説明

DHODHインヒビター及びメトトレキセートを含んで成る、自己免疫疾患を処理するための組合せ治療

本発明は、メトトレキセートと組合して、式(I)の化合物による免疫学的及び炎症性障害の処理及び予防に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療学の分野に関し、より特定には、それは医薬組成物に関する。それはまた、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体及び式(I)の化合物の投与による自己免疫疾患の処理方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患は、外来物として身体の一部に関して、誤って導かれた免疫応答により引起される。例えば、リウマチ様関節炎においては、関節の一部が免疫系により攻撃され、そして多発生硬化症は、自己免疫攻撃による髄鞘の損失により特徴づけられる。
【0003】
リウマチ様関節炎(RA)は、関節の慢性炎症及び変性により特徴づけられる自己免疫疾患である。疾病の間、不可逆的関節破壊が、関節外出現の他に生じる。この障害は生命の性質の重度の障害及び有意な低下を導く。
【0004】
RAは、特に年配の人々間に通常である疾病である。従来の薬剤、例えば非ステロイド性抗炎症剤によるその処理は、満足のいくものではない。人口中の上昇するエージングの観点から、特に既開発西側諸国及び日本において、RAの処理のための新規薬剤の開発が緊急に必要とされる。
【0005】
一般的に、ほとんどの細胞は、細胞分裂のために必要とされるヌクレオチドを受けるためのサルベージ経路に依存する。しかし、急速な増殖の場合、この源は適切ではない。それらの急速に分裂する細胞は、ヌクレオチドを新たに生成すべきである。これは、プリン及びピリミジンについて2種の独立した経路により生じる。急速な細胞増殖のための最も重要な例は、免疫応答の間、リンパ球のクローン性拡張である。明らかに、この工程の選択的インヒビターは、RA、及び他の自己免疫疾患を処理するために、及び腫瘍学的適用のために、非常に治療的に価値あるものであり得る。
【0006】
ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)は、ピリミジンの新規合成のための律速酵素である。この酵素は、上記疾病の処理のための非常に有望な標的物である。
【0007】
実際、種々のインヒビターがすでに同定されている。それらのいくつかは臨床学的に試験されている。最も重要な例は、リウマチ様関節炎の通常の処理に現在使用されるレフルノミドである。しかしながら、FK778のブレキナルのような他の化合物に関しては、その開発は臨床学的段階において中断されている(DV Cramer (1996): Transplant Proc 28, 960 to 963; A Ma and H Chen (2002): Curr Drug Targets Cardiovasc Haematol Disord 2, 57 - 71)。
【0008】
最近の経験は、組合せ治療が時折、特に初期RAにおける単独治療に比較して、改良された効能を生むことを明確に示した。これは、生物剤との疾病変形抗リュウマチ薬剤(DMARD)の組合せののみならず、また複数のDMARDの同時投与に関して、特に真実である(JM Kremer et al. (2002): Ann Intern Med 137, 726 - 733)。
【0009】
従って、単独治療に比較して、改良された効能を生む組合せ治療を有することが好都合であろう。
【0010】
メトトレキセートは、現在リウマチ様関節炎の処理のために最も広く処方されるDMARDの1つである。メトトレキセートと他のDMARDとの組合せ療法は、低用量メトトレキセート処理の臨床学的成功を高める。これは、レフルノミドに関して示されており、そして公開されている(Ann Intern Med. 2002 Nov 5;137(9):I42, Clin Exp Rheumatol. 1999 Nov-Dec;17(6 Suppl 18):S66-8 and Arthritis Rheum. 1999 Jul;42(7): 1322-8)。
【0011】
相乗効果は、2種の化合物の作用の異なった及び明らかに補足的生化学機構により説明され得る(Semin Arthritis Rheum. 1999 Aug;29(1 ): 14-26)。低用量メトトレキセートは、サイトカイン生成、プリン生合成、及びアデノシンの開放を引起された動物モデルにおいては、有能な抗炎症剤を阻害する。レフルノミドは、新規のピリミジン生合成の阻害を通して、リンパ球増殖を調節することができる。
【0012】
メトトレキセート及びレフルノミドの組合せの欠点は、肝臓に対する両化合物の毒性にある。重度の肝臓毒性が、それらの2種の化合物により処理された患者に観察され(Arthrit. Rheum. 2000; 43(11):2609-11)、この組合せにより処理されたすべての患者における注意したモニターリングのための必要性をもたらす。従って、観察される添加剤又はさらに強化された肝臓毒性のために、RA患者におけるメトトレキセート及びレフルノミドの組合せ療法は一般的に、禁忌的である。
【0013】
結果的に、正の相乗的臨床学的効果を維持しながら、低い肝臓毒性を示す、この分野における安全な組成物についての必要がある。
【発明の概要】
【0014】
発明の記載:
本明細書に記載されるような式(I)のDHODHインヒビターとの組合せ療法においてメトトレキセートを投与することにより、処理の効能が高められるのみならず、またメトトレキセートの毒性副作用が低められることが、現在、思いがけなく見出された。この特定の効果は、毒性副作用の相乗作用が実際、観察される、レフルノミドがメトトレキセートと組合して適用される場合に観察される。この驚くべき結果は、レフルノミドにより引起される肝臓毒性が化合物−特異的効果であり、そして一般的にDHODH阻害が式(I)の化合物により示されるように、肝臓毒性に強制的に結合されないことを示唆する。
第1の観点においては、本発明は、下記式(I):
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、Aは、芳香族又は非芳香族5−又は6−員の炭化水素環であり、ここで任意には、1又は複数の炭素原子が、基Xにより置換され、ここでXはS, O, N, NR4、SO2及びSOから成る群から選択され;
Lは、単結合又はNHであり;
Dは、O, S, SO2, NR4又はCH2であり;
Z1は、O, S又はNR5であり;
Z2は、O, S又はNR5であり;
【0017】
R1は、独立してH、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 -CO2R”、- SO3H、 -OH、 -CONR*R’’、 -CR’’O、 -SO2-NR*R’’、-NO2、 -SO2-R’’、 -SO-R*、 -CN、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 アリール、 -NR-CO2-R'、 -NR’’-CO-R*、 -NR’’-SO2-R’、 -O-CO-R*、 -0-CO2-R*、 -O-CO-NR*R’’; シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシアルカニルアミノ、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 -SH、 ヘテロアリール、 アルカニル、 アルケニル 又は アルキニルを表し;
【0018】
R*は独立して、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール 又は ヘテロアリールを表し;
【0019】
R’は独立して、H、 -CO2R’’、 -CONR’’R’’’、 -CR’’O、 -SO2NR’’、 -NR’’-CO-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NO2、 -NR’’-SO2- ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NR’’-SO2-アルカニル、 -NR’’-SO2- アルケニル、 -NR’’-SO2-アルキニル、 -SO2-アルカニル、 -SO2-アルケニル、 -SO2-アルキニル、 -NR’’-CO-アルカニル、 -NR’’-CO-アルケニル、 -NR’’-CO-アルキニル、 -CN、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 - シクロアルキルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ヒドロキシアルカニルアミン、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール、 アラルキル 又は ヘテロアリールを表し;
【0020】
R’’は独立して、水素、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル 又は アミノアルキニルを表し:
R’’’は独立して、H又はアルカニルを表し;
【0021】
R2は、H又はOR6、NHR7、NR7OR7であり;又は
R2は、R8に結合される窒素原子と共に、5〜7員、好ましくは5又は6員の複素環式環を形成し、ここでR2は−[CH2]sであり、そしてR8は不在であり;
【0022】
R3は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール; -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキル、 ハロゲン、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシルアミノ、ヒドロキシルアルカニル、 ヒドロキシルアルケニル、 ヒドロキシルアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 ヘテロアリール、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 -S-アリール; -S-シクロアルキル、 -S-ヘテロシクロアルキル、 アラルキル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル 又は ハロアルキニルであり;
【0023】
R4は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール 又は ヘテロアリールであり;
【0024】
R5は、H、 OH、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 O-アリール、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル 又は アリールであり;
R6は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アラルキル、 アルカニルオキシアルカニル、 アルカニルオキシアルケニル、 アルカニルオキシアルキニル、 アルケニルオキシアルカニル、 アルケニルオキシアルケニル、 アルケニルオキシアルキニル、 アルキニルオキシアルカニル、 アルキニルオキシアルケニル、アルキニルオキシアルキニル、 アシルアルカニル、 (アシルオキシ)アルカニル、 (アシルオキシ)アルケニル、(アシルオキシ)アルキニル アシル、非対称(アシルオキシ)アルカニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルケニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルキニルジエステル、 又は ジアルカニルホスフェート、 ジアルケニルホスフェート又は ジアルキニルホスフェートであり;
【0025】
R7は、H、 OH、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 又は -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキルであり;
R8は、水素、アルカニル、アルケニル又はアルキニルであり;
【0026】
Eは、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環が1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つのニ環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、ここで単環式及びニ環式シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環はここに定義される通りであり、そして前記の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
【0027】
Yは、水素、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 ヘテロアリール、 ヘテロシクロアルキル 又は シクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環は1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つの二環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、又は2個のフェニル環は単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、そして前述の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得、又はYは、下記式:
【0028】
【化2】

【0029】
であり、式中、R1, X, A, Z1, Z2, R8, R2, E及びpはここで定義される通りであり;
mは、O又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
rは、0又は1であり;
sは、0〜2であり;そして
tは、0〜3である]
【0030】
で表される化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る第1組成物、及びメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る第2医薬組成物を含んで成るキットに関する。
【0031】
もう1つの好ましい態様においては、本発明は、式(I)の化合物に関し、ここで
Aは、芳香族又は非芳香族5−又は6−員の炭化水素環であり、ここで任意には、1又は複数の炭素原子が、基Xにより置換され、ここでXはS, O, N, NR4、SO2及びSOから成る群から選択され;
Lは、単結合であり;
Dは、O, S, SO2, NR4又はCH2であり;
Z1は、O, S又はNR5であり;
Z2は、O, S又はNR5であり;
【0032】
R1は、独立してH、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 -CO2R”、- SO3H、 -OH、 -CONR*R’’、 -CR’’O、 -SO2-NR*R’’、-NO2、 -SO2-R’’、 -SO-R*、 -CN、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 アリール、 -NR-CO2-R'、 -NR’’-CO-R*、 -NR’’-SO2-R’、 -O-CO-R*、 -0-CO2-R*、 -O-CO-NR*R’’; シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシアルカニルアミノ、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 -SH、 ヘテロアリール、 アルカニル、 アルケニル 又は アルキニルを表し;
【0033】
R*は独立して、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール 又は ヘテロアリールを表し;
【0034】
R’は独立して、H、 -CO2R’’、 -CONR’’R’’’、 -CR’’O、 -SO2NR’’、 -NR’’-CO-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NO2、 -NR’’-SO2- ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NR’’-SO2-アルカニル、 -NR’’-SO2- アルケニル、 -NR’’-SO2-アルキニル、 -SO2-アルカニル、 -SO2-アルケニル、 -SO2-アルキニル、 -NR’’-CO-アルカニル、 -NR’’-CO-アルケニル、 -NR’’-CO-アルキニル、 -CN、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 - シクロアルキルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ヒドロキシアルカニルアミン、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール、 アラルキル 又は ヘテロアリールを表し;
【0035】
R’’は独立して、水素、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル 又は アミノアルキニルを表し:
R’’’は独立して、H又はアルカニルを表し;
【0036】
R2は、H又はOR6、NHR7、NR7OR7であり;又は
R2は、R8に結合される窒素原子と共に、5〜7員、好ましくは5又は6員の複素環式環を形成し、ここでR2は−[CH2]sであり、そしてR8は不在であり;
【0037】
R3は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール; -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキル、 ハロゲン、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシルアミノ、ヒドロキシルアルカニル、 ヒドロキシルアルケニル、 ヒドロキシルアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 ヘテロアリール、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 -S-アリール; -S-シクロアルキル、 -S-ヘテロシクロアルキル、 アラルキル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル 又は ハロアルキニルであり;
【0038】
R4は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール 又は ヘテロアリールであり;
R5は、H、 OH、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 O-アリール、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル 又は アリールであり;
【0039】
R6は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アラルキル、 アルカニルオキシアルカニル、 アルカニルオキシアルケニル、 アルカニルオキシアルキニル、 アルケニルオキシアルカニル、 アルケニルオキシアルケニル、 アルケニルオキシアルキニル、 アルキニルオキシアルカニル、 アルキニルオキシアルケニル、アルキニルオキシアルキニル、 アシルアルカニル、 (アシルオキシ)アルカニル、 (アシルオキシ)アルケニル、(アシルオキシ)アルキニル アシル、非対称(アシルオキシ)アルカニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルケニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルキニルジエステル、 又は ジアルカニルホスフェート、 ジアルケニルホスフェート又は ジアルキニルホスフェートであり;
【0040】
R7は、H、 OH、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 又は -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキルであり;
R8は、水素、アルカニル、アルケニル又はアルキニルであり;
【0041】
Eは、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環が1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つのニ環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、ここで単環式及びニ環式シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環はここに定義される通りであり、そして前記の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
【0042】
Yは、水素、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 ヘテロアリール、 ヘテロシクロアルキル 又は シクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環は1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つの二環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、又は2個のフェニル環は単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、そして前述の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得、又はYは、下記式:
【0043】
【化3】

【0044】
であり、式中、R1, X, A, Z1, Z2, R8, R2, E及びpはここで定義される通りであり;
mは、O又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
rは、0又は1であり;
sは、0〜2であり;そして
tは、0〜3である。
【0045】
もう1つの好ましい態様においては、本発明は、式(I)の化合物に関し、ここで
Aは、芳香族又は非芳香族5−又は6−員の炭化水素環であり、ここで任意には、1又は複数の炭素原子が、基Xにより置換され、ここでXはS, O, N, NR4、SO2及びSOから成る群から選択され;
Lは、NHであり;
Dは、O, S, SO2, NR4又はCH2であり;
Z1は、O, S又はNR5であり;
Z2は、O, S又はNR5であり;
【0046】
R1は、独立してH、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 -CO2R”、- SO3H、 -OH、 -CONR*R’’、 -CR’’O、 -SO2-NR*R’’、-NO2、 -SO2-R’’、 -SO-R*、 -CN、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 アリール、 -NR-CO2-R'、 -NR’’-CO-R*、 -NR’’-SO2-R’、 -O-CO-R*、 -0-CO2-R*、 -O-CO-NR*R’’; シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシアルカニルアミノ、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 -SH、 ヘテロアリール、 アルカニル、 アルケニル 又は アルキニルを表し;
【0047】
R*は独立して、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール 又は ヘテロアリールを表し;
【0048】
R’は独立して、H、 -CO2R’’、 -CONR’’R’’’、 -CR’’O、 -SO2NR’’、 -NR’’-CO-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NO2、 -NR’’-SO2- ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NR’’-SO2-アルカニル、 -NR’’-SO2- アルケニル、 -NR’’-SO2-アルキニル、 -SO2-アルカニル、 -SO2-アルケニル、 -SO2-アルキニル、 -NR’’-CO-アルカニル、 -NR’’-CO-アルケニル、 -NR’’-CO-アルキニル、 -CN、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 - シクロアルキルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ヒドロキシアルカニルアミン、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール、 アラルキル 又は ヘテロアリールを表し;
R’’は独立して、水素、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル 又は アミノアルキニルを表し:
【0049】
R’’’は独立して、H又はアルカニルを表し;
R2は、H又はOR6、NHR7、NR7OR7であり;又は
R2は、R8に結合される窒素原子と共に、5〜7員、好ましくは5又は6員の複素環式環を形成し、ここでR2は−[CH2]sであり、そしてR8は不在であり;
【0050】
R3は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール; -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキル、 ハロゲン、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシルアミノ、ヒドロキシルアルカニル、 ヒドロキシルアルケニル、 ヒドロキシルアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 ヘテロアリール、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 -S-アリール; -S-シクロアルキル、 -S-ヘテロシクロアルキル、 アラルキル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル 又は ハロアルキニルであり;
【0051】
R4は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール 又は ヘテロアリールであり;
R5は、H、 OH、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 O-アリール、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル 又は アリールであり;
【0052】
R6は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アラルキル、 アルカニルオキシアルカニル、 アルカニルオキシアルケニル、 アルカニルオキシアルキニル、 アルケニルオキシアルカニル、 アルケニルオキシアルケニル、 アルケニルオキシアルキニル、 アルキニルオキシアルカニル、 アルキニルオキシアルケニル、アルキニルオキシアルキニル、 アシルアルカニル、 (アシルオキシ)アルカニル、 (アシルオキシ)アルケニル、(アシルオキシ)アルキニル アシル、非対称(アシルオキシ)アルカニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルケニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルキニルジエステル、 又は ジアルカニルホスフェート、 ジアルケニルホスフェート又は ジアルキニルホスフェートであり;
【0053】
R7は、H、 OH、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 又は -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキルであり;
【0054】
R8は、水素、アルカニル、アルケニル又はアルキニルであり;
Eは、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環が1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つのニ環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、ここで単環式及びニ環式シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環はここに定義される通りであり、そして前記の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
【0055】
Yは、水素、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 ヘテロアリール、 ヘテロシクロアルキル 又は シクロアルキル基、又は融合されたニ又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環は1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つの二環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、又は2個のフェニル環は単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、そして前述の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得、又はYは、下記式:
【0056】
【化4】

【0057】
であり、式中、R1, X, A, Z1, Z2, R8, R2, E及びpはここで定義される通りであり;
mは、O又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
rは、1であり;
sは、0〜2であり;そして
tは、0〜3である。
【0058】
もう1つの好ましい態様においては、本発明は、式(I)の化合物に関して、ここで
Aは、芳香族又は非芳香族5−又は6−員の炭化水素環であり、ここで任意には、1又は複数の炭素原子が、基Xにより置換され、ここでXはS, O, N, NR4、SO2及びSOから成る群から選択され;
Lは、単結合又はNHであり;
Dは、Oであり;
Z1は、Oであり;
Z2は、Oであり;
【0059】
R1は、独立してH、ハロゲン、ハロアルカニル、ハロアルカニルオキシ、-CO2R’’、-OH、 -CN、アルカニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルカニルアミノ、ヘテロアリール、アルカニルであり;
R*は独立してH、アルカニルを表し;
R’は、独立して、H、シクロアルキル、ヒドロキシアルカニル、ハロゲン、ハロアルカニル、ハロアルカニルオキシを表し;
R’’は独立して、水素、アルカニルを表し;
R2は、H又はOR6であり;
R3は、Hであり;
【0060】
R4は、H, アルカニル、シクロアルキルであり;
R6は、H, アルカニルであり;
R8は、水素、アルカニルであり;
Eは、アルカニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基であり、ここで前述の基のすべては任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
Yは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基であり、ここで前述の基のすべては任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
mは、O又は1であり;
nは、O又は1であり;
qは、O又は1であり;
rは、O又は1であり;そして
tは、O又は1である。
【0061】
好ましくは、式(I)の化合物においては、L=単結合、及び/又はZ1=O(従って、r=1)、及び/又はZ2=O、及び/又はq=0、及び/又はt=1、及び/又はR2=OH、及び/又はR8=H。
【0062】
好ましくは、式(I)の化合物においては、Eは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、炭素がSにより置換されている芳香族炭化水素環である。
【0063】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、炭素がSにより置換されている芳香族炭化水素環である。
【0064】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、炭素がSにより置換されている非芳香族炭化水素環である。
【0065】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、非芳香族炭化水素環である。
【0066】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、炭素がOにより置換されている芳香族炭化水素環である。
【0067】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=NH、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、芳香族炭化水素環である。
【0068】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるヘテロアリール、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、芳香族炭化水素環である。
【0069】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O(従って、r=1)、Z2=O、q=0、t=1、R2=OH、R8=H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニレン、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、炭素がNにより置換されている芳香族炭化水素環である。
【0070】
さらなる特に好ましい態様においては、式(I)の化合物において、L=単結合、Z1=O (従って r=1 ), Z2=O, D=O, m=1 , n=1 , q=1 , t=1 , R2=OH, R3=H, R8= H、及びEは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてYは、置換されていないか、又はCl、F及び/又はCF3により置換されるフェニル、OCH3、 OCH2CH3又はOCF3であり、そしてAは、非芳香族炭化水素環である。
【0071】
本発明の式(I)の化合物のもう1つのさらに特定の態様は、下記式(II)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩、又はそのプロドラグ、又はその生理学的機能誘導体、その立体異性体又はその互変異体である:
【0072】
【化5】

【0073】
本発明の式(I)の化合物の他のさらなる特定の態様は、下記から選択された化合物である:
1. 3-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-チオフェン- 2-カルボン酸;
2. 4-(2'-クロロ-3,5-ジフルオロ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-2,5-ジヒドロ-チオフェン-3- カルボン酸;
3. 2-[3-クロロ-4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンジルオキシ)-フェニルカルバモイル]-シクロペント-1- エンカルボン酸;
4. 2-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-シクロペント-1- エンカルボン酸;
5. 2-[4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンジルオキシ)-3-フルオロ-フェニルカルバモイル]-シクロペント-1- エンカルボン酸;
【0074】
6. 2-(3-フルオロ-3'-メトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-シクロペント-1 -エンカルボン酸;
7. 2-(3-ビフェニル-4-イルウレイド)安息香酸;
8. 2-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-メトキシビフェニル-4-イルカルバモイル)フラン-3-カルボン酸;
9. 4-(3'-エトキシ-3,5-ジフルオロビフェニル-4-イルカルバモイル)チオフェン-3-カルボン酸;
10. 2-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-メトキシビフェニル-4-イルカルバモイル)シクロペント-1 - エンカルボン酸;
【0075】
11. 2-(2,3,5,6-テトラフルオロ-2'-メトキシビフェニル-4-イルカルバモイル)シクロペント-1- >5 エンカルボン酸;
12. 2-(3,5-ジフルオロ-3'-(トリフルオロメトキシ)ビフェニル-4-イルカルバモイル)シクロペント-1 - エンカルボン酸;
13. 3-ヒドロキシ-2-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-(トリフルオロメトキシ)ビフェニル-4- イルカルバモイル)シクロペント-1 -エンカルボン酸;
14. 2-(2-クロロ-4'-メトキシビフェニル-4-イルカルバモイル)シクロペント-1 -エンカルボン酸;
15. 4-(3,5-ジフルオロ-3'-(トリフルオロメトキシ)ビフェニル-4-イルカルバモイル)チオフェン-3- 5 カルボン酸;
【0076】
16. 2-[4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンジルオキシ)-3-フルオロ-フェニルカルバモイル]-シクロペント-1 - エンカルボン酸;
17. 3-(3,5-ジフルオロ-3'-(トリフルオロメトキシ)ビフェニル-4-イルカルバモイル)チオフェン-2- カルボン酸;
18. 2-(3-フルオロ-3'-メトキシビフェニル-4-イルアミノ)ニコチン酸;
19. 2-(3,5-ジフルオロ-3'-メトキシビフェニル-4-イルアミノ)ニコチン酸;
20. 5-シクロプロピル-2-(5-methyl-6-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン-3- イルアミノ)安息香酸;
【0077】
21. 2-[4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンジルオキシ)-3-フルオロ-フェニルカルバモイル]-シクロペント-1-I5 エンカルボン酸;
22. 2-[3,5-ジクロロ4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンジルオキシ)-フェニルカルバモイル]-シクロペント-1 - エンカルボン酸;
23. 2-(2-クロロ-4'-ジメチルアミノビフェニル-4-イルカルバモイル)-シクロペント-1 - エンカルボン酸;
24. 3-(3-フルオロ-3'-メトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-チオフェン-2-カルボン酸;
25. 4-(2,3,5,6-テトラフルオロ-3'-トリフルオロメトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-2,5-ジヒドロ- チオフェン-3-カルボン酸;
又は医薬的に許容できるその塩、又はそのプロドラッグ、又はその生理学的機能誘導体、又はその立体異性体又はその互変異体。
【0078】
アルカニル基とは、他に言及しなければ、線状又は枝分れ鎖のC1-C6アルカニル、好ましくは、1〜5個の炭素原子の線状又は枝分れ鎖を示し;アルケニル基とは、他に言及しなければ、1又は複数の炭素−炭素二重結合を含んで成り、そしてその炭化水素鎖内に1又は複数の炭素−炭素単結合をさらに含んで成る線状又は枝分れ鎖のC2-C6−アルケニル基を示し;アルキニル基とは、他に言及しなければ、1又は複数の炭素−炭素三重結合を含んで成り、そしてその炭化水素鎖内に1又は複数の炭素−炭素二重結合及び/又は単結合をさらに含んで成る線状又は枝分れ鎖のC2-C6−アルキニル基を示し、ここでアルカニル、アルケニル及びアルキニル基は、1又は複数の置換基、好ましくはハロゲンにより任意に置換され得る。
【0079】
C1-C6−アルカニル、C2-C6−アルケニル及びC2-C6−アルキニル基は好ましくは、-CH3、-C2H5、-CH=CH2、-C≡CH、-C3H7、 - CH(CHs)2、 -CH2-CH=CH2、 -C(CH3)=CH2、 -CH=CH-CH3、 -C=C-CH3、 -CH2-C=CH、 -C4H9、 -CH2-CH(CH3)2、 -CH(CH3)-C2H5、 -C(CH3J3、 -C5H11、 -C6H13、 -C(R9 )3、 - C2(R9)5、 -CH2-C(R9)3、 -C3(R9)7、 -C2H4-C(R9)3、 -C2H4-CH=CH2、 -CH=CH-C2H5、 - CH=C(CH3)2、 -CH2-CH=CH-CH3、 -CH=CH-CH=CH2、 -C2H4-C=CH、 -C=C-C2H5、 - 0 CH2-C=C-CH3、 -C=C-CH=CH2、-CH=CH-C=CH、-C≡C-C≡CH、-C2H4-CH(CH3)2、- CH(CH3)-C3H7、 -CH2-CH(CH3)-C2H5、 -CH(CH3)-CH(CH3)2、 -C(CH3)2-C2H5、-CH2- C(CH3)3、-C3H6-CH=CH2、-CH=CH-C3H7、 -C2H4-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH- C2H5、-CH2-CH=CH-CH=CH2-CH=CH-CH=CH-CH3、 -CH=CH-CH2-CH=CH2、 - C(CH3)=CH-CH=CH2、 -CH=C(CH3)-CH=CH2、 -CH=CH-C(CH3)=CH2、 -CH2- 5 CH=C(CHs)2、 -C(CH3)=C(CH3)2、 -C3H6-C≡CH、 -C≡C-C3H7、 -C2H4-C=C-CH3、 - CH2-CEC-C2H5、 -CH2-C=C-CH=CH2、 -CH2-CH=CH-C≡CH、 -CH2-C=C-C=CH、 - C=C-CH=CH-CH3、 -CH=CH-C=C-CH3、 -C=C-C=C-CH3、-C=C-CH2-CH=CH2、 -CH=CH-CH2-C≡CH、 -C≡C-C H2-C=C H、 -C(CHs)=CH-CH=CH2、 -CH=C(CH3)- CH=CH2、 -CH=CH-C(CH3)=CH2、 -C(CH3)=CH-C≡CH、 -CH=C(CH3)-C≡CH、-C≡C- >0 C(CHs)=CH2、-C3H6-CH(CHs)2、-C2H4-CH(CH3)-C2H5、-CH(CH3)-C4H9、-CH2- CH(CHa)-C3H7、 -CH(CH3)-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH(CH3)-C2H5、-CH2- CH(CH3)-CH(CH3)2、-CH2-C(CHs)2-C2H5、 -C(CH3)2-C3H7、-C(CH3)2-CH(CH3)2、-C2H4-C(CHs)3、-CH(CHs)-C(CH3)3、-C4H8-CH=CH2、 -CH=CH-C4H9、 -C3H6- CH=CH-CH3、 -CH2-CH=CH-C3H7、 -C2H4-CH=CH-C2H5、 -CH2-C(CH3)=C(CH3)2、 - C2H4-CH=C(CH3)2、 -C4H8-C≡CH、-C=C-C4H9、-C3H6-C=C-CH3、-CH2-C=C-C3H7、-C2H4-C≡C-C2H5を含んで成る群から選択され得、ここで上記基のすべてにおいては、1又は複数の水素原子は、置換基R9、好ましくはハロゲンにより置換され得る。
【0080】
R9は独立して、H-CO2R10、-CONR10R11、 -CR10O、 -SO2NR10、 -NR10-CO-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NO2、 -NR10-SO2-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NR10-SO2-アルカニル、 -NR10-SO2-アルケニル、 -NR10-SO2-アルキニル、 -SO2-alkyl、 - SO2-アルケニル、 -SO2-アルキニル、 -NR10-CO-アルカニル、 -NR10-CO-アルケニル、 -NR10-CO-アルキニル、 - CN、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキニル、 ヘテロシクロアルキニル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 シクロアルキニルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ヒドロキシアルカニルアミノ、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール、アラルキル 又は5ヘテロアリールを表す。
【0081】
R10は独立して、水素、ハロアルカニル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヒドロキシアルカニル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル 又はアミノアルキニルを表す。
R11は独立して、H又はアルカニルを表す。
【0082】
シクロアルキル基は、3〜8個の炭素原子、好ましくは4〜8個の炭素原子を含む単環式非芳香族炭化水素環、又は7〜10個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含むニ環式非芳香族炭化水素環を表し、ここでシクロアルキル基を任意には、1又は複数のニ重結合を含んで成り、そしてシクロアルキル基は任意には、上記に定義されるような1又は複数の残基R9により置換され、そして前記シクロアルキル基においては、1又は2個の非連続メチレン基は、C=O又はC=NR7基により置換され得;前記シクロアルキル基の非制限的例は、シクロプロパニル、シクロブタニル、シクロペンタニル、シクロヘキサニル、シクロヘプタニル及びシクロオクタニル、好ましくはシクロペンタニル、シクロヘキサニル又はシクロヘプタニルであり、ここで前述の基においては、任意には1又は複数の水素原子は上記に定義されるような基R9により置換される。
【0083】
ヘテロシクロアルキル基は、3〜8個の炭素原子、好ましくは4〜8個の炭素原子を含む単環式非芳香族炭化水素環、又は7〜8個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含むニ環式非芳香族炭化水素環系を示し、ここで前記へテロシクロアルキル基においては、前記炭化水素環又は環系における1又は複数の炭素原子は、-N(R7)-、 -O-、 -S-、S(O)-、-S(O)2-を含んで成る群から選択された基により置換され;前記へテロシクロアルキル基は任意には、1又は複数のニ重結合を含んで成り、そして前記へテロシクロアルキル基は任意には、上記に定義されるような1又は複数の残基R’により置換され、そして前記へテロシクロアルキル基においては、1又は2個のメチレン基がC=O又はC=NR7基により置換され得;前記へテロシクロアルキル基の非制限的例は、アゼパン-1-イル、ピペリジニル、 特にピペリジン-1-イル及びピペリジン-4-イル、 ピペラジニル、 特にN-ピペラジニル及び1-アルキルピペラジン-4-イル、 モルホリン-4-イル、 テトラヒドロフラニル、 テトラヒドロチエニル、 ピロリジニル、 テトラヒドロピラニル、 テトラヒドロチオフェン、 スルホラニル、 スルホレニル、 オキサゾリニル、 イソキサゾリニル、 オキサゾリジニル、 オキサゾリジノン-イルであり、ここで上記基においては、任意には1又は複数の水素原子が上記に定義される残基R9により置換される。
【0084】
アルカノイルオキシ、アルケニルオキシ又はアルキニルオキシ基は-O-アルカニル、-O-アルケニル又は-O-アルキニル基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りであり;前記アルカニルオキシ基は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ又はペントキシ基である。
【0085】
アルカニルチオ、アルケニルチオ又はアルキニルチオ基は、-S-アルカニル、-S-アルケニル又は-S-アルキニル基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りである。
【0086】
ハロアルカニル、ハロアルケニル又はハロアルキニル基は、1〜5個のハロゲン原子により置換される、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りであり;前記ハロアルカニル基は好ましくは、-C(R12)5、-CH2-C(R12)3、-CH2-C(R12)3、-CH(CH2(R12))2、-C3(R12)7 又は-C2H4- C(R12)3であり、ここでR12は同じであっても又は異なっていても良く、そして個々のR12は独立して、F, Cl, Br又はI、好ましくはFから選択される。
【0087】
ヒドロキシアルカニル、ヒドロキシアルケニル又はヒドロキシアルキニル基は、HO−アルカニル、HO−アルケニル又はHO−アルキニル基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りである。
【0088】
ハロアルカニルオキシ、ハロアルケニルオキシ又はハロアルキニルオキシ基は、1〜5個のハロゲン原子により置換される、アルカニルオキシ、アルケニルオキシ又はアルキニルオキシ基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りであり;前記ハロアルカニルオキシ、ハロアルケニルオキシ又はハロアルキニルオキシ基は好ましくは、-OC(R12)3、-OC2(R12)5、-OCH2-C(R12)3、-OCH(CH2(R12))2、-OC3(R12)7 又は-OC2H4-C(R12)3であり、ここでR12は同じであっても又は異なっていても良く、そして個々のR12はF, Cl, Br又はI、好ましくはFから選択される。
【0089】
シクロアルキルオキシ基は、-O-シクロアルキル基を表し;前記シクロアルキニルオキシ基は好ましくは、シクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシである。
【0090】
ヒドロキシアルカニルアミノ、ヒドロキシアルケニルアミノ又はヒドロキシアルキニルアミノ基は、(HO-アルカニル)2-N-、(HO-アルケニル)2-N- 又は(HO-アルキニル)2-N-基 又はHO-アルカニル-NH-、 HO-アルケニル-NH- 又はHO-アルキニル-NH-基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りである。
【0091】
アルカニルアミノ、アルケニルアミノ又はアルキニルアミノ基は、HN−アルカニル、HN−アルケニル又はHN−アルキニル、又はN−ジアルカニル、N−ジアルケニル又はN−ジアルキニル基を表し、前記アルカニル、アルケニル又はアルキニル基は上記に定義される通りである。
ハロゲン基は、塩素、臭素、弗素又はヨウ素であり、弗素が好ましい。
【0092】
アリール基は好ましくは、6〜14個の炭素原子を有する、単、ニ又は三環式、好ましくは単環式芳香族炭化水素基を表し、ここで前記アリール基は任意には、1又は複数の置換基R’により置換され、ここでR7は上記に定義される通りであり;前記アリール基は好ましくは、-o-C6H4- R'、-m-C6H4-R'、 -p-C6H4- R'、又はフェニル、 1-ナフチル、2-ナフチル、アントラセニル、特に1又は複数のR’により任意に置換され得る1−アントラセニル及び2−アントラセニル基、より好ましくはフェニル基、-0-C6H4- R'、-m-C6H4- R'、-p-C6H4- R'である。
【0093】
ヘテロアリール基は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子、例えばO, N, Sにより置換されている、5員の単環式芳香族炭化水素基、又は少なくとも1つの炭素原子がN, Sにより置換されている、6員の単環式芳香族炭化水素基を表し、そして前記芳香族単環式5−又は6−員の環状炭化水素基は任意には、追加の単環式5−〜7−員、好ましくは5−又は6−員の芳香族又は非芳香族炭化水素環に融合され、ここで前記追加の単環式芳香族又は非芳香族炭化水素環においては、1又は複数、好ましくは1又は2個の炭素原子がヘテロ原子、例えばO, N, Sにより置換され得;ヘテロアリール基の非制限的例は、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、 チアゾール-5-イル、 イソチアゾール3- イル、 イソチアゾール4-イル、 イソチアゾール5-イル、 1 、2、4-オキサジアゾール-3-イル、 1 、2、4-オキサジアゾール-5-イル、 1 、2、4-チアジアゾール-3-イル、 1 、2、4-チアジアゾール-5-イル、 1 、2、5-オキサジアゾール-3-イル、 1 、2、5-オキサジアゾール-4-イル、 1 、2、5-チアジアゾール-3-イル、 1-イミダゾリル、 2-イミダゾリル、 1 、2、5-チアジアゾール-4-イル、 4-イミダゾリル、 1-ピロリル、 2-ピロリル、 3-ピロリル、 2-フラニル、 3-フラニル、 2-チエニル、 3-チエニル、 2-ピリジル、 3- ピリジル、 4-ピリジル、 2-ピリミジニル、 4-ピリミジニル、 5-ピリミジニル、 3-ピリダジニル、 4- ピリダジニル、 2-ピラジニル、 1-ピラゾリル、 3-ピラゾリル、 4-ピラゾリル、 1 H-テトラゾール-2-イル、 1 H- 5 テトラゾール-3-イル、 テトラゾリル、 インドリル、 インドリニル、 ベンゾ[b]フラニル、 ベンゾ[b]チオフェニル、 ベンズイミダゾリル、 ベンゾチアゾリル、 キナゾリニル、 キノキサゾリニル、又は好ましくは、キノリニル、 テトラヒドロキノリニル、 イソキノリニル、 テトラヒドロイソキノリニル 基であり;前記へテロアリール基は任意には、上記に定義されるような、1又は複数の置換基R9により置換され得;当業者は、上記定義において、ヘテロ原子による“炭素原子”の置換が前記炭素原子に結合されるいずれかの水素原子を包含することを認識することであろう。
【0094】
アラルキル基は、上記に定義されるようなアルカニル、アルケニル又はアルキニル基を通して本発明の分子に結合される、上記に定義されるようなアリール基を表し;好ましいアラルキル基は、-CH2-C6H5 (ベンジル)、-CH2-CH2-C6H5 (フェニルエチル)、-CH=CH-C6H5、-C≡C-C6H5、 -o-CH2- C6H4-R'、-m-C H2-C6H4-R'、-p-CH2-C6H4-R'であり;前記アラルキル基は任意には、1又は複数の置換基R9により、前記アリール及び/又はアルカニル、アルケニル又はアリール部分上で置換され得る。
【0095】
Eの意味は、1又は複数の置換基R9により任意に置換される、上記に定義されるようなアルカニル、アルケニル又はアルキニル基を包含し、そしてEの意味はさらに、1又は複数の置換基R9により任意に置換されるシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、 シクロペンチル、 シクロヘキシル、シクロヘプチル、 シクロオクチル又は炭素環式芳香族基、例えばフェニル、 1-ナフチル、 2- ナフチル、 アントラセニル、特に1-アントラセニル 及び2-アントラセニル、及び複素芳香族基、例えばN-イミダゾリル、 2-イミダゾリル、 2-チエニル、 3-チエニル、 2- フラニル、 3-フラニル、 2-ピリジル、 3-ピリジル、 4-ピリジル、 2-ピリミジル、 4-ピリミジル、 2-ピラニル、 3- ピラニル、 4-ピラニル、 3-ピラゾリル、 4-ピラゾリル、 5-ピラゾリル、 2-ピラジニル、 2-チアゾリル、 4-チアゾリル、 5-チアゾリル、 2-オキサゾリル、 4-オキサゾリル及び5-オキサゾリルを包含する。Eはまた、融合された多環式芳香族環システム、例えば炭素環式芳香族環又はヘテロアリール環が少なくとも1つのヘテロアリール環に融合されている9H−チオキサンテン−10, 10−ジオキシドを包含する。
【0096】
Yの意味は、水素、ハロゲン、アルカニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はO−アラルキルを包含し、ここで前述の基のすべては任意には、本明細書において定義されるような1又は複数のR’により置換され得るか、又は他方では、YはE又は-O-Eであり、ここでEは本明細書において定義される通りであり;前述の基においては、さらに好ましくは、任意の置換基R’はハロゲンである。Yはまた、下記式:
【0097】
【化6】

【0098】
[式中、A, X, R1, R2, R8, Z1, Z2 及び pは上記に定義されるような意味を有する]であり得る。
特定の態様
ある態様においては、Aは、1又は複数の、好ましくは1又は2個の炭素原子がS, O, N又はNR4から成る群から選択された基Xにより置換されている、5−員の芳香族炭化水素環である。
ある態様においては、Aは次の基を含んで成る群から選択される:
【0099】
【化7】

【0100】
【化8】

【0101】
[式中、R1及びR4は上記に定義される通りである]。
ある態様においては、Aは、1又は複数の、好ましくは1又は2個の炭素原子がS, O又はNから成る群から選択された基Xにより置換されている、6−員の芳香族炭化水素環である。
ある態様においては、Aは次の基を含んで成る群から選択される:
【0102】
【化9】

【0103】
[式中、R1及びR4は上記に定義される通りである]。
ある態様においては、R1は、H、 OH、アルカニル、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルカニル、CO2H又はSO3H, 又は、テトラゾールである。
ある態様においては、R2は、OH、NH2、NHOH、NHR7、NR7OR7又はOR6である。
【0104】
ある態様においては、R6は、ベンゾイルオキシメチル、イソブチルオキシメチル、 4-アミノ-ブチルオキシメチル、 ブチルオキシメチル、 1-(ブチルオキシ)エチル、 1-(ブチルオキシ)-2、2- ジメチルプロピル、 1-ジエチルホスホノオキシエチル、 2-(2-メトキシエトキシ)-アセチルオキシメチル、 p-アミノベンゾイルメチル、 ニコチニルオキシメチル、 ピバリルオキシメチル、 グルタリルオキシメチル、 [2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]-アセチルオキシメチル、 2-(モルホリン-4-イル)-エチル、 1 -ジエチル ホスホノオキシメチルである。
【0105】
ある態様におては、R3は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 アリール、 アルカニルオキシ、 5 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 O-アリール; O-シクロアルキル、 ハロゲン、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルキニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシルアミノ、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ヒドロキシルアルカニル、 ヒドロキシルアルケニル、 ヒドロキシルアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 ヘテロアリール、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 S-アリール; S-シクロアルキル、 アラルキル、 好ましくは Hである。
【0106】
ある態様においては、R4は、H、アルカニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリール、好ましくはHである、
ある態様においては、R8は、H又はアルカニル、アルケニル、アルキニル、好ましくはH又はメチルである。
ある態様においては、Z1及びZ2は両者ともOである。
【0107】
ある態様においては、Yは水素、ハロゲン、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はO−アラルキルであり、前述の基のすべては任意には、本明細書に定義されるような1又は複数のR9により置換され得、又は他方では、YはE又は-O-E(ここでEは本明細書においては定義される通りである)であり;前述の基においては、好ましくは、任意の置換基R9はハロゲンである。Yはまた、下記式:
【0108】
【化10】

【0109】
[式中、A, X, R1, R2, R8, Z1, Z2及びpは上記で定義される通りである]で表される基であり得る。好ましくは、Yは下記に定義されるようなEであり、そしてより好ましくは、Yは任意に置換されたフェニルである。
【0110】
ある態様においては、融合されたニ又は三環式環系は、1角フェニル環が5又は6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合されるニ環式環系、又は他方では、2つのフェニル環が5又は6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合される三環式環系であり、ここで前記三環式環系においては、好ましくは5又は6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は2つのフェニル環間に配置され、より好ましくは、三環式環系は9H−チオキサンテン−10, 10−ジオキシドであり、ここで前述の基のすべては任意には、1又は複数の置換基R9により置換される。
【0111】
ある態様においては、Eは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルを含んで成る群から選択された、アルキル又はシクロアルキル基であり、ここで前述の基のすべては、任意には1又は複数の置換基R9により置換される。
【0112】
ある態様においては、Eはフェニル、 1-ナフチル、 2-ナフチル、 アントラセニル、 特に 1-アントラセニル 及び 2-アントラセニル、 N-イミダゾリル、 2-イミダゾリル、 2-チエニル、 3-チエニル、 2-フラニル、 3-フラニル、 2-ピリジル、 3-ピリジル、 4-ピリジル、 2-ピリミジル、 4-ピリミジル、 2-ピラニル、 3-ピラニル、 4-ピラニル、3-ピラゾリル、 4-ピラゾリル、 5-ピラゾリル、 2-ピラジニル、 2-チアゾリル、 4-チアゾリル、 5-チアゾリル、 2- オキサゾリル、 4-オキサゾリル 及び 5-オキサゾリルを含んで成る群から選択されたアリール又はヘテロアリール基であり、ここで前述の基のすべては、任意には1又は複数の置換基R9により置換される。
【0113】
ある態様においては、Eは、1又は複数の置換基R9により置換される、融合されたニ又は三環式環系、好ましくは1又は複数の置換基R9により任意に置換される9H−チオキサンテン-10, 10−ジオキシド基である。
【0114】
ある態様においては、R9は、シアノ、 ニトロ、 ハロゲン、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 シクロアルキルオキシ、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 ヘテロaryl、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル又はアリールを含んで成る群から選択され、好ましくはR9はBr、 F、 Cl、 0CF3、 OCF3、 -CN、 シクロプロポキシ、 シクロブトキシ、 イソプロポキシ、 エトキシ又はメトキシである。
【0115】
ある態様においては、ヘテロアリール基は、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、1H-テトラゾール-2-イル、1H-テトラゾール-3-イル、又は オキサゾリルを含んで成る群から選択される。
ある態様においては、tは、0、1又は2である。
ある態様においては、 sは0 又は 1である。
ある態様においては、 m = 1そして、 D O、S、SO2、NR4又はCH2、好ましくはS 又はO、より好ましくはOである。
【0116】
ある態様においては、 m = O。
ある態様においては、 q = O。
ある態様においては、 n = 0。
ある態様においては、 rは 0 又は 1である。
ある態様においては、 L は単結合である。
ある態様においては、 q = 1、m= 1 及び n = 1、個々で好ましくは、 D = O 及び/又はR3 = H)。
【0117】
ある態様においては、 R8 = H。
ある態様においては、 A はシクロペンテン、チオフェン、チアジオール又はジヒドロチオフェンである。
ある態様においては、 -(C=Z1)-R2はCOOHである。
ある態様においては、 R1 = H。
【0118】
ある態様においては、Yは、水素、ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル又はE、好ましくはF、 CF3、 OCF3又はフェニル(1又は複数の置換基R9により任意に置換される)、より好ましくはフェニル(1又は複数のF、 Cl、メトキシ、CF3又はOCF3により任意に置換される)である。
【0119】
ある態様においては、q=1, 及びn=0又は1、及びm=1、そしてDは好ましくはOである。
キットの好ましい態様においては、第2医薬組成物におけるメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体に対する、第1医薬組成物における式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の重量比は、0.05〜20、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、さらにより好ましくは2〜4、及び最も好ましくは2.3〜3.5である。
【0120】
また好ましくは、前記第1医薬組成物中の式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体の含有量は、約2〜60mg、好ましくは約5〜50mgである。
【0121】
さらに好ましくは、前記第2医薬組成物中のメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の含有量は、約5〜30mg、好ましくは約10〜25mgである。
【0122】
キットの特に好ましい態様においては、前記第2医薬組成物中の個々の単位に関して、前記第1医薬組成物中の7単位がキットに存在する。
前記キットは、免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防のために使用され得る。前記障害は好ましくは、リウマチ様関節炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶反応、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ループス腎炎又は多発性硬化症、最も 好ましくはリウマチ様関節炎である。
【0123】
好ましくは、キット中の前記第1医薬組成物は、1日1度、投与され、そして前記第2医薬組成物は毎週1度、投与される。
また好ましくは、キット中の両医薬組成物は経口投与される。
メトトレキセートはまた、MTXとしても簡略される。
【0124】
本明細書に記載される組成物は、いずれかの従来の経路を通して投与される。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は経皮的に実施され得る。
本明細書に記載される組成物は、例えば、ピル、錠剤、被覆された錠剤、糖−被覆された錠剤、ハード及びソフトカプセル、粉末、顆粒、溶液、シロップ又は懸濁液の形で、経口投与され得る。投与はまた、例えば、坐薬の形で直腸的に、又は注射又は注入の形で、非経口的に実施され得る。
【0125】
本明細書に記載される組成物は好ましくは、経皮治療システム(例えば、バッチ)又は局部製剤(例えば、リポソーム、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、分散体、懸濁液、スプレー、溶液)の形で、経皮投与され得る。局部製剤はまた、肺又は鼻経路を通して投与され得る。
もう1つの好ましい態様においては、本発明の医薬組成物は、経口投与される。
【0126】
さらなる観点においては、本発明は、患者における免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防(前記処理又は予防はさらに、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の前記患者への適用を含んで成る)への使用のための、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体に関する。
【0127】
本発明はまた、患者における免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防(前記処理又は予防はさらに、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の前記患者への適用を含んで成る)への使用のための医薬組成物の製造のためへの、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の使用の関する。
【0128】
本発明はさらに、治療的に効果的で且つ許容できる量の式(I)の化合物を、治療的に効果的で且つ許容できる量のメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体と共に、同時に、連続的に又は別々に、患者に投与することを含んで成る、患者における免疫学的及び炎症障害の処理又は予防方法に関する。
【0129】
本発明の化合物、化合物の使用及び方法の好ましい態様においては、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る医薬組成物は、1日1度、投与される。
【0130】
さらに好ましくは、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の前記毎日の投与量は、約2mg〜約60mg、好ましくは約5mg〜50mgの範囲である。
【0131】
好ましくは、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る医薬組成物は、週1度、投与される。
特に好ましい態様においては、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の毎週の投与量は、約5mg〜約30mg、好ましくは、約10mg〜約25mgの範囲である。
【0132】
さらに好ましくは、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る医薬組成物は、経口投与される。
また好ましくは、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る医薬組成物は、経口投与される。
【0133】
本発明の化合物、化合物の使用及び方法の好ましい態様においては、リウマチ様関節炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎又は多発性硬化症、最も好ましくは、前記障害は多発性硬化症又はリウマチ様関節炎である。
【0134】
好ましくは、第2医薬組成物におけるメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体に対する、第1医薬組成物における式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の重量比は、0.05〜20、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、さらにより好ましくは2〜4、及び最も好ましくは2.3〜3.5である。
【0135】
本発明のさらなる態様は、患者における障害の処理又は予防のための本発明のキット、使用又は化合物であり、ここで患者へのメトトレキセートの投与が医学的に示唆される。従って、本明細書に提供される組合せ治療は、メトトレキセート単独により、又は本明細書に記載されるような式(I)の化合物以外の追加の医薬剤と組合して処理され得るいずれかの疾病を処理するか又は予防するために適用され得る。それにより、肝臓−毒性を低める効果が、前記すべての疾病の処理又は予防のために得ることができる。この態様は、適用できる場合、例えば投与量スキームに従って、本発明のキット、使用又は化合物のさらなる態様において、本明細書に記載されるすべての変動を包含する。
【0136】
本発明のもう1つの特定の態様は、本発明のキット、化合物又は使用であり、ここで肝臓毒性が決定される分光光度アッセイで測定される肝臓酵素レベル(例えば、ALAT)の低下は、適切な用量のメトトレキセートのみの投与に基づいて(例えば、5 〜30 mg/週)、分光光度アッセイで測定される肝臓酵素レベル(例えば、ALAT)に比較して、20%又はそれ以上であり、ここで前記分光光度アッセイは、次のパラメーターを含んで成る:分光光度計(例えば、 KONELAB 3Oi 装置、Thermo Fisher Scientific, 63303 Dreieich, Germany)、サンプルタイプ=血清、サンプル体積=15μl、試薬=ALT試薬、試薬体積=115μl、インキュベーション時間=90秒、測定時間=120秒、結果単位=U/L、(波長吸光度が測定される)=340nm。
【0137】
ALT試薬は、0.2MのL−アラニル、2.0mMのケトグルタレート、100mMのリン酸緩衝液(pH7.4)及びALT着色試薬を含んで成り、前記着色試薬は、1Nの塩酸中、1.0mMの2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを含んで成る。
【0138】
本明細書においては、“メトトレキセート単独の適切な用量”とは、メトトレキセートの同じ用量(測定精度内)(例えば、5〜20mg/週)が組合せ療法で投与されるメトトレキセートの量に匹敵することを意味する。
【0139】
本発明のある態様においては、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体、及びメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体が、1つの医薬組成物に含まれ得る。それらの態様は、適用できる場合、本発明のキット、使用又は化合物のさらなる態様における、本明細書に記載されるすべての変動を包含する。
【0140】
本明細書においては、化合物、組成物及びそれらの薬理学的に許容できる塩は、治療剤自体として、他の治療剤との混合物として、又は腸又は非経口使用を可能にし、そして通常の医薬的に無毒の賦形剤及び添加剤の他に、有効量の本発明の組成物又はその塩を、活性成分として含む医薬製剤の形で、動物、好ましくは哺乳類、及び特にヒト、イヌ及び鶏に投与され得る。
【0141】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール及び試薬に、それらは変化することができるので、制限されない。本明細書に使用される用語は、特定の態様のみを記載するためであり、そして本発明の範囲を制限するものではない。特にことわらない限り、本明細書に使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者により通用理解されるのと同じ意味を有する。好ましくは、本明細書において使用される用語は、“バイオテクノロジー用語の多言語用語集:(IUPAC推薦)”(Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and KoIbI, H. eds., Helvetica Chimica Acta 1995; CH-4010 Basel, Switzerland)に記載のようにして定義される。
【0142】
いくつかの記録が本明細書のテキストを通して引用されている。本明細書に引用される記録(すべての特許、特許出願、科学出版物、製造業者の規格、説明書、等を包含する)の個々は、引用により本明細書に組込まれる。何も本明細書に出願人の先の発明によってそのような開示に先行する権利を与えられない承認として解釈されるべきことではない。
【0143】
用語“処理”、“処理する”又は同様の用語は、所望する薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを一般的に意味するものとして本明細書に使用される。その効果は、疾病の症状の点から、治療的であり得る。本明細書において使用されるような“処理”はまた、哺乳類、特にヒトにおける疾病のいずれかの処理も包含する。
それらの化合物の合成は、引用により本明細書に組込まれる、アメリカ特許出願番号10/193,526号及び10/736,711号に開示される。
【0144】
本発明は、式(I)の化合物の塩を含む組成物に関する。前記塩は好ましくはカチオンであり、最も好ましくは、アンモニア、アルギニン、ベネタミン、ベンガチン、カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアンモニウム、エチレンジアミン、メグルミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リシン、マグネシウム、ヒドロキシエチルモルホリン、ピペラジン、カリウム、エポラミン、ナトリウム、トロラミン、トロメタミン及び亜鉛から成る群から選択される[Handbook of Pharmaceutical Salts, Ed. P. H. Stahl, CG. Wermuth, Zurich 2002]。
メトトレキセートの好ましい塩は、メトトレキセートのニナトリウム塩である。
【0145】
本明細書に記載される好ましい組成物は、次のキャリヤー材料又は賦形剤を含んで成るが、但しそれらだけには限定されない:親油性相(例えば、ワセリン、パラフィン、トリグリセリド、ワックス、 ポリアシルシロキサンとして) 、油状物(オリブ油、落花生油、ひまし油、 トリグリセリド油)、乳化剤(例えば、レシチン、ホスファチジルグリセロール、アルキルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、コレステロール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセロール及び-エステル、ポロキサマとして)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、 パラベン又はチオメサール)、 風味剤、 緩衝物質 (例えば、酢酸、クエン酸、ホウ酸、燐酸、酒石酸の塩、 トロメタモール又はトロラミン)、溶媒 (例えば、ポリエチレングリコール、 グリセロール、エタノール、イソプロパノール又はプロピレングリコール)、 可溶化剤、 デポット効果を達成するための剤、浸透圧変性するための塩、パッチのためのキャリヤー材料 (例えば、ポリプロピレン、 エチレン−酢酸ビニル−コポリマー、ポリアクリレート 、珪素)、 酸化防止剤 (例えば、アスコルベート、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル又はブチルヒドロキシトルエン)。
【0146】
適切なキャリヤー材料又は賦形剤はさらに、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:充填剤及び増量剤(例えば、乳糖、蔗糖、マンニトール、澱粉、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム)、崩壊剤(例えば、澱粉、 架橋されたポリビニルピロリドン)、 結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、マンニトール、澱粉、トラガント、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン)、グライダー(例えば、タルク、ビスドコサン酸カルシウム、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム)、湿潤剤(例えば、ソルビトール又はグリセロール)、安定剤(例えば、ポリアクリル酸、ベントナイト)、 乳化剤 (例えば、ヒプロメローサ 、ヒドロキプロピルセルロース)、 保存剤 (例えば、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、 パラベン又はチオメルサール)、甘味、風味又は 芳香剤、 緩衝物質(例えば、酢酸、クエン酸、ホウ酸、燐酸、酒石酸の塩、 トロメタモール又はトロラミン)、溶媒 (例えば、ポリエチレングリコール、 グリセロール、エタノール、イソプロパノール又はプロピレングリコール)又は可溶化剤、 デポット効果を達成するための剤、浸透圧変性するための塩、又は 被覆剤(例えば、メチルセルロース、 ヒプロメローサ、 ヒドロキプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、 エチルセルロース、 メチルヒドロキシプロピルセルロースフタレート、酢酸セルロース-フタレート、ポリビニルピロリドン又はメタクリル酸のコポリマー及びアクリレート) 又は酸化防止剤 (例えば、アスコルベート、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル又はブチルヒドロキシトルエン)。
次のものは、本発明の化合物の例である:
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

【0149】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】図1は、疾病進行に対する式(II)+MTX(メトトレキセート)による処理の効果を示す。
【実施例】
【0151】
マウスにおけるコラーゲン誘発された関節炎
調製
ウシタイプIIコラーゲン溶液を、一晩の撹拌下で4〜8℃で、0.01Mの酢酸に4mg/mlで溶解することにより調製する。免疫原を、コラーゲン溶液及び完全フラロイントアジュバント(CFA)(M. ツベルキュロシスH37Ra懸濁液:4mg/ml)の1:1(体積:体積)組合せを乳化することにより調製する。
【0152】
免疫化
DBA1/Jマウス(雄、生後7〜8週)を計量する。動物を麻酔し、25G針を備えた1mlの注射器を用いて、コラーゲン/CFA(0.050ml/マウス;CFA中、100μg/マウスのコラーゲン)を、尾の毛剃りされた基部中に皮下注射し、そしてケージに戻す。
【0153】
追加免疫
3週間(21日)後、前記工程を、CFAの代わりに不完全フロントアジュバント(IFA)を用いて、反復する。
【0154】
疾病の進行
動物を1週間、観察し、そして関節炎の肉眼的徴候を週3度、評点をつける(月、水、金:M, W, F)。
個々の脚は、次の評点を受ける:
a)0=関節炎の眼に見える効果なし;
b)1=1本の指の水腫及び/又は紅班;
c)2=2本の指の水腫及び/又は紅班;
d)3=2本以上の足の水腫及び/又は紅班;
e)全脚及び指の重度の関節炎。
個々の脚評点を加えることにより、関節炎指数(AI)を計算し、そして記録する(最大AI=16)。
1週間後、マウスを、個々の処理グループにおいて、類似する平均AI値及び個々のAI値の類似範囲を与えるためにグループ(グループ当たり10匹のマウス)に割り当てる。
【0155】
投与
投与を、14日間、1日1度、PO(経口)下で開始する。
【表4】

【0156】
結果
関節炎指数に対する疾病及び処理の効果
【表5】

【0157】
関節炎指数に対する疾病及び処理の効果:(続き)
【表6】

【0158】
関節炎指数に対する疾病及び処理の効果:(続き)
【表7】

【0159】
関節炎指数に対する疾病及び処理の効果:(続き)
【表8】

【0160】
統計学的分析:
平均関節炎指数に対する疾病及び処理の効果
【表9】

【0161】
平均関節炎指数に対する疾病及び処理の効果:(続き)
【表10】

【0162】
2.平均関節炎指数に対する疾病及び処理の効果
【表11】

【0163】
組織学的結果:
それらの動物からの肝臓の試験は、MTXとの同時治療が、式(II)処理に関連する毒性を妨げるように見えたことを示した。示されるデータは、式(II)及びMTXの同時投与が疾病進行に対して有益な効果を有するのみならず、また式(II)又はMTX単独の投与により引起される逆転肝臓毒性所見に関して、肝臓毒性に対しても有益な効果を有することを示唆する。
【0164】
肝臓組織学に対する疾病及び処理の効果
【表12】

【0165】
【表13】

【0166】
ビーグル犬における13週の反復投与毒性の実験企画−メトトレキセートとの組合せ
この研究の目的は、13週間、ビーグル犬への反復した経口投与により、メトトレキセート(MTX)と組合して同時に与えられる式(II)の相互作用性毒性に対する情報を入手することであり、そして4週の回復期間の最後でのいずれかの効果の可逆性を評価することであった。動物を、ほぼ等しい平均体重グループを得る擬似ランダム体重分析方法を用いて、5つの試験グループにランダムに割り当てた。式(II)を経口投与により毎日、投与し、MTXを経口投与により週1度、付随的に投与した。この研究の特別な目的は、肝臓毒性に対する組合せ処理の影響を研究することであった。
【0167】
【表14】

【0168】
臨床試験のために、血液サンプルを、一晩断食された動物の橈側皮静脈又は大伏在静脈から採取した。血清サンプルを、生化学試験のために管中に集めた。静脈血からの臨床学的生化学パラメーターを、下記に列挙される時点で決定した:
研究開始の前:52匹の犬のすべての動物。
試験日37(6回目のメトトレキセート投与の後、約24時間):この研究に包含されるすべての48匹の動物。
主要研究終結(試験日93):この研究に包含されるすべての48匹の動物。
回復期間の終了:この研究に包含されるすべての8匹の回復動物。
【0169】
臨床学的生化学パラメーター(例えば、胆汁酸、アラニンアミノトランスフェラーゼ=ALAT、アルカリホスファターゼ=aP、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ=ASAT、γ‐グルタミル‐トランスフェラーゼ=γ-GT、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ=GLDH、クレアチンキナーゼ=CK)を、U/L(単位/l)血清として、KONELAB 3Oi 装置 (Thermo Fisher Scientific, 63303 Dreieich, Germany)を用いて測定した。
【0170】
ビーグル犬における13−週の反復投与毒性の結果−メトトレキセートとの組合せ
25mgの式(II)/kgの体重/日のみによる経口処理は、主に嘔吐、排便及び軟質の便の形で全身性不耐のわずかな徴候を引起した。10mgのMTX/kg体重/週により処理された1匹の雌犬は、試験日20の朝、死亡したことが見出された。結果として、MTX投与は2.5mg/kg体重に減少された。10/2.5mgのMTX/kg体重/週のみによる経口処理は、主に嘔吐、排便及び軟質の便の形で、全身性不耐の徴候を引起した。
【0171】
10/2.5mgのMTX/kg体重/週と組合しての10又は25mgの式(II)/kg体重/日による経口処理は、主に嘔吐、排便及び軟質の便の形で全身性不耐の高められた徴候を引起し、前記2種の化合物により引起される効果の強さは、付加的であった。
式(II)単独による経口処理は、体重、食料及び飲料水消費及び血液学的パラメーターに対する影響を示さなかった。MTXのみによる処理、又は式(II)及びMTXによる組合わされた処理は、体重及び食物消費における比較できる低下を引起した。
【0172】
式(II)及びMTXの組合された処理は、MTXのみと同等の生化学パラメーターのいくつかの変化を導いた。一般的に、式(II)のみによる経口処理は、ALAT、ASAT及びGLDHのわずかに高められた酵素活性の形で、及び血清における胆汁酸濃度のわずかな上昇の形で(GLDH及び胆汁酸データは示されていない)、生化学パラメーターの変化を示した。しかしながら、それらの高められた値のいずれも、統計学的には有意でなかった(p≦0.01で)。MTXのみによる処理は、式(II)のみに比較して、ALAT, ASAT, CK, GLDH及び胆汁酸の生化学パラメーターの著しい及び統計学的に有意な(p≦0.01で)変化を引起した。ほとんどの臨床的生化学パラメーター、例えばASATに関しては、式(II)及びMTXによる組合された処理は、MTXのみに類似する効果を引起し、これは単純な付加的毒性応答を示す。しかしながら、キー肝臓酵素ALATに関しては、MTX及び式(II)の組合せが、単独で与えられるMTX又は式(II)に比較して、ALAT濃度の有意な低下を引起し(表15)、これはそれらの2種の薬物間の毒性応答に関して非常に有意な相互作用を示す。
【0173】
【表15】

【0174】
ECGパラメーター、血圧について、眼科及び聴力試験で、器官重量又は試験されるいずれかの用量レベルでの肉眼試験での変化は示されなかった。リンパ−血漿細胞浸潤の形での軽い小腸炎が、ほぼすべての試験項目−処理されたイヌの胃腸粘膜に観察された。この発見は、式(II)のみ又は式(II)及びMTXの組合せにより処理された動物に比較して、MTXのみにより処理された動物において最も著しかった。
【0175】
ビーグル犬への個々の及び同時投与の後、式(II)及びメトトレキセートの平均毒性動力パラメーターが、次の表16に示されている。明白な用量応答関係が、試験日1ではないが、試験日85で式(II)血漿レベルについて示され、たぶんこれは、10mgのMTX/kg体重/週の重度の毒性により引起され、後に、2.5MTX/kg体重/週に低められた。時間と共に蓄積は示されなかった。メトトレキセートは、式(II)吸収に影響するようには思えず、そして逆もまた同様であり、従って、毒性動物学相互作用は観察去らなかった。
【0176】
【表16】

【0177】
結論として、同時に与えられる式(II)及びMTXの効果は、それらの個々の応答の単純に付加的であるが、しかしそれらの個々の応答の付加により予測される効果よりも大きくなく、すなわち相乗効果又は相乗作用は、高められた毒性に関して示されなかった。さらに、10から25mg/kg体重/日への式(II)用量の増加は、毒性プロフィールを強化しなかった。対照的に、示されるデータは、式(II)及びMTXの同時投与は、選択された肝臓酵素、例えばMTXのみにより引起される逆転酵素上昇に関して、ALATに対して有益な効果を有することを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、Aは、芳香族又は非芳香族5−又は6−員の炭化水素環であり、ここで任意には、1又は複数の炭素原子が、基Xにより置換され、ここでXはS, O, N, NR4、SO2及びSOから成る群から独立して選択され;
Lは、単結合又はNHであり;
Dは、O, S, SO2, NR4又はCH2であり;
Z1は、O, S又はNR5であり;
Z2は、O, S又はNR5であり;
R1は、独立してH、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 -CO2R”、- SO3H、 -OH、 -CONR*R’’、 -CR’’O、 -SO2-NR*R’’、-NO2、 -SO2-R’’、 -SO-R*、 -CN、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 アリール、 -NR-CO2-R'、 -NR’’-CO-R*、 -NR’’-SO2-R’、 -O-CO-R*、 -0-CO2-R*、 -O-CO-NR*R’’; シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシアルカニルアミノ、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 -SH、 ヘテロアリール、 アルカニル、 アルケニル 又は アルキニルを表し;
R*は独立して、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール 又は ヘテロアリールを表し;
R’は独立して、H、 -CO2R’’、 -CONR’’R’’’、 -CR’’O、 -SO2NR’’、 -NR’’-CO-ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NO2、 -NR’’-SO2- ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 -NR’’-SO2-アルカニル、 -NR’’-SO2- アルケニル、 -NR’’-SO2-アルキニル、 -SO2-アルカニル、 -SO2-アルケニル、 -SO2-アルキニル、 -NR’’-CO-アルカニル、 -NR’’-CO-アルケニル、 -NR’’-CO-アルキニル、 -CN、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 - シクロアルキルオキシ、 -OH、 -SH、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 ヒドロキシアルカニルアミン、 ヒドロキシアルケニルアミノ、 ヒドロキシアルキニルアミノ、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アリール、 アラルキル 又は ヘテロアリールを表し;
R’’は独立して、水素、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ヒドロキシアルカニル、 ヒドロキシアルケニル、 ヒドロキシアルキニル、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル 又は アミノアルキニルを表し:
R’’’は独立して、H又はアルカニルを表し;
R2は、H又はOR6、NHR7、NR7OR7であり;又は
R2は、R8に結合される窒素原子と共に、5〜7員、好ましくは5又は6員の複素環式環を形成し、ここでR2は−[CH2]sであり、そしてR8は不在であり;
R3は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール; -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキル、 ハロゲン、 アミノアルカニル、 アミノアルケニル、 アミノアルキニル、 アルカニルアミノ、 アルケニルアミノ、 アルキニルアミノ、 ヒドロキシルアミノ、ヒドロキシルアルカニル、 ヒドロキシルアルケニル、 ヒドロキシルアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 ヘテロアリール、 アルカニルチオ、 アルケニルチオ、 アルキニルチオ、 -S-アリール; -S-シクロアルキル、 -S-ヘテロシクロアルキル、 アラルキル、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル 又は ハロアルキニルであり;
R4は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール 又は ヘテロアリールであり;
R5は、H、 OH、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 O-アリール、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル 又は アリールであり;
R6は、H、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 アリール、 ヘテロアリール、 アラルキル、 アルカニルオキシアルカニル、 アルカニルオキシアルケニル、 アルカニルオキシアルキニル、 アルケニルオキシアルカニル、 アルケニルオキシアルケニル、 アルケニルオキシアルキニル、 アルキニルオキシアルカニル、 アルキニルオキシアルケニル、アルキニルオキシアルキニル、 アシルアルカニル、 (アシルオキシ)アルカニル、 (アシルオキシ)アルケニル、(アシルオキシ)アルキニル アシル、非対称(アシルオキシ)アルカニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルケニルジエステル、非対称(アシルオキシ)アルキニルジエステル、 又は ジアルカニルホスフェート、 ジアルケニルホスフェート又は ジアルキニルホスフェートであり;
R7は、H、 OH、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 アルカニルオキシ、 アルケニルオキシ、 アルキニルオキシ、 -O-アリール、 シクロアルキル、 ヘテロシクロアルキル、 又は -O-シクロアルキル、 -O- ヘテロシクロアルキルであり;
R8は、水素、アルカニル、アルケニル又はアルキニルであり;
Eは、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基、又は融合された二又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環が1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つの二環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、又は2つのフェニル環が単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、ここで単環式及び二環式シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環はここに定義される通りであり、そして前記の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得;
Yは、水素、 ハロゲン、 ハロアルカニル、 ハロアルケニル、 ハロアルキニル、 ハロアルカニルオキシ、 ハロアルケニルオキシ、 ハロアルキニルオキシ、 アルカニル、 アルケニル、 アルキニル、 アリール、 ヘテロアリール、 ヘテロシクロアルキル 又は シクロアルキル基、又は融合された二又は三環式環系であり、ここで1つのフェニル環は1又は2個の単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環、又は1つの二環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、又はここで2個のフェニル環は単環式シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に融合され、そして前述の基のすべては、任意には、1又は複数の置換基R’により置換され得、又はYは、下記式:
【化2】

であり、式中、R1, X, A, Z1, Z2, R8, R2, E及びpはここで定義される通りであり;
mは、O又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
rは、0又は1であり;
sは、0〜2であり;そして
tは、0〜3である]で表される化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る第1医薬組成物、及びメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る第2医薬組成物を含んで成るキット。
【請求項2】
第2医薬組成物におけるメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体に対する、第1医薬組成物における式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の重量比が、0.05〜20、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、さらにより好ましくは2〜4、及び最も好ましくは2.3〜3.5である、請求項1記載のキット。
【請求項3】
前記第1医薬組成物中の式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体の含有量が、約2〜60mg、好ましくは約5〜50mgである、請求項1又は2記載のキット。
【請求項4】
前記第2医薬組成物中のメトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の含有量が、約5〜30mg、好ましくは約10〜25mgである、請求項1〜3のいずれか1項記載のキット。
【請求項5】
前記第2医薬組成物中の個々の単位に関して、前記第1医薬組成物中の7単位が存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載のキット。
【請求項6】
免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防のための、請求項1〜4のいずれか1項記載のキット。
【請求項7】
前記障害が、リウマチ様関節炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶反応、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ループス腎炎又は多発性硬化症、 好ましくはリウマチ様関節炎である、請求項5記載のキット。
【請求項8】
前記第1医薬組成物が、1日1度、投与され、そして前記第2医薬組成物が毎週1度、投与される、請求項6又は7記載のキット。
【請求項9】
両医薬組成物が経口投与される、請求項6〜8のいずれか1項記載のキット。
【請求項10】
患者における免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防(前記処理又は予防はさらに、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の前記患者への適用を含んで成る)への使用のための、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体。
【請求項11】
患者における免疫学的及び炎症性障害の処理又は予防(前記処理又は予防はさらに、メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の前記患者への適用を含んで成る)への使用のための医薬組成物の製造のためへの、式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の使用。
【請求項12】
式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る医薬組成物が、1日1度、投与される、請求項10記載の化合物又は請求項11記載の使用。
【請求項13】
式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体の前記毎日の投与量が、約2mg〜約60mg、好ましくは約5mg〜50mgの範囲である、請求項12記載の化合物又は使用。
【請求項14】
メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る医薬組成物が、週1度、投与される、請求項10, 13又は14記載の化合物又は請求項12又は13記載の使用。
【請求項15】
メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体の毎週の投与量が、約5mg〜約30mg、好ましくは、約10mg〜約25mgの範囲である、請求項14記載の化合物又は使用。
【請求項16】
式(I)の化合物又は式(I)の医薬的に許容できる塩、又は式(I)のプロドラッグ、又は式(I)の生理学的機能誘導体、又は式(I)の立体異性体又は式(I)の互変異体を含んで成る医薬組成物が、経口投与される、請求項10又は12〜15のいずれか1項記載の化合物又は請求項11〜15のいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
メトトレキセート又は医薬的に許容できるその塩、又はその立体異性体又はその互変異体を含んで成る医薬組成物が、経口投与される、請求項10又は12〜16のいずれか1項記載の化合物又は請求項11〜16のいずれか1項記載の使用。
【請求項18】
前記障害が、リウマチ様関節炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎又は多発性硬化症である、請求項10又は12〜17のいずれか1項記載の化合物又は請求項11〜16のいずれか1項記載の使用。
【請求項19】
前記障害が、多発性硬化症又はリウマチ様関節炎である、請求項18記載の化合物又は使用。
【請求項20】
肝臓毒性が決定されることにより分光光度アッセイで測定される肝臓酵素レベル(例えば、ALAT)が、適切な用量のメトトレキセートのみの投与に基づいて、分光光度アッセイで測定される肝臓酵素レベル(例えば、ALAT)に比較して、少なくとも20%低められ、ここで前記分光光度アッセイは、次のパラメーターを含んで成り、すなわち分光光度計が使用され、肝臓酵素レベルが測定されるサンプルが血清であり、サンプル体積が15μlであり、試薬がALT試薬であり、試薬体積が115μlであり、インキュベーション時間が90秒であり、測定時間が120秒であり、結果がU/Lで定量化され、測定が340nmの波長で行われる、請求項1〜19のいずれか1項記載のキット、化合物又は使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−508205(P2012−508205A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535051(P2011−535051)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008057
【国際公開番号】WO2010/052027
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(507208200)4エスツェー アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】