説明

DNP分極装置用ノズル

【課題】DNP分極装置用の溶解装置のノズルを提供すること。
【解決手段】DNP分極装置のための溶解装置に関する溶解デバイスの一部であるような1つのフィーチャ(すなわち、ノズル)である。このノズルは、固体の分極試料に対するより効率の高い溶解を提供し、これにより迅速かつ完全な溶解を可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動的核分極(DNP)の分野に関する。具体的には本発明は、動的核分極装置の部品に関する。さらに具体的には本発明は、DNP分極装置用の溶解装置のフィーチャ(すなわち、溶解デバイスの部品であるノズル)に関する。このノズルによれば、固体分極試料に対するより効率のよい溶解を提供でき、これにより迅速かつ完全な溶解が可能となる。
【背景技術】
【0002】
固相でのDNPによる分極(すなわち、非常に低い温度かつ中程度から高磁場での分極)に続いて溶解媒質を用いて溶解することによれば、核分極の大幅な増強が得られることが実証されており、これによれば新規のMR用途が可能となる。例えばピルビン酸塩はクエン酸サイクルである役割をする化合物であり、また人体内の代謝過程のインビボMR検査のためのMR薬剤としてDNP分極の(過分極させた)ピルビン酸塩を使用することが可能である。過分極させたピルビン酸塩は例えば、国際公開第2006/011810号に詳細に記載されているようなインビボ腫瘍撮像のため、並びに国際公開第2006/054903号に詳細に記載されているようなMR撮像による心筋組織の生存性評価のためのMR撮像薬剤として使用されることがある。過分極のピルビン酸塩を作成するには、ピルビン酸をDNP分極させると共に、固体の凍結分極済みのピルビン酸を緩衝水溶液及び塩基を包含した高温の溶解媒質内で溶解させ中和させる。ピルビン酸のDNP分極及び溶解に関する国際公開第2006/011809号の開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0003】
この溶解プロセス自体は、極めて迅速かつ完全でなければならない。このためには一般に、溶解媒質の熱エネルギー及びフローが試料を完全に溶解しこれを別の容器まで移すのに十分となることを期待して、凍結固体試料を包含したバイアル内に高温の溶解媒質を注入することが必要となる(例えば、援用によって本明細書の内容の一部をなす国際公開第02/37132号を参照されたい)。以下では、「固体凍結試料、固体試料及び凍結試料」という用語を区別なく使用している。しかし、このプロセスを実際に実行に移す際には予期しない多くの問題が観察される。起こり得る不首尾様相の1つには、固体試料が溶解する前に系が凍結し、このために氷の栓が生じて系に出入するフローを部分的又は完全に阻止してしまうことがあった。不首尾様相の第2には、固体試料に移行される熱エネルギーがこれをすべて溶解させるのに十分でなく、このため固体試料のうちのある量がバイアル内に残されることがあった。動作圧力及び温度以外に、流入口チューブの設計及び配置が満足のゆく溶解を得るのに重要な役割をすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/011810号
【特許文献2】国際公開第2006/054903号
【特許文献3】国際公開第2006/011809号
【特許文献4】国際公開第02/37132号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0078109号明細書
【発明の概要】
【0005】
この問題に対処するための従来の取り組み方式の1つでは、溶解媒質を非常に高い温度まで加熱しかつ非常に高い圧力で動作させることが必要である。この取り組み方式を用いることによれば、極低温凍結された試料を迅速に溶解することが可能である。しかしながら、この取り組み方式が要求する圧力及び温度によりまた、熱及び圧力抵抗性材料から製作された高価な構成品が必要となること、かつ/又は安全性の問題を生じることがある。さらに、非常に高い温度ではその圧力によって、溶解媒質が容易に蒸気状態に至ることがある。しかし蒸気では液体の溶解媒質と比べて凍結された固体試料への熱伝達に次いでこれを溶解させることが不十分である。したがって、高温の溶解媒質の蒸気化を防止するための手段が重要である。
【0006】
さらに長時間の溶解では、溶解させた試料内の分極が時間の経過と共に崩壊するため、核分極に対して意図しない悪影響を生じることになり、またタイミングが変動すると溶解プロセスが不確実で得られる分極が様々となる。さらに、溶解が不完全であると当該プロセスの収量に影響を及ぼす。さらに、溶解の時点で中和させる必要があるようなピルビン酸などの遊離酸に関する分極の場合、溶解が不完全であることは得られる溶液のpH制御にとって有害である。したがって、確実かつ利便性がよい溶解プロセスに寄与するようなフィーチャを実現することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術の溶解スティック及び試料容器を表す図である。
【図2】ノズルを組み込んだドッキングハウスに関する本発明の第1の実施形態を表す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を表す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を表す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態を表す図である。
【図6】本発明の第5の実施形態を表す図である。
【図7A】図6のノズルに関する代替的実施形態を表す図である。
【図7B】図6のノズルに関する代替的実施形態を表す図である。
【図7C】図6のノズルに関する代替的実施形態を表す図である。
【図8A】本発明の第6の実施形態を表す図である。
【図8B】本発明の第6の実施形態を表す図である。
【図9】本発明のノズルが分極装置の流体フロー経路内部に配置されているところを表す本発明の第7の実施形態の図である。
【図10】本発明のノズルの周りに位置決めされた生成物試料バイアルを、適所に配置させたそのバイアルキャップと共に表す図である。
【図11】本発明の第8の実施形態を表す図である。
【図12】本発明のノズルを製作する方法を表す図である。
【図13A】ノズルを存在させた場合と存在させない場合の溶解を比較した図(ノズルなし)である。
【図13B】ノズルを存在させた場合と存在させない場合の溶解を比較した図(ノズルあり)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、従来技術による溶解スティック10及び試料容器12を表している。溶解スティック10は試料容器12内部に保持された分極試料物質14を溶解させるように設けられている。
【0009】
本明細書で用いる「試料」という用語は、低い温度で凍結固体状態にある分極物質(典型的には、試料容器に入って提供される)を意味している。「溶解媒質(dissolution medium)」という用語は、試料物質を融解しかつ溶解させるために提供される液体を意味しており、これによって融解されかつ溶解させた試料物質(さらには、溶解媒質の少なくとも一部が入る可能性がある)からなる「溶液」が形成される。溶解媒質の温度は一般的に、試料の温度より高温である。試料の温度は約1〜5Kである一方、溶解媒質の温度は少なくとも室温(すなわち、約295K)である、ただし加熱した(すなわち、高温の)溶解媒質を使用することが好ましい。水性の溶解媒質(例えば、緩衝水溶液)が用いられる場合、こうした緩衝水溶液は約355K以上の温度まで加熱されることがある。したがって、溶解媒質が試料と接触状態になったときに、試料は融解され溶解される。「試料容器」及び「試料バイアル」という用語は、試料の凍結固体形態とその溶液形態の両方において試料を保持することを企図している。
【0010】
溶解スティック10は、相対する開いた第1の開放端18と第2の開放端20を有する細長い管状の外側ハウジング16を含む。ハウジング16は、開いた第1の端部18と開いた第2の端部20の間で流体連通するように延びた細長いキャビティ25を画成している内部表面22を提供する。溶解スティック10は、相対する第1の開放端26及び第2の開放端28を有する第1の細長い導管24と、開放端26と28の間を流体連通するように延びた細長いフロー経路30と、を支持している。第2の開放端28は、液体溶解媒質の供給源(図示せず)に接続されるように設けられている。溶解スティック10はさらに、相対する第1の開放端32及び第2の開放端34を有する第2の細長い導管30と、開放端32と34の間を流体連通するように延びた細長い引出経路36と、を含む。引出経路36は、初めに容器12により提供された溶解媒質及び溶解済み試料物質を導くためのルートを提供する。
【0011】
試料容器12は典型的には、その中に試料物質が提供される試料レセプタクル44を画成する直立した開いた円筒壁42を支持する平面基部40を含む。容器12が溶解スティック10の開放端18に挿入されると、壁42はハウジング16の内部表面22と封止性に連結され、これらの間の流体漏れを防止する。溶解スティック10及び容器12は、第1の導管24の第1の開放端26から溶解媒質が提供されたときにその内部に試料物質を保持するような試料キャビティ50を画成している。溶解媒質と溶解済み試料物質との混合物は、キャビティ50から第2の導管30の引出経路36を通って受け取り器箇所まで引き出されており、この受け取り器箇所においてインビトロのNMR分析やインビボ利用に適した過分極済み材料を提供するようにさらに処理を受けることが可能である。
【0012】
本発明は、試料物質上への溶解媒質のフロー速度を増大させるために試料キャビティに隣接したノズルの組み入れを提供する。本発明のノズルはさらに、試料キャビティ内における試料物質の効率よい溶解を提供するように溶解媒質のフローを導くので望ましい。ノズルの設計及び配置は、試料物質の完全かつ迅速な溶解が得られるように最適化することができる(これについては本明細書の以下でより完全に記載することにする)。このノズルによれば、引出導管を通る溶解済み試料物質の導入が促進されかつ溶解済み試料物質がキャビティ内に滞留させるような渦(eddies)や渦流(vortices)を形成しないような試料キャビティを通過する流体フローを提供できるので望ましい。
【0013】
したがって本発明によれば、閉じた流体経路内で極低温凍結の試料を完全に溶解する能力が提供される。本発明によればさらに、バイアルから受け取り器まで溶解済み生成物を転送する能力が提供される。さらに本発明によれば、バイアル内の材料の量によらずに完全な溶解が得られるようにノズル/内側チューブの配置を修正する能力が提供される。本発明によればさらに、様々な動作温度及び圧力における溶解を向上させるようにノズルのサイズ及び形状を修正する能力が提供される。さらに本発明によれば、大きな質量流量を維持する一方、出口において依然として大きな流体速度を達成するようなより大径の内側チューブを使用する能力が提供される。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態であり、ノズルを組み込んだドッキングハウス110を表している。ドッキングハウス110は溶解スティック内に組み込まれることや、分極プロセスの最後に分極装置内に単独に組み込まれることがある。ドッキングハウス110は、凍結分極試料14を包含した試料容器12を覆うようにぴったりとはめ合わせている。試料容器12がドッキングハウス110に取り付けられた後、ある体積の溶解媒質が導管116を通って送られドッキングハウス110内に導かれる。ドッキングハウス110は、3つの開口(すなわち、溶解媒質をその内部に通過させて提供する導管116を収容するための溶解媒質ポート120、試料及び溶解媒質の溶液をその内部を通過させて引き出す溶液導管126を収容するための溶液ポート124、並びに流体密閉接続で試料容器12を受け容れるための試料ポート128)を画成するハウジング本体118を有する。ドッキングハウス110は、凍結分極試料がその内部に提供される試料キャビティ125を画成する。試料キャビティ125は典型的には、本体118と溶解させようとする凍結試料を保持している試料容器(図示せず)との間に完全に画成される。
【0015】
図2で分かるように、ドッキングハウス110は溶解媒質ポート120内部に設けられたノズル130を含む。ノズル130は、入力ポート132、分注ポート134、並びにこれらの間を流体連通するように延びたノズルフロー経路136を含む。ノズル130は、フロー経路136をさらに画成している円錐形のテーパがついた内側壁140を含むことが望ましい。本発明の実施形態のそれぞれに関して理解されるが、分注ポート134は導管116のフロー通路116aの断面積より小さい断面積により特徴付けされる。本発明はしたがって、分注ポート134の上流側の導管116を通過する流量と比較して分注ポート134を通過する溶解媒質の流量を上昇させることができる。さらに本発明のノズルは、凍結試料の上に溶解媒質フローを導くように方向付けすることが望ましい。
【0016】
当業者であれば、ノズルの設計が溶解の効率に影響を与えることを理解されよう。この場合、ノズルの内側表面に円錐形のテーパがついていれば、試料容器の固体試料の中身全体の排出に関しても、また移送中に核分極が保持されるような利便性がよい溶解プロセスの提供に関しても、溶解の成績が大幅に促進される。しかし本発明によれば本発明のノズルに関する追加的な設計も企図されることが理解されよう。さらに本発明ではそのノズルが、それと接触状態になる材料と反応することがなく、かつ試料物質の分極レベルに悪影響を与えることがないような材料から形成されることが企図される。
【0017】
図2ではノズル130がドッキングハウス110の一部となるように表しているが、本発明ではさらに、ノズル130が導管116の自由端上に直接組み込まれることがあることが企図される。したがって別の実現形態は、固体試料を包含する試料バイアル内で終わっている閉じた流体経路の一部であるようなノズルである。実際にはこのノズルは、溶解によりそこから試料が取り出されるような分極装置のコンテキストにおける任意の機構に関して好ましいフィーチャである。したがってさらに、ドッキングハウス10は分極装置内部の付属具となり得ることが企図される。試料容器はさらに、本発明による継続する試料の溶解を可能にするようにドッキングハウス10内に連続して挿入されかつこれから引き出される。
【0018】
溶解効率にとってノズルの端部オリフィス直径が決定的なものであることが実証されている。もちろん最適な直径は、試料容器の深さ及び形状、試料の量、並びに選択した溶解媒質の圧力など多くのパラメータに依存する。
【0019】
図3は、本発明の第2の実施形態を表している。溶解スティック210は試料容器12の内部に保持された凍結分極試料物質を溶解させるように設けられている。溶解スティック210は、相対する第1の開放端214及び第2の開放端216と該開放端214と216の間を流体連通するように延びた細長いキャビティ220を画成する内部表面218とを有する細長い管状外側ハウジング212を含む。溶解スティック210は、相対する第1の開放端224及び第2の開放端226を有する第1の細長い導管222を支持している。導管222の第2の開放端226は溶解媒質の供給源に対して接続可能である。導管222は、開放端224と226の間を流体連通するように延びた細長い溶解媒質フロー経路230を画成する内側表面228を含む。
【0020】
溶解スティック210は、相対する第1及び第2の端部(それぞれ、234と236)を有するコンストリクション部材232を提供する。コンストリクション部材232はハウジング212の内部表面218上に支持されている。コンストリクション部材232の第1の端部234は、第1の開放端224の位置におけるフロー経路230の有効断面積を低減するために導管222の第1の開放端224内まで延びている。コンストリクション部材232によってしたがって、開放端224を通過する溶解媒質が、その上流側にある導管222内の流量と比較して加速される。コンストリクション部材232はさらに、導管222の第1の開放端224から流出する流体をキャビティ220内部の選択箇所の方向に導くようなフロー経路230を基準とした形状(又は、角度付け)とし得るような外部表面238を含む。導管222からの溶解媒質フローのこの特定の方向はキャビティ220の寸法や幾何学形状、並びにキャビティ220内に入る溶解媒質の所望流量により影響を受ける。
【0021】
溶解スティック210はさらに、相対する第1及び第2の開放端(それぞれ、242と244)を有する第2の細長い導管240を支持している。導管240は開放端242と244の間を流体連通するように延びた細長い引出経路246を画成する。導管240の第2の開放端244は、キャビティ220から引き出される溶液のための回収器又は受け取り器に対して接続可能である。
【0022】
図4は、本発明の第3の実施形態であり、本発明の溶解スティック又はドッキングハウスの内部に凍結分極済み材料を保持するための試料容器310を表している。試料容器310は、凍結分極試料物質を受け容れるための試料レセプタクル314を画成する容器本体312を含む。容器本体312は、溶解スティックやドッキングハウスなど溶解しかつ溶解済み分極済み材料を引き出すためのデバイスとはめ合わされるように適合させている。このデバイスは、第1の流体速度で溶解媒質を提供するための第1の導管と、その溶解後に分極済み材料を引き出すための第2の導管と、を含む。容器本体312は、溶解媒質を第1の流体速度を超える第2の流体速度まで加速するために、試料レセプタクル314と重なり合った位置合わせでノズル316を支持している。ノズルブレース318によって溶解媒質導管を基準としたノズル316の適正な位置決めが保証される。すなわち、ノズル316は溶解媒質導管の開放端を覆うように配置させ、これにより溶解媒質導管を通過して流れる溶解媒質がすべてノズル分注ポート318を通って出て行くようにしている。分注ポート318は、分注ポート318をその上に配置させる溶解媒質導管より小さい断面積であることによって特徴付けされる。
【0023】
図5は、本発明の第4の実施形態であり、溶解スティック又はドッキングハウスの内部に凍結分極試料物質を保持するための試料容器410を表している。試料容器410は、分極物質を受け容れるための試料レセプタクル414を画成する容器本体412を含む。容器本体412は、溶解スティックやドッキングハウスなど溶解しかつ溶解済み分極物質を引き出すためのデバイスとはめ合わされるように適合させている。このデバイスは、第1の流体速度で溶解媒質を提供するための第1の導管と、その溶解後に分極済み材料を引き出すための第2の導管と、を含む。容器本体412は、溶解媒質を第1の流体速度を超える第2の流体速度まで加速するために、試料レセプタクル414と重なり合った位置合わせでコンストリクタ416を支持している。コンストリクタブレース418によって、溶解媒質導管を基準としたコンストリクタ416の適正な位置決めが保証される。すなわち、コンストリクタ416は溶解媒質導管の開放端にその一部が入るように配置させ、これにより溶解媒質導管を通過して流れる溶解媒質がすべてがこうして形成された分注ポートを通って導管を出るようにしなければならない。この分注ポートは、コンストリクタ416から上流側にある溶解媒質導管と比べてコンストリクタ41と導管の内側壁の間に拡がるような断面積がより小さいことによって特徴付けされる。
【0024】
図6は、本発明の第5の実施形態であり、凍結分極試料物質を溶解するための溶解スティック610を表している。溶解スティック10は、試料容器12の内部に保持されると共にすでにその中に挿入された分極試料物質を溶解させるように設けられている。溶解スティック610は本質的に、溶解スティック10に関する本発明のノズルを組み込むようにした一修正形態である(ただし、流体が流れる方向は反対である)。溶解スティック610は、相対する第1の開放端614及び第2の開放端616を有する細長い管状外側ハウジング612を含む。ハウジング612は、開放端614と616の間を流体連通するように延びた細長いキャビティ620を画成する内部表面618を含む。キャビティ620のうち開放端614と隣接する部分は、試料容器12がその中に挿入される試料キャビティ625を提供する。溶解スティック610は相対する第1及び第2の開放端(それぞれ、624と626)を有する細長い溶解媒質導管622と、これらの間を流体連通するように延びた細長い溶解媒質フロー経路628と、を支持している。溶解スティック610はさらに、相対する第1及び第2の開放端(それぞれ、632と634)を有する細長い溶液導管630と、これらの間を流体連通するように延びた細長い引出経路636と、を含む。流体フローを導管622及び630にまた試料キャビティ625に閉じ込めたままとするように外側ハウジング612を封止するためのガスケット部材635が設けられている。
【0025】
第1の導管622の第1の開放端624は、第2の導管630の第1の開放端632から上流側にある外側ハウジング612のキャビティ618内部に位置決めされる。第2の導管630の第1の開放端632は、外側ハウジング612のキャビティ620内部において環状の支持体638によって中央支持されている。図7Aで分かるように環状支持体638は、第2の導管630と外側ハウジング612の内部表面618の間の箇所においてフローポート640及び642を画成する。本発明によれば、フローポート640及び642により提供される総断面積が、第1の導管622の第1の開放端624により画成される分注ポート644の総断面積より小さい。
【0026】
図7B〜Cは、図6の溶解スティック内に組み込まれた本発明のノズルの代替的実施形態を表している。図7Bでは環状支持体638は、溶液導管630と外側ハウジング612の間の中間に配置された単一のフローポート650を画成している。図7Cでは環状支持体638は、第2の導管630からハウジング612の内部表面618まで延びる単一のフローポート660を画成している。それぞれの例において、環状支持体638により提供されるフローポートの総断面積は分注ポート644の断面積より小さく、これにより試料キャビティ620内への流量が加速される結果となる。
【0027】
図8A〜Bは、本発明の第6の実施形態であり、試料容器12の内部に保持された分極試料物質を溶解させるように設けられている溶解スティック810を表している。溶解スティック810は、本発明によるノズルが設けられている以外は溶解スティック10と構成は実質的に同一である。溶解スティック810は、相対する第1の開放端814及び第2の開放端816を有する細長い管状外側ハウジング812を含む。ハウジング812は、開いた第1及び第2の端部(814と816)の間で流体連通するように延びた細長いキャビティ820を画成する内部表面818を含む。溶解スティック810はさらに、相対する第1及び第2の開放端(それぞれ、824と826)を有する第1の細長い導管822と、これらの間を流体連通するように延びた細長いフロー経路828と、を含む。第2の開放端826は溶解媒質の供給源と流体連通するように位置決め可能である。第1の導管822の第1の開放端824はノズル825の上流側にあるフロー経路828の断面寸法と比べて断面寸法がより小さいフローポート830を画成するノズル825を含む。本発明では、ノズル825は本明細書の以下に記載するような方法により形成されることがあるが、その中を通る流体フローを加速させるように機能する任意のノズルが本発明で使用するように想定されることが企図される。
【0028】
溶解スティック810はさらに、相対する第1及び第2の開放端(それぞれ、842と844)を有する第2の細長い導管840と、これらの間を流体連通するように延びた細長い引出経路846と、を支持している。第2の導管840の第2の開放端844は、溶解媒質のための引出終着点と流体連通するように位置決め可能である。
【0029】
図9及び10は、本発明の第7の実施形態を表している。図9は、分極装置の流体フロー経路内部の当該箇所にある本発明のノズル935を表している。図10は、凍結分極試料物質914を提供する試料容器912に接続可能な本発明のドッキングハウスと機能的に同様のバイアルキャップ910を表している。試料容器912は、開いた第1の端部916、閉じた第2の端部918、並びにこれらの間に延びる細長い円筒状の壁920を含む。壁920は、試料キャビティ925を画成する内部表面920aを含む。バイアルキャップ910はキャップ本体924を含んでおり、キャップ本体924は試料容器の開放端916に関する流体密閉性の受け入れのための試料ポート926を画成している。試料キャビティ925はしたがって、試料容器912をバイアルキャップ910とはめ込んだときに完全に画成される。
【0030】
バイアルキャップ910はさらに、その中を通過する単一のフローポート928を画成しており、このフローポート928には溶解媒質導管930と溶液導管932の両方が収容されている。溶解媒質導管930は、溶液導管932内部において同心円状に支持されており、これにより溶解媒質導管930を通り試料キャビティ925に提供される溶解媒質が凍結試料物質を溶解させると共に溶解媒質導管930の周りにある環状の引出経路934から流出させる。
【0031】
溶解媒質導管930はさらに、ノズル935を有する第1の開放端936を含む。ノズル935は、溶解媒質導管930により画成される溶解媒質フロー経路938内のコンストリクションであり、これがその中を通る流体フローを、ノズル935の上流側にある導管930内の流体の流量と比較して加速させている。
【0032】
試料キャビティ925の上のノズル935の中央箇所によって、キャビティ925内の極低温凍結生成物を迅速かつ完全に溶解させ、さらに該生成物溶液を引出経路934と通って、図9に示すようなこれが受け取り容器988内に回収される箇所である最終箇所まで移動させるような流体フロー特性が提供される。
【0033】
ここで再度図9を参照すると、溶解媒質を包含するシリンジ980は溶解媒質導管930に接続されている。バルブ982が開かれると、シリンジ980は溶解媒質を溶解媒質導管930内に、またノズル935を通って試料キャビティ925内に供給することができる。溶解媒質と溶解済み過分極試料物質の溶液は、シリンジ980から溶解媒質が連続して提供されるため、引出経路934を通って導かれる。この溶液は、開放状態にあるバルブ984を通り、フィルタ986を通り、かつ溶液が回収される場所である受け取り器988内に導かれる。本発明によれば、処理の最後には最初の凍結試料物質の実質的にすべてが受け取り器988内に至ることが企図される。
【0034】
ここで図11を参照すると本発明はさらに、分極装置内部に組み入れできる溶解デバイス1010を提供する。溶解デバイス1010は、相対する第1の端部及び第2の端部(それぞれ、1014と1016)を有する第1の細長いチューブ1012と、これらの間に延びる細長い管状壁1018と、を含む。第1の端部1014は、溶解流体の供給源(図示しないが、図9に関して記載したものと同様である)と流体連通するように位置決めされる第1のポート1020を画成しており、また第2の端部1016は出口ノズル1022を含む。出口ノズル1022はノズルポート1024を画成する。管状壁1018は、ポート1020と1024の間に延びる細長い伝達通路1026を画成する。ノズルポート1024は、本発明の別の実施形態に関して記載したようにその内部を通過する通路1026からの流体フローを加速させるような形状としている。
【0035】
溶解デバイス1010は、外側ハウジング壁1030を有する外側ハウジング1028を含んでおり、この外側ハウジング壁1030は凍結分極試料を保持するための試料キャビティ1032を画成している。試料キャビティ1032はノズルポート1024と流体連通する。外側ハウジング壁1030は、試料キャビティ1032と流体連通する流体引出ポート1034を画成する。外側ハウジング1028はさらに、外側ハウジング壁1030から延びる細長い外側管状壁1036を含む。外側管状壁1036は、流体引出ポート1034と流体連通するように延びた細長い引出通路1038を画成する。
【0036】
第1の細長いチューブ1012は外側管状壁1036の引出通路1038内部で延びている。外側ハウジング壁1030はさらに、その内部を通る第1の細長いチューブ1012を収容するためのアクセスポート1040を画成する。外側管状壁1036はさらに、引出通路1038と流体連通する流出口ポート1042を画成する。本発明はさらに、第1の細長いチューブ1012が引出通路1038の流体完全性(integrity)を維持する装着用スリーブ1044によって摺動自在に装着される一方、さらに試料キャビティ1032を基準としてノズル1022を選択的に位置決めするために引出通路1038内部で第1の細長いチューブ1012の延長及び後退を可能にさせることがあることも企図している。
【0037】
外側ハウジング壁1030はさらに、横方向を向いた端部壁1048から延びる細長い円筒状の試料保持壁1046を含む。細長い円筒状試料保持壁1046と細長い外側管状壁1036の間にはテーパ付きの円錐台壁1050が延びている。図11では連続した単体の管状壁を形成するように壁1036、1046及び1050を示しているが、本発明はさらに、円錐台壁1050が図10に示すようなバイアルキャップ910により提供されることがあり、これにより試料保持壁1046は円錐台壁1050に対して着脱自在に接続可能となり試料キャビティ1032へのユーザアクセスを可能にすることも企図している。
【0038】
図9に示したのと同様に、溶解デバイス1010は第1の細長いチューブの第1の端部にある溶解媒質を包含したシリンジ(又は、別の供給元)に接続されることがある。溶解媒質はしたがって、第1の細長いチューブ1012内に提供され、またノズル1022を通って試料キャビティ1032内に提供される。溶解媒質及び溶解済み過分極試料物質からなる溶液は、溶解媒質が連続して提供されるため、引出通路1038を通って導かれる。この溶液は流出口ポート1034を通って待機用受け取り器に向けて導かれる。本発明によれば、処理の最後には最初の凍結試料物質の実質的にすべてが受け取り器内に至ることが企図される。
【0039】
実験及びモデル化によって、これを高信頼性に実現するためには内側チューブの端部位置にノズルを配置すること、並びにこのノズルは凍結試料からある距離の範囲内に配置させること(図12)が有利であると分かった。このパラメータをスタンドオフ(standoff)と呼んでおり、凍結試料の表面とノズルの間の距離と定義される。実験によって、ノズルを表面に近づけて配置させるほど、得られる溶解がそれだけ良好となることが分かっている。しかしながら、試料が溶解媒質の注入以前の任意の時点で融解され再凍結される場合、ノズルの配置を表面に近づけすぎると詰まりを生じる可能性があることも観察された。
【0040】
好ましい実施形態では、そのノズル直径は0.9mmでありかつそのスタンドオフは5mmに設定される。これにより、外側チューブ内径を2.69mmとしかつ内側チューブ外径を1.83mmとして、系からの脱出に好ましい概ね1.6のフロー面積比が得られる。
【0041】
図12は、本発明のノズル935を製作するための一方法を表している。加熱用ブロック952で支持された細長い垂直に延びるピン950を覆うように溶解媒質導管930の第1の端部936を位置決めすることによってノズル935は作成される。加熱用ブロック952は、電力の供給により加熱する電熱素子とすることが望ましい。その中を通る細長い導管通路956を画成する細長い円筒状の真鍮ガイド954はピン950の周りで同心円状に支持されている。加熱用ブロック952が導管材料の融解温度に向けて加熱して行くと、導管材料はピン950の方向に流れ始める。導管材料が流れるに連れて、導管930はさらに加熱用ブロック952の方向に運ばれることがある。したがって、導管930の開放端936はピン950を巡るように再形成される。こうして変形を受けた導管が十分に低温になった後、導管930を真鍮ガイド954から引き出してピン950から外すことができる。
【0042】
ノズル935の形成をさらに支援するために、加熱用ブロック952によって、開放端936が先ずその内部に挿入される導管受け容れ用窪み960を画成させることがある。ピン950は窪み960内で中央に支持される。さらに、ブロック952の加熱は導管930の変形工程と同時に実施することもあることが企図される。別法として、既に加熱を受けたブロック952に導管930を提供し変形を生じさせることもある。この方法によれば、ある長さ及び直径をもつノズルが導管930内に形成されている。この技法は、ある範囲の直径及び深さをもつオリフィスを形成するために利用されてきたものである。
【0043】
本発明の特定の実施形態について図示し説明してきたが、本発明の教示から逸脱することなく変形及び修正を実施できることは当業者には明らかであろう。上の記載及び添付の図面に列挙した事項は単に例示のために提供したものであり、限定として提示したものではない。本発明の実際の範囲は、従来技術に基づいてその適正な観点で検討することによって添付の特許請求の範囲から規定されるように意図している。
【0044】
図13では、溶解プロセスに対するノズルの影響を例証している。
【0045】
2.2gのピルビン酸を130℃まで加熱し250psiまで加圧した50mLの水(溶解媒質)で溶解させた。この溶解プロセスを視覚化する支援のためにピルビン酸に赤の食用着色剤を添加した。
【0046】
図13Aはノズルがない場合の溶解プロセスを表している。この例では、第1の導管の開いたアパーチャは直径を1.6mmとし、これにより概ね4m/sの直線流体速度が得られた。50mLの溶解媒質は溶解が開始されて概ね6秒で消費され、この時点で未融解の残りの酸は系からの回収が不可能となった。
【0047】
図13Bはマズル(すなわち、ノズル)がある場合の溶解プロセスを表している。この例では、上で記載したノズル製作方法を用いて、第1の導管の開いたアパーチャが0.9mmまで小さくなった。このフロー制限によって、12m/sを超える直線流体速度が達成された。より高速の液体ジェットの衝撃で酸試料の中心が迅速に融解し(時間=1s)、これに続いて半径方向にある残りの酸が徐々に融解した。ノズルを適所に配置させたところ、溶解媒質が完全に消費される十分前の時点で酸は概ね4秒で完全に融解した。
【0048】
溶解媒質が消費されるまでに融解プロセスが終了することによって、この系の酸回収効率はノズルのない系と比較して増大した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNP分極装置で使用するためのドッキングハウスであって、
DNP分極装置の管状流体導管の自由端をその中に受け容れるように適合可能なハウジング本体であって、該導管の流体フロー経路は該ハウジング本体で支持されたノズルと流体連通するように位置決めされており、該ノズルは凍結分極試料をその内部に配置できる試料キャビティと重なり合った位置合わせで位置決め可能であるハウジング本体を備えるドッキングハウス。
【請求項2】
前記ノズルはさらに、入力ポートと、分注ポートと、該入力ポートと該分注ポートの間を流体連通するように延びたノズルフロー経路を画成するテーパ付き内側表面又は階段状内側表面と、を含む、請求項1記載のドッキングハウス。
【請求項3】
前記ハウジング本体を通って延びる流体引出経路であって、前記試料キャビティと流体連通する端部を有する流体引出経路をさらに備える請求項1又は請求項2記載のドッキングハウス。
【請求項4】
前記流体引出経路は、前記ノズルに隣接して延びる、かつ/又は前記ノズルの上流側において前記流体フロー経路から横方向に離間されている、請求項3記載のドッキングハウス。
【請求項5】
前記ノズルはさらに、その総断面積が前記ノズルの上流側にある前記流体フロー経路の断面積より小さいような複数の分注ポートを含む、請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載のドッキングハウス。
【請求項6】
前記ノズルの周りに延びる流体引出ポートを備える請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のドッキングハウス。
【請求項7】
前記ノズルは前記流体引出ポート内部で同心円状に配置されている、請求項6記載のドッキングハウス。
【請求項8】
前記流体引出ポートは前記ノズル分注ポートから前記試料キャビティを横断して位置決めされている、請求項6又は請求項7記載のドッキングハウス。
【請求項9】
前記ハウジング本体は前記流体導管に着脱可能に接続可能である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のドッキングハウス。
【請求項10】
前記ハウジング本体は試料容器に対して着脱可能に接続可能であり、前記試料キャビティは前記ハウジング本体と該試料容器によって画成されている、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のドッキングハウス。
【請求項11】
分極試料を溶解させるDNP分極装置のサブシステムであって、該分極装置サブシステムは自由端位置で終わっている細長い導管セクションを備えており、該導管セクションは凍結分極試料を保持するための試料キャビティと流体連通するように位置決めされた細長い流体フロー経路を画成しており、該導管セクションの該自由端はさらに該流体フロー経路を横断するより大きな断面寸法と比べてより小さい断面寸法をもつ出口ポートを備える、DNP分極装置サブシステム。
【請求項12】
細長い変形可能な導管本体の一方の開放端にノズルを形成する方法であって、
前記開放端内に細長い部材を位置決めする工程と、
前記導管本体の前記開放端を前記細長い部材の方向に変形させる工程と、
前記細長い部材を前記開放端から除去する工程と、
を含む方法。
【請求項13】
前記開放端を加熱する工程をさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記細長い部材の一方の端部を加熱用ブロック内で支持する工程をさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記変形工程はさらに前記導管本体を前記加熱用ブロックに向けて移動させる工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記細長い部材の前記一方の端部がその内部に支持されている導管受け容れ窪みを画成する加熱用ブロックを提供する工程をさらに含む請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記加熱工程は前記変形工程と同時に実行されている、請求項13記載の方法。
【請求項18】
凍結分極物質を保持するための試料容器であって、
分極物質を包含するための試料レセプタクルを画成する容器本体であって、分極物質の溶解及び引き出しのために第1の流体速度で溶解媒質を提供するための第1の導管及び分極物質をその溶解後に引き出すための第2の導管を含むデバイスに対してはめ合わせるように適合されている容器本体と、
第1の流体速度を超える第2の流体速度まで溶解媒質を加速させるために前記容器本体によって前記試料レセプタクルと重なり合った位置合わせで支持されたノズルと、
を備える試料容器。
【請求項19】
前記ノズルはさらに、該容器がデバイスとはめ合わされたときに第1の導管内まで延びる第1の端部を有する細長いコンストリクション部材を備える、請求項18記載の試料容器。
【請求項20】
前記ノズルは第1の導管の断面寸法と比べて断面寸法がより小さい1以上の分注ポートを画成するノズル本体を備えており、前記ノズルは該1以上の分注ポートを第1の導管により画成されるフロー経路と流体連通するように位置決めするためにデバイスの第1の導管とはめ合わされている、請求項18又は請求項19記載の試料容器。
【請求項21】
分極試料物質を溶解するための溶解スティックであって、
相対する開いた第1及び第2の端部と該開いた第1と第2の端部の間で流体連通するように延びた細長いキャビティを画成する内部表面とを有する細長い管状外側ハウジングと、
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長いフロー経路とを有する第1の細長い導管と、
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長い引出経路とを有する第2の細長い導管と、
その第1の端部が前記第1の細長い導管の前記第1の開放端内まで延びているような相対する第1及び第2の端部を有するコンストリクション部材と、
を備える溶解スティック。
【請求項22】
前記コンストリクション部材は前記外側ハウジングの前記内部表面上に支持されている、請求項21記載の溶解スティック。
【請求項23】
前記コンストリクション部材は、前記第1の導管の前記第1の開放端から流出する流体を導くような形状とした外部表面を含む、請求項21又は請求項22記載の溶解スティック。
【請求項24】
分極試料物質を溶解するための溶解スティックであって、
相対する開いた第1及び第2の端部と該開いた第1と第2の端部の間で流体連通するように延びた細長いキャビティを画成する内部表面とを有する細長い管状外側ハウジングと、
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長いフロー経路とを有する第1の細長い導管であって、該第2の開放端は溶解媒質の供給源と流体連通するように位置決め可能であり、該第1の導管の前記第1の開放端はノズルの上流側にある前記フロー経路の断面寸法と比べて断面寸法がより小さいフローポートを画成するノズルを含む、第1の細長い導管と、
を備える溶解スティック。
【請求項25】
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長い引出経路とを有する第2の細長い導管であって、該第2の開放端は溶解媒質に関する引出終着点と流体連通するように位置決め可能である第2の細長い導管をさらに備える請求項24記載の溶解スティック。
【請求項26】
前記ノズルはさらに、前記流体フロー経路と前記出口ポートの間を流体連通するように延びたノズルフロー経路を画成している階段状内側表面を画成する、請求項24記載の溶解スティック。
【請求項27】
前記ノズルはさらに、その総断面積が前記ノズルの上流側にある前記流体フロー経路の断面積より小さいような複数の出口ポートを画成する、請求項24記載の溶解スティック。
【請求項28】
前記ノズルの周りに延びた流体引出ポートをさらに備える請求項24記載の溶解スティック。
【請求項29】
前記ノズルは前記流体引出ポート内部に同心円状に配置されている、請求項24記載の溶解スティック。
【請求項30】
前記ノズル出口ポートから前記試料キャビティを横断するように位置決めされた流体引出ポートをさらに備える請求項24記載の溶解スティック。
【請求項31】
前記流体引出フロー経路は前記ノズルの上流側において前記流体フロー経路から横方向に離間されている、請求項24記載の溶解スティック。
【請求項32】
前記ハウジング本体は試料容器に対して着脱可能に接続可能であり、前記試料キャビティは前記ハウジング本体と該試料容器によって画成されている、請求項24記載の溶解スティック。
【請求項33】
分極試料物質を溶解するための溶解スティックであって、
相対する開いた第1及び第2の端部と該開いた第1と第2の端部の間で流体連通するように延びた細長いキャビティを画成する内部表面とを有する細長い管状外側ハウジングと、
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長いフロー経路とを有する第1の細長い導管と、
相対する第1及び第2の開放端とこれらの間を流体連通するように延びた細長い引出経路とを有する第2の細長い導管と、を備えており、
前記第2の導管の前記第1の開放端は、前記第2の導管と前記外側ハウジングの前記内部表面の間に配置させた周回配置性の1以上のフローポートを画成するために前記外側ハウジングの前記キャビティ内部に支持されて、該周回配置性の1以上のフローポートにより提供される総断面積が前記第1の導管の前記第1の端部により画成される前記分注ポートの総断面積より小さいようにしており、
前記第1の導管の前記第1の開放端は、前記第2の導管の前記第1の開放端から上流側において前記外側ハウジングの前記キャビティ内部に位置決めされている、溶解スティック。
【請求項34】
凍結分極試料を溶解するためのデバイスであって、
第1の端部、第2の端部及びこれらの間に延びる細長い管状壁を備える第1の細長いチューブであって、該第1の端部は溶解流体の供給源と流体連通して位置決めされるように第1のポートを画成しており、かつ該第2の端部は該第2の端部を通ってその中を通過する流体フローを加速させるような形状としたノズルポートを画成する出口ノズルを備える、第1の細長いチューブと、
凍結分極試料を保持するために試料キャビティを画成する外側ハウジング壁を備える外側ハウジングであって、該試料キャビティは前記出口ノズルと流体連通しており、該外側ハウジング壁はさらに該試料キャビティと流体連通する流体引出ポートを画成している、外側ハウジングと、
を備える凍結分極試料溶解デバイス。
【請求項35】
前記外側ハウジングはさらに前記外側ハウジング壁から延びる細長い外側チューブ状壁を備えており、該外側チューブ状壁は前記流体引出ポートと流体連通して延びる細長い通路を画成している、請求項34記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項36】
前記第1の細長いチューブは前記外側チューブ状壁の前記細長い通路の内部を延びている、請求項35記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項37】
前記外側ハウジングはさらに、その中を通過する前記第1の細長いチューブを収容するためのアクセスポートを画成している、請求項36記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項38】
前記外側チューブ状ハウジングはさらに、前記細長い通路と流体連通する流出口ポートを画成している、請求項37記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項39】
前記第1の細長いチューブは、前記試料キャビティを基準として前記ノズルを選択的に位置決めするために前記細長い通路の内部で延長及び後退することができる、請求項38記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項40】
前記第1の細長いチューブを保持すると共に前記第1の細長いチューブと前記外側ハウジングの間の流体完全性を維持するために、前記アクセスポートの位置で前記第1の細長いチューブと前記外側ハウジングの間を延びる装着用スリーブをさらに備える請求項39記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項41】
前記外側ハウジング壁はさらに横方向を向いた端部壁から延びる細長い円筒状の試料保持壁を備える、請求項40記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項42】
前記外側ハウジング壁はさらに、細長い円筒状の試料保持壁と前記細長い外側チューブ状壁の間を延びるテーパ付き円錐台壁を備える、請求項41記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項43】
前記試料保持壁は前記円錐台壁に対して着脱可能に接続可能である、請求項42記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。
【請求項44】
前記円錐台壁は、前記試料保持壁と前記外側管状壁の間を延びるようにキャップによって提供されており、該キャップは前記流体引出ポート及び前記ノズルポートが前記試料キャビティと流体連通して位置決めできるようにその内部に通路を画成している、請求項43記載の凍結分極試料を溶解するためのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2010−537213(P2010−537213A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522353(P2010−522353)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061197
【国際公開番号】WO2009/027422
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】