DC/DCコンバータ装置、電気車両及びDC/DCコンバータの制御方法
【課題】1次電圧センサ又は2次電圧センサの電圧検出機能の失陥(故障)に関わりなく、1次電圧又は2次電圧を制御する。
【解決手段】コンバータ制御部54の判定器127は、1次電圧V1、2次電圧及び電圧制御目標値V2tarに基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定する。電圧センサ61又は電圧センサ63が故障していると判定器127が判定したときに、コンバータ制御部54内では、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより2次電圧V2を制御する。
【解決手段】コンバータ制御部54の判定器127は、1次電圧V1、2次電圧及び電圧制御目標値V2tarに基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定する。電圧センサ61又は電圧センサ63が故障していると判定器127が判定したときに、コンバータ制御部54内では、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより2次電圧V2を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1電力装置と第2電力装置との間に配置されたDC/DCコンバータを制御するDC/DCコンバータ装置及び該DC/DCコンバータ装置を備える電気車両、並びに、前記DC/DCコンバータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリ(第1電力装置)と燃料電池(第2電力装置)とを併用して車両走行用の電動機を駆動する電気車両において、前記燃料電池をインバータを介して前記電動機に接続すると共に、前記バッテリをDC/DCコンバータを介して前記燃料電池に並列に接続することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この場合、前記電気車両に搭載されたDC/DCコンバータ装置では、前記DC/DCコンバータの前記バッテリ側(1次側)の電圧(以下、1次電圧ともいう。)を1次電圧センサにより測定すると共に、前記燃料電池側(2次側)の電圧(以下、2次電圧ともいう。)を2次電圧センサにより測定し、前記DC/DCコンバータ装置の制御部は、測定した前記1次電圧及び前記2次電圧を用いた、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により前記2次電圧を制御する。
【0004】
【特許文献1】特開2007−159315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の技術では、1次電圧センサが測定した1次電圧及び2次電圧センサが測定した2次電圧を用いた、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により前記2次電圧を制御するので、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの電圧検出機能の失陥(故障)により前記1次電圧又は前記2次電圧が測定できなくなると、該2次電圧を制御することができない。また、特許文献1の技術では、測定した前記1次電圧及び前記2次電圧を用いて該2次電圧を制御するので、前記1次電圧及び前記2次電圧を用いて前記1次電圧を制御することはできない。
【0006】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、1次電圧センサ又は2次電圧センサの電圧検出機能の失陥(故障)に関わりなく、1次電圧又は2次電圧を制御することが可能となるDC/DCコンバータ装置及び該DC/DCコンバータ装置を備える電気車両、並びに、DC/DCコンバータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この項目では、理解の容易化のために、この明細書中に添付の図面中の参照数字を付けて説明するが、この項目に記載した内容がその参照数字を付けたものに限定して解釈されるものではない。
【0008】
この発明に係るDC/DCコンバータ装置23は、図1及び図3〜図7に示すように、
第1電力装置24と第2電力装置22との間に配置され且つスイッチング素子81、82を有するDC/DCコンバータ36と、前記スイッチング素子81、82を所定のデューティで駆動する制御部54と、前記DC/DCコンバータ36の前記第1電力装置24側の電圧(1次電圧)V1を測定する1次電圧センサ61と、前記DC/DCコンバータ36の前記第2電力装置22側の電圧(2次電圧)V2を測定する2次電圧センサ63とを有し、
前記1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧V2を制御する2次電圧制御モードを動作モードとして備え、前記制御部54が前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、
前記制御部54は、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係るDC/DCコンバータ36の制御方法は、図1及び図3〜図9に示すように、
第1電力装置24と第2電力装置22との間に配置されたDC/DCコンバータ36のスイッチング素子81、82を所定のデューティで駆動し、該DC/DCコンバータ36の前記第1電力装置24側の電圧(1次電圧)V1を1次電圧センサ61で測定し、前記DC/DCコンバータ36の前記第2電力装置22側の電圧(2次電圧)V2を2次電圧センサ63で測定し、前記1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧V2を制御する2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、
前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、
前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することを特徴としている。
【0010】
これらの発明によれば、前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、前記フィードバック制御及び/又は前記フィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障(前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御するので、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することが可能となる。
【0011】
すなわち、これらの発明では、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障状況に応じて、前記動作モード(前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モード)、並びに、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を継続して制御することができる。
【0012】
この場合、前記制御部54は、前記故障していないと判定した前記電圧センサが測定した電圧及び前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2の目標値V1tar、V2tarを用いて前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することが好ましい。
【0013】
具体的には、前記2次電圧制御モードが前記動作モードである場合に、前記制御部54は、前記1次電圧センサ61が故障していると判定したときには、前記2次電圧V2の目標値V2tar及び前記2次電圧センサ63が測定した前記2次電圧V2を用いる前記フィードバック制御により前記2次電圧V2を制御し、前記2次電圧センサ63が故障していると判定したときには、前記目標値V2tar及び前記1次電圧センサ61が測定した前記1次電圧V1を用いる前記フィードフォワード制御により前記2次電圧V2を制御する。
【0014】
一方、前記1次電圧制御モードが動作モードである場合に、前記制御部54は、前記1次電圧センサ61が故障していると判定したときには、前記1次電圧V1の目標値V1tar及び前記2次電圧センサ63が測定した前記2次電圧V2を用いる前記フィードフォワード制御により前記1次電圧V1を制御し、前記2次電圧センサ63が故障していると判定したときには、前記目標値V1tar及び前記1次電圧センサ61が測定した前記1次電圧V1を用いる前記フィードバック制御により前記1次電圧V1を制御する。
【0015】
従って、前記制御部54では、6種類の電圧制御の組み合わせ(前記2次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御、前記2次電圧制御モードと前記フィードバック制御、前記2次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御と前記フィードバック制御、前記1次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御、前記1次電圧制御モードと前記フィードバック制御、及び、前記1次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御と前記フィードバック制御、の6通りの組み合わせ)を予め用意しておき、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障状況に応じて、前記電圧制御の組み合わせを使い分けることにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2の継続的な制御を確実に行うことができる。
【0016】
ここで、前記制御部54は、前記フィードバック制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する際に、故障の前後の前記デューティが連続するように、積分動作を含む前記フィードバック制御により故障後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0017】
これにより、前記故障の前後で前記デューティが連続的になるので、該故障の直後における電圧及び電流の変動を抑制することが可能となる。
【0018】
この場合、前記制御部54は、故障前後の前記デューティが略等しくなるように、故障後の前記フィードバック制御の積分項を変更することが好ましい。
【0019】
これにより、前記故障の前後における前記デューティの唐突な変化(急変)を確実に防止することができるので、前記故障の直後における電圧及び電流の変動を効率よく抑制することが可能となる。
【0020】
また、前記制御部54は、比例動作、前記積分動作及び微分動作を含む前記フィードバック制御を行い、故障前の前記デューティと故障後の前記フィードバック制御の比例項及び微分項との差に基づいて、故障後の前記積分項を変更することが好ましい。
【0021】
これにより、比例積分微分動作(PID動作)の前記フィードバック制御により前記1次電圧V1、前記2次電圧V2又は前記1次電流I1を制御するDC/DCコンバータ装置23に、この発明を適用することが可能となる。
【0022】
さらに、前記DC/DCコンバータ36を介して前記第1電力装置24と前記第2電力装置22との間を流れる電流の値が閾値を上回らないように、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する電流制限モードを前記動作モードとしてさらに備えている場合に、前記制御部54は、前記1次電圧制御モード、前記2次電圧制御モード及び前記電流制限モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0023】
これにより、前記動作モードの切替時に切替前後の前記デューティに連続性を持たせることで、該動作モードの切替直後における電圧及び電流の変動を抑制することが可能となる。
【0024】
この場合、前記制御部54は、前記第1電力装置24側での断線の可能性の有無に基づいて、前記1次電圧制御モードから前記2次電圧制御モードへの切替又は前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替を行うか、あるいは、前記電流の値が前記閾値を上回るか否かに基づいて、前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードへの切替を行い、さらに、前記電流制限モードへの切替後に、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を監視して前記電流制限モードでの制御から前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0025】
これにより、前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替後に前記動作モードを前記2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。また、前記動作モードが前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードに切り替わった場合でも、前記電流制限モードから前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。
【0026】
そして、前記制御部54は、前記1次電圧V1の目標値V1tarと前記2次電圧V2との比(以下、第1電圧比V1tar/V2という。)を計算して、前記第1電圧比V1tar/V2と現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と所定の閾値THrとの比較に基づいて、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定するか、あるいは、前記1次電圧V1と前記2次電圧V2の目標値V2tarとの比(以下、第2電圧比V1/V2tarという。)を計算して、前記第2電圧比V1/V2tarと前記現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と前記閾値THrとの比較に基づいて、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定することが好ましい。
【0027】
これにより、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを確実に検出することができる。
【0028】
そして、この発明に係る電気車両20は、上述したDC/DCコンバータ装置23を備え、前記第1電力装置24は、補機44に接続され、且つ前記1次電圧V1を発生する蓄電装置であり、前記第2電力装置22は、車輪16を回転させる電動機26と、駆動回路34を介して前記電動機26に接続され且つ発電電圧Vfを発生する発電装置22とを有し、前記発電電圧Vf又は前記電動機26が発電機として動作したときに前記駆動回路34に発生する回生電圧を前記2次電圧V2とすることを特徴としている。
【0029】
前記電気車両20が前記DC/DCコンバータ装置23を採用することにより、上述したDC/DCコンバータ装置23の効果を容易に得ることができる。
【0030】
この場合、前記発電装置は、燃料電池22であることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、1次電圧制御モード及び2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、フィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により1次電圧又は2次電圧を制御する場合に、1次電圧センサ又は2次電圧センサが故障(前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御するので、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御することが可能となる。
【0032】
すなわち、これらの発明では、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの故障状況に応じて、動作モード(前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モード)、並びに、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、前記1次電圧又は前記2次電圧を継続して制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態に係るハイブリッド直流電源システム10が適用された一実施形態に係る燃料電池車両(電気車両)20の回路図である。
【0035】
ハイブリッド直流電源システム10は、基本的には、エネルギストレージでありバッテリ電圧Vbatを発生する蓄電装置(以下、バッテリともいう。)24(第1電力装置)と、このバッテリ電圧Vbatより高い電圧である発電電圧Vfを発生する発電装置としての燃料電池22(第2電力装置)と、バッテリ24と燃料電池22との間に配置され電圧変換するDC/DCコンバータ36と、統括制御部56(上位制御部)から供給される電圧指令値に応じてDC/DCコンバータ36の電圧制御目標値を設定し、バッテリ24と燃料電池22との間での前記電圧変換を制御するコンバータ制御部54とから構成される。
【0036】
ここで、コンバータ制御部54とDC/DCコンバータ36とは、バッテリ24が接続される1次側1Sと、燃料電池22及びモータ26(インバータ34)が接続される2次側2Sとの間で、昇降圧の電圧変換を行うDC/DCコンバータ装置{VCU(Voltage Control Unit)という。}23を構成する。
【0037】
燃料電池車両20は、前記のハイブリッド直流電源システム10と、このハイブリッド直流電源システム10からモータ電流Im(電力)がインバータ(駆動回路)34を通じて供給される負荷としての走行用のモータ26(電動機)と、から構成される。
【0038】
モータ26の回転は、減速機12、シャフト14を通じて車輪16に伝達され、車輪16を回転させる。
【0039】
燃料電池22は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成されたセルを積層したスタック構造である。燃料電池22には、水素タンク28とエアコンプレッサ30とが配管により接続されている。燃料電池22内で反応ガスである水素(燃料ガス)と空気(酸化剤ガス)との電気化学反応により生成された発電電流Ifは、電流センサ32及びダイオード(ディスコネクトダイオードともいう。)33を介して、インバータ34及び(又は)DC/DCコンバータ36側に供給される。
【0040】
インバータ34は、直流/交流変換を行い、モータ電流Imをモータ26に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後のモータ電流Imを2次側2SからDC/DCコンバータ36を通じて1次側1Sに供給する。
【0041】
この場合、回生電圧又は発電電圧Vfである2次電圧V2がDC/DCコンバータ36により低電圧に変換された1次電圧V1は、ダウンバータ42により降圧されてさらに低電圧とされ、ライト、パワーウインド、ワイパー用電動機等の補機44に補機電流Iauとして供給されると共に、余剰電力があればバッテリ電流Ibat(充電電流Ibc)としてバッテリ24に流し込まれバッテリ24を充電する。
【0042】
1次側1Sに電力ケーブル18を通じて接続されるバッテリ24は、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素2次電池又はキャパシタを利用することができる。この実施形態では、リチウムイオン2次電池を利用している。
【0043】
バッテリ24は、ダウンバータ42を通じて補機44に補機電流Iauを供給すると共に、DC/DCコンバータ36を通じてインバータ34にモータ電流Imを供給するためのバッテリ電流Ibat(放電電流Ibd)を流し出す。
【0044】
なお、インバータ34に供給されるモータ電流Imは、バッテリ電流IbatがVCU23により変換された2次電流I2と発電電流Ifとの合成電流である。
【0045】
バッテリ24の正極側の出力端には、直列にバッテリ短絡保護用のヒューズ25が挿入されている。バッテリ24の負極側の線路と、図1中、1次側1Sが指すバッテリ24の正極側に繋がる線路との間が短絡された場合には、ヒューズ25は、バッテリ24を保護するために溶断する。
【0046】
ダウンバータ42は、出力側に絶縁トランスを有し、補機44の正極側には前記絶縁トランスの2次コイル側の整流電圧が供給され、負極側はシャーシに接地されている。
【0047】
1次側1S及び2次側2Sには、それぞれ平滑用のコンデンサ38、39が設けられている。
【0048】
燃料電池22を含むシステムはFC制御部50により制御され、インバータ34とモータ26とを含むシステムはインバータ駆動部を含むモータ制御部52により制御され、DC/DCコンバータ36を含むシステムはコンバータ駆動部を含むコンバータ制御部54により、それぞれ基本的に制御される。
【0049】
そして、これらFC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、燃料電池22の総負荷量Lt等を決定する上位制御部としての統括制御部56により制御される。
【0050】
統括制御部56、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、それぞれCPU、ROM、RAM、タイマの他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェース、並びに、必要に応じてDSP(Digital Signal Processor)等を有している。
【0051】
統括制御部56、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、車内LANであるCAN(Controller Area Network)等の通信線70を通じて相互に接続され、各種スイッチ及び各種センサからの入出力情報を共有し、これら各種スイッチ及び各種センサからの入出力情報を入力として各CPUが各ROMに格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
【0052】
ここで、車両状態を検出する各種スイッチ及び各種センサとしては、発電電流Ifを検出する電流センサ32の他、1次電圧V1(バッテリ電圧Vbatに等しい。)を検出する電圧センサ61、1次電流I1{バッテリ電流Ibat(放電電流Ibd又は充電電流Ibc)}を検出する電流センサ62、2次電圧V2(ディスコネクトダイオード33が導通しているとき、略燃料電池22の発電電圧Vfに等しい。)を検出する電圧センサ63、2次電流I2を検出する電流センサ64、通信線70に接続されるイグニッションスイッチ(IGSW)65、アクセルセンサ66、ブレーキセンサ67、車速センサ68、及び上記したライト、パワーウインド、ワイパー用電動機等の補機44の操作部55等がある。
【0053】
統括制御部56は、燃料電池22の状態、バッテリ24の状態、モータ26の状態、及び補機44の状態の他、各種スイッチ及び各種センサからの入力(負荷要求)に基づき決定した燃料電池車両20の総負荷要求量Ltから、燃料電池22が負担すべき燃料電池分担負荷量(要求出力)Lfと、バッテリ24が負担すべきバッテリ分担負荷量(要求出力)Lbと、回生電源が負担すべき回生電源分担負荷量Lrとの配分(分担)を調停しながら決定し、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54に指令を送出する。
【0054】
DC/DCコンバータ36は、バッテリ24と、燃料電池22又は回生電源(インバータ34とモータ26)との間に接続される、上アーム素子(上アームスイッチング素子81と並列ダイオード83)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82と並列ダイオード84)とからなる相アーム(単相アーム)UAと、リアクトル90とから構成される。
【0055】
上アームスイッチング素子81と下アームスイッチング素子82とは、それぞれ例えば、MOSFET又はIGBT等で構成される。
【0056】
リアクトル90は、DC/DCコンバータ36により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積するために、前記上アーム素子及び前記下アーム素子の接続点とバッテリ24との間に挿入されている。
【0057】
上アームスイッチング素子81は、コンバータ制御部54から出力される駆動信号(駆動電圧)UHによりオン又はオフされ、下アームスイッチング素子82は、駆動信号(駆動電圧)ULによりオン又はオフされる。
【0058】
1次電圧V1、代表的には、負荷が接続されていないときのバッテリ24の開放電圧OCV(Open Circuit Voltage)は、図2の燃料電池出力特性(電流電圧特性)91上に示すように、この燃料電池22の発電電圧Vfの最低電圧Vfminより高い電圧に設定されている。なお、図2において、バッテリ24の開放電圧OCVをOCV≒V1と描いている。
【0059】
2次電圧V2は、燃料電池22が発電動作しているときには燃料電池22の発電電圧Vfに等しい電圧にされる。
【0060】
ただし、燃料電池22の発電電圧Vfがバッテリ24の電圧Vbat(=V1)に等しくなったときには、図2に一点鎖線の太線で示す直結状態とされる。
【0061】
直結状態では、上アームスイッチング素子81に供給される駆動信号UHのデューティが、例えば100[%]にされ、下アームスイッチング素子82の駆動信号ULのデューティは、例えば0[%]にされる。直結状態において、2次側2Sから1次側1Sへ電流が流れる充電方向(回生方向)の場合には、上アームスイッチング素子81を通じて電流が流れ、1次側1Sから2次側2Sへ電流が流れる力行方向の場合には、ダイオード83を通じて電流が流れる。
【0062】
従って、この直結状態では、DC/DCコンバータ36では電圧変換がなされない。なお、上述したように、厳密には、下アームスイッチング素子82が最小オン時間以上の時間オン駆動されないと、実際に下アームスイッチング素子82がオンにならないので、下アームスイッチング素子82が最小オン時間より短いオン時間で駆動された場合には、駆動信号ULのデューティが0[%](駆動信号UHのデューティが100[%])になる前に直結状態となるが、理解の容易化のために、以下、直結状態では、上アームスイッチング素子81の駆動信号UHのデューティは100[%]、下アームスイッチング素子82の駆動信号ULのデューティは0[%]になっているものとする。
【0063】
ここで、VCU23による燃料電池22の出力制御について説明する。
【0064】
水素タンク28からの燃料ガス及びエアコンプレッサ30からの圧縮空気が供給されている発電時に、燃料電池22の発電電流Ifは、図2に示した特性91{関数F(Vf)という。}上で2次電圧V2、すなわち、発電電圧Vfをコンバータ制御部54によりDC/DCコンバータ36を通じて設定することにより決定される。つまり、発電電流Ifは、発電電圧Vfの関数F(Vf)値として決定される。If=F(Vf)であり、例えば発電電圧VfをVf=Vfa=V2と設定すれば、その発電電圧Vfa(V2)の関数値としての発電電流Ifaが決定される。{Ifa=F(Vfa)=F(V2)}。
【0065】
具体的に、燃料電池22は、発電電圧Vfの減少に応じて流し出される電流である発電電流Ifが増加し、発電電圧Vfの増加に応じて流し出される発電電流Ifが減少する。
【0066】
このように、燃料電池22は、2次電圧V2(発電電圧Vf)を決定することにより発電電流Ifが決定されるので、燃料電池車両20等、燃料電池22を含むシステムでは、通常時には、DC/DCコンバータ36の2次側2Sの2次電圧V2(発電電圧Vf)が、コンバータ制御部54を含むVCU23のフィードバック制御の電圧制御目標値V2tar(図3参照)に設定される。すなわち、VCU23により燃料電池22の出力(発電電流If)が制御される。以上が、VCU23による燃料電池22の出力制御の説明である。
【0067】
図3は、2次電圧制御モード時(電圧制御目標値V2tar)におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図である。
【0068】
この2次電圧制御モードでは、統括制御部56で演算された2次電圧指令値V2com(電圧制御目標値V2tar)が演算点104に減算信号として供給され、演算点110に除算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0069】
また、電圧センサ61(図1参照)で検出された1次電圧V1が演算点110に乗算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。さらに、電圧センサ63で検出された2次電圧V2が演算点104に加算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0070】
演算点104は、電圧制御目標値V2tar(2次電圧指令値V2com)と、2次電圧V2との偏差e(e=V2−V2tar)を、PID演算部106のPID処理部114に出力する。PID処理部114は、比例(P)、積分(I)、微分(D)動作部であり、偏差eをデューティの補正値である補正デューティΔDに変換して、セレクタ129の接点131に出力する。なお、補正デューティΔDは、下記の(1)式に示すように、P項成分による補正デューティΔDpと、I項成分による補正デューティΔDiと、D項成分による補正デューティΔDdとの合成値である。
ΔD=ΔDp+ΔDi+ΔDd (1)
【0071】
演算点110は、1次電圧V1から電圧制御目標値V2tarを除して得られる基準デューティDs(Ds=V1/V2tar=V1/V2com)をセレクタ145の接点139に出力する。
【0072】
判定器127は、1次電圧V1、2次電圧V2及び電圧制御目標値V2tarに基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、判定結果を示す判定結果信号Sj1、Sj2をセレクタ129、145にそれぞれ出力すると共に、判定結果信号Sj1、Sj2をPID演算部106のI項再設定処理部116に出力する。
【0073】
ここで、判定器127の具体的な判定処理について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図4は、判定器127での判定結果の一覧表を示している。
【0074】
判定器127は、1次電圧V1及び電圧制御目標値V2tarの比(第2電圧比)V1/V2tar、並びに、1次電圧V1及び2次電圧V2の比V1/V2を算出し、各比V1/V2tar、V1/V2と、PWM(パルス幅変調)処理部112が前回生成して、現在の上アームスイッチング素子81の駆動に用いられている駆動信号UHの駆動デューティDH(PWM処理部112が前回生成し、現在、上アームスイッチング素子81がオン又はオフしている時の駆動デューティ)との差の絶対値|V1/V2tar−DH|、|V1/V2−DH|を算出する。
【0075】
そして、判定器127は、算出した絶対値|V1/V2tar−DH|、|V1/V2−DH|と所定の閾値THrとをそれぞれ比較することにより、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。すなわち、電圧センサ61、63が故障していなければ、V1/V2tar及びV1/V2は、基準デューティDsに略等しいとみなすことができるので(Ds≒V1/V2tar及びDs≒V1/V2)、判定器127では、V1/V2tar及びV1/V2とDHとの差の絶対値が閾値THrよりも大きいか否かを判断することで、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。
【0076】
ここで、2次電圧制御モード時における、|V1/V2tar−DH|及び|V1/V2−DH|と閾値THrとの大小関係に応じた、コンバータ制御部54内の処理について、以下に説明する。
【0077】
先ず、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図4の上から1番目の判定条件の欄を参照)。
【0078】
この場合、判定器127は、電圧センサ61、63が故障していない(正常である)と判定し、判定結果信号Sj1をセレクタ129に出力し、判定結果信号Sj2をセレクタ145に出力すると共に、判定結果信号Sj1、Sj2をI項再設定処理部116に出力する。
【0079】
セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点131側に切り替える。これにより、接点131に供給された補正デューティΔDは、可動接点137を介し演算点108に加算信号として供給される。セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点139側に切り替える。これにより、接点139に供給された基準デューティDsは、可動接点143を介し演算点108に加算信号として供給される。
【0080】
従って、演算点108は、一方の入力である補正デューティΔDと、他方の入力である基準デューティDsとを加算して、加算結果としての駆動デューティD(D=Ds+ΔD=V1/V2tar+ΔD)をPWM処理部112に出力し、PWM処理部112は、駆動デューティDに基づき、上アームスイッチング素子81に駆動デューティDH(DH=V1/V2tar+ΔD)の駆動信号UHを供給すると共に、下アームスイッチング素子82に駆動デューティDL{DL=1−(V1/V2tar+ΔD)}の駆動信号ULを供給する。
【0081】
そのため、電圧センサ61、63が共に正常であれば(共に故障していなければ)、補正デューティΔD(フィードバック制御)及び基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定され、設定された駆動デューティDH、DLによって、各アームスイッチング素子81、82がオン又はオフ(DC/DCコンバータ36が制御)される。
【0082】
次に、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合について説明する(図4の上から2番目の判定条件の欄を参照)。
【0083】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が正常であり、一方で、電圧センサ63が故障していると判定する。セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点133側に切り替える。これにより、演算点108には、0[%]のデューティが供給される。すなわち、PID処理部114から演算点108への補正デューティΔDの出力が阻止される。一方、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点139側に切り替え、基準デューティDsを演算点108に供給する。
【0084】
従って、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障していれば、演算点108は、基準デューティDsを駆動デューティD(D=Ds)としてPWM処理部112に出力し、該PWM処理部112は、基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH(DH=Ds)、DL(DL=1−Ds)を設定する。
【0085】
次に、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図4の上から3番目の判定条件の欄を参照)。
【0086】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が故障し、一方で、電圧センサ63が正常であると判定する。
【0087】
I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づき電圧センサ61が故障していると判断し、補正デューティΔDのI項成分(I項再設定値としての補正デューティΔDi)の再設定処理を行う。
【0088】
すなわち、I項再設定処理部116は、現在の駆動デューティDH(PWM処理部112が前回生成した駆動デューティDH)に応じた補正デューティΔDiを算出し、算出した補正デューティΔDiをPID処理部114での今回のPID動作(補正デューティΔDの算出)におけるI項成分として該PID処理部114に出力(再設定)する。PID処理部114は、入力された補正デューティΔDiを、今回のI項成分とみなして補正デューティΔDの算出処理を行う。従って、PID処理部114から出力される今回の補正デューティΔDは、前記現在の駆動デューティDH(前回生成した駆動デューティDH)に応じた補正デューティΔDとなる。
【0089】
ここで、I項再設定処理部116からPID処理部114に再設定される補正デューティΔDi及びPID処理部114から出力される今回の補正デューティΔDは、下記の(2)式及び(3)式でそれぞれ表わされる。
ΔDi=(現在のDH)−(今回のΔDp)−(今回のΔDd) (2)
(今回のΔD)=(今回のΔDp)+{(2)式のΔDi}
+(今回のΔDd)
=(今回のΔDp)+{(現在のDH)−(今回のΔDp)
−(今回のΔDd)}+(今回のΔDd)
=(現在のDH) (3)
【0090】
この場合、セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点131側に切り替え、一方で、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点141側に切り替えて、演算点108に0[%]のデューティを供給するので(演算点108への基準デューティDsの出力を阻止するので)、演算点108は、前記再設定処理に基づく補正デューティΔDを駆動デューティD(D=ΔD)としてPWM処理部112に出力する。
【0091】
従って、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常であれば、PWM処理部112は、前記再設定処理に基づく補正デューティΔD(フィードバック制御)に基づいて駆動デューティDH(DH=ΔD)、DL(DL=1−ΔD)を設定する。
【0092】
次に、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合(図4の上から4番目の判定条件の欄を参照)に、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障していると判定し、セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点133側に切り替え、一方で、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点141側に切り替える。これにより、演算点108には0[%]のデューティのみ供給されるので、PWM処理部112での駆動信号UH、ULの生成が停止するに至る(フィードバック制御及びフィードフォワード制御が停止する)。
【0093】
なお、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THr、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THr、及び、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの各判定条件(図4の上から1番目、2番目及び4番目の各判定条件の欄)において、I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づく上記の再設定処理を行わない。
【0094】
コンバータ制御部54は、上述したように、通常時には、2次電圧指令値V2comに基づき2次電圧V2を制御するいわゆる2次電圧制御モード(図3及び図4参照)にてDC/DCコンバータ36を制御するが、これに限らず、必要に応じて、統括制御部56からの1次電圧指令値V1comに基づき1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード(図5及び図6参照)、統括制御部56からの1次電流指令値I1comに基づき1次電流I1を制御する1次電流制御モード(電流制限モード、図7参照)に制御モード(動作モード)を切り替えて、DC/DCコンバータ36を制御することも可能である。
【0095】
図5は、1次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図を示す。また、図6は、1次電圧制御モード時における判定器127での判定結果の一覧表を示している。なお、図3及び図4と同じ構成要素については、同一の参照数字を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0096】
1次電圧制御モードによる制御は、電力ケーブル18(図1参照)の断線故障等によりバッテリ24が開放状態にされる等、バッテリ24が故障とみなされる特殊な場合に行われる。
【0097】
この1次電圧制御モードでは、統括制御部56で演算された1次電圧指令値V1com(電圧制御目標値V1tar)が演算点104に加算信号として供給され、演算点110に乗算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。また、1次電圧V1は、演算点104に減算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。さらに、2次電圧V2は、演算点110に除算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0098】
演算点104は、電圧制御目標値V1tarと、1次電圧V1との偏差e(e=V1tar−V1)を、PID演算部106のPID処理部114に出力し、演算点110は、電圧制御目標値V1tarから2次電圧V2を除して得られる基準デューティDs(Ds=V1tar/V2=V1com/V2)をセレクタ145の接点139に出力する。
【0099】
判定器127は、比(第1電圧比)V1tar/V2及び比V1/V2を算出して、比V1tar/V2及びV1/V2と、現在の駆動デューティDHとの差の絶対値|V1tar/V2−DH|、|V1/V2−DH|を算出し、算出した絶対値|V1tar/V2−DH|、|V1/V2−DH|と閾値THrとをそれぞれ比較することにより、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。
【0100】
ここで、1次電圧制御モード時における、|V1tar/V2−DH|及び|V1/V2−DH|と閾値THrとの大小関係に応じた、コンバータ制御部54の処理について、以下に説明する。
【0101】
先ず、|V1tar/V2−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図6の上から1番目の判定条件の欄を参照)。
【0102】
この場合、判定器127は、電圧センサ61、63が故障していない(正常である)と判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から1番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61、63が共に正常であれば、補正デューティΔD(フィードバック制御)及び基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0103】
次に、|V1tar/V2−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合について説明する(図6の上から2番目の判定条件の欄を参照)。
【0104】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が故障し、一方で、電圧センサ63が正常であると判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から2番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常であれば、基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0105】
次に、|V1tar/V2−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図6の上から3番目の判定条件の欄を参照)。
【0106】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が正常であり、一方で、電圧センサ63が故障していると判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から3番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障していれば、I項再設定処理部116は、前記の(2)式及び(3)式に基づいて補正デューティΔDiの再設定処理を行うので、再設定処理により算出された補正デューティΔD(フィードバック制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0107】
次に、|V1tar/V2−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合(図6の上から4番目の判定条件の欄を参照)に、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障していると判定するので、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から4番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61、63が共に故障しているときには、フィードバック制御及びフィードフォワード制御が停止するに至る。
【0108】
図7は、1次電流制御モード(電流制限モード)時におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図を示す。
【0109】
なお、1次電流制御モードによる制御は、1次電流I1が過大な電流となったときに、バッテリ24の保護及びヒューズ25の溶断防止のために1次電流I1を直接的に制御(制限)する目的で行われる。
【0110】
この1次電流制御モードでは、統括制御部56で演算された1次電流指令値I1com(電流制御目標値I1tar)が演算点104に加算信号として供給され、一方で、電流センサ62で検出された1次電流I1が演算点104に減算信号として供給される。演算点104は、電流制御目標値(閾値)I1tarと、1次電流I1との偏差e(e=I1tar−I1)を、PID演算部106のPID処理部114に出力する。
【0111】
この実施形態に係る燃料電池車両20は、基本的には以上のように構成され且つ動作するものであり、次に、コンバータ制御部54によるDC/DCコンバータ36の制御に関して、2次電圧制御モードで制御する場合について、図8〜図11Bを参照しながら説明する。
【0112】
図8のステップS11において、統括制御部56により、それぞれが負荷要求であるモータ26の電力要求と補機44の電力要求とエアコンプレッサ30の電力要求から総負荷要求量Ltが決定(算出)されると、ステップS12において、統括制御部56は、決定した総負荷要求量Ltを出力するための燃料電池分担負荷量Lfと、バッテリ分担負荷量Lbと、回生電源分担負荷量Lrの配分を決定し、FC制御部50、コンバータ制御部54及びモータ制御部52に指令を与える。この場合、コンバータ制御部54のポート101には、2次電圧指令値V2comが送出される。
【0113】
次いで、ステップS13において、統括制御部56により決定された燃料電池分担負荷量(実質的に、コンバータ制御部54に対する発電電圧Vfの2次電圧指令値V2comが含まれる。)Lfが通信線70を通じてコンバータ制御部54に指令として送信される。
【0114】
この場合、燃料電池分担負荷量Lfの指令(2次電圧指令値V2com)を受信したコンバータ制御部54は、ステップS14において、基本的に、2次電圧V2、換言すれば、燃料電池22の発電電圧Vfが、統括制御部56から指令された指令電圧V2comとなるように、DC/DCコンバータ36の各アームスイッチング素子81、82の駆動デューティを制御する(2次電圧制御モード)。
【0115】
図9は、ステップS14について、判定器127での判定処理を詳細に説明するためのフローチャートである。
【0116】
ステップS20において、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障しているか否か、すなわち、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrであるか(図4の上から4番目の判定条件の欄に該当するか)否かを判定する。
【0117】
ステップS20において、電圧センサ61、63が共に故障していないと判定した場合に(ステップS20のNO)、判定器127は、次に、電圧センサ63が故障しているか否か(図4の上から2番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの条件に該当するか否か)を判定する(ステップS21)。
【0118】
ステップS21において、電圧センサ63が故障していないと判定した場合に(ステップS21のNO)、判定器127は、次に、電圧センサ61が故障しているか否か(図4の上から3番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当するか否か)を判定する(ステップS22)。
【0119】
ステップS22において、電圧センサ61が故障していないと判定した場合に(ステップS22のNO)、判定器127は、電圧センサ61、63が共に正常である(図4の上から1番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当する)と判定し、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS23)。
【0120】
上記のステップS22において、電圧センサ61が故障していると判定した場合(ステップS22のYES)、判定器127は、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常である(図4の上から3番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当する)と判定し、フィードバック制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS24)。そして、判定器127は、上記の判定結果を示す判定結果信号Sj1、Sj2を出力し、I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づき補正デューティΔDiの再設定処理を行う(ステップS25)。
【0121】
また、ステップS21において、電圧センサ63が故障していると判定した場合(ステップS21のYES)、判定器127は、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障している(図4の上から2番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの条件に該当する)と判定し、フィードフォワード制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS26)。
【0122】
さらに、ステップS20において、電圧センサ61、63が共に故障していると判定した場合(ステップS20のYES)、判定器127は、フィードフォワード制御及び/又はフィードバック制御による2次電圧V2の制御を停止することを決定する(ステップS27)。
【0123】
図10A及び図10Bは、電圧センサ61の故障の前後における駆動デューティDの時間的変化を模式的に示すグラフであり、図11Aは、前記故障の前後における2次電圧V2の時間的変化を模式的に示すグラフである。
【0124】
なお、図10A〜図11Aにおいて、時刻t20は、電圧センサ61が故障したときの時刻である。また、図10A及び図10Bにおいて、左側のグラフは、時刻t20の前後において、I項再設定処理部116(図3参照)による補正デューティΔDi(I項成分)の再設定処理が行われない場合を示し、右側のグラフは、I項成分の再設定処理が行われる場合を示している。
【0125】
図10A及び図10Bにおいて、I項成分の再設定処理が行われない場合に、駆動デューティの時間的変化を示す直線150及び曲線154は、時刻t20の前後において不連続となる。すなわち、直線150において、時刻t20前(故障前)に応じた直線150aと、時刻t20後(故障後)に応じた直線150bとが、時刻t20の前後で不連続となっている。また、曲線154において、時刻t20前に応じた曲線154aと、時刻t20後に応じた曲線154bとが、時刻t20の前後で不連続となっている。これは、時刻t20での電圧センサ61の故障(電圧検出機能の失陥)によってコンバータ制御部54に1次電圧V1が入力されなくなるか、あるいは、通常時では検出され得ないような大きさの電圧がコンバータ制御部54に入力されることにより、駆動デューティ(駆動デューティDH、DL)を精度よく調整することができなくなることに起因している。
【0126】
これに対して、図10A及び図10Bにおいて、I項成分の再設定処理が行われる場合には、駆動デューティの時間的変化を示す直線152及び曲線156は、時刻t20の前後において連続している。
【0127】
すなわち、直線152において、時刻t20直前の駆動デューティ(故障前の駆動デューティ)と、時刻t20直後の駆動デューティ(故障後の駆動デューティ)とは一致しており、該直線152は、時刻t20の前後で連続している。また、曲線156についても、時刻t20直前の駆動デューティ(故障前の駆動デューティ)と、時刻t20直後の駆動デューティ(故障後の駆動デューティ)とは一致し、該曲線156は、時刻t20の前後で連続している。
【0128】
これは、図3に示すように、I項再設定処理部116が、電圧センサ61が故障したと判断した場合に、故障直後の駆動デューティが故障前の駆動デューティとなるように、前記故障前の駆動デューティに応じたI項成分(補正デューティΔDi)を出力し、PID処理部114は、入力された前記I項成分を、前記故障直後のPID動作におけるI項成分とみなして補正デューティΔDの算出処理を行うためである。
【0129】
これにより、PWM処理部112は、前記I項成分に応じた駆動デューティDH、DL(前記故障前の駆動デューティに応じた駆動デューティDH、DL)を、故障後の駆動デューティDH、DLとして出力する。この結果、図11Aに示すように、電圧センサ61の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、時刻t20の前後で2次電圧V2の曲線162を電圧制御目標値V2tarの直線160に制御することが可能となる。
【0130】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、1次電圧制御モード及び2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、フィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により1次電圧V1又は2次電圧V2を制御する場合に、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障(電圧センサ61又は電圧センサ63の電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、1次電圧V1又は2次電圧V2を制御するので、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、1次電圧V1又は2次電圧V2を制御することが可能となる。
【0131】
すなわち、この実施形態では、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障状況に応じて、動作モード(1次電圧制御モード又は2次電圧制御モード)、並びに、フィードバック制御及びフィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、1次電圧V1又は2次電圧V2を継続して制御することができる。
【0132】
また、コンバータ制御部54では、6種類の電圧制御の組み合わせ(2次電圧制御モードとフィードフォワード制御、2次電圧制御モードとフィードバック制御、2次電圧制御モードとフィードフォワード制御とフィードバック制御、1次電圧制御モードとフィードフォワード制御、1次電圧制御モードとフィードバック制御、及び、1次電圧制御モードとフィードフォワード制御とフィードバック制御、の6通りの組み合わせ)を予め用意しておき、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障状況に応じて、前記電圧制御の組み合わせを使い分けることにより、1次電圧V1又は2次電圧V2の継続的な制御を確実に行うことができる。
【0133】
さらに、コンバータ制御部54は、フィードバック制御により1次電圧V1又は2次電圧V2を制御する際に、故障の前後の駆動デューティが連続するように、積分動作を含むフィードバック制御により故障後の駆動デューティを調整する。すなわち、故障の前後で駆動デューティに連続性を持たせることで、該故障の直後における電圧及び電流の急激な変動を抑制することが可能となる。
【0134】
この場合、コンバータ制御部54は、故障前後の駆動デューティが略等しくなるように、故障後のフィードバック制御のI項成分(補正デューティΔDi)を変更することにより、故障の前後における駆動デューティの唐突な変化(急変)を確実に防止することができ、この結果、故障の直後における電圧及び電流の変動を効率よく抑制することが可能となる。
【0135】
また、コンバータ制御部54は、P動作、I動作及びD動作を含むフィードバック制御を行い、(2)式及び(3)式に基づいて故障後のI項成分(補正デューティΔDi)を変更することで、PID動作のフィードバック制御により1次電圧V1、2次電圧V2又は1次電流I1を制御するDC/DCコンバータ装置23に、この実施形態を適用することが可能となる。
【0136】
さらにまた、判定器127では、図4、図6及び図9に示すように、比V1tar/V2、V1/V2tarと現在のデューティDHとの差の絶対値と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定するので、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを確実に検出することができる。
【0137】
なお、判定器127は、上述したように、比V1tar/V2、V1/V2tarと現在のデューティDHとの差の絶対値と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定しているが、これに代えて、V1tar/V2、V1/V2tarと現在の駆動デューティDHとの比{(V1tar/V2)÷DH、(V1/V2tar)÷DH}と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定してもよい。
【0138】
前述したように、電圧センサ61、63が共に正常であれば、V1tar/V2、V1/V2tarと駆動デューティDHとは、略等しいとみなすことができるので、この場合には、V1tar/V2、V1/V2tarとDHとの比は、略1{(V1tar/V2)÷DH≒1及び(V1/V2tar)÷DH≒1}となるはずである。従って、(V1tar/V2)÷DHや(V1/V2tar)÷DHが1から大きく外れて、閾値THrよりも大きくなるか、あるいは、小さくなるようなときには、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障していると確実に判定することができる。
【0139】
そして、燃料電池車両20に上述したDC/DCコンバータ装置23を搭載することにより、上述の効果を容易に得ることができる。
【0140】
この実施形態は、上記の説明に限定されるものではなく、この明細書及び図面の記載内容に基づき、種々の構成に変更することが可能である。
【0141】
すなわち、コンバータ制御部54は、上述した1次電圧制御モード、2次電圧制御モード及び1次電流モードの動作モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の駆動デューティが連続するように、フィードバック制御により切替後の駆動デューティを調整する(I項再設定処理部116にて補正デューティΔDiの再設定処理を行う)ことが好ましい。
【0142】
具体的に、コンバータ制御部54において、バッテリ24側での断線の可能性の有無に基づいて1次電圧制御モードから2次電圧制御モードへの切替又は2次電圧制御モードから1次電圧制御モードへの切替を行うか、あるいは、1次電流I1の値が所定の閾値を上回るか否かに基づいて1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードから1次電流制御モードへの切替を行う。この場合、1次電流制御モードへの切替後に、1次電圧V1又は2次電圧V2を監視して1次電流制御モードでの制御から1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、切替前後の駆動デューティが連続するように、フィードバック制御により切替後の駆動デューティを調整する(I項再設定処理部116にて補正デューティΔDiの再設定処理を行う)。
【0143】
ここで、切替前後で駆動デューティの連続性を持たせる際の効果について、図10A、図10B及び図11Bを参照しながら説明する。
【0144】
図10A及び図10Bの直線152及び曲線156で模式的に示すように、動作モードの切替時に切替前後の駆動デューティに連続性を持たせることで、図11Bに示すように、該動作モードの切替直後(時刻t20の前後)における電圧の変動を抑制することが可能となる。
【0145】
この場合、図11Bにおいて、時刻t20までは2次電圧制御モード(2次電圧V2の曲線160を電圧制御目標値V2tarの直線162に一致させる制御)を行っていたものを、時刻t20において1次電圧制御モード(1次電圧V1の曲線164を電圧制御目標値V1tarの直線168に一致させる制御)に切り替えた際に、時刻t20の前後で駆動デューティを連続させるようにすることで(図10A及び図10B参照)、1次電圧V1を電圧制御目標値V1tarに短時間で且つ確実に一致させることが可能となる。なお、図11Bにおいて、曲線166及び170は、いずれも、上記のI項成分の再設定処理を行わない場合を示しており、時刻t20の直後において、オーバーシュート(曲線166)及びアンダーシュート(曲線170)の電圧変動が発生している。
【0146】
このように、切替の前後で駆動デューティを連続させることにより、2次電圧制御モードから1次電圧制御モードへの切替後に動作モードを2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。また、動作モードが1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードから1次電流制御モードに切り替わった場合でも、1次電流制御モードから1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。
【0147】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書及び図面の記載内容に基づき、単相アームUAのDC/DCコンバータ36に限らず、U相、V相及びW相の3相アームのDC/DCコンバータを有するハイブリッド直流電源を備える燃料電池車両に適用する等、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の回路図である。
【図2】燃料電池の電流電圧特性の説明図である。
【図3】2次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図4】図3の判定器での判定結果の一覧表である。
【図5】1次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図6】図5の判定器での判定結果の一覧表である。
【図7】1次電流制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図8】コンバータ制御部により駆動制御されるDC/DCコンバータの基本動作についての説明に供されるフローチャートである。
【図9】判定器における判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10A及び図10Bは、電圧センサの故障の前後、あるいは、制御モードの切替前後における駆動デューティの時間的変化を模式的に示すグラフである。
【図11】図11Aは、電圧センサの故障の前後における2次電圧の時間的変化を模式的に示すグラフであり、図11Bは、制御モードの切替前後における1次電圧及び2次電圧の時間的変化を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0149】
10…ハイブリッド直流電源システム 20…燃料電池車両
22…燃料電池 23…VCU
24…バッテリ 26…モータ
34…インバータ 36…DC/DCコンバータ
54…コンバータ制御部 61、63…電圧センサ
62、64…電流センサ 81…上アームスイッチング素子
82…下アームスイッチング素子 106…PID演算部
114…PID処理部 116…I項再設定処理部
127…判定器 129、145…セレクタ
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1電力装置と第2電力装置との間に配置されたDC/DCコンバータを制御するDC/DCコンバータ装置及び該DC/DCコンバータ装置を備える電気車両、並びに、前記DC/DCコンバータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリ(第1電力装置)と燃料電池(第2電力装置)とを併用して車両走行用の電動機を駆動する電気車両において、前記燃料電池をインバータを介して前記電動機に接続すると共に、前記バッテリをDC/DCコンバータを介して前記燃料電池に並列に接続することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この場合、前記電気車両に搭載されたDC/DCコンバータ装置では、前記DC/DCコンバータの前記バッテリ側(1次側)の電圧(以下、1次電圧ともいう。)を1次電圧センサにより測定すると共に、前記燃料電池側(2次側)の電圧(以下、2次電圧ともいう。)を2次電圧センサにより測定し、前記DC/DCコンバータ装置の制御部は、測定した前記1次電圧及び前記2次電圧を用いた、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により前記2次電圧を制御する。
【0004】
【特許文献1】特開2007−159315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の技術では、1次電圧センサが測定した1次電圧及び2次電圧センサが測定した2次電圧を用いた、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により前記2次電圧を制御するので、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの電圧検出機能の失陥(故障)により前記1次電圧又は前記2次電圧が測定できなくなると、該2次電圧を制御することができない。また、特許文献1の技術では、測定した前記1次電圧及び前記2次電圧を用いて該2次電圧を制御するので、前記1次電圧及び前記2次電圧を用いて前記1次電圧を制御することはできない。
【0006】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、1次電圧センサ又は2次電圧センサの電圧検出機能の失陥(故障)に関わりなく、1次電圧又は2次電圧を制御することが可能となるDC/DCコンバータ装置及び該DC/DCコンバータ装置を備える電気車両、並びに、DC/DCコンバータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この項目では、理解の容易化のために、この明細書中に添付の図面中の参照数字を付けて説明するが、この項目に記載した内容がその参照数字を付けたものに限定して解釈されるものではない。
【0008】
この発明に係るDC/DCコンバータ装置23は、図1及び図3〜図7に示すように、
第1電力装置24と第2電力装置22との間に配置され且つスイッチング素子81、82を有するDC/DCコンバータ36と、前記スイッチング素子81、82を所定のデューティで駆動する制御部54と、前記DC/DCコンバータ36の前記第1電力装置24側の電圧(1次電圧)V1を測定する1次電圧センサ61と、前記DC/DCコンバータ36の前記第2電力装置22側の電圧(2次電圧)V2を測定する2次電圧センサ63とを有し、
前記1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧V2を制御する2次電圧制御モードを動作モードとして備え、前記制御部54が前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、
前記制御部54は、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係るDC/DCコンバータ36の制御方法は、図1及び図3〜図9に示すように、
第1電力装置24と第2電力装置22との間に配置されたDC/DCコンバータ36のスイッチング素子81、82を所定のデューティで駆動し、該DC/DCコンバータ36の前記第1電力装置24側の電圧(1次電圧)V1を1次電圧センサ61で測定し、前記DC/DCコンバータ36の前記第2電力装置22側の電圧(2次電圧)V2を2次電圧センサ63で測定し、前記1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧V2を制御する2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、
前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、
前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することを特徴としている。
【0010】
これらの発明によれば、前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、前記フィードバック制御及び/又は前記フィードフォワード制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する場合に、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障(前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御するので、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することが可能となる。
【0011】
すなわち、これらの発明では、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障状況に応じて、前記動作モード(前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モード)、並びに、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を継続して制御することができる。
【0012】
この場合、前記制御部54は、前記故障していないと判定した前記電圧センサが測定した電圧及び前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2の目標値V1tar、V2tarを用いて前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御することが好ましい。
【0013】
具体的には、前記2次電圧制御モードが前記動作モードである場合に、前記制御部54は、前記1次電圧センサ61が故障していると判定したときには、前記2次電圧V2の目標値V2tar及び前記2次電圧センサ63が測定した前記2次電圧V2を用いる前記フィードバック制御により前記2次電圧V2を制御し、前記2次電圧センサ63が故障していると判定したときには、前記目標値V2tar及び前記1次電圧センサ61が測定した前記1次電圧V1を用いる前記フィードフォワード制御により前記2次電圧V2を制御する。
【0014】
一方、前記1次電圧制御モードが動作モードである場合に、前記制御部54は、前記1次電圧センサ61が故障していると判定したときには、前記1次電圧V1の目標値V1tar及び前記2次電圧センサ63が測定した前記2次電圧V2を用いる前記フィードフォワード制御により前記1次電圧V1を制御し、前記2次電圧センサ63が故障していると判定したときには、前記目標値V1tar及び前記1次電圧センサ61が測定した前記1次電圧V1を用いる前記フィードバック制御により前記1次電圧V1を制御する。
【0015】
従って、前記制御部54では、6種類の電圧制御の組み合わせ(前記2次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御、前記2次電圧制御モードと前記フィードバック制御、前記2次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御と前記フィードバック制御、前記1次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御、前記1次電圧制御モードと前記フィードバック制御、及び、前記1次電圧制御モードと前記フィードフォワード制御と前記フィードバック制御、の6通りの組み合わせ)を予め用意しておき、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63の故障状況に応じて、前記電圧制御の組み合わせを使い分けることにより、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2の継続的な制御を確実に行うことができる。
【0016】
ここで、前記制御部54は、前記フィードバック制御により前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する際に、故障の前後の前記デューティが連続するように、積分動作を含む前記フィードバック制御により故障後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0017】
これにより、前記故障の前後で前記デューティが連続的になるので、該故障の直後における電圧及び電流の変動を抑制することが可能となる。
【0018】
この場合、前記制御部54は、故障前後の前記デューティが略等しくなるように、故障後の前記フィードバック制御の積分項を変更することが好ましい。
【0019】
これにより、前記故障の前後における前記デューティの唐突な変化(急変)を確実に防止することができるので、前記故障の直後における電圧及び電流の変動を効率よく抑制することが可能となる。
【0020】
また、前記制御部54は、比例動作、前記積分動作及び微分動作を含む前記フィードバック制御を行い、故障前の前記デューティと故障後の前記フィードバック制御の比例項及び微分項との差に基づいて、故障後の前記積分項を変更することが好ましい。
【0021】
これにより、比例積分微分動作(PID動作)の前記フィードバック制御により前記1次電圧V1、前記2次電圧V2又は前記1次電流I1を制御するDC/DCコンバータ装置23に、この発明を適用することが可能となる。
【0022】
さらに、前記DC/DCコンバータ36を介して前記第1電力装置24と前記第2電力装置22との間を流れる電流の値が閾値を上回らないように、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を制御する電流制限モードを前記動作モードとしてさらに備えている場合に、前記制御部54は、前記1次電圧制御モード、前記2次電圧制御モード及び前記電流制限モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0023】
これにより、前記動作モードの切替時に切替前後の前記デューティに連続性を持たせることで、該動作モードの切替直後における電圧及び電流の変動を抑制することが可能となる。
【0024】
この場合、前記制御部54は、前記第1電力装置24側での断線の可能性の有無に基づいて、前記1次電圧制御モードから前記2次電圧制御モードへの切替又は前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替を行うか、あるいは、前記電流の値が前記閾値を上回るか否かに基づいて、前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードへの切替を行い、さらに、前記電流制限モードへの切替後に、前記1次電圧V1又は前記2次電圧V2を監視して前記電流制限モードでの制御から前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整することが好ましい。
【0025】
これにより、前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替後に前記動作モードを前記2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。また、前記動作モードが前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードに切り替わった場合でも、前記電流制限モードから前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。
【0026】
そして、前記制御部54は、前記1次電圧V1の目標値V1tarと前記2次電圧V2との比(以下、第1電圧比V1tar/V2という。)を計算して、前記第1電圧比V1tar/V2と現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と所定の閾値THrとの比較に基づいて、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定するか、あるいは、前記1次電圧V1と前記2次電圧V2の目標値V2tarとの比(以下、第2電圧比V1/V2tarという。)を計算して、前記第2電圧比V1/V2tarと前記現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と前記閾値THrとの比較に基づいて、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを判定することが好ましい。
【0027】
これにより、前記1次電圧センサ61又は前記2次電圧センサ63が故障しているか否かを確実に検出することができる。
【0028】
そして、この発明に係る電気車両20は、上述したDC/DCコンバータ装置23を備え、前記第1電力装置24は、補機44に接続され、且つ前記1次電圧V1を発生する蓄電装置であり、前記第2電力装置22は、車輪16を回転させる電動機26と、駆動回路34を介して前記電動機26に接続され且つ発電電圧Vfを発生する発電装置22とを有し、前記発電電圧Vf又は前記電動機26が発電機として動作したときに前記駆動回路34に発生する回生電圧を前記2次電圧V2とすることを特徴としている。
【0029】
前記電気車両20が前記DC/DCコンバータ装置23を採用することにより、上述したDC/DCコンバータ装置23の効果を容易に得ることができる。
【0030】
この場合、前記発電装置は、燃料電池22であることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、1次電圧制御モード及び2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、フィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により1次電圧又は2次電圧を制御する場合に、1次電圧センサ又は2次電圧センサが故障(前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御するので、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御することが可能となる。
【0032】
すなわち、これらの発明では、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサの故障状況に応じて、動作モード(前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モード)、並びに、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、前記1次電圧又は前記2次電圧を継続して制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態に係るハイブリッド直流電源システム10が適用された一実施形態に係る燃料電池車両(電気車両)20の回路図である。
【0035】
ハイブリッド直流電源システム10は、基本的には、エネルギストレージでありバッテリ電圧Vbatを発生する蓄電装置(以下、バッテリともいう。)24(第1電力装置)と、このバッテリ電圧Vbatより高い電圧である発電電圧Vfを発生する発電装置としての燃料電池22(第2電力装置)と、バッテリ24と燃料電池22との間に配置され電圧変換するDC/DCコンバータ36と、統括制御部56(上位制御部)から供給される電圧指令値に応じてDC/DCコンバータ36の電圧制御目標値を設定し、バッテリ24と燃料電池22との間での前記電圧変換を制御するコンバータ制御部54とから構成される。
【0036】
ここで、コンバータ制御部54とDC/DCコンバータ36とは、バッテリ24が接続される1次側1Sと、燃料電池22及びモータ26(インバータ34)が接続される2次側2Sとの間で、昇降圧の電圧変換を行うDC/DCコンバータ装置{VCU(Voltage Control Unit)という。}23を構成する。
【0037】
燃料電池車両20は、前記のハイブリッド直流電源システム10と、このハイブリッド直流電源システム10からモータ電流Im(電力)がインバータ(駆動回路)34を通じて供給される負荷としての走行用のモータ26(電動機)と、から構成される。
【0038】
モータ26の回転は、減速機12、シャフト14を通じて車輪16に伝達され、車輪16を回転させる。
【0039】
燃料電池22は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成されたセルを積層したスタック構造である。燃料電池22には、水素タンク28とエアコンプレッサ30とが配管により接続されている。燃料電池22内で反応ガスである水素(燃料ガス)と空気(酸化剤ガス)との電気化学反応により生成された発電電流Ifは、電流センサ32及びダイオード(ディスコネクトダイオードともいう。)33を介して、インバータ34及び(又は)DC/DCコンバータ36側に供給される。
【0040】
インバータ34は、直流/交流変換を行い、モータ電流Imをモータ26に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後のモータ電流Imを2次側2SからDC/DCコンバータ36を通じて1次側1Sに供給する。
【0041】
この場合、回生電圧又は発電電圧Vfである2次電圧V2がDC/DCコンバータ36により低電圧に変換された1次電圧V1は、ダウンバータ42により降圧されてさらに低電圧とされ、ライト、パワーウインド、ワイパー用電動機等の補機44に補機電流Iauとして供給されると共に、余剰電力があればバッテリ電流Ibat(充電電流Ibc)としてバッテリ24に流し込まれバッテリ24を充電する。
【0042】
1次側1Sに電力ケーブル18を通じて接続されるバッテリ24は、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素2次電池又はキャパシタを利用することができる。この実施形態では、リチウムイオン2次電池を利用している。
【0043】
バッテリ24は、ダウンバータ42を通じて補機44に補機電流Iauを供給すると共に、DC/DCコンバータ36を通じてインバータ34にモータ電流Imを供給するためのバッテリ電流Ibat(放電電流Ibd)を流し出す。
【0044】
なお、インバータ34に供給されるモータ電流Imは、バッテリ電流IbatがVCU23により変換された2次電流I2と発電電流Ifとの合成電流である。
【0045】
バッテリ24の正極側の出力端には、直列にバッテリ短絡保護用のヒューズ25が挿入されている。バッテリ24の負極側の線路と、図1中、1次側1Sが指すバッテリ24の正極側に繋がる線路との間が短絡された場合には、ヒューズ25は、バッテリ24を保護するために溶断する。
【0046】
ダウンバータ42は、出力側に絶縁トランスを有し、補機44の正極側には前記絶縁トランスの2次コイル側の整流電圧が供給され、負極側はシャーシに接地されている。
【0047】
1次側1S及び2次側2Sには、それぞれ平滑用のコンデンサ38、39が設けられている。
【0048】
燃料電池22を含むシステムはFC制御部50により制御され、インバータ34とモータ26とを含むシステムはインバータ駆動部を含むモータ制御部52により制御され、DC/DCコンバータ36を含むシステムはコンバータ駆動部を含むコンバータ制御部54により、それぞれ基本的に制御される。
【0049】
そして、これらFC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、燃料電池22の総負荷量Lt等を決定する上位制御部としての統括制御部56により制御される。
【0050】
統括制御部56、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、それぞれCPU、ROM、RAM、タイマの他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェース、並びに、必要に応じてDSP(Digital Signal Processor)等を有している。
【0051】
統括制御部56、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54は、車内LANであるCAN(Controller Area Network)等の通信線70を通じて相互に接続され、各種スイッチ及び各種センサからの入出力情報を共有し、これら各種スイッチ及び各種センサからの入出力情報を入力として各CPUが各ROMに格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
【0052】
ここで、車両状態を検出する各種スイッチ及び各種センサとしては、発電電流Ifを検出する電流センサ32の他、1次電圧V1(バッテリ電圧Vbatに等しい。)を検出する電圧センサ61、1次電流I1{バッテリ電流Ibat(放電電流Ibd又は充電電流Ibc)}を検出する電流センサ62、2次電圧V2(ディスコネクトダイオード33が導通しているとき、略燃料電池22の発電電圧Vfに等しい。)を検出する電圧センサ63、2次電流I2を検出する電流センサ64、通信線70に接続されるイグニッションスイッチ(IGSW)65、アクセルセンサ66、ブレーキセンサ67、車速センサ68、及び上記したライト、パワーウインド、ワイパー用電動機等の補機44の操作部55等がある。
【0053】
統括制御部56は、燃料電池22の状態、バッテリ24の状態、モータ26の状態、及び補機44の状態の他、各種スイッチ及び各種センサからの入力(負荷要求)に基づき決定した燃料電池車両20の総負荷要求量Ltから、燃料電池22が負担すべき燃料電池分担負荷量(要求出力)Lfと、バッテリ24が負担すべきバッテリ分担負荷量(要求出力)Lbと、回生電源が負担すべき回生電源分担負荷量Lrとの配分(分担)を調停しながら決定し、FC制御部50、モータ制御部52及びコンバータ制御部54に指令を送出する。
【0054】
DC/DCコンバータ36は、バッテリ24と、燃料電池22又は回生電源(インバータ34とモータ26)との間に接続される、上アーム素子(上アームスイッチング素子81と並列ダイオード83)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82と並列ダイオード84)とからなる相アーム(単相アーム)UAと、リアクトル90とから構成される。
【0055】
上アームスイッチング素子81と下アームスイッチング素子82とは、それぞれ例えば、MOSFET又はIGBT等で構成される。
【0056】
リアクトル90は、DC/DCコンバータ36により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積するために、前記上アーム素子及び前記下アーム素子の接続点とバッテリ24との間に挿入されている。
【0057】
上アームスイッチング素子81は、コンバータ制御部54から出力される駆動信号(駆動電圧)UHによりオン又はオフされ、下アームスイッチング素子82は、駆動信号(駆動電圧)ULによりオン又はオフされる。
【0058】
1次電圧V1、代表的には、負荷が接続されていないときのバッテリ24の開放電圧OCV(Open Circuit Voltage)は、図2の燃料電池出力特性(電流電圧特性)91上に示すように、この燃料電池22の発電電圧Vfの最低電圧Vfminより高い電圧に設定されている。なお、図2において、バッテリ24の開放電圧OCVをOCV≒V1と描いている。
【0059】
2次電圧V2は、燃料電池22が発電動作しているときには燃料電池22の発電電圧Vfに等しい電圧にされる。
【0060】
ただし、燃料電池22の発電電圧Vfがバッテリ24の電圧Vbat(=V1)に等しくなったときには、図2に一点鎖線の太線で示す直結状態とされる。
【0061】
直結状態では、上アームスイッチング素子81に供給される駆動信号UHのデューティが、例えば100[%]にされ、下アームスイッチング素子82の駆動信号ULのデューティは、例えば0[%]にされる。直結状態において、2次側2Sから1次側1Sへ電流が流れる充電方向(回生方向)の場合には、上アームスイッチング素子81を通じて電流が流れ、1次側1Sから2次側2Sへ電流が流れる力行方向の場合には、ダイオード83を通じて電流が流れる。
【0062】
従って、この直結状態では、DC/DCコンバータ36では電圧変換がなされない。なお、上述したように、厳密には、下アームスイッチング素子82が最小オン時間以上の時間オン駆動されないと、実際に下アームスイッチング素子82がオンにならないので、下アームスイッチング素子82が最小オン時間より短いオン時間で駆動された場合には、駆動信号ULのデューティが0[%](駆動信号UHのデューティが100[%])になる前に直結状態となるが、理解の容易化のために、以下、直結状態では、上アームスイッチング素子81の駆動信号UHのデューティは100[%]、下アームスイッチング素子82の駆動信号ULのデューティは0[%]になっているものとする。
【0063】
ここで、VCU23による燃料電池22の出力制御について説明する。
【0064】
水素タンク28からの燃料ガス及びエアコンプレッサ30からの圧縮空気が供給されている発電時に、燃料電池22の発電電流Ifは、図2に示した特性91{関数F(Vf)という。}上で2次電圧V2、すなわち、発電電圧Vfをコンバータ制御部54によりDC/DCコンバータ36を通じて設定することにより決定される。つまり、発電電流Ifは、発電電圧Vfの関数F(Vf)値として決定される。If=F(Vf)であり、例えば発電電圧VfをVf=Vfa=V2と設定すれば、その発電電圧Vfa(V2)の関数値としての発電電流Ifaが決定される。{Ifa=F(Vfa)=F(V2)}。
【0065】
具体的に、燃料電池22は、発電電圧Vfの減少に応じて流し出される電流である発電電流Ifが増加し、発電電圧Vfの増加に応じて流し出される発電電流Ifが減少する。
【0066】
このように、燃料電池22は、2次電圧V2(発電電圧Vf)を決定することにより発電電流Ifが決定されるので、燃料電池車両20等、燃料電池22を含むシステムでは、通常時には、DC/DCコンバータ36の2次側2Sの2次電圧V2(発電電圧Vf)が、コンバータ制御部54を含むVCU23のフィードバック制御の電圧制御目標値V2tar(図3参照)に設定される。すなわち、VCU23により燃料電池22の出力(発電電流If)が制御される。以上が、VCU23による燃料電池22の出力制御の説明である。
【0067】
図3は、2次電圧制御モード時(電圧制御目標値V2tar)におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図である。
【0068】
この2次電圧制御モードでは、統括制御部56で演算された2次電圧指令値V2com(電圧制御目標値V2tar)が演算点104に減算信号として供給され、演算点110に除算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0069】
また、電圧センサ61(図1参照)で検出された1次電圧V1が演算点110に乗算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。さらに、電圧センサ63で検出された2次電圧V2が演算点104に加算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0070】
演算点104は、電圧制御目標値V2tar(2次電圧指令値V2com)と、2次電圧V2との偏差e(e=V2−V2tar)を、PID演算部106のPID処理部114に出力する。PID処理部114は、比例(P)、積分(I)、微分(D)動作部であり、偏差eをデューティの補正値である補正デューティΔDに変換して、セレクタ129の接点131に出力する。なお、補正デューティΔDは、下記の(1)式に示すように、P項成分による補正デューティΔDpと、I項成分による補正デューティΔDiと、D項成分による補正デューティΔDdとの合成値である。
ΔD=ΔDp+ΔDi+ΔDd (1)
【0071】
演算点110は、1次電圧V1から電圧制御目標値V2tarを除して得られる基準デューティDs(Ds=V1/V2tar=V1/V2com)をセレクタ145の接点139に出力する。
【0072】
判定器127は、1次電圧V1、2次電圧V2及び電圧制御目標値V2tarに基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定し、判定結果を示す判定結果信号Sj1、Sj2をセレクタ129、145にそれぞれ出力すると共に、判定結果信号Sj1、Sj2をPID演算部106のI項再設定処理部116に出力する。
【0073】
ここで、判定器127の具体的な判定処理について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図4は、判定器127での判定結果の一覧表を示している。
【0074】
判定器127は、1次電圧V1及び電圧制御目標値V2tarの比(第2電圧比)V1/V2tar、並びに、1次電圧V1及び2次電圧V2の比V1/V2を算出し、各比V1/V2tar、V1/V2と、PWM(パルス幅変調)処理部112が前回生成して、現在の上アームスイッチング素子81の駆動に用いられている駆動信号UHの駆動デューティDH(PWM処理部112が前回生成し、現在、上アームスイッチング素子81がオン又はオフしている時の駆動デューティ)との差の絶対値|V1/V2tar−DH|、|V1/V2−DH|を算出する。
【0075】
そして、判定器127は、算出した絶対値|V1/V2tar−DH|、|V1/V2−DH|と所定の閾値THrとをそれぞれ比較することにより、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。すなわち、電圧センサ61、63が故障していなければ、V1/V2tar及びV1/V2は、基準デューティDsに略等しいとみなすことができるので(Ds≒V1/V2tar及びDs≒V1/V2)、判定器127では、V1/V2tar及びV1/V2とDHとの差の絶対値が閾値THrよりも大きいか否かを判断することで、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。
【0076】
ここで、2次電圧制御モード時における、|V1/V2tar−DH|及び|V1/V2−DH|と閾値THrとの大小関係に応じた、コンバータ制御部54内の処理について、以下に説明する。
【0077】
先ず、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図4の上から1番目の判定条件の欄を参照)。
【0078】
この場合、判定器127は、電圧センサ61、63が故障していない(正常である)と判定し、判定結果信号Sj1をセレクタ129に出力し、判定結果信号Sj2をセレクタ145に出力すると共に、判定結果信号Sj1、Sj2をI項再設定処理部116に出力する。
【0079】
セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点131側に切り替える。これにより、接点131に供給された補正デューティΔDは、可動接点137を介し演算点108に加算信号として供給される。セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点139側に切り替える。これにより、接点139に供給された基準デューティDsは、可動接点143を介し演算点108に加算信号として供給される。
【0080】
従って、演算点108は、一方の入力である補正デューティΔDと、他方の入力である基準デューティDsとを加算して、加算結果としての駆動デューティD(D=Ds+ΔD=V1/V2tar+ΔD)をPWM処理部112に出力し、PWM処理部112は、駆動デューティDに基づき、上アームスイッチング素子81に駆動デューティDH(DH=V1/V2tar+ΔD)の駆動信号UHを供給すると共に、下アームスイッチング素子82に駆動デューティDL{DL=1−(V1/V2tar+ΔD)}の駆動信号ULを供給する。
【0081】
そのため、電圧センサ61、63が共に正常であれば(共に故障していなければ)、補正デューティΔD(フィードバック制御)及び基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定され、設定された駆動デューティDH、DLによって、各アームスイッチング素子81、82がオン又はオフ(DC/DCコンバータ36が制御)される。
【0082】
次に、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合について説明する(図4の上から2番目の判定条件の欄を参照)。
【0083】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が正常であり、一方で、電圧センサ63が故障していると判定する。セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点133側に切り替える。これにより、演算点108には、0[%]のデューティが供給される。すなわち、PID処理部114から演算点108への補正デューティΔDの出力が阻止される。一方、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点139側に切り替え、基準デューティDsを演算点108に供給する。
【0084】
従って、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障していれば、演算点108は、基準デューティDsを駆動デューティD(D=Ds)としてPWM処理部112に出力し、該PWM処理部112は、基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH(DH=Ds)、DL(DL=1−Ds)を設定する。
【0085】
次に、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図4の上から3番目の判定条件の欄を参照)。
【0086】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が故障し、一方で、電圧センサ63が正常であると判定する。
【0087】
I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づき電圧センサ61が故障していると判断し、補正デューティΔDのI項成分(I項再設定値としての補正デューティΔDi)の再設定処理を行う。
【0088】
すなわち、I項再設定処理部116は、現在の駆動デューティDH(PWM処理部112が前回生成した駆動デューティDH)に応じた補正デューティΔDiを算出し、算出した補正デューティΔDiをPID処理部114での今回のPID動作(補正デューティΔDの算出)におけるI項成分として該PID処理部114に出力(再設定)する。PID処理部114は、入力された補正デューティΔDiを、今回のI項成分とみなして補正デューティΔDの算出処理を行う。従って、PID処理部114から出力される今回の補正デューティΔDは、前記現在の駆動デューティDH(前回生成した駆動デューティDH)に応じた補正デューティΔDとなる。
【0089】
ここで、I項再設定処理部116からPID処理部114に再設定される補正デューティΔDi及びPID処理部114から出力される今回の補正デューティΔDは、下記の(2)式及び(3)式でそれぞれ表わされる。
ΔDi=(現在のDH)−(今回のΔDp)−(今回のΔDd) (2)
(今回のΔD)=(今回のΔDp)+{(2)式のΔDi}
+(今回のΔDd)
=(今回のΔDp)+{(現在のDH)−(今回のΔDp)
−(今回のΔDd)}+(今回のΔDd)
=(現在のDH) (3)
【0090】
この場合、セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点131側に切り替え、一方で、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点141側に切り替えて、演算点108に0[%]のデューティを供給するので(演算点108への基準デューティDsの出力を阻止するので)、演算点108は、前記再設定処理に基づく補正デューティΔDを駆動デューティD(D=ΔD)としてPWM処理部112に出力する。
【0091】
従って、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常であれば、PWM処理部112は、前記再設定処理に基づく補正デューティΔD(フィードバック制御)に基づいて駆動デューティDH(DH=ΔD)、DL(DL=1−ΔD)を設定する。
【0092】
次に、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合(図4の上から4番目の判定条件の欄を参照)に、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障していると判定し、セレクタ129は、判定結果信号Sj1に基づいて可動接点137を接点133側に切り替え、一方で、セレクタ145は、判定結果信号Sj2に基づいて可動接点143を接点141側に切り替える。これにより、演算点108には0[%]のデューティのみ供給されるので、PWM処理部112での駆動信号UH、ULの生成が停止するに至る(フィードバック制御及びフィードフォワード制御が停止する)。
【0093】
なお、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THr、|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THr、及び、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの各判定条件(図4の上から1番目、2番目及び4番目の各判定条件の欄)において、I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づく上記の再設定処理を行わない。
【0094】
コンバータ制御部54は、上述したように、通常時には、2次電圧指令値V2comに基づき2次電圧V2を制御するいわゆる2次電圧制御モード(図3及び図4参照)にてDC/DCコンバータ36を制御するが、これに限らず、必要に応じて、統括制御部56からの1次電圧指令値V1comに基づき1次電圧V1を制御する1次電圧制御モード(図5及び図6参照)、統括制御部56からの1次電流指令値I1comに基づき1次電流I1を制御する1次電流制御モード(電流制限モード、図7参照)に制御モード(動作モード)を切り替えて、DC/DCコンバータ36を制御することも可能である。
【0095】
図5は、1次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図を示す。また、図6は、1次電圧制御モード時における判定器127での判定結果の一覧表を示している。なお、図3及び図4と同じ構成要素については、同一の参照数字を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0096】
1次電圧制御モードによる制御は、電力ケーブル18(図1参照)の断線故障等によりバッテリ24が開放状態にされる等、バッテリ24が故障とみなされる特殊な場合に行われる。
【0097】
この1次電圧制御モードでは、統括制御部56で演算された1次電圧指令値V1com(電圧制御目標値V1tar)が演算点104に加算信号として供給され、演算点110に乗算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。また、1次電圧V1は、演算点104に減算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。さらに、2次電圧V2は、演算点110に除算信号として供給されると共に、判定器127にも供給される。
【0098】
演算点104は、電圧制御目標値V1tarと、1次電圧V1との偏差e(e=V1tar−V1)を、PID演算部106のPID処理部114に出力し、演算点110は、電圧制御目標値V1tarから2次電圧V2を除して得られる基準デューティDs(Ds=V1tar/V2=V1com/V2)をセレクタ145の接点139に出力する。
【0099】
判定器127は、比(第1電圧比)V1tar/V2及び比V1/V2を算出して、比V1tar/V2及びV1/V2と、現在の駆動デューティDHとの差の絶対値|V1tar/V2−DH|、|V1/V2−DH|を算出し、算出した絶対値|V1tar/V2−DH|、|V1/V2−DH|と閾値THrとをそれぞれ比較することにより、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障を判定する。
【0100】
ここで、1次電圧制御モード時における、|V1tar/V2−DH|及び|V1/V2−DH|と閾値THrとの大小関係に応じた、コンバータ制御部54の処理について、以下に説明する。
【0101】
先ず、|V1tar/V2−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図6の上から1番目の判定条件の欄を参照)。
【0102】
この場合、判定器127は、電圧センサ61、63が故障していない(正常である)と判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から1番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61、63が共に正常であれば、補正デューティΔD(フィードバック制御)及び基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0103】
次に、|V1tar/V2−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合について説明する(図6の上から2番目の判定条件の欄を参照)。
【0104】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が故障し、一方で、電圧センサ63が正常であると判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から2番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常であれば、基準デューティDs(フィードフォワード制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0105】
次に、|V1tar/V2−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrである場合について説明する(図6の上から3番目の判定条件の欄を参照)。
【0106】
この場合、判定器127は、電圧センサ61が正常であり、一方で、電圧センサ63が故障していると判定し、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から3番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障していれば、I項再設定処理部116は、前記の(2)式及び(3)式に基づいて補正デューティΔDiの再設定処理を行うので、再設定処理により算出された補正デューティΔD(フィードバック制御)に基づいて駆動デューティDH、DLが設定される。
【0107】
次に、|V1tar/V2−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrである場合(図6の上から4番目の判定条件の欄を参照)に、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障していると判定するので、コンバータ制御部54内では、前述した図4の上から4番目の判定条件の欄と同様の処理を行う。従って、電圧センサ61、63が共に故障しているときには、フィードバック制御及びフィードフォワード制御が停止するに至る。
【0108】
図7は、1次電流制御モード(電流制限モード)時におけるコンバータ制御部54の機能ブロック図を示す。
【0109】
なお、1次電流制御モードによる制御は、1次電流I1が過大な電流となったときに、バッテリ24の保護及びヒューズ25の溶断防止のために1次電流I1を直接的に制御(制限)する目的で行われる。
【0110】
この1次電流制御モードでは、統括制御部56で演算された1次電流指令値I1com(電流制御目標値I1tar)が演算点104に加算信号として供給され、一方で、電流センサ62で検出された1次電流I1が演算点104に減算信号として供給される。演算点104は、電流制御目標値(閾値)I1tarと、1次電流I1との偏差e(e=I1tar−I1)を、PID演算部106のPID処理部114に出力する。
【0111】
この実施形態に係る燃料電池車両20は、基本的には以上のように構成され且つ動作するものであり、次に、コンバータ制御部54によるDC/DCコンバータ36の制御に関して、2次電圧制御モードで制御する場合について、図8〜図11Bを参照しながら説明する。
【0112】
図8のステップS11において、統括制御部56により、それぞれが負荷要求であるモータ26の電力要求と補機44の電力要求とエアコンプレッサ30の電力要求から総負荷要求量Ltが決定(算出)されると、ステップS12において、統括制御部56は、決定した総負荷要求量Ltを出力するための燃料電池分担負荷量Lfと、バッテリ分担負荷量Lbと、回生電源分担負荷量Lrの配分を決定し、FC制御部50、コンバータ制御部54及びモータ制御部52に指令を与える。この場合、コンバータ制御部54のポート101には、2次電圧指令値V2comが送出される。
【0113】
次いで、ステップS13において、統括制御部56により決定された燃料電池分担負荷量(実質的に、コンバータ制御部54に対する発電電圧Vfの2次電圧指令値V2comが含まれる。)Lfが通信線70を通じてコンバータ制御部54に指令として送信される。
【0114】
この場合、燃料電池分担負荷量Lfの指令(2次電圧指令値V2com)を受信したコンバータ制御部54は、ステップS14において、基本的に、2次電圧V2、換言すれば、燃料電池22の発電電圧Vfが、統括制御部56から指令された指令電圧V2comとなるように、DC/DCコンバータ36の各アームスイッチング素子81、82の駆動デューティを制御する(2次電圧制御モード)。
【0115】
図9は、ステップS14について、判定器127での判定処理を詳細に説明するためのフローチャートである。
【0116】
ステップS20において、判定器127は、電圧センサ61、63が共に故障しているか否か、すなわち、|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|≧THrであるか(図4の上から4番目の判定条件の欄に該当するか)否かを判定する。
【0117】
ステップS20において、電圧センサ61、63が共に故障していないと判定した場合に(ステップS20のNO)、判定器127は、次に、電圧センサ63が故障しているか否か(図4の上から2番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの条件に該当するか否か)を判定する(ステップS21)。
【0118】
ステップS21において、電圧センサ63が故障していないと判定した場合に(ステップS21のNO)、判定器127は、次に、電圧センサ61が故障しているか否か(図4の上から3番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当するか否か)を判定する(ステップS22)。
【0119】
ステップS22において、電圧センサ61が故障していないと判定した場合に(ステップS22のNO)、判定器127は、電圧センサ61、63が共に正常である(図4の上から1番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当する)と判定し、フィードバック制御及びフィードフォワード制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS23)。
【0120】
上記のステップS22において、電圧センサ61が故障していると判定した場合(ステップS22のYES)、判定器127は、電圧センサ61が故障し且つ電圧センサ63が正常である(図4の上から3番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|≧THr且つ|V1/V2−DH|<THrの条件に該当する)と判定し、フィードバック制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS24)。そして、判定器127は、上記の判定結果を示す判定結果信号Sj1、Sj2を出力し、I項再設定処理部116は、判定結果信号Sj1、Sj2に基づき補正デューティΔDiの再設定処理を行う(ステップS25)。
【0121】
また、ステップS21において、電圧センサ63が故障していると判定した場合(ステップS21のYES)、判定器127は、電圧センサ61が正常であり且つ電圧センサ63が故障している(図4の上から2番目の判定条件の欄の|V1/V2tar−DH|<THr且つ|V1/V2−DH|≧THrの条件に該当する)と判定し、フィードフォワード制御により2次電圧V2を制御することを決定する(ステップS26)。
【0122】
さらに、ステップS20において、電圧センサ61、63が共に故障していると判定した場合(ステップS20のYES)、判定器127は、フィードフォワード制御及び/又はフィードバック制御による2次電圧V2の制御を停止することを決定する(ステップS27)。
【0123】
図10A及び図10Bは、電圧センサ61の故障の前後における駆動デューティDの時間的変化を模式的に示すグラフであり、図11Aは、前記故障の前後における2次電圧V2の時間的変化を模式的に示すグラフである。
【0124】
なお、図10A〜図11Aにおいて、時刻t20は、電圧センサ61が故障したときの時刻である。また、図10A及び図10Bにおいて、左側のグラフは、時刻t20の前後において、I項再設定処理部116(図3参照)による補正デューティΔDi(I項成分)の再設定処理が行われない場合を示し、右側のグラフは、I項成分の再設定処理が行われる場合を示している。
【0125】
図10A及び図10Bにおいて、I項成分の再設定処理が行われない場合に、駆動デューティの時間的変化を示す直線150及び曲線154は、時刻t20の前後において不連続となる。すなわち、直線150において、時刻t20前(故障前)に応じた直線150aと、時刻t20後(故障後)に応じた直線150bとが、時刻t20の前後で不連続となっている。また、曲線154において、時刻t20前に応じた曲線154aと、時刻t20後に応じた曲線154bとが、時刻t20の前後で不連続となっている。これは、時刻t20での電圧センサ61の故障(電圧検出機能の失陥)によってコンバータ制御部54に1次電圧V1が入力されなくなるか、あるいは、通常時では検出され得ないような大きさの電圧がコンバータ制御部54に入力されることにより、駆動デューティ(駆動デューティDH、DL)を精度よく調整することができなくなることに起因している。
【0126】
これに対して、図10A及び図10Bにおいて、I項成分の再設定処理が行われる場合には、駆動デューティの時間的変化を示す直線152及び曲線156は、時刻t20の前後において連続している。
【0127】
すなわち、直線152において、時刻t20直前の駆動デューティ(故障前の駆動デューティ)と、時刻t20直後の駆動デューティ(故障後の駆動デューティ)とは一致しており、該直線152は、時刻t20の前後で連続している。また、曲線156についても、時刻t20直前の駆動デューティ(故障前の駆動デューティ)と、時刻t20直後の駆動デューティ(故障後の駆動デューティ)とは一致し、該曲線156は、時刻t20の前後で連続している。
【0128】
これは、図3に示すように、I項再設定処理部116が、電圧センサ61が故障したと判断した場合に、故障直後の駆動デューティが故障前の駆動デューティとなるように、前記故障前の駆動デューティに応じたI項成分(補正デューティΔDi)を出力し、PID処理部114は、入力された前記I項成分を、前記故障直後のPID動作におけるI項成分とみなして補正デューティΔDの算出処理を行うためである。
【0129】
これにより、PWM処理部112は、前記I項成分に応じた駆動デューティDH、DL(前記故障前の駆動デューティに応じた駆動デューティDH、DL)を、故障後の駆動デューティDH、DLとして出力する。この結果、図11Aに示すように、電圧センサ61の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、時刻t20の前後で2次電圧V2の曲線162を電圧制御目標値V2tarの直線160に制御することが可能となる。
【0130】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、1次電圧制御モード及び2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにて、フィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により1次電圧V1又は2次電圧V2を制御する場合に、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障(電圧センサ61又は電圧センサ63の電圧検出機能が失陥)したときには、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより、1次電圧V1又は2次電圧V2を制御するので、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障(電圧検出機能の失陥)に関わりなく、1次電圧V1又は2次電圧V2を制御することが可能となる。
【0131】
すなわち、この実施形態では、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障状況に応じて、動作モード(1次電圧制御モード又は2次電圧制御モード)、並びに、フィードバック制御及びフィードフォワード制御の組み合わせ(電圧制御の組み合わせ)を使い分けることにより、1次電圧V1又は2次電圧V2を継続して制御することができる。
【0132】
また、コンバータ制御部54では、6種類の電圧制御の組み合わせ(2次電圧制御モードとフィードフォワード制御、2次電圧制御モードとフィードバック制御、2次電圧制御モードとフィードフォワード制御とフィードバック制御、1次電圧制御モードとフィードフォワード制御、1次電圧制御モードとフィードバック制御、及び、1次電圧制御モードとフィードフォワード制御とフィードバック制御、の6通りの組み合わせ)を予め用意しておき、電圧センサ61又は電圧センサ63の故障状況に応じて、前記電圧制御の組み合わせを使い分けることにより、1次電圧V1又は2次電圧V2の継続的な制御を確実に行うことができる。
【0133】
さらに、コンバータ制御部54は、フィードバック制御により1次電圧V1又は2次電圧V2を制御する際に、故障の前後の駆動デューティが連続するように、積分動作を含むフィードバック制御により故障後の駆動デューティを調整する。すなわち、故障の前後で駆動デューティに連続性を持たせることで、該故障の直後における電圧及び電流の急激な変動を抑制することが可能となる。
【0134】
この場合、コンバータ制御部54は、故障前後の駆動デューティが略等しくなるように、故障後のフィードバック制御のI項成分(補正デューティΔDi)を変更することにより、故障の前後における駆動デューティの唐突な変化(急変)を確実に防止することができ、この結果、故障の直後における電圧及び電流の変動を効率よく抑制することが可能となる。
【0135】
また、コンバータ制御部54は、P動作、I動作及びD動作を含むフィードバック制御を行い、(2)式及び(3)式に基づいて故障後のI項成分(補正デューティΔDi)を変更することで、PID動作のフィードバック制御により1次電圧V1、2次電圧V2又は1次電流I1を制御するDC/DCコンバータ装置23に、この実施形態を適用することが可能となる。
【0136】
さらにまた、判定器127では、図4、図6及び図9に示すように、比V1tar/V2、V1/V2tarと現在のデューティDHとの差の絶対値と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定するので、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを確実に検出することができる。
【0137】
なお、判定器127は、上述したように、比V1tar/V2、V1/V2tarと現在のデューティDHとの差の絶対値と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定しているが、これに代えて、V1tar/V2、V1/V2tarと現在の駆動デューティDHとの比{(V1tar/V2)÷DH、(V1/V2tar)÷DH}と、閾値THrとの比較に基づいて、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障しているか否かを判定してもよい。
【0138】
前述したように、電圧センサ61、63が共に正常であれば、V1tar/V2、V1/V2tarと駆動デューティDHとは、略等しいとみなすことができるので、この場合には、V1tar/V2、V1/V2tarとDHとの比は、略1{(V1tar/V2)÷DH≒1及び(V1/V2tar)÷DH≒1}となるはずである。従って、(V1tar/V2)÷DHや(V1/V2tar)÷DHが1から大きく外れて、閾値THrよりも大きくなるか、あるいは、小さくなるようなときには、電圧センサ61又は電圧センサ63が故障していると確実に判定することができる。
【0139】
そして、燃料電池車両20に上述したDC/DCコンバータ装置23を搭載することにより、上述の効果を容易に得ることができる。
【0140】
この実施形態は、上記の説明に限定されるものではなく、この明細書及び図面の記載内容に基づき、種々の構成に変更することが可能である。
【0141】
すなわち、コンバータ制御部54は、上述した1次電圧制御モード、2次電圧制御モード及び1次電流モードの動作モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の駆動デューティが連続するように、フィードバック制御により切替後の駆動デューティを調整する(I項再設定処理部116にて補正デューティΔDiの再設定処理を行う)ことが好ましい。
【0142】
具体的に、コンバータ制御部54において、バッテリ24側での断線の可能性の有無に基づいて1次電圧制御モードから2次電圧制御モードへの切替又は2次電圧制御モードから1次電圧制御モードへの切替を行うか、あるいは、1次電流I1の値が所定の閾値を上回るか否かに基づいて1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードから1次電流制御モードへの切替を行う。この場合、1次電流制御モードへの切替後に、1次電圧V1又は2次電圧V2を監視して1次電流制御モードでの制御から1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、切替前後の駆動デューティが連続するように、フィードバック制御により切替後の駆動デューティを調整する(I項再設定処理部116にて補正デューティΔDiの再設定処理を行う)。
【0143】
ここで、切替前後で駆動デューティの連続性を持たせる際の効果について、図10A、図10B及び図11Bを参照しながら説明する。
【0144】
図10A及び図10Bの直線152及び曲線156で模式的に示すように、動作モードの切替時に切替前後の駆動デューティに連続性を持たせることで、図11Bに示すように、該動作モードの切替直後(時刻t20の前後)における電圧の変動を抑制することが可能となる。
【0145】
この場合、図11Bにおいて、時刻t20までは2次電圧制御モード(2次電圧V2の曲線160を電圧制御目標値V2tarの直線162に一致させる制御)を行っていたものを、時刻t20において1次電圧制御モード(1次電圧V1の曲線164を電圧制御目標値V1tarの直線168に一致させる制御)に切り替えた際に、時刻t20の前後で駆動デューティを連続させるようにすることで(図10A及び図10B参照)、1次電圧V1を電圧制御目標値V1tarに短時間で且つ確実に一致させることが可能となる。なお、図11Bにおいて、曲線166及び170は、いずれも、上記のI項成分の再設定処理を行わない場合を示しており、時刻t20の直後において、オーバーシュート(曲線166)及びアンダーシュート(曲線170)の電圧変動が発生している。
【0146】
このように、切替の前後で駆動デューティを連続させることにより、2次電圧制御モードから1次電圧制御モードへの切替後に動作モードを2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。また、動作モードが1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードから1次電流制御モードに切り替わった場合でも、1次電流制御モードから1次電圧制御モード又は2次電圧制御モードに速やかに復帰させることが可能となる。
【0147】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書及び図面の記載内容に基づき、単相アームUAのDC/DCコンバータ36に限らず、U相、V相及びW相の3相アームのDC/DCコンバータを有するハイブリッド直流電源を備える燃料電池車両に適用する等、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の回路図である。
【図2】燃料電池の電流電圧特性の説明図である。
【図3】2次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図4】図3の判定器での判定結果の一覧表である。
【図5】1次電圧制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図6】図5の判定器での判定結果の一覧表である。
【図7】1次電流制御モード時におけるコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図8】コンバータ制御部により駆動制御されるDC/DCコンバータの基本動作についての説明に供されるフローチャートである。
【図9】判定器における判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10A及び図10Bは、電圧センサの故障の前後、あるいは、制御モードの切替前後における駆動デューティの時間的変化を模式的に示すグラフである。
【図11】図11Aは、電圧センサの故障の前後における2次電圧の時間的変化を模式的に示すグラフであり、図11Bは、制御モードの切替前後における1次電圧及び2次電圧の時間的変化を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0149】
10…ハイブリッド直流電源システム 20…燃料電池車両
22…燃料電池 23…VCU
24…バッテリ 26…モータ
34…インバータ 36…DC/DCコンバータ
54…コンバータ制御部 61、63…電圧センサ
62、64…電流センサ 81…上アームスイッチング素子
82…下アームスイッチング素子 106…PID演算部
114…PID処理部 116…I項再設定処理部
127…判定器 129、145…セレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電力装置と第2電力装置との間に配置され、スイッチング素子を有するDC/DCコンバータと、
前記スイッチング素子を所定のデューティで駆動する制御部と、
前記DC/DCコンバータの前記第1電力装置側の電圧(以下、1次電圧という。)を測定する1次電圧センサと、
前記DC/DCコンバータの前記第2電力装置側の電圧(以下、2次電圧という。)を測定する2次電圧センサと、
を有し、
前記1次電圧を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧を制御する2次電圧制御モードを動作モードとして備え、前記制御部が前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する場合に、
前記制御部は、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定し、前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項2】
請求項1記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、前記故障していないと判定した前記電圧センサが測定した電圧及び前記1次電圧又は前記2次電圧の目標値を用いて前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項3】
請求項2記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記2次電圧制御モードが前記動作モードである場合に、
前記制御部は、
前記1次電圧センサが故障していると判定したときには、前記2次電圧の目標値及び前記2次電圧センサが測定した前記2次電圧を用いる前記フィードバック制御により前記2次電圧を制御し、
前記2次電圧センサが故障していると判定したときには、前記目標値及び前記1次電圧センサが測定した前記1次電圧を用いる前記フィードフォワード制御により前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項4】
請求項2記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記1次電圧制御モードが動作モードである場合に、
前記制御部は、
前記1次電圧センサが故障していると判定したときには、前記1次電圧の目標値及び前記2次電圧センサが測定した前記2次電圧を用いる前記フィードフォワード制御により前記1次電圧を制御し、
前記2次電圧センサが故障していると判定したときには、前記目標値及び前記1次電圧センサが測定した前記1次電圧を用いる前記フィードバック制御により前記1次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、前記フィードバック制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する際に、故障の前後の前記デューティが連続するように、積分動作を含む前記フィードバック制御により故障後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項6】
請求項5記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、故障前後の前記デューティが略等しくなるように、故障後の前記フィードバック制御の積分項を変更する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項7】
請求項6記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、比例動作、前記積分動作及び微分動作を含む前記フィードバック制御を行い、
故障前の前記デューティと故障後の前記フィードバック制御の比例項及び微分項との差に基づいて、故障後の前記積分項を変更する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記DC/DCコンバータを介して前記第1電力装置と前記第2電力装置との間を流れる電流の値が閾値を上回らないように、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する電流制限モードを前記動作モードとしてさらに備えている場合に、
前記制御部は、前記1次電圧制御モード、前記2次電圧制御モード及び前記電流制限モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項9】
請求項8記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記第1電力装置側での断線の可能性の有無に基づいて、前記1次電圧制御モードから前記2次電圧制御モードへの切替又は前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替を行うか、
あるいは、前記電流の値が前記閾値を上回るか否かに基づいて、前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードへの切替を行い、さらに、前記電流制限モードへの切替後に、前記1次電圧又は前記2次電圧を監視して前記電流制限モードでの制御から前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、
切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記1次電圧の目標値と前記2次電圧との比(以下、第1電圧比という。)を計算して、前記第1電圧比と現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と所定の閾値との比較に基づいて、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定するか、
あるいは、前記1次電圧と前記2次電圧の目標値との比(以下、第2電圧比という。)を計算して、前記第2電圧比と前記現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と前記閾値との比較に基づいて、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置を備え、
前記第1電力装置は、補機に接続され、且つ前記1次電圧を発生する蓄電装置であり、
前記第2電力装置は、車輪を回転させる電動機と、駆動回路を介して前記電動機に接続され且つ発電電圧を発生する発電装置とを有し、前記発電電圧又は前記電動機が発電機として動作したときに前記駆動回路に発生する回生電圧を前記2次電圧とする
ことを特徴とする電気車両。
【請求項12】
請求項11記載の電気車両において、
前記発電装置が、燃料電池である
ことを特徴とする電気車両。
【請求項13】
第1電力装置と第2電力装置との間に配置されたDC/DCコンバータのスイッチング素子を所定のデューティで駆動し、該DC/DCコンバータの前記第1電力装置側の電圧(以下、1次電圧という。)を1次電圧センサで測定し、前記DC/DCコンバータの前記第2電力装置側の電圧(以下、2次電圧という。)を2次電圧センサで測定し、前記1次電圧を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧を制御する2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する場合に、
前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定し、
前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータの制御方法。
【請求項1】
第1電力装置と第2電力装置との間に配置され、スイッチング素子を有するDC/DCコンバータと、
前記スイッチング素子を所定のデューティで駆動する制御部と、
前記DC/DCコンバータの前記第1電力装置側の電圧(以下、1次電圧という。)を測定する1次電圧センサと、
前記DC/DCコンバータの前記第2電力装置側の電圧(以下、2次電圧という。)を測定する2次電圧センサと、
を有し、
前記1次電圧を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧を制御する2次電圧制御モードを動作モードとして備え、前記制御部が前記1次電圧制御モード及び前記2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する場合に、
前記制御部は、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定し、前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項2】
請求項1記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、前記故障していないと判定した前記電圧センサが測定した電圧及び前記1次電圧又は前記2次電圧の目標値を用いて前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項3】
請求項2記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記2次電圧制御モードが前記動作モードである場合に、
前記制御部は、
前記1次電圧センサが故障していると判定したときには、前記2次電圧の目標値及び前記2次電圧センサが測定した前記2次電圧を用いる前記フィードバック制御により前記2次電圧を制御し、
前記2次電圧センサが故障していると判定したときには、前記目標値及び前記1次電圧センサが測定した前記1次電圧を用いる前記フィードフォワード制御により前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項4】
請求項2記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記1次電圧制御モードが動作モードである場合に、
前記制御部は、
前記1次電圧センサが故障していると判定したときには、前記1次電圧の目標値及び前記2次電圧センサが測定した前記2次電圧を用いる前記フィードフォワード制御により前記1次電圧を制御し、
前記2次電圧センサが故障していると判定したときには、前記目標値及び前記1次電圧センサが測定した前記1次電圧を用いる前記フィードバック制御により前記1次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、前記フィードバック制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する際に、故障の前後の前記デューティが連続するように、積分動作を含む前記フィードバック制御により故障後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項6】
請求項5記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、故障前後の前記デューティが略等しくなるように、故障後の前記フィードバック制御の積分項を変更する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項7】
請求項6記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、比例動作、前記積分動作及び微分動作を含む前記フィードバック制御を行い、
故障前の前記デューティと故障後の前記フィードバック制御の比例項及び微分項との差に基づいて、故障後の前記積分項を変更する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記DC/DCコンバータを介して前記第1電力装置と前記第2電力装置との間を流れる電流の値が閾値を上回らないように、前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する電流制限モードを前記動作モードとしてさらに備えている場合に、
前記制御部は、前記1次電圧制御モード、前記2次電圧制御モード及び前記電流制限モードのうち、少なくとも2つの動作モードの切替時に、切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項9】
請求項8記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記第1電力装置側での断線の可能性の有無に基づいて、前記1次電圧制御モードから前記2次電圧制御モードへの切替又は前記2次電圧制御モードから前記1次電圧制御モードへの切替を行うか、
あるいは、前記電流の値が前記閾値を上回るか否かに基づいて、前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードから前記電流制限モードへの切替を行い、さらに、前記電流制限モードへの切替後に、前記1次電圧又は前記2次電圧を監視して前記電流制限モードでの制御から前記1次電圧制御モード又は前記2次電圧制御モードでの制御に復帰する際に、
切替前後の前記デューティが連続するように、前記フィードバック制御により切替後の前記デューティを調整する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置において、
前記制御部は、
前記1次電圧の目標値と前記2次電圧との比(以下、第1電圧比という。)を計算して、前記第1電圧比と現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と所定の閾値との比較に基づいて、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定するか、
あるいは、前記1次電圧と前記2次電圧の目標値との比(以下、第2電圧比という。)を計算して、前記第2電圧比と前記現在のデューティとの差又は比を計算し、計算した前記差又は前記比と前記閾値との比較に基づいて、前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定する
ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ装置を備え、
前記第1電力装置は、補機に接続され、且つ前記1次電圧を発生する蓄電装置であり、
前記第2電力装置は、車輪を回転させる電動機と、駆動回路を介して前記電動機に接続され且つ発電電圧を発生する発電装置とを有し、前記発電電圧又は前記電動機が発電機として動作したときに前記駆動回路に発生する回生電圧を前記2次電圧とする
ことを特徴とする電気車両。
【請求項12】
請求項11記載の電気車両において、
前記発電装置が、燃料電池である
ことを特徴とする電気車両。
【請求項13】
第1電力装置と第2電力装置との間に配置されたDC/DCコンバータのスイッチング素子を所定のデューティで駆動し、該DC/DCコンバータの前記第1電力装置側の電圧(以下、1次電圧という。)を1次電圧センサで測定し、前記DC/DCコンバータの前記第2電力装置側の電圧(以下、2次電圧という。)を2次電圧センサで測定し、前記1次電圧を制御する1次電圧制御モード及び前記2次電圧を制御する2次電圧制御モードのいずれかの動作モードにてフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御により前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する場合に、
前記1次電圧センサ又は前記2次電圧センサが故障しているか否かを判定し、
前記動作モードに応じた、前記フィードバック制御及び前記フィードフォワード制御の組み合わせのうち、故障していないと判定した電圧センサが測定した電圧を用いる制御の組み合わせにより前記1次電圧又は前記2次電圧を制御する
ことを特徴とするDC/DCコンバータの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−273337(P2009−273337A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124408(P2008−124408)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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