説明

CMOS垂直置換ゲート(VRG)トランジスタ

【課題】本発明は、CMOS垂直置換ゲート(VRG)トランジスタを提供する。
【解決手段】集積回路構造は平面に沿って形成された主表面を有する半導体領域及び表面中に形成された第1及び第2のソース/ドレインドープ領域を含む。絶縁トレンチが第1及び第2のソース/ドレイン領域間に形成される。第1のソース/ドレイン領域とは異なる伝導形のチャネルを形成する第3のドープ領域が、第1のソース/ドレイン領域上に配置される。第4のドープ領域が第2のソース/ドレイン領域上に形成され、第2のソース/ドレイン領域とは相対する伝導形をもち、チャネル領域を形成する。第5及び第6のソース/ドレイン領域が、それぞれ第3及び第4のドープ領域上に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流を流すよう設計された伝導形の変化した接合を組込んだ半導体デバイス及びそのようなデバイスの作製方法に関する。より具体的には、本発明は相補金属−酸化物電界効果トランジスタ(CMOS)垂直置換ゲート(VRG)電界効果トランジスタを含む集積回路及びそのようなデバイスを含んだ集積回路の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの特性を向上させ、デバイス密度(単位面積当りのデバイスの数)を上げることは、半導体産業の重要な目標であり続ける。デバイス密度は個々のデバイスをより小さくし、よりコンパクトにデバイスを充填することによって、増大する。しかし、デバイス寸法(形状寸法あるいは設計則とも呼ばれる)が減少するにつれ、デバイス及びそれらの要素の形成方法は、適合させなければならない。たとえば、生産デバイス寸法は現在0.25ミクロンないし0.18ミクロンの範囲で、より寸法を小さくする冷酷な傾向がある。しかし、デバイスの寸法が縮小されるにつれ、ある種の製造限界が生じる。特に付随したリソグラフィプロセスに限界が生じる。事実、現在のリソグラフィプロセスは今日のデバイスユーザに要求される最小寸法で正確にデバイス作製をすることが不可能になる点に近づきつつある。
【0003】
現在ほとんどの金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、横方向の形態に形成され、電流は基板の面又は基体表面に平行に流れる。デバイス密度を増すためにこれらMOSFETデバイスの寸法が小さくなるにつれ、作製プロセスは次第に難しくなりつつある。特に、リソグラフィパターン中の像を描画するために用いられる放射の波長がデバイス寸法に近づくにつれ、ゲートチャネルを生成させるためのリソグラフィプロセスは、問題である。従って、そのような横方向MOSFETの場合、ゲート長はリソグラフィ技術を通して精密に制御できない点に近づきつつある。
【0004】
充填密度が最近進展したことにより、垂直MOSFETのいくつかの変形が生れた。具体的には、タカト・エイチ(Takato.H)ら、“超高密度LSI用包囲ゲートトランジスタ(SGT)のインパクト”アイ・イーイーイー・トランスアクションズ・オン・エレクトロン・デバイス(IEEE Transactions on Electron Devices),第38(3)巻,573−577頁(1991)に述べられている垂直デバイスは、プレーナMOSFETデバイスに代るものとして、提案されている。最近、垂直置換ゲートトランジスタとして特徴的なMOSFETが述べられている。ハーゲンロザー(Hergenrother)ら、“垂直置換ゲート(VRG)MOSFET−リソグラフィに依存しないゲート長を有する50nm垂直MOSFET”,インターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング・テクニカル・ダイジェスト(Technical Digest of the International Electron Devices Meeting),75頁、1999を参照のこと。
【0005】
集積回路チップ上に作製された複数のプレーナMOSFET能動デバイスが、図1中に断面で示されている。基板(9)はp領域(50)及びp層(52)を含み、後者は典型的な場合、エピタキシャル技術により、成長させる。MOSFET(2,4)及び(6)が基板(9)上に作製されている。MOSFET(2)はLOCOS(シリコン基板の局所酸化)領域(10)により、MOSFET(4)から分離されている。同様に、MOSFET(6)はLOCOS領域(12)により、MOSFET(4)から分離されている。あるいは、MOSFET(2,4)及び(6)は浅いトレンチ分離(STI)技術により、電気的に分離してもよい。MOSFET(2)はゲート(14)n形井戸(20)中に拡散させたソース領域(16)及びドレイン領域(18)を含む。MOSFET(4)はゲート(28)、p形井戸(34)中に拡散させたソース領域(30)及びドレイン領域(32)を含む。最後に、MOSFET(6)はゲート(38)及びn形井戸(44)中に拡散させたソース領域(40)及びドレイン領域(42)を含む。ゲート(14,28)及び(38)はゲート酸化物層とも呼ばれる二酸化シリコン層(46)により、基板(9)から分離されている。図1(及び本発明書の他の図面)は、集積回路の一部を簡略化して示すことを目的としているから、各種の接触、相互接続、ビア及び金属層は図示されておらず、相対的な寸法は実際と異なる。
【0006】
チップの隣接した領域に、nチャネル及びpチャネルMOSFETの組合せを作製することは、有利であり、ディジタル用途では特に有利である。この相補MOSFET(CMOS)形態が、図2中の基本インバータ回路の形で示されている。MOSFET(たとえば図1中のMOSFET(2)及び(4))のドレインは、ともに結合され、出力を形成する。入力端子は、MOSFETゲート(たとえば図1のゲート(14)及び(28))を共通に接続したものである。図2の概略図において、MOSFET(2)はPMOSデバイスで、MOSFET(4)は図1に断面で示されたNMOSデバイスである。
【0007】
本発明の簡単な要約
CMOS半導体デバイスの使用を更に進展させるために、望ましい空間の節約及びVGRデバイスに付随した作製上の進歩とともに、どこにもあるCMOSデバイスの両方の利点を提供する垂直置換ゲート(VRG)CMOSデバイスを生成する形態を供する。
【0008】
本発明の一実施例に従うと、半導体デバイスは半導体材料の第1の層及びその中に形成された第1及び第2の空間的に分離され、かつ絶縁されたドープ領域を含む。この場合、第1及び第2のドープ領域は、相対する伝導形をもつ。第1及び第2の領域とは異なる伝導形の第3のドープ領域が、第1の領域上に形成される。第2のドープ領域上に第4のドープ領域が形成され、第2のドープ領域とは異なる伝導形を有する。第1及び第2の酸化物層が、それぞれ第3及び第4のドープ領域に近接して、形成される。
【0009】
第1のドープ領域は、第1の電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域で、第3のドープ領域はチャネルである。第2の電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域は、第2のドープ領域を含み、第4のドープ領域はそのチャネルを形成する。各MOSFETの第2のソース/ドレイン領域は、チャネルのそれぞれの上に形成される。
【0010】
作製の付随した方法において、集積回路構造はデバイス形成に適し、第1の面に沿って形成された表面を有する半導体層を形成することによって、作製される。第1の電界効果トランジスタの場合、第1のデバイス領域は半導体層中に形成され、デバイス領域はソース及びドレイン領域の中から選択される。第2の電界効果トランジスタの場合、第2のデバイス領域は半導体層中に形成され、第2のデバイス領域はソース及びドレイン領域の中から選択され、更に第1のデバイス領域から分離される。第1及び第2の電界効果トランジスタのそれぞれのチャネル領域は、第1及び第2のデバイス領域上の複数の領域中に形成されたトレンチ内の第1及び第2のデバイス領域上に、それぞれ形成される。少くとも2つの複数の層はドープされた絶縁層を含み、それからソース/ドレイン延長部が形成される。第1のデバイス領域上に第1の伝導形の第1のドープ絶縁層が形成され、続いて構造全体上に、第2の伝導形のドープ絶縁層が形成される。次に、第1のデバイス領域上の領域の第2のドープ絶縁層が除去され、得られた構造が第1のデバイス領域上の第1のドープ絶縁層と第2のデバイス領域上の第2のドープ絶縁層を含むようにする。同様に、第1及び第2のドープ絶縁層上に、第3及び第4のドープ領域をそれぞれ形成するために、プロセス工程が用いられる。第1/第2及び第3/第4のドープ絶縁領域間に、犠牲層が配置され、それは後に、チャネルの露出された部分中にゲート酸化物材料が形成できるよう、除去される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術のCMOS集積回路の断面図である。
【図2】CMOSデバイスで形成されたインバータ回路の概略図である。
【図3】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図4】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図5】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図6】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図7】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図8】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図9】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図10】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図11】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図12】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図13】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図14】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図15】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図16】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図17】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図18】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図19】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図20】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図21】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図22】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図23】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図24】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図25】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図26】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図27】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図28】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図29】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図30】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図31】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図32】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図33】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図34】一連の工程中の本発明の第1の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図35】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図36】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図37】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図38】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図39】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【図40】一連の工程中の本発明の第2の実施例に従う回路構造を断面で示す図である。
【0012】
本発明の詳細な記述
ここで述べる実施例には、CMOS構造と付随した作製技術が含まれる。CMOS垂直MOSFETを作製するプロセスについては、1999年1月18日に出願され、ここに参照文献として含まれる“垂直トランジスタを有するCMOS集積回路及びその作製プロセス”と題する権利者を同じくする特許出願、米国第290,533号に述べられている。(NMOS又はPMOS形の)垂直MOSFETの構造及び作製に関するより一般的な記述は、権利者を同じくし、ここに参照文献として含まれる米国特許第6,027,975号及び6,197,641号に述べられている。
【0013】
トランジスタ及び集積回路の作製に関して、“主表面”という用語はたとえばプレーナプロセスで、中及び周辺に複数のトランジスタが作製される半導体層の表面をさす。ここで用いるように、“垂直”という用語は主表面に対して本質的に垂直であることを意味する。典型的な場合、主表面は単結晶シリコン層の<100>面に沿い、その上に電界効果トランジスタデバイスが作製される。“垂直トランジスタ”という用語は、ソースからドレインへ電流が垂直に流れるように、個々の半導体要素が主表面に対して、垂直方向を向いたトランジスタを意味する。例として、垂直MOSFETの場合、ソース、チャネル及びドレイン領域は、主表面に対して相対的に垂直な配置で形成される。
【0014】
図3ないし34は本発明の一実施例に従う回路機能の例を実現するために作製する各種工程中の集積回路構造(10)の断面図を示す。ここでの説明から、複数の垂直CMOSトランジスタがそれだけかあるいはたとえばバイポーラ接合トランジスタ、プレーナMOSFET、容量又は抵抗といった他のデバイスと組合さり、集積回路を構成するために、いかに形成されるかが、明らかになるであろう。ここで述べる各種の半導体形状及び領域はシリコンから成るのが好ましいが、当業者には、本発明の他の実施例は、化合物又はヘテロ接合半導体それのみ、又は組合せを含む他の半導体材料に基いてよいことがわかる。
【0015】
図3を参照すると、層(100)の上部の結晶面に沿って形成された露出された主表面(106)を有する単結晶半導体層(100)が示されている。エピタキシャル層(108)は従来の手段により、露出された主表面(106)上に成長させる。一実施例において、基板(100)は高濃度ドープp形材料(pドーピングと呼ばれる)で、エピタキシャル層(108)は低濃度p形(pドーピングと呼ぶ)である。基板(100)及びエピタキシャル層(108)の厚さ、その中のドーパント濃度及びドーパントの形(たとえば、n形又はp形)はすべて設計上の選択である。
【0016】
図4に示されるように、二酸化シリコン(Si)の層(110)を、従来のプロセスにより、エピタキシャル層(108)上に堆積又は成長させる。
【0017】
次に、好ましくはシリコン窒化物(Si)である層(112)を、二酸化シリコン層(110)上に堆積させる。図5参照。従来通り、シリコン窒化物層は低圧化学気相堆積により、約20nmの厚さに形成する。
【0018】
次に、層(110)及び(112)がフォトレジストにより被覆され、このCMOSデバイスにn形領域を注入するために、エッチングにより窓を開ける。図6参照。層(110)及び(112)をマスクとして用いて、リン(又はヒ素のような別のドナ材料)を注入し、n領域を形成する。リンはヒ素より軽く、より高い注入レンジを持つため好ましい。また、リンはエピタキシャル層(108)中に、より速く拡散する。この速い拡散は、ドーパントをエピタキシャル層(108)中にかなり深く追いやり、n領域を形成するのに有利である。リンは約1keVないし500MeVのエネルギーで、1E12ないし1E17原子/cmの範囲の濃度に注入できる。
【0019】
注入プロセスの後、薄いn領域(114)が形成される。次に、たとえば湿式酸化により、約200nmの層厚にフィールド又はタンク酸化物層(116)が形成される。図7は残った薄いn形層(114)上に形成された得られたタンク酸化物層(116)を示す。タンク酸化物層(116)の形成には下のエピタキシャル層(108)からシリコンを消費し、従って得られた酸化物は膨張する。これにより、図7に示されるように、二酸化シリコン層(110)の底面を規定する面(118)に沿って、不連続が生じる。そのため、タンク酸化物層(116)は面(118)の下に延びる。シリコン窒化物は酸素及び水分子の拡散を阻止し、それによってその領域中のシリコンの酸化及び二酸化シリコンの形成が防止されるため、シリコン窒化物層(112)により保護され、タンク酸化物は本質的にウエハ領域中に成長しない。
【0020】
図8に示されるように、二酸化シリコン層(110)及びシリコン窒化物層(112)が、エッチングにより除去される。タンク酸化物層(116)を自己整合注入マスクとして用いて、ホウ素を注入することにより、p形領域を形成する。
【0021】
図9に示されるように、次に非常に高い温度(約1000℃)におけるドライブ−イン拡散プロセスにより、リン及びヒ素注入種の両方を、エピタキシャル層(108)中に拡散させる。拡散後、タンク酸化物層(116)は除去される。タンク酸化物の形成はエピタキシャル層(118)からシリコンを消費するから、n領域(114)及びp領域(120)を区切る段差(122)がある。
【0022】
好ましくは、CMOS回路のPMOS及びNMOSデバイスは、浅いトレンチ分離プロセスを通して分離される。この場合、トレンチ(130)(図10参照)は従来の技術により、表面(132)中に形成される。トレンチ(130)は2つの領域間を電気的に分離し、領域上には相補電界効果トランジスタの対の例が、形成される。トレンチ(130)は約1ミクロンの深さに、反応性イオンエッチングにより形成するのが好ましい。トレンチの代りに、2つのトランジスタを分離するために、シリコンの局所酸化(LOCOS)プロセスが使用できる。
【0023】
図11に示されるように、トレンチ(130)はたとえば低圧化学気相堆積により、二酸化シリコン層(134)を堆積させることにより、完全に満される。次に、上部表面を平坦化し、図12に示される構造が生成するよう、デバイスを化学/機械研磨する。
【0024】
図13に示されるように、図12に示された二酸化シリコン層(136)を含む全デバイス上に、二酸化シリコン層(140)を堆積又は形成する。二酸化シリコン層(140)はソース領域(114)及び(120)を最終的にゲートの上になる所から絶縁する。このように、二酸化シリコン層(140)はこの絶縁目的に合致する材料から成り、厚さをもつ。
【0025】
次に(図14参照)、p−ドープテトラエチレン−オルト−シリケート(PTEOS)層(142)を、二酸化シリコン層(140)上に形成する。PTEOS層(142)はテトラエチル−オルトシリケートプリカーサは又はTEOS、すなわちSi(OCの分解により形成する。シリコン酸化物薄膜(ここではTEOS堆積酸化物と呼ぶ)を形成するための気化した液体TEOSの分解は、酸素雰囲気中、650℃ないし750℃において、典型的な場合化学気相堆積により起る。そのようなTEOS分解は必要な場合、段差被覆に良好な均一性をもたらすことが知られている。一般に、堆積した薄膜は、しばしば二酸化シリコンと呼ばれるが、シリコンの非化学量論的酸化物と理解される。反応酸素のたとえば10%までのオゾン(O)を含むことによって、より低温での堆積が可能になることが知られている。オゾンを含む典型的な反応は、400°及び300Torrで、毎分4標準リットルの酸素で行われ、酸素は6%のオゾン、毎分1.5標準リットルのヘリウム及び毎分300標準立方センチメートルのTEOSを含む。TEOSの堆積にはドーパントを含められることが知られており、この場合、図示されたPTEOS層(142)を形成するために約0.01%ないし15%の範囲の濃度を有するアクセプタドーパントである。
【0026】
当業者には知られているように、エッチストップはエッチングが下又は上又は複数の層に進むのを防止するよう設計される。従って、エッチストップはエッチング除去すべき隣接した層又は複数の層より、選択されたエッチャントに対し、著しく大きなエッチング抵抗をもつ。具体的にはこの場合、選択されたエッチャントに対し、エッチストップ層(144)は隣接したPTEOS層(142)より、はるかに遅いエッチ速度をもつ。従って、本発明に従うと、PTEOS層の一部はエッチングにより除去されるが、エッチストップ層は他の部分を保護する。下のPTEOS層に対するエッチャントの作用を制限する適切なエッチストップ材料は、図15中で(144)と示されたシリコン窒化物である。
【0027】
これらのシリコン窒化物層(144)をエッチストップとして用い、PTEOS層(142)の一部が、図16に示されるように除去される。図示されるように、PTEOS層(142)の約半分が除去され、n領域(114)の上の部分が残る。以下に更に示すように、n領域(114)はp−チャネルMOSFETデバイスのソース/ドレイン領域を形成し、p領域(120)はn−チャネルMOSFETデバイスのソース/ドレイン領域を形成する。
【0028】
図17に示されるように、BTEOS(ホウ素ドープTEOS)層(146)を二酸化シリコン層(140)及びシリコン窒化物層(144)の露出された部分上に形成する。形成プロセスは上述のPTEOS層を形成するために用いたものと同じであるが、ドナ原子の代りにアクセプタドーパントを用いる点が異なる。
【0029】
n領域(114)上のBTEOS材料の部分が、反応性イオンエッチャントプロセス中のエッチングにより除去される。シリコン窒化物層(144)が同様に除去される。p領域(120)上のBTEOS層(146)及びn領域(114)上のPTEOS層(142)の両方を含む得られる構造が、図18に示されている。
【0030】
エッチストップ層(150)(図19参照)がPTEOS及びBTEOS層(142)及び(146)上に形成される。シリコン窒化物(Si)がエッチストップ材料として適している。エッチストップ層の厚さは、エッチングプロセスを通して除去すべき材料の厚さに比べ、選択されたエッチャントに対するエッチストップ材料の抵抗に依存する。エッチャントが下の層に作用するのを防止するのに加え、エッチストップ層(150)は後にソース/ドレイン延長部を形成するために用いられるドーパントに対する拡散障壁として働き、それによってデバイスゲートに対するソース/ドレイン延長部の間隔及び長さが規定される。更に以下で述べるように、一実施例において、ソース/ドレイン延長部を形成するドーパントは、PTEOS及びBTEOS層(142)及び(146)から拡散させる。一実施例において、エッチストップ層(150)は約5nmないし50nmの範囲の厚さをもつ。
【0031】
図19に示されるように、エッチストップ層(150)上に犠牲層(152)が(たとえばTEOS堆積プロセスにより)形成される。その後のプロセス工程において、犠牲層(152)が除去され、犠牲層(152)により空になった空間中に、CMOSデバイスのゲートが形成される。従って、犠牲層(152)の材料は、エッチャントがエッチストップ層(150)に比べ犠牲層(152)を除去するのに、著しく高い選択性を有するように選択される。犠牲層(152)の厚さは、最終的なMOSFETデバイスの所望のチャネル長に対応して、選択される。多結晶シリコンは犠牲層(152)の適当な材料の例である。二酸化シリコンも適している。
【0032】
エッチストップ層(154)を犠牲層(152)上に形成する。エッチストップ層(154)はエッチストップ層(150)と同様の目的を果すが、たとえばシリコン窒化物で形成してもよい。
【0033】
PTEOS絶縁層(160)をエッチストップ層(154)上に形成する。PTEOS層(160)は(共通のエッチャントに対し)PTEOS層(142)と同じエッチング速度を持つと有利であるから、PTEOS層(142)及び(160)は同じ材料で形成するのが好ましい。PTEOS層(142)及び(160)の両方は、その後のプロセス工程で、ドーパント源として働く。
【0034】
次に、シリコン窒化物層(162)をPTEOS層(160)上に形成する。PTEOS層(160)及びシリコン窒化物層(162)の両方がマスク及びエッチングされる。シリコン窒化物(154)はエッチストップとして働く。得られる形態が図21に示されている。
【0035】
図22に示されるように、BTEOS層(164)をデバイス上、シリコン窒化物層(154)及びシリコン窒化物層(162)の両方の上に形成する。次に、シリコン窒化物層(162)をエッチストップとして働かせ、シリコン窒化物層(162)上の材料を除去するため、BTEOS層(164)をマスクし、パターン形成(すなわちエッチング)する。次に、シリコン窒化物層(162)を除去する。得られる構造が図23に示されている。BTEOS層(164)は犠牲層(152)の左の領域上にあり、PTEOS層(160)は犠牲層(152)の右の領域上にある。BTEOS層(164)及びPTEOS層(160)の両方は、以下で述べるように形成される上のドレイン領域を、やはり以下で述べるように形成される下のゲート領域から絶縁する働きをする。BTEOS層(164)及びPTEOS層(160)の材料組成及び厚さは、この絶縁目的を果すとともに、延長領域がBTEOS層(164)及びPTEOS層(160)中のドーパントで形成されることを考慮して、選択される。
【0036】
ある技術例を好ましいものとして述べてきたが、全ての層(142,144,150,152,154,160,164)を従来の化学気相堆積(CVD)プロセス又は他の周知の堆積技術を用いて、堆積させてよい。先に述べた一連の層について、他の実施例では変形を含んでよいことに注意する必要がある。たとえば、堆積層を少くしてもよい。いずれの場合も、得られる構造は2つの垂直チャネル領域を形成する。1つはn−チャネルMOSFETデバイス用で、他方はp−チャネルデバイス用である。
【0037】
図24を参照すると、BTEOS層(144)及び(164)、シリコン窒化物層(150)及び(154)、犠牲層(152)及び二酸化シリコン層(140)を貫いて、開口又は窓(200)を非等方的にエッチングする。二酸化シリコン層(140)、PTEOS層(142)及び(160)、シリコン窒化物層(150)及び(154)、犠牲層(152)を貫いて、開口又は窓(202)が非等方的にエッチングされる。各窓(200)及び(202)の直径は、作製中のデバイスの動作特性及び寸法、窓(200)及び(202)を形成するために用いるリソグラフィプロセスの限界により決る。窓(200)及び(202)の長さ(トレンチとも呼ばれる)、すなわち図24の断面中の水平及び垂直の寸法の両方に垂直な長さは、主な設計上の選択事項で、窓の長さは必ずしも同一でない。与えられた水平方向の寸法に対し、窓(200)及び(202)中に後に形成されるドープ領域の電流容量は、窓長とともに増加する。
【0038】
一実施例において、窓(200)及び(202)の底面におけるシリコンを浄化するために、化学的浄化プロセス(たとえばRCA又はピラニア浄化)を施す。この浄化工程の結果、窓(200)及び(202)と境界を形成する絶縁層(140)の小さな部分が除去される。そのようにして生じた形状はプロセスの加工によるもので、従って図24中には示されていない。
【0039】
図25を参照すると、窓(200)及び(202)はデバイス品質の結晶半導体材料、たとえば(204)及び(206)により、それぞれ満される。使用できる結晶半導体材料の他の例には、シリコン−ゲルマニウム及びシリコン−ゲルマニウム−カーボンが含まれる。窓(204)及び(206)は、アンドープ又は低濃度ドープ状態に形成できる。窓中に結晶半導体材料を形成する技術は、よく知られている。たとえば、結晶半導体材料(204)及び(206)は、シード層としてp形材料(120)及びn形材料(114)をそれぞれ用いて、窓(204)及び(206)中にエピタキシャル成長できる。別の実施例において、アモルファス又は多結晶シリコンを基板(106)全体上に堆積させ、次に窓(200)及び(202)中の結晶半導体(204)及び(206)を除いて、すべてを除去することができる。次に、アモルファス又は多結晶半導体材料を、たとえばレーザーでアニールし、結晶化させる。窓(200)中に形成される結晶半導体材料(204)は、pチャネルMOSFETデバイスのチャネルを形成する。窓(202)中に形成される結晶半導体材料(206)は、nチャネルMOSFETデバイスのチャネルを形成する。従って、結晶半導体材料(204)及び(206)は、チャネル内のソース及びドレイン延長部とともに、チャネルを形成するためにドープしなければならない。
【0040】
1つの形(n形又はp形)のドーパントが結晶半導体材料(204)又は(206)中に導入され、ソース及びドレイン延長部が形成され、相対する伝導形のドーパントが結晶半導体材料(204)及び(206)中に導入され、チャネルを形成する。結晶半導体材料(204)及び(206)をドープするための各種の技術が、適当と考えられる。形成中の結晶半導体材料(204)及び(206)の同時ドーピング又は形成後の結晶半導体材料(204)及び(206)中へのドーパント注入が、適当なプロセスである。同時ドーパント導入、すなわち化学気相堆積中に材料層が形成されることは、よく知られており、ここで詳細には述べない。層の深さの関数として、所望の濃度を生成するために、堆積プロセス中の適当な点で、ドーパントが雰囲気中に導入されることに、注意すべきである。ソース/ドレイン延長部を形成するために、ドーパントはp形領域(120)及びn形領域(114)から上方に、各結晶半導体材料(204)及び(206)の底部中に拡散させる。イオン注入はまた、結晶半導体材料(204)及び(206)の最上部に、ソース/ドレイン延長領域を生成するために適当な手段である。また、以下で述べるように、ソース/ドレイン延長領域は構造のPTEOS及びBTEOS層からの横方向拡散により生成させることができる。
【0041】
このように結晶半導体材料(204)及び(206)がドープされ、ドーパントがその中に分布した後、集積回路構造をその中のドーパント分布に著しく影響を与える条件下に置いてはいけない。この工程後、集積回路構造は1100℃を越える温度に露出させないのが好ましいが、必要ではない。事実、集積回路構造を1000℃を越える温度に露出しないことは、有利である。ある実施例において、900℃を越える温度に長時間(たとえば数分以上)露出しない。しかし、集積回路構造は約1000℃の温度で急速熱アニールすることができ、ドーパントの分布に悪影響はない。あるいは、その後の高温プロセスは、ある所望のドーパント分布を生じるように、設計してよい。
【0042】
結晶半導体材料(204)及び(206)を形成するために用いるプロセスに依存して、その最上部表面を平坦化するために、化学/機械研磨工程を必要とすることがある。この結果が図25に示されている。後にソース/ドレイン延長部を形成する時、PTEOS層(160)及びBTEOS層(164)から上方への拡散を防止するため、図25に示されるように、構造全体上にシリコン窒化物層(207)を形成する。構造中に次の層を形成する準備として、シリコン窒化物層(207)中に窓が形成される。すなわち、ソース/ドレイン層は結晶半導体材料(204)及び(206)と電気的接触を作らなくてはならない。
【0043】
適合ポリシリコン層(208)をシリコン窒化物層(207)及び結晶半導体材料(204)及び(206)上に形成する。図26参照。ポリシリコン層(208)は自己整合最上部接触(この実施例ではドレイン領域)を作る。ポリシリコン(208)に適当な材料の一例は、ドープ多結晶シリコンで、別のマスク及び注入工程中、相対する形のドーパントが導入される。すなわち、ポリシリコン層(208)の左側がマスクされ、n領域(114)上のポリシリコン層の右側に、アクセプタ形ドーパントが導入され、ドレイン領域(208)が生成される。次に、ドレイン領域(208)がマスクされ、p形領域(120)上のポリシリコン層の左側に、ドナ形ドーパントが注入され、ドレイン領域(210)が生成する。ドレイン領域(208)及び(210)中のドーパントの濃度は、約1×1020原子/cmより高い。あるいは、ポリシリコン層(210)はn形及びp形領域を形成するため、2つの別々のプロセスで形成できる。
【0044】
更に図26に示されるように、適合エッチストップ層(212)をn形及びp形ドレイン領域(208)及び(210)上に、堆積させる。エッチストップ層(212)に選択される材料は、犠牲層(152)のエッチング速度より著しく小さいエッチング速度を持つように、選択される。層(212)に選択された材料はエッチストップ層(150)及び(154)と同じ材料が好ましいが、層(150)及び(154)より厚いのが好ましい。適当な材料の一例は、シリコン窒化物である。周知の技術を用いて、n形及びp形ドレイン領域上に、エッチストップ層(212)を形成する。
【0045】
図27に従うと、残った部分が結晶半導体材料(204)及び(206)の上あるいは隣接するように、1ないし複数のドライエッチング工程を用いて、従来のリソグラフィ技術で、ドレイン領域(208)及び(210)、エッチストップ層(212)、BTEOS層(164)及びPTEOS層(160)がパターン形成される。
【0046】
図28に示されるように、次に適合エッチストップ層(220)を堆積させる。与えられたエッチング化学剤に対し、エッチストップ層(220)の材料は、犠牲層(152)のエッチング速度より著しく低いエッチング速度を持つよう選択される。エッチストップ層に適当な材料の一例は、シリコン窒化物である。エッチストップ層(220)の厚さは、ドレイン領域(208)及び(210)、PTEOS層(160)及びBTEOS層(164)の残った部分が、その後のエッチャントに接触しないように選択される。
【0047】
次に、ドライプラズマエッチのような非等方性エッチングを用いて、エッチストップ層(220)がエッチングされ、それによってエッチストップ層(154)の一部も除去される。従って、図29に示されるように、非等方性エッチング後に残ったエッチストップ層(220)の部分のみが、BTEOS層(164)及びドレイン領域(210)に横方向に隣接した側壁部と、PTEOS層(160)及びドレイン領域(208)に横方向に隣接した側壁部である。このエッチングプロセスの結果、犠牲層(152)が露出され、エッチストップ層(154)の部分が除去されている。
【0048】
次に、犠牲層(152)の露出された残った部分を除去する湿式エッチ(フッ化水素酸水溶液)又は等方性ドライエッチ(たとえば無水フッ化水素酸)をし、結晶半導体材料(204)及び(206)の部分を露出する。得られた結果が図30に示されており、PTEOS層(142)及びBTEOS層(144)がエッチストップ層(150)により被覆されたままである。図30の左側で、BTEOS層(164)及びドレイン領域(210)はエッチストップ層(154,212,220)の残った部分により、封じられている。図30の右側で、PTEOS層(160)及びドレイン領域(208)もエッチストップ層(154,212,220)の残った部分により、封じられている。その結果、PTEOS層(160)、BTEOS層(164)及びドレイン領域(208)及び(210)は、その後のエッチング手段と接触しないよう保たれる。
【0049】
本発明の一実施例に従うと、熱二酸化シリコンの犠牲層を結晶半導体材料(204)及び(206)の露出された表面上に、約10nmの厚さに成長させる。次に、従来の等方性エッチング、たとえばフッ化水素酸水溶液を用いて、二酸化シリコン犠牲層が除去される。二酸化シリコン犠牲層の形成及び除去の結果、結晶半導体材料(204)及び(206)のそれぞれの表面は、より滑らかになり、側壁のある程度の欠陥が除去される。エッチストップ層(150)及び(154)は、熱二酸化シリコンを除去するために用いられるエッチング手段が、BTEOS層(144)及び(164)及びPTEOS層(142)及び(160)に接触するのを妨げる。この工程はデバイス作製に必ずしも必要ではないが、たとえば界面トラップを減すことにより、ゲート誘電体特性を改善するために有用でありうる。もしシリコン欠陥が作製中のデバイスに有害でないことが知られているなら、この工程は省いてよい。
【0050】
結晶半導体材料(204)の露出された部分は、形成中のpチャネルMOSFETの物理的チャネル長を規定する。結晶半導体材料(206)の露出された部分は、形成中のnチャネルデバイスの物理的チャネル長を規定する。図31に示されるように、ゲート誘電体(226)の層が、結晶半導体材料(204)の露出された部分上に形成され、ゲート誘電体(227)が結晶半導体材料(206)の露出された部分上に形成される。適当な誘電体材料には、たとえば熱成長二酸化シリコン、シリコンオキシナイトライド、シリコン窒化物及び金属酸化物が含まれる。ゲート誘電体(226)及び(227)の厚さは、約1nmないし約20nmである。適当な厚さの一例は、6nmである。一実施例において、ゲート誘電体(226)及び(227)を形成する二酸化シリコン層は、集積構造を酸素を含む雰囲気中で、約700℃ないし約1000℃の範囲の温度に加熱することにより、成長させる。ゲート誘電体(226)及び(227)を形成する他の手段には、化学気相堆積、ジェット気相堆積又は原子層体積が含まれ、全てが適当と考えられる。所望の厚さのゲート誘電体(226)及び(227)を形成する条件は、当業者にはよく知られている。
【0051】
図32を参照すると、pチャネルMOSFETの領域中に、十分適合し、適当なゲート材料の層を堆積させることにより、ゲート誘電体(226)を囲んで、ゲート電極(230)が形成されている。たとえば、ドーパントが同時に導入されるドープされたアモルファスシリコンの層を堆積させ、次に結晶化させ、ドープされたポリシリコン結晶を形成する。この工程は結晶半導体材料(204)及び(206)中のドーパント分布に著しい影響を及ぼさないように、行わなければならない。適当なゲート電極材料の他の例には、シリコン−ゲルマニウム及びシリコン−ゲルマニウム−カーボンが含まれる。適切な低抵抗率をもち、ゲート電極材料及び他の半導体プロセス工程と両立する金属及び金属を含む化合物が、適当なゲート電極材料と考えられる。ゲート材料が結晶半導体材料(204)の禁制帯の中央付近の仕事関数を持つと有利である。そのような材料の例には、チタン、チタン窒化物、タングステン、タングステンシリサイド、タンタル、タンタル窒化物及びモリブデンが含まれる。ゲート電極材料を形成する適当な手段には、化学気相堆積、電解メッキ及びそれらの組合せが含まれる。同様に、ゲート電極(232)はnチャネルMOSFETの領域中に、ゲート誘電体(227)を囲んで形成される。
【0052】
図33を参照すると、層(230)及び(232)はpチャネルMOSFETデバイスのゲート(240)及びnチャネルMOSFETデバイスのゲート(242)を形成するために、パターン形成(すなわち、エッチング及びマスク形成)される。ゲート形態は主に設計上の選択である。ゲート(240)及び(242)は結晶半導体材料(204)及び(206)の部分を囲み、各デバイスのチャネルを形成する。
【0053】
図34は完成したn及びpチャネルMOSFETデバイス構造を示す。次に、p形ドーパントはBTEOS層(144)及び(164)から固相拡散により、結晶半導体材料(204)中に追いやられ、ソース/ドレイン延長部(250)を形成する。N形ドーパントはPTEOS層(142)及び(160)から固相拡散により、結晶半導体材料(206)中に追いやられ、p−チャネルMOSFETデバイスのソース/ドレイン延長部(252)を形成する。固相拡散プロセス中、酸化物(たとえばシリコン酸化物)はドーパント源として働く。高温において、ドーパントはドープされた酸化物から隣接した結晶半導体材料(204)及び(206)のアンドープ(又は低濃度ドープ)領域へ、追いやられる。ドープされた領域、従って延長部は結晶半導体材料(204)及び(206)とBTEOS/PTEOS層(144)及び(164)/(142)及び(160)間の境界により規定される。このプロセスにより、自己整合したソース/ドレイン延長部の形成が可能になる。(すなわち、ソース/ドレイン延長部は、ゲートと位置合せされる。)固相拡散技術の例は、オノ・エム(Ono M)ら、1nmリンソース及びドレイン接合を有するサブ50nmゲート長N−MOSFET、アイイーディーエム(IEDM)93、119−122頁(1993)及びサイトー・エム(Saito M.)ら、サブ0.1ミクロンチャネル長に適したSPDD D−MOSFET構造及びその電気的特性、アイイーディーエム(IEDM)92、897−900頁(1992)に述べられており、これらはここに参照文献として含まれる。
【0054】
ソース/ドレイン延長部(250)及び(252)中のドーパントの濃度は、典型的な場合少くとも約1×1019/cmで、約5×1019/cmのドーパント濃度が有利と考えられる。この固相拡散技術を用いることにより、非常に浅いソース及びドレイン延長部が得られる。ソース/ドレイン延長部(250)及び(252)はそれぞれ結晶半導体材料(204)中に、好ましくは結晶半導体材料(204)及び(206)の幅の半分以下まで浸透するように示されている。このようにドーパントの浸透を制限することにより、ドープされた領域が結晶半導体材料(204)及び(206)の相対する側と著しく重畳するのが避けられる。また、ソース/ドレイン延長部(250)及び(252)がゲート下に延びる距離は、ゲート長の4分の1に限定されるのが好ましい。得られた構造において、ソース/ドレイン延長部(250)及び(252)中の正味のドーパント濃度は、チャネル(260)及び(262)中に存在するものとは、相対する形である。二酸化シリコン層(140)はBTEOS層(144)及びPTEOS層(142)からそれぞれp形領域(120)及びn形領域(144)中へのドーパントの下方への動き、及びその後のそれぞれ結晶半導体材料(204)及び(206)中への下方への動きを防止する。エッチストップ層(150)はBTEOS層(144)からゲート(240)中へ、PTEOS層(142)からゲート(242)中へのドーパントの上方への拡散を妨げる。エッチストップ層(154)はBTEOS層(164)からゲート(240)中へ、PTEOS層(160)からゲート(242)中へのドーパントの下方への拡散を妨げる。
【0055】
図2のCMOS回路を形成するために、ドレイン領域(208)及び(210)は三次元的に電気的に接続される。すなわち、図の断面図で二次元的に描かれた外側で接続される。ソース接触も三次元的に接続する。
【0056】
別の実施例は、図14ないし17に示された作製工程に置き代る第2の作製方法を供する。図35は別の作製プロセスを始める前の集積回路デバイスを示す。図35は図13と同じであることに注意する必要がある。TEOS層(300)を図36に示されるように、構造全体上に堆積させる。残ったシリコン窒化物がn領域(114)のみを被覆するように、次にシリコン窒化物層(302)を堆積させ、マスクし、エッチングする。図37参照。図38において、アクセプタ不純物(たとえばホウ素)がTEOS層(300)のマスクされない部分中に注入され、図39に示されるように、BTEOS層(306)を形成する。別のシリコン窒化物層が構造上に形成され、シリコン窒化物層(308)がBTEOS層(306)上にのみ残るように、パターン形成される。次に、ドナ形不純物がTEOS層(300)の露出された部分中に注入される。リンは好ましいドナ形で、PTEOS層(310)が図40に示されるように、形成される。図40の構造は図18の構造と同一で、BTEOS層(306)は図18中のBTEOS層(146)を表わし、PTEOS層(310)は図18中のPTEOS層(142)を表わす。この時点で、プロセスは図19で始まり、図34で完了するまで続く。図23のPTEOS層(160)及びBTEOS層(164)を形成するために、同様の窒化物−注入−窒化物−注入プロセスが使える。
【0057】
CMOSデバイスを形成するために接続されるpチャネル及びnチャネルMOSFETを形成するのに有用な構成及びプロセスを述べてきた。本発明の具体的な応用を示してきたが、ここで述べた原理は、III−V族化合物及び他の半導体材料で形成された構造を含む各種の回路構造に、各種の方法で本発明を実施する基本となる。実施例は電圧置換ゲートMOSFETに関してであるが、本発明の視野の中で、多くの変形が可能である。本発明は特許請求の範囲によってのみ、限定される。
【符号の説明】
【0058】
2,4,6 MOSFET
9 基板
10,12 LOCOS領域
14 ゲート
16 ソース領域
18 ドレイン領域
20 n形井戸
28 ゲート
30 ソース領域
32 ドレイン領域
34 p形井戸
38 ゲート
40 ソース領域
42 ドレイン領域
44 n形井戸
46 二酸化シリコン層
50 p領域
52 p層
100 層、単結晶半導体層、基板
106 主表面
108 エピタキシャル層
110 二酸化シリコン層、層
112 層、シリコン窒化物層
114 n領域
116 タンク酸化物層
118 面
120 p領域
122 段差
130 トレンチ
132 表面
134 二酸化シリコン層
140 二酸化シリコン層
142 テトラエチレン−オルト−シリケート層、PTEOS層、層
144 シリコン窒化物、層
146 BTEOS層
150 エッチストップ層、層
152 犠牲層、層
154 エッチストップ層
160 PTEOS絶縁層、PTEOS層、層
162 シリコン窒化物層
164 BTEOS層、層
200,202 窓
204,206 結晶半導体材料、結晶半導体
207 シリコン窒化物層
208,210 ポリシリコン層、ドレイン領域
212,220 エッチストップ層
226,227 ゲート誘電体
230 層
232 ゲート電極、層
240,242 ゲート
250,252 ソース/ドレイン延長部
260,262 チャネル
300 TEOS層
302 シリコン窒化物
306 PTEOS層
308 シリコン窒化物層
310 PTEOS層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に沿って形成された主表面を有する半導体層;
表面中に形成された第1及び第2の空間的に分離されたドープ領域;
前記第1及び第2の領域を電気的に絶縁するために、前記第1及び前記第2の領域間に配置された分離領域、前記分離領域は第1及び第2のドープ領域間に配置された電気的に絶縁性材料のトレンチと、第1及び第2のドープ領域上の電気的に絶縁性材料の層を含み;
第1及び第2のトレンチを中に含む前記第1及び前記第2のドープ領域上の複数のドープされた絶縁層;
前記第1のドープ領域とは異なる伝導形の前記第1のドープ領域上の前記第1のトレンチ中に形成された第3のドープ領域;
前記第2のドープ領域とは異なる伝導形の前記第2のドープ領域上の前記第2のトレンチ中に形成された第4のドープ領域;
前記第3のドープ領域に近接した第1の酸化物層;及び前記第4のドープ領域に近接した第2の酸化物層を含み、
第1のドープ領域は第1のMOSFETの第1のソース/ドレイン領域で、第3のドープ領域は第1のMOSFETのチャネル領域で、第3のドープ領域は第2のMOSFETの第1のソース/ドレイン領域で、第4のドープ領域は第2のMOSFETのチャネル領域である
集積回路構造。
【請求項2】
第1及び第2のMOSFETはトランジスタの相補MOSFET対を形成する請求項1記載の集積回路構造。
【請求項3】
分離領域の材料は、電気的に絶縁性の材料を含む請求項1記載の集積回路構造。
【請求項4】
分離領域の材料は、二酸化シリコンを含む請求項1記載の集積回路構造。
【請求項5】
第1のトレンチ中の第3のドープ領域上の部分及び第2のトレンチ中の第4のドープ領域上の部分を露出させるため、複数の層の1つを除去し、第1の酸化物層は第3のドープ領域の前記露出された部分に近接し、第2の酸化物層は第4のドープ領域の前記露出された部分に近接する請求項1記載の集積回路構造。
【請求項6】
第1及び第2の導電性要素はポリシリコンを含み、それぞれ第1及び第2のMOSFETのゲートとして動作する請求項1記載の集積回路構造。
【請求項7】
複数の層の少くとも1つは、第3及び第4のドープ領域中にドーパントを拡散させるためのドーパント源として働くドープ絶縁層を含む請求項1記載の集積回路構造。
【請求項8】
第3及び第4のドープ領域のそれぞれは、チャネル領域を形成し、ドープ絶縁領域から拡散したドーパントは、各チャネル領域内にソース/ドレイン延長部を形成する請求項7記載の集積回路構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate


【公開番号】特開2013−102193(P2013−102193A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3034(P2013−3034)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2002−371914(P2002−371914)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(500587067)アギア システムズ インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】