説明

CT画像の圧縮方法及びその装置

【課題】 CT画像の圧縮方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 再構成されたCT画像を圧縮する方法であって、圧縮しようとする再構成された視野外領域及び視野内領域を含む画像を獲得するステップと、予めに設定されたCT値分類テンプレートに基づいて前記画像中の視野内領域の各画素のCT値がどのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断するステップと、前記CT値分類テンプレート及び該CT分類テンプレートそれぞれについて確定された圧縮方法に基づいて、前記CT値分類テンプレート中に所属された画素データに対して前記確定された圧縮方法にて圧縮を行うステップとを含む。CT値分類テンプレートの方式によって重要な画像データを可逆圧縮し、臨床診断について敏感でない画像データに対して異なる程度の非可逆圧縮が行われ、圧縮されたデータの有効性を確かに保つだけでなく、圧縮比率もたいへん高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の圧縮技術に関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)の画像圧縮に関する。
【背景技術】
【0002】
CTシステムにおいて、画像の記憶容量は非常に重要なシステムの性能パラメータである。従来、画像の記憶容量を高めるために、ハードディスクを増加する方法があるが、コストも同時に増加される。そこで、医学画像フォーマット(Digital Imaging and communications in Medicine, DICOMと称する)の画像を圧縮する方法により、CTシステムの画像記憶容量を高めるものが登場した。典型的な方法として、可逆圧縮と非可逆圧縮との2つがある。可逆圧縮は、Huffman(ホフマン)コーディング、algorithm(アルゴリズム)コーディングなどの圧縮方法を含む。これらの方法は圧縮率が低い。非可逆圧縮は、DCT(Discrete Cosine Transformation)コーディング、Predictive(予測)コーディング、vector quantization(ベクトル量子化)などの圧縮方法を含む。非可逆圧縮はより高い圧縮比率が得られる。例えばシーメンスの特許文献1に開示された圧縮方法の画像のコーディングは、隣接画像のデータを用いる必要があり、隣接画像の相関性が大きくなければ、コーディング効果が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】CN200610089179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、CT画像に必要な情報量の圧縮・記憶に用いられてCTシステムの画像記憶容量を高めるCT画像の圧縮方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、再構成されたCT画像を圧縮する方法を提供し、以下のステップが含まれている。
圧縮しようとする再構成された視野外領域及び視野内領域を含む画像を獲得するステップ10と、予めに設定されたCT値分類テンプレートに基づいて、前記画像中の視野内領域の各画素のCT値がどのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断するステップ11と、前記CT値分類テンプレート及び該CT分類テンプレートそれぞれについて確定された圧縮方法に基づいて、前記CT分類テンプレート中に所属された画素データに対して前記確定された圧縮方法にて圧縮を行うステップ12とを含む。
【0006】
なお、視野外領域のデータを削除し、それに対応する記録情報を作成するステップをさらに含んでいる。
上記再構成された画像は医学画像フォーマット(DICOM)の画像で、512×512のアレイである。
【0007】
上記の予めに設定したCT値分類テンプレートは、A[−1024〜−111]、B[−110〜145]、C[146〜657]、D[658〜3071]の4類を含み、CT値分類テンプレートB[−110〜145]内の画像データには可逆圧縮が用いられ、CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]の画像データには非可逆圧縮が用いられる。
【0008】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートの対応される圧縮方法は以下の数式により行われる。
【数1】

但し、yは圧縮結果、xは各画素のCT値、interceptは各CT分類テンプレートの下限値、slopeは各CT分類テンプレートの圧縮比率である。ここで、CT値分類テンプレートB[−110〜145]に対応される圧縮比率slopeは1であり、CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]に対応される圧縮比率slopeはそれぞれに4、2、9である。
【0009】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートをバイナリーでそれぞれ表示し、Aは00で、Bは01で、Cは10で、Dは11で表示する。
視野外領域の画素のCT値は−3024である。
【0010】
本発明は上記圧縮された再構成後のCT画像を解凍する方法を提供し、以下のステップが含まれている。
解凍しようとする画像データを獲得するステップ21と、各画素が所属されているCT値分類テンプレートに基づいて、それに対応される解凍アルゴリズムを適用して圧縮された画像データを解凍するステップ22と、前記視野外領域の画像データを復元するステップ23と、前記視野外領域のデータを解凍された画像に付け加え、完全な画像を獲得するステップ24とを含む。
【0011】
なお、以下の数式を応用して圧縮された画像データを解凍する。
【数2】

(但し、xは圧縮された画像データ、yは圧縮された画像データ、圧縮比率slope及びinterceptは所属されているCT値分類テンプレートによって決定される。)
【0012】
本発明は、被検者に対してX線スキャンを行うスキャンテーブルと、スキャンテーブルから出力されたスキャンデータを収集、アナログデジタル変換するデータ収集ユニットと、データ収集ユニットから送ってきたスキャンデータに基づいて、画像再構成を行い、再構成された画像データを記憶ユニットに記憶し、及び/又は中央制御ユニットを介してユーザ操作インターフェースに表示する画像再構成ユニットと、ユーザ操作に用いられるユーザ操作インターフェースと、データ及び情報の記憶に用いられる記憶ユニットと、上記画像再構成ユニットの出力端に接続され、スキャンテーブル、データ収集ユニット、ユーザ操作インターフェース及び記憶ユニットを制御する中央制御ユニットとを含むCT装置を提供する。また、そのCT装置の上記記憶ユニットにはCT値分類テンプレートとCT値分類テンプレートに応用される圧縮アルゴリズム及び解凍アルゴリズムとが記憶され、そのCT装置は中央制御ユニットの制御により記憶ユニット記憶されているCT値分類テンプレートと対応される圧縮アルゴリズム及び解凍アルゴリズムとを用いて再構成された画像を圧縮したり圧縮された画像を解凍したりする画像圧縮/解凍計算ユニットをさらに含む。
【0013】
前記画像圧縮/解凍計算ユニットは圧縮計算ユニット及び解凍計算ユニットを含み、中央制御ユニットは画像圧縮/解凍計算ユニット中の圧縮計算ユニットを、自動的に又はユーザがユーザ操作インターフェースを操作することで中央制御ユニットに対応される圧縮指示を発送することにより制御して画像再構成ユニットにより再構成された画像を圧縮する。
【0014】
上記再構成ユニットにより再構成された画像は、医学画像フォーマット(Digital Imaging and communications in Medicine, DICOMと称する)の画像で、512×512のアレイであり、視野内領域及び視野外領域を含んでいる。
【0015】
上記CT値分類テンプレートは、A[−1024〜−111]、B[−110〜145]、C[146〜657]、D[658〜3071]の4類を含み、CT値分類テンプレートB[−110〜145]内の画像データには可逆圧縮が用いられ、CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]の画像データには非可逆圧縮が用いられる。
【0016】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートの対応される圧縮方法は以下の数式によって行われる。
【数3】

但し、yは圧縮結果、xは各画素のCT値、interceptは各分類テンプレートの下限値、slopeは各分類テンプレートの圧縮比率で定数でありユーザは自分の要求によって圧縮比率を定義できる。なお、CT値分類テンプレートB[−110〜145]に対応される圧縮比率slopeは1であり、それに対応される圧縮された画像データを解凍する方法は、以下のとおりである。
【数4】

ここで、xは圧縮された画像データで、yは圧縮された画像データで、圧縮比率slope及びinterceptは所属されているCT値分類テンプレートによって決定され、y・slopeはyとslopeの積を示す。
【0017】
CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]に対応される圧縮比率slopeはそれぞれに4、2、9である。
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートをバイナリーでそれぞれ表示し、Aは00で、Bは01で、Cは10で、Dは11で表示する。
【0018】
圧縮計算ユニットが中央制御ユニットから送ってきた再構成された画像を圧縮する指示を受け取ったとき、圧縮計算ユニットは、記憶ユニットから圧縮しようとする再構成画像データを取り出し、画像中の視野外領域のデータを削除し、視野内のデータの各画素のCT値がどちらのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断し、各画素が所属されているCT値分類テンプレートの圧縮アルゴリズムに基づいて画素データを圧縮する。上記ユーザ操作インターフェースには「空気データを削除」の操作キーが設けられている。
【0019】
解凍計算ユニットが中央制御ユニットから送ってきた圧縮された再構成画像を解凍する指示を受け取ったとき、解凍計算ユニットは、記憶ユニットから解凍しようとする画像データを取り出し、各画素が所属されているCT値分類テンプレートの解凍アルゴリズムに基づいて圧縮された画素データを解凍し、視野外領域の画像データを復元し、視野外領域のデータを解凍された画像に付け加え、完全な画像を獲得する。
【0020】
圧縮計算ユニットが視野外領域のデータを削除するとき、同時に1つの対応される記録情報を記憶ユニットに作成、記憶する。圧縮計算ユニットが圧縮した画像データ又は圧縮解凍ユニットが解凍した画像データが記憶ユニットに記憶される。
【発明の効果】
【0021】
本発明において、ユーザはCT値分類を用いることで、自分の必要に基づいて重要な画像データを可逆圧縮し、臨床診断について敏感でない画像データに対して異なる程度の非可逆圧縮が行われる。これにより、重要な組織情報のデータが失わないように保つ。また、空気、骨格などの失った部分のデータにおいては、診断に大きな影響が与えられない。本発明はCT値分類テンプレートの方式によって異なるCT画素データに対して異なる圧縮が行われ、圧縮されたデータの有効性を確かに保つだけでなく、圧縮比率もたいへん高くなり、CTシステムの画像記憶能力が強くなって画像搬送能力が高くなった。同時に、本発明の圧縮方法は他の方法と結合して用いられ、より高い圧縮比にとなり、互換性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像データを圧縮するフローチャートである。
【図2】CT装置の再構成されたDICOM画像の説明図である。
【図3a】人類組織のCT値の範囲の説明図である。
【図3b】図2においてDICOM画像の各画素が所属されているCT値分類テンプレートの一実施例を示す。
【図4a】C分類テンプレート中の画素データを圧縮する説明図である。
【図4b】A、B、D分類テンプレート内の画素データをそれぞれ圧縮する説明図である。
【図5】図1に示された圧縮方法により圧縮された画像データを解凍する方法のフローチャートである。
【図6】ユーザが操作した後のDICOM画像の説明図である。
【図7】CT再構成画像を圧縮する機能を有するCT装置の機能モジュールの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳述する。本発明は実施形態に限られない。
【0024】
本発明のCT画像の圧縮方法は、画像中の例えば人体の器官、組織のCT値などの物体組織のCT値に基づいて、DICOM画像を非可逆圧縮又は可逆圧縮することにより、重要な画像データを失わないように保つだけでなく、CTシステムの画像記憶容量が高くなる。
【0025】
図1に示されたように、図1は本発明のCT画像の圧縮方法のフローチャートである。また、本発明の圧縮方法について、一例として人体と結合して説明する。
【0026】
ステップ10において、圧縮しようとするDICOM画像データが獲得される。
図2に示されたように、図2は1つのCT DICOM画像で、通常にDICOM画像データはヘッダ情報と画像データとの2つの部分の内容を含んでいる。ヘッダ情報には患者の情報、スキャンプロトコルなどが記録されている。一般的なCT画像データは512×512画素で、通常に各画素は2バイト(16位)で示される。図2に示されたものは、1つの典型的な512×512CT DICOM画像である。その大きさは527672バイトで、3384バイトのヘッダ情報と524288バイトの画像データとを含んでいる。本発明においては画像データのみを圧縮する。
【0027】
ステップ11において、視野外領域のデータが除去される。
図2に示されたように、DICOM画像データは512×512のアレイで、視野外部分と視野内部分との2つの部分を含んでいる。視野内のデータこそ真正の画像データで、それは画像アレイの内接円である。視野外のデータは医者の臨床診断において役に立たない。通常、これらの視野外のデータは例えば−3024などの特別なCT値に設定され、図2において画像中で視野内の画像と顕著に区別できるように、黒い部分で示されている。視野外部分が真正の画像データではないため、DICOM画像のサイズが小さくなるように、先にこの部分のデータを削除してもよい。このように視野外部分のデータを削除することは、画像データを21.5%、すなわち(1−π/4)圧縮できる。同時に、削除された情報に対して1つのタグを作成し、例えばヘッダ情報に「CT値が−3024である視野外領域のデータ」との情報を含ませる。
【0028】
ステップ12において、予めに設定されたCT値分類テンプレートに基づいて、視野内の画像の各画素のCT値がどちらのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断する。
一般的なCT画像において、CT値の範囲は−1024から3071(全部で4096)であり、各画素のCT値は2バイト(16の位)で記憶される。典型的な人類組織のCT値は表1及び図3aを参照し、図3aは人類組織のCT値の範囲である。
【表1】

【0029】
画像データを圧縮するために、CT値の範囲をA[−1024〜−111]、B[−110〜145]、C[146〜657]及びD[658〜3071]の4類に分けることができる。上述の表1及びCT値の分類から見れば、最も重要なCT値の範囲はB[−110〜145]類のテンプレートであり、人体内の大部分の組織を含み、微小な誤差でも臨床診断の結果に影響を与えるおそれがあるため、本発明においてはこの部分に対して可逆圧縮が行われる。C[146〜657]類のテンプレートにおいて、主にカルシウム及び骨格を含み、1CT値の誤差は認められる。D[658〜3071]類のテンプレートにおいて、主に骨格及び金属を含み、4CT値の誤差は認められる。このような分類方法は、B類のテンプレートに対して可逆圧縮が行われ、C類のテンプレートに対しての圧縮の最大誤差が1CT値で、A類及びD類のテンプレートに対しての最大誤差がそれぞれに2CT値及び4CT値であることを保つことができる。
【0030】
本発明では以下の方法により、各画素のデータがどちらの分類テンプレートに所属されているかに対してタグを付けることができる。なお、全部で4類があるため、バイナリーでこれらを区別して示す。例えば、Aは00で、Bは01で、Cは10で、Dは11で示し、図3bに示されたように全部のA範囲内の画素データを00で、全部のB範囲内の画素データを01で、全部のC範囲内の画素データを10で、全部のD範囲内の画素データを11で示している。
【0031】
ステップ13において、分類テンプレート及び各分類テンプレート中で確定された圧縮方法に基づいて、その中の画像データに対して対応される圧縮が行われる。
本実施例では以下の数式(1)を応用して画像中の各画素データを圧縮する。
【数5】

………………(1)
【0032】
ここで、yは圧縮結果で、xは各画素のCT値である。interceptはインターセプト、すなわち各分類テンプレートの下限値を示す。slopeはスロープ、すなわち各分類テンプレート中の圧縮比率を示し、定数であり、ユーザは自分の要求によって圧縮比率を定義することができる。
【0033】
各分類テンプレートに対応されるintercept及びslope圧縮比率は異なり、interceptはその分類テンプレートの下限値により決定され、例えばB分類テンプレートのinterceptは−110で、C分類テンプレートのinterceptは146であり、slope圧縮比率はユーザが要求する圧縮比例によって自分で設定できるが、slopeの値は1または1より大きい整数であればよい。
【0034】
以下、一例としてC分類部分の圧縮について説明する。図4aに示されたように、これは線形圧縮で、圧縮結果は上述の数式(1)を満たす。なお、画素のデータ範囲は元の[146〜675]から[0〜255]に圧縮され、最初のCT値xの範囲は[146〜675]であり、interceptは146で、圧縮比率は2で、圧縮誤差はslope/2、すなわち1CT値である。圧縮結果yの範囲は[0〜255]で、ちょうどバイナリーの16の位の長さから8の位の長さへの圧縮を満たしている。このため、C分類テンプレートの数式(1)に応用されるintercept及びslopeのパラメータを確認し、それぞれに146及び2である。
【0035】
図4bを参照しながら、同じ圧縮方法により他の分類部分を圧縮し、A、B、D分類テンプレートの数式(1)に応用されるintercept及びslopeのパラメータが獲得される。分類テンプレートA[−1024〜−111]においてinterceptは−1024で、slopeは4であり、分類テンプレートB[−110〜145]においてinterceptは−110で、slopeは1であり、分類テンプレートD[658〜3071]においてinterceptは658で、slopeは9である。
【0036】
ステップ14において、圧縮された画像データが得られる。
圧縮する前の画像に復元するために、圧縮された画像データをデコーディングする必要がある。図5を参照し、図5は本発明で提供された圧縮画像の解凍に対応するフローチャートであり、以下のようなステップが含まれる。
【0037】
ステップ21において、解凍しようとする画像データが獲得される。
ステップ22において、各画素データが所属されているCT値分類テンプレートに基づいて、それに対応される解凍アルゴリズムを応用して圧縮された画像データが解凍される。
【0038】
本実施例においては以下の数式(2)を応用し、圧縮された画像データを解凍する。
【数6】

……………(2)
【0039】
ここで、xは解凍された画像データで、yは上記の圧縮方法により獲得した圧縮された画像データである。圧縮比率slope及びinterceptは圧縮するときの値と同じで、それぞれ所属されているCT値分類テンプレートによって決定される。y・slopeはyとslopeの積を示す。
【0040】
ステップ23において、ヘッダ情報の記載に基づいて、視野外領域のデータが復元される。
ステップ24において、視野外領域のデータを解凍された画像に付け加え、完全な画像が得られる。
【0041】
本実施例のCTのDICOM画像を圧縮する方法において、この方法の圧縮比率は(π/4)×(10/16)=0.49で、2:1に近く、圧縮比率が大きくてCTシステムの画像記憶容量を大幅に高めることができる。ここで、(π/4)は視野外領域のデータを削除することで獲得され、(10/16)は画像データを16位から10の位(8の位の画像データ及び2の位の分類テンプレートデータ)に圧縮することで獲得される。CT値分類テンプレートを用いることで、重要な組織情報、例えば本発明で例として挙げたB分類テンプレートの部分が損なったり失ったりしないように保つことができる。例えば空気又は骨格などの失った部分においては、臨床診断に対しての影響が大きくないし、失った程度も認められる。本発明の圧縮方法は、他の圧縮方法の使用に影響が与えられないし、そのCTのDICOM画像の圧縮において、画像の圧縮比率が高まるように他の非可逆、可逆の圧縮方法を用いてもよい。
【0042】
本発明の圧縮方法において、ユーザは自分の要求に基づいて、損害又は病変の領域を圧縮したくないと、その領域を選ぶことにより保護しておき、図6に示されたように本発明の圧縮を行わなければよい。
【0043】
本発明の圧縮方法において、CT値分類テンプレートに基づいて多くの従来の圧縮技術が応用できる。例えば、B分類部分について、この部分のデータが非常に重要であるため、この部分の画像データに対しては可逆コーディングの圧縮(例えばHuffmanコーディング)が用いられる。その他のA、C、D分類部分について、この部分のデータが臨床診断において敏感ではないため、圧縮比率が高まるように非可逆コーディングの圧縮(例えばDCTコーディング)を用いてもよい。もちろん、有効的な解凍画像データを獲得するために、解凍のデコーディングアルゴリズムは圧縮のコーディングアルゴリズムと対応されることが好ましい。
【0044】
従来、CT画像の中には多くの空気データが含まれ、肺部の画像にあるものは役に立つが、他の画像にあるものは臨床診断についてほとんど役に立たないので、圧縮比率を高めるために、その部分の画像データは視野外領域のデータのように削除すればよい。もちろん、画像データが復元できるように、情報記録の削除された空気の情報、例えばヘッダ情報に「CT値が−1000である空気データ」を含んでいる情報があることが好ましい。
【0045】
本発明の圧縮方法を適用したCT DICOM画像を圧縮するCT装置は、図7に示されたように、被検者に対してプレインスキャン(Plain Scan)、アキシャルスキャン(Axial Scan)、ヘリカルスキャン(Helical Scan)又はある位置に対するX線スキャンを行うスキャンテーブル30と、そのスキャンテーブル30から出力されたプレインスキャン、アキシャルスキャン、ヘリカルスキャン又はある位置に対するスキャンを介して獲得されたスキャンデータを収集、AD変換(アナログデジタル変換)するデータ収集ユニット32と、データ収集ユニット32から送ってきたスキャンデータに基づいて画像再構成を行い、画像再構成された画像データを記憶ユニット34に記憶し、中央制御ユニット31を介してユーザ操作インターフェース36に表示する画像再構成ユニット33とを含む。また、CT装置は、ユーザ操作に用いられるユーザ操作インターフェース36と、上述の画像再構成ユニット33の出力端に接続され、スキャンテーブル30、データ収集ユニット32、ユーザ操作インターフェース36及び記憶ユニット34を制御する中央制御ユニット31とを含む。このCT装置は中央制御ユニット31の制御により画像再構成ユニット33で再構成されたDICOM画像を圧縮したり、圧縮されたDICOM画像を解凍したりする画像圧縮/解凍計算ユニット35をさらに含んでいる。
【0046】
上述の画像圧縮/解凍計算ユニット35は、圧縮計算ユニット351及び解凍計算ユニット352を含む。中央制御ユニット31は自動的に画像圧縮/解凍計算ユニット35中の圧縮計算ユニット351を制御して画像再構成ユニット33により再構成されたDICOM画像を圧縮してもよいし、ユーザがユーザ操作インターフェース36を操作することで中央制御ユニット31へ対応される圧縮指示を発送してもよい。再び図2を参照し、画像圧縮/解凍計算ユニット35は中央制御ユニット31からの圧縮指示を受け取った後、記憶ユニット34から圧縮しようとするDICOM画像データを獲得し、DICOM画像データに対して上述のような圧縮ステップを行う。
【0047】
まず、例えば視野外領域のデータのCT値が−3024で、及び/又は空気のCT値が−1000であるDICOM画像データの特定CT値に基づいて、画像圧縮/解凍計算ユニット35は、視野外領域の画像データ及び/又は空気画像データを探し出し、圧縮計算ユニット351は判断ユニットが探した例えば視野外領域データ及び/又は空気データなどの削除しようとする臨床診断において要らない画像データを削除し、対応される記録情報を記憶ユニット34に作成、記憶する。
【0048】
次に、CT値分類テンプレート及びDICOM画像データ中の視野内画像の各画素のCT値に基づいて、画像圧縮/解凍計算ユニット35は、各画素CT値がどちらのCT値分類テンプレートに所属するかを判断する。そして、各分類テンプレートに基づいて、それに対応される圧縮アルゴリズムを運用してその中に属された画素データを圧縮する。例えば上述の数式(1)を応用して各画素データを圧縮する。
最後、圧縮された画像データが獲得され、記憶ユニット34に記憶する。
【0049】
なお、上述のCT値分類テンプレートは上述の圧縮方法のステップ12で説明されたように、A、B、C及びDの4類に分けられてもよいし、ユーザの要求に基づいて要求に合致されるCT値分類テンプレートを作成してもよい。また、各分類テンプレートについて、上述の圧縮方法の数式(1)の圧縮コーディング方法を設定してもよいし、他の上述のような可逆又は非可逆圧縮コーディング方法でもよい。
【0050】
正確で完全な画像を表示するために、圧縮された画像を解凍する必要がある。中央制御ユニット31は画像圧縮/解凍計算ユニット35を制御して圧縮された画像を解凍する。画像圧縮/解凍計算ユニット35の解凍計算ユニット352は中央制御ユニット31の制御により記憶ユニット34中の解凍の必要がある画像データを読み取り、その画像データが属された各CT値テンプレートに基づいて、圧縮コーディングと対応される解凍方法を応用して各画素データを解凍デコーディングする。例えば、圧縮コーディングが数式(1)の圧縮コーディング方法であれば、解凍するときには対応する数式(2)の解凍方法を用いて画像データを復元する。同時に解凍計算ユニット352は削除された視野外領域のデータ及び空気データなどの画像データを復元し、記憶ユニット34にセーブされた視野外領域のデータを復元された画像の視野外領域に付け加える。
【0051】
上述のCT値分類テンプレートと各分類テンプレートの圧縮コーディングアルゴリズム及びそれに対応される解凍アルゴリズムとは予めに記憶ユニット34に記憶される。
再び図6を参照し、ユーザはユーザ操作インターフェース36を介して画像を操作し、圧縮の必要がない重要な部分を選んで保護しておく。これにより、中央制御ユニット31は画像圧縮/解凍計算ユニット35を制御して保護された画像データを圧縮しない。
【0052】
圧縮比率を高めるために、ユーザは自分の必要に基づいて、臨床診断について役に立たない画像データを視野外領域のデータのように削除してもよい。例えば、CT画像の中には多くの空気データが含まれ、肺部の画像にあるものは役に立つが、他の画像にあるものは臨床診断についてほとんど役に立たないので、その部分の画像データは削除してもよい。CT装置は設定しておいた各物質、組織のCT値より判断できる。例えば、空気のCT値は−1000で、ユーザがユーザ操作インターフェース36の「空気データを削除」の操作キーを選ぶと、画像圧縮/解凍計算ユニット35の圧縮計算ユニット351はDICOM画像中の空気データを削除し、同時に記憶ユニット34に1つの対応される記録情報を作成する。画像データを解凍、復元するとき、対応される記録情報に基づいて、空気データを復元する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成されたCT画像を圧縮する方法であって、
圧縮しようとする再構成された視野外領域及び視野内領域を含む画像を獲得するステップ10と、
予めに設定されたCT値分類テンプレートに基づいて、前記画像中の視野内領域の各画素のCT値がどのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断するステップ11と、
前記CT値分類テンプレート及び該CT分類テンプレートそれぞれについて確定された圧縮方法に基づいて、前記CT分類テンプレート中に所属された画素データに対して前記確定された圧縮方法にて圧縮を行うステップ12と、
を含む再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項2】
視野外領域のデータを削除し、それに対応する記録情報を作成するステップを含む請求項1に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項3】
上記再構成された画像は医学画像フォーマット(Digital Imaging and communications in Medicine, DICOMと称する)の画像で、512×512のアレイである請求項2に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項4】
上記の予めに設定したCT値分類テンプレートは、A[−1024〜−111]、B[−110〜145]、C[146〜657]、D[658〜3071]の4類を含み、CT値分類テンプレートB[−110〜145]内の画像データには可逆圧縮が用いられ、CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]の画像データには非可逆圧縮が用いられる請求項3に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項5】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートの対応される圧縮方法は以下の数式(1)
【数1】

(但し、yは圧縮結果、xは各画素のCT値、interceptは各CT分類テンプレートの下限値、slopeはユーザの要求に応じて定義可能な定数であり各CT分類テンプレートの圧縮比率である。ここでCT値分類テンプレートB[−110〜145]に対応される圧縮比率slopeは1である。)により行われる請求項4に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項6】
CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]に対応される圧縮比率slopeはそれぞれに4、2、9である請求項5に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項7】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートをバイナリーでそれぞれ表示し、Aは00で、Bは01で、Cは10で、Dは11で表示する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項8】
視野外領域の画素のCT値は−3024である請求項7に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項9】
解凍しようとする画像データを獲得するステップ21と、
各画素が所属されているCT値分類テンプレートに基づいて、それに対応される解凍アルゴリズムを適用して圧縮された画像データを解凍するステップ22と、
前記視野外領域の画像データを復元するステップ23と、
前記視野外領域のデータを解凍された画像に付け加え、完全な画像を獲得するステップ24と、
を含む請求項8に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項10】
以下の数式(2)
【数2】

(但し、xは圧縮された画像データ、yは圧縮された画像データ、圧縮比率slope及びinterceptは所属されているCT値分類テンプレートによって決定される)を適用して圧縮された画像データを解凍する請求項9に記載の再構成されたCT画像を圧縮する方法。
【請求項11】
被検者に対してX線スキャンを行うスキャンテーブルと、
スキャンテーブルから出力されたスキャンデータを収集、アナログデジタル変換するデータ収集ユニットと、
データ収集ユニットから送ってきたスキャンデータに基づいて、画像再構成を行い、再構成された画像データを記憶ユニットに記憶し、及び/又は中央制御ユニットを介してユーザ操作インターフェースに表示する画像再構成ユニットと、
ユーザ操作に用いられるユーザ操作インターフェースと、
データ及び情報の記憶に用いられる記憶ユニットと、
上記画像再構成ユニットの出力端に接続され、スキャンテーブル、データ収集ユニット、ユーザ操作インターフェース及び記憶ユニットを制御する中央制御ユニットとを含むCT装置であって、
上記記憶ユニットにはCT値分類テンプレートとCT値分類テンプレートに応用される圧縮アルゴリズム及び解凍アルゴリズムとが記憶され、そのCT装置は中央制御ユニットの制御により記憶ユニット記憶されているCT値分類テンプレートと対応される圧縮アルゴリズム及び解凍アルゴリズムとを用いて再構成された画像を圧縮したり、圧縮された画像を解凍したりする画像圧縮/解凍計算ユニットをさらに含むCT装置。
【請求項12】
前記画像圧縮/解凍計算ユニットは、圧縮計算ユニット及び解凍計算ユニットを含み、中央制御ユニットは画像圧縮/解凍計算ユニット中の圧縮計算ユニットを、自動的に又はユーザがユーザ操作インターフェースを操作することで中央制御ユニットに対応される圧縮指示を発送することにより制御して画像再構成ユニットにより再構成された画像を圧縮する請求項11に記載のCT装置。
【請求項13】
上記再構成ユニットにより再構成された画像は、医学画像フォーマット(Digital Imaging and communications in Medicine, DICOMと称する)の画像で、512×512のアレイであり、視野内領域及び視野外領域を含む請求項12に記載のCT装置。
【請求項14】
上記CT値分類テンプレートは、A[−1024〜−111]、B[−110〜145]、C[146〜657]、D[658〜3071]の4類を含み、CT値分類テンプレートB[−110〜145]内の画像データには可逆圧縮が用いられ、CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]の画像データには非可逆圧縮が用いられる請求項13に記載のCT装置。
【請求項15】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートの対応される圧縮方法は以下の数式(3)
【数3】

但し、yは圧縮結果、xは各画素のCT値、interceptは各分類テンプレートの下限値、slopeはユーザの要求に応じて定義可能な定数であり各分類テンプレートの圧縮比率である。ここで、CT値分類テンプレートB[−110〜145]に対応される圧縮比率slopeは1であり、それに対応される圧縮された画像データを解凍する方法は数式(4)
【数4】

であり、
(但し、xは圧縮された画像データ、yは圧縮された画像データ、圧縮比率slope及びinterceptは所属されているCT値分類テンプレートによって決定される)によって行われる。請求項14に記載のCT装置。
【請求項16】
CT値分類テンプレートA[−1024〜−111]、C[146〜657]、D[658〜3071]に対応される圧縮比率slopeはそれぞれに4、2、9である請求項15に記載のCT装置。
【請求項17】
A、B、C、Dの4類のCT値分類テンプレートをバイナリーでそれぞれ表示し、Aは00で、Bは01で、Cは10で、Dは11で表示する請求項14から請求項16のいずれか一項に記載のCT装置。
【請求項18】
前記圧縮計算ユニットが中央制御ユニットから送ってきた再構成された画像を圧縮する指示を受け取ったとき、前記圧縮計算ユニットは、記憶ユニットから圧縮しようとする再構成画像データを取り出し、画像中の視野外領域のデータを削除し、視野内のデータの各画素のCT値がどのCT値分類テンプレートに所属されているかを判断し、各画素が所属されているCT値分類テンプレートの圧縮アルゴリズムに基づいて画素データを圧縮し、上記ユーザ操作インターフェースには「空気データを削除」の操作キーが設けられている請求項13に記載のCT装置。
【請求項19】
前記解凍計算ユニットが中央制御ユニットから送ってきた圧縮された再構成画像を解凍する指示を受け取ったとき、前記解凍計算ユニットは、記憶ユニットから解凍しようとする画像データを取り出し、各画素が所属されているCT値分類テンプレートの解凍アルゴリズムに基づいて圧縮された画素データを解凍し、視野外領域の画像データを復元し、視野外領域のデータを解凍された画像に付け加え、完全な画像を獲得する請求項18に記載のCT装置。
【請求項20】
前記圧縮計算ユニットが視野外領域のデータを削除するとき、同時に1つの対応される記録情報を記憶ユニットに作成、記憶し、圧縮計算ユニットが圧縮した画像データ又は圧縮解凍ユニットが解凍した画像データが記憶ユニットに記憶される請求項19に記載のCT装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−22821(P2010−22821A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160066(P2009−160066)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】