説明

CMPパッド用ポリウレタン組成物及びそれを製造する方法

化学機械研磨/平坦化(CMP)パッドの製造に用いられる、特定のポリエーテル及びポリエステルプレポリマー反応混合物に基づくポリウレタン組成物。該CMPパッドは、低い反発を有し、研磨を安定化させるのみならず、不規則なエネルギーを消散させることができ、基板の改善された均一性及びより少ないディッシングをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成物に基づく化学機械研磨/平坦化パッド、及びそれを製造する方法に関する。具体的には、CMPパッドは、ポリエーテル/ポリエステルプレポリマー反応混合物由来のポリウレタンパッドであり、得られたパッドは、高い多孔性とともに適度な硬度、高い引裂き抵抗及び高い制動性能(damping performance)を示す。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨又はCMPとしても知られる、化学機械平坦化は、その後のステップの準備における又は物質を選択的に除去するための、インプロセス半導体ウエハ又は他の基板、例えば、光学的、磁気的タイプの基板の上面を平坦化するために用いられる技術である。この技術は、研磨パッドに関連して腐食性及び研磨性の特性を有し得るスラリーを用いる。
【0003】
半導体技術における急速な進歩により、超大規模集積(VLSI)及び超々大規模集積(ULSI)回路が現れ、半導体基板の領域中のより小さい面積にさらに多くのデバイスが詰め込まれた。より大きなデバイス密度は、現在の設計に組み込まれたより小さい機能を有するより多数のデバイスを形成することが要求されるより高い分解能のリソグラフィプロセスを可能にする多大の研磨及び平面性の両方を必要とする。さらに、その低い抵抗のために、銅は、相互接続としてますます使用されている。従来は、エッチング技術を用いて、導電性(金属)の及び絶縁体の表面を平坦化している。しかし、相互接続として使用される場合にそれらの有利な特性が望ましいある種の金属(Au、Ag、Cu)は、エッチングを容易に受け入れず、したがって、CMP処理の必要性がある。
【0004】
通常、CMPは、研磨パッド及び加工品の両方の周期性運動を必要とする力学的処理である。CMPは、除去される表面層の化学的変換と、その変換生成物の機械的除去を組み合わせる。理想的には、変換生成物は軟質で、高い研磨率を容易にさせるものである。軟質研磨パッドの利点は、研磨ウエハの低い欠陥密度及び良好なウエハ内の均一性である。しかし、軟質CMPパッドは、約50枚のウエハ後に置換えを必要とする短いパッド寿命の欠点を有する。さらに、研磨サイクルの間に、エネルギーはパッドに伝えられる。このエネルギーの一部は、熱としてパッド内部で消散し、残りの部分は、パッド内に蓄積され、その後、研磨サイクルの間に弾性エネルギーとして放出される。後者は、金属外観のディッシング及び酸化物エロージョンの現象の一因となると考えられる。一般に、ディッシングの防止にはより剛性のパッドが必要となることが知られているが、この種のパッドは、表面スクラッチ及び欠陥の数及び密度を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、良好な除去率、良好なウエハ内(WIW)及びダイ内(WID)の均一性、低いディッシング及び/又はエロージョン、引っかき傷減少、より低い調整要件、及び長期のパッド寿命を与えるCMPパッドに対する必要性が継続して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1つには、特別の性質、特に高い制動性能を有するCMPパッド化学処方に関する。ガスによる泡立て(gas frothing)などの処理と一緒に、出発材料及び材料の特定の組合せの選択は、ポリマー材料の形態に影響を及ぼし、結果として、独特の特性を有し、CMPパッドにおいて特に有利である最終製品をもたらすことが見出された。
【0007】
低反発のCMPバッドは、繰返し変形の間に比較的大きな量のエネルギーを吸収する傾向があり、研磨中にディッシングをあまり引き起こさず、より良いWID均一性を生じることが見出された。剛性は同様に、WID均一性及び長期パッド寿命にとって重要な考慮すべき事項である。制動効果を定量的に記述する1つの試みでは、エネルギー損失因子(KEL)と呼ばれるパラメータが用いられてきた。KELは、各変形サイクルにおいて失われた単位体積当たりのエネルギーと定義される。一般に、パッドについてのKELの値が高ければ高いほど、弾性反発は低く、且つ観察されるディッシングは小さくなる。
【0008】
KEL値を増大させるために、パッドはより軟質にされ得る。しかし、この手法は、パッドの剛性も低下させる傾向がある。剛性の低下は、平坦化効率の低下をもたらし、デバイスの角の周辺におけるパッドの構造(conformation)によるディッシングを増加させる。
【0009】
パッドのKEL値を増大させる別の手法は、剛性を低下させることなく、KELが増大するようにその物理的組成を変更することである。妥当な均衡を達成する試みにおいて、特定の重量パーセントの共硬化ポリエーテル及びポリエステルプレポリマーの処方が、高い制動特性、低い反発及びディッシングを有するポリウレタン化学研磨パッドを与えることが見出された。具体的には、本発明の好ましい実施形態において、ポリウレタン材料は、約60〜80重量パーセント(重量%)の量のポリエーテルプレポリマーと20〜40重量%の量のポリエステルプレポリマーとの反応混合物である。当然に、微孔質パッド処方には、界面活性剤、起泡剤、硬化剤、及び場合によって他の添加剤、例えば、充填剤が含まれる。したがって、好ましい組成のポリウレタン微孔質CMPパッドは、高い多孔性及び高い引裂き抵抗とともに適度な硬度を保持しながら、高い制動性能を示す。
【0010】
本発明は、従来及び先進の電子、光学又は磁気部品の製造に使用されるCMPパッドに置かれた要求に対処し、多くの利点を有する。本発明の高度に制動性のポリマー材料は、高いエネルギー消散性を有し、且つ研磨界面における不規則な跳ね返り及び振動エネルギーを吸収し、より良い均一性を生じさせることができる。この材料から製造されるCMPパッドは、良好なWIW及びWID均一性、円滑な研磨性能、低いディッシング及び/又はエロージョンを与える。パッドは一般に、高度の安定硬度又は剛性を有し、良好な平坦化性能及び長期のパッド寿命を与える。
【0011】
本発明の一態様において、ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応混合物に由来するポリウレタン化学機械研磨パッドが提供される。パッドは、プレポリマー混合物の全重量に基づいて約60〜80重量%の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリテトラメチレンエーテルグリコール系プレポリマー;重量パーセントがプレポリマー混合物の全重量に基づいている、約20〜40重量%の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端エチレンアジペートポリエステルプレポリマー;それぞれ、有効量の界面活性剤及び硬化剤、及び研磨パッドを形成するために反応混合物中に導入される起泡剤を含み、得られた研磨パッドは、約0.6から約0.95g/ccの範囲の密度を有する。
【0012】
本発明の別の態様において、ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応混合物由来のポリウレタンCMPパッドを製造する方法が提供される。この方法は、有効量の界面活性剤の存在下で約60〜80重量%の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリエーテルプレポリマーを、約20〜40重量%の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリエステルプレポリマーと混合するステップであって、該重量パーセントは、該プレポリマーの全重量に基づいているステップ;起泡剤を該反応混合物中に導入することによって該反応混合物を泡立てるステップ;有効量の硬化剤の存在下で該泡立てた反応混合物を重合させて、約0.6から約0.95g/ccの範囲の密度を有する研磨パッドを形成するステップを含む。
【0013】
有利には、CMPパッドは、市販されているプレポリマーを用いて調製することができ、したがって、全体の製作プロセスを可能にし、且つ単純化する。ガスによる泡立て及び注型の態様は、標準技術又は装置を用いて行うことができる。パッドの特定の化学処方において、泡立て時間は、発泡特性及び品質を犠牲にすることなく減少させ得る。
【0014】
本発明の目的及び利点は、添付の図面に関連して、以下のその好ましい実施形態の詳細な説明からより良く理解される:
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、調製し及び試験した固体ポリエーテル及びポリエステルプレポリマーの硬度−反発の相関を示す;
【図2】図2は、ポリエーテル及びポリエステルプレポリマーの反応混合物に基づいて形成された混成コポリマーのCMPコポリマー固体に対するエステル用量の効果を示す;
【図3】図3は、様々なエステル用量を有するパッドについて除去率の点でCMPパッドの銅研磨性能を示す;
【図4】図4は、本発明のCMPパッドと市販のものとの間の性能比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
部品の構築及び組合せ、並びに他の利点の様々な詳細を含む本発明の上記及び他の特徴は、これから添付の図面を参照してより詳細に説明され及び特許請求の範囲において指摘される。本発明を具体化する特定のポリウレタン化学機械研磨パッド及び製造方法は、説明の目的のために示され、本発明を限定するものとして示されないことが理解される。本発明の原理及び特徴は、本発明の範囲から逸脱することなしに様々な及び多数の実施形態で用いることができる。
【0017】
一態様において、本発明は、CMPパッドの製造に特に十分適した制動性ポリマー材料に関する。本明細書で用いられる場合、「制動性」という用語は、機械的エネルギーを吸収する材料の能力を指す。好ましくは、制動性は、材料の反発を試験する簡単な技法であるベイショア反発(Bashore rebound)法によって測定される。ベイショア反発試験は、当技術分野で公知であり、例えば、米国試験材料協会(ASTM)基準D−2632に記載されている。当技術分野で知られているように、反発を測定する他の方法も用いることができる。
【0018】
ポリマー材料は、ポリウレタン、すなわち、繰返しウレタン単位を有するポリマーである。このポリウレタンは、混合物が硬化剤で架橋されている、ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応混合物に由来する。ポリマー材料には、他の成分、例えば、界面活性剤、充填剤、触媒、処理助剤、添加剤、酸化防止剤、安定剤、潤滑剤などが含まれ得る。
【0019】
ウレタンプレポリマーは、ポリオール、例えば、ポリエーテル及び/又はポリエステルポリオールと、二官能性又は多官能性イソシアネートとを反応させることによって形成される生成物である。本明細書で用いられる場合、「ポリオール」という用語には、ジオール、ポリオール、ポリオール−ジオール、コポリマー及びそれらの混合物が含まれる。
【0020】
ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシド重合によって作製することができ、高分子量のポリマーである傾向があり、広範な粘度及び他の特性を提供する。エーテル系ポリオールの一般的な例には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)などが含まれる。
【0021】
ポリエステルポリオールの例には、ポリアジペートジオール、ポリカプロラクトンなどが含まれる。ポリアジペートジオールは、アジピン酸と、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール及びそれらの混合物との縮合反応によって作製され得る。
【0022】
ポリオール混合物も用いることができる。例えば、上記のもののようなポリオールは、低分子量のポリオール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びそれらの混合物と混合され得る。
【0023】
ウレタンプレポリマーを調製する際に用いられる最も一般的なイソシアネートは、両方とも芳香族である、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)である。他の芳香族イソシアネートには、パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及び芳香族イソシアネートの混合物が含まれる。
【0024】
本発明の具体的な態様において、用いられるウレタンプレポリマーには、脂肪族イソシアネート、例えば、水素化MDI(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、他の脂肪族イソシアネート及びそれらの組合せなどが含まれ得る。したがって、プレポリマーは、脂肪族及び芳香族イソシアネートの混合物も含み得る。
【0025】
プレポリマーはしばしば、プレポリマー中に存在する未反応イソシアネート基(NCO)の重量パーセント(重量%)で特徴付けされる。NCO重量%を用いて、ポリウレタン材料を製造するための成分の混合比を決定することができる。好ましい実施形態において、未反応NCOの量は、約6.5から約8.5重量%、好ましくは約7.6から約8.4重量%の範囲である。
【0026】
ウレタンプレポリマーは、当技術分野で知られている合成技術を用いて形成され得る。多くの場合、適当なウレタンプレポリマーは市販されている。
【0027】
市販されているポリエーテルウレタンプレポリマーの例には、一部のAdiprene(登録商標)ポリエーテルプレポリマー(Chemtura Corporation、Middletown、Connecticut製)、一部のAirthane(登録商標)プレポリマー(Air Products and Chemicals,Inc.、Allentown、Pennsylvania製)などが含まれる。多くの場合、これらのプレポリマーは、低濃度の遊離のモノマー、例えば、TDIモノマーを含有し、「低い遊離の」又は「LF」と呼ばれる。
【0028】
ポリエーテルウレタンプレポリマーの具体的な例には、例えば、Adiprene(登録商標)LF750D(TDI−PTMEGプレポリマー、LF、8.79重量%のNCOを有する)、L325(TDI/H12MDI−PTMEGプレポリマー、9.11重量%のNCOを有する)、LFG740D(TDI−PPGプレポリマー、LF、8.75重量%のNCOを有する)、LW570(H12MDI−ポリエーテルプレポリマー、7.74重量%のNCOを有する)、LFH120(HDI−ポリエーテルプレポリマー、LF、12.11重量%のNCOを有する)及びAirthane(登録商標)PHP−80D(TDI−PTMEGプレポリマー、LF、11.1重量%のNCOを有する)と命名されたものが含まれる。市販されているウレタンプレポリマーの他の具体的な例には、Andur(登録商標)(Anderson Development Company)、Baytec(登録商標)(Bayer Material Science)などが含まれる。
【0029】
ポリエステルウレタンプレポリマーの例には、例えば、Vibrathane(登録商標)8570(6.97重量%のNCOを有する、Chemtura Corporation Middletown、Connecticut製)と命名されたTDI末端エチレンアジペートポリエステルウレタンプレポリマーが含まれる。他の適当なポリエステルウレタンプレポリマーには、Air Products and Chemicals製の、Versathane(登録商標)D−6(5.99重量%のNCOを有する)又はD−7(6.60重量%のNCOを有する)が含まれるが、それらに限定されない。より具体的には、TDI−末端エチレンアジペートポリエステルは、約2500から4000の範囲の分子量を有し、エチレンアジペートポリオールと1,3−ジイソシアナトメチルベンゼンとの反応に基づく。
【0030】
以下に詳細に検討されるように、その共重合/反応ブレンドが、約60〜80重量%のポリエーテル対約20〜40重量%のポリエステルの量で提供される、ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応性混合物に由来するCMPパッドは予想外にも、高い制動性、低い反発、及び良好な除去率の物理的特性を有するパッド材料を与えることが見出された。特に、トルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリテトラメチレンエーテルグリコールのファミリーから選択されるポリエーテルプレポリマーは、高い硬度及び加水分解安定性を与えるが、トルエンジイソシアネート(TDI)−末端エチレンアジペートポリエステルのファミリーからのポリエステルプレポリマーは、ソフトセグメント、及び高い制動性を与える。この物理的特性の均衡は、そして次に、ウエハ内及びダイ内の均一性、低いディッシング及び/又はエロージョン、ウエハの引っかき傷減少、並びに低い調整要件を与える。好ましくは、共重合ブレンドは、約65〜75重量%のポリエーテル対約25〜35重量%のポリエステル、最も好ましくは約70重量%のポリエーテル対約30重量%のポリエステルの量で提供される。
【0031】
硬化剤は、ウレタンプレポリマーを硬化(cure or harden)させるために用いられる化合物又は化合物の混合物である。硬化剤は、イソシアネート基と反応し、プレポリマーの鎖を一緒に連結し、ポリウレタンを形成する。通常用いられる一般的な硬化剤には、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)メチレン(MBCAと略され、しばしばMOCA(登録商標)の商品名で呼ばれる);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEAと略される);ジメチルチオトルエンジアミン、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシドジ−p−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシドモノ−p−アミノベンゾエート;ポリプロピレンオキシドジ−p−アミノベンゾエート;ポリプロピレンオキシドモノ−p−アミノベンゾエート;1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン;4,4’−メチレン−ビス−アニリン;ジエチルトルエンジアミン;5−tert−ブチル−2,4−及び3−tert−ブチル−2,6−トルエンジアミン;5−tert−アミル−2,4−及び3−tert−アミル−2,6−トルエンジアミン並びにクロロトルエンジアミンなどが含まれ得る。
【0032】
本発明の具体的な態様において、用いられる硬化剤には、芳香族アミン、特に芳香族ジアミン、例えば、ビス−(アルキルチオ)芳香族ジアミンが含まれる。適当な芳香族ジアミンの市販の例には、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン及び3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミンを含有する混合物である、Ethacure(登録商標)300(Albermarle Corporation、Richmond、Virginia製);並びに3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及び3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンを含有する混合物であるEthacure(登録商標)100(同様にAlbermarle Corporation製)が含まれる。
【0033】
芳香族ジアミン成分に加えて、好ましい硬化剤は、1種又は複数の他の成分を含み得る。例えば、ウレタンドメイン網状組織又はポリマー構造を変化させるために、ポリマー架橋密度は、三官能剤を導入することによって増加させる。三官能剤の好ましい例には、トリオール、例えば、脂肪族トリオール、例えば、トリメタノールプロパン(TMP)、アルコキシル化脂肪族トリオール、例えば、エトキシル化TMP(Perstorp Corp.から入手できるTP30など)、例えば、100〜900の分子量を有するポリプロピレンエーテルトリオール及び脂肪族アミノトリオール(Chemturaから入手できるVibracure(登録商標)A931など)、トリエタノールアミン(TEA)などが含まれる。トリオールの混合物も同様に用いることができる。
【0034】
特定の実施形態において、ポリエーテルウレタンプレポリマーと一緒の使用のための好ましい硬化剤は、5〜10重量%のトリオールと組み合わせたEthacure(登録商標)300の混合物、特にEthacure300と5%〜30%のトリメタノールプロパン(TMP)の組合せである。
【0035】
ウレタンプレポリマーと硬化剤の相対量は、例えば、与えられたウレタンプレポリマーのNCO%を考慮に入れることによって決定され得る。硬化剤は、当量基準に基づいてプレポリマー中で利用できるイソシアネート基の約、例えば、0.9から1.05(すなわち、90から105%)でアミン及びヒドロキシル基の組合せを与えるために添加され得る。好ましい実施形態において、硬化剤は、用いられるプレポリマーの0.9から1.0の比率である。
【0036】
CMP用途のために、制動性材料は好ましくは、微孔質であり、顕微鏡的大きさのボイドを含有し、これは通常、このようなボイドを材料の構造中に取り入れることを目的とした処理によって形成される。CMP平坦化の間に、ボイド又は微細孔は、加工品の表面を研磨するためのスラリーを保持する。
【0037】
いくつかの手法を用いて、ポリウレタン材料に微細構造を付与することができる。多孔性は、例えば、流体(気体又は液体)で満たされた、中空ポリマーミクロスフェアなどの充填剤粒子を用いることによって形成され得る。微細構造は、粘性系中に気体を泡立てること、ポリウレタン溶融物中に気体を注入すること、気体生成物を生じさせる化学反応によってその場(in situ)で気体を導入すること、減圧して溶解気体に泡を形成させること又は他の方法によって付与することもできる。
【0038】
本発明の具体的な例において、少なくとも一部のボイド容積は、窒素、乾燥空気、二酸化炭素、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、キセノン)などの気体、並びに他の気体又は気体混合物で泡立てることによって形成される。泡中で酸化反応などの化学反応を引き起こさない気体が好ましく、本明細書で「非反応性」又は「不活性」気体と呼ばれる。窒素が特に好ましい。
【0039】
泡立ては、例えば、2003年2月4日にBrian Lombardoに付与された米国特許第6,514,301B号に記載されており、その教示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
好ましくは、泡立ては、調整可能な細孔径及び分布を有する微細構造を生成する。一例では、微孔質ポリウレタン材料は、約30μmを超える細孔を有する。プレポリマーの泡立ては、1種又は複数の界面活性剤(単数又は複数)、例えば、非イオン性又はイオン性界面活性剤(単数又は複数)の存在下で行われ得る。界面活性剤を含めることは、低粘度を有する系で特に有利であり得る。
【0041】
安定な泡(froth(foam))は、ポリウレタン材料中に微細構造を生成させる際に好ましく、空気/ポリマー界面における界面活性剤の疎水性炭化水素鎖の吸着及び分離並びにその官能基とポリマーとの反応から、少なくとも一部は、もたらされると考えられる。泡を生成させる際に、界面活性剤は、ポリウレタンの泡を生じることが望ましい。処理の間に通常用いられる、様々な処理条件、例えば、せん断、温度又は圧力の変動の下に置かれる場合、安定であり且つそれらの一体性を維持する泡も好ましい。界面活性剤の選択は、泡立ての強さ又は泡安定性のみでなく、CMPパッドを製造するために用いられるポリマー材料にとって重要なパラメータである細孔径にも影響を与え得ることも見出された。
【0042】
適切な界面活性剤の例には、シリコーン界面活性剤、例えば、ポリジメチルシロキサンを含む少なくとも1つのブロック及びポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、又はポリカーボネートセグメントを含む少なくとも1つの他のブロックを含有するコポリマーが含まれる。
【0043】
具体的な実施形態において、界面活性剤は、ポリシロキサン−ポリアルキレンオキシド(polysiloxane−polyalkyleneoxide)(又はpolysiloxane−polyalkylene oxide)界面活性剤である。ポリシロキサン−ポリアルキレンオキシド界面活性剤はまた、シリコーンコポリオールとしても当技術分野で知られており、ポリマー、オリゴマー、コポリマー及び他の多様なモノマーのシロキサン材料を含み得る。
【0044】
ポリシロキサン−ポリアルキレンオキシド界面活性剤は、シロキサン単位を含むポリシロキサン主鎖、及びポリアルキレンオキシド側鎖を含むコポリマーであり得る。ポリシロキサン主鎖は、構造において、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれかであり得る。コポリマーのポリアルキレンオキシド側鎖には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドマクロモノマーなど、又はそれらの混合物が含まれ得る。場合によって、側鎖には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンのモノマーも含まれ得る。ポリアルキレンオキシドモノマーは、コポリマーの重量で、約10%を超える、好ましくは約20%を超える、より好ましくは約30%を超える量で存在し得る。
【0045】
ポリエチレンオキシド側鎖マクロモノマーが好ましい。また、ポリプロピレンオキシド側鎖、並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを約1:2から約2:1のモル比で含む側鎖も好ましい。
【0046】
用いることができる市販の界面活性剤の例は、Niax(登録商標)、例えば、L−7500、L−5614、L−1580の称号の下でMomentive Performance Materialsから;例えば、DC−193、DC−5604及びDC−5164の称号の下でAir Products and Chemicalsから;並びに、例えば、DC−309、5098EU及びQ2−5211(メチル(プロピルヒドロキシド、エトキシル化)ビス(トリメチルシロキシ)シラン)の称号の下でDow Corning Corporation、Midland、Michiganから入手できる一部のものである。
【0047】
界面活性剤は好ましくは、泡立ての間に得られる発泡能力、安定性又は気泡径などのパラメータに基づいて選択される。特に、ポリエーテル/ポリエステルウレタンプレポリマー混合物にとって、適切な界面活性剤は、Niax(登録商標)L−5340(Momentive Performance Materialsから入手できる)であり、これは、比較的低いその場の密度においてさえも気泡融合を防止することによって高度の独立気泡とともに微細で均一な気泡を与えるのみならず、TDIポリエーテル及びポリエステルの成分の両方における化学的安定性及び相溶性を与える。
【0048】
界面活性剤の量は、例えば、泡立て特性及び/又は最終生成物の特性を評価することによって実験的に決定され得る。通常、界面活性剤濃度は、プレポリマー及び界面活性剤の全重量に対して約0.3から約5重量%の範囲内である。界面活性剤の量は、樹脂の100重量部当たりの重量部(PHR)として表すこともできる。多くの場合、適切な界面活性剤の量は、ほぼ1.5PHRであった。他の量も選択され得る。
【0049】
ポリマー材料を形成するために用いられる系には、場合によって、他の成分、例えば、触媒、充填剤、処理助剤(例えば、離型剤)、添加剤、着色剤、色素、酸化防止剤、安定剤、潤滑剤などが含まれ得る。
【0050】
触媒は、例えば、添加され、通常は少量で、プロセス中で消費されることなく化学反応を促進する化合物である。プレポリマーからポリウレタンを生成させるために用いることができる適切な触媒には、アミン、特に第三級アミン、有機酸、有機金属化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、オクタン酸スズなどが含まれる。
【0051】
当技術分野で知られているように、充填剤は、CMPパッドの研磨特性、例えば、材料除去率に影響を与えるため、多孔性を促進するため又は他の理由で添加され得る。用いることができる充填剤の具体例には、粒子状物質、例えば、繊維、中空ポリマーミクロスフェア、機能性充填剤、ナノ粒子などが含まれるが、それらに限定されない。
【0052】
本発明はまた、制動性微孔質ポリウレタン材料の調製に関する。好ましい処理では、ポリエーテル及びポリエステルプレポリマーは好ましくは、界面活性剤と組み合わされ、泡立たせて、泡を生成させ、これはそして次ぎに硬化剤と組み合わされる。1種又は複数の場合による成分(単数又は複数)、例えば、触媒、充填剤、処理助剤、添加剤、色素、酸化防止剤、安定剤、潤滑剤などは、プレポリマー反応混合物、硬化剤若しくは界面活性剤に添加することができ又はそれらの中で存在し得る。1種又は複数のこのような成分も、泡立ての間に又は得られた泡に添加され得る。
【0053】
泡立ては、加圧又は非加圧槽及び分配システム又は他の混合システムを有する市販のキャスターなどの装置を用いて、窒素又は別の適当な気体で行うことができる。通常の泡立て温度は、約50から約230°F、例えば、130から約185°Fの範囲内であることができ;泡立て時間は、約10秒から約240分の範囲内であることができ;気体、例えば、窒素の流量は、1時間当たり約0.2から約20標準立方フィートの範囲内であることができ;混合速度は、1分間当たり約500から約5000回転(RPM)の範囲内であることができる。
【0054】
ポット又は混合機槽は、周囲条件又は例えば、最大約10気圧の圧力下で維持され得る。泡は、注型され、硬化剤の存在下で硬化して、ポリウレタン材料を生成する。
【0055】
フォームの注型は、フォームを型、例えば、所望のCMPパッドの製造に適した型中に注ぎ入れることによって行われる。CMPパッドを製造する際に有用な型の寸法及び形状は、当技術分野で公知である。フォームは、硬化して(cured or hardened)、微孔質ポリウレタン材料を生成する。この硬化ステップは、適切な硬化温度で及び適切な期間、オーブン、例えば、ボックスオーブン、コンベイオーブン又は別の適切なオーブン中で行うことができる。上記されたような系は、約50から約250°Fの範囲の温度、例えば、235°Fで、約30分の期間硬化させ得る。硬化過程及びその終点は、系の粘度及び硬度を評価することによって決定され得る。硬化は、空気中或いは特別の雰囲気、例えば、窒素、又は別の適当な気体若しくは気体混合物下で行うことができる。
【0056】
硬化が完了したことを決定した後、例えば、型中の系にもはや注ぎ入れることができない時点で、硬化した微孔質生成物は、型から解放し、適切な温度で及び適切な期間オーブン中で後硬化させ得る。例えば、硬化した生成物は、約200から約250°Fの範囲内の温度、例えば、235°Fで、数時間、例えば、8〜16時間、後硬化させ得る。後硬化に続いて、微孔質生成物は、室温で数時間から1日以上の期間さらに調整され得る。
【0057】
必要な比率におけるポリエーテル/ポリエステルミックス由来の微孔質ポリウレタンCMPパッドは好ましくは、約20%から約50%、好ましくは、約30%から38%の範囲内のベイショア反発を有する。パッド材料は、約0.6から約1.0g/cmの範囲内、好ましくは約0.60から約0.95の範囲内の密度を有し得るが、一部の実施形態において、パッドに用いられる微孔質ポリマー材料の硬度は、約30から約80Dの範囲である。
【0058】
「細孔」径とも呼ばれる気泡径は好ましくは、材料全体で均一である。平均細孔径は、約2ミクロン(μm)から約200μmの範囲であり得る。一部の具体的な場合では、平均細孔径は、約30ミクロン(μm)を超え、例えば、約50から約100μmの範囲内及びそれを超え、例えば、最大約120μm及びそれを超える。
【0059】
特定の理論又は機構にとらわれることを望まないが、界面活性剤の存在下での非反応性気体、例えば、窒素又は別の不活性気体による泡立ては、発泡の間の細孔径及び分布に影響を与えると考えられる。泡立ての間に、界面活性剤は、空気/液体界面における表面張力を調節することによって細孔径及び分布を調節するように思われる。
【0060】
上記されたような系及び方法を使用して製造されるCMPパッドは、半導体、光学、磁気又は他の基板を平坦化又は研磨する際に使用され得る。しかし、ポリエーテル/ポリエステルプレポリマー反応混合物に由来するポリウレタン材料は、高い制動特性から決定される。制動性を特徴付ける1つの方法は好ましくは、単独のウレタンプレポリマー又はプレポリマー混合物及び硬化剤を、重合条件、例えば、その組合せを固体生成物に硬化させる(cure or harden)ために適切な温度及び期間の下で組み合わせることによって得られる固体生成物を用いて測定されるベイショア反発である。一般に、固体生成物は、材料中に顕微鏡的大きさのボイドを導入するように意図された処理下にプレポリマーを置くことなしに、例えば、泡立ての不存在下で形成され、以下にさらに検討される。
【0061】
固体生成物は、硬度及び反発(制動性の表現として)などの他の特性に関して候補の系を選別するために用いられる。本発明の一態様によって、多くのエーテル及びエステルプレポリマーを固体生成物として硬化させた。固体生成物を試験し、反発及び硬度についての結果を、以下の、表1に示した。
【表1】

【0062】
表1に示した選別実験に用いたウレタンプレポリマーは、商業的に得られ、それらには、Adiprene(登録商標)LF750D(TDI−PTMEGプレポリマー、LF、8.79重量%のNCOを有する);Andure70及び75(TDI−PTMEGプレポリマー(Anderson Development Company製)、8.3重量%及び9.0重量%のNCOを有する);L325(TDI/H12MDI−PTMEGプレポリマー、9.11重量%のNCOを有する);LFG740D(TDI−PPGプレポリマー、LF、8.75重量%のNCOを有する);Vibrathane(登録商標)8570及びVerathane(登録商標)D−6(TDI−末端ポリエステル系プレポリマー、それぞれ、6.95〜7.25重量%及び5.7〜6.1重量%のNCOを有する);及びLFH120(HDI−ポリエーテルプレポリマー、LF、12.11重量%のNCOを有する);Rencast6430及び6444(Hunstman Corporation製);Freeman 1070A&B(Freeman Manufactory & Supply Company製);並びにRN−1526(HMDI−TDIポリエーテルプレポリマー、9.17重量%のNCOを有する)(Cytec Industries製)が含まれた。
【0063】
いくつかの硬化剤を、表1に特定したポリウレタンプレポリマーのそれぞれについて評価した。試験した硬化剤には、E300として本明細書で特定したEthacure(登録商標)300(Albermarle Corporation製)、E100として本明細書で特定したEthacure(登録商標)100(Albermarle Corporation製)として本明細書で特定した市販の芳香族ジアミン、並びに芳香族ジアミン及びトリオールのいくつかの混合物が含まれ、TMPはトリメタノールプロパンである。代替として、L−TMPは、室温で液体のエトキシル化TMP(これは、固体TMPに置き換わることができる);又はVibracure(登録商標)A157[化学名:1,3−プロパンジオールビス−(4−アミノベンゾエート)]は、高純度芳香族ジアミン硬化剤(Chemtura Corporation製)である。パーセントは、重量パーセントである。
【0064】
具体的には、表1には、試験した材料系が記載され、それぞれの系は、特定のウレタンプレポリマー及び特定の硬化剤の組合せに対応する。それぞれの系における特定のプレポリマーを特定の硬化剤と、重合条件下で組み合わせることによって得た固体生成物を、硬度及びベイショア反発に関して評価した。当然に、これらの系のそれぞれの1つは、ウレタンが不活性気体又はミクロスフェアを介してフォームに変えられて、適当なフォーム多孔性を達成する、上記の方法によってウレタン系研磨パッド材料に作製することができた。さらに、重合条件下でウレタンプレポリマー及び硬化剤を組み合わせることによって形成された固体生成物を用いて、他の特性を試験し、比較することができる(例えば、泡を形成し、混和する能力、CMP処理で用いられるスラリーに対する生成物の化学的安定性、系の粘度、処理中の遊離のモノマー、例えば、TDIの放出、ポットライフ、色など)。
【0065】
好ましいプレポリマー−硬化剤の組合せは、重合し、ベイショア反発試験によって測定して、約38%未満の反発を有する固体生成物を形成する。例えば、35%より低い反発を有する高度に制動性の固体生成物が、TDI末端エチレンアジペートポリエステルプレポリマー及びEthacure(登録商標)300である硬化剤を含む系から得られた。
【0066】
好ましい例では、固体生成物は、約30Dから約85D、例えば、55Dから80Dの範囲の硬度を有する。デュロメータ試験を用いるショアDスケールは、ポリマー材料の硬度を規定する周知の手法であり、一般に、ショアAスケールで測定されるものより硬いプラスチックに適用される。ショアD硬度は、ASTM D2240に従って測定した。したがって、ポリエーテル系プレポリマーの中から、表1において選別された固体生成物に基づいて、TDI−ポリエーテルプレポリマー(トルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Adiprene(登録商標)LF750D))が、加水分解安定性、高度の硬度(72)、しかし比較的高い反発(44)を与えることが見出された。
【0067】
他方で、ポリエステルプレポリマー、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)−末端エチレンアジペート材料(Versathane(登録商標)D6又はVibrathane(登録商標)8570)に基づく固体生成物は、高度の硬度(約62〜67の範囲)、しかしより重要なことに、低い反発/高い制動性(38未満のベイショア)を与える。異なる仕方で図で示されて、図1に示されるように、選別された種々の材料の硬度−反発の相関が示される。X軸上に反発及びY軸上に硬度にとって、様々な反応混合物(又は固体材料系)についてのデータの線形回帰が得られ、これは、通常、高い硬度が高い反発と結び付き、低い硬度が低い反発と結び付くことを意味する。LF750Dとして特定したポリエーテルプレポリマーは、試験した他の材料と比較して、高い硬度、及び比較的高い反発の両方を有する。高い硬度は、最終パッド材料に、研磨、平坦化及び基板の表面からの欠陥の除去に必要な構造的剛性を与えるために必要である。
【0068】
硬い制動性パッドに処方されたプレポリマー/硬化剤由来の良好な固体材料は、有意に傾向線を異常に超えるべきであり、これは、高い硬度が低い反発と結び付く領域である。図に示されるように、特定の適度に硬質のポリエステル系プレポリマー(すなわち、Versathane(登録商標)D6又はVibrathane(登録商標)8570))由来の固体材料は、高い制動性又は低い反発を示した。これらの特性は、それらが、周期的変形の間に多量のエネルギーを吸収しやすく、それにより、ディッシング現象を低下させ、より良いWID均一性を生じるので、最終的なパッド材料に重要である。
【0069】
本発明において、混成共硬化(又は重合)ポリエーテル及びポリエステルプレポリマーを特定の重量パーセント比率で製造することは、硬度、剛性、及び制動性の必要な均衡をもったポリウレタン化学機械研磨パッドを生じさせることが見出された。この混成コポリマー材料から製造されるCMPパッドは、良好なWIW及びWID均一性、円滑な研磨、低いディッシング/又はエロージョン、より長期のパッド寿命、並びに改善された除去率を与える。
【0070】
具体的には、及び予備選別された固体材料に基づいて、ポリエーテル対ポリエステルの重量パーセントのいくつかの組合せを用いて、試験した。固体材料選別に基づいて、ポリエーテル成分は、高い硬度、及び加水分解安定性を与えるが、一方、ポリエステル成分は、より軟らかいセグメント、及び高い制動性を与えることが見出された。結果として、注型された多くの材料について、プレポリマー混合物中のポリエステル対ポリエーテルの重量パーセントは修正した。別に、上記の製造手順の概要を用いて、有効量の界面活性剤、硬化剤及び起泡剤を当然に含む微孔質材料/フォーム材料を、注型し、硬化させることができる。以下の表IIに示されるように、エステル含有量は、全プレポリマー混合物のゼロ重量パーセントから100重量パーセントに増加させた。
【表2】

【0071】
硬化後、共重合ポリエーテル/ポリエステル反応混合物は切り取り試片に切断し、試験する。表2に示され、図2にグラフで示されるように、パッド材料中の約20〜40重量%のポリエステルプレポリマー対約60〜80重量%のポリエーテルプレポリマーの加成及び反応混合物は、比較的高い硬度及び低い反発を有する。好ましくは、共重合ブレンドは、65〜75重量%ポリエステルプレポリマー対25〜35重量%ポリエーテルプレポリマー、最も好ましくは約70重量%のポリエーテル対約30重量%のポリエステルの混合物からのものである。示されるように、硬度(ショアDで測定した)及び低い反発(ベイショア反発で測定した)の好ましい均衡は、ポリエーテルプレポリマー対ポリエステルプレポリマーの最も好ましい量で到達される。いずれの特定の理論に拘束されることも望まないが、パッド材料の硬度は、起泡剤の密度などによって調節され得ることが当業者に明らかである。しかし、パッドの反発又は制動性は、これらの要因で影響されない。
【0072】
本発明のポリエーテル/ポリエステルプレポリマー反応混合物由来のポリウレタンCMPパッドは、200mmパッドに製造し、Applied Materialsで製造された200mm工具上で用いて、基板の表面からの銅材料の除去率を試験した。これらのパッドは、上に処方した範囲に従ってエーテルプレポリマーに対してエステルプレポリマー用量の量で変化した。プラテン上に保持されたウエハ基板からの銅の除去に、これらのパッドを用いた。図3に示されるように、約30重量%のエステル用量は、約7,800Å/分の除去率をもつパッドをもたらした。さらに、約25重量%から35重量%のエステル用量において、除去率は、約7,400Å/分から約7,900Å/分の範囲である。
【0073】
パッドの化学、本発明パッドの製造方法及び性能を説明してきたが、以下の例は、本発明パッドと市販のものとの比較の根拠を与えることが意図されるが、それらは、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0074】
(比較例1A)
6万(60,000)グラムのTDI−ポリエーテルプレポリマー(Chemtura Corporationにより製造され、Adiprene LF750Dという商品名で販売されている)を計量し、可変の加熱温度及び撹拌速度を備えたプレポリマー処理槽に添加した。その処理槽に、三百(300)グラムのシリコーン界面活性剤(Momentives,Inc.によりNiax L−1800として販売されている)を添加し、混合物を単純なインペラーで撹拌し、適度な渦を生じさせた。処理槽を窒素雰囲気下で150°Fに加熱する。
【0075】
別個の硬化剤処理槽中に、2万(20,000)グラムのジアミン硬化剤(Albemarle corporationにより製造され、Ethacure(登録商標)300という商品名で市販されている)を供給し、窒素雰囲気下で130°Fに加熱する。混合プレポリマー及び硬化剤を混合機ヘッド中に、それぞれ、566g/分及び109g/分の流量で同時に分注した。同時に、窒素を混合機ヘッドに0.6立方フィート毎時(cfh)の流量で注入した。背圧がキャビテーションを回避し、並びに円滑な分注及びフォームの膨張を可能にするように、混合機の速度を約5,000rpmに調整した。得られた微孔質フォームは、約0.7の比重及び約63のショアDの硬度を有した。
【0076】
(比較例2A)
6万(60,000)グラムのTDI−ポリエーテルプレポリマー(Chemtura Corporationにより製造され、Adiprene LF750Dという商品名で販売されている)を計量し、可変の加熱温度及び撹拌速度を備えたプレポリマー処理槽に添加した。その処理槽に、1千2百(1,200)グラムのシリコーン界面活性剤(Momentives,Inc.によりNiax L−1800として販売されている)を添加し、混合物を単純なインペラーで撹拌し、適度な渦を生じさせた。処理槽を窒素雰囲気下で150°Fに加熱する。
【0077】
別個の硬化剤処理槽中に、2万(20,000)グラムのジアミン硬化剤(Albemarle corporationにより製造され、Ethacure(登録商標)300という商品名で市販されている)を供給し、窒素雰囲気下で130°Fに加熱する。
【0078】
完全混合プレポリマー及び硬化剤を混合機ヘッド中に、それぞれ、566g/分及び109g/分の流量で同時に分注した。同時に、窒素を混合機ヘッドに0.6cfhの流量で注入した。背圧がキャビテーションを回避し、並びに円滑な分注及びフォームの膨張を可能にするように、混合機の速度を約5,000rpmに調整した。得られた微孔質フォームは、約0.7の比重及び約60のショアDの硬度を有した。
【0079】
(例1)
6万(60,000)グラムの全プレポリマーを計量し分けた。この中から、4万2千(42,000)グラムのTDI−末端ポリエーテルプレポリマー(Chemtura Corporationにより製造され、Adiprene LF750Dという商品名で販売されている)を計量し、可変の加熱温度及び撹拌速度を備えた処理槽に供給した。別個に、(18,000)グラムのTDI−末端ポリエステルプレポリマー(Air Products and Chemicals,Inc.により製造され、Versathane D−6という名称で販売されている)を計量し、42,000グラムのポリエーテルプレポリマーが入っている処理槽に添加した。
【0080】
1千2百(1,200)グラムのシリコーン界面活性剤(Momentives,Inc.によりNiax L−5340として販売されている)を処理槽に添加し、混合物を単純なインペラーで撹拌し、適度は渦を生じさせた。処理槽を窒素雰囲気下で150°Fに加熱する。
【0081】
別個の硬化剤処理槽中に、2万(20,000)グラムのジアミン硬化剤(Albemarle corporationにより製造され、Ethacure(登録商標)300という商品名で市販されている)を供給し、窒素雰囲気下で130°Fに加熱する。
【0082】
完全混合プレポリマー及び硬化剤を混合機ヘッド中に、それぞれ、566g/分及び109g/分の流量で同時に分注した。同時に、窒素を混合機ヘッドに0.6cfhの流量で注入した。背圧がキャビテーションを回避し、並びに円滑な分注及びフォームの膨張を可能にするように、混合機の速度を約5,000rpmに調整した。得られた微孔質フォームは、約0.7の比重及び約57のショアDの硬度を有した。
【0083】
例で処方した通りに調製したCMPパッドを、基板からの銅の除去に用いた。図4に示すように、本発明のパッド(すなわち、例1)は、それぞれ、平均7,400Å/分、及び3.1ミル/時間の磨耗率の比較例1A及び1Bに比べて、7,900Å/分の除去率及び1.4ミル/時間のより低い磨耗率を示した。明らかに、本発明のパッドは、その独特の化学的及び物理的特性によって、改善された性能を達成する。
【0084】
本発明を、その好ましい実施形態に関連して詳細に示し、説明してきたが、形態及び詳細における様々な変化が、添付の特許請求の範囲で包含される本発明の範囲から逸脱することなしに、その中でなされ得ることが当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応混合物由来のポリウレタン化学機械研磨パッドであって、
(a)プレポリマー混合物の全重量に基づいて、約60〜80重量パーセント(重量%)の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリテトラメチレンエーテルグリコール系プレポリマー;
(b)重量パーセントがプレポリマー混合物の全重量に基づいている、約40〜20重量パーセント(重量%)の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端エチレンアジペートポリエステルプレポリマー;
(c)それぞれ、有効量の界面活性剤及び硬化剤;並びに
(d)前記研磨パッドを形成するために反応混合物中に導入される起泡剤
を含み、得られた研磨パッドは、約0.6から約0.95g/ccの範囲の密度を有する上記ポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項2】
プレポリマー反応混合物が、約65〜75重量%のポリエーテルプレポリマー対約25〜35重量%のポリエステルプレポリマーである、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項3】
プレポリマー反応混合物が、約70重量%のポリエーテルプレポリマー対約30重量%のポリエステルプレポリマーである、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項4】
TDI−末端エチレンアジペートポリエステルが、約2500から4000の範囲の分子量を有し、エチレンアジペートポリオールと1,3−ジイソシアナトメチルベンゼンとの反応に基づく、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項5】
プレポリマー混合物中に存在する未反応イソシアネート基(NCO)の平均重量パーセントが、約6.5%から約8.5%の範囲である、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項6】
界面活性剤が、プレポリマー及び界面活性剤の0.3から5.0重量%の量で、シリコーン及びポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドの界面活性剤の群から選択される、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項7】
有効量の硬化剤が、用いられるプレポリマーに対して0.9から1.0の比率である、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項8】
硬化剤が、芳香族ジアミンである、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項9】
約20%から約50%の範囲のベイショアを有する、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項10】
約7,400から約7,900Å/分の範囲のウエハからの金属フィルムの除去率を有する、請求項1に記載のポリウレタン化学機械研磨パッド。
【請求項11】
ポリエーテル/ポリエステル系プレポリマー反応混合物由来のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法であって、
(a)約60〜80重量パーセント(重量%)の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリエーテルプレポリマーを、約40〜20重量パーセント(重量%)の量のトルエンジイソシアネート(TDI)−末端ポリエステルプレポリマーと、有効量の界面活性剤の存在下で混合するステップであって、重量パーセントは、プレポリマーの全重量に基づいているステップ;
(b)反応混合物中に起泡剤を導入することによって、ステップ(a)の反応混合物を泡立てるステップ;及び
(c)有効量の硬化剤の存在下で泡立てた反応混合物を重合させて、約0.6から約0.95g/ccの範囲の密度を有する研磨パッドを形成するステップ
を含む上記方法。
【請求項12】
プレポリマー反応混合物が、約65〜75重量%のポリエーテルプレポリマー対約25〜35重量%のポリエステルプレポリマーである、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項13】
プレポリマー反応混合物が、約70重量%のポリエーテルプレポリマー対約30重量%のポリエステルプレポリマーである、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項14】
ポリエーテル及びポリエステルのプレポリマーを槽中で最初に界面活性剤と混合し、起泡剤を前記槽に添加して泡を形成させる、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項15】
泡が、混合機槽に送られ、硬化剤が前記混合機槽に添加される、請求項14に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項16】
不完全硬化ポリウレタンフォームを、前記混合機槽から分注して、さらに硬化させる、請求項15に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項17】
プレポリマー、界面活性剤、及び起泡剤が同じ槽に供給され、その後で硬化剤が同じ槽に添加される、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項18】
TDI−末端ポリエステルが、約2000から4000の範囲の分子量を有するエチレンアジペートポリエステルであり、エチレンアジペートポリジオールと1,3−ジイソシアナトメチルベンゼンとの反応に基づく、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項19】
プレポリマー混合物中に存在する未反応イソシアネート基(NCO)の平均重量パーセントが、約6.5%から約8.5%の範囲である、請求項14に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項20】
界面活性剤が、プレポリマー及び界面活性剤の0.3から5.0重量%の量で、シリコーン及びポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドの界面活性剤の群から選択される、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項21】
有効量の硬化剤が、用いられるプレポリマーに対して0.9から1.0の比率である、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項22】
硬化剤が芳香族ジアミンである、請求項11に記載のポリウレタン化学機械研磨パッドを製造する方法。
【請求項23】
請求項11に記載の方法によって製造されたCMP研磨パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−501823(P2013−501823A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523628(P2012−523628)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042281
【国際公開番号】WO2011/016971
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(500092413)プラックセアー エス.ティ.テクノロジー、 インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】