説明

CD23分断阻害物質としてのヒドロキサム酸スルホンアミド

あるクラスのピペリジン、並びに、置換アリール又はヘテロアリール部分で4位が置換され、ヒドロキサム酸部分、また、ある範囲の代替の置換基により2位が置換されたエチルスルホニル基で1位が置換された、関連する複素環誘導体は、CD23分断の強力な阻害物質であり、アレルギー性、炎症性、及び新生物形成性疾患の治療及び/又は予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連の新規なヒドロキサム酸スルホンアミド及びその誘導体、その調製方法、それを含む薬剤組成物、並びに医薬上のその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
低親和性の免疫グロブリン(Ig)E受容体(FcεRII)としても知られているCD23は、様々な造血細胞及び構造細胞で発現されるII型内在性タンパク質である。ヒトでは、CD23は45kDaのCa2+依存性のC型レクチンであり、CD23a及びCD23bの2つの形態で存在する(Clin.and Exp.Allergy、2000年、30巻、602〜605頁)。いずれの型もB細胞で認められ、CD23aは構成的に発現され、CD23bは特にIL−4により誘導される。bアイソフォームは、T細胞、ランゲルハンス細胞、単球、マクロファージ、血小板、好酸球などの非B細胞でも見られる。
【0003】
CD23は、IgE受容体であるだけではなく、やはりIgEに結合する可溶性分子(sCD23又はIgE結合因子)の膜結合型前駆体でもある(Sarfati,M.ら、Immunol.Res.、1992年、11巻、260〜272頁)。分子量37、33、29、25、及び17kDaのsCD23は、膜結合型CD23のメタロプロテアーゼ開裂を含む自己触媒開裂プロセスにより生じる(Marolewski,A.ら、Biochem.J.、1998年、333巻、573〜579頁)。
【0004】
膜結合型CD23は多機能性分子であり、それを発現する細胞のタイプに従って、細胞の接着、抗原の提示、B細胞及びT細胞の増殖及び分化、アポトーシスからの救済、細胞毒性メディエータの放出、並びにIgE合成の調節に及ぶ様々な機能を発揮することができる(Bonnefoy,J.ら、Int.Rev.Immunol.、1997年、16巻、113〜128頁)。CD23は、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、及び寄生虫疾患などのいくつかの病的状態、並びに慢性リンパ球性白血病などのB細胞リンパ球増殖性疾患で過剰発現すると仮定されている。
【0005】
sCD23フラグメントは、単独で、又は他のサイトカインと共に、広範な種類の造血細胞に対していくつかの作用を発揮することができるという証拠が増えている。これらの作用には、IgE合成の調節、B細胞及びT細胞の増殖促進、及び単球の遊走の阻害が含まれ、sCD23フラグメントはインターロイキン1(IL1)との相乗作用で初期胸腺細胞、骨髄性細胞前駆体、及びいくつかの胚中心B細胞の分化に関与することがある。
【0006】
特に、分子量が大きい3つのsCD23フラグメント(37、33、及び29kDa)には、IgE産生で主要な役割を果たすと思われる多機能性サイトカイン特性がある。sCD23の過剰形成は、外因性喘息、鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーなどのアレルギー性疾患の特徴であるIgEの過剰産生と関連付けられている(Sutton and Gould、Nature、1993年、366巻、421〜428頁)。慢性関節リウマチ患者の滑液中で、sCD23のレベルの上昇も観察されている(Chomarat,P.ら、Arthritis and Rheumatism、1993年、36巻、234〜242頁)。
【0007】
細胞表面でIgEがCD23を架橋することでIgE産生に対する負のフィードバックが送られ、sCD23の放出が阻害されることが示されている。しかし、柄領域の部分を保持する25kDaより大きいsCD23フラグメントは、少なくとも次の2つの機序によりIgE産生を促進することができる。即ち、1)sCD23が、おそらくCD21トリガリングを介して直接IgE産生を刺激すること、2)sCD23フラグメントが、ビヒクル中でIgEを捕捉することができ、したがって膜結合型CD23を介して負のフィードバックを防ぐことができることである。したがって、sCD23の形成を阻害する能力のある化合物は、1)分子量のより大きい可溶性フラグメントの免疫刺激作用を阻害する作用、2)B細胞表面上でCD23のレベルを維持することによりIgE合成の負のフィードバック阻害を増強する作用の2つの作用を有するはずである。その上、CD23の開裂を阻害すると、sCD23が誘導する単球の活性化及びメディエータの形成が低下し、それにより炎症反応が軽減するはずである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最近まで、アレルギー性反応を調節する治療上の取組みは、IgE産生の制御を直接扱うのではなく反応を引き起こすと考えられるメディエータに注目していた(Christie,G.ら、Eur.J.Immunol.、1997年、27巻、3228〜3235頁)。IgE合成の調節において治療的に関連する制御ポイントに対する1つの提案された取組みは、CD23のsCD23へのプロセシングを調節することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、今回、CD23分断の強力な阻害物質である、あるクラスのヒドロキサム酸スルホンアミドを見出した。したがって、この化合物はIgE産生に伴うアレルギー性疾患の治療及び/又は予防に特に適する。
【0010】
即ち、我々が提供するのは、式(1)の化合物:
【化1】


[式中、
Cyは、アリール基又はヘテロアリール基であり、
mは、0、又は整数1、2、若しくは3であり、
nは、0、又は整数1、2、若しくは3であり、mとnとの和は整数1、2、又は3であり、
は、C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、−C1〜6アルキルアリール、−C1〜6アルキルへテロアリール、−C1〜6アルキルへテロシクロアルキル、又は−C1〜6アルキルC3〜6シクロアルキルから選択される基であり、R基として又はR基の一部として存在するアリール基又はヘテロアリール基はそれぞれ、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、F、Cl、Br、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、−CN、−CO7a、−CON(R7a、又は−COR7aから選択される原子又は基であり、R基として又はR基の一部として存在する、アルキル基、ヘテロシクロアルキル基、又はシクロアルキル基はそれぞれ、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、Rはそれぞれ、同一又は異なっていてもよく、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、=NOR10、−CO8a、−CON(R8a、又は−COR8aから選択される原子又は基であり、
7aは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はC1〜6アルキル基、若しくはC1〜6ハロアルキル基であり、
8aは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はC1〜6アルキル基、若しくはC1〜6ハロアルキル基であり、
10は、水素原子又はC1〜3アルキル基であり、
は、水素原子又はC1〜3アルキル基であり、
或いは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されたC3〜6シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成し、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、=NOR10、−CO8a、−CON(R8a、又は−COR8aから選択される原子又は基であり、
は、F、Cl、Br、C1〜3アルキル、C1〜3ハロアルキル、C1〜3アルコキシ、又はC1〜3ハロアルコキシから選択される原子又は基であり、
は、水素、F、Cl、若しくはBr原子、又はC1〜3アルキル、C1〜3ハロアルキル、C1〜3アルコキシ、C1〜3ハロアルコキシ、−CN、−SO、−SON(R、−CON(R、−N(R、−NHSO、若しくは−NHCORの基であり、
は、C1〜3アルキル基であり、
は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はC1〜3アルキル基であり、
及びRは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素又はC1〜3アルキルから選択される原子又は基であり、或いはR及びRは結合してR及びRで定義したC3〜6シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成することができる]
及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシドである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(1)のある種の化合物は、幾何異性体(E又はZ異性体)として存在することができることを理解されたい。この化合物はまた、1つ又は複数のキラル中心を有することがあり、鏡像異性体又はジアステレオマーとして存在することがある。本発明は、全てのそのような幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びラセミ化合物を含むそれらの混合物にまで拡張されることを理解されたい。式(1)及び下記の式は、他に記載又は説明がなければ、個々の異性体及びそれらの混合物全てを表すことが意図される。更に、式(1)の化合物は、互変異性体、例えばケト(CHC=O)−エノール(CH=CHOH)互変異性体として存在することがある。
【0012】
所望により本発明の化合物は薬剤上許容されるプロドラッグ型、例えば保護されたヒドロキサム酸誘導体(例えば、O−ベンゾイルなど、N−又はO−のどちらかが置換された誘導体として)として投与することができることも理解されたい。プロドラッグは、in vivoで式(1)の活性化合物に変換されることがあり、本発明はそのようなプロドラッグにまで拡張されることが意図されることを、更に理解されたい。
【0013】
式(1)で表される本発明の化合物、及び下記の更に特定の説明において、置換基に関して用いられる一般的な用語のいくつかは、他に明記されなければ、以下の原子又は基を含むと理解されたい。
【0014】
即ち、本明細書で用いられる「C1〜6アルキル」という語は、基として又は基の一部分として存在しようと、直鎖又は分枝のC1〜6アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、若しくはネオペンチルを意味する。「C1〜3アルキル」という語は、メチル、エチル、n−プロピル、若しくはイソプロピルから選択される、直鎖又は分枝のC1〜3アルキル基を意味する。
【0015】
「C3〜6シクロアルキル基」という語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルから選択される、非芳香族環状飽和C3〜6環系を意味する。
【0016】
「ヘテロシクロアルキル基」という語は、1、2、又は3個のLリンカー原子又は基を含む3から10員の飽和単環式又は多環式炭化水素環系を意味する。適当なL原子又は基の具体的な例には、−O−、−S−、及び−N(R11)−が含まれ、R11は、水素原子又はC1〜6アルキル基である。
【0017】
ヘテロシクロアルキル基の具体的な例として、単環式の3から7員環系、例えばアゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、1,3−ジオキソラニルなどのジオキソラニル(dioxolanyl)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、N−C1〜6アルキルピペラジニル、N−C1〜6アルキルピロリジニル、N−C1〜6アルキルピペリジニル、N−C1〜6アルキルモルホリニル、ホモピペラジニル、或いは多環式の7から10員環系、例えばキヌクリジニル、又は1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカンが含まれる。
【0018】
共に結合してR及びRを、又は共に結合してR及びRを表すことのできる典型的なヘテロシクロアルキル基には、単環式の3から7員環系、例えば、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、及びピペリジニルが含まれる。
【0019】
ヘテロシクロアルキル基は任意の利用可能な炭素原子により、又はC1〜6アルキルヘテロシクロアルキル基の一部の場合は、適宜、任意の炭素原子、若しくは窒素原子などのヘテロ原子により式(1)の化合物の残りの部分と結合することができる。
【0020】
「ハロゲン原子」という語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を含むことが意図される。
【0021】
本明細書で用いられる「C1〜6アルコキシ」という語は、直鎖又は分枝のC1〜6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、又はtert−ブトキシを意味する。同様に、本明細書で用いられる「C1〜3アルコキシ」は、直鎖又は分枝のC1〜3アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、又はイソプロポキシを意味する。
【0022】
本明細書で用いられる「C1〜6ハロアルコキシ」という語は、1、2、又は3個の上記に記載したハロゲン原子によって置換された本明細書で定義されるあらゆるC1〜6アルコキシ基を含む。同様に、「C1〜3ハロアルコキシ」という語は、1、2、又は3個の上記に記載したハロゲン原子によって置換された本明細書で定義されるあらゆるC1〜3アルコキシ基を含む。具体的な例として、−OCF、−OCCl、−OCHF、−OCHCl、−OCHF、又は−OCHCl基が含まれる。
【0023】
「アリール」という語は、1個の環又は2個の縮合環を有する芳香族炭素環式の基を意味する。これには、例えば、フェニル及びナフチルが含まれる。
【0024】
「ヘテロアリール」という語は、5から10員の単環式又は多環式芳香族炭化水素環系を意味し、この環系の1、2、又は3個の原子は、窒素、酸素、又はイオウ(或いは、それらの酸化された型、例えばN−オキシド)の中から選択される炭素以外の元素である。単環式ヘテロアリール基には、例えば、酸素、イオウ、又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を1、2、又は3個含む、5又は6員のヘテロアリール基が含まれる。
【0025】
このタイプの単環式ヘテロアリール基の具体的な例には、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、N−C1〜6アルキルイミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、テトラゾリル、トリアジニル、及びピリジル−N−オキシドが含まれる。
【0026】
このタイプの二環式ヘテロアリール基の具体的な例には、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリニル、及びイソキノリニルが含まれる。
【0027】
ヘテロアリール基は、式(1)の化合物の残りの部分に、あらゆる可能な炭素原子により結合することができる。
【0028】
「−C1〜6アルキルアリール」、「−C1〜6アルキルヘテロアリール」、「−C1〜6アルキルヘテロシクロアルキル」、及び「−C1〜6アルキルC3〜6シクロアルキル」という語は、その末端の水素原子が本明細書に記載されたアリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、又はC3〜6シクロアルキル基によって取り換えられた、本明細書で定義されるC1〜6アルキル基を意味する。
【0029】
式(1)の化合物にある種の置換基が存在すると、この化合物の塩を形成することができることがある。適当な塩には、薬剤上許容される塩、例えば、無機酸又は有機酸に由来する酸付加塩、並びに無機塩基又は有機塩基に由来する塩が含まれる。
【0030】
酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、又はイソチオネート)、アリールスルホン酸塩(例えば、p−トルエンスルホン酸塩、ベシル酸塩、又はナプシル酸塩)、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、及び安息香酸塩が含まれる。
【0031】
無機塩基又は有機塩基に由来する塩には、ナトリウム塩又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、及びモルホリン塩、ピペリジン塩、ジメチルアミン塩、又はジエチルアミン塩などの有機アミン塩が含まれる。
【0032】
本発明による化合物の特に有用な塩には、薬剤上許容される塩、特に酸付加の薬剤上許容される塩が含まれる。
【0033】
式(1)の化合物の1つのグループは、式(2):
【化2】


[式中、m、n、Cy、R、R、R、R、及びRは、本明細書で式(1)の化合物に対して定義した通りである]
を有し、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシドである。
【0034】
本発明の化合物の1つの特定のグループでは、Cyはフェニル基、又は単環式ヘテロアリール基、特に、ピリジル、ピリミジニル、若しくはピラジニルである。
【0035】
Cyがフェニル基であるのが典型的である。
【0036】
式(1)の化合物の別のグループは、式(3):
【化3】


[式中、m、n、R、R、R、R、R、及びRは、本明細書で式(1)の化合物に対して定義された通りである]
を有し、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシドである。
【0037】
式(3)の化合物のある特定のグループは、式(4):
【化4】


[式中、m、n、R、R、R、R、及びRは、本明細書で定義された通りである]
を有し、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシドである。
【0038】
本発明の別の特定の態様では、R及びRは、それぞれ水素原子である。
【0039】
本発明の別の特定の態様では、mは整数1であり、nは整数1である。
【0040】
本発明の化合物の1つの特定のグループでは、Rは水素原子である。
【0041】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物のあるグループでは、Rは、C1〜6アルキル、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、−(CH1〜2フェニル、−(CH1〜2ヘテロアリール、−(CH1〜2ヘテロシクロアルキル、又は−(CH1〜23〜6シクロアルキルから選択される基であり、フェニル又はヘテロアリール基はそれぞれ、R基として又はR基の一部として存在し、本明細書で定義されるR基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、アルキル基、ヘテロシクロアルキル基、又はシクロアルキル基はそれぞれ、R基として又はR基の一部として存在し、本明細書で定義されるR基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよい。
【0042】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の更なるグループでは、Rは、場合により置換されたC1〜6アルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、又は−(CH1〜2フェニルから選択される基である。
【0043】
このタイプの特定のRの例には、C1〜6アルキル、例えば、イソプロピル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、N−C1〜6アルキルイミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピロリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHフェニル、又は−CHピリジルが含まれる。
【0044】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の1つの特定のグループでは、Rは、イソプロピル基、フェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、テトラヒドロピラニル基、シクロペンチル基、−CHフェニル基、又は−(CH)−3,4−ジフルオロフェニル基、特にイソプロピル、テトラヒドロピラニル、フェニル、又は−CHフェニルである。R基の典型的な例には、イソプロピル、−CHフェニル、シクロペンチル、フェニル、及びテトラヒドロピラニルが含まれる。更なる典型的な例には、3,4−ジフルオロベンジル、ピペリジン−4−イル、1−メチルピペリジン−4−イル、1−エチルピペリジン−4−イル、及び1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルが含まれる。
【0045】
本発明の化合物の1つのグループでは、Rは、F、Cl、Br、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、又は−CNから選択される原子又は基である。
【0046】
本発明の化合物において、Rは、例えば、F、Cl、メチル、−CF、−CFH、メトキシ、−OCF、−OCFH、又は−CNから選択される原子又は基であることができる。R基の更なる例には、−COH、−COCH、−COCHCH、−COC(CH、−CONH、−CON(H)CH、−CON(CH、又は−COCHが含まれる。本発明の1つの特定の態様においては、RはF原子である。
【0047】
本発明の化合物の1つのグループでは、Rは、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、又は=NOR10から選択される原子又は基である。
【0048】
本発明の化合物において、Rは、例えば、F、メチル、−CF、−CFH、メトキシ、−OCF、−OCFH、=O、=NOH、又は=NOCHから選択される原子又は基であることができる。R基の更なる例には、−COH、−COCH、−COCHCH、−COC(CH、−CONH、−CON(H)CH、−CON(CH、又は−COCH基、特に−COC(CHが含まれる。R基の更に具体的な例として、メチル、エチル、及び−COC(CHが含まれる。
【0049】
本発明の化合物の別のグループは、式(1)又は(3)を有し、式中、R及びRはそれらが結合している炭素原子と共にC3〜6シクロアルキル基、特に、場合により本明細書で定義されるRで置換されたシクロブチルを形成する。
【0050】
本発明の化合物の1つのグループでは、Rは、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、又は=NOR10から選択される原子又は基である。
【0051】
本発明の化合物の1つのグループでは、Rは、F、メチル、−CF、−CFH、メトキシ、−OCF、−OCFH、=O、=NOH、又は=NOCHから選択される原子又は基である。
【0052】
の具体的な例には、F、Cl、メチル、エチル、イソプロピル、−CF、−CFH、メトキシ、エトキシ、−OCF、又は、−OCFHが含まれる。式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の1つのグループでは、Rは、F又はCl原子、或いはメチル基、エチル基、−CF基、又はメトキシ基、特にF又はCl原子、或いはメチル基、エチル基、又はメトキシ基である。
【0053】
の具体的な例として、水素、F、Cl、メチル、エチル、イソプロピル、−CF、−CFH、メトキシ、エトキシ、−OCF、−OCFH、−CN、−SOCH、−SON(H)、−SON(CH、−SON(H)CH、−CON(H)、−CON(CH、−CON(H)CH、−N(H)、−N(CH、−N(H)CH、−NHSOCH、又は−NHCOCHが含まれる。式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の1つのグループでは、Rは、水素、F、若しくはCl原子、又はメチル基、−CF基、メトキシ基、エトキシ基、−OCF基、若しくは−OCFH基であり、特に水素、フッ素、又は塩素原子、或いはメチル基、エトキシ基、−CF基、又は−OCF基である。
【0054】
本発明のある種の化合物は、マトリックスのメタロプロテイナーゼを阻害する能力を比較すると、驚くほどCD23の選択性が良好でもある。こういったマトリックスのメタロプロテイナーゼの例として、MMP9又はMMP13が含まれる。このような化合物は、アレルギー性疾患及び本明細書に記載された他の疾患など、CD23が役割を果たす疾患の治療に特に有用である。この有用な特性を有する本発明の化合物には、RがF、Cl、C1〜3アルキル、又はメチル、エチル、又はメトキシ、特にF、Cl、メチル、又はメトキシから選択される原子又は基である式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物が含まれる。特に好ましい化合物のグループは、Rがメチル基である。
【0055】
このタイプの化合物には、
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2,4−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド;
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド;
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−2−フェニル−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)−プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2(R)−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド;
1−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸ヒドロキシアミド;
及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシドが含まれる。
【0056】
このタイプのさらなる化合物には、
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド;
及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−酸化物が含まれる。
【0057】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物は、CD23分断の強力な阻害物質である。これらの化合物がこのように作用する能力は、下記の実施例に記載したような試験を用いて簡単に決定することができる。これらのマトリックスのメタロプロテイナーゼの阻害に関する、本発明のある種の化合物の選択性プロファイルは、国際特許出願(International Patent Application)WO−A−98/05635の実施例Dに記載されているアッセイを用いて決定することができる。
【0058】
したがって、本発明の化合物は、sCD23のレベルの上昇に伴う病状の治療に用いることができる。このような疾患及び障害を治療する薬物を製造するために、本発明は、そのような使用、及び一般には式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の使用に拡張される。
【0059】
本発明の化合物を用いることができる特定の使用には、喘息などのアレルギー性疾患、アトピー性皮膚炎及び他のアトピー性疾患、アレルギー性鼻炎、食品アレルギーなどの胃腸アレルギー、好酸球増加症、結膜炎、糸球体腎炎、移植片対宿主疾患、全身性アナフィラキシー又は過敏性反応、じんましん、ショック、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー又は寄生虫感染が含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、病因とは関係なく前述の例示した障害の治療、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎の治療に有用である。
【0061】
本発明の化合物は、慢性関節リウマチ又は乾癬などの炎症性疾患、及びリンパ腫又は白血病などの新生物疾患を含む、sCD23が関与する他の疾患にも使用することができる。
【0062】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物は、単独で、又は喘息、及びアトピー性皮膚炎、並びに本明細書で論じられる病状を含むアレルギー性障害及び疾患を予防し、治療するのに関連する用途を有する他の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0063】
疾患を予防し、又は治療するために、本発明による化合物を薬剤組成物として投与することができ、本発明の更なる態様により、我々は、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を1つ又は複数の薬剤上許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と共に含む薬剤組成物を提供する。
【0064】
本発明の代替の組成物は、式(1)、(2)、(3)、若しくは(4)の化合物、又はその塩、免疫抑制薬又は抗炎症薬から選択される更なる薬剤、及びあらゆる薬剤上許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含む。
【0065】
本発明による薬剤組成物は、経口、バッカル、非経口、経鼻、局所、経膣、若しくは直腸投与に適当な形態、又は吸入若しくは通気法による投与に適当な形態を取ることができる。
【0066】
経口投与には、薬剤組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増量剤(例えば、乳糖、微晶質セルロース、若しくはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、若しくはシリカ)、崩壊剤(例えば、バレイショデンプン、若しくはグリコール酸ナトリウム)、又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬剤上許容される賦形剤と共に慣用的方法により調製された、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤などの形態をとることができる。錠剤は、当技術分野でよく知られた方法によりコーティングすることができる。経口投与用の液体製剤は、溶液剤、シロップ剤、若しくは懸濁剤などの形態をとることができ、又は使用前に水若しくは他の適当なビヒクルで構成する乾燥製品として提供することができる。こういった液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル、保存剤などの薬剤上許容される添加剤と共に慣用的方法により調製することができる。製剤はまた、適宜、緩衝塩、及び香味料、着色料、又は甘味料を含むことができる。
【0067】
経口投与用の製剤は、有効成分を制御放出するために適切に調合することができる。
【0068】
バッカル投与には、組成物は慣用法で調合された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0069】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物は、例えば、ボーラス注射又は点滴などの注入による非経口投与用に調合することができる。注入用の製剤は、例えば、ガラスアンプルなどの単位投与形態、又はガラスバイアルなどの多回投与容器で提供することができる。注入用の組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤、又は乳化剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤、保存剤、及び/又は分散剤などの調合用物質を含むことができる。或いは、有効成分は、使用前に発熱性物質を含まない滅菌水などの適当なビヒクルで構成するための粉末形態であることができる。粒子が媒介する投与として、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を微細金粒子などの粒子上にコーティングすることができる。
【0070】
上記に述べた製剤に加えて、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を、デポ製剤として調合することもできる。このような長時間作用性製剤は、植込みにより、又は筋肉注射により投与することができる。
【0071】
経鼻投与又は吸入による投与には、本発明による使用のための化合物は、適当な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、若しくは他の適当なガス、又はガスの混合)の使用と共に、加圧包装又はネブライザー用のエアロゾルスプレー体裁の形態で好都合に送達される。
【0072】
経膣又は直腸投与には、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を坐剤として調合することができる。これらの製剤は、有効成分を、室温では固体であるが体温では液体である適当な非刺激性の賦形剤と混合して調製することができる。このような材料には、例えば、ココアバター、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0073】
組成物を、所望により、有効成分を含む1つ又は複数の単位投与形態を含むことができる包装又はディスペンサー装置で提供することができる。包装又はディスペンサー装置には、投与するための指示書を添えることができる。
【0074】
特定の病状の予防又は治療に必要とされる本発明の化合物の量は、選択された化合物及び治療する患者の病状に応じて変化する。しかし、一般的には1日投与量は、経口又はバッカル投与で約100ng/kg体重から100mg/kg体重まで、例えば約0.01mg/kg体重から40mg/kg体重まで、非経口投与で約10ng/kg体重から50mg/kg体重まで、経鼻投与又は吸入若しくは通気による投与では、約0.05mgから約1000mgまで、例えば約0.5mgから約1000mgまでの範囲であることができる。
【0075】
本発明による化合物は、新しい生物学的試験の開発における使用、及び新しい薬理学的物質の検索における使用のための薬理学的標準として使用することができる。本発明による化合物はまた、放射性標識することができる。
【0076】
本発明の化合物は、概ね以下に記載したいくつかのプロセスにより、より具体的には下記の実施例で調製することができる。記載した反応の多くは、様々な化合物に適用することができ、したがって本発明の化合物を生成するためだけではなく、必要な場合にはその中間生成物もまた生成するために用いることができる、よく知られた標準的な合成方法である。
【0077】
以下のプロセスの記載において、m、n、Cy、R、R、R、R、R、及びRの記号を、図示の式で用いるときは、他に明記されない限り、式(1)、(2)、(3)、又は(4)に関して上記した基を表すと理解されたい。以下に記載する反応においては、反応性のある官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、チオ、又はカルボキシ基が最終生成物に望まれる場合には、これらが望まれない反応に関与するのを避けるためにこれらを保護する必要があることがある。慣用の保護基は、標準的な方法に従って用いることができる(例えば、Greene,T.W.著「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」John Wiley and Sons発行(1999年)及び本明細書の実施例を参照されたい)。いくつかの例では、脱保護は、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の合成の最終ステップであることがあり、以下に記載する本発明によるプロセスは保護基の除去にまで拡張されることを理解されたい。
【0078】
したがって、本発明の更なる態様によると、式(1)の化合物又はその特定の異性体は、スキームAに示される一般的な方法を用いて調製することができる。
【化5】

【0079】
したがって、式(iii)の化合物で、Wが、例えば、メトキシ、エトキシ、若しくはtert−ブトキシなどのアルコキシ基、又は4(R)−ベンジルオキサゾリジン−2−オンなどのキラル補助基である場合には、スルホニルクロリドを室温で(i)アミンと(ii)トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、ジクロロメタンなどのハロゲン化溶媒中で反応させるなどの、文献でよく知られた方法で調製することができる。
【0080】
一般式(i)の化合物は、当業者には知られており、又は当業者であれば、例えばWO−A−99/24399の文献で知られた条件、若しくは下記の実施例に記載した条件を用いて製造することができる。一般式(ii)の化合物は市販されており、又は文献で知られた方法を用いて、若しくは当業者に周知のあらゆる方法により製造される。
【0081】
一般式(iv)のカルボン酸は、式(iii)の適切に保護されたカルボン酸の脱保護により調製することができる。例えば、Wがエトキシなどのアルコキシ基である場合には、水酸化リチウム水溶液などの塩基を用いることができる。或いは、Wがtert−ブチル基である場合はトリフルオロ酢酸を用いることができ、Wが4(R)−ベンジルオキサゾリジン−2−オンなどのキラル補助基の場合には水酸化リチウム/過酸化水素を用いることができる。下記の実施例に記載したような、適切な溶媒及び温度条件を用いることができる。
【0082】
一般式(1)のヒドロキサム酸は、文献でよく知られた条件を用いて調製することができる。例えば、式(iv)の酸を不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中塩化オキサリルで処理すると中間生成物の酸塩化物が得られ、これは分離でき、又はできないこともあるが、室温などの適当な温度でヒドロキシルアミンと反応させ目的のヒドロキサム酸(1)が得られる。或いは、式(iv)の酸は、例えば塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどのジイミドを用いて、有利にはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールのようなN−ヒドロキシ化合物などの触媒の存在下、例えば−15℃のN,N−ジメチルホルムアミド中などの適当な条件を用いて、その後tert−ブチルジメチルシリルヒドロキシルアミンなどの適当に保護されたヒドロキシルアミンを引き続き添加し、周囲温度に暖めることにより、その場所で活性化することができる。保護基は、例えば、0℃で水又はテトラブチルアンモニウムフッ化物、及び酢酸のテトラヒドロフラン溶液などの適当な条件を用いて取り除き、式(1)の目的のヒドロキサム酸を得ることができる。
【0083】
式(i)〜(iv)の中間生成物、及び式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を得るのに必要とされるあらゆる他の中間生成物が市販されていない場合には、当業者により周知の方法により、例えば、「炭素化合物に関するロッドの化学(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」1〜15巻及び補足(Elsevier Science Publishers、1989年)、「有機合成のためのFieserとFieserの試薬(Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis)」1〜19巻(John Wiley and Sons、1999年)、「総合複素環化学(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)」Katritzkyら編、1〜8巻、1984年、及び1〜11巻、1994年、(Pergamon)、「総合有機官能基変換(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)」Katritzkyら編、1〜7巻、1995年(Pergamon)、「総合有機合成(Comprehensive Organic Synthesis)」Trost and Fleming編、1〜9巻(Pergamon、1991年)、「有機合成のための試薬事典(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis)」Paquette編、1〜8巻(John Wiley and Sons、1995年)、「Larockの総合有機変換(Larock’s Comprehensive Organic Transformations)」(VCH Publishers社、1989年)、並びに「Marchの上級有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)」(John Wiley and Sons、1992年)などの参照文献に述べられた手順に従い調製することができる。
【0084】
したがって、例えば、一般式(ii)のアミンは、スキームBに示した一般的な方法を含む当業者に周知の方法を用いて調製することができる。
【化6】

【0085】
例えば、Cyがフェニル基の場合、一般式(v)のアニリンを、高温でクロロベンゼンなどの適当な溶媒中、酸触媒などの周知の方法を用いて式(vi)のアミンと反応させ、式(ii)の化合物を得ることができる。
【0086】
或いは、(Xが下記に定義される)式(vii)の適切に活性化された基は、標準法を用いて、(Pがtert−ブトキシカルボニルなどの保護基である)式(viii)のアミンと反応させ、式(ix)の化合物を得ることができる。例えば、Xが臭素若しくはヨウ素などのハロゲン原子、又はトリフルオロメチルスルホニルオキシ(OTf)若しくはボロン酸誘導体などの適切な離脱基である場合には、適当な条件は、高温でテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中パラジウム触媒を使用することを含むことができる。Xがフッ素原子である場合には、適当な条件は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、N−メチルピロリジンなどの非プロトン性極性溶媒中で加熱することを含むことができる。式(ix)の化合物は、標準の脱保護法を用いて、式(ii)の化合物に変換することができる。反応条件を満たすために合成の各段階で異なる保護基Pが必要とされることがあり、したがって標準方法を用いて相互変換されることがあることを、当業者なら理解されよう。
【0087】
式(1)、(2)、(3)、若しくは(4)の化合物、又はあらゆる前述の中間生成物は、置換、酸化、還元、若しくは開裂反応を用いた1つ又は複数の標準的合成法により更に誘導することができることを理解されたい。特定の置換方法には、慣用的なアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、チオアシル化、ハロゲン化、スルホニル化、ニトロ化、ホルミル化、及びカップリング技法が含まれる。これらの方法は、これらの化合物中に適当な官能基が存在する場合に、式(1)、(2)、(3)、若しくは(4)の他の化合物、又はあらゆる前述の中間生成物を得、或いは修飾するためにも用いることができることを理解されたい。
【0088】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の塩は、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物を適当な溶媒又は溶媒の混合液中、例えば、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)若しくはアルコール(例えば、エタノール)などの有機溶媒、又は水性溶媒中で、慣用の技法を用いて適当な塩基又は酸と反応させることにより調製することができる。式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の塩は、慣用のイオン交換クロマトグラフィー技法を用いて他の塩と交換することができる。
【0089】
式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の特定の鏡像異性体を得たい場合には、鏡像異性体を分割するあらゆる適当な慣用の手順を用いて、対応する鏡像異性体の混合物から製造することができる。
【0090】
したがって、例えば、塩などのジアステレオマー性の誘導体は、式(1)、(2)、(3)、又は(4)の鏡像異性体の混合物、例えばラセミ体と、キラル塩基などの適当なキラル化合物との反応により製造することができる。その後、ジアステレオマーは、結晶化などあらゆる慣用の手段により分離され、例えばジアステレオマーが塩の場合には酸で処理することにより、所望の鏡像異性体が回収される。
【0091】
別の分割方法では、式(1)、(2)、(3)、又は(4)のラセミ体は、キラル高速液体クロマトグラフィーを用いて分離することができる。或いは、所望により、上記のプロセスの1つで適当なキラル中間生成物を用いることにより、特定の鏡像異性体を得ることができる。
【0092】
クロマトグラフィー、再結晶化、及び他の慣用の分離手順を、また、所望により中間生成物又は最終生成物に用いて、本発明の特定の幾何異性体を得ることができる。
【0093】
以下の実施例は本発明を例示するものである。温度は全て℃である。試薬の調製に対し実験上の詳細が記載されていない場合は、市販品であるか、又は文献で周知のものであり、それらに対してはCAS番号が引用してある。化合物は、MDLインフォメーションシステムGmbH(Theodor−Hauss−Allee 108,D−60486 Frankfurt,Germany)により提供された構造式名称変換(Beilstein Autonom)の助けにより命名してある。
【0094】
H NMRスペクトルは、他に示してなければ、300MHz又は400MHzで得られたものである。
【0095】
以下のLCMS条件を用いて、本明細書に記載された保持時間(RT)が得られた。
LCMS条件
HP1100(ダイオードアレイ)を、ESIモード、Pos/Negイオン化法のFinnigan製LC−Q質量分析計に接続する。
カラム:LunaC18(2) 100×4.6mm、粒子径5μmのAnalyticalカラム
カラム温度:35℃
移動相:A:水+0.08%ギ酸
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:3ml/分
グラジエント:時間(分):Bの配合%
0 5
4.4 95
5.30 95
5.32 5
6.5 5
分析時間:6.5分
通常の注入容積:5μl
検出器波長:DAD 205〜330nm
プレパラティブLC条件
ギルソン(Gilson)215リキッドハンドラー装置
カラム:LunaC18(2)250×21.2mm、粒子径5μm PREPカラム
カラム温度:周囲温度
移動相:A:水+0.08%ギ酸
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
グラジエント:可変 LCMSスクリーンにおける試料の保持に応じる
分析時間:20分
流速:20ml/分
通常の注入体積:25mg/ml溶液を750μl
検出器波長:210及び254nm
使用した省略形
DCM ジクロロメタン
THF テトラヒドロフラン
MeOH メタノール
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
TFA トリフルオロ酢酸
MTBE tert−ブチルメチルエーテル
nBuLi n−ブチルリチウム
pTSA p−トルエンスルホン酸
ヒューニッヒ(Hunig’s)塩基 N,N−ジイソプロピルエチルアミン
CDCl 重水素化クロロホルム
DMSO 重水素化ジメチルスルホキシド
メタノール−d 重水素化メタノール
【0096】
中間生成物1
3−メチル−2−メチレン酪酸
イソプロピルマロン酸(30g)を1,4−ジオキサン(200ml)に溶解し、ピペリジン(30ml)、次いでホルムアルデヒド水溶液(30ml)を加えた。溶液を一夜撹拌し、得られた濃厚白色懸濁液を2時間、100℃に加熱し、その後冷却して蒸発させた。混合液を水(300ml)で希釈し、エーテル(200ml)で洗浄し、クエン酸で酸性化してpH4にし、DCM(2×200ml)で抽出した。溶媒を水(300ml)及びブライン(300ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発して無色固体として表題化合物を得た(25g)。MS114(M)。
【0097】
中間生成物2
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸
3−メチル−2−メチレン酪酸(25g)を48%臭化水素酸の酢酸溶液(100ml)に溶解し、溶液を室温で一夜撹拌し、次いで水(300ml)に加え、ジエチルエーテルで抽出した。混合液をジエチルエーテルで抽出し、溶媒を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発して淡コハク色固体として表題化合物を得た(33g)。MS195(M)。
【0098】
中間生成物3
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸(33g)をパール(Parr)圧力反応容器中に入れ、−78℃に冷却し、イソブチレン(200ml)及びDCM(200ml)を加え、次いで濃硫酸(1ml)を加えた。容器を密封し、混合液を室温で18時間撹拌し、次いで注意して圧力を緩め、溶液を重炭酸ナトリウム飽和溶液に加えた。混合液をジエチルエーテルで抽出し、溶媒を水及びブラインで洗浄し、真空で蒸発させて無色液体として表題化合物を得た(33g)。MS251(M)。
【0099】
中間生成物4
2−アセチルスルファニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル
チオ酢酸カリウム(20g)を2−ブロモメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(33g)のDMF溶液(200ml)に加え、褐色の混合液を18時間撹拌し、次いで水(1リットル)に加え、混合液をジエチルエーテルで抽出した。溶媒を水、重炭酸ナトリウム飽和溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させてコハク色油として表題化合物を得た(29g)。MS246(M)。
【0100】
中間生成物5
2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル
0℃で1時間、2−アセチルスルファニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(29g)のDCM(100ml)及び水(100ml)溶液に塩素を通し、淡緑色溶液を得た。相を分離し、有機層を、水、重炭酸ナトリウム溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色液体の生成物を得、これを冷却して結晶化した(27g)。MS270(M)。
【0101】
中間生成物6
(テトラヒドロピラン−4−イリデン)酢酸メチルエステル
テトラヒドロピラン−4−オン(10g)のTHF溶液に、臭化カルボメトキシトリフェニルホスホニウム(45g)を加えた。水素化ナトリウム(4.2g)を少量ずつ注意深く加えた。この懸濁液を18時間還流して撹拌し、次いで冷却し、ろ過し、蒸発させた。残留物をシリカを通しジエチルエーテル/ヘキサン 1:1で溶出してろ過し、無色油として表題化合物を得た(13g)。MS156(M)。
【0102】
中間生成物7
(テトラヒドロピラン−4−イル)酢酸メチルエステル
(テトラヒドロピラン−4−イリデン)酢酸メチルエステル(13g)を、24時間、メタノール中大気圧で水素化し、溶液をろ過し、蒸発させて、無色液体として表題化合物を得た(13g)。MS158(M)。
【0103】
中間生成物8
(テトラヒドロピラン−4−イル)酢酸
水酸化ナトリウム(16g)水溶液(400ml)を、(テトラヒドロピラン−4−イル)酢酸メチルエステル(13g)のメタノール溶液に加えた。混合液を、室温で一夜撹拌し、次いで真空中で蒸発させた。溶液をジエチルエーテルで洗浄し、濃塩酸で酸性化してpH2とし、酢酸エチルで抽出し、溶媒をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体の表題化合物(10.2g)を得た。MS144(M)。
【0104】
中間生成物9
4(R)−ベンジル−3−[2−(テトラヒドロピラン−4−イル)アセチル]オキサゾリジン−2−オン
(テトラヒドロピラン−4−イル)酢酸(10g)のDCM溶液に、塩化オキサリル(5ml)及びDMF(1滴)を加えた。混合液を3時間撹拌し、次いで真空で蒸発させ、トルエンで完全に共沸させた。残留物をTHFに溶解し、−78℃で、(R)−ベンジルオキサゾリジノン(12.1g)及びnBuLi(2.5Mヘキサン溶液、30ml)のTHF溶液(200ml)に1滴ずつ加えた。溶液を2時間撹拌し、次いで塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、真空で蒸発させた。混合液を酢酸エチルで抽出し、溶媒を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体として表題化合物を得た(14g)。MS304(M+H)。
【0105】
中間生成物10
4(R)−ベンジル−3−[3−ヒドロキシ−2(S)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]−オキサゾリジン−2−オン
四塩化チタニウム(1M DCM溶液、14ml)を、0℃で4(R)−ベンジル−3−[2−(テトラヒドロピラン−4−イル)アセチル]オキサゾリジン−2−オン(4g)のDCM溶液(100ml)に加え、続いてヒューニッヒの塩基(2.5ml)を加えた。混合液を30分間撹拌し、次いでトリオキサン(1.2g)及び四塩化チタニウム(14ml)を加えた。濃紫色の懸濁液を4時間撹拌し、続いて塩化アンモニウム飽和溶液でクエンチし、有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をカラムに通して(エーテル)白色固体として表題化合物を得た(1.6g)。MS334(M+1)。
【0106】
中間生成物11
4(R)−ベンジル−3−[3−ヨード−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]オキサゾリジン−2−オン
4(R)−ベンジル−3−[3−ヒドロキシ−2(S)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]オキサゾリジン−2−オン(1.6g)をトルエンに溶解し、トリフェニルホスフィン(1.4g)、ヨウ素(1.3g)、及びイミダゾール(350mg)を加えた。混合液を還流して1時間撹拌し、次いで冷却し、水で洗浄して溶液を蒸発させた。残留物をカラムに通して(2:1 ジエチルエーテル:ヘキサン)白色固体として表題化合物を得た(1.8g)。MS444(M+1)。
【0107】
中間生成物12
4(R)−ベンジル−3−[3−アセチルスルファニル−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]−オキサゾリジン−2−オン
4(R)−ベンジル−3−[3−ヨード−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]オキサゾリジン−2−オン(1.8g)をDMF(20ml)に溶解し、チオ酢酸カリウム(600mg)を加えた。懸濁液を4時間撹拌し、次いで水に加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を水、重炭酸塩、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて淡橙色ゴムとして表題化合物を得た(1.5g)。MS392(M+1)。
【0108】
中間生成物13
3−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−3−オキソ−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロパン−1−スルホニルクロライド
4(R)−ベンジル−3−[3−アセチルスルファニル−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオニル]オキサゾリジン−2−オン(1.5g)のDCM(100ml)及び水(100ml)溶液に30分間塩素を通した。溶液を30分間撹拌し、窒素でパージし、相を分離した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体として表題化合物を得た(1.3g)。MS416(M+1)。
【0109】
中間生成物14
2−ベンジルアクリル酸
3−メチル−2−メチレン酪酸で記載した方法を用い、ベンジルマロン酸(25g)から調製して、白色固体として表題化合物を得た(18g)。MS162(M+1)。
【0110】
中間生成物15
2−ブロモメチル−3−フェニルプロピオン酸
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸で記載した方法を用い、2−ベンジルアクリル酸(18g)から調製して、白色固体の表題化合物(23g)を得た。MS243(M)。
【0111】
中間生成物16
2−ブロモメチル−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、2−ブロモメチル−3−フェニルプロピオン酸(23g)から調製して、褐色油状の表題化合物(28g)を得た。MS299。
【0112】
中間生成物17
2−アセチルスルファニルメチル−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−アセチルスルファニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、2−ブロモメチル−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(28g)から調製して、黄色油状の表題化合物(18.5g)を得た。MS294(M)。
【0113】
中間生成物18
2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、2−アセチルスルファニルメチル−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(18.5g)から、無色固体を調製した(19g)。MS319(M+H)。
【0114】
中間生成物19
2−シクロペンチルアクリル酸
3−メチル−2−メチレン酪酸で記載した方法を用い、シクロペンチルマロン酸(5g)から調製し、黄色油として表題化合物を得た(4.1g)。

【0115】
中間生成物20
3−ブロモ−2−シクロペンチルプロピオン酸
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸で記載した方法を用い、2−シクロペンチルアクリル酸(4.1g)から調製し、白色固体として表題化合物を得た(4.34g)。

【0116】
中間生成物21
3−アセチルスルファニル−2−シクロペンチルプロピオン酸
チオ酢酸カリウム(2.24g)を、3−ブロモ−2−シクロペンチルプロピオン酸(4.34g)のDMF溶液(20ml)に加え、混合液を24時間撹拌した。褐色溶液を水に加え、ジエチルエーテルで抽出し、溶媒を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、真空で蒸発させて褐色固体として表題化合物を得た(3.8g)。

【0117】
中間生成物22
3−アセチルスルファニル−2−シクロペンチルプロピオン酸tert−ブチルエステル
3−アセチルスルファニル−2−シクロペンチルプロピオン酸(3.8g)を、イソブチレン(30ml)及びDCM(30ml)の混合液に溶解し、濃硫酸(1ml)を加え、混合液をパール(Parr)圧力反応容器中で18時間撹拌した。圧力を注意深く緩め、この溶液を重炭酸ナトリウム飽和溶液に加え、相を分離し、有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて褐色油として表題化合物を得た(4.1g)。

【0118】
中間生成物23
3−クロロスルホニル−2−シクロペンチルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、3−アセチルスルファニル−2−シクロペンチルプロピオン酸tert−ブチルエステル(1.7g)から調製して、コハク色油として表題化合物を得た(1.6g)。

【0119】
中間生成物24
1−(クロロスルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸エチルエステル
−78℃で、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液を49.8ml)を、ジイソプロピルアミン(11.2ml)のTHF溶液(90ml)に加え、溶液を30分間撹拌した。エチルシクロブタンカルボキシラートの溶液(10ml)を、1滴ずつ加え、混合液を30分間撹拌し、次いでジヨードメタン(6.4ml)で処理した。混合液を3時間撹拌し、放置して室温に暖め、水(50ml)でクエンチし、蒸発させた。残存した混合液を、水と酢酸エチルで分割し、有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をDMF(50ml)に溶解し、チオ酢酸カリウム(8.3g)を加えた。褐色の溶液を室温で一夜撹拌し、次いで水に加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて褐色油状とした。残留物をDCM(100ml)に溶解し、水(100ml)を加え、0℃で塩素を泡状で混合液中を通した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発して褐色油として表題化合物を得た(9.8g)。TLC R0.45(2:1 ヘプタン−酢酸エチル)
【0120】
中間生成物25
4(R)−ベンジル−3−(3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン
−78℃で、(R)−ベンジルオキサゾリジノン(28.9g)のTHF(200ml)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、65ml)を加え、混合液を30分間撹拌し、次いで3−メチルブタノイルクロライド(22ml)を加え、溶液を2時間撹拌した。反応混合液を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、真空で蒸発させ、残留物をDCM(2×200ml)で抽出した。溶媒を水、重炭酸塩溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体として表題化合物を得た(41.5g)。MS261(M)。
【0121】
中間生成物26
4(R)−ベンジル−3−(2(S)−ヒドロキシメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン
0℃で、4(R)−ベンジル−3−(3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン(41.5g)のDCM溶液に、四塩化チタン(18ml)を加えた。ヒューニッヒの塩基(28ml)を加え、紫色溶液を30分間撹拌し、次いでトリオキサン(11.2g)のDCM溶液を1滴ずつ加え、続けて四塩化チタンを加えた。混合液を0℃で2時間激しく撹拌するとコハク色溶液が得られるので、これを塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。相を分離し、有機層を水、重炭酸塩溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて白色固体とした(45g)。MS291(M)。
【0122】
中間生成物27
4(R)−ベンジル−3−(2(R)−ヨードメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン
ヨウ素(42g)、トリフェニルホスフィン(47g)、及びイミダゾール(12g)を、4(R)−ベンジル−3−(2(S)−ヒドロキシメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン(45g)のトルエン溶液(500ml)に加え、混合液を還流して1時間煮沸した。得られた懸濁液を冷却し、ろ過し、ろ過物を水及びブラインで洗浄した。固体の残留物をDCMに溶解し、シリカ(200g)中をエーテル/ヘキサンで溶出してろ過し、淡黄色油として表題化合物を得た(57g)。MS401(M)。
【0123】
中間生成物28
4(R)−ベンジル−3(2(R)−アセチルチオメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン
チオ酢酸カリウム(19g)を、4(R)−ベンジル−3−(2(R)−ヨードメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン(56g)のDMF溶液(300ml)に加え、混合液を室温で3時間撹拌し、次いで水(2l)に加え、エーテル(2×500ml)で抽出した。溶媒を水、重炭酸塩溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、淡コハク色油として表題化合物を得た(49g)。MS349(M)。
【0124】
中間生成物29
4(R)−ベンジル−3−(2(R)−クロロスルホニルメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン
4(R)−ベンジル−3−(2(R)−アセチルチオメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン(49g)のDCM(200ml)及び水(200ml)溶液に、溶液が黄色になるまで塩素を泡状にして通した。混合液を1時間激しく撹拌し、次いで窒素でパージし、相を分離し、有機相を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色ゴム状として表題化合物を得た(42g)。

【0125】
中間生成物30
1−(2−メチル−4−エトキシフェニル)ピペラジン
2−メチル−4−エトキシアニリン(2.3g)及び塩酸ビス−クロロエチルアミン(3g)を、クロロベンゼン(200ml)中、pTSA(2.6g)と共に24時間加熱した。混合液を冷却し、真空で蒸発させ、残留物をシリカのカラムに通し、1%水酸化アンモニウムを含む12%MeOH/DCMで溶出してピンク色固体として表題化合物を得た(0.45g)。MS221(M+H)。
【0126】
中間生成物31
1−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン
1−(2−メチル−4−エトキシフェニル)ピペラジンに記載した方法を用い、2−メチル−4−トリフルオロメトキシアニリンから調製して白色固体として表題化合物を得た(0.55g)。MS261(M+H)。
【0127】
中間生成物32
1−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン
1−tert−ブトキシカルボニルピペラジン(1.9g)を、3,4−ジフルオロベンゾトリフルオリド(1.9g)のNMP(20ml)及びトリエチルアミン(1.5ml)溶液に加え、混合液を120℃で72時間加熱し、次いで冷却し、水(80ml)に加え、DCM(100ml)で抽出した。溶媒を水(100ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をDCM(50ml)に溶解し、TFA(10ml)で処理し、溶液を2時間撹拌し、次いで真空で蒸発させ、残留物を水(100ml)に溶解した。この水溶液をエーテル(30ml)で洗浄し、1M水酸化ナトリウムで塩基化し、DCM(100ml)で抽出し、溶媒を水(50ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、無色固体として表題化合物を得た(300mg)。MS249(M+H)。
【0128】
中間生成物33
3−ブロモ−2−フェニルプロピオン酸
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸で記載した手順に従い、フェニルマロン酸[CAS番号492−38−6](4g)から調製して、コハク色油状物を得た(5.2g)。MS229(M)。
【0129】
中間生成物34
3−ブロモ−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−ブロモメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、3−ブロモ−2−フェニルプロピオン酸(5g)から、無色油状物を調製した(4.5g)。MS285(M)。
【0130】
中間生成物35
3−アセチルスルファニル−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−アセチルスルファニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、3−ブロモ−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(4g)から、黄色液体を調製した(3.3g)。MS280(M)。
【0131】
中間生成物36
3−クロロスルホニル−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル
2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステルで記載した方法を用い、3−アセチルスルファニル−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(3g)から、ベージュ色固体を調製した(2.1g)。TLC R0.47(ジエチルエーテル)。
【0132】
中間生成物37
4(R)−ベンジル−3−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)プロピオニル]オキサゾリジン−2−オン
3,4−ジフルオロフェニルヒドロケイ皮酸(53mmol、10g)をDCM(100ml)に溶解し、塩化オキサリル(10ml)及びDMF(1滴)と共に室温で3時間撹拌した。溶液を真空で蒸発させ、ヘプタンと共沸した(2×200ml)。残留物をTHF(20ml)に溶解し、−78℃で(R)−ベンジルオキサゾリジノン(9g)及びnBuLi(1.6Mヘキサン溶液、35ml)のTHF(100ml)溶液に1滴ずつ加えた。混合液を2時間撹拌し、塩化アンモニウム飽和溶液(100ml)でクエンチし、真空で蒸発させ、ろ過により固体生成物を回収し、無色固体として表題化合物を得た(16g)。MS346(M+1)。TLC R0.65(EtO)。
【0133】
中間生成物38
4(R)−ベンジル−3−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2(S)−ヒドロキシメチルプロピオニル]オキサゾリジン−2−オン
中間生成物37(6.9g)を、0℃で乾燥DCM(150ml)に溶解し、四塩化チタニウム(2.2ml)を加え、続けてヒューニッヒの塩基(3.5ml)を加えた。混合液を2時間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム(100ml)でクエンチした。相を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム飽和溶液(2×100ml)及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させ、残留物をシリカのカラムクロマトグラフィー(3:1EtO/ヘキサン)で精製して無色固体として表題化合物を得た(4.3g)。MS376(M+1)。TLC R0.45(EtO)。
【0134】
中間生成物39
4(R)−ベンジル−3−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2(R)−ヨードメチルプロピオニル]オキサゾリジン−2−オン
中間生成物38(4.3g)をトルエン(100ml)中に懸濁し、トリフェニルホスフィン(3g)、ヨウ素(2.9g)、及びイミダゾール(1g)を加えた。混合液を還流して1時間加熱し、冷却し、水(100ml)、重炭酸ナトリウム飽和溶液(100ml)、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカプラグを通し、エーテル−ヘキサン(1:1)で溶出してろ過し、無色ゴム状の表題化合物を得た(3.7g)。TLC R0.35(1:1エーテル−ヘキサン)。
【0135】
中間生成物40
チオ酢酸[3−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−2(R)−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−オキソプロピル]エステル
中間生成物39(3.7g)をDMF(50ml)に溶解し、チオ酢酸カリウム(0.95g)を加えた。混合液を室温で3時間撹拌し、水に加えてEtO(100ml)で抽出した。この溶液を水(2×50ml)で洗浄し、残留物をシリカのカラムクロマトグラフィーで2:1EtO−ヘキサンで溶出して精製し、淡黄色油として表題化合物を得た(3.05g)。TLC R0.45(2:1EtO−ヘキサン)。
【0136】
中間生成物41
3−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−2(R)−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−オキソプロパン−1−スルホニルクロリド
中間生成物40(3.05g)をDCM(50ml)及び水(40ml)に溶解し、0℃で10分間、塩素を泡状にして溶液に通した。淡黄色の混合液を30分間撹拌し、次いで相を分離し、有機層を水及びブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体として表題化合物を得た(3.10g)。

【0137】
中間生成物42
1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イルマロン酸
0℃で、1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−オン(20g)及びマロン酸ジエチル(16ml)のTHF溶液(200ml)に、四塩化チタニウム(22ml)を1滴ずつ加えた。ピリジン(52ml)を1滴ずつ加え、混合液を一夜撹拌した。水(500ml)及びEtOAc(500ml)を加え、有機層をブライン(300ml)及び1M HCl(300ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をエタノール(200ml)に溶解し、大気圧で10%Pd/C(2g)で、一夜水素化した。混合液をろ過し、水酸化ナトリウム水溶液(2M、200ml)を加えた。溶液を還流して6時間煮沸し、冷却し、蒸発させ、残留物を1M HCl(400ml)及びEtOAc(400ml)で分割した。溶媒を乾燥させ、蒸発させて、残留物をEtOで粉砕し、白色固体結晶として表題化合物を得た(9g)。TLC R0.27(EtOAc/1%AcOH)。
【0138】
中間生成物43
4−(1−カルボキシビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間生成物42(9g)を1,4−ジオキサン(60ml)に溶解し、ホルムアルデヒド溶液(37%水溶液、10ml)及びピペリジン(10ml)を加えた。混合液を一夜撹拌し、還流して1時間加熱した。溶液を真空で蒸発させ、1M HCl(100ml)及びEtO(100ml)で分割した。溶媒を水及びブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、無色固体結晶として表題化合物を得た(5.6g)。TLC R0.42(EtO)。
【0139】
中間生成物44
4−[1−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−カルボニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間生成物43(4.0g)をDCM(50ml)及びピリジン(3ml)に溶解し、塩化オキサリル(3ml)及びDMF(1滴)で処理した。溶液を3時間撹拌し、真空で蒸発させ、ヘプタンと共沸し、乾燥させた。生成物をTHF(20ml)に溶解し、−78℃で4(R)−ベンジルオキサゾリジン−2−オン(2.7g)及びnBuLi(2.5Mヘキサン溶液、6.5ml)のTHF溶液(60ml)中に1滴ずつ加えた。混合液を4時間撹拌し、塩化アンモニウム溶液(200ml)でクエンチし、EtOAc(200ml)で抽出して、溶媒を水及びブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物を3:1 EtO−ヘキサンで溶離するシリカカラムクロマトグラフィーで精製して、無色固体として表題化合物を得た(3.3g)。TLC R0.35(3:1 EtO−ヘキサン)。

【0140】
中間生成物45
4−[1(R)−アセチルスルファニルメチル−2−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−2−オキソエチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間生成物44(3.3g)を、チオ酢酸(10ml)中、18時間室温で撹拌した。混合液をEtO(100ml)で希釈し、1M NaOH(2×50ml)、水、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。分析から、粗生成物は、ジアステレオマーの9対1混合物であることが示された。残留物を1:1 EtO/ヘキサンで溶離するシリカカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固体として表題化合物を得た(2.6g)。

【0141】
中間生成物46
4−[2−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−1(R)−クロロスルホニルメチル−2−オキソエチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
0℃で10分間、中間生成物45(1.6g)及び酢酸ナトリウム(5g)をDCM(50ml)及び水(20ml)に溶かした溶液中を、有機層に微かな黄色が持続するまで塩素を泡状で通した。混合液を更なる30分間撹拌し、次いで相を分離し、有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて無色固体として表題化合物を得た(1.6g)。


方法A
【実施例1】
【0142】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド
1−ortho−トリルピペラジン(106mg)を、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及びトリエチルアミン(0.25ml)のDCM溶液(10ml)に加え、溶液を室温で2時間撹拌した。TFA(2ml)を加え、混合液を3時間撹拌し、次いで真空で蒸発させ、トルエンと共沸して乾燥させた。残留物をDCM(20ml)に溶解し、塩化オキサリル(2ml)及びDMF(1滴)を加えた。この溶液を2時間撹拌し、次いで蒸発させ、乾燥し、トルエンと共沸して乾燥させた。残留物をTHF(10ml)に溶解し、ヒドロキシルアミン水溶液(1ml)を加えた。1時間撹拌した後、混合液を水(10ml)で希釈し、体積が半分になるまで真空で蒸発させた。生成物をろ過により回収し、水(5ml)で洗浄し、乾燥してベージュ色固体として表題化合物を得た(55mg)。

【実施例2】
【0143】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−(4−o−フルオロフェニルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(100mg)及び1−(2−フルオロフェニル)ピペラジン(100mg)から、白色固体として調製した(33.8mg)。

【実施例3】
【0144】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(100mg)及び1−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(100mg)から、無色固体を調製した(26.3mg)。

【実施例4】
【0145】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(100mg)及び1−(2−メチル−4−フルオロフェニル)ピペラジンから、白色固体として調製した(25mg)。

【実施例5】
【0146】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2,4−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及び1−(2,4−ジメチルフェニル)ピペラジン(95mg)から、ベージュ色固体を調製した。

【実施例6】
【0147】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及び1−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン(95mg)から、ベージュ色固体を調製した(60mg)。

【実施例7】
【0148】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及び1−(2−メトキシフェニル)ピペラジン(96mg)から、ベージュ色固体を調製した(55mg)。

【実施例8】
【0149】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及び1−(2−クロロフェニル)ピペラジン(117mg)から、白色固体として調製した(42mg)。

【実施例9】
【0150】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−エチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)及び1−(2−エチルフェニル)ピペラジン(95mg)から、ベージュ色固体を調製した(45mg)。

【実施例10】
【0151】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(160mg)及び1−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン(200mg)から調製し、白色固体として表題化合物を得た(65mg)。

【実施例11】
【0152】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−エトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、1−(2−メチル−4−エトキシフェニル)ピペラジン(150mg)及び2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(130mg)からベージュ色固体を調製した(7mg)。

【実施例12】
【0153】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド
方法Aを用い、1−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン(140mg)及び2−クロロスルホニルメチル−3−メチル酪酸tert−ブチルエステル(135mg)から白色固体として調製した(25mg)。

【実施例13】
【0154】
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]プロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(200mg)及び1−(2−メトキシフェニル)ピペラジン(143mg)から無色固体を調製した(61mg)。

【実施例14】
【0155】
2−ベンジル−3−[4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]−N−ヒドロキシプロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(200mg)及び1−(2−フルオロフェニル)ピペラジン(140mg)から白色固体として調製した(84mg)。

【実施例15】
【0156】
2−ベンジル−3−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]−N−ヒドロキシプロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(200mg)及び1−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジンから白色固体として調製した(10mg)。

【実施例16】
【0157】
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(320mg)及び1−(2−メチルフェニル)ピペラジン(200mg)から白色固体として調製した(130mg)。

【実施例17】
【0158】
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]プロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(130mg)及び中間生成物30(130mg)からベージュ色固体を調製した(85mg)。

【実施例18】
【0159】
2−ベンジル−3−[4−(4−エトキシ−2−メチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]−N−ヒドロキシプロピオンアミド
方法Aを用い、2−(クロロスルホニルメチル)−3−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(150mg)及び1−(2−メチル−4−エトキシフェニル)ピペラジン(130mg)からベージュ色固体を調製した(90mg)。

【実施例19】
【0160】
2−シクロペンチル−3−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]−N−ヒドロキシプロピオンアミド
方法Aを用い、3−クロロスルホニル−2−シクロペンチルプロピオン酸tert−ブチルエステル(162mg)及び1−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(100mg)からベージュ色固体を調製した(25mg)。

【実施例20】
【0161】
N−ヒドロキシ−2−フェニル−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド
方法Aを用い、3−クロロスルホニル−2−フェニルプロピオン酸tert−ブチルエステル(160mg)及び1−(2−メチルフェニル)ピペラジン(230mg)からベージュ色固体を調製した(22mg)。


方法B
【実施例21】
【0162】
N−ヒドロキシ−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)−プロピオンアミド
0℃で、3−(4(R)−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−3−オキソ−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロパン−1−スルホニルクロライド(210mg)及びトリエチルアミン(0.16ml)のDCM溶液(10ml)に、1−ortho−トリルピペラジンを加え、溶液を3時間撹拌し、次いで水(10ml)、クエン酸溶液(10ml)、及びブライン(10ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をTHF(10ml)に溶解し、過酸化水素(8M水溶液、0.14ml)を加えた。混合液を0℃に冷却し、水酸化リチウム(22mg)の水溶液(5ml)を20分かけて1滴ずつ加えた。混合液を3時間撹拌し、放置して室温に暖め、亜硫酸ナトリウム水溶液(5%水溶液、10ml)でクエンチした。混合液を蒸発させ、エーテル(10ml)で洗浄し、水層をクエン酸で酸性化し、DCM(20ml)で抽出した。溶媒を水及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発し、残留物を乾燥DCM(10ml)に溶解した。この溶液に塩化オキサリル(0.3ml)及びDMF(1滴)を加え、混合液を2時間撹拌し、次いで蒸発させて乾燥させ、残留物をTHF(3ml)に溶解した。ヒドロキシルアミン水溶液(0.3ml)を加え、溶液を30分間撹拌し、次いで蒸発させ、残留物を水(5ml)で粉砕し、白色固体として表題化合物を得た(105mg)。

【実施例22】
【0163】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2(R)−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド
方法Bを用い、4(R)−ベンジル−3−(2(R)−クロロスルホニルメチル−3−メチルブチリル)オキサゾリジン−2−オン(650mg)及び1−(2−メチルフェニル)ピペラジン(320mg)から白色固体として調製した(230mg)。


方法C
【実施例23】
【0164】
1−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸ヒドロキシアミド
1−(2−メチルフェニル)ピペラジン(150mg)を、1−(クロロスルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸エチルエステル(170mg)のDCM溶液に加え、次いでトリエチルアミン(0.3ml)を加えた。混合液を3時間撹拌し、次いでクエン酸溶液、重炭酸塩溶液、及びブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残留物をTHF(10ml)に溶解し、水酸化リチウム水溶液(水5ml中に0.2g)を加え、溶液を一夜撹拌し、水(10ml)で希釈し、蒸発させた。混合液をエーテル(5ml)で洗浄し、次いで酸性化して、DCM(20ml)で抽出した。溶媒を水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させ、残留物をDCM(10ml)に溶解した。塩化オキサリル(0.3g)を加え、続いてDMF(1滴)を加えた。混合液を1時間撹拌し、次いで蒸発させて、残留物をトルエンと共沸して乾燥させた。固形物をTHF(10ml)に溶解し、ヒドロキシルアミン溶液を加え(1ml)、この溶液を一夜撹拌し、その後DCM(30ml)で希釈し、水(30ml)で洗浄した。溶媒を乾燥し、蒸発させ、固形物をジエチルエーテル(10ml)と共に粉砕し、白色固体として表題化合物を得た(70mg)。

【実施例24】
【0165】
1−[4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]シクロブタンカルボン酸ヒドロキシアミド
方法Cを用いて、1−(2−フルオロフェニル)ピペラジン(100mg)及び1−(クロロスルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸エチルエステル(100mg)から、プレパラティブHPLCで精製後、白色固体として調製した(10mg)。

【実施例25】
【0166】
1−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]シクロブタンカルボン酸ヒドロキシアミド
方法Cを用いて、1−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(120mg)及び1−(クロロスルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸エチルエステル(100mg)から白色固体として調製した(11.7mg)。

【実施例26】
【0167】
3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2(R)−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−N−ヒドロキシプロピオンアミド
方法Bを用いて、中間生成物41(230mg)及び4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(115761−79−0)(100mg)から調製し、無色固体として表題化合物を得た(85mg)。

【実施例27】
【0168】
4−[1−ヒドロキシカルバモイル−2(R)−(4−ortho−トリルピペラジン−1−スルホニル)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
方法Bにより、中間生成物46(260mg)及び塩酸4−(ortho−トリル)ピペラジン(55974−34−0)(120mg)から無色固体を調製した(60mg)。MS511(M+1)。HPLC保持時間3.59分。TLC R0.60(7%MeOH/DCM)。
【実施例28】
【0169】
N−ヒドロキシ−2(R)−(ピペラジン−4−イル)−3−(4−ortho−トリルピペラジン−1−スルホニル)−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩
実施例27(50mg)をDCM(10ml)に溶解し、TFA(1ml)を加えた。溶液を2時間撹拌し、次いで真空で蒸発させ、DCM/ヘプタンで共沸して乾燥させた。生成物をメタノール(0.5ml)及びEtO(5ml)から結晶化し、ベージュ色固体結晶として表題化合物を得た(35mg)。

【実施例29】
【0170】
2(R)−(1−エチルピペリジン−4−イル)−N−ヒドロキシ−3−(4−ortho−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド
アセトアルデヒド(200mg)を実施例28(20mg)の混合液に加え、DCM(2ml)中の4A分子ふるい(100mg)を活性化し、この懸濁液を2時間撹拌し、次いでトリアセトキシボロヒドリドナトリウム(60mg)を加えた。この混合液を一夜撹拌し、次いでろ過し、重炭酸ナトリウム(2ml)及びブライン(2ml)で洗浄し、溶媒を乾燥し、蒸発させて、生成物をプレパラティブHPLCで精製して、無色固体として表題化合物を得た(1.5mg)。MS439(M+1)。HPLC保持時間1.88分。
【実施例30】
【0171】
N−ヒドロキシ−2(R)−(1−メチルピペリジン−4−イル)−3−(4−ortho−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド
実施例28(47mg)、ホルムアルデヒド(37%水溶液、0.12ml)、及びトリアセトキシボロヒドリドナトリウム(0.12g)から、ベージュ色固体を調製した(28mg)。

【0172】
本発明の化合物が、CD23の分断を阻害する能力は、以下のアッセイを用いて測定することができる。
用いた略号
DTT ジチオスレイトール
CO 二酸化炭素
FCS ウシ胎児血清
IL−4 インターロイキン4
ELISA 酵素結合免疫吸着アッセイ
【0173】
原形質膜CD23分断アッセイ
RPMI8866細胞を最初に20mM Hepes緩衝液(+NaCl 150nM、MgCl 1.5mM、DTT1mMを含み、pH7.5)に再懸濁し、ガラス製Dounce型ホモジェナイザーでホモジェナイズし、次いで遠心分離し(4℃、500gで5分間)、上清を除去して、細胞から原形質膜を分離した。膜の収量を最大にするために、残存した細胞ペレットに対しホモジェナイズのステップを2回引き続き繰り返した。次いで上清をプールし、更に遠心分離し(4℃、48000gで60分間)、最終的に1mM重炭酸ナトリウムに再懸濁した。水性抽出法を用いて、原形質膜を更に濃厚にした(Morre,D.J.&Morre,D.M.、1989年、Bio Techniques7、9巻、946〜958頁)。
【0174】
阻害物質の存在下、及び存在なしに、原形質膜を37℃で2時間インキュベートし(Marolewskiら、1998年、Biochem.J.333巻、573〜579頁)、その時間の後、マリマスタット(marimastat)100μMを添加して反応を停止させた。原形質膜から分断された可溶性CD23を0.22μmのミリポア(Millipore)フィルタープレートを通してろ過し、ELISAにより定量した。阻害物質の濃度対%阻害をプロットして、IC50値を計算した。
【0175】
本発明の化合物の作用上の効果は、以下のアッセイを用いて実証することができる。
【0176】
細胞性CD23分断アッセイ
10%FCS含有RPMI1640培養液でRPMI8866細胞系を増殖させたが、2回洗浄しアッセイの直前に無血清RPMI1640培養液に再懸濁した以外は慣例法で行った。次いで、阻害物質の存在下、及び存在なしで、細胞を平板に広げ、37℃の[95%空気]/[5%CO]雰囲気中1時間インキュベートした(Christieら、1997年、Eur.J.Immunol.、27巻、3228〜3235頁)。配分された時間の後、平板を遠心分離し、上清を除き、引き続き分断された可溶性CD23をELISAにより分析した。阻害物質の濃度対%阻害をプロットして、IC50値を計算した。
【0177】
ヒトIgEのin vitro合成
ヒト扁桃組織からフィコール(ficol)勾配で単核細胞を分離し、PBS中で洗浄し、10%FCS含有RPMI1640培養液中に再懸濁した。次いで細胞を平板に広げ、[IL−4 20ng/ml]/[抗CD40 5μg/ml]で刺激し、阻害物質の存在下、及び存在なしで、37℃の[95%空気]/[5%CO]雰囲気中で14日間インキュベートした(Christieら、1997年、Eur.J.Immunol.、27巻、3228〜3235頁)。配分された時間の後、平板を遠心分離し、上清を除き、引き続きヒトIgEをELISAにより分析した。阻害物質の濃度対%阻害をプロットして、IC50値を計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物:
【化1】


[式中、
Cyは、アリール基又はヘテロアリール基であり、
mは、0、又は整数1、2、若しくは3であり、
nは、0、又は整数1、2、若しくは3であり、mとnとの和は、整数1、2、又は3であり、
は、C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、−C1〜6アルキルアリール、−C1〜6アルキルへテロアリール、−C1〜6アルキルへテロシクロアルキル、又は−C1〜6アルキルC3〜6シクロアルキルから選択される基であり、R基として又はR基の一部として存在するアリール基又はヘテロアリール基はそれぞれ、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、F、Cl、Br、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、−CN、−CO7a、−CON(R7a、又は−COR7aから選択される原子又は基であり、R基として又はR基の一部として存在する、アルキル基、ヘテロシクロアルキル基、又はシクロアルキル基はそれぞれ、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、Rはそれぞれ、同一又は異なっていてもよく、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、=NOR10、−CO8a、−CON(R8a、又は−COR8aから選択される原子又は基であり、
7aは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はC1〜6アルキル基、若しくはC1〜6ハロアルキル基であり、
8aは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はC1〜6アルキル基、若しくはC1〜6ハロアルキル基であり、
10は、水素原子又はC1〜3アルキル基であり、
は、水素原子又はC1〜3アルキル基であり、
或いは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、R基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されたC3〜6シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成し、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、F、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、=O、=NOR10、−CO8a、−CON(R8a、又は−COR8aから選択される原子又は基であり、
は、F、Cl、Br、C1〜3アルキル、C1〜3ハロアルキル、C1〜3アルコキシ、又はC1〜3ハロアルコキシから選択される原子又は基であり、
は、水素、F、Cl、若しくはBr原子、又はC1〜3アルキル、C1〜3ハロアルキル、C1〜3アルコキシ、C1〜3ハロアルコキシ、−CN、−SO、−SON(R、−CON(R、−N(R、−NHSO、若しくは−NHCORの基であり、
は、C1〜3アルキル基であり、
は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はC1〜3アルキル基であり、
及びRは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素又はC1〜3アルキルから選択される原子又は基であり、或いはR及びRは結合してR及びRで定義したC3〜6シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成することができる]
及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシド。
【請求項2】
式(2):
【化2】


[式中、
m、n、Cy、R、R、R、R、及びRは、請求項1で定義した通りである]
を有する、請求項1に記載の化合物、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシド。
【請求項3】
式(3):
【化3】


[式中、
m、n、R、R、R、R、R、及びRは、請求項1で定義した通りである]
を有する、請求項1に記載の化合物、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシド。
【請求項4】
式(4):
【化4】


[式中、
m、n、R、R、R、R、及びRは、請求項1で定義した通りである]
を有する、請求項3に記載の化合物、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシド。
【請求項5】
Cyがフェニル基である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
及びRがそれぞれ水素原子である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
mが整数1であり、nが整数1である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が、C1〜6アルキル、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、−(CH1〜2フェニル、−(CH1〜2ヘテロアリール、−(CH1〜2ヘテロシクロアルキル、又は−(CH1〜23〜6シクロアルキルから選択される基であり、R基として又はR基の一部として存在するフェニル基又はヘテロアリール基はそれぞれ、請求項1で定義したR基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよく、R基として又はR基の一部として存在するアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、又はシクロアルキル基はそれぞれ、請求項1で定義したR基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されていてもよい、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、場合により置換されたC1〜6アルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、又は−(CH1〜2フェニルから選択される基である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
及びRが、それらが結合している炭素原子と共に、請求項1で定義したR基から選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されたC3〜6シクロアルキル基を形成する、請求項1、3、又は5から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
及びRが、それらが結合している炭素原子と共にシクロブチル基を形成する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、F、Cl、メチル、エチル、イソプロピル、−CF、−CFH、メトキシ、エトキシ、−OCF、又は−OCFHから選択される原子又は基である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
が、水素、F、Cl、メチル、−CF、メトキシ、エトキシ、−OCF、又は−OCFHから選択される原子又は基である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
が、F、Cl、メチル、エチル、又はメトキシから選択される原子又は基である、前記請求項のいずれかの化合物。
【請求項15】
が、F、Cl、メチル、又はメトキシから選択される原子又は基である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、メチル基である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2,4−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]ブチルアミド;
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド;
2−ベンジル−N−ヒドロキシ−3−[4−(2−メチル−4−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニル]プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−2−フェニル−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−2(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)−3−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニル)−プロピオンアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2(R)−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)ブチルアミド;
1−(4−o−トリルピペラジン−1−スルホニルメチル)シクロブタンカルボン酸ヒドロキシアミド
である化合物、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−酸化物。
【請求項18】
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド;
N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−スルホニルメチル]−ブチルアミド
である化合物、及びその塩、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、異性体、又はN−オキシド。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物を、1つ又は複数の薬剤上許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と共に含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2006−527754(P2006−527754A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516449(P2006−516449)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002638
【国際公開番号】WO2004/113312
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】