説明

CPT2インヒビターとしての4−トリメチルアンモニオ−ブチラート類

本発明は、式(I)[式中、A、R、m及びnは、本明細書及び請求項中に定義されたとおりである]の新規な4−トリメチルアンモニオブチラート類、更にはその薬学的に許容しうる塩に関する。これらの化合物は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)活性、特にCPT2活性を阻害し、そして医薬として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPT2インヒビターとしての新規な4−トリメチルアンモニオブチラート類、これらの化合物の製造方法、このような化合物を含有する製剤、更には医薬の製造のためのこれらの化合物の使用に関する。
【0002】
更に具体的には、本発明は、式(I):
【0003】
【化1】


[式中、
は、O又は結合であり、
mは、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択され、
nは、1、2、3、4及び5から選択され、
は、フェニル及びナフチルから選択されるアリール(前記アリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個若しくは5個の基により置換されている)、又は
ピリジル、チエニル及びチアゾリルよりなる群から選択されるヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルから選択される、1個、2個若しくは3個の基により置換されている)である]で示される化合物、及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0004】
遊離脂肪酸(FFA)の血漿レベルの上昇は、急性及び長期の末梢及び肝臓のインスリン抵抗性を引き起こす。血漿FFAレベルの増大及びFFA酸化の増大は、2型糖尿病に関連する。一晩絶食後の高血糖は、糖尿病の主要な特徴及び重要な診断基準であり、そして過剰な糖新生が、主として糖尿病患者における吸収後高血糖の原因である。高レベルの遊離脂肪酸(FFA)は、肝臓のミトコンドリアβ酸化の増大を招き、そしてこれがアセチルCoA濃度の増大をもたらす。これによって糖新生のエネルギー(ATP)及び還元力(NADH)の増大が起こる。アセチルCoAレベルの増大はまた、ピルビン酸カルボキシラーゼのアロステリック活性化によって糖新生を促進する。ここで、効率的な糖新生を推進するのに決定的に重要な、過剰な肝臓のβ酸化の低減は、糖尿病患者における空腹時高血糖の低減をもたらすはずである。長鎖FFAのミトコンドリア酸化には、2種の膜結合カルニチン依存性パルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)の介入が必要である。ミトコンドリア外膜酵素のCPT1は、長鎖アシルカルニチンの形成を触媒する。肝臓(L−CPT1)及び筋肉(M−CPT1)CPT1アイソホームは、2種の異なる遺伝子によりコードされ、マロニル−CoAにより阻害される。L−CPT1のN末端ドメインは、マロニル−CoAに対するそれの低い感受性をもたらしている。ミトコンドリア内膜酵素のCPT2は、長鎖アシルカルニチンを長鎖アシルCoAエステルへと戻す。次に長鎖アシル−CoAは、アセチル−CoAにβ酸化され、そしてこれが、ピルビン酸カルボキシラーゼ及び糖新生を活性化する。上述の作用機序により、CPTの阻害を介して長鎖FFAの輸送を阻害する医薬活性物質は、肝臓のβ−酸化を減少させ、結果として糖新生を阻害し、よって高血糖を防ぐ。
【0005】
本発明は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)活性、特に/優先的にCPT2活性を阻害する新規な化合物に関する。本発明の化合物は、医薬活性物質として使用することができるが、これらは、CPTインヒビター、特に/優先的にCPT2インヒビターにより調節される疾患、特に高血糖及び/又は耐糖能障害に関連する疾患の予防及び/又は治療に有用である。このような疾患は、例えば、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病(II型糖尿病とも呼ばれる)、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全を包含する。
【0006】
本発明の新規な化合物は、特に又は優先的にCPT2活性を阻害するため、当該分野において既知の化合物に勝る。したがってこれらは、当該分野において既に知られている化合物に比較して治療能力が強化されていることが期待される。
【0007】
特に断りない限り、以下の定義は、ここで本発明を説明するために使用される種々の用語の意味及び範囲を例証及び規定するために明記される。
【0008】
本明細書において「低級」という用語は、1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子よりなる基を意味するために使用される。
【0009】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素のことをいい、フッ素、塩素及び臭素が好ましい。
【0010】
「アルキル」という用語は、単独で又は他の基と組合せて、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜16個の炭素原子、更に好ましくは1〜10個の炭素原子の分岐又は直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素ラジカルのことをいう。「C−C10−アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子の分岐又は直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素ラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、1,1,3,3−テトラメチル−ブチルなどのことをいう。後述の低級アルキル基もまた、好ましいアルキル基である。
【0011】
「低級アルキル」又は「C−C−アルキル」という用語は、単独で又は他の基と組合せて、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の分岐又は直鎖の一価アルキルラジカルのことをいう。この用語は更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどのようなラジカルを典型例とする。
【0012】
「低級ハロゲンアルキル」又は「ハロゲン−C−C−アルキル」という用語は、上記と同義の低級アルキル基であって、この低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロ又はクロロ、最も好ましくはフルオロにより置換されている基のことをいう。好ましい低級ハロゲンアルキル基には、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、フルオロメチル及びクロロメチルがあり、トリフルオロメチルが特に好ましい。
【0013】
「アルコキシ」又は「低級アルコキシ」という用語は、R’−O−基(ここで、R’は、低級アルキルであり、そして「低級アルキル」という用語は、前述の意味を有する)のことをいう。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシであり、好ましくはメトキシ及びエトキシであり、そして最も好ましくはメトキシである。
【0014】
式(I)の化合物は、薬学的に許容しうる塩を形成することができる。式(I)の化合物は、塩基との塩を形成することができる。このような塩の例は、例えば、Na−、K−、Ca−及びトリメチルアンモニウム塩のような、アルカリ、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩である。式(I)の化合物はまた、薬学的に許容しうる酸付加塩を形成することができる。このような薬学的に許容しうる塩の例は、生理学的に適合性の鉱酸(塩酸、硫酸又はリン酸など);又は有機酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸又はサリチル酸など)との式(I)の化合物の塩である。「薬学的に許容しうる塩」という用語は、これら全ての塩のことをいう。
【0015】
詳細には、本発明は、式(I):
【0016】
【化2】


[式中、
は、O又は結合であり、
mは、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択され、
nは、1、2、3、4及び5から選択され、
は、フェニル及びナフチルから選択されるアリール(前記アリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個若しくは5個の基により置換されている)、又は
ピリジル、チエニル及びチアゾリルよりなる群から選択されるヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルから選択される、1個、2個若しくは3個の基により置換されている)である]で示される化合物、及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0017】
式(I)の化合物は個々に好ましく、そしてその薬学的に許容しうる塩は個々に好ましく、式(I)の化合物は特に好ましい。
【0018】
好ましいのは、Aが、O(酸素)である、本発明の式(I)の更なる化合物である。
【0019】
好ましいのは、mが、6、7、8、9及び10から選択される、本発明の式(I)の更なる化合物である。特に好ましいのは、mが、7である、式(I)の化合物である。
【0020】
更に好ましいのは、nが、1、2、3及び4から選択される、本発明の式(I)の化合物であり、nが1又は2である、これらの化合物が更に好ましく、そしてnが1である、これらの化合物が特に好ましい。
【0021】
特に好ましいのは、mとnとの合計が、8、9、10及び11から選択される、式(I)の化合物である。
【0022】
本発明の式(I)の好ましい化合物の一群は、Rが、フェニル及びナフチルから選択されるアリール(前記アリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個若しくは5個の基により置換されている)である、更なるこれらである。
【0023】
特に好ましいのは、Rが、フェニル(低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個又は5個の基により置換されている)である、本発明の式(I)の化合物である。更に好ましいのは、Rが、フェニル(低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個又は5個の基により置換されているが、ただし、置換基の少なくとも1個は、ハロゲン又は低級ハロゲンアルキルである)である、式(I)のこれらの化合物である。特に好ましいRは、フェニル(ハロゲン及び低級ハロゲンアルキルから選択される、1個、2個、3個、4個又は5個の基により置換されている)である。
【0024】
本発明の式(I)の好ましい化合物の別の群は、Rが、ピリジル、チエニル及びチアゾリルよりなる群から選択される選択されるヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルから選択される、1個、2個若しくは3個の基により置換されている)である、これらである。
【0025】
特に好ましいのは、Rがチエニルである、本発明の式(I)の化合物である。
【0026】
更に、(R)立体配置を有する式(I)の化合物が特に好ましいが、即ち、これらは、式(I−A):
【0027】
【化3】


を有する化合物である。
【0028】
式(I)の好ましい化合物は、以下:
(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート
(R)−3−[8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ペンタフルオロフェニルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(8−ベンジルオキシ−オクタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−−3−[8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(S)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−ナフタレン−1−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−ブチラート、
(R)−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(6−フェニル−ヘキサノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(7−フェニル−ヘプタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(8−フェニル−オクタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(9−フェニル−ノナノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(11−フェニル−ウンデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
よりなる群から選択されるこれらの化合物、及びその薬学的に許容しうる塩である。
【0029】
式(I)の特に好ましい化合物は、以下:
(R)−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(S)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−ナフタレン−1−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
よりなる群から選択されるこれらの化合物、及びその薬学的に許容しうる塩である。
【0030】
当然のことながら、本発明における一般式(I)の化合物は、官能基で誘導体化することにより、インビボで親化合物に変換して戻すことができる誘導体を与えることができる。
【0031】
本発明はまた、上記と同義の式(I)の化合物の製造方法に関し、そしてこの方法は、
式(II):
【0032】
【化4】


[式中、A、m、n及びRは、本明細書に定義されたとおりである]で示される第3級アミンをメチル化剤と、極性溶媒中で塩基の存在下で反応させることにより、式(I):
【0033】
【化5】


で示される化合物を得ることを特徴とする。
【0034】
メチル化剤は、好ましくはヨードメタン又はトリフルオロメタンスルホン酸メチルエステルから選択される。「塩基の存在下」とは、好ましくは炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムの存在下を意味する。極性溶媒は、好ましくはメタノール又はアセトニトリルから選択される。好ましくは、反応は、0℃〜60℃の間の温度で実施される。
【0035】
(R)立体配置を有する式(I)の化合物が好ましいため、式(II−A):
【0036】
【化6】


で示される第3級アミンが、好ましくは本発明の製造法に使用される。
【0037】
本発明はまた、上述の製造法により調製される、上記に定義された式(I)の化合物に関する。
【0038】
更に詳細には、本発明の式(I)の化合物は、対応する第3級アミン(II)から合成される。(II)の(I)への変換は、ヨードメタン又はトリフルオロメタンスルホン酸メチルエステルのようなメチル化試薬を、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)の存在下で、メタノール又はアセトニトリルのような溶媒中で、0℃〜60℃の間の温度で使用することにより達成される。
【0039】
【化7】

【0040】
式(II)の化合物は、対応するエステル(1)(R=メチル、エチル、ベンジル)から当該分野において既知の方法を用いて合成される。特に好ましいのは、R=ベンジルである化合物(1)であり、これは、メタノール又はエタノールのような溶媒中で、0℃〜50℃の間の温度で、適切な触媒(例えば、パラジウム担持活性炭)を用いて、1〜10barの圧力での水素化により(II)に変換することができる。あるいは、エステル(1)は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物のような溶媒中で、0℃〜100℃の間の温度で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような試薬を用いる塩基触媒加水分解により(II)へと転換することができる。
【0041】
【化8】

【0042】
あるいは、Aが結合であり、そしてnが2である、式(II)の化合物はまた、上述のような水素化によりエステル(2)(Rがベンジルである場合)から合成することができるが、ここで、使用される合成プロトコール(下記を参照のこと)の結果として場合によりRに近接する二重結合もまた、還元される。Rが、メチル、エチル、又はベンジルである場合には、(2)の(II)への転換はまた、以下のとおり2段階で達成することができる:第1の工程では、トルエン又はジクロロメタンのような不活性溶媒中でトリエチルシラン及びトリフルオロ酢酸を用いて、前述の二重結合が還元される。第2の工程では、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物のような溶媒中で、0℃〜100℃の間の温度で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような試薬を用いて、エステル基が加水分解される。
【0043】
【化9】

【0044】
式(1)の化合物は、式(3):
【0045】
【化10】


で示される3−アミノ−4−ジメチルアミノ−ブチラート及び式(4):
【0046】
【化11】


で示されるカルボン酸から合成される。
【0047】
これは、当業者には周知の条件下で実施することができる。例えば、本反応は、便利にはカルボン酸(4)をアミン(3)と、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びこれらの混合物のような非プロトン性溶媒中で、0℃〜60℃の間の温度で、トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような塩基、及び縮合剤の存在下又は非存在下で混合することにより実施できる。適切な縮合剤は、例えば、テトラフルオロホウ酸O−(7−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、ヘキサフルオロリン酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム、ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリスピロリジノホスホニウム又は当業者には周知の他の剤から選択される。
【0048】
あるいは、このような反応は、最初の(4)のハロゲン化アシル誘導体の形成と、続いての塩基の存在下でのアミン(3)とのカップリング反応を伴う、2段階で実行することができる。塩化アシルの形成に典型的に使用される試薬は、塩化チオニル、五塩化リン、塩化オキサリル又は塩化シアヌルであり、そして本反応は、一般には溶媒の非存在下で、又はジクロロメタン、トルエン若しくはアセトンのような非プロトン性溶媒の存在下で行われる。場合により、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又は4−メチルモルホリンのような塩基を加えることができる。得られる塩化アシルは、単離することができるか、又はそのままジクロロメタン、テトラヒドロフラン若しくはアセトンのような非プロトン性溶媒中で、塩基の存在下でアミン(3)と反応させることができる。典型的な塩基は、トリエチルアミン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン若しくはジメチルアミノピリジン、又はこれらの混合物である。
【0049】
あるいは、このような反応は、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル又は無水酢酸のような試薬との反応による、最初の(4)の混合無水物誘導体の形成と、続いての上述のとおりのアミン(3)との反応を伴う、2段階で実行することができる。
【0050】
式(2)の化合物は、3−アミノ−4−ジメチルアミノブチラート(3)及びカルボン酸(5)から、(1)と同様に合成される。
【0051】
【化12】

【0052】
3−アミノ−4−ジメチルアミノブチラート(3)の合成は、スキーム1に強調されるが、市販のN−保護アスパラギン酸モノエステル(7)から出発する。Rは、メチル、エチル、又はベンジルであり、ベンジルが特に好ましい。
【0053】
【化13】

【0054】
スキーム1の工程a)において、カルボン酸(6)は、カルボン酸(4)とアミン(3)との反応について記述されるような試薬及び方法を用いて、ジメチルアミンと反応させることにより、N,N−ジメチルアミド誘導体(7)にする。
【0055】
スキーム1の工程b)において、N,N−ジメチルアミド(7)は、還元と、続くtert−ブトキシカルボニル保護基の脱離により、ジメチルアミン誘導体(3)に変換する。還元に好ましい試薬は、テトラヒドロフランのような非プロトン性溶媒中の、−20℃〜80℃の間の温度での、ボラン−テトラヒドロフラン錯体又はボラン−硫化ジメチル錯体である。tert−ブトキシカルボニル基の脱離は、エタノール、メタノール、水又はこれらの混合物のような溶媒中で、0℃〜20℃の間の温度で塩酸又は硫酸を用いて、酸性環境で達成される。
【0056】
カルボン酸(4)は、市販されているか、又はスキーム2〜7に略述されるように製造することができるかのいずれかである。
【0057】
が、上述のとおりであり、そしてAが、酸素であるとき、カルボン酸(5)は、スキーム2に記載されるように製造することができる[ここで、Xは、臭素、ヨウ素、又はメタンスルホニルオキシのような脱離基であり、そしてPGは、オプションの保護基、例えば、テトラヒドロピラン−2−イルである]。
【0058】
【化14】

【0059】
スキーム2の工程a)において、化合物(9)は、場合により保護されたω−ハロ−又はω−スルホニルオキシ−アルコール(8)でアルキル化することにより、(10)が生じる。反応は、エタノール、アセトニトリル、又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、塩基(例えば、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムtert−ブチラート、又は水素化ナトリウム)の存在下で、0℃〜100℃の間の温度で実行される。
【0060】
オプションの工程b)(即ち、PG≠Hである場合)において、(10)の保護基を脱離することにより、アルコール(11)になる。PG=テトラヒドロピラン−2−イルの場合には、この反応は、塩酸、トルエン−4−スルホン酸、又はトルエン−4−スルホン酸ピリジニウムのような酸触媒を用いて、水、メタノール、又はエタノールのような溶媒中で、0℃〜100℃の間の温度で達成される。
【0061】
スキーム2の工程c)において、アルコール(11)は、酸化されてカルボン酸(4)になる。アルコール(11)の酸化のために典型的に使用される試薬及び条件は、二クロム酸ピリジニウム、酸化クロム(VI)、又は過マンガン酸カリウムを包含する。(4)への(11)のこの酸化はまた、Aが結合であるアルコール(11)にも可能である。
【0062】
あるいは、アルコール(11)は、スキーム3に略述されるように合成することができる。Aは、酸素であり、そしてR、m及びnは、上記に定義されたとおりである。この経路では、ジオール(12)及び化合物(13)は、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)及びアゾジカルボン酸ジエステル(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル又はアゾジカルボン酸ジイソプロピル)を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又はトルエンのような溶媒中で、0℃〜50℃の間の温度で用いる、光延条件下で反応させることにより、(11)が生じる。
【0063】
【化15】

【0064】
あるいは、アルコール(11)は、スキーム4に略述されるように合成することができる。Aは、酸素であり、そしてR、m及びnは、上記に定義されたとおりであり、Xは、臭素、ヨウ素、又はメタンスルホニルオキシのような脱離基である。即ち、化合物(14)は、ハロゲン化物又はスルホナート(15)でアルキル化される。本反応は、エタノール、アセトニトリル、又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、塩基(例えば、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムtert−ブチラート、又は水素化ナトリウム)の存在下で、0℃〜100℃の間の温度で実行される。
【0065】
【化16】

【0066】
酸(4)はまた、スキーム5に略述されるように合成することができる。Aは、酸素であり、そしてR、m及びnは、上記に定義されたとおりであり、Xは、臭素、ヨウ素、又はメタンスルホニルオキシのような脱離基である。ハロゲン化物又はスルホナート(15)でのカルボン酸(16)のアルキル化は、(15)での(14)のアルキル化と同様に実行される(スキーム4)。
【0067】
【化17】

【0068】
一般式(5)の不飽和酸は、スキーム6に略述されるように合成することができる。R及びmは、上記に定義されたとおりであり、Rは、低級アルキル、例えば、メチル又はエチルである。
【0069】
【化18】

【0070】
スキーム6の工程a)において、不飽和エステル(17)は、アルケン交差メタセシス反応においてスチレン誘導体(18)と反応させることにより、(19)が生じる。この反応は、ジクロロメタン又はトルエンのような不活性溶媒中で実施され、そして適切な触媒、例えば、ジクロロ(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシル−ホスフィン)ルテニウムを、20℃〜100℃の間の温度で必要とする。
【0071】
スキーム6の工程b)において、エステル(19)は、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物のような溶媒中で、0℃〜100℃の間の温度で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような試薬を用いる塩基触媒加水分解により、酸(5)に変換される。
【0072】
あるいは、式(5)の不飽和酸は、スキーム7に略述されるように合成することができる。R及びmは、上記に定義されたとおりである。
【0073】
【化19】

【0074】
スキーム7の工程a)において、ω−ブロモ酸(20)は、トリフェニルホスフィンと反応させることにより、ホスホニウム塩(21)が生じる。この反応は、トルエンのような不活性溶媒中で、20℃〜110℃の間の温度で実施される。
【0075】
スキーム7の工程b)において、ホスホニウム塩(21)は、アルデヒド(22)と反応させることにより、(5)が生じる。この反応は、塩基、例えば、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム、又はカリウムtert−ブチラートの存在下で、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような溶媒中で、−20℃〜50℃の間の温度で実施される。
【0076】
上述のとおり、本発明の式(I)の新規化合物は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2(CPT2)活性を阻害することが見い出された。よって本発明の化合物は、CPT2インヒビターにより調節される疾患、特に高血糖及び/又は耐糖能障害に関連する疾患の治療及び/又は予防に使用することができる。このような疾患は、例えば、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全を包含する。
【0077】
よって本発明はまた、上記に定義されたとおりの式(I)の化合物並びに薬学的に許容しうる担体及び/又は佐剤を含む、医薬組成物に関する。
【0078】
本発明はまた、治療活性物質として、特にCPT2インヒビターにより調節される疾患の治療及び/又は予防用の治療活性物質として使用するための、とりわけ高血糖、耐糖能障害、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全の治療及び/又は予防用の治療活性物質として使用するための、上述のような式(I)の化合物を包含する。
【0079】
別の好ましい実施態様において、本発明は、CPT2インヒビターにより調節される疾患の治療及び/又は予防処置の、とりわけ高血糖、耐糖能障害、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全の治療及び/又は予防処置の方法であって、上記に定義されたとおりの式(I)の化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法に関する。
【0080】
本発明はまた、CPT2インヒビターにより調節される疾患の治療及び/又は予防処置用の、とりわけ高血糖、耐糖能障害、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全の治療及び/又は予防処置用の医薬の製造のための上述のような式(I)の化合物の使用に関する。このような医薬は、上述のような式(I)の化合物を含む。
【0081】
高血糖及びインスリン非依存型糖尿病の予防及び/又は治療は、好ましい使用である。
【0082】
以下の試験は、本発明の化合物の活性を求めるために実施した。実施したアッセイに関する背景情報は、Jackson et al., 1999, Biochem. J. 341, 483-489及びJackson et al., 2000, J. Biol. Chem. 275, 19560-19566に見い出すことができる。
【0083】
ヒト及びラットCPT2−及び肝臓CPT1 cDNA、並びにヒト筋肉CPT1 cDNAは、それぞれpGAPZB又はpGAPZAにサブクローン化した。これらのプラスミドは、エレクトロコンピテント細胞の調製後に電気穿孔法を介してP. pastorisのX−33株を形質転換させるために使用した。必要に応じて0.5又は1mg/mlのZeocinを用いて、高コピー数のクローンを選択した。活性測定用の培養液は、YPD培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、2%ブドウ糖)で16時間誘導した。粗細胞抽出物は、発酵槽サイズに応じて、ガラスビーズ又はFrench Pressで細胞を破砕することにより調製した。遠心分離後、無細胞抽出物は、細胞破壊緩衝液(50mMトリス、pH7.4、100mM KCl、1mM EDTA)にプロテアーゼインヒビターカクテルの存在下で再懸濁して、次に等分して−20℃で凍結した。
【0084】
CPT活性は、Ellman試薬とも呼ばれる5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)を用いる分光光度法を利用して測定した。カルニチン(500μM)及びパルミトイル−CoA(80μM)からのアシルカルニチンの形成に際して放出されるHS−CoAは、DTNB(300μM)を還元して、5−メルカプト−2−ニトロ安息香酸を生成し、そしてこれは13600M−1cm−1のモル吸光係数で410nmで吸光した。アッセイ緩衝液は、120mM KCl、25mMトリス、pH7.4、1mM EDTAを含有するものとした。本アッセイ法は、CPTインヒビター、特に/優先的に肝臓及び筋肉CPT1アイソホームに対するCPT2選択的インヒビターの同定のために利用した。
【0085】
好ましくは式(I)の化合物は、10μM未満、好ましくは1nM〜10μM、更に好ましくは1nM〜1μMのIC50値(CPT2)を有する。下記の表は、幾つかの例に関するデータを示す。
【0086】
【表1】

【0087】
式Iの化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、経腸、非経口又は局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。これらは、例えば、経口的に、例としては錠剤、コーティング剤、糖衣剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経腸的に、例としては坐剤の剤形で、非経口的に、例としては注射用液剤又は輸液の剤形で、或いは局所的に、例としては軟膏剤、クリーム剤又は油剤の剤形で投与することができる。経口投与が好ましい。
【0088】
医薬製剤の製造は、記載された式I及び/又はそれらの薬学的に許容されうる塩を、場合により他の治療上価値のある物質と組み合わせて、適切な非毒性で不活性な治療上適合性のある固体又は液体担体材料、及び所望であれば通常の医薬佐剤と一緒にガレヌス製剤の投与形態にする、当業者に周知である方法により実施できる。
【0089】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機担体材料でもある。したがって、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩を、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体材料として使用できる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、ならびに半固形及び液状ポリオールである(しかし活性物質の性質によっては、軟ゼラチンカプセル剤の場合には、担体を必要としないこともある)。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖等である。注射剤に適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール及び植物油である。坐剤に適切な担体材料は、例えば、天然油又は硬化油、ロウ、脂肪、及び半液体又は液体ポリオールである。局所用製剤に適切な担体材料は、グリセリド、半合成及び合成グリセリド、硬化油、液体ロウ、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール及びセルロース誘導体である。
【0090】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤及び乳化剤、稠度向上剤、風味向上剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤及びマスキング剤、ならびに酸化防止剤が医薬佐剤として考慮される。
【0091】
式Iの化合物の用量は、制御されるべき疾患、患者の年齢及び個別の状態、ならびに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の症例における個別の要件に適合されるであろう。成人患者では、約1〜2000mg、特に約1〜500mgの1日量が考慮される。疾患の重篤度および正確な薬物動態学的プロフィールに応じて、化合物を、単回または複数回の一日投与量、例えば、1〜3の投与単位で投与することができる。
【0092】
式Iの化合物の用量は、制御されるべき疾患、患者の年齢及び個別の状態、ならびに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の症例における個別の要件に適合されるであろう。成人患者では、約1〜2000mg、特に約1〜500mgの1日量が考慮される。疾患の重篤度および正確な薬物動態学的プロフィールに応じて、化合物を、単回または複数回の一日投与量、例えば、1〜3の投与単位で投与することができる。
【0093】
医薬製剤は、好都合には、式Iの化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜200mg含有する。
【0094】
下記の実施例は、本発明を更に詳細に説明するために役立つ。しかし、これらは本発明の範囲をどのようにも制限することを意図しない。
【0095】
実施例
略語:
HPLC=高圧液体クロマトグラフィー、m/e=質量分析(MS)により測定される質量対電荷比
【0096】
中間体1
(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
工程1: テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミド 2:1(3mL)中の1,8−オクタンジオール(300mg、2.05mmol)の溶液を、N,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、90mg、2.3mmol)の懸濁液に0℃で滴下し、2時間後、3,4−ジフルオロベンジルブロミド(445mg、2.15mmol)を加えた。4時間後、反応混合物を水と酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチル勾配)により、8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オール(258mg、46%)を得た。無色の油状物、m/e=273.3([M+H])。
【0097】
工程2: 二クロム酸ピリジニウム(1.23g、3.27mmol)を、N,N−ジメチルホルム−アミド(2mL)中の8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オール(254mg、0.93mmol)の溶液に0℃で加えた。反応混合物を16時間かけて室温に達するにまかせ、次に水と酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−[酢酸エチル/ギ酸 100:1]勾配)により、8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸(162mg、61%)を得た。無色の油状物、m/e=285.1([M−H])。
【0098】
工程3: N,N−ジメチルホルムアミド中の8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸(153mg、0.53mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(414mg、3.21mmol)、及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロリン酸(244mg、0,64mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌し、次にN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中の(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩(198mg、0.64mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、ジクロロメタン−[ジクロロメタン/メタノール/25%アンモニア水溶液 110:10:1]勾配)により、(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル(136mg、50%)を生成した。明黄色の油状物、m/e=505.4([M+H])。
【0099】
工程4: (R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル(125mg、0.25mmol)の溶液を大気圧下、パラジウム(10%担持活性炭、30mg)の存在下で水素化した。30分後、触媒を濾別し、濾液を濃縮し、乾燥させて、(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸(96mg、89%)を得た。明黄色の油状物、m/e=413.2([M−H])。
【0100】
(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩の調製
a) トリエチルアミン(2.8mL、20.0mmol)を、ジクロロメタン中のBoc−D−アスパラギン酸4−ベンジルエステル(5.00g、15.0mmol)の溶液に0℃で加え、次にクロロギ酸エチル(1.91mL、20.0mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次にジクロロメタン(100mL)中のジメチルアミン塩酸塩(2.65g、32.0mmol)及びトリエチルアミン(4.53mL、32.0mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を16時間かけて室温に達するにまかせ、次にブラインで洗浄し、濃縮した。クロマトグラフィー(SiO;ヘプタン−酢酸エチル勾配)により、(R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−N,N−ジメチル−スクシンアミド酸ベンジルエステル(3.77g、70%)を生成した。無色の油状物、m/e=351.4([M+H])。
【0101】
b) ボラン−ジメチルスルフィド錯体(1.57mL、3.14mmol)を、(R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−N,N−ジメチル−スクシンアミド酸ベンジルエステル(500mg、1.43mmol)の溶液に0℃で滴下した。反応混合物を室温に温め、3時間加熱還流し、次に0℃に冷却し、6M塩酸水溶液(0.68mL、4.1mmol)で滴下処理した。反応混合物を室温に温まるにまかせ、減圧下で濃縮した。残留水をトルエンと共沸し、高真空下で濃縮して、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩(384mg、87%)を得た。白色の固体、m/e=237.4([M+H])。
【0102】
中間体2
(R)−3−[8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=413.3([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2,5−ジフルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングし、(R)−3−[8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0103】
中間体3
(R)−3−[8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=413.1([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2,4−ジフルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0104】
中間体4
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=432.5([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2,3,4−トリフルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0105】
中間体5
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(8−ペンタフルオロフェニルメトキシ−オクタノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=467.5([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、ペンタフルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(ペンタフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(ペンタフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(ペンタフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0106】
中間体6
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=445.6([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、4−トリフルオロメチル−ベンジルブロミドでアルキル化して、8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0107】
中間体7
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=463.5([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルブロミドでアルキル化して、8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0108】
中間体8
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=407.6([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、4−メトキシ−ベンジルブロミドでアルキル化して、8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0109】
中間体9
(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=455.3([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、4−(ブロモメチル)−ビフェニルでアルキル化して、8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0110】
中間体10
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=463.1([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0111】
中間体11
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=479.4([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0112】
中間体12
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=427.1([M‐H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、1−ブロモメチル−ナフタレンでアルキル化して、8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0113】
中間体13
(R)−3−(8−ベンジルオキシ−オクタノイルアミノ)−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=377.6([M−H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、臭化ベンジルでアルキル化して、8−ベンジルオキシ−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−ベンジルオキシ−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0114】
中間体14
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=397.4([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2−フルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0115】
中間体15
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=397.4([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、3−フルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0116】
中間体16
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=397.4([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、4−フルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0117】
中間体17
(R)−3−[8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=415.5([M+H])を、中間体1、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で1,8−オクタンジオールを、2,3−ジフルオロベンジルブロミドでアルキル化して、8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン−1−オールを得て、それを工程2で酸化させ、8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタン酸とした。これを工程3で(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−3−[8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0118】
中間体18
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=377.3([M+H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の10−フェニルデカン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0119】
中間体19
(S)−4−ジメチルアミノ−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=377.5([M+H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の10−フェニルデカン酸を、(S)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(S)−4−ジメチルアミノ−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0120】
(S)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩を、Boc−L−アスパラギン酸4−ベンジルエステルから出発して、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩(中間体1)と同様にして調製した。
【0121】
中間体20
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
工程1: ジクロロメタン(12.5mL)中の9−デセン酸エチルエステル(Tetrahedron 2003, 59, 7973;500mg、2.53mmol)及び2−フルオロスチレン(617mg、5.05mmol)の溶液に、ジクロロ(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(107mg、0.13mmol)を加えた。混合物を窒素でフラッシュし、圧力管中で密閉し、次に40℃で18時間加熱した。冷まし、溶媒を蒸発させた後、生成物をクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−ジクロロメタン 3:1)により精製し、10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステル(420mg、57%)を得た。
【0122】
工程2: テトラヒドロフラン(2mL)中の10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステル(420mg、1.44mmol)の溶液に、2M水酸化リチウム水溶液(2mL、4mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に1M塩酸水溶液と酢酸エチルに分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸(250mg、66%)を得た。
【0123】
工程3: 中間体22、工程3と同様にして、10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸を、10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させ、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得た。
【0124】
工程4: 中間体1、工程4と同様にして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを水素化することにより、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸、m/e=395.2([M+H])を生成した。
【0125】
中間体21
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=405.4([M+H])を、中間体20、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で9−デセン酸エチルエステルを、2,5−ジメチルスチレンと反応させて、10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステルを得て、それを工程2で加水分解し、10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸とした。工程3で、これを10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させて、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0126】
中間体22
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
工程1: トルエン(10mL)中の9−ブロモ−ノナン酸(7.00g、29.5mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(7.74g、29.5mmol)を加えた。溶液を圧力管中で窒素下にて密閉し、110℃で18時間加熱した。反応が完了し、二つの相を観測した。トルエン上層を粗生成物からデカントし、それをトルエンで洗浄した。(8−カルボキシ−オクチル)−トリフェニル−ホスホニウムブロミド(14.9g)を得て、それを次の工程で直接使用した。白色の半固体、m/e=419.3([M+H])。
【0127】
工程2: 水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散;0.65g、16mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)中の(8−カルボキシ−オクチル)−トリフェニル−ホスホニウムブロミド(2.8g、5.6mmol)の室温で撹拌した溶液に室温で少量ずつ加え、1時間後、2,6−ジメチルベンズアルデヒド(757mg、5.64mmol)を反応混合物に少量ずつ加え、溶液を室温で2日間撹拌した。反応が完了し、水(10ml)を加え、溶液を濃塩酸でpH3に酸性化した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチル 4:1)により、10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸を無色の油状物として得た。
【0128】
工程3: ジクロロメタン(3mL)中の10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸(239mg、0.87mmol)、塩化オキサリル(0.11mL、1.3mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)の溶液を、室温で2時間撹拌し、次に揮発性物質を蒸留により除去して、10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドを得た。これをジクロロメタンに再溶解し、次にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(140mg、1.04mmol)を、続いて(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩を滴下した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に水で洗浄した。有機層を蒸発させ、残留物を分取HPLCにより精製して、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得た。
【0129】
工程4: 中間体1、工程4と同様にして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを水素化することにより、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸、m/e=405.3([M+H])を生成した。
【0130】
中間体23
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=407.3([M+H])を、中間体20、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で9−デセン酸エチルエステルを、4−メトキシスチレンと反応させて、10−(4−メトキシ−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステルを得て、それを工程2で加水分解し、10−(4−メトキシ−フェニル)−デカ−9−エン酸とした。工程3で、これを10−(4−メトキシ−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させて、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0131】
中間体24
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(10−ナフタレン−1−イル−デカノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=427.4([M+H])を、中間体20、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で9−デセン酸エチルエステルを、1−ビニルナフタレンと反応させて、10−(ナフタレン−1−イル)−デカ−9−エン酸エチルエステルを得て、それを工程2で加水分解し、10−(ナフタレン−1−イル)−デカ−9−エン酸とした。工程3で、これを10−(ナフタレン−1−イル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させ、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(ナフタレン−1−イル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0132】
中間体25
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=445.1([M+H])を、中間体20、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で9−デセン酸エチルエステルを、4−トリフルオロメチルスチレンと反応させて、10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステルを得て、それを工程2で加水分解し、10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカ−9−エン酸とした。工程3で、これを10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させて、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0133】
中間体26
(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−酪酸
標記化合物、m/e=395.3([M+H])を、中間体20、工程1〜4と同様にして生成した。したがって、工程1で9−デセン酸エチルエステルを、3−フルオロスチレンと反応させて、10−(3−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸エチルエステルを得て、それを工程2で加水分解し、10−(3−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸とした。工程3で、これを10−(3−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させ、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0134】
中間体27
(R)−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸
標記化合物、m/e=413.3([M+H])を、中間体22、工程2〜4と同様にして生成した。したがって、工程2で2,3−ジフルオロベンズアルデヒドを、(8−カルボキシ−オクチル)−トリフェニル−ホスホニウムブロミドと反応させ、10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカ−9−エン酸を得た。工程3で、これを10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させ、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得て、それを工程4で水素化した。
【0135】
中間体28
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−酪酸
工程1: 中間体22、工程2と同様にして、3−チオフェンカルボキサルデヒドを、(8−カルボキシ−オクチル)−トリフェニル−ホスホニウムブロミドと反応させることにより、10−(チオフェン−3−イル)−デカ−9−エン酸を生成した。
【0136】
工程2: 中間体22、工程3と同様にして、10−(チオフェン−3−イル)−デカ−9−エン酸を、10−(チオフェン−3−イル)−デカ−9−エノイルクロリドに変換し、次に(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩と反応させて、(R)−4−ジメチルアミノ−3−[10−(チオフェン−3−イル)−デカ−9−エノイルアミノ]−酪酸ベンジルエステルを得た。
【0137】
工程3: トリエチルシラン(0.23mL、1.43mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.21mL、2.9mmol)を、トルエン(8mL)中の4−ジメチルアミノ−3−(10−チオフェン−3−イル−デカ−9−エノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステル(67mg、0.14mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、溶液を冷飽和重炭酸ナトリウム水溶液に加えた。水相を分離し、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4−ジメチルアミノ−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステル(74mg)、m/e=473.3([M+H])を得た。
【0138】
工程4: 中間体20、工程2と同様にして、4−ジメチルアミノ−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを加水分解することにより、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−酪酸、m/e=383.1([M+H])を生成した。
【0139】
中間体29
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(6−フェニル−ヘキサノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=321.3([M+H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の6−フェニルヘキサン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングすることにより、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(6−フェニル−ヘキサノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0140】
中間体30
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(7−フェニル−ヘプタノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=335.4([M+H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の7−フェニルヘプタン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(7−フェニル−ヘプタノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0141】
中間体31
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(8−フェニル−オクタノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=347.4([M−H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の8−フェニルオクタン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(8−フェニル−オクタノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0142】
中間体32
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(9−フェニル−ノナノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=361.5([M−H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の9−フェニルノナン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(9−フェニル−ノナノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0143】
中間体33
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(11−フェニル−ウンデカノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=391.5([M+H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の11−フェニルウンデカン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(11−フェニル−ウンデカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0144】
中間体34
(R)−4−ジメチルアミノ−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−酪酸
標記化合物、m/e=403.6([M−H])を、中間体1、工程3及び4と同様にして生成した。したがって、工程3で市販の12−フェニルドデカン酸を、(R)−3−アミノ−4−ジメチルアミノ−酪酸ベンジルエステル二塩酸塩とカップリングして、(R)−4−ジメチルアミノ−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−酪酸ベンジルエステルを生成し、それを工程4で水素化した。
【0145】
実施例1
(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート
炭酸水素カリウム(24mg、0.24mmol)及びヨードメタン(106mg、0.74mmol)を、メタノール(2.5mL)中の(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−ジメチルアミノ−酪酸(77mg、0.19mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次にクロロホルム(5mL)で希釈した。不溶性物質を濾過により除去して、(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラートを明黄色の固体、m/e=429.3([M+H])として得た。
【0146】
実施例1と同様にして以下の実施例を調製した:
【0147】
【表2】









【0148】
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコーティング錠を常法により製造することができる:
成分 1錠当たり
核:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
含水乳糖 60.0mg 70.0mg
ポリビニルピロリドン K30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(核重量) 120.0mg 350.0mg
フィルムコート:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
酸化鉄(黄色) 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0149】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合し、そして混合物をポリビニルピロリドンの水溶液と共に造粒する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120又は350mgの核を得る。上記のフィルムコートの水性溶液/懸濁液を核に塗布する。
【0150】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤を、常法により製造することができる:
成分 1カプセル当たり
式(I)の化合物 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【0151】
成分を篩にかけ、混合し、そしてサイズ2のカプセルに充填する。
【0152】
実施例C
注射液は下記の組成を有することができる:
式(I)の化合物 3.0mg
ポリエチレングリコール400 50.0mg
酢酸 4.7mg
炭酸ナトリウム pH5.0を得るのに適切な量
注射用水 1.0mlまで
【0153】
活性成分をポリエチレングリコール400と注射用水(一部)の混合物に溶解する。酢酸でpHを5.0に調整する。水の残量を加えて、容量を1.0mlに調整する。溶液を濾過し、適切な過剰量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0154】
実施例D
下記の成分を含有する軟ゼラチンカプセル剤を常法により製造することができる:
カプセル内容物
式(I)の化合物 5.0mg
黄ろう 8.0mg
硬化大豆油 8.0mg
部分硬化植物油 34.0mg
大豆油 110.0mg
カプセル内容物の重量 165.0mg
ゼラチンカプセル
ゼラチン 75.0mg
グリセロール85% 32.0mg
Karion 83 8.0mg(乾物)
二酸化チタン 0.4mg
黄酸化鉄 1.1mg
【0155】
活性成分を、他の成分の加温溶融物に溶解し、そして混合物を適切な大きさの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填された軟ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0156】
実施例E
下記の成分を含有するサッシェを常法により製造することができる:
式(I)の化合物 50.0mg
乳糖、微細粉末 1015.0mg
微晶質セルロース(AVICEL PH 102) 1400.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 14.0mg
ポリビニルピロリドンK 30 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
香味添加剤 1.0mg
【0157】
活性成分を、乳糖、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、そして水中のポリビニルピロリドンの混合物と共に造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び香味添加剤と混合し、そしてサッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化20】


[式中、
は、O又は結合であり、
mは、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択され、
nは、1、2、3、4及び5から選択され、
は、フェニル及びナフチルから選択されるアリール(前記アリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個若しくは5個の基により置換されている)、又は
ピリジル、チエニル及びチアゾリルよりなる群から選択されるヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルから選択される、1個、2個若しくは3個の基により置換されている)である]で示される化合物、及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、Oである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が、結合である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
mが、6、7、8、9及び10から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
mが、7である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
nが、1、2、3及び4よりなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
nが、1又は2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
nが、1である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
が、フェニル及びナフチルから選択されるアリール(前記アリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個若しくは5個の基により置換されている)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
が、フェニル(低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルよりなる群から選択される、1個、2個、3個、4個又は5個の基により置換されているが、ただし、置換基の少なくとも1個は、ハロゲン又は低級ハロゲンアルキルである)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
が、ピリジル、チエニル及びチアゾリルよりなる群から選択される選択されるヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、非置換であるか、又は低級アルキル、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ及びフェニルから選択される、1個、2個若しくは3個の基により置換されている)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
が、チエニルである、請求項1〜8及び11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
式(I−A):
【化21】


を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
下記:
(R)−3−[8−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,5−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート
(R)−3−[8−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ペンタフルオロフェニルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(8−ベンジルオキシ−オクタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(2,3−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(S)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−ナフタレン−1−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[10−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−ブチラート、
(R)−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(6−フェニル−ヘキサノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(7−フェニル−ヘプタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(8−フェニル−オクタノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(9−フェニル−ノナノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(11−フェニル−ウンデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
よりなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項15】
下記:
(R)−3−[8−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ビフェニル−4−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(ナフタレン−1−イルメトキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−オクタノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(S)−3−(10−フェニル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,5−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,6−ジメチル−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(4−メトキシ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−ナフタレン−1−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(3−フルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−[10−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−デカノイルアミノ]−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(10−チオフェン−3−イル−デカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
(R)−3−(12−フェニル−ドデカノイルアミノ)−4−トリメチルアンモニオ−ブチラート、
よりなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に定義された式(I)の化合物の製造方法であって、
式(II):
【化22】


[式中、A、m、n及びRは、本明細書に定義されたとおりである]で示される第3級アミンをメチル化剤と、極性溶媒中で塩基の存在下で反応させることにより、式(I):
【化23】


で示される化合物を得ることを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法により製造される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物並びに薬学的に許容しうる担体及び/又は佐剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
CPT2インヒビターにより調節される疾患の治療又は予防用の治療活性物質として使用するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項21】
CPT2インヒビターにより調節される疾患の治療又は予防処置の、とりわけ高血糖、耐糖能障害、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全の治療又は予防処置の方法であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法。
【請求項22】
CPT2インヒビターにより調節される疾患の治療又は予防処置用の医薬の製造のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項23】
高血糖、耐糖能障害、糖尿病及び関連病態、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血圧、インスリン抵抗症候群、メタボリック症候群、脂質異常症、高コレステロール血症、脂肪肝、アテローム動脈硬化、うっ血性心不全及び腎不全の治療及び/又は予防処置用の医薬の製造のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項24】
高血糖及びインスリン非依存型糖尿病の予防及び/又は治療用の医薬の製造のための、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
本明細書に記載された発明。

【公表番号】特表2011−518853(P2011−518853A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506650(P2011−506650)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054637
【国際公開番号】WO2009/132979
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】