説明

DC/DCコンバータ及びバッテリの冷却装置

【課題】一台のブロワファンの風量をDC/DCコンバータ及びバッテリに効率よく配分し、静音性の悪化及び消費電力の増大を防止する。
【解決手段】冷却装置10は、ブロワファン1と、ブロワファン1に接続し、途中の分岐部11aにおいて第1吸気通路11bと第2吸気通路11cとに分岐し、第1吸気通路11bがDC/DCコンバータ2に接続し、第2吸気通路11cがバッテリ3に接続する吸気通路11と、DC/DCコンバータ2に接続する第1排気通路13と、バッテリ3に接続する第2排気通路14と、分岐部11a、第1吸気通路11b、第2吸気通路11c、第1排気通路13及び第2排気通路14の少なくとも一つに設けられるドア12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータ及びバッテリを冷却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両及び電動車両に搭載されるDC/DCコンバータ及びバッテリは、使用時に発熱するので、これらの車両においては、これらの部品を冷却する冷却装置が必要である。
【0003】
そこで、特許文献1に開示される冷却装置では、ブロワファンとこれらの部品との間に二股に分岐したダクトを配置し、ブロワファンから送出される空気がDC/DCコンバータ及びバッテリに分配されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成では、一台のブロワファンによってDC/DCコンバータ及びバッテリの両方を冷却できるという利点がある。
【0006】
しかしながら、上記構成では、DC/DCコンバータ及びバッテリそれぞれに配分される風量の比は、それぞれの通気抵抗によって決まり、個別に制御することができない。
【0007】
したがって、DC/DCコンバータ及びバッテリのいずれか一方のみの風量を増やす必要がある場合であっても、全体の風量を増やす必要があり、静音性の悪化及び消費電力の増大の原因となっていた。
【0008】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、一台のブロワファンの風量をDC/DCコンバータ及びバッテリに効率よく配分し、静音性の悪化及び消費電力の増大を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、DC/DCコンバータ及びバッテリを冷却する冷却装置であって、ブロワファンと、前記ブロワファンに接続し、途中の分岐部において第1吸気通路と第2吸気通路とに分岐し、前記第1吸気通路が前記DC/DCコンバータに接続し、前記第2吸気通路が前記バッテリに接続する吸気通路と、前記DC/DCコンバータに接続する第1排気通路と、前記バッテリに接続する第2排気通路と、前記分岐部、前記第1吸気通路、前記第2吸気通路、前記第1排気通路及び前記第2排気通路の少なくとも一つに設けられるドアと、を備えたことを特徴とする冷却装置が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、DC/DCコンバータ及びバッテリを冷却する冷却装置であって、ブロワファンと、前記ブロワファンに接続し、途中の分岐部において第1吸気通路と第2吸気通路とに分岐し、前記第1吸気通路が前記DC/DCコンバータに接続し、前記第2吸気通路が前記バッテリに接続する吸気通路と、前記DC/DCコンバータに接続する第1排気通路と、前記バッテリに接続する第2排気通路と、前記第1排気通路及び前記第2排気通路の少なくとも一方に設けられ、温度に応じて変形し開閉するドアと、
を備えたことを特徴とする冷却装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、ブロワファンからDC/DCコンバータ及びバッテリへの風量の配分をドアによって変更することができる。配分が適正に行われれば、ブロワファンの風量を増大させる頻度を下げることができ、静音性の悪化及び消費電力の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る冷却装置10の概略構成図である。
【0015】
冷却装置10は、ブロワファン1から送られる空気によってハイブリッド車両又は電動車両に搭載されるDC/DCコンバータ2及びバッテリ3を冷却する装置である。DC/DCコンバータ2は、バッテリ3からの高電圧直流電圧を12Vの直流電圧に降圧し、車両電装品へ電源供給する装置である。バッテリ3は、リチウムイオンバッテリである。
【0016】
冷却装置10は、ブロワファン1と、吸気通路11と、ドア12と、第1排気通路13と、第2排気通路14と、第1温度センサ21と、第2温度センサ22と、コントローラ30と、を備える。
【0017】
ブロワファン1は、空気取り入れ口から取り入れられた空気を下流へと送る遠心式の送風機であり、図示しないブロワモータによって駆動される。
【0018】
吸気通路11は、ブロワファン1の下流に接続し、途中の分岐部11aにおいて第1吸気通路11bと第2吸気通路11cとに分岐する二股の通路である。第1吸気通路11bはDC/DCコンバータ2に接続し、第2吸気通路11cはバッテリ3に接続する。
【0019】
ドア12は、吸気通路11の分岐部11aに設けられる。ドア12は、モータ12mによって駆動され、第1吸気通路11b及び第2吸気通路11cのいずれか一方の側に移動することができ、移動した側の通路の通路断面積を減少させるとともに、他方の側の通路の通路断面積を増大させる。
【0020】
第1排気通路13は、DC/DCコンバータ2の冷却に供されて温度が上昇した空気が流入する通路である。第2排気通路14は、バッテリ3の冷却に供されて温度が上昇した空気が流入する通路である。第1排気通路13を通過した空気及び第2排気通路14を通過した空気は車外へと放出される。
【0021】
第1温度センサ21は、DC/DCコンバータ2の温度を検出するセンサである。第2温度センサ22は、バッテリ3の温度を検出するセンサである。第1温度センサ21及び第2温度センサ22の検出信号はコントローラ30に送信される。
【0022】
コントローラ30は、CPU、記憶装置、メモリ、入出力インターフェース等を含む。記憶装置には、後述する制御を実施するためのプログラムが格納されており、CPUはこれをメモリに読み出して実行し、後述する機能を実現する。入出力インターフェースには、第1温度センサ21、第2温度センサ22、ブロワファン1及びモータ12mが接続されている。
【0023】
コントローラ30は、具体的には、第1温度センサ21によって検出されるDC/DCコンバータ2の温度及び第2温度センサ22によって検出されるバッテリ3の温度に基づき、それぞれの部品の冷却に要求される風量を算出し、当該風量が実現されるようにドア12の位置を制御する。
【0024】
例えば、DC/DCコンバータ2の要求風量が増加した場合は、ドア12の位置を第2吸気通路11c側に移動させ、第1吸気通路11bの通路断面積を増大させるとともに、第2吸気通路11cの通路断面積を減少させる。これにより、バッテリ3側の通気抵抗が増大し、ブロワファン1からDC/DCコンバータ2に送られる空気量が増大する。バッテリ3の要求風量が増大した場合は、ドア12の位置を逆に第1吸気通路11b側に移動させればよい。
【0025】
なお、DC/DCコンバータ2の要求風量は、例えば、車両の電装品の使用頻度が高い場合に増大する。バッテリ3の要求風量は、例えば、アップダウンの多い道を走行中でバッテリ3が充放電を繰り返す場合に増大する。
【0026】
ドア12の位置を変更して、ブロワファン1からDC/DCコンバータ2及びバッテリ3への風量の配分を変更してもなおいずれか一方の要求風量を達成できない場合は、コントローラ30は、ブロワモータの回転速度を増大させ、ブロワファン1の風量を増大させる。
【0027】
以上の構成によれば、ブロワファン1の風量を増大させる前に、ブロワファン1からDC/DCコンバータ2及びバッテリ3への風量の配分が適正化されるので、ブロワファン1の風量を増大させる頻度を下げることができる。つまり、ブロワファン1の風量を増大させることによる静音性の悪化及び消費電力の増大を防止することができる。
【0028】
なお、図1では、ドア12を吸気通路11の分岐部11aに設けているが、ドア12は、分岐部11a、第1吸気通路11b、第2吸気通路11c、第1排気通路13及び第2排気通路14(本実施形態のように第1排気通路及び第2排気通路が合流する場合はその合流部含む)のいずれか一つに設けられていればよい。
【0029】
また、ドア12は、複数箇所に設けられていてもよい。
【0030】
<第2実施形態>
続いて本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通の構成については共通の参照符号を使用し、説明を適宜省略する。
【0031】
第2実施形態においては、ドア12は、温度に応じて変形するバイメタルで構成される。ドア12は、第1排気通路13に設けられ、DC/DCコンバータ2からの排気の温度に応じて変形して開閉し、その設置位置の通路断面積を変更する。具体的には、ドア12は、DC/DCコンバータ2からの排気の温度が上昇するにつれて開度が増大し、その設置位置の通路断面積を増大させる。
【0032】
上記構成によれば、DC/DCコンバータ2の温度が上昇し、その要求風量が増大した場合には、DC/DCコンバータ2からの排気の温度の上昇に対応してドア12の開度が増大し、DC/DCコンバータ2に配分される空気の量が増やされるとともにバッテリ3に配分される空気の量が減らされ、第1実施形態と同様の動作が自動的に行われる。第1実施形態と比較して、ドア12を駆動するためのモータ12m及びその制御部を設ける必要がないので、冷却装置10の製造コストを下げることができる。
【0033】
コントローラ30は、DC/DCコンバータ2及びバッテリ3の温度を監視し、ドア12によるDC/DCコンバータ2及びバッテリ3への風量の配分変更のみではDC/DCコンバータ2及びバッテリ3の少なくとも一方の要求風量を確保できない場合は、ブロワモータの回転速度を増大させ、ブロワファン1の風量を増大させる。
【0034】
なお、図2では、ドア12を第1排気通路13に設けているが、第2排気通路14に設けてもよいし、第1排気通路13及び第2排気通路14の両方に設けてもよい。
【0035】
また、第2実施形態では、ドア12は設置位置の空気の温度に応じて開閉するが、伝熱部材(例えば、ヒートパイプ)を介してDC/DCコンバータ2又はバッテリ3の温度がドア12に伝達され、DC/DCコンバータ2又はバッテリ3の温度に応じて開閉するように構成してもよい。
【0036】
また、温度に応じて変形し開閉するドア12として他の構成のドアを採用することも可能である。例えば、本実施形態ではドア12そのものをバイメタルで構成したが、バイメタルをドアとは別に設け、当該バイメタルでドア12を駆動するようにしてもよい。また、温度に応じて動作するワックスエレメント又はベローズを設け、これらでドア12を駆動するようにしてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0038】
1 ブロワファン
2 DC/DCコンバータ
3 バッテリ
10 冷却装置
11 吸気通路
11a 分岐部
11b 第1吸気通路
11c 第2吸気通路
12 ドア
13 第1排気通路
14 第2排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバータ及びバッテリを冷却する冷却装置であって、
ブロワファンと、
前記ブロワファンに接続し、途中の分岐部において第1吸気通路と第2吸気通路とに分岐し、前記第1吸気通路が前記DC/DCコンバータに接続し、前記第2吸気通路が前記バッテリに接続する吸気通路と、
前記DC/DCコンバータに接続する第1排気通路と、
前記バッテリに接続する第2排気通路と、
前記分岐部、前記第1吸気通路、前記第2吸気通路、前記第1排気通路及び前記第2排気通路の少なくとも一つに設けられるドアと、
を備えたことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
DC/DCコンバータ及びバッテリを冷却する冷却装置であって、
ブロワファンと、
前記ブロワファンに接続し、途中の分岐部において第1吸気通路と第2吸気通路とに分岐し、前記第1吸気通路が前記DC/DCコンバータに接続し、前記第2吸気通路が前記バッテリに接続する吸気通路と、
前記DC/DCコンバータに接続する第1排気通路と、
前記バッテリに接続する第2排気通路と、
前記第1排気通路及び前記第2排気通路の少なくとも一方に設けられ、温度に応じて変形し開閉するドアと、
を備えたことを特徴とする冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5576(P2013−5576A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133896(P2011−133896)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】