CIGSプロセスのインラインプロセス制御のための方法および装置
同時蒸発蒸着プロセスによって製造される銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の組成制御のためのインライン製造装置および方法について述べる。蒸着条件は、蒸着されたCu過剰全体組成が、最終CIGS膜であるCu不足全体組成に変換されるようになっている。モリブデン層を備えた基材(21)は、CIGSプロセスチャンバ(7)内を一定の速度で移動する。基材上での銅豊富組成から銅不足組成への転移は、転移に関する物理パラメータ、たとえば放射を検知するセンサを使用することによって検知される。本発明の代わりの好ましい実施形態において、蒸着層中の元素の組成を検知するセンサ(20)が提供される。センサに接続されたコントローラ(17)は、基材の幅に渡って均一な組成および均一な厚さのCIGS層を提供するために、蒸発物源(11、12、13)からの流量を調整する。2列の蒸発物源の使用は、基材の幅に渡るCIGS層の元素組成および厚さの調整を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスチャンバにおける同時蒸発蒸着プロセスによる、銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のための方法および装置に関する。本発明は、蒸着CIGS層の厚さおよび組成の制御のための方法および装置にも関する。
【0002】
背景技術
太陽電池は、それが再生可能な技術であるため、最小限の環境影響で電力を生成する手段を提供する。市場での成功品となるために、太陽電池は効率的であり、低コストを有し、耐久性であり、他の環境問題を付加しない必要がある。
【0003】
今日の主要な太陽電池技術は、結晶性ケイ素に基づいている。結晶性ケイ素は、上で挙げた要件の多くを満足するが、大規模での発電がコスト効率的であるような低コストで生産できない。それは生産で比較的大量のエネルギーも必要とし、このことは環境上の欠点である。
【0004】
薄膜技術に基づく太陽電池が開発されてきた。それらは実質的なコスト削減の可能性を与えるが、一般に低い変換効率およびより低い耐久性を有する。非常に有望な薄膜太陽電池技術は、運転中に高い効率(小型プロトタイプモジュールで16.6%)および耐久性を有する、半導体Cu(In,Ga)Se2(CIGS)に基づいている。
【0005】
関連技術の説明
図1において、CIGS太陽電池は、モリブデン層3がコーティングされた板ガラスまたは金属箔などの基材材料2上にCIGS層1を含むように示されている。この層は、太陽電池の裏面コンタクトとして機能する。CIGS成長の後に、通例CdS 50nmのバッファ層4、高い抵抗率のZnOの薄層5(場合により省略)および透明導電性酸化物6の前面コンタクト6の蒸着による、pn接合の形成が続く。高い光−電気変換効率を備えた太陽電池を得るための1つの重要な因子は、CIGS材料の品質である。
【0006】
米国特許第6,310,281号は、蒸着される元素の放出源として3〜5個のボートを使用する高真空同時蒸着法について述べている。3蒸気源法では、Moコーティング基材材料片が蒸着ゾーンを通じてチャンバ内で移動する。その材料の各点は最初に銅源の上を直接、その後にガリウム源の上を、その後にインジウム源の上を、そして終始、セレン源の上を通過する。
【0007】
るつぼ/ボートからの銅、ガリウムおよびインジウムの各蒸気放出速度は、蒸着ゾーンの入口端では銅が豊富であり、このゾーンの中間領域ではガリウムが豊富であり、ゾーンの出口端ではインジウムが豊富であるような方法で制御される。銅、ガリウムおよびインジウムの適切な放出速度を確立することによって、CIGS膜の組成は、以下に従って蒸着ゾーンに沿って変化する。(a)蒸着ゾーンの入口端内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に約3.4であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に約0.46である;(b)蒸着ゾーンの中間領域内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に約1.9であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に約0.43である;そして(c)蒸着ゾーンの出口端内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に0.8〜0.92、最も好ましくは約0.88であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に0.25〜0.3、最も好ましくは0.275である。
【0008】
生成されたCIGS層は、おおよそ23.5原子パーセントの銅、19.5原子パーセントのインジウム、7原子パーセントのガリウム、50原子パーセントのセレンの内部組成または組成を有する。
【0009】
該特許により、各種元素の蒸着は、るつぼ内のノズルからの蒸気放出速度を制御することによって、そしてるつぼの貯留槽内の溶融金属の温度を制御することによって制御される。
【0010】
該特許は、銅が豊富なCIGS組成の銅が不足したCIGS組成への変換を検出するいずれの手段も開示していない。該特許は、CIGS層の蒸着制御のためのいずれの手段も述べていない。
【0011】
該特許は、CIGSチャンバ内で膜表面の各点が連続してガリウム/インジウムが豊富な領域、銅が豊富な領域、そして最後に別のインジウム/ガリウムが豊富な領域に遭遇する、5段階プロセスも開示している。
【0012】
米国特許第5,633,033号は、太陽電池用の黄銅鉱膜を製造する方法と、膜の電気または光学特性が明確な変化を示す方法の最後のステップの終点を判定するために、膜の電気または光学特性を監視する方法とに関する。いったん終点が検出されると、プロセスは停止される。
【0013】
発明の概要
本発明の1つの目的は、モリブデン裏面コンタクト層を備えた基材がCIGSプロセスチャンバ内を連続的に移動するCIGS太陽電池製造のインラインシステムにおける、同時蒸着CIGS層の正確な制御のための制御方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、プロセスチャンバを通じた基材の運搬方向で見られるように、基材幅の上にCIGS層の均一な蒸着を提供することである。これはプロセスチャンバを通じた基材の運搬方向に見られるように、少なくとも2列の蒸発源を使用することによって実現され、CIGS層の均一な厚さおよび均一な組成を提供するために、一方の列の蒸発源は他方の列の源とは多かれ少なかれ独立して制御される。
【0015】
本発明のなお別の目的は、蒸着されたCIGS層の転移点を検知するか、または蒸着されたCIGS層の厚さおよび組成を検知するセンサを使用する制御方法を提供することである。
【0016】
本発明による1つの制御方法は、CIGS層がCu過剰組成からCu不足組成に変換したときにCIGS材料の複数の物理的および化学的特性が突然変化するという事実に基づく。特に、移動中のCIGS層は、Cu(In,Ga)Se2およびCuxSeを含む2相材料をCu(InGa)Se2を含む単相材料に変換する。該制御方法は、CIGS層製造に使用される方法とは独立している。本発明により、変換が起こるCIGSプロセスチャンバ内の位置が検知され、この位置は基準転移点と呼ばれる。さらに、実際の転移点と呼ばれる変換が起こる位置の基準転移点からの移動を検知して、実際の転移点を基準転移点に戻すための補正処置を取ることによって、CIGS層の組成を正確に制御することができる。
【0017】
転移点の検知は、転移を示す物理パラメータを測定するように適合された少なくとも1個のセンサによって行われる。制御処置は、センサ信号を受信および処理して、転移点がプロセスチャンバ内のその基準位置に戻るように蒸発物流量を調整する補正信号を供給する、コントローラによって講じられる。上で参照した米国特許第5,633,033号において、転移が検知されたときに制御プロセスは停止されるが、本発明により、転移検知プロセスは常時継続して、転移点をその基準位置に戻すために使用される補正信号を生成するために使用される制御パラメータを生成する。
【0018】
転移点を検知するために、センサ対を形成する2個のセンサを使用できる。対のセンサは転移点の両側に配置される。各転移点を検知するために、プロセスチャンバ幅の上に2つ以上のセンサ対を配置できる。蒸発源セットが各センサ対に連結される。各センサ対およびその連結された蒸発源セットは、各コントローラに接続される。コントローラは、その各転移点を一般に静止させておくために、その連結された蒸発源のいずれかを調整する。制御は、関連する蒸発源ヒータへの電力を調整することによって行う。プロセスチャンバ幅に渡って配置された複数のセンサ対の使用は、プロセスチャンバ幅の方向に渡って見られるように、CIGS層が蒸着される精度を向上させる。
【0019】
基準転移点の下流に、以下でXRF装置と呼ばれるX線蛍光組成測定装置を提供することによって、CIGS材料の厚さおよび組成を正確に制御することが可能であり、それゆえ正確に制御された組成および厚さを有する基材の高い出力速度が提供される。
【0020】
該方法は、良好な制御力学を達成するために高速なフィードバックループを提供する。
【0021】
実施の形態の詳細な説明
図1を参照する。一般的に使用されるCIGS太陽電池の製造方法は、Mo層3によってコーティングされた板ガラスまたは金属箔などの基材材料2上でのCIGS層1の成長を含む。Mo層は、太陽電池の裏面コンタクトとして機能する。CIGS成長は、通例CdS 50nmのバッファ層4、任意の高い抵抗率のZnO薄層5および透明導電性酸化物6の前面コンタクトの蒸着による、pn接合の形成が続く。高い光−電気変換効率を備えた太陽電池を得るための1つの重要な因子は、CIGS材料の品質である。
【0022】
本発明は水平蒸着システムに関して説明するが、本発明が垂直蒸着システムによって使用できることが理解されるべきである。図2において、蒸着システムは、CIGS層の本発明による製造のためのプロセスチャンバ7を含む。プロセスチャンバは、入口8と、出口9と、複数の基材ヒータ10と、銅蒸発源11と、ガリウム蒸発源12と、インジウム蒸発源13と、個々の蒸発源ヒータ14、15、16とを含むように示されている。プロセスチャンバ7内で、そして特に蒸着ゾーンDZ内で、CIGS層を確立するための同時蒸着プロセスが実施される。個々の蒸発源の温度を測定するために、熱電対14’、15’および16’が配列される。図示されていない温度コントローラは、それぞれの蒸発源の温度を一定に維持するように適合されている。本発明の制御システムは、センサ18、19に、そして蒸発源ヒータ14〜16に接続されているコントローラ17を含む。XRF装置20は、蒸着CIGS層の組成および厚さを測定する。セレン源26は蒸着ゾーン内のすべての成長位置にて過剰なセレンを与えるように配置され、セレン蒸気を蒸着ゾーン全体にむしろ一様に分布させる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、基材は幅約120cmおよび長さ約60cmのガラスプレートであり、センサは熱電対であり、基材ヒータは、基材移動の方向に通例幅10cmで多くのセグメントを含む。正確な幅は、プロセスチャンバの全体の形態およびサイズによって変わる。基材ヒータはたとえばIRランプでもよい。非常に短く不完全な方法で述べられているが、プロセスチャンバ内で起こるプロセスの一般的な理解を読者に与える目的で、以下の事実を述べる。プロセスチャンバは真空に維持され、ガラスプレートはプロセスチャンバに入るときに約500℃であり、源ヒータはそれぞれの元素を含有するるつぼを約1000〜1500℃の温度まで加熱している。
【0024】
Moコーティング基材21は、均一な速度で蒸着ゾーンDZ内を、図示されていない運搬機構上を矢印の方向22へ移動する。
【0025】
運搬機構は、蒸着ゾーンを通じた基材の連続流が存在し、1つの基材の前端と前の基材の後端との間隔が最小限であるように設計されている。蒸着ゾーンでは、蒸発源は好ましくは、基材がIn源に接する前にCu源に接するように配置されている。Inより少ない量で蒸発されるGa(通例、高性能CIGS膜は、0.15〜0.40のGa/(Ga+In)比を有する)は好ましくは、図3に示すように出口よりも、蒸着ゾーンへの基材の入口付近でより高い蒸着速度をもたらす。
【0026】
図3において、基材移動の方向で基材平面内の異なる位置にある元素流量を示す。特に銅蒸発流量を曲線23で示し、ガリウム蒸発流量を曲線24で示し、インジウム蒸発流量を曲線25で示す。CIGS層の厚みを通じてGa勾配されるこの方法は、太陽電池の性能を改善する。
【0027】
基材は蒸着ゾーン通じて移動するのて、低い抵抗率の銅豊富層は、入口端にて蒸着されるであろう。この層は、セレン化銅CuxSeおよびCu(in,Ga)Se2を含む。さらにラインを下ると、銅流量が下降し、インジウム流量が増加して、銅豊富層は、銅不足Cu(In,Ga)Se2に接して、基材がラインを下降するにつれて、その銅を銅不足Cu(In,Ga)Se2に与えることによって銅不足Cu(In,Ga)Se2と即時に反応する。銅豊富層中の銅はそれゆえ消費されるであろう。CuxSe中の過剰な銅が消費されると、この消費は27で示される転移点で一般に起こるが、生じたCIGS層は一般に高い抵抗率の銅不足Cu(In,Ga)Se2層を含む。
【0028】
転移は非常に鋭く、運搬方向に見られるように、プロセスチャンバ内の短く明確に画成された場所または転移ゾーンで起こる。以下では、この点は基準転移点と呼ばれるであろう。インライン生産ラインのオペレータにとっては、転移が起こる単一の瞬間はないが、転移は基材が移動するときに常時起こる。しかしながら、運搬速度が均一であり、そこでの流量が安定しているという条件では、基準転移点は蒸着ゾーン内では移動しないであろう。本発明により、CIGS組成の形成を制御するために、基準転移点が使用される。
【0029】
全体として、源の配置は、成長が蒸着ゾーンの入口端においてCu過剰で、出口端においてCu不足であるようになっている。流量は調整されて、領域0.75〜0.95におけるCu/(In+Ga)比、そして約0.10〜0.45のGa/(In+Ga)比を持つCIGS膜の最終組成を与える。図7において、領域0.75〜0.95におけるCu/(In+Ga)比を持つCIGS膜の最終組成を示す。図7は、領域0.95〜1.05において起こる鋭い転移も示す。
【0030】
それぞれの蒸着元素の量を図4に示す。基材の1つの特定の場所におけるCIGS膜の組成である。基材がプロセスチャンバを通じて移動するときに、この場所においてどのように組成が変化するかを示す。基準転移点の上流では、CuのIn+Gaに対する割合は1より大であり、転移点の下流では1未満である。
【0031】
基準転移点の両側では、5〜30cmの距離において、転移に関連する物理的特性、特にCIGS材料組成の放出率、抵抗率または熱容量に関連するパラメータを監視する、それぞれのセンサ18および19が配置されている。
【0032】
基準転移点がその基準場所から移動する傾向がある場合、移動はセンサによって検知される。原則として、基準転移点はCuの変化または(In+Ga)流量の変化によって移動できる。センサからの出力信号はコントローラへの入力信号として供給され、コントローラにあるソフトウェアプログラム28が入力信号を処理して補正出力信号を供給して、それによって蒸発物流量が調整されて移動が補正され、転移点を基準場所に戻す。
【0033】
センサは、Cu豊富層のCu不足層への転移を示す物理パラメータを測定するのに適している。パラメータ例は放出率、抵抗率、熱容量、蒸着されたCIGS膜を通じて反射または透過された光の強度、および反射光の強度に関連した鏡面反射光の強度である。
【0034】
以下では、センサ測定放出率は図5に関して説明され、図5自体は図3および4に関連している。プロセスチャンバを通じて一定の速度で移動する基材は、放出率曲線29に従う放射センサからの出力信号を生じるであろう。速度は一定であるため、位置と時間の間には直線関係がある(s=vt)。金属が基材ヒータからの熱放射の大部分を反射するので、プロセスチャンバに入るMoコーティング基材は、低い放出率値を有する。銅豊富層が蒸着を開始すると、放出率は上昇して、銅豊富層を示す値に達するであろう。太点線29によって示されるように、放出率が激しく変化する瞬間および位置にて転移が起こるまで、放出率はこの値に留まるであろう。この位置では、放出率、抵抗率および熱容量の明確な変化が生じる。
【0035】
センサ18によって高い放出率値が測定され、センサ19によって低い放出率値が測定される。どちらのセンサも放出率を測定している。インラインプロセスがしばらくの間、実行されており、転移点が静止している、すなわち動かない状態が達成されたと仮定する。ここでCu、GaまたはIn流量のいずれかが変化を開始して、CIGS膜でより銅が豊富になると、これは組成が銅不足になるためにより長い時間がかかるということを示唆するであろう。それゆえ転移点は、基準位置からプロセスチャンバ下方向へ、すなわち図5では右へ移動するであろう。センサ19からの出力信号は上昇するであろう。2個のセンサによって測定された放出率はここで高くなる。コントローラプログラムは、2つの入力信号の処理の結果として、銅流量を減少させる出力信号を伝送するであろう。銅流量は、実際の転移点が基準転移点に戻るまで減少される。センサ18からの出力信号が基準転移点の上流方向への、すなわち図面の左への転移点移動を減少させて、銅流量は実際の転移点が基準位置に戻るまで増加されねばならない。
【0036】
各蒸発源からの流量は、各源に供給される電力を調整することによって制御される。電力が調整されると、温度はそれに従って調整され、熱電対14’、15’または16’は、その温度読取り値をコントローラに送信するであろう。
【0037】
コントローラはたとえば、Cu源が1500℃を維持するように命令する。Cu源における図示されていない温度コントローラは次に、熱電対14’が1500℃の温度を通知するまでヒータ14を調整する。基準転移点がここで図2の左へ移動する場合、コントローラ内のプログラムは、1502℃までのCu源温度の上昇を実行および命令するであろう。温度コントローラがヒータへの電力を増加させ、温度が上昇し、これが熱電対14’によって検知されて、その温度を再びコントローラへ報告する。
【0038】
説明したばかりのシナリオでは、転移点の移動が変化する銅流量に依存することが仮定された。すでに上述したように、しかしながら転移点は原則として、Cuの変化または(In+Ga)流量の変化のどちらかによって移動する。コントローラによって正しい補正処置が講じられるようにするために、追加の情報が必要とされる。これは単に、GaおよびIn源が一般にCu源よりも安定であるという事実であり、したがって正しい補正処置が常にCu流量の調整であると考えられる。特に、Cu源ヒータ14に伝送される電力が調整される。追加の可能性は、ラインのさらに下方に、またはプロセスチャンバの外部にさえ供給されたXRF装置20を使用することである。従来、XRF装置は全組成を測定し、そして薄いCIGS層では、それぞれ蒸着された元素の原子の総量を決定できる。それゆえCIGS層厚さの尺度は、CIGS層の元素組成の尺度と同様にXRF装置20によって得られる。XRF装置の代わりに、CIGS層の組成および/または厚さを測定する他のいずれかの装置を使用できる。
【0039】
転移点が静止したままである場合、このことはCIGS層の組成が正確であることと、転移が起こったこととを反映しているが、CIGS層の厚さを反映していない。厚さは原則としてどれでもよい。したがって厚さの測定値を得る必要があり、XRF装置はこのために使用される。
【0040】
上記より、XRF装置は、それから組成データも得られる場合でも、主に厚さの測定に使用されることと、正確な組成および正確な厚さのCIGS層を得るためにコントローラが蒸気源を制御するように適合されていることとが明らかなはずである。
【0041】
転移点が右に移動する場合、原則として、より銅が豊富な蒸着を得るためにIn+Ga流量を減少させることができるが、XRF装置は次にCIGS膜が薄くなり始めることを検知して、対応する信号をコントローラに送信する。次に制御プログラムは、適正な補正処置が銅流量を増加させることを発見する。これは低速なフィードバックを与えるが、単に構成要素の相対組成ばかりでなく、各元素の全蒸着量に関する情報を追加する。全蒸着量のプロセスウィンドウ、すなわち厚さは、組成に対して実質的により大きい。Ga/(Ga+In)比のプロセスウィンドウも比較的大きい。これは、低速のフィードバックがInおよびGa流量におけるドリフトについて調整するために、高速のフィードバックがCu流量を変化させることによって、組成制御について調整するために使用可能であることを意味する。
【0042】
以下の節は、熱電対の温度を測定することによって、転移点を検知できる理由を説明する。プロセスが真空中で行われるため、熱は、放射のみによって、基材およびその蒸着層の完成した集合体から、そして集合体へ伝達される。伝導による熱伝達が集合体の中で起こる。インラインシステムの始動段階の後に、放射平衡の状態が基材と基材ヒータとの間に発生するであろう。この状態で基材ヒータは熱を放射し、基材ヒータに対向する表面である集合体の上面は一部の熱を反射し、MoおよびCIGS層を含む表面である集合体の底面は、一部の熱を放射するであろう。基材ヒータから分かるように、底面への蒸着が進行するにつれ、何も変化しない;基材ヒータは引き続き基材およびMo層のみと遭遇する。基材は、基材ヒータに供給される電力が一定に保たれるという条件で、引き続き熱の一部を吸収および反射するであろう。
【0043】
底面では、転移が起こるときに放出率が変化するであろう。放出率が低いとき、基材ヒータに供給される電力が一定に保たれるという条件で、底面はわずかな熱を放射して、集合体はより温かくなる(集合体内の熱伝導のために)。放出率が高いとき、底面はより多くの熱を放射して、集合体はより低温になる。
【0044】
放出率が高い場所に位置するセンサ18は、ある温度を測定し、転移点の後に、それゆえ放出率がより低い場所に位置するセンサ19は、転移点がセンサ18、19間にあるときにより高い温度を測定するであろう。
【0045】
源ヒータへの電力を一定に維持する代わりに、基材の温度が一定に維持されるように、それらを個別に制御して、それらを調節することが可能である。次に転移点の両側のヒータには、基材温度を一定に維持するために、異なる電力を供給する必要がある。それゆえ電力の差は、問題の基材ヒータ間に転移点が存在することを示す。
【0046】
放射センサの具体的な実施形態である温度センサを使用するための代案として、転移点を検知するために、上で引用した米国特許第5,633,033号で述べた種類の光学センサを使用することができる。
【0047】
なお別の代案は、蒸着されたCIGS膜を通じて反射または透過される光の強度を測定するセンサを使用することである。
【0048】
さらなる代案は、鏡面反射光の強度および反射光の強度を測定する光学デバイスを使用することであり、光が蒸着されたCIGS膜の上面に鋭角で衝突して、1個のセンサが反射光を測定し、もう1個が鏡面反射光を測定する。
【0049】
センサが絶対読取り値を得る場合、原則として、1個のセンサのみを使用して転移点を検知することが可能である。2個以上のセンサの使用および転移点を検知するためのその読取り値の比較は、相対読取り値の使用を可能にする。次にコントローラおよびそのソフトウェアは、それに従って設計する必要がある。図2では、第3および第4のセンサ30、31を点線で示す。そのような第3および第4のセンサの使用は、転移点が移動する方向の決定および/または転移点の移動の大きさの決定を可能にする。この情報は、転移点をその基準位置に戻す適切な補正処置を講じるためにコントローラによって使用される。センサ18、19、30、31のシステムはもちろん、転移点の現在位置の決定も可能にするであろう。
【0050】
図8はCIGSプロセスチャンバの上面図であり、蒸着システムの第2の実施形態を示している。図2に示す、センサ対18、19、蒸発源11、12、13、源ヒータ14、15、16、源温度センサ14’、15’、16’、XRF源20、およびコントローラ17を含む単一制御システムを有する代わりに、図8に示す二重制御システムを使用できる。各制御システムは、センサ対18、19、蒸発源11、12、13、源ヒータ14、15、16、源温度センサ14’、15’、16’、XRF源20およびコントローラ17を含む。2つの制御システムは並んで配置されている。それゆえ転移点は、基材材料の幅に渡る方向に見られるように2点で制御される。図8を見ると、2列の制御手段があると言えるが、この表現は一般的であり正確ではない。各制御システムは必須であるが、相互から完全に独立していない。したがって一方の転移点の制御は、他方の制御と必然的に独立している。上述したように、転移点は、源ヒータへの電力を制御することによって制御される。この機構により、基材の幅に渡るCIGS膜の蒸着の正確な制御が実現される。
【0051】
2列の蒸発源の使用は、基材の幅に渡るCIGS層の元素組成および厚さの調整を可能にする。本発明により、源の各列を制御する機能は、基材の幅に渡る(CIGS層の)不均一な厚さおよび不均一な組成を調整する可能性を提供するであろう。片側での蒸発流量の量を反対側の蒸発流量の量に関連付けて制御できないため、これはそのような調整を供給できない既知の線形蒸発源の使用に関する利点である。
【0052】
1つの列の蒸発源を反対の列の蒸発源と独立して制御することが可能である。しかしながら、制御の正確さを向上させるために、列間の依存性を使用することが可能である。たとえば、第1の列と呼ばれる一方の列における源で測定を行うとする。得られた測定値の90%が前記第1の列から生じ、10%が第2の列と呼ばれるもう1つの他方の列から生じることが既知である場合、この知識を使用して、より洗練された補正処置を提供できる。これは、補正処置を2つの列の間で重みづけることができるためである。したがって列における蒸発源の制御は、別の列の蒸発源の制御に依存しうる。
【0053】
図8の実施形態の改良は、基材の幅に渡って並べて配置された3つ以上の制御システムを使用して、転移点を3つ以上の位置で制御することである。
【0054】
図9では、センサ18または19が各基材ヒータにあり、それゆえ蒸着ゾーン内のいずれの場所においても転移点の欠点が可能となる、本発明の改良が示されている。図示されたように、転移点が検知されればどこでも、基材の幅に渡るCIGS膜の蒸着の正確な制御を可能にする、図8機構でのような2列の制御システムがある。基材ヒータの実装に応じて、各制御システム内の各基材ヒータに2つ以上のセンサがある。
【0055】
図9の実施形態の改良は、基材の幅に渡って並べて配置された3つ以上の制御システムを使用して、転移点を3つ以上の位置で制御することである。
【0056】
上の実施形態は、Cuが豊富な膜組成からCuが不足した膜組成への鋭い転移の検知に基づいている。各種の一定条件を仮定すると、鋭い転移は、プロセスチャンバ内の比較的固定された位置で測定される。次に、鋭い転移の検知に基づいていないが、代わりにCIGS膜の組成の検知に基づく、ある実施形態が開示されるであろう。それゆえ転移点を検知する必要はないが、転移点付近の場所以外の多くの場所で検知を行うことができる。さらに下でわかるように、検知はプロセスチャンバの出口部分で行うことが可能であり、検知はプロセスチャンバの外側でさえ行うことができる。それゆえ以下の実施形態は、検知部位に関するさらなる自由を提供する。
【0057】
図10は、センサ18、19、30、31が省略され、代わりに複数のXRF装置20が出口付近の蒸着ゾーンの下流に配置されている制御システムが開示される。図8機構においてと同様に、基材の幅に渡って複数の列のXRF装置があってもよい。各列におけるXRF装置は、基材の幅はもちろんのこと、基材の長さに渡って所望の組成および所望の厚さを備えたCIGS層を得るために、蒸着CIGS層の組成はもちろんのこと厚さを制御することと、個々の蒸発源11〜13のいずれかを調整することに適した各コントローラ17に接続されている。
【0058】
本発明の図10の実施形態において、CIGS層の各物質の量はもちろんのこと、CIGS層の厚さも検知される。
【0059】
XRF装置は、CIGS層内の各元素の量の絶対測定値を得ることができる。結果として、各元素の全量も、したがってCIGS層の厚さも測定できる。原則として、これは自動調整式でないため、セレン含有量を測定することは必要でない。XRF装置の代わりに、電子顕微鏡で使用される種類と同様のEDX(エネルギー分散X線分光法)装置を使用することが可能である。
【0060】
同時の含有量および厚さの測定値を同一装置で得られない場合、CIGS層の組成に関する直接または間接測定値を得るための独立した装置と、CIGS層の厚さを測定するための独立した装置を使用することが可能であり、前記の独立した装置は、蒸着システムの外側に配置できる。厚さ測定装置の例は、CIGS層の上面を追跡する点または針、いわゆる表面形状測定装置(profiometer)である。他の例は光学デバイスである。
【0061】
CIGS層組成の間接的測定値を得る例は、元素Cu、Ga、In、そして必ずではないがSeの量の測定値を得るために、物理パラメータ、たとえば抵抗に対して元素組成を校正することである。
【0062】
Moコーティング基材材料が各元素源11〜13に遭遇する順序は変更することができ、図1〜10に示す順序と同じである必要はない。図11および12において、2列の元素源11〜13およびXRF装置20がある実施形態が開示されている。基材は最初に2つのGa源12に、次に2つのCu源11に、そして最後に2つのIn源13に遭遇する。セレン源26は、蒸着ゾーンにセレン蒸気を過剰に供給する。各XRF装置は各コントローラ17に接続されている。図13では、図11および12の元素源11〜13からの相対放出を示す。横軸は、Moコーティング基材21が蒸着ゾーンDZ内で移動する距離である。
【0063】
図10、11および12において、転移点の明瞭な検知が行われないため、図1〜9の実施形態で適用された関係Cu/(In+Ga)>1を満足する必要はない。代わりに、XRF装置によって組成のさらに段階的な検知が行われ、関係Cu/(In+Ga)は蒸着の間はいつでも1を超える必要はない。
【0064】
図11および12で使用したXRF装置からの出力信号が処理されて、生じた制御信号を図14に図式的に示す。制御信号は濃度を測定し、蒸着されたCIGS層において元素の正確な割合が達成されているときには一定である。たとえばCu濃度が高すぎる場合、コントローラは補正処置を講じて、Cu蒸発源11のヒータ14に供給する電力を減少させる。補正後、制御信号は一定値に戻る。Cu濃度が高すぎると言える前に、Cu濃度上昇の理由がガリウムおよびインジウムの濃度低下の結果であるかどうかを判断する必要がある。ガリウムおよびインジウムの濃度の低下は、蒸着されたCIGS層の厚さの縮小として現れる。厚さが薄すぎる場合、GaおよびIn源のヒータへの電力を最初に増加させて、その後、Cu源のヒータへの電力を増加させる前に新しいCu読取り値を得る必要がある。
【0065】
図15および16には、蒸発源11、12、13および26が、上述した実施形態のようにMoコーティング基材の下ではなく、各列が基材の側面に、基材21の縁から距離を置いて配置されるように横方向にずらして配置されている、本発明のなお別の実施形態を示す。蒸着材料の欠陥がゆるんで落下した場合、またはMoコーティングガラス基材がひび割れた場合、蒸発層には何も落下せず、それにより蒸着が妨害されないであろう。
【0066】
実施例15の実施形態のさらなる特徴は、XRF装置20が蒸着システムの外側に配置され、それによりプロセスチャンバ外部にある基材上での組成および厚さ測定値が得られることである。この特徴の改良として、その1つの列に沿った蒸発源に関する測定値を得る1つの列位置から、蒸発源の他の列に沿った蒸発源に関する測定値を得るもう一方の列位置へ移動する、単一のXRF装置を使用することができる。3列の蒸発源がある場合、XRF装置は3つの列位置の間を移動して、それぞれにおいて測定値を得る。
【0067】
図15の実施形態のさらなる改良は、点線で示されるように、In蒸発源13の下流に配置されたGa蒸発源12のセットを使用することである。なおさらなる改良は、移動方向22に見られるようなIn−Cu−Gaの順序の蒸発源を使用することである。それゆえ複数のGa源を使用することが可能であり、Cu源に対するGa源の位置は移動できる。別の改良は、In−Cu−Ga−Inの順序を使用することである。
【0068】
図16は、プロセスチャンバ7内を移動する基材21に対する2つの蒸発源11の配置および向きを示す。各源は、運搬された基材の高さの下およびその側面に、基材の隣接縁31からある距離を置いて位置している。点線で示すように、2つの蒸発源から放出は基材の中間領域にて重複し、それによって両方がこの区域の蒸着に寄与している。この中間領域の外側の区域は、主に1つの源からの蒸着を受ける。蒸発源の図示した配置および向きによって、図示した源によって蒸着される層の均一な厚さを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】CIGS太陽電池の断面図である。
【図2】本発明による制御手段を備えたCIGSプロセスチャンバの断面図である。
【図3】蒸着元素の蒸発速度特性を示す図2に類似した図である。
【図4】CIGS膜組成対時間/プロセスチャンバ内の位置を示す、図2に類似した図である。
【図5】CIGS膜放出率対時間/位置を示す図2に類似した図である。
【図6】コントローラの図である。
【図7】Cu/Ga+In対時間のグラフにおける鋭い転移点を示すグラフである。
【図8】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、蒸着および制御システムの第2の実施形態を示す。
【図9】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、各基材ヒータにおける複数のセンサの使用を示す。
【図10】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、制御システムの第2の実施形態を示す。
【図11】プロセスチャンバの概略底面図であり、本発明の好ましい実施形態が開示されている。
【図12】図11に示すプロセスチャンバの側面図である。
【図13】図12の実施形態における基材面における列領域に沿った元素流量を示す図である。
【図14】図12に示す検知装置からの出力信号を示す図である。
【図15】プロセスチャンバの概略底面図であり、本発明のさらなる実施形態が開示されている。
【図16】プロセスチャンバの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスチャンバにおける同時蒸発蒸着プロセスによる、銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のための方法および装置に関する。本発明は、蒸着CIGS層の厚さおよび組成の制御のための方法および装置にも関する。
【0002】
背景技術
太陽電池は、それが再生可能な技術であるため、最小限の環境影響で電力を生成する手段を提供する。市場での成功品となるために、太陽電池は効率的であり、低コストを有し、耐久性であり、他の環境問題を付加しない必要がある。
【0003】
今日の主要な太陽電池技術は、結晶性ケイ素に基づいている。結晶性ケイ素は、上で挙げた要件の多くを満足するが、大規模での発電がコスト効率的であるような低コストで生産できない。それは生産で比較的大量のエネルギーも必要とし、このことは環境上の欠点である。
【0004】
薄膜技術に基づく太陽電池が開発されてきた。それらは実質的なコスト削減の可能性を与えるが、一般に低い変換効率およびより低い耐久性を有する。非常に有望な薄膜太陽電池技術は、運転中に高い効率(小型プロトタイプモジュールで16.6%)および耐久性を有する、半導体Cu(In,Ga)Se2(CIGS)に基づいている。
【0005】
関連技術の説明
図1において、CIGS太陽電池は、モリブデン層3がコーティングされた板ガラスまたは金属箔などの基材材料2上にCIGS層1を含むように示されている。この層は、太陽電池の裏面コンタクトとして機能する。CIGS成長の後に、通例CdS 50nmのバッファ層4、高い抵抗率のZnOの薄層5(場合により省略)および透明導電性酸化物6の前面コンタクト6の蒸着による、pn接合の形成が続く。高い光−電気変換効率を備えた太陽電池を得るための1つの重要な因子は、CIGS材料の品質である。
【0006】
米国特許第6,310,281号は、蒸着される元素の放出源として3〜5個のボートを使用する高真空同時蒸着法について述べている。3蒸気源法では、Moコーティング基材材料片が蒸着ゾーンを通じてチャンバ内で移動する。その材料の各点は最初に銅源の上を直接、その後にガリウム源の上を、その後にインジウム源の上を、そして終始、セレン源の上を通過する。
【0007】
るつぼ/ボートからの銅、ガリウムおよびインジウムの各蒸気放出速度は、蒸着ゾーンの入口端では銅が豊富であり、このゾーンの中間領域ではガリウムが豊富であり、ゾーンの出口端ではインジウムが豊富であるような方法で制御される。銅、ガリウムおよびインジウムの適切な放出速度を確立することによって、CIGS膜の組成は、以下に従って蒸着ゾーンに沿って変化する。(a)蒸着ゾーンの入口端内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に約3.4であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に約0.46である;(b)蒸着ゾーンの中間領域内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に約1.9であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に約0.43である;そして(c)蒸着ゾーンの出口端内では、比(Cu)/(Ga+In)は一般に0.8〜0.92、最も好ましくは約0.88であり、比(Ga)/(Ga+In)は一般に0.25〜0.3、最も好ましくは0.275である。
【0008】
生成されたCIGS層は、おおよそ23.5原子パーセントの銅、19.5原子パーセントのインジウム、7原子パーセントのガリウム、50原子パーセントのセレンの内部組成または組成を有する。
【0009】
該特許により、各種元素の蒸着は、るつぼ内のノズルからの蒸気放出速度を制御することによって、そしてるつぼの貯留槽内の溶融金属の温度を制御することによって制御される。
【0010】
該特許は、銅が豊富なCIGS組成の銅が不足したCIGS組成への変換を検出するいずれの手段も開示していない。該特許は、CIGS層の蒸着制御のためのいずれの手段も述べていない。
【0011】
該特許は、CIGSチャンバ内で膜表面の各点が連続してガリウム/インジウムが豊富な領域、銅が豊富な領域、そして最後に別のインジウム/ガリウムが豊富な領域に遭遇する、5段階プロセスも開示している。
【0012】
米国特許第5,633,033号は、太陽電池用の黄銅鉱膜を製造する方法と、膜の電気または光学特性が明確な変化を示す方法の最後のステップの終点を判定するために、膜の電気または光学特性を監視する方法とに関する。いったん終点が検出されると、プロセスは停止される。
【0013】
発明の概要
本発明の1つの目的は、モリブデン裏面コンタクト層を備えた基材がCIGSプロセスチャンバ内を連続的に移動するCIGS太陽電池製造のインラインシステムにおける、同時蒸着CIGS層の正確な制御のための制御方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、プロセスチャンバを通じた基材の運搬方向で見られるように、基材幅の上にCIGS層の均一な蒸着を提供することである。これはプロセスチャンバを通じた基材の運搬方向に見られるように、少なくとも2列の蒸発源を使用することによって実現され、CIGS層の均一な厚さおよび均一な組成を提供するために、一方の列の蒸発源は他方の列の源とは多かれ少なかれ独立して制御される。
【0015】
本発明のなお別の目的は、蒸着されたCIGS層の転移点を検知するか、または蒸着されたCIGS層の厚さおよび組成を検知するセンサを使用する制御方法を提供することである。
【0016】
本発明による1つの制御方法は、CIGS層がCu過剰組成からCu不足組成に変換したときにCIGS材料の複数の物理的および化学的特性が突然変化するという事実に基づく。特に、移動中のCIGS層は、Cu(In,Ga)Se2およびCuxSeを含む2相材料をCu(InGa)Se2を含む単相材料に変換する。該制御方法は、CIGS層製造に使用される方法とは独立している。本発明により、変換が起こるCIGSプロセスチャンバ内の位置が検知され、この位置は基準転移点と呼ばれる。さらに、実際の転移点と呼ばれる変換が起こる位置の基準転移点からの移動を検知して、実際の転移点を基準転移点に戻すための補正処置を取ることによって、CIGS層の組成を正確に制御することができる。
【0017】
転移点の検知は、転移を示す物理パラメータを測定するように適合された少なくとも1個のセンサによって行われる。制御処置は、センサ信号を受信および処理して、転移点がプロセスチャンバ内のその基準位置に戻るように蒸発物流量を調整する補正信号を供給する、コントローラによって講じられる。上で参照した米国特許第5,633,033号において、転移が検知されたときに制御プロセスは停止されるが、本発明により、転移検知プロセスは常時継続して、転移点をその基準位置に戻すために使用される補正信号を生成するために使用される制御パラメータを生成する。
【0018】
転移点を検知するために、センサ対を形成する2個のセンサを使用できる。対のセンサは転移点の両側に配置される。各転移点を検知するために、プロセスチャンバ幅の上に2つ以上のセンサ対を配置できる。蒸発源セットが各センサ対に連結される。各センサ対およびその連結された蒸発源セットは、各コントローラに接続される。コントローラは、その各転移点を一般に静止させておくために、その連結された蒸発源のいずれかを調整する。制御は、関連する蒸発源ヒータへの電力を調整することによって行う。プロセスチャンバ幅に渡って配置された複数のセンサ対の使用は、プロセスチャンバ幅の方向に渡って見られるように、CIGS層が蒸着される精度を向上させる。
【0019】
基準転移点の下流に、以下でXRF装置と呼ばれるX線蛍光組成測定装置を提供することによって、CIGS材料の厚さおよび組成を正確に制御することが可能であり、それゆえ正確に制御された組成および厚さを有する基材の高い出力速度が提供される。
【0020】
該方法は、良好な制御力学を達成するために高速なフィードバックループを提供する。
【0021】
実施の形態の詳細な説明
図1を参照する。一般的に使用されるCIGS太陽電池の製造方法は、Mo層3によってコーティングされた板ガラスまたは金属箔などの基材材料2上でのCIGS層1の成長を含む。Mo層は、太陽電池の裏面コンタクトとして機能する。CIGS成長は、通例CdS 50nmのバッファ層4、任意の高い抵抗率のZnO薄層5および透明導電性酸化物6の前面コンタクトの蒸着による、pn接合の形成が続く。高い光−電気変換効率を備えた太陽電池を得るための1つの重要な因子は、CIGS材料の品質である。
【0022】
本発明は水平蒸着システムに関して説明するが、本発明が垂直蒸着システムによって使用できることが理解されるべきである。図2において、蒸着システムは、CIGS層の本発明による製造のためのプロセスチャンバ7を含む。プロセスチャンバは、入口8と、出口9と、複数の基材ヒータ10と、銅蒸発源11と、ガリウム蒸発源12と、インジウム蒸発源13と、個々の蒸発源ヒータ14、15、16とを含むように示されている。プロセスチャンバ7内で、そして特に蒸着ゾーンDZ内で、CIGS層を確立するための同時蒸着プロセスが実施される。個々の蒸発源の温度を測定するために、熱電対14’、15’および16’が配列される。図示されていない温度コントローラは、それぞれの蒸発源の温度を一定に維持するように適合されている。本発明の制御システムは、センサ18、19に、そして蒸発源ヒータ14〜16に接続されているコントローラ17を含む。XRF装置20は、蒸着CIGS層の組成および厚さを測定する。セレン源26は蒸着ゾーン内のすべての成長位置にて過剰なセレンを与えるように配置され、セレン蒸気を蒸着ゾーン全体にむしろ一様に分布させる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、基材は幅約120cmおよび長さ約60cmのガラスプレートであり、センサは熱電対であり、基材ヒータは、基材移動の方向に通例幅10cmで多くのセグメントを含む。正確な幅は、プロセスチャンバの全体の形態およびサイズによって変わる。基材ヒータはたとえばIRランプでもよい。非常に短く不完全な方法で述べられているが、プロセスチャンバ内で起こるプロセスの一般的な理解を読者に与える目的で、以下の事実を述べる。プロセスチャンバは真空に維持され、ガラスプレートはプロセスチャンバに入るときに約500℃であり、源ヒータはそれぞれの元素を含有するるつぼを約1000〜1500℃の温度まで加熱している。
【0024】
Moコーティング基材21は、均一な速度で蒸着ゾーンDZ内を、図示されていない運搬機構上を矢印の方向22へ移動する。
【0025】
運搬機構は、蒸着ゾーンを通じた基材の連続流が存在し、1つの基材の前端と前の基材の後端との間隔が最小限であるように設計されている。蒸着ゾーンでは、蒸発源は好ましくは、基材がIn源に接する前にCu源に接するように配置されている。Inより少ない量で蒸発されるGa(通例、高性能CIGS膜は、0.15〜0.40のGa/(Ga+In)比を有する)は好ましくは、図3に示すように出口よりも、蒸着ゾーンへの基材の入口付近でより高い蒸着速度をもたらす。
【0026】
図3において、基材移動の方向で基材平面内の異なる位置にある元素流量を示す。特に銅蒸発流量を曲線23で示し、ガリウム蒸発流量を曲線24で示し、インジウム蒸発流量を曲線25で示す。CIGS層の厚みを通じてGa勾配されるこの方法は、太陽電池の性能を改善する。
【0027】
基材は蒸着ゾーン通じて移動するのて、低い抵抗率の銅豊富層は、入口端にて蒸着されるであろう。この層は、セレン化銅CuxSeおよびCu(in,Ga)Se2を含む。さらにラインを下ると、銅流量が下降し、インジウム流量が増加して、銅豊富層は、銅不足Cu(In,Ga)Se2に接して、基材がラインを下降するにつれて、その銅を銅不足Cu(In,Ga)Se2に与えることによって銅不足Cu(In,Ga)Se2と即時に反応する。銅豊富層中の銅はそれゆえ消費されるであろう。CuxSe中の過剰な銅が消費されると、この消費は27で示される転移点で一般に起こるが、生じたCIGS層は一般に高い抵抗率の銅不足Cu(In,Ga)Se2層を含む。
【0028】
転移は非常に鋭く、運搬方向に見られるように、プロセスチャンバ内の短く明確に画成された場所または転移ゾーンで起こる。以下では、この点は基準転移点と呼ばれるであろう。インライン生産ラインのオペレータにとっては、転移が起こる単一の瞬間はないが、転移は基材が移動するときに常時起こる。しかしながら、運搬速度が均一であり、そこでの流量が安定しているという条件では、基準転移点は蒸着ゾーン内では移動しないであろう。本発明により、CIGS組成の形成を制御するために、基準転移点が使用される。
【0029】
全体として、源の配置は、成長が蒸着ゾーンの入口端においてCu過剰で、出口端においてCu不足であるようになっている。流量は調整されて、領域0.75〜0.95におけるCu/(In+Ga)比、そして約0.10〜0.45のGa/(In+Ga)比を持つCIGS膜の最終組成を与える。図7において、領域0.75〜0.95におけるCu/(In+Ga)比を持つCIGS膜の最終組成を示す。図7は、領域0.95〜1.05において起こる鋭い転移も示す。
【0030】
それぞれの蒸着元素の量を図4に示す。基材の1つの特定の場所におけるCIGS膜の組成である。基材がプロセスチャンバを通じて移動するときに、この場所においてどのように組成が変化するかを示す。基準転移点の上流では、CuのIn+Gaに対する割合は1より大であり、転移点の下流では1未満である。
【0031】
基準転移点の両側では、5〜30cmの距離において、転移に関連する物理的特性、特にCIGS材料組成の放出率、抵抗率または熱容量に関連するパラメータを監視する、それぞれのセンサ18および19が配置されている。
【0032】
基準転移点がその基準場所から移動する傾向がある場合、移動はセンサによって検知される。原則として、基準転移点はCuの変化または(In+Ga)流量の変化によって移動できる。センサからの出力信号はコントローラへの入力信号として供給され、コントローラにあるソフトウェアプログラム28が入力信号を処理して補正出力信号を供給して、それによって蒸発物流量が調整されて移動が補正され、転移点を基準場所に戻す。
【0033】
センサは、Cu豊富層のCu不足層への転移を示す物理パラメータを測定するのに適している。パラメータ例は放出率、抵抗率、熱容量、蒸着されたCIGS膜を通じて反射または透過された光の強度、および反射光の強度に関連した鏡面反射光の強度である。
【0034】
以下では、センサ測定放出率は図5に関して説明され、図5自体は図3および4に関連している。プロセスチャンバを通じて一定の速度で移動する基材は、放出率曲線29に従う放射センサからの出力信号を生じるであろう。速度は一定であるため、位置と時間の間には直線関係がある(s=vt)。金属が基材ヒータからの熱放射の大部分を反射するので、プロセスチャンバに入るMoコーティング基材は、低い放出率値を有する。銅豊富層が蒸着を開始すると、放出率は上昇して、銅豊富層を示す値に達するであろう。太点線29によって示されるように、放出率が激しく変化する瞬間および位置にて転移が起こるまで、放出率はこの値に留まるであろう。この位置では、放出率、抵抗率および熱容量の明確な変化が生じる。
【0035】
センサ18によって高い放出率値が測定され、センサ19によって低い放出率値が測定される。どちらのセンサも放出率を測定している。インラインプロセスがしばらくの間、実行されており、転移点が静止している、すなわち動かない状態が達成されたと仮定する。ここでCu、GaまたはIn流量のいずれかが変化を開始して、CIGS膜でより銅が豊富になると、これは組成が銅不足になるためにより長い時間がかかるということを示唆するであろう。それゆえ転移点は、基準位置からプロセスチャンバ下方向へ、すなわち図5では右へ移動するであろう。センサ19からの出力信号は上昇するであろう。2個のセンサによって測定された放出率はここで高くなる。コントローラプログラムは、2つの入力信号の処理の結果として、銅流量を減少させる出力信号を伝送するであろう。銅流量は、実際の転移点が基準転移点に戻るまで減少される。センサ18からの出力信号が基準転移点の上流方向への、すなわち図面の左への転移点移動を減少させて、銅流量は実際の転移点が基準位置に戻るまで増加されねばならない。
【0036】
各蒸発源からの流量は、各源に供給される電力を調整することによって制御される。電力が調整されると、温度はそれに従って調整され、熱電対14’、15’または16’は、その温度読取り値をコントローラに送信するであろう。
【0037】
コントローラはたとえば、Cu源が1500℃を維持するように命令する。Cu源における図示されていない温度コントローラは次に、熱電対14’が1500℃の温度を通知するまでヒータ14を調整する。基準転移点がここで図2の左へ移動する場合、コントローラ内のプログラムは、1502℃までのCu源温度の上昇を実行および命令するであろう。温度コントローラがヒータへの電力を増加させ、温度が上昇し、これが熱電対14’によって検知されて、その温度を再びコントローラへ報告する。
【0038】
説明したばかりのシナリオでは、転移点の移動が変化する銅流量に依存することが仮定された。すでに上述したように、しかしながら転移点は原則として、Cuの変化または(In+Ga)流量の変化のどちらかによって移動する。コントローラによって正しい補正処置が講じられるようにするために、追加の情報が必要とされる。これは単に、GaおよびIn源が一般にCu源よりも安定であるという事実であり、したがって正しい補正処置が常にCu流量の調整であると考えられる。特に、Cu源ヒータ14に伝送される電力が調整される。追加の可能性は、ラインのさらに下方に、またはプロセスチャンバの外部にさえ供給されたXRF装置20を使用することである。従来、XRF装置は全組成を測定し、そして薄いCIGS層では、それぞれ蒸着された元素の原子の総量を決定できる。それゆえCIGS層厚さの尺度は、CIGS層の元素組成の尺度と同様にXRF装置20によって得られる。XRF装置の代わりに、CIGS層の組成および/または厚さを測定する他のいずれかの装置を使用できる。
【0039】
転移点が静止したままである場合、このことはCIGS層の組成が正確であることと、転移が起こったこととを反映しているが、CIGS層の厚さを反映していない。厚さは原則としてどれでもよい。したがって厚さの測定値を得る必要があり、XRF装置はこのために使用される。
【0040】
上記より、XRF装置は、それから組成データも得られる場合でも、主に厚さの測定に使用されることと、正確な組成および正確な厚さのCIGS層を得るためにコントローラが蒸気源を制御するように適合されていることとが明らかなはずである。
【0041】
転移点が右に移動する場合、原則として、より銅が豊富な蒸着を得るためにIn+Ga流量を減少させることができるが、XRF装置は次にCIGS膜が薄くなり始めることを検知して、対応する信号をコントローラに送信する。次に制御プログラムは、適正な補正処置が銅流量を増加させることを発見する。これは低速なフィードバックを与えるが、単に構成要素の相対組成ばかりでなく、各元素の全蒸着量に関する情報を追加する。全蒸着量のプロセスウィンドウ、すなわち厚さは、組成に対して実質的により大きい。Ga/(Ga+In)比のプロセスウィンドウも比較的大きい。これは、低速のフィードバックがInおよびGa流量におけるドリフトについて調整するために、高速のフィードバックがCu流量を変化させることによって、組成制御について調整するために使用可能であることを意味する。
【0042】
以下の節は、熱電対の温度を測定することによって、転移点を検知できる理由を説明する。プロセスが真空中で行われるため、熱は、放射のみによって、基材およびその蒸着層の完成した集合体から、そして集合体へ伝達される。伝導による熱伝達が集合体の中で起こる。インラインシステムの始動段階の後に、放射平衡の状態が基材と基材ヒータとの間に発生するであろう。この状態で基材ヒータは熱を放射し、基材ヒータに対向する表面である集合体の上面は一部の熱を反射し、MoおよびCIGS層を含む表面である集合体の底面は、一部の熱を放射するであろう。基材ヒータから分かるように、底面への蒸着が進行するにつれ、何も変化しない;基材ヒータは引き続き基材およびMo層のみと遭遇する。基材は、基材ヒータに供給される電力が一定に保たれるという条件で、引き続き熱の一部を吸収および反射するであろう。
【0043】
底面では、転移が起こるときに放出率が変化するであろう。放出率が低いとき、基材ヒータに供給される電力が一定に保たれるという条件で、底面はわずかな熱を放射して、集合体はより温かくなる(集合体内の熱伝導のために)。放出率が高いとき、底面はより多くの熱を放射して、集合体はより低温になる。
【0044】
放出率が高い場所に位置するセンサ18は、ある温度を測定し、転移点の後に、それゆえ放出率がより低い場所に位置するセンサ19は、転移点がセンサ18、19間にあるときにより高い温度を測定するであろう。
【0045】
源ヒータへの電力を一定に維持する代わりに、基材の温度が一定に維持されるように、それらを個別に制御して、それらを調節することが可能である。次に転移点の両側のヒータには、基材温度を一定に維持するために、異なる電力を供給する必要がある。それゆえ電力の差は、問題の基材ヒータ間に転移点が存在することを示す。
【0046】
放射センサの具体的な実施形態である温度センサを使用するための代案として、転移点を検知するために、上で引用した米国特許第5,633,033号で述べた種類の光学センサを使用することができる。
【0047】
なお別の代案は、蒸着されたCIGS膜を通じて反射または透過される光の強度を測定するセンサを使用することである。
【0048】
さらなる代案は、鏡面反射光の強度および反射光の強度を測定する光学デバイスを使用することであり、光が蒸着されたCIGS膜の上面に鋭角で衝突して、1個のセンサが反射光を測定し、もう1個が鏡面反射光を測定する。
【0049】
センサが絶対読取り値を得る場合、原則として、1個のセンサのみを使用して転移点を検知することが可能である。2個以上のセンサの使用および転移点を検知するためのその読取り値の比較は、相対読取り値の使用を可能にする。次にコントローラおよびそのソフトウェアは、それに従って設計する必要がある。図2では、第3および第4のセンサ30、31を点線で示す。そのような第3および第4のセンサの使用は、転移点が移動する方向の決定および/または転移点の移動の大きさの決定を可能にする。この情報は、転移点をその基準位置に戻す適切な補正処置を講じるためにコントローラによって使用される。センサ18、19、30、31のシステムはもちろん、転移点の現在位置の決定も可能にするであろう。
【0050】
図8はCIGSプロセスチャンバの上面図であり、蒸着システムの第2の実施形態を示している。図2に示す、センサ対18、19、蒸発源11、12、13、源ヒータ14、15、16、源温度センサ14’、15’、16’、XRF源20、およびコントローラ17を含む単一制御システムを有する代わりに、図8に示す二重制御システムを使用できる。各制御システムは、センサ対18、19、蒸発源11、12、13、源ヒータ14、15、16、源温度センサ14’、15’、16’、XRF源20およびコントローラ17を含む。2つの制御システムは並んで配置されている。それゆえ転移点は、基材材料の幅に渡る方向に見られるように2点で制御される。図8を見ると、2列の制御手段があると言えるが、この表現は一般的であり正確ではない。各制御システムは必須であるが、相互から完全に独立していない。したがって一方の転移点の制御は、他方の制御と必然的に独立している。上述したように、転移点は、源ヒータへの電力を制御することによって制御される。この機構により、基材の幅に渡るCIGS膜の蒸着の正確な制御が実現される。
【0051】
2列の蒸発源の使用は、基材の幅に渡るCIGS層の元素組成および厚さの調整を可能にする。本発明により、源の各列を制御する機能は、基材の幅に渡る(CIGS層の)不均一な厚さおよび不均一な組成を調整する可能性を提供するであろう。片側での蒸発流量の量を反対側の蒸発流量の量に関連付けて制御できないため、これはそのような調整を供給できない既知の線形蒸発源の使用に関する利点である。
【0052】
1つの列の蒸発源を反対の列の蒸発源と独立して制御することが可能である。しかしながら、制御の正確さを向上させるために、列間の依存性を使用することが可能である。たとえば、第1の列と呼ばれる一方の列における源で測定を行うとする。得られた測定値の90%が前記第1の列から生じ、10%が第2の列と呼ばれるもう1つの他方の列から生じることが既知である場合、この知識を使用して、より洗練された補正処置を提供できる。これは、補正処置を2つの列の間で重みづけることができるためである。したがって列における蒸発源の制御は、別の列の蒸発源の制御に依存しうる。
【0053】
図8の実施形態の改良は、基材の幅に渡って並べて配置された3つ以上の制御システムを使用して、転移点を3つ以上の位置で制御することである。
【0054】
図9では、センサ18または19が各基材ヒータにあり、それゆえ蒸着ゾーン内のいずれの場所においても転移点の欠点が可能となる、本発明の改良が示されている。図示されたように、転移点が検知されればどこでも、基材の幅に渡るCIGS膜の蒸着の正確な制御を可能にする、図8機構でのような2列の制御システムがある。基材ヒータの実装に応じて、各制御システム内の各基材ヒータに2つ以上のセンサがある。
【0055】
図9の実施形態の改良は、基材の幅に渡って並べて配置された3つ以上の制御システムを使用して、転移点を3つ以上の位置で制御することである。
【0056】
上の実施形態は、Cuが豊富な膜組成からCuが不足した膜組成への鋭い転移の検知に基づいている。各種の一定条件を仮定すると、鋭い転移は、プロセスチャンバ内の比較的固定された位置で測定される。次に、鋭い転移の検知に基づいていないが、代わりにCIGS膜の組成の検知に基づく、ある実施形態が開示されるであろう。それゆえ転移点を検知する必要はないが、転移点付近の場所以外の多くの場所で検知を行うことができる。さらに下でわかるように、検知はプロセスチャンバの出口部分で行うことが可能であり、検知はプロセスチャンバの外側でさえ行うことができる。それゆえ以下の実施形態は、検知部位に関するさらなる自由を提供する。
【0057】
図10は、センサ18、19、30、31が省略され、代わりに複数のXRF装置20が出口付近の蒸着ゾーンの下流に配置されている制御システムが開示される。図8機構においてと同様に、基材の幅に渡って複数の列のXRF装置があってもよい。各列におけるXRF装置は、基材の幅はもちろんのこと、基材の長さに渡って所望の組成および所望の厚さを備えたCIGS層を得るために、蒸着CIGS層の組成はもちろんのこと厚さを制御することと、個々の蒸発源11〜13のいずれかを調整することに適した各コントローラ17に接続されている。
【0058】
本発明の図10の実施形態において、CIGS層の各物質の量はもちろんのこと、CIGS層の厚さも検知される。
【0059】
XRF装置は、CIGS層内の各元素の量の絶対測定値を得ることができる。結果として、各元素の全量も、したがってCIGS層の厚さも測定できる。原則として、これは自動調整式でないため、セレン含有量を測定することは必要でない。XRF装置の代わりに、電子顕微鏡で使用される種類と同様のEDX(エネルギー分散X線分光法)装置を使用することが可能である。
【0060】
同時の含有量および厚さの測定値を同一装置で得られない場合、CIGS層の組成に関する直接または間接測定値を得るための独立した装置と、CIGS層の厚さを測定するための独立した装置を使用することが可能であり、前記の独立した装置は、蒸着システムの外側に配置できる。厚さ測定装置の例は、CIGS層の上面を追跡する点または針、いわゆる表面形状測定装置(profiometer)である。他の例は光学デバイスである。
【0061】
CIGS層組成の間接的測定値を得る例は、元素Cu、Ga、In、そして必ずではないがSeの量の測定値を得るために、物理パラメータ、たとえば抵抗に対して元素組成を校正することである。
【0062】
Moコーティング基材材料が各元素源11〜13に遭遇する順序は変更することができ、図1〜10に示す順序と同じである必要はない。図11および12において、2列の元素源11〜13およびXRF装置20がある実施形態が開示されている。基材は最初に2つのGa源12に、次に2つのCu源11に、そして最後に2つのIn源13に遭遇する。セレン源26は、蒸着ゾーンにセレン蒸気を過剰に供給する。各XRF装置は各コントローラ17に接続されている。図13では、図11および12の元素源11〜13からの相対放出を示す。横軸は、Moコーティング基材21が蒸着ゾーンDZ内で移動する距離である。
【0063】
図10、11および12において、転移点の明瞭な検知が行われないため、図1〜9の実施形態で適用された関係Cu/(In+Ga)>1を満足する必要はない。代わりに、XRF装置によって組成のさらに段階的な検知が行われ、関係Cu/(In+Ga)は蒸着の間はいつでも1を超える必要はない。
【0064】
図11および12で使用したXRF装置からの出力信号が処理されて、生じた制御信号を図14に図式的に示す。制御信号は濃度を測定し、蒸着されたCIGS層において元素の正確な割合が達成されているときには一定である。たとえばCu濃度が高すぎる場合、コントローラは補正処置を講じて、Cu蒸発源11のヒータ14に供給する電力を減少させる。補正後、制御信号は一定値に戻る。Cu濃度が高すぎると言える前に、Cu濃度上昇の理由がガリウムおよびインジウムの濃度低下の結果であるかどうかを判断する必要がある。ガリウムおよびインジウムの濃度の低下は、蒸着されたCIGS層の厚さの縮小として現れる。厚さが薄すぎる場合、GaおよびIn源のヒータへの電力を最初に増加させて、その後、Cu源のヒータへの電力を増加させる前に新しいCu読取り値を得る必要がある。
【0065】
図15および16には、蒸発源11、12、13および26が、上述した実施形態のようにMoコーティング基材の下ではなく、各列が基材の側面に、基材21の縁から距離を置いて配置されるように横方向にずらして配置されている、本発明のなお別の実施形態を示す。蒸着材料の欠陥がゆるんで落下した場合、またはMoコーティングガラス基材がひび割れた場合、蒸発層には何も落下せず、それにより蒸着が妨害されないであろう。
【0066】
実施例15の実施形態のさらなる特徴は、XRF装置20が蒸着システムの外側に配置され、それによりプロセスチャンバ外部にある基材上での組成および厚さ測定値が得られることである。この特徴の改良として、その1つの列に沿った蒸発源に関する測定値を得る1つの列位置から、蒸発源の他の列に沿った蒸発源に関する測定値を得るもう一方の列位置へ移動する、単一のXRF装置を使用することができる。3列の蒸発源がある場合、XRF装置は3つの列位置の間を移動して、それぞれにおいて測定値を得る。
【0067】
図15の実施形態のさらなる改良は、点線で示されるように、In蒸発源13の下流に配置されたGa蒸発源12のセットを使用することである。なおさらなる改良は、移動方向22に見られるようなIn−Cu−Gaの順序の蒸発源を使用することである。それゆえ複数のGa源を使用することが可能であり、Cu源に対するGa源の位置は移動できる。別の改良は、In−Cu−Ga−Inの順序を使用することである。
【0068】
図16は、プロセスチャンバ7内を移動する基材21に対する2つの蒸発源11の配置および向きを示す。各源は、運搬された基材の高さの下およびその側面に、基材の隣接縁31からある距離を置いて位置している。点線で示すように、2つの蒸発源から放出は基材の中間領域にて重複し、それによって両方がこの区域の蒸着に寄与している。この中間領域の外側の区域は、主に1つの源からの蒸着を受ける。蒸発源の図示した配置および向きによって、図示した源によって蒸着される層の均一な厚さを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】CIGS太陽電池の断面図である。
【図2】本発明による制御手段を備えたCIGSプロセスチャンバの断面図である。
【図3】蒸着元素の蒸発速度特性を示す図2に類似した図である。
【図4】CIGS膜組成対時間/プロセスチャンバ内の位置を示す、図2に類似した図である。
【図5】CIGS膜放出率対時間/位置を示す図2に類似した図である。
【図6】コントローラの図である。
【図7】Cu/Ga+In対時間のグラフにおける鋭い転移点を示すグラフである。
【図8】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、蒸着および制御システムの第2の実施形態を示す。
【図9】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、各基材ヒータにおける複数のセンサの使用を示す。
【図10】CIGSプロセスチャンバの概略底面図であり、制御システムの第2の実施形態を示す。
【図11】プロセスチャンバの概略底面図であり、本発明の好ましい実施形態が開示されている。
【図12】図11に示すプロセスチャンバの側面図である。
【図13】図12の実施形態における基材面における列領域に沿った元素流量を示す図である。
【図14】図12に示す検知装置からの出力信号を示す図である。
【図15】プロセスチャンバの概略底面図であり、本発明のさらなる実施形態が開示されている。
【図16】プロセスチャンバの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ内での同時蒸発蒸着プロセスによって製造された銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の組成制御の方法であって、蒸着条件は、蒸着されたCu過剰全体組成が、Cu不足全体組成に変換されるようになっており、
a.インライン連続基材フロー製造システムのプロセスチャンバ内で前記同時蒸発プロセスを実施するステップと、
b.転移に関連する物理パラメータを使用することによって、銅豊富組成から銅不足組成への転移が起こる瞬間であって、基準転移点と呼ばれる瞬間を検知するステップと、
c.前記物理パラメータを使用して前記転移点の移動を検知するステップと、
d.前記転移点を基準転移点に戻すために、蒸発物流量を調整するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
基材の幅に渡る方向に見られるような少なくとも1つの場所で前記検知を実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モリブデン裏面コンタクト層を備えた基材がCIGSプロセスチャンバ内を移動して、変換が起こる位置であって、基準位置と呼ばれる位置を検知するために、物理パラメータがプロセスチャンバ内の基準転移点にて、CIGS層が位置の両側に1つずつ有する2点で監視されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
転移が起こる位置の両側に加熱要素が配置され、基材に伝送される電力を一定に維持することと、基準位置での2つの隣接する加熱要素での温度差を測定することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
個々に制御された電力を加熱要素に供給することによって基材および蒸着されたCIGS膜の温度を一定に維持することと、2つの隣接する加熱要素に伝送された電力差を基準位置で測定することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバの幅に渡って分布された複数のセンサ対が前記2点での検知に使用され、蒸発源の各セットに割当てることと、各転移点をその基準転移点に戻すために各蒸発セットの蒸発流を個別に調整することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
センサ対が前記2点での検知に使用され、各セットにおける銅流量を調整することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記物理パラメータがCIGS層の放出率に関連していることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記物理パラメータが熱容量または、それ自体既知であるように、抵抗率であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記物理パラメータが前記蒸着されたCIGS膜によって反射または透過された光の強度に関連することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記物理パラメータが反射光の強度に関する鏡面反射光の強度に関連することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するさらなるステップを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
基材(21)の幅に渡って蒸発源のセット(11、12、13)を列として提供することと、各列の蒸発物流量を制御することとを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するさらなるステップを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
CIGSプロセスチャンバ(7)を含み、その中でモリブデン裏面コンタクト層(3)を備えた基材(2)が前記CIGSプロセスチャンバ内の蒸着ゾーン(DZ)を連続的に移動する銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のためのインライン連続基材フロー製造装置であって、前記プロセスチャンバが、蒸着ゾーン内に配置され、コントローラに接続された少なくとも1個のセンサ(18、19;30、31)を特徴とする複数の独立した加熱要素(10)を含み、前記センサが蒸着されたCIGS膜のCu過剰組成からCu不足組成への変換に関連する物理パラメータを測定するように適合されており、前記基材が前記プロセスチャンバ内を移動するときに、前記プロセスチャンバ内の基準転移点(27)にて前記変換が起こり、前記蒸着されたCIGS膜にて前記基準転移点で前記物理パラメータを測定することによって、前記基準転移点から移動する基材上の実際の転移点の移動を検知するように前記センサが配置され、コントローラ(17)が入力としてセンサ出力信号を受信し、前記実際の転移点を前記基準点移転に戻すために、出力として蒸発物流量を調整する補正信号を伝送するように適合されている、インライン連続基材フロー製造装置。
【請求項16】
センサ対(18、19)を共に形成する2個のセンサが前記転移点の両側に配置されることと、前記対の各センサが前記コントローラの各入力に接続され、前記センサ対が前記蒸発源と共に各列に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項17】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するための装置(17)を特徴とする、請求項15または16に記載のインライン製造装置。
【請求項18】
センサ対が蒸発源の個々のセット(11〜13)と連結され、2つのセンサ対(18、19)が前記プロセスチャンバの幅に渡る方向に見られるように異なる場所に配置されることと、各センサ対およびその連結された蒸発源のセットが各列に配置されることと、各蒸発セットの蒸気流を調整するために列の各センサ対および蒸発源のセットが各コントローラ(17)に接続されることとを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項19】
それぞれが蒸発源のセット(11〜13)を含む2つの列があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を提供することを特徴とする、請求項18に記載のインライン製造装置。
【請求項20】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知する装置(17)を特徴とする、請求項18または19に記載のインライン製造装置
【請求項21】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知する装置がXRF(X線蛍光)装置、EDX(エネルギー分散X線分光法)装置または表面形状測定装置であることを特徴とする、請求項17に記載のインライン製造装置。
【請求項22】
追加センサ対および連結された蒸発源(11〜13)が列の前記2列間の場所に配置されることを特徴とする、請求項18に記載のインライン製造装置。
【請求項23】
1個以上の追加センサ(30、31)が前記各コントローラ(17)の入力に接続されることを特徴とし、前記追加のセンサが前記基準転移点の上流および/または下流の前記物理パラメータを測定するために配置されている、請求項22に記載のインライン製造装置。
【請求項24】
前記コントローラ(17)がCu対In+Gaの相対量を変更するように適合されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項25】
X線蛍光組成測定装置(20)が各元素(Cu、Ga、In、Se)の全蒸着量を測定し、それにより前記蒸着されたCIGS層の厚さおよび組成を測定するように適合されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項26】
前記コントローラ(17)が、前記蒸着されたCIGS層の厚さを一定にするために前記X線蛍光組成測定装置(20)に接続され、蒸着されたCuの全量および/または蒸着されたGa+Inの全量を調整するように適合されていることを特徴とする、請求項25に記載のインライン製造装置。
【請求項27】
Cu、In、GaおよびSeを含む蒸発源(11〜13、26)を含むプロセスチャンバ(7)内での同時蒸発蒸着プロセスによって製造された銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の組成制御の方法であって、蒸着層中の各元素の量を測定するステップを含み、基材(21)の幅に渡って蒸発源のセット(11、12、13)を列として提供することと、各列の前記蒸着層中の元素の個々の量を測定することと、均一な元素組成のCIGS膜を提供するために、各列の蒸発物流量を制御することとを特徴とする、方法。
【請求項28】
各列にて前記蒸着されたCIGS膜の全厚を測定することと、均一な厚さのCIGS膜を提供するために、前記個々の蒸発源(11〜13)の少なくとも1つからの流量を調整することとを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
それぞれが蒸発源のセット(11〜13)を含む2つの列があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を提供することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記プロセスチャンバ内で測定値を得ることを特徴とする、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記プロセスチャンバの外側で測定値を得ることを特徴とする、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
CIGSプロセスチャンバ(7)を含み、その中でモリブデン裏面コンタクト層(3)を備えた基材(21)が前記CIGSプロセスチャンバ内の蒸着ゾーン(DZ)を連続的に移動する銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のためのインライン連続基材フロー製造装置であって、前記プロセスチャンバが複数の独立した基材ヒータ(10)と、Cu、In、GaおよびSeを含む蒸発源(11〜13、26)と、源ヒータ(14、15、16)とを含み、基材(21)の幅に渡る列としての蒸発源のセット(11、12、13)と、各列にてCIGS中の蒸着された各元素の量を検知するための少なくとも1個の組成検知装置(20)と、前記少なくとも組成検知装置に接続され、均一な元素組成のCIGS層を提供するために対応する元素の蒸着量の検知された変化に応答して各列の蒸発物流量を調整するように適合されたコントローラ(17)とを提供することを特徴とする、インライン連続基材フロー製造装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が各列にて蒸着されたCIGS膜の構成要素の蒸着量を測定するように適合されていることと、均一な厚さのCIGS膜を提供するために前記コントローラ(17)が各列にて蒸発物流量を調整するように適合されていることとを特徴とする、請求項32に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項34】
基材の運搬方向に見られるように前記プロセスチャンバの幅に渡って配置された2列の蒸気源があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を配置することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)を前記プロセスチャンバ内に提供することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項36】
前記少なくとも1個の組成検知装置(20)を前記プロセスチャンバの外側に提供することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項37】
前記蒸発物蒸気源(11〜13)を前記基材(21)より下の高さに配置することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が前記CIGS層の組成を直接測定する装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項39】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が(X線蛍光)装置および/またはEDX(エネルギー分散X線分光法)装置であり、各元素の全蒸着量を測定し、それにより前記CIGS層の厚さをも測定するように適合されていることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項40】
前記コントローラ(17)が入力信号として各元素の全蒸着量を表す信号を受信し、前記CIGS膜の均一な厚さを提供するために、前記後者の信号に応答して前記蒸発物源(11、12、13)からの流量を調整するように適合されていることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの組成検知装置が、前記CIGS層の組成を間接的に測定する装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つの組成検知装置が抵抗測定装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項43】
前記蒸着されたCIGS層の厚さを測定するための、前記コントローラに接続された独立した厚さ測定装置を特徴とし、均一な厚さのCIGS層を提供するために、前記コントローラが検知された厚さの変化に応答して前記蒸発物源(11、12、13)からの流量を調整するように適合されている、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項44】
前記厚さ測定装置が表面形状測定装置であることを特徴とする、請求項43に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項45】
Cu、GaおよびInを含む蒸発物源があり、前記蒸発物源が基材の運搬方向に見られるようにGa、Cu、Inの順序に配置されることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項46】
In蒸発源の下流に配置されたGaを含むさらなる蒸発源を特徴とする、請求項45に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項47】
Cu、GaおよびInを含む蒸発源があり、該蒸発源が基材の運搬方向に見られるようにIn、Cu、Gaの順序に配置されることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項48】
Ga蒸発源の下流に配置されたInを含むさらなる蒸発源を特徴とする、請求項47に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項1】
プロセスチャンバ内での同時蒸発蒸着プロセスによって製造された銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の組成制御の方法であって、蒸着条件は、蒸着されたCu過剰全体組成が、Cu不足全体組成に変換されるようになっており、
a.インライン連続基材フロー製造システムのプロセスチャンバ内で前記同時蒸発プロセスを実施するステップと、
b.転移に関連する物理パラメータを使用することによって、銅豊富組成から銅不足組成への転移が起こる瞬間であって、基準転移点と呼ばれる瞬間を検知するステップと、
c.前記物理パラメータを使用して前記転移点の移動を検知するステップと、
d.前記転移点を基準転移点に戻すために、蒸発物流量を調整するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
基材の幅に渡る方向に見られるような少なくとも1つの場所で前記検知を実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モリブデン裏面コンタクト層を備えた基材がCIGSプロセスチャンバ内を移動して、変換が起こる位置であって、基準位置と呼ばれる位置を検知するために、物理パラメータがプロセスチャンバ内の基準転移点にて、CIGS層が位置の両側に1つずつ有する2点で監視されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
転移が起こる位置の両側に加熱要素が配置され、基材に伝送される電力を一定に維持することと、基準位置での2つの隣接する加熱要素での温度差を測定することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
個々に制御された電力を加熱要素に供給することによって基材および蒸着されたCIGS膜の温度を一定に維持することと、2つの隣接する加熱要素に伝送された電力差を基準位置で測定することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバの幅に渡って分布された複数のセンサ対が前記2点での検知に使用され、蒸発源の各セットに割当てることと、各転移点をその基準転移点に戻すために各蒸発セットの蒸発流を個別に調整することとを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
センサ対が前記2点での検知に使用され、各セットにおける銅流量を調整することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記物理パラメータがCIGS層の放出率に関連していることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記物理パラメータが熱容量または、それ自体既知であるように、抵抗率であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記物理パラメータが前記蒸着されたCIGS膜によって反射または透過された光の強度に関連することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記物理パラメータが反射光の強度に関する鏡面反射光の強度に関連することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するさらなるステップを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
基材(21)の幅に渡って蒸発源のセット(11、12、13)を列として提供することと、各列の蒸発物流量を制御することとを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するさらなるステップを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
CIGSプロセスチャンバ(7)を含み、その中でモリブデン裏面コンタクト層(3)を備えた基材(2)が前記CIGSプロセスチャンバ内の蒸着ゾーン(DZ)を連続的に移動する銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のためのインライン連続基材フロー製造装置であって、前記プロセスチャンバが、蒸着ゾーン内に配置され、コントローラに接続された少なくとも1個のセンサ(18、19;30、31)を特徴とする複数の独立した加熱要素(10)を含み、前記センサが蒸着されたCIGS膜のCu過剰組成からCu不足組成への変換に関連する物理パラメータを測定するように適合されており、前記基材が前記プロセスチャンバ内を移動するときに、前記プロセスチャンバ内の基準転移点(27)にて前記変換が起こり、前記蒸着されたCIGS膜にて前記基準転移点で前記物理パラメータを測定することによって、前記基準転移点から移動する基材上の実際の転移点の移動を検知するように前記センサが配置され、コントローラ(17)が入力としてセンサ出力信号を受信し、前記実際の転移点を前記基準点移転に戻すために、出力として蒸発物流量を調整する補正信号を伝送するように適合されている、インライン連続基材フロー製造装置。
【請求項16】
センサ対(18、19)を共に形成する2個のセンサが前記転移点の両側に配置されることと、前記対の各センサが前記コントローラの各入力に接続され、前記センサ対が前記蒸発源と共に各列に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項17】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知するための装置(17)を特徴とする、請求項15または16に記載のインライン製造装置。
【請求項18】
センサ対が蒸発源の個々のセット(11〜13)と連結され、2つのセンサ対(18、19)が前記プロセスチャンバの幅に渡る方向に見られるように異なる場所に配置されることと、各センサ対およびその連結された蒸発源のセットが各列に配置されることと、各蒸発セットの蒸気流を調整するために列の各センサ対および蒸発源のセットが各コントローラ(17)に接続されることとを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項19】
それぞれが蒸発源のセット(11〜13)を含む2つの列があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を提供することを特徴とする、請求項18に記載のインライン製造装置。
【請求項20】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知する装置(17)を特徴とする、請求項18または19に記載のインライン製造装置
【請求項21】
前記CIGS膜の構成要素の蒸着量を検知する装置がXRF(X線蛍光)装置、EDX(エネルギー分散X線分光法)装置または表面形状測定装置であることを特徴とする、請求項17に記載のインライン製造装置。
【請求項22】
追加センサ対および連結された蒸発源(11〜13)が列の前記2列間の場所に配置されることを特徴とする、請求項18に記載のインライン製造装置。
【請求項23】
1個以上の追加センサ(30、31)が前記各コントローラ(17)の入力に接続されることを特徴とし、前記追加のセンサが前記基準転移点の上流および/または下流の前記物理パラメータを測定するために配置されている、請求項22に記載のインライン製造装置。
【請求項24】
前記コントローラ(17)がCu対In+Gaの相対量を変更するように適合されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項25】
X線蛍光組成測定装置(20)が各元素(Cu、Ga、In、Se)の全蒸着量を測定し、それにより前記蒸着されたCIGS層の厚さおよび組成を測定するように適合されていることを特徴とする、請求項15に記載のインライン製造装置。
【請求項26】
前記コントローラ(17)が、前記蒸着されたCIGS層の厚さを一定にするために前記X線蛍光組成測定装置(20)に接続され、蒸着されたCuの全量および/または蒸着されたGa+Inの全量を調整するように適合されていることを特徴とする、請求項25に記載のインライン製造装置。
【請求項27】
Cu、In、GaおよびSeを含む蒸発源(11〜13、26)を含むプロセスチャンバ(7)内での同時蒸発蒸着プロセスによって製造された銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の組成制御の方法であって、蒸着層中の各元素の量を測定するステップを含み、基材(21)の幅に渡って蒸発源のセット(11、12、13)を列として提供することと、各列の前記蒸着層中の元素の個々の量を測定することと、均一な元素組成のCIGS膜を提供するために、各列の蒸発物流量を制御することとを特徴とする、方法。
【請求項28】
各列にて前記蒸着されたCIGS膜の全厚を測定することと、均一な厚さのCIGS膜を提供するために、前記個々の蒸発源(11〜13)の少なくとも1つからの流量を調整することとを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
それぞれが蒸発源のセット(11〜13)を含む2つの列があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を提供することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記プロセスチャンバ内で測定値を得ることを特徴とする、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記プロセスチャンバの外側で測定値を得ることを特徴とする、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
CIGSプロセスチャンバ(7)を含み、その中でモリブデン裏面コンタクト層(3)を備えた基材(21)が前記CIGSプロセスチャンバ内の蒸着ゾーン(DZ)を連続的に移動する銅インジウムガリウムジセレン化物(CIGS)太陽電池の製造のためのインライン連続基材フロー製造装置であって、前記プロセスチャンバが複数の独立した基材ヒータ(10)と、Cu、In、GaおよびSeを含む蒸発源(11〜13、26)と、源ヒータ(14、15、16)とを含み、基材(21)の幅に渡る列としての蒸発源のセット(11、12、13)と、各列にてCIGS中の蒸着された各元素の量を検知するための少なくとも1個の組成検知装置(20)と、前記少なくとも組成検知装置に接続され、均一な元素組成のCIGS層を提供するために対応する元素の蒸着量の検知された変化に応答して各列の蒸発物流量を調整するように適合されたコントローラ(17)とを提供することを特徴とする、インライン連続基材フロー製造装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が各列にて蒸着されたCIGS膜の構成要素の蒸着量を測定するように適合されていることと、均一な厚さのCIGS膜を提供するために前記コントローラ(17)が各列にて蒸発物流量を調整するように適合されていることとを特徴とする、請求項32に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項34】
基材の運搬方向に見られるように前記プロセスチャンバの幅に渡って配置された2列の蒸気源があり、基材が前記蒸着チャンバ(7)内で沿って流れる通路の両側かつ外側に前記2列の蒸発源を配置することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)を前記プロセスチャンバ内に提供することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項36】
前記少なくとも1個の組成検知装置(20)を前記プロセスチャンバの外側に提供することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項37】
前記蒸発物蒸気源(11〜13)を前記基材(21)より下の高さに配置することを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が前記CIGS層の組成を直接測定する装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項39】
前記少なくとも1つの組成検知装置(20)が(X線蛍光)装置および/またはEDX(エネルギー分散X線分光法)装置であり、各元素の全蒸着量を測定し、それにより前記CIGS層の厚さをも測定するように適合されていることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項40】
前記コントローラ(17)が入力信号として各元素の全蒸着量を表す信号を受信し、前記CIGS膜の均一な厚さを提供するために、前記後者の信号に応答して前記蒸発物源(11、12、13)からの流量を調整するように適合されていることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの組成検知装置が、前記CIGS層の組成を間接的に測定する装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つの組成検知装置が抵抗測定装置であることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項43】
前記蒸着されたCIGS層の厚さを測定するための、前記コントローラに接続された独立した厚さ測定装置を特徴とし、均一な厚さのCIGS層を提供するために、前記コントローラが検知された厚さの変化に応答して前記蒸発物源(11、12、13)からの流量を調整するように適合されている、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項44】
前記厚さ測定装置が表面形状測定装置であることを特徴とする、請求項43に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項45】
Cu、GaおよびInを含む蒸発物源があり、前記蒸発物源が基材の運搬方向に見られるようにGa、Cu、Inの順序に配置されることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項46】
In蒸発源の下流に配置されたGaを含むさらなる蒸発源を特徴とする、請求項45に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項47】
Cu、GaおよびInを含む蒸発源があり、該蒸発源が基材の運搬方向に見られるようにIn、Cu、Gaの順序に配置されることを特徴とする、請求項32または33に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【請求項48】
Ga蒸発源の下流に配置されたInを含むさらなる蒸発源を特徴とする、請求項47に記載のインライン連続基材フロー製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−527121(P2007−527121A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501752(P2007−501752)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000333
【国際公開番号】WO2005/086238
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506298987)ソリブロ アーベー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000333
【国際公開番号】WO2005/086238
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506298987)ソリブロ アーベー (2)
【Fターム(参考)】
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