説明

CRTH2アンタゴニスト又は部分アゴニストとして使用されるナフチル酢酸

本発明は、式I:(式中、X、Q及びR〜Rは、詳細な説明及び請求の範囲に定義されている通りである)で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関する。本発明は、また、式Z:(式中、R〜Rは、詳細な説明及び請求の範囲に定義されている通りである)で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関する。さらに、本発明は式IとZで表される化合物及びそのような化合物を含有する医薬組成物の製造方法並びに使用方法に関する。式I及びZで表される化合物は、CRTH2受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであり、CRTH2受容体と関連した喘息などの疾患及び障害の処置に有用であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の置換ナフタレン−2−イル酢酸、それらの製造、それらを含有する医薬組成物及びCRTH2アンタゴニスト又は部分アゴニストとしてのその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジンD(PGD2)は、活性化肥満細胞から産生される主要なプロスタノイドであり、アレルギー性喘息及びアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の病因に関与している。ヘルパーT型細胞(CRTH2)で発現している走化性因子受容体相同分子は、プロスタグランジンD受容体の一種であり、2型ヘルパーT(Th2)細胞、好酸球及び好塩基球などのアレルギー性炎症に関与するエフェクター細胞で発現している(Nagata et al., FEBS Lett 459: 195-199, 1999)。それは、Th2細胞、好酸球及び好塩基球のPGD2刺激による走化に関わっていることが示されている(Hirai et al., J Exp Med 193: 255-261, 2001)。さらに、CRTH2は、好酸球のレスピラトリーバースト及び脱顆粒に関係し(Gervais et al., J Allergy Clin Immunol 108: 982-988, 2001)、Th2細胞で炎症性サイトカイン産生を誘導し(Xue et al., J Immunol 175: 6531-6536)、そして好塩基球からのヒスタミン放出を増進する(Yoshimura-Uchiyama et al., Clin Exp Allergy 34:1283-1290)。CRTH2をコードする遺伝子の配列変異は、そのmRNAの安定性に与える影響が異なり、喘息と関連があることが示されている(Huang et al., Hum Mol Genet 13, 2691-2697, 2004)。循環するCRTH2発現T細胞の数が増加することは、また、アトピー性皮膚炎の重症度とも相関している(Cosmi et al., Eur J Immunol 30, 2972-2979, 2000)。これらの知見から、CRTH2はアレルギー性疾患において炎症促進作用を有することが示唆される。従って、CRTH2のアンタゴニスト又は部分アゴニストは、喘息、アレルギー性炎症、COPD、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎などの障害の処置に有用であると考えられている。
【0003】
本発明は、式I:
【化1】

【0004】
(式中、X、Q及びR〜Rは、詳細な説明及び請求の範囲に定義されている)
で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関するものである。本発明は、また、式Z:
【化2】

【0005】
(式中、R〜Rは、詳細な説明及び請求の範囲に定義されている)
で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関するものである。さらに、本発明は、式I及びZで表される化合物並びにそのような化合物を含有する医薬組成物の製造方法及び使用方法に関するものである。式I及びZで表される化合物は、CRTH2受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであり、CRTH2受容体と関連した喘息などの疾患及び障害の処置に有用であることができる。
【0006】
特に明記しない限り、以下の詳細な説明及び請求の範囲で使用する特定の用語及び語句は、以下のように定義する。
【0007】
用語「部分」は、一個以上の化学結合で他の原子又は分子に結合して分子の一部を形成する原子又は化学的に結合した複数の原子からなる基を指す。例えば、式Iの変数R、R及びRは共有結合で式Iのコア構造に結合した部分を指す。
【0008】
一個以上の水素原子を有する特定の部分に関して、用語「置換された」は、その部分の少なくとも一個の水素原子が、別の置換基又は部分で置き換わっていることを指す。例えば、用語「ハロゲンで置換された低級アルキル」は、低級アルキル(以下で定義される)の一個以上の水素原子が、一個以上のハロゲン原子で置き換わっている(すなわち、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、クロロメチルなど)ことを指す。
【0009】
用語「場合により置換されている」は、部分(一個以上の水素原子を有する)の一個以上の水素原子が別の置換基で置換されていてもよいが、必ずしも置換されていなくてもよいことを指す。
【0010】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素部分を指す。特定の実施態様においては、前記アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する。
【0011】
用語「低級アルキル」は、1〜7個の炭素原子を有するアルキル部分を指す。特定の実施態様においては、前記低級アルキルは、1〜4個の炭素原子を有し、別の特定の実施態様においては、前記低級アルキルは、1〜3個の炭素原子を有する。低級アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルが挙げられる。
【0012】
用語「低級シクロアルキル」は、一緒に結合して環構造を形成する、3〜7個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の非芳香族炭化水素環部分を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0013】
用語「低級アルコキシ」は、部分−O−R(式中、Rは上で定義した低級アルキルである)を指す。低級アルコキシ部分の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシが挙げられる。
【0014】
用語「低級アルキルスルホニル」は、部分−S(O)−R(式中、Rは上で定義した低級アルキルである)を指す。低級アルキルスルホニルの例としては、メチルスルホニル及びエチルスルホニルが挙げられる。
【0015】
用語「低級アルコキシカルボニル」は、部分−C(O)−O−R(式中、Rは上で定義した低級アルキルである)を指す。低級アルコキシカルボニルの例としては、tert−ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0016】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードの部分を指す。
【0017】
特に明記しない限り、用語「水素」又は「ヒドロ」はHではなく、水素原子(−H)の部分を指す。
【0018】
特に明記しない限り、用語「前記式で表される化合物(一種)」若しくは「式で表される化合物(一種)」又は「前記式で表される化合物(複数)」若しくは「式で表される化合物(複数)」は、式(特に断りがない限り、任意のそのような化合物の任意の薬学的に許容し得る塩又はエステルを含有する)により定義される化合物の属から選択される任意の化合物を指す。
【0019】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、その遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも別の面でも望ましい塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、好ましくは、塩酸から形成されてもよく、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、N−アセチルシステインなどの有機酸から形成されてもよい。さらに、塩は、無機塩基又は有機塩基をその遊離酸に付加させて調製することもできる。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩として、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンなどの置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態で存在することができる。本発明の化合物は、また、薬学的に許容し得るエステル(すなわち、プロドラッグとして用いられる式Iで表される酸のメチル及びエチルエステル)の形態で存在することもできる。また、本発明の化合物は、溶媒和、すなわち、水和物であってもよい。溶媒和は、製造プロセスの過程で生じるか、あるいは、無水であった式Iで表される化合物が吸湿することにより生じる(水和)。
【0021】
同じ分子式であるが、それらの原子の結合の性質若しくは順序又はそれらの原子の空間的配列が異なる化合物を「異性体」と呼ぶ。それらの原子の空間的配列が異なる異性体を、「立体異性体」と呼ぶ。ジアステレオマーは、一個以上のキラル中心における立体配置が反対でありエナンチオマーとは区別される立体異性体のことである。一個以上の不斉中心を有し、互いに鏡像として重ね合わせることができない立体異性体を「エナンチオマー」と呼ぶ。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、炭素原子が4個の異なる基に結合している場合は、一対のエナンチオマーが考えられる。エナンチオマーは、その不斉中心(一個又は複数)の絶対配置により特徴付けられ、Cahn, Ingold and PrelogのR及びS順位則で記述されるか、あるいは分子がどのように偏光面を回転させるかによって右旋性又は左旋性(すなわち、それぞれ(+)又は(−)−異性体)として記述される。キラル化合物は、単一のエナンチオマー又はそれらの混合物のいずれかで存在することができる。エナンチオマーが同じ比率で含まれる混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0022】
化合物の用語「治療有効量」は、疾患の症状を予防、軽減若しくは改善するのに、又は処置対象の延命に有効な化合物の量を意味する。治療有効量は、当該技術分野の範囲内で決定される。本発明に記載の化合物の治療有効量又は用量は、広範囲で変更可能であり、当該技術分野で公知の方法により決定できる。そのような用量は、各特定の事例において、投与する特定化合物(一種又は複数)、投与経路、処置する症状、並びに処置する患者などの個々の要件に対して調整される。一般に、体重約70Kgの成人への経口又は非経口投与の場合では、約0.1mg〜約5,000mg、1mg〜約1,000mg又は1mg〜100mgの一日用量が適切であるが、必要であればその下限及び上限を超えてもよい。一日用量を単回用量又は分割用量で投与することができ、あるいは、非経口投与については、連続注入で投与することができる。
【0023】
用語「薬学的に許容し得る担体」は、溶剤、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、その他の物質などの製剤投与と適合する任意の及び全ての物質並びに製剤投与と適合する化合物を含むことを意図する。従来媒体又は薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の組成物にそれらを使用することとする。また、本組成物に補助的な活性化合物を含有させることも可能である。
【0024】
それらの組成物の調製に有用な薬学的担体は、固体、液体又は気体であってよい。従って、組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、粉剤、腸溶コーティング又はその他の保護製剤(例えば、イオン交換樹脂に結合、あるいは脂質−タンパク質小胞に封入)、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾルなどの形態とすることができる。担体は、石油、動物油、植物油又は合成油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの様々な油状物から選択することができる。水、食塩水、デキストロース水溶液及びグリコールがとりわけ(血液で等張する場合)注射液用の液体担体として好ましい。例えば、静脈内投与用の製剤には、活性成分(一種又は複数)の無菌水溶液が含まれ、それは固体活性成分(一種又は複数)を水に溶解して水溶液にし、その溶液を滅菌して調製する。適切な薬学的賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、タルク、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物には、防腐剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤、浸透圧調整用の塩、緩衝剤などの従来の医薬添加物を添加してもよい。適切な薬学的担体及びその製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences by E. W. Martin に記載されている。そのような組成物は、投与対象に適切に投与するための適切な剤形を調製するために、どのような場合においても、有効量の活性化合物を適切な担体と一緒に含有する。
【0025】
本発明の方法を実施する際に、有効量の本発明の化合物のいずれか一種、又は本発明の化合物、その薬学的に許容し得る塩若しくはエステルのいずれかを組み合わせて、当該技術分野で一般的で許容される公知の方法のいずれかにより、単独又は組み合わせて投与する。従って、化合物又は組成物は、経口(例えば、口腔)、舌下、非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)、直腸内(例えば、坐剤又は洗浄液により)、経皮(例えば、皮膚電気穿孔)又は吸入(例えば、エアロゾル)により、錠剤及び懸濁剤などの固体、液体又は気体の投与剤形で投与することができる。投与は、任意に、持続的療法での単位用量の形態又は単回投与治療で行うことができる。また、治療用組成物は、パモ酸などの脂溶性塩と併せて油乳剤又は分散剤の形態に、又は皮下又は筋肉内投与用に生分解性の徐放性組成物の形態にすることもできる。
【0026】
詳細に述べると、本発明は式I:
【化3】

【0027】
[式中、
XはOであり、QはC(H)であり、あるいは、XはC(O)であり、QはNであり;
は以下:
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(d)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、
(e)低級アルキルスルホニル、及び
(f)シアノ
からなる群より選択されるものであり;
は水素又は低級アルキルであり;
は以下:
(a)フェニル、ピリジニル又はピリミジニル(ここで、前記フェニル、ピリジニル又はピリミジニルは、(1)ハロゲン、(2)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、(3)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、及び(4)シアノからなる群より独立して選択される一個以上の置換基で場合により置換されている);
(b)低級アルコキシカルボニル;及び
(c)S(O)−R、C(O)−R又はC(O)−N(H)−R{式中、Rは、以下:
(1)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(2)低級シクロアルキル、
(3)(i)ハロゲン又は(ii)フルオロで場合により置換されている低級アルキルで場合により置換されているフェニル、
(4)ベンジル又はフェニルエチル、及び
(5)ピリジニル
からなる群より選択されるものである};
からなる群より選択されるものである]
で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関する。
【0028】
特に明記しない限り、式Iで表される属及びその任意の亜属は、全ての可能な立体異性体(すなわち、(R)−エナンチオマー、(S)−エナンチオマー、ジアステレオマー)並びにそのラセミ及び非ラセミ(scalemic)混合物を包含する。
【0029】
一実施態様においては、本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。ここで、以下の式IA(式Iの亜種):
【化4】

【0030】
(式中、R〜Rは、式Iで定義されたとおりである)
に示すように、XはOであり、QはC(H)である。
【0031】
別の実施態様においては、本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。ここで、以下の式IB(式Iの亜種):
【化5】

【0032】
(式中、R〜Rは、式Iで定義されたとおりである)
に示すようにXはC(O)であり、QはNである。
【0033】
別の実施態様においては、本発明は、Rが水素である式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0034】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフルオロである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0035】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0036】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメトキシである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0037】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメチルスルホニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0038】
別の実施態様においては、本発明は、Rがシアノである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0039】
別の実施態様においては、本発明は、Rが水素である式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0040】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0041】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0042】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフルオロで1回又は2回置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0043】
別の実施態様においては、本発明は、Rがクロロで1回又は2回置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0044】
別の実施態様においては、本発明はRがトリフルオロメチルで1回又は2回置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0045】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメトキシで1回又は2回置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0046】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフェニル環4位で置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。ここで、その位置は、以下の式IC(式Iの亜種):
【化6】

【0047】
(式中、X、Q、R及びRは式Iに定義されているとおりである)
に示されている。
【0048】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rがクロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシでフェニル環4位が置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0049】
別の実施態様においては、本発明は、Rがクロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシでフェニル環3又は5位が置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0050】
別の実施態様においては、本発明は、Rがクロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシでフェニル環3及び5位が置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0051】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−S(O)−Rであり、Rが低級シクロアルキル又はハロゲンで場合により置換されていてもよい低級アルキルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0052】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rが−S(O)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0053】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−S(O)−Rであり、Rがハロゲン又は低級アルキルで場合により置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0054】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−S(O)−Rあり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0055】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−Rであり、Rが低級シクロアルキル又はハロゲンで場合により置換されている低級アルキルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0056】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0057】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−Rであり、Rがハロゲン又は低級アルキルで場合により置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0058】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−Rであり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0059】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−N(H)−Rであり、Rが低級シクロアルキル又はハロゲンで場合により置換されている低級アルキルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0060】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−N(H)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0061】
別の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−N(H)−Rであり、Rがハロゲン又は低級アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0062】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rが−C(O)−N(H)−Rであり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0063】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rがピリジニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0064】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rがアセチルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0065】
さらに特定の実施態様においては、本発明は、Rがtert−ブトキシカルボニルである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0066】
別の独立した実施態様においては、本発明は、また、式Z:
【化7】

【0067】
[式中、
は下記:
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(d)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、
(e)低級アルキルスルホニル、及び
(f)シアノ;
からなる群より選択されるものであり;
は水素又は低級アルキルであり;
はS(O)−R{式中、Rは以下:
(a)フェニル又はベンジル(ここで前記フェニル又はベンジルは、(1)ハロゲン又は(2)フルオロで場合により置換されている低級アルキルの一個以上の置換基で場合により置換されている);及び
(b)フルオロで場合により置換されている低級アルキル
からなる群より選択されるものである}である]
で表される化合物並びにその薬学的に許容し得る塩及びエステルに関する。
【0068】
特に明記しない限り、式Zの属及びその任意の亜属は、全ての可能な立体異性体(すなわち、(R)−エナンチオマー、(S)−エナンチオマー、ジアステレオマー)並びにそのラセミ及び非ラセミ(scalemic)混合物を包含する。
【0069】
本発明は、また、式Zで表される化合物並びにそのような化合物を含有する医薬組成物の製造方法及び使用方法に関する。式Zで表される化合物は、また、CRTH2受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであり、CRTH2受容体と関連した喘息などの疾患及び障害の処置に有用であることができる。
【0070】
一実施態様においては、本発明は、Rが水素である式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0071】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフルオロである式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0072】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメチルである式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0073】
別の実施態様においては、本発明は、Rが水素である式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0074】
別の実施態様においては、本発明は、Rがメチルである式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0075】
別の実施態様においては、本発明は、Rがフェニルである式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0076】
別の実施態様においては、本発明は、Rがベンジルである式Zで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルに関する。
【0077】
一実施態様においては、本発明は、XがOであり、QがC(H)であり、あるいは、XがC(O)であり、QがNであり;Rがハロゲン又はフルオロで場合により置換されている低級アルコキシであり;Rが水素又は低級アルキルであり;Rが下記:
(a)ピリジニル、
(b)S(O)−R、C(O)−R又はC(O)−N(H)−R{式中、Rは(1)低級アルキル、(2)1又は2個のハロゲンで場合により置換されているフェニル及び(3)ベンジル又はフェニルエチルからなる群より選択されるものである}
からなる群より選択されるものである、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩並びにエステルに関する。
【0078】
さらに特定の実施態様においては、本発明は下記:
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−4−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−3−メチル−4−[4−(プロパン−2−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(4−シクロプロパンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[4−(4−シクロペンタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(6−ベンゼンスルホニル−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(6−フェニルメタンスルホニル−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−フェニルメタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(2,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−トリフルオロメチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−トリフルオロメトキシ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(2−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−フェニル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−m−トリル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−3−メチル−4−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(2−エチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−3−メチル−4−[4−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−p−トリル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{4−[4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−3−メチル−4−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(2−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−3−メチル−4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(4−シアノ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
4−(3−カルボキシメチル−7−フルオロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−エタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(プロパン−2−スルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[4−(1−シクロプロパンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−シクロペンタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(ピリジン−3−スルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェニルメタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−プロピオニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−イソブチリル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−シクロプロパンカルボニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−シクロペンタンカルボニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−ベンゾイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(2−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(3−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェニルアセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(2−フルオロ−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(3−フルオロ−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェネチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
からなる群より選択される式I又はZで表される化合物並びに任意のその薬学的に許容し得る塩又はエステルに関する。
【0079】
さらに特定の実施態様においては、本発明は以下:
4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{4−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{6−フルオロ−4−[4−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
{4−[4−(2,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−トリフルオロメチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[4−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェニルメタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェニルアセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
{6−フルオロ−4−[1−(3−フルオロ−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸;
[6−フルオロ−4−(1−フェネチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
からなる群より選択される式Iで表される化合物に関する。
【0080】
本発明に記載の化合物の一般的合成法
一般的に、式I及びZで表される化合物は、以下に説明するスキームに従って調製することができる。特に明記しない限り、式Iで表される化合物の合成に関するX、Q、R、R、R及びRなどの変数は、式Iの属についての上の定義と同様に定義される。同様に、特に明記しない限り、式Zで表される化合物の合成に関するR、R、R及びRなどの変数も、式Zの属についての上の定義と同様に定義される。また、本発明の化合物は任意の従来手段により調製することができ、特定の化合物を合成するための適切なプロセスを実施例で追加して提供する。
【0081】
【化8】

【0082】
式IIaで表される重要な中間体は、スキーム1に従って調製することができる。このプロセスにおいて、パラ置換ベンズアルデヒドIVとコハク酸ジメチル(V)のシュトッベ(Stobbe)縮合により不飽和酸VIが得られ、その後、酢酸ナトリウム(VII)及び無水酢酸(VIII)の存在下で環化して、ナフタレン誘導体IXを生成する。次に、酢酸エステルIXを、脱アセチル化反応で対応するヒドロキシル類似体Xに変換する。ヒドロキシル化合物Xの臭化ベンジル(XI)との求核置換反応と、その後、得られた生成物を水素化アルミニウムリチウム(XII)で還元することでアルコールXIIIが得られる。次に、アルコールXIIIを四塩化炭素(XV)及びトリフェニルホスフィン(XIV)で処理することで塩化物XVIに変換する。塩化物XVIは、メタノール中で、パラジウム触媒カルボニル化反応によりメチルエステルXVIIに変換することができる。ベンジルエーテルXVIIを水素化分解して中間体IIaが得られる。
【0083】
スキーム1に概説する第1工程において、不飽和酸VIは、パラ置換ベンズアルデヒドIVとコハク酸ジメチル(V)を縮合して調製することができる。反応は、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下、メタノール、tert−ブタノール、トルエン又はこれらの混合物などの有機溶媒中、室温〜90℃の温度で、数時間かけて行うことができる(参照文献:Dian, Y. L. et al., Tetrahedron Lett., 32 (1991) 5255)。
【0084】
不飽和酸VIを酢酸ナトリウム(VII)及び無水酢酸(VIII)を用いて、室温〜140℃の温度で、0.5〜12時間かけて処理することで、不飽和酸VIを環化してナフタレン誘導体IXを得ることができる(参照文献:Boger, D. L. et al., J. Org. Chem. 61 (1996) 4894-4912; Kim, M. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 6945-6948)。
【0085】
酢酸エステルIXは、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム又は炭酸水素ナトリウムなどの塩基の存在下、メタノール、水又はこれらの混合物などの溶媒中、室温〜80℃の温度で、10分〜数時間かけて対応するヒドロキシル化合物Xに変換することができる(参照文献:Kim, M. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 6945-6948)。
【0086】
ヒドロキシル化合物Xを臭化ベンジル(XI)で処理し、対応するベンジルエーテルが得られる。反応は、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下、アセトン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、室温〜60℃の温度で、数時間かけて行うことができる。
【0087】
上記ベンジルエーテルを水素化アルミニウムリチウム(XII)で還元してアルコールXIIIが得られる。反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン又はこれらの混合物などの不活性溶媒中、室温〜80℃の温度で数時間かけて行うことができる(参考文献:Chan W. K. et al., J. Med. Chem. 39 (1996) 3756-3768)。
【0088】
塩化物XVIは、アルコールXIIIを、トルエン、アセトニトリル、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランなどの不活性有機溶媒中、0℃〜120℃で数時間かけて、四塩化炭素(XV)及びトリフェニルホスフィン(XIV)で処理することで調製することができる(参考文献:Kozhinov, D. V. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 1378-1379)。
【0089】
塩化物XVIをメタノール中、一酸化炭素(大気圧)下でパラジウム触媒カルボニル化反応させることでメチルエステルXVIIに変換することができる。反応は、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(Pd(PPhCl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))などのパラジウム触媒存在下、トリシクロヘキシルホスフィン又はトリフェニルホスフィンなどのホスフィン配位子の存在下又は非存在下で、室温〜90℃の温度で10分〜数時間かけて行うことができる(参考文献:Kozhinov, D. V. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 1378-1379)。
【0090】
ベンジルエーテルXVIIを水素化分解して中間体IIaが得られる。反応は、10%パラジウム担持炭素存在下、水素(大気圧)下で、酢酸エチル、メタノール又はエタノールなどの有機溶媒中、室温で数時間かけて行うことができる。
【0091】
【化9】

【0092】
式IIbで表される重要な中間体は、スキーム2に従って調製することができる。このプロセスにおいて、パラ置換ベンズアルデヒドIVと2−メチル−コハク酸ジメチル(XVIII)のシュトッベ(Stobbe)縮合により不飽和酸XIXが得られる。不飽和酸XIXをトリフルオロ酢酸無水物(XX)で環化し、その後、水素化ホウ素ナトリウム(XXI)で還元してナフタレン−1−オール誘導体XXIIが得られる。あるいは、ナフタレン−1−オール誘導体XXIIは、酢酸ナトリウム(VII)及び無水酢酸(VIII)で、次に塩基で処理して得ることができる。化合物XXIIを臭化ベンジル(XI)で処理し、その後、水素化アルミニウムリチウム(XII)で還元してアルコールXXIIIが得られる。次に、アルコールXXIIIを、トリフェニルホスフィン(XIV)及び四塩化炭素(XV)で処理することで対応する塩化物XXIVに変換する。塩化物XXIVは、メタノール中、パラジウム触媒カルボニル化反応によりメチルエステルXXVに変換することができる。メチルエステルXXVを水素化分解して中間体IIbが得られる。
【0093】
スキーム2に概説する第1工程において、不飽和酸XIXは、パラ置換ベンズアルデヒドIVと2−メチル−コハク酸ジメチル(XVIII)を縮合して調製することができる。反応は、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下、メタノール、tert−ブタノール、トルエン又はこれらの混合物などの有機溶媒中で、室温〜90℃の温度で、数時間かけて行うことができる(参考文献:Liu, J. et al., Org. Lett. 4 (2002) 3521-3524; Bloomer, J. L. et al., J. Org. Chem. 58 (1993) 7906-7912)。
【0094】
ナフタレン−1−オール誘導体XXIIは、中間体XIXの環化反応と、その後の還元により調製することができる。不飽和酸XIXは、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンなどの不活性有機溶媒中、室温で、トリフルオロ酢酸無水物(XX)及びトリエチルアミンで処理して環化することができる。その後、水素化ホウ素ナトリウム(XXI)の還元は、メタノールなどのアルコール溶媒中、0℃〜室温の温度で行うことができる(参考文献:Fuganti, C. et al., J. Chem. Res. (S) 1998, 638-639)。
【0095】
あるいは、ナフタレン−1−オール誘導体XXIIは、スキーム1に記載の方法と同様にして調製することができる。不飽和酸XIXは、室温〜140℃の温度で、0.5〜12時間かけて、酢酸ナトリウム(VII)及び無水酢酸(VIII)で処理して環化することができる。得られた酢酸エステルは、メタノール、水又はこれらの混合物などの溶媒中、室温〜80℃の温度で、10分〜数時間かけて、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム又は炭酸水素ナトリウムなどの塩基で処理して、対応するヒドロキシル類似体XXIIに変換することができる(参考文献:Boger, D. L. et al., J. Org. Chem. 61 (1996) 4894-4912; Kim, M. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 6945-6948)。
【0096】
ヒドロキシル化合物XXIIを臭化ベンジル(XI)で処理して、対応するベンジルエーテルが得られる。反応は、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下、アセトン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、室温〜60℃の温度で、数時間かけて行うことができる。
【0097】
上記ベンジルエーテルのエステル部分を水素化アルミニウムリチウム(XII)で還元してアルコールXXIIIが得られる。反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン又はこれらの混合物などの不活性溶媒中、室温〜80℃の温度で、数時間かけて行うことができる。
【0098】
アルコールXXIIIと四塩化炭素(XV)との反応は、トリフェニルホスフィン(XIV)の存在下、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンなどの不活性有機溶媒中、0℃〜120℃の温度で、数時間かけて行うことができる(参考文献:Kozhinov, D. V. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 1378-1379)。
【0099】
塩化物XXIVは、メタノール中、一酸化炭素(大気圧)下で、パラジウム触媒カルボニル化反応によりメチルエステルXXVに変換することができる。反応は、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(Pd(PPhCl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))などのパラジウム触媒存在下、トリシクロヘキシルホスフィン又はトリフェニルホスフィンなどのホスフィン配位子の存在下又は非存在下で、室温〜90℃の温度で、10分〜数時間かけて行うことができる(参考文献:Kozhinov, D. V. et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 1378-1379)。
【0100】
ベンジルエーテルXXVを水素化分解して中間体IIbが得られる。反応は、10%パラジウム担持炭素存在下、水素(大気圧)下で、酢酸エチル、メタノール又はエタノールなどの有機溶媒中、室温で、数時間かけて簡便に行うことができる。
【0101】
【化10】

【0102】
あるいは、ヒドロキシル中間体IIbは、スキーム3に従って調製することができる。このプロセスにおいて、ベンズアルデヒドIVと2−メチル−コハク酸ジメチル(XVIII)をシュトッベ(Stobbe)縮合し、その後、加水分解して不飽和二塩基酸XXVIが得られる。不飽和二塩基酸XXVIを環化し、その後、還元して化合物XXIXが得られる。化合物XXIXを四塩化炭素(XV)及びトリフェニルホスフィン(XIV)で処理して対応する塩化物XXXが得られる。塩化物XXXは、パラジウム触媒カルボニル化反応によりメチルエステルIIbに変換することができる。
【0103】
このプロセスにおいて、シュトッベ(Stobbe)縮合は、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、トルエンなどの有機溶媒中、室温で数時間かけて行うことができる。不飽和二塩基酸XXVIは、トルエンなどの有機溶媒中、室温〜100℃の温度で、数時間かけて、縮合生成物を水酸化ナトリウムなどの水性無機塩基で処理することにより得ることができる。
【0104】
二塩基酸XXVIは、二塩基酸を室温で、数時間かけてトリフルオロメタンスルホン酸(XXVII)で処理して環化することができる。
【0105】
中間体XXVIIIのカルボニル部分を水素化アルミニウムリチウム(XII)で還元してアルコールXXIXが得られる。反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン又はこれらの混合物などの不活性有機溶媒中、室温〜80℃の温度で、数時間かけて行うことができる。
【0106】
アルコールXXIXと四塩化炭素(XV)の反応は、トリフェニルホスフィン(XIV)の存在下、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンなどの不活性有機溶媒中、0℃〜120℃の温度で、数時間かけて行うことができる。
【0107】
メチルエステルXVIIの調製についてのスキーム1に記載の方法と同様にして、塩化物XXXをカルボニル化反応により中間体IIbに変換することができる。
【0108】
【化11】

【0109】
あるいは、中間体IIbはスキーム4に従って、4−ヒドロキシ−ナフタレンカルボン酸化合物XXVIII(上記スキーム3で記載したように調製)から調製することができる。XXVIIIをエステル化してナフタレンカルボン酸メチルエステルXXIIが得られる(上記スキーム2に記載)。XXIIをスキーム2に記載の方法を用いて、中間体IIbに変換することができる。
【0110】
中間体XXVIIIは、触媒量の濃硫酸及び過剰のメタノールの存在下、室温〜80℃の温度で、数時間かけて4−ヒドロキシ−ナフタレンカルボン酸メチルエステル中間体XXIIに容易に変換することができる。あるいは、エステル化反応は、チオニルクロリド及び過剰のメタノール存在下、65℃〜80℃の温度で、数時間かけて行うことができる。従って、得られたXXII型の化合物は、上記スキーム2に記載のプロセスを用いて中間体IIbに変換することができる。
【0111】
【化12】

【0112】
重要な中間体IIIは、スキーム5に従って調製することができる。このプロセスにおいて、ヒドロキシル化合物II[上記化合物IIa(R=水素)及びIIb(R=メチル)を含む]をトリフルオロメタンスルホン酸無水物(XXXI)で処理してトリフレートXXXIIを得て、次に、パラジウム触媒カルボニル化反応によりカルボン酸IIIに変換する。
【0113】
ヒドロキシル化合物IIをトリフルオロメタンスルホン酸無水物(XXXI)で処理してトリフレートXXXIIに変換することができる。反応は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ジメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン又は炭酸カリウムなどの塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム又はアセトニトリルなどの適切な溶媒中、−78℃〜室温の温度で、30分〜数時間かけて行うことができる(参考文献:Chan W. K. et al., J. Med. Chem. 39 (1996) 3756-3768)。
【0114】
トリフレートXXXIIは、一酸化炭素(15〜30psi)下、水とN,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドなどの有機溶媒の混合溶媒中、パラジウム触媒カルボニル化反応により酸IIIに変換することができる。反応は、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))などのパラジウム触媒存在下、1,3−ジフェニルホスフィノプロパン又は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどのホスフィン配位子、及びトリエチルアミン又は炭酸カリウムなどの塩基の存在下又は非存在下で、室温〜65℃の温度で、数時間かけて行うことができる(参考文献:Chen L. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 12 (2002) 137-140; Cai C. et al., Tetrahedron 61 (2005) 6836-6838)。
【0115】
【化13】

【0116】
式Iaで表される対象化合物は、スキーム6に従って調製することができる。このプロセスにおいて、酸IIIをオキサリルクロリド又はチオニルクロリドで処理してカルボニルクロリドXXXIIIが得られる。カルボニルクロリドXXXIIIとアミンXXXIVの反応によりアミドXXXVが得られる。保護アミドXXXVは、酸性条件下で対応するアミン塩XXXVIに変換することができる。アミン塩XXXVIをスルホニルクロリドXXXVIIでスルホニル化して、その後、加水分解反応することにより、式Iaで表される対象化合物が得られる。
【0117】
このプロセスの第1工程において、酸IIIをN,N−ジメチルホルムアミドの存在下又は非存在下、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はトルエンなどの不活性有機溶媒中、室温〜110℃の温度で、数時間かけてオキサリルクロリド又はチオニルクロリドで処理することにより、酸IIIをカルボニルクロリドXXXIIIに変換することができる。
【0118】
カルボニルクロリドXXXIIIとアミンXXXIVの反応によりアミドXXXVが生成する。反応は、トリエチルアミン、ピリジン又は4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロメタン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン又はテトラヒドロフラン及びこれらの混合物などの適切な不活性溶媒中、室温で数時間かけて行うことができる。
【0119】
保護アミドXXXVは、酸性条件下で対応するアミン塩XXXVIに変換することができる。反応は、塩化水素のメタノール溶液中又はトリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液中、室温で数時間かけて行うことができる。
【0120】
アミン塩XXXVIをスルホニルクロリドXXXVIIでスルホニル化してスルホンアミドXXXVIIIが得られる。反応は、トリエチルアミン、ピリジン又は4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロメタン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン又はこれらの混合物などの適切な不活性溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0121】
スルホンアミドXXXVIIIを加水分解して式Iaで表される対象化合物が得られる。反応は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの水性無機塩基の存在下、1,4−ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、室温で数時間かけて行うことができる。
【0122】
【化14】

【0123】
式Ibで表される対象化合物は、スキーム7に従って調製することができる。酸IIIとアミンXXXIXのカップリングと、その後の得られたエステルXLの加水分解反応により式Ibで表される対象化合物が得られる。
【0124】
アミドXLは、酸IIIとアミンXXXIXをカップリングさせることにより調製することができる。反応は、ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウム(PyBrop)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0125】
アミドXLのメチルエステル部分を加水分解して式Ibで表される対象化合物が得られる。反応は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの水性無機塩基の存在下、1,4−ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0126】
【化15】

【0127】
式Ic、Id、Ie及びIfで表される対象化合物は、スキーム8に従って調製することができる。このプロセスにおいて、中間体IIaを光延反応によりエーテルXLIIに変換することができる。エーテルXLIIのメチルエステル部分を加水分解して式Icで表される対象の化合物が得られる。XLIIの保護アミン基は、酸性条件下で対応するアミンXLIIIに変換し、その後、塩基で処理して遊離アミンを生成する。アミンXLIIIとカルボニルクロリドXLIVの反応と、その後の加水分解反応により式Idで表される対象化合物が得られる。アミンXLIIIをスルホニルクロリドXLVIでスルホニル化し、その後、加水分解反応により式Ieで表される対象化合物が得られる。アミンXLIIIをイソシアネートXLVIIで処理し、その後、加水分解反応により式Ifで表される対象化合物が得られる。
【0128】
中間体IIaは、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(XLI)を用いた光延反応によりエーテルXLIIに変換することができる。反応は、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)又はアゾジカルボン酸ジ−p−クロロベンジル(DCAD)及びトリフェニルホスフィンの存在下、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルなどの不活性有機溶媒中、室温〜70℃の温度で20分〜数時間かけて行うことができる(Lizarzaburu M. E. et al., Tetrahedron Lett. 43 (2002) 2157-2159)。
【0129】
中間体XLIIは、酸性条件下で処理することにより対応するアミン塩に変換することができる。反応は、塩化水素のメタノール溶液中又はトリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0130】
アミン塩は、塩基で処理することにより対応するアミンXLIIIに変換することができる。遊離アミンは、ジクロロメタン又は酢酸エチルなどの有機溶媒中、室温で、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムなどの塩基水溶液で処理して得ることができる。
【0131】
アミンXLIIIとカルボニルクロリドXLIVの反応によりアミドXLVが得られる。反応は、トリエチルアミン、ピリジン又は4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロメタン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン又はこれらの混合物などの適切な不活性溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0132】
アミンXLIIIをスルホニルクロリドXLVIでスルホニル化して対応するスルホンアミドが得られる。反応は、トリエチルアミン、ピリジン又は4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロメタン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン又はこれらの混合物などの適切な不活性溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0133】
ウレアXLVIIIは、アミンXLIIIをイソシアネートXLVIIで処理して得ることができる。反応は、ジクロロメタン、アセトニトリル又はこれらの混合物などの有機溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0134】
アミドXLV、スルホンアミド及びウレアXLVIIIのメチルエステル部分を加水分解して、それぞれ式Id、Ie及びIfで表される対象化合物が得られる。反応は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの水性無機塩基の存在下、1,4−ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、室温で、数時間かけて行うことができる。
【0135】
【化16】

【0136】
重要な中間体IIb−1(スキーム5において、中間体IIの代わりに使用して式IIIで表される化合物を得ることができる)は、スキーム9に記載するように調製することができる。(4−フルオロ−フェニル)酢酸(XLIX)をオキサリルクロリドで処理して、in situで対応する酸塩化物が得られるが、それは単離することなく塩基の存在下、Wittig型試薬Lで処理することによりアレン誘導体LIが得られる。アレンとマロン酸tert−ブチルエステルエチルエステルの共役付加反応によりトリエステル誘導体LIIが得られ、加水分解と、その後、脱炭酸を行うことで酸誘導体LIIIが得られる。LIIIは、無水酢酸により促進されて環化してナフタレン誘導体LIVを与え、その後、アセチル基を加水分解して重要な中間体IIb−1が得られる。
【0137】
当該技術分野で公知の方法により、(4−フルオロフェニル)酢酸をその対応する酸塩化物誘導体に変換することができる。例えば、反応は、オキサリルクロリド及び触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて、エーテル溶媒中、室温で行うことができる。その後、in situで生成した酸塩化物をN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基で処理して対応するケトンを生成し、エーテル溶媒中、0〜10℃の温度でLなどのWittig型試薬で処理することによりアレン誘導体LIが得られる。
【0138】
トリエステル誘導体LIIを生成する、アレン誘導体LIとマロン酸tert−ブチルエステルエチルエステルの共役付加反応は、カリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下、N,N−ジメチルアセトアミドなどの溶媒中、室温で行うことができる。
【0139】
LIIの2個のエチルエステルのエステル加水分解は、当該技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、反応は、水酸化リチウムなどの水性塩基を用いて、エタノールなどの溶媒の存在下、室温で一晩かけて行うことができる。その後、得られた二塩基酸溶液を数時間、加熱還流することで脱炭酸反応を行ってLIIIが得られる。
【0140】
不飽和酸誘導体LIIIを、上述したように(スキーム2と同様にして)、無水酢酸及び酢酸カリウム又は酢酸ナトリウムの存在下、約85℃の温度で、数時間かけて環化してナフタレンLIVを得ることができる。
【0141】
次に、酢酸エステル誘導体LIVをメタノールなどの溶媒中、室温で、ナトリウムメトキシドなどの塩基で処理して加水分解し、目的の重要中間体IIb−1が得られる。
【0142】
実施例
材料及び使用機器
中間体及び最終化合物は、フラッシュクロマトグラフィー及び/又は分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)のいずれかで精製した。フラッシュクロマトグラフィーは、特に断りのない限り、(1)Biotage SP1(商標)システム及びQuad 12/25 Cartridge module(Biotage AB)又は(2)ISCO CombiFlash(登録商標)クロマトグラフィー装置(Teledyne Isco, Inc.)を使用して行った。使用するシリカゲルの種類及び孔径は、(1)KP−SIL商標(60Å)、粒径:40〜60ミクロン(Biotage AB);(2)Silica Gel CAS登録番号:63231−67−4、粒径:47〜60ミクロン;又は(3)ZCX(Qingdao Haiyang Chemical Co., Ltd)、孔径:200〜300メッシュ又は300〜400メッシュであった。分取HPLCは、Xbridge(商標)Prep C18(5μm、OBD(商標)、30×100mm)カラム(Waters Corporation)又はSunFire(商標) Prep C18(5μm、OBD(商標)、30×100mm)カラム(Waters Corporation)を使用して逆相カラムで行った。
【0143】
質量分析(MS)は、Waters(登録商標)Alliance(登録商標)2795-ZQ(商標)2000(Waters Corporation)を使用して行った。一般的に、質量スペクトルデータは、特に明記しない限り、親イオンを示すだけである。各中間体又は化合物についてのMSデータは、これら中間体又は化合物について言及する箇所に示す。
【0144】
核磁気共鳴分光法(NMR)は、400MHzについてのH-NMRスペクトルを得るために、Bruker Avance 400MHz Digital NMR Spectrometer(Bruker BioSpin)を使用して行った。各中間体又は化合物についてのNMRデータは、これら中間体又は化合物について言及する箇所に示す。
【0145】
マイクロ波反応は、Biotage Initiator(商標)Sixty(Biotage AB)で行った。
【0146】
空気感受性の試薬を使用する反応は全て不活性雰囲気下で行った。特に断りのない限り、試薬は市販品を使用した。
【0147】
I部:好適な中間体の調製
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステルの調製
【0148】
【化17】

【0149】
2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−コハク酸1−メチルエステル
【0150】
【化18】

【0151】
カリウムtert−ブトキシド(27g、242mmol)及びtert−ブタノール(150mL)の還流混合物に、4−フルオロ−ベンズアルデヒド(20g、161mmol)及びコハク酸ジメチル(28g、193.2mmol)のtert−ブタノール(100mL)溶液を滴下した。還流下で3時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮してtert−ブタノールを除去した。残渣を1N塩酸(180mL)に溶解させた。得られた水溶液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−コハク酸1−メチルエステル(25.5g、66%)を明黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.84 (s, 1 H), 7.41 - 7.46 (m, 2 H), 7.13 - 7.20 (m, 2 H), 3.81 (s, 3 H), 3.49 (s, 2 H)
【0152】
4−アセトキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0153】
【化19】

【0154】
2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−コハク酸1−メチルエステル(2g、8.4mmol)の無水酢酸(10mL)溶液に、酢酸ナトリウム(0.83g、10.1mmol)を撹拌しながら加えた。6時間加熱還流した後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣を1N塩酸(20mL)に溶解させた。水溶液を酢酸エチル(15mL×3)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製(勾配溶離:10〜20%酢酸エチル/石油エーテル)して、4−アセトキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.1g、50%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.52 (s, 1 H), 8.00 (dd, J = 9.09, 5.56 Hz, 1 H), 7.89 (s, 1 H), 7.50 (dd, J = 9.85, 2.53 Hz, 1 H), 7.37 (td, J = 8.59, 2.53 Hz, 1 H), 3.99 (s, 3 H), 2.49 (s, 3 H)
【0155】
6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0156】
【化20】

【0157】
4−アセトキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1g、3.8mmol)のメタノール(20mL)溶液にナトリウムメトキシド(309mg、5.7mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を1N塩酸で酸性(pH3)にした。得られた沈殿物を濾取し、酢酸エチルに溶解させた。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して粗生成物の6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル900mgを淡黄色の固体として得た。これはさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0158】
4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0159】
【化21】

【0160】
6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(4.6g、21mmol)及び炭酸カリウム(5.8g、42mmol)の混合物に、アセトン(100mL)中、臭化ベンジル(5.47mL、32mmol)を加えた。窒素雰囲気下、4時間、激しく還流撹拌した後、得られた混合物を室温に冷却し、濾過し、減圧下で濃縮して4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(5.85g、90%)を白色の固体として得た。
【0161】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)メタノール
【0162】
【化22】

【0163】
テトラヒドロフラン(30mL)中、水素化アルミニウムリチウム(1.4g、37.4mmol)のスラリーに、0℃、窒素雰囲気下で、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(5.8g、18.7mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を加えた。窒素雰囲気下、60℃で1時間加熱した後、得られた混合物を0℃に冷却し、1N塩酸で処理し反応をクエンチした。混合物をジエチルエーテル(50mL×4)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)メタノール(4.9g、93%)を白色の固体として得た。
【0164】
1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−ナフタレン
【0165】
【化23】

【0166】
トリフェニルホスフィン(2.8g、10.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(16mL)溶液に、四塩化炭素(5mL)を加えた。混合物を室温で10分撹拌した後、(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)メタノール(1.5g、5.3mmol)の固体を、窒素雰囲気下で加えた。2時間還流下で撹拌した後、得られた混合物を室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水(50mL×2)で洗浄した。集めた水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−ナフタレン(1.4g、87.5%)を白色の固体として得た。
【0167】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0168】
【化24】

【0169】
1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−ナフタレン(5.4g、18mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(630mg、0.9mmol)及び炭酸カリウム(2.6g、18.9mmol)を含むフラスコを脱気した後、一酸化炭素(バルーン)を充填した。メタノール(25mL)及びテトラヒドロフラン(50mL)をシリンジで加えた。一酸化炭素雰囲気下(バルーン)、室温で一晩撹拌した後、反応混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水(50mL×2)で洗浄した。集めた水層を酢酸エチル(150mL)で抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(5.3g、91%)を白色の固体として得た。
【0170】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0171】
【化25】

【0172】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(876mg、2.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に、10%パラジウム担持炭素(132mg)を加えた。得られた混合物を水素(バルーン)雰囲気下、一晩激しく撹拌し、その後濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(601mg、95%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.69 - 7.76 (m, 2 H), 7.30 (s, 1 H), 7.22 - 7.26 (m, 1 H), 6.82 (s, 1 H), 3.74 (s, 3 H), 3.72 (s, 2 H)
【0173】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステルの調製
【0174】
【化26】

【0175】
2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−3−メチル−コハク酸1−メチルエステル
【0176】
【化27】

【0177】
水素化ナトリウム(20g、0.5mol、鉱油中60%)の無水トルエン(200mL)懸濁液に、無水メタノール(0.1mL)を注意深く加えた後、4−フルオロ−ベンズアルデヒド(31g、0.25mol)及び2−メチル−コハク酸ジメチル(60g、0.38mol)の無水トルエン(100mL)溶液を、窒素気流下、室温で加えた。得られた混合物を室温で30分撹拌した後、水(20mL)をゆっくり加えてクエンチした。混合物に濃塩酸を加えて酸性(pH3)にし、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−3−メチル−コハク酸1−メチルエステル(20g、33%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ ppm 7.77 (s, 1 H), 7.54 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 7.25 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 3.82 (q, 7.2 Hz, 1 H), 1.40 (d, J = 6.8 Hz, 3 H)
【0178】
6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0179】
【化28】

【0180】
2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−3−メチル−コハク酸1−メチルエステル(1g、4mmol)の無水テトラヒドロフラン(10mL)溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(3.3g、15.7mmol)を一度に加え、次に、トリエチルアミン(3.3mL、24mmol)を滴下した。室温で4時間撹拌した後、混合物を5%塩酸水溶液で酸性(pH3)にし酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(15mL)に溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(380mg、10mmol)で処理し、1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)及び5%塩酸水溶液(20mL)で希釈した。水相を分離し、酢酸エチル(15mL×3)で抽出した。集めた有機層を食塩水(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン類で溶離)により精製して、6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(740mg、80%)を淡色固体として得た。
【0181】
あるいは、6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルについて上述した方法と同様の方法を用いて、2−(4−フルオロ−ベンジリデン)−3−メチル−コハク酸1−メチルエステルから出発して、6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルを淡色固体として得た。
【0182】
4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0183】
【化29】

【0184】
6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(8.0g、34.2mmol)及び炭酸カリウム(9.45g、68.4mmol)の混合物に、アセトン(100mL)中、臭化ベンジル(4.5mL、37.6mmol)を加えた。窒素雰囲気下、得られた混合物を10時間激しく還流撹拌した。混合物を冷却した後、濾過し、減圧下で濃縮して、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(10.4g、94%)を白色の固体として得た。
【0185】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)メタノール
【0186】
【化30】

【0187】
テトラヒドロフラン(50mL)中、水素化アルミニウムリチウム(1.8g、47.5mmol)のスラリーに、窒素雰囲気下、0℃で、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(10g、30.8mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を加えた。60℃で2時間加熱した後、得られた混合物を0℃に冷却し、1N塩酸で処理し反応をクエンチした。水層をジエチルエーテル(100mL×5)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)メタノール(8.4g、92%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.84 (dd, J = 5.6, 9.2 Hz, 1 H), 7.70 (dd, J = 2.4, 10.0 Hz, 1 H), 7.69 (s, 1 H), 7.40 - 7.50 (m, 5 H), 7.24 (td, J = 2.4, 8.4 Hz, 1 H), 4.99 (s, 2 H), 4.87 (s, 2 H), 2.47 (s, 3 H)
【0188】
1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−2−メチル−ナフタレン
【0189】
【化31】

【0190】
トリフェニルホスフィン(7.1g、27.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(32mL)溶液に、四塩化炭素(10mL)を加えた。混合物を10分撹拌し、窒素雰囲気下、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)メタノール(4g、13.6mmol)の固体を投入した。還流下で2時間撹拌した後、得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を水(50mL×2)で洗浄した。集めた水層を酢酸エチル(150mL)で抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−2−メチル−ナフタレン(3.5g、83%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.83 (dd, J = 5.6, 9.3 Hz, 1 H), 7.71 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.68 (s, 1 H), 7.40 - 7.58 (m, 5 H), 7.25 (td, J = 2.4, 8.8 Hz, 1 H), 5.01 (s, 2 H), 4.79 (s, 2 H), 2.54 (s, 3 H); MS cald. for C19H16ClFO 314, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 315.
【0191】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0192】
【化32】

【0193】
1−ベンジルオキシ−3−クロロメチル−7−フルオロ−2−メチル−ナフタレン(3.3g、10.4mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(360mg、0.5mmol)及び炭酸カリウム(1.52g、11.0mmol)を含むフラスコを、脱気した後一酸化炭素(バルーン)を充填した。メタノール(18mL)及びテトラヒドロフラン(35mL)をシリンジで加えた。一酸化炭素雰囲気下(バルーン)、室温で一晩撹拌した後、得られた混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水(50mL×2)で洗浄した。集めた水層を酢酸エチル(150mL)で抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(3.4g、97%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.80 (dd, J = 5.2, 8.4 Hz, 1 H), 7.70 (d, J = 10.4 Hz, 1 H), 7.40 - 7.59 (m, 6 H), 7.25 (td, J = 2.0, 8.8 Hz, 1 H), 5.00 (s, 2 H), 3.84 (s, 2 H), 3.75 (s, 3 H), 2.42 (s, 3 H); MS cald. for C21H19FO3 338, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 339
【0194】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0195】
【化33】

【0196】
(4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(3.4g、10.0mmol)のメタノール(50mL)溶液に、10%パラジウム担持炭素(0.5g)を加えた。水素(バルーン)雰囲気下、得られた混合物を激しく一晩撹拌し、その後濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(2.44g、98%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.69 - 7.74 (m, 2 H), 7.34 (s, 1 H), 7.21 (td, J = 2.4, 8.4 Hz, 1 H), 5.16 (s, 1 H), 3.82 (s, 2 H), 3.74 (s, 3 H), 2.35 (s, 3 H); MS cald. for C14H13FO3 248, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 249
【0197】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸の調製
【0198】
【化34】

【0199】
(6−フルオロ−3−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0200】
【化35】

【0201】
6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(1.16g、4.7mmol)及びピリジン(1.86mL、23mmol)の無水ジクロロメタン溶液を冷却して(氷水浴)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(929μL、5.5mmol)を、5℃以下に温度を維持してゆっくり滴下した。0℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解させた。得られた溶液を1N塩酸(10mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/石油エーテルで溶離)により精製して、(6−フルオロ−3−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(1.60g、89.5%)を白色の固体として得た。
【0202】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸
【0203】
【化36】

【0204】
(6−フルオロ−3−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(1.0g、2.63mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(148mg、0.27mmol)及び酢酸パラジウム(II)(60mg、0.27mmol)を含むパールボトルを、脱気した後一酸化炭素を充填した。N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)、水(40mL)及びトリエチルアミンをシリンジで加えた。一酸化炭素雰囲気下(30psi)、反応混合物を60℃で4時間振とうした。得られた混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL×3)で抽出した。氷水浴中、集めた水層に12N塩酸をゆっくり加え酸性(pH3)にし、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。集めた有機層を食塩水(150mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸(680mg、94%)を明褐色の粘性油状物として得た。MS cald. for C15H13FO4 276, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 277
【0205】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−カルボン酸の調製
【0206】
【化37】

【0207】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸について記載の方法と同様の方法を用いて、(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステルから出発して、7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−カルボン酸(80mg)を明褐色の粘性油状物として得た。MS cald. for C14H10FO4 262, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 263
【0208】
2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0209】
【化38】

【0210】
2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩
【0211】
【化39】

【0212】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(40.86g、0.3mol)の無水アセトニトリル溶液を−20℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(212mL、1.25mol)をゆっくり滴下して、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(267.5mL、1.54mol)を滴下した。両方の試薬は、内部温度を−10℃以下に維持するように加えた。混合物を−20℃〜−10℃の温度で30分撹拌した後、別のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(267.5mL、1.54mol)を加え、続いて1−フェニル−エチルアミン(76.5mL、0.60mol)を滴下した。両方の試薬は、内部温度を−10℃以下に維持するように加えた。得られた混合物を70℃で2時間加熱し、次に、減圧下で濃縮して溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、溶液を食塩水(500mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:5%〜10%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、明褐色の粘性油状物を得た後、塩化水素のメタノール(150mL、4M)溶液に溶解させ、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(20mL)及び石油エーテル(100mL)で撹拌した後濾過し、回収した固体を減圧下で乾燥して、2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩(43.6g、38.2%)を明褐色の固体として得た。MS cald. for C21H26N2 306, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 307
【0213】
2−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩
【0214】
【化40】

【0215】
2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩(900mg、2.4mmol)、ギ酸アンモニウム(7.2g、114mmol)、10%パラジウム担持炭素(180mg)及びメタノール(30mL)の混合物を含むフラスコを脱気し、アルゴンを充填した。得られた混合物を、TLC及びHPLCで出発物質と目的生成物の量比変化が見られなくなるまで65℃で撹拌した。得られた混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、2−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩及び2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩(750mg)の混合物を明褐色の固体として得た。これは、精製することなく次の工程に用いた。MS cald. for C13H18N2 202, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 203
【0216】
6−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0217】
【化41】

【0218】
1,4−ジオキサン(6mL)及び水(6mL)中、2−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩及び2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン二塩酸塩(700mg)の混合物に、二炭酸ジ−tert−ブチル(600mg、2.75mmol)及び炭酸水素ナトリウム(700mg、8.3mmol)を加えた。室温で一晩撹拌した後、得られた混合物を減圧下で濃縮して有機溶媒を除去し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:5%〜10%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、6−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(238mg、33%)を粘性油状物として、2,6−ビス−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン(250mg)を粘性油状物として得た。
【0219】
2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0220】
【化42】

【0221】
6−(1−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.66mmol)、ギ酸アンモニウム(4.22g、67mmol)、10%パラジウム担持炭素(40mg)及びメタノール(10mL)を含むフラスコを脱気し、アルゴンを充填した。得られた混合物を65℃で3時間撹拌した後濾過し、減圧下で濃縮して、2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(130mg、99%)を褐色の粘性油状物として得た。これはさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0222】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸tert−ブチルエステルの調製
【0223】
【化43】

【0224】
4−(4−フルオロ−フェニル)−2−メチル−ブタ−2,3−ジエン酸エチルエステル
【0225】
【化44】

【0226】
(4−フルオロ−フェニル)酢酸(22.33g、144.9mmol)のメチルtert−ブチルエーテル(100mL)及びDMF(250μL)溶液に、室温で、30分かけてオキサリルクロリド(13.02mL、146.3mmol)を滴下した。得られた混合物を室温でさらに20分撹拌し(HPLCにより反応が完了したことが分かった)、その後、全ての溶液をN,N−ジイソプロピルエチルアミン(50.48mL、289.8mmol)及び2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロピオン酸エチル(50.0g、138.0mmol)のメチルtert−ブチルエーテル(100mL)溶液に、内部温度を0〜15℃に維持しながら1時間かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を0〜10℃でさらに10分撹拌した。この時、HPLCにより反応が完了したことが分かった。次に反応混合物をヘプタン(100mL)で希釈し、0〜10℃で30分撹拌した。得られた固体を濾過しメチルtert−ブチルエーテル:ヘプタン(1:1)(2×100mL)で洗浄した。濾液と洗浄物を合わせて水(100mL)、1Mクエン酸(100mL)、水(2×100mL)で洗浄した後、25℃/60mmHgで共沸濃縮して全容量を〜40mLにした。残渣をメチルtert−ブチルエーテル(60mL)で希釈した。この溶液を次の工程にそのまま用いた。
【0227】
2−エトキシカルボニル−3−[1−(4−フルオロ−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−4−メチル−ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル5−エチルエステル
【0228】
【化45】

【0229】
マロン酸tert−ブチルエステルエチルエステル(30.08g、151.8mmol)を、反応温度を〜25℃に維持しながら、カリウムtert−ブトキシド(16.30g、138.0mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(200mL)溶液に加えた。次に得られた混合物に、反応温度を20〜28℃に維持するように、上記で調製した4−(4−フルオロ−フェニル)−2−メチル−ブタ−2,3−ジエン酸エチルエステル溶液を加えた。添加が完了した後、反応混合物を室温で20分撹拌した。この時HPLCにより反応が完了したことが分かった。次に混合物を1Mクエン酸(100mL)及び氷水(150mL)で処理した後、メチルtert−ブチルエーテル(400mL)で抽出した。有機抽出物を分離し水(2×200mL)で洗浄し、その後濃縮して黄色の油状物(56.36g)を得た。これはさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0230】
3−[1−(4−フルオロ−フェニル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−メチル−ペンタン二酸5−tert−ブチルエステル
【0231】
【化46】

【0232】
上記で調製したマロン酸エステル誘導体(56.36g、138mmol)を無水エタノール(280mL)に溶解させた。水酸化リチウム(1M溶液、414.0mL、414.0mmol)を15分かけてゆっくり加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、溶液を3時間加熱還流した(HPLC分析から脱炭酸が完了したことが分かった)。この段階で、溶液を30℃/30mmHgで濃縮し、溶媒を〜350mL除去した。残渣を10℃に冷却し、pHを2.75に調整するため、濃塩酸(32.0mL、389.7mmol)を滴下して処理した。次に反応混合物をメチルtert−ブチルエーテル(400mL)で抽出した。有機相を分離し水(200mL)で洗浄し、次に、1M炭酸ナトリウム(水150mL)17.00mLで処理し、さらに水(200mL)で洗浄した後、30℃/80mmHgで共沸濃縮して油状物を得た。メチルtert−ブチルエーテル(200mL)を加え、残渣を30℃/80mmHgで共沸濃縮して黄色の油状物(38.3g)を得た。これはさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0233】
(4−アセトキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸tert−ブチルエステル
【0234】
【化47】

【0235】
上記で調製した3−[1−(4−フルオロ−フェニル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−メチル−ペンタン二酸5−tert−ブチルエステル(38.3g、124.2mmol)を無水酢酸(96.00mL、995.3mmol)に溶解させた。この溶液に酢酸カリウム(18.66g、186.3mmol)を加え、反応混合物を85±2℃で10時間撹拌したところ、HPLC分析により反応が完了したことが分かった。次に、反応混合物を室温に冷却しヘプタン(96mL)で希釈した。この溶液の内部温度を〜23℃維持しながら、水(270mL)を1時間かけて加えた。次に反応混合物を0〜5℃に冷却し、2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、次に水(2×40mL)、ヘプタン(2×40mL)で洗浄し、その後、減圧下で乾燥して黄色の固体(28.5g)を得た。これはさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0236】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸tert−ブチルエステル
【0237】
【化48】

【0238】
上記で調製した(4−アセトキシ−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸tert−ブチルエステル(28.4g、85.44mmol)のメタノール(140mL)混合物に、ナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液、23.44mL、102.5mmol)を素早く滴下した。得られた反応混合物を室温で20分撹拌したところ、HPLCから反応が完了したことが分かった。混合物を0℃に冷却し、1N塩酸溶液(111.1mL、111.1mmol)で酸性(pH2)にした。その後、混合物を0〜5℃で30分撹拌した。得られた固体を濾過し、水(2×40mL)で洗浄した後、減圧下で一晩乾燥して(40℃)、明黄色の固体(23.7g)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.09 (s, 1 H), 7.76-7.86 (m, 2 H), 7.26-7.35 (m, 2 H), 3.71 (s, 2 H), 2.23 (s, 3 H), 1.41 (s, 9 H)
【0239】
II部:対象化合物の調製
実施例1−1
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0240】
【化49】

【0241】
(4−クロロカルボニル−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル
【0242】
【化50】

【0243】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸(500mg、1.81mmol)の無水テトラヒドロフラン(10mL)溶液に、オキサリルクロリド(250μL)及びN,N−ジメチルホルムアミド(30μL)を加えた。得られた混合物を60℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮して、(4−クロロカルボニル−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(526mg、99%)を明黄色の固体として得た。これはさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0244】
4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0245】
【化51】

【0246】
(4−クロロカルボニル−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(294mg、1.0mmol)及びピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(279mg、1.5mmol)のジクロロメタン溶液に、トリエチルアミン(458μL、3.3mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:20−40%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(410mg、92%)を白色の固体として得た。
【0247】
[6−フルオロ−3−メチル−4−(ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩
【0248】
【化52】

【0249】
4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(410mg、0.92mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、室温にてトリフルオロ酢酸(2.5mL)で処理し4時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮して、[6−フルオロ−3−メチル−4−(ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩を粘性油状物として得た。これはさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0250】
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル
【0251】
【化53】

【0252】
[6−フルオロ−3−メチル−4−(ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩(45.8mg、0.10mmol)及びエタンスルホニルクロリド(14μL、0.15mmol)のジクロロメタン溶液に、トリエチルアミン(306μL、2.2mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:20−40%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(38mg、87%)を白色の固体として得た。
【0253】
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0254】
【化54】

【0255】
[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(36mg、0.08mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、5N水酸化リチウム(6mL)を加えた。室温で一晩撹拌した後、得られた混合物を5N塩酸で酸性(pH3)にし、酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCで精製(勾配溶離:30〜50%の0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル、8分)して、[4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸(16mg、46%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.95 (dd, J = 8.97, 5.68 Hz, 1 H), 7.87 (s, 1 H), 7.26 - 7.38 (m, 2 H), 3.95 - 4.16 (m, 2 H), 3.90 (s, 2 H), 3.48 - 3.55 (m, 2 H), 3.20 (br. s, 6 H), 2.41 (s, 3 H), 1.34 (t, J,=,7.45 Hz, 3 H); MS cald. for C20H23FN2O5S 422, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 423
【0256】
実施例1−2〜1−17
以下の実施例1−2〜1−19は、実施例1−1と同様にして調製されたもので、4−フルオロ−ベンズアルデヒド、4−フルオロ−ベンズアルデヒド、4−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒド及び4−トリフルオロメトキシ−ベンズアルデヒドから、7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−カルボン酸、7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸、3−メトキシカルボニルメチル−7−トリフルオロメチル−ナフタレン−1−カルボン酸又は3−メトキシカルボニルメチル−7−トリフルオロメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸をそれぞれ得た後、実施例1−1に記載の方法に従って、ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル又は2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル、トリフルオロ酢酸及び市販のスルホニルクロリド誘導体で処理した。
【0257】
【表1】







【0258】
実施例2−1
{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸
【0259】
【化55】

【0260】
{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸メチルエステル
【0261】
【化56】

【0262】
7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸(27.6mg、0.10mmol)及び1−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン(19.8mg、0.11mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に、ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウム(46.6mg、0.10mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(34.7μL、0.20mmol)を加えた。室温で24時間撹拌した後、得られた混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、1N塩酸(10mL)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄した。得られた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:20〜40%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸メチルエステル(36.2mg、83%)を白色の固体として得た。
【0263】
{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸
【0264】
【化57】

【0265】
上記実施例1−1に記載の方法と同様の方法を用いて、{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸メチルエステル(36.2mg、0.08mmol)から出発して、{6−フルオロ−4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸(15mg、43%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.91 (dd, 1 H), 7.83 (s, 1 H), 7.22 - 7.33 (m, 2 H), 6.97 (d, 4 H), 4.03 - 4.16 (m, 2 H), 3.81 (d, 2 H), 3.22 - 3.30 (m, 4 H), 2.87 - 3.02 (m, 2 H), 2.41 (s, 3 H); MS cald. for C24H22F2N2O3 424, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 425
【0266】
実施例2−2〜2−24
以下の実施例2−2〜2−24は、7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−ナフタレン−1−カルボン酸及び市販の1−アリール−ピペラジンから、実施例2−1と同様にして調製した。
【0267】
【表2】









【0268】
実施例3−1
4−(3−カルボキシメチル−7−フルオロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0269】
【化58】

【0270】
4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0271】
【化59】

【0272】
(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル(500mg、2.1mmol)、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(640mg、3.2mmol)及びトリフェニルホスフィン(840mg、3.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(0.5mL、3.2mmol)を滴下した。アルゴン雰囲気下、室温で4時間撹拌した後、混合物を水(15mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。集めた有機層を食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン類で溶離)により精製して、4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(740mg、84%)を淡黄色の固体として得た。
【0273】
4−(3−カルボキシメチル−7−フルオロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0274】
【化60】

【0275】
上記実施例1−1に記載した方法と同様の方法を用いて、4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(30mg、0.07mmol)から出発して、4−(3−カルボキシメチル−7−フルオロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(16mg、55%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.81 (dd, J = 8.97, 5.43 Hz, 1 H), 7.77 (dd, J = 10.86, 2.53 Hz, 1 H), 7.35 (s, 1 H), 7.28 (td, J = 8.78, 2.65 Hz, 1 H), 6.99 (s, 1 H), 4.77 - 4.83 (m, 1 H), 3.71 - 3.81 (m, 4 H), 3.39 - 3.52 (m, 2 H) 2.00 - 2.11 (m, 2 H), 1.80 - 1.90 (m, 2 H), 1.47 (s, 9 H); MS cald. for C22H26FNO5 403, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 404
【0276】
実施例4−1
[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0277】
【化61】

【0278】
[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル
【0279】
【化62】

【0280】
4−(7−フルオロ−3−メトキシカルボニルメチル−ナフタレン−1−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(上記で調製、400mg、0.99mmol)のメタノール(4mL)溶液に、5Nの塩化水素メタノール(4mL)溶液を加えた。室温で3時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で処理した。水層を分離し、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/ジクロロメタンで溶離)により精製して、[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(260mg、85%)を淡黄色の固体として得た。
【0281】
[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル
【0282】
【化63】

【0283】
[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(80mg、0.25mmol)及びメタンスルホニルクロリド(58mg、0.5mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に、トリエチルアミン(63.6mg、0.63mmol)を加えた。室温で一晩撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:10〜50%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(82mg、83%)を白色の固体として得た。
【0284】
[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0285】
【化64】

【0286】
上記実施例1−1に記載した方法と同様の方法を用いて、[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(20mg、0.05mmol)から出発して、[6−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸(8mg、42%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.28 (dd, J = 9.35, 5.31 Hz, 1 H), 7.73 - 7.84 (m, 1 H), 7.35 (s, 1 H), 7.28 - 7.31 (m, 1 H), 6.81 (s, 1 H), 4.77 - 4.83 (m, 1 H), 3.78 (s, 2 H), 3.46 - 3.53 (m, 2 H), 3.35 - 3.43 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 2.77 - 2.91 (m, 3 H), 2.06 - 2.21 (m, 4 H); MS cald. for C18H20FNO5S 381, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 382
【0287】
実施例4−2〜4−10
以下の実施例4−2〜4−10は、(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)酢酸メチルエステル、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル及び市販のスルホニルクロリドから出発して、実施例4−1に記載の方法と同様にして調製した。
【0288】
【表3】



【0289】
実施例5−1
[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0290】
【化65】

【0291】
[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0292】
【化66】

【0293】
[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(実施例4−1、第1工程の中間体、80mg、0.25mmol)及び塩化アセチル(39mg、0.5mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(76mg、0.63mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下した。室温で一晩撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:10−50%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(72mg、79%)を白色の固体として得た。
【0294】
[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0295】
【化67】

【0296】
上記実施例1−1の最終工程に記載した方法と同様の方法を用いて、[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(72mg、0.2mmol)から出発して、[4−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸(10.9mg、16%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.81 (dd, J = 8.97, 5.43 Hz, 1 H), 7.77 (dd, J = 10.86, 2.53 Hz, 1 H), 7.27 (td, J = 8.78, 2.65 Hz, 1 H), 7.03 (s, 1 H), 3.77 - 3.92 (m, 2 H), 3.70 (s, 2 H), 3.52 - 3.68 (m, 2 H), 2.15 (s, 3 H), 2.01 - 2.14 (m, 2 H), 1.83 - 2.02 (m, 2H); MS cald. for C19H20FNO4 345, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 346
【0297】
実施例5−2〜5−10
以下の実施例5−2〜5−10は、[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(実施例4−1、第1工程の中間体)及び市販のスルホニルクロリドから出発して、実施例5−1に記載の方法と同様にして調製した。
【0298】
【表4】



【0299】
実施例6−1
[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0300】
【化68】

【0301】
[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル
【0302】
【化69】

【0303】
[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(実施例4−1、第1工程の中間体、20mg、0.063mmol)、イソシアナトエタン(0.05mL)及びジクロロメタンの混合物を室温で4時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラム(勾配溶離:0〜30%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(21.0mg、85%)を粘性油状物として得た。
【0304】
[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
【0305】
【化70】

【0306】
上記実施例1−1の最終工程に記載した方法と同様の方法を用いて、[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(21mg、0.054mmol)から出発して、[4−(1−エチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸(1.2mg)を明褐色の粉末物として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.83 (dd, J = 9.09, 5.81 Hz, 1 H), 7.79 (dd, J = 10.74, 2.65 Hz, 1 H), 7.37 (s, 1 H), 7.30 (td, J = 8.72, 2.78 Hz, 1 H), 7.02 (s, 1 H), 4.83 - 4.85 (m, 1 H), 3.70 - 3.79 (m, 4 H), 3.38 - 3.46 (m, 2 H), 3.23 (q, J = 7.07 Hz, 2 H), 2.05 - 2.14 (m, 2 H), 1.83 - 1.93 (m, 2 H), 1.15 (t, J=7.20 Hz, 3 H); MS cald. for C20H23FN2O4 374, obsd. (ESI+) [(M+H)+] 375
【0307】
実施例6−2〜6−5
以下の実施例6−2〜6−5は、[6−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸メチルエステル(実施例4−1、第1工程の中間体)及び市販のイソシアネートから出発して、実施例6−1に記載した方法と同様にして調製した。
【0308】
【表5】

【0309】
化合物の活性及び使用
式I及びZで表される化合物は有益な薬理学的特性を示す。前記化合物は、CRTH2受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであり、CRTH2受容体と関連した喘息などの疾患及び障害の処置に有用であることが知られている。本発明の化合物のCRTH2受容体アンタゴニスト又は部分アゴニストとしての活性は、以下のバイオアッセイにより示される。
【0310】
ヒトCRTH2受容体結合アッセイ
全細胞受容体結合アッセイを、[H]ラマトロバンを競合放射性リガンドとして使用して実施して、ヒトCRTH2に対する化合物の結合活性を評価した。放射性リガンド[H]ラマトロバンは、Sugimoto等(Eur. J. Pharmacol. 524, 30 - 37, 2005)に従って比活性度42Ci/mmolになるように合成した。
【0311】
ヒトCRTH2を安定に発現する細胞株の構築は、FuGene(登録商標)6トランスフェクション試薬(Roche)を使用して、CHO−K1細胞を、ヒトCRTH2及びG−α16cDNAをそれぞれ有する2種の哺乳類発現ベクターでトランスフェクトして行った。各クローンを、ヒトCRTH2に対するラットモノクローナル抗体であるBM16(BD Pharmingen(商標)、Becton, Dickinson and CompanyのBD Biosciences 事業部)で染色してCRTH2を発現する安定なクローンを選取した。細胞を10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、2mMグルタミン及びCRTH2については0.5mg/mLG418(ジェネティシン)、G−α16については0.2mg/mLハイグロマイシンBを含有するHam’s F-12培地で単層培養物として維持した。全細胞受容体結合アッセイを行うために、単層細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄して、エチレンジアミン四酢酸(Versene(商標)、EDTA、Lonza Inc.)を用いて分離し、10mMMgCl及び0.06%BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するPBSに1.5×10細胞/mLで懸濁した。
【0312】
結合反応液(0.2mL)を、室温で、1.5×10細胞、10mMMgCl、0.06%BSA、20nM[H]ラマトロバン及び種々の濃度の試験化合物を含有するPBSを添加した96ウェルプレートで反応させた。結合反応1時間後、細胞をGF(商標)/Bフィルターマイクロプレート(ガラスファイバーが埋め込まれたマイクロタイタープレート、PerkinElmer, Inc.)に取り、Filtermate(商標)Harvester(マイクロプレートから細胞を回収し洗浄する細胞採取装置、PerkinElmer, Inc.)を用いてPBSで5回洗浄した。フィルタープレートの各ウェルにMicroscint(商標)20シンチレーション液(PerkinElmer, Inc.)50μLを加え、次にマイクロプレートシンチレーションカウンター(TopCount(登録商標)NXT、PerkinElmer, Inc.)を用いて細胞に結合している放射活性を測定した。非特異的結合による放射活性は、反応混合物中、化合物の代わりに15(R)−15−メチルPGD(Cayman Chemical Company)10μMを使用して測定した。化合物を含まない場合(全結合)の細胞に結合している放射活性は、反応混合物中、化合物の代わりに0.25%DMSO(ジメチルスルホキシド)を使用して測定した。各結合データから非特異的結合の放射活性を差し引いて特異的結合データを得た。
【0313】
IC50値は、全特異的結合の50%阻害に必要な試験化合物の濃度として定義される。IC50値を算出するために、各化合物の7種類の濃度について阻害パーセントデータを決定した。各濃度の化合物について、下記式:
[1−(化合物存在下での特異的結合)/(全特異的結合)]×100
に従って阻害パーセントを算出した。次に、阻害パーセントデータをXLfit(登録商標)ソフトウェアエクセルを加えたプログラム[ID Business Solutions Ltd.、モデル205、F(x)=(A+(B-A)/(1+((C/x)^D)))]のシグモイド型用量反応(4パラメーターロジスティック)モデルに適合させてIC50値を得た。
【0314】
前述の実施例の特定化合物について、上記ヒトCRTH2受容体結合アッセイを実施し試験した。アッセイ結果から、以下に示すように、全試験化合物がIC50値0.0017μM〜0.4575μMの結合活性を示すことが分かった:
【0315】
【表6】





【0316】
蛍光イメージングプレートリーダーを用いたカルシウムフラックスアッセイ
細胞培養条件:
先にG−α16でトランスフェクトしたCHO−K1細胞を、さらに続けてヒトCRTH2受容体及びネオマイシン耐性遺伝子でトランスフェクトした。800μg/mLのG418(ジェネティシン)で選別した後、個々のクローンの受容体発現を抗ヒトCRTH2IgGの染色に基づきアッセイした。次に、Ca2+フラックスアッセイにより、13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンD(DK−PDG)(リガンド)に対する反応をアッセイした。その後、陽性クローンを限界希釈クローニングによりクローニングした。トランスフェクトした細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、200μg/mLハイグロマイシンB及び800μg/mLG418(ジェネティシン)を添加したHam's F-12培地で培養した。細胞をトリプシン−EDTA(トリプシン−エチレンジアミン四酢酸)で回収し、ViaCount(登録商標)試薬(Guava Technologies, Inc.、試薬使用者が生細胞と死細胞を識別できる2種のDNA結合ダイを含有する)を使用してカウントした。細胞懸濁液量を完全成長培地で2.5×10細胞/mLに調整した。分割した50μLをBD Falcon(商標)384ウェルの黒色/透明マイクロプレート(Becton, Dickinson and CompanyのBD Biosciences事業部)に分注して、マイクロプレートを37℃のCOインキュベーターに入れ一晩置いた。翌日、マイクロプレートを用いてアッセイした。
【0317】
ダイローディング及びアッセイ:
ダイ(FLIPR(登録商標)カルシウム3アッセイキット、MDS Analytical Technologies and MDS Inc.のMolecular Devices事業部)を含有するローディングバッファーは、ダイ一本分を20mMHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)及び2.5mMプロベネシドを含有するハンクス液(Hank’s Balanced Salt Solution)200mLに溶かして調製した。成長培地を細胞プレートから除き、20mMHEPES、0.05%BSA及び2.5mMプロベネシドを含有するハンクス液(Hank’s Balanced Salt Solution)(HBSS)25μLを各ウェルに加え、次に、マルチドロップディスペンサーで希釈したダイ25μLを加えた。その後、プレートを37℃で1時間インキュベートした。
【0318】
インキュベーション中、HBSS/20mMHEPES/0.005%BSAバッファー90μLを段階希釈化合物2μLに加え試験化合物プレートを調製した。段階希釈化合物を調製するために、化合物の20mMストック液を100%DMSOに溶かした。化合物希釈プレートを以下のように調製した:ウェル#1に、化合物5μLとDMSO10μLを加えた;ウェル2−10にDMSO10μLを加えた;5μLを混合し、ウェル#1からウェル#2に移した;1:3段階希釈を10ステップ続けた;次に、希釈化合物2μLを384ウェル「アッセイプレート」の2連ウェルに移し、バッファー90μLを加えた。
【0319】
インキュベート後、細胞及び「アッセイプレート」の両プレートを蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR(登録商標))に入れ、FLIPR(登録商標)で希釈化合物20μLを細胞プレートに移した。次に、プレートを室温で1時間インキュベートした。1時間インキュベートした後、プレートをFLIPR(登録商標)に戻し、4.5×濃縮リガンド20μLを細胞プレートに添加した。アッセイ中、1.5秒毎に細胞プレート全384ウェルを同時に蛍光読み取りした。安定したベースラインを決めるために5つの読み取りを実施し、次に、細胞プレートの各ウェルに試料20μLを素早く(30μL/秒)同時に加えた。試料の添加前、中、後の蛍光を続けて総経過時間100秒間観測した。アゴニスト添加後の各ウェルでの反応(最大蛍光の増加)を測定した。リガンド刺激前の各ウェルの初期蛍光読み取り値を、各ウェルから得られるデータのゼロベースライン値とした。反応をバッファーコントロールの%阻害で表した。バッファーコントロールの50%阻害に必要な化合物濃度として定義されるIC50値を、10種の濃度についての阻害パーセントデータをシグモイド型用量反応(4パラメーターロジスティック)モデルに適合させて算出した。この算出に、Genedata Screener(登録商標) Condoseo software program[Genedata AG、モデル205、F(x)=(A+(B-A)/(1+((C/x)^D)))]を用いた。
【0320】
結合アッセイの代表的な試験化合物について、上記FLIPR(登録商標)アッセイ(具体的に、実施例1−1〜1−19、2−1〜2−24、3−1、4−1、4−2、4−4、4−6〜4−10、5−1、5−3〜5−10について試験)を行い試験した。FLIPR(登録商標)アッセイの結果から、IC50値>5μMを示した実施例2−8、2−10、2−15、4−2、5−1を除き、上記の化合物は、IC50値0.0002μM〜3.770μMを示した。
【0321】
Th2細胞のDK−PGD誘導IL−13産生アッセイ
2型ヘルパーT(Th2)細胞の13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンD(DK−PGD)誘導IL−13産生の阻害から化合物の細胞活性を評価した。
【0322】
Th2細胞の培養を、ボランティア健常者の血液を使用して下記手順に従い確立した。最初に、Ficoll-Hypaque密度勾配遠心分離法により、末梢血単核細胞(PBMC)を新鮮な血液50mLから単離し、次にCD4T細胞単離キットII(Miltenyi Biotec Inc.)を使用して、CD4細胞を精製した。その後、CD4T細胞を10%ヒトAB血清(血液型AB血清、Invitrogen Corporation)、50U/mLリコンビナントヒトインターロイキン−2(rhIL−2)(PeproTech Inc.)及び100ng/mLリコンビナントヒトインターロイキン−4(rhIL−4)(PeproTech Inc.)を含有するX-VIVO 15(登録商標)培地(Cambrex BioScience Walkersville Inc.)で7日間細胞培養してTh2細胞に分化させた。CD294(CRTH2)マイクロビーズキット(Miltenyi Biotec Inc.)を使用しTh2細胞を単離し、10%ヒトAB血清及び50U/mLrhIL−2を含有するX-VIVO 15(登録商標)培地で2〜5週間かけて増殖させた。一般に、アッセイに使用したTh2細胞を、フィコエリスリン(PE)結合BM16抗体(上述)を用い蛍光活性化セルソーターで解析した場合、その70%〜80%がCRTH2陽性である。
【0323】
細胞阻害活性を測定するため、種々の濃度の化合物をTh2細胞2.5×10個及び500nMDK−PGDを用いて、10%ヒトAB血清を含有するX-VIVO 15(登録商標)培地200μL中、37℃で4時間インキュベートした。培地中のIL−13産生を、「インスタントELISA(商標)」キット(Bender MedSystems Inc.)を使用し、製造業者のプロトコルに従って、ELISA(酵素結合免疫測定法)で検出した。Th2細胞によるIL−13の自然産生をDK−PGD2刺激を加えず測定し、その値を阻害パーセント及びIC50算出するために各化合物の存在下での測定値から差し引いた。
【0324】
種々の濃度の化合物についてインターロイキン13(IL−13)産生の阻害パーセントを以下の式:
[1−(化合物存在下でのIL−13産生)/(0.15%DMSO存在下でのIL−13産生)]×100
に従って算出した。IL−13産生を50%阻害するのに必要な化合物濃度として定義されるIC50値は、7種の濃度の阻害パーセントデータをXLfit(登録商標)ソフトウェアエクセルを加えたプログラム[ID Business Solutions Ltd.、モデル205、F(x)=(A+(B-A)/(1+((C/x)^D)))]のシグモイド型用量反応(4パラメーターロジスティック)モデルに適合させて算出した。
【0325】
結合アッセイの代表的な試験化合物について、上述のDK−PGD誘導IL−13産生アッセイ(具体的に、実施例1−1、1−2、1−4〜1−9、1−12〜1−17、2−2、2−18、2−19、2−22、4−1〜4−3、4−6〜4−8、4−10、5−1、5−10について試験)を行い試験した。DK−PGD誘導IL−13産生アッセイの結果からこれらの化合物がIC50値0.0024μM〜3.6007μMのIL−13産生阻害活性を示した。
【0326】
従って、本発明の化合物は、試験化合物が上記3アッセイ(すなわち、CRTH2受容体での結合)の少なくとも1つでいくらかの活性を示すことから有用であるので、CRTH2受容体と関連した喘息などの疾患及び障害を処置するうえでアンタゴニスト又は部分アゴニストとして有用である。
【0327】
一実施態様においては、本発明は、CRTH2受容体の調節に関連する疾患及び障害の治療及び/又は予防方法に関するものであり、前記方法は、治療有効量の式I又はZで表される化合物をヒト又は動物に投与することを含む。炎症性若しくはアレルギー性疾患又は障害の治療及び/又は予防方法が好ましい。そのような疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性炎症及びアトピー性皮膚炎を含むが、これらに限定されない。
【0328】
本発明は、また、治療有効量の式I若しくはZで表される化合物の、炎症性又はアレルギー性疾患及び障害を処置するための他の薬物又は活性薬剤との併用又は共同投与に関する。一実施態様においては、本発明は、治療有効量の式I又はZで表される化合物及び他の薬剤又は活性薬剤(他の抗炎症若しくは抗アレルギー薬物又は薬剤など)を、ヒト又は動物に同時に、連続して又は別々に投与することを含む、そのような疾患又は障害の治療及び/又は予防方法に関する。これら他の薬物又は活性薬剤は、同一、同様又は全く異なる作用機序を有していてもよい。好適な他の薬物又は活性薬剤には、アルブテロール又はサルメテロールなどのβ2−アドレナリンアゴニスト;デキサメタゾン又はフルチカゾンなどのコルチコステロイド;ロラタジン(loratidine)などの抗ヒスタミン剤;モンテルカスト又はザフィルルカストなどのロイコトリエンアンタゴニスト;オマリズマブなどの抗IgE抗体療法剤;フシジン酸などの抗感染薬(特に、アトピー性皮膚炎の処置用);クロトリマゾールなどの抗真菌剤(特に、アトピー性皮膚炎の処置用);タクロリムス及びピメクロリムスなどの免疫抑制剤;DPアンタゴニストなどの他の受容体に作用する他のPGD2アンタゴニスト;シロミラストなどの4型ホスホジエステラーゼ阻害剤;TNF−α転換酵素(TACE)阻害剤などのサイトカイン産生を調節する薬物;遮断モノクローナル抗体及び可溶性受容体などのTh2サイトカインIL−4及びIL−5の活性を調節する薬物;ロシグリタゾンなどのPPAR−γアゴニスト;及びジレウトンなどの5−リポキシゲナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらには限定されない。
【0329】
特段の断りがない限り、実施例の全化合物は、記載のように調製され、特徴づけられた。本明細書に記載の全ての特許及び出版物は、参照することによりその全体に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化71】


[式中、
XはOであり、QはC(H)であり;あるいは、XはC(O)であり、QはNであり;
は以下:
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(d)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、
(e)低級アルキルスルホニル、及び
(f)シアノ;
からなる群より選択されるものであり;
は水素又は低級アルキルであり;
は以下:
(a)フェニル、ピリジニル又はピリミジニル(ここで前記フェニル、ピリジニル又はピリミジニルは、(1)ハロゲン、(2)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、(3)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、及び(4)シアノからなる群より独立して選択される一個以上の置換基で場合により置換されている);
(b)低級アルコキシカルボニル;及び
(c)S(O)−R、C(O)−R又はC(O)−N(H)−R{式中、Rは以下:
(1)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(2)低級シクロアルキル、
(3)(i)ハロゲン又は(ii)フルオロで場合により置換されている低級アルキルで場合により置換されているフェニル
(4)ベンジル又はフェニルエチル、及び
(5)ピリジニル
からなる群より選択されるものである};
からなる群より選択されるものである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステル。
【請求項2】
XがOであり、QがC(H)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがC(O)であり、QがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素、ハロゲン又はメチルであり、好ましくはRがフルオロである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が水素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
がメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がフェニル、ピリジニル又はピリミジニルであり、好ましくはRがフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
がクロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル及びメトキシからなる群より独立して選択される1又は2個の置換基で置換されているフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
がクロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシでフェニル環4位が置換されているフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
が−S(O)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が−S(O)−Rであり、Rがハロゲン、又はフルオロで場合により置換されている低級アルキルで場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が−C(O)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が−C(O)−Rであり、Rがハロゲン又は低級アルキルで場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が−C(O)−N(H)−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロペンチル又はトリフルオロメチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が−C(O)−N(H)−Rであり、Rがハロゲン又は低級アルキルで場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
XがOであり、QがC(H)であり;あるいは、XがC(O)であり、QがNであり;
がハロゲン、又はフルオロで場合により置換されている低級アルコキシであり、
が水素又は低級アルキルであり;そして
が以下:
(a)ピリジニル、
(b)S(O)−R、C(O)−R又はC(O)−N(H)−R{式中、Rが(1)低級アルキル、(2)1又は2個のハロゲンで場合により置換されているフェニル及び(3)ベンジル又はフェニルエチルからなる群より選択される}
からなる群より選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項17】
が−S(O)−Rであり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6又は16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が−C(O)−Rであり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6又は16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が−C(O)−N(H)−Rであり、Rがフルオロで1回又は2回場合により置換されているフェニルである、請求項1〜6又は16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
がピリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
以下:
4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸
{4−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸
{6−フルオロ−4−[4−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸
{4−[4−(2,4−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル}酢酸
[4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−カルボニル)−6−トリフルオロメチル−ナフタレン−2−イル]酢酸
[6−フルオロ−3−メチル−4−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸
[4−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−6−フルオロ−ナフタレン−2−イル]酢酸
{6−フルオロ−4−[1−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸
[6−フルオロ−4−(1−フェニルメタンスルホニル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
[6−フルオロ−4−(1−フェニルアセチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
{6−フルオロ−4−[1−(3−フルオロ−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−ナフタレン−2−イル}酢酸
[6−フルオロ−4−(1−フェネチルカルバモイル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ナフタレン−2−イル]酢酸
からなる群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
請求項21に記載の化合物の薬学的に許容し得る塩。
【請求項23】
請求項21に記載の化合物の薬学的に許容し得るエステル。
【請求項24】
治療有効量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項25】
喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性炎症及びアトピー性皮膚炎の治療又は予防用の医薬を調製するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
特に新規の化合物、中間体、医薬、使用及び方法に関する、本明細書に記載の発明。
【請求項27】
式Z:
【化72】


[式中、
は以下:
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)フルオロで場合により置換されている低級アルキル、
(d)フルオロで場合により置換されている低級アルコキシ、
(e)低級アルキルスルホニル、及び
(f)シアノ;
からなる群より選択されるものであり、
は水素又は低級アルキルであり;
はS(O)−R{式中、Rが以下:
(a)フェニル又はベンジル(ここで、前記フェニル又はベンジルは、(1)ハロゲン又は(2)フルオロで場合により置換されている低級アルキルの一個以上の置換基で場合により置換されている);
(b)フルオロで場合により置換されている低級アルキル
からなる群より選択されるものである}である]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステル。
【請求項28】
以下:
[4−(6−ベンゼンスルホニル−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボニル)−6−フルオロ−3−メチル−ナフタレン−2−イル]酢酸;
[6−フルオロ−3−メチル−4−(6−フェニルメタンスルホニル−2,6−ジアザ−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボニル)−ナフタレン−2−イル]酢酸;
からなる群より選択される、請求項33に記載の化合物及び任意のその薬学的に許容し得る塩又はエステル。

【公表番号】特表2012−508270(P2012−508270A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535983(P2011−535983)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064816
【国際公開番号】WO2010/055006
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】