説明

DNA修復促進剤及び皮膚外用剤

【課題】紫外線B波によるDNAの損傷の修復を効果的に促進し、さらに人体に対して安全性の高いDNA修復促進剤の提供。
【解決手段】デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物を含有するDNA修復促進剤。好ましくは、ジベレリン処理され実質的に種子を含まない果実が用いられる。更に酵素処理としては、セルラーゼ処理、次いでポリガラクツロナーゼ処理を行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ、特にヴィニフェラ系交雑種の一種であるデラウエア種(Delaware)の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物(以下、デラウエア果皮エキスと称することがある。)を含有するDNA修復促進剤、特に紫外線のうちでもUVBの作用に起因するDNA損傷の修復促進効果を有するDNA修復促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
デラウエア種はブドウの一種ではあるが、主要品種であるヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種Vitis vinifera)、アメリカブドウ(ラブルスカ種Vitis labrusca)、マスカダイン(ロトゥンディフォリア種Vitis rotundifolia)、アムールブドウ(アムレンシス種Vitis amurensis)に属さないアメリカオハイオ州デラウエア原産の自然交雑種であり、明治時代に輸入されて以来、現在に至るまで日本人に親しまれている。一般的にはジベレリン(ギベレリン)処理によって果実内部の種が除去され、種無しぶどうとして出荷されるが、アイスワインの原料や果汁をジュース等の食品原料として利用される。果実の成熟時の色は赤紫色で、粒の直径が10mm〜13mm程度の比較的小粒のブドウであり、糖度は概ね20〜23度とされる。
一般的にブドウの皮には、視力回復や活性酸素の除去に効果がある抗酸化作用を有するポリフェノールの一種であるアントシアンが多く含まれ、いわゆる悪玉コレステロールの発生を防ぎ血液をキレイにする効果があるので、動脈硬化やがん予防への効果を示唆されているところ、特にデラウエアなどの赤ブドウには、強い発がん抑制作用を持つレスベラトロールというポリフェノールが含まれているものとされている。
【0003】
さらに、このフィトアレキシンの一つであるレスベラトロールは、主にブドウの葉、特に発芽抽出液に高濃度に存在しているが、果皮中に存在するレスベラトロールは糖度と密接な関係があり、糖度が高くなるにつれ減少することが知られている。(非特許文献1)その他、レスベラトロールには、脂質代謝作用、寿命延長作用、抗ガン作用や血小板凝固抑制作用、LDLコレステロールの酸化抑制作用による炎症抑制効果が示唆されている。(非特許文献2)
【0004】
皮膚は生体の最外層に位置する器官であり、絶えず紫外線などの環境因子からストレスを受けている。地表に届く紫外線はその波長からUVB(290−320nm)およびUVA(320−400nm)に分類され、UVBの量はUVAに比べ少ないが、皮膚への影響は1000倍も高いことが知られており、最も有害なものとしてDNA損傷が考えられている。
【0005】
細胞の核内に存在し、遺伝情報を担っているDNAは様々な内的、外的要因によって損傷を受けるが、紫外線もDNAの損傷を引き起こす大きな要因の一つである。UVBはDNAに直接吸収されることで損傷を与えることが知られており、代表的な損傷としてはDNA中の隣り合うピリミジン塩基が共有結合するCyclobutane Pyrimidine Dimer(CPD)が挙げられる。CPDはUVAによっても形成されることが知られているが、ほとんどはUVBによるものである。(非特許文献3)
【0006】
また、紫外線、特にUVAは細胞内に活性酸素を産生させることで間接的にDNAに損傷を与えるが、その頻度は直接的な損傷に比べはるかに少ない。細胞には本来これらのDNA損傷を修復する機構が備わっているが、修復しきれないほどのDNA損傷が生じた場合、細胞は通常自ら死(アポトーシス)へと向かう。また、DNA修復能は加齢とともに低下することが知られており、皮膚におけるDNA修復能の低下はシミやシワ、タルミのような症状を示す光老化の原因となることが示唆されている。これらのことからDNA修復を促進する化粧品素材には、紫外線による光老化の予防効果が期待できる。
【0007】
このような紫外線による身体特に細胞レベルへの影響を予防、緩和、改善、治療するものとしての提案がなされており、例えば、レスベラトロール誘導体の皮膚の明色化およびアンチエージング効果、または皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化を防止する効果を見出した事例(特許文献1、特許文献2)、レスベラトロール誘導体のエマルション組成物(特許文献3)、ゼニアオイ等の抽出物を含有することを特徴とする細胞死抑制剤、さらにその剤を含有する老化防止剤あるいは細胞死抑制剤としての化粧料、外用剤、経口剤(特許文献4)、レスベラトロール誘導体とDNA修復酵素の局所用組成物を皮膚に適用する方法(特許文献5)、特定のブドウ品種ヨーロッパ系ブドウ属または/およびアメリカ系ブドウに属する植物の芽及び蔓から炭素数1以上5以下の極性溶媒で抽出して得られたレスベラトロール類を含有する組成物(特許文献6)、スギノリから得られる抽出物を含有することを特徴とするDNA修復促進剤(特許文献7)、レスベラトロールのフィトエストロゲン作用、ケラチノサイト分化促進による増殖抑制作用を有する化粧料組成物(特許文献8)などが存在する。
【0008】
しかしながら、デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物にDNA修復促進作用、細胞死抑制作用、抗糖化作用、抗酸化作用が存在することは開示または示唆されていない。また、ポリフェノールを含むブドウ果皮種子の粕から抽出したエキスを飲用として利用する技術についての開示(特許文献9)があるが、デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出したエキスを利用する技術は、開示または示唆されていない。
【0009】
また、DNA修復促進作用が、I型コラーゲンを分解する酵素である「matrix metalloproteinase-1(MMP-1)」の生産量を低下させるところから、真皮中のI型コラーゲンの分解による肌のシワ、ハリ(弾力性)の低下の抑制・予防・改善し、いわゆる抗シワ、ハリ向上効果が発揮され(非特許文献3)、さらに細胞死を抑制することから皮膚のシミ、シワ、ハリの低下、皮膚の乾燥を抑制・予防・改善し、いわゆる抗シワ、ハリ向上、保湿効果が発揮される。さらに、DNA修復促進作用によって、DNA損傷による表皮角化細胞の細胞分裂の乱れを原因として表皮ターンオーバーが正常に行われないために生じる角層の重層剥離を抑制・予防・改善することにより、これを原因とする肌荒れ抑制・予防・改善効果が発揮される。
【0010】
抗酸化作用が、主に紫外線が原因で生じた活性酸素の活動や発生を阻害するところから、活性酸素が肌に及ぼす潤いの低下、水分量の減少、炎症を抑制・予防・改善し、いわゆる保湿、肌荒れ防止効果が発揮される。
【0011】
抗糖化作用が、加齢による肌の黄色化に影響を与える真皮でのAGEの生成を抑制・予防・改善する(非特許文献4)ことから、いわゆる肌の透明感を向上する効果を発揮する。さらに、前述のDNA修復作用や抗酸化作用とあいまって、皮膚の老化防止に効果を発揮している。
このような効果を広く一般に提供する方法としては、一般的に皮膚外用剤、化粧品という方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2010−538079号
【特許文献2】特開2008−88123号
【特許文献3】特表2010−535221号
【特許文献4】特開2004−359603号
【特許文献5】特表2010−536764号
【特許文献6】特開2008−239576号
【特許文献7】特開2006−273761号
【特許文献8】特表2001−510777号
【特許文献9】特開2000−69945号
【特許文献10】特表2008−501647号
【特許文献11】特開2003−189812号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「Food Style」 21、6、96−98(1997)佐藤充克
【非特許文献2】「植物ポリフェノール含有素材の開発−その機能性と安全−」(シーエムシー出版)(P244−P247)
【非特許文献3】Exp Dermatol. 2008Dec;17(12):1037-44
【非特許文献4】Skin Res Technol. 2009 Nov;15(4):496-502
【非特許文献5】「化粧品分野における公知技術集2010年版」(日本化粧品工業連合会 特許委員会編)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明者は、従来廃棄されていたデラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕の外用剤としての有効利用について、一般的なイメージである「ブドウ=ポリフェノール」に拠るものと異なる作用・効果を検討してきた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者は、デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物が「DNA修復促進作用」、「細胞死抑制作用」、「抗糖化作用」、「抗酸化作用」など種々の優れた効果を発揮することを見出し、発明を完成した。
すなわち、本発明は、主に次の構成による。
1.デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物を含有することを特徴とする「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」。
2.果実が、ジベレリン処理され実質的に種子を含まないことを特徴とする1.記載の「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」。
3.酵素処理が、セルラーゼ処理、次いでポリガラクツロナーゼ処理を行うことを特徴とする1.から2.に記載の「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」。
4.極性溶媒が、水を含むことを特徴とする1.から3.に記載の「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」。
5.1.から4.に記載の「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」を含有する外用剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物によって、従来廃棄されていたデラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を外用剤または化粧料の原料として利用することができ、あわせて安価で効果の優れた「DNA修復促進剤」、「細胞死抑制剤」、「抗糖化剤」、「抗酸化剤」または、それらの効果を有する外用剤または化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】肌荒れ改善効果試験における、比較例品を使用前の肌の重層剥離状態(被験者1)
【図2】肌荒れ改善効果試験における、比較例品を使用後の肌の重層剥離状態(被験者1)
【図3】肌荒れ改善効果試験における、実施例5品を使用前の肌の重層剥離状態(被験者1)
【図4】肌荒れ改善効果試験における、実施例5品を使用後の肌の重層剥離状態(被験者1)
【図5】肌荒れ改善効果試験における、比較例品を使用前の肌の重層剥離状態(被験者2)
【図6】肌荒れ改善効果試験における、比較例品を使用後の肌の重層剥離状態(被験者2)
【図7】肌荒れ改善効果試験における、実施例5品を使用前の肌の重層剥離状態(被験者2)
【図8】肌荒れ改善効果試験における、実施例5を使用後の肌の重層剥離状態(被験者2)
【発明を実施するための形態】
【0018】
デラウエア果皮エキス単体で使用することもできるが、各種の様態の外用剤(医薬品・医薬部外品・化粧品など薬事上の分類を問わない)として調製し使用者の利便性を向上することができる。外用剤の調整にあたっては、例えば非特許文献4に紹介されている調剤例を用いることができる。以下、「DNA修復促進作用」、「細胞死抑制作用」、「抗糖化作用」、「抗酸化作用」について、デラウエア果皮エキス及び調剤例について詳述する。
【0019】
[デラウエア果皮エキスの調製]
デラウエア果皮エキスは、デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後、溶媒抽出して得ることができる。酵素処理については、セルラーゼ処理、次いでポリガラクツロナーゼ処理することが望ましい。溶媒抽出については、水、エタノール等の極性溶媒を用いることが望ましく、水とその他の極性溶媒を同時に用いることがさらに望ましい。さらに、抽出物を活性炭処理、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル濾過、等によって、分離精製し、さらに活性の高い画分(成分)を抽出することもできる。
【0020】
[外用剤の調製]
外用剤としては、例えば化粧品として調整する場合は、パウダー、パウダーファンデーション等の粉体;石けん、リップスティック等の固体;クリーム、乳液、クリームファンデーション等の乳化物;化粧水、美容液等の液体;など、種々の形態に調製することが出来る。また、シャンプー、トリートメント、頭皮用皮膚外用剤であってもよい。
【0021】
この場合に配合し得る他の成分としては、通常、化粧品、医薬品等の外用剤の基剤成分あるいは添加剤成分または機能性を賦与する目的で用いられる成分、例えば、液状油分、固形油分、各種界面活性剤、金属セッケン、保湿剤、ゲル化剤、水溶性高分子、低級アルコール、多価アルコール、糖類、紫外線吸収剤、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、消臭剤、アミノ酸類、ビタミン類、薬剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、有機酸、有機アミン、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤、清涼剤、香料、エモリエント剤、色素、美白剤、抗しわ剤、抗老化剤、抗炎症剤、発毛剤、育毛促進剤、活性酸素除去剤、血行促進剤、収斂剤、角質溶解剤、タンパク質分解酵素などの成分、および外用薬の薬効成分としてのステロイド剤、非ステロイド剤を含む抗炎症剤、免疫抑制剤、鎮痛消炎剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍・褥瘡剤、創傷被覆剤、循環改善剤、止痒剤、局所麻酔剤、酔い止め剤、ニコチン剤、女性ホルモン剤等が挙げられる。調整にあたっては、本発明のデラウエア果皮エキスの配合量及び目的とする外用剤の種類に応じた常法(例えば参考文献5の調剤例)を用いることが出来る。
【実施例1】
【0022】
デラウエア果皮に精製水を加え、pH5.5に調整し、121℃で10分間オートクレーブした。オートクレーブ後、セルラーゼおよびポリガラクツロナーゼで16時間酵素処理した。処理後、90℃で10分間加熱することで酵素を失活させたのち、ろ過処理したものをデラウエア果皮エキスとした。調製したデラウエア果皮エキスを用いて、「DNA修復促進作用」、「細胞死抑制作用」、「抗糖化作用」、「抗酸化作用」について、精製水を比較例として、それぞれ効果検証試験を実施した。
【0023】
[DNA修復作用検証]
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)および真皮線維芽細胞(正常ヒト胎児皮膚由来線維芽細胞: NB1RGB)にUVBを照射し、照射後、デラウエア果皮エキスを添加した培地で培養後、細胞から全DNAを抽出し、ドットブロッティング法でUVBが誘起する代表的なDNA損傷であるCPDの形成を無添加培地で培養したものと比較評価した。
A.NHEKに対する効果について、UVB照射(強度15mJ/cm2)48時間後の精製水と0.5%デラウエア果皮エキスのCPD形成抑制効果を比較した。
B.NB1RGBに対する効果について、UVB照射(強度10mJ/cm2)48時間後の精製水と1.0%デラウエア果皮エキスを含有した検体のCPD形成抑制効果を比較した。
【0024】
【表1】


デラウエア果皮エキスを添加した培地で培養すると、無添加培地で培養するよりも、UVBにより形成されたCPDがDNA修復促進作用によって有意に減少した。
【0025】
[細胞死抑制作用検証]
表皮角化細胞(正常ヒト表皮角化細胞: NHEK)および真皮線維芽細胞(正常ヒト胎児皮膚由来線維芽細胞: NB1RGB)にUVBを照射し、照射後、デラウエア果皮エキスを添加した培地で培養した。培養後、細胞をMTT染色することで細胞生存率を測定し、無添加培地で培養したものと比較評価した。

C.NHEKに対する効果について、UVB照射(強度15mJ/cm2)48時間後の精製水と0.5%デラウエア果皮エキスを含有した検体の細胞生存率を比較した。
D.NB1RGBに対する効果について、UVB照射(強度10mJ/cm2)48時間後の精製水と1.0%デラウエア果皮エキスを含有した検体の細胞生存率を比較した。
【0026】
【表2】


デラウエア果皮エキスを添加した培地で培養すると無添加培地で培養した細胞に比べUVBによる細胞死が有意に抑制された。
【0027】
[抗糖化作用検証]
デラウエア果皮抽出エキスの抗糖化作用を検証するにあたり、一般的な方法の一つとしてNB1RGBによるコラーゲンゲル収縮活性を指標とした評価手法を用いた。
本法においては、コラーゲンゲル収縮の度合いは、糖化反応によるコラーゲンゲルの収縮阻害の抑止(架橋阻害)の度合い、すなわち抗糖化作用の度合いを意味しており、抗糖化作用がなければ、糖化反応による変性によりコラーゲンゲル収縮がほとんど生じず、抗糖化作用が強ければ、その度合いに従って糖化変性されていないコラーゲンゲル収縮活性に基づくゲル収縮が生じる。

E.NB1RGBに対する効果について、精製水と0.25%デラウエア果皮エキスを含有した検体のゲル収縮率を比較した。
【0028】
【表3】


比較例では、ほぼコラーゲンゲルは収縮しなかったが、実施例では、抗糖化作用による大きなゲル収縮が見られた。
【0029】
[抗酸化作用検証]
デラウエア果皮エキスについて、酸化作用を持つDPPH(1、1-Diphenyl-2- picrylhydrazyl)ラジカルの消去率を測定した。
F.精製水と1.0%デラウエア果皮エキスを含有した検体のDPPHラジカルの消去率を比較した。
【0030】
【表4】


デラウエア果皮エキスのDPPHラジカルが減少し、精製水では効果が無かった。

【実施例2】
【0031】
[化粧水]
実施例1のデラウエア果皮エキスを使用して以下の構成成分を常法で調製した。(数値は重量%)
また、比較例として、デラウエア果皮エキス分を精製水で置換したものを調製した。

デラウエア果皮エキス 3.00
エタノール 1.00
防腐剤 0.10
精製水で全量 100.00

【実施例3】
【0032】
[ローションタイプ]
実施例1のデラウエア果皮エキスを使用して以下の構成成分を常法で調製した。(数値は重量%)
また、比較例として、デラウエア果皮エキス分を精製水で置換したものを調製した。

PEG−60硬化ヒマシ油 0.30
1、3−ブチレングリコール 6.00
ジプロピレングリコール 2.00
ペンチレングルコール 1.00
グリセリン 4.00
ソルビトール発酵多糖 2.00
クエン酸 0.01
クエン酸Na 0.01
防腐剤 0.10
デラウエア果皮エキス 3.00
精製水で全量 100.00

【実施例4】
【0033】
[クリーム剤]
実施例1のデラウエア果皮エキスを使用して以下の構成成分を常法で調製した。(数値は重量%)
また、比較例として、デラウエア果皮エキス分を精製水で置換したものを調製した。

モノステアリン酸デカグリセリル 2.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
ベヘニルアルコール 4.00
スクワラン 9.00
ホホバ油 3.00
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5.00
メチルポリシロキサン 1.00
防腐剤 0.10
クインスシード 0.10
1、3ブチレングリコール 10.00
リン酸L−アスコルビルマグネシウム 3.00
クエン酸ナトリウム 0.50
エデト酸4Na 0.10
デラウエア果皮エキス 3.00
精製水で全量 100.00

【実施例5】
【0034】
[パック剤]
実施例1のデラウエア果皮エキスを使用して以下の構成成分を常法で調製した。(数値は重量%)
また、比較例として、デラウエア果皮エキス分を精製水で置換したものを調製した。

(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマー 60.00
ペンチレングリコール 10.00
塩化ナトリウム 1.00
リン酸アスコルビルマグネシウム 1.00
デラウエア果皮エキス 3.00
精製水で全量 100.00

実施例2から5及び対応する比較例について、「抗シワ」「ハリ向上」「保湿」「透明感向上」「肌荒れ改善」の各効果を検証した。
検証にあたっては、女性社員から選抜した健常な皮膚を有するモニター3名に複数回使用させ、「抗シワ」「ハリ向上」「保湿」「透明感向上」については5段階による官能評価、「肌荒れ改善」については、塗布後、テープストリッピングで角層を採取し重層剥離度について、判定員2名による合議で評価した。
【0035】
【表5】

【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

【0038】
【表8】

【0039】
「肌荒れ」改善効果比較検討試験は、以下のステップで実施した。
1.前腕内側部に20回テープストリッピングを行い荒れ肌を作製し、3%デラウエアエキス配合した各検体を朝・夜1回ずつ5日間塗布した。
2.5日後テープストリッピング法を用いて角層を採取し、テープ除去後、ゲンチアナバイオレットで10分、ブリリアントグリーンで5分染色を行い、判定員2名が重層剥離状態を観察し五段階で評価した。
【表9】


以上のことから、各効果について、各実施例の試験結果は対応する比較例よりも優れているという結果となった。
【0040】
本試験において、顕著な差異を示した2名の被験者の重層剥離状態を図1乃至図8に示す。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の化粧品組成物は、外用化粧品としてメーキャップ化粧品やスキンケア化粧品(機能性化粧品)のベース基剤としてだけでなく、水分蒸発抑制機能による保湿効果をもつ機能性化粧品としても利用できる。また、薬事上の各種基準・要件を備えることによって、医薬部外品及び医薬品にも利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デラウエア種(Delaware)の果実の圧縮搾汁粕を酵素処理した後に極性溶媒で抽出した抽出物を含有することを特徴とするDNA修復促進剤。
【請求項2】
果実が、ジベレリン処理され実質的に種子を含まないことを特徴とする請求項1に記載のDNA修復促進剤。
【請求項3】
酵素処理が、セルラーゼ処理、次いでポリガラクツロナーゼ処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のDNA修復促進剤。
【請求項4】
極性溶媒が、水を含むことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のDNA修復促進剤。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のDNA修復促進剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−180325(P2012−180325A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45304(P2011−45304)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(593084649)日本コルマー株式会社 (12)
【Fターム(参考)】