説明

CRF1受容体アンタゴニストとしてのチアゾールピラゾロピリミジン

本発明は、式Iの化合物、その医薬組成物、ならびに精神障害および神経内分泌系障害、神経系疾患およびメタボリックシンドロームの治療における副腎皮質刺激ホルモン放出因子1(CRF1)受容体アンタゴニストとしてのその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神障害および神経内分泌系障害、神経系疾患およびメタボリックシンドロームの治療におけるCRF1受容体アンタゴニストとしての新規なチアゾールピラゾロピリミジン化合物、その医薬組成物およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は、脳下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチン(POMC)由来のペプチド分泌の主要な生理的調節因子である41アミノ酸のペプチドである。下垂体でのその内分泌の役割に加えて、CRFの免疫組織化学的局在から、このホルモンが中枢神経系の幅広い視床下部外分布を有し、脳での神経伝達物質または神経修飾物質としての役割と整合した広い範囲の自律神経的効果、電子生理的効果および行為への効果を生じることが証明された。免疫系における生理的、心理的、および免疫学的ストレス因子に対する反応を統合する面でCRFが重要な役割を果たすという証拠もある。
【0003】
CRFは、うつ病および神経不安症を含めた精神障害および神経系疾患、ならびにアルツハイマー病、ハンチントン病、進行性核上麻痺、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、癲癇、片頭痛、アルコール濫用および薬物濫用および関連する禁断症状、肥満、メタボリックシンドローム、先天性副腎過形成、クッシング病、高血圧、発作、過敏性大腸症候群、ストレスにより誘発される胃潰瘍、月経前症候群、性的機能不全、早産、炎症性障害、アレルギー、多発性硬化症、内臓痛、睡眠障害、下垂体部腫瘍または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群および線維筋痛に関連付けられてきた。
【0004】
CRF受容体亜型(CRF1およびCRF2)が確認されており、これらは脳内に不均一に分布しており、これは機能的多様性の可能性を示唆している。例えば、広く分布した脳CRF1受容体は、環境ストレス因子への曝露に付随する情動性に強く関係する。重要なことは、CRF2受容体ではなくCRF1受容体が、不安惹起様行動の選択を媒介するように見えることである。より離散的な中隔/視床下部分布および別の内在性リガンドの入手可能性は、CRF2受容体の異なる機能的な役割を示唆する。例えば、CRF1受容体よりもCRF2受容体に対して優先的な親和性を有する新規なCRF族の神経ペプチドが、選択的なCRF1アゴニズムで観察される行動活性化の外観を生成することのなく食欲を抑制することが報告されている。他の場合には、CRF2アゴニズムは、CRF1アンタゴニストまたはCRF1遺伝子欠失について報告されている効果に類似の効果をもたらす。例えば、CRF2アゴニストが抗肥満薬として提唱されてきたが、CRF1アンタゴニストも同様に肥満に対する重要な治療法であるかも知れない。
【0005】
CRFアンタゴニストとして有用な特定のピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン、およびピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンが特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第94/13676号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/29109号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/08847号パンフレット
【特許文献4】国際公開第98/03510号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、CRF1受容体アンタゴニストとして有用な新規なチアゾールピラゾロピリミジンを提供する。上記からみて、精神障害および神経内分泌系障害、神経系疾患およびメタボリックシンドロームの治療のための潜在的に有益な治療薬としてのCRF1の新しい有効かつ選択的なアンタゴニストを発見することが望ましい。さらに、大多数の市販のCNS薬および心臓脈管薬が好適でないバイオアベイラビリティおよび薬物動態プロフィールを呈するため、公知のCRFアンタゴニスト(例えばCP154526およびNBI30775)よりも好ましいバイオアベイラビリティおよび薬物動態プロフィールを有する新規化合物を発見することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明は、式Iの化合物
【化1】

(式中、RおよびRは独立に、エチルまたはn−プロピルであり、Rは水素、Cl、Br、メチル、トリフルオロメチルまたはメトキシであり、Rは水素、Br、RN−、メトキシメチル、n−ブチル、アセトアミド、ピリジン−4−イル、モルホリン−4−イル、
【化2】

であり、RおよびRは独立に、水素、C−Cアルキル、HNCHCH−、(CHCOC(O)NHCHCH−、またはCHCHCHNHCHCH−である)またはその薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩と、薬理学的に許容できる賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、患者のうつ病、不安症、アルコール濫用または薬物濫用、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、過敏性大腸症候群、癲癇、発作、睡眠障害、アレルギー、片頭痛、月経前症候群、不妊性、性的機能不全、先天性副腎過形成、クッシング病、早産、ストレスにより誘発される胃潰瘍、炎症性障害、下垂体または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛、内臓痛または多発性硬化症を治療する方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩を投与することを含む、方法に関する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、うつ病、不安症、アルコール濫用または薬物濫用、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、過敏性大腸症候群、癲癇、発作、睡眠障害、アレルギー、片頭痛、月経前症候群、不妊性、性的機能不全、先天性副腎過形成、クッシング病、早産、ストレスにより誘発される胃潰瘍、炎症性障害、下垂体または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛、内臓痛または多発性硬化症の治療のための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用に関する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、うつ病、不安症、アルコール濫用または薬物濫用、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、過敏性大腸症候群、癲癇、発作、睡眠障害、アレルギー、片頭痛、月経前症候群、不妊性、性的機能不全、先天性副腎過形成、クッシング病、早産、ストレスにより誘発される胃潰瘍、炎症性障害、下垂体または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛、内臓痛または多発性硬化症の治療において使用するための、式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩に関する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、治療用の式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記で使用したように、そして本発明の説明全体を通して、以下の用語は、別段の記載がない限り以下の意味を有するものと理解されるものとする。
【0015】
「アルキル」は、鎖中に1〜5個の炭素原子を有する、直鎖であってもよく分枝鎖であってもよい飽和脂肪族炭化水素基を意味する。
【0016】
「薬理学的に許容できる賦形剤」とは、製剤特性を高めるための薬理学的に許容できる製剤担体、溶液、または添加剤を指す。かかる賦形剤は、その製剤の他の成分と適合するものでなければならならず、その服用者に有害であってはならない。かかる賦形剤は、当業者に周知である(例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences,第19版,Mack Publishing Company,1995を参照)。
【0017】
「薬理学的に許容できる塩」とは、本発明の化合物の比較的無毒な無機および有機の酸付加塩、ならびに塩基付加塩を指す。これらの塩は、その化合物の最終の単離および精製段階でその場で調製することができる。特に酸付加塩は、遊離塩基形態の精製した化合物を適切な有機酸または無機酸と別個に反応させ、こうして生成した塩を単離することにより調製することができる(例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences,第19版,Mack Publishing Company,1995を参照)。
【0018】
「治療上有効量」または「有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的反応または医学的反応、あるいはそれらに対する所望の治療効果を引き起こす、本発明の式Iの化合物または本発明の式Iの化合物を含有する医薬組成物の量を意味する。
【0019】
「治療」、「治療する」、「治療すること」などの用語は、障害の進行を遅くすることおよび回復に向かわせることの両方を含むことが意図されている。これらの用語はまた、たとえ障害または病状が実際に解消されないとしても、そしてたとえその障害または病状の進行がそれ自体で遅くならず回復に向かわないとしても、その障害または病状の1つ以上の症状を緩和すること、改善すること、軽減すること、解消すること、または低下させることをも含む。「治療」と言う用語および類似の用語は、防止的(例えば予防的)治療および苦痛緩和目的の治療も含む。疾患の予防は、その疾患の症状の発症を引き延ばすかまたは遅延させることをもたらす。
【0020】
分子構造における記号
【化3】

は、その特定の置換基についての結合位置を示す。
【0021】
任意の可変因子が任意の構成要素または式Iにおいて2回以上出現する場合、それぞれ現れるときのその定義は、他で現れるときのその定義とは独立である。また、置換基および/または可変因子の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容できる。本発明の化合物を選択する際に、当業者は、種々の置換基、すなわちR、Rなどが化学構造連結性の周知の原理に適合して選択されるべきであることを認識するであろう。
【0022】
本開示全体を通して使用する標準的な命名法の下では、指定された側鎖の末端部分が最初に記載され、次に、隣接する官能性が結合点に向かって記載される。例えば、アリールカルボニルアミノアルキル置換基はアリール−C(O)−NH−アルキル−と等価である。
【0023】
本発明は以下の実施形態を企図しているが、それらは別様にさらに組合せることができる:
(a)RおよびRがエチルである式Iの化合物;
(b)RおよびRがn−プロピルである式Iの化合物;
(c)RがCl、Br、メチルまたはトリフルオロメチルである式Iの化合物;
(d)RがClである式Iの化合物;
(e)RがBrである式Iの化合物;
(f)RがRN−、ピリジン−4−イル、モルホリン−4−イル、または
【化4】

である式Iの化合物;
(g)Rがモルホリン−4−イルである式Iの化合物;
(h)R
【化5】

である式Iの化合物;
(i)RおよびRが独立にC−Cアルキルである式Iの化合物;
(j)RおよびRがエチルであり、RがClであり、Rがモルホリン−4−イルである式Iの化合物;
(k)RおよびRがn−プロピルであり、RがClであり、Rがモルホリン−4−イルである式Iの化合物;
(l)RおよびRがエチルであり、RがBrであり、Rがモルホリン−4−イルである式Iの化合物;
(m)RおよびRがn−プロピルであり、RがBrであり、Rがモルホリン−4−イルである式Iの化合物;
(n)RおよびRがエチルであり、RがCl、R
【化6】

である式Iの化合物;
(o)RおよびRがn−プロピルであり、RがClであり、R
【化7】

である式Iの化合物;
(p)RおよびRがエチルであり、RがBrであり、R
【化8】

である式Iの化合物;
(q)RおよびRがn−プロピルであり、RがBrであり、R
【化9】

である式Iの化合物;
(r)うつ病または神経不安症を治療するための式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用;
(s)アルコール濫用または薬物濫用を治療するための式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用;
(t)アルコール濫用または薬物濫用および関連する禁断症状を治療するための式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用;
(u)CRF1結合について500nM以下のKi値を示す式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;
(v)CRF1結合について50nM以下のKi値を示す式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;
(w)CRF1結合について5nM以下のKi値を示す式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;
(x)CRF1結合について500nM以下のKi値を示し、かつCRF2よりもCRF1に対して選択的に結合する(すなわち、より小さいKi)式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;
(y)CRF1結合について50nM以下のKi値を示し、かつCRF2よりもCRF1に対して選択的に結合する(すなわち、より小さいKi)式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;
(z)CRF1結合について5nM以下のKi値を示し、かつCRF2よりもCRF1に対して選択的に結合する(すなわち、より小さいKi)式Iの化合物またはその薬理学的に許容できる塩;ならびに/あるいは
(aa)いくつかの公知のCRFアンタゴニスト(例えば、CP154526およびNBI30775)よりも優れたバイオアベイラビリティおよび薬物動態プロフィールを有する特定の例示された化合物(実施例15など)。
【0024】
本発明の化合物は、種々の経路によって投与される医薬組成物として処方されることが好ましい。かかる組成物は経口投与用のものであることが好ましい。かかる医薬組成物、およびかかる医薬組成物を調製するためのプロセスは当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaroら編集,第19版,Mack Publishing Co.,1995を参照)。
【0025】
式Iの化合物は、一般的に広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、1日当りの投薬量は、通常、体重1kgあたり約0.0001〜約30mgの範囲に入る。いくつかの例では、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分過ぎる場合があり、他方、ある場合にはさらにより大きい用量が有害な副作用をまったく引き起こすことなく用いられることもあり、それゆえ、上記の投薬量範囲は、本発明の範囲を決して限定することを意図したものではない。実際に投与される上記化合物の量は、治療しようとする病状、選択された投与経路、投与される実際の化合物(複数種であってもよい)、個々の患者の年齢、体重、および反応、ならびに患者の症状の重篤性を含めた関連する状況を考慮して、医師によって決定されるであろうということを理解されたい。
【0026】
式Iの化合物はCRF−1アンタゴニストであり、従って、CRF1受容体の緊張または刺激を低下させることによって治療できる病状の治療のために有用である。脳下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチン(POMC)由来のペプチド分泌の主要な生理的調節因子である41アミノ酸のペプチドである副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)[J.Rivierら, Proc.Natl.Acad.Sci(USA)80:4851(1983);W.Valeら, Science 213:1394(1981)]は、多くの医学的病状と関連付けられている。例えば、下垂体でのその内分泌の役割に加えて、CRFの免疫組織化学的局在から、このホルモンが中枢神経系の幅広い視床下部外分布を有し、脳での神経伝達物質または神経修飾物質としての役割と整合した広い範囲の自律神経的効果、電子生理的効果および行為への効果を生じることが証明された[W.Valeら, Rec.Prog.Horm.Res.39:245(1983);G.F.Koob, Persp.Behav.Med.2:39(1985);E.B.De Souzaら, J.Neurosci.5:3189(1985)]。免疫系における生理的、心理的、および免疫学的ストレス因子に対する反応を統合する面でCRFが重要な役割を果たすという証拠もある[例えば、J.E.Blalock, Physiological Reviews 69:1(1989);J.E.Morley, Life Sci.41:527(1987)を参照]。
【0027】
CRFは、うつ病および神経不安症を含めた精神障害および神経系疾患に関連する[D.M.Nielsen, Life Sci.78:909−919;H.E.Kunzelら, J.Psychiatr.Res.37:525−533;D.R.Gehlertら, Eur.J.Pharmacol.509:145−153]。アルツハイマー病、ハンチントン病、進行性核上麻痺および筋萎縮性側索硬化症の病因および病態生理においてもCRFの役割が前提とされてきた。なぜなら、それらは中枢神経系におけるCRFニューロンの機能不全に関連するためである[総説として、E.B.De Souze, Hosp.Practice 23:59(1988)を参照]。CRFの慢性投与がドーパミン系の機能障害を生み出すことが示されており、これはパーキンソン病における役割を示唆する[E.Izzoら, Pharmacol.Biochem.Behav.81:701−708(2005)]。CRFが関与する他の神経障害としては、癲癇[T.Z.Baramら, Brain Res.770:89−95(1997)]および片頭痛[T.C.Theoharidesら, Endocrinology 136:5745−5750(1995)]が挙げられる。CRFはアルコール濫用および薬物濫用ならびに関連する禁断症状に関連付けられてきた[D.H.Overstreetら, Pharmacol.Biochem.Behav.77:405−413;Y.Shahamら, Psychopharmacology(Berl)137:184−190]。さらに、CRFが種々の内分泌障害および心血管疾患(例えば、肥満[E.TimofeevaおよびD.Richard, Neuroendocrinology 66:327−340(1997)]、メタボリックシンドローム[A.M.Wardら, Metabolism 53:720−726(2004)]、先天性副腎過形成[D.P.MerkeおよびG.B.Cutler Jr., Endocrinol.Metab.Clin.North Am.30:121−135(2001)]、クッシング病[M.Labeurら, Curr.Drug Targets Immune Endocr.Metabol.Disord.4:335−342(2004)]、高血圧[R.J.Briscoeら, Brain Res.881:204−207(2000)]、および発作[S.L.Stevensら, J.Cereb.Blood Flow Metab.23:1151−1159(2003)])において役割を果たす、という証拠がある。胃障害(例えば、過敏性大腸症候群[Y.Tacheら, Eur J.Surg.Suppl:16−22(2002)]およびストレスにより誘発される胃潰瘍[K.E.Gabryら, Mol.Psychiatry 7:474−483,433(2002)])は、CRFに関連することが示されている。加えて、CRFが、ヒトの女性の健康の種々の領域、例えば、月経前症候群[F.Facchinettiら, Psychosom.Med.56:418−422(1994)]、不妊症[L.Ghizzoniら, Endocrinology 138:4806−4811(1997)]、性的機能不全[J.E.Jonesら, Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.283:R591−597(2002)]、および早産[P.D.Wadhwaら, Am.J.Obstet.Gynecol.191:1063−1069(2004)]において役割を果たすという指摘がある。CRFが免疫系において重要な役割を果たすという証拠もある。これは、炎症性障害[A.GravanisおよびA.N.Margioris, Curr.Med.Chem.12:1503−1512(2005)]、アレルギー[L.K.Singhら, Brain Behav.Immun.13:225−239(1999)]、多発性硬化症および他の自己免疫障害[C.Benouら, J.Immunol.174:5407−5413(2005)]を治療するための治療的可能性を示す。上述のものに加えて、CRFは、内臓痛[M.Nijsenら, Neurogastroenterol.Motil.17:423−432(2005)]、睡眠障害[T.M.BuckleyおよびA.F.Schatzberg, J.Clin.Endocrinol.Metab.90:3106−3114(2005)]、下垂体部腫瘍または異所性下垂体由来の腫瘍[K.D.Dieterichら, J.Clin.Endocrinol.Metab.83:3327−3331(1998)]、慢性疲労症候群および線維筋痛[G.NeeckおよびL.J.Crofford, Rheum.Dis.Clin.North Am.26:989−1002(2000)]に関連付けられてきた。
【0028】
CRF受容体亜型(CRF1およびCRF2)が確認されており、これらは脳内に不均一に分布しており[D.T.Chalmersら, TIPS 17:166−72(1996)]、これは機能的多様性の可能性を示唆している[S.C.Heinrichsら, Regul.Peptides 71:15(1997)]。例えば、広く分布した脳CRF1受容体は、環境ストレス因子への曝露に付随する情動性に強く関係する[G.Liebschら, Regul.Peptides 59:229−39(1995);D.W.Schulz, PNAS 93:10477−82(1996)]。重要なことは、CRF2受容体ではなくCRF1受容体が、不安惹起様行動の選択を媒介するように見えることである[Heinrichsら, 1997]。より離散的な中隔/視床下部分布[D.T.Chalmersら, J.Neurosci.15(10):6340−50(1995)]および別の内在性リガンドの入手可能性[J.Vaughanら, Nature 378:287−92(1995)]は、CRF2受容体の異なる機能的な役割を示唆する[Heinrichsら, 1997]。例えば、CRF1受容体よりもCRF2受容体に対して優先的な親和性を有する新規なCRF族の神経ペプチドが、選択的なCRF1アゴニズムで観察される行動活性化の外観を生成することのなく食欲を抑制することが報告されている[H.Tezvalら, PNAS 101(25):9468−9473(2004)]。ある場合には、CRF2アゴニズムは、CRF1アンタゴニストまたはCRF1遺伝子欠失について報告されている効果に類似の効果をもたらす[S.C.Heinrichs, Trends in Pharmacological Sciences 20(8):311−5(1999)]。例えば、CRF2アゴニストが抗肥満薬として提唱されてきたが、CRF1アンタゴニストも同様に肥満に対する重要な治療法であるかも知れない[C.Contoreggiら,Neuroendocrinology 80(2):111−23(2004)]。
【0029】
(本発明の化合物の調製)
本発明の化合物のすべては、例えば以下に示す合成経路に従って化学的に調製することができる。しかしながら、以下の考察は、本発明の範囲を限定することは決して意図されていない。例えば、記載された経路の各々についての具体的な合成ステップは、式Iのさらなる化合物を調製するために、異なる様式で組み合わせてもよいし、異なるスキームからのステップと関連させて組み合わせてもよい。各ステップの生成物は、抽出、エバポレーション、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、粉末化、結晶化などを含めた従来の方法によって回収することができる。下記のスキームでは、すべての置換基は、別段の記載がない限り、これまで定義されたとおりであり、適切な試薬は、当該分野で周知であり、かつ認識されている。
【化10】

【0030】
式(6a,b)、式(7)、または式8(a−c)の化合物の形成は、スキーム1に示す反応に従って実施することができる。式(6a,b)、式(7)、または式(8a−c)の適切な化合物は、RおよびRが式Iについて定義されたとおりであり、R3a=HまたはCHであり、R3b=BrまたはCHであり、R3c=H、CH、またはBrである化合物である。
【0031】
スキーム1、ステップ1では、式(1)のピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オンは、不活性溶媒(トルエンなど)中でその溶媒の還流温度でオキシ塩化リンおよびジメチルアニリンを使用して、7−クロロ−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンに変換される。
【0032】
ステップ2では、式(3)(X=ClまたはBr)のGrignard試薬は、不活性溶媒(トルエンなど)中で還流温度で式(2)のクロリドと反応し、式(4)の7−アルキルピラゾロピリミジンを与える。
【0033】
あるいは、式(4)の7−アルキルピラゾロピリミジンは、ステップ3、ステップ4、およびステップ5に示すようにして得ることができる。ステップ3では、アセト酢酸エチルは、塩化マグネシウムの存在下で式(4a)の酸ハロゲン化物でアシル化され、式(4b)のジケト−エステルを与える。式(4b)のジケト−エステルは、Krapcho条件下で脱カルボキシル化され、式(4c)のジケトンを与える。例えば、(4b)は、ジメチルスルホキシド中、約130〜170℃の温度で加熱され、この脱カルボキシル化が実施される。ステップ5では、式(4c)のジケトンは、プロトン性溶媒(メタノール、エタノール、または酢酸など)中で3−アミノ−5−メチルピラゾールと環化され、式(4)の7−アルキルピラゾロピリミジンを与える。好ましい条件では、約0〜60℃の温度で酢酸が使用される。
【0034】
式(4)のピラゾロピリミジンは、ステップ6で、アセトニトリル中の過剰のN−ヨードスクシンイミドを使用して式(5)のヨードピラゾロピリミジンへと官能化される。
【0035】
スキーム1、ステップ7またはステップ8では、式(5)のヨードピラゾロピリミジンは、Negishiクロスカップリング反応でチアゾール亜鉛ハライドと反応し、式(6a)または式(6b)のチアゾリルピラゾロピリミジンを与える(Jensen,J.;Skjaerbaek,N.;Vedso,P. Synthesis 2001,128)。このチアゾール亜鉛ハライドは、当業者に周知の方法を使用して生成される。例えば、ステップ7では、2−トリメチルシラニルチアゾールはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムで処理され、次いでZnClでリチウム−亜鉛交換がなされる。この有機亜鉛試薬は、不活性溶媒(THFなど)中、還流温度で約12〜36時間、パラジウム触媒、例えばジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンの存在下で、式(5)のヨードピラゾロピリミジンと」カップリングされ、式(6a)のチアゾールピラゾロピリミジンを与える。
【0036】
あるいは、ステップ8では、チアゾール亜鉛ブロミドは5−ブロモ−4−メチルチアゾールおよび亜鉛金属を使用して生成され、基本的にステップ7について記載したようにしてNegishiクロスカップリングに用いられ、式(6b)のチアゾールピラゾロピリミジンを与える。
【0037】
スキーム1、ステップ9では、式(6a,b)のチアゾールは臭素化され、R3b=BrまたはCHである式(7)のブロモチアゾールまたはジブロモチアゾールを与える。このチアゾールは、R3aがCHであるかまたはHであるかによって、それぞれ1当量または2当量のN−ブロモスクシンイミドで臭素化される。
【0038】
式(8a−c)のアルキルチアゾールは、式(6a,b)のチアゾールからステップ11で、または式(7)ブロモチアゾールからステップ10で得られる。ステップ10では、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはt−ブチルリチウムによるハロゲン−リチウム交換は、チアゾールリチウム試薬を与え、これはその後、求電子剤(ヨードメチルメチルエーテルまたはヨードブタンのようなアルキルハライドなど)と反応させる。ステップ11では、このチアゾールリチウム試薬は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムを使用して脱プロトン化によって生成され、その後、ヨードメチルメチルエーテルまたはヨードブタンのような求電子剤と反応させる。
【0039】
チアゾール環系が容易に官能化されること、および2−トリメチルシラニル−チアゾール(Dondoni,A.ら,J.Org.Chem.1988,53,1748)などのチアゾール中間体が容易に調製できることは、当業者は理解するであろう。5−ブロモ−4−メチルチアゾールは、酢酸中で4−メチルチアゾールを臭素で臭素化することにより得られる(Collins,I.J.ら,2003年11月13日の国際公開第2003093252号パンフレット)。2,5−ジメチル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン(1)は、還流酢酸中でのアセト酢酸エチルおよび5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミンの縮合により、容易に調製される。
【化11】

【0040】
式(9)、式(10)、または式(11)の化合物の生成は、スキーム2に示す反応に従って実施される。式(9)、式(10)、または式(11)の適切な化合物は、R、R、R、およびRが式Iについて定義されるとおりであり、R3b=BrまたはCHであり、R4a=−NRまたは−N−モルホリニルであり、「het」が示されているように定義される化合物である。
【0041】
ステップ1では、式(7)のブロモチアゾールは、Negishiクロスカップリング反応において複素環式亜鉛試薬とカップリングされ、式(9)のチアゾール複素環を与える。例えば、1−メチル−1,2,4−トリアゾールは、約−80〜−65℃でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムで処理され、次いで塩化亜鉛で処理され、その場で式(7)のブロモチアゾールと反応させる。この反応は、不活性溶媒(THFなど)中で、パラジウム触媒(ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)など)の存在下で実施されることが好ましい。この反応は還流温度まで加温される。あるいは、この複素環式亜鉛試薬は、ハロ複素環(4−ヨードピリジンなど)および亜鉛金属から形成される。
【0042】
スキーム2、ステップ2では、中間体2−ホルミルチアゾールは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはt−ブチルリチウムを使用するハロゲン−リチウム交換、次いでN−ホルミルモルホリンとの反応により形成される。このホルミルチアゾールは、有機アミン(モルホリンなど)の存在下で還元的アミノ化に供され、式(10)のモルホリニルメチルチアゾールを与える。還元的アミノ化は当該技術分野で周知であり、通常、無機水素化ホウ素試薬(水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムなど)を使用して行われる。好ましい条件では、不活性溶媒(ジクロロメタンまたはTHFなど)中でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが使用される。
【0043】
ステップ3では、式(7)のブロモチアゾールは式−NRのアミンまたはモルホリンとの置換反応を受け、式(11)のアミノチアゾールを与える。この反応は、不活性溶媒(THFまたはジオキサンなど)中で、無機塩基(炭酸セシウムなど)を使用して70〜110℃で実施される。
【化12】

【0044】
式(13)、式(14)、または式(15)の化合物の形成は、スキーム3に示す反応に従って実施することができる。式(13)、式(14)、または式(15)の適切な化合物は、R、R、およびRが式Iについて定義されたとおりの化合物である。
【0045】
4−ブロモチアゾール(式(12)のものなど)は他の官能化のために容易に操作されることを当業者は認識するであろう。例えば、ステップ1では、このブロミドは塩化銅(I)で脱ハロゲン化することができ、式(13)のチアゾールを得ることができ、このチアゾールは、その後N−クロロスクシンイミドでクロロ化され、式(14)の4−クロロチアゾールを与える。
【0046】
スキーム3、ステップ3では、式(12)の4−ブロモチアゾールは、不活性溶媒(ジメチルホルムアミドなど)中、約100〜120℃でメタノール中のヨウ化銅(I)の存在下、ナトリウムメトキシドで置換され、式(15)の4−メトキシチアゾールを与える。
【化13】

【0047】
式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(20a)、または式(21)の化合物の形成は、スキーム4に示す反応に従って実施することができる。式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(20a)、または式(21)の適切な化合物は、R、R、R、およびRが式Iについて定義されたとおりであり、R4aが−NRまたは−N−モルホリニルであり、「het」が示されているように定義される化合物である。
【0048】
スキーム4、ステップ1では、式(5)のヨードピラゾロピリミジンおよび式(16)の5−ブロモチアゾールは、Negishiクロスカップリングを受け、式(17)のジメチルピロリルチアゾールを生成する。例えば、式(16)の5−ブロモチアゾールは、約−80〜−65℃でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムで処理され、次いで塩化亜鉛で処理される。この有機亜鉛試薬は、その場で式(5)のヨードピラゾロピリミジンと反応させる。このカップリング反応は、不活性溶媒(THFなど)中、還流温度で、パラジウム触媒(ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)など)の存在下で実施されることが好ましい。
【0049】
ステップ2では、式(17)のジメチルピロリルチアゾールは脱保護され、式(19)のアミノチアゾールを与える。このジメチルピロールは、酢酸中、約60〜100℃の温度で約4〜8時間、好ましくは約6時間、ヒドロキシルアミンで処理される。ステップ3では、式(18)のチアゾールアセトアミドを生成するために、反応を約72時間継続すること以外はステップ2と同じ条件が使用される。
【0050】
スキーム4、ステップ4では、式(19)の2−アミノチアゾールは、ザンドマイヤー反応の変法を使用して式(20)の2−ブロモチアゾールへと変換される。好ましい条件では、アセトニトリル中、約60〜80℃の温度で亜硝酸アルキル(亜硝酸t−ブチルなど)、および臭化銅(II)が使用される。
【0051】
ステップ5では、式(20)の2−ブロモチアゾールは、式−NRのアミンまたはモルホリンとの置換反応を受け、式(21)のアミノチアゾールを与える。この反応は、不活性溶媒(メタノール、THF、またはジオキサンなど)中で実施されるか、または約70〜110℃の温度で過剰のアミンを用いてニートで処理される。あるいは、この反応は、反応剤としてのアミン、および過剰のトリエチルアミンまたは無機塩基(炭酸セシウムなど)を用いて実施される。式(21)のアミノチアゾールの合成において、種々の脱保護ステップも想起される。例えば、−NRが式Iで定義されるようなさらなるアミン官能性を保有する場合に、上記の反応を実施するのに必要または有益であれば、tert−ブチルエステルカルバミン酸(BOC)を除去することが挙げられる。適切な保護基の選択および使用法は、当該分野で周知であり認識されている(例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis, Theodora Greene(Wiley−Interscience)を参照).
【0052】
スキーム4、ステップ6では、式(20)の2−ブロモチアゾールは、Negishiクロスカップリング反応において複素環式亜鉛試薬とカップリングされ、スキーム2、ステップ1について記載したのと同様にして式(20a)のチアゾール複素環を与える。
【0053】
式(16)の官能化チアゾールは当該技術分野で公知である手段によって調製できることは、当業者は認識しているであろう。例えば、チオ尿素とブロモケトン(3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンなど)との環化は、4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミンを与える。その後の臭素化およびヘキサン−2,5−ジオンを用いたアミンの保護によって(16)が得られる。
【化14】

【0054】
式(23)の化合物の形成は、スキーム5に示す反応に従って実施することができる。適切な式(23)の化合物は、RおよびRが式Iについて定義されるとおりであり、R4bが示されているように定義される化合物である。
【0055】
式(5)のヨードピラゾロピリミジンおよび例えば式(22)の4−クロロ−2−モルホリノ−チアゾールは、クロスカップリングを受け、式(23)のピラゾロピリミジンチアゾールを生成する。例えば、これらの反応物質は、ヨウ化銅、酢酸パラジウム、およびトリフェニルホスフィンの存在下で、塩基(炭酸セシウムなど)を用いてカップリングされる。このカップリング反応は、不活性溶媒(DMFなど)中で約100〜150℃で4〜24時間実施されることが好ましい。
【0056】
式(22)の官能化チアゾールは当該技術分野で公知である手段により調製できることは、当業者は認識しているであろう。例えば、2,4−ジクロロチアゾールをモルホリンと反応させることにより、式(22)の2−モルホリノ−チアゾールを得ることができる。また2,4−ジクロロチアゾールをすべて臭素化して2,5−ジブロモ−4−クロロチアゾールを得ることもできる。引き続きTHF中−90℃で、n−ブチルリチウムによる臭素−リチウム交換および水でのクエンチによって、2−ブロモ−4−クロロチアゾールが得られる[J.Chem.Soc.Perkin Trans I:Org Bioorg.Chem.(1972−1999),(2):215−219(1992)]。2−ブロモ−4−クロロチアゾールは、複素環式亜鉛試薬とのNegishiクロスカップリング反応を受けてチアゾール−2−イルトリアゾールまたはチアゾール−2−イルピリジンを与えることもできる。
【化15】

【0057】
式(27)の化合物の形成は、スキーム6に示す反応に従って実施することができる。適切な式(27)の化合物は、RおよびRが式Iについて定義されるとおりであり、「het」がそれぞれステップ1またはステップ3について示されるとおりに定義される化合物である。
【0058】
スキーム6、ステップ1では、例えば式(25)の複素環式チアゾールは、式(5)のヨードピラゾロピリミジンと式(24)のブロモチアゾールとの反応により得られる。この反応は、N−ブチルアンモニウムブロミドおよび塩基(酢酸カリウムなど)の存在下で、パラジウム触媒(酢酸パラジウムなど)およびトリス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ホスファンを用いて、不活性溶媒(N−メチルピロリジノンなど)中で約100−150℃の温度で行われる。
【0059】
あるいは、ステップ2では、式(6a)のチアゾリルピラゾロピリミジンはヨウ素化され、式(26)の2−ヨードチアゾールを与える。このチアゾールは、不活性溶媒(THFなど)中で、−70〜−80℃の温度でリチウムジイソプロピルアミドで約1時間処理され、次いでほぼ同じ温度でN−ヨードスクシンイミドで処理される。これに続いて、スキーム2、ステップ1について記載した条件と同様のNegishiクロスカップリング条件を使用して式(25)のトリアゾリルチアゾールまたは4−ピリジルチアゾールが形成されるステップ3が実施される。
【0060】
スキーム6、ステップ4では、式(25)のチアゾリルピラゾロピリミジンは臭素化され、式(27)のブロモチアゾールを与える。この臭素化は、不活性溶媒(アセトニトリルなど)中で少量の酢酸の存在下でN−ブロモスクシンイミドを使用して行われる。
【0061】
het=2,5−ジメチル−ピロール−1−イルである式(27)の化合物は、スキーム4のステップ2、ステップ3、ステップ4、およびステップ5に記載するようにさらに変換され、本発明の化合物を得ることができる。
【0062】
式(24)の複素環チアゾールは当該技術分野で公知である手段により容易に調製できることは、当業者は認識しているであろう。例えば、チアゾール−2−カルボン酸アミドは1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチル−メタンアミンと環化してトリアゾールを形成することができ、これは次にN−メチル−ヒドラジンで処理されてトリアゾリルチアゾールを与え、これは次にN−ブロモスクシンイミドで臭素化することができる。文献の手順によって、4−チアゾール−2−イル−ピリジンが得られ、これを臭素化して4−(5−ブロモ−チアゾール−2−イル)−ピリジンを得ることができる。5−ブロモ−2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−チアゾールは、2−アミノ−5−ブロモチアゾールとヘキサン−2,5−ジオンとの反応により容易に得ることができる。
【0063】
本願明細書で使用する場合、「TLC」とは薄層クロマトグラフィを指し、「HPLC」とは高速液体クロマトグラフィを指し、「LC/MS」とは液体クロマトグラフィ/質量分析を指し、「GC/MS」とはガスクロマトグラフィ/質量分析を指し、「HR−ToF」とは高分解能飛行時間型を指し、「APCI」とは大気圧化学イオン化を指し、「δ」とはテトラメチルシランから低磁場へのppmを指し、「THF」とはテトラヒドロフランを指し、「EtOAc」とは酢酸エチルを指し、「MeOH」とはメタノールを指し、「EtOH」とはエタノールを指し、「DMF」とはジメチルホルムアミドを指す。
【実施例】
【0064】
さらに詳述することはしないが、当業者は前述の説明を使用して本発明を完全に実施できると考えられる。以下の調製例および実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提供される。それらは、本発明を例示することを意図しており、本発明を限定することは決して意図していない。試薬および出発物質は、当業者には容易に入手できるものであるか、または容易に合成できるものである。実施例1〜実施例35は代表的な化合物を提供し、その調製を例示する。実施例A〜実施例Dは、本発明の化合物の生物学的特性を測定するために使用することができる種々の生物学的試験を例示する。当業者は、実施例に記載された手順から適切なバリエーションをすぐに認識するであろう。本発明の化合物の名称は、ChemDraw Ultra(登録商標)バージョン7.0.1によって提供されたものである。塩は、遊離塩基に共役酸を加えて命名した。
【0065】
(調製例1)
2,5−ジメチル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン
温度を25−28℃に維持しながら、アセト酢酸エチル(128g、0.98mol)を5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(100g、0.95mol)の酢酸溶液(500mL)に滴下した。この混合物を還流状態で10時間加熱し、室温まで冷却した。この反応液を、温度を10℃より低く保って、5℃に冷却したtert−ブチルメチルエーテル(5L)に加えた。5℃で1時間撹拌し、濾過した。生成した物質を真空中で一晩乾燥し、白色固体(158g、96%)を得た。
【0066】
(調製例2)
7−クロロ−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
トルエン(150mL)中の2,5−ジメチル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン(10.0g、61.3mmol)の懸濁液にN,N−ジメチルアニリン(9.7mL、76.7mmol)を加えた。オキシ塩化リン(11.2mL、122.6mmol)をこの白色懸濁液に滴下した。不活性雰囲気下で3時間還流させ、室温まで冷却し、減圧を使用してこの反応液を褐色油状物にまで濃縮した。この油状物を酢酸エチル(250mL)に溶解し、1.0N NaOHを用いて塩基性にした。この有機相を分離し、この塩基性の水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。この有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し褐色固体を得た。フラッシュクロマトグラフィを使用して、20%増分の段階勾配で80%ヘキサン/20%(30%THF/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(30%THF/ヘキサン)を用いて溶出してこの生成物を精製し、淡緑色固体(6.65g、59%)を得た。ES/MS m/z(35Cl)182.3(M+1)
【0067】
(代替的手順)
2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン(20g、122mmol)を1,4−ジオキサン(60mL)に加えた。この混合物を22℃で10分間撹拌し、それからN,N−ジエチルアニリン(20.8mL、128mmol)を加えた。さらに5分間撹拌し、それからオキシ塩化リン(11.7mL、126mmol)を15分間かけて加えた。この混合物を22℃で15分間撹拌し、それから35分間かけて80〜85℃に加熱し、反応液をこの温度で1.5時間保持した。冷却した反応混合物を、添加の間温度を5℃より低く保って、0〜5℃に冷却したリン酸水素二カリウム(106.7g、612.82mmol)の水溶液(325mL)にゆっくり加えた。この混合物を22℃で撹拌し、メチル−t−ブチルエーテル(150mL)を加えた。この有機層を分離し、水層をメチル−t−ブチルエーテル(2×100mL)で抽出した。有機部分を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/酢酸エチル(2/1)を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィによって精製し、標題の化合物を黄色固体(20.7g、88%)として得た。ES/MS m/z(35Cl)182(M+1)
【0068】
(調製例3)
7−(1−プロピル−ブチル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化16】

還流冷却器を備えたオーブン乾燥したフラスコに無水THF(40mL)、ヨウ素(触媒量)、マグネシウムリボン(1.92g、78.9mmol)および4−ブロモヘプタン(9.4mL、52mmol)を入れた。この反応液をオイルバス中で加熱して還流させた。この反応液の温度は、Grignard反応が開始すると、急上昇した。この反応液を90℃でさらに4時間撹拌し、室温まで冷却した。マグネシウム金属を沈降させ(遠心分離することもできる)、アルゴンの陽圧でこのGrignard試薬を無水トルエン(20mL)中の7−クロロ−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(4.80g、26.3mmol)を入れたフラスコにカニューレで移動させた。この反応液を不活性雰囲気下で一晩還流させた。反応液を室温まで冷却し、水でクエンチした。酢酸エチル(150mL)で希釈し、水(100mL)および飽和塩化アンモニウム(50mL)を加えた。層分離させ、この水相をジクロロメタン(75mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、20%増分の段階勾配で80%ヘキサン/20%(20%酢酸エチル/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(20%酢酸エチル/ヘキサン)を用いて生成した残渣を溶出して精製し、黄色結晶(3.08g、48%)を得た。ES/MS m/z 246.3(M+1)
【0069】
(代替的手順)
THF(100mL)中のマグネシウム削りくず(3.5g、144mmol)と触媒量のヨウ素(100mg)との混合物を窒素雰囲気下で65℃に加熱した。数滴のニートの4−ブロモヘプタンを加え、反応が開始するまでこの混合物を加熱した。次いで、THF(42mL)中の4−ブロモヘプタン(17.6mL、94.9mmol)の溶液を、温度を65〜70℃に保って2時間かけて加えた。この混合物をさらに1時間還流させ、この反応液を22℃まで冷却した。調製したGrignard試薬を、0℃に冷却したTHF(60mL)中の7−クロロ−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(10.2g;53.3mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。カニューレを用いてこのマグネシウム試薬溶液を、温度を10℃より低く保って、45分間かけて加えた。この混合物を5℃でさらに30分間撹拌した。この混合物に10%塩化アンモニウム水溶液(重量/重量)(125mL)を加え、22℃で30分間撹拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥した。この混合物を濾過し、溶媒をエバポレーションした。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(5/1)の溶離液を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製し、標題の化合物(8g、62%)を得た。ES/MS m/z 246(M+1)
【0070】
(調製例3a)
7−(1−プロピル−ブチル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
(代替的経路)
ステップ1:3−アセチル−3−オキソ−4−プロピル−ヘプタン酸 エチルエステル
塩化マグネシウム(14.63g、153.70mmol)をジクロロメタン(500mL)に加え、次いでアセト酢酸エチル(19.55mL、20.00g、153.79mmol)をすべて一度に加え、室温で1時間撹拌した。この混合物を氷水浴で冷却し、ピリジン(24.86mL、24.32g、307.39mmol)を滴下した。ジ−n−プロピルアセチルクロリド(25.00g、153.70mmol)を窒素下で0℃でこの白色スラリーに滴下した。添加終了後、冷却浴を取り除き、周囲温度まで加温し、16時間撹拌した。この反応液を1N HCl(400mL)でクエンチし、最下層を分離した。この有機部分を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、黄色油状物(34g、86%)を得た。この物質を、さらに精製することなく直接次のステップで使用した。
【0071】
ステップ2:5−プロピル−オクタン−2,4−ジオン
3−アセチル−3−オキソ−4−プロピル−ヘプタン酸 エチルエステル(32.4g、126.39mmol)をジメチルスルホキシド(100mL)および水(5mL)に溶解させた。この溶液を150℃で6〜8時間加熱するか、または反応をGC/MSにより追跡した。反応液を冷却し、ヘプタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機部分を水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。50℃で真空下で濃縮し、ヘプタンのほとんどを除去した。23.29gの油状物を得て、直接次のステップで使用した。
【0072】
ステップ3:7−(1−プロピル−ブチル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
5−プロピル−オクタン−2,4−ジオン(15g、81.40mmol)を酢酸(15mL)中で混合し、氷浴中で冷却した。5−アミノ−3−メチルピラゾール(7.91g、81.40mmol)を少しずつ加え、周囲温度で撹拌した。3時間後、反応の完結をGC/MSでチェックした。GCは、基準試料と比べることによって、正しい位置異性体の生成を示した。過剰の酢酸を留去した。水(50mL)を加え、ヘプタン(50mL)で抽出した。このヘプタンをブライン(50mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、粗油状物(15.8g、79%)を得た。H NMR(CDCl):6.39(s,1H);6.31(s,1H);3.75(m,1H);2.55(s,3H);2.45(s,3H);1.71(q,4H);1.23(m,4H);0.85(t,6H)。
【0073】
以下の化合物を、基本的に調製例3に記載したようにして、いずれかの手順を使用して、調製した。3−ブロモペンタンを使用して、Grignard試薬を調製した。
【0074】
【表1】

【0075】
(調製例5)
7−(1−プロピル−ブチル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
7−(1−プロピル−ブチル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(3.08g、12.5mmol)を無水アセトニトリル(25mL)に溶解させ、N−ヨードスクシンイミド(4.2g、18.7mmol)を10分間隔で6回(各回に0.70gずつ)に分けて加えた。週末にわたって室温で撹拌した。アセトニトリルを留去し、油状物をジクロロメタン(100mL)で希釈した。飽和塩化アンモニウム溶液(2×50mL)で洗浄した。有機相を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、暗赤色油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィを使用して、50%増分の段階勾配で100%ヘキサン/0%(20%酢酸エチル/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(20%酢酸エチル/ヘキサン)を用いて溶出してこの油状物を精製し、橙色油状物(10.97g、87%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):6.42(s,1H),3.74−3.70(m,1H),2.58(s,3H),2.46(s,3H),1.74−1.68(m,4H),1.28−1.14(m,4H),0.84(t,J=7.0Hz,6H)。
【0076】
基本的に調製例5に記載したようにして、以下の化合物を調製した。
【0077】
【表2】

【0078】
(調製例6についての代替的手順)
酢酸(1mL)およびN−ヨードスクシンイミド(6.7g、29.9mmol)を、アセトニトリル(60mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(6g、27.5mmol)の溶液に一度に加えた。この混合物を22℃で2時間撹拌した。溶媒をエバポレーションし、残渣を水(50mL)およびメチル−t−ブチルエーテル(100mL)に取り込んだ。有機部分を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(9.2g、96%)を得た。ES/MS m/z 344(M+1)
【0079】
(調製例7)
2−トリメチルシラニル−チアゾール
滴下ロートおよび温度計を備えた3つ口フラスコ中で、n−ブチルリチウム(20.4mL、51.0mmol、2.5M ヘキサン溶液)をジエチルエーテル(50mL)と混合した。−78℃に冷却し、ジエチルエーテル(50mL)中のチアゾール(4.25g、50.0mmol)の溶液を滴下した。添加終了後、この反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いでクロロトリメチルシラン(5.4g、50.0mmol)を加えた。−78℃で1時間撹拌し、それから室温まで加温した。飽和炭酸水素ナトリウムを加えることにより、この反応液をクエンチした。水層をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。蒸留によって精製し、8.33g(52〜56℃/15mmHg)の標題の化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)8.13(d,1H,J=2.6Hz),7.54(d,1H,J=2.6Hz),0.43(s,9H)。
【0080】
(調製例8)
5−ブロモ−4−メチルチアゾール
臭素(9.27mL、182mmol)を、酢酸(30mL)中の4−メチルチアゾール(15.0g、152mmol)の溶液に0℃で加えた。この反応混合物を室温までゆっくり加温し、一晩撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、1N NaOHおよびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン/酢酸エチル(5/1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物(9.94g、37%)を得た。H NMR(400 MHz,CDCl):δ 8.69(s,1H),2.43(s,3H)。
【0081】
(調製例9)
チアゾール−2−カルボン酸 エチルエステル
トルエン(1350mL)中の2−トリメチルシリルチアゾール(135g、858.1mmol)の混合物に、トルエン(1350mL)中のクロロギ酸エチル(98.4mL、1.03mol)の溶液を15分かけて加えた。この反応液を22℃で2時間撹拌した。この溶液を炭酸ナトリウムの25%(重量/重量)水溶液(5L)の上へ加え、30分間撹拌した。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(2×1L)で再抽出した。有機層を合わせ、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(134g、99%)を得た。ES/MS m/z 158(M+1)
【0082】
(調製例10)
チアゾール−2−カルボン酸アミド
チアゾール−2−カルボン酸 エチルエステル(150g、0.9mol)をメタノール(75mL)および30%水酸化アンモニウム水溶液(750mL)の混合物に加え、この混合物を還流状態で1時間加熱した。22℃まで冷却し、メタノールを真空下でエバポレーションした。この混合物を室温で30分間撹拌し、固体を濾過した。単離した固体を真空下で乾燥し、標題の化合物(98g、85%)を得た。ES/MS m/z 129(M+1)
【0083】
(調製例11)
1−メチル−5−チアゾール−2−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチル−メタンアミン(240mL)を10℃に冷却し、チアゾール−2−カルボン酸アミド(60g、421mmol)を3回に分けて加えた。この混合物を10℃で30分間撹拌した。この混合物を45分間かけて徐々に還流するまで加熱した。生成したメタノールを留去し、この反応液を100℃で1.5時間加熱した。この混合物を60℃まで冷却し、過剰の1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチル−メタンアミンを真空蒸留によって除去した。残渣を22℃まで冷却し、ヘキサン(200mL)を加えた。この混合物を15分間粉末化し、濾過し、固体を一定重量になるまで乾燥し、その後次のステップで使用した。
【0084】
上で単離した固体(68g)を酢酸(680mL)に加え、その混合物を10℃に冷却した。N−メチル−ヒドラジン(27mL、509mmol)を、温度を15℃より低く保つような速度で加えた。この混合物を30分間かけて20℃まで加温し、次いで徐々に90℃まで加熱した。90℃で30分間撹拌し、22℃まで冷却した。酢酸を真空蒸留によって除去した。この残渣を水に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより、pH=8に調整した。水層をメチル−t−ブチルエーテル(3×600mL)で抽出した。有機層を合わせ、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/イソプロパノール(9/1)の溶離液を使用して、シリカゲルクロマトグラフィによりこの生成した残渣を精製し、標題の化合物(49g、70%)を得た。ES/MS m/z 167(M+1)
【0085】
(調製例12)
5−(5−ブロモ−チアゾール−2−イル)−1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール
メチル−5−チアゾール−2−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール(6.55g;39.4mmol)およびジメチルホルムアミド(32mL)の混合物に、N−ブロモスクシンイミド(14g、78.8mmol)を1時間かけて3回に分けて加えた。混合物を22℃で18時間撹拌し、それから0〜5℃に冷却した水(300mL)に加えた。水層を分離し、メチル−t−ブチルエーテル(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、7%炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(9.5g、93%)を得た。ES/MS m/z (79Br/81Br)245/247(M+1)
【0086】
(調製例13)
2,5−ジメチル−3−[2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
5−(5−ブロモ−チアゾール−2−イル)−1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール(6.5g、23.8mmol)および2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(6g、24.5mmol)をN−メチルピロリジノン(58mL)中で混合し、窒素下で撹拌して完全に溶解させた。テトラ−N−ブチルアンモニウムブロミド(5.47g、16.7mmol)および酢酸カリウム(11.8g、119mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下で100℃まで加熱した。熱混合物を3サイクルの真空/窒素パージによって脱気した。酢酸パラジウム(216mg、0.94mmol)およびトリス2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ホスファン(787mg、1.2mmol)を加えた。この混合物を窒素下で、125℃で4時間加熱した。この混合物を22℃まで冷却し、水(750mL)に加えた。水層をメチル−t−ブチルエーテル(3×200mL)で抽出し、有機部分を合わせ、エバポレーションした。ヘキサン/酢酸エチル(4/1)を用いて溶出するシリカゲルパッドを通した濾過によってこの残渣を精製した。生成物を含む画分を合わせ、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(7g、72%)を得た。ES/MS m/z 410(M+1)
【0087】
(調製例14)
2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−3−チアゾール−5−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
無水THF(30mL)に溶解した2−トリメチルシラニルチアゾール(1.765g、11.24mmol)をオーブン乾燥したフラスコに入れ、不活性雰囲気下で−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、4.5mL、11.24mmol)をゆっくり加え、−78℃で30分間撹拌した。無水塩化亜鉛(2.26g、16.58mmol)を一度に加え、−78℃で30分間撹拌した。この反応液を室温まで加温し、30分間撹拌し、7−(1−プロピル−ブチル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.624g、5.18mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン(0.423g、0.518mmol)を加えた。オイルバス(90℃)中で、不活性雰囲気下で一晩還流させた。この反応液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウムを用いてクエンチし、酢酸エチル(150mL)で希釈した。層分離させ、この水層を酢酸エチル(75mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、10%増分の段階勾配で100%ヘキサン/0%(30%THF/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(30%THF/ヘキサン)を用いて溶出してこの生成した残渣を精製し、白色固体(0.720g、42%)を得た。ES/MS m/z 329.0(M+1)
【0088】
基本的に調製例14に記載したようにして、下記の化合物を調製した。
【0089】
【表3】

【0090】
(調製例15についての代替的手順)
n−ブチルリチウム(76.5mL、191mmol、2.5M ヘキサン溶液)をTHF(450mL)中の2−トリメチルシリルチアゾール(30g、191mmol)の溶液に、窒素下、−78℃で加えた。添加の間、温度を−74℃より低く保った。混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで塩化亜鉛、乾燥粉末(39.9g、286mmol)を一度に加え、この混合物を1時間かけて22℃まで加温した。7−(1−エチル−プロピル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(30g、87mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(6.5g、8mmol)を加え、この混合物を窒素下で還流状態で8時間加熱した。混合物を22℃まで冷却し、10%塩化アンモニウム水溶液(450mL)を加えた。この有機層を分離し、水層をメチル−t−ブチルエーテル(2×100mL)で洗浄した。有機部分を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(20.4g、78%)を得た。ES/MS m/z 301(M+1)
【0091】
(調製例16)
7−(1−エチル−プロピル)−3−(2−ヨード−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
リチウム ジ−i−プロピルアミド(150ml;62.4mmol、0.6M THF溶液)の新たに調製した溶液を、THF(100mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−チアゾール−5−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(17.8g、62.4mmol)の混合物に、窒素雰囲気下、−78℃で加えた。添加の間、温度を−74℃より低く保った。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いでTHF(100mL)中のN−ヨードスクシンイミド(15g、63mmol)の溶液を、温度を−74℃より低く保って加えた。この反応液を徐々に22℃まで加温し、次いで塩化アンモニウムの10%水溶液(300mL)を加えた。有機層を分離し、水層をメチル−t−ブチルエーテル(2×200mL)で洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/アセトン(5/1)を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィによってこの生成した残渣を精製し、標題の化合物(15g、60%)を得た。ES/MS m/z 427(M+1)
【0092】
(実施例1)
7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−(4−メチル−チアゾール−5−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
Rieke(登録商標)亜鉛(100mLのTHF中に10g、13.2mL、18.48mmol)を5−ブロモ−4−メチルチアゾール(2.13g、18.48mmol)に加え、還流状態で2時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、遠心分離によって亜鉛を沈降させた。無水テトラヒドロフラン(10mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(900mg、2.62mmol)中に窒素ガスを吹き込み、上記有機亜鉛ブロミド溶液を加え、次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)(106mg、0.13mmol)を加えた。この反応混合物を還流状態で一晩撹拌し、室温まで冷却した。塩化アンモニウム溶液を反応混合物に加え、ジクロロメタンで抽出した。有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去した。ヘキサン/酢酸エチル(3/1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物(652mg、79%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.80(s,1H),6.48(s,1H),3.63(m,1H),2.57(s,3H),2.43(s,3H),2.40(s,3H),1.85(m,4H),0.90(t,6H,J=7.3Hz)。ES/MS m/z 315(M+1)
【0093】
(調製例17)
3−(2,4−ジブロモ−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−3−チアゾール−5−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(3.15g、9.59mmol)をアセトニトリル(100mL)に溶解させ、N−ブロモスクシンイミド(4.27g、24.0mmol)を一度に加えた。不活性雰囲気下で一晩撹拌し、TLCを用いて反応が完結していることを確認した。減圧下で濃縮し、この油状物をジクロロメタン(150mL)で希釈し、水(75mL)で洗浄した。この有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、100%ヘキサン/0%(30%THF/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(30%THF/ヘキサン)の段階勾配(0−10−15−20−25−30−35−40−45−50−100%の30%THF/ヘキサン)を用いて溶出して、この生成した油状物を精製し、黄色結晶(3.70g、79%)を得た。ES/MS m/z (79Br81Br)486.7(M+1)
【0094】
ジクロロメタンを溶媒として使用したこと以外は基本的に調製例17に記載したようにして、下記の化合物を調製した。
【0095】
【表4】

1.1当量のNBSを使用し、3日間撹拌した。
【0096】
(実施例4)
3−(4−ブロモ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化17】

オーブン乾燥したフラスコに3−(2,4−ジブロモチアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(0.973g、2.00mmol)、無水ジオキサン(20mL)、モルホリン(0.872g、10.0mmol)、および炭酸セシウム(1.95g、6.00mmol)を入れた。オイルバス(105℃)中で、不活性雰囲気下で一晩還流させた。LC/MSを用いて反応が完結していることを確認した。酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄し、この水層を酢酸エチル(50mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、10%増分の段階勾配で100%ヘキサン/0%(40%ジクロロメタン/20%酢酸エチル/メタノール中の2%7N アンモニア/38%ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(40%ジクロロメタン/20%酢酸エチル/メタノール中の2%7N アンモニア/38%ヘキサン)を用いて溶出してこの生成した残渣を精製し、オフホワイトの固体(0.878g、89%)を得た。ES/MS m/z(79Br)491.7(M+1)
【0097】
アミンとして2.0ジメチルアミン/THFまたはモルホリンのいずれかを、溶媒としてTHFまたはジオキサンを使用して、基本的に実施例4に記載したようにして、以下の実施例を調製した。反応は、封管中またはシュレンク管中で行った。
【0098】
【表5】

6当量の炭酸セシウムを使用した。
【0099】
(実施例10)
3−[4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化18】

オーブン乾燥したフラスコに、1−メチル−1,2,4−トリアゾール(0.498、6.00mmol)および無水THF(20mL)を入れ、不活性雰囲気下で−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、2.4mL、6.0mmol)をゆっくり加え、30分間撹拌した。無水塩化亜鉛(1.36g、10.0mmol)を一度に加え、−78℃で30分間撹拌した。この反応液を室温まで加温し、30分間撹拌し、3−(2,4−ジブロモチアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(0.973g、2.00mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン(0.163g、0.200mmol)を加えた。この反応液を、オイルバス(90℃)中で不活性雰囲気下で一晩還流させた。この反応液を室温まで冷却し、水でクエンチし、酢酸エチル(100mL)で希釈した。層分離させ、水層部分をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、10%増分の段階勾配で100%ヘキサン/0%(10%アセトニトリル/40%THF/50%ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(10%アセトニトリル/40%THF/50%ヘキサン)を用いて溶出することにより生成した残渣を精製し、白色固体(0.090g、9%)を得た。ES/MS m/z(79Br)487.7(M+1)
【0100】
(代替的調製例)
アセトニトリル(60mL)中の2,5−ジメチル−3−[2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(6g、14.65mmol)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(2.74g、15.4mmol)を一度に加え、22℃で10時間撹拌した。溶媒をエバポレーションし、残渣を水(50mL)とメチル−t−ブチルエーテル(100mL)との混合物に溶解させた。有機層を分離し、水層をさらなるメチル−t−ブチルエーテル(2×50mL)で抽出した。有機部分を合わせ、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/酢酸エチル(3/1)を用いて溶出するシリカゲルパッドを通した濾過によって、この生成した物質を精製した。生成物を含む画分を合わせ、溶媒をエバポレーションした。ヘプタン(25mL)を加え、この固体を粉末化した。この固体を濾過し、真空下で乾燥し、標題の化合物(5.5g、77%)を得た。ES/MS m/z(79Br/81Br)488/490(M+1)
【0101】
(実施例10a)
3−[4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、塩酸塩
【化19】

3−[4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(750mg、1.54mmol)をアセトン(5mL)に溶解させ、1M HClジエチルエーテル溶液(1.84mL、1.84mmol)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌し、真空中で濃縮した。残渣をジエチルエーテル/ヘキサン=1/1(5mL)に溶解させ、所望のHCl塩(526mg、65%)を結晶化させた。ES/MS m/z(81Br)490(M+1)H−NMR(CDCl):8.20(s,1H),6.82(s,1H),4.21(s,3H),3.64(m,1H),2.49(m,3H),2.44(s,3H),1.75(m,4H),1.96(m,4H),0.81(m,6H)。
【0102】
基本的に実施例10に記載したようにして、以下の化合物を調製した。
【0103】
【表6】

無水塩化亜鉛の代わりにTHF中の0.5M 塩化亜鉛を使用した。80℃で3日間撹拌した。
【0104】
(実施例12)
3−(4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化20】

窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、0.6mL、1.5mmol)をTHF(3mL)中の1−メチル−1,2,4−トリアゾール(124.5mg、1.5mmol)の溶液に−78℃で加え、30分間撹拌した。無水塩化亜鉛(409mg、3.0mmol)を加え、30分間撹拌を続け、室温まで加温し、2時間撹拌した。3−(2,4−ジブロモ−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(229mg、0.5mmol)を加え、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(58mg、0.05mmol)を加え、一晩還流させた。室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウムで洗浄した。有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得た。ヘキサン:酢酸エチル(10:2.5)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物を黄色フォーム状物(77mg)として得た。MS(APCI)m/z(79Br)460.4(M+1)
【0105】
(実施例21からの代替的調製例)
酢酸(1mL)およびN−ブロモスクシンイミド(4.1g、22mmol)を、アセトニトリル(80mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−[2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(8g、21mmol)の溶液に加えた。この混合物を22℃で2時間撹拌した。溶媒をエバポレーションし、水(50mL)およびメチル−t−ブチルエーテル(100mL)を生成した残渣に加えた。有機部分を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションした。生成した残渣をイソプロピルアルコールから再結晶し、標題の化合物(8.7g、90%)を得た。ES/MS(m/z):(79Br/81Br)460/462(M+1)
【0106】
(実施例12a)
3−(4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、p−トルエンスルホン酸
3−(4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(50mg、0.109mmol)をアセトン(3mL)に溶解させた。p−トルエンスルホン酸の0.25M 水溶液(434.4μL、0.109mmol)を加え、生成した混合物を乾固するまでエバポレーションした。酢酸エチル(12mL)を加え、この固体を一部溶解させた。メタノール(1mL)を加え、透明な溶液を得た。結晶が観察されるまで、緩やかなエバポレーションによりこの溶液を濃縮した。この結晶を濾過によって単離し、真空下、25℃で乾燥し、50mgの標題の化合物を得た。
【0107】
以下のHPLC条件を使用してイオンクロマトグラフィによってこの塩の化学量論を決定した:カラム:30℃でのPhenomenex Phenosphere SAX、4.6×150mm;移動相:50%アセトニトリル/50%0.025M リン酸ナトリウム緩衝液(pH=4.5);流量=1.5mL/分;検出:205nmのUV;注入量=5μL;測定時間=3分間。理論量計算値:27.2%トシレート;実測値:28.4%トシレート(3回のHPLC測定の平均)。
【0108】
(実施例13)
{4−クロロ−5−[2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−チアゾール−2−イル}−ジメチルアミン
オーブン乾燥したフラスコに{4−ブロモ−5−[2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−チアゾール−2−イル−ジメチルアミン(0.20、0.44mmol)および無水THF(3.0mL)を入れ、不活性雰囲気下で−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液、0.42mL、0.67mmol)をゆっくり加え、30分間撹拌した。N−クロロスクシンイミド(0.120g、0.889mmol)を一度に加え、−78℃で30分間撹拌した。この反応液を室温まで加温し、5時間撹拌し,その進行をLC/MSを用いてチェックした。酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(50mL)で洗浄し、この水層をジクロロメタン(50mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、10%増分の段階勾配で100%ヘキサン/0%(25%THF/ヘキサン)から0%ヘキサン/100%(25%THF/ヘキサン)を用いて溶出してこの生成した残渣を精製し、白色固体(0.087g、48%)を得た。ES/MS m/z(35Cl)406.0(M+1)
【0109】
上で調製した適切なブロモチアゾールを使用して、基本的に実施例13に記載したようにして、以下の実施例を調製した。
【0110】
【表7】

【0111】
(調製例18)
2,4−ジクロロチアゾール
オキシ塩化リン(240mL)中のチアゾリジン−2,4−ジオン(50g、0.43mol)の混合物を5℃まで冷却し、ピリジン(34mL、0.43mol)を15分間かけて加えた。この混合物を125℃に4時間加熱し、22℃まで冷却した。過剰のオキシ塩化リンを真空蒸留によって除去し、その残渣を5℃まで冷却した水(1L)に加えた。この混合物を塩化メチレン(3×400mL)で抽出した。有機部分を合わせ、溶媒をエバポレーションし、標題の化合物(50g、76%)を得た。EI/MS m/z:(35Cl35Cl/35Cl37Cl/37Cl37Cl)153/155/157(M+1)
【0112】
(調製例19)
4−クロロ−2−モルホリノ−チアゾール
アセトニトリル(425mL)中の2,4−ジクロロチアゾール(34g、0.22mol)の混合物に炭酸カリウム(60.9g、0.44mol)を加え、次いでモルホリン(21.2mL、0.225mol)を30分間かけて滴下した。この混合物を40℃で還流させ、それから22℃まで冷却した。この混合物を濾過し、濾液をエバポレーションした。残渣を、i−プロピルアルコール(60mL)を用いて22℃で1時間粉末化した。固体を濾過し、真空下で一定重量まで乾燥し、標題の化合物(34.5g、76%)を得た。ES/MS m/z(35Cl)205(M+1)
【0113】
(実施例16)
3−(4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化21】

窒素雰囲気下で、3−(4−ブロモ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(116mg、0.25mmol)をTHF(1.5mL)に溶解させ、−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(0.1mL.2.5M ヘキサン溶液、0.25mmol)を加え、−78℃で30分間撹拌した。N−クロロスクシンイミド(33.4mg、0.25mmol)を加え、さらに30分間撹拌し、ゆっくり室温まで加温した。一晩撹拌した後、飽和塩化アンモニウムの溶液を加えることによりこの反応液をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得た。ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル(5:5:2)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物(54mg)を得た。MS(APCI)m/z(35Cl)420.6(M+1)H NMR(400MHz,CDCl):6.44(s,1H),3.79(t,4H,J=4.8Hz),3.63−3.56(m,1H),3.47(t,4H,J=4.8Hz),2.55(s,3H),2.45(s,3H),1.88−1.75(m,4H),0.87(t,6H,J=7.5Hz)。
【0114】
(調製例6からの代替的調製例)
7−(1−エチル−プロピル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、(9g、26.2mmol)および4−クロロ−2−モルホリノ−チアゾール(7.5g、36.7mmol)を、それまでに窒素で脱気しておいたジメチルホルムアミド(90mL)中で混合した。炭酸セシウム(17.8g、55mmol)、ヨウ化銅(250mg、1.31mmol)、トリフェニルホスフィン(550mg、2.09mmol)および酢酸パラジウム(117mg、0.52mmol)を加えた。この混合物を125℃に16時間加熱し、22℃まで冷却した。水(900mL)を加え、メチル−t−ブチルエーテル(3×200mL)で抽出した。有機部分を合わせ、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/酢酸エチル(4/1)を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィによって精製し、標題の化合物(6.4g、62%)を得た。ES/MS m/z(35Cl)420(M+1)
【0115】
(実施例16a)
3−(4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、塩酸塩
3−(4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.40g、3.33mmol)を50℃でアセトン(10mL)に溶解させ、室温まで冷却した。塩化水素(2M ジエチルエーテル溶液、2.0mL、4.0mmol)を加え、超音波処理装置の中で十分に撹拌した。この溶液を少し濃縮し、最少量のジエチルエーテルを加えてHCl塩を結晶化させた。この混合物を冷蔵庫の中で一晩冷却した。さらなる塩化水素(2M ジエチルエーテル溶液、2.0mL、4.0mmol)を加え、冷蔵庫の中で冷却した。この結晶性の物質を濾過し、乾燥して、標題の化合物(1.15g、75%)を得た。ES/MS m/z(35Cl)420(M+1)H NMR(CDCl):9.18(br,1H),6.86(s,1H),3.72(m,4H),3.49(m,1H),3.39(m,4H),2.48(s,3H),2.38(s,3H),1.79(m,4H),0.79(m,6H)。
【0116】
(実施例17)
3−(4−ブロモ−2−ブチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、0.2mL、0.5mmol)を、THF(3mL)中の3−(2,4−ジブロモ−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(230mg、0.5mmol)の溶液に−78℃で加えた。30分後、1−ヨードブタン(138mg、0.75mmol)を加え、1時間撹拌を続けた。室温まで加温し、1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることによりこの反応液をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得た。ヘキサン/酢酸エチル(10/1.5)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物を橙色フォーム状物(78mg)として得た。ES/MS m/z(81Br)437.4(M+1)
【0117】
基本的に実施例17に記載したようにして以下の実施例を調製した。
【0118】
【表8】

【0119】
(実施例19)
7−(1−エチル−プロピル)−3−(2−メトキシメチル−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、0.4mL、1.0mmol)を、THF(3mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−チアゾール−5−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(300mg、1.0mmol)の溶液に−78℃で加えた。30分間撹拌し、1−ヨードメチルメチルエーテル(205mg、1.2mmol)を加えた。撹拌を1時間続け、次いで室温までゆっくり冷却し、一晩撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることによりこの反応液をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して残渣を得た。ヘキサン/酢酸エチル(10/2)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物を黄色フォーム状物(184mg)として得た。MS(APCI)m/z345.3(M+1)
【0120】
(実施例20)
3−(4−クロロ−2−メトキシメチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、174mL、0.43mmol)を、THF(3mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−3−(2−メトキシメチル−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(150mg、0.43mmol)の撹拌した溶液に−78℃で加えた。30分間撹拌し、N−クロロスクシンイミド(87mg、0.653mmol)を加えた。30分間撹拌し、次いでこの反応液を室温までゆっくり加温し、この反応を一晩継続させた。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることによりこの反応液をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得た。ヘキサン/酢酸エチル(10/2)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、標題の化合物(7mg)を得た。MS(APCI)m/z(35Cl)379.3(M+1)
【0121】
(実施例21)
7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−[2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
3−(4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(175mg、0.38mmol)および塩化銅(I)(132mg、1.33mmol)をDMF(5mL)中で混合し、120℃で24時間加熱した。室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄した。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で残渣まで濃縮した。ヘキサン、次いでヘキサン/EtOAc(10/1.8)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、黄色から橙色の固体(45mg)を得た。ES/MS m/z 382.0(M+1)
【0122】
(代替的調製例)
n−ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、57.6mL、144mmol)をTHF(600mL)中のN−メチルトリアゾール(11.95g、144mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、−78℃で加えた。添加のあいだ、温度を−74℃より低く保った。塩化亜鉛の乾燥粉末(26g、192mmol)を一度に加え、この混合物を22℃まで1時間かけて加温した。7−(1−エチル−プロピル)−3−(2−ヨード−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(12.5g、29mmol)およびテトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム触媒(1.15g、0.01mol)を一度に加え、この混合物を窒素下で還流状態で8時間加熱した。この混合物を22℃まで冷却し、水(300mL)を加えた。有機層を分離し、水層をメチル−t−ブチルエーテル(2×200mL)で抽出した。有機部分を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレーションした。ヘキサン/酢酸エチル(4/1)を用い、シリカゲルパッドを通して溶出すことによって精製し、標題の化合物(8g、72%)を得た。ES/MS m/z 382(M+1)
【0123】
(実施例22)
3−(4−クロロ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
バイアル中で、ジクロロメタン(0.5mL)およびアセトニトリル(0.5mL)中の7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−3−[2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(20mg、0.052mmol)およびN−クロロスクシンイミド(7.6mg、0.0569mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。濃縮して残渣を得た。ヘキサン、次いでヘキサン/酢酸エチル(10/1.5)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、標題の化合物(16mg)を得た。ES/MS m/z(35Cl)416.0(M+1)
【0124】
(実施例23)
7−(1−エチル−プロピル)−3−(4−メトキシ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
封管した4mLのバイアル中で、メタノール(3mL)中の3−(4−ブロモ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(162mg、0.35mmol)、ナトリウムメトキシド(57mg、1.05mmol)およびヨウ化銅(I)(67mg、0.35mmol)の混合物を120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、濾過によってこの固体を除去し、濾液を真空下で濃縮した。ヘキサン/THF(10/2)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの残渣を精製した。この生成物をメタノールから再結晶し、標題の化合物(20mg)を得た。ES/MS m/z 416.0(M+1)
【0125】
(調製例20)
4−ブロモ−5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−チアゾール−2−カルバルデヒド
窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液、0.312mL、0.50mmol)を3−(2,4−ジブロモ−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(230mg、0.50mmol)のTHF溶液(2.5mL)に−78℃で加え、30分間撹拌した。N−ホルミルモルホリン(58mg、0.50mmol)のTHF(0.5mL)溶液を加えた。1時間撹拌し、この反応液を−20℃で一晩保存した。この反応液を室温まで加温し、エーテルで希釈し、4N HCl(4mL)を加えることによりクエンチした。層分離させ、有機相を4N HCl(2×4mL)で抽出した。水層部分を合わせ、固体炭酸水素ナトリウムで処理してpH=8〜9にし、ジエチルエーテルで抽出した。すべての有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、残渣まで濃縮した。ヘキサン/ジクロロメタン/酢酸エチル(5/5/1)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、標題の化合物(154mg)を得た。MS(APCI)m/z(81Br)409.0(M+1)
【0126】
(実施例24)
3−(4−ブロモ−2−モルホリン−4−イル−メチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
4−ブロモ−5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−チアゾール−2−カルバルデヒド(150mg、0.368mmol)、モルホリン(35mg、0.405mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(97mg、0.46mmol)をジクロロメタン(3mL)およびメタノール(0.5mL)中で混合した。一晩撹拌し、さらなるモルホリン(35mg、0.405mmol)、およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(97mg、0.46mmol)を加え、さらに4時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し,ジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィを使用して、ジクロロメタン:メタノール中の2M アンモニア(10:1)を用いて溶出してこの生成した物質を精製し、混合物を得た。逆相カラムを使用して、水/アセトニトリル(80/20)から水/アセトニトリル(10/90)を用いて溶出してこの混合物を精製し、標題の化合物(20mg)を得た。ES/MS m/z(81Br)480.0(M+1)
【0127】
(実施例25)
3−(4−ブロモ−2−ピリジン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液、0.312mL、0.5mmol)を、THF(4mL)中の3−(2,4−ジブロモ−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(229mg、0.5mmol)の溶液に−78℃で加えた。30分間撹拌した後、無水塩化亜鉛(264mg、1.5mmol)を加え、撹拌を30分間続けた。この反応液を室温まで加温し、1時間撹拌した。4−ヨードピリジン(103mg、0.5mmol)を加え、次いで1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(ジクロロメタン付加体)(0.40.8mg、0.05mmol)を加えた。この反応液を、還流状態で一晩加熱した。室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得た。ジクロロメタン:メタノール中の2N アンモニア(10:0.75)を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィによってこの粗生成物を精製し、混合物を得た。逆相カラムを使用して,水:アセトニトリル=80:20から水:アセトニトリル=10:90を用いて溶出してこの混合物を精製し、標題の化合物(19mg)を得た。ES/MS m/z(79Br)456.0(M+1)
【0128】
(調製例21)
4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン
チオ尿素(4.0g、52.3mmol)および3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オン(5.5mL、10g、52.3mmol)をエタノール(100mL)に加え、50℃で2時間加熱した。室温まで冷却し、乾固するまで濃縮した。この残渣を水に溶解させ、2M NaOHを用いてpHを12より大きくなるように調整した。ジエチルエーテル(4×)で抽出した。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。生成した物質をシリカゲルクロマトグラフィ(CHCl)によって精製し、標題の化合物(6.9g、79%)を得た。ES/MS m/z 169(M+1)
【0129】
(調製例22)
5−ブロモ−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン、臭化水素酸塩
臭素(2.0mL、6.28g、39.3mmol)を、ジエチルエーテル(60mL)中の4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン(6.0g、35.7mmol)を氷浴で冷却した溶液に滴下した。添加終了後1時間撹拌し、次いで室温まで加温した。固体を濾過によって集め、ジエチルエーテルで洗浄し、標題の化合物(10.5g、90%)を得た。ES/MS m/z(79Br/81Br)247/249(M+1)
【0130】
(調製例23)
5−ブロモ−2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−4−トリフルオロメチル−チアゾール
ヘキサン−2,5−ジオン(3.5mL、3.4g、30.2mmol)を、メタノール(60mL)中の5−ブロモ−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン臭化水素酸塩(9.0g、27.4mmol)の溶液に加えた。室温で一晩撹拌した。リン酸緩衝液(50mL、pH=7)を加えた。生成した沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄した。濾過ケーキをCHClに溶解させ、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、真空下で濃縮し、標題の化合物(8.2g、92%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.91(s,2H),2.27(s,6H)。
【0131】
(実施例26)
3−[2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル]−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化22】

THF(25mL)中の5−ブロモ−2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−4−トリフルオロメチル−チアゾール(2.2g、6.6mmol)の溶液をドライアイス浴中で冷却した。t−ブチルリチウム(1.7M ペンタン溶液、8.5mL、14.5mmol)を滴下した。45分間撹拌し、それから塩化亜鉛(0.5M THF溶液、14.6mL、7.3mmol)を滴下した。5分間撹拌し、冷却浴を取り除いた。30分間撹拌し、次いで7−(1−エチル−プロピル)−3−ヨード−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.5g、4.4mmol)およびビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(450mg、0.9mmol)を加えた。24時間還流させた。反応液を冷却し、この混合物をジエチルエーテルに注ぎ、水(2×)で洗浄した。合わせた水層をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾固するまで真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(75−100%CHClを含むヘキサン)によって生成した残渣を精製し、標題の化合物(1.47g、72%)を得た。HR−ToF−MS m/z C2326S+Hに対する計算値:462.1939、実測値:462.1915。
【0132】
(実施例27)
5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン
ヒドロキシルアミン(2mL、50%水溶液)を、酢酸(10mL)中の3−[2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル]−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.1g、2.3mmol)の溶液に加えた。この反応液を80℃に6時間加熱した。室温まで冷却した。ジエチルエーテルに注ぎ込み、2M NaOH(2×)次に水で1回洗浄した。有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾固するまで真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(40%酢酸エチルを含むヘキサン)によって、生成した残渣を精製し、標題の化合物(0.76g、87%)を得た。ES/MS m/z 384(M+1)
【0133】
(調製例24)
3−(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
アセトニトリル(20mL)中の臭化銅(II)(540mg、2.4mmol)および亜硝酸t−ブチル(0.36mL、310mg、3.0mmol)の混合物を60℃まで加熱した。5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミン(755mg、2.0mmol)を固体で加えた。この反応液を80℃に2時間加熱した。この反応液を冷却し、ジエチルエーテルに注ぎ込み、水(3×)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾固するまで真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィによって、生成した残渣をCHClで精製し、標題の化合物(0.77g、87%)を得た。ES/MS m/z (79Br/81Br)447,449(M+1)
【0134】
(実施例28)
{5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イル}−ジメチル−アミン
メタノール(4mL)中の3−(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(313mg、0.7mmol)、およびジメチルアミン(2M THF溶液、4mL、8mmol)を含む封管した反応管を80℃に2時間加熱した。この反応液を冷却し、真空下で濃縮した。0−30%酢酸エチルを含むCHClを用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィによって生成した残渣を精製し、標題の化合物(0.28g、97%)を得た。HR−ToF−MS m/z C1924S+Hに対する計算値412.1770、実測値:412.1783。
【0135】
反応液を8時間還流させたこと以外は基本的に実施例28について記載したようにして、以下の実施例を調製した。
【0136】
【表9】

【0137】
(実施例30)
N−{5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イル}−アセトアミド
ヒドロキシルアミン(50%水溶液、5mL)を、酢酸(25mL)中の3−[2−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル]−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(2.4g、5.2mmol)の溶液に加えた。この反応を80℃に72時間加熱した。この反応液を室温まで冷却し、ジエチルエーテルに注ぎ込み、2M NaOH(2×)、次いで水で1回洗浄した。有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾固するまで濃縮した。40%酢酸エチルを含むヘキサンを用いて溶出するカラムクロマトグラフィによって、生成した残渣を精製し、標題の化合物(0.28g、13%)を得た。HR−ToF−MS m/z C1922OS+Hに対する計算値426.1575、実測値:426.1565。
【0138】
(実施例31)
(2−{5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミノ}−エチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
【化23】

(2−アミノ−エチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.5mL、506mg、3.2mmol)を、メタノール(1mL)中の3−(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(100mg、0.22mmol)およびトリエチルアミン(0.3mL、222mg、2.2mmol)の溶液に加えた。メタノールをエバポレーションし、80℃に一晩加熱した。反応液を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。10−50% 酢酸エチルを含むCHClを用いて溶出するカラムクロマトグラフィによって生成した残渣を精製し、標題の化合物(0.11g、97%)を得た。ES/MS m/z 527.2(M+1)
【0139】
適切なアミンを使用して、基本的に実施例31に記載したようにして、下記の化合物を調製した。
【0140】
【表10】

EtOH中、還流状態で一晩加熱した。EtOHをエバポレーションし、110℃で24時間加熱した。
**EtOH中、80℃で一晩加熱した。
***HCl塩を調整し、EtOAc/ヘキサンから再結晶した。
【0141】
(実施例33)
−{5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イル}−エタン−1,2−ジアミン、塩酸塩
(2−{5−[7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−4−トリフルオロメチル−チアゾール−2−イルアミノ}−エチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(101mg、0.192mmol)を1M HClメタノール溶液(1mL)に加えた。この反応液を70℃で一晩加熱した。この反応液を冷却し、メタノール/酢酸エチルから真空下で濃縮した。生成した残渣を酢酸エチルを用いて粉末化し、標題の化合物(64mg、78%)を得た。ES/MS m/z 427.0(M+1)
【0142】
基本的に実施例33について記載したようにして、以下の実施例を調製した。
【0143】
【表11】

【0144】
(実施例A)
生体外結合を使用する生体内効力評価
生体内効力を評価するために、生体外結合を使用して本発明の化合物を評価した。D.R.Gehlertら, EJP 509:145−153(2005)に提供された手順を使用して、化合物を経口経路によってラットに投与した。Gehlertらによって記載されたようにして、小脳への125I−ソーバジンの結合を生体外で評価した。例えば、実施例15は、10mg/kgで65%阻害をもたらした。
【0145】
(実施例B)
CRF1フィルター結合法
結合試験を展開するために充分な受容体密度を有する組換え細胞株を生成するという点でのプラスミドベースのヒトCRF1発現の限界は、スタンフォードからライセンス供与されたPhoenixレトロウイルス発現系を用いて克服した。安定なHEK−hCRF1細胞株を使用して膜を調製し、結合反応(200μL)を、以下のとおりに設定した:50μLの125I−ソーバジン(0.2nMの最終濃度)、50μLの化合物および100μLのCRF1膜(25μg/反応)。この反応液を室温で2時間インキュベーションし、前処理したFB Milliporeガラス繊維フィルタープレート(96ウェル)を通して濾過することによって停止させた。このプレートを氷冷した試験緩衝液(50mM トリス、12.5mM NaCl、1mM EDTA、10mM MgCl2、0.05% BSA、pH7.2)で2回洗浄し、一晩風乾し、MicroBetaカウンタ中で100μL Microscint40を用いてカウントした。非特異的結合(NSB)を、0.5μM非標識ソーバジンの存在下で測定した。通常は3回の測定を行い、平均のデータ点をGraph Pad Prismによってプロットした。
【0146】
この試験を使用すると、本発明の例示した化合物は、ローラー/接着細胞において1μM未満のKi(阻害定数)で125I−ソーバジン(4nM)の結合を阻害した。例えば、実施例15は6.2nMのKiを示した。
【0147】
(実施例C)
CRF2フィルター結合法
結合試験を展開するために充分な受容体密度を有する組換え細胞株を生成するという点でのプラスミドベースのヒトCRF2発現の限界は、スタンフォードからライセンス供与されたPhoenixレトロウイルス発現系を用いて克服した。安定なHEK−hCRF2細胞株を使用して膜を調製し、結合反応(200μL)を、以下のとおりに設定した:50μLの125I−ソーバジン(0.2nMの最終濃度)、50μLの化合物および100μLのCRF2膜(25μg/反応)。この反応液を室温で2時間インキュベーションし、前処理したFB Milliporeガラス繊維フィルタープレート(96ウェル)を通して濾過することによって停止させた。このプレートを氷冷した試験緩衝液(50mM トリス、12.5mM NaCl、1mM EDTA、10mM MgCl2、0.05% BSA、pH7.2)で2回洗浄し、一晩風乾し、MicroBetaカウンタ中で100μL Microscint40を用いてカウントした。非特異的結合(NSB)を、0.5μM非標識ソーバジンの存在下で測定した。あるいは、化合物をシンチレーション近接アッセイを使用して評価した。この試験法を、以下のように設定した:50μLの125I−ソーバジン(0.2nM 最終濃度)、50μLの化合物または非標識ソーバジン(NSB)、ならびに250μgのコムギ胚芽凝集素(WGA)SPAビーズおよびCRF2膜(1.5μg/反応)を含む100μL。プレートを4〜5時間室温でインキュベーションし、200×gで10分間遠心分離した。結合した放射活性を、Wallac Triluxシンチレーションカウンタを用いて評価した。通常は3回の測定を行って結合を評価し、平均のデータ点をGraph Pad Prismによってプロットした。最初に固定した濃度で化合物をスクリーニングし、十分な活性が認められると、引き続いて濃度−応答曲線を作成した。
【0148】
本発明の特に例示した化合物をCRF2結合試験で試験したところ、CRF2受容体に対して弱い親和性を示した。例えば、実施例15は、50μMの濃度で11%阻害を示した。この結果は、本発明の化合物が(CRF2よりも)CRF1受容体に対して選択的であることを示唆する。
【0149】
(実施例D)
バイオアベイラビリティおよび薬物動態特性
分布容積(Vdist)は、体内の薬物量を血中または血漿中の薬物濃度に関連付ける。分布容積とは、血中または血漿中と同じ濃度で薬物の全量を体内に含むのに必要とされるであろう流体の体積を指す:Vdist=体内の薬物量/血中または血漿中の薬物濃度(GoodmanおよびGillmanの文献)。10mg用量および10mg/Lの血漿濃度に対しては、分布容積は1リットルになる。分布容積は、その薬物が血管外組織中に存在する程度を反映する。大きい分布容積は、ある化合物が血漿タンパク質結合よりも組織成分に結合しようとする傾向があることを反映する。臨床の場面では、Vdistは定常状態濃度を実現するための負荷用量を決定するのに使用することができる。
【0150】
分布容積について試験するために、雄性Sprague Dawleyラット(N=3)に、1回の1mg/kgの静脈内投与で化合物投与した。複数個の血漿試料を、投与後0.08〜24時間の時点で採取した。この血漿試料をLC/MS/MSによって分析し、血漿濃度を測定した。血漿中の薬物動態計算を行って、Vdistおよび血漿クリアランス(Clp)を含めた薬物動態パラメータを決定した。
【0151】
本発明の化合物は、好適なバイオアベイラビリティプロフィールを有することが好ましい。例えば、市販のCNS薬および心臓脈管薬のほとんどは、ヒトに対して10L/Kg未満のVdistを示す。CRFアンタゴニストと比較して、CP154526(Schulzら, Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),93:10477(1996))およびNBI30775(Chenら, Drug Development Research,65:216(2005))は、別個に分析した場合、それぞれ、114L/Kgおよび76L/KgのラットのVdistを示す。本発明の実施例15は、別個に分析した場合、1mg/kgの1回の静脈内投与後にわずか7.2L/KgのラットVdistを示す。
【0152】
さらに、血漿クリアランス(CLp)は体内からの薬物の除去速度の尺度である。静脈内投与および一次速度式に従うと、血漿クリアランスは、以下の式を用いて決定することができる:CLp=投与量/AUC(式中、AUCは、ゼロから無限大までの時間の関数として血漿中の薬物濃度を表す曲線の下側の全面積である)。参照したCRFアンタゴニストCP154526およびNBI37582は、別個に分析した場合、1回の静脈内投与後にそれぞれ83mL/分/kgおよび306mL/分/kgのラットのクリアランス(CLp)を示すが、他方、本発明の実施例15は、別個に分析した場合、わずか23.6mL/分/kgのラットCLpを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

(式中、
およびRは独立に、エチルまたはn−プロピルであり、
は水素、Cl、Br、メチル、トリフルオロメチルまたはメトキシであり、
は水素、Br、RN−、メトキシメチル、n−ブチル、アセトアミド、ピリジン−4−イル、モルホリン−4−イル、
【化2】

であり、
およびRは独立に、水素、C−Cアルキル、HNCHCH−、(CHCOC(O)NHCHCH−、またはCHCHCHNHCHCH−である)
またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項2】
がCl、Br、メチルまたはトリフルオロメチルである、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項3】
がClまたはBrである、請求項1または請求項2に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項4】
がRN−、ピリジン−4−イル、モルホリン−4−イル、または
【化3】

である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項5】
がモルホリン−4−イルまたは
【化4】

である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項6】
がRN−であり、RおよびRが独立にC−Cアルキルである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項7】
3−[4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル]−2,5−ジメチル−7−(1−プロピル−ブチル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンである、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項8】
3−(4−ブロモ−2−(2−メチル−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンである、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項9】
3−(4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−7−(1−エチル−プロピル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンである、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩と、薬理学的に許容できる賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項11】
患者のうつ病、不安症、アルコール濫用または薬物濫用、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、過敏性大腸症候群、癲癇、発作、睡眠障害、アレルギー、片頭痛、月経前症候群、不妊性、性的機能不全、先天性副腎過形成、クッシング病、早産、ストレスにより誘発される胃潰瘍、炎症性障害、下垂体または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛、内臓痛または多発性硬化症を治療する方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を投与することを含む、方法。
【請求項12】
患者の不安症またはうつ病を治療する方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を投与することを含む、方法。
【請求項13】
患者のアルコール濫用または薬物濫用を治療する方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を投与することを含む、方法。
【請求項14】
治療における使用のための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項15】
うつ病、不安症、アルコール濫用または薬物濫用、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、過敏性大腸症候群、癲癇、発作、睡眠障害、アレルギー、片頭痛、月経前症候群、不妊性、性的機能不全、先天性副腎過形成、クッシング病、早産、ストレスにより誘発される胃潰瘍、炎症性障害、下垂体または異所性下垂体由来の腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛、内臓痛または多発性硬化症の治療において使用するための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項16】
不安症またはうつ病の治療において使用するための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
【請求項17】
アルコール濫用または薬物濫用の治療において使用するための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。

【公表番号】特表2010−504344(P2010−504344A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529316(P2009−529316)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/078605
【国際公開番号】WO2008/036579
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】