説明

DLL4アンタゴニストおよび降圧剤の治療的併用およびそれらによる治療の方法

DLL4アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤を投与する段階を含む、癌を治療するための方法を記載する。また、DLL4アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤を含む薬学的組成物、ならびにそれを含むキットも記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年10月16日に提出された米国仮特許出願第61/252,473号の優先権による恩典を主張し、それはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の説明
発明の分野
本発明は腫瘍学の分野に関し、癌を治療するための新規組成物および方法を提供する。本発明は、DLL4アンタゴニストと1つまたは複数の降圧剤とを含む薬学的組成物、ならびにそれを用いるための方法およびキットを提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
癌は先進諸国における死亡の主因の1つであり、米国だけでも毎年、100万人を超える人が癌と診断され、500,000人が死亡している。全体的にみて、人々の3人に1人以上は人生の間に何らかの型の癌を発症すると推定されている。癌には200を上回る異なる種類があり、そのうち4つ‐乳癌、肺癌、結腸直腸癌および前立腺癌‐が、新規発症例全体の過半数を占める(Jemal et al., 2003, Cancer J. Clin. 53 :5-26(非特許文献1))。
【0004】
次第に、癌の治療は、全身作用性の細胞毒性剤の使用から、無秩序な細胞増殖および生存を可能にする機序に照準を合わせた、より標的指向性の高い治療法を含めるように移行してきている。腫瘍が独立した血液供給を確立する過程である腫瘍血管新生は、腫瘍の成長にとって決定的に重要な段階である。腫瘍血管新生を標的とする取り組みは、新規癌治療剤の開発のための重要な戦略として浮上している。
【0005】
酸素および栄養分を送達しかつ細胞廃棄物を除去する血管が発達しなければ、腫瘍は直径約2mmを超えて成長し続けることができない。腫瘍は付近の血管の内皮細胞の受容体に対して作用する血管新生因子を放出して、血管新生因子の放出部位、すなわち腫瘍へと向かう新たな血管の増殖および発達を引き起こす。腫瘍によって誘導されるこの血管系は、比較的少数の血管がはるかに多数の癌細胞群の生存および継続的成長のために決定的に重要であるという理由から、抗腫瘍療法の標的として非常に大きな関心を集めている。1本の腫瘍血管の機能の乱れが、それに血液供給を依存している数千個もの腫瘍細胞の同時多発的な虚血細胞死および壊死をもたらしうる。このため、独立した血液供給を誘導して維持するという腫瘍の能力を攪乱させる薬物は、有望な治療剤である。
【0006】
腫瘍血管新生を標的とする薬物は一般に、抗血管新生剤および血管新生障害剤(dysangiogenic drug)という2つのカテゴリーの1つに分類される。抗血管新生剤は、新たな血管の発達および維持を阻止し、それ故に腫瘍成長を妨害する。抗血管新生剤の一例は、抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体の1つであるベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。対照的に、血管新生障害剤は、調節障害を伴う血管新生を生じさせて、機能障害を伴うかまたは非機能的な血管系の発達を招く。
【0007】
Notch経路は、増殖、遊走、平滑筋分化、血管新生および動脈静脈分化を含む、血管発生の複数の局面に関与する(Iso et al., 2003, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 23:543(非特許文献2))。Notch受容体リガンドDLL4(Delta様リガンド4)は、Notch経路の重要な構成要素であり、血管新生において役割を果たす。DLL4のヘテロ接合性喪失は、動脈発生および卵黄嚢血管形成の重大な欠陥をもたらし、胚致死を招く(Duarte et al., 2004, Genes Dev., 18:2474-78(非特許文献3);Gale et al., 2004, PNAS, 101:15949-54(非特許文献4);Krebs et al., 2004, Genes Dev., 18:2469-73(非特許文献5))。さらに、腫瘍細胞および腫瘍血管系はDLL4を過剰発現するが、このことはDLL4発現が腫瘍血管新生における重要な因子であることを示唆する(Patel et al., 2005, Cancer Res., 65 :8690-97(非特許文献6);Yan et al., 2001, Blood, 98:3793-99(非特許文献7))。このため、DLL4シグナル伝達の遮断は、新たな抗癌療法の開発のための有望な手段として浮上している。
【0008】
抗DLL4抗体などによるDLL4シグナル伝達の遮断は、複数の異なる機序によって腫瘍成長を減少させることが示されている(Ridgway et al., 2006, Nature, 444: 1083-87(非特許文献8);Noguera-Troise et al, Nature, 444: 1032-37(非特許文献9);Hoey et al., 2009, Cell Stem Cell, 5: 168-77(非特許文献10))。例えば、DLL4遮断抗体は内皮細胞増殖および血管の発達を生じさせるが、これらの血管は機能的な内腔を持たないことが報告されている。この血管新生障害効果は、非機能的な血管のみの発達を促進することにより、腫瘍成長を阻止することが報告されている(Ridgeway et al. およびNoguera-Troise et al. (上記);Scehnet et al., 2007, Blood, 109:4753-60(非特許文献11))。さらに、DLL4遮断抗体は、腫瘍細胞の増殖を低下させること、および癌幹細胞の頻度を低下させることによって腫瘍成長を阻害することも示されている。腫瘍開始細胞(癌幹細胞、すなわちCSC)の減少の背後にある機序は不明であるが、DLL4はCSCの自己再生のために必要であり、かつこれらの細胞を未分化状態に維持するという仮説が立てられている(Hoey et al., 上記)。
【0009】
腫瘍血管新生因子のシグナル伝達を遮断しようとする治療的アプローチとは異なり、抗ヒトDLL4抗体によるDLL4シグナル伝達の遮断は、内皮肥厚化および非機能的な微小血管の生成をもたらしうる。その結果、腫瘍血管新生因子の存在下でさえ、抗ヒトDLL4抗体の投与を通じたDLL4シグナル伝達の遮断が、腫瘍の成長を支えるために必要な機能的血管の形成を誘導するという腫瘍の能力を阻害する血管新生障害をもたらすことができる。
【0010】
抗血管新生剤、例えば抗VEGF抗体ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))およびソラフェニブ(Nexavar(登録商標))などは、それらを服用した患者の約3分の1で高血圧を引き起こすことが知られている。抗Dll4抗体は、従来の抗血管新生治療剤のものとは異なる機序である血管新生障害を促進することによって腫瘍血管新生を阻害することが報告されているが、本発明者らは今回、驚いたことに、抗Dll4抗体が一部の患者において高血圧を引き起こしうることを見いだした。したがって、抗DLL4抗体などのDLL4アンタゴニストにより、それによって引き起こされる高血圧をコントロールしながら、癌を治療する方法に対しては需要がある。
【0011】
1つまたは複数の降圧剤の投与を通じて高血圧をコントロールしながら、DLL4アンタゴニストによって癌を治療するための薬学的組成物、方法およびキットを提供することは、本発明の1つの目的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Jemal et al., 2003, Cancer J. Clin. 53 :5-26
【非特許文献2】Iso et al., 2003, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 23:543
【非特許文献3】Duarte et al., 2004, Genes Dev., 18:2474-78
【非特許文献4】Gale et al., 2004, PNAS, 101:15949-54
【非特許文献5】Krebs et al., 2004, Genes Dev., 18:2469-73
【非特許文献6】Patel et al., 2005, Cancer Res., 65 :8690-97
【非特許文献7】Yan et al., 2001, Blood, 98:3793-99
【非特許文献8】Ridgway et al., 2006, Nature, 444: 1083-87
【非特許文献9】Noguera-Troise et al, Nature, 444: 1032-37
【非特許文献10】Hoey et al., 2009, Cell Stem Cell, 5: 168-77
【非特許文献11】Scehnet et al., 2007, Blood, 109:4753-60
【発明の概要】
【0013】
癌を治療するための方法であって、それを必要とする対象に対して、DLL4アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤を投与する段階を含む方法を提供する。DLL4アンタゴニストと1つまたは複数の降圧剤とを含む組成物およびキットもさらに提供する。また、DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者における高血圧を改善する方法であって、患者に対して1つまたは複数の降圧剤の有効量を投与する段階を含む方法も提供する。DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者における高血圧を予防する方法であって、患者に対して有効量の降圧剤を投与する段階を含む方法もさらに提供する。また、DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者を高血圧の発症に関してモニターする方法であって、DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者の血圧を測定する段階、および血圧が正常範囲を上回る患者に対して1つまたは複数の降圧剤を投与する段階を含む方法も提供する。
【0014】
ある態様において、DLL4アンタゴニストは、DLL4と特異的に結合する抗体(すなわち、抗DLL4抗体)である。ある態様において、抗DLL4抗体が結合するDLL4はヒトDLL4である。1つの態様において、抗DLL4抗体はモノクローナル抗体である。1つのさらなる態様において、抗DLL4抗体は、SEQ ID NO:11を含むヒトDLL4のN末端領域内のアミノ酸を含むヒトDLL4エピトープと特異的に結合する。他の態様において、抗DLL4抗体はヒト化抗体またはヒト抗体である。1つのさらなる態様において、ヒト化抗DLL4抗体は、2007年5月10日にATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされ、これは21M18 H7L2およびOMP-21M18としても知られる。1つのさらなる態様において、ヒト化抗DLL4抗体は、2007年5月10日にATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8427を有するプラスミドによってコードされ、これは21M18 H9L2としても知られる。さらに別の態様において、抗DLL4抗体は、DLL4との結合を巡って、抗体OMP-21M18と競合する。
【0015】
ある態様において、降圧剤は、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤、レニン阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0016】
DLL4アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤の投与は、同時であっても逐次的であってもよい。逐次的に投与する場合には、DLL4アンタゴニストまたは降圧剤のいずれを最初に投与してもよい。ある態様において、DLL4アンタゴニストおよび降圧剤の投与は長期的(chronic)である;すなわち、治療を受ける対象は、DLL4アンタゴニストおよび降圧剤の複数回の投薬を長期間にわたって受ける。
【0017】
治療を必要とする対象は、癌に罹患していて、かつ、高血圧に罹患している、高血圧を発症するリスクを有する、または高血圧の予防もしくは抑制が望まれる対象であるかのいずれかでありうる。ある態様において、治療を必要とする対象は心血管疾患のリスクを有する。他の態様において、治療を必要とする対象は、通常であれば高血圧を発症することなしに適切な有効量のDLL4アンタゴニストによって治療することができない。他の態様において、対象は高血圧および/または心血管疾患の既往歴を有しない。
【0018】
本発明はまた、容器を含むキットを提供し、容器はその中にDLL4アンタゴニストと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を含み、容器はさらに、その組成物が癌を治療するために1つまたは複数の降圧剤と併用できることを示す添付文書を含む。ある態様において、キットは、容器内に含められた抗DLL4抗体および添付文書を含む。他の態様において、キットは、容器内に含められた、1つの抗DLL4抗体、少なくとも1つの降圧剤、および添付文書を含む。
【0019】
本発明のそのほかの目的および利点は、一部は以下の説明において述べられ、一部はその説明から明らかであるか、または本発明の実施によって習得できる。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素および組み合わせによって実現され、達成される。前記の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも例示的および説明的なものに過ぎず、特許請求される本発明の範囲を限定しないことが理解される必要がある。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが示されている場合を除き、複数のものに対する言及を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1の表は、肝臓に転移した盲腸腺癌を有する78歳男性である被験者1の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者1は0.5mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図2】図2の表は、低悪性度平滑筋肉腫を有する55歳男性である被験者2の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者2は1.0mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図3】図3の表は、右眼の脈絡膜黒色腫ならびに肝臓および肺の両方に転移を有する64歳女性である被験者3の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者3は2.5mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図4】図4の表は、ステージIVの結腸直腸癌を有する56歳女性である被験者5の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者5は10mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図5】図5の表は、ステージIVの直腸S状結腸移行部腺癌を有する71歳女性である被験者7の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者7は、10mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図6】図6の表は、ステージIVの結腸直腸癌を有する58歳男性である被験者8の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者8は、10mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【図7】図7の表は、局所進行性膵頭部腺癌を有する54歳男性である被験者9の、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる血圧読取り値および降圧治療の概略である。被験者9は10mg/kgのOMP-21M18コホートに組み入れられた。
【0021】
図1〜7における表はすべて、OMP-21M18による治療の開始前の各被験者のベースライン血圧、および血圧読取り値を取得したすべての試験日の各被験者についての血圧読取り値を含む。OMP-21M18の注入投与を行った試験日に関して、血圧読取り値は、注入前、注入開始から15分後、注入終了時および注入完了から15分後の読取り値を含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖質、ポリヌクレオチド、脂質または前記のものの組み合わせなどの標的を認識してそれと特異的に結合する、免疫グロブリン分子のことを意味して用いられる。ある態様において、本発明の抗体には、DLL4と特異的に結合するアンタゴニスト抗体が含まれる。そのような抗体は、例えば、DLL4受容体のリガンド結合、受容体二量体化、および/または下流シグナル伝達に干渉することができる。
【0023】
本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、抗体フラグメント(Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメントなど)、単鎖Fv(scFv)突然変異体、少なくとも2つの無傷の抗体から作製された二重特異性抗体などの多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を有する任意の他の改変免疫グロブリン分子を、それらの抗体が所望の生物活性を示す限り、範囲に含む。抗体は、それぞれα、δ、ε、γおよびμと称されるその重鎖定常ドメインの実体に基づく、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)の任意のものであってよい。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元立体配置を有する。抗体は裸(naked)であってもよく、または毒素、放射性同位体などの他の分子とコンジュゲートされていてもよい。
【0024】
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」とは、単一の抗原決定基、すなわちエピトープの極めて特異的な認識および結合に関与する均一な抗体集団のことを指す。これは、異なる抗原決定基を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷および完全長のモノクローナル抗体の両方に加えて、抗体フラグメント(Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなど)、単鎖(scFv)突然変異体、抗体の一部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の改変免疫グロブリン分子も範囲に含む。さらに、「モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え体発現およびトランスジェニック動物によるものを非限定的に含む、いくつかの様式において作製されたそのような抗体のことも指す。
【0025】
本明細書で用いる場合、「ヒト化抗体」という用語は、最小限の非ヒト配列を含む、特異的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらのフラグメントである、非ヒト型(例えば、マウス)抗体のことを指す。典型的には、ヒト化抗体とは、1つまたは複数の抗体鎖の可変領域の抗原決定領域(または超可変領域)内の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリンのことである。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの可変鎖フレームワーク領域(FR)由来の残基を、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種由来の抗体中の対応する残基によって置き換える。抗体の特異性、親和性および/または能力をさらに改良して最適化するために、可変フレームワーク領域内および/または置き換えられた非ヒト残基の中の別の残基の置換によってヒト化抗体をさらに改変することもできる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含む、少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つまたは4つの可変ドメインの実質的にすべてを含む一方で、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであると考えられる。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含むこともできる。ヒト化抗体を作製するための方法の例は、米国特許第5,225,539号に記載されている。
【0026】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で用いる場合、ヒトによって産生された抗体、または当技術分野において公知の任意の手法を用いて作製された、ヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体のことを意味する。ヒト抗体のこの定義には、無傷もしくは完全長の抗体、それらのフラグメント、ならびに/または少なくとも1つのヒト重鎖および/もしくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えばマウス軽鎖ポリペプチドおよびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体などが含まれる。
【0027】
抗体が「選択的に結合する」または「特異的に結合する」とは、抗体がエピトープに対して、無関係なタンパク質を含む代替的な物質との場合よりも、より頻繁に、より急速に、より長い持続時間にわたり、より高い親和性で、または上記のいくつかの組み合わせで、反応または結合することを意味する。「選択的に結合する」または「特異的に結合する」とは、抗体がタンパク質と、ある時には約0.1mMもしくはそれ未満の、またある時には約0.01mMもしくはそれ未満のKDで結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のために、特異的結合には、複数の種におけるDLL4タンパク質を認識する抗体が含まれうる。
【0028】
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、本明細書中で互換的に用いられ、特定の抗体によって認識されて特異的な結合を受けることのできる抗原の部分のことを指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、連続したアミノ酸、およびタンパク質の三次フォールディングによって並置される非連続的なアミノ酸のいずれによっても形成されうる。連続したアミノ酸によって形成されるエピトープは、典型的にはタンパク質が変性しても保たれるが、一方、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的にはタンパク質が変性すると失われる。エピトープは典型的には、特有の空間コンフォメーションにある少なくとも3個、およびより一般的には少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸を含む。
【0029】
本明細書で用いる場合、「高血圧」という用語は、対象が異常に高い血圧を呈する病状のことを指す。高血圧は、血圧上昇の特定の医学的原因が見いだされない本態性高血圧(原発性高血圧)、または血圧上昇が腎疾患もしくは腫瘍などの特定の病状に起因するか、もしくは血圧を上昇させる物質への曝露に起因する、続発性高血圧のいずれかに分類される。一般に、ある人の血圧が常に少なくとも収縮期に140mmHgまたは拡張期に90mmHgである場合に、ヒトにおいて高血圧が存在していると判断される。ある人の血圧が収縮期に120〜139mmHgの範囲にあるか、または拡張期に80〜89mmHgの範囲にある場合に、高血圧前症(prehypertension)が存在すると判断される。高血圧前症はそれ自体では必ずしも問題とはならないが、ある人が高血圧を発症するリスクが高いことを示す可能性がある。
【0030】
本明細書で用いる場合、「降圧剤」という用語は、対象に投与された場合に血圧を低下させる任意の化合物のことを指す。医学において、降圧剤は高血圧を治療するために用いられる。降圧剤には、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤およびレニン阻害剤を含む、いくつかのクラスがある。これらの降圧剤群はそれぞれ、異なる機序を介して血圧を低下させるように作用する。
【0031】
本明細書で用いる場合、「癌」および「癌性」という用語は、ある細胞集団が無秩序な細胞増殖によって特徴づけられる、哺乳動物における生理的状態のことを指すまたは記載している。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病が非限定的に含まれる。固形腫瘍癌のより詳細な例には、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、およびさまざまな型の頭頸部癌が含まれる。
【0032】
本明細書で用いる場合、 「対象・被験者(subject)」または「患者」という用語は、特定の治療のレシピエントにしようとする、ヒト、非ヒト霊長動物、齧歯動物などを非限定的に含む、任意の動物(例えば、哺乳動物)のことを指す。典型的には、「対象・被験者」および「患者」という用語は、ヒト対象・被験者への言及において、本明細書中で互換的に用いられる。
【0033】
「薬学的に許容される担体、添加剤、または補助剤」とは、本発明の抗DLL4抗体および/または1つもしくは複数の降圧剤とともに対象に投与することができ、かつ化合物の治療量を送達するのに十分な用量で投与した場合にそれらの薬理活性を無効にせず、しかも無毒性である、担体、添加剤、または補助剤のことを指す。薬学的に許容される担体、添加剤、または補助剤は、多くの場合、米国薬局方、またはヒトを含む動物における使用に関する他の一般に認められた薬局方に列挙されている。
【0034】
「有効量」または「治療的有効量」という用語は、対象または哺乳動物における疾患または障害を「治療」するために有効な、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機小分子または他の薬物の量のことを指す。癌の場合には、薬物の治療的有効量は、癌細胞の数を減少させること;腫瘍サイズを縮小させること;例えば軟部組織および骨への癌の波及を含め、癌細胞の末梢臓器への浸潤を抑制すること、もしくは停止させること;腫瘍転移を抑制すること、および停止させること;腫瘍成長を抑制すること、および停止させること;癌に関連した症状の1つもしくは複数をある程度緩和すること;罹患率および死亡率を低下させること;生活の質を改善すること;または、そのような効果の組み合せが可能である。薬物が既存の癌細胞の増殖を防止しかつ/またはこれを死滅させるという点で、それを細胞分裂抑制性および/または細胞傷害性であると称することができる。高血圧の場合には、降圧剤の治療的有効量は、対象の血圧を低下させるかまたは対象の血圧が上昇するのを防ぐことができる。好ましくは、降圧剤の治療的有効量は、対象の血圧を、臨床的に定義された「正常」レベルに低下させるか、または対象の血圧を正常範囲内に維持させると考えられる。
【0035】
「治療する」または「治療」または「治療すること」または「緩和する」または「緩和すること」または「改善する」または「改善すること」などの用語は、1)診断された病的状態または障害を治癒させる、緩徐化する、その症状を軽減する、および/またはその進行を停止させる治療的手段、ならびに2)標的とする病的状態または障害の発生を予防および/または緩徐化する予防処置的または予防的手段の両方を指す。したがって、治療を必要とする者には、既に障害を有する者;障害を有しやすい者;および障害を予防すべきである者が含まれる。ある態様において、患者が以下のうち1つまたは複数を示すならば、対象は本発明の方法によって首尾良く「治療」されている:癌細胞の数の減少もしくはその完全な欠如;腫瘍サイズの縮小;例えば軟部組織および骨への癌の波及を含む、末梢臓器への癌細胞の浸潤の抑制もしくは欠如;腫瘍転移の抑制もしくは欠如;腫瘍成長の抑制もしくは欠如;特定の癌に関連した1つもしくは複数の症状の緩和;罹病率および死亡率の低下;生活の質の改善;血圧の低下もしくは血圧の臨床的にほぼ正常なレベルでの安定した維持;または効果のいくつかの組み合わせ。
【0036】
DLL4抗体
ある態様において、DLL4アンタゴニストは、DLL4と特異的に結合する抗体(すなわち、抗DLL4抗体)などの抗体である。ある態様において、抗体はヒトDLL4と特異的に結合する。
【0037】
抗DLL4抗体は、DLL4と結合して、それがNotch受容体と結合するのを遮断することによってDLL4アンタゴニストとして作用する。本発明のDLL4抗体は、当技術分野において公知である従来の任意の手段によって調製することができる。ある態様において、Dll4抗体は血管新生障害性である。
【0038】
ある態様において、抗DLL4抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知である従来の任意の手段によって調製することができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, 1986)。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495によって記載されたもののようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。または、モノクローナル抗体を、米国特許第4,816,567号に記載されたように組換えDNA法を用いて作製することもできる。所望の種の組換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントを、所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリーから、記載された通りに単離することもできる(McCafferty et al., 1990, Nature, 348:552-554;Clackson et al., 1991, Nature, 352:624-628;およびMarks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581-597)。
【0039】
本発明のいくつかの態様において、抗DLL4抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体とは、非ヒト(例えば、マウス)抗体由来の最小限の配列を可変領域内に含む抗体のことである。そのような抗体は、ヒト対象に投与した場合の抗原性およびHAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を低下させるために治療的に用いられている。ヒト化抗体は、当技術分野において公知のさまざまな手法を用いて作製することができる(Jones et al., 1986, Nature, 321:522-525;Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323-327;Verhoeyen et al., 1988, Science, 239:1534-1536)。ヒト抗体のCDRを、所望の特異性、親和性および/または能力を有する非ヒト抗体(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターなど)のCDRで置換することによって、抗体をヒト化することができる。抗体の特異性、親和性および/または能力をさらに改良して最適化するために、可変フレームワーク領域内および/または置き換えられた非ヒト残基の中の別の残基の置換によってヒト化抗体をさらに改変することもできる。
【0040】
他の態様において、抗DLL4抗体は完全ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において公知のさまざまな手法を用いて調製することができる。インビトロで免疫処置を受けたかまたは免疫処置を受けた個体から単離された不死化ヒトBリンパ球を生成することができ、これは標的抗原を対象とする抗体を産生する(例えば、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);Boerner et al., 1991, J. Immunol., 147 (1):86-95;および米国特許第5,750,373号を参照)。また、ヒト抗体を、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択することもできる(Vaughan et al., 1996, 10 Nat. Biotech., 14:309-314;Sheets et al., 1998, Proc. Nat'l. Acad. Sci., 95:6157-6162;Hoogenboom and Winter, 1991, J. Mol. Biol., 227:381;Marks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581)。また、免疫処置を受けると内因性免疫グロブリンの産生を伴わずにヒト抗体の全レパートリーを産生することができる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスにおいて、ヒト抗体を生成させることもできる。このアプローチは米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号に記載されている。
【0041】
ある態様において、抗DLL4抗体は、アミノ末端領域(SEQ ID NO:11)内のヒトDLL4エピトープと特異的に結合する。ある態様において、抗Dll4抗体はDSLドメインと結合する。ある態様において、抗Dll4抗体は、Dll4のDSLドメインおよび/またはアミノ末端領域の両方と結合する。
【0042】
ある態様において、抗DLL4抗体は、2007年9月28日にATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8670を有するハイブリドーマによって産生される抗体であり、これはマウス21M18としても知られる。マウス21M18抗体は、2007年9月28日に提出された同時係属中の米国特許出願第11/905,392号、公開第2008/0187532号に詳細に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0043】
ある態様において、抗DLL4抗体は、2007年5月10日にATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされる抗体であり、これは21M18 H7L2およびOMP-21M18としても知られる。OMP-21M18抗体は、2007年9月28日に提出された同時係属中の米国特許出願第11/905,392号、公開第2008/0187532号に詳細に記載されている。抗DLL4抗体OMP-21M18は、CDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:1);CDR2(SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4);およびCDR3(SEQ ID NO:5)を含む重鎖可変領域;ならびにCDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:7);CDR2(SEQ ID NO:8);およびCDR3(SEQ ID NO:9)を含む軽鎖可変領域を含む。1つの態様において、OMP-21M18抗体はSEQ ID NO:6の重鎖配列およびSEQ ID NO:10の軽鎖配列を含む。
【0044】
ある態様において、抗DLL4抗体は、2007年5月10日にATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8427を有するプラスミドによってコードされる抗体であり、これは21M18 H9L2としても知られる。2lM18 H9L2抗体は、2007年9月28日に提出された同時係属中の米国特許出願第11/905,392号、公開第2008/0187532号に詳細に記載されている。
【0045】
ある態様において、抗DLL4抗体は、ヒトDLL4との特異的結合を巡って、抗体OMP-21M18と競合する抗体である。
【0046】
他の抗DLL4抗体も当技術分野において公知である。抗DLL4抗体は、販売供給元(例えば、Santa Cruz Biotechnology, Inc. カタログ番号sc-73900は、ヒトDLL4の細胞外ドメインと結合するラットIgG2a抗体である)から利用できる。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、2007年12月14日に提出され、米国特許出願公開第2008/0181899号として公開された米国特許出願第12/002245号;2008年10月3日に提出され、米国特許出願公開第2009/0017035号として公開された米国特許第7,488,806号;および2009年2月13日に提出され、米国特許出願公開第2009/0142354号として公開された米国特許第7,534,868号に記載された抗DLL4抗体の1つであってよい。前記特許および出願は、VELOCIMMUNE(商標)技術(Regeneron Pharmaceuticals, Inc.)を用いて作製された完全ヒト抗DLL4抗体を開示している。REGN281、REGN 421およびREGN 422として表記されている、これらの抗体のいくつかは、DLL4のNotch受容体との結合を遮断するものとして記載されている。
【0047】
他の態様において、DLL4アンタゴニストは、2007年6月6日に提出され、米国特許出願公開第2008/0175847号として公開された米国特許出願第11/759,131号;および2007年6月6日に提出され、米国特許出願公開第2008/0014196号として公開された米国特許出願第11/759,093号(現在は放棄)に記載された抗DLL4抗体の1つであってよい。前記出願は、DLL4の細胞外ドメインと結合するものとして記載されたヒト抗DLL4抗体を開示している。これらの抗体を、合成ファージ抗体ライブラリー(Genentech, Inc.)のスクリーニングによって単離した。
【0048】
降圧剤
本発明において有用な降圧剤は、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤およびレニン阻害剤を含む、いくつかのクラスに該当する。
【0049】
利尿剤は、排尿速度を高め、それ故に強制利尿の手段となる薬物のクラスである。利尿剤には、高天井(high ceiling)ループ利尿剤、サイアザイド系薬剤、カリウム保持性利尿剤、カルシウム保持性利尿剤、浸透圧性利尿剤および低天井(low ceiling)利尿剤を含む、いくつかのカテゴリーがある。利尿剤はすべて、身体からの水の排泄を増加させるが、それを行う様式はクラス毎に異なる。利尿剤には以下のものが非限定的に含まれる:ループ利尿剤、例えばフロセミド、ブメタニド、エタクリン酸およびトルセミドなど;サイアザイド系利尿剤、例えばエピチジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、メチクロチアジド、シクロチアジド、メブチジドおよび他のベンゾチアジアジン誘導体など;サイアザイド様利尿剤、例えばインダパミド、クロルタリドン、メトラゾン、キネタゾン、クロパミド、メフルシド、クロフェナミド、メチクラン、キシパミド、クロレキソロンおよびフェンキゾンなど;カリウム保持性利尿剤、例えばアミロライド、トリアムテレン、エプレレノン、ベンザミル、カンレノ酸カリウム、カンレノンおよびスピロノラクトンなど;浸透圧性利尿剤、例えばマンニトール、グルコースおよび尿素など;バソプレシン受容体アンタゴニスト、例えばコニバプタン、レルコバプタン、ネリバプタン(nelivaptan)、リキシバプタン、モザバプタン、サタバプタン、トルバプタンおよびデメクロサイクリンなど;水銀利尿剤、例えばメルサリル酸(Mersal)、メラルライド、メルカプトメリン、マーキュロフィリン、メレトキシリンプロカインおよびカロメル;キサンチン利尿剤、例えばカフェイン、テオブロミン、パラキサンチンおよびテオフィリンなど;炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミド、メタゾラミド、ドルゾラミド、スルホンアミドおよびトピラマートなど;他の利尿剤、例えば利尿性プリン、利尿性ステロイド、利尿性スルホンアミド誘導体、利尿性ウラシル、アマノジン、アルブチン、クロラザニル、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリン、チクリナフェン、トリアムテレンおよびスピロノラクトンなど。
【0050】
アドレナリン受容体アンタゴニストは、2つのサブカテゴリーに分けることができる:β-アドレナリンアンタゴニスト(「β遮断剤」)およびα-アドレナリンアンタゴニスト(「α遮断剤」)。アドレナリン受容体アンタゴニストには、以下のものが非限定的に含まれる:β-アドレナリンアンタゴニスト、例えばアテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、ブシンドロール、ネビボロール、アルプレノロール;アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバノロール、エパノロール、インデノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ニプラジロール、ペンブトロール、プラクトロール、プロネタロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、トリプロロールおよびキシベノロールなど;ならびにα-アドレナリンアンタゴニスト、例えばフェノキシベンザミン、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、トリマゾシン、フェントラミン、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、タムスロシン、トラゾリン、レセルピン、モクソニジンおよびヨヒンビンなど。
【0051】
アドレナリン受容体アゴニストには、以下のものが非限定的に含まれる:クロニジン、メチルドパ、グアンファシン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジンおよびチザニジンなど。
【0052】
カルシウムチャンネル遮断剤は、心筋および血管における電位依存性カルシウムチャンネルを遮断して、筋収縮の低下をもたらす。これは血管拡張および血圧低下を招く。カルシウムチャンネル遮断剤には、以下のものが非限定的に含まれる:ジヒドロピリジン系薬剤、例えばアムロジピン、フェロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、イスラジピン、ニトレンジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、エルゴジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニルバジピンおよびニソルジピンなど;ならびに非ジヒドロピリジン系薬剤、例えばジルチアゼム、ベラパミル、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニラミン、セモチアジル、テロジリン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノンおよびペルヘキシリンなど。
【0053】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、動脈抵抗を減らし、静脈容量を増加させ、心拍出量および心係数、1回仕事量および1回拍出量を増加させ、腎血管抵抗を減らし、かつ尿中へのナトリウム排泄を増加させることによって、高血圧を治療する。ACE阻害剤には、以下のものが非限定的に含まれる:スルフヒドリル含有剤、例えばカプトプリルおよびゾフェノプリルなど;ジカルボン酸含有剤、例えばエナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリルおよびベナゼプリルなど;ホスホン酸含有剤、例えばフォシノプリルおよびセロナプリルなど、天然に存在するACE阻害剤、例えばカソキニン(casokinin)、ラクトキニン(lactokinin)など;トリペプチド、例えばVal-Pro-ProおよびIle-Pro-Proなど、ならびにノナペプチドであるテプロチド;ならびに他のACE阻害剤、例えばアラセプリル、シラザプリル、デラプリルイミダプリルモエキシプリル、レンチアプリル、スピラプリル、テモカプリル、モベルチプリルおよびトランドラプリルなど。
【0054】
アンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、アンジオテンシンII AT1受容体の活性化を阻止して、血管拡張、バソプレシンの分泌低下、ならびにアルドステロンの産生および分泌の低下を引き起こし、その結果として血圧の低下をもたらす。アンジオテンシンII受容体アンタゴニストには、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンが非限定的に含まれる。
【0055】
アルドステロンアンタゴニストは鉱質コルチコイド受容体を遮断し、その結果、腎臓のネフロンの集合管におけるナトリウム再吸収の抑制をもたらす。これはナトリウム/カリウム交換に干渉して、尿中カリウム排泄を減少させ、水排泄をわずかに増加させることで、利尿効果を招く。アルドステロンアンタゴニストには、以下のものが非限定的に含まれる:エプレレノン、カンレノンおよびスピロノラクトン。
【0056】
血管拡張剤は多種多様な機序によって働くが、いずれも血管壁内の平滑筋細胞の弛緩を招き、それ故に血管を拡張させる。血管の拡張は血流増大および血管抵抗減少を招き、そのために血圧低下を招く。血管拡張剤には、以下のものが非限定的に含まれる:脳血管拡張剤、例えばベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデラート、シクロニカート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジル、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、チノフェドリン、ビンカミン、ビンポセチンおよびビキジルなど;冠血管拡張剤、例えばアモトリフェン、ベンダゾール、ヘミコハク酸ベンフロジル、ベンズヨーダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフラール、クロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、ジピリダモール、ドロプレニラミン、エフロキサート、四硝酸エリトリチル、エタフェノン、フェンジリン、フロレジル、ガングレフェン、ヘキセストロールビス(β-ジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシラート、ケリン、リドフラジン、六硝酸マンニトール、メジバジン、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリトリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニラミン、硝酸プロパチル、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、リン酸トロールニトラート、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ニトロプルシドナトリウム、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリトリトール、テオブロミンおよびビスナジンなど;ならびに末梢血管拡張剤、例えばニコチン酸アルミニウム、バメタン、ベンシクラン、ベタヒスチン、ブラジキニン、ブロビンカミン、ブフェニオド、ブフロメジル、ブタラミン、セチエジル、シクロニカート、シネパジド、シンナリジン、シクランデラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エレドイシン、フェノキセジル、フルナリジン、ヘプロニカート、イフェンプロジル、イロプロスト、イノシトールニアシナート、イソクスプリン、カリジン、カリクレイン、モキシシリト、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニコフラノース、ニリドリン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ピリベジル、プロスタグランジンE1、スロクチジル、トラゾリンおよびニコチン酸キサンチノールなど。
【0057】
レニン阻害剤は、血流低下に応答してレニンを産生する腎臓の傍糸球体細胞に対して作用する。レニン阻害剤には、アリスキレンおよびレミキレンが非限定的に含まれる。
【0058】
以上に列挙していない他の降圧剤も、本発明における使用を想定している。対象に投与した場合に血圧を低下させるあらゆる化合物を本発明の降圧剤として用いうることを、当業者は理解するであろう。
【0059】
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤を含む。本発明の薬学的組成物は、抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤を薬学的に許容される担体(例えば、媒体または添加剤)と組み合わせることにより、貯蔵および使用に備えて調製することができる。他の態様において、抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤は別々の組成物中にあり、この場合には組成物はそれぞれ、それぞれの薬剤に適した薬学的に許容される担体とともに製剤化されている。
【0060】
適した薬学的担体の例は、「Remington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing, 2000」に記載されている。適した薬学的に許容される媒体には、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの無毒な緩衝剤;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール;ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、アミノ酸残基が約10個未満);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの糖質;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);およびTWEEN、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤、またはPolysorbate 20などのポリソルベート系界面活性剤が、非限定的に含まれる。
【0061】
本発明の薬学的組成物は、全身投与用または局所投与用に製剤化することができる。投与の経路の例には、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮的投与、および直腸投与が含まれる。
【0062】
非経口投与のために適した薬学的組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射液または分散液の要時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適した担体には、注射用蒸留水、生理食塩水、滅菌精製水、Cremophor EL(BASF, Parsippany, NJ)、リン酸緩衝食塩水(PBS)、固定油、エタノール、ポリエチレングリコール、グ非経口リセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒が含まれる。いかなる場合でも、組成物は無菌でなければならず、シリンジ注入が容易に行える程度に流動的であるべきである。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持しうる。薬学的組成物は製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。微生物作用の防止は、例えばベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、フェノールなどの抗菌剤および抗真菌剤、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、エチレンジアミン四酢酸、チメロサールなどのキレート剤、などによって達成することができる。多くの場合には、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムといった等張剤を組成物中に含めることが好ましいと考えられる。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを組成物中に含めることによって生じさせることができる。pHは塩酸または水酸化ナトリウムといった酸または塩基によって調整することができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラス製もしくはプラスチック製の多回投与用バイアル中に封入することができる。
【0063】
滅菌注射液は、適切な溶媒中に、必要な量の活性化合物(例えば抗DLL4抗体および降圧剤)を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに組み入れ、その後に滅菌濾過を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒および上記に列挙したもののうち必要な他の成分を含む滅菌媒体中に活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射液の調製用の滅菌粉末の場合には、調製の方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、有効成分と、事前に滅菌濾過した溶液からの任意の所望の追加成分を加えたものが粉末として得られる。
【0064】
ある態様において、抗DLL4抗体は、pHを6.0に調整した、50mMヒスチジン、100mM塩化ナトリウム、45mMスクロースおよび0.01%(w/v)Polysorbate 20の溶液中に、10mg/mLの濃度で用いるために調製することができる。
【0065】
本発明の薬学的組成物には、抗DLL4抗体および/または降圧剤をリポソームと複合体化したものが含まれうる(Epstein, et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688;Hwang, et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030;ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号)。循環時間を増大させたリポソームが米国特許第5,013,556号に開示されている。ある種のリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発によって生成させることができる。規定の孔径のフィルターを通してリポソームを押し出すことにより、所望の直径を有するリポソームが得られる。
【0066】
また、抗DLL4抗体および/または降圧剤をマイクロカプセル中に封入することもできる。そのようなマイクロカプセルは、例えばコアセルベーション手法または界面重合法によって調製され、これには例えば、"Remington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing (2000)"に記載されているように、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルがそれぞれ、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中にあるものがある。
【0067】
加えて、徐放性製剤を調製することもできる。徐放性製剤の適した例には、抗DLL4抗体および/または降圧剤を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは成形された物品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態にある。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)などのヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射用ミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、スクロース酢酸イソ酪酸エステル、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0068】
経口用組成物は一般に、不活性希釈液または可食担体を含む。それらはゼラチンカプセル内に封入することもでき、または圧縮して錠剤にすることもできる。経口治療投与の目的には、活性化合物を賦形剤とともに組み入れ、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で用いることができる。薬学的適合性のある結合剤および/または補助材料を組成物の一部として含めることもできる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分、または同様の性質を持つ化合物のうち任意のものを含みうる:微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの添加剤;アルギン酸、Primogelもしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;コロイド二酸化ケイ素などのグライダント;スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香料などの香味剤。新規組成物の錠剤、丸剤などをコーティングするか、または他の様式で調合して、持続作用という利点が付与された剤形を得ることができる。例えば、錠剤またはピルが、外部構成成分によって覆われた内部組成物を含むことができる。さらに、分解に耐える役割を果たし、かつ内部構成成分が無傷のままで胃を通過すること、または放出を遅らせることを可能にする腸溶層によって、この2つの構成成分を隔てることもできる。そのような腸溶層またはコーティングには種々の材料を用いることができ、そのような材料には、さまざまなポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの物質との混合物が含まれる。
【0069】
吸入による投与のために、化合物を、適した噴霧剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾル噴霧の形態で送達することができる。
【0070】
また、投与が経粘膜的または経皮的であってもよい。経粘膜的または経皮的投与のためには、透過させようとする障壁に対して適した浸透剤が製剤中に用いられる。そのような浸透剤は当技術分野において一般に公知であり、例えば、経粘膜的投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜的投与は鼻内噴霧剤または坐剤の使用によって行うことができる。経皮的投与のためには、活性化合物を、当技術分野において一般に公知である軟膏、膏薬、ゲルまたはクリーム中に製剤化する。
【0071】
併用療法
ある態様においては、抗DLL4抗体および降圧剤を、癌の治療のための1つまたは複数の追加的な化合物または治療法と組み合わせて投与することができる。そのような追加的な抗癌化合物には、細胞毒性剤、化学療法剤、増殖抑制剤または治療用抗体が含まれる。別々の薬学的組成物を用いる場合には、抗DLL4抗体および1つまたは複数の追加的な薬剤を同時に投与してもよく、または逐次的に投与してもよい。
【0072】
「細胞毒性剤」は、細胞の機能を抑制する、もしくは妨げる、かつ/または細胞の破壊を引き起こす。細胞毒性剤には、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90およびRe186)、および毒素、例えば細菌、真菌、植物もしくは動物由来の酵素活性のある毒素、またはそれらの断片などが非限定的に含まれる。
【0073】
「化学療法剤」とは、癌の治療に有用な化合物のことである。化学療法剤には、以下のものが非限定的に含まれる:アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロスホスファミド(CYTOXAN(商標))など;アルキルスルホン酸、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど;アジリジン類、例えばベンゾドパ、カルボコン、メトウレドパおよびウレドパなど;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン類およびメチルメラミン類;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばアクラシノミシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシルなど;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤、例えばフォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン類、例えばパクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)およびドセタキセル(Taxotere(登録商標);Aventis Antony, France)など;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン;レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記の任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体。また、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストンおよびトレミフェン(フェアストン(Fareston))を含む抗エストロゲン剤;ならびに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリンなど;ならびに上記の任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体も含まれる。
【0074】
「増殖抑制剤」とは、インビトロまたはインビボのいずれかで、細胞、特に癌細胞の増殖を抑制する化合物のことである。増殖抑制剤には、以下のものが非限定的に含まれる:細胞周期の進行を阻止する薬剤、例えばビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキソール(Taxol)(登録商標)など、ならびにトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシドおよびブレオマイシンなど、DNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシルおよびara-Cなど。
【0075】
「治療用抗体」には、癌細胞を特異的に標的化するために用いられる抗体が含まれる。治療用抗体には、以下のものが非限定的に含まれる:リツキシマブ(リツキサン)、セツキシマブ(エルビタックス)、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、アレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン)、パニツムマブ(ベクチビックス)およびトシツモマブ(ベキサール)。
【0076】
投与の方法
高血圧を、その病状を有するかまたはそのリスクを有する対象においてコントロールするためには、抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤を共投与することが望ましい。1つの態様において、抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤の使用は、高血圧を有するか、またはその発症のリスクを有する対象に向けられる。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、局所治療または全身治療のいずれかのために任意のさまざまな方式で投与することができる。投与は、局部的(膣および直腸への送達を含む粘膜などに対する)、例えば経皮貼付剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴薬、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤など;肺内(例えば、ネブライザーによるものを含む散剤もしくはエアロゾルの吸入もしくは吸送による;気管内、鼻腔内、表皮および経皮的);経口的;または静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、眼内もしくは筋肉内の注射もしくは注入を含む非経口的;または頭蓋内(例えば、髄腔内もしくは脳室内)のいずれであってもよい。本発明の薬学的組成物は、注入またはボーラス注射などの任意の好都合な経路によって投与することができる。
【0078】
投与は短期的(すなわち、組成物の単回投与)であってもよく、または長期的(すなわち、毎日、毎週、毎月の投与)であってもよい。
【0079】
抗DLL4抗体および降圧剤の投与には、単一の薬学的製剤によるか、もしくは別々の製剤を用いるかのいずれかである共投与、またはいずれの順序でもよいが概ねすべての活性薬剤がそれらの生物活性を同時に発揮しうるような期間内での連続投与が含まれうる。降圧剤の調製および服薬の計画は、製造元の指示に従って、または熟練した医師が経験的に決定した通りに用いることができる。
【0080】
抗DLL4抗体による癌の治療の場合に、抗DLL4抗体の適切な投与量は、治療に当たる医師が決定することができる。腫瘍のサイズ、悪性疾患の存在、および転移の程度は、投与量を決定する際に考慮すべき要因である。抗DLL4抗体は、1回だけ、または数日間〜数カ月間継続する一連の治療にわたって投与される。好ましくは、抗DLL4抗体は、治癒が成し遂げられるか、または疾患状態の減退(例えば、腫瘍サイズの縮小)が達成されるまで、長期的に投与される。患者の体内の薬物蓄積の測定によって最適な投薬計画を策定することができるが、これは個々の抗DLL4抗体の相対的効力に応じて異なるだろう。投与を担当する医師は、最適な投与量、投薬方法および反復回数を容易に決定することができる。一般に、投与量は体重1kg当たり0.01μg〜100mgであり、1日、1週間、1カ月または1年に1回または複数回与えることができる。投薬の反復回数は、体液中または組織中での薬物の滞留時間および濃度の測定値に基づいて推算することができる。治療に当たる医師は、患者の疾病状態(すなわち、腫瘍サイズの増加または減少、転移の存在または広がり、悪性腫瘍の出現、生活の質)をモニターして、それに応じて抗DLL4抗体の投与量を調節することができる。
【0081】
OMP-21M18などの抗DLL4抗体による癌の治療の場合に、ある態様において、静脈内投与のための適した投与量は約0.1mg/kg〜約20mg/kgである。ある態様において、OMP-21M18などの抗DLL4抗体の投与量は約0.1mg/kg;約0.2mg/kg;約0.5mg/kg;約1.0mg/kg;約2.5mg/kg;約5.0mg/kg;約7.5mg/kg;約10mg/kg;および約15mg/kgである。投与は、1日1回、週2回、週1回、隔週1回、3週毎に1回、月1回、または治療に当たる医師の裁量による他の任意の適した間隔であってよい。治療の有効性が最適になるように、投与量および投与間隔を調節することができる。
【0082】
高血圧の治療の場合に、降圧剤の適切な投与量は、高血圧の重症度および経過、対象の反応性、降圧剤を治療または予防のいずれの目的で投与するか、対象の治療歴、対象の病歴などに応じて、治療に当たる医師の裁量で決まる。降圧剤は、1回だけ、または数日間〜数カ月間継続する一連の治療にわたって投与される。好ましくは、降圧剤は、抗DLL4抗体による治療が終わるまで長期的に投与される。患者の体内の薬物蓄積の測定値から最適な投薬計画を策定することができるが、これは個々の降圧剤の相対的効力に応じて異なるだろう。さらに、販売されている降圧剤の有効量は製造元によっても提示される。投与を担当する医師は、最適な投与量、投薬方法および反復回数を容易に決定することができる。一般に、投与量は体重1kg当たり0.01μg〜100mgであり、1日、1週間、1カ月または1年に1回または複数回与えることができる。治療に当たる医師は、投薬の反復回数を、体液中または組織中での薬物の滞留時間および濃度の測定値に基づいて推算することができる。さらに、治療に当たる医師は、対象の血圧をモニターして、投与する降圧剤の量、投薬の頻度、または用いる具体的な降圧剤を、患者の必要性に合わせて調節することができる。ヒトの臨床の現場では、非侵襲的な血圧測定方法が用いられる。例えば、簡便な上腕カフまたは腕帯型水銀血圧計により、血圧をオシロメトリック法を用いて直接測定するか、または連続測定のためにパルストランスデューサーに接続して測定する。抗DLL4抗体による治療を受けている対象における高血圧を効果的にコントロールするために、複数の降圧剤処方を同時に用いることができる。
【0083】
本発明は、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を受けている患者における高血圧を予防する方法を提供し、本方法は、患者に対して1つまたは複数の降圧剤の有効量を投与する段階を含む。「高血圧を予防する」とは、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療過程の全体にわたって、患者の血圧を、平均して、高血圧と判断される範囲よりも低く保つことを意味する。血圧が常に、収縮期に140mmHgもしくはそれ以上または拡張期に90mmHgもしくはそれ以上であると、高血圧と判断される。血圧が常に、収縮期に120〜139mmHgまたは拡張期に80〜89mmHgであると、高血圧前症と判断される。治療に当たる医師の許容範囲によって異なるが、「高血圧を予防する」とは、患者の血圧を高血圧と判断される範囲よりも低く保つことを意味するか、または患者の血圧を高血圧前症と判断される範囲よりも低く保つことを意味することもある。
【0084】
本発明は、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を受けている患者を高血圧の発症に関してモニターするための方法を提供し、本方法は、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を受けている患者の血圧を、正常範囲を超えて上昇した血圧に備えて測定する段階と、血圧が上昇している患者に対して1つまたは複数の降圧剤を投与する段階とを含む。治療に当たる医師は、患者の血圧を、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療の前、その最中、およびその後に測定することができる。治療前の血圧測定は、ベースライン血圧を確定するために用いることができる。ベースライン血圧が高血圧前症または高血圧の範囲にある場合には、治療に当たる医師は、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体の投与の前またはそれと同時に、降圧剤の投与を直ちに開始することを選ぶことができる。降圧レジメンが患者の高血圧を適切にコントロールしていることを確かめるために、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療の開始後に、患者の血圧モニタリングを続ける。ベースライン血圧が正常範囲にある場合には、治療に当たる医師は、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を開始した後に血圧のモニタリングを続け、患者の血圧が上昇した場合にのみ降圧剤による治療を開始することを選ぶことができる。または、治療に当たる医師は、ベースライン血圧が正常範囲にある患者に対して、DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を開始した後の高血圧の発症に対して先手を打つために、降圧剤を予防処置的に投与することを決断することもできる。
【0085】
DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を開始した後に、患者の血圧の日常的モニタリングを行う。血圧読取り値を、任意の適切な間隔:1日1回、隔日1回、週2回、週1回、隔週1回、月1回、または医師が適切と判断した任意の間隔で取得する。患者の血圧が上昇して高血圧の範囲に入った場合には、治療に当たる医師は降圧治療を開始することができる。投与量、用いる具体的な降圧剤処方、および投薬計画は、患者の血圧が適切にコントロールされるように必要に応じて医師によって調節可能である。患者の血圧が上昇して高血圧前症の範囲に入った場合には、治療に当たる医師は降圧治療を開始してもよく、または患者のモニタリングを継続して、患者の血圧が高血圧の範囲に入った場合にのみ降圧治療を開始してもよい。患者の血圧がベースライン血圧読取り値と比較して明らかに上昇しているが、高血圧前症の範囲にも高血圧の範囲にも入っていない場合には、治療に当たる医師は、患者の血液が上昇し続けるのを予防するために降圧治療を予防処置的に開始してもよく、または患者のモニタリングを継続して、患者の血圧が高血圧前症もしくは高血圧の範囲に入った場合にのみ降圧治療を開始してもよい。患者に降圧治療を開始して、彼らの血圧が低下しないかまたは上昇し続ける場合には、治療に当たる医師は、患者の血圧を許容レベルに低下させるために、降圧剤の用量を増量すること、1つもしくは複数の別の降圧剤処方を治療レジメンに追加すること、降圧剤処方を変更すること、または前記の段階のうち複数を行うことができる。
【0086】
治療集団
本発明の薬学的組成物および方法は、癌に罹患した対象を治療するために用いることができる。ある態様において、本発明の方法は、通常であれば、特定の対象を高血圧に起因する合併症を発症するリスクに曝さずに用いることはできないと考えられる投与量での、抗DLL4抗体による、癌に罹患した対象の治療を可能にする。
【0087】
ある態様において、対象は、抗DLL4抗体による治療法の開始前に高血圧もしくは高血圧前症に罹患している対象、年齢が65歳以上である対象、心血管疾患を有するかもしくはそれを発症するリスクを有する対象、または抗DLL4抗体による治療の開始後に高血圧または高血圧前症を発症した対象である。
【0088】
心血管疾患を発症するリスクを有する対象には、年齢が65歳以上である対象、男性である対象、または心血管疾患と関連のある遺伝的要因を有する対象が含まれる。心血管疾患のリスクは加齢に伴って増大する。冠動脈性心疾患が原因で死亡する人々の83%超は65歳以上である。全体的にみて男性の方が女性よりも心血管疾患のリスクが高く、より若い時期に心発作を来す。親が心血管疾患を有している子どもは、親が心疾患を有していない子どもよりも、自身が心血管疾患を発症する可能性が高く、このことは遺伝的つながりの存在を示唆する。さらに、ある特定の人種の人々は、他の人種よりも心血管疾患を発症する可能性が高い。例えば、アフリカ系アメリカ人、メキシコ系アメリカ人、ハワイ先住民およびアメリカ先住民は、白人よりも心血管疾患を発症するリスクが高い。
【0089】
さらに、生活要因も、対象が心血管疾患を発症する尤度に寄与しうる。喫煙、運動不足、過度の飲酒、高度のストレス、および肥満はすべて、対象が心血管疾患を発症する尤度を増大させる。既存の病状も、対象が心血管疾患を発症する尤度を増大させる。糖尿病、血中コレステロール高値、高血圧および動脈血栓はすべて、心血管疾患の危険因子である。
【0090】
高血圧を発症するリスクを有する対象には、年齢が45歳以上である対象、男性である対象、または高血圧と関連のある遺伝的形質を有する対象が含まれる。高血圧のリスクは年齢とともに増大する。年齢45歳以上の男性および年齢55歳以上の女性は高血圧を発症するリスクが高い。さらに、全体的にみて男性は女性よりも高血圧のリスクが高い。
【0091】
血圧が「高血圧前症」と判断される範囲にある対象は、血圧が正常範囲にある対象よりも、高血圧を発症する可能性が高い。
【0092】
DLL4アンタゴニストまたは抗DLL4抗体による治療を受けているあらゆる対象において、高血圧の予防または抑制が望まれる。DLL4阻害剤または抗DLL4抗体による治療の開始前に高血圧もしくは高血圧前症に罹患していた対象、心血管疾患を発症するリスクを有する対象、高血圧を発症するリスクを有する対象、または、高血圧によって増悪すると考えられる病状、例えば心不全、動脈瘤、腎疾患もしくは狭窄動脈を有する対象では、高血圧の予防または治療が特に望まれる。
【0093】
ある態様において、Dll4アンタゴニストによって治療しようとする対象は、高血圧の既往歴を有していない。代替的なある態様において、対象は心血管疾患の既往歴を有していない。そのような対象を高血圧の発症に関してモニターして、任意でその後に、高血圧が発症した場合に、引き続いて降圧剤の投与を行う方法を提供する。
【0094】
患者を、抗Dll4抗体などのDll4アンタゴニストによる治療に関してスクリーニングする方法も提供する。ある態様において、本方法は、高血圧および/または心血管疾患の既往歴がないことに基づいて患者を選択する。すなわち、ある方法では、高血圧(および/または心血管疾患)の既往歴を有しない対象を、Dll4アンタゴニストによって治療する。代替的なある態様においては、高血圧および/または心血管疾患の既往歴を有する対象を、Dll4アンタゴニストおよび降圧剤の両方による治療のために選択する。
【0095】
本発明は腫瘍または癌の治療には限定されず、血管増殖の存在によって特徴づけられる他の非悪性疾患も含む。血管増殖性障害には、眼の障害、例えば黄斑変性症および糖尿病性網膜症などが含まれる。
【0096】
キット
本発明はまた、抗DLL4抗体および降圧剤を含むキットを提供し、これは本明細書に記載された方法を実施するために用いることができる。ある態様において、本キットは、抗DLL4抗体と、包装材料の中に含められた添付文書とを含む。他の態様において、本キットは、抗DLL4抗体、少なくとも1つの降圧剤、および包装材料の中に含められた添付文書を含む。抗DLL4抗体および1つまたは複数の降圧剤を、同時投与のために単一の薬学的組成物として混ぜ合わせてもよく、逐次投与もしくは同時投与のために別々の容器内に入れてもよい。他の態様において、本キットはまた、1つまたは複数の別の抗癌治療剤、例えば化学療法剤または治療用抗体なども含むことができる。ある態様において、添付文書は、癌を治療するためもしくは腫瘍成長を減少させるために抗DLL4抗体を用いうること、および抗DLL4抗体の投与によって引き起こされる高血圧を軽減するために降圧剤を抗DLL4抗体と併用しうることを示しているか、または抗DLL4抗体および降圧剤の投与量、投与計画、ならびにそれらによる治療を受ける対象のモニタリングに関する指示を含む。当業者は、開示された本発明の薬学的組成物を、当技術分野において周知である確立されたキット形式の1つの中に容易に組み入れることができることを容易に理解するであろう。
【0097】
本開示の諸態様を、以下の実施例を参照することによってさらに明確にすることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、材料および方法のいずれに対しても多くの改変を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形の「1つの(a)」、「または(or)」および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが示されている場合を除き、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「1つの降圧剤」に対する言及は、複数のそのような薬剤、または当業者に公知であるその同等物を含む。さらに、本明細書で用いている、成分の数量、投薬量、血圧読取り値などを表す数字はすべて、特に指示のない限り「約」という用語によって修飾される。したがって、本明細書および特許請求の範囲において記載されている数値パラメーターは、本発明の所望の特性に応じて異なる可能性のある近似値である。
【実施例】
【0098】
実施例1:固形腫瘍を有する被験者におけるOMP-21M18の第1相用量漸増試験
進行固形腫瘍を有する被験者33人に、第I相臨床試験におけるOMP-21M18による治療を開始した。この治験は、進行固形腫瘍を有する被験者におけるOMP-21M18の最大耐量(MTD)、安全性、薬物動態、免疫原性および予備的有効性を明らかにする目的でデザインした。被験者は全例、転移性または切除不能である組織学的に確認された悪性腫瘍を有しており、彼らの癌に対して高度の治療を受けていた。組み入れの時点で、標準的な治癒的療法は残されておらず、延命効果(survival benefit)が実証されている治療法も全くなかった。
【0099】
OMP-21M18は、pHを6.0に調整した、50mMヒスチジン、100mM塩化ナトリウム、45mMスクロースおよび0.01%(w/v)Polysorbate 20の溶液中に、10mg/mLの濃度で用いるために調製した。調製した後、OMP-21M18を、25ccバイアル中に20mLアリコートとして貯蔵した。
【0100】
OMP-21M18は、3人の被験者に対して0.5mg/kgを週1回、3人の被験者に対して1.0mg/kgを週1回、6人の被験者に対して2.5mg/kgを隔週1回、6人の被験者に対して2.5mg/kgを週1回、6人の被験者に対して5.0mg/kgを隔週1回、3人の被験者に対して5.0mg/kgを週1回、および6人の被験者に対して10.0mg/kgを隔週1回という投与量で投与した。試験プロトコールに従い、投与期間は、被験者が用量制限毒性のために試験から離脱した場合を除いて9週間とした。1回目の投薬の直前にベースライン血圧読取り値を取得した。毒性は、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)の有害事象共通用語規準(Common Toxicity Criteria for Adverse Events)(CTCAE)バージョン3.0を用いて評価した。試験期間中は、1回目の投薬から4回目の用量投与の7日後まで(第0〜28日)にわたり、被験者を用量制限毒性に関して評価した。用量制限毒性を来した被験者では、OMP-21M18による治療を完全に中止した。9週間にわたる治療後に、被験者が治療を受け続けており、かつ疾患進行の証拠が認められないか、または彼らの腫瘍が縮小していた場合には、疾患の進行を認めるまでは、被験者に対するOMP-21M18のIV注入を2週間毎に継続した。
【0101】
この治験で治療を受けた被験者のうち22人は、事前に高血圧と診断されていた。これらの被験者のうち8人は単剤の薬物処方を受けており、2剤または3剤の薬物処方を受けていた被験者がそれぞれ1人であった。
【0102】
治療過程の間に、OMP-21M18による治療を受けた33人の被験者のうち12人、すなわち患者の36%で高血圧が報告された。これらの被験者のうち11人では、単剤の経口降圧剤処方を投与し、それを調節することで被験者の血圧が首尾良くコントロールされたため、高血圧は「グレード3」に分類された。これらの11人の症例では、高血圧は無症候性であり、被験者はOMP-21M18による治療を続けることができた。
【0103】
高血圧との用量相関性が存在するように思われる。高血圧はすべての用量範囲にわたって観察され、発生率が最も高かったのは投与した用量が最大の場合であった。10.0mg/kgの用量レベルでは、6人の被験者のうち6人がグレード3の高血圧(重症)またはグレード4の高血圧(生命に危険あり)を来した。
【0104】
(表1)投与量コホートにおける高血圧の発生率

1 1人の患者がグレード3およびグレード4の高血圧の両方を来した。
【0105】
実施例2:被験者番号1における高血圧および治療
0.5mg/kgコホートに組み入れられた被験者1は、肝臓に転移した盲腸腺癌を有する78歳男性である。図1の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者1の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者の既往歴には、高血圧、心筋梗塞(15年前)、うっ血性心不全および発作性心房細胞の診断が含まれる。試験登録時に、被験者は過去5カ月間にわたり、高血圧に対して塩酸ベナゼプリル(ロテンシン(登録商標))30mg経口1日1回を服用していた。第1日時点の、被験者のベースライン血圧は135/73mm Hgであった。第0日に、この被験者はOMP-21M18の0.5mg/kgでの週1回投与の1回目の投薬を受けた。第24日に血圧が183/89に上昇したため、ロテンシン(登録商標)の用量が40mg経口1日1回に増量され、ベシル酸アムロジピン(ノルバスク(登録商標))5mg/1日1回が開始された。第32日に、血圧読取り値が177/88mm Hgであったため、ノルバスク(登録商標)用量が10mg経口1日1回に増量された。第41日に、血圧読取り値が160/85mm Hgであったため、ヒドロクロロチアジドが追加された。被験者1に関して報告された最高血圧は第21日の注入15分後であり、199/92であった。この被験者ではロテンシン(登録商標)、ノルバスク(登録商標)およびヒドロクロロチアジドの継続下で適切な血圧コントロールが得られ、高血圧に関連した症状は全くみられなかった。
【0106】
実施例3:被験者番号2における高血圧および治療
1.0mg/kgコホートに組み入れられた被験者2は、低悪性度平滑筋肉腫を有する55歳男性である。図2の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者2の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者の病歴には高血圧の診断が含まれた。試験登録の時点で、被験者は高血圧に対して3年間にわたってリシノプリル10mg経口1日1回を服用していた。ベースライン血圧は141/85mm Hgであった。第0日に、この被験者はOMP-21M18の1mg/kgでの週1回投与の1回目の投薬を受けた。第7日に、被験者の血圧は177/93mm Hgという高値に上昇し、このため第13日に、イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド300/12.5mg経口1日1回がリシノプリルに追加された。第14日には、血圧読取り値が173/110mm Hgの高血圧であったため、計画していた試験薬の投与が行われなかった。リシノプリル10mg経口1日1回+イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド300/12.5mg経口1日1回のレジメンでは被験者の血圧を適切にコントロールすることができず、このため第17日に、イルベサルタン/ヒドロクロロチアジドおよびリシノプリルが中止され、ラベタロール100mg経口1日2回およびプリンザイド(登録商標)10/12.5経口1日1回が開始された。第21日に、血圧読取り値が164/112mm Hgであったため、ラベタロールが毎朝300mgおよび毎夜200mgに増量された。2日後に、ラベタロール用量が400mg経口1日2回に増量された。このレジメンにより、被験者の血圧は第55日までコントロールされたが、その時点で血圧読取り値が163/91mm Hgが観察されたことから、プリンザイド(登録商標)用量が20/25経口1日1回に増量された。第84日に、被験者の血圧は167/102mm Hgであり、ラシックス20mg経口1日1回がレジメンに追加された。第84日の血圧読取り値が高値であったため、この被験者へのOMP-21M18の投与は行われなかった。第87日に、血圧コントロールを再び得るために、ノルバスク(登録商標)10mg経口1日1回が開始された。ラベタロール400経口1日2回、ラシックス20mg経口1日1回、ノルバスク(登録商標)10mg経口1日1回およびプリンザイド(登録商標)20/25mg経口1日2回というこの被験者のレジメンにより、彼の血圧は以後コントロールされ、彼はさらに7回のOMP-21M18投薬を、高血圧を伴わずに受けることができた。
【0107】
実施例4:被験者番号3における高血圧および治療
2.5mg/kgコホートに組み入れられた被験者3は、右眼の脈絡膜黒色腫ならびに肝臓および肺の両方に転移を有する64歳女性である。図3の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者3の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者には高血圧の既往歴がなかった。この被験者のベースライン血圧は96/54mm Hgであった。第0日に、被験者はOMP-21M18の2.5mg/kgでの週1回投与の1回目の投薬を受けた。第21日に、被験者の血圧読取り値は159/90mmHgであり、ダイアジド(登録商標)(ヒドロクロロチアジドおよびトリアムテレン)1錠の経口1日1回投与が開始された。被験者の血圧は第112日まで適切にコントロールされたが、その時点で彼女の血圧は152/77mm Hgに上昇していることが認められた。血圧コントロールを再び得るために、ダイアジド(登録商標)が中止され、被験者へのノルバスク(登録商標)(ベシル酸アムロジピン)5mg経口1日1回投与が開始された。第141日に、足踝浮腫を理由としてノルバスク(登録商標)治療が中止され、リシノプリル20mg経口1日1回が開始された。第144日に、被験者のリシノプリル用量は20mg経口1日2回に増量された。第146日に、被験者の血圧読取り値は143/85mm Hgであった。この被験者では血圧上昇に関連した症状はみられていない。この被験者は治療を継続し、OMP-21M18の注入を13回受けた。
【0108】
実施例5:被験者番号4における高血圧および治療
2.5mg/kgコホートに組み入れられた被験者4は高血圧の病歴を有し、試験登録時にダイアジドおよびリシノプリルを服用していた。この被験者のベースライン時の血圧は118/73であった。第14日に、被験者の血圧は153/79であった。治験担当医によれば、血圧の上昇は試験薬とは関係がなかった。この被験者では高血圧に関連した症状がみられなかった。
【0109】
実施例6:被験者番号5における高血圧および治療
10mg/kgコホートに組み入れられた被験者5は、ステージIVの結腸直腸癌を有する56歳女性である。図4の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者5の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者の既往歴には、冠動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化および労作性狭心症(クラス1)の診断が含まれる。被験者5のベースライン血圧は、第-28日の時点で130/90mm Hgであった。第0日に、この被験者は、OMP-21M18の10mg/kgでの隔週1回投与の1回目の投薬を受けた。第9日に、この被験者の血圧は160/90mm Hgと高値であり、リシノプリル10mg経口1日1回が開始された。第14日に、クリニックでのこの被験者の血圧読取り値は135〜140/90mm Hgと、より低値になったため、彼女に対するリシノプリルの用量は5mg経口1日1回に減量された。第26日に、この被験者の家庭での血圧は170/90mm Hgであり、カプトプリル25mgの経口単回投与が行われた。第28日に、被験者のリシノプリルの投与量は再び10mg経口1日1回に増量された。第56日に、血圧読取り値が140-145/90mm Hgであったため、リシノプリルの用量は10mg経口1日2回に増量された。第62日に、被験者の血圧は190/120mm Hgであり、循環器医による診察を受け、この循環器医がリシノプリルを中止し、彼女に対してロサルタン(lozartan)25mg経口1日1回、ビソプロロール2.5mg経口1日1回およびアムロジピン5mg経口1日1回を開始した。3日後の第65日に、被験者の血圧は依然として170/106mm Hgであった。循環器医はロサルタンの用量を50mg経口1日1回に増量し、かつビソプロロールの用量を5mg経口1日1回に増量した。
【0110】
実施例7:被験者番号6における高血圧および治療
10mg/kgコホートに組み入れられた被験者6には、高血圧の既往歴はなかった。この被験者のベースライン血圧は125/90であった。第9日に、被験者はエナラプリル10mg1日2回を開始した。その後の血圧は140/90であった。第28日に、この被験者の1回の血圧読取り値は150/90であった。その後の血圧読取り値は150/90であった。この被験者は高血圧に関連した症状がなく、治療を継続して受けた。
【0111】
実施例8:被験者番号7における高血圧および治療
10mg/kgコホートに組み入れられた被験者7は、ステージIVの直腸S状結腸移行部腺癌を有する71歳女性である。図5の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者7の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者の既往歴には、冠動脈性心疾患、動脈性高血圧およびアテローム性動脈硬化が含まれる。この被験者は過去10年間にわたり、高血圧に対してエナラプリル5mg経口1日2回を服用していた。第-1日時点の、この被験者のベースライン血圧は135/90mm Hgであった。第0日に、彼女はOMP-21M18の10mg/kg隔週1回投与の1回目の投薬を受けた。被験者の血圧読取り値が170/90mm Hgであった第9日に、被験者に対するエナラプリル用量が10mg1日2回に増量された。被験者の血圧読取り値が155/90mm Hgであった第56日に、アムロジピン5mg経口1日1回が開始された。被験者の第70日時点の血圧読取り値は145〜150/90mm Hgであった。この被験者は高血圧に関連した症状がなく、治療を継続して受けた。
【0112】
実施例9:被験者番号8における高血圧および治療
10mg/kgコホートに組み入れられた被験者8は、ステージIVの結腸直腸癌を有する58歳男性である。図6の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者8の血圧読取り値および降圧治療の概略である。彼の既往歴には高血圧の診断が含まれる。試験登録の時点で、この被験者は過去6年間にわたり、血圧をコントロールするために必要時にカプトプリル25mg経口1日1回を服用していた。第-28日時点のこの被験者のベースライン血圧は140/90mm Hgであった。第0日に、彼はOMP-21M18の10mg/kgでの隔週1回投与の1回目の投薬を受けた。第17日の家庭血圧読取り値が160/90mm Hgであったため、第18日にこの被験者のカプトプリル用量は12.5経口1日1回に変更された。第22日時点の、この被験者のクリニックでの次回の血圧は130/80mm Hgであった。第23〜28日に、被験者の家庭での血圧は150/90mm Hgと測定され、このため被験者のカプトプリル用量は25mg経口1日1回に増量された。その後、この被験者は、降圧剤処方をそれ以上調節することなく、さらに5回のOMP-21M18投与を受けた。この被験者は報告された高血圧に関連した症状がなく、治療を継続した。
【0113】
実施例10:被験者番号9における高血圧および治療
10mg/kgコホートに組み入れられた被験者9は、局所進行性膵頭部腺癌を有する54歳男性である。図7の表は、OMP-21M18の第I相臨床試験の全体にわたる、被験者9の血圧読取り値および降圧治療の概略である。この被験者は、ゲムシタビンによる治療を過去に受けていた。この被験者に高血圧の病歴はなかった。第-1日時点のこの被験者の血圧は115/75mm Hgであった。第0日に、彼はOMP-21M18の10mg/kg隔週1回投与の1回目の投薬を受けた。第3日に、被験者は140〜145/90〜95mm Hgという血圧上昇を報告し、ニフェジピン20mg経口1日1回が開始された。第7日時点の、被験者の次回の血圧読取り値は130/80mm Hgであった。第74日に、血圧の正常化(115/75mm Hg)を理由として、患者によってニフェジピンが中止された。この被験者は高血圧に関連した症状がなく、第81日時点で治療を継続している。
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デルタ様リガンド-4(DLL4)アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、癌を治療する方法であって、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体である、前記方法。
【請求項2】
対象が、高血圧に罹患している、高血圧を発症するリスクを有する、または高血圧の予防もしくは抑制が望まれる対象である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
対象が、心血管疾患のリスクを有する、または他の方法では高血圧を発症することなしに適量のDLL4アンタゴニストによって治療することができない、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記抗体および降圧剤が、別々にまたは同時に投与される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記抗体がヒトDLL4のアミノ末端領域(SEQ ID NO:11)と特異的に結合する、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記抗体がATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされる、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、ヒトDLL4との特異的結合に関して、寄託番号PTA-8425を有するATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる抗体と競合する、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記抗体がモノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、Fab抗体、Fv抗体およびscFv抗体からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、
(i)CDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:1);CDR2(SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、またはSEQ ID NO:4);およびCDR3(SEQ ID NO:5)を含む重鎖可変領域、ならびに(ii)CDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:7);CDR2(SEQ ID NO:8);およびCDR3(SEQ ID NO:9)を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
重鎖可変領域がCDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:1)、CDR2(SEQ ID NO:3)およびCDR3(SEQ ID NO:5)を含み、かつ軽鎖可変領域がCDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:7);CDR2(SEQ ID NO:8);およびCDR3(SEQ ID NO:9)を含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記抗体がSEQ ID NO:6のアミノ酸を含む重鎖可変領域を含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記抗体がSEQ ID NO:10のアミノ酸を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
降圧剤が、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤、レニン阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
利尿剤が、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、エピチジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、メチクロチアジド、シクロチアジド、メブチジド、インダパミド、クロルタリドン、メトラゾン、キネタゾン、クロパミド、メフルシド、クロフェナミド、メチクラン、キシパミド、クロレキソロン、フェンキゾン、アミロライド、トリアムテレン、エプレレノン、ベンザミル、カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、マンニトール、グルコース、尿素、コニバプタン、レルコバプタン、ネリバプタン(nelivaptan)、リキシバプタン、モザバプタン、サタバプタン、トルバプタン、デメクロサイクリン、メルサリル酸、メラルライド、メルカプトメリン、マーキュロフィリン、メレトキシリンプロカイン、カロメル、カフェイン、テオブロミン、パラキサンチン、テオフィリン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ドルゾラミド、スルホンアミド、トピラマート、アマノジン、アルブチン、クロラザニル、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリン、およびチクリナフェンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
アドレナリン受容体アンタゴニストが、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、ブシンドロール、ネビボロール、アルプレノロール;アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバノロール、エパノロール、インデノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ニプラジロール、ペンブトロール、プラクトロール、プロネタロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、トリプロロール、キシベノロール、フェノキシベンザミン、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、トリマゾシン、フェントラミン、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、タムスロシン、トラゾリン、モクソニジン、レセルピンおよびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
アドレナリン受容体アゴニストが、クロニジン、メチルドパ、グアンファシン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジンおよびチザニジンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
カルシウムチャンネル遮断剤が、アムロジピン、フェロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、イスラジピン、ニトレンジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、エルゴジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニラミン、セモチアジル、テロジリン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノンおよびペルヘキシリンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ACE阻害剤が、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、フォシノプリル、セロナプリル、カソキニン(casokinin)、ラクトキニン(lactokinin)、テプロチド、アラセプリル、シラザプリル、デラプリル、イミダプリル、モエキシプリル、レンチアプリル、スピラプリル、テモカプリル、モベルチプリルおよびトランドラプリルからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項19】
アンジオテンシンII受容体アンタゴニストが、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項20】
アルドステロンアンタゴニストが、エプレレノン、カンレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項21】
血管拡張剤が、ベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデラート、シクロニカート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジル、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、チノフェドリン、ビンカミン、ビンポセチン、ビキジル、アモトリフェン、ベンダゾール、ヘミコハク酸ベンフロジル、ベンズヨーダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフラール、クロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、ジピリダモール、ドロプレニラミン、エフロキサート、四硝酸エリトリチル、エタフェノン、フェンジリン、フロレジル、ガングレフェン、ヘキセストロールビス(β-ジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシラート、ケリン、リドフラジン、六硝酸マンニトール、メジバジン、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリトリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニラミン、硝酸プロパチル、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、リン酸トロールニトラート、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ニトロプルシドナトリウム、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリトリトール、テオブロミン、ビスナジン、ニコチン酸アルミニウム、バメタン、ベンシクラン、ベタヒスチン、ブラジキニン、ブロビンカミン、ブフェニオド、ブフロメジル、ブタラミン、セチエジル、シクロニカート、シネパジド、シンナリジン、シクランデラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エレドイシン、フェノキセジル、フルナリジン、ヘプロニカート、イフェンプロジル、イロプロスト、イノシトールニアシナート、イソクスプリン、カリジン、カリクレイン、モキシシリト、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニコフラノース、ニリドリン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ピリベジル、プロスタグランジンE1、スロクチジル、トラゾリンおよびニコチン酸キサンチノールからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項22】
レニン阻害剤が、アリスキレンおよびレミキレンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項23】
第3の治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項24】
DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者における高血圧を改善する方法であって、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体であり、
該抗体による治療を受けている患者に対して有効量の降圧剤を投与する段階を含む、前記方法。
【請求項25】
前記抗体および降圧剤が、別々にまたは同時に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
降圧剤が、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤、レニン阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項24〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者における高血圧を予防する方法であって、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体であり、
該抗体による治療を受けている患者に対して有効量の降圧剤を投与する段階を含む、前記方法。
【請求項28】
降圧剤が、前記抗体の投与の前、同時、または後に投与される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
降圧剤が、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤、レニン阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項27〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
DLL4アンタゴニストによる治療を受けている患者を高血圧の発症に関してモニターする方法であって、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体であり、
a.該抗体による治療を受けている患者の血圧を、正常範囲を上回る血圧に備えて測定する段階;
b.血圧が上昇している患者に対して1つまたは複数の降圧剤を投与する段階
を含む、前記方法。
【請求項31】
DLL4アンタゴニストおよび1つまたは複数の降圧剤を含む薬学的組成物であって、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体である、薬学的組成物。
【請求項32】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、Fab抗体、Fab'抗体、F(ab')2抗体、Fv抗体およびscFv抗体からなる群より選択される、請求項31または32記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記抗体がヒトDLL4のアミノ末端領域(SEQ ID NO:11)と特異的に結合する、請求項31〜33のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記抗体がATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされる、請求項31〜34のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記抗体が、
(i)CDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:1);CDR2(SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4);およびCDR3(SEQ ID NO:5)を含む重鎖可変領域、ならびに(ii)CDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:7);CDR2(SEQ ID NO:8);およびCDR3(SEQ ID NO:9)を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項31〜34のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項37】
重鎖可変領域がCDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:1)、CDR2(SEQ ID NO:3)およびCDR3(SEQ ID NO:5)を含み、かつ軽鎖可変領域がCDRアミノ酸配列 CDR1(SEQ ID NO:7);CDR2(SEQ ID NO:8);およびCDR3(SEQ ID NO:9)を含む、請求項31〜34および36のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記抗体がSEQ ID NO:6のアミノ酸を含む重鎖可変領域を含む、請求項31〜34および37のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記抗体がSEQ ID NO:10のアミノ酸を含む軽鎖可変領域を含む、請求項31〜34および37〜38のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項40】
降圧剤が、利尿剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、血管拡張剤、レニン阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31〜39のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項41】
利尿剤が、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、エピチジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、メチクロチアジド、シクロチアジド、メブチジド、インダパミド、クロルタリドン、メトラゾン、キネタゾン、クロパミド、メフルシド、クロフェナミド、メチクラン、キシパミド、クロレキソロン、フェンキゾン、アミロライド、トリアムテレン、エプレレノン、ベンザミル、カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、マンニトール、グルコース、尿素、コニバプタン、レルコバプタン、ネリバプタン、リキシバプタン、モザバプタン、サタバプタン、トルバプタン、デメクロサイクリン、メルサリル酸、メラルライド、メルカプトメリン、マーキュロフィリン、メレトキシリンプロカイン、カロメル、カフェイン、テオブロミン、パラキサンチン、テオフィリン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ドルゾラミド、スルホンアミド、トピラマート、アマノジン、アルブチン、クロラザニル、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリンおよびチクリナフェンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項42】
アドレナリン受容体アンタゴニストが、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、ブシンドロール、ネビボロール、アルプレノロール;アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバノロール、エパノロール、インデノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ニプラジロール、ペンブトロール、プラクトロール、プロネタロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、トリプロロール、キシベノロール、フェノキシベンザミン、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、トリマゾシン、フェントラミン、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、タムスロシン、トラゾリン、モクソニジン、レセルピンおよびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項43】
アドレナリン受容体アゴニストが、クロニジン、メチルドパ、グアンファシン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジンおよびチザニジンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項44】
カルシウムチャンネル遮断剤が、アムロジピン、フェロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、イスラジピン、ニトレンジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、エルゴジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニラミン、セモチアジル、テロジリン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノンおよびペルヘキシリンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項45】
ACE阻害剤が、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、フォシノプリル、セロナプリル、カソキニン、ラクトキニン、テプロチド、アラセプリル、シラザプリル、デラプリル、イミダプリル、モエキシプリル、レンチアプリル、スピラプリル、テモカプリル、モベルチプリルおよびトランドラプリルからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項46】
アンジオテンシンII受容体アンタゴニストが、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項47】
アルドステロンアンタゴニストが、エプレレノン、カンレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項48】
血管拡張剤が、ベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデラート、シクロニカート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジル、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、チノフェドリン、ビンカミン、ビンポセチン、ビキジル、アモトリフェン、ベンダゾール、ヘミコハク酸ベンフロジル、ベンズヨーダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフラール、クロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、ジピリダモール、ドロプレニラミン、エフロキサート、四硝酸エリトリチル、エタフェノン、フェンジリン、フロレジル、ガングレフェン、ヘキセストロールビス(β-ジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシラート、ケリン、リドフラジン、六硝酸マンニトール、メジバジン、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリトリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニラミン、硝酸プロパチル、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、リン酸トロールニトラート、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ニトロプルシドナトリウム、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリトリトール、テオブロミン、ビスナジン、ニコチン酸アルミニウム、バメタン、ベンシクラン、ベタヒスチン、ブラジキニン、ブロビンカミン、ブフェニオド、ブフロメジル、ブタラミン、セチエジル、シクロニカート、シネパジド、シンナリジン、シクランデラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エレドイシン、フェノキセジル、フルナリジン、ヘプロニカート、イフェンプロジル、イロプロスト、イノシトールニアシナート、イソクスプリン、カリジン、カリクレイン、モキシシリト、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニコフラノース、ニリドリン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ピリベジル、プロスタグランジンE1、スロクチジル、トラゾリンおよびニコチン酸キサンチノールからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項49】
レニン阻害剤が、アリスキレンおよびレミキレンからなる群より選択される、請求項40記載の薬学的組成物。
【請求項50】
容器を含むキットであって、容器がDLL4アンタゴニストと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物をその中に含み、DLL4アンタゴニストがヒトDLL4と特異的に結合する抗体であり、かつ容器が、癌を治療するために該組成物が降圧剤と組み合わせて使用できることを示す添付文書をさらに含む、キット。
【請求項51】
容器が1つまたは複数の降圧剤をさらに含む、請求項50記載のキット。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508303(P2013−508303A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534438(P2012−534438)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/053064
【国際公開番号】WO2011/047383
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(308031072)オンコメッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】