説明

CNT/PFAナノコンポジットコーティングを備える加圧部材

【課題】電子写真印刷装置において使用される加圧部材の寿命を向上させ、且つ製造コストを削減するために、従来の加圧部材の剥離特性及び機械的頑健性を改善する。
【解決手段】加圧部材は、基材と、弾性材料によってそれぞれ囲まれているフッ素重合体及びカーボンナノチューブ(CNT)を含むコーティングされた最外層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般に、電子写真印刷装置に使用されるベルト部材に関し、詳細には、定着装置及び像形成装置に使用される加圧ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な電子写真複写装置において、複写されることになる元の光像は、感光部材上に静電潜像の形態で記録される。潜像は、一般にトナーと称される熱可塑性樹脂粒子の検電適用によって実質的に可視状態とされる。可視トナー像は、緩い粉状であり、通常、それ自体感光性部材であり得る支持体又は普通紙等の他の支持シート上に、定着装置を用いて固着又は定着される。
【0003】
従来の定着装置は、加圧接触状態に保持されたロール対又はロールと加圧接触しているベルト部材を含むように構成され得る定着部材及び加圧部材を含む。定着プロセスにおいて、定着部材及び加圧部材の一方又は双方を加熱することによって熱が加えられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の加圧ベルトは、大抵は、剥離層としてポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA)表面コーティングを有するポリイミドベルトを含む。PFA剥離層は、さらに、その低い表面エネルギー特性によって耐摩耗性を提供する。しかしながら、加圧ベルトの寿命を向上させ且つ製造コストを削減するために従来の加圧ベルトの剥離特性及び機械的頑健性を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態によれば、本教示は、定着装置を含む。定着装置は、基材と、基材にわたって配設された最外層とを含む加圧部材を有することができる。最外層は、少なくとも約3000psiの引張強度を最外層に与えるために、フッ素樹脂材料内に分布した複数のカーボンナノチューブ(CNT)と弾性材料とを含むことができる。
【0006】
様々な実施形態によれば、本教示はまた、定着装置を含む。定着装置は、定着部材と、接触ニップを通過する印刷媒体上にトナー像を定着するために定着部材と接触ニップを形成するように構成された加圧部材とを含むことができる。加圧部材は、基材と、基材にわたって配設された最外層とを含むことができる。最外層は、少なくとも約3000in.−lbs/in.の靱性を最外層に与えるために、複数のカーボンナノチューブ(CNT)を含むことができ、各CNTは、弾性材料によって囲まれており且つフッ素樹脂材料内に均一に分布している。
【0007】
様々な実施形態によれば、本教示は、さらに、像形成装置を含む。像形成装置は、その上に静電潜像を受ける感光体と、感光体上に現像像を形成するために静電潜像を現像するように感光体に対してトナーを塗布する現像要素と、感光体から印刷媒体へと現像像を転写するための転写要素と、定着装置とを含むことができる。定着装置は、定着部材と、接触ニップを通過する印刷媒体上にトナー像を定着するために定着部材と加圧部材との間で接触ニップを形成するように構成された加圧部材とを含むことができる。加圧部材は、少なくとも約3000psiの引張強度、少なくとも約100%の最大伸長、及び、少なくとも約3000in.−lbs/in.の靱性を最外層に与えるために、それぞれが弾性材料によって囲まれており且つフッ素樹脂材料内に均一に分布している複数のカーボンナノチューブ(CNT)を有する最外層を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本教示の様々な実施形態による、例示的な高分子安定剤を示す図である。
【図2】本教示の様々な実施形態による、安定化させたカーボンナノチューブ(CNT)含有コーティング組成物を形成する例示的な方法を示す図である。
【図3】本教示の様々な実施形態による、安定化させたCNT含有コーティング組成物を形成する他の例示的な方法を示す図である。
【図4A】図4Aは、本教示の様々な実施形態による、例示的なベルト部材を示す図である。
【図4B】図4Bは、本教示の様々な実施形態による、例示的なベルト部材を示す図である。
【図5A】図5Aは、本教示の様々な実施形態による、図4A及び図4Bにおけるベルト部材の例示的な最外層を示す図である。
【図5B】図5Bは、本教示の様々な実施形態による、図4A及び図4Bにおけるベルト部材の例示的な最外層を示す図である。
【図6A】図6Aは、本教示の様々な実施形態による、図4A及び図4Bにおけるベルト部材のさらなる例示的な最外層を示す図である。
【図6B】図6Bは、本教示の様々な実施形態による、図4A及び図4Bにおけるベルト部材のさらなる例示的な最外層を示す図である。
【図6C】図6Cは、本教示の様々な実施形態による、軟層によって囲まれている例示的なカーボンナノチューブを示す図である。
【図7】図7は、本教示の様々な実施形態による、例示的なベルト部材の表面抵抗率の結果を示す図である。
【図8】本教示の様々な実施形態による、ベルト部材を用いた例示的な定着装置の断面図である。
【図9】本教示の様々な実施形態による、例示的な電子写真複写装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態は、電子写真印刷装置に使用されるベルト部材を提供する。ベルト部材は、ベルト基材にわたって配設されたコーティング層を含むことができる。例示的な実施形態において、コーティング層は、1つ以上のフッ素重合体から形成されたポリマーマトリクス内に分布している複数のカーボンナノチューブ(CNT)を含むことができる。CNTは、1つ以上の弾性材料によって囲まれることができる。一実施形態において、コーティング層は、ベルト部材の最外層として使用されることができ、1つ以上の他の機能層が最外層とベルト基材との間に配設されることができる。最外層は、ベルト部材に対して、所望の機械的、電気的、及び/又は、熱的特性を提供することができる。
【0010】
本願明細書では、特別の定めのない限り、用語「カーボンナノチューブ」又は「CNT」は、例えば約100ナノメートル以下の幅又は径といった少なくとも1つの小さい寸法を有する細長いカーボン材料をいう。用語「カーボンナノチューブ」又は「CNT」は、説明のために本願明細書における説明を通して称されるものの、用語はまた、それらに限定されるものではないが、ナノシャフト、ナノピラー、ナノワイヤ、ナノロッド、及び、ナノニードル、並びに、それらの様々な官能基化及び誘導体化された小線維形態を含む同様の寸法のカーボン材料を含む他の細長い構造を包含することを目的としている。
【0011】
様々な実施形態において、CNTは、1つの内径及び外径を有することができる。例えば、平均内径は、約0.5nm〜約20nm、又は、約1nm〜約15nm、又は、約5nm〜約10nmに及ぶことができる。平均外径は、約1nm〜約80nm、又は、約5nm〜約70nm、又は、約10nm〜約60nmに及ぶことができる。カーボンナノチューブは、例えば、約1〜約10000、又は、約10〜約5000、又は、約100〜約1000に及ぶアスペクト比を有することができる。
【0012】
CNTは、例えば、矩形、多角形、楕円、又は、円状等の様々な横断面形状を有することができる。したがって、ナノチューブは、例えば筒状の3次元構造を有することができる。実施形態において、CNTの寸法及び/又は形状は限定されない。
【0013】
CNTは、例えば、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)及びカーボンナノファイバー等のそれらの様々な官能基化又は誘導体化された小繊維形態を含むことができる。さらに、用語CNTは、全ての可能なCNTから改質されたCNT、及び、上述したそれらの組み合わせを含むことができる。CNTの改質は、物理的及び/又は化学的改質を含むことができる。例えば、CNTは、様々な物理的及び/又は化学的改質を介して、制御された及び/又は向上された機械的、電気的、又は、熱的特性によって改質/官能基化されることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、CNTは、低い及び/又は高い純度の乾燥粉末形態で得られることができるか、又は、様々な溶液内で取得されることができる。他の実施形態において、CNTは、処理されたものとして精製されていない状態で入手可能とすることができ、精製プロセスは、その後に実行されることができる。
【0015】
体積に対する大きい表面積比のために、CNTは、凝集する又は塊になる傾向を有することがあり、そのため、ナノチューブ/高分子複合材料内への処理に影響を受けやすくないことがある。ポリマー内に均一に分散されたCNTを含む複合材料を調製するための実際のアプローチのうちの1つは、高せん断混合の使用を含むことができる。そして、複合材料は、コーティング組成物を調製するのに使用されることができる。あるいは、安定化させたCNT含有コーティング組成物を形成するためにCNTの安定した及び/又は均一な分散を容易とするように安定剤が使用されることができる。
【0016】
本願明細書では、用語「安定剤」は、CNTの安定化、非凝集分散を容易とするために、CNT及び/又はCNT含有コーティング組成物と混合される任意の機能材料をいう。
【0017】
安定剤は、例えば、高分子アミン、高分子酸、共役高分子、及び、天然ガム材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、安定剤は、例えば、ポリ(アリルアミン)、ポリエチレンイミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム・クロライド)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、及び、それらの組み合わせを含むことができる。他の実施形態において、安定剤は、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、高分子酸とのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の複合体、アラビアガム及び/又はキトサンを含むことができる。
【0018】
本願明細書では、用語「分散」は、例えば、他のものに溶解する1つの物質、又は、流体内に懸濁若しくは散乱された粒子若しくは他の物質等、他のものの中にある1つの物質を含む任意の系をいう。それゆえに、用語「分散」はまた、「溶解」、「懸濁」、「ラテックス」、又は、「エマルション」として本願明細書において称されることができる。様々な実施形態において、開示されるコーティング組成物についての安定剤、フッ素重合体、ナノチューブ、又は、フィラーのうちの1つ以上の材料を含む分散は、制御されたpH値を有することができる。例えば、pH値を調整するために、様々な有機若しくは無機酸又はアルカリは、これらに限定されるものではないが、酢酸、スルホン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、又は、当業者にとって公知である任意の他の適切な酸若しくはアルカリを含んで使用されることができる。様々な実施形態において、pH値は、約2〜約11まで及ぶことができる。さらなる例において、pH値は、約3〜約10まで又は約5〜約9までであることができる。
【0019】
例示的な実施形態において、安定剤は、二重構造官能基を含むことができる。例えば、安定剤は、分散のpH値に応じて、CNT含有分散において−NHの形態で部分的に中和されることができ且つ−NHの形態で部分的に静電又はイオンとすることもできる機能性アミノ基を含むことができる。
【0020】
実施形態において、フッ素重合体は、これらに限定されるものではないが、例えば、フッ素熱可塑性物質、フッ素エラストマ、及び/又は、フッ素樹脂を含むフッ素樹脂を含むことができる。例示的なフッ素樹脂は、PFA(ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、及び/又は、FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合体)を含むことができる。これらのフッ素樹脂は、E.I.DuPont de Nemours,Inc(Wilmington、DE)から入手可能なTEFLON(登録商標)PFA、TEFLON(登録商標)PTFE、TEFLON(登録商標)FEP、及び/又は、3M(商標)Dyneon(商標)社から入手可能なTHVフッ素樹脂等、様々な名称で商用的に入手可能である。
【0021】
例示的なフッ素エラストマは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、フッ化ビニリデン(VDF又はVF2)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及び、それらの混合物から選択される単量体繰り返し単位を有するポリマーを含むことができる。フッ素エラストマはまた、フッ素エラストマを形成するように結果の硬化剤と反応することができる硬化部位モノマーを含むことができる。例えば、ポリマーマトリクスがフッ化ビニリデン含有フッ素エラストマを使用するとき、硬化剤は、ビスフェノール化合物、ジアミノ化合物、アミノフェノール化合物、アミノ−シロキサン化合物、アミノ−シラン及び/又はフェノール−シラン化合物を含むことができる。例示的なビスフェノール架橋剤は、E.I.DuPont de Nemours,Incから入手可能なVITON(登録商標)硬化剤No.50(VC−50)であることができる。VC−50は、溶解性のある懸濁液に溶解することができ、例えば、VITON(登録商標)−GF(E.I.DuPont de Nemours,Inc)と架橋するための反応硬化部位において容易に利用可能であり得る。
【0022】
市販のフッ素エラストマは、例えば、HFP及びVDF(又はVF2)の共重合体であるVITON(登録商標) A、TFE、VDF及びHFPのターポリマーであるVITON(登録商標) B、TFE、VF2及びHFPのテトラポリマーであるVITON(登録商標) GF、並びに、VITON(登録商標) E、VITON(登録商標) E−60C、VITON(登録商標) E430、VITON(登録商標) 910、VITON(登録商標) GH、及び/又は、VITON(登録商標) GFを含むことができる。VITON(登録商標)称号は、E.I.DuPont de Nemours,Inc(Wilmington、DE)の商標であり、本願明細書では「VITON」とも称される。
【0023】
他の市販のフッ素エラストマは、例えば、DYNEON(商標)フッ素エラストマ、AFLAS(登録商標)フッ素エラストマ(例えば、ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン))及びFLUOREL(登録商標)フッ素エラストマ(例えば、FLUOREL(登録商標)II(例えばLII900) ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフッ化物))、FLUOREL(登録商標) 2170、FLUOREL(登録商標) 2174、FLUOREL(登録商標) 2176、FLUOREL(登録商標) 2177及び/又はFLUOREL(登録商標) LVS 76を含む3M(St.Paul,Minnesota)社から入手可能なものを含むことができる。さらなる市販のフッ素エラストマ材料は、Solvay Solexis(West Deptford,NJ)から入手可能なTN Latex、FOR(登録商標)−60KIR、FOR(登録商標)−NM、FOR(登録商標)−THF、FOR(登録商標)−TFS、FOR(登録商標)−TH、及び、FOR(登録商標)−TN505と特定される「テクノフロン」を含むことができる。
【0024】
図1は、本教示にかかる例示的な高分子安定剤を示す概略図である。具体的には、例示的な高分子安定剤は、中和されたアミノ基(−NH)(図1における105を参照)と、例えば酸性状態におけるアンモニウム塩(−NH)(図1における107を参照)等のアミンとを含むアミノ二重構造官能基を含む、部分的に中和されたポリ(アリルアミン)であることができる。
【0025】
図2〜図3は、本教示の様々な実施形態にかかる安定化させたCNT含有コーティング組成物を形成する例示的な方法200及び300を示す図である。
【0026】
図2の210において、例えばテフロン(登録商標)PFA等のフッ素重合体は、例えば、コロイド分散、ラテックス懸濁液、又は、それらの混合物の形態で提供されることができる。例えば、フッ素重合体は、約10nm〜約5000nmに及ぶ平均粒径を有するフッ素重合体粒子を含むことができる。例示的な実施形態において、フッ素重合体は、約50nm〜約500nmに及ぶ平均粒径を有する小さい粒子と、約1mm〜約50mmに及ぶ平均粒径を有する大きい粒子との混合物を含むことができる。
【0027】
220において、安定剤溶液が形成されることができる。安定剤溶液は、水等の適切な溶媒におけるポリ(アリルアミン)等の1つ以上の安定剤を含むことができる。例示的な実施形態において、ポリ(アリルアミン)が使用されるとき、塩酸(HCl)は、安定剤溶液のpH値を制御するのに使用することができる。
【0028】
図2の230において、CNTは、それらに限定されるものではないが、水、アルコール、例えば約C5〜約C18までの脂肪族炭化水素、例えば、ジオキサン、エーテル、ケトン、アミド等の約C6〜約C18までの芳香族炭火水素、及び、それらの混合物を含む液体であることができる分散剤内に分散されることができる。
【0029】
図2の240において、任意に、無機粒子等のフィラーが使用されることができる。例えば、無機粒子は、フィラー分散を形成するために、水等の溶媒内に分散されることができる。フィラー分散は、例示的な水の溶媒内のシラン等の表面処理剤の存在下での無機粒子の超音波処理によって調製されることができる。
【0030】
無機粒子は、これらに限定されるものではないが、金属酸化物、非金属酸化物、金属、又は、他の適切な粒子を含むことができる。具体的には、金属酸化物は、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化銅、五酸化アンチモン、インジウム酸化スズ、及び、それらの混合物を含むことができる。非金属酸化物は、例えば、窒化ホウ素、炭化ケイ素(SiC)等を含むことができる。金属は、例えば、ニッケル、銅、銀、金、亜鉛、鉄等を含むことができる。様々な実施形態において、当業者にとって公知の他の添加剤はまた、安定化させたCNT含有コーティング組成物に含まれることができる。
【0031】
図2の250において、安定化させたCNT含有コーティング組成物は、210において形成されたフッ素重合体分散及び220において形成された安定剤溶液を、230において形成されたCNT分散及び240において形成された任意のフィラー分散と混合することによって形成されることができる。
【0032】
あるいは、CNTを分散するために使用される分散剤はまた、安定剤についての溶媒として使用されることができる。例えば、安定剤は、上述したように、分散剤内に最初に分散されることができる。そして、CNTは、図3における323において描かれているように、安定剤及びCNTの双方を含むCNT分散を形成するために、分散された安定剤と混ぜられることができる。安定剤及びCNTの双方を含むCNT分散は、さらに、図2の240において形成された任意のフィラー分散とともに、図2の210において形成されたフッ素重合体と混合されることができる。そして、安定化させたCNT含有コーティング組成物は、図3における350において描かれているように形成されることができる。
【0033】
様々な実施形態において、安定剤、CNT、任意の無機粒子、及び/又は、フッ素重合体粒子の分散を容易にするために、安定化させたCNT含有コーティング組成物を形成する任意の段階の間において所望に、高強度超音波処理装置等の超音波のエネルギー源が分散を超音波で分解するのに使用されることができる。さらに、分散のpH値は、安定化させたCNT含有コーティング組成物を形成する任意の段階の間において目標値を維持するように調整されることができる。
【0034】
様々な実施形態において、図2及び図3において描かれるように形成されるCNT含有コーティング組成物は、例えば、安定な及び/又は均一なCNT/PFA又はCNT/PFA/SiCコーティング組成物であることができる。そのようなコーティング組成物は、適切な保存可能期間を有することができ、本願明細書において開示されるように、コーティング層又は最外層として表面上に「コーティングされる」ことができる。様々なコーティング技術は、安定化させたCNT含有コーティング組成物を下層表面に塗布するのに使用されることができる。本願明細書では、用語「コーティング」又は「コーティング技術」は、本教示においては特に限定されず、浸漬塗装、ペインティング、刷毛塗り、ローラー塗り、パッド塗布、吹き付け塗装、スピンコーティング、キャスティング、又は、流し塗りが使用されることができる。例えば、安定化させたCNT含有コーティング組成物は、吹き付け塗装によってポリイミド基材の片にコーティングされることができる。
【0035】
次に、コーティングされたコーティング組成物は、例えば、下層表面上にコーティング層を形成するために乾燥プロセスによって凝固されることができる。例示的な実施形態において、コーティングされたコーティング組成物は、約200℃〜約450℃、又は、約300℃〜約400℃、又は、約345℃〜約365℃の温度で焼かれることができる。ある実施形態において、コーティングされたコーティング組成物は、約20分間、約350℃で乾燥されることができ、その後、約10分間、約360℃で乾燥される。あるいは、乾燥プロセスは、真空オーブンを含むことができる。コーティング層が形成される方法にかかわらず、各乾燥コーティング層は、ある厚さを有することができる。実施形態において、コーティング及び乾燥プロセスは、例えば、形成されたコーティング層の特定の用途に応じて、約5ミクロンから約250ミクロン、又は、約20ミクロンから約200ミクロン、約50ミクロンから約150ミクロンに及ぶ所望の厚さを達成するように所望に繰り返されることができる。後述するように、本教示にしたがって形成されたコーティング層は、その後、例えばベルト部材の最外層として使用される例示的なベルト部材に組み込まれることができる。
【0036】
図4A〜図4Bは、本教示の様々な実施形態にかかる例示的なベルト部材400A−Bを示す図である。あるいは、当業者は、図4A〜図4Bにおいて示される層状構造がローラー部材のために使用されることができることを理解するであろう。ここで、ローラー基材が使用される。
【0037】
図4A〜図4Bの例示的なベルト部材400A−Bは、ベルト基材410にわたって形成される最外層430を含むことができる。図4A〜図4Bの最外層430は、例えば図2〜図3において示されるように、安定化させたCNT含有コーティング組成物から形成されるコーティング層であることができる。
【0038】
ベルト基材410は、代わりに、フィルム、シート等を含むことができる。ベルト基材410は、約25マイクロメートル〜約250マイクロメートル、又は、約60マイクロメートル〜約100マイクロメートルに及ぶ厚さを有することができる。ベルト基材410は、高い機械的強度を呈することができる高温プラスチックを含むことができる。一般に、そのようなプラスチック基材は、約2,000,000〜約3,000,000psiの曲げ強度、及び、約25,000〜約55,000psiの曲げ弾性率を有することができる。上述した特性を保有し且つ基材としての使用に適切であるプラスチックは、例えば、エポキシや、Hoechst Celanceから入手可能な商品名FORTRON(登録商標)で販売されているもの、Philips Petroleumから入手可能なRYTON R−4(登録商標)及びGeneral Electricから入手可能なSUPEC(登録商標)等のポリフェニレン硫化物、Amocoから入手可能な商品名TORLON(登録商標) 7130の下で販売されているポリアミドイミド等のポリイミド、Amocoから入手可能な商品名KADEL(登録商標) E1230の下で販売されているものや、Victrexから商品名PEEK 450GL30の下で販売されているポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン、Amocoから入手可能な商品名AMODEL(登録商標)の下で販売されているポリフタルアミド等のポリアミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリルエーテルケトン等のポリエーテル、ポリパラバン酸等、Amocoから入手可能な液晶樹脂(XYDAR(登録商標))、General Electricから入手可能なULTEM(登録商標)、BASFから入手可能なULTRAPEK(登録商標)等、並びに、それらの混合物を含むことができる。ベルト基材410はまた、上述した材料のうちのいずれかの混合物を含むことができる。
【0039】
特定の実施形態において、ベルト基材410は、例えば、これらに限定されるものではないが、芳香族ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シロキサンポリエーテルイミドブロック共重合体及びそれらの混合物を含むポリイミド基材であることができる。
【0040】
実施形態において、最外層430は、ベルト基材410の表面上に直接形成されることができるか(図4Aを参照)、又は、ベルト基材410にわたって形成される機能層420上に形成されることができる(図4Bを参照する)。
【0041】
機能層420は、例えば、共形層、接着層、及び/又は、それらの組み合わせであることができる。例示的な実施形態において、ベルト部材は、例えば、コーティングされた最外層430とベルト基材410との間に配設された約1mm〜約5mmの厚さを有するシリコンゴム層等の柔軟層420を有する2層構造であることができる。
【0042】
図5A〜図5Bは、本教示の様々な実施形態にかかる図4A〜図4Bの例示的な最外層430を示す概略図である。示されるように、複数のCNT510は、図5A〜図5Bにおいて矛盾のない大きさを有して描かれているものの、当業者は、複数のCNT510が、例えば異なる長さ、幅及び/又は径といった、異なる大きさを有することができることを理解するであろう。
【0043】
図5Aにおいて、複数のCNT510は、例示的なフッ素重合体マトリクス520の全体にわたって均一に分散されることができる。一実施形態において、CNTは、コーティングされた層430のポリマーマトリクス520の全体にわたってランダムに絡んでいるが均一に分散された塊状のCNTであることができる。
【0044】
図5Bにおいて、複数のCNT510は、均一に分散されることができ、例えば磁界の使用によってコーティングされた層430のポリマーマトリクス520の全体にわたってある方向に整列されるか又は向けられる等、空間的に制御されることができる。
【0045】
様々な他の例示的な最外層は、本教示の様々な実施形態にしたがって概略的に図6A〜図6Bにおいて示されている。図5A〜図5Bにおいて示されるコーティングされた最外層と比較して、図6A〜図6Bにおけるコーティングされた最外層は、さらに、フッ素重合体マトリクス520において安定して及び/又は均一に分散された複数のCNT510とともに複数の無機粒子625を含むことができる。無機粒子625は、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化銅、五酸化アンチモン、インジウム酸化スズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、ニッケル、銅、銀、金、亜鉛、鉄、又は、それらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
実施形態において、図5A〜図5B並びに図6A〜図6Bにおいて描かれているCNT510は、さらに、各CNT510が付いた弾性材料512を含むことができる。実施形態において、図6Cにおいて描かれているように、弾性材料512は、CNT510のハードコアを囲んでいるシェル層であることができる。
【0047】
弾性材料512は、例えば、天然ゴム、合成ゴム、又は、それらの組み合わせを含むことができる。例示的な合成ゴムは、これらに限定されるものではないが、1個〜約12個の炭素を有するオレフィンの1つ以上の単量体繰り返し単位を含むポリオレフィン、ポリブタジエン、フッ素エラストマ、ペルフルオロエラストマ、シリコン、フッ化シリコン、多硫化物、ポリホスファゼン及びそれらの混合物を含むことができる。様々な実施形態において、弾性材料512は、加硫処理される等、少なくとも部分的に架橋されることができる。
【0048】
弾性材料512は、CNTハードコアの外表面上のシェル厚さTを有することができる。シェル厚さTは、例えば、約1nm〜約5mm、又は、約1nm〜約1000nmの範囲において、少なくとも約1nmであることができる。様々な実施形態において、弾性材料512は、例えばカーボンナノチューブと結合することができるエラストマの官能基を介した物理的又は化学的結合によってCNT510に付けられることができる。例示的な実施形態において、弾性材料512は、CNT又は共有結合によって改質されたCNTと反応することができる化学的官能基を有することができる。官能基は、これらに限定されるものではないが、水酸基、カルボン酸、アジリジン、アゾメチンイリド、アリールジアゾニウム陽イオン、オキサゾリジノン、及び、それらの混合物を含むことができる。
【0049】
コーティングされた最外層430は、例えば、全最外層の重量で約0.1%〜約20%、又は、約0.5%〜約15%、又は、約1%〜約10%に及ぶCNTを含むことができる。
【0050】
実施形態において、図4A〜図4B、図5A〜図5B、並びに、図6A〜図6Bにおいて示されるコーティングされた最外層は、電子写真印刷装置及びプロセスにおける使用を容易にするように、所望の機械的、電気的及び/又は熱的特性を提供することができる。例えば、最外層は、少なくとも約3000psi、又は、約3000psi〜約10000psi、若しくは、約4000〜約8000、若しくは、約5000〜約7000に及ぶ引張強度と、少なくとも約100%、又は、約100%〜約500%、若しくは、約200%〜約400%、若しくは、約250%〜約350%に及ぶ最大伸長と、少なくとも約3000in.−lbs/in.、又は、約3000in.−lbs/in.から約10000in.−lbs/in.に及ぶ、若しくは、約4000in.−lbs/in.〜約9000in.−lbs/in.に及ぶ、若しくは、約5000in.−lbs/in.〜約8000in.−lbs/in.に及ぶ靱性を有することができる。
【0051】
図7は、本教示の様々な実施形態にかかる例示的なCNT/PFAコーティングされた最外層の表面抵抗率の結果を示す図である。例えば、CNT/PFAコーティングは、シリコンウェハ上に形成されることができ、PFAマトリクスにおいて約2重量%のCNT重量を有することができる。図7は、CNTがないがPFAを含むのみである比較参照サンプル(曲線705を参照)と比較して、コーティングされた最外層の表面抵抗率が劇的に減少され得る(曲線730を参照)ことを示している。すなわち、コーティングされたCNT/PFA層の表面伝導率は、CNTの添加に起因して劇的に増加されることができる。
【0052】
実施形態において、図4〜図6における最外層430は、定着装置の定着部材及び/又は加圧部材のために使用されることができる。例えば、図4A〜図4Bにおいて示されるベルト部材は、複写シート等の印刷媒体上にトナー像を定着するための定着ベルト及び/又は加圧ベルトとして使用されることができる。
【0053】
図8は、本教示の様々な実施形態にかかる加圧ベルトを有する例示的な定着装置800の断面図である。示されるように、定着装置800は、通過する印刷媒体816のためにそれらの間において接触ニップNを形成するように構成された定着部材830及び加圧ベルト840(例えばベルト部材400A−B)を含むことができる。そして、印刷媒体816上のトナー又は他のマーキング材料は、接触ニップNを通過した後に印刷媒体上に定着されることができる。
【0054】
定着部材830は、定着部材内部に配置された内部ヒーター835を含む被加熱定着部材であることができる。任意に、加熱部材835は、定着部材の外部に配置されることができる。実施形態において、定着部材830は、図8において図示されたような定着ロール又は定着ベルト(図示されていない)であることができる。実施形態において、最外層430(図4〜図6を参照)は、定着部材830及び/又は加圧ベルト840の最外層であることができる。
【0055】
加圧ベルト840は、例えば金属から形成された駆動ローラー822及び従動ローラー824を含む3つの平行部材のまわりに連れ回る又は含まれることができる。従動ローラー824はまた、加圧ベルト840のための引張ローラーとして機能することができる。フォトカプラの形態のベルト位置センサ842は、所定の横範囲内でのベルト位置の維持を容易とするために、ベルト部材840の横端部に隣接して配設されることができる。加圧ベルト840は、駆動ローラー822の回転により、ある方向に所定の周速度で回転することができる。加圧ベルト840は、接触ニップNを形成するように、定着部材830に加圧接触されることができる。
【0056】
動作中において、像形成開始信号に応じて、定着されてないトナー像は、像形成ステーション(図9を参照)において記録材料上に形成されることができる。その上に定着されてないトナー像Taを有する印刷媒体816は、印刷媒体816と同じ速度で移動する定着部材830に接触しているトナー像担持表面により、接触ニップNにおいて定着部材830と加圧ベルト840との間に入るようにガイド829によって案内されることができる。
【0057】
図9は、本教示の様々な実施形態にかかる例示的な定着装置800を有する電子写真複写装置900を示す図である。例えば、感光体910は、電圧が電源911から供給されることができる帯電装置912により、その表面上において帯電されることができる。そして、感光体は、その上に静電潜像を形成するために、レーザ及び発光ダイオード等の光学系又は画像入力装置913からの光に対して像に応じて露光されることができる。一般に、静電潜像は、それと接触して現像ステーション914から現像混合物を運ぶことによって現像されることができる。現像は、磁気ブラシ、粉末クラウド、又は、他の公知の現像プロセスの使用によって行われることができる。乾式現像混合物は、通常、摩擦電気的にそれに対して付着しているトナー粒子を有する粒状キャリアを含むことができる。トナー粒子は、粒状キャリアからその上にトナー粉末像を形成している潜像へと引き付けられることができる。あるいは、その中に分散されたトナー粒子を有する液体キャリアを含む液体現像材料が使用されることができる。液体現像材料は、静電潜像と接触して進められることができ、トナー粒子は、像外形においてその上に堆積されることができる。
【0058】
トナー粒子が像外形における光導電性表面上に堆積された後、それらは、例えば加圧転写を含む転写要素915によって印刷媒体816へと転写されることができる。あるいは、現像された像は、中間転写部材(図示しない)へと転写されることができ、その後、印刷媒体へと転写されることができる。
【0059】
現像された像の転写が完了した後、印刷媒体816は、例えば定着ロール及び加圧ベルトを含む定着ステーション800へと進められることができる。ここで、現像された像は、定着ロールと加圧ベルトとの間に印刷媒体を通過させることによって印刷媒体816に定着され、それにより、永久像を形成する。一方で、感光体910は、転写後に、クリーニングステーション917へと進められることができる。ここで、感光体910上のいかなる残留トナーも、ブレード(図9において示されるように)、ブラシ、又は、他のクリーニング装置の使用によってそこからクリーニングされることができる。
【0060】
実施例1
この例において、複合材料は、2pphのVC50によって硬化されたVITON(登録商標)エラストマによって囲まれた約3重量%のCNTを有するように調製された。具体的には、シェルエラストマとしての約12部の多層カーボンナノチューブ及び約88部のVITON(登録商標) GF(DuPont de Nemours,Inc、Wilmington,DEから入手可能)が、Haake Rheomixミキサ(Thermo Scientific、Waltham、MA)内に置かれ、VITON(登録商標) GFにおいて分散された多層カーボンナノチューブの約12重量%を含むナノチューブマスター束を形成するために、約30分間、約20rpmの回転速度で混ぜ合わされた。そして、結果として生じた約20部のカーボンナノチューブマスター束は、VITON(登録商標)エラストマシェルによって被覆された約3重量%のカーボンナノチューブを含むポリマーブレンドを形成するために、約30分間、約20rpmの回転速度で、Haake Rheomix内で、約80℃で、Dyneon社(Oakdale、MN)からのTHVP221からなる約60グラムのフッ素樹脂と混ぜ合わされた。
【0061】
THVP/CNT/VITON(登録商標)ブレンド(約4.18部)は、メチルイソブチルケトン(28.4部)内の金属酸化物(約0.348部の酸化マグネシウム及び約0.174部の水酸化カルシウム)及び約0.84部のビスフェノールVC−50硬化剤(E.I.DuPont de Nemours,Incから入手可能なVITON(登録商標)硬化剤No.50)と混合された。そして、結果として生じたコーティング組成物は、型で鋳られた。溶媒蒸発後に結果として生じたフィルムは、後硬化のために、2時間、約149℃、2時間、約204℃、及び、6時間、約232℃等の傾斜温度で硬化された。
【0062】
実施例2
VITON(登録商標)エラストマによって囲まれた約3重量%のカーボンナノチューブは、例1において記載された手順の後に調製された。THVP/CNT/VITON(登録商標)混合物ブレンド(約4.225部)は、コーティング組成物を形成するために、メチルイソブチルケトン(約28.5部)内の金属酸化物(約0.348部の酸化マグネシウム及び約0,174部の水酸化カルシウム)及び約2.1部のビスフェノールVC−50硬化剤(E.I.DuPont de Nemours,Incから入手可能なVITON(登録商標)硬化剤No.50)と混合され、その後、型で鋳られた。溶媒蒸発後に結果として生じたフィルムは、後硬化のために、2時間、約149℃、2時間、約204℃、及び、6時間、約232℃等の傾斜温度で硬化された。
【0063】
例1〜2の各硬化された複合フィルムは、その後に機械的試験を受けて例1〜2の各例について平均化される5つのサンプルに切断された。機械的試験は、ASTM D412 エラストマの張力特性(Thomson Scientific,Chicago,IL)を使用して実行された。結果は、以下のように表1にまとめられた。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
基材にわたって配設された最外層であって、前記最外層が、複数のカーボンナノチューブ(CNT)と、少なくとも約3000psiの引張強度を最外層に与えるために、フッ素樹脂材料内に分散された弾性材料とを備え、前記弾性材料が少なくとも部分的に架橋されている、最外層とを含む、加圧部材。
【請求項2】
前記最外層が、少なくとも約100%の最大伸長、及び、少なくとも約3000in.‐lbs/in.の靱性を有する、請求項1記載の部材。
【請求項3】
前記弾性材料が、複数のCNTの各CNTを囲んでいる、請求項1記載の部材。
【請求項4】
約1ナノメートル〜約5マイクロメートルに及ぶシェル厚さをさらに備える、請求項3記載の部材。
【請求項5】
前記複数のCNTが、全最外層の約0.1重量%〜約20重量%に及ぶ量で存在している、請求項1記載の部材。
【請求項6】
前記弾性材料が、さらに、前記複数のCNTと結合することができる官能基を備え、前記官能基が、水酸基、カルボン酸、アジリジン、アゾメチンイリド、アリールジアゾニウム陽イオン、オキサゾリジノン、及び、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の部材。
【請求項7】
定着部材と、
接触ニップを通過する印刷媒体上にトナー像を定着するように前記定着部材と前記接触ニップを形成するように構成された加圧部材とを備える定着装置であって、前記加圧部材が、
基材と、
前記基材にわたって配設された最外層であって、前記最外層が、少なくとも約3000in.‐lbs/in.の靱性を前記最外層に与えるために、各CNTが弾性材料によって囲まれており、フッ素樹脂材料内に均一に分布している複数のカーボンナノチューブ(CNT)を備える前記最外層とを含む、定着装置。
【請求項8】
前記最外層が、少なくとも約2000psiの引張強度、及び、少なくとも約100%の最大伸長を有する、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記フッ素樹脂材料が、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記弾性材料が、フッ素エラストマ、ペルフルオロエラストマ、シリコン、フッ化シリコン、多硫化物、ポリホスファゼン、及び、それらの混合物を備える、請求項7記載の装置。
【請求項10】
その上に静電潜像を受ける感光体と、
前記静電潜像を現像するように前記感光体に対してトナーを塗布し、それによって前記感光体上に現像像を形成する現像要素と、
前記感光体から印刷媒体へと前記現像像を転写するための転写要素と、
定着部材と、接触ニップを通過する印刷媒体上にトナー像を定着するために前記定着部材と加圧部材との間で前記接触ニップを形成するように構成された前記加圧部材とを備えた定着部材とを備え、前記加圧部材が、
少なくとも約3000psiの引張強度、少なくとも約100%の最大伸長、及び、少なくとも約3000in.‐lbs/in.の靱性を最外層に与えるために、各CNTが弾性材料によって囲まれており且つフッ素樹脂材料内に均一に分布している複数のカーボンナノチューブ(CNT)を備える最外層を備える、像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−173739(P2012−173739A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25489(P2012−25489)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】