説明

Co3O4担持触媒の製造方法

【課題】高いHC浄化性能を示し得るCo担持触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】Co担持触媒の製造方法であって、
コバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であるコバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と担体とを用意する工程、
前記コバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と前記担体とを混合する工程、
得られた混合物から粉末を分離取得する工程、および
得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程
を含む、前記製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Co担持触媒の製造方法に関し、さらに詳しくは高い炭化水素(HC)浄化性能を示し得るCo担持触媒の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、例えば自動車エンジンから排出される排ガス中には運転開始時などの低温下に燃料のガソリンあるいは灯油の未反応物であるHCが排ガス中に含有される。この未反応HCにより排ガス浄化用の貴金属触媒の活性が低下する場合がありその除去が必要である。
排ガス中の未反応HCを除去する触媒としてCo担持触媒が知られているが、この触媒の低温活性は十分ではなく、その改良が求められており、様々な検討がなされている。
また、前記のCo担持触媒を含めて金属又は金属酸化物担持触媒を作製するために担体として酸化物粒子を使用することが提案されているが、酸化物粒子からなる担体に金属又は金属酸化物触媒を担持させる技術についても様々な検討がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2種類以上の金属酸化物を含有する複合金属酸化物担体中の一部の金属酸化物に、該金属酸化物の表面電荷の違いを利用して優先的に有機物を付着させて有機物付着担体を得る工程と、前記有機物付着担体に貴金属を担持させて触媒前駆体を得る工程と、前記触媒前駆体を焼成して排ガス浄化用触媒を得る工程と、を含む排ガス浄化用触媒の製造方法が記載され、具体例として付着溶液のpHを特定範囲に制御して金属酸化物に有機物を付着させた有機物付着担体に貴金属水溶液を用いて貴金属を担持させて排ガス浄化用触媒を得た例が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、細孔構造を有する多孔質シリカ担体及び該細孔構造内にペロブスカイト型複合酸化物の粒子を有する排ガス浄化触媒、および細孔構造を有する多孔質シリカ担体に、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属の塩の溶液を含浸させ、得られた多孔質シリカ担体を乾燥および焼成する排ガス浄化触媒の製造方法が記載され、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属の塩として無機塩、酢酸塩のような有機酸塩が示されている。しかし、前記の製造方法は含浸法による担持であるため、得られる排ガス浄化触媒には凝集が起こりやすく、触媒の均一分散性が不十分である。
【0005】
また、特許文献3には、Alを含有する酸化物にCoを混合することにより前駆体を調製し、酸化還元雰囲気において焼成して得られる排ガス浄化触媒、およびアルミニウム系酸化物にCoを含む塩の溶液を含浸させた後、焼成してCoが担持されたアルミニウム系酸化物からなる前駆体酸化物を得て、前記前駆体酸化物を酸化雰囲気で高温焼成する工程と還元雰囲気で高温焼成する工程とのサイクルを行う排ガス浄化触媒の製造方法が記載され、具体例として、式:MO・nAlで表わされるアルミニウム系酸化物を与える各元素の塩を所定化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、中和剤を加えてpHを6〜10程度にして共沈させた後、共沈物を乾燥、焼成して得る例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−268472号公報
【特許文献2】特開2008−12382号公報
【特許文献3】特開2011−41913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの公知技術を適用しても、Coの均一分散性が低いため高いHC浄化性能を示すCo担持触媒を得ることができない。
従って、本発明の目的は、高いHC浄化性能を示すCo担持触媒の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、Co担持触媒の製造方法であって、
コバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であるコバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と担体とを用意する工程、
前記コバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と前記担体とを混合する工程、
得られた混合物から粉末を分離取得する工程、および
得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程
を含む、前記製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高いHC浄化性能を示し得るCo担持触媒を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位差とpHとの関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例および比較例で得られたCo担持触媒の測定温度とHC浄化率との関係を比較して示すグラフである。
【図3】図3は、実施例で得られたCo担持触媒のTEM写真の写しである。
【図4】図4は、比較例で得られたCo担持触媒のTEM写真の写しである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)前記ゼータ電位の差が、pHを変えて予め別々に水中で測定された水酸化コバルトのコロイドと担体のゼータ電位に基づいて求められる前記製造方法。
2)前記粉末を分離取得する工程が、得られた混合物から溶媒を蒸発させる工程である前記製造方法。
3)前記担体が、酸化物粒子である前記製造方法。
4)前記酸化物粒子が、CeO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、CeO−ZrO複合酸化物(特に、セリア−ジルコニア固溶体)粒子(以下、CZと略記することもある。)、Al粒子、CeO−Al複合酸化物粒子、CeO−TiO複合酸化物粒子、CeO−SiO複合酸化物粒子又はCeO−ZrO−Al複合酸化物粒子であり、前記担持触媒が排ガス中のHC浄化用触媒である前記製造方法。
5)前記酸化物粒子が、セリア−ジルコニア固溶体粒子である前記製造方法。
6)前記溶媒を蒸発させる工程が、100〜200℃の範囲内で行われる前記製造方法。
7)前記粉末を焼成する工程が、400〜700℃の範囲内で行われる前記製造方法。
【0012】
本発明においては、
コバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であるコバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と担体とを用意する工程、
前記コバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と前記担体とを混合する工程、
得られた混合物から粉末を分離取得する工程、および
得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程
を含むことが必要であり、これによってCoの凝集が抑制され担体にCoを均一分散させて担持することが可能となり、高いHC浄化性能を示し得るCo担持触媒を容易に得ることができる。
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の製造方法は、先ずコバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であるコバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と担体とを用意することが必要である。
前記のコバルト酸化物前駆体としては、各種アンミンコバルト錯化合物(アンモニア水や第4級アンモニウム塩、ポリエチレンアミン類などを中和剤に使用した場合)、水酸化コバルト(NaOHなどを中和剤に使用した場合)、炭酸コバルト(炭酸ナトリウムなどを中和剤に使用した場合)あるいはコバルトイオン(硝酸コバルトなどを水に溶解した場合)が含まれる。
本発明の実施態様において、前記のコバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドと担体(CZ)とのゼータ電位の差は、図1に示すように、担体と水酸化コバルトのコロイドにおいてpHを変化させた際のゼータ電位を個別に予め測定し(必要であればプロットし)て、pH6付近で50mV以上となる。
【0014】
このように、水酸化コバルトのコロイドと担体としてのCZとを用いる場合、pH6以下に調整した水酸化コバルトのコロイドと担体とを組合せることにより、水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上である水酸化コバルトのコロイド分散液と担体とを用意し得る。
また、前記の実施態様においては担体としてCZを用いた例を示したが、CZ以外の任意の担体およびコバルト酸化物前駆体の組み合わせも同様に本発明を適用し得る。
すなわち、任意の担体とコバルト酸化物前駆体のコロイドにおいてpHを変化させた際のゼータ電位を個別に予め測定して(必要であればプロットし)、担体とコバルト酸化物前駆体のコロイド間のゼータ電位が50mV以上となるpH値を求めて、そのpHあるいはそれ以下のpH値のコバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドと担体とを用意すればよい。
【0015】
これに対して、図1に示すように、pHを7以上に調整した水酸化コバルトのコロイドと担体とを組合せると、水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV未満である水酸化コバルトのコロイド分散液と担体とを用意することになる。
このように、水酸化コバルトのコロイドとCZとのゼータ電位の差は、pH調整によって行い得る。
このpH調整は、図1に示すように、pHを変えて予め別々に溶媒中、例えば水中で測定された水酸化コバルトのコロイドと担体のゼータ電位に基づいて求めることができる。
【0016】
そして、本発明の実施態様により水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上である水酸化コバルトのコロイド分散液と担体と用いて得られたCo担持触媒は、図2に示すように、水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV未満である水酸化コバルトのコロイド分散液と担体と用いて得られたCo担持触媒あるいは、物理的混合によって得られたCo担持触媒に比べてHC浄化性能、特に低温でのHC浄化率が高い。
【0017】
前記のように本発明の実施態様によって得られるCo担持触媒は高いHC浄化性能を示すが、これは、図3に示すように、ゼータ電位差を50mV以上に調整後に担持することにより微細なCo粒子が担体に高分散に担持されていることによると考えられる。この微細なCo粒子が担体に高分散に担持され要因として、水酸化コバルトのコロイドの担体への吸着が電気的作用による駆動力で強固に且つ速やかに担持されることによると考えられる。
一方、Co担粉末と担体粉末とを物理混合して得られたCo担持触媒は低いHC浄化性能を示すが、それは、図4に示すように、粗大なCo二次粒子が形成されるため活性が低下することによると考えられる。
また、前記ゼータ電位差が50mV未満であると、微細なCo粒子の担体への高分散程度が低下するため活性が低下することによると考えられる。
【0018】
本発明におけるコバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドとCZとのゼータ電位差は、前記のようにpHを調整する方法によって行われ得て、例えばpHを酸側にする場合は0.1Mの塩酸水溶液を滴下する方法、pHを塩基側にする場合は0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下する方法が挙げられる。これらの滴下量によってpHの数値を変化させ得る。また、この滴下する水溶液の種類および濃度は前記以外のものを適宜選択し得る。
前記の実施態様の方法において、コバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドのpHは水酸化コバルトのコロイドが溶解しない範囲であるpH5以上であることが好ましい。前記のpH範囲であれば、水酸化コバルトがコロイド分散液の状態であり、好適である。
つまり、コバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトが溶媒に溶解した溶液ではなく水酸化コバルトのコロイド分散液を用いることによって、担体へのCoの均一担持が容易に確保されると考えられる。
【0019】
本発明における前記コバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドは、例えば溶媒中、例えば水中でコバルト塩と中和剤とを、場合により分散剤を存在させて中和反応させることによって得ることができる。
前記コバルト塩として、硝酸コバルト、硫酸コバル、酢酸コバルトなどが挙げられる。
前記中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、有機アミン、例えば式N(R)(R)(R)(式中、R、RおよびRは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基であり、互い同一であってもまたは異なっていてもよい。)で示されるアミンが挙げられる。
また、前記分散剤として、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのポリマー分散剤が挙げられる。
【0020】
前記担体としては、前述のようにコバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であることが必要であるので、予めpHを変えて予め別々に溶媒中、例えば水中で測定されたコバルト酸化物前駆体のコロイドのゼータ電位と担体のゼータ電位との差が50mV以上となる担体を用い得る。
このような担体として、例えば酸化物粒子が挙げられ、前記酸化物粒子としては、CeO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、CeO−ZrO複合酸化物(特に、セリア−ジルコニア固溶体)粒子、Al粒子、CeO−Al複合酸化物粒子、CeO−TiO複合酸化物粒子、CeO−SiO複合酸化物粒子又はCeO−ZrO−Al複合酸化物粒子、特にセリア−ジルコニア固溶体粒子が挙げられる。
【0021】
本発明の実施態様においては、第1工程の水酸化コバルトのコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上である水酸化コバルトのコロイド分散液と担体とを用意する工程によって用意された前記水酸化コバルトのコロイド分散液と前記担体とを混合する工程、
得られた混合物から粉末を分離取得する工程、および
得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程
によってCo担持触媒を得ることができる。
前記水酸化コバルトのコロイド分散液は、溶媒に前記水酸化コバルトのコロイドを分散させたものであり、溶媒として水、アルコール、例えばメタノール、エタノールなど、好適には水が挙げられる。
【0022】
前記の前記水酸化コバルトのコロイド分散液と前記担体とを混合する工程は、例えば前記水酸化コバルトのコロイド分散液に担体粉末を添加することによって実施し得る。
本発明において、前記コバルト酸化物前駆体、例えば水酸化コバルトのコロイド分散液と混合前記担体とを混合する両成分の割合は、担体に対するCo担持量が,例えばCo換算で0.1〜10質量%の範囲、例えば1〜10質量%の範囲、例えば1〜5質量%の範囲となる量である。
【0023】
また、前記の得られた混合物から粉末を分離取得する工程は、沈殿物をろ過して取得する工程あるいは溶媒を除く工程、好適には得られた混合物から溶媒を蒸発させる工程、例えば100℃以上200℃未満の温度、例えば100〜150℃の範囲内の温度で溶媒、例えば水分を蒸発させることによって実施し得る。
前記の溶媒を蒸発させる工程によれば、微細な粉末のろ過工程を含まないので工程上有利であり得る。
また、前記の得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程は、空気中、400〜700℃の温度で、1〜10時間、例えば2〜8時間焼成することによって実施し得る。
【0024】
前述の方法によって、担体にCoが均一に担持されたCo担持触媒を得ることができる。
前記のCo担持触媒は、自動車エンジンなどの内燃機関からの排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒として用い得る。
また、本発明におけるCo担持触媒は、HCの低温除去が必要な任意の分野で用い得る。
【0025】
また、本発明の担持触媒は、通常ハニカム等の基材上に積層して用い得る。
前記の基材として用い得るハニカムは、コージェライトなどのセラミックス材料やステンレス鋼などにより形成され得る。また、本発明の担持触媒は任意の形状に成形して用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例において、担体として以下のものを用いた。
CZ(ACTALYSLISA、キャタラー社製、平均粒径:20nm)
得られたCo担持触媒についてTEM測定を行って担持触媒の分散状態の観察を行った。
【0027】
また、Co担持触媒について、HC浄化性能を下記の条件で、600℃まで昇温し、HC酸化活性の評価を行った。
使用触媒量:約0.75g
ガス流量:1L/min
SV:約90000h−1
ガス:CO:0.65%、C:1500ppmC、O:0.58%、
:balance
A/F=15.02
において600℃まで昇温し、HC酸化活性を評価
【0028】
実施例1
原料のコバルト塩として硝酸コバルト(0.1Mに調整、ナカライテスク社)、中和剤としてNaOH(1M、ナカライテスク社)を用いて調製した水酸化コバルトのコロイドおよび担体としてのCZのゼータ電位をpHを変化させて個別に測定し、プロットした。結果を図1に示す。
図1から、水酸化コバルトのコロイドおよび担体としてのCZのゼータ電位差がpH6で50mV以上の53.6mVとなることが知られる。
このpH6の水酸化コバルトのコロイド分散水溶液(水酸化コロイドが溶解してなくて分散している)にCZを加え、混合して得られた混合物から水を120℃で蒸発乾固し、得られた粉末を空気中、600℃で4時間焼成することによって、担体にCoが担持されたCo担持触媒を得た。
また、得られたCo担持触媒についてHC浄化性能の評価を行った。結果を他の例とともにまとめて図2に示す(図2におけるT−inは、導入ガス温度を示す。)。
得られたCo担持触媒についてTEM測定を行った。結果を図3に示す。
【0029】
比較例1
図1において、水酸化コバルトのコロイドおよび担体としてのCZのゼータ電位差が50mV未満となるpHは7であることが知られる。
このpH7の水酸化コバルトのコロイド分散水溶液を用いた他は実施例1と同様にしてCZを加え、以後は実施例1と同様にして、CZにCoが担持されたCo担持触媒を得た。
得られたCo担持触媒についてHC浄化性能の評価を行った。結果をまとめて図2に示す。
【0030】
比較例2
実施例1で調製した水酸化コバルトのコロイドをそのまま(図1から、pH調整しないpH8.5)分散液として用いこれにCZを加え、以後は実施例1と同様にして、CZにCoが担持されたCo担持触媒を得た。
得られたCo担持触媒についてHC浄化性能の評価を行った。結果をまとめて図2に示す。
【0031】
比較例3
図1において、pHを9に調整すると水酸化コバルトのコロイドとCZのゼータ電位差が10mV未満であることが知られる。
pHが9の水酸化コバルトのコロイド分散水溶液を用いた他は実施例1と同様にしてCZを加え、以後は実施例1と同様にして、CZにCoが担持されたCo担持触媒を得た。
得られたCo担持触媒についてHC浄化性能の評価を行った。結果をまとめて図2に示す。
【0032】
比較例4
実施例1において得られた水酸化コバルトのコロイドを脱水、焼成して得られたCo粉末とCZとを、メノウ鉢で30分間物理混合して、CZにCoが担持されたCo担持触媒を得た。
得られたCo担持触媒についてTEM測定を行った。結果を図4に示す。
得られたCo担持触媒についてHC浄化性能の評価を行った。結果をまとめて図2に示す。
【0033】
図2から、実施例で得られたCo担持触媒は低温でのHC浄化性能が最も高いことが示されている。
また、図3から、実施例1で得られたCo担持触媒はCo担持微細粒子が担持されていることが示されている。
また、図4から、比較例4の物理混合で得られたCo担持触媒は巨大なCo二次粒子がCZに担持されていることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、高いHC浄化性能を示し得るCo担持触媒を容易に得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Co担持触媒の製造方法であって、
コバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位の差が50mV以上であるコバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と担体とを用意する工程、
前記コバルト酸化物前駆体のコロイド分散液と前記担体とを混合する工程、
得られた混合物から粉末を分離取得する工程、および
得られた粉末を焼成して担体にCoを担持させる工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
前記ゼータ電位の差が、pHを変えて予め別々に溶媒中で測定されたコバルト酸化物前駆体のコロイドと担体とのゼータ電位に基づいて求められる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記粉末を分離取得する工程が、得られた混合物から溶媒を蒸発させる工程である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記担体が、酸化物粒子である1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記酸化物粒子が、CeO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、CeO−ZrO複合酸化物粒子、Al粒子、CeO−Al複合酸化物粒子、CeO−TiO複合酸化物粒子、CeO−SiO複合酸化物粒子又はCeO−ZrO−Al複合酸化物粒子であり、前記担持触媒が排ガス中の炭化水素浄化用触媒である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化物粒子が、セリア−ジルコニア固溶体粒子である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記溶媒を蒸発させる工程が、100〜200℃の範囲内で行われる請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記粉末を焼成する工程が、400〜700℃の範囲内で行われる請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99716(P2013−99716A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244626(P2011−244626)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】