説明

CPU/論理暗号化両用のスマートカード及びそのデータ同期方法

CPU/論理暗号化両用スマートカード及びそのデータ同期方法である。CPUコマンド処理モジュールは、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、データフォーマット変換モジュールに送る。データフォーマット変換モジュールは、送られたデータをCPU制御の記憶領域に転送し、CPUコマンド処理モジュールは、更にCPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードのデータをデータフォーマット変換モジュールを介して論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに送信する。論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールは、送信されたCPUカードのデータを論理暗号化記憶領域に書込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートカードデータ記憶装置及び内部データ同期方法に関し、特にCPU/論理暗号化両用のスマートカード及びそのデータ同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
論理暗号化カードとCPUカードは共にICカードの1種である。CPUカードは、論理暗号化カードと比べて、処理速度が速く、セキュリティ性が高く、柔軟性が高い等の長所を有するので、次第に論理暗号化カードを代替しつつある。しかし、論理暗号化カードはすでに多くのプロジェクトに適用されているので、直ちにCPUカードによって論理暗号化カードを代替しようとすると、既存の論理暗号化カード読取装置と端末をすべてCPUカード対応機に交換しなければならず、それに必要なコストがあまりにも膨大となり、受入れられにくい。
【0003】
このような問題を解決するために、一部のチップメーカは、論理暗号化回路と論理暗号化記憶領域を増設した新規CPUチップを開発している。この種のチップを実装してなるカードは、CPUカードとして使用できると共に、論理暗号化カードとしても使用できる。言い換えれば、1枚のカードによって、CPUカード読取端末をサポートできると共に、論理暗号化カード読取端末をサポートできることになる。それでハードウェア面の問題は解決されたが、ソフトウェア面での問題が依然として未解決のままである。即ち、該カードがCPUカードとして使用されるときは、データがCPU制御の記憶領域(CPUによって制御される記憶領域)に記憶され、一方、カードが論理暗号化カードとして使用されるとき、データが論理暗号化記憶領域に記憶される。それにより論理暗号化カードとCPUカードがハードウェア面では1枚のカードとして一体化されたことになるが、二者間のデータは不一致のままである。
【0004】
論理暗号化カードとCPUカードを1枚のカードによって兼用しようとする場合、上記2つの記憶領域内で対応するデータが一致して、論理暗号化カードの端末環境とCPUカードの端末環境がそれぞれ正確な状態であることの保証が維持されることが要求される。しかしながら、それらの間におけるデータの同期に関する問題は、今のところ解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外部との通信時、論理暗号化カードとCPUカード内に記憶されているデータの一致を維持できる、CPU/論理暗号化両用のスマートカード及びそのデータ同期方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した発明目的を達成するため、本発明に係るCPU/論理暗号化両用スマートカードは、CPUカード読取装置と通信を行うためのCPUカードシステム、及び論理暗号化カード読取装置と通信を行うための論理暗号化カードシステムを備え、前記CPUカードシステムは、CPUカードのデータを記憶するためのCPU制御の記憶領域を有し、前記論理暗号化カードシステムは、論理暗号化カードのデータを記憶するための論理暗号化記憶領域を有し、CPUカードシステムは、更にCPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域に対してデータ同期を行うためのデータ同期装置を有し、前記データ同期装置はそれぞれCPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域に接続される。
【0007】
上述したCPU/論理暗号化両用スマートカードにおいては、好ましくは、前記データ同期装置が以下のモジュールを備える。
論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュール:論理暗号化記憶領域における論理暗号化カードに対するデータの読取り及び書込みを行う。
CPUコマンド処理モジュール:論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールとCPU制御の記憶領域に対して制御を行い、CPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域とのデータインタラクションを行う。
データフォーマット変換モジュール:論理暗号化カードのデータとCPUカードのデータのフォーマット変換を行う。
【0008】
好ましくは、CPUコマンド処理モジュールは、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、データフォーマット変換モジュールに送り、前記データフォーマット変換モジュールはデータをCPU制御の記憶領域に転送し、CPUコマンド処理モジュールは更にCPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードデータをデータフォーマット変換モジュールを介して論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに送信し、前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールはCPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込む。
【0009】
また、本発明は、CPU/論理暗号化両用スマートカードのデータ同期方法を提供する。該方法は以下の手順を有する。
(1)CPUカードシステムが、毎回CPUカード読取装置と通信を行う前に、論理暗号化カードのデータを呼び出してCPUカードのデータを更新する。
(2)CPUカードシステムが、CPUカード読取装置との間で通信を行い、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ読取りである場合は、プロセスを終了させ、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正である場合は、次の手順に移行する。
(3)CPUカードのデータを呼び出して論理暗号化カードのデータを更新する。
【0010】
より具体的には、手順(1)は、以下の手順を有する。
(11)CPUコマンド処理モジュールが論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、データフォーマット変換モジュールに送る。
(12)データフォーマット変換モジュールが、送られた前記データのデータフォーマットを論理暗号化カードフォーマットからCPUカードフォーマットに変換して、そのデータをCPU制御の記憶領域に転送し、CPU制御の記憶領域内のデータを更新する。
【0011】
更に、手順(2)においては、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードデータ修正である場合、具体的な通信プロセスとして、CPU制御の記憶領域が現在のデータをバックアップした後、CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正を許可し、修正に成功した場合、手順(3)へ移行する。修正に失敗した場合、バックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させる。
【0012】
手順(3)は、具体的には以下の手順を有する。
(31)CPUコマンド処理モジュールが、CPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードデータをデータフォーマット変換モジュールに送信する。
(32)データフォーマット変換モジュールが、送信された前記データのデータフォーマットをCPUカードフォーマットから論理暗号化カードフォーマットに変換して、そのデータを論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに転送する。
(33)論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、転送されたCPUカードのデータを論理暗号化記憶領域に書込む。
【0013】
さらに好ましくは、手順(33)において、より具体的に、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールは前記転送されたCPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込み、書込みが成功した場合、プロセスを終了させる。書込みに失敗した場合、CPU制御の記憶領域が、バックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、CPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域にそれぞれ接続されるデータ同期装置を介して、CPUカードシステムが毎回外部と通信する前に論理暗号化カードのデータを呼び出してCPUカードのデータを更新し、CPUカードシステムが外部と通信後CPUカードデータに変更が発生した場合、データ同期装置が更にCPUカードのデータを呼び出して論理暗号化カードのデータを更新する。これにより、CPUカードシステムが毎回外部と通信を行う前後において、CPUカードのデータと論理暗号化カードのデータの一致を維持可能にして、本来の1カードによる兼用を具現化する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るCPU/論理暗号化両用のスマートカードの構造図である。
【図2】本発明に係るCPU/論理暗号化両用のスマートカードにおけるデータ同期の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。図1に示すように、本発明に係るCPU/論理暗号化両用のスマートカードは、CPUカード読取装置と通信を行うためのCPUカードシステムと、論理暗号化カード読取装置と通信を行うための論理暗号化カードシステムとを具備している。CPUカードシステムは、CPUカードのデータを記憶するためのCPU制御の記憶領域を有する。論理暗号化カードシステムは、論理暗号化カードのデータを記憶するための論理暗号化記憶領域を有する。本装置の主な発明ポイントとして、CPUカードシステムは、更にCPU制御の記憶領域と、論理暗号化記憶領域のデータ同期を行うためのデータ同期装置を有している。データ同期装置はCPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域にそれぞれ接続されている。
【0017】
データ同期装置は、以下のモジュールを備える。
論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュール:論理暗号化記憶領域における論理暗号化カードデータに対する読取り・書込みを行う。
CPUコマンド処理モジュール:論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールとCPU制御の記憶領域を制御して、CPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域とのデータインタラクションを行う。
データフォーマット変換モジュール:論理暗号化カードデータとCPUカードデータのフォーマット変換を行う。
【0018】
このデータ同期装置の作動プロセスは以下の通りである。まず、CPUコマンド処理モジュールは、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、データフォーマット変換モジュールに送る。データフォーマット変換モジュールは、送られたデータをCPU制御の記憶領域に転送する。CPUコマンド処理モジュールは、更にCPU制御の記憶領域を制御して、転送されたCPUカードのデータをデータフォーマット変換モジュールを介して論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに送信する。論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールは、送信されたCPUカードのデータを論理暗号化記憶領域に書込む。
【0019】
上述したCPU/論理暗号化両用のスマートカードに適用されるCPUカードシステムと論理暗号化カードシステムによって実施されるデータ同期方法は、以下の手順を有する。
【0020】
(1)CPUカードシステムが、毎回CPUカード読取装置との通信を行う前に、論理暗号化カードのデータを呼び出して、CPUカードデータを更新する。手順(1)は、具体的には以下の手順を有する。
(11)CPUコマンド処理モジュールが、CPUカード読取装置を検出し、通信を行おうと判断した時、CPUカードシステムが、CPUカード読取装置と通信を行う前に、CPUコマンド処理モジュールは、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、そのデータをデータフォーマット変換モジュールに送る。
(12)データフォーマット変換モジュールが、送られたデータのデータフォーマットを論理暗号化カードフォーマットからCPUカードフォーマットに変換し、これをCPU制御の記憶領域に転送して、CPU制御の記憶領域におけるデータを更新する。
【0021】
(2)CPUカードシステムが、CPUカード読取装置と通信を行い、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ読取りである場合、プロセスを終了させる。通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードデータ修正である場合、次の手順に移行する。
【0022】
通信操作の信頼性を向上させるため、手順(2)においては、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正である場合、具体的な通信プロセスとして、CPU制御の記憶領域が現在のデータをバックアップした後、CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正を許可する。修正が成功した場合、手順(3)に移行する。修正が失敗した場合、バックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させる。
【0023】
(3)CPUカードのデータが、論理暗号化カードのデータ更新のために呼び出される。手順(3)は、具体的には以下の手順を有する。
(31)CPUコマンド処理モジュールが、CPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードデータをデータフォーマット変換モジュールに送信する。
(32)データフォーマット変換モジュールが、送信されたデータのデータフォーマットをCPUカードフォーマットから論理暗号化カードフォーマットに変換して、そのデータを論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに転送する。
(33)論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、転送されたCPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込む。
【0024】
上記と同様に、通信操作の信頼性を向上させるため、手順(33)においては、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、CPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込むにあたって、書込みに成功した場合、プロセスを終了させ、書込みに失敗した場合、CPU制御の記憶領域が、バックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させる。
【0025】
本方法は主に以下の考えをベースになされたものである。すなわち、論理暗号化カードシステムは、CPUカードシステムにおけるCPUのようにシステムの制御を実行することができる制御チップを備えていないので、CPUカードシステムにアクセスする能力を持っていない。従って、CPUカードシステムと論理暗号化カードシステムとの間でデータ同期を達成するには、CPUカードシステムに依存しなければならない。
【0026】
具体的には、本発明の装置によると、CPUコマンド処理モジュールは、CPUカードシステムが毎回外部(CPUカード読取装置)と通信を行う前に、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、そのデータをデータフォーマット変換モジュールに送る。データフォーマット変換モジュールは、送られたデータをCPU制御の記憶領域に転送し、CPUカードシステムと論理暗号化カードシステムとの第1回のデータ同期を実行する。本回のデータ同期の前に、論理暗号化カードシステムが、外部(論理暗号化カード読取装置)との間で既に複数回の通信を行った場合も有り得るが、その期間は同期操作を必要としない。CPUカードシステムと論理暗号化カードシステムとのデータの不一致は、CPUカードシステムと論理暗号化カードシステムが共にそれぞれ外部と通信を行う時のみに好ましくない結果(例えば、外部カード読取システムによる精算残高の不一致)を生じるので、CPUカードシステムが毎回外部と通信を行う前にCPU制御の記憶領域のデータを論理暗号化記憶領域におけるデータと一致させれば良い。
【0027】
日常生活においては、CPUカードシステムと外部の通信内容は、CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ読取りとCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正との2種に区分される。CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ読取りは、カードの所持者がCPUカード読取装置や端末を介してカード内データ情報(例えば、カード内残高)を確認する場合が想定される。このような操作は、CPU制御の記憶領域内のデータを変更しないので、本回の通信終了後、論理暗号化記憶領域とCPU制御の記憶領域のデータ同期が不要となる。一方、CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正は、カードの所持者がCPUカード読取装置を介してカード内データ情報(例えばカード決済、決済前後にカード内残高に変更が発生)を変更する場合が想定される。このような操作は、CPU制御の記憶領域内のデータの変更によって、CPU制御の記憶領域と論理暗号化記憶領域のデータの不一致を招来させることから、本回の通信終了後には、論理暗号化記憶領域とCPU制御の記憶領域のデータを同期させなければならない。具体的なプロセスは、以下の通りである。
【0028】
CPUカードシステムが、毎回外部(CPUカード読取装置)との通信(CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正)後、CPUコマンド処理モジュールが、更にCPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードのデータをデータフォーマット変換モジュールを介して論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに送信する。論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、送信されたCPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込む。これにより、第2回のデータ同期後、論理暗号化記憶領域におけるデータとCPU制御の記憶領域のデータとの一致を維持することができ、本回のCPUカードシステムと論理暗号化カードシステムとの間のデータ同期が実現される。
【0029】
以下、本発明の実施形態の一例としての財布アプリケーションに関して、図2のフローチャートを参照しながら説明する。図2に示すように、CPU制御の記憶領域内と論理暗号化記憶領域内の対応するデータ(財布アプリケーションを例にすると、論理暗号化記憶領域とCPU制御の記憶領域には共に金額が記憶され、この金額が対応データである)を操作する時、データ同期を起動する必要がある。その流れは以下の通りである:
ステップ1.)本発明に係るCPU/論理暗号化両用スマートカードをある課金式CPUカード読取装置と関連付けさせる。
ステップ2.)CPUコマンド処理モジュールが、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域の金額データを読取り、データフォーマット変換モジュールに送る。読取りに成功した場合は、次のステップに移行する。読取りに失敗した場合は、CPUカード読取装置に操作失敗情報を返送し、ステップ11.)に移行する。
ステップ3.)データフォーマット変換モジュールが、送られた金額データのデータフォーマットを、論理暗号化カードフォーマットからCPUカードフォーマットに変換してCPU制御の記憶領域に転送する。変換後の金額データがCPU制御の記憶領域内の金額データと不一致である場合、次のステップに移行する。金額データが一致する場合、ステップ5.)へ移行する。
ステップ4.)変換後の金額データを用いてCPU制御の記憶領域内の金額データを更新する。更新に成功した場合は、次のステップに移行する。更新に失敗した場合は、CPUカード読取装置に操作失敗情報を返送し、ステップ11.)に移行する。
ステップ5.)CPUカードシステムが、CPUカード読取装置と通信を行う。通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードの金額データ読取りである場合、ステップ11.)へ移行する。通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードの金額データ修正である場合、次のステップに移行する。
ステップ6.)CPU制御の記憶領域が、現在の金額データをバックアップする。バックアップに成功した場合は、次のステップに移行する。バックアップに失敗した場合は、CPUカード読取装置に操作失敗情報を返送し、ステップ11.)に移行する。
ステップ7.)CPUカード読取装置によるCPUカード金額データ修正を許可する。修正に成功した場合は、次のステップに移行する。修正に失敗した場合は、バックアップしておいた金額データを用いてCPU制御の記憶領域の現在金額データを復元し、CPUカード読取装置に操作失敗情報を返送して、ステップ11.)へ移行する。
ステップ8.)CPUコマンド処理モジュールが、CPU制御の記憶領域を制御して、CPUカード金額データをデータフォーマット変換モジュールに送信する。
ステップ9.)データフォーマット変換モジュールが、送信された金額データのデータフォーマットをCPUカードフォーマットから論理暗号化カードフォーマットに変換して、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに転送する。
ステップ10.)論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、転送されたCPUカード金額データを用いて論理暗号化記憶領域を更新する。更新に成功した場合は、次のステップに移行する。更新に失敗した場合は、CPU制御の記憶領域が、バックアップしておいた金額データを用いて現在の金額データを復元し、CPUカード読取装置に操作失敗情報を返送し、次のステップに移行する。
ステップ11.)プロセスを終了させる。
【0030】
本発明の装置と方法によれば、論理暗号化カードシステム内に記憶させたデータとCPUカードシステム内に記憶させたデータの間で、一致性を実効的に確保できる。また、論理暗号化記憶領域のデータに対する操作が、一時的に両記憶領域内データの非同期をもたらすが、CPU制御の記憶領域内データに対する操作によって両記憶領域内データを常にも同期させることができ、ユーザが非同期の存在に気づくことはない。
【0031】
以上、説明したのは、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明には他の多くの実施例が挙げられる。例えば、実施分野は、財布アプリケーションに限定されず、電力計、水量計等の分野のような1枚のスマートカードによって種々の異なるカード読取装置とデータインタラクションを行うすべての分野に適用することができる。また、本発明のアプリケーションは、論理暗号化カードシステムとCPUカードシステムとの間のデータの同期に限定されず、CPUカードシステムと他のカードデータリーダ・ライタシステム(例えばカード読み取り専用システム)との間のデータ同期にも適用できる。この場合、関連フローチャートは、本実施例と実質的に同様であり、本発明の保護範囲内に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUカード読取装置と通信を行うためのCPUカードシステム、及び論理暗号化カード読取装置と通信を行うための論理暗号化カードシステムを具備するCPU/論理暗号化両用スマートカードであって、
前記CPUカードシステムは、CPUカードのデータを記憶するためのCPU制御の記憶領域を有し、前記論理暗号化カードシステムは、論理暗号化カードのデータを記憶するための論理暗号化記憶領域を有し、
前記CPUカードシステムは、更に前記CPU制御の記憶領域と前記論理暗号化記憶領域に対してデータ同期を行うためのデータ同期装置を有し、
前記データ同期装置は、前記CPU制御の記憶領域と前記論理暗号化記憶領域にそれぞれ接続されていることを特徴とするCPU/論理暗号化両用のスマートカード。
【請求項2】
前記データ同期装置は、
前記論理暗号化記憶領域における論理暗号化カードのデータに対する読取り・書込みを行う論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールと、
前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュール及び前記CPU制御の記憶領域に対して制御を行い、該CPU制御の記憶領域と該論理暗号化記憶領域のデータインタラクションを行うCPUコマンド処理モジュールと、
前記論理暗号化カードのデータと前記CPUカードのデータとの間でフォーマット変換を行うデータフォーマット変換モジュールとを備えており、
前記CPUコマンド処理モジュールは、前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して該論理暗号化記憶領域のデータを読取って前記データフォーマット変換モジュールに送り、
前記データフォーマット変換モジュールは、送られたデータを前記CPU制御の記憶領域に転送し、
前記CPUコマンド処理モジュールは、更にCPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードのデータをデータフォーマット変換モジュールを介して論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに送信し、
前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールは、送信されたCPUカードのデータを論理暗号化記憶領域に書込むことを特徴とする請求項1に記載のCPU/論理暗号化両用のスマートカード。
【請求項3】
CPUカードシステムが、毎回CPUカード読取装置と通信を行う前に、論理暗号化カードのデータを呼び出してCPUカードのデータを更新する手順(1)と、
CPUカードシステムが、CPUカード読取装置と通信を行い、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ読取りである場合は、プロセスを終了させ、通信内容がCPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正である場合は、次の手順に移行する手順(2)と、
CPUカードデータを呼び出して論理暗号化カードデータを更新する手順(3)と、を有することを特徴とするCPU/論理暗号化両用のスマートカードのデータ同期方法。
【請求項4】
前記手順(1)は、
CPUコマンド処理モジュールが、論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールを制御して、論理暗号化記憶領域のデータを読取り、そのデータをデータフォーマット変換モジュールに送る手順(11)と、
前記データフォーマット変換モジュールが、送られた前記データのデータフォーマットを論理暗号化カードフォーマットからCPUカードフォーマットに変換し、そのデータをCPU制御の記憶領域に転送して、前記CPU制御の記憶領域におけるデータを更新する手順(12)と、を有することを特徴とする請求項3に記載のCPU/論理暗号化両用のスマートカードのデータ同期方法。
【請求項5】
前記手順(2)は、
通信内容が前記CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正である場合、前記CPU制御の記憶領域が現在のデータをバックアップした後、CPUカード読取装置によるCPUカードのデータ修正を許可し、
修正に成功した場合は、前記手順(3)に移行し、修正に失敗した場合は、バックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させることを特徴とする請求項3に記載のCPU/論理暗号化両用のスマートカードのデータ同期方法。
【請求項6】
前記手順(3)は、
前記CPUコマンド処理モジュールが、CPU制御の記憶領域を制御して、CPUカードのデータを前記データフォーマット変換モジュールに送信する手順(31)と、
前記データフォーマット変換モジュールが、送信された前記データのデータフォーマットをCPUカードフォーマットから論理暗号化カードフォーマットに変換して、そのデータを前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールに転送する手順(32)と、
前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、転送された前記CPUカードのデータを前記論理暗号化記憶領域に書込む手順(33)と、を有することを特徴とする請求項3に記載のCPU/論理暗号化両用のスマートカードのデータ同期方法。
【請求項7】
手順(33)は、
前記論理暗号化記憶領域へのアクセス制御モジュールが、前記CPUカードデータを論理暗号化記憶領域に書込み、
書込みに成功した場合は、プロセスを終了させ、書込みに失敗した場合は、前記CPU制御の記憶領域がバックアップしておいたデータを用いて現在のデータを復元し、プロセスを終了させることを特徴とする請求項5又は6に記載のCPU/論理暗号化両用のスマートカードのデータ同期方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−515130(P2010−515130A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543327(P2009−543327)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003490
【国際公開番号】WO2008/077306
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(507287744)北京握奇数据系統有限公司 (5)
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WATCH DATA SYSTEM CO, LTD.
【Fターム(参考)】