説明

Cr含有合金の浸炭深さ測定方法

【課題】簡易な測定が可能であり、かつ、測定対象物を破壊することなく、浸炭深さを定量的に把握しうるCr含有合金の浸炭深さ測定方法を提供する。
【解決手段】浸炭深さが異なるCr含有合金の複数の試料についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って(ステップS2)、クロム及びクロム以外の金属元素の濃度と浸炭深さとの関係を予め求めておく(ステップS4)。次に、測定対象物であるCr含有合金について前記ポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、該測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度を測定する(ステップS6)。この後、予め求めた前記関係に基づいて、前記測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果から、前記測定対象物の浸炭深さを求める(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボイラや焼却炉等の材料に用いられるCr含有合金の表層の浸炭深さを測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロムを含有する合金(以下、「Cr含有合金」という。)は、耐熱性、耐食性、耐摩耗性等の性質に優れるため、種々の産業で利用されている。例えば、耐食性に優れるオーステナイト系のステンレス鋼(ニッケルクロム鋼)は、ボイラの伝熱管や焼却炉の材料に用いられる。
【0003】
ところで、回収ボイラや焼却炉は、未燃カーボンや炭素化合物(例えばCaCO)等が存在する高温環境下で運転されるため、浸炭が発生する。浸炭とは未燃カーボンや炭素化合物に含まれる炭素がCr含有合金内へ拡散して粒界に炭化物を形成する現象である。浸炭発生の結果、粒界近傍のクロム濃度が減少することで、同部位の耐食性が損なわれるため塩化腐食などの腐食が著しく増大してしまう。そこで、Cr含有合金の浸炭の程度つまりは耐食性の程度を把握するために、回収ボイラや焼却炉等の表層における浸炭深さを測定する必要がある。
【0004】
従来、Cr含有合金の表層における浸炭深さの測定は、測定対象物を切断して試料を作製して断面組織を観察したり、測定対象物の表面組織をフィルムに転写して表面組織を観察したりすることで行われていた。しかし、前者の手法は、測定対象物の破壊(接断)を伴うため採用できない場合がある。また、後者の手法は、浸炭の有無を判別できるものの、浸炭深さを定量的に把握することはできない。
なお、これらの手法とは別に、回収ボイラや焼却炉の燃料性状や、測定対象物への付着物の分析結果から浸炭の発生を推察することもあるが、あくまで推察であり、実際に浸炭が発生しているかを正確に知ることはできない。
【0005】
したがって、測定対象物を破壊することなく、浸炭深さを定量的に把握しうる測定手法の開発が望まれていた。
この点、特許文献1には、発光分光分析により、熱処理後の鋼材の表層における脱炭層や浸炭層等の分析を行う方法が記載されている。この方法は、表層の深さ方向における主要元素の連続的な濃度分布を得るために、試料表面の削れ深さと放電時間との関係を予め取得しておき、この関係に基づいて、発光分光分析で連続的に測定した発光強度から任意の深さにおける主要元素の濃度を求めるというものである。特許文献1に記載された方法によれば、測定対象物を破壊することなく、浸炭深さを定量的に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−352061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、測定対象物の表層の元素をアーク放電により励起して発光させ、この発光を分光することで分析を行うものであるから、アーク放電のための電源及びケーブルが必要である。このため、ケーブルの取り回しができない等の理由により、簡易に測定できない場合がある。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な測定が可能であり、かつ、測定対象物を破壊することなく、浸炭深さを定量的に把握しうるCr含有合金の浸炭深さ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るCr含有合金の浸炭深さ測定方法は、主成分であるベース金属元素に対して、少なくともクロム及びクロム以外の金属元素が添加されてなるCr含有合金の表層における浸炭深さを測定する方法であって、浸炭深さが異なるCr含有合金の複数の試料についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、クロム及びクロム以外の金属元素の濃度と浸炭深さとの関係を予め求めておき、測定対象物であるCr含有合金について前記ポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、該測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度を測定し、予め求めた前記関係に基づいて、前記測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果から、前記測定対象物の浸炭深さを求めることを特徴とする。
【0010】
本願発明者は、主成分であるベース金属元素に対してクロム及びクロム以外の金属元素が添加されてなるCr含有合金について蛍光X線分析法による分析を行うと、Cr含有合金の表層における浸炭深さによって、クロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果に違いが出ることを見出した。本願発明者は、この知見に基づいて、上記浸炭深さ測定方法を着想した。
【0011】
上記浸炭深さ測定方法によれば、ポータブル型蛍光X線分析装置を用いて、測定対象物を破壊することなく測定を行うことができる。
また、予め取得したクロム及びクロム以外の金属元素の濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果から浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを定量的に把握できる。しかも、Cr濃度に加えてクロム以外の金属元素の濃度という2つのパラメータを用いて浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを高精度に算出できる。
さらに、持ち運び可能なポータブル型蛍光X線分析装置を用いるため、現地でも簡易かつ迅速に測定を行うことができる。
【0012】
上記浸炭深さ測定方法において、前記クロム以外の金属元素はニッケル又はモリブデンであってもよい。また、前記Cr含有合金はニッケルクロム鋼であってもよい。
【0013】
上記浸炭深さ測定方法において、前記測定対象物は回収ボイラの伝熱管であってもよい。
回収ボイラの伝熱管にはCr含有合金を用いることが多いが、回収ボイラの伝熱管は未燃カーボンや炭素化合物(例えばCaCO)等が存在する高温環境下に曝されるため、浸炭による粒界のクロム濃度の減少によってCr含有合金の耐食性が損なわれやすい。この点、上記浸炭深さ測定方法は、伝熱管を切断することなく、伝熱管を構成するCr含有合金の表層における浸炭深さを簡易に測定することができるから、回収ボイラの伝熱管のCr含有合金の耐食性を管理するために有用である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蛍光X線分析法を用いて、測定対象物を破壊することなく測定を行うことができる。
また、予め取得したクロム及びクロム以外の金属元素の濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果から浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを定量的に把握できる。しかも、Cr濃度に加えてクロム以外の金属元素の濃度という2つのパラメータを用いて浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを高精度に算出できる。
さらに、持ち運び可能なポータブル型蛍光X線分析装置を用いるため、現地でも簡易かつ迅速に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】蛍光X線分析法によるニッケルクロム鋼(SUS304)の成分分析結果を示す表である。
【図2】第1実施形態に係るCr含有合金の表層における浸炭深さの測定方法を示すフローチャートである。
【図3】ニッケルクロム鋼におけるCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係を示すグラフである。
【図4】クロムモリブデン鋼におけるCr濃度及びMo濃度と浸炭深さとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[浸炭深さが蛍光X線分析結果に与える影響]
本願発明者は、主成分であるベース金属元素に対してクロム及びクロム以外の金属元素が添加されてなるCr含有合金について蛍光X線分析法による分析を行うと、Cr含有合金の表層における浸炭深さによって、クロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果に違いが出ることを見出した。
図1は、蛍光X線分析法によるニッケルクロム鋼(SUS304)の成分分析結果を示す表である。同図に示すように、浸炭が発生していない場合、SUS304の成分規格範囲内の数値を示すが、浸炭が発生すると、Cr濃度が減少し、Ni濃度が増大する。これは、蛍光X線分析法では、浸炭によって炭化物になったクロムが検出されずCr濃度が見かけ上減少し、その分だけNi濃度が見かけ上増大したためと考えられる。なお、含有量が最も多いベース金属元素である鉄は、浸炭の有無による影響がほとんどない。
本願発明者は、この知見に基づいて、本発明に係る浸炭深さ測定方法を着想した。
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る浸炭深さ測定方法について説明する。本実施形態では、測定対象物は、Cr濃度が18%であり、Ni濃度が8%のニッケルクロム鋼(SUS304)からなるCr含有合金である。
【0018】
図2は、本実施形態に係るCr含有合金の表層における浸炭深さの測定方法を示すフローチャートである。同図に示すように、最初に、浸炭深さが異なる複数の試料片(試料1〜3)について、ポータブル型蛍光X線分析装置を用いて分析を行う(ステップS2)。
ここで用いるポータブル型蛍光X線分析装置は、持ち運び可能であり、好ましくはケーブルレスである。例えば、ポータブル型蛍光X線分析装置として、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のXL3tシリーズ(XL3t−800,XL3t−800S,XL3t−900S−A)を用いることができる。
【0019】
試料1〜3は、いずれも測定対象物と同種のCr含有合金、すなわちニッケルクロム鋼(SUS304:Cr濃度;18%、Ni濃度;8%)である。各試料片の浸炭深さは、各試料片の断面組織の観察により予め測定されており、既知である。本実施形態では、試料1は浸炭が発生していない(すなわち、浸炭深さゼロ)のに対し、試料2及3は浸炭が発生しており、試料2よりも試料3のほうが浸炭深さは深い。
【0020】
次に、ステップS2の測定結果から、上記ニッケルクロム鋼の浸炭深さと、ポータブル蛍光X線分析装置により測定されたCr濃度及びNi濃度との関係を求める(ステップS4)。具体的には、測定された試料1〜3のCr濃度及びNi濃度に対して各試料片の浸炭深さをプロットし、最小二乗法等の公知の手法により近似曲線を求める。
なお、ステップS4においてCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係を求めるのは、浸炭の影響が出やすい添加金属元素(クロム及びニッケル)の濃度をパラメータとすることで、浸炭深さの測定を高精度に行うことができるからである。仮にFe濃度をパラメータとして用いると、ベース金属元素である鉄は浸炭の有無による影響をほとんど受けないため(図1参照)、浸炭深さの測定を高精度に行うことが難しい。
【0021】
図3は、ニッケルクロム鋼におけるCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係を示すグラフである。なお、同図に示す近似曲線10は、試料1〜3の各座標の近似曲線である。
図3に示すように、浸炭が発生していない試料1は、Cr濃度が約18%であり、Ni濃度が約8%であって、いずれも成分規格範囲内の数値を示す。一方、浸炭が発生している試料2及び3は、Cr濃度が18%よりも低く、Ni濃度は8%よりも多くなっている。これは、蛍光X線分析法では、浸炭によって炭化物になったクロムが検出されずCr濃度が見かけ上減少し、その分だけNi濃度が見かけ上増大したためと考えられる。
【0022】
続いて、図2に示すように、上記ポータブル蛍光X線分析装置を用いて測定対象物(ニッケルクロム鋼)の分析を行って、測定対象物のCr濃度及びNi濃度を測定する(ステップS6)。
なお、測定対象物は、回収ボイラの伝熱管であってもよい。回収ボイラの伝熱管のように、未燃カーボンや炭素化合物(例えばCaCO)等が存在する高温環境下に曝されるものは、粒界腐食によるクロムの減少によってCr含有合金の耐食性が損なわれやすい。この点、本実施形態の浸炭深さ測定方法は、伝熱管を切断することなく、伝熱管を構成するCr含有合金の表層における浸炭深さを簡易に測定することができるから、回収ボイラの伝熱管のCr含有合金の耐食性を管理するために有用である。
【0023】
最後に、ステップS4で求めたニッケルクロム鋼におけるCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、ステップS6で測定された測定対象物(ニッケルクロム鋼)のCr濃度及びNi濃度から、測定対象物の表層における浸炭深さを求める(ステップS8)。例えば、ステップS6で測定された測定対象物のCr濃度及びNi濃度を近似曲線10に代入して、測定対象物の表層における浸炭深さを求めてもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、主成分である鉄に対してクロム及びニッケルが添加されたニッケルクロム鋼からなり、浸炭深さが異なる試料1〜3についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、Cr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係を予め求めておき、ニッケルクロム鋼からなる測定対象物についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、該測定対象物中のCr濃度及びNi濃度を測定し、予め求めたCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、Cr濃度及びNi濃度の測定結果から測定対象物の表層における浸炭深さを求める。
【0025】
本実施形態によれば、蛍光X線分析法を用いて、測定対象物を破壊することなく測定を行うことができる。
また、予め取得したCr濃度及びNi濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、測定対象物中のCr濃度及びNi濃度の測定結果から浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを定量的に把握できる。しかも、Cr濃度に加えてNi濃度という2つのパラメータを用いて浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを高精度に算出できる。
さらに、持ち運び可能なポータブル型蛍光X線分析装置を用いるため、現地でも簡易かつ迅速に測定を行うことができる。
【0026】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るCr含有合金の表層における浸炭深さの測定方法について説明する。本実施形態は、測定対象物であるCr含有合金が、Cr濃度が18%、Mo濃度が2%のクロムモリブデン鋼(SUS316)を用いる点を除けば、第1実施形態の測定方法と共通する。したがって、ここでは第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0027】
本実施形態で用いる試料片(試料4〜6)は、いずれも測定対象物と同種のCr含有合金、すなわちクロムモリブデン鋼(Cr濃度:18%、Mo濃度:2%)である。各試料片の浸炭深さは、各試料片の断面組織の観察により予め測定されており、既知である。試料4は浸炭が発生していない(すなわち、浸炭深さゼロ)のに対し、試料5及6は浸炭が発生しており、試料5よりも試料6のほうが浸炭深さは深い。
なお、クロムモリブデン鋼は、クロムだけでなくモリブデンも炭化物を形成する。すなわち、本実施形態でCr含有合金として用いるクロムモリブデン鋼は、クロム及びモリブデンの両方が炭化されて粒界腐食されうる点で、第1実施形態でCr含有合金として用いたニッケルクロム鋼と異なる(ニッケルクロム鋼の場合、クロムのみが炭化物を形成し、ニッケルは炭化物を形成しない)。
【0028】
本実施形態では、主成分である鉄に対してクロム及びモリブデンが添加されたクロムモリブデン鋼からなり、浸炭深さが異なる試料4〜6について、ポータブル型蛍光X線分析装置を用いて分析を行って、Cr濃度及びMo濃度と浸炭深さとの関係を予め求めておき、クロムモリブデン鋼からなる測定対象物についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、該測定対象物中のCr濃度及びMo濃度を測定し、予め求めたCr濃度及びMo濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、Cr濃度及びMo濃度の測定結果から測定対象物の表層における浸炭深さを求める。
【0029】
図4は、クロムモリブデン鋼におけるCr濃度及びMo濃度と浸炭深さとの関係を示すグラフである。なお、同図に示す近似曲線20は、試料4〜6の各座標の近似曲線である。
図4に示すように、浸炭が発生していない試料4は、Cr濃度が約18%であり、Mo濃度が約2%であって、いずれも成分規格範囲内の数値を示す。一方、浸炭が発生している試料5及び6は、Cr濃度が18%よりも低く、Ni濃度も2%よりも低い。これは、蛍光X線分析法では、浸炭によって炭化物になったクロム及びモリブデンが検出されずCr濃度とMo濃度の両方が見かけ上減少したためと考えられる。
【0030】
本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様に、蛍光X線分析法を用いて、測定対象物を破壊することなく測定を行うことができる。
また、予め取得したCr濃度及びMo濃度と浸炭深さとの関係に基づいて、測定対象物中のCr濃度及びMo濃度の測定結果から浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを定量的に把握できる。しかも、Cr濃度に加えてMo濃度という2つのパラメータを用いて浸炭深さを求めるようにしたので、浸炭深さを高精度に算出できる。
さらに、持ち運び可能なポータブル型蛍光X線分析装置を用いるため、現地でも簡易かつ迅速に測定を行うことができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述の実施形態では、Cr含有合金がニッケルクロム鋼又はクロムモリブデン鋼である例について説明したが、本発明におけるCr含有合金は、ベース金属元素に対して少なくともクロム及びクロム以外の金属元素が添加された合金であれば、特に限定されない。
また、ベース金属元素に対してクロムを含む3種類以上の金属元素が添加されたCr含有合金の場合、クロム及びクロム以外の添加量が最も多い金属元素の濃度と浸炭深さとの関係を予め求めて、浸炭深さの測定を行うことが好ましい。このように添加量が多い金属元素をパラメータとして用いることで、浸炭深さの測定精度が向上する。
【符号の説明】
【0033】
10 近似曲線
20 近似曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分であるベース金属元素に対して、少なくともクロム及びクロム以外の金属元素が添加されてなるCr含有合金の表層における浸炭深さを測定する方法であって、
浸炭深さが異なるCr含有合金の複数の試料についてポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、クロム及びクロム以外の金属元素の濃度と浸炭深さとの関係を予め求めておき、
測定対象物であるCr含有合金について前記ポータブル型蛍光X線分析装置により分析を行って、該測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度を測定し、
予め求めた前記関係に基づいて、前記測定対象物中のクロム及びクロム以外の金属元素の濃度の測定結果から、前記測定対象物の浸炭深さを求めることを特徴とするCr含有合金の浸炭深さ測定方法。
【請求項2】
前記クロム以外の金属元素がニッケル又はモリブデンであることを特徴とする請求項1に記載のCr含有合金の浸炭深さ測定方法。
【請求項3】
前記Cr含有合金がニッケルクロム鋼であることを特徴とする請求項1又は2に記載のCr含有合金の浸炭深さ測定方法。
【請求項4】
前記測定対象物は、回収ボイラの伝熱管であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のCr含有合金の浸炭深さ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108003(P2012−108003A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257310(P2010−257310)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】