説明

CO2放出物質を含む熱可塑性組成物

熱可塑性物質及びCO2放出物質を含む組成物であって、当該CO2放出物質が、以下:a)炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属の塩;並びにb)酸、を含み; 水の存在下で、当該CO2放出物質が反応して、当該熱可塑性物質を介して周囲環境にCO2ガスを放出するように、当該CO2放出物質が、炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属と酸とを十分な量及び割合で有する、前記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、熱可塑性物質内に取り込まれるCO2放出物質の組合せを含むCO2放出組成物に関する。水存在下では、CO2放出物質が反応して、熱可塑性物質を介してCO2ガスを周囲環境に放出する。
【発明の開示】
【0002】
本発明の詳細な説明
好適な熱可塑性物質は、特に限定されないが、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ無水物、ポリアクリルニトリル、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸、ポリウレタン及びポリアセタール、又はそれらのコポリマーもしくは混合物を含む。ご承知のとおり、所望の熱可塑性物質は、最終用途に基づいて選択される。熱可塑性物質中を所望の湿度レベルにし、及び/又は所望のCO2ガス量を熱可塑性物質から出すことを可能にするために、例えば、選択される特定の熱可塑性物質は、所望のガス透過性レベルに基づいてもよい。別の例では、造形品の最終用途特性(例えば、引張強度、成形性、弾性、コスト)を有する所望の熱可塑性物質を選択することができる。
【0003】
更に別の実施態様では、CO2放出物質は、炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカリウムの炭酸塩でもよい。同じものの重炭酸塩も使用できる。更に別の実施態様では、CO2放出物質が炭酸カルシウシムである。なお更なる実施態様では、CO2放出物質はベーキングパウダーである。CO2放出組成物の混合物も可能である。
【0004】
組成物の実施態様では、CO2放出物質の充填レベルは、組成物重量で、約10%〜約80%であり、より特には約10%〜約20%、約20%〜約40%、約40%〜約60%、及び/又は約60%〜約80%である。
【0005】
別の実施態様では、CO2放出物質は、炭酸塩と酸との組合せでもよい。好適な炭酸塩は、特に限定されないが、例えば、重炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウムを含む。好適な酸は、特に限定されないが、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、ポリアクリル酸、酒石酸及び/又はそれらの混合物を含む。1つの具体的実施態様では、酸は、反応が時期尚早に起こらないように、無水形態で使用することができる。更に別の実施態様では、反応が時期尚早に開始するのを抑えるために、酸は固体顆粒形態であり、実質的に水分を含まない。
【0006】
1実施態様では、CO2放出組成物中のCO2放出物質は、水分によって活性化され、よってCO2が徐放される。そういうわけで、熱可塑性物質及びCO2放出物質を含む組成物は、所望の環境に基づいて、単位時間当たりの所望CO2放出量を産生するように(例えば量及び/又は形態を)設計することができる。
【0007】
CO2放出組成物は、任意の所望の形態で作製できる。好適な形態は、特に限定されないが、フィルム、シート、挿入物(例えば、テープストリップ、タブ)及び裏地を含む。以下の例は、単に例示に過ぎず、本発明の適用を限定するものではない。例えば、本発明の組成物は、パッケージ内部の封入用挿入物を形成することができる。挿入物の1形態の例は、任意の好適な形状のプラグ、タブ、ストリップ、パッチ又はスリーブである。別の実施態様では、パッケージの内面の少なくとも1部分に実質的に適合する外面を有する裏地は、本発明の組成物から形成できる。更に別の実施態様では、本発明の組成物は、フィルム又はシートを形成するために使用できる。1例では、本発明のシート形成は、別のシートと組み合わせてもよい。少なくとも1実施態様では、外層が実質的にガス透過性の本発明の組成物に隣り合ってつくられるように、シートは、他のシートに効果的に積層されている。積層シートは、制御された環境中に保存される商品を包むために使用できる。接合プロセスが実施される1手段は、熱押出形成法による。
【0008】
所望の商品は、プラスチック商品の任意の一般的な製造法、例えば、押出し形成、溶融膨張(例えば、ブロン・フィルム、ブロー成形、熱形成)及び/又は射出成形を含むがこれらに限定されない、によって製造できる。プロセスの段階によっては、CO2放出物質は、熱可塑性物質と混合され、得られた混合物は実質的に所望の形状商品に加工される。
【0009】
以下は、本発明の様々な組成物の単なる例示である。ご承知のように、こられは単なる例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0010】
【表1】

【0011】
【表2】

【0012】
以下の例は、水分の存在下に、CO2放出物質を活性化し、その結果、熱可塑性物質を介してCO2を周囲環境に放出するCO2放出組成物の使用を説明する。
【0013】
1例では、CO2放出物質が、少なくとも約50%(22℃で測定)の相対的に高い湿度に曝露されるときに、CO2放出物質がCO2産生を開始する。更に別の例では、CO2放出物質が高温に曝露されるときに、CO2産生/放出が増加する。他の因子としては、CO2産生/放出割合が、炭酸塩及び酸の組成物中の割合によって影響される。更に、産生/放出割合は、熱可塑性物質のMVTR、特定の相対的湿度及び/又は温度によっても影響される。
【0014】
1適用では、CO2ガスの導入は、パッケージ内の空気酸素量を減少させ、その結果、天然及び加工食品の呼吸速度を遅くする。別の例では、製品表面の水分の存在下で、CO2がカルボン酸に変換される場合には、製品表面上のカルボン酸の高いレベルはpHを減少させる。結果的に、より高い酸性レベルに対して感受性のバクテリアは抑制される。更なる例では、CO2ガスの増加がパッケージ内の全体酸素量を減少させ、ひいては、酸化及び/又は酸素感受性バクテリアの量を減少させる。
【0015】
上記の1例では、CO2を放出する目的は、調整空気包装を遂行することである。そういうわけで、周囲環境に対するCO2量の制御は、至適保存期間−酸素呼吸が開始される前の酸素濃度の最低量を得るために使用される。
【0016】
本発明によって保護される製品の例は、特に限定されないが、天然及び加工食品、例えばチーズ、ランチョンミート、ベーコン、発酵日常製品、果物及び野菜、生肉、家禽、新鮮及び塩魚、中間水分食品(例えばジャーキー、ペットフード及びグラノーラ・バー)、高脂肪水分焼き製品、酸性日常製品、マヨネーズ及びサラダドレッシング、空気調節/空気調整冷蔵長期保存食品(例えば、部分調理食品、パスタ食品、ソース、カットフルーツ及び野菜サラダ、及びその他の水を含む食品)、を含む。
【0017】
更に別の実施態様では、本発明は、以下の製品においてCO2放出品のために使用できる。例えば、1つの実施例では、約30〜45% CO2で、風合い及び硬さを維持し、場合により、約2〜5%のO2レベルを生じるように、CO2放出組成物は、新鮮カットアップルの環境を維持する。製品をパッケージした約24時間後には、CO2放出組成物は20% C02及び5% 02未満の濃度のガスレベルで、新鮮カットアップルの環境を維持する。
【0018】
別の実施例では、CO2放出組成物は、約5%未満のCO2で、風合い及び硬さを維持し、場合により、約2〜5%のO2レベルを生じるように、より特には、約2%のO2濃度を維持するように、新鮮カットレタスの環境を維持する。
【0019】
1例では、CO2放出組成物は、CO2放出フィルムに融合され、所望のガス濃度を維持できるバリア性を有するパッケージに入る。好適なバリア・フィルムは、特に限定されないが、O2及びCO2の選択的透過性を有するフィルムを含む(例えば、約1未満のベータ値を有するバリア・フィルム、ここでベータは、フィルム材料中のCO2及びO2透過(transmission)の割合として定義される)。
【0020】
更に別の実施例では、焼き製品を安定にする有機体の酸素呼吸を遅らせるためにCO2を放出できるように、CO2放出組成物は、温かい焼き製品の環境を維持する。加えて、吸収物質(例えば乾燥剤)は、水分の有害レベルを吸収するために組成物に取り込むことができる。
【0021】
更に別の例では、本発明は、新鮮花市場用のパッケージに取り込むことができる(小売及び卸売り冷蔵ケース)。例えば、高CO2レベルは、花茎の緑色を維持することが明らかとなった。1つの具体例では、本発明は、フィルムに取り込むことができ、又は特定の期間(例えば30日間)を越えて放出する本発明のパッケージに取り込むことができ/添加できる。
【0022】
別の例では、本発明は、新鮮又は冷凍シーフード(例えば冷凍/解凍済のケースに並べる前のシーフード)のパッケージに取り込むことができる。例えば、CO2放出組成物は、パッケージ中のCO2濃度を増加させるために十分なCO2を産生し、酸素呼吸を遅らせ、同時に酸素呼吸を抑制する。例えば、ひれ付き(finned)シーフードの劣化を遅らせるように、CO2放出組成物は、約20%の空気O2濃度を有し、パッケージ中のCO2濃度を約30%より高くするために十分なCO2を産生する。別の例では、CO2放出組成物は、パッケージ中の約20%の最小のCO2濃度、及び約20%のO2濃度を増加させるために十分なCO2を産生し、シーフード上の微生物の増殖を遅らせる。一般的条件下では、Aクラスのシーフードは、捕獲から7日までに売ることができ、Bクラスのシーフードは、捕獲から8〜14日までに売ることができる。上記の条件は、クラスAシーフードの期間を10日まで延ばすだろう、と考える。
【0023】
別の実施態様では、約40% C02、40%窒素及び20%酸素のガス環境を維持するように、CO2放出組成物は、特定の時間(例えば7日間)より長い期間、フィルム形態とするために十分なCO2を産生する。
【0024】
更に別の実施態様では、本発明は、熱可塑性物質に取り込まれるCO2放出組成物に加えて、他の成分、例えば特に限定されないが、生物活性成分、例えば殺生剤(例えば二酸化塩素)及び/又は乾燥剤を含んでもよい。例えば、シーフードの貯蔵安定性を増加するために、約30% C02、約20% 02及び約50% N2の調整空気を生じるように、殺生剤は、十分なCO2を産生するCO2放出組成物に取り込むことができる。
【0025】
更なる例では、本発明は、新鮮果物及び/又は野菜のパッケージに取り込むことができる。1つの具体例では、この製品は、約14日間を越えて放出する。更に別の例では、本発明は、農産物市場のパッケージに取り込むことができる。1つの具体例では、本発明は、カットレタス、ベリー等の製品の大量輸送に取り込むことができる。
【0026】
1例では、輸送コンテナ中のCO2濃度を上げるために、典型的には、ベリーは、大量包装され、CO2ガスで処理される。しかし、ベリーがバルクコンテナから降ろされるときに、典型的にはガスレベルは維持される。ベリーは呼吸し、収穫後にCO2を産生する。1例では、CO2放出組成物は、ベリーのための単一ユニットパッケージ内のフィルムに取り込まれ、パッケージ内のCO2レベルを上げるようにベリー環境を維持する(例えば、パッケージ内で約8〜25%、最も特には約10〜20%のCO2濃度を維持する)。
【0027】
別の例では、本発明は、肉のためのパッケージに取り込まれてもよい。1つの具体例では、本発明は、冷蔵陳列ケース内に置くためのフィルム、及びケースに並べる前の肉のパッケージに挿入されるべきラベルに取り込まれることになる。
【0028】
別の実施態様では、熱可塑性物質の適正な選択、及び所望レベのCO2透過性を有する得られるCO2組成物は、パッケージ内のガスレベルを所望の一定状態に、本発明に従うパッケージを維持することができるだろう。本発明の組成物の製造において、パッケージ内のCO2の一定状態レベルは、少なくとも以下の考慮事項によって決定される:a) フィルムの透過性; b) パッケージの頭隙体積; 及びc) 所望物質の呼吸率及び量(例えば果実、シーフード)。フィルムの透過性は、フィルムの性質及びフィルム全体に対する二酸化炭素の部分圧勾配によって決定される。パッケージとパッケージ外のガス周囲環境との部分圧勾配が高ければ高い程、パッケージ内又はパッケージ外では流量が大きくなる。
【0029】
本発明の特定の実施態様は、例として上記を記載してきたが、ご承知のように、本発明の範囲を逸脱しなければ、詳細部分の変更を行うことができる。当業者は、本発明が開示の実施態様以外によって実施することができることを理解するだろう。それらは全て、本説明において例示の目的として提供され、限定するものではない。本説明で議論された特定の実施態様の等価物も本発明を実施することができる、ことに留意されたい。従って、排他権を請求する発明の範囲を評価するときには、先の例についての議論よりも添付クレームを参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性物質及びCO2放出物質を含む組成物であって、
当該CO2放出物質が、以下:
a)炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属の塩;並びに
b)酸
を含み;
水の存在下で、当該CO2放出物質が反応して、当該熱可塑性物質を介して周囲環境にCO2ガスを放出するように、当該CO2放出物質が、炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属と酸とを十分な量及び割合で有する、前記組成物。
【請求項2】
前記炭素原子及び酸素原子を含むアルカリ又はアルカリ土類金属が、炭酸塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、フィルム、シート、挿入物又は裏地の形態である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記CO2放出物質が、22℃で測定されたときに少なくとも約50%の比較的高い湿度のパッケージ環境に曝露されるときに、当該CO2放出物質が反応し、前記熱可塑性物質を介してパッケージ環境にCO2ガスを放出する、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記CO2放出組成物が、約30〜45% CO2において、カットアップルのパッケージ環境を維持する、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
O2レベルが約2〜5%である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記CO2放出組成物が、約5%未満のCO2で、カットレタスのパッケージ環境を維持する、請求請2記載の組成物。
【請求項8】
O2レベルが約2〜5%である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記CO2放出組成物が、焼き製品を安定にする有機体の酸素呼吸を遅くするために、十分なCO2の放出率で焼き製品のパッケージ環境を維持する、請求項2記載の組成物。
【請求項10】
有害なレベルの湿度を吸収するために、吸収物質が前記組成物に取り込まれる、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記CO2放出組成物が、少なくとも30日間、花茎の緑色を維持するために、十分なCO2の放出速度で切花市場のパッケージ環境を維持する、請求項2記載の組成物。
【請求項12】
十分なCO2を産生し酸素呼吸を遅らせ、同時に酸素呼吸を減少させるように、前記CO2放出組成物が、新鮮な又は冷凍したシーフードのパッケージ環境を維持する、請求項2記載の組成物。
【請求項13】
前記CO2放出組成物が、周囲O2濃度が約20%で、約30%を超える、新鮮な又は冷凍したシーフードのパッケージ環境を維持する、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記CO2放出組成物が、少なくとも約20%の高いCO2濃度及び約20%のO2濃度で、新鮮な又は冷凍したシーフードのパッケージ環境を維持する、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
生物活性成分が前記組成物に取り込まれる、請求項2記載の組成物。
【請求項16】
シーフードのための、約30% C02、約20% 02及び約50% N2の調整空気を産生するように、前記生物活性成分が、二酸化塩素であり、そして、前記CO2放出物質と共に十分な量で添加される、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記CO2放出組成物が、CO2放出フィルムに融合し、そして、O2及びCO2の選択的透過性を有するバリア・フィルムを有するパッケージ内に導入される、請求項2記載の組成物。
【請求項18】
約40% CO2、40%窒素及び20%酸素のパッケージ内のガス環境を維持するように、前記CO2放出組成物が、フィルム形態で十分量のCO2を産生する、請求項2記載の組成物。

【公表番号】特表2007−527462(P2007−527462A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502043(P2007−502043)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/007198
【国際公開番号】WO2005/086720
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(503236382)シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】