説明

DNAマイクロアレイの製造方法、DNAマイクロアレイ、タンパク質アレイの製造方法、タンパク質アレイ、及び機能性タンパク質の同定方法

【課題】1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高い精度で固定された高密度DNAマイクロアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のDNAマイクロアレイの製造方法は、DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、(c)電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程と、(d)前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程を有し、前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAマイクロアレイの製造方法、DNAマイクロアレイ、タンパク質アレイの製造方法、タンパク質アレイ、及び機能性タンパク質の同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新規機能性タンパク質は、医薬品、洗剤、食品加工、研究開発用試薬、臨床分析、さらにはバイオエネルギー、バイオセンサーなど様々なバイオ応用分野への貢献が期待されている。
【0003】
新規機能性タンパク質の取得に際しては、タンパク質の構造情報から人知によりデザインするタンパク質工学的手法が主流であったが、より有用なタンパク質を取得するためにはタンパク質のランダムな分子構造改変と淘汰を繰り返す進化分子工学的手法が期待されている。
【0004】
上記進化分子工学的手法において、タンパク質改変体をコードする変異DNAを1種類ごとにサンプリングして解析する場合は、1アミノ酸をコードするコドンが3塩基からなっていることを考慮すると、(4) (n : コドン数)個の膨大な数の変異DNA由来のタンパク質を解析する必要があり、効率的にスクリーニングを行うためには、同時並列的に評価する系が必要とされる。
そのためには、ランダム変異を導入したDNAからなるDNAマイクロアレイ、及び該DNAマイクロアレイに基づいて製造されたタンパク質アレイが必須である。
【0005】
ランダム変異を導入したDNAからなるDNAマイクロアレイを製造する際には膨大な数の変異DNAライブラリーを用いて、DNAマイクロアレイ上の1スポットに1種類のDNA分子を固定する必要がある。
【0006】
このような固定化を容易にするものとして、1分子エマルションPCR法を利用した方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
1分子エマルションPCR法とは、乳化剤が混和した油の中に水を攪拌して逆ミセルコロイド( W/Oエマルション )を形成させることで限られた反応空間の中に1分子変異DNAを容易に隔離することを可能とする方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−211984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で提案されている方法に基づいて、エマルション1個あたり、平均1個以下の固相担体と平均1分子以下のDNAとが含まれるようにエマルション化すれば、PCRを行うことにより、エマルション内で1種類のDNAを増幅し、該DNAを固定した固相担体を得ることができるが、DNAを全く含まない固相担体のみのエマルションも存在することになる。
このようなエマルションから固相担体を回収し、DNAマイクロアレイを作製した場合には、DNAマイクロアレイ上に、DNAが固定されていないスポットが多数存在することになり、効率的なスクリーニングという観点からは改良の余地がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高い精度で固定された高密度DNAマイクロアレイの製造方法、該製造方法により製造された高密度DNAマイクロアレイ、該高密度DNAマイクロアレイを用いて製造された高密度タンパク質アレイ、及び該高密度タンパク質アレイを用いた機能性タンパク質の同定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、DNAに帯電した負の電荷を利用することにより課題を解決できることを見出した。本発明の一実施態様は、下記(1)〜(8)を提供するものである。
(1)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程と、
(d)前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記工程(a)において、前記DNAは変異DNAライブラリー由来のDNAであることが好ましい。
(3)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記工程(b)において、前記固相結合部位はビオチンであり、前記ビーズはストレプトアビジン又はアビジンで修飾されたものであることが好ましい。
(4)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記ビーズは、磁気ビーズであり、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であり、前記工程(d)において、前記磁気ビーズ配置用基板の下部に磁石を配置し、前記磁気ビーズを前記微小
反応槽に誘導することが好ましい。
(5)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイは、(1)〜(4)のいずれかに記載のDNAマイクロアレイの製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする。
(6)本発明の一実施態様におけるタンパク質アレイの製造方法は、
(e)(5)に記載のDNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とする。
(7)本発明の一実施態様におけるタンパク質アレイは、(6)に記載のタンパク質アレイの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
(8)本発明の一実施態様における機能性タンパク質の同定方法は、(7)に記載のタンパク質アレイを用いて、機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応する微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のDNAマイクロアレイの製造方法によれば、1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高い精度で固定された高密度DNAマイクロアレイが得られる。
本発明によれば、1スポット当たりに1種類の変異タンパク質が高い精度で固定されたタンパク質マイクロアレイが得られるだけではなく、前記タンパク質マイクロアレイを高密度化することも可能であり、かかる高密度タンパク質マイクロアレイは、膨大な種類のタンパク質が固定化されているだけではなく、1スポット当たりに多分子数のホモジニアスなタンパク質が固定化されたものであるため、利用価値が高い。
また、本発明の機能性タンパク質又は機能性ペプチドの同定方法は、高密度化タンパク質アレイから所望の機能を有するタンパク質を迅速に同定することができるため、進化分子工学的用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例において、磁気ビーズを封入したエマルション粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図2】実施例において、磁気ビーズ及びcDNA結合磁気ビーズにおける電気泳動度のヒストグラムである。
【図3】実施例において、Cy5−GFPcDNA結合磁気ビーズ及びFITC−RFPcDNA結合磁気ビーズをパターニングしたガラス基板の蛍光顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪DNAマイクロアレイの製造方法≫
本実施形態のDNAマイクロアレイの製造方法は、
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程と、
(d)前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
【0014】
工程(a)は、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程である。
【0015】
上述したように油中水型エマルションとは、乳化剤が混和した油の中に水を攪拌して形成させた逆ミセルコロイド(water−in−oil(W/O)エマルション )を意味する。DNAが1分子封入されたエマルション内で核酸増幅反応を行えば、1個のエマルション中には増幅された1種類のDNAのみが存在することになる。
【0016】
各々の変異DNAを解析する必要性の観点から、1個のエマルション中に複数の変異DNAが混在することは適切ではないため、本発明においては、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAが含まれるように油中水型エマルションを調製する。よって、DNAが含まれないエマルションも存在することになるが、後記工程(c)においてDNAが固定化されたビーズのみを選別するため特に問題とはならない。
【0017】
工程(a)では、鋳型として用いられるDNA(以下、鋳型DNA)や核酸増幅に必要な試薬等が調製されている水性成分に、油、乳化剤を混合して油中水型エマルションを調製する。これによって、複数個の鋳型DNAが複数のエマルション(逆ミセル)によって区画化される。即ち、鋳型DNAを内包する複数のエマルション(逆ミセル)が得られる。
エマルションの調製には、攪拌処理(磁気攪拌子、プロペラ式などの使用)、ホモジナイズ(ホモジナイザー、乳鉢などの使用)、超音波処理(ソニケーターなどの使用)などを利用できる。
エマルションの大きさは特に限定されないが、エマルション1個の体積は、エマルションの平均粒径を基に算出できる。エマルションの平均粒径は、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
エマルション粒子の数は前記水性成分の体積からエマルション1個の体積を割ることにより算出される。よって、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAが含まれるように油中水型エマルションを調製するためには、全体におけるエマルションの数以下の分子数のDNAを用意すればよい。
【0018】
エマルションとしては、熱安定性に優れているものが好ましい。熱安定性に優れたエマルションを用いれば、工程(b)におけるPCR法などの高温処理を伴う核酸増幅反応の間、エマルションを維持することができる。従って、各ミセル間でコンタミネーションが起こることを防止でき、効率よく核酸増幅が行われる。これによって、各ミセル内に鋳型DNAが一分子含まれるように条件設定すれば、各ミセル内において鋳型一分子に由来する核酸分子を大量に得ることが可能となる。
従って、エマルションを用いた核酸増幅反応を行うことにより、高密度化したDNAマイクロアレイを製造することができる。さらにかかるDNAマイクロアレイを用いて製造されたタンパク質アレイもまた各スポットに多分子のタンパク質が固定化された高密度なものとすることができ、特定の活性を有するタンパク質を選択する際の検出感度が向上する。
かかるエマルションに用いられる乳化剤としては、ゴールドシュミット社製ABIL(登録商標)WE09、ABIL(登録商標)WS08、ABIL(登録商標)EM90等が挙げられる。
【0019】
工程(a)では、油中水型エマルションに平均1個以下のDNAの固相担体としてのビーズが含まれるように調製する。
エマルションの数は、上記計算により算出され、全体におけるエマルションの数以下の個数の固相担体を用意すればよい。各エマルションに含まれる固相担体の数が2個以上の場合、核酸増幅反応後の固相担体1個当たりが固定するDNAの分子数が減少することになる。これは、高密度DNAマイクロアレイを作製するという観点から適切ではない。
油中水型エマルションに平均1個以下の固相担体が含まれるようにすることで、固相担体が含まれないエマルションも存在することになるが、後記工程(c)においてDNAが固定化されたビーズのみを選別するため特に問題とはならない。
【0020】
前記DNAの固相担体としては、後にDNAを回収する観点から、ビーズが用いられる。更に、短時間でビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置させることが可能であるという観点から、前記ビーズは磁気ビーズであることが好ましく、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であることが好ましい。
このようにDNAの固相担体としてビーズを用いれば、基板上にDNAを固定する場合より多分子数のDNAを固定することができる。かかるDNAの分子数は、無細胞翻訳系を用いて合成されるタンパク質の分子数に反映されるため、本実施形態によれば、基板にDNAを直接固定した従来のDNAマイクロアレイからタンパク質アレイを作製する方法よりも1スポット当たりに多分子数のタンパク質を固定することができる。
【0021】
前記工程(a)において、膨大な数の変異DNAを用意するために、前記DNAは、変異DNAライブラリー由来のDNAであることが好ましい。
変異DNAライブラリーとしては、Error−prone PCR(エラープローンPCR)を利用したライブラリー、Gene assembly mutagenesisを利用したライブラリー、Random insertion and deletion mutagenesisを利用したライブラリー、DNA shufflingを利用したライブラリー、Family shufflingを利用したライブラリー、Staggered Extension Process in vitro recombinationを利用したライブラリー、ITCHY Hybrid protein libraries、SCRATCHY Hybrid Protein Libraries、Sequence Homology−independent Protein Recombinationを利用したライブラリー等が挙げられる。
【0022】
エラープローンPCR法とは、PCR反応中に人為的にランダムなエラーを発生させる方法である。該エラープローンPCR法においては、プルーフリーディング(校正)機能のないTaqDNAポリメラーゼを用いる。エラープローンである該TaqDNAポリメラーゼの本来の性質を利用したものである。更に、1突然変異が有用な頻度で起こるようにするために、反応液中にMn2+を添加したり、dNTP濃度を不均衡にすることでTaq DNAポリメラーゼのエラー発生率を増加させる。
【0023】
工程(b)は、前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程である。
【0024】
工程(b)における核酸増幅反応としては、PCR(Polymerase Chain Reaction)、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)、ICAN(Isothermal and Chimerical primer−initiated Amplification of Nucleic acids)、TRC(Transcription Reverse−Transcription Concerted)、SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription Mediated Amplification)、SMAP(SMart Amplification Process)、RPA(Recombines polymerase amplification)、HDA(Helicase−dependent amplification)などが挙げられるが、PCR法による増幅反応を利用することが好ましい。
【0025】
核酸増幅反応に用いられる試薬は、採用する核酸増幅反応に合わせて適当な核酸増幅反応用試薬を使用する。例えば、核酸増幅反応としてPCRを採用する場合には、PCRを構成する各反応に必要な試薬、即ちdNTP及びDNAポリメラーゼが用いられる。DNAポリメラーゼとしては、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼを用いることが好ましく、試験開始前の伸長を防ぐためにホットスタート機能を持つDNAポリメラーゼや、プルーフリーディング(校正)機能を持つDNAポリメラーゼを使用することがより好ましい。これらの試薬は市販されており、容易に入手可能である。
【0026】
鋳型DNAや核酸増幅に必要な試薬等を含む水性成分は、核酸増幅反応に適した溶液として調製される。例えば、PCR反応が良好に進行するように、トリス−塩酸等のバッファーを用いて、pH7.0〜pH9.0程度の溶液とする。
【0027】
本実施形態では、鋳型DNAの特定領域をPCR反応で増幅可能な一対のプライマーセット(以下、便宜上「第1プライマーと第2プライマー」と称する)が用いられる。この態様において片方のプライマー(第2プライマー)を固相化しておけば、第2プライマーを介して固相担体に結合した状態で増幅産物を得ることができる。
【0028】
前記第2プライマーと固相担体の結合としては、アビジン−ビオチン結合を利用する方法の他、前記第2プライマーをアミノ基、アルデヒド基、SH基、などの官能基で修飾し、固相をアミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法などを用いることができるが、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
更に、固定化としては、ストレプトアビジン又はアビジンを固相に固定化し、固相結合部位としてビオチンをDNAに結合させたものがより好ましい。
【0029】
エマルションPCRを行った後、DNA固定化ビーズを取出すためにエマルションを破壊させる必要がある。該エマルションの破壊は、当技術分野で公知の任意の手段によって可能であり、例えば、Triton X100やノニデット(Nonidet)P40等の界面活性剤を加えることにより行われる。
【0030】
工程(c)は、電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程である。
上述したように、工程(a)において、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水系エマルションを調製しているため、エマルション中にビーズに固定化されていないDNAやDNAが固定化されていないビーズが存在する。工程(c)において、DNAに帯電した負の電荷を利用し、電気泳動を行い、電気泳動度の違いを利用することでDNAが固定化されたビーズのみを選別することができる。本実施形態に用いられる電気泳動装置としては、公知のもので良く、例えば、フリーフロー電気泳動装置等が挙げられる。
【0031】
工程(d)は、前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程である。
本実施形態において、ビーズ配置用基板は、複数の微小反応槽が配設されており、前記複数の微小反応槽内にDNAが固定化されたビーズが配置されることにより、DNAマイクロアレイとして用いられる。
【0032】
従来のDNAマイクロアレイの製造方法は、基板にDNAを直接固定する方法である。かかる方法においては、固定化に用いられるDNAの分子数には制限がある。一方、本実施形態においては、微小反応槽に多分子数のDNAを添加することができるため、後記する無細胞タンパク質合成系を用いることにより、多分子数のタンパク質を合成することができる。従って、本実施形態においては、1スポット当たり多分子数のタンパク質を固定化したタンパク質アレイを作製することができる。
【0033】
ビーズ配置用基板の表面及び微小反応槽内壁を、DNA等生体分子の非特異吸着防止用ブロッキング剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)や2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)で好適にコーティングすることができる。かかるブロッキング剤をコーティングすることで、基板表面や微小反応槽の内壁への生体分子の非特異吸着を抑制することができる。
【0034】
ビーズ配置用基板に用いられる基板材料は、透明なガラス又はポリマー材であることが好ましく、リークを抑える目的からは、ポリジメチルシロキサンなどのエラストマー材料であることがより好ましい。なお、ビーズ配置用基板に用いられる基板材料にエラストマー材料を用いる場合、微小なゴミなどの粒子がビーズ配置用基板と後述するタンパク質アレイ作製に用いられる基板との間に挟まれた時に生じるビーズ配置用基板全体の基板との密着性に及ぼす悪影響がエラストマーの局所的な変形により回避される利点がある。
【0035】
上述したように、本実施形態において、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であることが好ましく、前記磁気ビーズ配置用基板に用いられる基板材料下に、磁性体板が配設されていることがより好ましい。
かかる構造の磁気ビーズ配置用基板を用いることにより、微小反応槽内に磁気ビーズを容易にかつ高い精度で配置することができる。具体的には、該基板材料の下部に磁石を配置し、該基板材料上にDNAを固定した磁気ビーズを分散させた分散液を滴下する。磁気ビーズ及び磁性体薄膜による磁力の作用により、微小反応槽内へ磁気ビーズが誘引されることにより配置されやすくなる。さらに磁石を適宜基板に対し平行方向に動かすことで磁気ビーズが分散し、微小反応槽内への充填率が向上する。磁石によりビーズ配置用基板に印加する磁場の強さは、所望の効果を得る上で、好ましくは100〜10000ガウスである。
また、磁石を取り除いた後も磁性体板の磁化は残るため、磁気ビーズは安定した配置を保持し続けることが可能となる。
【0036】
かかる磁性体の材料としては、ニッケル、ニッケル合金、鉄および鉄合金などの金属を好適に用いることができ、本実施形態においては残留磁化の大きな磁性材料を用いることが好ましい。
【0037】
1種類のDNAが結合したビーズ1個をビーズ配置用基板の各微小反応層に配置する観点から、微小反応槽の直径はビーズの直径とほぼ同じであることが好ましい。しかしながら、ビーズの微小反応槽への充填率は該微小反応槽の直径に依存するため、微小反応槽の直径がビーズの直径よりも若干広い方が充填率が高い。更に微小反応槽の直径はビーズの直径の1〜2倍であることが好ましくい。また、1個の微小反応槽に1個のビーズを充填する上で、微小反応槽の深さは、ビーズの直径の1〜2倍であることが好ましい。
【0038】
微小反応槽は、親水化されていることが好ましく、該微小反応槽を酸素プラズマ照射などにより親水化処理することにより、微小反応槽内部へのビーズを分散させた液の充填が容易になり、充填率が向上する。
【0039】
≪DNAマイクロアレイ≫
本実施形態のDNAマイクロアレイの製造方法を用いて製造されたDNAマイクロアレイは、1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高い精度で固定されたものであり、スポットの高密度化にも対応し得るものである。
【0040】
≪タンパク質アレイの製造方法≫
本実施形態のタンパク質アレイの製造方法は、
(e)先に記載のDNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
【0041】
工程(e)は、先に記載のDNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程である。
【0042】
上述したように、本実施形態においては、複数の微小反応槽中に多分子数のDNAを用意することができるため、無細胞翻訳系を用いることにより、多分子数のタンパク質を合成することができる。従って、本実施形態のタンパク質アレイの製造方法においては、1スポット当たり多分子数の変異タンパク質を固定化したタンパク質アレイを作製することができる。また、本実施形態では、複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイを用いるため、転写段階と翻訳段階とを1度に行うことができ、効率的である。
【0043】
工程(f)は、前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程である。
工程(f)は、版の凹んだ部分にインクをいれ、上から紙などを押し当てる凹版印刷(インタリプチンティング)技術を利用したものである。具体的には、前記工程(f)は、DNAマイクロアレイ上の凹部である微小反応槽に反応溶液を滴下し、上から基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせ、ハンドプレス器等を用いて、押し当てる工程である。そして、後記工程(g)において、基板上にタンパク質が固定される。よって、前記DNAマイクロアレイにおいて固定化されたDNAの位置情報を変更することなく、該DNAからタンパク質を合成し、該タンパクを基板上に固定することができる。
【0044】
前記工程(f)において用いられる基板としては、ガラス基板、シリコン基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられる。
本実施形態においては、DNAマイクロアレイと重ね合わせる基板の表面は必ずしも平坦である必要はなく、例えば、タンパク質を固定する表面積を増やすために凹凸を加工してもよい。ただし、基板とDNAマイクロアレイを重ね合わせた際に、DNAマイクロアレイ上の全ての微小反応槽内の試薬等の漏れがなく封じられるように、DNAマイクロアレイが接触する部分の基板表面は平坦である必要がある。
【0045】
工程(g)は、前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程である。
【0046】
無細胞タンパク質合成系とは、適当な細胞から抽出されたタンパク質合成能を有する成分からなるタンパク質翻訳系であり、この系にはリボゾーム、翻訳開始因子、翻訳伸長因子等、翻訳に必要な要素が含まれている。このようなタンパク質翻訳系として、大腸菌抽出、ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液等が一般的に用いられる。
このような系を用いることにより、前記微小反応槽内においてタンパク質が製造される。
合成されるタンパク質は、分解や変性により失活しやすいため、基板への固定の際にはできるだけ安定な状態で該タンパク質を維持する必要がある。本実施形態においては、微小反応槽内で合成したタンパク質を、そのまま基板に固定するため、タンパク質の失活を極力抑えたタンパク質アレイを作製することができる。
【0047】
前記工程(g)においては、無細胞タンパク質転写系を用いて前記DNAからmRNAを合成する工程も含まれる。前記mRNAは、スクリーニングすべきタンパク質をコードする固定化されたDNAから、RNAポリメラーゼにより転写させることにより得られる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。
転写反応及び翻訳反応を最適な状態で行わせるために、微小反応槽内の温度やpH条件などを制御する他の装置などを組み合わせてもよい。
また、簡便であることから、転写翻訳がカップルした系を用いてもよい。
【0048】
工程(g)において、前記タンパク質の合成に続いて、前記タンパク質の基板への固定化が行われる。具体的には、工程(e)において、DNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を添加した後に、工程(f)において、基板を用いて上からDNAマイクロアレイに封をし、密閉状態にする。工程(g)において、試薬を混ぜた先から、DNA→mRNA→タンパク質の一連の転写/翻訳反応が進行し、さらに翻訳されたタンパク質が前記基板に固定される。
【0049】
本実施形態において、合成されたタンパク質を基板に固定するため、前記タンパク質は、固相結合部位としてのアミノ酸配列を含み、前記基板は前記アミノ酸配列に親和性を有する固相結合部位認識部位を有することが好ましい。
このような固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせとしては、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、固相結合部位/固相結合部位認識部位の組合せとしては、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)などが好ましく、使い勝手の良さからポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオンの組合せが最も好ましい。
ポリヒスチジンとしては、ヘキサマー以上のものが好ましく用いられる。タンパク質中にポリヒスチジンを含ませるためには、PCR等で予めcDNAの末端に該ポリヒスチジンをコードする塩基配列を付加しておくことが好ましい。
【0050】
次に、重ね合わせた前記基板を前記DNAマイクロアレイから剥がす(工程h)。前記基板上のスポットは、対応するDNAマイクロアレイ上に固定化されたDNAの位置情報を変更することなく固定されたものである。
【0051】
このようにしてタンパク質が固定化された基板をPBS等で洗浄して、タンパク質アレイが製造される(工程i)。
【0052】
≪タンパク質アレイ≫
本実施形態のタンパク質アレイの製造方法を用いて製造されたタンパク質アレイは、1スポット当たり1種類の変異タンパク質が高い精度で固定されたものであり、スポットの高密度化にも対応し得るものである。また、該タンパク質アレイは、使用時に、随時、前記DNAマイクロアレイから製造されるものであるため、アレイ上のタンパク質の変性等を抑制することができる。
【0053】
≪機能性タンパク質又は機能性ペプチドの同定方法≫
本実施形態における機能性タンパク質の同定方法は、上述したタンパク質アレイを用いて、機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応するDNAマイクロアレイにおける微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする。
【0054】
前記機能性スクリーニング方法としては、所望の機能に依存するものであるが、タンパク質の活性を測定する場合、工程(e)におけるDNAマイクロアレイと同様に、タンパク質アレイ上に固定化されているスポットの位置に対応するようなマイクロ凹版を用意し、マイクロ凹版の微小凹部内にタンパク質の活性を測定するために必要な溶液を予め充填し、タンパク質アレイとマイクロ凹版を重ね合わせて反応させることで、チップ上のタンパク質の活性を測定することができる。
【0055】
本実施形態のタンパク質アレイの製造方法により製造されたタンパク質アレイは、対応するDNAマイクロアレイに固定化されたDNAの位置情報を変更することなく基板上に固定されたものである。よって、該タンパク質アレイを用いて、前記機能性スクリーニングにより特定されたスポットに対応するDNAマイクロアレイにおける微小反応槽内のDNAを回収し、その塩基配列を解析することにより、特定の機能を有するタンパク質等及び、該タンパク質等をコードするDNAを同定することができる。
【0056】
本実施形態の機能性タンパク質の同定方法によれば、1スポット当たり1種類の変異タンパク質が高い精度で固定された高密度化タンパク質アレイから所望の機能を有するタンパク質を迅速に同定することができるため、進化分子工学的用途に好適に用いられる。
【0057】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0058】
(1分子ビーズ内包エマルションPCR)
油/乳化剤混合物をABIL(登録商標)WE09(ゴールドシュミット社)36%、Tegosoft(登録商標)DEC(ゴールドシュミット社)DEC50%、ミネラルオイル14%の割合で調製し、4℃以下で、MicroTubeMixtureで攪拌しながら、直径約2.8μmのストレプトアビジン修飾磁気ビーズを含んだPCR溶液25μl(10×Ex TaqBuffer: 2.5μl,dNTPmix各2.0 mM:4.0μl,ストレプトアビジン修飾磁気ビーズ:6〜7×10particles/μl,ビオチン結合リバースプライマー0.01mM:2.0μl,FITC標識フォワードプライマー又はCy5標識フォワードプライマー100mM:2.0μl,鋳型cDNA[RFP(Red Fluorescent Protein)cDNA、又はGFP(Green Fluorescent Protein)cDNA]0.015nM: 4.64μl,HS TaqPolymerase (5U/μl): 0.3μl, Nucleotide free water : up to 25μl)を滴下した。攪拌を30 min以上続けることで、ストレプトアビジン修飾磁気ビーズを内包させたW/O(water−in−oil)エマルション粒子を形成できた。
また、エマルション粒子のヒストグラムは、ポアソン確率により計算したエマルション粒子のヒストグラムと非常によく一致した。
次いで、サーマルサイクラ装置で70cycleのPCRを行い、ビーズ上に鋳型cDNAを増幅させた。増幅したcDNAの確認は、蛍光顕微鏡を用いて行った。
結果を図1に示す。図1右図は、磁気ビーズを封入したエマルション粒子の蛍光顕微鏡像であり、図1左図は、対応する位相差顕微鏡像である。蛍光顕微鏡観察による結果から、エマルション粒子1個に2分子以上の鋳型cDNAを内包する確率が0.1 %であることが確認された。
【0059】
(電気泳動によるcDNA結合ビーズの選別)
図2にcDNAが結合したビーズと結合していないビーズの電気泳動度の測定値を示す。このようにcDNAの結合したビーズはcDNAが有する負電荷により、cDNAが結合していないビーズよりも電気泳動度の絶対値が大きく、そのヒストグラムは重なりが生じない程度に大きく異なる。この事実を利用して、上記1分子ビーズ内包エマルションPCRを行った磁気ビーズをフリーフロー電気泳動することにより、cDNA結合磁気ビーズを選別できた。
【0060】
(cDNA結合磁気ビーズの微小反応槽への導入)
上記により作製したCy5−GFPcDNA結合磁気ビーズとFITC−RFPcDNA結合磁気ビーズの懸濁液10μlを100×100個の微小反応槽(直径5μm、 深さ5μm)がアレイ状に並んだシリカガラス製の鋳型(30mm×30mm,t=0.5、鋳型の下部に磁石を配置)に滴下し、鋳型の下部の磁石を鋳型に対して平行方向に適宜移動させることで、cDNA磁気ビーズを微小反応槽に導入した。該cDNA結合磁気ビーズがマイクロウェルモールドの中に導入されているかどうか、蛍光顕微鏡を用いて観察した。結果を図3に示す。
【0061】
図3中、各々の微小反応槽がCy5由来の赤色、又はFITC由来の緑色を呈しており、混色(黄色)を呈していないことから、各微小反応槽に1つずつcDNA結合磁気ビーズが導入されていることが明らかである。このように、効率よく磁気ビーズがマイクロウェルモールド中に導入されていることが確認された。尚、10,000ウェル中、cDNAの封入率は98.3%だった。
【0062】
以上の結果から、本実施形態のDNAマイクロアレイの製造方法によれば、1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高精度に固定されたDNAマイクロアレイが得られる。従って、本実施形態のDNAマイクロアレイが進化分子工学的用途に好適に用いられることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程と、
(d)前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とするDNAマイクロアレイの製造方法。
【請求項2】
前記工程(a)において、前記DNAは変異DNAライブラリー由来のDNAである請求項1に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
【請求項3】
前記工程(b)において、前記固相結合部位はビオチンであり、前記ビーズはストレプトアビジン又はアビジンで修飾されたものである請求項1又は2に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
【請求項4】
前記ビーズは、磁気ビーズであり、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であり、前記工程(d)において、前記磁気ビーズ配置用基板の下部に磁石を配置し、前記磁気ビーズを前記微小反応槽に誘導する請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAマイクロアレイの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするDNAマイクロアレイ。
【請求項6】
(e)請求項5に記載のDNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とするタンパク質アレイの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のタンパク質アレイの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするタンパク質アレイ。
【請求項8】
請求項7に記載のタンパク質アレイを用いて、機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応する微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする機能性タンパク質の同定方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−70654(P2012−70654A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216955(P2010−216955)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人科学技術振興機構、CREST事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】