説明

DNAメチル基転移酵素阻害剤

【課題】細菌アデニンDNAメチル基転移酵素の阻害剤である、広域抗生物質を提供する。
【解決手段】ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル、ジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル、ジフェニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル、ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸8−エタノールアミンエステル、ジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸8−エタノールアミンエステル、N4−(2−(ジフェニルボリルオキシ)エチル)ピリミジン−4,6−ジアミン、またはN−(2−(ジフェニルボリルオキシ)エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボキサミジンである化合物を包含する、医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、抗生物質および特に抗細菌化合物の分野に関する。本発明は特に、細菌細胞の増殖に必須であるものを含む、多種多様の様々な細菌病原体の成分である、DNA修飾酵素、特にアデニンDNAメチル基転移酵素に標的化した抗生物質に関する。本発明は特に、シトシンメチル基転移酵素に対してほとんどまたは全く阻害作用を示さず、従って、真核細胞、特に哺乳動物細胞に対する抗生作用の少ない、前記アデニンDNAメチル基転移酵素の阻害剤を提供する。本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤を調製および使用する方法およびその医薬組成物も提供する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
1つの顕著な現代医学の特徴は、細菌感染関連の罹患率および死亡率の減少である。20世紀初期および中期における様々な抗生薬物の開発は、医者に、初めて、様々な感染症に効果的な治療を提供した。
【0003】
しかし、慣用的な抗生物質の誤用および感染性細菌個体群の自然淘汰により、大半の細菌性感染因子の、大半の抗生物質に対する、様々な程度の薬物耐性が生じた。MRSA(ultidrug−esistant−taph、多剤耐性Staphylococcus aureus)などの重度の症例では、1つまたはほんの数個の抗生物質が現在有効である。さらに、免疫不全症候群が存在すれば、徹底した抗生物質による治療を必要とする日和見感染がさらに発症する。
【0004】
従って、当分野では、現在利用可能な治療法に耐性である細菌感染を治療するための、新しく、より効果的な抗生物質化合物がますます必要である。
【0005】
大半の細菌は、そのゲノムDNAを、特定のヌクレオチド塩基のメチル化により修飾する。DNAメチル化は、遺伝子調節および変異損傷の修復に重要である(Jost&Soluz、1993、DNAメチル化、分子生物学および生物学的意義(DNA METHYLATION, MOLECULAR BIOLOGY AND BIOLOGICAL SIGNIFICANCE)、Birhauser Verlag:Basel,スイス;Palmer&Marinus,1994、Gene 143:1〜12;Dryden,1999、「細菌DNAメチル基転移酵素(Bacterial DNA Methyltransferases)」、S−アデノシルメチオニン依存性メチル基転移酵素:構造および機能(S- ADENOSYLMETHIONINE-DEPENDENT METHYLTRANSFERASES: STRUCTURES ANDFUNCTIONS)、X.ChengおよびR.M.Blumenthal(編)、World Scientific Publishing,283〜340ページの総説参照)。DNAメチル化は、様々な配列特異性を有する1クラスの酵素により触媒される。例えば、GATC配列中のアデニン残基(dam)或いはCCAGGまたはCCTGG配列中のシトシン残基(dcm)をメチル化する、DNAメチル基転移酵素があるが、これらの残基は同族制限酵素の認識部位に含まれない。同族制限酵素の認識部位に含まれる残基をメチル化するDNAメチル基転移酵素がある(例えば、ApaI、AvaII、BclI、ClaI、DpnII、EcoRI、HaeIII、HhaI、MboI、およびMspI;Marinus&Morris、1973、J.Bacteriol.114:1143〜1150;May&Hatman、1975、J.Bacteriol.123:768〜770;Heitman,1993、Genet.Eng.15:57〜108参照)。さらに、本発明者は、国際特許出願公報WO98/12206に開示したような、配列GANTC中のアデニン残基をメチル化する、Caulobacter cresentus由来のアデニンDNAメチル基転移酵素を発見した。このメチル基転移酵素は、細胞周期により調節されており、成功裡の細菌細胞増殖に必須であり;この酵素を阻害すると細菌は生存不可能となる。類似のメチル基転移酵素が、Brucella abortus、Helicobacter pylori、Agrobacterium tumefaciensおよびRhizobium melilotiでも発見されている。細菌細胞とは対照的に、真核細胞、特に哺乳動物細胞でのDNAメチル化は、配列CpGを含む部位におけるシトシンメチル化に限定される(Razin&Riggs、1980、Science 210:604〜610;Jost&Bruhat、1997、Prog.Nucleic Acid Res.Molec.Biol.57:217〜248)。
【0006】
従って、ある細菌種において本発明者により発見された、DNAメチル化の存在、特に、細胞周期により調節されるアデニンDNAメチル基転移酵素は、抗生活性に新しい標的が当分野で必要であることを伝える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要約)
本発明は、細菌細胞のアデニンDNAメチル基転移酵素を阻害できる抗生物質化合物を提供する。本発明の抗生化合物は、アデニン特異的細菌DNAメチル基転移酵素を特異的に阻害し、細菌または真核細胞、特に哺乳動物および最も特定するとヒトのシトシン特異的DNAメチル基転移酵素は阻害しない。本発明の化合物はまた、植物のアデニン特異的DNAメチル基転移酵素も阻害する。抗生化合物はまた、免疫学無防備状態または健康衰弱状態の動物、最も好ましくはヒトにおける、細菌病因を有する疾病または細菌による日和見感染を治療するために、動物、最も好ましくはヒトに投与できる医薬組成物として提供される。
【0008】
本発明はまた、抗生化合物およびその医薬組成物の調製法、および、前記抗生物質を治療に使用する方法を提供する。本発明の抗生化合物および医薬組成物のキットおよびパッケージングされた実施形態も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の特に好ましい実施形態は、以下のある好ましい実施形態の以下のより詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、細菌性アデニンDNAメチル基転移酵素の阻害剤である、抗生物質、特に抗細菌化合物を提供する。本発明の化合物は、アデニンDNAメチル基転移酵素を産生する、任意の細菌種に対して、抗細菌性の増殖阻害特性を示す。これらは、当分野で理解されるような細菌制限/修飾系の成分であるアデニンDNAメチル基転移酵素、並びに、参考として取り込んだ国際特許出願公報WO98/12206に開示したような、細胞周期により調節されるアデニンDNAメチル基転移酵素(CcrM)を含む。従って、アデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤は、特に、本発明により提供される。
【0011】
本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤は、新しいクラスの広域抗生物質を含む。大半の細菌種は、外来(最も典型的にはウイルス)DNAに対する防御を与えつつ、細胞DNAの完全性は保存する、典型的には制限酵素に関連した、修飾装置の一部である、DNAメチル基転移酵素を有する。さらに、ある細菌は、細菌細胞の増殖に必須であるアデニンDNAメチル基転移酵素を産生する。本発明の阻害剤の抗細菌活性に適切な標的を提供する、医学的に重要な細菌種は、Staphylococcus(ブドウ球菌)属種およびStreptococcus(連鎖球菌)属種などの球菌を含むグラム陽性細菌;Bacillus属種、Corynebacterium属種、およびClostridium属種を含む桿菌;Actinomyces属種およびStreptomyces属種を含む糸球菌;Neisseria属種などの球菌を含むグラム陰性細菌;Pseudomonas属種、Brucella属種、Agrobacterium属種、Bordetella属種、Escherichia属種、Shigella属種、Yersinia属種、Salmonella属種、Klebsiella属種、Enterobacter属種、Hemophilus属種、Pasteurella属種、およびStreptobacillus属種などの桿菌;スピロヘータ種、Campylobacter属種、Vibrio属種;およびRickettsia属種およびChlamydia属種を含む細胞内細菌を含む。
【0012】
本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤の標的である具体的な細菌種は、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌);Staphylococcus saprophyticus;(化膿連鎖球菌);Streptococcus agalactiae;(肺炎連鎖球菌);Bacillus anthracis(炭疽菌);Corynebacterium diphtheria(ジフテリア菌);Clostridium perfringens(ウェルシュ菌);Clostridium botulinum(ボツリヌス菌);Clostridium tetani(破傷風菌);Neisseria gonorrhoeae(淋菌);Neisseria meningitidis(髄膜炎菌);Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌);Legionella pneumophila(レジオネラ菌);Escherichia coli(大腸菌);Yersinia pestis(ペスト菌);Hemophilus influenzae;Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ菌);Campylobacter fetus;Vibrio cholerae(コレラ菌);Vibrio parahemolyticus(腸炎ビブリオ);Trepomena pallidum;Actinomyces israelii;Rickettsia prowazekii(発疹チフスリケッチア);Rickettsia rickettsii(ロッキー山紅斑熱リケッチア);Chlamydia trachomatis(トラコーマ・クラミジア);Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア);Brucella abortus(ウシ流産菌)およびAgrobacterium tumefaciensを含む。
【0013】
本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤の重要な特性は、シトシン特異的DNAメチル基転移酵素を有するこれらの物質の活性レベルが低いことである。これは、シトシン特異的DNAメチル基転移酵素は、哺乳類、最も特定するとヒト細胞に存在するからであり、哺乳類メチル基転移酵素に対してほとんどまたは全く阻害活性を示さないことは、本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素の有利な特性である。この特性は、本発明により提供された分子に、細菌細胞に特異的であり、哺乳動物細胞、最も好ましくはヒト細胞に対して抗生活性をほとんど示さないという有利な特性を付与する。好ましくは、シトシン特異的DNAメチル基転移酵素に対するこれらの化合物のIC50は、500μM以上である。
【0014】
本発明により提供される阻害化合物は、式Iにより示される:
【化1】

【0015】
ここで、R、R、およびRは、同じまたは異なり、独立的に、水素、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシであり、ここでの各シクロアルキル基は3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリールにより置換されており、そして
は、リボース、デオキシリボース、または、ホスホロチオエート、ホスホルアミジトおよび当分野で公知の類似の誘導体を含む、そのリン酸化誘導体であり得、
ただし、R、RおよびRは、全てが水素というわけではなく、そして
は、リボース、デオキシリボースまたはそのリン酸化誘導体であり、RまたはRは両方共水素というわけではない。好ましい実施形態において、RはHであり、Rは(2−ジフェニルボリン酸エステル)エチルまたはジフェニルプロピルであり、Rは、H、2−(4−モルホリニル)−エチル、3−(N−フタロイル)−アミノプロピル、2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル、またはエチル−2−(アクリレート)−メチルである。追加の好ましい実施形態において、RはHであり、Rは(S−ホモシステイニル)メチルであり、Rはリボース、5’ホスホリルリボース、デオキシリボースまたは5’ホスホリルデオキシリボースである。他の好ましい実施形態において、RはHであり、RおよびRは共に、2−(ジフェニルメチル)シクロペンチルまたは2−(ジフェニルヒドロキシメチル)シクロペンチルである。さらなる好ましい実施形態において、RはHであり、Rはアラニルブチルエステル、2−カルボキシイミド−2−アミノエチル、2−アミノエチルまたは一または二置換2−アミノエチルであり、Rは2−(4−モルホリニル)−エチルである。
【0016】
本発明はまた、式IIの化合物を提供する:
【化2】

【0017】
ここで、結合1および2は、二重または単結合であり得、ArおよびArは、同じまたは異なり得、各々独立的に、アリールまたはヘテロアリール、或いは、1つまたは複数の位置で、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシにより置換されたアリールまたはアリールであり、ここでの各シクロアルキル基は、3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、硫黄、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリール、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、アルデヒド、カルボン酸、アミド、エステル、または硫酸により置換されており、そして、R、RおよびRは、同じまたは異なり、独立的に、水素、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシ、またはアリールまたはヘテロアリール、或いは1つまたは複数の位置で、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシで置換されたアリールまたはヘテロアリールであり、ここでの各シクロアルキル基は、3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、硫黄、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリール、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、アルデヒド、カルボン酸、アミド、エステル、または硫酸により置換されているか、またはR、RおよびRは、芳香族、脂肪族、ヘテロ芳香族、ヘテロ脂肪族環構造またはその置換実施形態により接続し得る。
【0018】
本発明はまた、プリン誘導体のコンビナトリアル化学ライブラリーを提供する。1つの好ましい実施形態において、6−クロロプリンは、プリン環のC6位のアミン化によりアデニン誘導体に変換され;これらのライブラリーは、本明細書で「N6ライブラリー」と称する。他の好ましい実施形態において、非置換アデニンまたは6−クロロプリンは、プリン環のN9位で誘導体化され;これらのライブラリーは、本明細書で「N9ライブラリー」と称する。またさらなる実施形態において、C6およびN9位の両方が誘導体化され、C6位は、アミンまたは置換アミノ基によりアミン化され;これらのライブラリーは本明細書で「N6/N9ライブラリー」と称する。
【0019】
N6またはN9ライブラリーの調製において、出発プリン環構造は、個々の「ポット」または反応混合物中で、複数のアミンまたは置換アミン(N6ライブラリーでは)またはハロゲン化物(N9ライブラリーでは)の各々と反応させる。従って、これらのライブラリーは、出発物質の間の別々の反応生成物の集合として提供される。N6/N9ライブラリーでは、最も好ましくはN9位を、最初に誘導体化し、次いで、C6位を反応させる。これらのライブラリーでは、反応は、典型的には、単一のハロゲン化物(N9位で均一に置換される)および複数のアミン(好ましくは2〜5つのアミン、最も好ましくは3つの異なるアミン)を使用して実施し、これにより化合物の混合物を提供する。さらに、位置異性体(N1、N3およびN7異性体を含む)も、本発明の方法に従って製造できる。典型的には、ハロゲン化物と異なるアミンの間の反応についてモニタリングするために、プリン出発物質を欠いた反応混合物も提供される。
【0020】
本発明はまた、図1に示した、アデニンDNAメチル基転移酵素酵素の推定活性部位の解明に基づいて、いわゆる「合理的な設計」のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤を提供する。図で図解的に示したように、酵素は、DNA鎖中のアデニン残基に対する結合部位、および、S−アデノシルメチオニン結合部位を有し、示したようにドナーメチル基を提供する。いわゆる「合理的設計」の阻害剤は、図2に示したような、酵素の結合部位における分子の立体配置を模倣する。これらの化合物は、一般に、メチレン橋を介してホモシステイン部分に共有結合した、5’リン酸基を有するまたは有さない、アデノシン残基を含む。
【0021】
本発明はまた、ボリン酸の誘導体、好ましくはジフェニルまたは置換ジフェニルボリン酸、最も好ましくはそのジフェニルまたは置換ジフェニルボリン酸アルキルアミンエステルである、アデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジフェニルボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸エタノールアミンエステル、およびジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸エタノールアミンエステルを含む化合物を提供する。
【0022】
本発明はまた、固相化学反応を使用して、最も好ましくはプリン環のC6またはN9位の置換について本明細書で提供したような残基(例えばアミンまたはハロゲン化物)を含むレジンを使用して合成したアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤を提供する。好ましい実施形態において、固相合成が完了すればレジンから化合物を遊離するために特異的に切断できる共有結合を使用して置換基がレジンに共有結合的に連結している、これらのレジンが提供される。好ましくは、置換基は、レジンと接触するプリンに近づくことのできる、アミンまたはハロゲン化物などの活性化基と共に、レジン上に提示される。反応後、プリンを、置換基を介してレジンに連結し、次いで、反応生成物を後処理し、当分野で公知の方法を使用してレジンから除去できる。例として、Bunin、1998、コンビナトリアルインデックス(THE COMBINATORIAL INDEX)、Academic Pressを参照のこと。
【0023】
ある状況では、本発明の化合物は、1つまたはそれ以上の不斉炭素原子を含み得、よって、化合物は、様々な立体異性体形で存在できる。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性形であり得る。これらの状況では、単一エナンチオマー、すなわち光学活性形は、不斉合成により、またはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用したクロマトグラフィーなどの慣用的な方法により達成できる。
【0024】
有利には、上記したようなレジンを使用した固相化学反応は、置換基が、抗細菌活性に関連を有するキラリティーまたは立体特異性を示すかどうかを決定するのに有用であり得る。これらの実施形態において、化合物を、アミノ酸などの光学活性種のラセミ混合物を使用してスクリーニングするために調製する。得られた化合物がアデニンDNAメチル基転移酵素阻害活性を有するということが判明した場合に、光学的に純粋な各立体異性体の調製物を使用して、対応するアデニンDNAメチル基転移酵素阻害化合物の光学的に純粋な異性体を調製して、異性体間に生物活性の差異があるかどうかを決定できる。このアプローチは、ラセミ混合物をその立体異性体成分に分離するので、代替法よりも有利である。
【0025】
推定アデニンDNAメチル基転移酵素をどのように本発明に従って調製したかに関係なく、化合物を、アデニンおよびシトシン特異的DNAメチル基転移酵素活性について解析する。感受性細菌(アデニンDNAメチル基転移酵素を発現することが知られる)を、阻害化合物の存在下および非存在下で増殖し、化合物の存在下での増殖阻害度を、化合物の非存在下での増殖に比較して決定する。作用(すなわちアデニンDNAメチル基転移酵素阻害)機序は、国際特許出願公報WO98/12206に従って、ヘミメチル化DNA、トリチル化S−アデノシルメチオニン(C)および精製アデニンDNAメチル基転移酵素を使用して、フィルター結合放射アッセイにより、各増殖阻害化合物について確認する。
【0026】
本発明の化合物は溶液中で互変異性体として存在できる。構造および名称が一方の互変異性体形について記載される場合には、他方の互変異性体形も本発明に含まれる。
【0027】
本発明の代表的な化合物は、本明細書に開示した化合物およびその医薬的に許容される酸および塩基付加塩を含むがこれに限定されない。さらに、本発明の化合物が、酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性とすることにより得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に医薬的に許容される付加塩は、酸付加塩を塩基性化合物から調製する慣用的な手順に従って、遊離塩基を、適切な有機溶媒に溶かし、溶液を酸で処理することにより製造し得る。
【0028】
本発明はまた、本発明の化合物のアシル化プロドラッグを包含する。当業者は、本発明の化合物の無毒性で医薬的に許容される付加塩およびアシル化プロドラッグの調製に使用し得る様々な合成法を認識するだろう。
【0029】
本発明の「アルキル」、「低級アルキル」および「C−Cアルキル」により、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシルおよび3−メチルペンチルを意味する。
【0030】
本発明の「アルコキシ」、「低級アルコキシ」および「C−Cアルコキシ」により、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシを意味する。
【0031】
本発明の「ハロゲン」なる語により、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を意味する。
【0032】
本発明の「シクロアルキル」、例えばC−Cシクロアルキルにより、3〜7個の原子を有するシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを意味する。C−Cシクロアルキル基では、好ましくはC−Cシクロアルキル基では、環を形成している炭素原子の1つまたは2つを、所望により、硫黄、酸素または窒素などのヘテロ原子と交換できる。かかる基の例は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、アザペルヒドロエピニル、オキサザペルヒドロエピニル、オキセパニル、オキサザペルヒドロイニル、およびオキサジアザペルヒドロイニルである。窒素または酸素と交換したメンバーを有するCおよびCシクロアルキル基は、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニルおよびオキシラニルを含む。
【0033】
「アリール」により、単環(例えばフェニル)、複環(例えばビフェニル)または複数の縮合環(少なくとも1つが芳香族であり(例えば1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)、これは所望により、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、低級アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、およびヒドロキシにより一、二または三置換されている)を有する、芳香族炭素環基を意味する。好ましいアリール基は、各々が所望により本明細書で定義したように置換されているフェニルおよびナフチルを含む。
【0034】
「ヘテロアリール」により、窒素、酸素または硫黄から選択された少なくとも1つで4つまでのヘテロ原子を含む5、6、または7員環の1つまたはそれ以上の芳香族環系を意味する。かかるヘテロアリール基は、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル(オキサゾリル)、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナフチリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルを含む。好ましいヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくはピリミジン−2−イル、およびピリジルである。他の好ましいヘテロアリール基は、1−イミダゾリル、2−チエニル、1−または2−キノリニル、1−または2−イソキノリニル、1−または2−テトラヒドロイソキノリニル、2−または3−フラニルおよび2−テトラヒドロフラニルを含む。
【0035】
本発明の細菌増殖阻害性のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害化合物は、コンビナトリアルライブラリー、固相合成、「合理的」薬物設計、または本明細書に記載したような慣用的な合成から提供される。
【0036】
コンビナトリアルライブラリーの作成
コンビナトリアルライブラリーは、当業者により理解される方法に従って調製する。単一置換ライブラリー(N6およびN9)では、個々の置換基を、別々の反応混合物で使用して、本明細書に記載の各プリン誘導体を製造する。一方、組合せライブラリー(本明細書のN6/N9)では、1つの位置(典型的にはN9)を、典型的には、特定の置換基と反応させ、次いで、置換基の混合物(最も好ましくは3つ)を使用して、他の反応位置を誘導体化する(典型的にはC6)。
【0037】
反応は、試験に十分な生成物を経済的に製造するのに適合する規模で実施する。好ましくは、反応は、例えば、各ウェルが十分に少量の容量(100〜500μL)を有し、必要な試薬の量を最小限とする、96ウェルプレートを使用して、平行して実施する。また、この種類の反応容器の使用により、前記プロセスの自動型式を含む、平行した取扱いおよび解析が容易になる。
【0038】
a.N6ライブラリー
N6位で置換されたアデニン類似体を合成するために以下の条件を開発した。1つの反応スキームにおいて、6−クロロプリンを、85℃で、一晩、一級または二級アミンと、n−ブタノール中トリエチルアミン中で反応させる。別法として、これらの試薬を、85℃で一晩、ジメチルホルムアミド中炭酸カリウム中で反応させる。この合成を反応スキーム1に記載する。
【0039】
反応スキーム1
【化3】

【0040】
ここで、R’’およびR’’’は、以下に示した化合物により例示されるような、低級アルキル、ヘテロ原子置換低級アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは置換アリールまたはヘテロアリールである。任意の一級または二級アミンをこの反応で使用できる。これらの反応で使用する好ましい一級または二級アミンの実施形態は、以下の通りである:
ヒスタミン二塩酸塩
ノルフェニレフリン塩酸塩
1,2−ジアミノプロパン
5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチル−アミン
3−イソプロポキシプロピルアミン
ジフェニルボリン酸、エタノールアミンエステル
2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール
テトラヒドロフルフリルアミン
5−メチルトリプタミン塩酸塩
3,3−ジフェニルプロピルアミン
1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノン
2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン
2−(アミノメチル)ベンゾイミダゾール二塩酸塩水和物
2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩
L−カルノシン
(R)−(−)−1−アミノ−2−プロパノール
2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミン
4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン
2,5−ジクロロアミルアミン塩酸塩
(+/−)−4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸
N,N−ジメチルエチレンジアミン
3,3−ジメチルブチルアミン
1,4−ジアミノ−2−ブタノン二塩酸塩
アミノメチル安息香酸
アミノヒドロキシメチルプロパンジオール
2−(アミノエチル)ピリジン
アミノブタノール
アダマンタミン
アミノヘキサン酸
N−ベンジルエタノールアミン
エチル−6−アミノブチレート塩酸塩
エチレンジアミン
2−シクロへクス−1−エニルエチルアミン
【0041】
これらのアミンのいくつかは、異なる位置異性体を生成し、すなわち、ある化合物では、アミンを、アミンを含むどの反応部分がC6に共有結合しているかに応じて、異なる配向で6−クロロプリンのC6位に加えることができる。しかし、これらの位置異性体の生成は有害ではない。なぜなら、それは単にライブラリー中の候補化合物の数を増加するからである。
【0042】
b.N9ライブラリー
N9ライブラリーは、以下の反応スキームに従って調製した。反応スキーム2の経路Aは、全ての有機ハロゲン化物(RivXまたはRX)を用いても生成物は生じなかったが;別の経路Bは、試験した一連の有機ハロゲン化物により生成物を形成することが判明した。各々の代替法において、有機ハロゲン化物を、プリン(アデニンまたは6−クロロプリン)と、45℃で一晩、ジメチルホルムアミド中炭酸カリウム中で反応させた。しかし、経路Bでは、N9誘導体化6−クロロプリンを、最初の反応生成物と水酸化アンモニウムの85℃で一晩の反応により、N−誘導体化アデニンに変換した。両方の反応は、同じ反応混合物中で連続的に実施した。
【0043】
反応スキーム2
【化4】

【0044】
ivは、以下に示した化合物により例示されるような、低級アルキル、ヘテロ原子置換低級アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは置換アリールまたはへテロアリールである。
【0045】
経路Bの生成物を、HPLCにより分析し、N−9およびN−7置換アデニン類似体の混合物であることが判明し;また、ある反応混合物中にはN−1およびN−3置換類似体も存在し得る。上記で議論したように、これらの副生成物の利点は、その存在が、単に、ライブラリー中の候補分子の数を増加させることである。
【0046】
任意の有機ハロゲン化物をこの反応に使用できる。これらの反応に使用する好ましい有機ハロゲン化物の実施形態は、以下の通りである:
4−ヨード酪酸メチル
1−ブロモ−3−フェニルプロパン
臭化シンナミル
2−クロロエチルホスホン酸
2−(2−クロロアセトアミド)−4−チアゾール−酢酸エチル
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩
臭化(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウム
4−クロロフェニル2−ブロモエチルエーテル
N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド
2−クロロエチルイソシアネート
2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアセタミド
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
2−ブロモ−2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトアニリド
3−(2−ブロモエチル)インドール
5−クロロ−2−ペンタノンエチレンケタール
2−クロロエチルエチルスルフィド
3−クロロ−N−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピオンアミド
L−1−p−トシルアミノ−2−フェニルエチルクロロメチルケトン
2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン
2−(ブロモメチル)アクリル酸エチル
2−(2−(2−クロロエチオキシ)エトキシ)エタノール
(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン
クロラムフェニコール
4−(クロロメチル)安息香酸
ブロモエチルアミン塩酸塩
エピブロモヒドリン
ヨードペンタン
臭化ベンジル
【0047】
c.N6/N9組合せライブラリー
N6およびN9ライブラリーについて上記に示した反応スキームを開発したので、C6アミノおよびN9位の両方に置換基を有する組合せライブラリーを、反応スキーム2の経路Bの変形を使用して調製した。
【化5】

【0048】
反応スキーム3
【0049】
6−クロロプリンを、ジメチルホルムアミド中炭酸カリウム溶液中、45℃で一晩、上記したような有機ハロゲン化物と反応させた。その後、一級または二級アミンを、反応混合物に加え(スキームは一級アミンを示すが、一級または二級アミンが、反応スキーム3では有用である)、化合物(7)を85℃で一晩の反応により調製する。この変形で、反応において、一級または二級アミンを、反応スキーム2の経路Bに示した水酸化アンモニウムと置換する。
【0050】
任意の有機ハロゲン化物を、この反応の第一段階で使用できる。これらの反応に使用する好ましい有機ハロゲン化物の実施形態は、以下の通りである:
4−ヨード酪酸メチル
1−ブロモ−3−フェニルプロパン
臭化シンナミル
2−クロロエチルホスホン酸
2−(2−クロロアセトアミド)−4−チアゾール−酢酸エチル
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩
臭化(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウム
4−クロロフェニル2−ブロモエチルエーテル
N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド
2−クロロエチルイソシアネート
2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアセタミド
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
2−ブロモ−2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトアニリド
3−(2−ブロモエチル)インドール
5−クロロ−2−ペンタノンエチレンケタール
2−クロロエチルエチルスルフィド
3−クロロ−N−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピオンアミド
L−1−p−トシルアミノ−2−フェニルエチルクロロメチルケトン
2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン
2−(ブロモメチル)アクリル酸エチル
2−(2−(2−クロロエチオキシ)エトキシ)エタノール
(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン
クロラムフェニコール
4−(クロロメチル)安息香酸
ブロモエチルアミン塩酸塩
エピブロモヒドリン
ヨードペンタン
臭化ベンジル
【0051】
任意の一級または二級アミンを、この反応の第二段階に使用できる。これらの反応に使用する一級または二級アミンの好ましい実施形態は、以下の通りである:
ヒスタミン二塩酸塩
ノルフェニレフリン塩酸塩
1,2−ジアミノプロパン
5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチル−アミン
3−イソプロポキシプロピルアミン
ジフェニルボリン酸、エタノールアミンエステル
2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール
テトラヒドロフルフリルアミン
5−メチルトリプタミン塩酸塩
3,3−ジフェニルプロピルアミン
1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノン
2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン
2−(アミノメチル)ベンズイミダゾール二塩酸塩水和物
2,2,2−トリフルオロエチルアミン、塩酸塩
L−カルノシン
(R)−(−)−1−アミノ−2−プロパノール
2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミン
4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン
2,5−ジクロロアミルアミン塩酸塩
(+/−)−4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸
N,N−ジメチルエチレンジアミン
3,3−ジメチルブチルアミン
1,4−ジアミノ−2−ブタノン二塩酸塩
アミノメチル安息香酸
アミノヒドロキシメチルプロパンジオール
2−(アミノエチル)ピリジン
アミノブタノール
アダマンタミン
アミノヘキサン酸
N−ベンジルエタノールアミン
6−アミノ酪酸エチル塩酸塩
エチレンジアミン
2−シクロヘクス−1−エニルエチルアミン
【0052】
この化学反応は、任意のアミンと組み合わせた任意のハロゲン化物を用いて反復し、この種類のアデニン類似体を与えることができる。
【0053】
反応スキーム1および2のように、異なる位置異性体が、あるN6アミンを用いて製造され、置換プリンが、有機ハロゲン化物との反応により、N1、N3およびN7位で、並びに、N9位で製造される。
【0054】
妥当な時間で完全なコンビナトリアルライブラリーを得るために、化学反応を、96ウェルプレート上で、一度に80ウェルを使用して(1〜10縦列、A〜H横列)実施した。単一のハロゲン化物を、各横列の反応混合物に加え、反応スキーム3で示した反応の最初の部分を、一晩上記のように実施した。次いで、3つの異なるアミンのセットを、縦列1〜7の各々の各ウェルに加え;唯1つのアミン、特に、反応混合物中の任意の追加のアミンと反応する傾向のある種を含む、縦列8、9および10のウェルを調製する。反応の第二部分を一晩実施した。結果として、大半のウェルが、化合物の混合物を含み、各ウェルは、N9位に特定の置換基およびC6に3つの異なる置換アミノ基の1つを有する、1セットのプリン誘導体を含む。ある反応混合物は、各アミノ基と、N9誘導体化6−クロロプリンとの反応性に応じて、C6置換基の1、2または3つ全部が欠失していることが認識されるだろう。さらに、反応混合物は、これらの生成物の異なる位置異性体を含む。最後に、6−クロロプリンと反応することなくハロゲン化物と直接反応するアミンの組合せ間の反応も可能である。各反応混合物中のこれらの生成物の化合物は、抗細菌活性、特にアデニンDNAメチル基転移酵素阻害活性について混合物として試験した。陽性結果を示す混合物を分離して、結果に関与する化合物を同定した。
【0055】
コンビナトリアルライブラリーのスクリーニング
上記のように調製した各ライブラリー由来の反応生成物を、インビボおよびインビトロのスクリーニング法の両方を使用してスクリーニングした。
【0056】
インビボスクリーニング法は、細胞増殖に必須なアデニンDNAメチル基転移酵素を発現する細菌細胞の増殖阻害についてのアッセイを含んだ。有利には、これらのスクリーニング法は、1種類以上の細菌を使用して、広域スペクトルの抗生活性を有するリード候補を同定する。ある実施形態において、推定阻害剤を、最初に、グラム陽性およびグラム陰性細菌のサンプルに対してスクリーニングし;カルロバクタークレセンタス(Caulobacter cresentu)および枯草菌は有利な例である。インビボのアデニンDNAメチル基転移酵素活性の検出にさらに有利な細菌種は、ヘリコバクターピロリ、Agrobacterium tumefaciens、ウシ流産菌および炭疽菌を含む。
【0057】
これらのアッセイで、カウロバクター(Caulobacter)などの細菌培養物を、ペプトン酵母抽出物(PYE)培地(DIFCO)などの適切な細菌培養培地中で飽和するまで一晩増殖させた。この培養物の一定分量を、約0.05の600nm(OD600)での光学密度を有する濃度まで希釈した。アッセイは、簡便には、96ウェルマイクロプレートで、特にかかるプレート中で調製したライブラリーを使用して実施する。これらのマイクロプレートを使用して、等量(100〜500μL)の希釈細菌培養液を、マイクロタイタープレートの96ウェル中の88つに入れ;残りの8つのウェルは、陰性(細菌を含まず)対照として使用した。ウェルの8つを陽性(試験化合物を添加せず)対照として使用した。ライブラリーをスクリーニングするために、1ウェルあたり、146μLの細菌一定分量を、4μLのコンビナトリアルライブラリーサンプルを添加して使用できる。
【0058】
ライブラリー化合物の様々な混合物を、1プレートあたり、残りの80個のウェルの各々に加え、細胞を24時間37℃で増殖した。細菌細胞増殖は、マイクロプレートリーダーを使用して間隔をもってモニタリングして、細胞増殖をモニタリングした;細胞増殖は、OD630の測定によりモニタリングできる。対照ウェルよりゆっくりと増殖している細胞を含むウェルを使用して、対応するコンビナトリアルライブラリー反応混合物を同定し、次いでこれを個々に合成および試験して、阻害化合物の実体を決定した。
【0059】
これらの方法を使用して、推定濃度<100μMで細菌細胞増殖を阻害した候補化合物を同定した。これらのライブラリーから同定した候補化合物は、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(2−(4−モルホリニル)−エチル)−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(3−(N−フタロイル)−アミノプロピル)−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)−アデニン、および6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(エチル−2−アクリレート)−メチル−アデニンを含む。
【0060】
インビトロアッセイを、本発明のコンビナトリアルライブラリー由来の反応混合物に、または、上記のインビボスクリーニングアッセイから同定した候補化合物に対して直接実施した。これらのアッセイは、Caulobacter cresentusまたはBrucella abortus(ウシ流産菌)由来の精製CcrMメチル基転移酵素を使用した、または、市販で入手できる細菌damメチラーゼおよびdcmメチラーゼの調製物を使用した、2種類である。これらのアッセイでは、合成ヘミメチル化45/50DNA基質(Berdisら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:2874〜2879に開示)を、推定阻害剤を含むコンビナトリアルライブラリーサンプルおよびメチル基転移酵素と共に30℃でインキュベートし、メチル基転移酵素反応を、H標識S−アデノシルメチオニンの添加により開始した(ここでの放射性同位体標識は、移行メチル基を含む)。阻害は、対照に取り込まれた放射標識の量を比較することにより検出され、ここでの反応は、コンビナトリアルライブラリーサンプルの存在下および非存在下で実施し;阻害剤は、DE81フィルター上に集めたメチル化H標識DNAの量および液体シンチレーションにより定量される放射活性の減少を引き起こした。
【0061】
このアッセイを使用して、約500μMの推定濃度でインビトロでのDNAメチル化を完全に阻害する、N6ライブラリー由来の4つの追加の化合物を検出した。これらの化合物(以下に示した構造を有する)は、アデニン環のC6アミノ基に共有結合的に連結した、ジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルまたは3,3−ジフェニルイソプロピル基を有するリボース形のアデノシンであった。
【化6】

【0062】
N−6アデニンライブラリー由来の上記に示した構造の合成からの1つの反応混合物をさらに解析し、<50μMで細胞増殖を阻害することが判明した。約1μMのKiが、構造:
【化7】

【0063】
を有する、この化合物について測定された(ウェル中の理論的最大濃度を仮定して)。
【0064】
N−9アデニンライブラリーから選択した反応混合物を、このアッセイを使用して、アデニンDNAメチル基転移酵素活性の阻害について試験した。3−エチルインドールまたは2−エチル−1,3−ジオキソラン(以下に示した構造を有する)で置換したN9を有する合成で得られた化合物は、500μMでアデニンDNAメチル基転移酵素活性の阻害剤であることが判明した:
【化8】

【0065】
dcmメチル基転移酵素を使用したインビトロアッセイは、市販で入手できるヘモフィルス ヘモリティカス由来のメチル基転移酵素(New England Biolabs、Beverly,マサチューセッツ州)およびpUC18DNAを基質として使用して、実質的に記載の通りに実施し;このアッセイはまた、例えば、アルツバクター・ルータス(Arthtobacter luteus)、バシラス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens H)、ヘモフィラス・イジプチウス(Hemophilus aegyptius)、ヘモフィラス・パラインフルエンザ(Hemophilus parainfluenza)、またはモラクセラ(Moraxella)属種由来の他の市販で入手できるdcmメチル基転移酵素を用いて実施できる。これらのアッセイで、アデニン特異性が、dcmメチル基転移酵素の阻害がほとんどまたは全く検出されないことにより実証され、よって、DE81フィルター上に集めたメチル化H−標識DNAの量および液体シンチレーションにより定量される放射活性は、コンビナトリアルライブラリー混合物または推定アデニン特異的阻害剤の存在下または非存在下で同じである。
【0066】
別法として、例えば大腸菌由来のdamメチラーゼを使用したアッセイを実施し、ここでの阻害は、DE81フィルター上に集めたメチル化H−標識DNAの量および液体シンチレーションにより定量される放射活性の減少により実証される。
【0067】
「合理的設計」のアデニンDNAメチラーゼ阻害剤の合成
a.活性部位類似体
アデニンDNAメチル基転移酵素の「合理的設計」は、酵素の活性部位は、図2に示したような、修飾するアデニン部分に対して特異的な結合部位、並びに、S−アデノシルメチオニンメチルドナーを含む。メチル基転移酵素の活性部位内にフィットする化合物が好ましく、推定「遷移状態」(ここでは酵素のメチル転移活性が生じる)を模倣する分子が特に好ましい。4つのこのような遷移状態類似体を調製し、アデニンDNAメチル基転移酵素活性についてインビトロでアッセイした。
【0068】
合理的設計の化合物は以下の構造:
【化9】

【0069】
を有し、以下に示した反応スキーム6を使用して合成した。
【0070】
反応スキーム6
【化10】

【0071】
これらの化合物は、上記のように、アデニンDNAメチル基転移酵素活性についてアッセイした。これらの化合物は、表1に示したKで、CcrMを阻害することが判明した。化合物2および4のKは、3については0〜150μMの、化合物4については0〜80μMの阻害剤濃度で測定したデータのディクソンプロットから計算した。1および2のKは、IC50から推定した。
【表1】

【0072】
アデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤の固相合成
本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤も、有利には、当分野で公知の固相合成法を使用して合成する。Bunin同上を参照。
【0073】
好ましい実施形態において、固相合成は、スクリーニング用のより多くのライブラリー化合物が近づけるようにすることにより、本明細書に記載したようなコンビナトリアルライブラリー合成を補完する。この合成法は、取扱いがより簡単で、精製がより簡単であるという利点を有する。なぜなら、それらは、特異的に切断できる化学的に不安定な基によりレジンに付着しているからである。
【0074】
例えば、化合物(8)は、比較的低い(mM範囲)阻害活性を有するN6ライブラリーから同定した:
【化11】

【0075】
これらの結果を使用して、第二世代のライブラリーを、固相化学反応を使用して開発し、阻害剤(8)およびその関連類似体(9)を修飾した。例えば、化合物(8)は、末端アミンから、およびN−9位から誘導体化して、S−アデノシルメチオニン(SAM)およびDNA結合部位とそれぞれ相互作用するように設計された阻害剤を製造できる。かかる誘導体は、メチル基転移酵素活性部位のいずれかの部分に標的化するように調製できる:N9位の修飾は、アデニン結合部位に特異的であるが、C6アミンの修飾は、SAM部位に特異的である。
【0076】
固相化学反応は、反応スキーム4により示した反応スキームを使用して実施した:
【化12】

【0077】
反応スキーム4
【0078】
これらの実験は、市販で入手できるメトキシフェニルホルミルレジンを使用して、保護ジアミン(11)による還元的アミン化を実施し、ここでのRは、水素またはCOP’’(ここでのP’およびP’’は保護基である)である。この反応により、二級アミン(12)が得られる。6−クロロプリンの添加により、レジンに結合したアデニン付加物(13)が得られ、残りの官能基をレジン上で誘導体化できるようになる。付加物を、濃縮形またはジクロロメタン中5%溶液のトリフルオロ酢酸による処理などの、当分野で認識されている方法に従ってレジンから除去できる。
【0079】
反応スキーム4は、アミノ置換基がキラル中心(すなわちそれは立体異性体対として存在する)を含む実施形態を示す。しかし、これらの立体異性体の僅か1つが、生物活性を有し得る。本発明の化合物のジアステレオマー形を分離しなければならないことを回避するために、以下の反応スキーム5を使用できる:
反応スキーム5
【化13】

【0080】
この合成を使用して、キラル中心のラセミ混合物(アスパラギン酸(16)に存在するような)を含む化合物中のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害活性の検出に使用でき;この合成は、市販の純粋なD−またはL−アスパラギン酸を用いて反復し、一方の立体異性体が、他方よりも有意に高い活性を有するような光学的に純粋な形態を得ることができる。反応スキーム5に示したように、D,L−アスパラギン酸(16)を、クロロギ酸ベンジルで処理し、N−カルボキシベンジル保護アスパラギン酸(17)を得た。次いで、α−カルボン酸を、パラホルムアルデヒドを使用してオキサゾリジノン(18)として保護した。クルティウス転位を、ジフェニルホスホリルアジドを使用して残りのβ−カルボン酸上で実施して、イソシナネート(19)を得た。これらの反応は、当分野で認識された合成法を含み;この点より先の化学反応は新規である。イソシアネート(19)は、トリメチルシリルエタノール(20)を使用して捕獲し、Teoc(トリメチルシリルエトキシカルボニル)保護アミン(21)を得た。オキサゾリジノンを、ナトリウムメトキシドを使用して開環し、メチルエステル(22)を得た。次いで、Teoc保護基を、トリフルオロ酢酸を使用して除去し、モノ保護ジアミン(23)を得た。
【0081】
化合物(23)および(11)(ここでR=H、P’=CBz)を使用して、R=COMe、P’=CBzを有するレジン結合アデニン類似体(13)およびR=H、P’=CBzの(13)を合成した。
【0082】
本発明の化合物の使用
本発明はまた、医薬組成物としての本明細書に開示した化合物の実施形態を提供する。本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスの手段により製造できる。
【0083】
従って、本発明に従って使用する医薬組成物は、医薬的に使用できる調製物への活性化合物の加工を容易にする、賦形剤および補助剤を含む、1つまたはそれ以上の生理学的に許容される担体を使用して、慣用的な方法で製剤化できる。適切な製剤は、選択した投与経路に依存する。
【0084】
無毒性の医薬塩は、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸、例えば酢酸、HOOC−(CH−CH(ここでのnは0〜4である)等の酸の塩を含む。無毒性医薬塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム等の塩基の塩を含む。当業者は、多種多様な無毒性の医薬的に許容される付加塩を認識する。
【0085】
注射用の本発明の化合物は、適切な水溶液、例えば生理学的に適合性の緩衝液、例えばハンク液、リンガー液、または生理食塩緩衝液中で製剤化できる。経粘膜および経皮投与用の、透過する障壁に適切な透過剤が製剤中に使用される。かかる透過剤は、一般に当分野で公知である。
【0086】
経口投与するために、化合物は、活性化合物を、当分野で公知の医薬的に許容される担体と配合することにより容易に製剤化できる。かかる担体により、本発明の化合物は、治療する患者への経口摂取用の、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤等として製剤化できる。経口使用する医薬調製物は、固体賦形剤を用いて、所望により得られた混合物を摩砕し、そして、所望であれば適切な補助剤を加えた後に、顆粒混合物を加工し、錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、メイズデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギニン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加できる。
【0087】
糖衣錠コアに、適切なコーティングを施し得る。この目的のために、濃縮糖溶液を使用でき、これは所望によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な溶媒または溶媒混合物を含むことができる。染料または色素を、識別のために、または、活性化合物投与量の異なる組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加できる。
【0088】
経口使用できる医薬調製物は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル剤、並びに、ゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールからなる軟封カプセル剤を含む。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および所望により安定化剤と混合した、有効成分を含むことができる。軟カプセル剤では、活性化合物を、適切な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁できる。さらに、安定化剤も添加できる。経口投与用の全ての製剤は、かかる投与に適した投与量であるべきである。頬側投与のために、組成物は、慣用的な方法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形をとることができる。
【0089】
吸入による投与のために、本発明に従って使用する化合物は、簡便には、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレー提示形で送達される。加圧エアゾールの場合、投与量単位は、バルブを施し、一定量を送達することにより決定できる。化合物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤を含む、吸入器または通気器に使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化できる。
【0090】
化合物は、注射、例えばボーラス注入または連続点滴による非経口投与用に製剤化できる。注射用製剤は、単位投与形で、例えばアンプルまたは複数回投与容器に、保存剤を加えて提示できる。組成物は、油または水性溶媒中の、懸濁液、溶液またはエマルションのような形をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの製剤化剤を含むことができる。
【0091】
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製できる。適切な親油性溶媒または媒体は、ゴマ油などの脂肪油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加する物質を含むことができる。所望により、懸濁液はまた、適切な安定化剤または高濃度の溶液の調製が可能となるように化合物の溶解度を増加する物質を含むことができる。または、活性成分は、使用前に、適切な媒体、例えば無菌で発熱性物質を含まない水で構成するための、粉末形でもよい。化合物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの慣用的な坐剤基剤を含む、坐剤または保持浣腸などの直腸組成物に製剤化できる。
【0092】
前記した製剤に加えて、化合物はまた、デポー調製物として製剤化できる。かかる長時間作用する製剤は、インプラント(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与できる。従って、例えば、化合物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば許容可能な油中エマルションとして)またはイオン交換レジンを用いて、またはやや融けにくい誘導体として、例えばやや融けにくい塩として製剤化できる。
【0093】
本発明の疎水性化合物用の医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む共溶媒系である。共溶媒系は、VPD共溶媒系であり得る。VPDは、無水エタノール中で容量を調整した、3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性ポリソルベート80、および65%w/vポリエチレングリコール300の溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中5%デキストロースで1:1に希釈したVPDからなる。この共溶媒系は、疎水性化合物を十分に溶解し、それ自体、全身投与時に低い毒性をもたらす。天然には、共溶媒系の比率は、その溶解度および毒性特徴を破壊することなく、かなり変化し得る。さらに、共溶媒成分の実体も変化し得る:例えば、他の低毒性の非極性界面活性剤を、ポリソルベート80の代わりに使用でき;ポリエチレングリコールの画分サイズは変更でき;他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコール、例えばポリビニルピロリドンと交換でき;そして、他の糖または多糖はデキストロースで代用できる。
【0094】
または、疎水性医薬化合物の他の送達系も使用できる。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬物の送達媒体または担体の公知の例である。ジメチルスルホキシドなどのある有機溶媒も使用できるが、通常、高い毒性を伴う。さらに、化合物は、治療剤を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出系を使用して送達できる。様々な持続放出材料が確立され、当業者には公知である。持続放出カプセル剤は、その化学的性質に応じて、数週間から100日間におよび化合物を放出する。治療剤の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質および核酸安定化のためのさらなる戦略を使用できる。
【0095】
医薬組成物はまた、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤を含むことができる。かかる担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを含むがこれに限定されない。
【0096】
本発明の化合物は、医薬的に適合性の対カチオン用いて塩として提供できる。医薬的に適合性の塩は、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸、例えば酢酸、HOOC−(CH−CH(ここでのnは0〜4である)等を含むがこれに限定されない、多くの酸を用いて形成できる。塩は、水性溶媒または対応する遊離塩基形である他のプロトン性溶媒中で、溶解度がより高い傾向がある。無毒性の医薬塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム等の塩基の塩を含む。当業者は、多種多様な無毒性の医薬的に許容される付加塩を認識するだろう。
【0097】
本発明の化合物の医薬組成物は、製剤化でき、全身、限局、または局所投与を含む様々な手段を介して投与できる。製剤化および投与の技術は、「レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing Co.,Easton,ペンシルベニア州に見出すことができる。投与方式は、生体の所望の標的部位への送達が最大限となるように選択できる。適切な投与経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜、経皮、または腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射、並びに、くも膜下腔内、直接的血管内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む、非経口送達を含むことができる。
【0098】
または、化合物を全身的ではなく局所的に、例えば、しばしばデポーまたは持続放出製剤で、特定の組織への化合物の直接的注射により、投与できる。
【0099】
本発明に使用するに適した医薬組成物は、活性成分が、その意図する目的を達成するに有効な量で含まれる組成物を含む。より特定すると、治療有効量は、治療する被検者の既存の症状の発達を予防または寛解するに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書に提供した詳細な開示に照らして、当業者の十分能力内である。
【0100】
本発明の方法に使用する任意の化合物について、治療有効投与量は、本明細書に開示したような、細胞培養アッセイから最初に推定できる。例えば、投与量は、細胞培養物で決定したEC50(50%増加に有効な量)、すなわち細菌細胞増殖の最大の阻害の半分を達成する試験化合物の濃度を含む、循環濃度範囲を達成するように、動物モデルで製剤化できる。かかる情報を使用して、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定できる。
【0101】
しかし任意の特定の患者についての具体的な投与量レベルは、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性、食事、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物組合せ、治療を受けている具体的な疾病の重度および処方医の判断を含む、様々な因子に依存する。
【0102】
非ヒト動物への投与について、薬物または薬物を含む医薬組成物を、動物の餌または飲料水に加えてもよい。予め決定した投与量の薬物と共に動物の餌および飲料水製品を製剤化することが簡便であり、よって、動物は、その食事と共に適切な量の薬物を摂取する。また、動物が食すほぼ直前に、薬物を含むプレ混合物を、餌または飲料水に加えることも簡便である。
【0103】
本発明の好ましい化合物は、ある薬理特性を有する。かかる特性は、経口生物学的利用能、低毒性、低い血清タンパク質結合および望ましいインビトロおよびインビボ半減期を含むがこれに限定されない。アッセイを使用して、これらの望ましい薬理特性を予測し得る。生物学的利用能の予測に使用するアッセイは、Caco−2細胞単層を含むヒト腸細胞単層を横切る輸送を含む。血清タンパク質結合は、アルブミン結合アッセイから予測し得る。かかるアッセイは、Oravcovaら(1996、H.Chromat.B 677:1〜27)による総説に記載されている。化合物の半減期は、化合物の投与頻度と反比例する。インビトロでの化合物の半減期は、KuhnzおよびGieschen(薬物代謝および処分、(1998)第26号、1120〜1127ページ)により記載のようなミクロソーム半減期アッセイから予測し得る。
【0104】
かかる化合物の毒性および治療効力は、例えば、LD50(個体群の50%に致死的な投与量)およびED50(個体群の50%に治療的に有効な投与量)を決定するための、細胞培養物または実験動物での標準的な医薬手順により決定できる。毒性作用と治療作用の間の投与量の比は、治療係数であり、LD50とED50の間の比として表現できる。高い治療係数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトに使用する、一連の投与量の製剤化に使用できる。かかる化合物の投与量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性をもたないED50を含む、一連の循環濃度内にある。投与量は、使用した投与形および使用した投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。正にその製剤、投与経路および投与量は、個々の医師により、患者の容態の鑑みて選択できる(例えば、Finglら、1975、「治療薬の薬理基礎("The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第1章、1ページ参照)。
【0105】
投与量および間隔は、個々に調整して、細菌細胞増殖阻害作用を維持するに十分な活性部分の血漿中レベルを提供できる。全身投与用の通常の患者投与量は、100〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積の点で記載すると、通常投与量は、50〜910mg/m/日の範囲である。通常の平均血漿中レベルは、0.1〜1000μM内に維持すべきである。局所投与または選択的取り込みの場合、化合物の有効局所濃度は、血漿中濃度に関連づけることができない。
【0106】
本発明の化合物は、植物、動物およびヒトに影響を及ぼす細菌の細胞プロセスの調節因子である。本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害化合物の医薬組成物は、放射線菌、炭疽菌、赤痢菌、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、蜂巣織炎、コレラ、結膜炎、膀胱炎、ジフテリア、細菌性心内膜炎、喉頭蓋、胃腸炎、鼻疽、淋病、レジオネラ病、レプトスピラ症、細菌性髄膜炎、斑、細菌性肺炎、産褥敗血症、リウマチ熱、ロッキー山紅斑熱、猩紅熱、連鎖球菌性咽頭炎、梅毒、強縮、野兎病、腸チフス熱、チフス、および百日咳を含むがこれに限定されない、動物およびヒトの両方の疾病の治療用の抗生物質として有用である。
【0107】
本出願における特許を含む全ての論文および参考文献の開示を、本明細書に参考として取込む。
【0108】
以下の実施例は、説明の目的のために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、本発明の個々の態様の説明と捉えられる、例示した実施形態により範囲を限定されない。実際、本明細書で示し記載したものに加えて、本発明の様々な変形が、前記および添付図面から当業者には明らかとなろう。かかる変形は、添付の特許請求の範囲内に該当するものとする。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
液相化学ライブラリーの調製
上記の液相コンビナトリアルライブラリーは、以下のように96ウェルマイクロタイタープレートで調製した。
【0110】
縦列1〜7の各ウェルに、KCO(7〜10mg)、次いでDMF(140μL)および6−クロロプリン(0.5MのDMF溶液30μl)を加えた。各横列に、本明細書に開示したハロゲン化物のリストから選択したハロゲン化物(1MのDMF溶液15μL)を加えた。
【0111】
縦列8〜10の各ウェルに、KCO(3〜5mg)、次いでDMF(180μL)および6−クロロプリン(0.5MのDMF溶液10μl)を加えた。各横列に、本明細書に開示したハロゲン化物のリストから選択したハロゲン化物(1MのDMF溶液5μL)を加えた。
【0112】
マイクロタイタープレートを45℃まで加熱し、一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、第二の合成反応を以下のように実施した。
【0113】
縦列1〜7の各ウェルに、本明細書に開示したアミンのリストから選択した、3つの異なるアミン(1MのDMF溶液5μL)を加えた。
【0114】
縦列8〜10の各ウェルに、本明細書に開示したアミンのリストから選択した、1つのアミン(1MのDMF溶液5μL)を加えた。
【0115】
マイクロタイタープレートを85℃まで加熱し、一晩反応させた。反応物を室温まで冷却し、各ウェルを別々に冷却し、溶液の最終容量を300μLに調整した(蒸発で失った溶媒を交換)。
【0116】
次いで、これらの反応で生成した化合物を、本明細書に開示したインビボの細菌増殖アッセイを使用して試験した。
【0117】
(実施例2)
アデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤の調製
本発明のコンビナトリアルライブラリーを、上記のようなアデニンDNAメチル基転移酵素阻害活性についてスクリーニングした。メチル基転移酵素阻害活性を示し、ジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルに共有結合的に連結したC6アミノ基を有する化合物を、以下の反応スキームに従って関連類似体の調製のために塩基化合物として使用した。
【0118】
特に、6−クロロプリン(1)を、アルゴン下で室温で乾燥DMF(約0.3mmol/DMF)に溶かした。
【化14】

【0119】
炭酸カリウム(KCO;2〜3当量)、次いで1当量のアルキルハロゲン化物(R−X)を加えた。反応液を45℃または95℃(ハロゲン化物が低温で反応しない場合)まで加熱し、18時間撹拌した。この時間の後、薄層クロマトグラフィーを実施し(溶媒としてジクロロメタン中2%〜5%メタノールを使用)、反応混合物中に残留した出発物質はほとんどまたは全く示されなかった。反応液を室温まで冷却し、固体をろ過により除去し、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄した。ろ液を得、全ての残留DMFを真空で除去すると、油状物として粗生成物が得られた。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒としてジクロロメタン中2%〜5%メタノールを使用)で精製した。N−9位置異性体が、混合物として溶出したN−9およびN−7位置異性体の組合せの前に純粋な画分として溶出された。純粋なN−9異性体を含む画分を合わせ、溶媒を真空で除去すると、中間体生成物2b〜2eが固体または油状物として得られ、これは静置すると固形化した。
【0120】
最終化合物を以下のように調製した。6−クロロプリン(1)または9−アルキル−6−クロロプリン(2b〜2e)を、乾燥DMF(0.03〜0.5mmol/mL)に、アルゴン下で室温で溶かした。炭酸カリウム(KCO;1.5〜2当量)、次いで1当量のジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルを加えた。反応液を90〜95℃まで加熱し、18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、固体を上記のようにろ過により除去した。これらの化合物の構造を、H−NMR、13C−NMRおよび2次元NMR分光法、例えばHMQCおよびHMBCを使用して確認した。
【0121】
または、6−クロロプリン(1)またはN−9アルキル−6−クロロプリン(2b〜2e)を、1−ブタノール(0.1mmol/mL)にアルゴン下で室温で溶かした。3当量のジイソプロピルエチルアミン、次いで1.2当量のアルキルハロゲン化物を加えた。この反応混合物を110℃まで加熱し、18時間撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却し、溶媒を真空で除去した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(溶媒としてジクロロメタン中2%〜5%メタノール溶液を使用)で精製した。生成物の画分を集め、溶媒を真空で除去すると、白色固体が残った。
【0122】
出発物質であるジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルの構造は環状であり、ホウ素は4面体であることは当分野で公知である。従って、本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害化合物の環状および線形類似体は、追加の阻害化合物の開発に有利であり得る。
【化15】

【0123】
インビボアッセイ用に、残留DMFまたはジメチルスルホキシド(DMSO)を含む、非精製調製物を、16.7mMに希釈し、粗混合物として直接使用した。
【0124】
インビボの細菌細胞阻害アッセイを、様々な細菌種を使用して、実質的に上記のように実施した。化合物(3a)〜(3e)は、これらのアッセイで以下の結果を示した。
【0125】

Caulobacter cresentus
化合物3a−IC50<25μM
化合物3b−IC50<25μM
化合物3c−IC50<25μM
化合物3d−IC50<25μM
化合物3e−IC50<25μM

Brucella abortus
化合物3a−12時間後にほぼ完全な細胞死−100μM
化合物3b−12時間後に完全な細胞死−100μM
化合物3c−最初から細胞増殖阻害−100μM
化合物3d−最初から細胞増殖阻害−100μM
化合物3e−最初から細胞増殖阻害−100μM

Helicobacter pylori
化合物3a−IC50<25μM
化合物3b−IC50<25μM
化合物3c−IC50は25〜100μMの間
化合物3d−IC50は25〜100μMの間
化合物3e−IC50=25μM

Agrobacterium tumefaciens
化合物3a−IC50>100μM
化合物3b−IC50=25μM
化合物3c−IC50=25μM
化合物3d−IC50<<25μM
化合物3e−IC50<<25μM

Bacillus subtilis
化合物3a−IC50は10〜50μMの間
化合物3b−IC50は1〜10μMの間
化合物3c−IC50は1〜10μMの間
化合物3d−IC50は10〜50μMの間
化合物3e−試験せず
【0126】
さらに、以下の結果が、インビボのアデニンDNAメチル基転移酵素阻害アッセイ使用して得られた。
【0127】

CcrM
化合物3a−100μMで完全な阻害
化合物3b−100μMで完全な阻害
化合物3c−100μMで完全な阻害
化合物3d−100μMで完全な阻害
化合物3e−100μMで完全な阻害

damメチラーゼ(E.coli)
化合物3a−100μMで完全な阻害
化合物3b−100μMで完全な阻害
化合物3c−100μMで完全な阻害
化合物3d−100μMで完全な阻害
化合物3e−100μMで完全な阻害

dcmメチル基転移酵素(HhaI)
化合物3a−500μMでは全く阻害されない
化合物3b−500μMでは全く阻害されない
化合物3c−500μMでは全く阻害されない
化合物3d−500μMでは全く阻害されない
化合物3e−500μMでは全く阻害されない
【0128】
これらの結果により、化合物(3a)〜(3e)は、検出可能なdcm交差活性を示さない、アデニン特異的DNAメチル基転移酵素であることが実証される。
【0129】
(実施例3)
アデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤の調製
追加のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤は、上記のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニング中に見られるリードの最適化により開発した。
【0130】
1.6−(2−ジフェニルメチルシクロペンチルアミノ)プリン(化合物73)
6−クロロプリンを、2当量のジイソプロピルエチルアミン(N(iPr)Et)を含むn−ブタノール中で、S−(−)−2−(ジフェニルメチル)−ピロリジンと合わせた。反応液を105℃まで加熱し、24時間反応させた。溶媒を反応混合物から真空で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0131】
2.6−(2−ジフェニルヒドロキシメチルシクロペンチルアミノ)プリン(化合物71)
6−クロロプリンを、2当量のN(iPr)Etを含むn−ブタノール中で、R−(+)−α,α−ジフェニル−2−ピロリジンメタノールと合わせた。反応液を95℃まで加熱し、24時間反応させた。溶媒を反応混合物から真空で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【化16】

【0132】
3.2−ジフェニルピロール(化合物76)
2−ピロリジノンを、ベンゼン中でジメチルスルフェートと合わせ、3時間還流した。蒸留を含む精製後、得られた2−メチルアミノエステルピロリジンを、乾燥エーテル中室温で18時間、過剰のリチウムフェノキシド(PhLi)と合わせると、標題化合物が得られた。
【化17】

【0133】
4.6−アミノ−4(2−ジフェニルボリン酸エステル)エチルアミノピリミジン(化合物III168)
4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−チオピリミジンを、水およびアンモニア中でラネーニッケル(RaNi)で処理し、2時間加熱還流した。精製により、4−アミノ−6−ヒドロキシピリミジンが得られ、これをオキシ塩化リンおよびN,N−ジエチルアニリンと合わせ、4時間加熱還流すると、4−アミノ−6−クロロピリミジンが得られた。この生成物を、ジイソプロピルアミンを含むトルエン中で、ジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルと合わせ、一晩加熱還流すると、標題化合物が得られた。
【化18】

【0134】
5.4−アミノ−5(2−ジフェニルボリン酸エステルエチルイミノエステル)イミダゾール(化合物III170)
4−アミノ−5−イミダゾールカルボキシアミド塩酸塩を、オキシ塩化リン中で3.5時間加熱還流し、精製後、4−アミノ−5−ニトリルイミダゾールが得られた。これをHClで飽和したエタノール中に一晩懸濁し、精製すると、4−アミノ−5−エチルイミノエステルイミダゾール塩酸塩が得られた。これを一晩テトラヒドロフラン(THF)中ジフェニルボリン酸エタノールアミンエステルと合わせると、標題化合物が得られた。
【化19】

【0135】
(実施例4)
第二世代のライブラリー
2つの「第二世代ライブラリー」を、化合物に基づいて調製した:
【化20】

【0136】
第一世代のライブラリー(「ライブラリーA」)を、親化合物78から以下に示したように作成した。化合物78を、加熱振盪器中、メタノール中1当量のアルデヒド(またはケトン)と25℃で合わせた。反応は2通り準備した。1時間反応後、BH−レジンを加え、混合物を一晩反応させた。1セットの反応液に、以下のアルデヒドの1つをさらに1当量加えた:
シクロヘキサンカルボキシアルデヒド;
3−フルアルデヒド;
1−メチル−2−ピロールカルボキシアルデヒド;
ヒドロシンナムアルデヒド;
4−ピリジンカルボキシアルデヒド;
2−フェニルプロピオンアルデヒド;
フェニルアセトアルデヒド;
m−アニスアルデヒド;
ヘプタアルデヒド;
3−ニトロベンズアルデヒド;
3−フェニルブチルアルデヒド;
3−ピリジルアセトアルデヒドN−オキシド;
エチルレボイリネート;
エチル−2−エチルアセトアセトン;
4−アセチル酪酸エチル;
プロピオニル酢酸エチル;
エチル2−ベンジルアセトアセトン;
1−フェニル−2−ペンタノン;
1−カルベトキシ−4−ピペリドン;
N−アセトニルフタルイミド;
2−フルオロフェニルアセトン;
4−(3−オキソブチル)フェニルアセテート。
【0137】
次いで、全プレートを、さらに24時間反応させた。作成した化合物は、モノアルキル化(R=H、R’=アルキル、アリール)またはジアルキル化(R=R’=アルキルまたはアリール)されている。
【0138】
他の第二世代ライブラリー(「ライブラリーB」)は、親化合物III142と、N6ライブラリーを作成するのに使用され上記に示したアミンを、トリメチルアルミニウム(AlMe)の存在下で、ジクロロメタン中50℃で一晩反応することにより作成された。溶媒を蒸発により除去し、残渣をアセトニトリルに溶かし、ヨウ化トリメチルシリルで一晩処理した。反応液を、メタノールを添加し、溶媒を除去し、エーテルと水/酢酸(7:3)の間に残渣を分配し、生成物を水層に抽出することにより後処理した。
【化21】

【0139】
(実施例5)
ジフェニルボリン酸エステルに基づいた化合物
上記に開示した結果に基づいて、本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤のいくつかの1つの共通の成分は、ジフェニルボリン酸エステルである。従って、このエステルに基づいた数個の追加の化合物を以下のように調製した。これらの化合物は以下の構造を有する:
【化22】

【0140】
これらの化合物の一般的合成を、反応スキーム7に示す。
【0141】
1.ボリン酸(化合物8)の合成
ジクロロボランジメチルスルフィド錯体(0.5〜2mL)を、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルにアルゴン下で溶かし、−78℃まで冷却した。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサンまたはこれらの溶媒の混合物中の、適切なフェニルグリニャール試薬(2モル当量)を滴下して冷反応液に加えた。反応液を室温まで加温し、一晩撹拌した。ジエチルエーテルを反応液に加え、反応液を、1N塩酸をゆっくりと加えることにより加水分解した。層を分離し、有機層を飽和NaCl水で洗浄した。有機層を、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥し、ろ過し、溶媒を真空で除去すると、透明な油状物として粗生成物が得られた。標題化合物のこの粗調製物を、次の段階の合成に直接使用した。
【0142】
反応スキーム7
【化23】

【0143】
ここで、反応条件は:
i)テトラヒドロフラン(THF)またはエチルエーテル(EtO)、−78℃から室温で一晩;
ii)EtOH、8−ヒドロキシキノリン、室温;
iii)EtOH、2−アミノエタノール、室温。
【0144】
Xは、各フェニル基上における5つまでの置換基を示し得、これは、独立的に、水素、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシであり得、ここでの各シクロアルキル基は、3〜7員を有し、シクロアルキル基メンバーの2つまでが、所望により、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、ここでの、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリール、ハロゲン化物、ニトロ、ニトロソ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アミド、または硫酸により置換されている。
【0145】
2.ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステルの合成(化合物9)
粗ボリン酸(8)を、0.05〜5mLエタノールに溶かし、1〜2当量のエタノール中1M 8−ヒドロキシキノリンで処理した。溶液から沈降した生成物または溶液を濃縮し、放置して結晶化し、一旦結晶が形成されれば;生成物をろ過により集め、エタノールで洗浄した。
【0146】
3.ボリン酸エタノールアミンエステル(化合物10)の合成
粗ボリン酸(8)を、0.05〜5mLエタノールに溶かし、1〜2当量のエタノール中1Mエタノールアミンで処理した。溶液から沈降した生成物または溶液を濃縮し、放置して結晶化し;一旦結晶が形成されれば、生成物をろ過により集め、エタノールで洗浄した。
【0147】
上記のように調製した化合物(1)〜(5)を、カルロバクター クレセンタスを使用して本発明のインビボアッセイを使用して試験し、化合物(1)、(2)、(4)および(5)を、Bacillus subtilisに対する細胞増殖阻害について試験した。IC50値を、表IIに示す。
【表2】

【0148】
これらの化合物は、有利な物理特性を有し、大規模製造の実施できる純粋で安定な固体として単離される。本発明のアデニンDNAメチル基転移酵素阻害剤のさらなる特定の実施形態は、これらの追加の特徴を有する関連化合物を含む:
1)縮合環および置換縮合環を含む、オルト、メタ、およびパラ位のいずれかまたは組合せの、フェニル環上に様々な置換基を有する類似体
2)1つまたは両方のフェニル基の代わりに、様々な環サイズの芳香族へテロ環、置換へテロ環、縮合へテロ環および置換縮合へテロ環を有する類似体;
3)上記の1)および2)に記載の芳香族系の組合せを使用した、ホウ素原子に結合した2つの非同一な芳香族環を有する類似体;
4)任意の可能な位置に様々な置換基を含むキノリン(9)を使用して調製した類似体、或いは、任意の可能な位置に1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む縮合へテロ芳香族環を含む構造類似体、或いは、任意の可能な位置に1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含むおよび任意の可能な位置に様々な置換基を含む縮合へテロ芳香族環;および
5)(10)の2−アミノエタノールのエチレン基のC−1およびC−2位のいずれかまたは両方に置換基を有する類似体。
【0149】
前記の開示は、本発明のある特定の実施形態を強調し、それに等価な全ての変形または代替物は、添付の特許請求の範囲に示したような本発明の精神および範囲の内であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】細菌性アデニンDNAメチル基転移酵素の「活性部位」の図解を示す。
【図2】細菌性アデニンDNAメチル基転移酵素の「活性部位」の図解を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
、R、およびRは、同じまたは異なり、独立的に、水素、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシであり、ここでの各シクロアルキル基は3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリールにより置換されており、そして
は、リボース、デオキシリボースまたはそのリン酸化誘導体であり得、
、RおよびRは、全てが水素というわけではなく、そして
は、リボース、デオキシリボースまたはそのリン酸化誘導体であり、RまたはRの一方は水素ではない]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
およびRは、同じまたは異なり、独立的に、水素、ヒスタミン二塩酸塩、ノルフェニレフリン塩酸塩、1,2−ジアミノプロパン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチル−アミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、ジフェニルボリン酸、エタノールアミンエステル、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、テトラヒドロフルフリルアミン、5−メチルトリプタミン塩酸塩、3,3−ジフェニルプロピルアミン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノン、2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、2−(アミノメチル)ベンズイミダゾール二塩酸塩水和物、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、塩酸塩、L−カルノシン、(R)−(−)−1−アミノ−2−プロパノール、2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミン、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,5−ジクロロアミルアミン塩酸塩、(+/−)−4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、N,N−ジメチルエチレンジアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン二塩酸塩、アミノメチル安息香酸、アミノヒドロキシメチルプロパンジオール、2−(アミノエチル)ピリジン、アミノブタノール、アダマンタミン、アミノヘキサン酸、N−ベンジルエタノールアミン、6−アミノ酪酸エチル、塩酸塩、エチレンジアミン、または2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、4−ヨード酪酸エチル、1−ブロモ−3−フェニルプロパン、臭化シンナミル、2−クロロエチルホスホン酸、2−(2−クロロアセトアミド)−4−チアゾール−酢酸エチル、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩、臭化(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウム、4−クロロフェニル2−ブロモエチルエーテル、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド、2−クロロエチル、イソシアネート、2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアセタミド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ブロモ−2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトアニリド、3−(2−ブロモエチル)インドール、5−クロロ−2−ペンタノンエチレンケタール、2−クロロエチルエチルスルフィド、3−クロロ−N−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、L−1−p−トシルアミノ−2−フェニルエチルクロロメチルケトン、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン、2−(ブロモメチル)アクリル酸エチル、2−(2−(2−クロルエチオキシ)エトキシ)エタノール、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロラムフェニコール、4−(クロロメチル)安息香酸、ブロモエチルアミン塩酸塩、エピブロモヒドリン、ヨードペンタン、または臭化ベンジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
はHであり、Rは(2−ジフェニルボリン酸エステル)エチルまたはジフェニルプロピルであり、Rは、H、2−(4−モルホリニル)−エチル、3−(N−フタロイル)−アミノプロピル、2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル、またはエチル−2−(アクリレート)−メチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
はHであり、Rは(S−ホモシステイニル)メチルであり、Rは、リボース、5’ホスホリルリボース、デオキシリボースまたは5’ホスホリルデオキシリボースである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
はHであり、RおよびRは、共に、2−(ジフェニルメチル)シクロペンチルまたは2−(ジフェニルヒドロキシメチル)シクロペンチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
はHであり、Rはアラニルブチルエステル、2−アルキルケトン−2−アミノエチル、2−アミノエチルまたは一または二置換2−アミノエチルであり、Rは2−(4−モルホリニル)−エチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびRは同じまたは異なり、独立的に、水素、ヒスタミン二塩酸塩、ノルフェニレフリン塩酸塩、1,2−ジアミノプロパン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチル−アミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、ジフェニルボリン酸、エタノールアミンエステル、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、テトラヒドロフルフリルアミン、5−メチルトリプタミン塩酸塩、3,3−ジフェニルプロピルアミン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノン、2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、2−(アミノメチル)ベンズイミダゾール二塩酸塩水和物、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、塩酸塩、L−カルノシン、(R)−(−)−1−アミノ−2−プロパノール、2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミン、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,5−ジクロロアミルアミン塩酸塩、(+/−)−4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、N,N−ジメチルエチレンジアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン二塩酸塩、アミノメチル安息香酸、アミノヒドロキシメチルプロパンジオール、2−(アミノエチル)ピリジン、アミノブタノール、アダマンタミン、アミノヘキサン酸、N−ベンジルエタノールアミン、6−アミノ酪酸エチル、塩酸塩、エチレンジアミン、または2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミンであり、Rは、4−ヨード酪酸メチル、1−ブロモ−3−フェニルプロパン、臭化シンナミル、2−クロロエチルホスホン酸、2−(2−クロロアセトアミド)−4−チアゾール−酢酸エチル、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩、臭化(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウム、4−クロロフェニル2−ブロモエチルエーテル、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド、2−クロロエチル、イソシアネート、2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアセタミド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ブロモ−2’−ヒドロキシ−5’−ニトロアセトアニリド、3−(2−ブロモエチル)インドール、5−クロロ−2−ペンタノンエチレンケタール、2−クロロエチルエチルスルフィド、3−クロロ−N−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、L−1−p−トシルアミノ−2−フェニルエチルクロロメチルケトン、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン、2−(ブロモメチル)アクリル酸エチル、2−(2−(2−クロロエチオキシ)エトキシ)エタノール、(3−クロルプロピル)トリメトキシシラン、クロラムフェニコール、4−(クロロメチル)安息香酸、ブロモエチルアミン塩酸塩、エピブロモヒドリン、ヨードペンタン、または臭化ベンジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(2−(4−モルホリニル)−エチル)−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(3−(N−フタロイル)−アミノプロピル)−アデニン、6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)−アデニン、および6−N−(ジフェニルボリン酸エステル)−エチル−9−(エチル−2−アクリレート)−メチル−アデニンから選択する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1つの医薬的に許容される担体または賦形剤と配合した、請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
アデニンDNAメチル基転移酵素を発現する病原細菌による感染に関連した疾病または疾患の治療法であって、前記方法は、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
病原細菌による疾病または疾患に関連した感染は、黄色ブドウ菌(Staphylococcus aureus);スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus);化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes);ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae);肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae);炭疽菌(Bacillus anthracis);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens);ボツリヌス菌(Clostridium botulinum);破傷風菌(Clostridium tetani);淋菌(Neisseria gonorrhoeae);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);レジオネラ菌(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);ペスト菌(Yersinia pestis);ヘモフィラスウイルス(Hemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori);カンピロバクター・フィタス菌(Campylobacter fetus);コレラ菌(Vibrio cholerae);腸炎ビブリオ(Vibrio parahemolyticus);トレポメナ・パリダム(Trepomena pallidum);アクチノミセス・イズラエリ(Actinomyces israelii);発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia rickettsii);トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis);オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci);ウシ流産菌(Brucella abortus)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)によるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】

【化2】

[式中、
、RおよびRは、同じまたは異なり、独立的に、水素、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシであり、ここでの各シクロアルキル基は、3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、硫黄、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリール、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、アルデヒド、カルボン酸、アミド、エステル、または硫酸により置換されているか、またはR、RおよびRは、芳香族、脂肪族、ヘテロ芳香族、ヘテロ脂肪族環構造またはその置換実施形態により接続し得、
ArおよびArは、同じまたは異なり、各々独立的に、アリール、または、1つまたは複数の位置で、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、低級アルキル、アリールまたは置換アリール、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、またはシクロアルキルまたはシクロアルキルアルコキシにより置換されたアリールであり、ここでの各シクロアルキル基は、3〜7員を有し、シクロアルキルメンバーの2つまでが所望により、硫黄、酸素および窒素から選択したヘテロ原子であり、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基のいずれかのメンバーが、所望により、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ、アリールまたは置換アリール、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、アルデヒド、カルボン酸、アミド、エステル、または硫酸により置換されており、そして
結合1および結合2は、独立的に、単結合または二重結合である]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジフェニルボリン酸8−ヒドロキシキニリンエステル、ジ−(p−フルオロフェニル)ボリン酸エタノールアミンエステル、およびジ−(p−クロロフェニル)ボリン酸エタノールアミンエステルから選択した、請求項14に記載の化合物。
【請求項15】
少なくとも1つの医薬的に許容される担体または賦形剤と配合した請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
アデニンDNAメチル基転移酵素を発現する病原細菌による感染に関連した疾病または疾患の治療法であって、前記方法は、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
病原細菌による疾病または疾患に関連した感染は、黄色ブドウ菌(Staphylococcus aureus);Staphylococcus saprophyticus;化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes);Streptococcus agalactiae;肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae);炭疽菌(Bacillus anthracis);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens);ボツリヌス菌(Clostridium botulinum);破傷風菌(Clostridium tetani);淋菌(Neisseria gonorrhoeae);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);レジオネラ菌(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);ペスト菌(Yersinia pestis);ヘモフィラスウイルス(Hemophilus influenzae);ヘリコバクターピロリ菌(Helicobacter pylori);カンピロバクターフィタス菌(Campylobacter fetus);コレラ菌(Vibrio cholerae);腸炎ビブリオ(Vibrio parahemolyticus);Trepomena pallidum;Actinomyces israelii;発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia rickettsii);トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis);オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci);ウシ流産菌(Brucella abortus)またはAgrobacterium tumefaciensによるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の複数の化合物を含むコンビナトリアルライブラリー。
【請求項19】
請求項13に記載の複数の化合物を含むコンビナトリアルライブラリー。
【請求項20】
病原性細菌による感染に関連した疾病または疾患に罹患する患者を治療するための、容器中の請求項10に記載の医薬組成物および前記組成物の使用説明書を含む、パッケージングされた医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−69162(P2008−69162A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−252267(P2007−252267)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【分割の表示】特願2001−502424(P2001−502424)の分割
【原出願日】平成12年5月25日(2000.5.25)
【出願人】(501456515)ザ ペン ステート リサーチ ファウンデイション (15)
【Fターム(参考)】