説明

D−アミノ酸酸化酵素阻害剤として神経変性および精神疾患を治療するための縮合ピロールカルボン酸の使用

本発明は、D−アミノ酸酸化酵素を阻害するための、特に神経変性および精神障害または疾患を治療するための、式Iの縮合ピロールカルボン酸の医薬を製造するための使用を提供する。式Iのある新規な化合物、それらを含有する医薬組成物、医薬におけるそれらの使用およびそれらを用いる治療方法についても開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縮合ピロールカルボン酸の、神経変性疾患および障害ならびに精神疾患および障害の治療のための、単独治療としてのまたはかかる疾患および障害の治療に有用な他の剤と組み合わせた使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PCT特許出願WO03/039540は、式(0)
【0003】
【化5】

[式中、Aは酸素もしくはNHであり;Rは水素もしくは低級アルキルであり、Rは水素もしくは低級アルキルであり;またはRおよびRは6員環を形成し、ハロゲンおよび/またはヒドロキシルにより場合によって置換されている]の化合物が学習および記憶を改善するのに有用なD−アミノ酸酸化酵素阻害剤であることを開示する。
【0004】
N−メチル−D−アスパラギン酸塩(NMDA)−グルタミン酸塩レセプターが、中枢神経系(CNS)全体の興奮性シナプスにおいて発現される。これらのレセプターは、記憶形成および学習のある形態に関連するシナプス可塑性を含む広域の脳の処理を媒介する。NMDA−グルタミン酸塩レセプターは、効果的な神経伝達をもたらすために2つのアゴニストに結合することを必要とする。これらの剤の1つは興奮性アミノ酸のL−グルタミン酸塩であり、他方第2のアゴニストはD−セリンであると考えられている。動物において、D−セリンは、セリンラセマーゼによりL−セリンから合成され、D−アミノ酸酸化酵素によりその対応するケト酸に分解される。セリンラセマーゼおよびD−アミノ酸酸化酵素は共に、D−セリンのCNS濃度を制御することにより神経伝達を媒介したNMDAレセプターの調節において重要な役割を演じると考えられている。D−アミノ酸酸化酵素阻害剤はまた、NMDAレセプターの活性化とは関係のない治療活性を示す他のD−アミノ酸酸化酵素基質を調節することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縮合ピロールカルボン酸類の他のグループが、D−アミノ酸酸化酵素阻害剤としての活性を有し、神経変性疾患および障害ならびに精神疾患および障害の治療に有用であることがここに見出された。
【0006】
したがって、第1の態様において、本発明は、式(I)
【0007】
【化6】

[式中、Rは、カルボン酸またはその塩、エステル、無水物もしくはアミド、またはヒドロキサム酸もしくはその塩であり、Xは、酸素、イオウまたはNR(Rは、水素、1つもしくは2つのアミノ基により場合によって置換されているC1−6アルキルカルボニルであり、またはRは、基S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)であり、またはRは、ハロまたはヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、(CHAr(mは、0、1または2であり、Arは、下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは上記定義の通りの基である。)によって置換されていてよいものであり、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてよい。)であり、Yは、酸素、窒素およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環であり、この環は、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)、ヒドロキシル、ハロ、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノ、またはヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルから独立して選択される1つまたは2つの置換基により置換されていてよく、または環Yは、(CHAr(mは、0、1または2であり、Arは下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより置換されていてよく、またはArは、ヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルにより置換されており、またはArは、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)により場合によって置換されている。)により場合によって置換されている。]の化合物のD−アミノ酸酸化酵素を阻害するための医薬を製造するための使用を対象とする。
【0008】
別の態様において、本発明は、式(I)
【0009】
【化7】

[式中、Rは、カルボン酸またはその塩、エステルもしくは無水物であり、またはRは、ヒドロキサム酸もしくはその塩であり、Xは、酸素、イオウまたはNR(Rは、水素、1つもしくは2つのアミノ基により場合によって置換されているC1−6アルキルカルボニルであり、またはRは、基S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)であり、またはRは、ハロまたはヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、(CHAr(mは、0、1または2であり、Arは、下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは上記定義の通りの基である。)によって置換されていてよいものであり、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてよい。)であり、Yは、酸素、窒素およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環であり、この環は、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)、ヒドロキシル、ハロ、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノ、またはヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルから独立して選択される1つまたは2つの置換基により置換されていてよく、または環Yは、(CHAr(mは、0、1または2であり、Arは下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより置換されていてよく、またはArは、ヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルにより置換されており、またはArは、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)により場合によって置換されている。)により場合によって置換されている。]の医薬に用いるための化合物を提供する。
【0010】
Arは5員または6員の芳香環であり、炭素環であっても複素環であってもよい。好ましい環Arは、フェニル、ピリジルおよびチアゾリルを含み、特にフェニルである。
【0011】
好ましくは、Yは1つの酸素またはイオウ原子を含有する5員の芳香族複素環である。該環の好適な置換基は、ハロ、ヒドロキシル、メチルまたはトリフルオロメチルを含む。好ましくは、該環は非置換である。
【0012】
式(I)の化合物の好ましいグループは、式(II)の化合物
【0013】
【化8】

[式中、Xは、酸素、イオウまたは基NR(Rは、水素であり、ハロ、ヒドロキシルもしくは(CHAr(mは、0、1もしくは2であり、Arは下記定義の通りであり、この基Arは、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは、アミノ、フェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)により置換されていてよく、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシにより置換されていてよい。)により場合によって置換されているC1−6アルキルである。)であり、Zは、酸素もしくはイオウ原子または上記定義の通りの基NRであり、ZおよびZの一方はCRまたはNであり、他方はCR(Rは水素またはハロである。)である。]、またはその塩、エステルもしくは無水物である。好ましくはZは酸素またはイオウである。最も好適なRは、水素、塩素もしくは臭素である。Rは好ましくは水素である。
【0014】
式(I)の化合物のさらに好ましいものは、式(III)の化合物
【0015】
【化9】

[式中、Xは、酸素、イオウまたは基NR(Rは、水素であり、ハロ、ヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、基(CHAr(mは、0、1もしくは2であり、Arは下記定義の通りであり、この基Arは、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは、アミノ、フェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、nは、0、1または2である。)により置換されていてよく、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシにより置換されていてよい。)であり、Zは、酸素もしくはイオウ原子または上記定義の通りの基NRであり、ZおよびZの一方はCRまたはNであり、他方はCR(Rは水素またはハロである。)である。]、またはその塩、エステルもしくは無水物である。好適なZは酸素またはイオウであり、好ましくはZはイオウである。最も好適なZはCH、NまたはCハロであり、ハロは塩素または臭素である。Rは好ましくは水素である。
【0016】
式(I)の好ましい化合物は:
4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;
6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸;
3−ブロモ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;および
3−クロロ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸を含む。
【0017】
当該技術分野の熟練者が理解するように、本明細書において用いるハロまたはハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む意味である。同様に本明細書において、C1−6アルキルにおけるC1−6は、直鎖または分岐配置の1、2、3、4、5または6個の炭素を有する基を特定するものとして定義され、C1−6アルキルは、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
【0018】
本願明細書において、芳香族複素環部分(即ち、「ヘテロアリール」)はフラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、およびそれらのN−オキシドを含む。
【0019】
本発明の具体的な実施形態は、実施例の主題となる化合物、ならびにその塩、エステル、無水物、およびアミド、ならびに妥当な場合におけるそれぞれのそのエナンチオマーおよびジアステレオマーからなる群から選択される化合物を含む。
【0020】
式(I)のある化合物は新規である。したがって、別の態様において、本発明は式(I)の新規な化合物を提供する。好ましい新規化合物は:
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸、
6H−フロ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸、
3−ブロモ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸、および
2−クロロ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸を含む。
【0021】
本発明の化合物は、存在する任意の置換基の性質により1つまたは複数のキラル中心を含有してもよく、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生成することもできる。混合物中のおよび純粋または部分的に純粋な化合物としての、生成し得る光学的異性体およびジアステレオマーのすべては、本発明の範囲に含まれる。本発明は、これらの化合物のこのような異性体の形態のすべてを包含することを意味する。式Iは、好ましい立体化学のない化合物種の構造を示す。
【0022】
本発明の塩は、好ましくは薬学的に許容される。用語「薬学的に許容される塩」は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む薬学的に許容される無毒な塩基または酸から調製される塩をいう。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガンの、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む。特に好ましくはアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。固体形態の塩は、1つ以上の結晶構造として存在し、水和物の形態として存在することも可能である。薬学的に許容される有機無毒塩基から誘導される塩は、第1級、第2級および第3級アミンの塩、天然に生成する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の塩を含む。本発明の化合物が塩基である場合、塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から調製することができる。かかる酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等を含む。特に好ましくはクエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、および酒石酸である。本明細書において、本発明の化合物への言及は、薬学的に許容される塩も含むことを意味すると理解される。加えて、式(I)の化合物の塩は、式(I)の他の化合物の調製における重要な中間体であってもよい。
【0023】
本発明のエステルは、好ましくは、式(I)の親のカルボン酸へin vivoで開裂可能な、薬学的に許容されるエステルである。しかし、薬学的に許容されないエステルが、式(I)の他の化合物の調製における重要な中間体であってもよく、それにより本発明のさらなる態様を含む。本発明の好ましいエステルは、非分岐C1−4アルキルエステル等のC1−6アルキルエステルを含む。
【0024】
式(I)の化合物のヒドロキサム酸類は、式(IV):
【0025】
【化10】

のヒドロキサム酸類を含む。
【0026】
本発明のアミド類は、好ましくは薬学的に許容されるアミド類であり、式(I)の親のカルボン酸にin vivoで開裂可能である。
【0027】
本発明は、さらに上記の式(I)の化合物のN−オキシドをその範囲内に含む。一般に、かかるN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子、および好ましくはそれらが窒素原子を示す場合のX、ZまたはZの任意の1つにおいて形成することができる。N−オキシドは、慣用的な方法、例えば、湿潤アルミナの存在下、式(I)の化合物とオキソンとの反応により形成することができる。
【0028】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物の薬学的に有効な量を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0029】
主題となる化合物は、D−アミノ酸酸化酵素活性の阻害を必要とする哺乳動物等の患者において、該化合物の有効量を投与することを含む、上記酵素活性の阻害方法として有用である。本発明は、本明細書において開示するD−アミノ酸酸化酵素の阻害剤としての化合物の使用を対象とする。霊長類、特に人類に加えて、種々の他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。
【0030】
本発明は、さらに人類および動物においてD−アミノ酸酸化酵素活性を阻害するための、本発明の化合物と薬学的担体もしくは希釈剤との組合せを含む医薬の製造方法を対象とする。
【0031】
本発明の方法において治療される対象は、一般に哺乳動物、好ましくはヒト、男性または女性であり、その対象においてD−アミノ酸酸化酵素活性の阻害が望まれている。用語「治療上の有効量」は、主題となる化合物の量を意味し、該化合物は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求める組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を引き出す。当該技術分野の熟練者は、本発明の化合物の有効量を用い、障害により現在苦しんでいる患者を治療することにより、または障害により現在苦しんでいる患者を予防的に治療することにより神経変性障害および精神障害に作用することができると認識されている。本明細書において、用語「治療」および「治療すること」は、本明細書に記載された神経変性障害および精神障害の進行を遅らせ、中断させ、妨げ、制御しまたは停止するすべての方法をいうが、必ずしもすべての障害の症状の除去を意味するものではなく、予防的治療と同様に、特に疾患または障害に罹りやすい患者において進行を遅らせまたは顕著な状態の危険性を低減することを意味する。
【0032】
本明細書に用いる用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含有する生成物、および特定の成分の特定の量による組合せから、直接的または間接的にもたらされる任意の生成物を包含することを意味する。医薬組成物に関連するかかる用語は、担体を構成する活性成分および不活性成分を含有する生成物、ならびに任意の2種もしくは3種以上の成分の組合せ、錯体形成もしくは凝集から、または1種または複数種の成分の解離から、または1種または複数種の成分の他の型の反応もしくは相互作用から直接的もしくは間接的にもたらされる任意の生成物を包含することを意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を混合することによりなる任意の組成物を包含する。「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と両立しなければならず、かつその受容者に有害でないことを意味する。
【0033】
用語、化合物「の投与」および化合物を「投与する」は、本発明の化合物または本発明のプロドラッグを、治療を必要とする個体に提供することを意味すると理解すべきである。
【0034】
D−アミノ酸酸化酵素活性の阻害としての本発明に従う化合物の有用性は、当該技術分野において知られている方法により示すことができる。
【0035】
本発明の化合物は、1つまたは複数の以下の状態または疾患を含む、グルタミン酸神経伝達機能不全に関連する種々の神経変性障害および精神障害の治療における有用性を有する:統合失調症(偏執性、解体型、緊張性もしくは非定型)、統合失調症障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、感応性妄想性障害、一般の医学的状態に起因する精神病性障害、および物質誘発性もしくは薬物誘発性(フェンシクリジン、ケタミンならびに他の解離性麻酔薬アンフェタミンおよびその他の精神刺激薬およびコカイン)精神病精神障害(psychosispsychotic disorder)、情動障害に関連する精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病、「統合失調症スペクトル」障害、例えば統合失調症のもしくは統合失調症性の人格障害を含む統合失調症もしくは精神病、または統合失調症および他の精神病の陽性および陰性の両方の症状を含む、精神病(例えば、大うつ病、躁うつ病(双極性)障害;アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群)に関連する病気、認知症(アルツハイマー病、虚血、多発梗塞性痴呆、外傷性傷害、血管障害もしくは脳梗塞、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、周生期低酸素症、他の一般病状もしくは薬物乱用に関連する)を含む認知障害;精神錯乱、健忘障害、加齢に伴う認識衰退;急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫神経症、不安発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特定恐怖症、物質誘発性不安障害および一般病状による不安神経症を含む不安障害;物質関連障害および常習行為(物質誘発性せん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害もしくは不安障害;物質誘発性アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静薬、睡眠薬もしくは抗不安薬を含む物質への耐性、依存症もしくは禁断症状を含む);肥満、多食症および強迫性食欲異常;双極性障害、抑うつ障害を含む気分障害;単極性うつ病、季節性情動障害および産後うつ病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、一般病状による気分障害および物質誘発性気分障害を含むうつ病;学習障害、自閉性障害を含む広汎性発達障害、注意力障害、注意力欠如多動性障害(ADHD)を含む注意力障害および行為障害;自閉症、うつ病、良性健忘症、児童学習障害および、閉鎖性頭部外傷等のNMDA受容体関連障害;運動不能症および硬直運動不能症候群(akinetic−rigid syndromes)(パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、脳炎後パーキンソン病、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病−ALS認知症症候群および基底核石灰化症を含む)、を含む運動障害、薬剤誘発性パーキンソン病(例えば、神経弛緩薬誘発性パーキンソン病、神経弛緩薬性悪性症候群、神経弛緩薬誘発性急性ジストニア、神経弛緩薬誘発性急性静座不能、神経弛緩薬誘発性遅発性ジスキネジーおよび薬剤誘発性姿勢振戦)、Gilles de Ia Tourette’s症候群、てんかん、筋肉けいれんおよび振戦を含む筋痙直もしくは衰弱に関連する障害;振戦を含むジスキネジー(例えば、静止時振戦、姿勢振戦および企図振戦)、舞踏病(例えば、シデナム舞踏病、ハンチントン病、家族性良性舞踏病、神経有棘赤血球症、症候性舞踏病、薬剤誘発性舞踏病および片側バリズム)、ミオクローヌス(全身性ミオクローヌスおよび限局性ミオクローヌスを含む)、チック(単純チック、複雑チックおよび症候性チックを含む)、およびジストニア(全身性ジストニア、例えば特発性ジストニア、薬剤誘発性ジストニア、症候性ジストニアおよび発作性ジストニアおよび限局性筋失調症、例えば眼瞼けいれん、顎口腔ジストニア、けいれん性発声障害、痙性斜頸、中心性ジストニア、ジストニア書痙および片麻痺ジストニアを含む);尿失禁;眼損傷、網膜症もしくは眼の黄斑変性、耳鳴、聴覚障害および難聴、および脳浮腫を含む神経損傷;嘔吐;ならびに不眠症および発作性睡眠を含む睡眠障害。
【0036】
上記障害の中で、統合失調症、双極性障害、単極性うつ病、季節性情動障害および産後うつ病を含むうつ病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、学習障害、自閉性障害を含む広汎性発達障害、注意力欠如障害/多動性障害を含む注意力障害、自閉症、Tourette’s障害を含むチック障害、恐怖症および外傷後ストレス障害を含む不安障害、認知症に関連する認知障害の治療、エイズによる認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙性、ミオクローヌス、筋けいれん、耳鳴ならびに聴覚障害および難聴の治療は、特に重要である。
【0037】
具体的な1つの実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、認知障害を治療するための方法を提供する。認知障害は、特に認知症、精神錯乱、健忘障害および加齢による認識衰退である。現在、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の改定テキストは、認知症、精神錯乱、健忘障害および加齢による認識衰退を含む認知障害を包含する診断ツールを提供する。本明細書において、用語「認知障害」は、DSM−IV−TRに記載されているそれら精神障害の治療を含む。熟練者は、精神障害について別の命名法、疾病分類、および分類体系があり、これらの体系が医学および科学の進歩と共に進化することを認識している。したがって、用語「認知障害」は、他の診断ソースに記載されている障害等を含むことを意味する。
【0038】
別の具体的な実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、不安障害の治療方法を提供する。不安障害は、特に全般性不安障害、強迫神経症および不安発作である。現在、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の改定テキストは、全般性不安障害、強迫神経症および不安発作である不安障害を含む診断ツールを提供する。本明細書において、用語「不安障害」は、DSM−IV−TRに記載されているそれら精神障害の治療を含む。熟練者は、精神障害について別の命名法、疾病分類、および分類体系があり、これらの体系が医学および科学の進歩と共に進化することを認識している。したがって、用語「不安障害」は、他の診断ソースに記載されている障害等を含むことを意味する。
【0039】
別の具体的な実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症または精神病の治療方法を提供する。統合失調症または精神病の病理は、特に偏執性、解体型、緊張病性または未分化の統合失調症および物質誘発性精神病性障害である。現在、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の改定テキストは、偏執性、解体型、緊張病性または未分化の統合失調症および物質誘発性精神病性障害を含む診断ツールを提供する。本明細書において、用語「統合失調症または精神病」は、DSM−IV−TRに記載されているそれら精神障害の治療を含む。熟練者は、精神障害について別の命名法、疾病分類、および分類体系があり、これらの体系が医学および科学の進歩と共に進化することを認識している。したがって、用語「統合失調症または精神病」は、他の診断ソースに記載されている障害等を含むことを意味する。
【0040】
別の具体的な実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、物質関連障害および常習行為の治療方法を提供する。物質関連障害および常習行為は、特に乱用物質による持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害もしくは不安障害;および乱用物質に対する耐性、依存症もしくは禁断症状である。現在、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の改定テキストは、乱用物質による持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害もしくは不安障害;および乱用物質に対する耐性、依存症もしくは禁断症状を含む診断ツールを提供する。本明細書において、用語「物質関連障害および常習行為」は、DSM−IV−TRに記載されているそれら精神障害の治療を含む。熟練者は、精神障害について別の命名法、疾病分類、および分類体系があり、これらの体系が医学および科学の進歩と共に進化することを認識している。したがって、用語「物質関連障害および常習行為」は、他の診断ソースに記載されている障害等を含むことを意味する。
【0041】
本発明の化合物は、慢性および急性の疼痛状態を含む、痛みおよび/または炎症が支配する疾患および病状の予防または治療において役立つ。かかる状態は、関節リウマチ;変形性関節症;術後疼痛;特に外傷後の、筋骨格系疼痛;脊椎痛;筋筋膜疼痛症候群;片頭痛、急性または慢性の緊張性頭痛、群発頭痛、側頭下顎疼痛および上顎洞疼痛を含む頭痛;耳痛;会陰切開疼痛;熱傷および特にそれに関連する原発性痛覚過敏;深部痛および内臓痛、例えば胸痛、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛、例えば歯痛、腹痛、婦人科痛、例えば月経困難症、膀胱炎痛および陣痛;神経および神経根損傷関連する疼痛、例えば末梢神経障害に関連する疼痛、例えば神経絞扼および腕神経叢裂離、切断術、抹消ニューロパシー、疼痛性チック、非定型顔面痛、神経根損傷およびくも膜炎;血液透析および接触性皮膚炎による掻痒、掻痒を含む掻痒状態;カプサイチンおよび関連する刺激物、例えば催涙ガス、唐辛子もしくは唐辛子スプレーの粘膜に対する曝露(例えば、経口摂取、吸入または目の接触を介する)による疼痛(同様に気管支収縮および炎症);神経因性疼痛症状、例えば糖尿病性神経障害、化学療法誘発性神経障害、ヘルペス後の神経痛;「無痛性」神経障害;複合性局所疼痛症候群;しばしば癌性疼痛と呼ばれる癌関連疼痛;中枢神経系疼痛、例えば脊髄もしくは脳幹損傷による疼痛、腰痛、坐骨神経痛および強直性脊椎炎;痛風;瘢痕痛;過敏性腸症候群;炎症性大腸炎;膀胱排尿筋過反射および膀胱過敏症を含む尿失禁;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、嚢胞性線維症およびぜんそくを含む呼吸器系疾患;自己免疫疾患;および免疫不全疾患を含む。
【0042】
別の具体的な実施形態において、本発明は:式(I)の有用量の化合物または式(I)の化合物を含有する組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、疼痛治療方法を提供する。具体的な疼痛の態様は、骨および関節痛(変形性関節症)、反復運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜疼痛(筋損傷、線維筋痛)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛および神経障害性疼痛である。
【0043】
さらなるまたは別の態様によれば、本発明は、疼痛および/または炎症が支配する疾患または病状の治療または予防のための医薬の製造において使用する、式(I)の化合物を提供する。
【0044】
別の具体的な実施形態において、本発明は食物の過剰摂取およびそれに関連する合併症に関連し、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む肥満または食事障害の治療方法を提供する。現在、肥満は一般的な病状としてInternational Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD−10)(1992 World Health Organization)の第10版に含まれる。the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の改定テキストは、病状に影響を与える心理的要因の存在において肥満を含む診断ツールを提供する。本明細書において、用語「食物の過剰摂取に関連する肥満または食事障害」は、ICD−10およびDSM−IV−TRに記載されているそれら病状および障害の治療を含む。熟練者は、一般の病状について別の命名法、疾病分類、および分類体系があり、これらの体系が医学および科学の進歩と共に進化することを認識している。したがって、用語「食物の過剰摂取に関連する肥満または食事障害」は、他の診断ソースに記載されている状態または障害を含むことを意味する。
【0045】
主題となる化合物は、本明細書で言及した疾患、障害および病状の危険性を予防、治療、管理、改善または低減する方法においてさらに有用である。
【0046】
主題となる化合物は他の剤との組合せにおいて、グリシン輸送GlyT1活性の阻害を含む、上記疾患、障害および病状の危険性を予防、治療、管理、改善または低減する方法においてさらに有用である。
【0047】
本発明の化合物は、疾患または障害の危険性を治療、予防、管理、改善または低減する、1種または複数種の他の薬物との組合せにおいて使用することができ、本発明の化合物または他の薬物が疾患または障害に対し利用可能であり、該薬物との組合せがそれぞれ単独での使用に比べ、より安全またはより効果的な使用である。このような他の薬物は、それについて一般に用いられている経路および量において投与することができ、本発明の化合物と同時にまたは連続的に投与することができる。本発明の化合物を1種または複数種の他の薬物と同時に用いる場合、単位剤形中の医薬組成物はこのような他の薬物および本発明の化合物を含有するのが好ましい。しかし、組合せ治療は、本発明の化合物と1種または複数種の他の薬物を異なる重複するスケジュールで投与する治療も含んでよい。1種または複数種の他の活性成分との組合せにおいて用いる場合、本発明の化合物および他の活性成分をそれぞれ単独で使用する場合に比べ、より少ない投与量で用いることも検討されている。したがって、本発明の医薬組成物は、1種または複数種の他の活性成分を本発明の化合物に加えて含有する医薬組成物を含む。
【0048】
上記組合せは本発明の化合物と他の1種の活性化合物との組合せのみならず、2種または3種以上の他の活性化合物との組合せを含む。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または病状の危険性を治療、予防、管理、改善または低減するのに用いる他の薬物との組合せにおいて使用することができる。このような他の薬物は、それについて一般に用いられている経路および量において投与することができ、本発明の化合物と同時にまたは連続的に投与することができる。本発明の化合物を1種または複数種の他の薬物と同時に用いる場合、本発明の化合物に加えて、かかる他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種または複数種の他の活性成分も含有する医薬組成物を含む。
【0049】
本発明の化合物の第2の活性成分に対する重量比は変動してもよく、各成分の有効投与量によってもよい。一般に、それぞれの有効投与量を用いる。したがって、例えば本発明の化合物を他の剤と組み合わせる場合、本発明の化合物対他の剤の重量比は、一般に約1000:1から約1:1000の範囲であり、好ましくは約200:1から約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の活性成分との組合せも一般に上記の範囲にあるが、いずれの場合も、各活性成分の有効投与量を用いるべきである。
【0050】
このような組合せにおいて、本発明の化合物および他の活性剤は別々に、または一緒に投与してもよい。加えて、1つの成分の投与は他の剤の前であっても、同時であっても、または他の剤の後に投与してもよい。
【0051】
したがって、主題となる化合物は単独で用いてもよいし、他の剤との組合せにより用いてもよく、ここで、他の剤は主題表示において有益な他の剤、または受容体もしくは酵素に影響する他の剤(いずれも有効性、安全性、利便性を増大させるか、または本発明の化合物の望ましくない副作用もしくは毒性を低減する)として知られている。主題となる化合物および他の剤は、いずれかの付随する治療において、または固定された組合せにおいて一緒に投与することができる。
【0052】
1つの実施形態において、主題となる化合物は抗アルツハイマー剤、β−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、イブプロフェン含有NSAID’s、ビタミンE、および抗アミロイド抗体との組合せにおいて用いることができる。
【0053】
別の実施形態において、主題となる化合物は鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、シクロピロロン類、イミダゾピリジン類、ピラゾロピリミジン類、マイナー・トランキライザー、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトナジック剤(melatonergic agents)、ベンゾジアゼピン類、バルビツール酸系催眠薬、5HT−2アンタゴニスト等、例えば、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド(alonimid)、アルプラゾラム、アミスルピリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベントアゼパム(bentazepam)、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、バスピロン、ブタバルビタール、ブタルビタール(butalbital)、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼプ酸塩、クロルジアゼポキシド、クロルエテート(clorethate)、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール(dexclamol)、ジアゼパム、ジクロラルフェナゾン、ジバルプロックス(divalproex)、ジフェンヒドラミン、ドクサピン、エスタゾラム、エスクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、パーフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾラート、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド(tricetamide)、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファクシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびそれらの塩、およびそれらの組合せ等との組合せにより用いることができ、または主題となる化合物は、物理的方法、例えば光療法または電気刺激の使用と共に投与することができる。
【0054】
別の実施形態において、主題となる化合物は、レボドパ(選択的な脳外のデカルボキシラーゼ阻害剤、例えばカルビドパまたはベンセラジドとの併用の有無により)、抗コリン作用薬、例えばビペリデン(場合によって、その塩酸塩または乳酸塩として)、およびトリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩、エンタカポン等のCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、酸化防止剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、およびドーパミン受容体アゴニスト、例えばアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールとの組合せにおいて用いることができる。ドーパミンアゴニストは、薬学的に許容される塩の形態、例えば、アレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシラート、フェノルドパムメシラート、ナキサゴリド塩酸塩およびペルゴリドメシラートであってもよいと理解される。リスリドおよびプラミペキソールは、一般に非塩の形態で用いられる。
【0055】
別の実施形態において、主題となる化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよび神経弛緩薬のインドロン類からの化合物との組合せにおいて用いることができる。フェノチアジン類の好適な例は、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジンを含む。チオキサンテン類の好適な例は、クロルプロチキセンおよびチオチキセンを含む。ジベンズアゼピンの1つの例はクロザピンである。ブチロフェノンの1つの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの1つの例はピモジドである。インドロンの1つの例はモリンドロンである。他の神経弛緩薬はロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンを含む。神経弛緩薬は、主題となる化合物との組合せで用いる場合、薬学的に許容される塩の形態、例えば、塩酸クロルプロマジン、メソリダジンベシラート、チオリダジン塩酸塩、マレイン酸アセトフェナジン、フルフェナジン塩酸塩、エナント酸フルルフェナジン(flurphenazine)、デカン酸フルフェナジン、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピンおよびモリンドロン塩酸塩であってもよいと理解される。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは、一般に非塩の形態で用いられる。したがって、主題となる化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパ・ベンセラジド、レボドパ・カルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、シオシクセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンとの組合せにおいて用いることができる。
【0056】
別の実施形態において、主題となる化合物は、ノルエピネフリン再摂取阻害剤(三環系第3級アミンおよび三環系第2級アミンを含む)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAOIs)、モノアミン酸化酵素の可逆的阻害剤(RIMAs)、セロトニンおよびノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRIs)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、非定型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分的アゴニスト、およびコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストを含む抗うつ薬または抗不安薬との組合せにおいて用いることができる。具体的な剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドクサピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレギリン;モクロベミド:ベンラファクシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン、およびヴィロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペイト、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ジェピロンおよびイプサピロン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0057】
別の実施形態において、主題となる化合物は、疼痛の治療に有用な化合物、例えば、イブプロフェン等のNSAID、NR2Bアンタゴニスト等の抗侵害剤、ARCOXIAもしくはナトリウムチャネルブロッカー等のCOX2阻害剤との組合せを用いることができる。
【0058】
本発明の化合物は、D−アミノ酸またはその好適な誘導体、例えば、D−フェニルアラニン、パラフルオロ−D−フェニルアラニン、D−(N−トリフルオロアセチル−4−フルオロフェニルアラニン)、D−ロイシン、D−アラニン、D−シクロセリンおよびD−セリンまたはそのD/L混合物との組合せにおいて用いてもよい。
【0059】
本発明の好ましい組合せは、D−セリン、クロザピン、ハロペリドール、オランザピンまたはリスペリドンとの組合せによる式(I)の化合物を含む。
【0060】
本発明の化合物は経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、または移植)により、吸入スプレー、経鼻、経膣、直腸、舌下、局所投与経路により投与してもよく、単独で処方しても、慣用の無毒で薬学的に許容される担体、補助剤および各投与経路に適合する媒体を含有する好適な投与量単位製剤として、一緒に処方してもよい。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトにおける使用に有効である。
【0061】
本明細書において、使用される用語「組成物」は、予め定められた量もしくは比率での特定の成分を含有する生成物、および特定の成分の特定の量による組合せから、直接的もしくは間接的に生成する任意の生成物を包含することを意味する。医薬組成物に関連するこの用語は、1種もしくは複数種の活性成分、および不活性成分を含有する任意の担体、ならびに任意の2種もしくは3種以上の成分の組合せ、錯形成、または凝集から、あるいは1種もしくは複数種の成分の解離から、あるいは1種もしくは複数種の成分の他の型の反応または相互作用から直接的もしくは間接的に生成する生成物を含む生成物を包含することを意味する。一般に、医薬組成物は、関連する液体担体もしくは微細に分割された固体担体、またはその両方に活性成分を均一または密接にもたらし、次いで必要であれば、生成物を所望の剤形に成型することにより調製する。医薬組成物において、活性対象化合物は、疾患の経過もしくは状態に対し所望の効果を発揮するための十分な量において含まれる。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を混合することによりなる任意の組成物を包含する。
【0062】
経口使用を目的とした医薬組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で知られている任意の方法により調製することができ、かかる組成物は、薬学的に的確で口当たりのよい製剤を提供するため、甘味剤、着香料、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種または複数種の剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に好適な無毒で薬学的に許容される賦形剤と共に混合物中に活性成分を含有する。錠剤は被覆されていなくてもよくまたは胃腸管内で崩壊および吸収を遅らせ、それにより長時間にわたる持続的作用を提供するための知られている技術により被覆されていてもよく、水に加えたときに分散する錠剤であってもよい。経口使用のための組成物は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンにより混合されている硬質ゼラチンカプセルとして存在しても、または活性成分が水もしくは油性媒体、例えば、ピーナッツオイル、液体パラフィン、もしくはオリーブオイルにより混合されている軟質ゼラチンカプセルとして存在してもよい。水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、水中油型エマルジョン、および無菌注射用水性もしくは油性懸濁液は、当該技術分野で知られている標準的方法により調製してもよい。
【0063】
D−アミノ酸酸化酵素活性の阻害を必要とする病状の治療において、好適な投与量レベルは、一般に1日当たり、患者の体重1kg当たり約0.01から500mgであり、単回もしくは複数回投与することができる。投与量レベルは、好ましくは1日当たり約0.1から約250mg/kgであり、より好ましくは約0.5から約100mg/kgである。好適な投与量レベルは1日当たり約0.01から250mg/kg、1日当たり約0.05から100mg/kg、または1日当たり約0.1から50mg/kgであってもよい。この範囲内で投与量は、1日当たり0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgであってもよい。経口投与について、治療する患者に対する投与量を症状により調節のために、組成物は好ましくは1.0から1000ミリグラムの活性成分、特に1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、および1000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態において提供される。化合物は、1日当たり1から4回、好ましくは1回または2回の投薬計画に基づいて投与することができる。この投与量の投薬計画は最良の治療反応を示すように調節することができる。しかし、任意の特定の患者に対する所定の投与量レベルおよび投与頻度は変更することができ、使用する特定の化合物の活性、代謝の安定性および化合物の作用の長さ、年齢、体重、一般的健康、性別、食餌、投与の様式および時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の病状の重症度、ならびにホストが受けている治療を含む種々の因子に依存することが理解されるであろう。
【0064】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を以下のスキームおよび実施例において説明する。出発物質および必須の中間体は、いくつかの場合、商業的に入手可能であり、または文献の方法もしくは本明細書の説明に基づいて調製することができる。
【0065】
本発明の化合物は、当該技術分野の熟練者に知られている類似化合物を調製するための方法、例えば、文献において知られている、または実験操作において例示されている他の標準的な操作に加えて以下のスキームに示す反応を用いることにより調製することができる。該スキームに示すように番号付けされている置換基は、クレームに用いられている置換基と関連する必要はなく、しばしば、明確のために、複数の置換基が上記の定義に基づいて許容される化合物に結合した単一の置換基を示す。本発明の化合物を生成するため使用される反応は、文献において知られ、または実験操作において例示されているように、エステルの加水分解、保護基の開裂等の他の標準的な操作に加え、該スキームおよび本願の実施例に示されている反応を用いることにより調製される。
【0066】
したがって、別の態様において、本発明は、上記のように定義された式(I)の化合物の調製方法を提供し、該方法は式(V):
【0067】
【化11】

の化合物のエステルの環化を含む。ここで、COR’は上記のエステル基である。環化は非反応性溶媒、例えばキシレン等の炭化水素中、高温、例えば50から150℃の間で還流させて行うのが便利である。
【0068】
ジアステレオマーの独立した合成またはそのクロマトグラフによる分離は、当該技術分野において知られているように、本明細書に開示されている方法の適当な修正により、達成することができる。それらの絶対的な立体化学は、必要であれば、絶対配置の知られている不斉中心を含有する試薬により誘導体化される結晶生成物または結晶中間体のx−線結晶学により決定することができる。
【0069】
必要であれば、該化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーを単離するために分離することができる。分離は当該技術分野においてよく知られている方法により行うことができ、例えば、化合物のラセミ混合物の鏡像異性的に純粋な化合物に対するカップリングがジアステレオマー混合物を形成し、次いで、分別結晶、クロマトグラフィー等の標準的方法により個々のジアステレオマーを分離する。カップリング反応は、しばしば鏡像異性的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。ジアステレオマー誘導体は、次いで添加したキラル残基の開裂により純粋なエナンチオマーに転化してもよい。化合物のラセミ混合物は、当該技術分野においてよく知られている、キラル固定相を使用するクロマトグラフ法により直接分離することができる。
【0070】
代わりに、化合物の任意のエナンチオマーは、当該技術分野においてよく知られている方法により、光学的に純粋な出発物質または立体配置の知られている試薬を用いる立体選択的合成により得ることができる。
【0071】
いくつかの場合において、最終生成物を、例えば置換基の操作によりさらに修飾してもよい。これらの操作は、特に限定されず、当該技術分野の熟練者に一般に知られている、還元、酸化、アルキル化、アシル化、および脱エステル化/加水分解反応を含む。したがって、式(I)のいくつかの化合物は、式(I)の他の化合物の調製において中間体として有用である。いくつかの場合において、前述の反応スキームを実施する順序は、反応を促進するためまたは望ましくない反応生成物を避けるために変更してもよい。本発明をより完全に理解するために以下の実施例を記す。これらの実施例は単に説明するものであり、いかなる意味においても本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0072】
実施例1
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチルエステル
a)2−アジド−3−フラン−2−イル−アクリル酸エチルエステル
EtOH(1リットル)中にナトリウムエトキシド(53g)を含む溶液に、0℃で2−フランカルボキシアルデヒド(62g)およびアジド酢酸エチル(100g)を加えた。この反応混合物をアルデヒドが完全に消費されるまで、この温度で4時間撹拌した。次に、得られた混合物を飽和NHCl水溶液中に注ぎ、エーテルで1回抽出した。2回目の抽出により純度の低い生成物試料を得た。最初の抽出物を蒸発させ、シリカ上DCM/ヘキサンを用いて溶出させる、シリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、50gの生成物を得た(37%)。H NMR δ(ppm)(CDCl3):7.49(1H,d,J=1.5Hz)、7.10(1H,t,J=1.8Hz)、6.87(1H,s)、6.52(1H,m)、4.34(2H,q,J=7.1Hz)、1.38(4H,t,J=7.2Hz)。
【0073】
b)4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチルエステル
2−アジド−3−フラン−2−イル−アクリル酸エチルエステル(50g)を還流キシレン(100ml)に加え、5分間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をDCM/ヘキサンにより溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製し、好収率で生成物を得た(37g、86%)。H NMR δ(ppm)(CDCl):8.81(1H,s)、7.51(1H,d,J=2.2Hz)、6.80(1H,s)、6.45(1H,d,J=1.6Hz)、4.35(2H,q,J=7.1Hz)、1.38(3H,t,J=7.1Hz)。
【0074】
実施例2
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチルエステルを水中に懸濁させ、水酸化カリウム(2当量)を加えた。混合物を加熱して30分間還流し、10℃に冷却し、5NのHClで酸性化した。固形分をろ別し、水で洗浄し、乾燥して淡いベージュ色の固体生成物を得た(30g、97%)。1H NMR δ(ppm)(DMSO):12.33(1H,s)、11.48(1H,s)、7.75(1H,d,J=2.1Hz)、6.68(1H,s)、6.58(1H,d,J=1.5Hz)。
【0075】
実施例3〜10
適合するアルデヒドを用いた以外、上記の操作を用いて以下の化合物を合成した。
【0076】
3)4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(CDOD):7.35(1H,d,)、7.06(1H,s)、6.96(1H,d,J=2.1Hz);API−ES:168(MH+)
4)6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(DMSO):12.50(1H,s)、12.08(1H,s)、7.09(1H,d,J=5.5Hz)、7.01(1H,d,J=5.5Hz)、6.94(1H,s)。
【0077】
5)3−ブロモ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;
1H NMR δ(ppm)(CDOD):7.49(1H,s)、6.56(1H,s);API−ES(+ve):230(MH+)
6)チエノ[2,3−b]フラン−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(CDOD):7.82(1H,s)、7.72(1H,s)、6.83(1H,s)
7)2−クロロ−4H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(CDOD):6.99(1H,s)、6.96(1H,s);API−ES(+ve):202(MH+)
8)2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(CDOD):6.97(1H,s)、6.68(1H,s)、2.52(3H,s);API−ES(−ve):180(M−H)
9)2−クロロ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
1H NMR δ(ppm)(CDOD):6.69(1H,s)、6.45(1H,s);API−ES(+ve):188(MH+)
10)2−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
3−ブロモ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチルエステルおよび2−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(1.2当量)をDMF中に溶解し、次いで、飽和NaCO(2.5当量)を加えた。得られた混合物をNにより3回脱気し、30分間撹拌した。次に、Pd(dppf)ClをN雰囲気下で加え、100℃で一晩撹拌しながら反応させた。溶媒を減圧下で除き、残渣をDCM中に再溶解し、水および塩水で洗浄した。PTLCによる精製により上記のように鹸化されるエステルを得た。1H NMR δ(ppm)(CDOD):8.01(1H,d,J=9.6Hz)、7.41(3H,m)、6.87(1H,s)、6.76(1H,s);API−ES(−ve):310(M−H)
【0078】
実施例11
エチル 3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
工程1
アジド酢酸エチル(1.014g、7.85mmol)を10mlのEtOHに添加し、アセトン/cardice浴上で−40℃に冷却した後、21重量%のナトリウムエトキシドのEtOH溶液(3.16ml、8.37mmol)をシリンジから滴下して添加した。得られた溶液は褐色に変わり、高粘度になった。4−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒド(1g、5.23mmol)を20分掛けてこの溶液に徐々に加え、混合物を−40℃で2時間撹拌し、次いで3時間掛けて室温まで徐々に加温した。この時間の後、200mlのEtOを100mlのNHCl水溶液と共に加えた。有機物を分離および乾燥(MgSO)、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカ上に乾燥体で加え、シリカゲルBiotage 25Mのカラムクロマトグラフィーにより精製し、直線勾配のEtOAc/イソヘキサンにより溶出し、所望のエチル(2Z)−2−アジド−3−(4−ブロモ−2−チエニル)アクリレートを黄色固体として得た(705mg、収率38%、純度85%)。
【0079】
工程2
エチル(2Z)−2−アジド−3−(4−ブロモ−2−チエニル)アクリレート(705mg、1.983mmol)をキシレン(40ml)中に溶解し、140℃まで2時間加熱した。キシレンを減圧下で除去し、残渣をシリカゲルのBiotage 25Sのカラムクロマトグラフィーで、EtOAc/イソヘキサンで溶出させることにより精製し、3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(393mg、1.434mmol、収率72.3%)を淡黄色固体として得た。
【0080】
実施例12
3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(100mg、0.36mmol)を水(10ml)およびメタノール(10.0ml)の混合液中に溶解し、次いで水酸化カリウム(22mg、0.55mmol)で処理した後、85℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、メタノールを真空下で除去した。水性物を20mlの1M HCl溶液により酸性化し、沈殿を形成した。混合物をろ過し、水で洗浄して3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸(74mg、0.3mmol、収率84%)を固体として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 9.03(1H,s)、7.26(1H,s)、7.22(1H,s)、7.15(1H,d,J 1.7)。
【0081】
実施例13
3−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル
3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(100mg、0.36mmol)を乾燥DMF(15ml)中に溶解し、CuCl(71mg、0.72mmol)で処理した後、加熱して16時間還流した。次に混合物を冷却して水(100ml)で希釈し、2×150mlのEtOAcで抽出し、1×100mlの水および1×100mlの飽和塩水溶液で洗浄した。有機物を分離、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。残渣を、質量特異的分取LCMS(mass directed preparative LCMS)により精製し、3−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(32mg、0.13mmol、収率38%)を無色固体として得た。
【0082】
実施例14
3−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
3−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(32mg、0.13mmol)を水(5ml)およびメタノール(5ml)の混合液中に溶解し、次いで水酸化カリウム(10mg、0.26mmol)で処理した後、85℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、真空下でメタノールを除去した。次に水性溶液を15mlの1M HCl溶液で酸性化し、沈殿を形成した。混合物を50mlのEtOAcで抽出し、1×50mlの水および1×50mlの飽和塩水溶液で洗浄した。有機物を分離、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮して3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸(22mg、0.11mmol、収率92%)を無色固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO):δ 12.74(1H,s)、12.40(1H,s)、7.51(1H,s)、7.09(1H,s)。
【0083】
実施例15
2−(2−フェニルエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
2−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(80mg、0.292mmol)をNMP(5ml)中に溶解し、THF(5.84ml、2.92mmol)中に0.5Mのフェネチルブロミドを含有する溶液およびビス(トリブチルホスフィン)パラジウム(0)(2.98mg、5.84μmol)を加え、得られた溶液をN雰囲気下、100℃で16時間加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチル(100ml)で希釈し、塩化アンモニウム水溶液(飽和、150ml)、次いで塩化ナトリウム水溶液(飽和、150ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を水(25ml)/メタノール(25ml)混合液中に懸濁させ、水酸化カリウム(32.7mg、0.584mmol)を加え、混合物を加熱し、3時間還流した。この時間の後、メタノールを減圧下で除去し、1M HCl溶液を加え、水溶液を酸性化して沈殿を形成し、ろ別により回収した。沈殿を2mlのDMSOに溶解し、分取HPLC逆相(C−18)、アセトニトリル/水+0.1%TFAによる溶出により精製し、2−(2−フェニルエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸(62.4mg、0.230mmol、収率79%)をオフ・ホワイトの固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO):δ 11.70(1H,s)、7.31〜7.23(4H,m)、7.17(1H,t,J 6.7)、6.91(1H,d,J 9.6)、6.71(1H,d,J 8.9)、3.12(2H,t,J 7.7)、2.94(2H,t,J 7.7)。
【0084】
実施例16
2−ベンジル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル
2−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(50mg、0.182mmol)をNMP(5ml)中に溶解し、そのものに0.5Mのベンジル亜鉛ブロミドを含有するTHF(3.65ml、1.824mmol)およびビス(トリブチルホスフィン)パラジウム(0)(1.864mg、3.65μmol)を加え、得られた溶液をN雰囲気下、100℃で16時間加熱した。この時間の後、混合物を冷却し、塩化アンモニウム水溶液(飽和、150ml)を加え、混合物を酢酸エチル(1×200ml)で抽出した。有機相を水(1×150mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させ、オレンジ色の油相を得た。残渣をシリカゲルBiotage 12Mのカラムクロマトグラフィー、7%EtOAc/イソヘキサンで溶出させることにより精製し、2−ベンジル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(52mg、0.128mmol、収率69.9%)を無色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.11(1H,s)、7.29〜7.15(6H,m)、6.57(1H,s)、4.32〜4.24(2H,m)、4.08(2H,s)、1.30〜1.26(3H,
【0085】
実施例17
2−ベンジル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
2−ベンジル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸エチル(52mg、0.128mmol)をメタノール(25ml)、および次いで水(25.00ml)に溶解した後、水酸化カリウム(21.47mg、0.383mmol)を加え、混合物を加熱し、4時間還流した。この時間の後、反応を冷却し、メタノールを真空下で除去し、水溶液を2M HCl水溶液で酸性化し、白色沈殿を形成した。これを100mlのEtOAcで抽出することにより単離し、有機画分を分離、次いで乾燥(MgSO)、ろ過し、溶媒を減圧下、蒸発させた。残渣を分取HPLC逆相(C−18)、アセトニトリル/水+0.1%TFAによる溶出により精製し、2−ベンジル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸(23.4mg、0.091mmol、収率71.3%)を無色固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO):δ 12.39(1H,s)、11.76(1H,s)、7.34〜7.28(4H,m)、7.24〜7.22(1H,m)、6.93(1H,d,J 1.5)、6.76(1H,s)、4.15(2H,s)。
【0086】
実施例18
a)D−アミノ酸酸化酵素阻害剤の効果を決定する細胞ベースの分析プロトコル
ヒトD−アミノ酸酸化酵素を安定に発現するCHO細胞を10%FBS、1×pen/strepおよび1mg/mlのG418を含有するF12/Hamグルタマックス(glutamax)媒体中で培養した。分析の日に、細胞をPBSで洗浄し、採取し、1000rpmで5分間遠心分離して分析緩衝液(1MのCaCl、1MのMgClおよび1MのHepesを含有するHBSS、pH7.4)中に8.6×10/mlで再懸濁させた。384ウェルプレートにおいて、35μlの細胞懸濁液を5μlの試験化合物に加えた。2.5%のamplex red(分子プローブ)、6%の西洋ワサビペルオキシダーゼおよび25%の1M D−セリンを含有する10μlの分析緩衝液を加えることにより分析を開始した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、蛍光発光(励起544nm、発光590nm)をCytofluorプレートリーダーを用いて測定した。本発明の化合物は1マイクロモルより低いレベルで活性を有した。
【0087】
b)EDID認識分析
EDIDは、非ヒト霊長類への使用に適合し、統合失調症の初期症状において観察される欠損に類似する選択的EDシフト欠損は、背側前頭前皮質の興奮毒性損傷により誘導することができる(Dias et al.,Behav.Neurosci.,110,872−886,1996)ことが示された。より最近、この試験の類似試験(Birrell and Brown,J.Neurosci.,20,4320−4324,2000)が開発され、齧歯動物における使用について改良された(Barense et al.,Learn Mem.,9,191−201,2002)。具体的には、この課題は、ラットにCANTAB EDID試験において存在する認識問題と平行する一連の認識問題を、2つまたは3つの非空間的手掛かりの特徴(non−spatial cue dimension)(臭い、掘り出す媒体および/または質感)に基づいて、2つのポットのいずれが褒美の食物を含有するポットであるか識別することにより解くことを求める。BirrellおよびBrownは、選択的中央前頭前皮質損傷を有するラットが、EDシフト認識において損なわれるが、次元内(ID)シフトまたは逆転識別(IDRまたはEDR)においては損なわれないことを示した。加えて、亜慢性PCP投与プラス洗い流しの期間が、選択的EDシフト欠損を含むこの分析の性能を損なうことも示した(Egerton et al.,Psychopharmacology,179,77−84,2005)。
【0088】
Charles Riverから購入した成体で雄のHooded Listerラット(試験時:200〜350g)を管理された条件下(07:30に開始する12時間の点灯;21±2℃:55±10%の湿度)で、木片を敷き、環境強化(ボール紙の筒および/または木製の噛むブロック(chew block))した硬質底のケージに一緒に収容した(ケージ当たりラット4匹)。ラットは、金曜の午後から日曜の朝まで食物および水を不断に給餌され、週のその他の日に、各ラットは1日当たり約11gの食物を摂取した。ラットの体重は、個々のラットが食物制限期間に自由摂取体重の85%を下回らないように、綿密に観察した。
【0089】
薬物。フェンシクリジン(PCP; Ultrafine Chemicals,Poole,UK)を1.15の塩−塩基比を用いた5mg/mlの通常の生理食塩水中に調製した。ラットに亜慢性PCP(5mg/kgを腹腔内に1日に2回7日間)または生理食塩水(1ml/kgを腹腔内に1日に2回7日間)を午前8:00頃および午後6:00頃に投与した。行動実験に先立つPCP投与が終了した後、7〜28日間洗い流しをすることができる。D−アミノ酸酸化酵素阻害剤またはD−セリン(100mg/kg)を最初の認識問題を与える60分前に投与した。
【0090】
行動実験。Birrell&Brownにより記載されたプロトコルの修正版に従って行動実験を行った。まず、ラットをケージの寝床および褒美の食物(Honey Loop cereal)で満たした試験ポットに慣らし、次に、非空間的手掛かり(掘り出す媒体および臭い)に基づいて、2つのポットのどちらが褒美の食物が存在することを示す臭いのするポットであるかを識別するよう訓練した。最終的に、一連の6個の識別問題;簡単な識別(SD)、化合物の識別(CD)、内部識別(ID)、内部逆識別(IDR)、次元外識別(ED)および逆次元外(EDR)を提示した。ラットは、6個の連続した正しい応答の基準性能レベルに到達した後、1つの識別問題から次へ進むだけである(常に同じ順序で示されている)。
【0091】
統計解析。主要評価項目は、6個の連続する正しい応答を達成するのに必要な試行数であった。すべてのデータを分散(ANOVA)法の解析を用いて解析した。分散および正規性の均一性の基本的前提に適合させるため、解析に先立ってすべての応答のLog10変換を行った。ランダム効果としてラットを用いるANOVAの繰り返し測定を行った。ルール(認識タイプ)を動物内偏差を用いて評価する一方、処理および開始の次元(dimension)を動物間偏差を用いて評価した。因子間の相互作用を誤差項を用いて調べた。各処理に対するIDおよびEDルールについて、最小二乗平均間の具体的な比較を直交対比および最小有意差(LSDs)を用いて検討した。同様に、PCP媒体グループ間の比較および各ルールに対する各処理を検討した。多重比較に対する調整は行わなかった。典型的な結果を表1に示す。
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−アミノ酸酸化酵素を阻害するための、特に神経変性障害もしくは疾患または精神障害もしくは疾患を治療するための医薬を製造するための、式(I)の化合物の使用
【化1】

[式中、Rは、カルボン酸またはその塩、エステル、無水物もしくはアミド、またはヒドロキサム酸もしくはその塩であり、Xは、酸素、イオウまたはNR(Rは、水素、1つもしくは2つのアミノ基により場合によって置換されているC1−6アルキルカルボニルであり、またはRは、基S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)であり、またはRは、ハロまたはヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、(CHAr(mは、0、1または2であり、およびArは、炭素環または複素環であってよく、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは上記定義の通りの基である。)によって置換されていてよい5員または6員の芳香環であり、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてよい。)である。)であり、およびYは、酸素、窒素およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環であり、該環は、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)、ヒドロキシル、ハロ、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノ、またはヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルから独立して選択される1つまたは2つの置換基により置換されていてよく、または環Yは、(CHAr(mは、0、1または2であり、およびArは下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより置換されていてよく、またはArは、ヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルにより置換されており、またはArは、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)により場合によって置換されている。)により場合によって置換されている。]。
【請求項2】
Arが、フェニル、ピリジルまたはチアゾリルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Yが、1つの酸素またはイオウ原子を含有する5員の芳香族複素環であり、およびこの環が、ハロ、ヒドロキシル、メチルまたはトリフルオロメチルにより場合によって置換されている、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)の化合物が、式(II)の1つ
【化2】

[式中、Xは、酸素、イオウまたは基NR(Rは、水素であり、ハロ、ヒドロキシルもしくは(CHAr(mは、0、1もしくは2であり、Arは下記定義の通りであり、この基Arは、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは、アミノ、フェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)により置換されていてよく、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシにより置換されていてよい。)により場合によって置換されているC1−6アルキルである。)であり、Zは、酸素もしくはイオウ原子または上記定義の通りの基NRであり、ZおよびZの一方はCRまたはNであり、および他方はCR(Rは水素またはハロである。)である。]、またはその塩、エステルもしくは無水物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式(I)の化合物が、式(III)の1つ
【化3】

[式中、Xは、酸素、イオウまたは基NR(Rは、水素であり、ハロ、ヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、基(CHAr(mは、0、1もしくは2であり、およびArは下記定義の通りであり、この基Arは、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは、アミノ、フェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)により置換されていてよく、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシにより置換されていてよい。)である。)であり、Zは、酸素もしくはイオウ原子または上記定義の通りの基NRであり、ZおよびZの一方はCRまたはNであり、および他方はCR(Rは水素またはハロである。)である。]、またはその塩、エステルもしくは無水物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
Zが酸素またはイオウ原子である、請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
が水素である、請求項4または5に記載の使用。
【請求項8】
化合物が、
4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;
6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸;
3−ブロモ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;
4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸;または
3−クロロ−4H−フロ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
医薬に用いるための式(I)
【化4】

[式中、Rは、カルボン酸またはその塩、エステルもしくは無水物であり、またはRは、ヒドロキサム酸もしくはその塩であり、Xは、酸素、イオウまたはNR(Rは、水素、1つもしくは2つのアミノ基により場合によって置換されているC1−6アルキルカルボニルであり、またはRは、基S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)であり、またはRは、ハロまたはヒドロキシルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、またはRは、(CHAr(mは、0、1または2であり、およびArは、下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、S(O)(Rは上記定義の通りの基である。)によって置換されていてよいものであり、またはArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはフルオロ置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてよい。)である。)であり、およびYは、酸素、窒素およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環であり、この環は、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)、ヒドロキシル、ハロ、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノ、またはヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルから独立して選択される1つまたは2つの置換基により置換されていてよく、または環Yは、(CHAr(mは、0、1または2であり、およびArは下記定義の通りであり、ハロ、ヒドロキシル、1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより置換されていてよく、またはArは、ヒドロキシル、ハロ、または1つもしくは2つのC1−6アルキル基により場合によって置換されているアミノにより場合によって置換されているC1−6アルキルにより置換されており、またはArは、S(O)(Rは、アミノ、またはフェニルにより場合によって置換されているC1−6アルキルであり、およびnは、0、1または2である。)により場合によって置換されている。)により場合によって置換されている。]の化合物。
【請求項10】
ArおよびYが、それぞれ請求項2および3に関連して定義された通りである、請求項9に記載の医薬に用いるための化合物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、請求項4から8のいずれか一項に関連して定義された通りである、請求項9に記載の医薬に用いるための化合物。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の薬学的に有効な量を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に関連して定義された式(I)の化合物の有効量を投与することを含む、D−アミノ酸酸化酵素活性の阻害を必要とする哺乳動物等の患者においてD−アミノ酸酸化酵素活性を阻害する方法。
【請求項14】
請求項1から8のいずれか一項に関連して定義された式(I)の新規な化合物。

【公表番号】特表2009−511462(P2009−511462A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534088(P2008−534088)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050317
【国際公開番号】WO2007/039773
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】