説明

D1364BT光ファイバの二次被覆

【課題】光ファイバの被覆に使用するための放射線硬化性二次被覆組成物を提供する。
【解決手段】放射線硬化性二次被覆組成物は、以下のものを反応させることにより調製されるウレタン非含有アルファオリゴマーである。(a)アルコール含有アクリレートまたはアルコール含有メタクリレート化合物から選択されるアクリレート化合物、(b)無水物化合物、(c)エポキシ含有化合物、(d)場合によっては連鎖延長剤化合物、および(e)場合によっては触媒。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第60/874,723号明細書「D・ラディエーション・キュラブル・セカンダリー・コーティング・フォア・オプティカル・ファイバ(D Radiation Curable Secondary Coating for Optidal Fiber)」(出願日2006年12月14日)および米国仮特許出願第60/874,720号明細書「R・ラディエーション・キュラブル・セカンダリー・コーティング・フォア・オプティカル・ファイバ(R Radiation Curable Secondary Coating for Optidal Fiber)」(出願日2006年12月14日)、同時係属中の米国特許仮出願番号60/874,730「スーパーコーティングズ・フォア・オプティカル・ファイバ(Supercoatings for Optical Fiber)」(出願日2006年12月14日)に対する優先権を主張するものであるが、それらの出願はすべて、参照により本明細書に援用するものとする。
【0002】
[技術分野]
本発明は一般的には、光ファイバにおいて使用するのに好適な放射線硬化性二次被覆に関する。さらに詳しくは、本発明は、ウレタン非含有オリゴマーを含む光ファイバ二次被覆組成物、およびそのような二次組成物を用いて被覆された光ファイバに関する。
【0003】
[背景技術]
光ファイバは多くの場合、線引によりファイバが製造された直後に、2層以上の重ね合わせ放射線硬化性被覆を用いて被覆される。光ファイバに直接接触する被覆は「内側一次被覆」と呼ばれ、その上の被覆は「外側一次被覆」と呼ばれる。いくつかの文献においては、その内側一次被覆がやはり単に「一次被覆」と呼ばれるが、その外側一次被覆は「二次被覆」と呼ばれている。内側の一次被覆は、二次被覆よりも軟らかい。
【0004】
相対的に軟らかな内側一次被覆によって、被覆された光ファイバの信号伝送性能の減衰をもたらすために望ましくないマイクロベンドに対する抵抗性が与えられる。マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位と数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバにおける、シャープではあるが微視的な曲がりである。マイクロベンドは、熱応力および/または機械的な横力によってもたらされる。被覆によって、光ファイバをマイクロベンドから保護する横力に対する保護が得られるが、被覆直径が小さくなるほど、得られる保護の大きさも小さくなる。被覆とマイクロベンドをもたらす横応力からの保護との間の関係は、たとえば以下の文献において論じられている:D.グロージェ(D.Gloge)「オプティカル−ファイバ・パッケージング・アンド・イッツ・インフルエンス・オン・ファイバ・ストレイトネス・アンド・ロス(Optical−fiber packaging and its influence on fiber straightness and loss)」、ベル・システム・テクニカル・ジャーナル(Bell System Technical Journal)、第54巻、2、245(1975);W.B.ガードナー(W.B.Gardner)、「マイクロベンディング・ロス・イン・オプティカル・ファイバズ(Microbending Loss in Optical Fibers)」、ベル・システム・テクニカル・ジャーナル(Bell System Technical Journal)、第54巻、No.2、p.457(1975);T.ヤブタ(T.Yabuta)、「ストラクチュラル・アナリシス・オブ・ジャケッテッド・オプティカル・ファイバズ・アンダー・ラテラル・プレッシャー(Structural Analysis of Jacketed Optial Fibers Under Lateral Pressure)、ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー(J.Lightwave Tech.)、第LT−1巻、No.4、p.529(1983);L.L.ブライラー(L.L.Blyler)、「ポリマー・コーティングズ・フォア・オプティカル・ファイバズ(Polymer Coatings for Optical Fibers)」、ケムテック(Chemtech)、p.682(1987);J.バルダウフ(J.Baldauf)、「リレーションシップ・オブ・メカニカル・キャラクタリスティックス・オブ・デュアル・コーテッド・シングル・モード・オプティカル・ファイバーズ・アンド・マイクロベンディング・ロス(Relationship of Mechanical Characteristics of Dual Coated Single Mode Optial Fibers and Microbending Loss)」、IEICE・トランスアクションズ・オン・コミュニケーション、第E76−B巻、No.4、352(1993);K.コバヤシ(K.Kobayashi)「スダディ・オブ・マイクロベンディング・ロス・イン・シン・コーテッド・ファイバズ・アンド・ファイバ・リボンズ(Study of Microbending Loss in Thin Coated Fibers and Fiber Ribbons)」、IWCS、386(1993)。より硬い外側一次被覆、すなわち二次被覆は、その被覆されたファイバをリボン化および/またはケーブル化するときに加わるような、取扱い時の力に対する抵抗性を与える。
【0005】
光ファイバ二次被覆組成物には一般に、硬化させるより前には、液状エチレン性不飽和希釈剤の中に溶解させるか分散させた1種または複数のオリゴマーからなるエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との混合物が含まれる。典型的には、そのコーティング組成物を液体の形状で光ファイバに適用してから、化学線照射に暴露して硬化させる。
【0006】
これらの組成物の多くにおいては、反応性の末端とポリマー骨格とを有するウレタンオリゴマーが使用されている。さらに、それらの組成物には一般的に、反応性希釈剤、その組成物にUV硬化性を与える光重合開始剤およびその他適切な添加剤が含まれる。
【0007】
国際特許公開第2205/026228A1号パンフレット(公開日、2004年9月17日)「キュラブル・リキッド・レジン・コンポジション(Curable Liquid Resin Composition)」(発明者、スギモト(Sugimoto)、カモ(Kamo)、シゲモト(Shigemoto)、コミヤ(Komiya)およびスティーマン(Steeman))には、下記のものを含む光ファイバ上の二次被覆として使用するのに適した硬化性の液状樹脂組成物の記載と特許請求がある:(A)ポリオール由来の構造と、800g/mol以上かつ6000g/mol未満の数平均分子量とを有するウレタン(メタ)アクリレートおよび、(B)ポリオール由来の構造と、6000g/mol以上かつ20,000g/mol未満の数平均分子量とを有するウレタン(メタ)アクリレートを含むが、ここで、成分(A)と成分(B)の合計量が硬化性液状樹脂組成物の20〜95重量%であり、そして成分(B)の含量が、成分(A)と成分(B)との合計の0.1〜30重量%である。
【0008】
ウレタンオリゴマーのためのポリマー骨格として使用するために、多くの物質が提案されてきた。たとえば、ポリオールたとえば、炭化水素ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールが、ウレタンオリゴマーの中で使用されてきた。商業的に入手しやすいこと、酸化に対して安定であること、および主鎖を調節することによって被覆の特性の融通がつきやすいことなどのために、ポリエステルポリオールは特に魅力がある。ウレタンアクリレートオリゴマーにおける主鎖ポリマーとしてポリエステルポリオールを使用することは、たとえば、米国特許第5,146,531号明細書、米国特許第6,023,547号明細書、米国特許第6,584,263号明細書、米国特許第6,707,977号明細書、米国特許第6,775,451号明細書、米国特許第6,862,392号明細書、さらには欧州特許出願公開第539 030A号明細書に記載がある。
【0009】
ウレタン前駆体のコスト、用途および取扱性を考慮して、コーティング組成物においてウレタン非含有オリゴマーが使用されるようになってきた。たとえば、ウレタン非含有ポリエステルアクリレートオリゴマーが、ガラス光ファイバのための放射線硬化性コーティング組成物に使用されてきた。特開昭57−092552号公報(日東電工(Nitto Electric))には、ポリエステルジ(メタ)アクリレートを含むガラス光ファイバ被覆物質が開示されているが、ここでそのポリエステル主鎖は300以上の平均分子量を有している。独国特許出願公開第04 12 68 60A1号明細書(バイエル(Bayer))には、ポリエステルアクリレートオリゴマー、反応性希釈剤としての2−(N−ブチル−カルバミル)エチルアクリレート、および光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンからなる、3−ファイバ・リボン(three−fiber ribbon)のためのマトリックス材料が開示されている。特願平10−243227(特開2000/072821号公報)には、2個の二酸または無水物でエンドキャップされヒドロキシエチルアクリレートで末端化されたポリエーテルジオールからなる、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む液状硬化性樹脂組成物が開示されている。米国特許第6,714,712B2号明細書には、ポリ酸残基またはその酸無水物、場合によっては反応性希釈剤、および場合によっては光重合開始剤を含む、ポリエステルおよび/またはアルキド(メタ)アクリレートオリゴマーを含む放射線硬化性コーティング組成物が開示されている。さらに、マーク・D・ソウチェック(Mark D.Soucek)およびアーロン・H・ジョンソン(Aaron H.Johnson)は、加水分解抵抗性を与えるためにヘキサヒドロフタル酸を使用することを開示している:「ニュー・イントラモレキュラー・エフェクト・オブザーブド・フォア・ポリエステルス:アン・アノメリック・エフェクト(New Intramolecular Effect Observed for Polyesters:An Anomeric Effect)」、JCT・リサーチ(JCT Research)第1巻、No.2、p.111(2004年4月)。
【0010】
ウレタン非含有オリゴマーを含むコーティング組成物を開発するために、従来技術において努力が払われてきたにもかかわらず、低コストでありながらも、改良された硬化性、硬化速度の向上、使用における融通性など、必要とされる各種多様な要求を満たし、しかも、採用された各種の被覆で所望の物理的特性が達成されるような二次被覆が依然として求められている。
【0011】
[発明の概要]
特許請求の範囲に記載の本発明の第一の態様は、以下のものを反応させることにより調製される、ウレタン非含有アルファオリゴマーを含む放射線硬化性二次被覆組成物である:
(a)アルコール含有アクリレートまたはアルコール含有メタクリレート化合物から選択されるアクリレート化合物、
(b)無水物化合物、
(c)エポキシ含有化合物、
(d)場合によっては連鎖延長剤化合物、および
(e)場合によっては触媒。
【0012】
特許請求の範囲に記載の本発明の第二の態様は、二次被覆オリゴマーブレンド物を含む放射線硬化性二次被覆組成物であるが、ここで、前記二次被覆オリゴマーブレンド物には、アルファオリゴマー、ベータオリゴマー、および場合によってはガンマオリゴマーを含むが、ここで前記アルファオリゴマーはウレタン非含有であって、以下のものを反応させることによって得られる:
(a)アルコール含有アクリレートまたはアルコール含有メタクリレート化合物から選択されるアクリレート化合物、
(b)無水物化合物、
(c)エポキシ含有化合物、
(d)場合によっては連鎖延長剤化合物、および
(e)場合によっては触媒、
ただし、前記ベータオリゴマーは前記アルファオリゴマーとは異なるものである。
【0013】
特許請求の範囲に記載の本発明の第三の態様は、放射線硬化性二次被覆組成物であって、前記組成物が、二次被覆オリゴマーブレンド物;抗酸化剤;第一の光重合開始剤;第二の光重合開始剤;および場合によっては単一のスリップ添加剤もしくはスリップ添加剤のブレンド物を含むが、
ここで前記二次被覆オリゴマーブレンド物が、
α)アルファオリゴマー;
β)ベータオリゴマー;および
γ)ガンマオリゴマーを含み、
ここで前記アルファオリゴマーが、
α1)無水物と
α2)ヒドロキシエチルアクリレートと
を反応させることにより調製され、
次いでそのα1)とα2)との反応生成物をさらに、
α3)エポキシと、以下のものの存在下に
α4)第一の触媒と、
α5)第二の触媒と、
α6)重合防止剤と
反応させるが、
ここで前記ベータオリゴマーが、
β1)ヒドロキシエチルアクリレートと、
β2)1種または複数のジイソシアネートと、
β3)約1000の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールと、
β4)触媒と
を反応させることにより調製され、
ここで、そのベータオリゴマー触媒は、以下のものからなる群から選択され:ジブチルスズジラウレート;金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカノエート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカノエート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカノエート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS280−57−9;およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリド;そして
前記ガンマオリゴマーがエポキシジアクリレートである。
【0014】
特許請求の範囲に記載の本発明の第四の態様は、特許請求の範囲に記載の本発明の第一の態様の放射線硬化性一次被覆および放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバである。
【0015】
特許請求の範囲に記載の本発明の第五の態様は、特許請求の範囲に記載の本発明の第二の態様の放射線硬化性一次被覆および放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバである。
【0016】
特許請求の範囲に記載の本発明の第六の態様は、特許請求の範囲に記載の本発明の第三の態様の放射線硬化性一次被覆および放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバである。
【0017】
特許請求の範囲に記載の本発明の第七の態様は、光ファイバを被覆するための方法であって、
a)ガラス線引タワーを運転してガラス光ファイバを製造する工程;および
b)放射線硬化性一次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
c)場合によっては、前記放射線硬化性一次被覆組成物を放射線に接触させてその被覆を硬化させる工程;
d)特許請求の範囲に記載の本発明の第一の態様の放射線硬化性二次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆させる工程;
e)前記放射線硬化性二次被覆組成物を放射線に接触させてその被覆を硬化させる工程;
を含む方法である。
【0018】
特許請求の範囲に記載の本発明の第八の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、ここでその第一の層は、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第一の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0019】
特許請求の範囲に記載の本発明の第九の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、ここでその第一の層は、その光ファイバの外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第一の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0020】
特許請求の範囲に記載の本発明の第十の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、ここでその第一の層は、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第二の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0021】
特許請求の範囲に記載の本発明の第十一の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、ここでその第一の層は、その光ファイバの外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第二の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0022】
特許請求の範囲に記載の本発明の第十二の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、ここでその第一の層は、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第三の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0023】
特許請求の範囲に記載の本発明の第十三の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、ここでその第一の層は、その光ファイバの外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の第三の態様の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0024】
[発明の詳細な説明]
本出願の全体を通して、以下の用語は次に示された意味を有する:
【0025】
【表1】

【0026】
光ファイバ被覆とは、典型的には、硬化させる前には、化学線照射に暴露させたときに重合することが可能な少なくとも1個の官能基を有する1種または複数の放射線硬化性オリゴマーまたはモノマーを含む放射線硬化性組成物である。本発明は、ウレタン非含有であって、無水物から誘導され、光ファイバのための二次被覆組成物として有用な、改良された放射線硬化性オリゴマー(アルファオリゴマー)を提供する。
【0027】
アルファオリゴマーに加えて、本発明の光ファイバ二次被覆組成物には、好ましくは、1種または複数のさらなるオリゴマー(たとえば、ベータオリゴマーおよび場合によってはガンマオリゴマー)ならびに化学線照射に暴露させたときに重合することが可能な少なくとも1個の官能基を有する少なくとも1種の反応性希釈剤が含まれる。本発明の光ファイバ二次被覆組成物には、場合によっては、本明細書に記載するさらなる成分、たとえば1種または複数の抗酸化剤、光重合開始剤、スリップ添加剤などが含まれる。
【0028】
{コーティング組成物を形成させるために使用可能な各種の放射線硬化性二次被覆組成物の例は、たとえば以下の特許に記載されている:米国特許第4,624,994号明細書、米国特許第4,682,851号明細書、米国特許第4,782,129号明細書、米国特許第4,794,133号明細書、米国特許第4,806,574号明細書、米国特許第4,849,462号明細書、米国特許第5,219,896号明細書、および米国特許第5,336,563号明細書。本発明の新規なアルファオリゴマーは、二次被覆の全ウレタン含量を低下させ、それらの物理的および/または化学的性質を改良するための被覆に使用することができる。}
【0029】
[アルファオリゴマー]
本発明の二次被覆組成物には、無水物から誘導されるアルファオリゴマーが含まれる。アルファオリゴマーは、好ましくは以下のものを反応させることによって形成される:
(a)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート(本明細書においては、これも「アクリレート」と呼ぶ);
(b)無水物;
(c)一官能または多官能のエポキシ含有化合物;および
(d)場合によっては、連鎖延長剤、
(e)1種または複数の触媒。
【0030】
その反応は、抗酸化剤の存在下に実施することもできる。いくつかの実施態様においては、本発明におけるオリゴマーは、(a)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートと、(b)無水物とを反応させ、そのアクリレートと無水物との反応生成物を(c)エポキシ含有化合物と反応させることによって製造する。そのようにして形成されたオリゴマーには、アクリレート残基、無水物化合物から誘導されたジエステル残基、エポキシ含有化合物から誘導された第二級アルコール含有残基、および場合によっては連鎖延長剤残基が含まれるであろう。一般的には、より高い硬化速度を有する組成物を得ることができるために、アクリレートの方がメタクリレートよりも好ましい。
【0031】
本発明のアルファオリゴマー中でのアクリレート残基のジエステル残基に対するモル比は、実質的に同じであるのが好ましい。たとえば、オリゴマー中でのアクリレート残基のジエステル残基に対するモル比は、約0.8:1から約1:0.8までの範囲であるのが望ましい。オリゴマー中でのアクリレート、ジエステル、および第二級アルコール残基は、アクリレート残基がジエステル残基に結合され、ジエステル残基が第二級アルコール残基に結合されているようになっているのが、好ましい。オリゴマー中でアクリレート(A)、ジエステル(B)、第二級アルコール(C)、および任意成分の連鎖延長剤(D)残基が相互に、実質的に下記のように結合されているのが、より好ましい。
−A−B−C−B−A−、または−A−B−C−B−D−B−C−B−A−。
【0032】
ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートは、アクリレートまたは(メタ)アクリレート基およびアルコール基を含むいかなる化合物であってもよい。典型的には、アクリレートは以下のものからなる群から選択される:ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート(TPGMA)、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(PPA6)、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、2,2−ビス(4−アクリルオキシプロピルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート(たとえば、SR−351)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(たとえば、SR−444)、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリアミドアクリレート、ポリエステルモノアクリレート、カプロラクトンアクリレートたとえばトーン(TONE)(商標)カプロラクトンアクリレート(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)により販売)およびSR−495ポリカプロラクトンアクリレートアルコール(サートマーにより販売)、エポキシアクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジアクリレート誘導体、ビスフェノールAベースのエポキシジアクリレート(たとえば、CN−120またはCN−120Z)、ならびにそれらの組合せ。アクリレートを、HEA、PPA6、カプロラクトンアクリレート、TPGMA、ペンタエリスリトールトリアクリレート(たとえば、SR−444)、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジアクリレート誘導体、ビスフェノールAベースのエポキシジアクリレート(たとえば、CN−120)、およびそれらの組合せから選択するのが好ましい。より好ましくは、そのアクリレートがHEAである。
【0033】
その無水物は、飽和または不飽和多塩基酸の各種の無水物である。典型的には、その飽和または不飽和多塩基酸は多官能カルボン酸である。たとえば、その多塩基酸は、以下のものからなる群から選択される芳香族または脂肪族の二塩基性カルボン酸である:フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ドデカンジカルボン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、またはそれらの低級アルキルエステル、およびそれらの組合せ。無水物が以下のものからなる群から選択されるのが好ましい:ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、無水コハク酸(SA)、無水フタル酸(PA)、無水マレイン酸(MA)、ドデシニル無水コハク酸(DDSA)、オクテニル無水コハク酸(OSA)、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、およびそれらの組合せ。
【0034】
そのエポキシ含有化合物は、1分子あたり1個または複数のエポキシ基、好ましくは1分子あたり2個のエポキシ基を含む各種の化合物または樹脂である。たとえば、そのエポキシ含有化合物は、1分子あたり1個または複数のエポキシ基を含む芳香族または脂環族の化合物または樹脂であってよい。そのエポキシ含有化合物が芳香族のエポキシ含有化合物であるのが好ましい。適切なエポキシ含有化合物としては以下のものが挙げられる:ジグリシジルエーテルたとえば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(たとえば、ヘキシオン・スペシャルティ・ケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals)により販売されているエポン(EPON)樹脂、たとえばビスフェノールAエピクロロヒドリンエポキシ未変性液状樹脂、MW=700、エポン825およびエポン828(CAS No.25068−38−6);TR・インターナショナル(TR International)により販売されているYD−126ビスフェノールAエピクロロヒドリンエポキシ樹脂)、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルアミンエポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、2−グリシジルフェニルグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレゾールグリシジルエーテル、グリシジルアニリン、グリシジルトルイジン、水素化ビスフェノールをベースとするポリエポキシド、ビスフェノールのグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂をベースとするポリエポキシド、ならびにエポキシ化ポリブタジエン、ジエポキシカルボキシレート脂環族液状エポキシ樹脂たとえば、イソプロピリデン[4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキサン]、バーサチック酸モノグリシジルエーテル(VAME)、など。そのエポキシ含有化合物が、ビスフェノールAベースのエポキシ樹脂たとえば、エポン825またはエポン828(ヘキシオン・スペシャルティ・ケミカルズにより販売)などであるのが好ましい。
【0035】
先に説明したように、オリゴマーを製造するために、場合によっては、連鎖延長剤を使用することもできる。連鎖延長剤は、ポリオール、ポリエステル、ポリアルキド、脂肪酸、油、またはそれらの誘導体である。さらに、連鎖延長剤は各種適切な分子量を有することができる。連鎖延長剤がポリオールである場合、そのポリオールは各種適切な数のアルコール基を有することが可能であって、たとえば、ポリオールが2〜10個のアルコール基、好ましくは2〜4個のアルコール基を有することもできるし、あるいは、ポリエーテルポリオールたとえば、脂肪族ポリエーテルポリオールまたは環状ポリエーテルポリオールとすることもできる。加水分解において不安定となりやすいβ−水素を存在させないように、β−位が置換されているアルコールを使用するのが好ましい。
【0036】
好適なジオールとしてはたとえば、以下のものが挙げられる:1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(BEPD)、ヒドロキシピバロイルヒドロキシピバレート(HPHP)、2−シクロヘキシル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、または上述のすべてのジオールのアルコキシル化誘導体、好ましくは、たとえばそれらのエトキシル化およびプロポキシル化誘導体。好適なものとしてはさらに、C36−ジオールたとえば、プリポール(Pripol)2033ジオール(ユニケマ(Uniqema)により供給)およびスペチオール(Speziol)C36/2ジオール(コグニスにより供給)が挙げられる。それらのジオール成分は混合物として使用してもよい。連鎖延長剤として使用するのに好適なジオールについてはさらに、米国特許第6,023,547号明細書にも記載がある(この特許を、参照により本明細書に援用するものとする)。連鎖延長剤として使用することが可能な好適なジオールは、エトキシル化ビスフェノール−A、プロポキシル化ビスフェノール−A、ネオペンチルグリコール(NPG)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(BEPD)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPD)、ヒドロキシピバロイルヒドロキシピバレート(HPHP)、ダイマー酸の水素化同族体、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールまたはそれらの混合物である。
【0037】
その他適切なポリオールとしては、たとえば以下のものが挙げられる:トリオールたとえば、グリセロール、トリメチロールエタン(すなわち、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン)、およびトリメチロールプロパン(すなわち、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン);テトラオールたとえば、ペンタエリスリトール;ペンタノールたとえばグルコース;ヘキサノールたとえば、ジペンタエリスリトールおよびソルビトール;または上述のすべての多価アルコールのアルコキシル化誘導体たとえば、好ましくは、それらのエトキシル化およびプロポキシル化誘導体、2〜12個のエチレンオキシド単位を有するエトキシル化ビスフェノール−A、2〜12個のプロピレンオキシド単位を有するプロポキシル化ビスフェノール−A、糖、ハロゲン化糖たとえばトリクロロ化スクロース(スクラロース)、グリセリンなど。いくつかの実施態様においては、そのポリオールが好ましくはジオールである。ジオールが有利な点は、それらが比較的に無極性の特性を有し、得られるオリゴマーのエステル含量が低く、それらのTが低いことである。
【0038】
好適な脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させることによって得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。イオン重合性の環状化合物の例としては以下のものが挙げられる:環状エーテルたとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、およびグリシジルベンゾエート。さらに、上述のイオン重合性環状化合物を、モノマーたとえば、環状イミンたとえばエチレンイミン、環状ラクトン酸たとえばプロピオラクトン、およびグリコール酸ラクチド、ならびにジメチルシクロポリシロキサンなどと開環共重合させることによって得られるポリエーテルポリオールを使用することも可能である。2種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組合せの例としては、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、ならびにテトラヒドロフランとブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの三元コポリマーなどの組合せが挙げられる。それらのイオン重合性環状化合物の開環コポリマーは、ランダムコポリマーであっても、ブロックコポリマーであってもよい。
【0039】
好適な環状ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、水素化ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、ヒドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、ナフトヒドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、アントラヒドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールおよびそのアルキレンオキシド付加ジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらの内では、ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノールなどのアルキレンオキシド付加ジオールが好ましい。上述のポリエーテルポリオールの中では、ポリプロピレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリエーテルポリオールが好ましい。
【0040】
いくつかの実施態様においては、そのポリオールが、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールからなる群から選択されるのが好ましい。ポリエーテルポリオールの例としてはたとえば以下のものが挙げられる:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−エチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、および2種以上のイオン重合性環状化合物(たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブテンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、フェニルグリシジルエーテル、またはブチルグリシジルエーテル)を開環共重合させることにより得られるポリエーテルジオール。好適なポリプロピレングリコールとしては、約300g/mol〜約5,000g/molの分子量を有するポリプロピレングリコール、たとえばPPG400(MW=400g/mol)、PPG1000(MW=1000g/mol)、PPG2000(MW=2000g/mol)、PPG3000(MW=3000g/mol)、さらにはエクセノール(EXCENOL)720(MW=700g/mol)、エクセノール1020(MW=1000g/mol)、およびエクセノール2020(MW=2000g/mol)(旭硝子ウレタン株式界社(Asahi Glass Urethane Co.,Ltd.)製)が挙げられる。好適なポリオールとしてはさらに、約300g/mol〜約5,000g/molの分子量を有する1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーポリオール、たとえばEO/BO500(MW=500g/mol)、EO/BO1000(MW=1000g/mol)、EO/BO2000(MW=2000g/mol)、EO/BO3000(MW=3000g/mol)、EO/BO4000(MW=4000g/mol)(第一工業製薬(株)(Daiichi Kogyo Seiyaku Co.,Ltd.)製)が挙げられる。
【0041】
好適なポリオールとしてはさらに、多価アルコール(たとえば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、および2−メチル−1,8−オクタンジオール)を多塩基酸(たとえば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびセバシン酸)と反応させることにより得られるポリエステルポリオールが挙げられ、市販されているそのようなものとしては、商標MPD/IPA500(MW=500g/mol)、MPD/IPA1000(MW=1000g/mol)、MPD/IPA2000(MW=2000g/mol)、MPD/TPA500(MW=500g/mol)、MPD/TPA1000(MW=1000g/mol)、MPD/TPA2000(MW=2000g/mol)、クラポール(Kurapol)A−1010(MW=1000g/mol)、A−2010(MW=2000g/mol)、PNA−2000(MW=2000g/mol)、PNOA−1010(MW=1000g/mol)、およびPNOA−2010(MW=2000g/mol)((株)クラレ(Kuraray Co.,Ltd.)製)などが挙げられる。市販されているポリカーボネートポリオールとしては以下のものが挙げられる:DN−980(MW=2000g/mol)およびDN−981(MW=1000g/mol)(日本ポリウレタン工業(株)(Nippon Polyurethane Industry Co.,Ltd.)製)、二量化脂肪酸ベースのポリエステルポリオール、たとえばプリプラスト(Priplast)3196(MW=3000g/mol)、プリプラスト3190(MW=2000g/mol)、およびプリプラスト2033(MW=570g/mol)(ユニケマ製)、1,9−ノナメチレンジオールと2−メチルオクタメチレングリコールとのランダムコポリマーである、ポリ(アルキレンカーボネート)グリコールたとえば、PNOC−2000およびPNOC−1000((株)クラレ製)、ポリカプロラクトンジオールたとえば、プラクセル(PLACCEL)CD220(MW=2,000g/mol)、CD210(MW=1,000g/mol)、CD208(MW=830g/mol)、CD205(MW=500g/mol)(ダイセル化学工業(株)製)、ならびにポリエーテルポリカーボネートジオールたとえば、PC−THF−CD(MW=1,000g/molまたは2,000g/mol)(BASF製)。
【0042】
好適なポリエステルポリオールのその他の例が、米国特許出願公開第2004/0209994A1号明細書(テルウィレガー(Terwillegar))に与えられている(この特許を参照により本明細書に援用するものとする)。それらのポリオールは、別々に使用しても、あるいは2種以上の組合せで使用してもよい。さらに、上述のポリオールは単独または組合せの形で、それぞれの末端に無水物(それらの例は先に説明した)を反応させて二酸を形成させ、それを本発明における連鎖延長剤として使用することもできる。そのような二酸は、ポリエステルベースの連鎖延長剤を合成するために使用することもできる。
【0043】
ダイマー酸(およびそれらのエステル)は、周知の市販されているタイプのジカルボン酸(またはエステル)である。それらは典型的には、通常13〜22個の炭素原子の不飽和長鎖脂肪族モノカルボン酸またはそれらのエステル(たとえば、アルキルエステル)を二量化することによって調製される。当業者が考えるところでは、その二量化は、ディールス−アルダー、フリーラジカル、およびカルボニウムイオンメカニズムなどの、いくつかのメカニズムによって進行する。ダイマー酸には通常、26〜44個の炭素原子が含まれる。ダイマー酸(またはエステル)がC18およびC22不飽和モノカルボン酸(またはエステル)から誘導されるのが好ましく、それによって、それぞれ、C36およびC44のダイマー酸(またはエステル)が生成するであろう。C18不飽和酸(これには、たとえばリノール酸およびリノレン酸が含まれる)から誘導されるダイマー酸が特によく知られている(C36ダイマー酸が生成する)。ダイマー酸製品には通常、ある程度のトリマー酸(たとえば出発のC18の酸から出発した場合にはC54酸)、さらに大きなオリゴマーや、さらには少量のモノマー酸も含まれているであろう。数種の異なったグレードのダイマー酸が、各種商業的供給源から入手可能からであるが、それらは、主として一塩基性酸およびトリマー酸画分の量ならびに不飽和度の点で互いに異なっている。
【0044】
通常、最初に形成されるダイマー酸(またはエステル)製品は不飽和であるが、そのことは、架橋または分解のための部位を与えることになるためにそれらの酸化安定性にとって有害であり、その結果、時間の経過とともにその被覆膜の物理的性質が変化してしまう可能性がある。したがって、水素添加を行って、その未反応で残った二重結合を実質的に無くしたダイマー酸を使用するのが好ましい(必須という訳ではない)。本明細書において「ダイマー酸」という用語を使用する場合、二酸そのものと、ポリエステル合成において酸成分として機能するそのエステル誘導体たとえば低級アルキルエステルとの両方を指しており、(存在するならば)各種のトリマーまたはモノマーも含まれる。
【0045】
好適な連鎖延長剤化合物のまた別なタイプはアルキドである。アルキドまたはアルキド樹脂は、エステル結合のポリマー主鎖からペンダントしている1個または複数の以上のエステル基を有するタイプのポリエステルである。アルキド樹脂は、ポリオールと、多官能カルボン酸(以後ポリ酸と呼ぶ)と、油または油から誘導される脂肪酸との縮合反応によって調製することができる。その油は、エステル、たとえばグリセロールと脂肪酸のトリエステルからなる天然油であってもよい。たとえば、ポリオール/脂肪酸混合物は、天然由来の油をアルコール分解させるか、または天然由来の長鎖脂肪酸を用いてポリオールを直接エステル化させることによって、インサイチュで調製することができる。それらの反応のいずれから得られる生成物も、従来からのポリエステル化反応に従って、他のポリオールおよびポリ酸(たとえば、ジオールおよび二酸)を用いて重合させることができる。天然由来の油、好ましくは低不飽和度の油をアルコール分解させることによって、アルキドを調製するのがより好ましい。アルキドのペンダントしたエステル基は、ポリエステルを調製するために通常使用される成分と共に、単官能カルボン酸(モノ酸)を加えることによって導入することができる。アルキドを調製するために使用されるモノ酸は、4〜28個の間の炭素原子を有する各種モノカルボン酸とすることができる。そのモノ酸が、脂肪酸、より好ましくは長鎖モノ酸であれば好ましい。長鎖モノ酸または長鎖脂肪酸は、その鎖の中に、12〜28個の間の炭素原子、より好ましくは12〜24個の間の炭素原子を有していることを特徴とする。多くの脂肪酸はそれらの鎖の中に18個の炭素原子を有してはいるが、天然由来の油において、より多くの数の炭素原子であってもよい。たとえば、C22の酸、エルカ酸(ドコセン酸)が、ある種のナタネ油の中に見出される。天然由来の脂肪酸、またはそれから脂肪酸が誘導される油が、当業者には公知のように、植物または動物源から得られる脂肪酸または油であるのが好ましい。
【0046】
アルキドに密接に関連した、その他のタイプの好適な連鎖延長剤は、脂肪酸および油である。本発明におけるアルキド主鎖において好適な脂肪酸または油は、不飽和であっても飽和であってもよい。好ましくは、それらの脂肪酸または油は、以下において定義されるように、低い不飽和度を有している。不飽和油または(油から誘導された)脂肪酸の例としては、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、ナタネ油、低エルルナタネ油、麻実油、カポック油、アマニ油、野生カラシナ、オイチシカ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、えの油、ケシ油、タバコタネ油、アルゼンチンナタネ油、ゴムタネ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、サトウキビ油、ヒマワリ油、トール油、ティーシード油、キリ油、クログルミ油、またはそれらの混合物などが挙げられる。低不飽和度の脂肪酸/油の例としては、ヤシ油、ババス油、ナンキンハゼ油、オウリカリ油、パーム核油、カプリル酸、カプロン酸、カプリン酸、ヤシ脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などまたはそれらの混合物、それらの油から誘導された脂肪酸、さらには、それらの油、たとえば、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、ナタネ油、低エルルナタネ油、麻実油、カポック油、アマニ油、野生カラシナ、オイチシカ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、えの油、ケシ油、タバコタネ油、アルゼンチンナタネ油、ゴムタネ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、サトウキビ油、ヒマワリ油、トール油、ティーシード油、キリ油、クログルミ油、またはそれらの混合物などから誘導された不飽和の油および脂肪酸の、水素化された形態が挙げられる。
【0047】
本発明のアルファオリゴマーは、各種好適な方法を用いて調製することができる。たとえば、アルファオリゴマーは、アクリレート、無水物、エポキシ含有化合物、および任意成分の連鎖延長剤化合物をすべて同時に反応器に仕込む一段プロセスに従って調製することができる。その反応は、約80℃〜約150℃、典型的には約90℃〜約130℃、好ましくは約100℃〜約140℃、より好ましくは約110℃〜約130℃の範囲の温度で、大気圧または減圧下に実施することができる。
【0048】
アルファオリゴマーは、二段合成プロセスに従って調製するのが好ましい。その二段プロセスの第一段の間に、アクリレート、無水物、および場合によっては連鎖延長剤化合物を組み合わせて、それらの成分を、約90℃〜約130℃、好ましくは約100℃〜約120℃、より好ましくは約105℃〜約115℃の温度範囲で反応させることによってアルファオリゴマーを調製する。この反応段は、空気雰囲気下、より好ましくは乾燥空気雰囲気下で実施するのが好ましい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、この反応段の間に、アクリレートおよび/または(存在するならば)連鎖延長剤化合物からのアルコール基が、無水物と反応して、その無水物環を開かせて、エステル結合と酸基とを形成させると考えられる。その二段プロセスの第二段においては、エポキシ含有化合物を第一段の反応生成物と反応させる。具体的には、第一段の反応生成物の酸基(無水物から誘導された遊離の酸)がエポキシド基と反応して、第二級アルコール基を生成する。第二段も、先に一段プロセスに記載したのと同じ反応条件(たとえば温度、反応時間)の下で実施するのが望ましい。無水物の開環反応は発熱性であるので、いくつかの実施態様においては、最初は無水物化合物をアクリレートのほんの一部と反応させて、所望の反応温度に到達させるのが望ましい。それから後は、添加速度を調節しながら、あるいは滴下法でアクリレートの残りのものを添加して、反応温度を維持することができる。必要があれば、反応物を加熱して所望の反応温度を維持することも可能である。典型的には、反応手順の第一段の反応を、約2〜4時間の間に実施し、反応手順の第二段の反応を約8〜15時間の間に実施する。
【0049】
その反応の際にアクリレートが重合するのを抑制するために、重合防止剤または重合防止系を添加することができる。好適な重合防止の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノン、ヒドロキノンの誘導体、たとえばメチルエーテルヒドロキノン、2,5−ジブチルヒドロキノン(DBH)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;メチル−ジ−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール;など、ニトロベンゼン、フェノチアジンなどが挙げられる。それらの内でもBHTとDBHが好ましいが、その理由は、それらを使えば、最終的なオリゴマーにおける着色が比較的少ないからである。
【0050】
本発明のアルファオリゴマーを調製するときに、エポキシ含有化合物の反応を促進させるために、触媒を使用することができる。好適な触媒としては、たとえば、トリアリールホスフィン触媒たとえば、トリフェニルホスフィン(TPP)およびトリトルイルホスフィン、ホスホニウム塩、第三級アミンたとえばトリエチレントリアミン触媒たとえば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ならびに金属触媒たとえば酢酸クロム(III)、カルボン酸金属塩、スズ触媒たとえば、第一スズアルコキシドまたは第一スズアクリレート、およびチタン触媒などが挙げられるが、これらの多くは当業者には公知である。それらの触媒は単独で使用しても、あるいは組み合わせて使用してもよい。一つの好ましい実施態様においては、TPPとDABCOとを組み合わせて使用すると、低い反応温度(たとえば、110℃)を使用することが可能となる。反応混合物中の触媒の濃度は、一般的には、約0.1〜約1.0重量%、好ましくは約0.1〜約0.7重量%、より好ましくは約0.1〜約0.5重量%、より好ましくは約0.1〜約0.3重量%(反応混合物の全重量を基準にして)の間とする。
【0051】
本発明のアルファオリゴマーは、酸価が低く、改良された耐加水分解安定性を有している。酸価は、樹脂の遊離カルボン酸含量の目安であって、樹脂1グラム中の遊離カルボン酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として表される。したがって、酸価は、オリゴマーの中に残っている酸の量、たとえばカルボン酸の量を反映している。酸価は、溶媒、たとえば中和させたエチルアルコールもしくは50/50のイソプロピルアルコール/アセトンと合わせたトルエンまたはテトラヒドロフラン(THF)の中に、秤量した樹脂を溶解させ、得られた溶液を、炭酸を含まない0.1規定の水酸化カリウム溶液を用いてフェノールフタレインの終点にまで滴定することにより、求めることができる。後ほど試験方法の項で詳しく説明するが、電位差滴定的に酸価を測定することも可能である。酸価(「AV」)(単位「mgKOH/g樹脂」)は次式で表すことができる:
AV=(56.1)(mLKOH)(規定度)/(樹脂の質量(g))
【0052】
本発明のいくつかの実施態様においては、酸価は望ましくは約20mgKOH/g以下、好ましくは約15mgKOH/g以下、より好ましくは約10mgKOH/g以下、さらにより好ましくは約5mgKOH/g以下である。場合によっては、樹脂は実質的に中性であって、酸価が約1mgKOH/g樹脂以下である。所望により、合成した後に、オリゴマーを洗浄および/または中和して、残存している酸をさらに除去することもできる。
【0053】
アルファオリゴマーの数平均分子量は、好ましくは約400g/mol以上であるが約6,000g/mol以下、好ましくは約5,000g/mol以下、より好ましくは約4,000g/mol以下である。アルファオリゴマーを二次被覆組成物の中で使用する場合、その数平均分子量は好ましくは約2,000g/mol以下、より好ましくは約1,500g/mol以下で、かつ約500g/mol以上、より好ましくは約800g/mol以上である。アルファオリゴマーの数平均分子量は、適切な分子量の連鎖延長剤化合物を選択することによって、ある程度は調節することが可能である。
【0054】
アルファオリゴマーを調製した後では、そのオリゴマー中のウレタン結合のパーセントは、理論構造中のウレタン結合の数にウレタン結合の分子量(42g/mol)を掛け、理論オリゴマー構造の分子量で割ることによって、計算することができる。
【0055】
[ベータオリゴマー]
本発明のまた別な実施態様においては、二次被覆組成物には、アルファオリゴマーに加えて、第二のオリゴマー(ベータオリゴマー)をさらに含んでいるのが好ましい。上述のアルファオリゴマーに加えてベータオリゴマーを存在させることによって、よりバランスのとれた被覆物性、たとえば硬化をさせた後に、付着力が低く摩擦係数が低い改良された硬化表面を有する組成物が得られる。本発明のこの実施態様の一つの利点は、高いTまたはtanδmaxを維持しながらも、低い弾性率を有する硬化コーティング組成物が得られることである。いくつかの実施態様においては、ベータオリゴマーがアルファオリゴマーとは異なる分子量を有しているのが望ましい。ベータオリゴマーがウレタンを含んでいてもよいし、逆にウレタン非含有の、たとえば、先にアルファオリゴマーについて記載したような無水物から誘導されるウレタン非含有オリゴマーであってもよい。ベータオリゴマーは、典型的には、ウレタン含有オリゴマー、たとえば、以下の特許の教示に従ったウレタン含有オリゴマーである:国際公開特許第2005/026228A1号パンフレット、または米国特許第5,527,835号明細書、米国特許第6,298,189号明細書、米国特許第6,584,263号明細書、米国特許第6,661,959号明細書、米国特許第6,775,451号明細書、または米国特許第6,872,760号明細書(これら特許のそれぞれを参照により本明細書に援用するものとする)。ベータオリゴマーは、二次被覆の一部としてではなく、それだけで硬化させたときに、低いTと高い伸びとを有しているのが望ましい。
【0056】
アルファオリゴマーについて上述したようにして、ベータオリゴマーを無水物から誘導する場合には、適切な分子量増大剤を選択して、そのベータオリゴマーがアルファオリゴマーと異なるより高い分子量を有するようにする。
【0057】
ベータオリゴマーがウレタン含有オリゴマーである場合には、一般的には、ポリエーテルポリオールまたはその他適切な連鎖延長剤化合物、ポリイソシアネート、およびヒドロキシル基含有アクリレートを好ましくは触媒の存在下に反応させることによってそれを製造する。たとえば、ベータオリゴマーとして使用するのに適したウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオールのヒドロキシル基と、ヒドロキシル基含有アクリレートのヒドロキシル基とにそれぞれ反応させることによって製造することができる。この反応は下記のようないくつかの反応によって実施することができる:(a)ポリオール、ポリイソシアネート、およびヒドロキシル基含有アクリレートを仕込んで、それらを同時に反応させる方法;(b)ポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、そうして得られた反応生成物をヒドロキシル基含有アクリレートと反応させる方法;(c)ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有アクリレートとを反応させ、そうして得られた反応生成物をポリオールと反応させる方法;または(d)ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有アクリレートと反応させ、そうして得られた反応生成物をポリオールと反応させ、さらにそうして得られた反応生成物をヒドロキシル基含有アクリレートと反応させる方法。その反応は、典型的にはウレタン化触媒の存在下に実施する。
【0058】
光ファイバのための放射線硬化性被覆に使用するためのウレタンベースのオリゴマーの合成法における触媒は、当業者には公知である。本明細書に記載のベータオリゴマーに好適な触媒は、前記ベータオリゴマーがウレタンベースのオリゴマーである場合には、以下のものからなる群から選択される:ジブチルスズジラウレート(DBTDL);金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカノエート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカノエート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカノエート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0(極めて弱い酸);およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS280−57−9(強酸);およびトリフェニルホスフィン(TPP);ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリド、サイホシル(Cyphosil)101として市販されているもの。
【0059】
これらの触媒はすべて、市販されている。現在知られているところでは、これらの触媒はすべて、遊離で可溶性で均質な状態で使用してもよいし、あるいは、たとえばシリカゲル、もしくはジビニル架橋された強度架橋樹脂のような不活性物質と共存させて不均一系で使用し、オリゴマー合成が終わってから濾過してもよい。
【0060】
アルファオリゴマーに関連した上述したアクリレート化合物はいずれも、このベータオリゴマーを製造するのにも使用することができる。好適なアクリレートはHEAである。
【0061】
ベータオリゴマーを製造するには、1種または複数のジイソシアネートを使用することができる。それらのジイソシアネートは、たとえば以下の、非限定的に挙げた、芳香族ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される:2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシル)イソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネート−エチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および2,5(または6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン。一つの実施態様においては、イソホロンジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートが好ましい。一つの実施態様においては、トルエンジイソシアネートを単独で使用するのが好ましい。
【0062】
さらに、アルファオリゴマーに関連した上述したポリオール連鎖延長剤化合物はいずれも、このベータオリゴマーを製造するのにも使用することができる。ベータオリゴマーを製造するために使用するポリオールは、ポリエステルポリオールであるか、またはポリエーテルポリオールたとえば、ポリプロピレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーからなる群から選択されるポリエーテルポリオールであるのが好ましい。ポリオール連鎖延長剤の数平均分子量は、好ましくは約300g/mol〜約10,000g/molの範囲である。連鎖延長剤が、約1000g/molの数平均分子量を有するポリプロピレングリコールであるのが好ましい。
【0063】
いくつかの実施態様においては、アルファオリゴマーとベータオリゴマーの両方がポリオール連鎖延長剤残基を含むが、この場合、アルファオリゴマーを製造するために使用されるポリオールは、ベータオリゴマーを製造するために使用されるポリオールとは、少なくとも分子量の点で異なっている。アルファオリゴマーにおいて使用されるポリオールはさらに、ベータオリゴマーにおいて使用されるポリオールとは、化学構造においても異なっていてよい。たとえば、アルファオリゴマーを製造するために使用されるポリオールが1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーであるのに対して、ベータオリゴマーを製造するために使用されるポリオールがポリプロピレングリコールであってもよい。さらに、アルファオリゴマーを製造するために使用されるポリオールがポリエステルポリオールであるのに対して、ベータオリゴマーを製造するために使用されるポリオールがポリエーテルポリオールであってもよい。
【0064】
ベータオリゴマーの数平均分子量は、望ましくは約3,000〜約10,000g/mol、より好ましくは約7,000〜約9,000g/molである。この理由から、ベータオリゴマーのために使用される連鎖延長剤は、分子量に従って選択される。好適なポリオール連鎖延長剤化合物としてはポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールが挙げられるが、そのようなものとしてはたとえば以下のものが市販されている:プレミノール(PREMINOL)PML S−X4008(MW=8,000g/mol)、PML S−4011(MW=10,000g/mol)、PML S−X3008(MW=8,000g/mol)、PML S−3011(MW=10,000g/mol)、PML S−X3015(MW=15,000g/mol)、PML4016(MW=16,000)、PML7001(MW=6,000g/mol)、PML7003(MW=6,200g/mol)、およびPML7012(MW=10,000g/mol)(旭硝子(株)(Asahi Glass Co.,Ltd.)製)、ならびにペルミノール(Perminol)P1010(分子量=1000g/mole)(BASF製)。
【0065】
ベータオリゴマーがウレタン含有オリゴマーである場合には、ポリオールもしくは連鎖延長剤と、ポリイソシアネートと、ヒドロキシル基含有アクリレートとの比率は、ポリイソシアネート中に含まれるイソシアネート基と、ヒドロキシル基含有アクリレート中に含まれるヒドロキシル基とが、ポリオール中に含まれるヒドロキシル基1当量あたり、それぞれ1.1〜3当量と0.2〜1.5当量になるようにするのが好ましい。
【0066】
本発明の放射線硬化性、光ファイバコーティング組成物中に含まれるアルファオリゴマーとベータオリゴマーとの合計量は、組成物の全重量を基準にして、通常は約30〜約95重量%、好ましくは約35〜約95重量%、より好ましくは約40〜約80重量%、最も好ましくは約50〜約80重量%である。ベータオリゴマーは、組成物中に存在するアルファオリゴマーとベータオリゴマーとの合計量の、約0.1〜約30重量%、好ましくは約1〜約25重量%、より好ましくは約3〜約20重量%の量で組成物中に存在させるのが望ましい。
【0067】
二次被覆組成物の中でウレタン含有ベータオリゴマーと組み合わせて本発明の一つの態様に従ったアルファオリゴマー、特に国際公開第2005/026228A1号パンフレットに記載されているようなオリゴマーを使用することは、高いTを維持しながらも、比較的低い弾性率を有する硬化被覆を達成するためには望ましい。これは、最終的な被覆の内部における、ミクロ相分離のためであろうと考えられる。硬化被覆の弾性率は、1500MPa未満、好ましくは1000MPa未満であるが、それに対して硬化被覆のTは約70℃以上である。この好ましい実施態様においては、その放射線硬化性組成物には、アルファオリゴマーと、約4,000g/mol以上ではあるが約16,000g/mol未満の数平均分子量を有するポリオールから誘導された構造を有するウレタンアクリレートのベータオリゴマーとが含まれるが、ここでその組成物には、約30〜約95重量%のアルファオリゴマーおよびベータオリゴマーが含まれ、そのベータオリゴマーが、組成物中に存在するアルファオリゴマーとベータオリゴマーとの合計量の約0.1〜約30重量%である。
【0068】
いくつかの実施態様においては、そのベータオリゴマーは、ポリオールを使用せず、1モルのジイソシアネートを2モルのヒドロキシル基含有アクリレートと反応させることによって得られるウレタンオリゴマーである。そのようなウレタンアクリレートの例としては、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)と2,4−トルエンジイソシアネート;HEAと2,5(または6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;HEAとイソホロンジイソシアネート;HEAと2,4−トルエンジイソシアネート、ならびにHEAとイソホロンジイソシアネート、の反応生成物が挙げられる。米国特許第5,527,835号明細書、米国特許第6,298,189号明細書、米国特許第6,584,263号明細書、米国特許第6,661,959号明細書、米国特許第6,775,451号明細書、または米国特許第6,872,760号明細書の教示には、通常のウレタンアクリレート物質を得るためのさらなる適当な方法が記載されているが、それらの従来技術は決して限定を与える例ではない(これらの特許のそれぞれを参照により本明細書に援用するものとする)。
【0069】
別な実施態様においては、そのベータオリゴマーが、無水物をヒドロキシル含有アクリレートと反応させることにより得られる、ウレタンを含まないオリゴマーである。
【0070】
【表2】

【0071】
添加の順序は次の通りである:(1)BHT、(2)HHPA、次いで(3)PTHF650。反応の中間点を過ぎてから、(4)TPP、(5)DABCO、および(6)エポテック(EPOTEC)YD−126を添加する。
【0072】
本発明のアルファオリゴマーは、(二次被覆オリゴマーブレンド物を形成させるために)コーティング組成物の中に、各種適切な方法および各種の相対量でベータオリゴマーとブレンドすることもできる。得られるコーティング組成物中のウレタン結合の総合的なパーセントは、反応で使用されたイソシアネート化合物のモル量から次式に従って求めることができる。
%ウレタン=[(使用イソシアネート重量%/イソシアネートMW)×(ウレタンMW)]/被覆重量
【0073】
アルファオリゴマーの反応性官能基末端が、化学線照射に暴露させたときに反応性であることが望ましい。放射線硬化性反応性−官能基末端が、ラジカル重合またはカチオン重合によって重合することが可能な、エチレン性不飽和を含んでいるのが好ましい。好適なエチレン性不飽和の具体例は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、N−置換アクリルアミド、N−ビニルアミド、マレエートエステル、およびフマレートエステルを含む基である。エチレン性不飽和は、アクリレート、メタクリレート、N−ビニル、またはスチレン官能基、最も好ましくはアクリレート官能基を含む基によって得るのが好ましい。このオリゴマーは、UV硬化性の光ファイバコーティング組成物において有用である。
【0074】
[ガンマオリゴマー]
本発明の好ましい実施態様においては、その二次被覆組成物に第三のオリゴマー(ガンマオリゴマー)を含む。ガンマオリゴマーは無水物から誘導することができるが、それによって、ウレタン非含有であっても、逆にウレタン含有オリゴマーであってもよい。典型的には、ガンマオリゴマーがエポキシジアクリレートであって、ウレタン成分を含まない。好適なエポキシジアクリレートは、CN−120またはCN−120Zの、ビスフェノールAベースのエポキシジアクリレートである。ガンマオリゴマーが、約500g/mol以下の数平均分子量を有し、放射線硬化性二次被覆の一部としてではなく単独で硬化させた場合には伸びを有している。
【0075】
本発明のアルファオリゴマーは、(二次被覆オリゴマーブレンド物を形成させるために)コーティング組成物の中に、各種適切な方法および各種の相対量でベータオリゴマーおよび(存在させるならば)ガンマオリゴマーとブレンドすることもできる。
【0076】
[反応性希釈剤]
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、場合によっては、組成物の粘度を調節するために使用することが可能な、少なくとも1種の反応性希釈剤をさらに含む。反応性希釈剤は、化学線照射に暴露させたときに重合することが可能な少なくとも1個の官能基を有する、低粘度のモノマーであってよい。この官能基は、放射線硬化性のアルファオリゴマーまたはベータオリゴマーにおいて使用されるものと同じ性質のものであってよい。反応性希釈剤の中に存在する官能基が、アルファオリゴマーまたはベータオリゴマーの中に存在している放射線硬化性官能基と共重合することが可能であるのが好ましい。その放射線硬化性官能基が、硬化の際に、表面処理された光ファイバの表面上に生成するフリーラジカルと反応することが可能なフリーラジカルを生成するのがより好ましい。
【0077】
たとえば、反応性希釈剤は、アクリレートまたはビニルエーテル官能基と、C〜C20アルキルまたはポリエーテル残基を有する、単独のモノマーまたは複数のモノマーの混合物とすることができる。反応性希釈剤の具体例としては、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−エトキシエトキシ−エチルアクリレート、ラウリルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、N−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、トリプロピレングリコールアクリレート、アクリルアミド、およびアルコキシル化誘導体たとえば、エトキシル化ラウリルアクリレート、エトキシル化イソデシルアクリレートなどが挙げられる。
【0078】
使用することが可能なまた別のタイプの反応性希釈剤は、芳香族基を有する化合物である。芳香族基を有する反応性希釈剤の具体例としては、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールフェニルエーテルアクリレート、および上述のモノマーのアルキル置換フェニル誘導体たとえば、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルアクリレートなどが挙げられる。エトキシル化ノニルフェノールアクリレートもまた適している。
【0079】
その反応性希釈剤には、重合可能な2個以上の官能基を有する希釈剤を含んでいてもよい。そのような希釈剤の具体例としては、C〜C18炭化水素−ジオールジアクリレート、C〜C18炭化水素ジビニルエーテル、C〜C18炭化水素トリアクリレート、およびそれらに類似のポリエーテルなど、たとえば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレン−グリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール−トリアクリレート、エトキシル化ビスフェノール−Aジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびトリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート(SR−368)などが挙げられる。
【0080】
[抗酸化剤]
抗酸化剤は立体障害フェノール系化合物としては、たとえば以下のものが挙げられる:2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチル−4−n−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール、ならびに市販されている化合物のたとえば、チオジエチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシル)ヒドロシンナメート、オクタデシル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、1,6−ヘキサメチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、およびテトラキス(メチレン(3,5−ジターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン(これらはすべてイルガノックス1035、1076、259および1010として、チバ・ガイギーから入手可能である)。本明細書で有用な、立体障害フェノール系化合物のその他の例としては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよび4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジターシャリーブチルフェノール)(エチル・コーポレーション(Ethyl Corporation)からそれぞれエチル(Ethyl)330および702として入手可能)が挙げられる。好ましくは、抗酸化剤がチオジエチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシル)ヒドロシンナメート(たとえば、イルガノックス1035)であるのが好ましい。
【0081】
[光重合開始剤]
本発明のコーティング組成物には、場合によっては、活性放射線に暴露されたときに組成物の硬化を促進させ、満足のいく硬化速度を得るための、単独の光重合開始剤または複数の光重合開始剤の混合物がさらに含まれる。本発明のコーティング組成物において有用な光重合開始剤の例としては、イソブチルベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイル、ジフェニルホスフィンオキシド;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819として市販);1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン;ペルフルオロ化ジフェニルチタノセン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトンジメトキシフェニルアセトフェノン;1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン;1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)−ケトン;ジエトキシフェニルアセトフェノン;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン;ベンゾフェノンとの混合物;1−プロパノン、2−メチル−1−1−(4−(メチルチオ)フェニル)2−(4−モルホリニル);およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0082】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物には、場合によっては、1種または2種のホスフィンオキシドタイプの光重合開始剤、たとえば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドタイプ(TPO)またはビスアシルホスフィンオキシドタイプ(BAPO)光重合開始剤、および/またはα−ヒドロキシケト−タイプ光重合開始剤(たとえば、イルガキュア184(すなわち、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・ガイギーから入手可能)またはダロキュア(Darocur)1173(すなわち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、チバ・ガイギーから入手可能))が含まれる。BAPO、ルシリン(Lucirin)TPO(すなわち、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、BASF・コーポレーション(BASF Corporation)から入手可能)、イルガキュア184、ダロキュア1173、およびイルガキュア907(すなわち、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・ガイギーから入手可能)の混合物がさらにより好ましい。
【0083】
[その他の添加剤]
コーティング組成物の中で使用することが可能なその他の添加剤としては、触媒、潤滑剤、スリップ剤、濡れ剤、接着促進剤および安定剤などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。そのような添加剤の選択および使用は当業者の技術範囲内である。
【0084】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、その二次被覆組成物には、1種または複数のスリップ添加剤が含まれる。好適なスリップ添加剤としては、DC−190およびDC−57が挙げられる。DC−190とDC−57とのブレンド物を使用するのが最も好ましい。DC−57は、ジメチル、メチル(プロピル(ポリ(EO))アセテート)シロキサン;CAS登録番号70914−12−4である。DC−190は、(a)約40.0〜約70.0重量%のジメチル,メチル(プロピル(ポリ(EO)(PO))アセテート)シロキサン;CAS登録番号68037−64−9;(b)約30.0〜約60.0重量%のポリ(エチレンオキシドプロピレンオキシド)モノアリルエーテルアセテート;CAS登録番号56090−69−8;(c)約9.0重量%未満のポリエーテルポリオールアセテート;CAS登録番号39362−51−1の混合物である。DC−57およびDC−190は、ダウ・コーニング(Dow Corning)から商業的に入手可能である。
【0085】
本発明の二次被覆組成物の一つの好ましい実施態様においては、放射線硬化性二次被覆のそれぞれの成分の重量パーセントが下記の通りである。
【0086】
【表3】

【0087】
本発明の特許請求の範囲に記載の二次被覆組成物のより好ましい実施態様は下記の通りである。
【0088】
【表4】

【0089】
市販の一次被覆を見出したら、光ファイバの表面上に直接それを適用してよい。放射線硬化性一次被覆は、光ファイバのために市販されている放射線硬化性一次被覆であれば何であってもよい。そのような市販されている放射線硬化性一次被覆は、DSM・デソテック・インコーポレーテッド(DSM Desotech Inc.)その他(たとえば、ヘキシオン、ルバンティックス(Luvantix)およびファイケム(PhiChem)などであるが、これらに限定される訳ではない)から入手可能である。
【0090】
一次被覆を適用した後に、その一次被覆の上に二次被覆を適用し、放射線を照射して、その二次被覆を硬化させる。本発明の特許請求の範囲に記載のものを二次被覆として適用する場合には、照射のタイプとしてはUVが好ましい。
【0091】
線引は、ウェットオンドライ・モードまたはウェットオンウェット・モードのいずれかを用いて実施する。ウェットオンドライ・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで放射線を照射してその液状の一次被覆を硬化させて線材上の固体層とすることを意味している。一次被覆を硬化させた後に、二次被覆を適用し、次いで同様にして硬化させる。ウェットオンウェット・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで二次被覆をウェットで適用し、次いで一次被覆と二次被覆の両方を硬化させる。
【0092】
二次被覆が着色せずにクリアであるならば、インキ被覆層をその上に適用してもよい。二次被覆が着色しているならば、インキ被覆層は、典型的には二次被覆の上には適用しない。インキ被覆が適用されるか否かに関わらず、複数の被覆されたファイバを隣り合わせてリボンアセンブリーの中に並べ、それに対して放射線硬化性マトリックス被覆を適用して、複数のファイバをそのリボンアセンブリーの中で所定の位置に固定するのが、一般的な方法である。
【0093】
二次被覆を硬化させた後で、典型的には、「インキ被覆」層を適用し、次いでその被覆されインキ付着された光ファイバを、他の被覆されインキ付着された光ファイバと「リボンアセンブリー」の中で、隣り合わせに並べ、放射線硬化性マトリックス被覆を使用して、それらの光ファイバをリボンアセンブリーの中の所望の位置に固定する。
【0094】
[二次被覆の性質]
本発明によるコーティング組成物から製造された二次被覆は、光ファイバを被覆するために適した、たとえば弾性率、靱性および伸びのような性質を有しているのが望ましい。二次被覆は、典型的には、約12J/mより大の靱性と、約1500MPa未満の割線弾性率と、約50℃よりも高いTとを有している。好ましくは、二次被覆が、約14J/mより大の靱性と、約200MPa〜約1200MPaの割線弾性率と、約60℃よりも高いTとを有する。より好ましくは、二次被覆が、約16J/mより大の靱性と、約400MPa〜約1000MPaの割線弾性率と、約70℃よりも高いTとを有する。二次被覆が、約30%〜約80%の伸びを有しているのが好ましい。さらに、好ましくは、85℃、相対湿度85%で60日間のエージングさせたときに、二次被覆が約20%以下の平衡弾性率変化を示す。
【0095】
本発明によるコーティング組成物から製造された二次被覆が、光ファイバを被覆するために適した油感受性および/または水感受性を有しているのが望ましい。典型的には、二次被覆は、約10%以下の油感受性と、約10%以下の水感受性とを有するであろう。好ましくは、二次被覆は、約5%以下の油感受性と、約5%以下の水感受性とを有するであろう。
【0096】
弾性率は、公知のように、応力の関数としての歪みの変化率である。これは、グラフ的には、応力−歪み図の直線部分の勾配として表される。弾性率は、サンプルの応力−歪み曲線を得るのに適した各種の装置を使用して求めることができる。この分析に好適な装置としては、インストロン・インコーポレーテッド(Instron,Inc.)によって製造された、たとえばインストロン(Instron)5564が挙げられる。
【0097】
本発明によるコーティング組成物の弾性率を求める場合には、放射線硬化性組成物のサンプルを、プレート上で延伸させて薄膜を作るか、あるいは円筒状の型を用いてロッドを形成させる。次いでそのサンプルを、照射線に暴露させて硬化させる。一つ(または、平均値が望ましい場合には複数の)膜サンプルを、その硬化させた膜から切り出す。その(一つまたは複数の)サンプルには、顕著な欠陥たとえば、孔、ぎざぎざの縁、実質的な厚みの不均一などがあってはならない。ついで、サンプルの両端を装置に取り付ける。試験の際には、サンプルの第一の末端は固定し、装置が第二の末端を、第一の末端から遠ざかる方向へ、クロスヘッド速度と呼ばれる速度で移動させる。クロスヘッド速度は、最初は1インチ/分に設定すればよいが、特定のサンプルでは、その速度が不適当である(たとえば、高弾性率の膜が、受容可能な応力−歪み曲線が得られるより前に破断してしまうような)ことがわかったら、変更してもよい。設定が完了したら、試験を開始して、応力−歪み曲線、弾性率その他のデータを得る。
【0098】
靱性はいくつかの方法で測定することができるということに注目するのが重要である。一つの方法には靱性の引張弾性率が含まれるが、これは、破断点までの間にその材料がエネルギーを吸収する能力をベースとするものであって、応力−歪み曲線より下の部分の面積を測定することによって求められる。靱性を測定するためのまた別な方法は、引き裂き強さをベースとする破壊靱性であって、それでは、所定の、ある長さの極めてシャープなクラックを使用して開始することを必要とし、亀裂生長に対するその材料の抵抗性から得られる臨界応力拡大係数を使用する。
【0099】
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明がそれらによって限定される訳ではない。
【0100】
[実施例]
以下の実施例で使用される略称は、下記の意味を有する:
・A−189は、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを表す。
・TDIは、トルエンジイソシアネートを表す。
・IPDIは、イソホロンジイソシアネートを表す。
・HHPAは、ヘキサヒドロ無水フタル酸を表す。
・MHHPAは、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を表す。
・SAは、無水コハク酸を表す。
・PAは、無水フタル酸を表す。
・MAは、無水マレイン酸を表す。
・DDSAは、ドデシニル無水コハク酸を表す。
・OSAは、オクテニル無水コハク酸を表す。
・エポン825は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリンを表す。
・エポン828は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリンを表す。
・YD−126は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリンを表す。
・シンファク(SynFac)8015は、プロポキシル化ビスフェノールA(15モルPO)を表す。
・フォトマー3016は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリレートとから誘導されるエポキシアクリレート(TPGDA、TMPTO、またはGPTA)を表す。
・カデュラ(Cadura)E−10は、バーサチック酸モノグリシジルエーテルを表す。
・VAMEは、バーサチック酸モノグリシジルエーテルを表す。
・12OHは、12−ヒドロキシステアリン酸を表す。
・TEGは、トリエチレングリコールを表す。
・HEAは、ヒドロキシエチルアクリレートを表す。
・PPA6は、ポリプロピレングリコールモノアクリレートを表す。
・TPGMAは、トリプロピレングリコールモノアクリレートを表す。
・TPGDAは、トリプロピレングリコールジアクリレートを表す。
・SR−306は、トリプロピレングリコールジアクリレートを表す。
・SR−349は、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートを表す。
・SR−351は、トリメチロールプロパントリアクリレートを表す。
・SR−444は、ペンタエリスリトールトリアクリレートを表す。
・SR−495は、ポリカプロラクトンアクリレートアルコールを表す。
・SR−504は、エトキシル化ノニルフェノールアクリレートを表す。
・フォトマー4003Gは、エトキシル化ノニルフェノールアクリレートを表す。
・フォトマー4028は、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートを表す。
・フォトマー4061は、トリプロピレングリコールジアクリレートを表す。
・フォトマー4066は、エトキシル化ノニルフェノールアクリレートを表す。
・フォトマー4006は、トリメチロールプロパントリアクリレートを表す。
・フォトマー4072は、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを表す。
・CN−120Zは、ビスフェノールAベースのエポキシジアクリレートを表す。
・イルガキュア819は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドを表す。
・イルガノックス1035は、チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)を表す。
・イルガキュア184は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを表す。
・TPOは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを表す。
・TPPは、トリフェニルホスフィンを表す。
・DABCOは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを表す。
・DBTDLは、ジブチルスズジラウレートを表す。
・IPAは、イソフタル酸を表す。
・プリポール1006は、ジカルボキシリックダイマー脂肪酸を表す。
・エムポール(EMPOL)1004は、C18脂肪酸の二量化により製造される水素化ダイマー酸を表す。
・BHTは、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを表す。
・テレフレックス(Tereflex)85は、ポリエステル樹脂を表す。
・ウララック(Uralac)P5525は、カルボキシ末端ポリエステルを表す。
・MPジオールは、2−メチル−1,3−プロパンジオールを表す。
・P710は、ポリプロピレングリコール(MW=700g/mol)を表す。
・P1010は、ポリプロピレングリコール(MW=1000g/mol)を表す。
・P2010は、ポリプロピレングリコール(MW=2000g/mol)を表す。
・P1044は、ポリプロピレングリコール(MW=4000g/mol)を表す。
【0101】
本発明によるアルファオリゴマーは、たとえば、35℃の融点/凝固点を有するヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)を使用して調製することができるので、ホットボックス中で加熱してそれを液体とすることができる。アルファオリゴマーは、以下の順で添加される3種のモノマーの混合物から調製することができる:第一に、BHT(アクリレート重合防止剤)、溶融HHPA、そしてヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)を組み合わせて、約110℃の設定温度にまで加熱する。第二に、約1時間後、その混合物の酸価が約205meqKOHになったときに、エポキシ含有化合物、エポン825(エポン)を、トリフェニルホスフィンおよびDABCO触媒と共に添加する。最後に、約10〜14時間後、その混合物の酸価が5.0meqKOH未満になったら、反応生成物を反応物から回収する。その反応生成物は、下記の理論構造を有していると考えられる:
HEA−HHPA−エポン−HHPA−HEA.
【0102】
酸価(AV)は次のようにして測定する:約2グラムのサンプルを、50mLのイソプロピルアルコールと混合した50mLのアセトンの中に溶解させる。その混合物を、メタノール中0.1M水酸化カリウム標準溶液(KOH/MeOH)中で、5分間撹拌してから、電位差滴定する。ブリンクマン(Brinkmann)751タイリノ・タイトレーター(Tirino Titrator)を用いて、両方の酸価(AV1(pK≦2を有する酸の酸価)、およびAV2(pK>2を有する酸価))を自動で求める。
【0103】
本発明によるその他のアルファオリゴマーを、分子量を変化させるための連鎖延長剤を使用して調製することができる。たとえば、アクリレート(たとえば、HEA)、無水物化合物(たとえば、HHPA)、および/または12−ヒドロキシステアリン酸(12OH)および/またはポリオール(たとえば、ポリプロピレングリコールまたは「PPG」)を、アクリレート重合防止剤としてのBHTと共に反応器の中で組み合わせる。パージ空気を使用して、BHTの更新を行わせて、その重合防止剤としての活性を維持させる。その反応混合物を徐々に加熱して80℃とすると、その時点で、無水物が、HEAのヒドロキシル基と反応するか、または12−ヒドロキシステアリン酸の酸基と反応して開環し、酸末端の誘導体を作るために、穏やかな発熱反応が起き始める。次いで、その反応を冷却や加熱によって調節して、それを約110℃の温度に到達させる。その反応条件を約1時間一定に保つ。その混合物中にPPGのようなポリオールが含まれている場合には、1モルの無水物HPPAが、ポリプロピレングリコールのそれぞれ末端ヒドロキシル基と反応して、二酸末端のプレオリゴマーを生成する。次いで、その混合物に多官能エポキシを添加する。
【0104】
12−ヒドロキシステアリン酸(12OH)誘導体の場合には、その反応生成物は、望ましくは次の理論構造を有する:
[HEA−HHPA]−エポン−[HHPA−12OH]−エポン−[HHPA−HEA]
ポリプロピレングリコール(PPG)誘導体の場合には、その反応生成物は、次の理論構造の混合物を含む:
[HEA−HHPA]−エポン−[HHPA−HEA]、および
[HEA−HHPA]−エポン−[HHPA−PPG−HHPA]−エポン−[HHPA−HEA]
【0105】
連鎖延長剤としてジオールを使用することに加えて、ネオデカン酸のグリシジルエステル(カルデュラ(Cardura)E10、ヘキシオン・スペシャルティ・ケミカルズ販売、バーサチック酸モノグリシジルエステルまたはVAMEとも呼ばれる)を、その反応混合物中に加えることによって、連鎖延長剤として使用する。これによって次の誘導体が得られる:
[HEA−HHPA−VAME−HHPA]−エポン−[HHPA−HEA]
および/または
[HEA−HHPA]−エポン−[HHPA−VAME−HHPA]−エポン−[HHPA−HEA]
【0106】
表1aに、二次被覆組成物において使用するのに好適な本発明による各種のアルファオリゴマー(配合A〜W)を調製するために使用した、無水物、アクリレート、エポキシ1、エポキシ2(もし存在するならば)、連鎖延長剤(もし存在するならば)、触媒1、触媒2、および重合防止剤の重量%量を列記する。それぞれの場合において、特に断らない限り、無水物はHHPAであり、アクリレートはHEAであり、エポキシ1はエポン825であり、触媒1はTPPであり、触媒2はDABCOであり、重合防止剤はBHTである。
【0107】
【表5】

【0108】
表1bに、二次被覆組成物において使用するベータオリゴマーとして好適な各種の従来からのウレタン含有オリゴマー配合(配合AA〜AI)を調製するのに使用した、イソシアネート、アクリレート、連鎖延長剤化合物(もし使用するならば)、触媒、および重合防止剤の重量%量を列記する。それぞれの場合において、特に断らない限り、イソシアネートはTDIであり、アクリレートはHEAであり、触媒はDBTDLであり、重合防止剤はBHTである。
【0109】
【表6】

【0110】
上述のアルファオリゴマーおよびベータオリゴマーを含むコーティング組成物を、以下の実施例に従って調製する。全バッチサイズが50gである場合、25gのアルファオリゴマー配合物A、7.5gのウレタン含有ベータオリゴマー配合物AC、および15.5gのSR−306希釈剤(すなわち、トリプロピレングリコールジアクリレート)を秤量して、100g用のカンに入れる。その混合物を、定期的にハンド撹拌しながら、強制空気循環炉中80℃に加熱して、その混合物を均質にする。次いでその混合物を放冷して70℃未満とし、その時点で、次の粉体を添加する:1.5gのイルガキュア184光重合開始剤、0.25gのチバキュア(Chibacure)TPO光重合開始剤、および0.25gのイルガキュア1035安定剤。得られる混合物を、液体温度70℃になるように調節したホットプレート上で、275rpmで1時間機械的に撹拌する。アルミニウムフォイルを用いてその反応混合物を覆い、迷光があたらぬようにする。
【0111】
表2aに、ベータオリゴマーまたはガンマオリゴマーを存在させない、本発明のアルファオリゴマーを含む二次被覆配合(被覆1〜13)の成分を列記する。そのアルファオリゴマーは表1aに列記したものであり、前述の方法に従って調製したものである。
【0112】
【表7】

【0113】
表2bに、表1aおよび1bに記載の本発明のアルファオリゴマーおよびベータオリゴマーのブレンド物を含み、上述した方法に従って調製した、二次被覆配合(被覆14〜22)の成分を列記する。
【0114】
【表8】

【0115】
表2cに、アルファオリゴマーは含まず、表1bに列記した従来からのウレタン含有ベータオリゴマーのみまたは示されたその他の成分を含む、比較例の二次被覆配合(被覆23〜28)の成分を列記する。
【0116】
【表9】

【0117】
表3に示した比較例26および27は、米国特許第6,707,977B2号明細書の第20カラムの表1において示された試験被覆1および10に従ってそれぞれ調製したものであるが、これらは、市販されている原料を用いて調製した。比較例27にはSR−444を含むが、これは、サートマー・カンパニー(Sartomer Co.)によって市販されているペンタエリスリトールトリアクリレートである。比較例28は、表1aに記したような、硬化パッケージ材料を含む、比較例AHをベースにしたオリゴマーを用いて調製したものである。上の表2a〜2cに示した二次被覆組成物について、硬化後に、弾性率、引張強さ、伸び、引張弾性率、ならびに油感受性および水感受性など、各種の物理的性質の試験を行った。
【0118】
[試験方法]
[弾性率]
弾性率は、動的機械分析(DMA)によって求める。弾性貯蔵弾性率(E’)、粘性損失弾性率(E”)、およびtanデルタ(E”/E’)を、従来のDMA法により測定する。硬化させた材料の独立膜試験片を所定のサイズ(長さ約35mm)に切断し、幅および厚みを測定して、取り付ける。そのサンプルを入れた環境チャンバーを80℃にする。サンプルを延伸させてから、温度スイープを開始させる。温度は、所定のステップで出発温度にまで下げておく。温度スイープを開始させ、温度目盛上で昇温させて、その材料がガラス転移領域を超えて、充分にゴム領域に入るまで続ける。DMA測定器(レオメトリックス・ソリッズ・アナライザー(Rheometrics Solids Analyzer)、RSA−II、パソコン付き)で、コンピュータスクリーン上にデータをプロットさせる。そのプロットから、E’が1,000MPaおよびE’が100MPaとなる温度、さらにはtanδmaxとなる温度を計算させる。ゴム状領域で得られるE’の最小値を測定したものを、平衡弾性率またはゴム領域弾性率として表3に示す。同様にして調製したさらなる試験サンプルを、85℃および相対湿度85%に維持したコントロールチャンバーの中でエージングさせる。そのような条件下で60日間エージングさせた後、一連の試験サンプルを取り出して、上述の動的機械分析手順に従って試験して、平衡弾性率を求める。この値を、エージング前の平衡弾性率と比較し、その結果を、平衡弾性率損失パーセント、すなわち、初期値に対する60日のエージング後での変化として示す。
【0119】
本発明のアルファオリゴマー単独(被覆1〜14)を含む硬化させた二次被覆組成物、アルファオリゴマーをベータオリゴマーと組み合わせたもの(被覆15〜23)、および従来からのウレタンオリゴマーを含む比較例の二次被覆組成物(被覆24〜28)についての弾性率のデータを表3に示す。
【0120】
【表10】

【0121】
【表11】

【0122】
表3に見られる結果からは、本発明のアルファオリゴマーを用いて調製したコーティング組成物が、ウレタンオリゴマーを含むコーティング組成物と同等の、エージング後Tおよび%平衡弾性率変化を有していることが判る。本発明の二次被覆のすべて(被覆1〜23)が50℃よりも高いTを有していることを示している。それらの被覆はさらに、エージング後の平衡弾性率における変化パーセントの項目において、比較例実験に比べて、極めて良好な耐加水分解安定性も示している。
【0123】
[引張強さ、伸びおよび弾性率の試験方法]
光ファイバにおける放射線硬化性二次被覆の引張物性は、万能試験機、インストロンモデル4201を使用して膜について試験し、適切なパソコンとインストロンのソフトウェアを使用して、引張強さ、破断時伸びパーセント、および割線またはセグメント弾性率の値を求める。ロードセルは、2もしくは20ポンドの容量、またはメートル法の相当容量のものである。試験用のサンプルを調製するには、試験するべきそれぞれの材料のドローダウン(硬化膜)は、ガラスプレート上で作成し、UV処理装置を用いて硬化させる。その硬化膜を、23±2℃、相対湿度50±5%で、最低でも16時間コンディショニングさせてから、試験にかける。硬化膜から、幅0.5±0.002インチ、長さ5インチの試験片を最低でも8本切り出す。微小なサンプル欠陥の効果を最小限に抑える目的で、サンプル試験片は、硬化膜のドローダウンを調製した方向と平行に切り出す。硬化膜が指触で粘着性がある場合には、綿棒を使用して少量のタルクを膜の表面に付ける。
【0124】
次いで試験片を、基材から外す。基材から外す際に、試験片に対して、それらの弾性限界を超えた延伸をかけないように注意する。基材から外す際に、サンプル長さに幾分かでも変化が認められるような場合には、その試験片は廃棄する。粘着性を防止する目的で膜の上側表面をタルクで被覆している場合には、基材から外した後に、試験片の下側表面にも少量のタルクを付けておく。
【0125】
試験片の平均厚みを、マイクロメーターを用いて求める。試験する領域(上から下まで)で少なくとも5点で膜の厚みの測定を行い、その平均値を用いて計算する。膜の厚みの測定値のいずれかで、平均値から相対的に10%を超える偏差がある場合には、その試験片は廃棄する。膜の幅も同様に測定する。引張物性を得るためには、同一のプレートから得られたすべての試験片、そして少なくとも6本の試験片が必要である。較正および標準化を行ってから、それぞれの試験片について、上側空気圧グリップの間の空間にそれをぶら下げ、試験片が横からみて中央にあり、垂直に垂れているようにして、試験する。上側グリップ(のみ)をロックする。試験片の下端を、ゆるみやしわがないように引っ張り、それが開いている下側グリップの間の空間に横からみて中央に位置させる。この位置に試験片を保持しながら、下側グリップをロックする。
【0126】
ソフトウェアパッケージの指示書に従って、サンプル番号とサンプルの寸法をデータシステムに入力する。次いで、インストロン装置を用いてそのサンプルの引張測定を実行する。他の試験片についても、この手順を繰り返す。進行中のドローダウンからの最後の試験片を試験した後に、温度と湿度を測定する。引張物性の計算は、ソフトウェアパッケージによって自動的に実施される。引張強さ、%伸び、および割線弾性率の値をチェックして、それらの内の一つでも平均値から大きく偏った「異常値」でないかどうかを確認する。必要があれば、この手順を繰り返す。靱性の測定は、破断点までの間にその材料がエネルギーを吸収する能力をベースに計算するが、それは、応力−歪み曲線より下の部分の面積を測定することによって求められる。
【0127】
硬化させた二次被覆の引張物性は、米国特許第6,862,392号明細書に記載されている方法に従って、ロッドについて試験する(この特許を参照により本明細書に援用する)。ロッドは、エラストマー性のクリアなシリコーンゴムチューブにコーティング組成物を充填し、フュージョン(Fusion)UV処理機を用いて調製する。フュージョンUV処理機の設定値は以下のとおりである:
ランプ:D
強度:120W/cm
強度メーター:IL390
線量:1.0J/cm
雰囲気:窒素
湿度50%におけるコンディショニング時間:16〜24時間
組成物を、窒素パージ下に、Dランプから1ジュールのUV照射に暴露させる。
【0128】
そのチューブを180度回転させることができれば、アルミニウムフォイルの上でチューブを硬化させる必要はない。そのチューブが180度の回転ができないのであれば、アルミニウムフォイルの上でチューブを硬化させる。
【0129】
チューブからロッドを回収するには、ロッドの末端からチューブを穏やかに引出し、そのチューブの中空になった部分をカミソリの刃で切断する。次いでピンセットを使用してロッドの端をつかみ、チューブをロッドからゆっくりと抜き出す。
【0130】
本発明のアルファオリゴマー単独を含む二次被覆組成物(被覆1〜14)、本発明のアルファオリゴマーとベータオリゴマーとを組み合わせたもの(被覆15〜23)、および従来からのウレタンオリゴマーを含む比較例の二次被覆組成物(被覆24〜28)についての、引張強さ、伸び、引張弾性率、靱性、Emax、および粘度を、表4に示す。
【0131】
【表12】

【0132】
表4に示した結果から、本発明のアルファオリゴマーを用いて調製したコーティング組成物は、ウレタンオリゴマーを含むコーティング組成物と同等の靱性、割線弾性率、および伸びを有していることが判る。本発明の二次被覆のほとんど全部が、12J/mより大の靱性、1500MPa未満の割線弾性率、および30〜80%の間の伸びを有していることが判る。
【0133】
[UV硬化材料の動的油感受性の測定方法]
それぞれのサンプルの油感受性を、ASTM D570(プラスチックスの水吸収性標準試験方法)を用いて測定するが、これには、UV硬化被覆の最大油吸収パーセントおよび油抽出可能物質の総量を測定するための手順、さらには油に暴露させたときのUV硬化被覆における寸法変化を測定するための手順が記載されている。サンプルは以下の工程で調製する:(1)試験対象物質ごとに一つの、150ミクロン(6ミル)の膜厚みでドローダウンを調製する工程;(2)フュージョンDバルブを使用し、窒素不活性化で1.0J/cmの暴露をさせて、その膜を硬化させる工程;(3)片刃のカミソリを使用して、その硬化膜の中から、3本の約7.5cm×3.8cmのサンプル試験片を切り出す工程;(4)それぞれの試験片の一つの角に約2mm×2mmの小さなノッチを切り込んで、実験の間は終始同一の側面において寸法変化が起きるようにする工程;(5)それら3本のサンプル試験片を載せたガラスプレートを60℃のオーブン(60℃±3℃に維持可能)中に1時間入れておく工程;(6)ガラスプレートおよびサンプルをオーブンから取り出し、それらをデシケーター(R.H.20%未満に維持可能)の中に15分間入れておく工程;および(7)そのデシケーターの相対湿度を記録する工程。それぞれのサンプルの油感受性は、以下の工程により測定する:(1)3枚のパイレックス(Pyrex)ペトリ皿(100mm×20mm、パイレックスカバー蓋つき)のそれぞれの中に125mL(4オンス)の軽質白色鉱油を入れ、温度を23±2℃に維持する工程;(2)それぞれの試験片の長さと幅を、1mmの増分目盛のある定規を使用して、0.1mmの桁まで測定する工程;(3)粘着を防止するために波形模様をつけたテフロン(Teflon)紙を使用して、分析用天秤(精度0.1mg)でそれぞれのサンプル試験片を0.1mgの桁まで測定する工程;(4)それぞれの試験片を、ケーブルゲルのペトリ皿の一つの中に入れる工程;(5)30分間経過した後に、ピンセット(長さ約15〜20cm)を使用して、一度に一つずつサンプルを取り出して、拭いティッシュー(吸収材、低リントの拭いティッシュー)の上で吸い取らせる工程;(6)それらのサンプルの長さと幅を再測定する工程;(7)サンプルを再秤量し、それらを、それらそれぞれのペトリ皿の中に戻す工程。上の1、3、6に記載したようにして、取り出し、測定および秤量の工程を、24時間後、7日後および14日後に繰り返した。21日後に、それらのサンプルを再測定および再秤量してから、ガラスプレートの上において、60℃のオーブンの中に1時間入れる。次いでそれらのサンプルをオーブンから取り出し、デシケーターの中に15分間入れておき、その時間が経過した後に相対湿度を記録し、先と同様にしてサンプルの測定と秤量を行う。それぞれの時間経過での、重量変化パーセントおよび寸法変化パーセントを求め、それぞれの数値の組の平均をとる。最大油吸収パーセントは、最大の、正の平均重量変化パーセントである。それぞれのサンプルにおける油抽出可能物パーセントは、最初と21日後の乾燥重量の差を、最初の乾燥重量で割って、100を掛けることによって求める。総合油感受性は、最大油吸収パーセントとパーセントケーブルゲル抽出可能物との絶対値の合計である。
【0134】
[UV硬化材料の動的水感受性の測定方法]
それぞれのサンプルの動的水感受性を、ASTM D570−81(プラスチックスの水吸収性標準試験方法)を用いて測定するが、これには、UV硬化被覆の最大水吸収パーセントおよび水抽出可能物質の総量を測定するための手順が記載されている。サンプルは以下の工程で調製する:(1)試験対象物質ごとに一つの、150ミクロン(6ミル)の膜厚みでドローダウンを調製する工程;(2)フュージョンDバルブを使用し、窒素不活性化で1.0J/cmの暴露をさせて、その膜を硬化させる工程;(3)片刃のカミソリを使用して、その硬化膜の中から、3本の約3cm×3cmのサンプル試験片を切り出す工程;(4)それら3本のサンプル試験片を載せたガラスプレートを60℃のオーブン(60℃±3℃に維持可能)中に1時間入れておく工程;(5)ガラスプレートおよびサンプルをオーブンから取り出し、それらをデシケーター(R.H.20%未満に維持可能)の中に15分間入れておく工程;および(6)デシケーターの相対湿度および温度を記録する工程。動的水感受性は、以下の工程により測定する:(1)125mL(4オンス)の脱イオン水または蒸留水を125mL(4オンス)のねじ蓋つきのガラス容器の中に入れ、温度を23±2℃に維持する工程;(2)粘着を防止するために波形模様をつけたテフロン紙を使用して、分析用天秤(0.0001gまでの読み取り可能)でそれぞれのサンプル試験片を秤量し、それぞれの試験片を水容器の一つに入れる工程;(3)30分間経過した後に、ピンセット(長さ約15〜20cm)を使用して、一度に一つずつサンプルを取り出して、拭いティッシュー(吸収材、低リントの拭いティッシュー)の上で吸い取らせる工程;(4)上述のようにしてそれらのサンプルを再秤量し、それらをそれぞれの容器に戻す工程;(5)1、2、6でのサンプルの取り出しと再秤量を、24時間、7日および14日に繰り返す工程;(6)21日に、上述のようにしてサンプルを再秤量し、それらをガラスプレート上にのせて、60℃のオーブンに1時間入れておく工程;(7)オーブンからサンプルを取り出して、それらをデシケーターの中に15分間入れておく工程;および(8)デシケーターのR.H.および温度を記録し、前と同様にしてサンプルを再秤量する工程。それぞれの時間間隔における重量変化パーセントを求め、それらの数値の平均をとる。最大水吸収パーセントは、最大の、正の平均重量変化パーセントである。それぞれのサンプルにおける水抽出可能物パーセントは、最初と21日後の乾燥重量の差を、最初の乾燥重量で割って、100を掛けることによって求める。総合水感受性は、最大水吸収パーセントとパーセント水抽出可能物との絶対値の合計である。
【0135】
本発明のいくつかの硬化させた二次被覆組成物(被覆1、2、14、18、および23)および比較例のコーティング組成物(被覆28およびDS2002)の油感受性および水感受性のデータを表5に示す。
【0136】
【表13】

【0137】
[線引タワーシミュレーター]
光ファイバ被覆開発の初期の頃には、新規に開発された一次および二次被覆はすべて、最初にそれらの硬化膜の物性についての試験を行ってから、ファイバ線引タワーでの評価にかけていた。線引を要求された被覆全部の中から、線引タワーで試験されたのは多くともそれらの30%であったと推測されるが、その理由は、コストがかかることと、スケジュール調整が困難であったためである。被覆が最初に配合されたときからガラスファイバに適用されるまでの時間は、典型的には約6ヶ月であり、そのために製品開発サイクルが大いに遅れることとなった。
【0138】
光ファイバのための放射線硬化させた被覆の技術においては、一次被覆または二次被覆のいずれかをガラスファイバに適用したときに、その性質が、同一の被覆の硬化膜のフラットな膜特性とは異なっていることが多いのは、よく知られていることである。ファイバ上の被覆とフラットな膜の被覆とでは、サンプルサイズ、形状、暴露UV強度、UV全受光量、加工速度、基材の温度、硬化温度、および場合によっては窒素不活性条件の面で異なっていることがその理由であろうと考えられる。
【0139】
より信頼性の高い被覆開発のルートとより速やかな展開時間とを可能とするための、ファイバを製造する際に類似の硬化条件を与える装置が開発されてきた。このタイプの代替の塗布および硬化装置では、容易に使用できること、メンテナンスの手間がかからないこと、および再現性のある性能が得られることが必要とされた。その装置の名前が、「線引タワーシミュレーター」であり、以後においては「DTS]と略す。線引タワーシミュレーターは、自家用に設計したものであって、実際のガラスファイバ線引タワー要素を詳しく検討した上で製作されている。すべての寸法(ランプの位置、被覆ステージの間の距離、被覆ステージの間のギャップ、UVランプなど)は、ガラスファイバ線引タワーの再現となっている。このことは、ファイバ線引産業において使用されている加工条件を模倣するのに役立っている。
【0140】
一つの公知のDTSには、5個のフュージョンF600ランプ(2個は、上側被覆ステージ用、3個は下側用)が備えられている。それぞれのステージの第二のランプが、15〜135度の間の任意の角度で回転することが可能となっていて、硬化プロフィールをより詳しく検討することが可能となっている。
【0141】
公知のDTSで使用されている「コア」は、130.0±1.0μmのステンレス鋼線材である。各種のサプライヤーからの、各種の設計のファイバ線引アプリケーターが、評価に利用できる。この構成によって、工業的な生産現場に実在しているのと類似の条件で、光ファイバ被覆に適用することが可能となる。
【0142】
線引タワーシミュレーターはすでに、光ファイバ上の放射線硬化性被覆の解析を拡張するために使用されている。2003年には、被覆の強さ、硬化度、および各種環境下におけるファイバの性能を表すのに利用することができる、一次被覆のインサイチュ弾性率を測定するための方法が、P.A.M.スティーマン(P.A.M.Steeman)、J.J.M.スロット(J.J.M.Slot)、H.G.H.ファン・メリック(H.G.H.van Melick)、A.A.F.v.d.ベン(A.A.F.v.d.Ven)、H.カオ(H.Cao)およびR.ジョンソン(R.Johnson)によって、ザ・プロシーディングズ・オブ・ザ・52nd・IWCS(Proceedings of the 52nd IWCS)、p.246(2003)に報告されている。2004年には、スティーマン(Steeman)らが、より早い線引速度での被覆の加工性を予測するために、レオロジー的高剪断プロファイルをいかに使用することができるかについて報告している(P.A.M.スティーマン(P.A.M.Steeman)、W.ゾエテリエフ(W.Zoetelief)、H.カオ(H.Cao)、およびM.ブルタース(M.Bulters)、ザ・プロシーディングズ・オブ・ザ・53rd・IWCS(Proceedings of the 53rd IWCS)、p.532(2004))。線引タワーシミュレーターを使用して、光ファイバ上の一次および二次被覆の性質をさらに検討することができる。
【0143】
それらの試験方法は、線材上の二次被覆または光ファイバ上の被覆に対して有用である。
【0144】
[%RAU二次試験方法]
光ファイバ上の外側被覆の硬化度は、ダイヤモンドATRアクセサリーを使用したFTIRによって求める。FTIR装置パラメータは次の通りである:コアッデッドスキャン100、解像度4cm−1、DTGS検出器、スペクトル範囲4000〜650cm−1、信号対ノイズ比を改良する目的でデフォルトのミラー速度を約25%抑制。ファイバ上の被覆に相当する未硬化の液状被覆のスペクトルと、ファイバ上の外側被覆のスペクトルの、2種のスペクトルが必要である。液状の被覆のスペクトルは、被覆を用いてダイヤモンド表面を完全に覆った後で得られる。その液状物は、可能であるならば、ファイバを被覆するために用いたのと同一のバッチとするべきであるが、最低限の条件としても、同一の配合物でなければならない。スペクトルの最終的なフォーマットは、吸光度とするべきである。
【0145】
ファイバをダイヤモンドの上に載せ、そのファイバに充分な圧力を加えて、定量分析に適したスペクトルが得られるようにする。スペクトル強度を最大とするためには、ファイバを、ダイヤモンドの中心部分に、赤外光線の方向と平行になるように置くべきである。単一のファイバでは充分な強度が得られないような場合には、2〜3本のファイバを相互に平行に、できるだけ接近させて、ダイヤモンドの上に載せてもよい。スペクトルの最終的なフォーマットは、吸光度とするべきである。
【0146】
液状物および硬化させた被覆のいずれの場合においても、アクリレートの二重結合ピーク(810cm−1)と参照ピーク(750〜780cm−1領域)の両方のピーク面積を測定する。ピーク面積はベースライン法を用いて測定するが、それには、ピークの両側の吸収極小に対して接線となるようにベースラインを選ぶ。次いで、ピークより下でベースラインより上の面積を求める。液状物と硬化させたサンプルではその積分限界が同一ではないが、(特に参照ピークでは)似たようなものである。
【0147】
液状物と硬化させたサンプルの両方について、アクリレートのピーク面積の参照ピーク面積に対する比を求める。反応したアクリレート不飽和パーセント(%RAU)として表される硬化度は、次式に従って計算する:
【数1】


[式中、Rは、液状サンプルの面積比であり、Rは硬化させた外側被覆の面積比である]
【0148】
[二次被覆のインサイチュ弾性率試験方法]
二重被覆された(ソフトな一次被覆およびハードな二次被覆)ガラスファイバまたは金属線材ファイバ上の二次被覆のインサイチュ弾性率をこの試験方法によって測定する。サンプルを調製するためには、ファイバから完全な被覆チューブとして長さ約2cmの被覆層を被覆されたファイバの一端から剥離させるために、まず被覆されたファイバの一端を剥離用工具と共に液体Nの中に少なくとも10秒間浸漬させ、次いで、その被覆層がまだ硬いうちに素早く被覆チューブを剥離させる。DMA(動的機械分析)装置:レオメトリックス・ソリッズ・アナライザー(RSA−II)を用いて二次被覆の弾性率を測定する。二重被覆されたファイバでは、二次被覆の方が一次被覆よりもはるかに高い弾性率を有しているので、被覆チューブで得られた動的引張試験結果における一次被覆からの寄与は無視することが可能である。RSA−IIでは、二つのグリップの間の距離の調節に限界があるので、その被覆チューブサンプルは、二つのグリップの間の距離よりも短くてもよい。ねじによって開口端に折り曲げて固定された金属プレートで作られた単純なサンプル支持具を使用して、被覆チューブサンプルを下端からしっかりと保持する。その固定物を下側グリップの中央までスライドさせ、グリップを固定する。ピンセットを使用して、その被覆チューブを上側グリップを通して直立位置にまでまっすぐにする。上側グリップを閉じて固定する。プリテンションが約10gになるまで、歪みオフセットを調節する。
【0149】
試験は室温(約23℃)で実施する。DMAの動的引張試験モード下においては、その試験周波数を1.0ラジアン/秒に設定し、歪みは5E−4である。形状のタイプは円筒を選択する。サンプル長さは、金属固定物の上端と下側グリップのとの間の被覆チューブの長さであって、本願発明者らの試験においては11mmである。次式に従って、その直径(D)は0.16mmと入力する:
【数2】


[式中、RとRはそれぞれ、二次被覆と一次被覆の外半径である]標準的なファイバの形状としては、R=122.5μm、R=92.5μmを用いて計算する。動的時間スイープを行わせ、引張貯蔵弾性率Eについて5点のデータポイントを記録させる。報告しているEは、全部のデータポイントの平均値である。次いで、このようにして測定された弾性率Eに実際のファイバ形状で使用される補正係数をかけて補正する。その補正係数は、
【数3】


である。ガラスファイバの場合、RおよびRの値を含む実際のファイバ形状は、PK2400ファイバ・ジオメトリー・システム(Fiber Geometry System)により測定する。線材のファイバの場合には、RおよびRは顕微鏡下で測定する。報告しているEは、三つの試験サンプルの平均値である。
【0150】
[一次および二次被覆のインサイチュT測定の試験方法]
二重被覆されたガラスファイバ上、または金属線材ファイバ上の一次および二次被覆のガラス転移温度(T)は、この方法により測定する。それらのガラス転移温度は、「チューブTg」と呼ばれる。
【0151】
サンプルを調製するためには、ファイバから完全な被覆チューブとして長さ約2cmの被覆層を被覆されたファイバの一端から剥離させるために、まず被覆されたファイバの一端を剥離用工具と共に液体Nの中に少なくとも10秒間浸漬させ、次いで、その被覆層がまだ硬いうちに素早く被覆チューブを剥離させる。
【0152】
DMA(動的機械分析)装置:レオメトリックス・ソリッズ・アナライザー(RSA−II)を使用。RSA−IIの場合、RSAIIの二つのグリップの間のギャップは最大で1mmまで拡張することができる。そのギャップは、歪みオフセットを調節することによって、まず最小レベルに調節する。ねじによって開口端に折り曲げて固定された金属プレートで作られた単純なサンプル支持具を使用して、被覆チューブサンプルを下端からしっかりと保持する。その固定物を下側グリップの中央までスライドさせ、グリップを固定する。ピンセットを使用して、その被覆チューブを、上側グリップを通して直立位置にまでまっすぐにする。上側グリップを閉じて固定する。オーブンを閉じ、温度調節媒体としての液体窒素を用いて、二次被覆のためのTよりも高い値かまたは100℃にオーブン温度を設定する。オーブン温度がその温度に到達したら、歪みオフセットを調節して、プリテンションが0g〜0.3gになるようにする。
【0153】
DMAの動的温度ステップ試験では、試験周波数を1.0ラジアン/秒に設定し、歪みが5E−3であり、温度の増分が2℃であり、保持時間(soak time)が10秒である。形状のタイプは円筒を選択する。形状の設定は、二次インサイチュ弾性率試験で使用したものと同じであった。サンプル長さは、金属固定物の上端と下側グリップのとの間の被覆チューブの長さであって、本願発明者らの試験においては11mmである。次式に従って、その直径(D)は0.16mmと入力する:
【数4】


[式中、RとRはそれぞれ、二次被覆と一次被覆の外半径である]標準的なファイバの形状としては、R=122.5μm、R=92.5μmを用いて計算する。
【0154】
動的温度ステップは、出発温度(今回の試験では100℃)から一次被覆のTまたは−80℃より低い温度までの間で実施する。実験の後で、tanδ曲線からのピークを、一次被覆のT(低い方の温度に相当)および二次被覆のT(高い方の温度に相当)として報告する。注意すべきは、測定されたガラス転移温度、特に一次ガラス転移温度は、ファイバ上の被覆層のガラス転移温度の相対的な値と考えるべきであるということであるが、その理由は、被覆チューブの複雑な構造からのtanδのシフトがあるからである。
【0155】
[線引タワーシミュレーター実施例]
市販されている放射線硬化性一次被覆を配置する。先に説明したように、放射線硬化性一次被覆は、光ファイバのための市販されている放射線硬化性一次被覆であれば何であってもよい。そのような市販されている放射線硬化性一次被覆は、DSM・デソテック・インコーポレーテッド(DSM Desotech Inc.)その他(たとえば、ヘキシオン、ルバンティックス(Luvantix)およびファイケム(PhiChem)などであるが、これらに限定される訳ではない)から入手可能である。
【0156】
市販されている一次被覆および本発明の特許請求の範囲に記載の二次被覆の各種の実施態様を、線引タワーシミュレーターを用いて線材に適用する。線材は、5種類の速度、750メートル/分、1200メートル/分、1500メートル/分、1800メートル/分、および2100メートル/分で走らせる。
【0157】
線引は、ウェットオンドライ・モードまたはウェットオンウェット・モードのいずれかを用いて実施する。ウェットオンドライ・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いでその液状の一次被覆を硬化させて線材上の固体層とすることを意味している。一次被覆を硬化させた後に、二次被覆を適用し、次いで同様にして硬化させる。ウェットオンウェット・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで二次被覆をウェットで適用し、次いで一次被覆と二次被覆の両方を硬化させる。
【0158】
市販されている放射線硬化性一次被覆および本発明の特許請求の範囲に記載の二次被覆の組成物を用いて、複数の実験を行う。
線引タワーシミュレーターの設定条件:
・ツァイデル(Zeidl)ダイを使用する。1度用にはS99、2度用にはS105。
・750、1000、1200、1500、1800、および2100m/分の速度とする。
・ウェットオンドライプロセスでは5個のランプを使用、ウェットオンウェットプロセスでは3個のランプを使用する。
(2)1度被覆では、600W/inのDフュージョンUVランプを100%で使用する。
(3)2度被覆では、600W/inのDフュージョンUVランプを100%で使用する。
・2回の被覆のための温度は30℃である。ダイもまた30℃に設定する。
・二酸化炭素レベルは、それぞれのダイで7リットル/分である。
・窒素レベルは、それぞれのランプで20リットル/分である。
・1度被覆のための圧力は、25m/分で1バールであるが、1000m/分では3バールまで上げる。
・2度被覆のための圧力は、25m/分で1バールであるが、1000m/分では4バールまで上げる。
【0159】
線材の上で硬化させた二次被覆について、初期%RAU、初期インサイチュ弾性率、および初期チューブTgについての試験をする。次いで被覆された線材を、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせる。次いで、線材の上で硬化させた二次被覆について、%RAU、インサイチュ弾性率、およびチューブTgについての試験をする。
【0160】
線材の上で硬化された放射線硬化性二次被覆は、以下の性質を有していることが判った。
【0161】
【表14】

【0162】
したがって、第一および第二の層を用いて被覆された線材を記述し特許請求することが可能であるが、ここでその第一の層が、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、その第二の層が、その一次被覆の外側表面と接触状態にある、特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0163】
この配合物を使用すると、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバを記述し特許請求することが可能であるが、ここで、その第一の層が、その光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、その第二の層が、その一次被覆の外側表面と接触状態にある、特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0164】
本明細書に引用された、公刊物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、それぞれの文献が個別にかつ具体的に参照することにより本明細書に組み入れられ、その内容全てに言及されているのと同じ程度に、参照により本明細書に援用されたものとする。
【0165】
本発明を記述する文脈においては(特に添付の特許請求の範囲の文脈においては)、不定冠詞の「a」および「an」ならびに定冠詞の「the]ならびに類似の指示語は、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、単数と複数の両方を包含するものと受け取るべきである。「comprising」、「having」、「including」、および「containing」という用語は、特に断らない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、それらに限定される訳ではない」ことを意味する)と受け取るべきである。本明細書において数値の範囲を示す場合には、本明細書において特に断らない限り、その範囲内に入るそれぞれ個別の数値を引用することの単に簡便法として使用しているものであって、それぞれの個別の数値が、本明細書において独立して引用されたかのごとくに組み入れられているものとする。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、各種適切な順序で実施することが可能である。本明細書で提供されたいずれかおよび全部の例、または例示語(たとえば、「たとえば」)の使用は、本発明をより明瞭に説明することを単に意図したものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの文言も、本発明の実施に対して不可欠である、特許請求されていない要素を示しているものと受け取ってはならない。
【0166】
本発明の好ましい実施態様を本明細書に記載したが、それらは、本発明を実施するための、本発明者らが知りうる最良の形態を含んでいる。これまでの記述を読めば、それらの好ましい実施態様の変更は当業者にとっては明らかであろう。本発明者らは、そのような変更例を当業者が適切に採用することを期待し、また本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたのとは別な方法で本発明を実施できると考えている。したがって、本発明には、適用法によって許されることとして、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題のすべての変更と等価物が含まれている。さらには、すべての可能な変更において、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、詳述の構成要素のいかなる組合せ物も本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化性二次被覆組成物であって、以下の
(a)アルコール含有アクリレートまたはアルコール含有メタクリレート化合物から選択されるアクリレート化合物、
(b)無水物化合物、
(c)エポキシ含有化合物、
(d)場合によっては連鎖延長剤化合物、および
(e)場合によっては触媒、
を反応させることにより調製されるウレタン非含有アルファオリゴマーを含む、放射線硬化性二次被覆組成物。
【請求項2】
ベータオリゴマー、および場合によってはガンマオリゴマーをさらに含み、前記ベータオリゴマーが、前記アルファオリゴマーとは異なるものである、請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆組成物。
【請求項3】
前記組成物が、抗酸化剤;第一の光重合開始剤;第二の光重合開始剤;および場合によっては単一のスリップ添加剤もしくはスリップ添加剤のブレンド物をさらに含み、
ここで前記ベータオリゴマーが、
β1)ヒドロキシエチルアクリレートと、
β2)1種または複数のジイソシアネートと、
β3)約1000の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールと、
β4)触媒と
を反応させることにより調製され、
ここで、前記ベータオリゴマー触媒が、以下のものからなる群から選択され:ジブチルスズジラウレート;金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカノエート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカノエート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカノエート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS280−57−9;およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリド;そして
前記ガンマオリゴマーがエポキシジアクリレートである、
請求項2に記載の放射線硬化性二次被覆組成物。
【請求項4】
放射線硬化性一次被覆および請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバ。
【請求項5】
放射線硬化性一次被覆および請求項2に記載の放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバ。
【請求項6】
放射線硬化性一次被覆および請求項3に記載の放射線硬化性二次被覆を用いて被覆された光ファイバ。
【請求項7】
光ファイバを被覆するための方法であって、
a)ガラス線引タワーを運転してガラス光ファイバを製造する工程;および
b)放射線硬化性一次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
c)場合によっては、前記放射線硬化性一次被覆組成物を放射線に接触させて前記被覆を硬化させる工程;
d)請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
e)前記放射線硬化性二次被覆組成物を放射線に接触させて前記被覆を硬化させる工程;
を含む、方法。
【請求項8】
前記ガラス線引タワーを、約750メートル/分〜約2100メートル/分の間の線速度で運転する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、
前記第一の層が、前記線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項1に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記線材の上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後に以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、線材。
【請求項10】
第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、
前記第一の層が、前記光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項1に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、光ファイバ。
【請求項11】
第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、
前記第一の層が、前記線材の外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項2に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記線材の上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、線材。
【請求項12】
第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、
前記第一の層が、前記光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項2に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、光ファイバ。
【請求項13】
第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、
前記第一の層が、前記線材の外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項3に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記線材の上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、線材。
【請求項14】
第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、
前記第一の層が、前記光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項3に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、光ファイバ。

【公開番号】特開2012−8595(P2012−8595A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−189686(P2011−189686)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2009−536353(P2009−536353)の分割
【原出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】