説明

CTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムおよび該クライアントサーバシステムにおける顧客情報管理方法、ならびにそのためのプログラム

【課題】CTIクライアントソフトの方式を採用した場合に個人情報の流出を防止することが可能なクライアントサーバシステムおよび該クライアントサーバシステムにおける顧客情報管理方法、ならびにそのためのプログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】CTIクライアントソフトにおいてログイン時にDBサーバ13からダウンロードした顧客情報をクライアントPC11のメモリ上に展開し、メモリ上に展開した顧客情報をキーとしてDBサーバ13にアクセスし、CTI連携機能により関連情報を表示装置に表示するとともに、ログアウト時にクライアントPC11のメモリ上に展開された顧客情報を削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人情報流出防止機能を具備するクライアントサーバシステムに係り、特にCTI(Computer Telephony Integration)クライアントソフトでPC(Personal Computer)上に顧客情報を保持するにあたり、個人情報の流出を防ぐためにCTIクライアント利用後のログアウト時に顧客情報を自動的に削除する仕組みに関するものである。なお、CTIは電話やFAXをコンピュータと連携する技術であり、企業のコールセンタなどで広く利用されている技術である。
【背景技術】
【0002】
CTIクライアントソフトは、業務の特性上クライアントPC内に顧客情報を保持する必要があった。従来のCTIクライアントソフトは、サーバからダウンロードした顧客情報をクライアントPC内にファイルで保持する方式を採用していた。
【0003】
しかしながら、上記従来の方式によれば、クライアントPC内に個人情報である顧客情報が残ってしまうため、個人情報が流出してしまう危険性が大きかった。
【0004】
一般に個人情報を削除することによってその流出を回避する技術自体は、例えば、特開2008−99155号公報(特許文献1)、特開2006−323546号公報(特許文献2)、特開2005−333379号公報(特許文献3)、特開2003−152866号公報(特許文献4)などに開示されている。
【0005】
特許文献1,2に開示されたものは削除(廃棄)用の専用ボタン(スイッチ)を設けたものであり、特許文献3に開示されたものは、サーバで個人情報の処理を実行した後にサーバ内の個人情報を削除するようにして、個人情報の管理を個人に任せるようにしたものであり、特許文献4に開示されたものは、アンケート代行サービスを行う際に管理サーバにてアンケート実施者の個人情報を削除する仕組みを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−99155号公報
【特許文献2】特開2006−323546号公報
【特許文献3】特開2005−333379号公報
【特許文献4】特開2003−152866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のCTIクライアントソフトは、サーバからダウンロードした顧客情報をクライアントPC内にファイルで保持する方式を採用していたが、CTIクライアントソフト使用後もクライアントPC内に顧客情報である個人情報が残ることになってしまい、CTIクライアントソフトをインストールしたクライアントPCが盗難にあった場合、個人情報が流出する危険性が高いにもかかわらず、充分な対策が行われていなかった。
【0008】
上述したように、上記特許文献にはサーバ側に保存された個人情報を削除することは開示されているものの、CTIクライアントソフトの方式を採用した場合のクライアントPCに残る個人情報の流出については特に考慮されていなかった。
【0009】
本発明は、CTIクライアントソフトの方式を採用した場合に個人情報の流出を防止することが可能なクライアントサーバシステムおよび該クライアントサーバシステムにおける顧客情報管理方法、ならびにそのためのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するために、CTIクライアントソフトにおいてログイン時にDBサーバからダウンロードした顧客情報をクライアントPCのメモリ上に展開し、メモリ上に展開した顧客情報をキーとしてDBサーバにアクセスし、CTI連携機能により関連情報を表示装置に表示するとともに、ログアウト時にクライアントPCのメモリ上に展開された顧客情報を削除するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、CTIクライアントソフトにおいてログイン時にDBサーバからダウンロードした顧客情報をクライアントPCのメモリ上に展開する場合でも、ログアウト後はクライアントPC上に顧客情報(個人情報)が残らないことになり、クライアントPCからの個人情報流出を抑えることができる。これにより、クライアントPCの個人情報管理にかかる費用を削減すると共に、個人情報流出の危険性を抑えることで信頼性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るCTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムの一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】CTIクライアントPCからの顧客情報要求時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】電話着信があった場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】CTIクライアントログアウト時の顧客情報削除処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る個人情報流出防止機能を具備するクライアントサーバシステムの全体処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明に係るCTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムの一実施例を示すブロック構成図である。
【0014】
同図において、11はCTIクライアントPC、12はWebサーバ、13はDBサーバ、131は顧客の氏名、住所、電話番号、FAX番号などの個人情報である顧客情報を管理する顧客情報DB、14はインターネットである。
【0015】
本実施例は、CTIクライアントソフトを使用してAPSサービスにアクセスしているCTIクライアントPC11が、インターネット14を通じてサービスへアクセスする際に、Webサーバ12経由で認証を受け、DBサーバ13へアクセスしている。
【0016】
なお、ASP(Application Service Provider;アプリケーションサービスプロバイダ)とは、ビジネス用のアプリケーションソフトをインターネットを通じて顧客にレンタルする事業者のことであり、ASPサービスにおいては、ユーザはWebプロバイザなどを通じて、ASPの保有するサーバにインストールされたアプリケーションソフトをレンタルして利用するようにしたもので、これにより、負担の大きいアプリケーションソフトのインストールや管理あるいはアップグレードにかかる費用・手間を節減することができ、本サービスは今後ますます普及すると考えられる。
【0017】
CTIクライアントPC11は、ASPサービスにアクセスする際に、自身にインストールされているCTIクライアントソフトを用いる。使用されたCTIクライアントソフトは、CTIクライアントPC11からログイン要求を送出しWebサーバ12経由でDBサーバ13に対してログイン確認を行う。すなわち、Webサーバ経由でDBサーバ13に格納されているユーザIDチェックを行う。ユーザIDチェックのSQLを発行するのはDBサーバ13であり、実際のログイン確認(チェック)を行うのはDBサーバ13である。Webサーバ12は、チェック要求を発行するのみである。
【0018】
DBサーバ13によるログイン確認の結果、ログイン処理に問題があれば接続不可とする。
【0019】
また、DBサーバ13によるログイン確認の結果、ログイン処理に問題がない場合は、ログイン情報を元にDBサーバ13の顧客情報DB131から顧客情報を取得し、該取得した顧客情報をCTIクライアントPC11にダウンロードしてメモリ上に展開する。
【0020】
その後電話着信を待ち、電話着信があった場合には、CTIクライアントPC11のメモリ上に展開した顧客情報をキーとしてDBサーバ13にアクセスし、CTIクライアント連携機能により情報の表示を行う。
【0021】
CTIクライアントソフトを終了(ログアウト)するときは、CTIクライアントPC11のメモリ上に展開した顧客情報を削除する。
【0022】
図2は、図1におけるCTIクライアントPCからのログイン処理から顧客情報の引渡しまでの処理を説明するためのフローチャートである。
【0023】
同図において、CTIクライアントPC11からインターネット14を経由して所定のサービス(https://・・)へアクセスする(ステップS21)。その際に、DBサーバ13でCTIクライアントPC11からの要求に対してログインIDやパスワードに基づきアクセスの可否をチェックする(ステップS22)。
【0024】
ログインIDやパスワードに不正がある場合は(ステップS22:N)、アクセスが拒否される(ステップS23)。
【0025】
ログインIDやパスワードに不正がない場合は(ステップS22:Y)、アクセスが許可される。
【0026】
アクセスが許可された場合、アクセスを許可した要求に対応する顧客情報がDBサーバ13の顧客情報DB131に存在するかを確認する(ステップS24)。
【0027】
要求された顧客情報がDBサーバ13の顧客情報DB131に登録されていない場合は(ステップS24:N)、CTIクライアントPC11にエラー情報を送付し表示装置にエラー表示する(ステップS25)。
【0028】
要求された顧客情報がDBサーバ13の顧客情報DB131に存在する場合(ステップS24:Y)、CTIクライアントPCに顧客情報を送付する(ステップS26)。
【0029】
CTIクライアントPC11は、送付された顧客情報を該CTIクライアントPC11のメモリ上に展開して(ステップS27)、電話の着信を待機する。
【0030】
図3は、電話の着信があった場合の処理を説明するためのフローチャートである。
電話の着信があった場合は、CTIクライアントPC11のメモリ上に展開した顧客情報をキーとしてDBサーバ13にアクセスし、CTIクライアント連携機能により情報の表示を行う。
【0031】
すなわち、同図のフローチャートに示すように、電話の着信を待機し(ステップS28)、電話の着信があった場合(ステップS28:Y)、クライアントPC11のメモリ上に展開された前記顧客情報をキーとしてDBサーバ13にアクセスし、CTIクライアント連携機能により、例えば保険代理業務に利用する場合は保険に関する各種情報をダウンロードして表示装置に表示する(ステップS29)。
【0032】
図4は、CTIクライアントPCをログアウトする際に該CTIクライアントPC11のメモリ上に展開した顧客情報を削除する処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
CTIクライアントPC11をログアウトする際にログアウトの確認を行う(ステップS31)。ログアウトしない場合は(ステップS31:N)、CTIクライアントPCは処理を続行する(ステップS32)。
【0034】
ログアウトする場合は(ステップS31:Y)、CTIクライアントPC11のメモリ上に展開した顧客情報を削除する(ステップS33)。
【0035】
図5は、上述した本発明に係る個人情報流出防止機能を具備するクライアントサーバシステムにおける一連の処理の全体像を示している。図中には、各処理が図2〜図4に示したフローチャートのどのステップに対応するかも記してある。
【0036】
上述したように、従来のCTIクライアントソフトでは、サーバからダウンロードした顧客情報をクライアントPC内にファイルで保持する方式を取っており、CTIクライアントソフト使用後もクライアントPC内に個人情報が残っているので、個人情報が流出する危険性が高いという問題があったが、本発明によれば、特に図4のステップS33で説明したように、CTIクライアントログアウト時に、該顧客情報をCTIクライアントPCのメモリ上から削除するようにしたので、個人情報の流出リスクを低減することができる。
【0037】
本発明に係るCTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムによって行われる図2〜図4に示した処理は、CTIクライアントPCやDBサーバを構成するCPUやメモリ、レジスタなどのハードウェアにより各処理(請求項における各手段あるいは各ステップ)に対応するプログラムを実行することにより実現される。これらの各処理に対応するプログラムは、FD、CD−ROM、DVDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体や、インターネットなどのネットワークを介して市場に流通させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、特に、インターネットサービスにて本出願人が提供している保険代理店向け顧客管理ASPサービスであるViewMate(登録商標)サービスを利用する場合で、CTI連携を行う場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
11:CTIクライアントPC
12:Webサーバ
13:DBサーバ
131:顧客情報DB
14:インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムであって、
CTIクライアントPCと顧客情報を管理するDBサーバとを具備し、
前記CTIクライアントPCは、
CTIクライアントソフトにおいて前記DBサーバにログイン要求を行う手段と、
前記DBサーバから前記DBサーバが抽出した前記ログイン要求に対応する顧客情報をダウンロードする手段と、
ダウンロードした顧客情報をメモリ上に展開する手段と、
展開した顧客情報をキーとして前記DBサーバにアクセスし、CTI連携機能により関連情報を表示装置に表示する手段と、
ログアウトする場合に前記メモリ上に展開した前記顧客情報を削除する手段とを有し、
前記DBサーバは、前記CTIクライアントPCからのログイン要求による当該DBサーバへのアクセスの可否を判定する手段と、
アクセスが可の場合に前記ログイン要求に対応する顧客情報を顧客情報DBから抽出する手段と
を有する
ことを特徴とするクライアントサーバシステム。
【請求項2】
コンピュータを、請求項1に記載のクライアントサーバシステムにおける各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
CTIクライアントPCと顧客情報を管理するDBサーバとを具備するCTI連携機能を備えたクライアントサーバシステムにおける顧客情報管理方法であって、
前記CTIクライアントPCが、CTIクライアントソフトにおいて前記DBサーバにログイン要求を行うステップと、
前記DBサーバが、前記CTIクライアントPCからのログイン要求に基づいてアクセスの可否を判定するステップと、
前記DBサーバが、前記判定の結果アクセスが可の場合、前記ログイン情報に対応する顧客情報を顧客情報DBから抽出するステップと、
前記CTIクライアントPCが、前記DBサーバが抽出した顧客情報をダウンロードしメモリ上に展開するステップと、
前記CTIクライアントPCが、前記メモリ上に展開した顧客情報をキーとして前記DBサーバにアクセスし、CTI連携機能により関連情報を表示装置に表示するステップと、
前記CTIクライアントPCが、ログアウトする際に前記メモリ上に展開した前記顧客情報を削除するステップと、
を有することを特徴とするクライアントサーバシステムにおける顧客情報管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−118658(P2012−118658A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266190(P2010−266190)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】