説明

CO2センサ及びCO2測定装置

【課題】安価で小型で、低消費電力で、呼吸の有無や呼気CO2分圧の測定を行う。
【解決手段】生体の鼻孔及び/または口からの呼気のCO2分圧に応じて色変化するセンシング部と、このセンシング部を、鼻孔及び/または口からの呼気が直接当たる位置に着脱可能に配置保持するために生体に支持される取付部材と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、呼吸の有無や呼気CO2分圧を測定するためのCO2センサ及び、そのCO2センサを用いて構成したCO2測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼気CO2分圧を測定するためのCO2センサには、CO2の赤外線吸収を利用した赤外線分光法によるもの(特許文献1参照)や、CO2による電解液のpH変化を色素の色変化として検出する色素法によるもの(特許文献2、3参照)などが知られている。
【0003】
上記特許文献1に記載されている赤外線方式のセンサは、非挿管で測定できるものの、高価であり、小型化・低消費電力化には限界がある。また、上記特許文献2、3に記載されている色素式のセンサは、安価であり、小型化・低消費電力化が可能であるという長所があるものの、挿管チューブに接続されたパイプの内部に配置して使用するタイプのものであり、非挿管で測定することができず、適用範囲が限定されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−315264号公報
【特許文献2】特開平06−249850号公報
【特許文献3】特開昭63−75541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のようなCO2センサの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、安価で小型で、低消費電力で、呼吸の有無や呼気CO2分圧の測定を行うことが可能であり、患者の呼吸管理に広く応用ができ、患者の安全に大きく寄与することが可能なCO2センサ及びCO2測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るCO2センサは、生体の鼻孔及び/または口からの呼気のCO2分圧に応じて色変化するセンシング部と、このセンシング部を、前記鼻孔及び/または口からの呼気が直接当たる位置に着脱可能に配置保持するために前記生体に支持される取付部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るCO2センサでは、前記取付部材は、前記センシング部を前記生体の人中上に配置保持することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るCO2センサでは、前記取付部材は、一部分から前方へ突出した突片を有し、この突片に前記センシング部が設けられており、前記生体に取り付けたときに前記センシング部が、前記鼻孔と前記口との間に配置保持されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るCO2センサでは、前記取付部材は、前記口から排出された呼気を前記センシング部へ導く気流路を更に具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るCO2センサでは、前記取付部材は、顔面に保持されるマスク状の通気性シートであることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るCO2センサでは、前記取付部材は、その内壁の前記鼻孔及び/または口に対向する位置に前記センシング部が取り付けられた酸素マスクであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るCO2測定装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のCO2センサを用いたCO2測定装置であって、光信号をセンシング部へ向けて出射する光源部と、前記センシング部からの光信号を取り込む受光部と、受光した光信号に基づいてCO2測定を行うCO2測定部と、を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るCO2測定装置では、前記受光部は、前記センシング部において反射または透過された光信号を受光することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るCO2測定装置では前記光源部は、波長の異なる少なくとも2種類の光信号を出射することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るCO2測定装置は、前記光源部から前記センシング部及び前記センシング部から前記受光部の少なくとも一方に光を伝導するための光ファイバを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るCO2センサ及びCO2測定装置によれば、生体の鼻孔及び/または口からの呼気のCO2分圧に応じて色変化するセンシング部と、このセンシング部を、前記鼻孔及び/または口からの呼気が直接当たる位置に着脱可能に配置保持するために前記生体に支持される取付部材とを具備する構成であるから、コンパクトであり、電力消費を低く抑制することができ、簡易にCO2測定を行うことができる。
【0017】
本発明に係るCO2測定装置によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載のCO2センサを用い、光信号をセンシング部へ向けて出射する光源部と、前記センシング部からの光信号を取り込む受光部と、受光した光信号に基づいてCO2測定を行うCO2測定部とを具備するので、受光した光信号を用いて高精度な測定を行うことも可能であり、患者の呼吸管理に広く応用ができ、患者の安全に大きく寄与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るCO2センサの第1の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に係るCO2センサの第2の実施形態を示す構成図。
【図3】本発明に係るCO2センサの第2の実施形態を示す構成図。
【図4】本発明に係るCO2センサの第2の実施形態の変形例を示す構成図。
【図5】本発明に係るCO2センサの第3の実施形態を示す構成図。
【図6】本発明に係るCO2センサの第3の実施形態の変形例を示す構成図。
【図7】本発明に係るCO2センサの第4の実施形態を示す構成図。
【図8】本発明に係るCO2センサの第5の実施形態を示す構成図。
【図9】本発明に係るCO2センサの第6の実施形態を示す構成図。
【図10】本発明に係るCO2測定装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図11】本発明に係るCO2測定装置の第2の実施形態を示す構成図。
【図12】本発明に係るCO2測定装置の第2の実施形態の変形例を示す構成図。
【図13】本発明に係るCO2測定装置の第3の実施形態を示す構成図。
【図14】本発明に係るCO2測定装置の第3の実施形態の構成を示す斜視図。
【図15】本発明に係るCO2測定装置の第3の実施形態の構成を示す斜視図。
【図16】本発明に係るCO2測定装置の第4の実施形態を示す構成図。
【図17】本発明に係るCO2測定装置の第4の実施形態の変形例を示す構成図。
【図18】本発明に係るCO2測定装置の第5の実施形態の変形例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下添付図面を参照して、本発明に係るCO2センサ及びCO2測定装置の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明に係るCO2センサの第1の実施形態が示されている。このCO2センサ10は、ガーゼ付絆創膏の絆創膏(テープ)部分と概ね同一構成の長尺状の形状を有するテープやシートから構成されている取付部材11を有する。取付部材11が生体Aに貼着される第1の面12には、粘着剤が塗布されている。
【0020】
取付部材11の第1の面12の裏面である第2の面13における中央部には、センシング部14が設けられている。センシング部14は、呼気CO2分圧に応じて色変化するもので、例えば、先に示した特許文献2、3に記載の薬液などを、担体としての布や紙などに担持させ、それを取付部材11に接着することで構成することができる。また、取付部材11に上記薬液を担持させるようにしてもよい。センシング部14の大きさは、人中上に丁度収まる程度とすることができる。センシング部14は、取付部材11によって着脱自在に鼻孔の近傍に設けられる。
【0021】
以上の通り、第1の実施形態のCO2センサ10が、人中上に配置保持されることにより、鼻孔から排出された呼気のCO2がセンシング部14へ到り、CO2分圧に応じてセンシング部14が色変化する。従って、センシング部14の色変化を目視することによって、呼吸の有無及び呼気中に含まれるCO2の濃度を概略測定することができる。この構成のCO2センサ10は、鼻呼吸のみによって呼吸を行う新生児などに対する呼吸管理に好適である。
【0022】
第2の実施形態に係るCO2センサ10Aの構成を図2、図3に示す。CO2センサ10Aの取付部材11Aは、人中上を中心として上唇の上側において、長手方向に帯状に延びる粘着部15と、この粘着部15に一体に、平面形状が例えば長方形形状や楕円形状で下方に延在するように形成された口部カバー16とを有する。
【0023】
粘着部15は薄手な絆創膏状の樹脂によって形成され、生体Aに貼着される第1の面12には、粘着剤が塗布されている。第1の面12の裏面である第2の面13における中央部には、センシング部14が貼着されている。
【0024】
口部カバー16は、粘着部15よりも厚手の樹脂によって形成することができ、粘着部15から概ね直角に口方向へ垂下した状態に設けられている。口部カバー16は、反生体側に向かって中央部16Cが突出して上下方向に延び、中央部16Cの両側縁16S、16Sが口に近付くように傾斜して構成されている。
【0025】
口部カバー16の生体側には、上下方向に溝である気流路17が形成され、気流路17の上端部には、センシング部14へ臨む開口部18が穿設されている。以上の構成によって、気流路17が口から排出された呼気をセンシング部14へ導く機能を有する。
【0026】
以上の通り、第2の実施形態のCO2センサ10Aが、人中上に配置保持されることにより、鼻孔と口から排出された呼気のCO2がセンシング部14へ到り、センシング部14が色変化する。従って、センシング部14の色変化を目視することによって、呼吸の有無及び呼気中に含まれるCO2の濃度を概略測定することができる。この構成のCO2センサ10Aは、鼻呼吸と口呼吸によって呼吸を行う成人などに対する呼吸管理に好適であるが、鼻呼吸のみを行う新生児にも適用可能である。
【0027】
図4は、第2の実施形態の変形例を示す。このCO2センサ10Bは、取付部材11Bの粘着部15における、少なくともセンシング部14の部分の断面が図4(b)に示すように、唇側において厚く、鼻側へ向かうほど肉薄に形成されている点において第2の実施形態と相違する。粘着部15の全体が、上記の通りに構成されていてもよい。このような構成を有するCO2センサ10Bによれば、センシング部14が図2、3の実施形態に比べて上側を向いた状態において生体Aに装着されるので、鼻孔から排出される呼気がセンシング部14に当たりやすくなり、鼻孔からのCO2検出の精度を向上させることができる。
【0028】
図5に、第3の実施形態を示す。このCO2センサ10Cは、取付部材11Cが第2の実施形態と基本的に同様の構成を有している。ここでは、粘着部15の一部分から前方へ突出した突片19を有する。具体的には、突片19は、粘着部15と口部カバー16との結合部から前方へ突出しており、開口部18の上部へ位置するように形成される。突片19には、開口部18と同程度の径を有する透孔19Aが穿設されている。透孔19Aの上部には、透孔19Aを塞ぐように、センシング部14と同じ構成のセンシング部14Aが載置して設けられている。口から排出された呼気中のCO2は気流路17から開口部18及び透孔19Aを介してセンシング部14Aへ到り、センシング部14Aの色変化をもたらす。また、鼻孔から排出された呼気中のCO2は、突片19に載置されているセンシング部14A及び粘着部15に設けられたセンシング部14へ到り、これらセンシング部14、14Aの色変化をもたらす。この実施形態により、二か所のセンシング部14、14Aにおいて、適切にCO2測定を行うことができる。
【0029】
図6には、図5における第3の実施形態の変形例が示されている。このCO2センサ10Dは、図5における第3の実施形態のCO2センサ10Cに備えられているセンシング部14を取り去ったもので、他の構成はCO2センサ10Cと同様である。この変形例においては、鼻孔及び口から排出された呼気中のCO2は、突片19に載置されているセンシング部14Aへ到り、これらセンシング部14Aの色変化をもたらす。
【0030】
図7には、第4の実施形態に係るCO2センサ10Eが示されている。このCO2センサ10Eは、織布や不織布などの通気性シートで構成された取付部としてのマスク部21と、既に説明したセンシング部14とを有する。マスク部21は、平面形状が概ね長方形であり、装着したときに両頬に位置する2辺からは、耳に掛けてマスク部21を保持する紐22が延びている。この紐22によってマスク部21を装着したときに、センシング部14が口と鼻の前に位置するように、紐22の長さを調整することができる。マスク部21を構成する通気性シートの空気抵抗は、4mmH2O/cm2未満とする。
【0031】
この実施形態によれば、CO2センサ10Eを生体(患者)Aに装着させた状態において、心肺蘇生術を施すことができ、生体(患者)Aが呼吸を再開させたことなどを、センシング部14の色変化を観察することにより実現でき便利である。更に、マスク部21の上から非接触でマウスツーマウスによる人工呼吸を施すことができ、感染を防止することが可能である。
【0032】
図8には、第5の実施形態に係るCO2センサ10Fが示されている。このCO2センサ10Fは、例えば透明のカップ形状やお椀形状の酸素マスク30の内壁部に、取付部材31を備える。取付部材31は、人中を左右両側から挟むように突出して対向する支持棒体32、32により構成される。センシング部33は、図8(b)に示すように二枚の長方形板が互いに直角に繋げられた形状を有し、その構成は既に説明したセンシング部14と同様に、呼気CO2分圧に応じて色変化するものであり、薬液などを、担体としての布や紙などに担持させたもので構成することができる。酸素マスク30は、図示しない紐やバンドによって口と鼻とを内包する状態で取り付けられ、酸素ボンベなどから図示しないチューブを介して酸素が送られる。
【0033】
センシング部33は、鼻孔呼気対応の第1のセンシング部34と、第1のセンシング部34の中央側辺から直角に延びる口呼気対応の第2のセンシング部35とにより構成されている。支持棒体32、32の対向面には、第1のセンシング部34の両端部34A、34Aが嵌合される穴あるいは溝により構成される把持部32A、32Aが形成されている。第1のセンシング部34の両端部34A、34Aが把持部32A、32Aに嵌合されて用いられ、必要に応じて未使用のものに取り換えて使用することが可能である。以上の構成を有しているため、酸素マスク30を装着した状態の生体(患者)Aの呼吸状態を、センシング部33の色変化によって観察し、必要な呼吸管理を行うことができる。
【0034】
図9には、第6の実施形態に係るCO2センサ10Gが示されている。このCO2センサ10Gは、鼻カニューレ36に取付部材37を有している。センシング部38は、一枚の長方形形状を有し、その構成は既に説明したセンシング部14と同様に、呼気CO2分圧に応じて色変化するものであり、薬液などを、担体としての布や紙などに担持させたもので構成することができる。
【0035】
取付部材37は、センシング部38の上端縁部を弾性などで把持する機構によって構成することができる。また、取付部材37を鼻カニューレ36の筒体における外壁部として、この外壁部に対向するセンシング部38の上端縁部に粘着剤を塗布し、上記外壁部に貼着して構成してもよい。いずれの構成においても、センシング部38が鼻カニューレ36における筒体の最下面から吊り下げられた状態で、生体Aの口の前方に位置することになる。このセンシング部38に対し、口から排出された呼気のCO2が吹き掛けられ色変化を生じることになる。これにより、鼻カニューレ36が装着された患者の呼吸状態をセンシング部38の色変化によって監視することができ、当該患者に対する呼吸管理を容易に適切に行うことが可能である。このセンシング部38も、必要に応じて未使用のものに取り換えて使用することが可能である。
【0036】
図10には、図6に示したセンサとほぼ同じCO2センサ10Hを用いて構成したCO2測定装置の第1の実施形態が示されている。突片19に形成されている透孔19Aに、センシング部14Bが着脱可能に嵌合されて設けられている。センシング部14Bは、センシング部14と同様の構成を有し、かつ透光性を有する。取付部材11Dにおける粘着部15の中央部には、LEDなどの発光素子によって構成される光源部41が取り付けられている。光源部41は、センシング部14Bの色変化による光吸収特性が影響を受け難い少なくとも1つの波長の光(第1の波長光)と、センシング部14Bの色変化による光吸収特性が影響を受け易い少なくとも1つの波長の光(第2の波長光)とを出射する。
【0037】
口部カバー16における開口部18を臨む先端部には、フォトセンサなどにより構成される受光部42が設けられている。受光部42は、センシング部14Bを介して光源部41と対向する位置に設けられており、光源部41から出射された光はセンシング部14Bを介して受光部42にて受光される。
【0038】
光源部41及び受光部42は、CO2測定部50の入出力部51に接続されている。CO2測定部50の入出力部51には測定本体部52が接続され、測定本体部52には報知部53が接続されている。報知部53は、例えばLCDにより構成される表示装置を用いることができる。測定本体部52は、入出力部51を制御して光源部41から光を出射させる。受光部42は、センシング部14Bを介して光を受光して光電変換した信号を入出力部51へ送る。入出力部51には、第1の波長光に対応する受光信号と第2の波長光に対応する受光信号とが到来する。入出力部51は、これらの信号をディジタル化して測定本体部52へ送る。測定本体部52は、第1の波長光に対応するディジタル信号と第2の波長光に対応するディジタル信号との比較を行い、例えば、その比をCO2量(ppm)に変化するためにあらかじめ備えられているテーブルを用いてCO2量を求めて報知部53へ送る。これにより、簡単にセンサを配置することができると共に、適切にCO2量の測定を行うことが可能である。
【0039】
図11には、図1に示したセンサとほぼ同じCO2センサ10Iを用いて構成したCO2測定装置の第2の実施形態が示されている。テープやシートから構成されている取付部材11に設けられた穴部に、センシング部14が着脱可能に埋設されて設けられている。鼻孔からの呼気が当たる第2の面13におけるセンシング部14に臨む位置には、光源部41と受光部42が設けられている。光源部41から出射された光は、センシング部14において反射し受光部42に受光されるように、光源部41と受光部42が配置されている。
【0040】
光源部41と受光部42がCO2測定部50の入出力部51に接続されている。測定部50の構成及び動作は、CO2測定装置の第2の実施形態と同様である。このため、CO2センサ10Iを人中上に貼着して、適切にCO2量の測定を行うことが可能である。
【0041】
図12には、CO2測定装置の第2の実施形態の変形例が示されている。この変形例では、受光部42が第1の面12に設けられ、光源部41は第2の面13に設けられている。光源部41から出射された光は、センシング部14を透過して受光部42に受光されるように、光源部41と受光部42が配置されている。その他の構成は、図11に示したCO2測定装置の第2の実施形態と同様である。このような構成のCO2測定装置によって、CO2センサ10Iを人中上に貼着して、適切にCO2量の測定を行うことが可能である。
【0042】
図13には、図1に示したセンサにおけるとほぼ同じCO2センサを用いて構成したCO2測定装置の第3の実施形態が示されている。取付部材11に穴が形成されており、ここにセンシング部14が埋設されている。取付部材11に対しては、センシング部14の前方の部分に空室43を形成するように、通気性のシート46が貼着されて一体化されている。空室43におけるシート46の壁面に光源部41が設けられている。また、取付部材11の第1の面12側であって、センシング部14には受光部42が設けられている。光源部41から出射された光は、センシング部14を透過して受光部42に受光されるように、光源部41と受光部42が配置されている。
【0043】
光源部41と受光部42は、図12と同じCO2測定部50に接続されている。この構成によって、センシング部14が人中上に配置するように、取付部材11の第1の面12側が鼻と口の間に貼着される。鼻孔や口から排出された呼気は、シート46を介して空室43へ入り込みセンシング部14へ当たって、センシング部14の色変化を生じさせる。この色変化に対応する光は受光部42によって取り込まれ、受光部42の信号はCO2測定部50において前述と同様に処理される。
【0044】
図14は、図13に示したCO2測定装置において、鼻孔からの呼気に対応するタイプのセンサ部の構成図を示し、図15は、図13に示したCO2測定装置において、鼻孔及び口からの呼気に対応するタイプのセンサ部の構成図を示す。このような構成のCO2測定装置によって、CO2センサを人中上に貼着して、適切にCO2量の測定を行うことが可能である。
【0045】
図16には、図7に示したCO2センサ10Eを用いて構成したCO2測定装置の第4の実施形態が示されている。光源部41をセンシング部14の前方に配置し、受光部42によって光源部41の出射光がセンシング部14にて反射された光を受光するように配置を行う。光源部41と受光部42は、前述のCO2測定装置と同じCO2測定部50に接続されている。センシング部14の色変化に対応する光は受光部42によって取り込まれ、受光部42の信号はCO2測定部50において前述と同様に処理される。
【0046】
図17には、図16に示したCO2測定装置の変形例が示されている。このCO2測定装置においては、図16における光を伝導する導光路に、光ファイバ61、62を用いたものである。即ち、光ファイバ61の光入口端部に光源部41を設け、光ファイバ61の光出口端部にセンシング部14を設ける。一方、光ファイバ62の光入口端部にセンシング部14を設け、光ファイバ62の光出口端部に受光部42を設ける。これにより、光源部41と受光部42の配置位置が限定されることなく、医療施設の状況に対応できる。その他構成は図16の実施形態と同様であり、同様の効果を奏することができる。
【0047】
図18には、図7に示したCO2センサ10Eを用いて構成したCO2測定装置の第5の実施形態が示されている。この実施形態においては、センシング部14の前方に受光部45が設けられている。この受光部45は、センシング部14の光信号を取り込むCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを用いることができる。
【0048】
受光部45は、CO2測定部50Aの入力部54に接続されている。CO2測定部50Aの入力部54には測定本体部55が接続され、測定本体部55には報知部53が接続されている。受光部45により、受光したイメージは光電変換されて入力部54へ送られ、入力部54においてディジタル化される。ディジタル化された信号は、測定本体部55により取り込まれる。
【0049】
測定本体部55は、ディジタル化された例えば1フレーム毎の信号を平均化して、その値をCO2量(ppm)に変化するためにあらかじめ備えられているテーブルを用いてCO2量を求めて報知部53へ送る。これにより、簡単にセンサを配置することができると共に、適切にCO2量の測定を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10、10A〜10I CO2センサ
11、11A〜11D、31、37 取付部材
14、14A、14B、33〜35、38 センシング部
15 粘着部
16 口部カバー
17 気流路
18 開口部
21 マスク部
30 酸素マスク
36 鼻カニューレ
41 光源部
42、45 受光部
43 空室
46 シート
50、50A 測定部
51 入出力部
52、55 測定本体部
53 報知部
54 入力部
61、62 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の鼻孔及び/または口からの呼気のCO2分圧に応じて色変化するセンシング部と、
このセンシング部を、前記鼻孔及び/または口からの呼気が直接当たる位置に着脱可能に配置保持するために前記生体に支持される取付部材と、
を具備することを特徴とするCO2センサ。
【請求項2】
前記取付部材は、前記センシング部を前記生体の人中上に配置保持することを特徴とする請求項1に記載のCO2センサ。
【請求項3】
前記取付部材は、一部分から前方へ突出した突片を有し、この突片に前記センシング部が設けられており、前記生体に取り付けたときに前記センシング部が、前記鼻孔と前記口との間に配置保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のCO2センサ。
【請求項4】
前記取付部材は、前記口から排出された呼気を前記センシング部へ導く気流路を更に具備することを特徴とする請求項2または3に記載のCO2センサ。
【請求項5】
前記取付部材は、顔面に保持されるマスク状の通気性シートであることを特徴とする請求項1に記載のCO2センサ。
【請求項6】
前記取付部材は、その内壁の前記鼻孔及び/または口に対向する位置に前記センシング部が取り付けられた酸素マスクであることを特徴とする請求項1に記載のCO2センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のCO2センサを用いたCO2測定装置であって、
光信号をセンシング部へ向けて出射する光源部と、
前記センシング部からの光信号を取り込む受光部と、
受光した光信号に基づいてCO2測定を行うCO2測定部と、
を具備することを特徴とするCO2測定装置。
【請求項8】
前記受光部は、前記センシング部において反射または透過された光信号を受光することを特徴とする請求項7に記載のCO2測定装置。
【請求項9】
前記光源部は、波長の異なる少なくとも2種類の光信号を出射することを特徴とする請求項8に記載のCO2測定装置。
【請求項10】
前記光源部から前記センシング部及び前記センシング部から前記受光部の少なくとも一方に光を伝導するための光ファイバを設けたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のCO2測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−7677(P2013−7677A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141059(P2011−141059)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】