、10nm未満(例えば、5nm未満)である。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「哺乳動物CCR9」は、天然に存在する、または内因性の哺乳動物CCR9タンパク質ならびに、天然に存在する、または内因性の哺乳動物CCR9タンパク質に相当するアミノ酸配列を有するタンパク質(例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質(つまり、有機化学の合成方法を使用して生成する))を意味する。従って、本明細書中で定義される場合、この用語には、哺乳動物CCR9の成熟したレセプタータンパク質、多形変異株または対立遺伝子変異体、および他の異性株(例えば、選択的スプライシングまたは他の細胞過程により生成される)、ならびに前記の修飾または非修飾形態(例えば、脂質化、グリコシ化、非グリコシ化)を含む。天然に存在する、または内因性の哺乳動物CCR9タンパク質(GenBank Accession Numbers NM 031200およびU45982およびYuら(2000)J.Immunol.164:1293−1305(天然に哺乳動物CCR9の種々の形態を記載する)参照)は、野生のタイプのタンパク質(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類)に天然に存在する、成熟したCCR9、多形変異株または対立遺伝子変異体、および他の異性株)を含む。そのようなタンパク質は、例えば、哺乳動物CCR9を天然に生成する源から回復または単離され得る。哺乳動物CCR9の多形変異株、対立遺伝子変異体、スプライシング変異株および他の天然に存在する異性株は、特に、器官、組織、または細胞に存在し、異なる特性(例えば、リガンドにたいして異なる親和性(例えば、TECK))および特殊化された生物学的機能(例えば、T細胞の発現、T細胞の補充)を有する。天然に存在する、または内因性の哺乳動物CCR9タンパク質ならびに、天然に存在する、または内因性の哺乳動物CCR9タンパク質に相当するアミノ酸配列を有するタンパク質は、相当する哺乳動物の名前で呼ばれる。例えば、相当する哺乳動物がヒトである、このタンパクは、ヒトCCR9タンパク質として示される(例えば、適した宿主細胞で生成された、組換え型のヒトCCR9)。
【0061】
本明細書で使用される場合は、「哺乳動物TECK」は、天然に存在する、または内因性の哺乳動物TECKタンパク質ならびに、天然に存在する、または内因性の哺乳動物TECKタンパク質に相当するアミノ酸配列を有するタンパク質(例えば、組換え型タンパク質、合成タンパク質(つまり、有機化学の合成方法を使用して生成する))を意味する。従って、本明細書で定義される場合は、この用語は、哺乳動物TECKの成熟したレセプタータンパク質、多形変異株または対立遺伝子変異体、および他の異性株(例えば、代りのスプライシングまたは他の細胞過程により生成される)、ならびに前記の修飾または非修飾形態(例えば、脂質化、グリコシ化、非グリコシ化)を含む。天然に存在する、または内因性の哺乳動物TECKタンパク質(GenBank Accession NumberU86358およびVicariら(1997)Immunity 7:291−301(天然に哺乳動物TECKを記載する)参照)は、野生のタイプのタンパク質(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類)に天然に存在する、成熟したTECK、多形変異株または対立遺伝子変異体、および他の異性株)を含む。そのようなタンパク質は、例えば、哺乳動物TECKを天然に生成する供給源から回収または単離され得る。
【0062】
「薬学的に、受容可能な」は、キャリア、希釈剤、賦形薬、および塩が、他の投与成分と適合し、その受容者に無害でなければならないことを意味する。本発明の薬学的な処方は、周知で、簡単に入手可能な成分を使用して、当該分野に公知の手順により調製される。
【0063】
「阻害する」は、受容者が、本明細書中に記載される幾つかの病理学的状態を負い、あるいは発現する見込みを減らす(例えば、これらの症状の開始を阻害する)ことを意味する。
【0064】
用語「処置する」は、本明細書中に記載される重篤な病理学的状態を除去または減らすことならびに/あるいは本明細書中に記載される病理学的状態の症状を除去、軽減および/または減らすことを意味する。
【0065】
本発明の化合物は、炎症疾患を有する被験体を処置するために使用され得る。1つの実施形態では、この方法は、被験体のCCR9機能を阻害する方法である。特定の実施形態では、この方法は、粘膜組織に関した炎症疾患(例えば、クローン病、大腸炎、セリアック病)を有する被験体を処置する方法である。別の実施形態では、この方法は、被験体におけるCCR9の介する白血球のホーミングを阻害する方法である。Papadakisら、Gastroenterology(2001)、121:246−254(CCR9レセプターと上記の疾患または状態との関連性における議論について)参照。
【0066】
1つの実施形態では、本発明の化合物を、構造式IX〜XXIVの任意1つに表す。
【0067】
【化32−1】

【0068】
【化32−2】

【0069】
【化32−3】

【0070】
構造式IX〜XXVにおいて、ArおよびYは、構造式Iで定義される通りである;ならびに環Aおよび環Bは、置換され、または置換されない。
【0071】
本発明の別の実施形態では、本発明の方法で使用される化合物および本発明の薬学的組成物中の化合物を、構造式XXVIおよびXXVIIに表わす。
【0072】
【化33】

【0073】
構造式XXVIおよびXXVIIにおいて、Rは、構造式Vで定義される通りであり、R13およびpは、構造式VIIで定義される通りである。
【0074】
本発明の最初に好ましい実施形態において、構造式Iまたは構造式IX〜XXIVのYは、C=Oである。
【0075】
第2の好ましい実施形態において、構造式IIまたはIIIの環Cあるいは、構造式
I、IV、VのArまたは構造式IX〜XXVの任意1つのArは、置換されないか、または、脂肪族基(ハロアルキルのような置換された脂肪族基を含む)、アリール、アリールアルキル、アルコキシ(シクロアルコキシおよびハロアルコキシのような置換されたアルコキシ基を含む)、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ニトロ、シアノ、S(O)−(脂肪族)、S(O)−(脂肪族)、NR11S(O)−(脂肪族)、C(O)N(R11、C(O)R12、N(R11、NR11C(O)12およびNR11C(O)R12から選択される、1つ以上の置換基で置換される。ここで、各存在についてR11は、独立して、Hまたは脂肪族基であり、R12は、脂肪族基である。環CまたはRのさらに好ましい置換基は、脂肪族基、アルコキシおよびハロアルコキシから選択される。
【0076】
第3の好ましい実施形態において、構造式IまたはIVの環Aあるいは、構造式IIまたはIIIの環Aおよび環Bの1つまたは両方、または構造式IX〜XXVの任意1つの環Aおよび環Bの1つまたは両方は、独立して、ハロ、脂肪族基、アルコキシおよびハロアルキルから選択される置換基で置換される。
【0077】
第4の好ましい実施形態において、構造式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIの環Aまたは構造式IX〜XXVの任意1つの環Aは、スルホンアミドに対してパラ位である電子求引性置換基で置換される。
【0078】
本発明の第5の好ましい実施形態において、構造式VのXは、CR21であり、ここで、R21は、電子求引性基である。より好ましくは、R21は、ハロ、ニトロ、脂肪族カルボニルまたはトリハロメチルである。最も好ましくは、R21は、Cl、Brまたはニトロである。
【0079】
本発明の第6の好ましい実施形態において、構造式I、IV、V、VIIのArまたは構造式IX〜XXVの任意1つのArは、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、置換または非置換のチエニル、あるいは置換または非置換のチアナフテニルである。さらに好ましくは、Arは、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換のチエニルである。
【0080】
本発明の第7の好ましい実施形態において、構造式VIの各存在するRは、独立して、脂肪族基、アルコキシ、またはハロアルコキシである。
【0081】
本発明の第8の好ましい実施形態において、構造式I、VI、VII、VIII、XXVおよびXXVIのRは、ハロ、ニトロ、アルキルカルボニルまたはトリハロアルキルである。さらに好ましくは、Rは、Cl、BrまたはNOである。
【0082】
本発明の第9の好ましい実施形態において、構造式IおよびVIIIのYおよびArまたは構造式IX〜XXVの任意1つのYおよびArは、各第1および第6の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0083】
本発明の第10の好ましい実施形態において、構造式VのArは、第6の好ましい実施形態に定義される通りであり、Xは、第5の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0084】
第11の好ましい実施形態において、構造式VまたはVIのXは、窒素オキシド(N−O)である。
【0085】
第12の好ましい実施形態において、nは、構造式VIの1つであり、Rは、スルホンアミド置換基に対してパラ位である。さらに好ましくは、Rは、第7の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0086】
第13の好ましい実施形態において、mは、構造式VIの1つであり、R10は、カルボニル置換基に対してメタ位である。
【0087】
第14の好ましい実施形態において、構造式I、IVまたはVIIIのRは、水素である。
【0088】
本発明の方法で使用される化合物および本発明の薬学的組成物の化合物の特定の例には、表1に示した化合物が挙げられるが、これらに制限はしない。表1に示した化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物はまた、本発明の方法および本発明の薬学的組成物に有用である。
【0089】
表1:本発明の特定の化合物
【0090】
【化34−1】

【0091】
【化34−2】

【0092】
【化34−3】

【0093】
【化34−4】

【0094】
【化34−5】

【0095】
【化34−6】

【0096】

【0097】
表1の実施例7〜27、31〜36、および116〜119の構造式は、実施例の節で示される。表1の実施例45〜143(実施例116〜119はまた、以下に含まれる)は、以下の構造式を有する。
【0098】
【化35−1】

【0099】
【化35−2】

【0100】
【化35−3】

【0101】
【化35−4】

【0102】
【化35−5】

【0103】
【化35−6】

【0104】
【化35−7】

【0105】
【化35−8】

【0106】
【化35−9】

【0107】
【化35−10】

【0108】
【化35−11】

【0109】
【化35−12】

【0110】
【化35−13】

【0111】
【化35−14】

【0112】
以下の化合物は、本発明の方法の使用に対して、好ましい化合物である:
N−(2−ベンゾイル−4−クロロフェニル)−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−ニトロフェニル)−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−ブロモフェニル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−クロロフェニル)−4−エトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−クロロフェニル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−ベンゾイル−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジル−4−カルボニル)−フェニル]−4−エトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジル−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジル−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソブチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−ベンゾイル−5−ニトロ−ピリジン−2−イル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジル−5−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−ニトロフェニル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−ニトロフェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−フェニルスルファニル−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゼンスルホニル−4−クロロ−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジル−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−[4−クロロ−2−(1−オキシ−ピリジル−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
4−エトキシ−N−[2−(ピリジル−4−カルボニル)−4−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド;
N−[5−クロロ−3−(3−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−2−イル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−ベンゾイル−4−トリフルオロメチル−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−ベンゾイル−ピリジン−4−イル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−ベンゾイル−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド;
5−オキサゾル−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸(3−ベンゾイル−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−アミド;
6−イソプロポキシ−ピリジン−3−スルホン酸(3−ベンゾイル−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−アミド;
6−イソプロポキシ−ピリジン−3−スルホン酸(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−アミド;
N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルスルファニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド;およびその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物または水和物。
【0113】
(炎症モデル)
本発明の化合物の効能を評価するために使用され得る、炎症のインビボでのモデルは、入手可能である。例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモットまたは霊長類(例えば、マカク属アカゲザル)のような適した動物への、ケモカインおよび本発明の化合物の皮内注入時における、白血球の湿潤を、モニターで記録し得る(例えば、Van Damme,Jら、J.Exp.Med.,176:59−65(1992);Zachariae,C.O.C.ら、J.Exp.Med.,171:2177−2182(1990);Jose,P.J.ら、J.Exp.Med.,179:881−887(1994)参照)。1つの実施形態において、白血球の湿潤について、皮膚生検を、組織学的に評価する(例えば、CCR9T細胞)。別の実施形態において、化学走性能および血管外遊出能のある、標識細胞(例えば、111Inで標識した哺乳動物CCR9に存在する安定に移入化された細胞)を、動物に投与する。例えば、CCR9リガンドまたはアゴニスト(例えば、TECK)を、試験動物に投与する前、投与すると同時、あるいは投与した後のいずれかで、哺乳動物CCR9に結合すると評価される本発明の化合物を、試験動物に投与し得る。本発明の化合物の非存在下での湿潤の程度と比較した、この化合物の存在下での湿潤の程度の減少は、阻害の指標となる。
【0114】
本明細書中で記載される場合、CCR9を、粘膜部位にホーミングする記憶リンパ球(例えば、CLV−veα4β7hiCD4リンパ球)に選択的に発現する。このように、粘膜の炎症疾患の動物モデル(例えば、気道、尿道、消化管ならびに関連する器官および組織(例えば、膵臓、肺、胆嚢))が、CCR9阻害化合物の治療的効果を評価するのに使用され得る。例えば、本発明の化合物の治療的効果を、腸炎疾患のコットン−トップ タマリンモデル(cotton−top tamarin)で、研究し得る(Podolsky、D.K.ら、J.Clin.Invest.92:372−380(1993))。CD45RBHi/SCIDモデルは、クローン病および潰瘍性大腸炎の両方に類似したマウスモデルを提供する(Powrie、F.ら、Immunity、1:553−562(1994))。例えば、このモデルの治療的効果は、パラメータを使用して評価し得る(例えば、化合物の投与(例えば、静脈内投与(i.v.)、腹腔内投与(i.p.)、および経口投与(p.o.)後、粘膜固有層中での111Inで標識した細胞の結腸への補充阻害およびCD4Tリンパ球数の減少)。
(治療方法)
本発明による、哺乳動物CCR9タンパク質の少なくとも1つの典型的な機能の阻害は、レセプター仲介の機能を阻害する有効で選択的な方法を提供する。いったんリンパ球が、ある部位に補充されると、別の白血球のタイプ(例えば、単球)が、2番目のシグナルにより補充され得る。このようにCCR9機能を阻害し得る化合物(例えば、本発明の化合物)は、白血球の機能(例えば、補充および/または蓄積を含む、白血球の湿潤)を阻害するために使用され得る。
【0115】
1つの側面では、本発明は、炎症治療の必要な被験体に、哺乳動物CCR9機能を阻害する本発明の化合物の有効量を投与することを含む、被験体の炎症反応を阻害する方法を提供する。1つの実施形態では、哺乳動物CCR9タンパク質(例えば、ヒトCCR9)の1つ以上の機能を阻害する化合物の有効量を、炎症を阻害する(つまり、減少させる、または妨げる)ために被験体に投与する。本発明の好ましい化合物は、リガンド(TECK)とCCR9との結合を阻害する(つまり、減少させる、または妨げる)ことによって、被験体の炎症反応を阻害する。結果として、1つ以上の炎症過程(例えば、白血球の遊出、化学走性、エキソサイトーシス(例えば、酵素による)、炎症メディエイタ放出)を阻害する。例えば、炎症部位の白血球の湿潤(例えば、炎症した粘膜(例えば、結腸、小腸)において)が、本発明の方法により阻害され得る。別の実施形態では、哺乳動物CCR9タンパク質(例えば、ヒトCCR9)の1つ以上の機能を阻害する本発明の化合物の有効量が、白血球のCCR9仲介によるホーミングを阻害する(つまり、減少させる、または妨げる)ために、被験体に投与される。特定の実施形態では、ヒトCCR9に結合する化合物の有効量および/またはヒトTECKに結合する化合物の有効量を、それらの必要な被験体に投与する。
【0116】
従って、本発明は、炎症性疾患を有する被験体を処置する方法に関し、この方法は、CCR9機能に拮抗する本発明の有効量の化合物を投与する工程を包含する。特定の実施形態において、被験体は、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または大腸炎)を有する。処置は、治療的処置または予防的処置を含む。処置は、本方法に従って、全体または一部、疾患を予防するかまたは疾患の重篤度を減少し得る。
【0117】
本発明はまた、被験体の白血球のCCR9媒介ホーミングを阻害する方法に関し、この方法は、CCR機能に拮抗する(例えば、粘膜部位への白血球のホーミングが阻害され得る)本発明の有効量の化合物を投与する工程を包含する。器官または組織(例えば、腸)への循環する白血球の移入および/または器官または組織(例えば、IEL、LPL)内にリンパ球の局所的補充は、本発明に従って阻害され得る。
【0118】
用語「被験体」は、動物、例えば、哺乳動物(霊長類(例えば、ヒト)、乳牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ(horse)、イヌ(dog)、ネコ(cat)、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他のウシ、ヒツジ、ウマ(equiene)、イヌ(canine)、ネコ(feline)、齧歯類またはマウスの種が挙げられ得るがこれらに限定されない)を含むように、本明細書中で規定される。「CCR9機能を阻害するための処置が必要な被験体」は、有利な処置または予防効果が、CCR9機能を阻害することによって、達成され得る被験体である。例としては、本明細書中に記載される疾患または状態の1つを有する被験体が挙げられる。
【0119】
炎症および/または感染に関連する疾患および状態は、本明細書中に記載される方法を使用して処置され得る。好ましい実施形態において、疾患または状態は、リンパ球(特に、粘膜組織へ戻るリンパ球)の作用が治療的(予防を含む)目的のために阻害または促進されるべきものである。特に好ましい実施形態において、炎症性疾患または状態は、T細胞媒介疾患または状態である。
【0120】
本発明の方法に従って処置され得る粘膜組織と関連する炎症性疾患の例としては、乳腺炎(乳腺)、膣炎、胆嚢炎、胆管炎、または胆管周囲炎(胆管および肝臓の周りの組織)、慢性気管支炎、慢性静脈洞炎、喘息、および対宿主移植片病(例えば、胃腸管)が挙げられる。クローン病において見られるように、炎症は、しばしば、粘膜表面を超えて延び、従って、間質性線維症(例えば、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、または慢性関節リウマチと関連するILD、または他の自己免疫状態))、過敏性肺炎、コラーゲン疾患、サルコイドーシス、および他の特発性状態を生じる肺の慢性炎症性疾患は処置に適用され得る。膵臓炎およびインシュリン依存性糖尿病は、本方法を使用して処置され得る他の疾患である。
【0121】
特に好ましい実施形態において、従って処置される疾患としては、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、回腸炎、セリアック病、非熱帯性スプルー、腸炎、血清陰性関節炎に関連する腸症、顕微鏡またはコラーゲン蓄積大腸炎、エオシン好性胃腸炎、または肛門結腸切除、および回腸肛門吻合後に生じる回腸嚢炎が挙げられる。
【0122】
CCR9機能を阻害する本発明の化合物で処置され得るヒトまたは他の種のさらなる疾患または状態(慢性疾患を含む)としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
炎症性またはアレルギー性疾患および状態(全身性過敏症または過敏性応答、薬物アレルギー(例えば、ペニシリン、セファロスポリンに対する)、虫さされアレルギー;乾癬および炎症性皮膚病、例えば、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー接触皮膚炎、蕁麻疹;脈管炎(例えば、壊死、皮膚、および過敏性脈管炎);脊椎関節症;強皮症;呼吸性アレルギー疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎)を含む);
自己免疫疾患(例えば、関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎)、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎および他の腎炎、自己免疫甲状腺炎、ベーチェット病);
移植片拒絶(例えば、移植において)(同種移植片拒絶または対宿主移植片病を含む);
望ましくない炎症性応答が阻害されるべき他の疾患または状態は、処置され得る(アテローム性動脈硬化症、再狭窄、筋炎(多発性筋炎、皮膚筋炎を含む)が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0123】
(投与の様式)
化合物は、中性化合物または塩として投与され得る。アミンまたは他の塩基性基を含む化合物の塩は、例えば、化合物を適切な有機または無機酸(例えば、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸など)と接触させることによって得られ得る。第4級アンモニウム基を有する化合物はまた、クロライド、ブロマイド、ヨージド、アセテート、パーコレートなどのような対アニオンを含む。このような塩の他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩[例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩またはその混合物(ラセミ混合物を含む)]、コハク酸塩、安息香酸塩およびグルタミン酸のようなアミノ酸との塩が挙げられる。
【0124】
カルボン酸または他の酸性官能基を含む化合物の塩は、適切な塩基と反応させることによって調製され得る。このような薬学的に受容可能なは、薬学的に受容可能なカチオンを与える塩基を用いて作製され得、これには、アルカリ金属塩(特に、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属塩(特に、カルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩およびアンモニウム塩、ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニン、キノリン、および塩基性アミノ酸(例えば、リジンおよびアルギニン)のような生理学的に受容可能な有機塩基から作製される塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。
【0125】
酸性官能基の塩は、ナトリウム、カリウムなどのような対カチオンを含む。
【0126】
本明細書中に記載される特定の化合物およびそれらの塩はまた、溶媒和物(例えば、水和物)の形態で存在し得、本発明は、各溶媒和物およびそれらの混合物を含む。
【0127】
本明細書中に記載される特定の化合物は、分離され得る異なる安定なコンフォメーション形態で存在し得る。不斉単結合の周りの制限された回転に起因したねじれ不斉(例えば、立体障害または環の歪みによる)は、異なるコンフォマーの分離を可能にし得る。本発明は、これらの化合物の各コンフォメーション異性体およびその混合物を含む。
【0128】
本明細書中に記載される特定の化合物は、双性イオン形態で存在し得る。本発明は、これらの化合物の各双性イオン形態およびそれらの混合物を含む。
【0129】
本明細書中に記載される特定の化合物およびそれらの塩は、1つより多くの結晶形で存在し得る。これらの化合物の多形は、本発明の一部を形成し、そして例えば、再結晶化のために異なる溶媒または異なる溶媒混合物を使用することによって、異なる温度での結晶化によって、または冷却の種々の様式(結晶化の間の非常に速い〜非常に遅い冷却にわたる)異なる条件下でその化合物の結晶化によって調製され得る。多型はまた、化合物を加熱または融解させ、続いて、徐々にまたは迅速に冷却することによって得られ得る。多型の存在は、固体プローブnmr分光法、ir分光法、示差走査熱量測定、粉末X線回折またはそのような他の技術によって決定され得る。
【0130】
用語「有効量」または「薬学的に有効な量」は、疾患または状態を改善し、そのさらなる進行を妨げるかまたは疾患または状態と関連する症状を改善するのに十分な量を含むことが意図される。このような量は、疾患または状態の発生に対して感受性であると考えられる患者に予防的に投与され得る。患者に予防的に投与される場合、このような量はまた、医学的状態を予防するかまたはその重篤度を下げるのに有効であり得る。このような量は、CCR9レセプター媒介疾患または状態を調節するのに十分である量を含むことが意図される。CCR9レセプターによって媒介される状態としては、本明細書中に記載される全ての疾患または状態が挙げられる。被験体に投与される量がもちろん、全ての関連する状況を考慮して、医師によって決定されるものの、「有効量」は、代表的に、約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日、好ましくは、約0.5mg/kg/日〜約50mg/kg/日の範囲である。
【0131】
本明細書中に記載される化合物、およびその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物は、価値のある薬理学的特性を有し、そして薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて、化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的調製物で使用され得る。これらは、ヒトまたは非ヒト動物において、炎症性疾患のようなCCR9レセプターによって媒介される疾患を予防または処置する際に治療物質として有用である。適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、不活性固体充填材または希釈剤および滅菌水溶液または有機溶液が挙げられる。活性化合物は、本明細書中に記載される範囲内で所望の投薬量を提供するのに十分な量でこのような薬学的組成物で存在する。本発明の化合物の処方および投与のための技術は、Remington:the Science and
Practice of Pharmacy,第19版、Mack Publishing Co.,Easton,PA(1995)に見出され得る。
【0132】
経口投与のために、化合物またはその塩は、適切な固体または液体のキャリアまたは希釈剤と組み合わされて、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などを形成し得る。
【0133】
錠剤、丸剤、カプセルなどはまた、ガムトラガカント、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二ナトリウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;およびスクロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤を含み得る。投薬単位形態がカプセルである場合、上記型の材料に加えて、脂肪油のような液体キャリアを含み得る。
【0134】
種々の他の材料は、コーティングとして、または投薬形態の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤は、セラック、糖または両方でコーティングされ得る。シロップまたはエリキシルは、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素ならびにサクランボまたはオレンジの香味のような香味剤を含み得る。
【0135】
活性化合物はまた、例えば、液滴またはスプレーとして経鼻的に投与され得る。経口または経鼻吸入のために、本発明に従う使用のための化合物は、乾燥粉末吸入器の形態で、または加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレーの提示で、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用して、簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合において、投薬単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。吸入器または吹き込み器における使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基材(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含んで処方され得る。
【0136】
非経口投与のために、本発明の化合物、またはその塩は、滅菌水性媒体または有機媒体と組み合わされて、注射可能溶液または懸濁液を形成し得る。例えば、ゴマ油またはピーナッツ油、水性プロピレングリコールなどの溶液、ならびに化合物の薬学的に受容可能な水溶性塩の水溶液が使用され得る。分散物はまた、オイル中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を妨げるための保存剤を含む。
【0137】
注入可能使用のために適切な薬学的形態としては、滅菌水溶液または分散剤および滅菌注射可能溶液または分散物の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は、滅菌でなければならず、各注射可能性が存在する程度に流体でなければならない。製造および保存の条件下で安定でなければならず、任意の混入に対して、保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリセロールおよび液体ポリエチレングリコール)、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、これらの適切な混合物、ならびに植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。次いで、この様式で調製される注射可能溶液は、静脈的に、腹腔内的に、皮下的に、または筋肉内的に投与され得、筋肉内投与がヒトにおいて好ましい。
【0138】
化合物はまた、坐剤または保持浣腸(例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような従来の坐剤基材を含む)のような直腸組成物で処方され得る。
【0139】
さらに、先に記載された処方物に対して、化合物はまた、デポ製剤として処方され得る。このような長期作用処方物は、例えば、皮下的または筋肉内的、または筋肉内注射によって移植によって投与され得る。従って、例えば、受容可能なオイル中のエマルジョン、またはイオン交換樹脂、またはわずかに可溶性誘導体(例えば、わずかに可溶性の塩)として。
【0140】
使用される活性成分の有効用量は、使用される特定の化合物、投与の様式、処置される状態および処置される状態の重篤度に依存して変化し得る。
【0141】
組成物は、本明細書中に詳細されるように、同じ一般的な様式で処方および投与される。本発明の化合物は、所望の標的治療に依存して、単独でまたは1つ以上の活性成分と組み合わせて有効に使用され得る。併用療法としては、本明細書中に記載される化合物および1つ以上のさらなる活性薬剤を含む単一薬学的投薬処方物の投与、ならびにそれ自身の別々の薬学的投薬処方物中の化合物および各活性薬剤の投与が挙げられる。例えば、本明細書中に記載される化合物またはその塩は、錠剤またはカプセル剤のような単一経口投薬組成物で一緒に患者に投与され得るか、または各薬剤は、別々の経口投薬処方物で投与され得る。別の投薬処方物が、使用される場合、本発明の化合物および1つ以上のさらなる活性薬剤は、本質的に同じ時間(すなわち、同時)、または別々のずらした時間(すなわち、連続的)に投与され得、;併用療法は、これらのレジメンの全てを含むことが理解される。
【0142】
本明細書中に記載される化合物の有効量は、炎症性疾患のようなCCR9レセプターによって媒介される疾患を処置するために、および哺乳動物(特に、ヒト)において、炎症性疾患のようなCCR9レセプターによって媒介される疾患を処置、予防または発症する危険を減少させるために、有用な医薬の調製のために使用され得る。
【0143】
好ましくは、本発明の化合物またはこれらの化合物を含む薬学的処方物は、哺乳動物に対する投与のための単位投薬形態である。単位投薬形態は、当該分野で公知の任意の単位投薬形態(例えば、カプセル、IVバック、錠剤、またはバイアルを含む)であり得る。組成物の単位投薬量中の活性成分(すなわち、構造式Iの化合物またはその塩)の量は、有効量であり、関係する特定の処置に従って変化し得る。患者の年齢および状態に依存して、投薬量に対して慣用的な変化を行うことが必要であり得ることが理解され得る。投薬量はまた、経口、エアロゾル、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内および経鼻を含む種々の経路により得る投与経路に依存する。
【0144】
本発明の薬学的処方物は、本発明の化合物の有効量を薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と一緒に組み合わせる(例えば、混合する)ことによって調製され得る。本発明の薬学的処方物は、周知の容易に入手可能な成分を使用して公知の手順によって調製される。
【0145】
本発明の組成物を作製する際に、活性成分は、通常、キャリアと混合されるか、またはキャリアによって希釈されるか、またはカプセル、サシェ、紙または他の容器の形態であり得るキャリア内に包まれる。キャリアが希釈剤として役立つ場合、固体、凍結乾燥固体またはペースト、半固体、または液体材料(ビヒクルとして役立つ)であり得るか、あるいは錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体で)、または軟膏の形態で、例えば、10重量%までの活性化合物であり得る。本発明の化合物は、好ましくは、投与の前に処方される。
【0146】
薬学的処方物のために、当該分野で公知の任意の適切なキャリアが使用され得る。このような処方物において、キャリアは、固体、液体、または固体および液体の混合物であり得る。
【0147】
有利には、本発明の化合物またはその塩を含む組成物は、単位投薬形態で提供され得、各投薬単位は、約5%〜約95%、好ましくは、約20%〜約80%の本発明の化合物を含むが、もちろん、実際に投与される化合物の量は、全ての関連する環境を考慮して、医師によって決定されることが理解される。
【0148】
散剤および錠剤は、好ましくは、本発明の新規化合物である約1〜約99重量%の活性成分を含む。適切な固体キャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、およびココアバターである。
【0149】
以下の薬学的処方物1〜8は、単なる例示であり、本発明の範囲をいかなるようにも制限することを意図しない。「活性成分」とは、構造式Iまたはその塩に従う化合物をいう。
【0150】
処方物1
硬質ゼラチンカプセルは、以下の成分を使用して調製される:

(mg/カプセル)
活性成分 250
デンプン、乾燥 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合計 460mg。
【0151】
処方物2
錠剤は、以下の成分を使用して調製される:
量(mg/カプセル)
活性成分 250
セルロース、微結晶 400
二酸化ケイ素 10
ステアリン酸 5
合計 665mg。
【0152】
成分は、各々が665mgの量を形成するようにブレンドおよび圧縮される。
【0153】
処方物3
エアロゾル溶液は、以下の成分を含むように調製する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
推進剤22(クロロジフルオロメタン) 74.00
合計 100.00。
【0154】
活性成分をエタノールと混合し、この混合物を推進剤22の一部に添加し、30℃に冷却し、そして充填デバイスに移す。次いで、必要とされる量は、ステンレス鋼容器に供給され、そして推進剤の残りで希釈される。次いで、弁ユニットが容器に取り付けられる。
【0155】
処方物4
錠剤(各々が、60mgの活性成分を含む)を、以下のように作製する:
活性成分 60mg
デンプン 45mg
微結晶セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(水中10%溶液として) 4mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1mg
合計 150mg
活性成分、デンプンおよびセルロースを、No.45メッシュU.S.シーブを通し、そして徹底的に混合する。ポリビニルピロリドンを含む水溶液を、得られた粉末と混合し、次いで、この混合物を、No.14メッシュU.S.シーブを通す。このように作製された顆粒を50℃で乾燥し、そしてNo.18メッシュU.S.シーブを通す。次いで、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびタルク(先に、No.60メッシュU.S.シーブを通した)を顆粒に添加し、これを、混合後、錠剤機に圧縮して、各々が150mgの量の錠剤を得る。
【0156】
処方物5
カプセル(各々が、80mgの活性成分を含む)を、以下のように作製する:
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微結晶セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合計 200mg。
【0157】
活性成分、セルロース、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.45メッシュU.S.シーブを通し、そして200mg量で硬質ゼラチンカプセル内に充填する。
【0158】
処方物6
坐剤(各々が、225mgの活性成分を含む)を、以下のように作製する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mg
合計 2,225mg。
【0159】
活性成分を、No.60メッシュU.S.シーブを通し、そして必要な最小熱を使用して、先に融解された飽和脂肪酸グリセリド中に懸濁させる。次いで、この混合物を、名目2g容量の坐剤鋳型中に注ぎ、冷却させる。
【0160】
処方物7
懸濁液(各々が、5mL用量当たり50mgの活性成分を含む)を、以下のように作製する:
活性成分 50mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg
シロップ 1.25mL
安息香酸溶液 0.10mL
香味料 任意の量
着色料 任意の量
合計までの精製水 5mL
活性成分を、No.45メッシュU.S.シーブを通し、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびシロップと混合し、滑らかなペーストを形成する。安息香酸溶液、香味料および着色料を、一部の水で希釈し、そして攪拌しながら加える。次いで、十分な水を加えて、必要とされる容量を生成する。
【0161】
処方物8
静脈内処方物を、以下のように、調製し得る:
活性成分 100mg
等張性生理食塩水 1,000mL
上記材料の溶液を、一般的に、1分当たり1mLの速度で、被験体に、静脈内的に投与する。
【実施例】
【0162】
(I.一般的合成)
【0163】
【化36】

【0164】
スキームI:ジアリールメタノンの一般的合成。
【0165】
本発明のスルホンアミドは、保護された芳香族アミン(XXVI)または保護されたヘテロ芳香族アミン(XXVI)(例えば、アミノベンゼン、アミノピリジン、アミノピリミジン、アミノピリダジン、アミノピラジン、アミノトリアジン、またはアミノテトラジン)をアルキルリチウムで処理することによって合成され得る。代表的には、芳香族アミンまたはヘテロ芳香族アミンのアミノ基は、塩基性条件下で安定な保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(BOC)基)で保護される。芳香族アミンまたはヘテロ芳香族アミンは、非プロトン性溶媒(好ましくは、エーテル)中に溶解される。この溶液は、次いで、約−50℃〜約−100℃に冷却され、約1当量〜約2.5当量のアルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム)を、反応混合物にゆっくり添加する。反応混合物の温度を、約−25℃〜約25℃に増加させる。約5分〜約45分後、非プロトン性溶媒中に溶解させた約1当量〜約1.5当量のWeinrebアミド(XXVII)(例えば、N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミドまたはN−メトキシ−N−メチル−イソニコチンアミド)を、反応混合物に添加する。反応を、保護された芳香族アミン(XXVI)または保護されたヘテロ芳香族アミン(XXVI)が消費されるまで(代表的には、約15℃〜約35℃で約0.5時間〜約3時間)、攪拌を続け得る。反応を薄層クロマトグラフィー(tlc)によってモニターし、芳香族アミン(XXVI)またはヘテロ芳香族アミン(XXVI)が消費されたときを決定する。反応が完了する場合、酸性水溶液でクエンチして、化合物XXVIIIを生じる。
【0166】
化合物XXVIIIのアミノ基が保護されて、化合物XXIXを生じた後、化合物XXIXを、2つの代替の方法のうちの1つを使用することによってスルホンアミドに変換する。方法1において、化合物XXIXを、非プロトン性溶媒中で溶解させ、そして溶液を約−25℃〜約10℃に冷却し、そして約1当量〜約1.5当量のNaHを混合物に添加する。約1分〜約15分後、非プロトン性溶媒中に溶解した約1当量〜約1.5当量の塩化スルホニル(XXX)を、反応混合物に添加する。約0.5当量までのさらなる量のNaHを、反応混合物に添加し得る。反応物を、反応がtlcによって示されるように完了するまで(代表的には、約1時間〜約3時間)、約15℃〜約30℃で攪拌する。反応物を、水を追加することによってクエンチして、スルホンアミド(XXXI)を生じる。
【0167】
スルホンアミド(XXXI)を形成する第2の方法において、化合物XXIXを、非プロトン性溶媒中に溶解し、そして混合物を、約−10℃〜約10℃に冷却する。非プロトン性溶媒中の過剰量のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(代表的には、約1.5当量〜約3当量)を、この溶液に添加し、そして反応を約10分〜約45分間攪拌させる。約1当量〜約2当量の塩化スルホニル(XXX)の非プロトン性溶媒中の溶液を、反応混合物に添加し、そして反応物を約15℃〜約30℃に温め、そして約6時間〜約24時間攪拌する。反応を、酸性水溶液でクエンチし、スルホンアミド(XXXI)を得る。
【0168】
(II.N−(2−ベンゾイル−フェニル)−アリールスルホンアミドおよびN−(2−ベンゾイル−フェニル)−ヘテロアリールスルホンアミドの一般的合成)
【0169】
【化37】

【0170】
スキームII:N−(2−ベンゾイル−フェニル)−アリールスルホンアミドおよびN−(2−ベンゾイル−フェニル)−ヘテロアリールスルホンアミドの合成。
【0171】
(手順A(Weinrebアミドの合成))
置換されたアントラニル酸(24mmol)を、アセトニトリル(200mL)中に溶解させた。1.05当量のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、1.05当量のEDC、0.05当量のジメチルアミノピリジン、および1.0当量のトリエチルアミンを添加し、そして反応物を、室温で一晩攪拌した。アセトニトリルを、ロータリーエバポレーションによって除去し、そして残留物を酢酸エチルと水との間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、残留物に濃縮した。残留物をシリカゲル(溶出液として酢酸エチル)でクロマトグラフィーにかけて、生成物を得た。代表的な収率は、70〜90%である。
【0172】
以下の化合物を、手順Aを使用して調製した:
(実施例1:2−アミノ−5−ブロモ−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、259(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ7.5(s,1H)δ7.23(d,1H)δ6.58(d,1H)δ4.68(br s,2H)δ3.55(s,3H)δ3.41(s,3H)。
【0173】
(実施例2:2−アミノ−N−メトキシ−N−メチル−5−ニトロ−ベンズアミド)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、226(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ8.5(s,1H),δ8.1(d,1H)δ6.7(d,1H)δ3.6(s,3H)δ3.4(s,3H)。
【0174】
(実施例3:2−アミノ−5−クロロ−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、215(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ7.4(s,1H)δ7.15(m,1H)δ6.65(d,1H)δ3.6(s,3H)δ3.28(s,3H)。
【0175】
(手順B(置換2−アミノベンゾフェノンの一般的合成)):
置換Weinrebアミド(10mmol)および置換ブロモベンゼン(10mmol)を窒素下でTHF中に溶解させた。反応混合物を、液体窒素/ジエチルエーテル浴を使用して、−100℃に冷却した。n−BuLi(21mmol、シクロヘキサン中1.6M)を、20分にわたってシリンジを介して導入した。反応混合物を、−70℃に
温め、次いで、21mLの1N HClを添加することによってクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウムとの間で分配した。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、次いで、残留物に濃縮した。残留物を1:1酢酸エチル:ヘキサンを使用するシリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、生成物を得た。代表的な収量は、30〜60%である。
【0176】
以下の化合物を、手順Bを使用して調製した:
(実施例4:(2−アミノ−5−ブロモ−フェニル)−フェニル−メタノン)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、276(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ7.2−7.8(m,6H)δ6.85(d,2H)δ6.2(br s,2H)。
【0177】
(実施例5:(2−アミノ−5−ニトロ−フェニル)−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、311(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ7.6−8.4(m,5H)δ6.75(d,2H)δ7.0(br s,2H)。
【0178】
(実施例6:(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−m−トリル−メタノン)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、246(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ7.25−7.5(m,5H)δ6.8(d,2H)δ2.4(s,3H)。
【0179】
(手順C(N−(2−ベンゾイル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドの一般的合成):
置換2−アミノベンゾフェノン(1mmol)を、5mLのピリジン中に溶解させた。置換塩化スルホニル(1.3mmol)およびジメチルアミノピリジン(10mg)を、2−アミノベンゾフェノン溶液に添加した。反応混合物を110℃に2時間加熱した。溶媒を、窒素の気流下でエバポレートし、そして生成物を、以下に与えられる方法を使用して逆双HPLCによって単離した。代表的な収率は、60〜80%である。
【0180】
(N−(2−ベンゾイル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドのHPLC精製のための一般的な方法)
粗製のN−(2−ベンゾイル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを、1mLのMeOH(またはMeOH/DCM)を溶解させ、0.45ミクロンフィルターを通して濾過した。次いで、溶液をWater 2700 Sample Managerオートインジェクター、Waters 600 Controller and Pumps、Waters 996 Diode Array検出器、Micro Mass Platform LCZ質量分光計およびGilson FC−204画分コレクターを備えるHPLC/MSシステムに注入(50〜75mg/注入)した。溶媒AおよびBを、Phenomenex Luna 15ミクロン、C18(2)100A、100×21.2mmカラムを使用して、20mL/分の流速で精製化合物の勾配溶出のために使用した。
溶媒A:99%水/1%CHCN/0.1%ギ酸
溶媒B:95%CHCN/5%水/0.1%ギ酸
勾配を、それらの分析スケールHPLC保持時間(tana)に従ってプログラムし、これは、3.5mL/分で、Phenomenex Luna 5ミクロンC18(2)50×4.6mmカラムで、A中0%Bから100%Bの直線勾配を3.5分で実行することによって得られた。
【0181】
A中、0%のBからX%のBの直線混合は、いくつかの化合物についていくつかの調節を伴って以下の式に従って使用された。
【0182】
X=tana×95/3.5+15
約15mL〜約25mLサイズの画分を、マストリガーコレクションに基づいて、収集した。これらを、画分の質量スペクトルパターンに基づいて、それらの純度に従って組み合わせた。
【0183】
以下の例は、手順Cを使用して調製された:
(実施例7:N−[4−クロロ−2−(2−クロロ−ベンゾイル)−フェニル]−4−ニトローベンゼンスルホンアミド
【0184】
【化38】

【0185】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、451(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.0(s,1H)δ8.0−8.4(dd,4H)δ7.8(d,1H)δ7.38−7.58(m,6H)。
【0186】
(実施例8:チオフェン−2−スルホン酸(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−アミド)
【0187】
【化39】

【0188】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、378(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.0(s,1H)δ7.85(d,1H)δ7.4−7.7(m,9H)δ6.85(d,1H)。
【0189】
(実施例9:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−ヨード−ベンゼンスルホンアミド)
【0190】
【化40】

【0191】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、498(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.7(s,1H)δ7.3−7.8(m,12H)。
【0192】
(実施例10:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホンアミド)
【0193】
【化41】

【0194】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、406(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.65(s,1H)δ7.2−7.8(m,12H)。
【0195】
(実施例11:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−tert−ブチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0196】
【化42】

【0197】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、428(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.9(s,1H)δ7.2−7.8(m,12H)、δ1.18(s,9H)。
【0198】
(実施例12:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド)
【0199】
【化43】

【0200】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、414(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.9(s,1H)δ7.0−7.8(m,12H)、δ2.42(m,2H)δ1.5(m,2H)δ0.92(m,3H)。
【0201】
(実施例13:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0202】
【化44】

【0203】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、400(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.9(s,1H)δ7.0−7.8(m,12H)、δ2.42(t,2H)δ0.92(d,3H)。
【0204】
(実施例14:N−(2−ベンゾイル−4−ニトロ−フェニル)−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0205】
【化45】

【0206】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、411(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.6(s,1H)δ8.2−8.45(m,2H)δ7.2−7.9(m,10H)、δ2.6(q,2H)δ1.05(t,3H)。
【0207】
(実施例15:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド)
【0208】
【化46】

【0209】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、414(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.85(s,1H)δ7.0−7.8(m,12H)δ2.8(m,1H)δ1.03(t,6H)。
【0210】
(実施例16:N−(2−ベンゾイル−4−ブロモ−フェニル)−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0211】
【化47】

【0212】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、444(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.8(s,1H)δ7.38−7.8(m,10H)δ7.08(d,2H)δ2.47(q,2H)δ1.1(t,3H)。
【0213】
(実施例17:N−(2−ベンゾイル−4−ブロモ−フェニル)−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0214】
【化48】

【0215】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、446(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.61(s,1H)δ7.2−7.8(m,10H)δ6.64(d,2H)δ3.78(s,3H)。
【0216】
(実施例18:N−(2−ベンゾイル−4−ブロモ−フェニル)−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド)
【0217】
【化49】

【0218】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、459(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.9(s,1H)δ7.28−7.8(m,10H)δ7.16(d,2H)、δ2.8(m,1H)δ1.08(d,1H)。
【0219】
(実施例19:4−エチル−N−[4−ニトロ−2−(3−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−フェニル]−−ベンゼンスルホンアミド)
【0220】
【化50】

【0221】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、479(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.9(s,1H)δ8.4(m,2H)δ7.6−8.0(m,6H)δ7.28(m,2H)δ2.62(q,2H)δ1.09(t,3H)。
【0222】
(実施例20:N−[4−クロロ−2−(3−メチル−ベンゾイル)−フェニル]−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0223】
【化51】

【0224】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、414(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.8(s,1H)δ7.0−7.9(m,11H)δ2.48(q,2H)δ2.39(s,3H)δ1.13(t,3H)。
【0225】
(実施例21:N−(2−ベンゾイル−4−ブロモ−フェニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホンアミド)
【0226】
【化52】

【0227】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、450(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.7(s,1H)δ7.2−8.0(m,12H)。
【0228】
(手順D:(N−(2−ベンゾイル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドの代替合成):
ジクロロメタン(5mL)中の置換2−アミノベンゾフェノン(0.5mmol)、塩化スルホニル(0.7mmol)、およびN−メチルモルホリン(0.9mmol)の溶液を、40℃で20時間攪拌した。この混合物を、室温に冷却し、水(2×5mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、そしてジクロロメタン:ヘキサン(1:1)を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のN−(2−ベンゾイル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを得た。
【0229】
以下の例は、手順Dを使用して調製された:
(実施例22:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−エトキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0230】
【化53】

【0231】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、416(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ1.30−1.40(t,3H)δ3.85−3.95(m,2H),δ6.68−6.70(d,2H),δ7.30−7.65(m,9H),δ7.75−7.77(d,H),δ9.65(s,H)。
【0232】
(実施例23:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−プロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0233】
【化54】

【0234】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、430(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ0.99−1.10(t,3H)δ1.70−1.80(m,2H),δ3.70−3.75(t,2H),δ6.68−6.70(d,2H),δ7.30−7.65(m,9H),δ7.75−7.77(d,H),δ9.65(s,H)。
【0235】
(実施例24:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0236】
【化55】

【0237】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、430(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz)δ1.25−1.26(d,6H)δ4.30−4.48(m,H),δ6.68−6.70(d,2H),δ7.30−7.65(m,9H),δ7.75−7.77(d,H),δ9.70(s,H)。
【0238】
(実施例25:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−ブトキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0239】
【化56】

【0240】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、444(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ0.95−1.00(t,3H),δ1.40−1.60(m,2H),δ1.70−1.80(m,2H),δ3.75−3.80(t,2H),δ6.68−6.70(d,2H),δ7.30−7.65(m,9H),δ7.75−7.77(d,H),δ9.70(s,H)。
【0241】
(実施例26:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−ベンゾイルオキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0242】
【化57】

【0243】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、478(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ4.93(s,2H),δ6.75−6.80(d,2H)δ7.335−7.55(m,11H),δ7.60−7.70(m,3H),δ7.78−7.80(d,2H),δ9.70(s,H)。
【0244】
(実施例27:N−(2−ベンゾイル−4−クロロ−フェニル)−4−フェノキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0245】
【化58】

【0246】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、464(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ(ppm)=6.78−6.80(d,2H),6.90−6.93(d,2H),7.20−7.24(t,H),7.33−7.45(m,3H),7.45−7.53(m,5H),7.60−7.70(m,3H),7.75−7.77(d,H),9.78(s,H)。
【0247】
(III.2−アミノ−ピリドフェノン−スルホンアミドの一般的合成)
【0248】
【化59】

【0249】
スキームIII:2−アミノ−ピリドフェノン−スルホンアミドの一般的合成
(手順E:(置換2−アミノピリジンのBOC保護)
0℃でジクロロメタン(80mL)およびDMF(4mL)中の2−アミノ−5−置換−ピリジン(0.10mol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.22g、0.01mol)、およびトリエチルアミン(TEA、20mL、0.15mol)の混合物に、ジクロロメタン(20mL)中のジ−t−ブチルジカルボネート(28.4g、0.13mol)の溶液を添加した。この混合物を、室温で一晩攪拌した。この混合物を水(3×300mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を減圧で濃縮して、固体を得、これを濾過によって収集し、そして少量のDCMで洗浄して、予期される生成物を40〜60%の収率で得た。
【0250】
以下の例は、手順Eを使用して調製した:
(実施例28:(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル)H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)1.54(s,9H),7.59−7.64(dd,H),7.94−7.97(d,H),8.24−8.25(dd,H),8.39(b,H)。LC−MSは、生成物が>95%純度であることを示した。分子イオンは観察されなかったが、t−ブトキシ基の喪失に対応するフラグメントが明白であった(173/175のM.W.)。
【0251】
(手順F:(2−アミノピリジン−3−イル)−フェニル−メタノンまたは2−アミノピリジン−3−イル)−ピリジン−4−イル−メタノンの合成))
無水テトラヒドロフラン(THF、5mL)中のBOC保護5−置換2−アミノピリジン(10mmol)の溶液を、攪拌しながら窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。ヘキサン(2.5M、8.8mL)中のn−ブチルリチウムの溶液を、滴下し、そしてこの混合物を0℃で10分間攪拌した。Weinrebアミド(12mmol)を、手順Aのように調製し、そして無水THF(5mL)中に溶解し、そして反応混合物に加えた。反応混合物を、室温に温め、2時間攪拌した。反応物を、氷−0.18Mクエン酸水溶液(100g−130mL)混合物に添加し、次いで、酢酸エチル(EtOAc、150mLおよび50mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×100mL)、ブライン(100mlL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、そして濾過した。粗製の物質を濾液から濃縮し、これをフラッシュクロマトグラフィーによって精製して固体生成物を得た。この化合物を、4N HCl/ジオキサン(6mL)中で100℃で2時間加熱し、次いで、室温に冷却した。この混合物を減圧でエバポレートし、そして残留物を飽和NaHCO水溶液(50mL)中にとり、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×50mL)で洗浄し、次いで、ブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、そして濾過した。濾液をエバポレートさせ、減圧下で乾燥させて、2工程で40〜60%の収率で、淡黄色生成物を得た。
【0252】
以下の例は、手順Fを使用して調製した:
(実施例29:(2−アミノ−5−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリジン−4−イル−メタノン)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、234(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ6.96(b,2H)δ7.40−7.44(m,2H)δ7.62−7.63(d,H)、δ8.25−8.26(d,H)、δ8.81−8.84(m,2H)。
【0253】
(実施例30:(2−アミノ−5−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェニル−メタノン)
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、233(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ6.69−6.84(br s,2H)、7.48−7.54(m,2H)、7.57−7.65(m,3H)、7.74−7.75(d,H)、δ8.22−8.23(d,H)。
【0254】
(手順G:(NaHを使用するスルホンアミドの代替合成)
0℃で乾燥DMF(1mL)中の2−アミノピリドフェノン(0.5mmol)の溶液に、NaH(60%、20mg、0.5mmol)を添加した。この混合物を5分間撹拌した。乾燥DMF(1mL)中の塩化スルホニル(0.55mmol)を添加し、そしてこの混合物を10分間0℃で撹拌した。NaH(0.25mmol)の第2部分を添加し、そしてこの混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を氷水(20mL)でクエンチし、そしてEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧でエバポレートして粗生成物を得た。粗生成物を、溶離液としてDCM:EtOAc(100:9=98:2)またはヘキサン:EtOAc(9:1)を使用して、クロマトグラフィーによって精製して、10〜24%収率で精製された生成物を得た。
【0255】
以下の例を、手順Gを使用して調製した:
(実施例31:N−(3−ベンゾイル−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0256】
【化60】

【0257】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、431(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ1.34−1.36(d,6H),δ4.57−4.70(m,H),δ6.91−6.98(d,2H),δ7.50−7.70(m,5H),δ7.82−7.83(d,H),δ8.08−8.12(d,2H),δ8.38−8.39(d,H),δ10.70(s,H)。元素分析:C=58.26%/計算値58.53%,H=4.65%/計算値4.44%,N=6.26%/計算値6.50%。
【0258】
(実施例32:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−エトキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0259】
【化61】

【0260】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、417(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.90(1H,s),δ8.80(2H,s),δ7.79(1H,d),δ6.76(2H,d),δ7.51(1H,d),δ7.33−7.20(3H,m),δ6.75(2H,d),δ3.90(2H,m)δ1.5(3H,m)。
【0261】
(実施例33:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド)
【0262】
【化62】

【0263】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、415(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.06(1H,s),δ8.77(1H,s),δ7.79(1H,d),δ7.70−7.62(3H,m),δ7.56−7.51(1H,m),δ7.33−7.16(5H,m),δ1.19(6H,m),δ2.28(1H,m)。
【0264】
(実施例34:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソブチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0265】
【化63】

【0266】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、429(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.06(1H,s),δ7.77(1H,s),δ7.67−7.61(3H,m),δ7.58−7.47(1H,m),δ7.33−7.24(3H,m),δ7.17−7.08(3H,m),δ0.86(6H,m)。
【0267】
手順Gを使用して調製した化合物の別の例は、N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−エチル−ベンゼンスルホンアミドである。LC−MSは、生成物が>95%純度であり、401(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。
【0268】
(手順H:(Na(TMS)Nを使用するスルホンアミドの代替合成)
0℃で乾燥DMF(5mL)中の2−アミノピリドフェノン(1mmol)の懸濁液に、THF(1M,2.2mL)中のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液を加えた。この混合物を0℃で20分間撹拌した。乾燥DMF(2mL)中の塩化スルホニル(1.3mmol)の溶液を添加し、そして反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を氷水(60mL)でクエンチし、0.18Mクエン酸水溶液(3mL)で約pH7.5に中和し、次いで、EtOAc(60mL,2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×5mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下でエバポレートして粗生成物を得た。粗生成物を溶出液としてDCM:EtOAc(6:4)を使用するクロマトグラフィーによって精製して、20〜25%収率の固体生成物を得た。
【0269】
以下の例は、手順Hを使用して調製した:
(実施例35:N−[4−クロロ−3−(ピリジン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イル]−4−エトキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0270】
【化64】

【0271】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、418(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ1.40−1.44(t,3H),δ4.03−4.12(m,2H),δ6.93−6.96(d,2H),δ7.39−7.42(d,2H),δ7.70−7.72(d,H),δ8.08−8.11(d,2H),δ8.39−8.40(d,H),δ8.84−8.86(d,2H),δl0.73(s,H)。
【0272】
(実施例36:N−[5−クロロ−3−(ピリジン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0273】
【化65】

【0274】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、432(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ1.35−1.36(d,6H),δ4.57−4.67(m,H),δ6.92−6.95(d,2H),δ7.42−7.44(d,2H),δ7.72−7.73(d,H),δ8.08−8.11(d,2H),δ8.41−8.42(d,H),δ8.84−8.87(d,2H),δ10.74(s,H)。
【0275】
(IV.(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−3−イルメタノンの合成)
【0276】
【化66】

【0277】
スキームIV:(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−3−イルメタノンの合成。
【0278】
(手順I:(BClを使用する(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−3−イルメタノンの代替合成)
氷浴中で撹拌された80mL 1,1,2,2−テトラクロロエタン中の85mLのBCl溶液に、50mLのテトラクロロエタン中の4gのp−クロロアニリンの溶液を加えた。5分後、3gの3−シアノピリジンを添加し、続いて、7gの塩化アルミニウムを添加する。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで、6時間加熱還流した。冷却後、25mLの3N HClを添加し、そして1時間還流を続けた。冷却後、濾液を濃縮し、6N
NaOHで塩基性にし、次いで、ジクロロメタンで抽出した。有機溶液をMgSOで乾燥し、そして濃縮した。残留物をシリカゲル(ヘキサン/EtOAc=2:1)でフラッシュクロマトグラフィーにかけて、10〜20%収率の生成物を得た。
【0279】
以下の例を、手順Iを使用して調製した。
【0280】
(実施例37:(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−3−イル−メタノン)
【0281】
【化67】

【0282】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、233(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ8.95(s,1H),δ8.80(d, 1H),δ8.18(d,1H),δ7.40−7.45(m,1H),δ7.20−7.30(m,2H),δ7.10(s,1H),δ6.30(br s,2H)。
【0283】
スキームIIIに示される方法を使用して調製された(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−3−イル−メタノンを、手順GまたはHを使用して、対応するアリールスルホンアミドまたはヘテロアリールスルホンアミドに変換し得る。続く実施例は、スキームIII続く手順GまたはHで示される方法を使用して調製された。
【0284】
(実施例38:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0285】
【化68】

【0286】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、387(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ9.66(s,1H),δ7.87−7.76(m,3H),δ7.56−7.50(m,4H),δ7.43−7.40(m,1H),δ7.28(s,1H),δ7.08(d,2H),δ3.50(s,3H)。
【0287】
(V.(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタノンの合成)
【0288】
【化69】

【0289】
スキームV:(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタノンの合成。
【0290】
(手順J:(4−クロロアニリンのピバロイル保護)
20mLのジクロロメタン中の2.3gの4−クロロアニリンおよび3mLのトリエチルアミンの混合物に、2.3gの塩化トリメチルアセチルを添加した。反応混合物を一晩室温で撹拌し、次いで、1N HClで洗浄した。有機層を分離し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒の除去によって、4.5gの純粋生成物を得た。
【0291】
以下の例を、手順Jを使用して調製した:
(実施例39:N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド)
【0292】
【化70】

【0293】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、213(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。
【0294】
(実施例40:N−(4−クロロ−フェニル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド)
【0295】
【化71】

【0296】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、212(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.51(s,1H),δ7.25(d,2H),δ7.15(d,2H),δ1.51(s,9H)。
【0297】
手順K:
50mLのTHF中の2gのピバロイル保護4−クロロアニリンの溶液を、窒素下で−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中2Nの14mL)を、滴下した。この混合物0℃に温め、そして1時間0℃で撹拌し続けた。反応混合物を、酢酸エチル中に注ぎ、そして水で洗浄した。有機層を分離し、そしてMgSOで乾燥した。溶媒を除去し、続いて、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液としてヘキサン:酢酸エチル2:1)によって、1gの所望の生成物を得た。
【0298】
(実施例41:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−イル−メチル)−フェニル]−2,2−ジメチル−プロピオンアミド)
【0299】
【化72】

【0300】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、319(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。
【0301】
手順L:
手順K(1g)からのアルコールを、25mLのジクロロメタン中に溶解した。二酸化マグネシウム(2g)を添加し、そしてこの混合物を2時間加熱還流した。冷却および濾過の後に、溶媒をエバポレートして、0.95gの所望のケトンを得た。
【0302】
以下の例を、手順Lを使用して調製した:
(実施例42:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−2,2−ジメチル−プロピオンアミド)
【0303】
【化73】

【0304】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、317(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.06(s,1H),δ8.87(d,2H),δ8.8(d,2H),δ7.61(d,1H),δ7.50(d,2H),δ7.47(s,1H),δ1.35(s,9H)。
【0305】
手順M:
手順L(2g)からのビバロイル保護(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタノンの溶液を、8mLの6N HClとともに25mL中に溶解させた。この混合物を7時間還流させた。エタノールを、ロータリーエバポレーションによって除去し、そして溶液を6N NaOHで中和した。沈殿した固体を濾過によって集め、水で洗浄し、そして乾燥させて、(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタノンを得た。
【0306】
以下の例を、手順Mを使用して調製した:
(実施例43:(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタノン)
【0307】
【化74】

【0308】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、233(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ8.80(d,2H),δ7.45(d,2H),δ7.45(d,2H),δ7.29(m,2H),δ6.70(d,1H),δ6.33(br s,2H)。
【0309】
スキームIVに示される方法を使用して調製された(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−ピリジン−4−イル−メタンノンを、手順GまたはHを使用して、対応するアリールスルホンアミドまたはヘテロアリールスルホンアミドに変換し得る。以下の例は、スキームIV、続く手順GまたはHで示される手順を使用して調製した。
【0310】
(実施例44:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド)
【0311】
【化75】

【0312】
LC−MSは、生成物が>95%純度であり、401(M+H)の予期されたM.W.を有することを示した。H NMR(Bruker 300MHz、CDCl、7.24ppmでの溶媒のピークに対するシフト)δ10.0(s,1H),δ7.78(d,1H),δ7.64−7.58(m,3H),δ7.52(d,1H)δ7.34−7.21(m.3H),δ7.17−7.21(m,3H),δ2.58(m,2H),δ1.15(m,3H)。
【0313】
VI.スルホンおよびスルホキサイドの合成
【0314】
【化76】

【0315】
手順N:4−クロロ−1−ニトロ−2−フェニルスルファニルベンゼンの生成)
50mL DMFおよび1.25mlのチオフェノール中の2gの2−フルオロ−4−クロロ−ニトロベンゼンの溶液に、室温で、1.9mlトリエチルアミンを添加した。この混合物を1時間撹拌した。100mLの水を添加し、そして黄色固体を溶液から砕いた。固体を濾過によって収集し、そして乾燥させた。収率50〜70%。LC−MSは、267の予期された(M+H+)を有する単一のピークを示した。
【0316】
手順O:4−クロロ−2−フェニルスルファニル−フェニルアミンの作製
100mlエタノール中の1.8gの2−ベンジルチオ−4−クロロ−ニトロベンゼンの懸濁液に、2gの粉末状鉄および20mLの0.33N NHClを添加した。この混合物を70℃で6時間加熱した。この混合物を冷却し、そしてセライトのパッドを通して濾過した。濾液を凝縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(溶出液としてヘキサン/酢酸エチル4:1)によって精製して、1.25gのオイルを得た。LC−MSは、236の予期された(M+H)を有する単一のピークを示した。
【0317】
以下の例は、手順Cによって調製された:
(実施例116:(4−クロロ−2−フェニルスルファニル−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0318】
【化77】

【0319】
この生成物は、434の予期された(M+H)を有するLC−MSによる単一のピークを示した。
【0320】
(手順P):
20mL DCM中の手順Cからの0.5gのスルフィドの溶液に、1当量のm−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)を添加した。この混合物を、室温で一晩攪拌した。この混合物を濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(溶出液として、ヘキサン/酢酸エチル=2:1)によって精製して、生成物として0.12gの白色固体を得た。
【0321】
以下の例は、手順Pを使用して調製した。
【0322】
(実施例63:N−(2−ベンゼンスルフィニル−4−クロロ−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0323】
【化78】

【0324】
LC−MSは、予期された(M+H)450を有する単一のピークを示した。
【0325】
(手順Q):
20ml DCM中の手順Cからの0.5のスルフィドの溶液に、2当量のmCPBAを添加した。この混合物を、室温で一晩攪拌した。この混合物を濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(溶出液として、ヘキサン/酢酸エチル=2:1)によって精製して、生成物として0.14gの白色固体を得た。
【0326】
以下の例は、手順Qを使用して調製した。
【0327】
(実施例117:N−(2−ベンゼンスルホニル−4−クロロ−フェニル)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0328】
【化79】

【0329】
LC−MSは、予期された(M+H)466を有する単一のピークを示した。
【0330】
以下の例は、手順Gを使用して調製した。
【0331】
(実施例118:N−[4−クロロ−(2−ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0332】
【化80】

【0333】
LC−MSは、431の予期された(M+H)を有する単一のピークを示した。
【0334】
【化81】

【0335】
(手順R):
N−[4−クロロ−2−(ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド(60mg)を、5mLのジクロロメタン中に溶解した。1.05当量のmCPBAを添加し、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、そして残留物をシリカゲル(溶出液としてヘキサン/酢酸エチル=1:1)でクロマトグラフィーにかけて、生成物を得た。収率95%。
【0336】
以下の例は、手順Rを使用して調製した。
【0337】
(実施例119:N−[4−クロロ−2−(1−オキシ−ピリジン−4−カルボニル)−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド)
【0338】
【化82】

【0339】
LC−MSは、447の予期された(M+H)を有する単一のピークを示した。
【0340】
本明細書中に列挙された他の例は、上に概説された一般的な手順によって作製され得る。
【0341】
(生物学的データ)
I.FMATアッセイ:FMATアッセイは、ヒトCCR9レセプターに結合するTECKのインヒビターを決定する。
【0342】
CCR9アッセイ緩衝液は、5mLの1M HEPES、1.25mLの1M CaCl、1.5mLの1M MgCl、14mLの5M NaCl、0.5gの脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン、および1mLの5%アジドを添加することによって調製し、400mLの蒸留脱イオン水(ddHO)に添加した。溶液を、全ての脂肪酸を含まないウシ血清アルブミンが溶解するまで、混合した。pHを7.4に調節した後に、最終容量を500mLに調節し、そして溶液を0.2μmフィルターを通して濾過した。
【0343】
アッセイ緩衝液中の1000nMビオチン化ヒトTECKを調製した。Cy5−α−ビオチン作業溶液の14μM溶液を調製した。ビオチン化TECKおよびCy5−α−ビオチン作業溶液を、ウェルに細胞を添加する用意ができる直前に混合した。13mLのアッセイ緩衝液を、50mLのポリエチレンチューブに添加した。5.6μLの1000nMビオチン化TECK作業溶液および178μLの14μg/mL Cy5−α−ビオチン作業溶液を、チューブに添加し、そして混合した。最終のビオチン化TECK濃度は、0.4nMであり、そして最終のCy5−α−ビオチン濃度は、0.064μg/mLであった。
【0344】
細胞を、全ての他の試薬をウェルに添加する直前にプレートした。細胞を収集し、そして5分間、1200rpmで卓上遠心分離器で遠心分離した。上清を、細胞ペレットを乱すことなく、減圧によって除去した。細胞を、5mLのアッセイ緩衝液中に再懸濁した。1mLの細胞懸濁液をエッペンドルフチューブに添加することによって細胞を計数した。次いで、150μLのこの懸濁液を、150μLのTrypan Blueに添加した。10μLのTrypan Blue懸濁液を血球計数器に添加し、そして1mL当たりの細胞数を計算した。細胞を、CCR9アッセイ緩衝液で、アッセイのために最終0.2×10細胞/mLに再懸濁した。1枚の384ウェルプレートについて約2.6×10細胞が必要とされる。
【0345】
DMSO中に溶解された20μLの試験化合物を、ポリプロピレン384プレートのウェルに添加した。複数の化合物を、同時に、異なる試験化合物を各ウェルに添加することによって試験した。アッセイ緩衝液中の20μLのDMSOのコントロールを調製した。20μLのビオチン−TeckおよびCy5−α−ビオチン混合溶液を、ポリプロピレンプレートの各ウェルに添加した。0.2×10/mLの20μLの細胞懸濁液を各ウェルに添加した。アッセイプレートを1.5時間、室温で、回転器でインキュベートした。FMATを、読んだ(PMT=490/518または537/568、閾値を1標準偏差に設定)。
【0346】
II.FLIPRアッセイ:FLIPRアッセイは、組換えヒトCCR9およびGal6タンパク質を過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞においてTECK誘導応答のインヒビターを決定する。
【0347】
アッセイを実行する前の日に、CHO細胞を希釈し、約10,000細胞/ウェル(50mLの容量)を与えた。次いで、384ブラック/クリアプレートの各ウェルに、50mLの希釈細胞懸濁液を播種した。細胞プレートを、一晩6%COで37℃組織培養インキュベーターに置いた。
【0348】
洗浄緩衝液および色素充填溶液を、アッセイを実行する日に調製した。洗浄緩衝液を、880mLのNanopure水、100mLの10×HBSSおよび20mLの1M HEPESを混合することによって調製して、1Lの1×HBSSおよび20mM HEPES溶液を得た。1gのBSA(ウシ血清アルブミン)を、1×HBSS/20mM HEPES溶液に添加した。5mLの1N NaOHおよび5mLの先に調製した1×HBSS/20mM HEPES/0.1%BSA緩衝液中に710mgのプロベネシドを溶解することによって、250mMプロベネシドストック溶液を調製した。10mLの250mMプロベネシドを、1×HBSS/20mM HEPES/0.1%BSA緩衝液に添加して、1×HBSS/20mM HEPES/2.5mM プロベネシド/0.1%BSAを有する洗浄緩衝液を得た。
【0349】
各384ウェルプレートについて、11mLの2×FLUO−3色素充填溶液を、必要とした。2×FLUO−3色素充填溶液を、22mLのDMSO(100%)をFLUO−3の2×50mgバイアルの各々に添加することによって調製した。バイアルをボルテックスし、次いで、22mLの20%プルロン酸をFLUO−3の各50mgバイアルに添加し、ボルテックスした。88mLの再構成されたFLUO−3ストック溶液を、11mLの1×洗浄緩衝液に添加した。
【0350】
各細胞プレートを、洗浄緩衝液で洗浄した。洗浄の最後において、1ウェル当たり25mLの残留容積があった。25mLの色素充填溶液を、384プレートの各ウェルに添加した。プレートを少なくとも1時間インキュベーター中においた。黄色プレート較正プレートを、FLIPR384で実行し、3.5%未満の標準偏差を得た。
【0351】
100%DMSO中の10mMストック濃度の化合物を調製し、室温で保存した。100%DMSO中のストック濃度(100×最終アッセイ濃度)9×1:3連続希釈を、10点濃度応答曲線を実行するために、調製した。3×最終アッセイ濃度を、洗浄緩衝液中の100×ストックの33.3中1の希釈にすることによって調製し、そしてGreiner 384ウェルプレート内に配置した。10点濃度応答曲線は、100mM、10mMまたは1mM(最終アッセイ濃度)で開始した。第1の化合物を、ウェルA1〜A10に添加し、そして他の化合物をP1〜P10にプレートの下に向かって添加した。カラム11および12は、コントロールウェルであり、FLIPR緩衝液(3%DMSOを有する)を、ウェルA11〜H12に添加した。残りの化合物を、P13〜P22から、A13〜A22へと下に向かって添加した。各化合物を3連で試験した。
【0352】
洗浄緩衝液中、4×リガンドEC50(最終アッセイ濃度)でリガンド(rhTECK)プレートを調製し、そしてGreiner 384ウェルプレート内にプレートした。適切な量の4×リガンドのおよその量をウェルA1〜P10およびA13〜P22に添加した。カラム11および12において、FLIPR洗浄緩衝液を、ウェルA11〜D12に添加し、そして4×リガンド溶液をウェルE11〜H12に添加した。
【0353】
細胞プレートを少なくとも1時間、色素溶液とともにインキュベートし、次いで、洗浄緩衝液で洗浄した。洗浄の最後に、1ウェル当たり25mLの残留容量であった。細胞プレートを、FLIPR−384のスタッカーに充填した。個々のウェルの活性(IWA)を、時点88〜145の間の最大−最小関数を使用して、測定した。データをrhTECK誘導応答の阻害%として表現し、そしてIC50値をアンタゴニスト活性を示す化合物について計算した。
【0354】
ヒトCCR9レセプターに対するヒトTECKの結合の阻害(FMATアッセイ)およびヒトTECK誘導応答の阻害(FLIPR)。
【0355】
上記FMATアッセイにおいて試験された化合物のうち、以下が約1.0μM以下のIC50値を提供した:17〜21、31〜34、44、70、73、74、および115。
【0356】
上記FLIPRアッセイにおいて試験された化合物のうち、以下が約1.0μM以下のIC50値を提供した:8〜13、14〜15、17〜20、22〜24、31〜36、44、49、63、および69〜89、116〜143。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の治療方法。

【公開番号】特開2011−105725(P2011−105725A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265823(P2010−265823)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2004−507431(P2004−507431)の分割
【原出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願人】(500287639)ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】