説明

DHODH阻害剤としての、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基含有アミンとアミノニコチン酸誘導体との付加塩

本発明は、(i)1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含むアミンと、(ii)式(I)


[式中、
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基、ならびに所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基を示す。]
で示されるアミノニコチン酸誘導体との新規な水溶性の薬学的に許容される結晶性付加塩、およびその薬学的に許容される溶媒和物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、(i)1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミンと、(ii)アミノニコチン酸誘導体との新規の水溶性の薬学的に許容される結晶性付加塩およびその溶媒和物に関する。本発明はまた、該塩を含む医薬組成物、それを用いてジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある疾患および障害を処置、予防または抑制する方法、ならびにかかる塩の製造に有用な処理工程および中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、自己免疫疾患、免疫性および炎症性疾患、骨破壊障害、悪性新生物疾患、血管新生関連障害、ウイルス性疾患および感染症のような、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のあることが公知の疾患および障害の処置、予防または抑制において有用な化合物である。
【0003】
ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により仲介される生理的効果を考慮して、近年、いくつかのDHODH阻害剤が上記の疾患または障害の処置または予防について明らかにされている。例えば、WO2006/044741;WO2006/022442;WO2006/001961;WO2004/056747;WO2004/056746;WO2003/006425;WO2002/080897およびWO99/45926を参照のこと。
【0004】
製薬分野における製剤について最も困難な作業の1つは、非経腸投与、例えば静脈内投与、または経口投与が意図される有効な医薬組成物への水難溶性薬物の組み込みである。
【0005】
加えて、水難溶性薬物の水溶性は、そのバイオアベイラビリティに影響する重要な要因である。これらの水難溶性薬物の溶解性を改善することは、多くの異なる方法(エマルジョン、マイクロエマルジョン、自己乳化または微粒化)を用いて達成され得る。しかしながら、これらの方法は全て、該薬物の可溶化または乳化に界面活性剤の使用を必要とする。
【0006】
水難溶性薬物の溶解性はまた、それらの付加塩の製造によっても改善され得る。しかしながら、いくつかの場合に、その吸湿性(物質が、その吸収性または吸着性により大気から湿気を引きつける過程)または潮解性(物質が、それが吸収した水に溶解して水溶液を形成するまで、大気から水分を取り込む過程)のために、不安定な塩が形成される。
【0007】
WO2008/077639は、新規のアミノニコチン酸およびイソニコチン酸誘導体を有効なDHODH阻害剤として記載する。これらの化合物は十分な薬理学的活性を示すが水難溶性である。
【0008】
従って、水溶性のDHODH阻害剤であって、また胃腸系のpH範囲で可溶性であり、かつ物理的および化学的に安定であり、許容されるレベルの吸湿性および比較的高い融点を有する非潮解性形態であるDHODH阻害剤が必要とされている。このことは、医薬組成物および製剤を製造するために、顕著な分解、結晶度の低下または何らかの多形の変化を示すことなく、物質をさらに加工すること、例えば、微粉化することを可能とし得る。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明により、1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミンとアミノニコチン酸誘導体の水溶性付加塩が、水溶性であり、吸湿性でも潮解性でもなく、そして比較的高い融点を有する結晶形で得られることが見いだされた。
【0010】
従って、本発明は、(i)1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミンと、(ii)式(I)
【化1】


[式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基を示す。]
で示されるアミノニコチン酸誘導体の薬学的に許容される結晶性付加塩、およびその薬学的に許容される溶媒和物を提供する。
【0011】
本発明はまた、本発明の塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はさらに、本発明の塩および1種以上の他の治療剤を含む組合せ剤、ならびにかかる組合せ剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある病状または疾患、特にリウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスから選択される病状または疾患の処置法であって、治療的有効量の本発明の塩を投与することを含む方法を提供する。本発明はさらに、治療的有効量の本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤を投与すること、または治療的有効量のかかる組合せ剤を含む医薬組成物を投与することを含む処置法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本発明の塩の製造に有用である、本明細書に記載の合成法および中間体を提供する。
【0014】
本発明はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある病状または疾患、特にリウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスから選択される病状または疾患の処置に用いるための、本明細書に記載の本発明の塩、本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤、またはかかる組合せ剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、これらの疾患を処置するための製剤または医薬の製造のための、本発明の塩、本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤、またはかかる組合せ剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩のDSCサーモグラムを示す。
【図2】図2は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩のDVSパターンを示す。
【図3】図3は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩のIRスペクトルを示す。
【図4】図4は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDSCサーモグラムを示す。
【図5】図5は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDVSパターンを示す。
【図6】図6は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のIRスペクトルを示す。
【図7】図7は、2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸メグルミン塩のDSCサーモグラムを示す。
【図8】図8は、2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸メグルミン塩のDVSパターンを示す。
【図9】図9は、2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸メグルミン塩のIRスペクトルを示す。
【図10】図10は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩一水和物のDSCサーモグラムを示す。
【図11】図11は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩一水和物のDVSパターンを示す。
【図12】図12は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩一水和物のIRスペクトルを示す。
【図13】図13は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDSCサーモグラムを示す。
【図14】図14は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDVSパターンを示す。
【図15】図15は、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のIRスペクトルを示す。
【図16】図16は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のDSCサーモグラムを示す。
【図17】図17は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のDVSパターンを示す。
【図18】図18は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の塩、組成物および方法を記載するとき、以下の用語は、他に特記しない限り以下の意味を有する。
【0017】
用語“治療的有効量”は、処置の必要な患者に投与した時、有効な処置に十分な量を意味する。
【0018】
本明細書で用いる用語“処置”は、
(a)疾患または医学的状態を未然に防ぐこと、すなわち、患者の予防的処置;
(b)疾患または医学的状態を改善すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態の緩解をもたらすこと;
(c)疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態の進行を遅延させること;または、
(d)患者における疾患または医学的状態の症状を緩和させること
を含む、ヒト患者における疾患または医学的状態の処置を意味する。
【0019】
用語“溶媒和物”は、1個以上の溶質分子、すなわち、本発明の塩またはその薬学的に許容される塩、ならびに1個以上の溶媒分子により形成される複合体または凝集体を意味する。かかる溶媒和物は、溶質および溶媒の実質的に一定の分子比率を有する典型的な結晶固体である。代表的な溶媒には、例えば、水、エタノール、イソプロパノール等が含まれる。溶媒が水であるとき、形成する溶媒和物は水和物である。
【0020】
予防または処置され得る自己免疫疾患には、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、強直性脊椎炎、ウェゲナー肉芽腫症、多関節若年性特発性関節炎、潰瘍性大腸炎およびクローン病のような炎症性腸疾患、ライター症候群、線維筋痛症および1型糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
予防または処置され得る免疫性および炎症性疾患には、喘息、COPD、呼吸窮迫症候群、急性または慢性膵炎、移植片対宿主疾患、慢性サルコイドーシス、移植拒絶、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、ベーチェット症候群、結膜炎およびブドウ膜炎のような炎症性眼疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
予防または処置され得る骨破壊疾患には、骨粗鬆症、骨関節症および多発性骨髄腫関連骨障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
予防または処置され得る悪性新生物障害には、前立腺癌、卵巣癌および乳癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
予防または処置され得る血管新生関連障害には、血管腫、眼の血管新生、黄斑変性症または糖尿病性網膜症が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
予防または処置され得るウイルス性疾患には、HIV感染、肝炎ウイルスおよびサイトメガロウイルス感染が含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
予防または処置され得る感染症には、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性菌敗血症、毒素ショック症候群、細菌性赤痢、およびマラリアのような他の原虫感染が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
他に特記しない限り、用語アルキルは、1ないし4個の炭素原子、好ましくは1ないし2個の炭素原子を有する、所望により置換されていてよい直鎖もしくは分枝鎖炭化水素ラジカルを包含する。アルキル基上の好ましい置換基は、ハロゲン原子およびヒドロキシ基であり、より好ましくはハロゲン原子である。アルキル基は、好ましくは非置換か、1または2個のヒドロキシ基で置換されているか、または過ハロアルキル(perhaloalkyl)基である。より好ましくは、アルキル基は、非置換アルキル基または過ハロアルキル基である。過ハロアルキル基は、各水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキルである。好ましい過ハロアルキル基は、-CF3および−CCl3である。
【0028】
最も好ましくは、アルキル基は非置換である。
【0029】
適当なアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル基が含まれる。メチルが好ましい。非置換メチルが最も好ましい。
【0030】
本明細書で用いる用語アルコキシは、それぞれ1ないし4個、好ましくは1ないし2個の炭素原子を有する、所望により置換されていてよい、直鎖または分枝鎖オキシ含有ラジカルを包含する。該アルコキシ基の好ましい置換基は、ハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択され、より好ましくはハロゲン原子である。アルコキシ基は、好ましくは非置換であるか、1もしくは2個のヒドロキシ基で置換されるかまたは過ハロアルコキシ基である。より好ましくは、アルコキシ基は、非置換アルコキシ基または過ハロアルコキシ基である。過ハロアルコキシ基は、各水素原子がハロゲン原子で置換されているアルコキシ基である。好ましい過ハロアルコキシ基は、−OCFおよび−OCClである。
【0031】
最も好ましくは、アルコキシ基は該過ハロアルコキシ基である。
【0032】
適当なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシラジカルが含まれる。メトキシが好ましい。トリハロメトキシがより好ましい。トリフルオロメトキシが最も好ましい。
【0033】
本明細書で用いる、本発明の基本構造(general structure)に存在するアルキル基またはアルコキシ基は“所望により置換されていてよい”。これは、これらのアルキル基またはアルコキシ基が非置換であっても、または任意の位置において1個以上、例えば1、2または3個の上記の置換基で置換されていてもよいことを意味する。2個以上の置換基が存在するとき、各置換基は、同一または異なっていてよい。
【0034】
本明細書で用いる用語ハロゲン原子は、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子、一般的には、フッ素、塩素または臭素原子、最も好ましくは、臭素またはフッ素を包含する。接頭辞として用いる場合のハロも同じ意味を有する。
【0035】
本発明の一態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raは、ハロゲン原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である。好ましくは、Raは、ハロゲン原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−4アルコキシ基からなる群から選択される。より好ましくは、Raは、ハロゲン原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である。最も好ましくは、Raは、ハロゲン原子およびトリハロメトキシ基から選択される基である。
【0036】
本発明の別の態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rbは、水素原子およびハロゲン原子から選択される基である。
【0037】
本発明のさらに別の態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rcは、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基から選択される基である。好ましくは、Rcは、水素原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−4アルキル基から選択される基である。より好ましくは、Rcは、水素原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルキル基から選択される基である。最も好ましくは、Rcは、水素原子および非置換C1−2アルキル基から選択される基である。
【0038】
本発明のさらに別の態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rdは、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である。好ましくは、Rdは、水素原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である。より好ましくは、Rdは、水素原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である。最も好ましくは、Rdは、水素原子および非置換C1−2アルコキシ基から選択される基である。
【0039】
疑念を避けるために、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”とは、式NR123(式中、R1ないしR3は、水素原子または有機ラジカルである。)なる原子団である。従って、式(I)の化合物を塩とするために用いられるアミンは、塩形成工程前に正味の電荷を有さない。従って、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”は、アミニウムイオン、例えばコリンではない。
【0040】
当業者は、式(I)の化合物と結晶性付加塩を形成するために適当な薬学的に許容されるアミンを容易に選択可能である。結晶性は、例えば、かかるアミンの極性の増大により改善され得る。これは、一般的に、さらにヒドロキシル基を加えることによって達成され得る。
【0041】
本明細書で用いる通り、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、典型的に、1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基ならびに1個以上の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子、直鎖または分枝鎖C1−C4アルキル基、および−(C=NH)−NH2基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個以上のヒドロキシル基で置換されるか、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と一体となって、4ないし8員のN含有ヘテロ環式環を形成する。)で置換される直鎖または分枝鎖C1−C10アルカンである。
【0042】
本明細書で用いる通り、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、好ましくは、1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基ならびに1個以上の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子および直鎖または分枝鎖C1−C4アルキル基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個以上のヒドロキシル基で置換されるか、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と一体となって、4ないし8員のN含有ヘテロ環式環を形成する。)で置換される直鎖または分枝鎖C1−C10アルカンである。
【0043】
該4ないし8員のN含有ヘテロ環式環は、典型的に、RaおよびRbが結合するN原子およびN、OおよびSから選択される0、1または2個のさらなるヘテロ原子を含む、非芳香族性の飽和または不飽和環である。好ましくは、0または1個のさらなるヘテロ原子を含む、5員または6員の飽和環である。典型的に、さらなるヘテロ原子は、O原子である。好ましくは、N含有ヘテロ環式環は、ピロリジン環のモルホリンである。
【0044】
典型的に、C1−C10アルカンは、C1−C8アルカン、好ましくはC2−C8アルカン、より好ましくはC2−C6アルカン、最も好ましくはC4−C6アルカンである。
典型的に、C1−C10アルカンは、1、2、3、4、5、6、7または8個のヒドロキシル基、好ましくは、1、2、3、4、5または6個のヒドロキシル基、より好ましくは、1、2、3、4または5個のヒドロキシル基、最も好ましくは、3、4または5個のヒドロキシル基で置換される。
【0045】
典型的に、C1−C10アルカンは、1または2個のカルボキシル基、好ましくは、1個のカルボキシル基で置換される。
典型的に、C1−C10アルカンは、1、2、3または4個の基−NRaRb、好ましくは、1または2個の基−NRaRb、より好ましくは、1個の−NRaRb基で置換される。
典型的に、RaまたはRbとして示すC1−C4アルキル基は、非置換であるか、または1個のヒドロキシル基で置換される。好ましくは、RaまたはRbとして示すC1−C4アルキル基は、非置換である。
【0046】
典型的に、RaまたはRbとして示すC1−C4アルキル基は、C1−C2アルキル基、好ましくは、メチル基である。
典型的に、RaまたはRbのうち一方が、基−(C=NH)−NH2である。Rbが基−(C=NH)−NH2であるとき、Raは、好ましくは、水素原子である。
好ましくは、Raは、水素原子であり、Rbは、水素原子、非置換メチル、および−(C=NH)−NH2基から選択される。より好ましくは、Raは、水素原子であり、Rbは、水素原子および非置換メチルから選択される。
【0047】
好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、1、2、3、4もしくは5個のヒドロキシル基または1個のカルボキシル基、および1個または2個の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子、C1−C2アルキル基および−(C=NH)−NH2基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個のヒドロキシル基で置換されるか、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と一体となって、5ないし6員のN含有ヘテロ環式環を形成する。)で置換される、直鎖または分枝鎖C2−C6アルカンである。
【0048】
別の好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、1、2、3、4または5個のヒドロキシル基および1個の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子およびC1−C2アルキル基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個のヒドロキシル基で置換されるか、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と一体となって、5ないし6員のN含有ヘテロ環式環を形成する。)で置換される、直鎖または分枝鎖C2−C6アルカンである。
【0049】
より好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、1、2、3、4もしくは5個のヒドロキシル基または1個のカルボキシル基、および1個または2個の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子、C1−C2アルキル基および−(C=NH)−NH2基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個のヒドロキシル基で置換される。)で置換される、直鎖または分枝鎖C2−C6アルカンである。
【0050】
別のより好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、1、2、3、4または5個のヒドロキシル基および1個の基−NRaRb(式中、RaおよびRbは、独立して、水素原子およびC1−C2アルキル基から選択され、ここで、アルキル基は、非置換であるか、または1個のヒドロキシル基で置換される。)で置換される、直鎖または分枝鎖C2−C6アルカンである。
【0051】
最も好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、3、4もしくは5個のヒドロキシル基または1個のカルボキシル基、および1個または2個の基−NRaRb(式中、Raは、水素であり、Rbは、水素原子、非置換メチル基および−(C=NH)−NH2基から選択される。)で置換される、直鎖または分枝鎖C4−C6アルカンである。
【0052】
別の最も好ましい態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、3、4または5個のヒドロキシル基および1個の基−NRaRb(式中、Raは、水素であり、Rbは、水素原子および非置換メチル基から選択される。)で置換される、直鎖または分枝鎖C4−C6アルカンである。
【0053】
別の態様において、“1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミン”、好ましくは、“2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含有するアミン”は、1個または2個のカルボキシル基、および3個または4個の基−NRaRb(式中、Raは、水素であり、Rbは、水素原子および非置換メチル基である。)で置換される直鎖または分枝鎖C4−C6アルカンである。
【0054】
本発明のさらに別の態様において、アミンは、L−アルギニン、デアノール (2−(ジメチルアミノ)エタノール)、ジエタノールアミン (2,2’−イミノビス(エタノール))、ジエチルエタノールアミン (2−(ジエチルアミノ)−エタノール)、エタノールアミン (2−アミノエタノール)、メグルミン (N−メチル−グルカミン)、2−モルホリンエタノール (4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン)、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、トリエタノールアミン (2,2’,2”−ニトリロトリス(エタノール))およびトロメタミン (2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール)からなる群から選択される。好ましくは、アミンは、L−アルギニン、ジエタノールアミン (2,2’−イミノビス(エタノール))、メグルミン (N−メチル−グルカミン)、トリエタノールアミン (2,2’,2”−ニトリロトリス(エタノール))およびトロメタミン (2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール)からなる群から選択される。
【0055】
本発明の好ましい態様において、1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するアミンは、2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含む。
【0056】
本発明の好ましい態様において、アミンは、1個以上のヒドロキシル基のみ、好ましくは2個以上のヒドロキシル基のみを含み、すなわち、カルボキシル基を含まない。該1個以上のヒドロキシル基、好ましくは2個以上のヒドロキシル基を含むアミンは、好ましくは、デアノール (2−(ジメチルアミノ)エタノール)、ジエタノールアミン (2,2’−イミノビス(エタノール))、ジエチルエタノールアミン (2−(ジエチルアミノ)−エタノール)、エタノールアミン (2−アミノエタノール)、メグルミン (N−メチル−グルカミン)、2−モルホリンエタノール (4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン)、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、トリエタノールアミン (2,2’,2”−ニトリロトリス(エタノール))およびトロメタミン (2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール)からなる群から選択される。
【0057】
本発明の好ましい態様において、1個以上のヒドロキシル基のみ、好ましくは2個以上のヒドロキシル基のみを含むアミンは、ジエタノールアミン、メグルミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、好ましくは、メグルミンおよびトロメタミンからなる群から選択される。
【0058】
本発明の好ましい態様において、アミンは、1個以上のカルボキシル基のみを含み、すなわち、ヒドロキシル基を含まない。好ましくは、該1個以上のカルボキシル基、好ましくは、1個のカルボキシル基を含むアミンは、L−アルギニンである。
【0059】
本発明の好ましい態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raは、ハロゲン原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基、好ましくは、ハロゲン原子およびC1−2アルコキシ基から選択される基であり;Rbは、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基から選択される基、好ましくは水素原子およびC1−2アルキル基から選択される基であり;そして、Rdは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基、好ましくは、水素原子およびC1−2アルコキシ基から選択される基である。
【0060】
本発明の好ましい態様において、式(I)のアミノニコチン酸誘導体は、2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸 (2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸)、2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸 (2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸)、および2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸 (2−(3’−エトキシ−3,5−ジフルオロビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸)からなる群から選択される。
【0061】
本発明の好ましい態様において、アミンは、メグルミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、そして式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raは、ハロゲン原子および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基であり;Rbは、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルキル基から選択される基であり;そして、Rdは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である。
【0062】
本発明の好ましい態様において、アミンは、L−アルギニンであり、そして式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raは、ハロゲン原子および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよい、C1−2アルコキシ基から選択される基から選択される基であり;Rbは、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルキル基から選択される基であり;そして、Rdは、水素原子および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である。
【0063】
特に興味があるのは、以下の塩:
2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩、
および、それらの薬学的に許容される溶媒和物である。
【0064】
典型的に、メグルミンおよび2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(II)
【化2】


の化合物に相当する。
【0065】
典型的に、メグルミンおよび2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(III)
【化3】


の化合物に相当する。
【0066】
典型的に、トロメタミンおよび2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(IV)
【化4】


の化合物に相当する。
【0067】
典型的に、メグルミンおよび2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(V)
【化5】


の化合物に相当する。
【0068】
典型的に、トロメタミンおよび2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(VI)
【化6】


の化合物に相当する。
【0069】
典型的に、L−アルギニンおよび2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の本発明の結晶性塩は、式(VII)
【化7】


の化合物に相当する。
【0070】
本発明はまた、治療的有効量の上記の塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。
【0071】
本発明の態様において、該医薬組成物は、治療的有効量の1種以上の他の治療剤をさらに含む。
【0072】
本発明はまた、本発明の塩および1種以上の他の治療剤を含む組合せ剤、ならびにかかる組合せ剤を含む医薬組成物に関する。
【0073】
本発明はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある病状または疾患、特に、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスから選択される病状または疾患の処置における使用のための、本明細書に記載の本発明の塩、本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤、またはかかる組合せ剤を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、これらの疾患を処置するための製剤または医薬の製造のための、本発明の塩、本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤、またはかかる組合せ剤を含む医薬組成物の使用を包含する。
【0074】
本発明はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある病状または疾患、特に、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスから選択される病状または疾患の処置法であって、治療的有効量の本発明の塩を投与することを含む処置方法を包含する。本発明はまた、治療的有効量の本発明の塩と1種以上の他の治療剤の組合せ剤を投与すること、または治療的有効量のかかる組合せ剤を含む医薬組成物を投与することを含む処置法を包含する。
【0075】
一般的合成手順
本発明の塩は、本明細書に記載の方法および手順を用いて、または同様の方法および手順を用いて、製造することができる。典型的または好ましい方法条件(すなわち、反応温度、時間、反応材のモル比、溶媒、圧力等)が与えられる場合には、他に特記しない限り、他の方法条件も使用できることが理解され得る。最適な反応条件は、使用される特定の反応材もしくは溶媒によって変わってよく、そのような条件を、常套的な最適化手順によって当業者により決定することができる。
【0076】
本発明の塩を製造するための方法は、本発明の更なる態様として提供され、以下の手順により説明される。
【0077】
本発明の塩は、式(I)の対応するアミノニコチン酸誘導体、および1個以上のヒドロキシル基を含むアミン(これらは、例えばAldrichから市販されている)から合成され得る。
【0078】
この反応に好ましい不活性希釈剤には、所望により水を含んでいてよい、アセトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、アセトニトリル、炭酸ジメチル、ニトロメタン等、ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
上記の反応の完了後、該塩を、沈殿、濃縮、遠心分離等の常套手段により反応混合物から単離できる。
【0080】
特定の方法条件(すなわち、反応温度、時間、反応材のモル比、溶媒、圧力等)が与えられているが、他に特記しない限り、他の方法条件も使用できることが理解され得る。
【0081】
本発明の水溶性塩は、典型的に、1モル当量の遊離塩基当たり、約0.60ないし1.20モル当量の式(I)のアミノニコチン酸誘導体、より典型的には、1モル当量の遊離塩基当たり、約0.85ないし1.15モル当量の式(I)のアミノニコチン酸誘導体、さらにより典型的には、約1モル当量の式(I)のアミノニコチン酸誘導体を含む。
【0082】
本発明の方法に記載のモル比は、当業者に利用可能な種々の方法により容易に決定され得る。例えば、かかるモル比は、H NMRにより容易に決定され得る。あるいは、元素分析およびHPLC法は、モル比を決定するために用いられ得る。
【実施例】
【0083】
実施例
全般。反応材、出発物質および溶媒は、商業的供給業者から購入し、入手した状態のままで用いた。
【0084】
種々の薬学的に許容される溶媒(とりわけ、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、クロロホルム、ニトロメタン、炭酸ジメチル、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、イソプロパノールおよびメタノールが含まれる)中で、いくつかの式(I)のアミノニコチン酸誘導体と、広範な薬学的に許容される酸(とりわけ、塩酸、メタンスルホン酸および硫酸が含まれる)および塩基(とりわけ、アンモニア、L−アルギニン、水酸化マグネシウム、メグルミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびトロメタミンが含まれる)との塩の結晶化試験を行った。
【0085】
アンモニアおよび水酸化マグネシウムとの塩は、油状またはアモルファス形の固体の何れかであった。水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムとの塩は、吸湿性であった。一方、塩酸、メタンスルホン酸および硫酸との塩は、遊離形と同程度またはそれより低い溶解性を有した。この低い溶解性に加えて、これらの酸の塩は、非常に乏しい湿潤性(humectability)を示した。
【0086】
本発明の塩のみが、吸湿性でも潮解性でもなく、その微粉化を可能とし、長時間安定であることを可能とする比較的高い融点を有した。
【0087】
本発明の付加塩の製造に特に好適な方法を、以下の実施例に記載する。
【0088】
示差走査熱(DSC)サーモグラム分析を、DSC−821 Mettler−Toledo装置、製造番号5117423874を用いて得た。サンプルを、アルミニウムパン中に秤取し、アルミニウム蓋をサンプルの上に置き、そして真ちゅう製の棒で圧縮した。サンプルを、30℃で平衡化し、10℃/分で350℃まで加熱した。装置を、インジウムおよび亜鉛基準を用いて較正した。
【0089】
赤外線分光(IR)スペクトルを、universal ATRアクセサリを備えたPerkin Elmer Spectrum One FT−IR装置、製造番号70749を用いて得た。固体サンプをATRに直接導入した。取得範囲は、650ないし4000cm−1であった。
【0090】
動的蒸気収着(DVS)プロファイルを、Igasorp Hiden Isochema装置(製造番号IGA−SA−066)を用いて得た。最初の安定期後、少なくとも2つの等温線(25℃)を各サンプルについて得た:0ないし95%相対湿度での水分吸着、および95%相対湿度から乾燥での脱湿。両等温線を、各工程について最低10分間から最大30分間、10%湿潤工程で行った。
【0091】
実施例1:2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩の製造
275mg(1.4mmol)のメグルミンを、30mLのメタノールに溶解し、該溶液を、最小量のテトラヒドロフラン(7mL)中に溶解した500mg(1.4mmol)の2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。形成した沈殿を、77℃で30分間、20mLの酢酸エチルに懸濁し、その後、得られた懸濁液を濾過して、得られた沈殿を、真空下、40℃で4時間、乾燥させた。その後、675mg(収率:87%)の白色固体を、99.9%の純度(HPLCによる)で得た。
【0092】
図1は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸のメグルミン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、塩の融解または分解に対応する、136℃時点で特徴的な高い吸熱反応を示す。このことは、該サンプルが、他の多形体に変化せず、分解を受けないことを示し、故に、その高い安定性が確認される。
【0093】
図2は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩のDVSパターンを示す。質量増加は、80%(1.2%増加)および90%(6.1%増加)の相対湿度(RH)で測定された。この結果によれば、該塩は、吸湿性ではなく、ヒステリシスを示さない。
【0094】
図3は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、3207、1595、1524、1491、1384、1260、1144、1062、1046、1016、842、776および701cm−1で見られる。
【0095】
実施例2: 2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩の製造
170mg(1.4mmol)のトロメタミンを、20mLのメタノールに溶解し、該溶液を、少量のテトラヒドロフラン(6mL)中に溶解した500mg(1.4mmol)の2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分間撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。得られた油状物を、61℃で、0.9mLのクロロホルムに溶解し、ゆっくり室温まで冷却した。3日後、懸濁液をデカントし、得られた沈殿を、40℃で4時間、真空下で乾燥させた。その後、665mg(収率:99%)の白色固体を、99.9%の純度(HPLCによる)で得た。
【0096】
図4は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、塩の融解または分解に対応する、173℃時点で特徴的な高い吸熱反応を示す。このことは、該サンプルが、他の多形体に変化せず、分解を受けないことを示し、故に、その高い安定性が確認される。
【0097】
図5は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のDVSパターンを示す。質量増加は、80%(0.1%増加)および95%(2.0%増加)の相対湿度(RH)で測定された。この結果によれば、該塩は、吸湿性ではなく、ヒステリシスを示さない。
【0098】
図6は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、2971、1609、1574、1551、1526、1491、1455、1411、1387、1324、1282、1259、1242、1169、1148、1064、1025、858および776cm−1で見られる。
【0099】
実施例3: 2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸メグルミン塩の製造
26mg(0.133mmol)のメグルミンを、少量のテトラヒドロフラン(9mL)中に溶解した90mg(0.215mmol)の2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分間撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。形成した沈殿を、77℃で30分間かけて18mLの酢酸エチル中に懸濁させた。その後、得られた懸濁液を、1時間以上かけて、20℃まで冷却し、0−5℃で1時間冷却し、濾過し、得られた沈殿を、50℃で4時間、真空下で乾燥させた後、70mg(収率:53%)の白色固体を、100%の純度(HPLCによる)で得た。
【0100】
図7は、2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸メグルミン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、塩の融解または分解に対応する、116℃時点で特徴的な高い吸熱反応を示す。このことは、該サンプルが、他の多形体に変化せず、分解を受けないことを示し、故に、その高い安定性が確認される。
【0101】
図8は、2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸メグルミン塩のDVSパターンを示す。質量増加は、80%(2.7%増加)および90%(6.2%増加)の相対湿度(RH)で測定された。この結果によれば、該塩は、吸湿性ではなく、ヒステリシスを示さない。
【0102】
図9は、2−(3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸メグルミン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、3663、2987、1593、1522、1492、1457、1391、1317、1236、1216、1171、1088、1062、1047、1009、858、777および694cm−1で見られた。
【0103】
実施例4: 2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸メグルミン塩の製造
32mg(0.164mmol)のメグルミンを、少量のテトラヒドロフラン(9mL)中に溶解した90mg(0.265mmol)の2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分間撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。形成した沈殿を、4mLのt−ブチルメチルエーテルおよび2mLの塩化メチレン中に懸濁し、完全な溶解が確認されるまで20℃で撹拌した。溶媒を、固体の沈殿が確認されるまで、真空下、20℃で、一部除去した。その後、得られた懸濁液を、最低1時間以上かけて0−5℃まで冷却し、濾過し、得られた沈殿を、50℃で4時間、真空下で乾燥させた。58mg(収率:41%)のオフホワイト色固体を、100%の純度(HPLCによる)で得た。
【0104】
図10は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸一水和物メグルミン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、79℃および121℃時点で2つの小さな吸熱反応を示す。第一の吸熱反応はおそらく水分の損失に対応し、第二の吸熱反応は、無水形の融解または分解に対応する。他の変化は検出されなかった。
【0105】
図11は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸一水和物メグルミン塩のDVSパターンを示す。このDVSプロファイルは、一水和物形および無水物形の吸収−放出プロファイルに対応する、4本の等温線(通常、2本)を示す。この結果によれば、水和物形および無水物形は両方とも、吸湿性ではない。無水物形は、一水和物形を乾燥させることにより得られ得る。
【0106】
図12は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸一水和物メグルミン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、3675、2987、2901、1596、1579、1517、1493、1454、1419、1380、1317、1259、1146、1075、973、859、766および697cm−1で見られる。
【0107】
実施例5: 2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸トロメタミン塩の製造
31.5mg(0.260mmol)のトロメタミンを、25mLのメタノールに溶解し、該溶液を、少量のテトラヒドロフラン(6.6mL)中に溶解した55mg(0.161mmol)の2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分間撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。得られた油状物を、61℃で、4.4mLのクロロホルムに溶解し、そしてそれを、ゆっくり一晩かけて室温まで冷却した。懸濁液を、0−5℃で1時間冷却し、濾過し、得られた沈殿を、50℃で4時間、真空下で乾燥させた。77mg(収率:99%)のオフホワイト色固体を、100%の純度(HPLCによる)で得た。
【0108】
図13は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸トロメタミン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、81℃および98℃時点で2つの吸熱反応を示す。後者の吸熱反応は、塩の融解または分解に対応する。
【0109】
図14は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸トロメタミン塩のDVSパターンを示す。質量増加は、80%(5.7%増加)および90%(14.9%増加)の相対湿度(RH)で測定された。この結果によれば、該塩は、わずかに吸湿性であるが、ヒステリシスではない。安定な水和は検出されない。
【0110】
図15は、2−(3,5−ジフルオロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸トロメタミン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、3663、3185、2988、1599、1576、1515、1492、1461、1422、1381、1349、1311、1288、1259、1221、1152、1042、974、858および769cm−1で見られた。
【0111】
実施例6: 2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩の製造
245mg(1.4mmol)のL−アルギニンを、6mLの水に溶解し、該溶液を、少量のテトラヒドロフラン(7mL)中に溶解した500mg(1.4mmol)の2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸の混合物に添加した。室温で30分間撹拌後、溶液を真空下で蒸発させた。形成した沈殿を、65℃で30分間かけて20mLのメタノール中に懸濁し、得られた懸濁液を濾過し、そして得られた固体を、40℃で4時間、真空下で乾燥させた。その後、680mg(収率:91%)の白色固体を、99.9%の純度(HPLCによる)で得た。
【0112】
図16は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のDSCサーモグラムを示す。サンプルは、塩の融解または分解に対応する、253℃時点で特徴的な高い吸熱反応を示す。このことは、該サンプルが、他の多形体に変化せず、分解を受けないことを示し、故に、その高い安定性が確認される。
【0113】
図17は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のDVSパターンを示す。質量増加は、80%(0.1%増加)および90%(0.30%増加)の相対湿度(RH)で測定された。この結果によれば、該塩は、吸湿性ではなく、ヒステリシスを示さない。
【0114】
図18は、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩のIRスペクトルを示す。特徴的シグナルが、3439、3315、2988、1684、1601、1575、1528、1489、1472、1453、1405、1390、1348、1318、1263、1236、1162、1143、1044、1022、936、899、870、852、829、804、772、727、691および658cm−1で見られる。
【0115】
比較例1: 式(I)の化合物とコリンの付加塩の製造
コリン、薬学的に許容されるアミニウムイオンを、式(I)の化合物に添加し、油状物またはアモルファス形の固体を形成した。
【0116】
水溶性試験
水中、実施例1−5の化合物の水溶性を、室温で、対応する遊離酸の水溶性と共に決定した。結果を以下の表に示す。
【表1】

【0117】
表から分かる通り、本発明の塩は、対応する遊離酸よりも高い水溶性を示す。特に、2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸のメグルミン塩、トロメタミン塩およびL−アルギニン塩(実施例1、2および6)で、とりわけ2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸のメグルミン塩(実施例1)で良好な結果が得られた。
【0118】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本発明の塩またはその薬学的に許容される溶媒和物および薬学的に許容される担体を含む。
【0119】
本発明の塩は、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害剤での処置により改善される可能性があることが知られている疾患の処置または予防に有用である。かかる疾患には、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明の塩はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害剤を用いる処置により改善される可能性があることが知られている疾患の処置において、別の活性化合物と併用されてもよい。
【0121】
本発明の組合せ剤は、所望により、自己免疫疾患、免疫および炎症性疾患、骨破壊疾患、悪性新生物疾患、血管新生関連障害、ウイルス疾患、ならびに感染症の処置に有用であることが知られている1種以上のさらなる有効物質を含んでいてよく、例えば、(a)インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、アダリムマブおよびApplied Molecular Evolutionから提供されるAME−527のような抗TNFαモノクローナル抗体、(b)ミゾルビン、シクロホスファミドおよびアザチオプリンのような代謝拮抗化合物、(c)シクロスポリンA、タクロリムスおよびIsotechnikaから提供されるISA−247のようなカルシニューリン(PP−2B)阻害剤/INS発現阻害剤、(d)アセクロフェナク、ジクロフェナク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、シミコキシブおよびLaboratorios Almirall, S.A.,から提供されるLAS−34475のようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤、(e)エタネルセプト、レネルセプト、オネルセプトおよびペグスネルセプトのようなTNFαアンタゴニスト、(f)スルファサラジンおよびイグラチモドのようなNFκB(NFKB)活性化阻害剤、(g)アナキンラおよびAmgenから提供されるAMG−719のような、IL−1受容体アンタゴニスト、(h)メトトレキセート、アミノプテリンおよびChelseaから提供されるCH−1504のような、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害剤、(i)ミゾルビン、リバビリン、チアゾフリン、アミチビル、ミコフェノール酸モフェチル、リバミジンおよびメリメポジブのようなイノシン 5’−モノホスフェート デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害剤、(j)プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、コルチゾール、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン アセトニド、フルオシノロン アセトニド、フルオシノニド、ピルビン酸クロコルトロン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、デルタコルチゾン、デルタデヒドロコルチゾン、プレドニゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、トリアムシノロン、吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ヒドロコルチゾン プロブテート(probutate)およびジフルプレドナートのようなグルココルチコイド、(k)リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリツムマブ、ベルツズマブおよびTrubion Pharmaceuticalsから提供されるTRU−015のような、抗CD20モノクローナル抗体、(l)BLYSS、BAFF、TACI−IgおよびAPRILのようなB細胞標的化治療剤(B−targeted call therapy)、(m)AMG−548(Amgen)、ARRY−797(Array Biopharma)、エジシル酸クロルメチアゾール、ドラマピモド、PS−540446、BMS−582949(BMS)、SB−203580、SB−242235、SB−235699、SB−281832、SB−681323、SB−856553(全て、GlaxoSmithKline)、KC−706(Kemia)、LEO−1606、LEO−15520(全て、Leo)、SC−80036、SD−06、PH−797804(全て、Pfizer)、RWJ−67657(R.W. Johnson)、RO−3201195、RO−4402257(全て、Roche)、AVE−9940(Aventis)、SCIO−323、SCIO−469(全て、Scios)、TA−5493(田辺製薬)、ならびにVX−745およびVX−702(全て、Vertex)、ならびにスペイン特許出願番号第P200600396号および同第P200602174号に特許請求または記載される化合物のようなp38阻害剤、(n)Pfizerから提供されるCP690550のようなJak3阻害剤、R−348、(o)全てRigelから提供されるR−112、R−406およびR−788のようなSyk阻害剤、
【0122】
(p)ARRY−142886、ARRY−438162(全て、Array Biopharma)、AZD−6244(AstraZeneca)、PD−098059、PD−0325901(全てPfizer)、AR−119、AS703026のようなMEK阻害剤、(q)AstraZenecaから提供されるAZD−9056のようなP2X7受容体アンタゴニスト、(r)フィンゴリモド、Sankyoから提供されるCS−0777およびActelionから提供されるR−3477のようなS1P1アゴニスト、(s)ナタリズマブのような抗CD49モノクローナル抗体、(t)シレンギチド、フィラテグラスト、塩酸バラテグラスト、SB−273005、SB−683698(全てGlaxo)、Sanofi−Aventisから提供されるHMR−1031、Rocheから提供されるR−1295、BMSから提供されるBMS−587101およびUCB Celltechから提供されるCDP−323のようなインテグリン阻害剤、(u)エクリズマブおよびパキセリズマブのような抗CD88モノクローナル抗体、(v)InKineから提供されるCBP−1011およびAmgenから提供されるC−326のようなIL−6受容体アンタゴニスト、(w)エルシリモマブ(Elsilimomab)、Centocorから提供されるCNTO−328およびVaccinexから提供されるVX−30のような抗IL−6モノクローナル抗体、(x)イピリムマブおよびチシリムマブのような抗CD152モノクローナル抗体、(y)アバタセプトのようなヒト免疫グロブリンG1の一部と結合したヒト細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA−4)の細胞外ドメインを含む融合タンパク質、(z)チルドロン酸二ナトリウム、クロドロン酸二ナトリウム、パミドロン酸二ナトリウム、エチドロン酸二ナトリウム、キシジフォン(Xydiphone)(K、Na塩)、アレンドロン酸ナトリウム、ネリドロネート、ジメチル−APD、オルパドロン酸ナトリウム塩、ミノドロン酸、アポミン(Apomine)、イバンドロン酸ナトリウム水和物およびリセドロン酸ナトリウムのようなビスホスホネートのような骨障害の処置に有用な薬剤、(aa)ペガプタニブオクタナトリウム、コハク酸バタラニブ、ソラフェニブ、バンデタニブ、リンゴ酸スニチニブ、セジラニブ、塩酸パゾパニブおよびAEterna Zentarisから提供されるAE−941のようなVEGF Try キナーゼ阻害剤、(bb)金塩、ヒドロキシクロロキニン、ペニシラミン、K−832、SMP114およびAD452のような自己免疫疾患において有効な他の化合物、(cc)フォオデシン塩酸塩、Albert Einstein College of Medicineから提供されるR−3421、CI−972およびCI−1000(共にPfizer)のようなプリン−ヌクレオシド ホスホリラーゼ阻害剤、(dd)デノスマブのような抗RANKLモノクローナル抗体、(ee)イノリモマブ、ダクリキシマブ、バシリキシマブおよびUS National Cancer Instituteから提供されるLMB−2のような抗CD25モノクローナル抗体、(ff)ダイバルプロエックスナトリウム、アセチルジナリン、デプシペプチド、ピルビン酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、ボリノスタット、Mitsuiから提供されるMS−27−275、バルプロ酸、ピロキサミド、トリブチリン、TopoTargetから提供されるPX−105684、MethylGeneから提供されるMG−0103、TopoTargetから提供されるG2M−777およびCeleraから提供されるCG−781のようなヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)阻害剤、(gg)KaloBiosから提供されるKB−002のような抗コロニー刺激因子(GM−CSF)モノクローナル抗体、(hh)Biogen Idecから提供されるAvonex、CinnaGenから提供されるCinnoVexおよびEMD Seronoから提供されるRebifのようなインターフェロンβ1a、ならびにScheringから提供されるBetaferonおよびBerlexから提供されるBetaseronのようなインターフェロンβ1bを含むインターフェロン、(ii)Biogen Idec/Fumapharm AGから提供されるBG−12(フマル酸誘導体);laquinimod(Teva and Active Biotech)またはグラチマラー酢酸塩(Teva)のような免疫調節剤、ならびに(jj)Merck Seronoから提供されるクラドリビンのようなアデノシンアミノヒドロラーゼ阻害剤である。
【0123】
本発明の塩を、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスの処置に用いるとき、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスのような疾患の処置に有用であることが公知の他の有効化合物と組み合わせて用いるのに有利であり得る。
【0124】
リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬またはサルコイドーシスの処置または予防のために、本発明の塩と組み合わされる特に好ましい有効化合物は、(a)インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、アダリムマブおよびApplied Molecular Evolutionから提供されるAME−527のような抗TNFαモノクローナル抗体、(b)エタネルセプト、レネルセプト、オネルセプトおよびペグスネルセプトのようなTNFαアンタゴニスト、(c)シクロスポリンA、タクロリムスおよびIsotechnikaから提供されるISA−247のようなカルシニューリン(PP−2B)阻害剤/INS発現阻害剤、(d)アナキンラおよびAmgenから提供されるAMG−719のような、IL−1受容体アンタゴニスト、(e)リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリツムマブ、ベルツズマブおよびTrubion Pharmaceuticalsから提供されるTRU−015のような、抗CD20モノクローナル抗体、(f)AMG−548(Amgen)、ARRY−797(Array Biopharma)、エジシル酸クロルメチアゾール、ドラマピモド、PS−540446(BMS)、SB−203580、SB−242235、SB−235699、SB−281832、SB−681323、SB−856553(全て、GlaxoSmithKline)、KC−706(Kemia)、LEO−1606、LEO−15520(全て、Leo)、SC−80036、SD−06、PH−797804(全て、Pfizer)、RWJ−67657(R.W. Johnson)、RO−3201195、RO−4402257(全て、Roche)、AVE−9940(Aventis)、SCIO−323、SCIO−469(全て、Scios)、TA−5493(田辺製薬)、ならびにVX−745およびVX−702(全て、Vertex)、ならびにスペイン特許出願番号ES2303758およびES2301380に特許請求または記載される化合物のようなp38阻害剤、(g)スルファサラジンおよびイグラチモドのようなNFκB(NFKB)活性化阻害剤、(h)メトトレキセート、アミノプテリンおよびChelseaから提供されるCH−1504のような、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害剤、(n)Pfizerから提供されるCP−690550(tasocitinib)のようなJAK3阻害剤、(p)ARRY−142886、ARRY−438162(全て、Array Biopharma)、AZD−6244(AstraZeneca)、PD−098059、PD−0325901(全てPfizer)、AR−119、AS703026のようなMEK阻害剤、(r)フィンゴリモド、Sankyoから提供されるCS−0777およびActelionから提供されるR−3477のようなS1P1アゴニスト、(hh)Biogen Idecから提供されるAvonex、CinnaGenから提供されるCinnoVexおよびEMD Seronoから提供されるRebifのようなインターフェロンβ1a、ならびにScheringから提供されるBetaferonおよびBerlexから提供されるBetaseronのようなインターフェロンβ1bを含むインターフェロン、(ii)Biogen Idec/Fumapharm AGから提供されるBG−12(フマル酸誘導体)のような免疫調節剤、および(jj)Merck Seronoから提供されるクラドリビンのようなアデノシンアミノヒドロラーゼ阻害剤である。
【0125】
本発明の組合せ剤は、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある障害の処置に使用することができる。よって、本発明はこれらの障害の処置方法、ならびにこれらの障害の処置のための薬剤の製造における本発明の組合せ剤の使用を包含する。
【0126】
このような障害の好ましい例は、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシス、より好ましくは、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎および乾癬、最も好ましくは、リウマチ性関節炎である。
【0127】
本発明の組合せ剤中の有効化合物は、処置される障害の性質に応じた何れかの適当な経路、例えば、経口(シロップ、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、制御放出製剤、速溶性製剤等として);局所(クリーム、軟膏、ローション、鼻腔スプレーまたはエアゾール等として);注射(皮下、皮内、筋肉内、静脈内等)または吸入(乾燥粉末、溶液、分散物等として)により投与することができる。
【0128】
組合せ剤中の有効化合物、すなわち、本発明の塩と他の任意の有効化合物は、同じ医薬組成物として共に、または同一もしくは異なる経路による別個、同時、併用もしくは逐次投与を意図した異なる組成物として投与することができる。
【0129】
本発明の1つの態様は、本発明の塩を、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスの処置において有用な別の有効化合物と組み合わせて、同時、併用、別個または逐次使用するための指示書と共に含む複数部分のキットである。
【0130】
本発明の別の態様は、本発明の塩と、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスの処置において有用な別の有効化合物とを含むパッケージである。
【0131】
本発明の組合せ剤は、便宜的には、単位投与量形態で提供されることができ、製薬分野で公知の何れかの方法によって製造され得る。
【0132】
経口投与に適する本発明の製剤は、一定量の有効成分を、粉末または顆粒として;水性液または非水性液中の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとしてそれぞれ含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような個別単位として提供することができる。有効成分はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として提供され得る。
【0133】
シロップ製剤は典型的に、風味剤または着色剤と共に、例えば、エタノール、落花生油、オリーブ油、グリセリンまたは水のような液体担体中の化合物または塩の懸濁液または溶液からなる。
【0134】
組成物が錠剤形態であるとき、固体製剤を製造するために通常用いられる何れの薬学的担体を用いてもよい。このような担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、アラビアガム、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびスクロースが含まれる。
【0135】
錠剤は、所望により1個以上の副成分と共に圧縮または成型(moulding)することにより製造することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような易流動性の有効成分を、所望により結合剤、滑剤(lubricant)、不活性希釈剤、滑性物質(lubricating)、界面活性剤または分散剤と混合し、適当な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤(moulded tablet)は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することにより製造することができる。これらの錠剤は、所望によりコーティングされるか、または割線を入れられてもよく、その有効成分を徐放または制御放出させるように製剤化されてもよい。
【0136】
組成物がカプセル剤の形態であるとき、例えばゼラチン硬カプセルにおいて上記の担体を用いるなど、常套的なカプセル化が何れも適切である。組成物がゼラチン軟カプセルの形態であるとき、例えば水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油など、分散液または懸濁液に通常用いられる何れかの薬学的担体が考慮されてよく、ゼラチン軟カプセル中に組み込まれる。
【0137】
吸入による肺への局所送達用の乾燥粉末組成物は、吸入器または注入器(吹き入れ器(insufflator))に用いるための、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジまたは例えばラミネートアルミ箔のようなブリスターで提供され得る。製剤は、典型的に、本発明の化合物と、ラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤(担体物質)の吸入用粉末混合物を含有する。ラクトースの使用が好ましい。各カプセルまたはカートリッジは一般に2μg〜150μgの間のそれぞれの処置における有効成分を含有する。あるいは、有効成分は賦形剤を用いずに提供され得る。
【0138】
経鼻送達用の典型的な組成物としては、吸入に関して述べた上記のものが含まれ、さらに、所望により経鼻ポンプにより投与可能な緩衝剤、抗菌剤、張力調節剤および粘度調節剤のような常用の賦形剤と組み合わせてよい、水のような不活性ビヒクル中の溶液または懸濁液の形態の非加圧組成物も含む。
【0139】
例えばクリーム、軟膏、ローションまたはペーストのような典型的な皮膚用および経皮製剤は、慣例の水性または非水性ビヒクルを含み、あるいは薬剤を添加した絆創膏、パッチまたは膜の形態である。
【0140】
好ましくは、該組成物は、患者が単回量を投与することができるように、例えば錠剤、カプセル剤または一定量エアロゾル用量のような単位投与量形態である。
【0141】
治療効果を達成するのに必要とされる各有効成分の量は、当然のことながら、特定の有効成分、投与経路、処置される対象および処置されている特定の障害もしくは疾患によって異なる。
【0142】
有効用量は、通常、1日当たり有効成分2〜2000mgの範囲である。1日投与量は、1日当たり、1回以上の処置、好ましくは1〜4回の処置で投与され得る。好ましくは、有効成分は1日1回または2回投与される。
【0143】
有効成分の組合せを用いるとき、全ての有効成分を同時にまたは極めて近い時間に投与することが意図される。あるいは、1または2個の有効成分を朝に、他のもの(複数可)を同日のその後に投与することもできる。あるいは別の方法として、1または2個の有効成分を1日に2回、他のもの(複数可)を、1日2回行われる投与のうちの1回として同時に、または別に、1日1回投与することもできる。好ましくは、少なくとも2個、より好ましくは全ての有効成分は同時に共に投与される。好ましくは、少なくとも2個、より好ましくは全ての有効成分は混合物として投与される。
【0144】
以下の製剤形を組成物例(製剤例)として挙げる。
組成物例1
それぞれ100mgの2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩(有効成分)を含有する50,000カプセルを以下の製剤方法に従って製造した。
【表2】

【0145】
方法
これらの有効成分を60メッシュの篩を通し、適当なミキサーにかけ、50,000個のゼラチンカプセルに充填した。
【0146】
組成物例2
それぞれ50mgの2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩(有効成分)を含有する50,000錠剤を以下の製剤方法に従って製造した。
【表3】

【0147】
方法
全ての粉末を孔径0.6mmの篩に通した後、適当なミキサーで20分間混合し、9mmディスクと平面傾斜パンチ(flat beveled punchs)を用いて300mg錠剤に打錠した。これらの錠剤の崩壊時間は約3分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1個以上のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含むアミンと、(ii)式(I)
【化1】


[式中、
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基、ならびに所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基を示す。]
で示されるアミノニコチン酸誘導体との薬学的に許容される結晶性付加塩、およびその薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項2】
式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raが、ハロゲン原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である、請求項1記載の塩。
【請求項3】
式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rbが、水素原子およびハロゲン原子から選択される基である、請求項1または2記載の塩。
【請求項4】
式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rcが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基から選択される基である、請求項1ないし3の何れか一項記載の塩。
【請求項5】
式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Rdが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である、請求項1ないし4の何れか一項記載の塩。
【請求項6】
式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raが、ハロゲン原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基であり;Rbが、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルキル基から選択される基であり;そして、Rdが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−4アルコキシ基から選択される基である、請求項1記載の塩。
【請求項7】
アミンが、L−アルギニン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エタノールアミン、メグルミン、2−モルホリンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、好ましくは、L−アルギニン、ジエタノールアミン、メグルミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンからなる群から選択される、請求項1ないし6の何れか一項記載の塩。
【請求項8】
アミンが、2個以上のヒドロキシル基および/または1個以上のカルボキシル基を含む、請求項1ないし7の何れか一項記載の塩。
【請求項9】
アミンが、1個以上のヒドロキシル基のみ、好ましくは2個以上のヒドロキシル基のみを含む、請求項1記載の塩。
【請求項10】
アミンが、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エタノールアミン、メグルミン、2−モルホリンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、好ましくは、ジエタノールアミン、メグルミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、より好ましくは、メグルミンおよびトロメタミンからなる群から選択される、請求項9記載の塩。
【請求項11】
アミンが、1個以上のカルボキシル基のみを含む、請求項1記載の塩。
【請求項12】
アミンがL−アルギニンである、請求項11記載の塩。
【請求項13】
アミンが、メグルミンおよびトロメタミンからなる群から選択され、そして式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raが、ハロゲン原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基であり;Rbが、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルキル基から選択される基であり;そして、Rdが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である、請求項1記載の塩。
【請求項14】
アミンが、L−アルギニンであり、そして式(I)のアミノニコチン酸誘導体において、Raが、ハロゲン原子、および所望により1、2または3個のハロゲン原子で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基であり;Rbが、水素原子およびハロゲン原子から選択される基であり;Rcが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルキル基から選択される基であり;そして、Rdが、水素原子、および所望によりハロゲン原子およびヒドロキシ基から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよいC1−2アルコキシ基から選択される基である、請求項1記載の塩。
【請求項15】
2−{[3’−エトキシ−3−(トリフルオロメトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アミノ}ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸メグルミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸トロメタミン塩、
2−[(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アミノ]ニコチン酸L−アルギニン塩、
および、その薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される、請求項1記載の塩。
【請求項16】
治療的有効量の請求項1ないし15の何れか一項記載の塩および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
治療的有効量の1種以上の他の治療剤をさらに含む、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
他の治療剤が、
a) インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、アダリムマブおよびApplied Molecular Evolutionから提供されるAME−527のような、抗TNFαモノクローナル抗体;
b) エタネルセプト、レネルセプト、オネルセプトおよびペグスネルセプトのような、TNFαアンタゴニスト;
c) シクロスポリンA、タクロリムスおよびIsotechnikaから提供されるISA−247のような、カルシニューリン(PP−2B)阻害剤/INS発現阻害剤;
d) アナキンラおよびAmgenから提供されるAMG−719のような、IL−1受容体アンタゴニスト;
e) リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリツムマブおよびTrubion Pharmaceuticalsから提供されるTRU−015のような、抗CD20モノクローナル抗体;
f) AMG−548(Amgen)、ARRY−797(Array Biopharma)、エジシル酸クロルメチアゾール、ドラマピモド、PS−540446(BMS)、SB−203580、SB−242235、SB−235699、SB−281832、SB−681323、SB−856553(全て、GlaxoSmithKline)、KC−706(Kemia)、LEO−1606、LEO−15520(全て、Leo)、SC−80036、SD−06(全て、Pfizer)、RWJ−67657(R.W. Johnson)、RO−3201195、RO−4402257(全て、Roche)、AVE−9940(Aventis)、SCIO−323、SCIO−469(全て、Scios)、TA−5493(田辺製薬)、ならびにVX−745およびVX−702(全て、Vertex)のような、p38阻害剤;
g) スルファサラジンおよびイグラチモドのような、NFκB(NFKB)活性化阻害剤
h) アミノプテリンおよびChelseaから提供されるCH−1504のような、別のジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害剤
n) Pfizerから提供されるCP−690550(tasocitinib)のようなJAK3阻害剤;
p) ARRY−142886、ARRY−438162(全て、Array Biopharma)、AZD−6244(AstraZeneca)、PD−098059、PD−0325901(全て、Pfizer)のような、MEK阻害剤;
r) フィンゴリモド、三共から提供されるCS−0777およびActelionから提供されるR−3477のような、S1P1アゴニスト;
hh) Avonex(Biogen Idec)、CinnoVex(CinnaGen)およびRebif(Merck Serono)のようなインターフェロンβ1a、ならびにBetaferon(Schering) およびBetaseron(Berlex)のようなインターフェロンβ1bを含む、インターフェロン;
(ii) Biogen Idec/Fumapharm AGから提供されるBG−12(フマル酸誘導体);laquinimod(Teva and Active Biotech)またはグラチラマー酢酸塩(Teva)のような免疫調節剤;ならびに
(jj) クラドリビン(Merck Serono)のようなアデノシンアミノヒドロラーゼ阻害剤
から選択される、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
請求項1ないし15の何れか一項記載の塩および請求項18記載の1種以上の他の治療剤を含む、組合せ剤。
【請求項20】
ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害により改善される可能性のある病状または疾患の処置における使用のための、請求項1ないし15の何れか一項記載の塩、請求項16ないし18の何れか一項記載の医薬組成物または請求項19記載の組合せ剤。
【請求項21】
該病状または疾患が、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、乾癬およびサルコイドーシスから選択される、請求項20記載の塩、医薬組成物または組合せ剤。
【請求項22】
請求項20または21記載の病状または疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項1ないし15の何れか一項記載の塩、請求項16ないし18の何れか一項記載の医薬組成物または請求項19記載の組合せ剤の使用。
【請求項23】
請求項20または21記載の病状または疾患を有する対象の処置方法であって、該対象に、有効量の請求項1ないし15の何れか一項記載の塩、請求項16ないし18の何れか一項記載の医薬組成物または請求項19記載の組合せ剤を投与することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−520252(P2012−520252A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553360(P2011−553360)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001550
【国際公開番号】WO2010/102826
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(598032139)アルミラル・ソシエダッド・アノニマ (69)
【氏名又は名称原語表記】Almirall, S.A.
【Fターム(参考)】