説明

CGRP受容体アンタゴニストであるベンゾアゼピン化合物

CGRP受容体のアンタゴニストであり偏頭痛のようなCGRPが関与する疾患の治療または予防に有用な式I:


(式中、可変要素A、m、R、R、R、RおよびZは本文中に記載の通りである。)の化合物。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、CGRPが関与するこのような疾患の治療または予防におけるこれらの化合物および組成物の使用を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニンメッセンジャーRNAの組織特異的選択的プロセシングによって生成される37アミノ酸の天然産生ペプチドであり、中枢および末梢の神経系に広く分布している。CGRPは主として求心性感覚ニューロンおよび中枢ニューロンに局在しており、血管拡張を含むいくつかの生物作用を媒介する。CGRPはアルファ−型およびベータ−型で発現され、双方の型はラットおよびヒトにおいてそれぞれ1および3個のアミノ酸の違いを有している。CGRP−アルファおよびCGRP−ベータは同様の生物特性を示す。細胞から放出されたとき、CGRPは主としてアデニリルシクラーゼの活性化に結びつく特異的細胞表面受容体に結合することによってその生物応答を開始する。CGRP受容体は脳、心血管、内皮および平滑筋起原の組織および細胞を含む複数の組織および細胞中で同定され薬理学的に鑑定されている。
【0002】
これらの受容体は薬理学的特性に基づいてCGRPおよびCGRPと命名された少なくとも2つのサブタイプに分類される。7個のN−末端アミノ酸残基が欠失したCGRPのフラグメントであるヒトα−CGRP−(8−37)は、CGRPの選択的アゴニストであるが、CGRPの直鎖状類似体であるジアセトアミドメチルシステインCGRP([Cys(ACM)2,7]CGRP)は、CGRPの選択的アゴニストである。CGRPは偏頭痛および群発頭痛のような脳血管障害の病理に関与する強力な血管拡張因子である。臨床研究では、偏頭痛発作中に頚静脈に高レベルのCGRPが見出された(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1990,28,183−187)。CGRPは頭蓋内血管の平滑筋上の受容体を活性化して血管拡張に導き、これが偏頭痛発作中の頭痛の主要な原因であると考えられている(Lance,Headache Pathogenesis:Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9)。硬膜中の主動脈である中硬膜動脈は、CGRPを含む複数のニューロペプチドを含有する三叉神経節から感覚線維によって神経支配されている。三叉神経節の刺激の結果としてネコではCGRPのレベルが上昇し、ヒトでは三叉神経系が活性化されて顔面紅潮および外側頚静脈中のCGRPレベル上昇が生じた(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1988,23,193−196)。ラットでは硬膜の電気刺激が中硬膜動脈の直径を拡張したがこの効果はペプチドCGRPアンタゴニストであるCGRP(8−37)の先行投与によって遮断された(Williamsonら,Cephalalgia,1997,17,525−531)。ラットでは三叉神経節の刺激が顔面血流を増加させたがこれはCGRP(8−37)によって阻止された(Escottら,Brain Res.1995,669,93−99)。キヌザルでは三叉神経節の電気刺激が顔面血流の増加を生じさせたが、これは、非ペプチドCGRPアンタゴニストであるBIBN4096BSによって遮断された(Doodsら,Br.J.Pharmacol.,2000,129,420−423)。従って、CGRPの血管効果はCGRPアンタゴニストによって減弱、防止または退行させることができる。
【0003】
ラットの中硬膜動脈のCGRP−媒介血管拡張は三叉神経正中核のニューロンを感作することが判明した(Williamsonら,The CGRP Family:Calcitonin Gene−Related Peptide(CGRP),Amylin,and Adrenomedullin,Landes Bioscience,2000,245−247)。同様に、偏頭痛中の硬膜血管の拡張も三叉神経ニューロンを感作し得る。頭蓋外疼痛および顔面異疼痛を含む偏頭痛付随症状のいくつかは三叉神経ニューロン感作の結果であろう(Bursteinら,Ann.Neurol.2000,47,614−624)。CGRPアンタゴニストは、ニューロン感作の効果を減弱、防止または退行させるであろう。
【0004】
本発明の化合物はCGRPアンタゴニストとして作用する能力を有するので、ヒトおよび動物、特にヒトのCGRPが関与する障害に有用な薬理学的物質となり得る。このような障害は偏頭痛および群発頭痛(Doods,Curr Opin Inves Drugs,2001,2(9),1261−1268;Edvinssonら,Cephalalgia,1994,14,320−327);慢性緊張性頭痛(Ashinaら,Neurology,2000,14,1335−1340);疼痛(Yuら,Eur.J.Pharm.,1998,347,275−282);慢性痛(Hulseboschら,Pain,2000,86,163−175);神経由来性炎症および炎症性疼痛(Holzer,Neurosci.,1988,24,739−768;Delay−Goyetら,Acta Physiol.Scanda.1992,146,537−538;Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358);眼痛(Mayら,Cephalalgia,2002,22,195−196)、歯痛(Awawdehら,Int.Endocrin.J.,2002,35,30−36)、インスリン非依存性真性糖尿病(Molinaら,Diabetes,1990,39,260−265);血管障害;炎症(Zhangら,Pain,2001,89,265)、関節炎、反復性運動痛、喘息(Fosterら,Ann.NY Acad.Sci.,1992,657,397−404;Schiniら,Am.J.Physiol.,1994,267,H2483−H2490;Zhengら,J.Virol.,1993,67,5786−5791);ショック、敗血症(Beerら,Crit.Care Med.,2002,30(8),1794−1798);アヘン剤禁断症候群(Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358)、モルヒネ耐性(Menardら,J.Neurosci.,1996,16(7),2342−2351);男性および女性のホットフラッシュ(Chenら,Lancet,1993,342,49;Spetzら,J.Urology,2001,166,1720−1723);アレルギー性皮膚炎(Wallengren,Contact Dermatitis,2000,43(3),137−143);脳炎、脳外傷、虚血、卒中、癲癇および神経変性疾患(Rohrenbeckら,Neurobiol.of Disease 1999,6,15−34);皮膚疾患(Geppetti and Holzer,Eds.Neurogenic Inflammation,1996,CRC Press,Boca Raton,FL)、神経由来性皮膚発赤、皮膚の紅潮および紅斑を含む。偏頭痛および群発頭痛を含む頭痛の即効的または予防的治療が特に重要である。
【0005】
本発明は、CGRP受容体のリガンド、特にCGRP受容体のアンタゴニストとして有用な化合物、それらの製造方法、治療におけるそれらの使用、それらを含む医薬組成物、および、それらを使用する治療方法に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Goadsbyら,Ann.Neurol.,1990,28,183−187
【非特許文献2】Lance,Headache Pathogenesis:Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9
【非特許文献3】Goadsbyら,Ann.Neurol.,1988,23,193−196
【非特許文献4】Williamsonら,Cephalalgia,1997,17,525−531
【非特許文献5】Escottら,Brain Res.1995,669,93−99
【非特許文献6】Doodsら,Br.J.Pharmacol.,2000,129,420−423
【非特許文献7】Williamsonら,The CGRP Family:Calcitonin Gene−Related Peptide(CGRP),Amylin,and Adrenomedullin,Landes Bioscience,2000,245−247
【非特許文献8】Bursteinら,Ann.Neurol.2000,47,614−624
【非特許文献9】Doods,Curr Opin Inves Drugs,2001,2(9),1261−1268
【非特許文献10】Edvinssonら,Cephalalgia,1994,14,320−327
【非特許文献11】Ashinaら,Neurology,2000,14,1335−1340
【非特許文献12】Yuら,Eur.J.Pharm.,1998,347,275−282
【非特許文献13】Hulseboschら,Pain,2000,86,163−175
【非特許文献14】Holzer,Neurosci.,1988,24,739−768
【非特許文献15】Delay−Goyetら,Acta Physiol.Scanda.1992,146,537−538
【非特許文献16】Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358
【非特許文献17】Mayら,Cephalalgia,2002,22,195−196)
【非特許文献18】Awawdehら,Int.Endocrin.J.,2002,35,30−36
【非特許文献19】Molinaら,Diabetes,1990,39,260−265
【非特許文献20】Zhangら,Pain,2001,89,265
【非特許文献21】Fosterら,Ann.NY Acad.Sci.,1992,657,397−404
【非特許文献22】Schiniら,Am.J.Physiol.,1994,267,H2483−H2490
【非特許文献23】Zhengら,J.Virol.,1993,67,5786−5791
【非特許文献24】Beerら,Crit.Care Med.,2002,30(8),1794−1798
【非特許文献25】Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358
【非特許文献26】Menardら,J.Neurosci.,1996,16(7),2342−2351
【非特許文献27】Chenら,Lancet,1993,342,49
【非特許文献28】Spetzら,J.Urology,2001,166,1720−1723
【非特許文献29】Wallengren,Contact Dermatitis,2000,43(3),137−143
【非特許文献30】Rohrenbeckら,Neurobiol.of Disease 1999,6,15−34
【非特許文献31】Geppetti and Holzer,Eds.Neurogenic Inflammation,1996,CRC Press,Boca Raton,FL
【発明の概要】
【0007】
本発明は、CGRP受容体のアンタゴニストであり、偏頭痛のようなCGRPが関与する疾患の治療または予防に有用な式I:
【0008】
【化1】

[式中、可変要素A、m、R、R、R、RおよびZはこの文中に記載の通りである。]の化合物を目的とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、CGRPが関与するこのような疾患の治療または予防におけるこれらの化合物および組成物の使用を目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は式I:
【0010】
【化2】

の化合物および医薬的に許容される該化合物の塩および個別のジアステレオマーを目的とする。式中の、
Zは、
【0011】
【化3】

から選択され、
は、(CH0−1−Xであり、ここにXは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、C1−6(C3−7シクロアルキル)アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6(C1−6アルコキシ)アルキル、C1−6(Ar)アルキル、C1−6(NR)アルキル、N−(R16)−ピロリジニルおよびN−(R16)−ピペリジニルから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジルオキシまたはNRであり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
あるいは、RおよびRは隣合う炭素原子上に存在しており、ならびに一緒に−C(H)=N−N(R)−であり、これにより縮合環を形成しており、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
あるいは、NRが接合して、ピロリジニル、ピペリジニル、N−(R16)−ピペラジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから成るグループから選択される環を形成しており、
16は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり、
Arは、フェニル、ナフチル、ピリジニルまたはイミダゾリルであり、ここにArは、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキルから成るグループから選択される0から2個の置換基で置換されており、
は−C(R、−O−および−NR−から選択され、
は独立に、
(1)水素、
(2)置換されていないかまたは1から6個のフルオロで置換された−C1−6アルキル、
(3)ベンジル、および、
(4)フェニル
から選択され、
23は独立に、H、置換されているかまたは置換されていないC−Cアルキル、F、CNおよびCO24から選択され、
24は独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC−Cアルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
26は独立に、H、および、
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択され、
27aおよびR27bはおのおの独立にR22から選択され、
あるいは、R27aおよびR27bはそれらが結合している1つまたは複数の原子と共に、C3−6シクロアルキル、アリール、複素環およびヘテロアリールから選択される環を形成しており、この環は置換されていないかまたはおのおのが独立にR26から選択される1から10個の置換基で置換されており、
30およびR31は独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
30aおよびR31aは独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
あるいは、R30aおよびR31aは接合して、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し、これらの環は置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されており、
22は独立に、
1)置換されていないかまたはおのおのが独立に
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択される1つ以上の置換基で置換されたH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C3−6シクロアルキルおよび複素環、ならびに、
2)置換されていないかまたはおのおのが独立に
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択される1つ以上の置換基で置換されたアリールまたはヘテロアリール、
から選択され、
または、同一原子または隣接原子上の独立の2つのR24は場合により接合して、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモリホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニルおよびピペラジニルから選択される環を形成しており、
pは、q個の炭素をもつ置換基について0から2q+1であり、
mは0または1であり、
nは0、1または2であり、
sは1、2または3である。
【0012】
本発明はさらに式Ia:
【0013】
【化4】

の化合物および医薬的に許容される該化合物の塩および個別のジアステレオマーを目的とする。式中の
Zは、
【0014】
【化5】

から選択され、
は、(CH0−1−Xであり、ここにXは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、C1−6(C3−7シクロアルキル)アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6(C1−6アルコキシ)アルキル、C1−6(Ar)アルキル、C1−6(NR)アルキル、N−(R16)−ピロリジニルおよびN−(R16)−ピペリジニルから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジルオキシまたはNRであり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
あるいは、RおよびRは隣合う炭素原子上に存在しており、ならびに一緒に−C(H)=N−N(R)−となり、これにより縮合環を形成しており、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
あるいは、NRが接合して、ピロリジニル、ピペリジニル、N−(R16)−ピペラジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから成るグループから選択される環を形成しており、
16は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり、
Arは、フェニル、ナフチル、ピリジニルまたはイミダゾリルであり、ここにArは、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキルから成るグループから選択される0から2個の置換基で置換されており、
は−C(Rおよび−NR−から選択され、
は独立に、
(1)水素、
(2)置換されていないかまたは1から6個のフルオロで置換された−C1−6アルキル、
(3)ベンジル、および、
(4)フェニル
から選択され、
mは0、1または2である。
【0015】
本発明の1つの実施態様において、RおよびRは、隣合う炭素原子上に存在し、一緒に−C(H)=N−N(R)−となり、これにより縮合環を形成している。
【0016】
本発明の1つの実施態様において、Rは水素である。
【0017】
本発明の1つの実施態様において、Rはハロである。
【0018】
本発明の1つの実施態様において、Rはメチルである。
【0019】
本発明の1つの実施態様において、Rは−C(CHである。
【0020】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CHC(CHである。
【0021】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CFである。
【0022】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CHCFである。
【0023】
本発明の1つの実施態様において、Rはフェニルである。
【0024】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CHフェニルである。
【0025】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CFで置換されたフェニルである。
【0026】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CFで置換された−CHフェニルである。
【0027】
本発明の1つの実施態様において、Rは−CHCH(ピロリジン)である。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、mは1である。
【0029】
上記に列挙した1つ以上の構造または下部構造が同じ名称の多数置換基として記述されている場合、このような可変要素のおのおのは同様の名称の可変要素のおのおのと同じでもよく異なっていてもよいことは理解されよう。たとえば、C1−6アルキルは式Iに多数回記述されており、式I中のC1−6アルキルのおのおのは独立に、C1−6アルキルとして定義された下部構造のいずれかであり得る。本発明は、所与の構造についてC1−6アルキルのおのおのが同じでなければならない構造および下部構造に限定されない。(従って、C1−6アルキルは、Rに関してはメチル、Rに関してはエチル、などを表す)。1つの構造または下部構造に多数回出現するいずれかの可変要素についても同じことが言える。
【0030】
本発明の化合物は、1つ以上の非対称中心を含有することができ、従って、ラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個別のジアステレオマーとして存在できる。分子上の種々の置換基の種類次第では追加の非対称中心が存在し得る。このような非対称中心のおのおのが独立に2つの光学異性体を生成し、混合物中および精製化合物もしくは部分精製化合物中の可能な光学異性体およびジアステレオマーのすべてが本発明の範囲内に包含される。本発明はこれらの化合物のこのような異性形態をすべて含意する。
【0031】
この文中に記載の化合物のいくつかはオレフィン系二重結合を含有し、否定の記述がないならば、EおよびZの幾何異性体を含意する。
【0032】
本発明は、1つ以上の水素原子が重水素によって置換された式Iaの化合物を含めた式Iの化合物を含む。
【0033】
これらのジアステレオマーの個別的合成またはそれらのクロマトグラフィー分離はこの文中に開示した方法を適宜修正することによって当業者に公知の通りに遂行できる。これらの絶対的立体化学は、結晶質生成物、または、必要ならば既知の絶対的立体配置の非対称中心を含有する試薬で誘導体化される結晶質中間体のx線結晶学によって決定され得る。
【0034】
所望の場合、化合物のラセミ混合物を分離して個別の鏡像異性体を単離できる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、次いで分別結晶化またはクロマトグラフィーのような標準方法によって個々のジアステレオマーを分離する当業界で公知の方法によって実行できる。カップリング反応はしばしば、鏡像異性的に純粋な酸または塩基を使用する塩の形成である。次に、付加されたキラル残基の開裂によってジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に変換し得る。化合物のラセミ混合物はまた、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー方法によって直接的に分離できる。この方法は当業界で公知である。
【0035】
あるいは、光学的に純粋な出発材料または既知の立体配置の試薬を当業界で公知の方法によって使用する立体選択的合成によって1つの化合物のいずれかの鏡像異性体が得られる。
【0036】
当業者には理解されるであろうが、RおよびR置換基のすべてが環構造を形成できるのではない。これはR27aおよびR27bを非限定的に含む環形成可能な他のペアに関しても同様である。なお、環形成可能な置換基であっても環構造を形成することも形成しないこともある。
【0037】
やはり当業者には理解されるであろうが、この文中に使用したハロまたはハロゲンはクロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含むこととする。
【0038】
この文中に使用した「アルキル」は、二重または三重結合を有していない直鎖状、分枝状または環状構造を意味することとする。したがって、C1−6アルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素を直鎖状または分枝状配置で有している基を同定すると定義され、従ってC1−6アルキルは具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。「シクロアルキル」はその一部または全部が3つ以上の原子の環を形成するアルキルである。「アルコキシ」、「ハロアルキル」および「アルコキシカルボニル」のような関連用語もまた、このような直鎖状、分枝状および環状の部分を含む。
【0039】
いくつかの場合に存在するいくつかの可変要素の数は、炭素の存在数に関して定義される。たとえば、可変要素「p」はしばしば、「q個の炭素をもつ置換基について0から2q+1」と定義される。置換基が「(F)1−3アルキル」の場合、これは、1つの炭素が存在するとき、2(1)+1=3までのフッ素が存在することを意味する。2個の炭素が存在するとき、2(2)+1=5までのフッ素が存在し、3個の炭素が存在するとき、2(3)+1=7までのフッ素が存在する。
【0040】
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有している直鎖状、分枝状または環状の基を意味する。
【0041】
1−6(R)アルキルのような用語は、置換基Rで置換された1から6個の炭素を有している直鎖状または分枝状アルキル基を意味する。N−(R)−ピロリジニルのような用語は、窒素が置換基Rで置換されていることを示す。
【0042】
「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」は、モノハロ置換アルキルからペルハロ置換アルキルまでのすべてのハロゲン化異性体を含む。「ハロ」を伴って記述された他の部分についても同様である。
【0043】
この文中で使用した「複素環」または「複素環式」という用語は、注釈があるとき以外は、安定な4−から7−員環の単環式または安定な8−から11−員環の二環式の複素環式環系を表す。これらは飽和または不飽和であり、炭素原子と、N、OおよびSから成るグループから選択される1から4個のヘテロ原子とから構成されており、窒素およびイオウヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により第四級化されていてもよく、上記に定義の複素環式環のいずれかがベンゼン環に縮合している二環基を含む。複素環式環はいずれかのヘテロ原子または炭素原子に結合し、その結果として安定な構造を形成する。このような複素環式基の例は非限定的に、アゼチジン、クロマン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ジオキソラン、ヘキサヒドロアゼピン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イミダゾリン、イミダゾリノン、インドリン、イソクロマン、イソインドリン、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、モルホリン、モリホリノン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、2−オキソヘキサヒドロアゼピン、2−オキソピペラジン、2−オキソピペリジン、2−オキソピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、チアモルホリン、チアゾリン、チアゾリジン、チオモルホリンおよびそのN−オキシドを含む。
【0044】
この文中で「医薬的に許容される」という表現は、過度の毒性、炎症、アレルギー応答または他の問題や合併症を伴うことなくまた妥当な有益性/危険性比に相応してヒトおよび動物の組織に接触して使用できる健全な医学的判断の範囲内で適当な化合物、材料、組成物および/または剤形を表すために使用されている。
【0045】
この文中に使用した「医薬的に許容される塩」は、その酸または塩基の塩を製造することによって親化合物が修飾されている誘導体を表す。医薬的に許容される塩の例は非限定的に、アミンのような塩基性残基の無機または有機の酸塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩などを含む。医薬的に許容される塩は、たとえば無毒性の無機または有機の酸から形成された親化合物の慣用の無毒性塩または第四級アンモニウム塩を含む。たとえば、このような慣用の無毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸に由来の塩、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などのような有機酸から製造された塩を含む。
【0046】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は無機および有機の酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から製造され得る。このような酸は、酢酸、ベンゼスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを含む。本発明の1つの特徴によれば、塩が、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸である。この文中に使用した式Iの化合物という表現が医薬的に許容される塩も含意することは理解されよう。
【0047】
実施例およびこの文中に開示された化合物の使用は本発明の代表例に過ぎない。本発明の範囲内の具体的化合物は、以下の実施例に開示された化合物および医薬的に許容される該化合物の塩および個別のジアステレオマーから成るグループから選択される化合物を含む。
【0048】
主題化合物は、CGRP受容体への拮抗作用を必要とする哺乳動物のような患者に対する有効量の化合物の投与を含むCGRP受容体の拮抗方法に有用である。本発明はこの文中に開示した化合物をCGRP受容体アンタゴニストとして使用することを目的とする。霊長類、特にヒトに加えて様々な他の哺乳類を本発明の方法に従って治療できる。
【0049】
本発明の別の実施態様は、CGRP受容体のアンタゴニストである化合物を治療有効量で患者に投与する段階を含む、患者のCGRP受容体が関与する疾患または障害の治療、管理、軽減または危険低下の方法を目的とする。
【0050】
本発明はさらに、式(I)の化合物と医薬担体または希釈剤とを組合せる段階を含む、ヒトおよび動物のCGRP受容体活性拮抗医薬の製造方法を目的とする。
【0051】
本発明はまた、偏頭痛のようなCGRP受容体が関与する疾患を治療または予防するための式(I)の化合物または医薬的に許容される該化合物の塩の使用を目的とする。
【0052】
本発明はまた、CGRP受容体が関与する疾患の治療薬を製造するための式(I)の化合物または医薬的に許容される該化合物の塩と医薬的に許容される担体との使用を目的とする。
【0053】
本発明方法で治療される対象は一般に哺乳動物、たとえば、CGRP受容体活性に対する拮抗作用が望まれるヒトの男性または女性である。「治療有効量」という用語は、組織、系、動物またはヒトの体内で研究者、獣医、内科医または他の臨床医が求める生物学的または医学的応答を誘発する主題化合物の量を意味する。この文中に使用した「治療」という用語は、上述の状態、特にこのような疾患または障害の疾病素質のある患者の治療、予防および予防療法の双方を表す。
【0054】
この文中に使用した「組成物」という用語は、特定した成分を特定した量で含む生成物、ならびに、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる生成物を包含することとする。医薬組成物に関するこのような用語は、(1種以上の)有効成分と(1種以上の)担体構成成分とを含む生成物、ならびに、2種以上の成分の組合せ、錯化もしくは凝集、または、1種以上の成分の解離、または、1種以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる生成物を包含することとする。従って本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって製造されたいかなる組成物をも包含する。「医薬的に許容される」は、担体、希釈剤または賦形剤が配合物の他の成分に適合性でなければならないこと、および、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0055】
化合物「の投与」または「を投与する」という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを要治療個体に与えることを意味すると理解されたい。
【0056】
本発明の化合物のCGRP受容体アンタゴニストとしての有効性は、当業界で公知の方法によって証明され得る。受容体に対する125I−CGRPの結合阻害およびCGRP受容体の機能性拮抗作用は以下のように判定した。
【0057】
未変性受容体結合アッセイ:SK−N−MC細胞膜中の受容体に対する125I−CGRPの結合は本質的に文献(Edvinssonら,(2001)Eur.J.Pharmacol.415,39−44)の記載通りに行った。要約すると、10pMの125I−CGRPとアンタゴニストとを含有する1mlの結合バッファ[10mMのHEPES,pH〜7.4、5mMのMgClおよび0.2%のウシ血清アルブミン(BSA)]中で膜(25μ)をインキュベートした。室温で3時間インキュベーション後、0.5%のポリエチレンイミンで3時間ブロックしておいたGFBガラスファイバーフィルタープレート(Millipore)で濾過することによってアッセイを終了した。フィルターを氷冷アッセイバッファで3回洗浄し、次いでプレートを風乾した。シンチレーション流体(50μl)を添加し、Topcount(Packard Instrument)で放射能をカウントした。Prismを使用してデータ解析を実行し、Cheng−Prusoffの等式(Cheng & Prusoff(1973) Biochem.Pharmacol.22,3099−3108)を使用してKiを決定した。
【0058】
未変性受容体機能アッセイ:10%のウシ胎仔血清、2mMのL−グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、100単位/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充した最小必須培地(MEM)中のSK−N−M細胞を37℃、95%湿度および5%COで増殖させた。cAMPアッセイのために、96−ウェルのポリ−D−リシンをコートしたプレート(Becton−Dickinson)で細胞を5×10細胞/ウェルで平板培養し、アッセイまで〜18時間培養した。細胞をリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS,Sigma)で洗浄し、次いで無血清MEM中で300μMのイソメチルキサンチンと共に37℃で30分間プレインキュベートした。アンタゴニストを添加し、10分間インキュベートした後、細胞をCGRPに加えた。インキュベーションをさらに15分間継続し、次いで細胞をPBSで洗浄し、製造業者の推薦するプロトコルに従ってcAMP定量処理を行った。基底を上回る最大刺激は100nMのCGRPを使用することによって決定した。Prismを使用して用量−応答曲線を作成した。用量比(DR)を計算し、これを用いて完全Schildプロットを構築した(Arunlakshana & Schild(1959) Br.J.Pharmacol.14,48−58)。
【0059】
組換え受容体:ヒトCRLR(Genbank登録番号L76380)を5’NheIおよび3’PmeIフラグメントとして発現ベクターpIREShyg2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。ヒトRAMP1(Genbank登録番号AJ001014)は5’NheIおよび3’NotIフラグメントとして発現ベクターpIRESpuro2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。293細胞(ヒト胚性腎細胞;ATCC#CRL−1573)は、4.5g/Lのグルコース、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのグルタミンを含有し10%のウシ胎仔血清(FBS)、100単位/mLのペニシリンおよび100ug/mlのストレプトマインシを補充し37℃および95%湿度に維持したDMEM中で培養した。0.1%のEDTAを加えたHBSS中で0.25%のトリプシンで処理することによって細胞を継代培養した。75cm容のフラスコ中で10ugのDNAを30ugのLipofectamine 2000(Invitrogen)とコトランスフェクトすることによって安定な細胞系の世代が得られた。等量のCRLRおよびRAMP1の発現構築物をコトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を希釈し、次の日に選択培地(増殖培地+300ug/mlのヒグロマイシンおよび1ug/mlのピューロマイシン)を添加した。FACS Vantage SE(Becton Dickinson)を使用した単細胞結合によってクローナル細胞系を生成した。細胞増殖のために増殖培地を150ug/mlのヒグロマイシンおよび0.5ug/mlのピューロマイシンに調整した。
【0060】
組換え受容体結合アッセイ:組換えヒトCRLR/RAMP1を発現している細胞をPBSで洗浄し、50mMのHEPES、1mMのEDTAおよび完全プロテアーゼインヒビター(Complete protease inhibitors)(Roche)を含有している採集バッファに採集した。細胞浮遊液を実験用ホモジナイザーで撹拌し、48,000gで遠心して膜を単離した。250mMのショ糖を加えた採集バッファにペレットを再懸濁させ、−70℃で保存した。結合アッセイのために、10ugの膜を10pMの125I−hCGRP(Amersham Biosciences)およびアンタゴニストを含有する1mlの結合バッファ(10mMのHEPES,pH7.4、5mMのMgClおよび0.2% BSA)中で室温で3時間インキュベートした。0.05%のポリエチレンイミンでブロックしておいた96−ウェルのGFBガラスファイバーフィルタープレート(Millipore)で濾過することによってアッセイを終了した。フィルターを氷冷アッセイバッファ(10mMのHEPES,pH7.4)で3回洗浄した。シンチレーション流体を添加し、Topcount(Packard)でプレートをカウントした。非特異的結合を測定し、等式:
【0061】
【数1】

[式中の、Yは観察された結合CPMの数、Ymaxは結合の総カウント数、Yminは非特異的結合のカウント数、(Ymax−Ymin)は特異的結合のカウント数、%Imaxは最大阻害パーセント、%Iminは最小阻害パーセント、ラジオラベルはプローブ、Kは、高温飽和実験によって測定した受容体に対するラジオラベルの見かけ解離定数である。]に対する結合CPMデータの非線形最小二乗適合度を使用することによって決定した見かけ解離定数(K)を用いてデータ解析を実行した。
【0062】
組換え受容体機能アッセイ:細胞を完全増殖培地に入れ、96−ウェルのポリ−D−リシンをコートしたプレート(Corning)に85,000細胞/ウェルの密度で平板培養し、アッセイ前に〜19時間培養した。細胞をPBSで洗浄し、次いでインヒビターと共にL−グルタミンおよび1g/LのBSAを加えたCellgro完全無血清/低タンパク質培地(Mediatech,Inc.)中で37℃および95%湿度で30分間インキュベートした。イソブチル−メチルキサンチンを300μMの濃度で細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。ヒトα−CGRPを0.3nMの濃度で細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートした。α−CGRP刺激の後、細胞をPBSで洗浄し、2段階アッセイ手順を製造業者の推薦プロトコルに従って使用してcAMPの定量処理を行った(cAMP SPA直接スクリーニングアッセイシステム;RPA 559;Amersham Biosciences)。用量応答曲線をプロットし、等式y=((a−d)/(l+(x/c))+d[式中、y=応答、x=用量、a=最大応答、d=最小応答、c=変曲点、b=勾配]によって定義される4−パラメーターロジスティック適合度からIC50値を決定した。
【0063】
特に、以下の実施例の化合物は上述のアッセイにおいて一般に約50μM未満のKまたはIC50値でCGRP受容体アンタゴニスト活性を有していた。このような結果は、CGRP受容体アンタゴニストとして使用したときの化合物の固有活性を示す指標となる。
【0064】
本発明の化合物はCGRPアンタゴニストとして作用する能力を有するので、ヒトおよび動物、特にヒトのCGRPが関与する障害に対して有用な薬理学的物質となり得る。
【0065】
本発明の化合物は、以下の状態または疾患の1つ以上の治療、予防、軽減、管理または危険低下に有効性を有している:頭痛;偏頭痛;群発頭痛;慢性緊張性頭痛;疼痛;慢性疼痛;神経由来性炎症および炎症性疼痛;神経障害痛;眼痛;歯痛;糖尿病;インスリン非依存性真性糖尿病;血管障害;炎症;関節炎;気管支反応亢進、喘息;ショック;敗血症;アヘン剤禁断症候群;モルヒネ耐性;男性および女性のホットフラッシュ;アレルギー性皮膚炎;乾癬;脳炎;脳外傷;癲癇;神経変性疾患;皮膚疾患;神経由来性皮膚発赤、皮膚紅潮および紅斑;炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、膀胱炎;ならびに、CGRP受容体拮抗作用によって治療または予防できる他の状態。偏頭痛および群発頭痛を含む頭痛の即効的または予防的治療が特に重要である。
【0066】
本発明の化合物はまた、以下の状態の1つ以上の治療、予防、軽減、管理または危険低下に有効性を有している:熱傷、循環系ショック、腫瘍増殖、腸粘膜の免疫調節、骨障害の骨再吸収の変調、気道炎症性疾患および喘息を含む慢性閉塞性肺疾患、閉経に付随するのぼせ。
【0067】
主題化合物はさらに、この文中に記載した疾患、障害および状態の予防、治療、管理、軽減または危険低下の方法に有用である。
【0068】
主題化合物はさらに、他の薬剤と組合せて、上記の疾患、障害および状態の予防、治療、管理、軽減または危険低下の方法に有用である。
【0069】
本発明の化合物は、式Iの化合物または他の薬剤が有効性を有している疾患または状態の治療、予防、管理、軽減または危険低下のために、薬剤の組み合わせがどちらかの薬剤の単独使用よりも安全で効果的である場合には、1種以上の他の薬剤と併用し得る。このような(1種以上の)他の薬剤は、それらの常用の経路および量で、式Iの化合物と同時にまたは順次に投与するとよい。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用する場合、このような他の薬剤と式Iの化合物とを含有する単一剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用療法は、式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とを重なり合う時期の異なる投与計画で投与する療法も含む。また、1種以上の他の有効成分と併用するとき、本発明の化合物と他の有効成分とはおのおのが単独に使用されるときよりも低用量で使用できると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する組成物を含む。
【0070】
たとえば、本発明の化合物は、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミンまたは他のセロトニンアゴニスト、特にたとえばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタンおよびリザトリプタンのような5−HT1B/1Dアゴニスト、PNU−142633のような5−HT1DアゴニストおよびLY334370のような5−HT1Fアゴニスト;選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターのようなシクロオキシゲナーゼインヒビター、たとえばロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはパラコキシブ;非ステロイド系抗炎症薬またはサイトカイン抑制性抗炎症薬、たとえばイブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナミン酸、メクロフェナミン酸、フルフェナミン酸、トルフェナミン酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダップ、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサール、サルサラート、オルサラジンまたはスルファサラジンなど;またはグルココルチコイドのような抗偏頭痛薬と併用し得る。同様に本発明の化合物は、アスピリン、アセトアミノフェン、フェナセチン、フェンタニル、スフェンタニル、メタドン、アセチルメタドール、ブプレノルフィンまたはモルヒネのような鎮痛薬と共に投与し得る。
【0071】
さらに本発明の化合物は、インターロイキン−1インヒビターのようなインターロイキンインヒビター;NK−1受容体アンタゴニスト、たとえばアプレピタント;NMDAアンタゴニスト;NR2Bアンタゴニスト;ブラジキニン−1受容体アンタゴニスト;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャンネルブロッカー、たとえばラモトリジン;酢酸レボメタジルまたは酢酸メタジルのようなアヘン剤アゴニスト;5−リポキシゲナーゼインヒビターのようなリポキシゲナーゼインヒビター;アルファ受容体アンタゴニスト、たとえばインドラミン;アルファ受容体アゴニスト;バニロイド受容体アンタゴニスト;レニンインヒビター;グランザイムBインヒビター;サブスタンスPアンタゴニスト;エンドセリンアンタゴニスト;ノルエピネフリン前駆体;ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシドおよびクロルアゼパートのような抗不安薬;セロトニン5HT受容体アンタゴニスト;コデイン、ヒドロコドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェンおよびフェブタニルのようなオピオイドアゴニスト;mGluR5アゴニスト、アンタゴニストまたは相乗剤;GABA A受容体モジュレーターたとえばアカムプロセートカルシウム;ニコチンを含むニコチンアンタゴニストまたはアゴニスト;ムスカリンアゴニストまたはアンタゴニスト;選択的セロトニン再吸収インヒビター、たとえば、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ジュロキセチン、エスシタロプラムまたはシタロプラム;抗鬱薬、たとえば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、ベンラファキシン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミンまたはイミプラミン;ロイコトリエンアンタゴニスト、たとえば、モンテルカストまたはザフィルルカスト;一酸化窒素インヒビターまたは一酸化窒素合成インヒビターと組合せて使用できる。
【0072】
また、本発明の化合物は、細隙結合インヒビター;シバミドのようなニューロン性カルシウムチャンネルブロッカー;LY293558のようなAMPA/KAアンタゴニスト;シグマ受容体アゴニスト;およびビタミンB2と組合せて使用できる。
【0073】
また、本発明の化合物は、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミン以外の麦角アルカロイド、たとえば、エルゴノビン、メチルエルゴノビン、メトエルゴリン、メシル酸エルゴロイド、ジヒドロエルゴコリニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−β−エルゴクリプチン、エルゴトキシン、エルゴコルニン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン、α−エルゴクリプチン、β−エルゴクリプチン、エルゴシン、エルゴスタン、ブロモクリプチンまたはメチセルジドと組合せて使用できる。
【0074】
さらに、本発明の化合物は、チモロール、プロパノロール、アテノロール、メトプロロールまたはナドロールなどのようなベータ−アドレナリンアンタゴニスト;MAOインヒビターたとえばフェネルジン;カルシウムチャンネルブロッカーたとえばフルナリジン、ジルチアゼム、アムロジピン、フェロジピン、ニソリピン、イスラジピン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピンまたはプロクロルペラジン;神経遮断薬たとえばオランザピン、ドロペリドール、プロクロルペラジン、クロルプロマジンおよびケチアピン;抗痙攣薬たとえばトピラメート、ゾニサミド、トナベルサット、カラベルサット、レベチラセタム、ラモトリジン、チアガビン、ギャバペンチン、プレガバリンまたはジバルプロエクスナトリウム;アンギオテンシンIIアンタゴニストのような降圧薬たとえばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、カンデサルタンおよびカンデサルタンシレキセチル、アンギオテンインIアンタゴニスト、アンギオテンシン転換酵素インヒビターたとえばリシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル;またはポツリヌム毒素A型もしくはB型と組合せて使用できる。
【0075】
本発明の化合物はカフェイン、H2−アンタゴニスト、シメチコーン、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのような増強剤;オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ−デスオキシ−エフェドリンのような充血除去薬;カラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストロメトルファンのような鎮咳薬;利尿薬;メトクロプラミドまたはドンペリドンのようなプロキネティク薬;アクリバスチン、アザタジン、ブロモジフェンヒドラミン、ブロモフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ロラタジン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、テルフェナジン、トリプロリジン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミンまたはプソイドエフェドリンのような鎮静性または非鎮静性の抗ヒスタミンと組合せて使用できる。本発明化合物はまた、制吐薬と組合せて使用できる。
【0076】
特に好ましい実施態様において、本発明の化合物は、抗偏頭痛薬、たとえばエルゴタミンまたはジヒドロエルゴタミン;5−HTアゴニスト主として5−HT1B/1Dアゴニスト、特にスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン、アビトリプタンおよびリザトリプタンとその他のセロトニリンアゴニスト;選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターのようなシクロオキシゲナーゼインヒビター、特にロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはパラコキシブと組合せて使用できる。
【0077】
上記の組合せは、本発明の化合物と1種類の他の有効化合物との組合せだけでなく、2種類以上の他の有効化合物との組合せを含む。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有効な疾患または状態の予防、治療、管理、軽減または危険低下に使用される他の薬剤と併用できる。このような他の薬剤はそれらに常用の経路および量で本発明の化合物と同時にまたは順次に投与され得る。本発明の化合物が他の薬剤と同時に使用されるとき、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の有効成分も含有している組成物を含む。
【0078】
(1種以上の)他の有効成分に対する本発明の化合物の重量比は各成分の有効用量に従属して変更されるであろう。一般にはおのおのの有効用量が使用されるであろう。従ってたとえば本発明の化合物を別の薬剤と組合せるとき、別の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は一般には約1000:1から約1:1000または約200:1から約1:200の範囲であろう。本発明の化合物と他の有効成分との組合せもまた一般に上記の範囲内であろうが、どの場合にも各有効成分を有効用量で使用すべきである。
【0079】
このような組合せにおいて、本発明の化合物と他の有効薬剤とは、個別にまたは合一形態で投与され得る。さらに、一方の要素の投与は、(1種以上の)他方の薬剤の投与よりも前、同時または後に同じ投与経路または異なる投与経路で行うことができる。
【0080】
本発明の化合物は、経口、非経口(たとえば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内の注射もしくは注入、皮下注射、または、インプラント)、噴霧吸入、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または外用の投与経路で投与でき、単独でまたは組合せて、各投与経路に適した医薬的に許容される慣用の無毒性担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する適正な薬用量単位配合物として配合できる。温血動物の治療に加えて本発明の化合物はヒトに使用するために有効である。
【0081】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は、薬用量単位形態で提供されるのが便利であり、製薬業界で公知の方法のいずれかによって調製できる。すべての方法が、1種以上の補助成分を構成する担体に有効成分を会合させる段階を含む。一般に医薬組成物は、有効成分を液体担体または微粉砕固体担体またはその両者に均一かつ均質に会合させ、次いで必要ならば生成物を所望の配合物に付形することによって調製される。医薬組成物中の有効化合物は疾患の進行または状態に所望の効果を生じるために十分な量で含まれる。この文中に使用した「組成物」という用語は、特定した成分を特定した量で含有する生成物、ならびに、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる生成物を包含することとする。
【0082】
有効成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、たとえば、錠剤、トローチ剤、甘味入り錠剤、水性もしくは油性の懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルション、溶液、硬質もしくは軟質カプセル、または、シロップもしくはエリキシル剤のような形態でよい。経口使用予定の組成物は医薬組成物の製造業界で公知のいずれかの方法に従って調製し得、このような組成物は医薬的にエレガントで服用し易い製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料、保存料から成るグループから選択される1種以上の補助成分を含有し得る。錠剤は錠剤の製造に好適な医薬的に許容される無毒性賦形剤に混合された有効成分を含有する。これらの賦形剤はたとえば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤、トウモロコシデンプン、アルギン酸のような造粒および崩壊剤、デンプン、ゼラチンまたはアラビアガムのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような滑沢剤であろう。錠剤は剤皮なしでもよくまたは胃腸管での崩壊および吸収を遅らせて長期間の持続作用を与えるように公知の技術によって剤皮をかけてもよい。たとえば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような徐放材料を使用し得る。また、調整放出型浸透圧治療用錠剤を形成するために米国特許4,256,108;4,166,452;および4,265,874に記載された技術によって錠剤に剤皮をかけてもよい。経口錠剤はまた、急速に溶融する錠剤またはウエハース、急速に溶解する錠剤または急速に溶解するフィルムのような即時放出型に配合されてもよい。
【0083】
経口使用するための配合物はまた、有効成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンのような不活性固体希釈剤に混合された硬質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、有効成分が水またはピーナツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油のような油媒体に混合された軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0084】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤に混合された有効物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアガムである。分散または湿潤剤は天然産生ホスファチドたとえばレシチン、または、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物たとえばポリオキシエチレンステアレート、または、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール、または、脂肪酸とヘキシトールとから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、脂肪酸と無水ヘキシトールとから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む。水性懸濁液はまた、1種以上の保存料、たとえば、エチルまたはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色料、1種以上の着香料、および、ショ糖またはサッカリンのような1種以上の甘味料を含有し得る。
【0085】
油性懸濁液は、植物油たとえば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココヤシ油、または、液体パラフィンのような鉱油に有効成分を懸濁させることによって配合され得る。油性懸濁液は、増粘剤、たとえば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。服用し易い経口製剤を提供するために上記のような甘味料および着香料を添加してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存可能になる。
【0086】
水を加えて水性懸濁液を調製するための適当な分散性粉末または顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁化剤および1種以上の保存料に混合された有効成分を提供する。適当な分散または湿潤剤の例は上記に言及した。追加の賦形剤たとえば甘味料、着香料および着色料を存在させてもよい。
【0087】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルションの形態でもよい。油相は植物油たとえばオリーブ油もしくは落花生油または鉱油たとえば液体パラフィンまたはそれらの混合物でよい。適当な乳化剤は天然産生ガムたとえばアラビアガムもしくはトラガカントガム、天然産生ホスファチドたとえば大豆レシチン、脂肪酸とヘキシトールとに由来のエステルもしくは部分エステルたとえばソルビタンモノオレエート、および、上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでよい。エマルションは甘味料および着香料も含有し得る。
【0088】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味料たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖に配合され得る。このような配合物は、粘滑薬、保存料、着香料および着色料も含有し得る。
【0089】
医薬組成物は水性または油性の注射用滅菌懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は上記に言及した適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の方法に従って配合し得る。注射用滅菌製剤はたとえば1,3−ブタンジオール中の溶液のような非経口的に許容される無毒性の希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液または懸濁液でよい。使用し得る適格なビヒクルおよび溶媒としては、水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発油も溶媒または懸濁媒体として好都合に使用される。このためには、合成モノ−またはジグリセリドを含めた刺激のない不揮発油のいずれかを使用するとよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸も注射剤の調製に使用できる。
【0090】
本発明の化合物はまた薬物を直腸投与する座薬剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温度で液体であり従って直腸内で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤に薬物を混合することによって調製できる。このような材料はカカオ脂またはポリエチレングリコールである。
【0091】
局所使用のためには、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが使用される。同様に、経皮貼付薬も表在投与に使用し得る。
【0092】
本発明の医薬組成物および方法はさらに、上述の病的状態の治療に常用されているこの文中に列挙した他の治療有効化合物を含み得る。
【0093】
CGRP受容体活性に対する拮抗作用を必要とする状態の治療、予防、管理、軽減または危険低下のために適当な投薬量レベルは一般に、1日に患者体重1kgあたり約0.01から500mgであり、全量を一回でまたは分割量を複数回で投与できる。適当な投薬量レベルは1日に約0.01から250mg/kg、約0.05から100mg/kgまたは約0.1から50mg/kgであろう。この範囲内の投薬量は、1日に0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgであろう。経口投与用の組成物は、治療される患者に対する投薬量を症状に応じて調整できるように、1.0から1000ミリグラムの有効成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。化合物は1日に1から4回の用法または1日に1または2回の用法で投与され得る。
【0094】
頭痛、偏頭痛、群発頭痛またはその他の本発明の化合物が処方される疾患を治療、予防、管理、軽減または危険低下するためには、本発明の化合物を動物体重1キログラムあたり約0.1ミリグラムから約100ミリグラムの1日投薬量で全量を1日1回または分割量を1日2もしくは3回投与するか、持続放出形態で投与すると概して好結果が得られる。大形哺乳動物に対しては1日の合計投薬量を約1.0ミリグラムから約1000ミリグラムまたは約1ミリグラムから約50ミリグラムとする。70kgの成人の場合、1日の合計投薬量は一般に約10ミリグラムから約1000ミリグラムであろう。このような用量・用法は最適治療応答が得られるように調整できる。
【0095】
しかしながら、個々の患者に対する具体的な用量レベルおよび投薬頻度は、使用される具体的化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モードおよび時間、排泄速度、併用薬物、個々の状態の重篤度、治療を受ける宿主を含む様々な要因に従って変更されることは理解されよう。
【0096】
本発明の化合物のいくつかの製造方法を以下のスキームおよび実施例に示す。出発材料は当業界で公知のまたはこの文中に記載の手順に従って製造される。
【0097】
本発明の化合物は入手容易な出発材料、試薬および慣用の合成手順を使用する以下のスキームおよび具体的実施例またはその変形に従って容易に製造できる。これらの反応には、詳細には説明しないが平均的な当業者には自明の変種を使用することが可能である。本発明の特許請求の範囲に記載した化合物を製造するための一般手順は以下のスキームから当業者には容易に理解および評価されるであろう。
【0098】
ある種の複素環式アミンおよび酸中間体の合成は、スキーム1および2のように行うとよい。様々な置換基を有している近縁の中間体は、適宜置換された出発材料を使用するかまたは所望の場合にはいずれかの中間体および/または最終生成物の誘導体化によって公知の方法で製造できる。他の重要な中間体はChaturvedulaら,WO 2006/052378;Burgeyら,WO 2004/092168;およびBurgeyら,WO 2006/044504を非限定的に含む多数の刊行物に記載されている。
【0099】
【化6】

【0100】
スキーム1においては、アミン(たとえばB)とカルボン酸(たとえばA)との標準的カップリングを使用して構造Cのような本発明の化合物を提供する。このようなカップリング反応は、様々な公知の試薬および条件で実行し得る。実施例はDMF中のEDCおよびHOBT、CHCl中のPyBOPまたはDMF中のHATUの使用を含む。あるいは、カルボン酸をたとえば対応する酸塩化物または酸無水物として活性化し、対象アミンと効率的に反応させてもよい。
【0101】
【化7】

【0102】
本発明の化合物の別の合成例においては、スキーム2に示すようにBおよびDのような2つのアミンを4−ニトロフェニルクロロホーメートと反応させてウレアEとする。4−ニトロフェニルクロロホーメートの代わりに、たとえば、1,1’−カルボニルジイミダゾールまたはホスゲンもこのようなウレアの形成に有効であろう。スキーム1および2に示す方法ならびに有機合成業界の当業者に公知の多様な他の変法が本発明の化合物を合成するために使用できる。
【0103】
いくつかの場合には、最終生成物をたとえば置換基の操作によってさらに修飾してもよい。これらの操作は非限定的に、当業者に周知の還元、酸化、アルキル化、アシル化および加水分解反応を含む。
【0104】
いくつかの場合には、反応を促進するためまたは望まない反応生成物を回避するために上記反応スキームの実行順序を変更してもよい。加えて、反応を促進するためまたは望まない反応生成物を回避するために様々な保護基戦略を使用し得る。以下の実施例は、本発明をより十分に理解するために提供されている。これらの実施例は単なる例示であり、本発明をいかようにも限定すると解釈されてはならない。
【0105】
(実施例1)
【0106】
【化8】

【0107】
(7S)−4−クロロ−9−(2,2−ジメチルプロピル)−7−[2−オキソ−2−(2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−1−イル)エチル]−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール−8(3H)−オン
DMF(2mL)中の[4−クロロ−9−(2,2−ジメチルプロピル)−8−オキソ−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−2,3,9−トリアザ−(S)−シクロヘプタ[e]インデン−7−イル]酢酸(100mg,0.275mmol)[Chaturvedulaら,WO 2006/052378]、スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン塩酸塩(66mg,0.28mmol)[Burgeyら,WO 2006/044504]、HOBT(43mg,0.28mmol)、EDC(54mg,0.28mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(48uL,0.28mmol)の混合物を室温で18時間撹拌する。逆相C18カラムを使用しHO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配で溶出させるHPLCによって反応混合物を直接的に精製する。精製した生成物含有画分を集めて飽和NaHCO水溶液で塩基性にする。得られた混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出し、集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮すると、標題化合物が得られる。
【0108】
(実施例2)
【0109】
【化9】

【0110】
(7S)−4−クロロ−7−{2−オキソ−2−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール−8(3H)−オン
DMF(2mL)中の[4−クロロ−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,9−トリアザ−(S)−シクロヘプタ[e]インデン−7−イル]酢酸(110mg,0.293mmol)[Chaturvedulaら,WO 2006/052378]、1−ピペリジン−4−イル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン二塩酸塩(94mg,0.323mmol)[Burgeyら,WO 2006/044504]、HOBT(54mg,0.352mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(83mg,113uL,0.646mmol)およびEDC(68mg,0.352mmol)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液(20mL)およびEtOAc(30mL)に分配した。有機層を水、次いでブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をCHCl:MeOH−100:0から90:10の勾配で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、標題化合物が得られた。MS:m/z=576。
【0111】
(実施例3)
【0112】
【化10】

【0113】
N−[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]−インダゾール−7−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
(7R)−7−アミノ−4−クロロ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール−8(3H)−オン(100mg,0.3mmol)[Chaturvedulaら,WO 2006/052378]およびトリエチルアミン(120uL,0.9mmole)の溶液に、4−ニトロフェニルクロロホーメート(60mg,0.3mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌する。1−ピペリジン−4−イル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン二塩酸塩[Burgeyら,WO 2006/044504](87mg,0.3mmol)をトリエチルアミン(120uL,0.9mmol)と共に添加し、反応混合物を周囲温度で18時間撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(3×25mL)で抽出する。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。CHCl:MeOH−100:0から90:10の勾配で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、標題化合物が得られる。
【0114】
(実施例4)
【0115】
【化11】

【0116】
N−[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]−インダゾール−7−イル]−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−1−カルボキサミド
(7R)−7−アミノ−4−クロロ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール−8(3H)−オン(100mg,0.3mmol)[Chaturvedulaら,WO 2006/052378]およびトリエチルアミン(120uL,0.9mmole)の溶液に、p−ニトロフェニルクロロホーメート(60mg,0.3mmmol)を添加し、0℃で1時間撹拌する。次いでスピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−2’(1’H)−オン塩酸塩[Burgeyら,WO 2006/044504](77mg,0.3mmole)をトリエチルアミン(120uL,0.675mmol)と共に添加し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌する。飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、反応混合物をジクロロメタン(3×25mL)で抽出する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。CHCl:MeOH−100:0から90:10勾配で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、標題化合物が得られる。
【0117】
(実施例5−16)
実質的に上記の手順に従い、Chaturvedulaら,WO 2006/052378;Burgeyら,WO 2004/092168;Burgeyら,WO 2006/044504を非限定的に含む多数の刊行物に記載された中間体を使用して以下の化合物を製造する。
【0118】
【表1】


【0119】
(実施例17)
【0120】
【化12】

【0121】
N−[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]−インダゾール−7−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
段階A.ベンジル[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]−インダゾール−7−イル]カーバメート
CHCN(15mL)中の2−(R)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(7−クロロ−4−クロロメチル−1H−インダゾール−5−イル)プロピオン酸メチルエステル(525mg,1.20mmol)[Chaturvedulaら,WO 2006/052378]、トリフルオロエチルアミン(1.0g,10.2mmol)およびKCO(499mg,3.61mmol)の混合物を密閉容器に入れ、40℃で45時間加熱した。追加量のトリフルオロエチルアミン(1.0g,10.2mmol)を添加し、混合物を40℃でさらに48時間加熱し、周囲温度に放冷した。反応混合物を0.45μmのPTFE膜で濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をトルエン(10mL)およびAcOH(1mL)に溶解し、混合物を還流温度で6時間加熱し、周囲温度に放冷し、飽和NaHCO水溶液(30mL)およびEtOAc(60mL)に分配した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。CHCl:EtOAc−100:0から50:50の勾配で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって粗生成物を精製すると、標題化合物が得られた。MS:m/z=467。
【0122】
段階B.(7R)−7−アミノ−4−クロロ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール]−8(3H)−オンビス−メタンスルホネート
CHCl(4mL)中の段階Aで得られたベンジル[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]−インダゾール−7−イル]カーバメート(265mg,0.568mmol)およびアニソール(184mg,1.70mmol)の混合物にメタンスルホン酸(1.84mL,28mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で45分間撹拌し、EtO(45mL)を添加し、撹拌を20分間継続した。上清を除去し、残渣をEtOで洗浄し、真空下で乾燥すると、標題化合物が得られた。MS:m/z=333。
【0123】
段階C.N−[(7R)−4−クロロ−8−オキソ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル−3,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール−7−イル)−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
ジオキサン(0.5mL)中の段階Bで得られた(7R)−7−アミノ−4−クロロ−9−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6,7,9,10−テトラヒドロアゼピノ[3,4−e]インダゾール]−8(3H)−オンビス−メタンスルホネート(23mg,0.044mmol)および4−ニトロフェニルクロロホーメート(8.8mg,0.044mmol)の溶液を周囲温度で5分間撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(34mg,46uL,0.26mmol)を添加し、撹拌を30分間継続した。1−ピペリジン−4−イル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン二塩酸塩[Burgeyら,WO 2006/044504](15mg,0.053mmol)を添加し、次いでDMF(0.2mL)を添加し、反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液(10mL)を添加し、混合物をEtOAc(10mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。逆相C18カラムを使用しHO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配で溶出させるHPLCによって粗生成物を精製した。精製した生成物含有画分を集めて飽和NaHCO水溶液で塩基性にした。得られた混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出し、集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮すると、標題化合物が得られた。MS:m/z=577。
【0124】
上記実施例および中間体には特定の鏡像異性体およびジアステレオマーが出現しているが、反応条件および試薬の変更(たとえば、非限定的に:出発材料に反対のキラリティーを使用する;異なる触媒を使用する;試薬に反対のキラリティーを使用する;キラル分離後に異なる鏡像異性体およびジアステレオマーの使用を選択する)が代替的鏡像異性体およびジアステレオマーを提供すること、これらのすべてが本発明の要旨および範囲に包含されることを当業者は理解されるであろう。混合物の形態および純粋なもしくは部分的に純粋な化合物の形態の可能な光学異性体およびジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれることとする。本発明はこれらの化合物のこのような異性形態をすべて含意する。
【0125】
本発明をそのいくつかの特定実施態様について記載および説明したが、本発明の要旨および範囲を逸脱することなく手順およびプロトコルの様々な応用、変更、修正、置換、削除または追加が可能であることは当業者に明らかであろう。たとえば、上記に示した本発明の化合物の処方のいずれかで治療される哺乳動物の応答性にばらつきがあるときは、この文中に前述した特定投薬量以外の有効投薬量を使用できる。同様に、観察される薬理学的応答は、選択される個々の有効化合物、または、医薬担体の有無、配合物のタイプ、使用される投与モードに従属および依存して様々に異なっており、このような想定内の結果のばらつきまたは違いは本発明の目的および実施に違背しないと考えられる。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、このような特許請求の範囲は妥当な限り広義に解釈されることとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化13】

[式中、
Zは、
【化14】

から選択され、
は、(CH0−1−Xであり、ここにXは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、C1−6(C3−7シクロアルキル)アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6(C1−6アルコキシ)アルキル、C1−6(Ar)アルキル、C1−6(NR)アルキル、N−(R16)−ピロリジニルおよびN−(R16)−ピペリジニルから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジルオキシまたはNRであり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
あるいは、RおよびRは隣合う炭素原子上に存在しており、ならびに一緒に−C(H)=N−N(R)−であり、これにより縮合環を形成しており、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
あるいは、NRが接合して、ピロリジニル、ピペリジニル、N−(R16)−ピペラジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから成るグループから選択される環を形成しており、
16は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり、
Arは、フェニル、ナフチル、ピリジニルまたはイミダゾリルであり、ここにArは、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキルから成るグループから選択される0から2個の置換基で置換されており、
は−C(R、−O−および−NR−から選択され、
は独立に、
(1)水素、
(2)置換されていないかまたは1から6個のフルオロで置換された−C1−6アルキル、
(3)ベンジル、および、
(4)フェニル
から選択され、
23は独立に、H、置換されているかまたは置換されていないC−Cアルキル、F、CNおよびCO24から選択され、
24は独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC−Cアルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
26は独立に、H、および、
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択され、
27aおよびR27bはおのおの独立にR22から選択され、
あるいは、R27aおよびR27bはそれらが結合している1つまたは複数の原子と共に、C3−6シクロアルキル、アリール、複素環およびヘテロアリールから選択される環を形成しており、この環は置換されていないかまたはおのおのが独立にR26から選択される1から10個の置換基で置換されており、
30およびR31は独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
30aおよびR31aは独立に、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−6アルコキシで置換されたH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジルから選択され、
あるいは、R30aおよびR31aは接合して、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し、これらの環は置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されており、
22は独立に、
1)置換されていないかまたはおのおのが独立に
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択される1つ以上の置換基で置換されたH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C3−6シクロアルキルおよび複素環、
2)置換されていないかまたはおのおのが独立に
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)置換されていないかまたは独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたアリール、
d)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換されたヘテロアリール、
e)置換されていないかまたはおのおのが独立にR24から選択される1から5個の置換基で置換された複素環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR24
i)O(CHOR24
j)CO24
k)(CO)NR30a31a
1)O(CO)NR30a31a
m)N(R24)(CO)NR30a31a
n)N(R30)(CO)R31
o)N(R30)(CO)OR31
p)SONR30a31a
q)N(R30)SO31
r)S(O)30
s)CN、
t)NR30a31a
u)N(R24)(CO)NR30a31a、および、
v)O(CO)R24
から選択される1つ以上の置換基で置換されたアリールまたはヘテロアリール、
から選択され、
または、同一原子または隣合う原子上の独立の2つのR24は接合して、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモリホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニルおよびピペラジニルから選択される環を形成しており、
pは、q個の炭素をもつ置換基について0から2q+1であり、
mは0または1であり、
nは0、1または2であり、
sは1、2または3である。]
または医薬的に許容される該化合物の塩または個別のジアステレオマー。
【請求項2】
式Iの化合物
【化15】

[式中、
Zは、
【化16】

から選択され、
は、(CH0−1−Xであり、ここにXは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、C1−6(C3−7シクロアルキル)アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6(C1−6アルコキシ)アルキル、C1−6(Ar)アルキル、C1−6(NR)アルキル、N−(R16)−ピロリジニルおよびN−(R16)−ピペリジニルから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、ベンジルオキシまたはNRであり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
あるいは、RおよびRは隣合う炭素原子上に存在しており、ならびに一緒に−C(H)=N−N(R)−であり、これにより縮合環を形成しており、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
あるいは、NRが接合して、ピロリジニル、ピペリジニル、N−(R16)−ピペラジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから成るグループから選択される環を形成しており、
16は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり、
Arは、フェニル、ナフチル、ピリジニルまたはイミダゾリルであり、ここにArは、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキルから成るグループから選択される0から2個の置換基で置換されており、
は−C(Rおよび−NR−から選択され、
は独立に、
(1)水素、
(2)置換されていないかまたは1から6個のフルオロで置換された−C1−6アルキル、
(3)ベンジル、および、
(4)フェニル
から選択され、
mは0または1である。]
または医薬的に許容される該化合物の塩または個別のジアステレオマー。
【請求項3】
【化17】

から選択される化合物または医薬的に許容される該化合物の塩または個別のジアステレオマー。
【請求項4】
およびRが、隣合う炭素原子上に存在し、ならびに一緒に−C(H)=N−N(R)−であり、これによって縮合環を形成している請求項2の化合物。
【請求項5】
が水素、ハロゲンまたはメチルである請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、−C(CH−、−CF、フェニル、−CFで置換されたフェニルまたは−CHCH(ピロリジン)である請求項2の化合物。
【請求項7】
mが1である請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
不活性担体および請求項2の化合物を含む医薬組成物。
【請求項9】
CGRP受容体活性拮抗を必要とする哺乳類患者におけるCGRP受容体活性拮抗方法であって請求項2の化合物を有効量で前記患者に投与する段階を含む、前記方法。
【請求項10】
頭痛の治療を必要とする哺乳類患者における頭痛の治療方法であって、請求項2の化合物を治療有効量で前記患者に投与する段階を含む、前記方法。
【請求項11】
偏頭痛または群発頭痛の治療を必要とする哺乳類患者における偏頭痛または群発頭痛の治療方法であって、請求項2の化合物を治療有効量で前記患者に投与する段階を含む、前記方法。
【請求項12】
偏頭痛または群発頭痛の治療を必要とする哺乳類患者における偏頭痛または群発頭痛の治療方法であって、治療有効量の請求項1の化合物または医薬的に許容される該化合物の塩、およびセロトニンアゴニスト、鎮痛薬、抗炎症薬、降圧薬および抗痙攣薬から選択される治療有効量の第二薬剤を前記患者に併用投与する段階を含む前記方法。
【請求項13】
CGRP受容体が関与する疾患の治療用医薬を製造するための請求項1から7のいずれかの化合物または医薬的に許容される該化合物の塩および医薬的に許容される担体の使用。
【請求項14】
CGRP受容体が関与する疾患を治療するための請求項1から7のいずれかの化合物または医薬的に許容される該化合物の塩の使用。

【公表番号】特表2010−513489(P2010−513489A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542827(P2009−542827)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025690
【国際公開番号】WO2008/085317
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】