説明

DNAマーカーおよび量的形質データを採用する遺伝的予測値を生じさせる方法

遺伝的形質の予測値が、個別の分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することにより生じる。個別の分子推定値には、分子形質の推定値または分子形質の分散が含まれ得る。個別の分子推定値は、個別のデオキシリボ核酸(DNA)マーカー、DNAマーカーパネル、特異的パラメータの推定値およびその特異的パラメータの分散、ならびに試験標本の遺伝子型を適用することにより決定され得る。量的形質の測定値には、推定育種データ、生の形質データ、および品種構成のデータが含まれ得る。遺伝的予測値は、正確であり、かつ広範な条件下において安定であり、かつパラメータ推定における誤差に比較的影響されないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝的予測値を生じさせること、とりわけデオキシリボ核酸(DNA)マーカーおよび量的形質データを採用する遺伝的予測値を生じさせるための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この20年間、遺伝的改良は、血統および形質のデータを記録すること、ならびにこれらのデータを分析して表現型の遺伝性(遺伝的)成分についての最良線形不偏予測値(BLUP)を推定することにより、広範な植物種および動物種において達成されている。この方法には、多くの修飾および改良型が存在する。
【0003】
より最近では、分子マーカーを用いる遺伝的予測を改良するための方法の開発において多大なる努力が行われるようになっている。最初、この努力は、BLUP分析における固定効果または変量効果として適合マーカーまたは連鎖多型(量的形質遺伝子座、すなわちQTLとしばしば呼ばれる)を通常伴うマーカー利用選抜(MAS)に焦点を当てている。この分野における最近の開発は、多数のマーカーが同時に遺伝子型決定される(例えば6万個)、ゲノムワイドなMASまたはゲノム選抜である。反復的サンプリング法が、遺伝的能力のSNPの鍵となる予測値を生み出すために用いられる。
【0004】
これらのアプローチの鍵となる欠点は以下のものである。
【0005】
(1)量的測定値:BLUPを用いて遺伝値および育種価を推定するために、典型的には、動物は血統および形質の記録を有している必要があり、また、環境/群を越えて動物を確実に比較するためには、動物は互いに遺伝的に関連している必要がある。これは、集中的な記録が実用的であり異なる群および環境条件にある異なる動物を繋ぐ遺伝的関連(例えば共通の雄親)が存在する動物群に対する、遺伝的予測値の範囲を大きく制限する。ほとんどの量的推定値のさらなる欠点は、推定値は動物が多数の子孫を有する場合に初めて正確なものとなること、したがって、典型的には、高度に遺伝性の形質を除いて、若い動物においては低度から中度の精度であることである。多くのBLUP系の別の欠点は、それらが、同一の環境において飼育される品種および交配種を有する適切な表現型データ構造を欠いていることから、品種の比較にのみ備えるものであることである。品種の比較実験が存在し、いくつかは世界中の品種遺伝的評価系を越えたものであるが、環境の相互作用による遺伝子型にも関連する多くの問題が存在する。
【0006】
(2)MAS;理論的には実行可能であるが、MASは上記の(1)と同一の問題点の多くを共有しており、さらに、マーカー利用選抜(MAS)は実際に実践することが困難であることが証明されている。この理由の1つは、実際には、遺伝子型および/または表現型のデータが著しく欠損していることである。遺伝子型の推測などの方法により、いくつかの欠損した遺伝子型データを容認することが可能になり得る。MASは個別の大規模な良く管理された育種計画においては成功裏に用いられているが、パラメータ推定に関連する問題および遺伝子型データが非常にわずかであることは、牧場での畜産に対する遺伝的育種価サービスにおいてMASを実践することが非常に困難であることを意味している。
【0007】
(3)ゲノム選抜は、量的情報を伴うことなく適用され得るロバストな予測値を提供すると考えられるが、(1)ゲノム選抜に必要な非常に多数のマーカーが現在は高価であり、かつ(2)密度が非常に高い場合を除いて、生じたSNPの鍵が、同一の品種/個体群の動物にのみ関連する傾向がある。SNPの鍵となる予測値の力は、それらが異なる個体群に適用されると急速に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を考慮すると、広範な条件下において正確で安定であり、品種および品種混成物を越えて比較し得る遺伝的予測値を生じさせる方法が必要とされている。
【0009】
さらに、パラメータ推定における誤差に比較的影響されないこのような遺伝的予測値を生じさせる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、DNAマーカーおよび量的形質データに基づいた遺伝的予測値を生じさせる方法を提供することにより上述の要求に対処するものである。
【0011】
本発明において、遺伝的予測値は、メリットの分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することにより生じる。個別の分子推定値は、分子形質の推定値または分子形質の分散を含み得る。個別の分子推定値は、個別のデオキシリボ核酸(DNA)マーカー、DNAマーカーパネル、特異的パラメータの推定値およびその特異的パラメータの分散、ならびに試験標本の遺伝子型を適用することにより決定され得る。量的形質の測定値には、推定育種価、生の形質データ、および動物の祖先の知識から記録される品種構成のデータ、ならびに祖先の品種状態が含まれ得る。本発明の遺伝的予測値は情報に富んでおり、広範な条件下において有用であり、上記のゼロのパラメータ値についてのパラメータ推定における誤差に比較的影響されないものである。
【0012】
本発明の態様に従うと、
個別の分子推定値を生じさせること、および
前記個別の分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することであって、前記遺伝的予測値が前記量的形質の測定値により測定される形質に相関していること
を含む、動物種または植物種についての遺伝的形質の予測値を生じさせる方法が提供される。
【0013】
1つの態様において、個別の分子推定値は、遺伝的距離に伴う特異的形質に対するマーカー効果の減衰または変化を表す個別のDNAマーカーまたはDNAマーカーパネルについてのパラメータを導くための、異なる動物個体群からの参照データセットの分析により生じる。
【0014】
別の態様において、個別の分子推定値は、試験標本および参照データセットからのDNAマーカー情報を比較することによって試験標本と参照検証データセットとの間の遺伝的距離を計算することにより生じる。さらなる態様において、単純なケースでは、品種タイプ、または異種交配された動物における品種タイプのパーセンテージを、遺伝的距離の代わりに用いることができる。このケースにおいて動物の品種構成は、個別の分子推定値を生じさせるために比例的に用いられる同定された品種(1つまたは複数)に適している、分子データおよび個別のマーカー効果から計算することができる。あるいは、品種構成は、親の品種構成の知識を介して同定されていてもよい。
【0015】
別の態様において、本方法は、異なる品種および品種混合物からの動物の相対的な遺伝的メリットの推定を提供するために、より正確かつ単純に用いられる。このケースにおいて、動物の品種構成は、動物の遺伝子型と品種参照個体群とを比較することにより推定され、品種構成は、(1)動物の適切なベースラインパフォーマンス(例えば、異種交配種においては、形質についての、重み付けされた、品種の平均パフォーマンス)を導くために用いられ、かつ(2)適切な品種特異的混合パラメータは、上述のように計算される。
【0016】
個別の分子推定値は、試験標本と参照標本との間の遺伝的距離と、試験標本についてのそれぞれの個別のマーカー/マーカーパネルについての特異的パラメータの推定値および分散を導くための上記で計算されたパラメータとを用いることにより生じる。したがって、個別の/マーカーの/形質特異的パラメータおよび試験標本の遺伝子型が、あらゆる動物の遺伝的メリットを推定するために用いられ得る分子形質の推定値および分散を計算する混合アルゴリズムに適用される。1つの態様において、遺伝的メリットはフィードロットの脂肪交雑である。しかし、これは、分子予測値と形質に関連する表現型データを回収する潜在能力とが存在する、あらゆる形質の遺伝的メリットのあらゆる推定に適用され得る。これには、繁殖形質、例えば思春期の年齢、思春期の体重、受精率、多産性、出産間隔、人工授精に対する収益率、妊娠期間、分娩の困難性、胎児または新生児の生存率、育児能力、乳の形質、例えば量、タンパク質および脂肪のパーセンテージおよび組成、体細胞数、泌乳曲線形状、成長および枝肉構成の形質、例えば誕生時の体重、離乳時の体重、一歳時の体重、成体の体重、屠殺時の体重、枝肉体重、離乳前後の1日当たりの平均増体量、枝肉の筋肉および脂肪および骨の比率および枝肉内における位置または分布、疾病抵抗性および免疫の形質、例えば、内部および外部の寄生虫、細菌、ウイルス、またはプリオンによる疾病に対する応答、代謝の形質、例えば、毒性に対する抵抗性、飼料効率、炭素放出量、身体的形質、例えば奇形、足の構造、品種決定特性、色のパターン、角の存在、線維の形質、例えば、線維の生産量、線維の直径、線維の屈曲性、線維の強度、線維の色、線維の容量、行動の形質、例えば飛行距離、攻撃性、従順性、育児能力、肉質の形質、例えば柔らかさ、質の等級、色、色の安定性、筋肉の形状、切断形状、脂肪交雑、代謝産物または脂肪の質および含有量、生化学的または遺伝子発現の形質、例えば組織標本内におけるRNAまたは特異的な遺伝子産物の量が含まれる。
【0017】
さらに別の態様において、個別の分子推定値は、本明細書において提供される方程式を用いて、量的形質の測定値から導かれる遺伝値の推定値と混合される。
【0018】
さらに別の態様において、量的形質の測定値から導かれる遺伝値の推定値には、推定育種価、生の形質データ、または品種構成のデータ(視覚的、血統的、またはDNAマーカーの情報から導かれる)が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従った遺伝的予測値を生じさせるために採用されるステップを図示するフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述したように、本発明は、デオキシリボ核酸(DNA)マーカーおよび量的形質データを採用して遺伝的予測値を生じさせる方法に関するものであり、前記方法をこれから詳細に記載する。本明細書において用いられる場合、本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記」という冠詞は、その要素の1つまたは複数が存在することを意味することを意図したものである。
【0021】
定義。以下の定義は、当技術分野における通常の技術を有する量的または分子的遺伝学者または動物育種家が本発明をより容易にかつ完全に理解することを助けるために提供される。本明細書において提供される定義は、排他的なものであることを意図したものではなく、その代わり、当業者による本発明の理解を助けることを意図した、好ましい定義として提供される。「対立遺伝子」は、特異的な遺伝子の特定の型または変異体を意味する。「動物」は、限定はしないが牝牛、ヒツジ、ブタを含む獣畜、限定はしないが魚軟体動物および甲殻類を含む水産養殖種、ならびにイヌ、ネコ、およびウマなどの家畜などの、全ての動物を意味する。「混合インデックス」は、式(I)により表される、目的形質(I)についてのマーカースコアxと多形質BLUP推定育種価との組み合わせを意味する。
I≒I=γ・I+β・I
この式において、γおよびβは、混合補正係数である。「BLUP」は、最良線形不偏予測の頭字語を意味し、Hendersonにより紹介された統計的方法論を言い(1959−HENDERSON,C.R.、KEMPTHORNE,O.、SEARLE,S.R.、VON KROSIGK、Biometrics 1959 13 192〜218)、前記方法論は、個別の動物についての育種価を予測するための動物育種産業の標準となっている。当技術分野において知られているBLUPプログラムおよびアルゴリズムのための共通の入力パラメータには、遺伝的および表現型パラメータの推定値、表現型、血統、および固定効果が含まれる。「育種価」は、定義された形質または能力の特性についての、親としての動物の真の価値を意味する。これはまた、本発明と関連して、動物の正味の育種価の測定値としても理解される。「能力形質」は、飼育されている獣畜の望ましいおよび/または望ましくない特質を量的様式で定義し得る形質群を意味する。このような形質の例には、限定はしないが、1日当たりの平均増体量、1日当たりの平均飼料摂取量、飼料効率、背中の脂肪厚、腰の筋肉の領域、および赤身のパーセンテージが含まれる。「推定育種価」(EBV)は、動物の「育種価」を予測する、動物についての特異的な数値を意味する。「DNAマーカー」または「DNAマーカーパネル」は、限定はしないが、脂肪交雑、筋肉内脂肪、柔らかさ、乳産生などの動物の様々な形質に関連する遺伝的マーカーを意味する。マーカーは、実験室において測定され得る染色体上での特異的な位置を有するDNA配列である。本発明によって考慮されるマーカーには、限定はしないが、RFLP(制限断片長多型)、SSR(単純反復配列またはマイクロサテライトマーカー)、およびSNP(単一ヌクレオチド多型)が含まれる。「遺伝的距離」は、2つの個体群間の、進化による遺伝的距離に関連する測定値を意味し、理想的には、これは、2つの個体間の減数分裂数(または2つの個体群間の減数分裂の平均数)とそれらの最も近い共通の祖先とを正確に測定すべきである。「遺伝的メリット」は、次世代の遺伝的子孫における形質における能力レベルの向上に寄与するための育種用の親として選抜することを考慮された動物の価値を意味する。1つの実施形態において、所与の形質について動物の遺伝的メリットが大きいほど、その動物がその形質における向上したレベルの能力を有する子をもたらす可能性が高い。「固定効果」は、表現型に対する体系的効果の原因となる、季節的、空間的、地理的、または環境的影響を意味する。「集団」および「個体群」は、本発明を効果的に用いるために十分な数の動物を有する、あらゆる育種動物群を意味する。この用語は、あらゆる理由で必要とされる場合、遺伝的改良プログラムの一部として次世代の子孫を生じさせるために、育種動物を選択する前に1つまたは複数の形質を分析するための動物、例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、魚、または、限定はしないが家禽もしくはあらゆる他の種を含む、商用に飼育されるあらゆる他の動物に適用することができる。動物にはまた、例えばイヌ、ネコ、およびウマなどの家畜も含まれ得る。「遺伝子座」は、染色体上の特異的な位置(例えば、遺伝子またはDNAマーカーが位置する場所)を意味する。「多型」は、特異的なマーカーまたは遺伝子のDNA配列において存在する変動を意味する。「量的形質」は、それぞれが軽度から中度の効果を有する多数の遺伝子により制御される形質を意味する。量的形質の観察は、通常は正規分布に従う。「量的形質遺伝子座(QTL)」という用語は、量的形質に対する効果を有する多型(1つまたは複数)を含有する遺伝子座を意味する。「選抜インデックス」は、様々な経済的形質についてのEBVの重み付けされた合計を言う。
【0022】
図1を参照すると、本発明に従った遺伝的予測値を生じさせるために採用されるステップを図示するフローダイアグラムが示されている。
【0023】
ステップ10を参照すると、様々な動物個体群からのデータセットが、遺伝的距離に伴う特異的形質に対するマーカー効果の減衰または変化を表す個別のDNAマーカーまたはDNAマーカーパネルについてのパラメータを導くために分析される。
【0024】
ステップ20を参照すると、試験標本と参照検証データセットとの間の遺伝的距離が、試験標本および参照データセットからのDNAマーカーの情報を比較することにより計算される。場合により、品種タイプの構成を遺伝的距離の代わりとして用いてもよい。
【0025】
ステップ30を参照すると、それぞれの個別のDNAマーカーまたはマーカーパネルについての特異的パラメータの推定値および分散が、試験標本と参照標本との間の遺伝的距離[ステップ20]およびステップ10において計算されたパラメータを用いて計算される。
【0026】
ステップ40を参照すると、分子推定値が、個別の/マーカーの/形質特異的パラメータおよび試験標本の遺伝子型の適用により計算される。
【0027】
ステップ50を参照すると、少なくとも1つの遺伝値の推定値は、量的形質の測定値から導かれる。量的形質の測定値の非制限的な例には、推定育種価51、生の形質データ52、および育種構成データ53が含まれる。量的形質の測定値は、推定育種価51、生の形質データ52、および育種構成データ53の少なくとも1つであり得る。量的形質の測定値は、推定育種価51、生の形質データ52、および育種構成データ53の少なくとも2つの組み合わせであり得る。量的形質の測定値は、推定育種価51、生の形質データ52、および育種構成データ53であり得る。量的形質の測定値または測定には、フィールドでの観察、繁殖状態、または動物の行動、色、および形態により生じる生の形質データ、様々な時点での生物または生物の部分の重量または長さ、音(超音波)もしくは電磁気の放射(x線、近赤外線)でのスキャニングまたは直接的な測定により決定される、赤身、脂肪分布などの、身体組成の測定値、組織標本から得られる免疫または代謝または遺伝子発現の状態のアッセイ、せん断力などの機械的に得られる、脂肪組成などの化学的に得られる、または消費者の味覚のパネルによる、肉質の測定値が含まれる。
【実施例】
【0028】
A.選抜インデックスの理論
i.概要
本発明に従うと、利益に影響する単一の形質(以下、目的形質と言う)について1組の選抜候補の能力を比較するための標準的な選抜インデックスは、
I=b’x
と定義され、この式において、Iは選抜候補についてのインデックス値であり、bは、選抜候補および/またはその血縁者についての記録された情報(x)のi個の異なる源に当てはまる、インデックスの1組の最適な重み付けである。選抜インデックスが単一の目的形質についてのメリットを予測するために用いられるこの状況において、それぞれの候補についてのIの値は、利益形質についての推定育種価(EBV)であると解釈され得る。Iと目的形質についてのいくつかの未知の真の遺伝値との間の相関を最大にし、かつインデックス値に対する真の遺伝値について1という回帰ももたらす、インデックスの最適な重み付けは、
b=P−1
で算出され、
この式において、Pは記録された情報源についての表現型の分散共分散行列であり、gは、それぞれの記録された情報源と目的形質との間の遺伝的共分散をもたらすベクターである。
【0029】
記録された情報源の1つが遺伝的マーカースコアである場合、以下のように、記録された表現型形質(下付き文字r)についての選抜インデックスの重み付けと遺伝的マーカースコア(下付き文字m)に置かれる重み付けとの間を区別するために、P行列およびgベクターを分割することができる。
【0030】
【数1】

この式において、pは、遺伝子型決定の誤差が多く見られない限りマーカースコアの遺伝率が1に近いと予想されるためにマーカースコアの遺伝的分散に非常に類似していると予想される、マーカースコアの表現型分散を示す。
【0031】
代替的なインデックスの公式化は、マーカー情報および記録された形質情報を独立して用いて、所望の目的形質を予測することである。この様式において、選抜インデックスの重み付けは、
【0032】
【数2】

と定義することができる。
【0033】
この公式化において、インデックス
【0034】
【数3】

は、推定手順が表現型のみを使用し、かつマーカー情報がない場合に、目的形質の多形質BLUP推定育種価に対応する。
【0035】
新たな、かつ驚くべきことにさらにロバストな、かつ正確なインデックスを公式化することができ、これは続いて「混合型インデックス」と呼ばれ、マーカースコアxおよび目的形質(I)についての多形質BLUP推定育種価を組み合わせる。しかし、Iと独立型のマーカーインデックス値
【0036】
【数4】

とを単純に加えることは適切ではなく、それは、マーカースコアと目的形質についての多形質BLUP推定育種価との両方により説明され得る、目的形質における変動を2回数えることの根拠が存在しないためである。その代わり、混合型インデックス(I)は
I≒I=γ・I+β・I
と定義される必要があり、この式において、γおよびβは、混合補正係数である。目的形質についての真の育種価との高い相関を有するIをもたらすγおよびβの値、ならびに1というIに対する目的形質についての真の育種価の予想される回帰は、
【0037】
【数5】

と計算され得、この式において、fは、重み付けされた、
【0038】
【数6】

およびbからの対応する要素対の比率の平均を用いる関数であり、ここで、用いられる重み付けは、それぞれの記録された形質と目的形質との間の相関の強さに依存する。
【0039】
ii.単一の記録された形質
他の記録された形質よりも目的形質と非常に高い相関を有する、ただ1つの記録された予測値形質(r)が存在する状況では、
【0040】
【数7】

という単純なケースとなり、この式において、br1.gは、記録された形質に対する目的形質の遺伝的回帰である。
【0041】
単一の記録された形質が、目的形質のBLUP推定育種価を予想するための最初の情報源である場合、βの算出は、反復測定値を有する選抜候補に対してのみ測定される、記録された形質に対応する実在しない変数を定義することにより、さらに単純化され得る。
【0042】
この実在しない変数の表現型分散は、目的形質(I)についての多形質BLUP推定育種価の精度の関数として定義され得る。このケースにおいて、
【0043】
【数8】

である。
【0044】
iii.記録された形質は目的形質に等しい
記録された形質が目的形質と等しい(すなわち、1という遺伝的相関および等しい分散)特別なケースにおいて、上記の方法は、Neimann−SorensenおよびRobertson(1961)により最初に提案された方法に類似している。The association between blood groups and several production characteristics in three Danish cattle breeds.Acta Agriculturae Scandinavica Vol.11(163−196)。
【0045】
B.単一の記録された形質についてのパラメータ化
この節においては、上述の理論的アプローチが特別なケースの状況についてパラメータ化され、それにより、関心のある目的形質が遺伝的マーカースコアと単一の記録された形質についての推定育種価との両方により、すなわち混合型インデックスにより予測される。
【0046】
i.混合補正係数の誘導
記録された形質(a)が定義され、この形質は、あらゆる個体について、推定育種価
【0047】
【数9】

を有し、この推定育種価は、aと、同一の記録された形質についての動物の真の育種価との間の相関が
【0048】
【数10】

であるように評価されている(選抜の精度)。動物はまた、直接的な経済的利益を有する、Aにより示される形質についての、真の育種価も有する。Aおよびaの表現型分散ならびにそれらの表現型共分散は、それぞれσA、σa、およびσAaと示される。遺伝的分散および共分散は、hA・σA、ha・σa、およびrGA,a・√hA・ha・σAaと示され、この式において、hは形質の遺伝率を示し、rGは遺伝的相関を示す。さらに、Mは、1という遺伝率を有しrGA,M・σAに等しい分散を有するマーカースコアとされ、前記式において、rGA,Mは、マーカースコアと直接的な経済的利益を有する形質との間の遺伝的相関であり、rGA,Mは、マーカーにより説明され得る、形質Aにおける遺伝的分散の割合を与える。この定義で、あらゆる選抜候補についてのマーカースコアが、例えば
【0049】
【数11】

を用いて算出され、この式において、βは、i番目の選抜候補についてのm個のマーカー遺伝子型θimに関連する形質Aに対する回帰係数の不偏推定値であり、αは、形質Aの分散に対するMの分散の比率を大きくする、βの推定値におけるサンプリング誤差の原因となる、スケーリング定数(1未満)である(例えば、Smith、1967 Improvement of metric traits through specific genetic loci.Animal Production 9:349−358)。記録された形質についての遺伝的および表現型共分散、ならびにマーカースコアを有する経済的利益形質は、それぞれσMa、σMA、rGM,a・√hM・ha・σMa、およびrGA,M・σAと示される。
【0050】
選抜インデックスの式は、表現型の標準偏差により割ることによって形質が標準化されていると仮定することにより、単純化することができる。本発明により考慮される混合補正係数を算出すると(γおよびβ)、形質の分散はインデックスの重み付けの比率の算出において効果的に打ち消され、したがって、標準化された変数の分散および共分散を用いることは都合が良い。したがって、σaおよびσAは1という値を取り、上述の変数の定義から外れる。
【0051】
節A(上記)において定義される方程式に適用されるこのパラメータ化を用いて、スカラー代数形式において表される
【0052】
【数12】

を解くことができ、これは
【0053】
【数13】

によるものであり、その結果、
【0054】
【数14】

が得られ、この式において、
【0055】
【数15】

であり、accRecordedは、目的形質の推定育種価についての予測値として作用する記録された形質の推定育種価のBLUP予測の精度である。マーカーおよび表現型の情報源が独立して考慮される場合、インデックスの重み付けは、
【0056】
【数16】

である。
【0057】
このケースでは、
【0058】
【数17】

であり、かつ、したがって目的形質についての混合型推定育種価は、
【0059】
【数18】

であり、この式において、
【0060】
【数19】

であり、この式は、記録された形質に対する目的形質の遺伝的回帰を示すものである。EBVMarkerは、目的形質の真の育種価の遺伝的予測値として表される必要がある。EBVRecordedは、精度accRecordedで推定された、相関する記録された形質の推定育種価であり、混合補正係数はaccRecordedの関数であるため、γおよびβは、accRecordedがマーカー情報を有する全ての選抜候補で一定である場合を除いて、それぞれの選抜候補について特異的に算出される必要がある。
【0061】
ii.混合型育種価の精度
単一の記録された形質の状況についてのEBVBlendedの精度は、
【0062】
【数20】

として算出され得る。
【0063】
iii.パラメータにおける誤差に対する感度
選抜インデックスを公式化するために用いられるパラメータにおける誤差は、効率の顕著な低減が生じる前に非常に大きな誤差を通常生じさせるが、推定育種価の予測の精度に影響すること、選抜の効率に影響すること、および選抜の利益の過剰予測の原因となることが良く知られている(Sales,J.およびHill,W.G.1976a.Effects of sampling error on efficiency of selection indexes.1.Use of information from relatives for single trait improvement.Animal Production 22:1〜17)、Sales,J.およびHill,W.G.1976b.Effects of sampling error on efficiency of selection indexes.2.Use of information on associated traits for improvement of a single important trait.Animal Production 23:1〜14)。感度は、特異的なパラメータセットに基づいて、表現型からの推定育種価およびマーカー情報からの推定育種価に従って、目的形質についての真の育種価をシミュレートすることにより試験され得る。混合方法の精度は、シミュレーションにおいて用いられるものと同一のパラメータを用いて正確にパラメータ化される場合、不正確なパラメータを用いて導かれた混合補正係数を用いた予測値と比較され得る。
【0064】
感度の試験は、混合アプローチがマーカースコアとEBV形質との間の遺伝的相関の推定値に対して非常にロバストであることを明らかにした。これは、この相関がマーカー混合係数およびEBV混合係数の両方に対して比較的等しく作用するためである。このアプローチは、+/−50%というマーカー予測の精度における誤差に対してもロバストである(<2%のロス)。通常、マーカー効果の推定値と関連するパラメータにおける誤差の効果は、記録された形質と利益形質との遺伝的相関の推定に関連する誤差に匹敵する。
【0065】
C.フィードロットの脂肪交雑マーカーについての実行例
本発明の方法がいかにして実行され得るかの例が、フィードロットの脂肪交雑形質に関連している4つのマーカー(M1〜M4)からなるセットについてここで提供される。従来の育種プログラムにおいて、フィードロットの脂肪交雑についての遺伝的メリットは、筋肉内脂肪のパーセンテージ(IMF%)についての推定育種価を用いて予測される。筋肉内脂肪についてのEBVの不利益は、それらが、販売するか、育種集団内における優良雄親として維持するかについて評価されている若い雄の選抜候補に対して記録される傾向があるということである。関連する遺伝的パラメータの文献上の推定値は、若い雄牛において記録されるIMF%の育種価が、フィードロットの脂肪交雑能についての若い雄牛の遺伝的メリットの正確なランキングを構成的に提供し得ないことを示唆している。
【0066】
i.遺伝子型に対するGenestar脂肪交雑効果の推定
本発明者らは最初に、脂肪交雑情報およびGenestar脂肪交雑結果を有する6つのオーストラリアデータセットを受け取り、さらに、個別の脂肪交雑効果の推定値ならびにそれらの標準誤差および確率が、US検証データセットについて利用可能であった。オーストラリアデータセットの4つが、表現型および遺伝子型を有する動物が非常に少ないか、または枝肉脂肪交雑スコアにおける広がりが少ないという理由から除去された。例えば、これらの4つの除去されたデータセットにおいて、2つの最も頻繁な脂肪交雑スコアのカテゴリーは、全動物の92%、87%、84%、および76%を占め、最少の動物は3番目に頻繁なカテゴリーの外側であった。逆に、2つの維持されたデータセットにおいて、最も頻繁なカテゴリーは動物の30%未満を有し、7つの脂肪交雑スコアカテゴリーの範囲が存在し、そのそれぞれのカテゴリーは、全動物の最低でも5%を有する範囲内であった。
【0067】
維持された2つのオーストラリアデータセットを次に、予想されるマーカー効果を算出するために用い、USデータセットもまた、他のものよりも顕著な効果を有する脂肪交雑Genestarマーカーの1つまたは複数の有意義な証拠が存在するか否かを調べるために用いた。
【0068】
それぞれのデータセットにおいて、優性の統計的に有意な推定値は存在せず、したがって、対立遺伝子はその後、4つの遺伝子座のそれぞれで付加的であると仮定されている。対立遺伝子効果およびそれらの標準誤差は最小二乗法−一般線形モデル(SASにおけるPROC GLM)手順を用いて推定され、前記手順において、それぞれの遺伝子座の好ましい対立遺伝子の数は、従属変数として脂肪交雑スコアを有する共変量(独立変数)として同時に適合した。USデータセットからの同等なマーカー推定値は、ウェブサイト源から直接得られた。
【0069】
偽遺伝率を、対立遺伝子当たりのそれぞれの遺伝子座効果について算出した。これらの遺伝率は、
(マーカー効果)=[推定値−(推定値の標準誤差)]/推定値
として、2つのオーストラリアデータセットについて算出した。
【0070】
スケールを標準化するために、マーカー効果を次に変換して、データセット内の最大のマーカー効果に対する比例的なサイズとして表した。重み付けされた平均標準化マーカー効果を次に、重み付け因子として遺伝率を用いて、3つのデータセットにわたり算出した。そして、データセットが特定のマーカーについて低い推定遺伝率を有する場合、そのデータセットは、そのマーカーについて高い遺伝率を有するデータセットほどには全体の推定値に対して寄与しない。得られた平均標準化対立遺伝子効果は、0.58、0.79、0.84、および0.71であり、したがって、3つのデータセットにわたり、異なるマーカー遺伝子座についての異なる対立遺伝子効果を予測するための証拠は不十分であると結論付けられた。2つのオーストラリアデータセットについて、平均の好ましい対立遺伝子効果推定値はおよそ0.5であり、平均標準化効果は0.74であった。したがって、0.37が、オーストラリア枝肉脂肪交雑スコアに対する好ましいGenestarマーケティング対立遺伝子の平均効果として採用された。
【0071】
【表1−1】

【0072】
【表1−2】

【0073】
USデータセットは、Colorado State University、Cornell University、およびUniversity of Georgiaにより後援されているNational Beef Cattle Evaluation Consortium(NBCEC)から直接入手することが可能である。遺伝的試験の検証のウェブページおよび市販遺伝的試験の検証に関連して、
【0074】
ii.Genestar脂肪交雑スタースコアとIMF%の育種価とを混合するために用いられるパラメータ
上記に概説された混合式を構築するために必要なパラメータセットを作成する際に、以下の仮定が行われた。コメントに対する本発明者らの応答に注意されたい。
関連するBreedplan EBVを定義する形質であるIMF%と市販されているフィードロットのオーストラリア脂肪交雑スコア(AusMS)との間の遺伝的相関は1であり、言い換えると、それらは同一の形質であり、その結果、IMF%が完全に予測された場合、AusMSは完全に予測される。Breedplan IMF% BVが比較的若い動物の測定に基づくとしても、それらは、屠殺時の年齢の同等物に変換される。それでも、AusMSは、同一の年齢であっても、IMF%に対して十分異なる形質であり得る。したがって、1という相関が情報量に関して保存的であると仮定すると、マーカースコアは、IMF% BVと比べて、混合に対して寄与する。
平均では、それぞれのスターは、市販のための屠殺時の脂肪交雑についての動物の真の遺伝的メリットに対して0.37のAusMS単位を加える(AusMS)。これは、上記に記載された分析に基づくものであった。
Genestar脂肪交雑スタースコアとAusMSとの間の遺伝的相関は0.4であり、言い換えると、Genestar脂肪交雑マーカーは、0.4=0.16という、市販の牛におけるAusMSの遺伝的分散を説明する。これは、上記に記載された分析に基づくものであった。
直前に記載した仮定と一致するための、Genestar脂肪交雑スタースコアとIMF%(Breedplan EBV形質の通り)との間の0.4という遺伝的相関。言い換えると、マーカーは、Breedplan EBV形質を予測する時に、AusMSを予測する時と等しく良好であると考えられる。
IMF%(BV形質)の遺伝率は、文献(Angus bulls)Reverter,A、およびJohnston,D.J.(2001).Geentic analyses of live animal ultrasound and abattoir carcase traits in Angus and Hereford cattle.Proceedings of the Association for the Advancement of Animal Breeding and genetics Vol 14 pp 159〜162に基づいて、0.2に等しい。
AusMSの遺伝率は、文献Barwick,S.A.およびHenzell,A.L.(1999).Assessing the value of improved marbling in beef breeding objectives and selection.Australian Journal of Agricultural Research 50:503〜512に基づいて、0.4に等しい。
IMF%の表現型の標準偏差は、文献Kahi,A.K.、Barwick,S.A.およびGraser,H−U(2003).Economic evaluation of Hereford cattle breeding schemes incorporating direct and indirect measures of feed intake.Australian Journal of Agricultural research 2003 54:1039〜1055に基づいて、1に等しい。
AusMSの表現型の標準偏差は、文献Barwick,S.A.およびHenzell,A.L.(1999).Assessing the value of improved marbling in beef breeding objectives and selection.Australian Journal of Agricultural Research 50:503〜512に基づいて、0.9に等しい。
【0075】
iii.標本雄牛についての混合型育種価の例となる予測
以下の表は、3頭の雄牛についての混合型育種価のいくつかの例となる予測を示す。IMF% BVおよびGenstar脂肪交雑スターの格付けを有する130頭の雄牛からなる群について、IMF% BVと混合型BVとの間の相関は0.76であり、一方、Geneスタースコアと混合型BVとの間の相関は0.68であった。
【0076】
【表2】

【0077】
本発明は具体的な実施形態に関して記載されてきたが、先の記載を考慮すると、多くの代替案、修飾、および変形が当業者に明らかとなることは明白である。したがって、本発明は、本発明の範囲および趣旨ならびに以下の特許請求の範囲内に含まれる全てのこのような代替案、修飾、および変形を包含することを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝的形質の予測値を生じさせる方法であって、
個別の分子推定値を生じさせること、および
前記個別の分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することであって、前記遺伝的形質の予測値が前記量的形質の測定値により測定される形質に相関していること
を含む方法。
【請求項2】
前記量的形質の測定値が推定育種価を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記量的形質の測定値が、フィールドでの観察、繁殖状態、または動物の行動、色、および形態により生じる生の形質データ、様々な時点での生物または生物の部分の重量または長さ、音(超音波)もしくは電磁気の放射でのスキャニングまたは直接的な測定により決定される、赤身、脂肪分布などの、身体組成の測定値、組織標本から得られる免疫または代謝または遺伝子発現の状態のアッセイ、せん断力などの機械的に得られる、脂肪組成などの化学的に得られる、または消費者の味覚のパネルによる、肉質の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記量的形質の測定値が品種構成のデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記量的形質の測定値が、推定育種価、生の形質データ、および品種構成のデータの少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記個別の分子推定値が、動物または植物の個体群からの参照データセットの分析により生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分析が、遺伝的距離に伴う特異的形質に対するマーカー効果の減衰または変化を表す個別のデオキシリボ核酸(DNA)マーカーまたはDNAマーカーパネルについての導かれたパラメータを生じさせる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記個別の分子推定値が品種タイプの決定により生じる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記個別の分子推定値が、試験標本と前記参照データセットとの間の遺伝的距離の決定により生じる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記試験標本についての前記個別のDNAマーカーおよび前記DNAマーカーパネルのそれぞれについての特異的パラメータの推定値および特異的パラメータの分散を導くことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特異的パラメータの推定値の前記誘導が、前記試験標本と前記参照データセットとの間の遺伝的距離を採用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記特異的パラメータの推定値の前記誘導が、前記個別のDNAマーカーまたは前記DNAマーカーパネルについての前記パラメータを採用する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記特異的パラメータの推定値の前記誘導が、前記試験標本と前記参照データセットとの間の遺伝的距離ならびに前記個別のDNAマーカーまたは前記DNAマーカーパネルについての前記パラメータを採用する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの前記遺伝値の前記推定値を決定することをさらに含む、請求項13に記載の方法であって、少なくとも1つの前記遺伝値の前記推定値が、分子形質の推定値の少なくとも1つおよび分子形質の分散を含む方法。
【請求項15】
前記分子形質の推定値が、前記個別のDNAマーカー、前記特異的パラメータの推定値、および前記試験標本の遺伝子型の少なくとも1つを適用することにより決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記分子形質の分散が、前記個別のDNAマーカー、前記特異的パラメータの推定値、および前記試験標本の遺伝子型の少なくとも1つを適用することにより決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記分子形質の推定値が、前記個別のDNAマーカー、前記特異的パラメータの推定値、および前記試験標本の遺伝子型を適用することにより決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記量的形質の測定値が、推定育種価、生の形質データ、および品種構成のデータの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記量的形質の測定値が、前記推定育種価、前記生の形質データ、および前記品種構成のデータの少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記量的形質の測定値が、前記推定育種価、前記生の形質データ、および前記品種構成のデータを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記品種構成のデータが、視覚的情報、血統情報、またはDNAマーカーの情報から導かれる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
遺伝的形質の予測値を生じさせる方法であって、
個別の分子推定値を生じさせること、および
前記個別の分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することであって、前記個別の分子推定値が、動物または植物の個体群からの参照データセットの分析により生じ、かつ、前記分析が、遺伝的距離に伴う特異的形質に対するマーカー効果の減衰または変化を表す個別のデオキシリボ核酸(DNA)マーカーまたはDNAマーカーパネルについての導かれたパラメータを生じさせ、前記個別の分子推定値が、品種タイプの決定により生じ、かつ前記個別の分子推定値が、試験標本と前記参照データセットとの間の遺伝的距離の相関により生じること
を含む方法。
【請求項23】
遺伝的形質の予測値を生じさせる方法であって、
個別の分子推定値を生じさせること、および
前記個別の分子推定値と、量的形質の測定値から導かれる少なくとも1つの遺伝値の推定値とを混合することであって、前記個別の分子推定値が、動物または植物の個体群からの参照データセットの分析により生じ、かつ、前記分析が、遺伝的距離に伴う特異的形質に対するマーカー効果の減衰または変化を表す個別のデオキシリボ核酸(DNA)マーカーまたはDNAマーカーパネルについての導かれたパラメータを生じさせ、前記個別の分子推定値が、品種タイプの決定により生じ、かつ前記個別の分子推定値が、試験標本と前記参照データセットとの間の品種タイプの相関により生じること
を含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520198(P2011−520198A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508501(P2011−508501)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/002807
【国際公開番号】WO2009/137057
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】