説明

DPP−IV阻害剤およびガストリン化合物の組み合わせ使用

本発明は、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を含む、病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置するための組成物、抱合体及び方法に関する。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の組み合わせは、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の何れかが治療効果を有することが示された病態及び/又は疾患(糖尿病、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態、肥満、代謝症候群、並びに関連疾患及び障害を含むがこれらに限定されない)の予防及び/又は処置において、有益効果、具体的には持続的な有益効果を提供する。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の組み合わせは、予想外の相加効果又は相乗効果を提供するように選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般的に、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)阻害剤とガストリン化合物とを含む組成物、抱合体及び方法、並びにそれらの使用に関する。具体的に、本発明は、とりわけDPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の何れかが治療効果を有する病態の予防、進行遅延又は処置において同時に、別個に又は連続して使用するDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを含む組み合わせ(例えば、組み合わせた製剤又は薬学的組成物);このような病態を予防、進行遅延又は処置する薬学的組成物を調製するためのこのような組み合わせの使用;及びこのような病態を予防、進行遅延又は処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インスリン非依存性糖尿病(又は2型糖尿病)は、末梢インスリン抵抗性の増大及びインスリン分泌の異常を特徴とする。グルコース、アミノ酸及び胃腸ペプチドは、インスリン分泌を促進することが知られている。ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)酵素の阻害剤は、糖尿病、特に2型糖尿病の処置に有用な場合がある薬物として検討されているところである。DPP−IVは、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)や胃抑制ペプチド(GIP)等のインクレチンを不活性化することによってin vivoで作用する。GLP−1及びGIPは、食物を摂取すると産生され、インスリンの産生を促進する。DPP−IVの阻害によって、インクレチンの不活性化が抑制され、その結果インスリンを促進するインクレチンの効果が増大する。従って、DPP−IVを阻害することにより、被験体の血清インスリン値は増加する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本明細書では、糖尿病、より具体的には2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)の病態、空腹時血漿グルコース異常の病態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態、肥満、代謝症候群の肥満、異脂肪血症、骨粗鬆症、並びに関連する疾患及び障害を含むがこれらに限定されない、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の何れかが治療効果を有する病態及び/又は疾患の予防及び/又は処置に使用されるDPP−IV阻害剤とガストリン化合物との組み合わせが開示される。DPP−IV阻害剤とガストリン化合物との組み合わせは、相加効果、又は相加効果より大きな効果(即ち、相乗効果)を提供するように選択される場合がある。
【0004】
本発明の治療計画は、異なる相補的、相加的又は相乗的な作用機序を有する化合物の革新的な組み合わせを使用して、本明細書で開示される病態及び/又は疾患の安全且つ有効な処置を提供する、複数の病態生理学プロセスの改善に関する。種々の機序を利用して最大限の治療有効性を達成する少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む組成物、抱合体又は方法は、より多い用量又はより長期に及ぶ単剤治療(即ち、各化合物を単独で使用した処置)に起因する場合がある副作用のリスクが低下した治療に対する忍容性を改善する場合がある。本発明の組成物、抱合体又は方法によって、各化合物の有害な毒性作用が低下した、一方又は両方の化合物を低用量使用することが可能な場合がある。用量を最適以下にすることによって、安全域を拡大することができ、予防及び治療を達成するために必要な薬剤の費用を減少させることもできる。本発明の特定の態様において、単一の併用投与単位における利便性の増大は、服薬遵守の向上をもたらす場合がある。組成物、抱合体又は併用療法のその他の利点には、分解及び代謝に対する安定性の向上、作用持続時間の延長、及び/又は特に低用量での作用持続時間又は有効性の延長が含まれる。
【0005】
広い意味で言うと、本発明は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む、病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置するための組成物、抱合体及び方法に関する。
【0006】
一態様において、本発明は、1つ以上の有益効果を提供する、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む、本明細書で開示される病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置するための組成物、抱合体及び方法に関する。
【0007】
一態様において、本発明は、1つ以上の有益効果を提供する、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む、インスリン投与被験体において糖尿病を予防及び/又は処置するための組成物、抱合体及び方法に関する。
【0008】
本発明の組成物、抱合体又は方法によって、有益効果、具体的には処置後又は処置終了後に維持される有益効果を提供することができる。有益効果は、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物単独の場合に比べた、C−ペプチド産生の増大、膵臓インスリン産生の増大、及び/又はほぼ正常な血糖値によって明らかにされる場合がある。
【0009】
一態様において、本発明は、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む組成物、好ましくは薬学的組成物を企図する。別の態様において、本発明は、処置後の有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供する少なくとも1つのDPP−IV阻害剤と少なくとも1つのガストリン化合物とを含む薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルを場合により含む場合がある。
【0010】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物と、少なくとも1つの更なる薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルとを含む、組み合わせた製剤又は薬学的組成物等の組み合わせに関する。
【0011】
本発明は又、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物を、何れも場合により薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルと共に含む、個別の容器に入った、好ましくは有益効果を、より好ましくは持続的な有益効果を提供するように同時に又は連続して投与することを目的とした、薬学的組成物をも企図する。
【0012】
本発明は更に、好ましくは有益効果を、より好ましくは持続的な有益効果を提供するようにガストリン化合物と相互作用又は結合するDPP−IV阻害剤を含む抱合体をも企図する。
【0013】
一態様において、本発明は、相補的及び/又は相乗的な作用を共に有し、糖尿病、特に1型糖尿病を処置するための、有効成分の医薬的組み合わせに関する。
【0014】
一態様において、本発明は、相補的及び/又は相乗的な作用を共に有し、糖尿病、特に2型糖尿病の処置のための、有効成分の医薬的組み合わせに関する。
【0015】
本発明は尚更に、好ましくは有益効果、より好ましくは持続的な有益効果を有する組成物及び抱合体をもたらす本発明の組成物及び抱合体を調製する方法を企図する。
【0016】
本発明の一態様においては、処置後に好ましくは有益効果を、より好ましくは持続的な有益効果を提供するのに好ましくは適したDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の安定した薬学的組成物を調製する方法であって、DPP−IV阻害剤、ガストリン化合物、並びに好ましくは物理的にDPP−IV阻害剤を安定させるのに効果的な薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルを含む組成物を調製することを含む、方法が提供される。
【0017】
本発明の別の態様においては、DPP−IV阻害剤の安定した薬学的組成物を調製する方法であって、DPP−IV阻害剤、ガストリン化合物、並びに物理的にDPP−IV阻害剤を安定させるのに効果的で、且つ好ましくは有益効果を、より好ましくは持続的な有益効果を提供するのに適した薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルを混合することを含む、方法が提供される。
【0018】
本発明は、被験体における本明細書で考察される病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置するための併用処置であって、好ましくは有益効果を提供する治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を被験体に投与することを含む併用処置に関する。一態様において、本発明は、処置後に持続的な有益効果を提供する併用処置又は介入を提供する。
【0019】
更に、本発明は、本明細書に記載の病態及び/又は疾患の重症度、症状及び/又は周期的再発を予防及び/又は改善するためのDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体の使用に関する。本発明は尚更に、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を使用した、被験体における疾患及び/又は病態の予防及び/又は処置に関する。
【0020】
一態様において、本発明は、被験体における本明細書で考察される病態及び/又は疾患を予防及び/又は介入する方法であって、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体の投与を含む、方法を提供する。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、組成物又は抱合体は、被験体に直接投与される場合もあれば、細胞(例えば、幹細胞又は前駆細胞)に接触させて被験体に投与される場合もある。
【0021】
本発明は、幾つかの態様において、被験体の病態及び/又は疾患、特に糖尿病及び関連疾患、障害又は病態の処置におけるガストリン化合物の相乗作用の方法であって、少なくとも1つのガストリン化合物及び少なくとも1つのDPP−IV阻害剤を被験体に同時投与することを含む、方法を提供する。
【0022】
本発明は、幾つかの態様において、被験体の病態及び/又は疾患、特に糖尿病及び関連疾患、障害又は病態の処置におけるDPP−IV阻害剤の相乗作用の方法であって、少なくとも1つのガストリン化合物及び少なくとも1つのDPP−IV阻害剤の1つ又は両方を被験体に同時投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
他の態様において、本発明は、被験体における本明細書で考察される病態及び/又は疾患を予防及び/又は介入する方法であって、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を、これらを必要とする被験体に投与して有益効果を提供することを含む、方法を提供する。
【0024】
別の態様において、本発明は、被験体における本明細書で考察される病態及び/又は疾患を予防及び/又は介入する方法であって、少なくとも1つのDPP−FV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を、これらを必要とする被験体に同時投与することを含む、方法を提供する。
【0025】
特定の一態様において、本発明は、被験体の膵島新生を誘導する方法であって、膵島前駆細胞に十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を接触させて被験体の膵島前駆細胞の増殖を増大させることを含む、方法に関する。
【0026】
別の態様において、本発明は、処置を必要とする患者における糖尿病、特に2型糖尿病の処置を処置する方法であって、罹患体の膵島前駆細胞の分化を引き起こしてインスリン分泌細胞を成熟させる及び/又は既存の膵島細胞のインスリン合成を促進するのに十分な量の、ガストリン化合物及びDPP−IV阻害剤、或いはガストリン化合物及びDPP−IV阻害剤を含む組成物を投与することによって処置を行う、方法に関する。
【0027】
一実施態様において、本発明は、被験体のインスリン分泌の減少率を増加させるか、維持するか、又は低減させる方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞機能の減少率を増大、維持又は低減させる方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞の数及び/又はサイズの減少率を増加させるか、維持するか、又は低減させる方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0030】
一実施態様において、本発明は、被験体のインスリン分泌の減少率の増大、維持又は低減から利益を得る疾患の処置であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、疾患の処置に関する。
【0031】
一実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞機能の減少率の増大、維持又は低減から利益を得る疾患の処置であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、疾患の処置に関する。
【0032】
一実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞の数及び/又はサイズの減少率の増大、維持又は低減から利益を得る疾患の処置であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、疾患の処置に関する。
【0033】
本発明は、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を使用して細胞を処置する方法を提供する。具体的に本発明は、幹細胞又は前駆細胞のインスリン分泌細胞への増殖及び分化、インスリン分泌細胞の増殖の増大、及び/又は膵島細胞又は前駆細胞の維持のための方法に関する。細胞は、培養液中又は被験体内でDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物に接触させることができる。
【0034】
一態様においては、病態及び/又は疾患を処置する方法であって、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体を複数の細胞と共に、これらを必要とする被験体に投与することにより、好ましくは有益効果を、より好ましくは持続的な有益効果を提供することを含む、方法が提供される。一実施態様において、化合物/組成物/抱合体は全身に投与される。
【0035】
別の態様において、本発明は、本明細書で考察される病態及び/又は疾患を有する被験体を処置する方法であって、複数の細胞にDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体をex vivoで接触させ、場合により細胞を培養し、必要とする被験体に細胞を投与することを含む、方法を提供する。
【0036】
本発明の特定の態様においては又、培養液中で十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体に曝露させた膵臓島細胞を糖尿病患者に移植して膵島内の膵臓β細胞の数を増加させることによって、処置を必要とする患者における糖尿病を処置するための方法及び組成物も提供され、場合により膵臓β細胞の集団は、移植前に、β細胞群を増殖させるのに十分な時間をかけて培養液中で成長させることができる。
【0037】
本発明は又、病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置する1つ以上の医薬品を調製するための、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物の組み合わせを含む組成物の使用も企図する。本発明は更に、病態及び/又は疾患を処置する医薬品を製造するための、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の併用も企図する。本発明は尚更に、ガストリン化合物と併用し、病態及び/又は疾患を処置する医薬品を製造するためのDPP−IV阻害剤の使用も提供する。更に、本発明は、被験体におけるインスリン分泌の減少、β細胞機能の低下、或いはβ細胞の数及び/又はサイズを増大、維持又は低減させる医薬品を製造するための、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の併用を提供する。
【0038】
一態様において、本発明は、病態及び/又は疾患を予防又は処置する医薬品を調製するための、相加的、相補的又は相乗的有効量の少なくとも1つのDPP−IV及び少なくとも1つのガストリン化合物の使用に関する。別の態様において、本発明は、遅延性の作用プロファイルを有する医薬品を調製するためのDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の使用に関する。本発明は、病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置する医薬品の調製における、本発明の薬学的組成物及び抱合体の使用を更に提供する。その医薬品によって、有益効果、好ましくは処置後の持続的な有益効果が得られる。
【0039】
本発明は又、美容的に有益な体重の減少に影響を及ぼす被験体の美容的処置を行うための、本発明の組み合わせ又は組成物の使用、並びに被験体の身体的外観を改善する方法にも関する。
【0040】
本明細書に記載の組成物又は方法は、抗糖尿病化合物、免疫抑制剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、食欲調節薬、抗高血圧薬、並びに病態及び/又は疾患に起因又は関連する合併症を処置及び/又は予防する薬剤等の、その他の薬剤を場合により含む場合がある。本発明の一態様において、前記のその他の薬剤はPPAR化合物であり、治療有効量のPPAR化合物は、別個に、或いはDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物と併用して投与される。
【0041】
本発明は、別個に、又は抱合体として投与される場合がある活性薬剤の組み合わせを含む予防及び/又は処置方法に関することから、本発明は又、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を含むキット、並びにキット形態の本発明の薬学的組成物又は抱合体をも提供する。一態様において、本発明は、本発明の組成物又はキットの販売を促進する方法であって、前記組成物又はキットの投与がβ細胞の増殖及び/又は膵島の新生に関連するという情報の公開を含む、方法を提供する。
【0042】
本発明のこれら及びその他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかであるはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
(用語解説)
本明細書における両端による数値範囲の説明は、その範囲内に包含される全ての数及び分数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4及び5を含む)。又、その全ての数及び分数は、「約」という用語によって修飾されるものと理解するべきである。
【0044】
更に、“a”、“an”及び“the”という冠詞は、特に内容において特に明記されない限り、複数の指示対象を含むと理解するべきである。従って、例えば、「化合物(a compound)」の言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。従って、本明細書で使用される「DPP−IV阻害剤(a DPP−IV inhibitor)」という表現も又、「1つ以上のDPP−IV阻害剤」又は「少なくとも1つのDPP−IV阻害剤」を意味することができる。本明細書で使用される「ガストリン化合物」という表現も又、「1つ以上のガストリン化合物」又は「少なくとも1つのガストリン化合物」をも意味することができる。
【0045】
「約」という用語は、言及している数値の±0.1〜50%、±5〜50%又は±10〜40%、好ましくは±10〜20%、より好ましくは±10%又は±15%を意味する。
【0046】
本明細書に記載の選択化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、絶対立体化学の観点から(R)−又は(S)−として定義される場合がある鏡像異性体、ジアステレオマー及びその他の立体異性体を生じる場合がある。従って、本発明は、このような全ての可能なジアステレオマー及び鏡像異性体、並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含む。光学活性を有する(R)−異性体及び(S)−異性体は、キラル合成素子又はキラル試薬を使用して調製される場合もあれば、従来の技法を使用して分解される場合もある。本明細書に記載の化合物が幾何学的な不斉中心を含む場合、特に記載がない限り、その化合物はE幾何異性体及びA幾何異性体の両方を含むものとする。互変異性型は全て本発明の適用範囲内に含まれるものとする。
【0047】
「被験体」、「個体」又は「罹患体」という用語は、本明細書で開示される病態及び/又は疾患に苦しんでいるか、或いはこれらに罹患している又はこれらの素因があることが疑われる哺乳類等の温血動物を含めた動物を指す。好ましくは、これらの用語はヒトを指す。これらの用語は又、食用、競技用又はペットとして飼育される家畜も含み、ウマ、ウシ、ヒツジ、鶏、魚、ブタ、ネコ、イヌ及び動物園の動物が含まれる。被験体/個体/罹患体に使用する本明細書の方法は、治療的用途だけでなく予防的用途も企図する。処置のための一般的な被験体には、本明細書で考察される病態及び/又は疾患に罹患しやすいか、罹患しているか、若しくは罹患したヒトが含まれる。
【0048】
「薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクル」という用語は、活性成分の有効性又は活性を妨げず、且つ投与される宿主に有毒でない媒質を指す。担体、賦形剤又はビヒクルには、希釈剤、結合剤、接着剤、滑沢剤、粉末化剤、充填剤、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、並びに特定の組成物の調製に必要となる場合がある吸着剤等のその他の物質が含まれる。活性物質のこのような媒質及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。本発明の特定の態様において、担体、賦形剤又はビヒクルは、DPP−IV阻害剤及び/又はガストリン化合物を安定させるために選択される。
【0049】
「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、且つ所望の薬理学的性質を有する塩を意味する。薬学的に許容される塩とは、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等が認められない被験体又は罹患体の組織と接触した用途に好適であり、且つ妥当なベネフィット/リスク比に相応する塩を意味する。薬学的に許容される塩については、例えばS. M. Berge, et al., J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66:1に記載されている。好適な塩には、化合物内の酸性プロトンが無機塩基又は有機塩基と反応できる場合に形成される場合がある塩が含まれる。好適な無機塩には、例えばナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムで形成されたものが含まれる。好適な有機塩には、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等のアミン塩基等の有機塩基により形成されるものが含まれる。好適な塩には又、無機酸(例えば、塩酸塩及び臭化水素酸)及び有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸、並びにメタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸等のアルカンスルホン酸及びアレーンスルホン酸)により形成される酸付加塩も含まれる。2つの酸性基が存在する場合は、薬学的に許容される塩が1酸−1塩又は2塩である場合があり、同様に、3つ以上の酸性基が存在する場合は、このような酸性基の一部又は全てが塩化されてもよい。
【0050】
「予防及び/又は処置する」、「予防及び/又は処置」又は「予防及び/又は介入」という用語は、病態及び/又は疾患の発症前後の何れかに生理活性物質を被験体に投与することを指す。処置は、短期的又は長期的何れかの方法で行うことができる。具体的に、予防には、本明細書で考察される病態及び/又は疾患を発現するリスクのある被験体を、病態及び/又は疾患の臨床発症の前に管理及び看護することが含まれる。処置又は介入とは、診断時又はそれ以降における被験体の管理及び看護を意味する。予防、処置又は介入の目的は、病態及び/又は疾患を抑制することであり、活性化合物を投与して病態又は合併症の発症を予防又は遅延させること、或いは病態又は合併症を緩和すること、或いは病態及び/又は疾患を除去又は部分的に除去することを含む。
【0051】
「有益効果」は、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物との組み合わせ、或いはそれらの組成物又は抱合体の効果であって、それらの化合物の何れか単独の効果と異なるか、若しくはそれよりも大きい効果を意味する。有益効果には、好ましい薬理学的及び/又は治療的効果、並びに改善された薬物動態学的特性及び/又は生物活性が含まれる。有益効果は、相補効果、相加効果又は相乗効果である場合がある。本発明の好ましい実施態様において、有益効果には、膵島炎症の減少又は不在、疾患進行の抑制、生存率の上昇、或いは病態及び/又は疾患の除去又は部分除去が含まれるが、これらに限定されない。より好ましい態様において、有益効果は、処置終了後長期間にわたって有益効果が持続される「持続的な有益効果」である。一実施態様において、前記効果の内の1つ以上は、処置終了後長期間にわたって持続される。有益効果は、処置後少なくとも約2、4、6、8、10週間、2〜4週間、2〜6週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2週間〜12ヵ月間、及び2週間〜18ヵ月間持続される場合がある。有益効果が持続される期間は、処置の期間及びタイミングと相関する場合がある。被験体は、約2〜8週間、2〜12週間、2〜16週間、2週間〜6ヵ月間、2週間〜12ヵ月間、又は定期的に連続して処置される場合がある。持続的な有益効果は、C−ペプチド産生の増加、膵臓インスリン産生の増加、処置後長期にわたるほぼ正常な又は低血糖値、β細胞産生の増加、及び/又はプログラム細胞死(アポトーシス)の阻害、又は被験体のインスリン使用の減少の1つ以上として発現する場合がある。
【0052】
有益効果は、各化合物の効果に対する2つの化合物の効果の統計解析に関する統計学的に有意な効果である場合がある。各化合物単独と比較した2つの化合物の「統計学的に有意な」又は「有意差のある」効果又は値は、基準より高いか、又は低い値を表す場合がある。本発明の実施態様において、有意差は、各化合物単独において得られた効果よりも1.5、2、3、4、5又は6倍高い又は低い場合がある。
【0053】
DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の「相加効果」とは、2つの個別の化合物の効果の合計に等しい効果を指す。
【0054】
DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の「相乗効果」とは、2つの個別の化合物の効果の合計から生じる相加効果より大きい効果を指す。
【0055】
「併用処置」、「併用療法」及び「併用投与」は、本明細書において交換可能に使用され、処置中の罹患体に活性成分を同時に投与することを意味する。併用投与の際、各成分は、同時に、又は異なる時点に任意の順序で連続して投与される場合がある。従って、各成分は、所望の効果、具体的には有益効果、より具体的には相加効果又は相乗効果を提供するために、間隔を十分に短くして別個に投与される場合がある。第1の化合物は、第2の化合物の処置を更に含む療法で投与される場合がある。特定の実施態様において、本用語は、1年以内にDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を罹患体に投与することを指し、その投与には、2つの化合物が1つの製剤に混合されるのか、2つの別個の製剤であるのかにかかわらず、同時投与だけでなく、それらの化合物の1つをそれぞれ含有する2つの医薬品を別個に投与することが含まれる。
【0056】
「医薬品」とは、薬学的活性を有する化合物(例えば、DPP−IV阻害剤及び/又はガストリン化合物)を罹患体に投与するのに好適な薬学的組成物を指す。
【0057】
「治療有効量」は、1つ以上の所望の有益効果、好ましくは1つ以上の持続的な有益効果を提供する活性化合物(例えば、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物)、本発明の組成物又は抱合体の量又は用量に関する。「治療有効量」とは、処置しない場合と比べて効果のある被験体の予防及び/又は処置のために十分な投与量と定めることができる。
【0058】
「相乗効果的に有効な量」は、相乗効果、具体的には相乗的な有益効果を提供する活性化合物(例えば、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物)、本発明の組成物又は抱合体の量、投与量又は用量に関する。
【0059】
「相補的作用」又は「相補的効果」という表現は、異なる薬理学的機序を介して、例えば少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物の併用によって同じ病変に作用することを可能にする1種又は2種以上の化合物の薬理作用を指す。
【0060】
「相乗作用」という用語は、対応する薬理活性又は治療効果の増大を指す。本発明の組み合わせ又は組成物のある成分が本発明に記載のその他の成分の同時投与によって相乗作用をもたらす場合、このことは、ある成分が単独でもたらす効果よりも大きな効果がもたらされることを指す。
【0061】
「最適以下の用量」又は「最適以下の投与量」とは、単剤療法で使用される場合の活性化合物に最適な量、用量又は投与量未満の量、用量又は投与量を指す。
【0062】
「結合した(associated)」、「結合した(linked)」、「相互作用する」、「相互作用」又は「相互に作用している」という用語は、分子間の任意の物理的な結合を指す。これらの用語は、好ましくは、例えば静電結合、疎水結合、イオン結合、水素結合の相互作用、又は共有結合の相互作用による2つの分子間の安定した結合を指す。
【0063】
この文脈において、「DPP−IV阻害剤」とは、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)の、或いは静止細胞プロリンジペプチダーゼ、DPP8及びDPP9を含むセリンペプチダーゼのファミリーの別のメンバーの拮抗剤である。DPP−IV阻害剤は、DPP−IV及び機能的に関連した酵素の酵素活性の阻害、例えば1〜100%の阻害を示す場合があり、特にGLP−1、GIP、ペプチドヒスチジンメチオニン及びその他の類似分子を含むがこれらに限定されない基質分子の作用を維持する場合がある。DPP−IV阻害剤は、完全性に関与する酵素を阻害することによって、GLP−1の量に間接的に影響を及ぼす場合がある(Hughes, T., et al., 2002, Am I Diabetes Assoc Abstract 272)。DPP−IV阻害剤は、ペプチド化合物又は非ペプチド化合物であってよく、具体的に前記DPP−IV阻害剤は非ペプチド化合物である。
【0064】
「DPP−IV阻害剤」という用語は又、DPP−IV阻害剤の活性代謝物及びプロドラッグ等の、DPP−IV阻害剤の活性代謝物及びプロドラッグを含むことを意図される。「代謝物」は、DPP−IV阻害剤が代謝される際に生成するDPP−IV阻害剤の活性誘導体を指す。「プロドラッグ」は、DPP−IV阻害剤に代謝されるか、或いはDPP−IV阻害剤と同じ代謝物に代謝されるかの何れかである化合物を指す。前記阻害剤は又、例えば結晶変態等の多形だけでなく、対応する立体異性体も含む。
【0065】
代表的なDPP−IV阻害剤の一覧を表1に示す。DPP−IV阻害剤は、何れの場合においても、参照される特許文献又は刊行物において、一般的且つ具体的に開示されている。表1で参照される特許文献及び刊行物(並びにその中で参照される文献)において開示される何れの物質も、本発明を実施する際に使用されるDPP−IV阻害剤として潜在的に有用であると判断される。
【0066】
DPP−IV阻害剤の具体例には、アラニン−ピロリジド、イソロイシン−チアゾリジド及びN−バリル−プロリル,O−ベンゾイルヒドロキシルアミンの偽基質等のジペプチド誘導体又はジペプチドミメティクスが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明の特定の態様において、DPP−IV阻害剤は、米国特許第6,001,155号、国際公開第99/61431号、国際公開第99/67278号、国際公開第99/67279号、独国特許第19834591号、国際公開第97/40832号、独国特許第19616486(C)号、国際公開第98/19998号、国際公開第00/07617号、国際公開第99/38501号、国際公開第99/46272号及び米国特許第20050222221号に記載されたシタグリプチン(Januvia(登録商標);Merck & Co.)、ビルダグリプチン(LAF237、Galvus(登録商標);Novartis)、PSN9301、サクサグリプチン(BMS−477118;Bristol Myers Squibb)、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシル チアゾリジン、L−allo−イソロイシル チアゾリジン、L−threo−イソロイシル ピロリジン、イソロイシン チアゾリジド、バリン ピロリジド、NVP−DPP738(Novartis[米国マサチューセッツ州ケンブリッジ])、P32/98(Probiodrug AG[ドイツ ハレ])、P93/01(Probiodrug)及びL−allo−イソロイシル ピロリジン、並びに任意の場合におけるその薬学的塩である。
【0068】
本発明の組み合わせ、使用、方法及びキットの特定のDPP−IV阻害剤は、1−{2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチルアミノ}アセチル−2(S)−シアノ−ピロリジン ジヒドロクロリド(DPP728)、特にそのジヒドロクロリド;(S)−1−[(3−ヒドロキシル−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(ビルダグリプチン;Galvus(登録商標)、LAF237);L−threo−イソロイシル チアゾリジン(Probiodrugによる化合物コード:P32/98);MK−0431;GSK23A;シタグリプチン(Januvia(登録商標);Merck & Co.)、サクサグリプチン(BMS−477118;Bristol Myers Squibb);3−(アミノメチル)−2−イソブチル−1−オキソ−4−フェニル−1,2−ジヒドロ−6−イソキノリンカルボキサミド、2−{[3−(アミノメチル)−2−イソブチル−4−フェニル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−6−イソキノリル]オキシ}アセタミド、及び任意の場合におけるその薬学的塩である。
【0069】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、シタグリプチン(Januvia(登録商標);Merck & Co.)である。
【0070】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、バリン−ピロリジドである。
【0071】
本発明の別の態様において、DPP−IV阻害剤は、3−(L−イソロイシル)チアゾリジン(イソロイシン−チアゾリジド)である。
【0072】
本発明の別の態様において、DPP−IV阻害剤は、1−[2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチルアミノ]アセチル−2−シアノ−(S)−ピロリジン(NVP−DPP728)。
【0073】
本発明の別の態様では、DPP−IV阻害剤は、3(R)−アミノ−1−[3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−1−オン(MK―0431)である。
【0074】
本発明の別の態様では、DPP−IV阻害剤は、(1S,3S,5S)−2−[2(S)アミノ−2−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(サクサグリプチン、BMS−477118)である。
【0075】
本発明の別の態様では、DPP−IV阻害剤は、[1−[2(S)−アミノ−3−メチルブチリル]ピロリジン−2(R)−イル]ボロン酸(PT−100)である。
【0076】
本発明の別の態様では、DPP−IV阻害剤は、GSK−823093;PSN−9301;T−6666;SYR−322;SYR−619;CR−14023;CR−14025;CR−14240;CR−13651;NNC−72−2138;NN−7201;PHX−1149;PHX−1004;SNT−189379;GRC−8087;PT−630;SK−0403;GSK−825964;TS−021;GRC−8200;GRC−8116;又はFE107542である。
【0077】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、(1−[(β−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン(ビルダグリプチン、Galvus(登録商標)、LAF237)である。
【0078】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、ジペプチド誘導体でない。
【0079】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、ジペプチドミメティクスでない。
【0080】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、バリン−ピロリジドと同一でない。
【0081】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、アラニン−ピロリジドと同一でない。
【0082】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、3−(L−イソロイシル)チアゾリジン(イソロイシン−チアゾリジド)と同一でない。
【0083】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、N−バリル−プロピル,O−ベンゾイルヒドロキシルアミンと同一でない。
【0084】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、1−[[[2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン(NVP−DPP728)と同一でない。
【0085】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、3(R)−アミノ−1−[3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−1−オン(MK―0431)と同一でない。
【0086】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、(1−[[3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン(ビルダグリプチン、Galvus(登録商標)、LAF237)と同一でない。
【0087】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、(1S,3S,5S)−2−[2(S)アミノ−2−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(BMS−477118)と同一でない。
【0088】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、[1−[2(S)−アミノ−3−メチルブチリル]ピロリジン−2(R)−イル]ボロン酸(PT−100)と同一でない。
【0089】
本発明の一態様において、DPP−IV阻害剤は、GSK823093;PSN−9301;T−6666;SYR−322;SYR−619;CR−14023;CR−14025;CR−14240;CR−13651;NNC−72−2138;NN−7201;PHX−1149;PHX−1004;SNT−189379;GRC−8087;PT−630;SK−0403;GSK−825964;TS−021;GRC−8200;GRC−8116及びFE107542の1つ以上と同一でない。
【0090】
本発明の一態様において、何れか1つ以上のDPP−IV阻害剤は、本発明の何れの実施態様からも除外することができる。DPP−IV阻害剤は、IC50が約10μM未満、約1μM未満、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満又は約1nM未満であるものを選択することができる。一実施態様において、DPP−IV阻害剤は、IC50が約50nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満又は約1nM未満であるものを選択することができる。本発明の一態様において、選択的DPP−IV阻害剤は、PPCE、DPP−II、DPP−8及びDPP−9の1つ以上に対するヒト血漿DPP−IVの選択性が少なくとも約10倍、より好ましくは少なくとも約100倍、最も好ましくは少なくとも約1000倍であるものが利用される。本発明の一態様において、前記DPP−IV阻害剤は、経口で有効である。本発明の特定の態様において、前記DPP−IV阻害剤は、ヒトDPP−IVの阻害剤である。
【0091】
DPP−IV阻害剤は、本技術分野で知られている種々の方法によって調製することができる。
【0092】
核酸又はその断片又はポリペプチドに言及する「実質的類似性」又は「実質的配列類似性」という用語は、他の核酸又は断片又はポリペプチドと最適にアライメントを行う場合において、FASTA、BLAST又はGAP等のよく知られた任意の配列同一性アルゴリズムで測定したときのヌクレオチド塩基又はアミノ酸残基の配列同一性の割合が少なくとも約50%、好ましくは60%であることを示しており、一般的にはヌクレオチド塩基又はアミノ酸残基の少なくとも約70%、より一般的には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも約95〜98%であることを示している。
【0093】
「配列同一性の割合」は、配列のアライメントを行い、必要に応じて、ギャップを挿入して最大の配列同一性割合を達成した後の、配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない場合におけるポリペプチド又は核酸配列の中のアミノ酸残基と同一の候補配列内のアミノ酸残基又はヌクレオチドの割合を意味する。アミノ酸又は核酸の配列同一性の割合を測定することを目的としたアラインメントは、例えば、GCGプログラムパッケージ(Devereux J., et al., Nucleic Acids Research 12(1): 387, 1984);BLASTP、BLASTN及びFASTA、Gap又はBestfit(Wisconsin Package Version 10.0, Genetics Computer Group (C4CG), Madison, Wisconsin; Pearson, Methods Enzymol. 183: 63−98, 1990; Pearson, Methods Mol. Bio. 276: 71−84, 1998)等の一般公開されているコンピュータソフトウェアを使用する等、各種の従来方法で実現することができる。BLASTプログラムは、NCBIや他の供給源から一般公開されている(BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403−410, 1990)。当業者は、比較される配列の完全長上の最大のアラインメントを実現するために必要なあらゆるアルゴリズムを含む、適切なアラインメント測定用パラメータを測定することができる。同一性及び類似性を測定する方法は、一般公開されているコンピュータプログラムにおいて体系的にまとめられている。
【0094】
「類似体」とは、親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されたこと、親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が転化されたこと、親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が欠失したこと、及び/又は1つ以上のアミノ酸残基が親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドに付加されたことを特徴とするポリペプチドを意味する。このような付加、置換、欠失及び/又は転化は、N末端とC末端のどちらか、或いは親ポリペプチド又は野生型ポリペプチド又はそれらの組み合わせの範囲内で認めることができる。一般的に、「類似体」は、6個以下のアミノ酸が親ペプチド又は野生型ペプチドから置換及び/又は付加及び/又は欠失したペプチド、より好ましくは、3個以下のアミノ酸が親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドから置換及び/又は付加及び/又は欠失したペプチド、最も好ましくは、1個のアミノ酸が親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドから置換及び/又は付加及び/又は欠失したペプチドである。
【0095】
変異は、部位特異的突然変異誘発やPCR媒介突然変異誘発等の標準法によってポリペプチドに導入され得る。保存的置換は、1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において行われ得る。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されることである。類似の側鎖を有するアミノ酸は、当該技術分野で既知であり、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシン及びシステイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。変異は、例えば飽和突然変異誘発によっても天然配列の一部又は全体にわたって無作為に導入され得る。突然変異誘発後、変種ポリペプチドは組換え発現され得る。
【0096】
「誘導体」は、親ポリペプチドのアミノ酸残基の1つ以上が化学修飾されたポリペプチドを意味する。誘導体は、例えばアルキル化、アシル化、グリコシル化、PEG化、エステル形成、アミド分解、アミド形成又は疎水性官能基導入による親ポリペプチド又はその類似体のアミノ酸残基の1つ以上の化学修飾によって得ることができる。
【0097】
「キメラポリペプチド」は、異種ポリペプチド(即ち選択ポリペプチド以外のポリペプチド)に操作可能に結合した全て又は一部(好ましくは生物学的に活性)の選択ポリペプチドからなる。融合ポリペプチドにおいて、「操作可能に結合した」という用語は、選択ポリペプチドと異種ポリペプチドが互いにインフレームで融合されていることを示すものとする。異種ポリペプチドは、選択ポリペプチドのN末端又はC末端に融合され得る。キメラ融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術によって産生することができる。
【0098】
「ガストリン化合物」は、ガストリン/CCK受容体、特にガストリン/CCK受容体、及び/又はガストリン分泌増加に完全又は部分的に関連及び/又は活性化するあらゆる化合物を意味し、その化合物には、ペプチド及び非ペプチド化合物が含まれる。
【0099】
「ガストリン/CCK受容体」は、CCK−8、脱硫酸化されたCCK−8、CCK−33、CCK−4を含むがこれらに限定されないコレシストキニン(CCK)、或いは脱硫酸化又は硫酸化されたガストリン−17を含むがこれらに限定されないガストリン、或いはペンタガストリン、或いは他のCCK又はガストリン類似体又はファミリーメンバーに対する特徴的な結合能を示すGタンパク質結合受容体ファミリーのメンバーを意味する。CCK/ガストリン受容体タンパク質の例には、CCK及びCCK/ガストリン受容体、特にCCK/ガストリン受容体が含まれる。
【0100】
本発明の一態様において、本技術分野で知られている方法で測定した適切なIC50を有する、例えばガストリン/CCK受容体においてIC50が約0.7nMであるガストリン化合物が選択される[インビトロにおける細胞増殖アッセイについては、Singhらの文献(1995) J. Biol. Chem. 270: 8429−8438及びKopinらの文献(1995) J. Biol. Chem. 270: 5019−5023を参照し、並びに受容体結合アッセイについては、Singhらの文献(1995) J. Biol. Chem. 270: 8429−8438及びKopinらの文献(1995) J. Biol. Chem. 270: 5019−5023を参照]。ガストリン化合物は、本明細書において考察される活性、半減期等の他の基準に基づいて選択することもできる。
【0101】
本発明において使用可能なガストリン化合物には、ガストリンアゴニスト、コレシストキニン又はコレシトキニンアゴニストを含む1種以上のガストリン化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
「ガストリン化合物」という用語は、DPP−IV阻害剤と併用して少なくとも1つの有益効果を提供する選択化合物を包含する。本発明の別の態様において、ガストリン化合物は、DPP−IV阻害剤と併用してインスリン生成膵島細胞の新生が誘導されるように選択される。更なる態様において、本用語は、DPP−IV阻害剤と相加活性、相乗活性又は相補活性を示すあらゆるガストリン化合物を包含する。
【0103】
前記用語は、ガストリンを含む野生型ガストリンとキメラポリペプチドの類似体、誘導体、断片及び修飾体を包含する。本発明の態様において、ガストリン化合物は、哺乳類のガストリンとの実質的配列類似性を共有し、哺乳類のガストリンの生物活性の一部又は全てを有するポリペプチドである。特定の態様において、ガストリン化合物は、活性類似体、断片又は他の修飾体であってよく、それは、例えば、哺乳類の内因性ガストリンとのアミノ酸配列類似性を共有しており、例えば、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%の同一性を共有している。
【0104】
ガストリン化合物は、固相合成法(Merrifield, 1964, J. Am. Chem. Assoc. 85:2149−2154)や均一溶液内での合成法(Houbenweyl, 1987, Methods of Organic Chemistry, ed. E. Wansch, Vol. 15 I and II, Thieme, Stuttgart)等の、タンパク質の化学作用における既知の方法を使用した化学合成によって合成することができる。その合成は、手作業又は自動操作によって行うことができる。自動合成は、例えばアプライドバイオシステムズの431Aペプチドシンセサイザ(パーキンエルマー)を使用して行うことができる。ガストリン化合物は、市販の原料から得ることもできる。例えば、メチオニン又はロイシンを15位に有する合成ヒトガストリン17は、Bachem AG、Bubendorf(スイス)及びResearch Plus(米国ニュージャージー州)から入手可能である。
【0105】
「ガストリン化合物」には、ガストリン71(受入番号AAH69762及びNP_000796)、ガストリン52、ガストリン34(大ガストリン)、ガストリン17(小ガストリン)、ガストリン14及びガストリン8(ミニガストリン)等の各種形態のガストリンや、ペンタガストリン、テトラガストリン、断片や、その類似体及びその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。大ガストリン34(Bonato, et al., 1986, Life Science 39:959)及び小ガストリン17(Bentley, et al., (1966) Nature 209:583)を包含するガストリンの配列は、本技術分野で知られており、一部は配列番号1〜9で示される。特に、ガストリンの配列には、配列番号5のガストリン71、配列番号6のガストリン52、配列番号1又は2のガストリン34(大ガストリン)、配列番号3又は4のガストリン17(小ガストリン)、配列番号7のガストリン14、及び配列番号8又は9のガストリン6が含まれる。ガストリン34は、ガストリン17のN末端のアミノ酸配列の伸張である。大ガストリンは、in vivoで切断されてガストリン17を放出する。ガストリンのN末端のGlpはピログルタミン酸であり、それはグルタミン酸塩が自己閉環した形態である。各実施態様において、システイン又はリジンがピログルタミン酸を有するガストリンの末端に付加される場合、そのピログルタミン酸はグルタミン酸塩で置換されるか、若しくはそのピログルタミン酸は欠失する。本明細書における配列番号1〜4で示されるように、メチオニン又はロイシンが15位にある場合、ガストリン34又はガストリン17は本発明で使用することができる。
【0106】
本発明で使用することが可能なガストリン化合物の例には、米国特許第6,288,301号で開示された化合物が含まれる。本発明の幾つかの応用例において、A71378等のガストリン受容体のペプチド又は非ペプチドアゴニスト又は部分アゴニストであるガストリン化合物が選択され得る(Lin, et al., Am. J. Physiol. 258 (4 Pt 1): G648, 1990)。
【0107】
本発明の幾つかの応用例において、ガストリン/CCK受容体リガンドであるガストリン化合物が選択される場合があるが、そのガストリン/CCK受容体リガンドには、CCK58、CCK33、CCK22、CCK12及びCCK8等のコレシストキニン(CCK)等が含まれるが、これらに限定されない。一般的に、ガストリン/CCK受容体リガンドは、カルボキシ末端配列Trp−Met−Asp−Phe−アミドを共有する。
【0108】
「ガストリン化合物」はガストリンの修飾形態を含み、その形態には、ガストリン71[配列番号5]、ガストリン52[配列番号6]、ガストリン34(大ガストリン)[配列番号1又は2]、ガストリン17(小ガストリン)[配列番号3又は14]、ガストリン14[配列番号7]、ガストリン8、ガストリン6[配列番号8]、ペンタガストリン及びテトラガストリンの修飾形態が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、修飾されたガストリンは、TrpMetAspPhe−NH[配列番号13]又はTrpLeuAspPhe−NH[配列番号14]を含む。
【0109】
本発明の態様において、修飾されたガストリンは、少なくとも配列番号1又は2のアミノ酸1〜34、18〜34又は29〜34或いは配列番号3又は4のアミノ酸1〜17、2〜17、12〜17又は14〜17を含む。
【0110】
本発明の方法、組成物及び抱合体の態様において使用されるガストリン化合物は、ガストリン17並びにその類似体及び誘導体を含み得る。特定の態様において、ガストリン化合物は、アミノ酸位15[配列番号4]のロイシン残基を有する17のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリン1である。
【0111】
本発明の方法、組成物及び抱合体において使用されるガストリン化合物は、ガストリン34並びにその類似体及び誘導体を含み得る。特定の態様において、ガストリン化合物は、32位[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34である。
【0112】
本発明に使用される修飾されたガストリン化合物は、PCT/CA03/01778、米国特許出願第10/719,450号及び米国特許出願第60/519,933号に記載された修飾されたガストリン化合物を含む。
【0113】
具体的に、修飾されたガストリンは、配列番号1又は2の特定のアミノ酸残基1〜34、18〜34又は29〜34或いは配列番号3又は4のアミノ酸残基1〜17、2〜17、12〜17又は14〜17においてガストリンの(C末端から)6つのアミノ酸の最小配列を含むガストリン誘導体又は類似体であって、付加反応を受けることが可能な反応基を含むガストリン誘導体又は類似体であってよい。反応基の例には、チオール、α−アミノ基、イプシロンアミノ基、カルボキシル基又は芳香環が含まれるが、これらに限定されない。一般的に、反応基は、ガストリン配列を、直接的又は間接的に架橋剤及び/又はスペーサー領域を介して担体に結合することが可能である。
【0114】
反応基は、反応基を含むアミノ酸の付加又は置換、例えばシステイン又はリジンの付加によって導入される場合がある。従って、修飾されたガストリンは、少なくとも1つの反応性アミノ酸(例えばシステイン又はリジン)が付加又は置換されるガストリン配列(例えばガストリン34又はガストリン17)を含む場合がある。反応性アミノ酸は、末端領域、特にN末端領域に付加されてよい。
【0115】
修飾されたガストリンは、場合によりスペーサーをも含み得る。スペーサーは、反応基、例えば反応基を含むアミノ酸と相互作用し得る。スペーサーは、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、ペプチド模倣体又は小有機分子であってよい。スペーサーは少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは少なくとも2、3、4又は5つのアミノ酸を含むことができる。特定の実施態様において、スペーサーは、アラニン又はグリシンを含むがこれらに限定されない幾つかのアミノ酸の配列である。スペーサーは、交互アミノ酸(例えばグリシン及び/又はアラニン)、非交互アミノ酸、ランダム配列又は特定の配列を含む場合がある。例えば、スペーサーは、ガストリン配列のアミノ酸の一部として合成されてもよければ、そのアミノ酸に化学的結合される場合もある。
【0116】
修飾されたガストリンは、架橋剤を場合により含む場合がある。架橋剤は、ガストリン、スペーサー及び/又は反応基との直接的相互作用又は間接的相互作用のためのホモ二官能性部分又はヘテロ二官能性部分を含む場合がある。架橋剤は、ガストリン配列又はスペーサーと相互作用してもよければ、修飾されたガストリンの末端(特定のN末端)で反応基に付加される場合もある。
【0117】
架橋剤は、直接、又はスペーサーを介して、ガストリン配列及び担体を結合し得るあらゆる剤であり得る。ホモ二官能性架橋剤の例には、ビスイミダート(例えば、メチルアセトイミダート−HCl)、二官能性ハロゲン化アリール(例えば、1,5−ジクロロ−2,4−ジニトロベンゼン)、二官能性アシル化剤(例えば、ジイソシアナート)、二官能性ハロゲン化スルホニル(例えば、フェノール−2、4−ジスルホニル−クロライド)、二官能性アシルアジド(例えば、タルトリルジアジド)、ジアルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)及びジケトン(例えば、2,5−ヘキサンジオン)等の、アミノ基特異的ホモ二官能性架橋試薬が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロ二官能性架橋剤の例には、アミノ基及びスルフヒドリル基特異的二官能性試薬(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオプロピオネート))、カルボキシル基及びスルフヒドリル基又はアミノ基特異的二官能性試薬(例えば、p−ニトロフェニルジアゾアセテート)及びカルボニル基及びスルフヒドリル基特異的二官能性試薬(例えば、1−(アミノオキシ)−4−[3−ニトロ−2−ピリジル)ジチオ)]ブタン)が含まれる。
【0118】
修飾されたガストリンは、ポリマーである場合がある担体を場合により含み得る。担体は、アミノ酸(タンパク質)、糖(多糖類)、ヌクレオシド、合成ポリマー及びそれらの混合物のポリマーである場合がある。タンパク質担体は、循環系に見られるタンパク質である場合がある。循環系、特にヒト循環系に見られるタンパク質担体の例には、血清等の血漿成分、アルブミン(特にヒト血清アルブミン)、トランスフェリン又は免疫グロブリン等の精製血清タンパク質、グリコホリンA及びAE−1等の赤血球タンパク質、レクチン等の糖結合タンパク質、不活化酵素、リン酸塩及び硫酸塩結合タンパク質、及び脂質結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。他の適切な高分子担体の例には、セルロース及びその誘導体、デンプン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)及びデキストラン等の合成ポリマー及びその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。担体は、その担体、ガストリン及び/又はスペーサー上の、又はそこに導入された反応基を介して、ガストリン又はスペーサーに結合される場合がある。例えば、担体は、ガストリン又はスペーサーの化学修飾によって存在又は付加されるガストリン又はスペーサー上の反応基(例えば、チオール基、α−アミノ基、イプシロンアミノ基、カルボキシル基又は芳香族基等)に共有結合し得る。
【0119】
本発明の特定の態様において、修飾されたガストリンは、配列番号1、2、3、4、7又は8のガストリン及び担体を含んでよい。
【0120】
ガストリン化合物がガストリン/CCK受容体を結合する場合、修飾されたガストリン化合物の群は、アミノ末端Z−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AAからのアミノ酸配列を有する化合物を含んでおり、AAはチロシン又はフェニルアラニンであり、AAはグリシン、アラニン又はセリンであり、AAはトリプトファン、バリン又はイソロイシンであり、AAはメチオニン又はロイシンであり、AAはアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、AAはフェニルアラニン又はチロシンであって、AAは場合によりアミド化され;Zは、担体、特にポリマーであり、そのポリマーがタンパク質である場合にはZはアミノ酸配列であり;Yは、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり、Xは、配列番号1又は2の残基1〜28(=n)或いは配列番号3又は4の残基1〜11のあらゆる連続した部分である。一般的に、mは、0〜約20の残基の数である。一態様において、Zは、タンパク質、特に循環系のタンパク質、より詳しくは血清タンパク質、更に、より詳しくはアルブミン、最も詳しくはヒト血清アルブミンである。
【0121】
実施態様において、Xは、配列番号1の18位〜28位の1つ以上のアミノ酸残基である。従って、Xの存在によるガストリン化合物は、18〜28位、19〜28位、20〜28位、21〜28位等からのガストリン配列の何れかを有し得る。ガストリン化合物は長さmのアミノ酸スペーサー(Y)を場合により含み、mは0〜約20の残基の数である。
【0122】
実施態様において、Xは、配列番号3又は4の1〜11位又は2〜11位の1つ以上のアミノ酸残基である。従って、Xの存在によるガストリン化合物は、2〜11位、3〜11位、4〜11位、5〜11位等からのガストリン配列の何れかを有し得る。ガストリン化合物は長さmのアミノ酸スペーサー(Y)を場合により含み、mは0〜約20の残基の数である。
【0123】
ガストリン化合物は、スペーサー(Y)が存在せず、mが0である場合、式X−AA−AA−AA−AA−AA−AAの、修飾されたガストリン化合物を含むものであって、それは、担体Zへの相互作用又は結合のための二官能性架橋剤を更に含んでよく、担体Zは、デキストランやPEG等の非タンパク性ポリマーを更に含む。
【0124】
本明細書に具体的に記載する修飾されたガストリン化合物は、アミノ末端システイン又はリジン残基を更に含む場合がある。
【0125】
本明細書に記載の修飾されたガストリン化合物の幾つかの実施態様において、ガストリン成分は、配列番号1又は2の少なくともアミノ酸残基29〜34を含有し、ポリマー、脂質又は炭水化物と結合している。前記ポリマーは、合成又は天然のポリマーである場合がある。ポリマーという用語は、アミノ酸のタンパク質ポリマーを包含し、合成ポリマーに限定されない。前記ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)又はデキストランである場合がある。修飾されたガストリン化合物は、配列番号1又は2或いは「大」ガストリン34に基づくことができ、それぞれメチオニン又はロイシンである32位に残基を有する。
【0126】
他の好適な、修飾されたガストリン化合物は、C−Y−X構造を含むものであって、Cはシステイン又はリジンであり、Yは、中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり、Xは、ガストリン17(配列番号3又は4)の少なくとも12〜17位或いはガストリン34(配列番号1又は2)の少なくとも29〜34位を含む少なくとも6つのアミノ酸残基である。この修飾されたガストリン化合物は、二官能性架橋剤を更に含んでよく、前記架橋剤の一方の反応部分がCに共有結合し、他方の反応部分がポリマー又はタンパク質に共有結合している。
【0127】
本発明の特定の態様において、修飾されたガストリン化合物内のAA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe[配列番号10]又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Phe[配列番号11]である。
【0128】
本発明の更なる態様において、本発明の方法、組成物及び抱合体で使用するガストリン化合物は、血清タンパク質と、特にアルブミン又は免疫グロブリンと、より詳しくはヒト血清アルブミンと直接的又は間接的に相互作用又は結合するガストリン34又はガストリン17又はそれらの部分である。
【0129】
本発明の態様において、ガストリン化合物は、配列番号1又は2の2〜34のアミノ酸残基、並びに場合によりN末端システイン及び/又は担体を有する合成ヒトガストリン34;アミノ酸位15[配列番号4]にロイシン残基を有する1〜17のアミノ酸残基及び場合によりN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリン;並びに配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17、場合により、スペーサー[例えば、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala、即ち(GA)][配列番号12]を介して結合されるN末端システイン残基及び/又は担体(例えば、PEG又はヒト血清アルブミン)を有する合成ヒトガストリン、特に配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala[即ち(GA)]のスペーサーを介して結合されるヒト血清アルブミン(HSA)ポリマー、及び場合によりN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリンを含む。
【0130】
本発明の特定の態様において、ガストリン化合物は、配列番号3のロイシン置換されたガストリン17である。又、このようなガストリン化合物は、以下の特性:約3.4の等電点;少なくとも約80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の純度、及び/又は約2080.2±2Daの分子質量を特徴とするものでもある。
【0131】
本発明の幾つかの態様において、「ガストリン化合物」は、ガストリンアゴニストである。「ガストリンアゴニスト」は、ガストリン化合物の反応、活性又は機能に完全又は部分的に類似する;或いはこのような反応、活性又は機能を引き起こす;或いはガストリン化合物の反応、活性又は機能の阻害を低減又は防止する、あらゆる物質を意味する。
【0132】
ガストリンアゴニストは、血漿ガストリンを、約2〜1000倍、2〜500倍、2〜200倍、2〜100倍、2〜150倍、2〜100倍、2〜75倍、2〜50倍、2〜40倍、2〜30倍、2〜20倍、10〜1000倍、10〜500倍、10〜200倍、10〜150倍、10〜100倍、10〜75倍、10〜50倍、10〜40倍、10〜30倍又は10〜20倍、増加させる能力に基づいて、本発明の特定の応用例のために選択することができる。
【0133】
本発明の特定の態様において、ガストリンアゴニストは、組織貯蔵部位から内因性ガストリン、コレシストキニン又は同様の活性ペプチドの分泌を増大させる物質である。本発明の幾つかの態様において、ガストリンアゴニストは、ガストリン分泌促進物質である。ガストリンアゴニストの例には、プロトンポンプ阻害剤(例えば、ガストリン放出ペプチド、胃酸分泌を抑制するオメプラゾール)や、CCK刺激を増大させる大豆トリプシン阻害剤等が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
本発明の特定の態様において、ガストリンアゴニストについては、DPP−IV阻害剤との併用において、被験体(例えば、糖尿病の被験体)における治療有効量のガストリンを提供するものが選択される。本発明の実施態様において、ガストリンアゴニストについては、DPP−IV阻害剤との併用において、血漿ガストリンを、約10〜1000倍、10〜500倍、10〜100倍、10〜50倍、5〜500倍、5〜100倍又は5〜50倍、増加させるものが選択される。ガストリンアゴニストの例には、プロトンポンプ阻害剤やヒスタミン−2受容体アンタゴニスト等が含まれる。
【0135】
「プロトンポンプ阻害剤」及び「PPF」は、本明細書において交換可能に使用され、プロトンポンプの阻害(例えば、H/K−ATPアーゼに共有結合する物質、胃酸分泌の原因となる酵素)及び/又はガストリン分泌の増加によって胃酸分泌を抑制する物質を包含する。特に、それらの用語は、H/K−ATPアーゼの阻害剤として薬理活性を有するあらゆる酸性の不安定な医薬品を意味する。より詳しくは、H/K−ATPアーゼに共有結合する物質が企図される[PPIに関する以下の刊行物を参照されたい:Fellenius, et al., Substituted Benzimidazoles Inhibit Gastric Acid Secretion by Blocking H, K−ATPase, Nature, 290:159−161 (1981); Wallmark, et al., The Relationship Between Gastric Acid Secretion and Gastric H, K−ATPase Activity, J. Biol.Chem.,260:13681−13684 (1985); Fryklund, et al., Function and Structure of Parietal Cells After H, K−ATPase Blockade, Am. J. Physiol., 254 (3 PT 1); G399−407 (1988)]。
【0136】
本発明の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、2−[(2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール骨格又は関連した骨格を含む化合物を含むものであって、これらの骨格が各種の方法で場合により置換される場合がある。遊離塩基、塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ又は他のあらゆる薬理学的に適切な誘導体が治療的に活性であるならば、プロトンポンプ阻害剤は、必要に応じて、遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、溶媒和物(特に水和物)、無水物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ、多形、誘導体等の形態が可能である。
【0137】
以下の化合物:2−[2−(N−イソブチル―N−メチルアミノ)ベンジル−スルフィニル]ベンズイミダゾール(INN:レミノプラゾール)(DE−A−3531487);2−(4−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−イルスルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(INN:ネパプラゾール)(欧州特許出願公開第0434999(A)号);2−(4−メトキシ−3−メチル−ピリジン−2−イルメチルスルフィニル)5−ピロール−1−y−1H−ベンズイミダゾール(IY−81149)、5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1−H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(テナトプラゾール)、特に5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:オメプラゾール)(米国特許第4,786,505号及び欧州特許出願公開第0005129(A)号);5−メトキシ−2−[(S)−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:エソメプラゾール)、2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:ランソプラゾール)(欧州特許出願公開第0174726(A)号);及び2−{[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]−メチルスルフィニル}−1H−ベンズイミダゾール(INN:ラベプラゾール)(欧州特許出願公開第0184322(A)号、欧州特許出願公開第0254588(A)号、欧州特許出願公開第0261478(A)号、欧州特許出願公開第0268956(A)号);及び、特に5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:パントプラゾール)(欧州特許出願公開第0124495(A)号、欧州特許出願公開第0166287(A)号);及び(−)−5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール[(−)パントプラゾール]は、本発明の文脈において言及される場合がある。
【0138】
他のプロトンポンプ阻害剤としては:ソラプラザン(Altana);イラプラゾール(米国特許第5,703,097号)(Il−Yang);AZD−0865(AstraZeneca);ヒドロキシオメプラゾール;ドントプラゾール;ハベプラゾール;ペルプラゾール;ランソプラゾール;パリプラゾール;YH−1885(PCT国際公開第96/05177号)(SB−4341257)(2−ピリミジンアミン、4−(3,4−ジヒドロ−1−メチル−2(1H)−イソキノリニル)−N−(4−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−モノヒドロクロライド)(YuHan);濃縮カルバペネム化合物(国際公開第9523149(A)号)のフェニルアルキル−アミノ誘導体;BY−112(Altana);SPI−447(イミダゾ(1,2−a)チエノ(3、2−c)ピリジン−3−アミン,5−メチル−2−(2−メチル−3−チエニル)(新日本);3−ヒドロキシメチル−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ(2,3−c)−イミダゾ(1,2−a)ピリジン(PCT国際公開第95/27714号)(AstraZeneca);Pharmaprojects No.4950(3−ヒドロキシメチル−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ(2,3−c)−イミダゾ(1,2−a)ピリジン)(AstraZeneca)国際公開第95/27714号;Pharmaprojects No.4891(欧州特許第700899号)(Aventis);Pharmaprojects No.4697(PCT国際公開第95/32959号)(AstraZeneca);H−335/25(AstraZeneca);T−330(株式会社薬物安全性試験センター埼玉研究所(335));Pharmaprojects No.3177(Roche);BY−574(Altana);Pharmaprojects No.2870(Phfizerー);AU−1421(欧州特許第264883号)(Merck & Co.);AU−2064(Merck & Co.);AY−28200(Wyeth);Pharmaprojects No.2126(Aventis);WY−26769(Wyeth);プマプラゾール(pumaprazole)(PCT国際公開第96/05199号)(Altana);YH−1238(YuHan);Pharmaprojects No.5648(PCT国際公開第97/32854号)(大日本製薬株式会社);BY−686(Altana);YM−020(山之内製薬株式会社);GYKI−34655(Ivax);FPL−65372(Aventis);Phannaprojects No.3264(欧州特許第509974号)(AstraZeneca);ネパプラゾール(トーアエイヨー株式会社);HN−11203(Nycomed Pharma);OPC−22575;pumilacidin A(BMS);サビプラゾール(欧州特許第234485号)(Aventis);SKand F−95601(グラクソ・スミスクライン;中止);Pharmaprojects No.2522(欧州特許第204215号)(Phfizerー);S−3337(Aventis);RS−13232A(Roche);AU−1363(Merck & Co.);SKandF−96067(欧州特許第259174号)(Altana);SUN8176(第一製薬株式会社);Ro−18−5362(Roche);ウフィプラゾール(欧州特許第74341号)(AstraZeneca);Bay−p−1455(バイエル);BY308;ペルプラゾール;[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−メチル−2−ピリジル]−メチル]スルフェンアミド;(Z)−5−メチル−2−[2−(1−ナフチル)エテニル]−4−ピペリジノピリジンHCl;2−(4−シクロヘキシルオキシ−5−メチルピリジン−2−イル)−3−(1−ナフチル)−1−プロパノール;メチル−2−シアノ−3−(エチルチオ)−3−(メチルチオ)−2−プロペン酸;2−((4−メトキシ−2−ピリジル)メチルスルフィニル)−5−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)−1H−ベンズイミダゾールナトリウム;2−[[[4−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)−2−ピリジル]メチル)スルフィニル]−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール;2−[[[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール;2−[[[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール;2−メチル−8−(フェニルメトキシ)−イミダゾ(1,2−A)−ピリジン−3−アセトニトリル;(2−((2−ジメチルアミノベンジル)スルフィニル)−ベンズイミダゾール);4−(N−アリル−N−メチルアミノ)−1−エチル−8−((5−フルオロ−6−メトキシ−2−ベンズイミダゾリル)スルフィニルメチル)−1−エチル1,2,3,4−テトラヒドロキノロン;2−[[(2−ジメチルアミノフェニル)メチル]スルフィニル]−4,7−ジメトキシ−1H−ベンズイミダゾール;2−[(2−(2−ピリジル)フェニル)スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール;(2−[(2−アミノ−4−メチルベンジル)スルフィニル]−5−メトキシベンゾ[ジ]イミダゾール;(4(2−メチルピロール−3−イル)−2−グアニドイソチアゾール);4−(4−(3−(イミダゾール)プロポキシ)フェニル)−2−フェニルチアゾール;(E)−2−(2−(4−(3−(ジプロピルアミノ)ブトキシ)フェニル)−エテニル)−ベンゾキサゾール;(E)−2−(2−(4−(3−(ジプロピルアミノ)プロポキシ)フェニル)エテニル)−ベンゾチアゾール;ベンゼンアミン、2−[[(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)スルフィニル]メチル)−4−メチル;2,3−ジヒドロ−2−メトキシカルボニルアミノ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン;2−(2−エチルアミノフェニルメチルスルフィニル)−5,6−ジメトキシベンズイミダゾール;2−メチル−8−(フェニルメトキシ)イミダゾ(1,2−a)ピリジン−3−アセトニトリル;3−アミノ−2−メチル−8−フェニルメトキシイミダゾ(1,2―a)−ピラジンHCl;2−[[(3−クロロ−4−モルホリノ−2−ピリジル)メチル]−スルフィニル)−5−メトキシ−(1H)−ベンズイミダゾール;[3−ブチリル−4−(2−メチルフェニルアミノ)−8−メトキシ−キノリン);2−インダニル2−(2−ピリジル)−2−チオカルバモイルアセテートHCl;2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジニル)−チアゾロ(3,2−a)−ベンズイミダゾール;3−シアノメチル−2−メチル−8−(3−メチル−2−ブテニルオキシ)−(1,2−α−イミダゾピリジン;亜鉛L−カルノシン;或いは、これらの化合物の遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ又は誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0139】
本発明で企図される更に別のプロトンポンプ阻害剤としては、以下の米国特許:第4,628,098号;第4,689,333号;第4,786,505号;第4,853,230号;第4,965,269号;第5,021,433号;第5,026,560号;第5,045,321号;第5,093,132号;第5,430,042号;第5,433,959号;第5,576,025号;第5,639,478号;第5,703,110号;第5,705,517号;第5,708,017号;第5,731,006号;第5,824,339号;第5,855,914号;第5,879,708号;第5,948,773号;第6,017,560号;第6,123,962号;第6,187,340号;第6,296,875号;第6,319,904号;第6,328,994号;第4,255,431号;第4,508,905号;第4,636,499号;第4,738,974号;第5,690,960号;第5,714,504号;第5,753,265号;第5,817,338号;第6,093,734号;第6,013,281号;第6,136,344号;第6,183,776号;第6,328,994号;6,479,075号;第6,559,167号、並びに以下の特許出願書及び下記の特許:独国特許出願公開第3531487(A)号、欧州特許出願公開第0005129(A)号、欧州特許出願公開第0124495(A)号、欧州特許出願公開第0166287(A)号、欧州特許出願公開第0174726(A)号、欧州特許出願公開第0184322(A)号、欧州特許出願公開第0254588(A)号、欧州特許出願公開第0261478(A)号、欧州特許出願公開第1268956(A)号、欧州特許出願公開第0434999(A)号及び国際公開第9523149(A)号に記載されるものが含まれる。
【0140】
本発明の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)−メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(オメプラゾール)、5−メトキシ−2−[(S)−[(4−メトキシ−3、5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(エソメプラゾール)、2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(ランソプラゾール)、2−{[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル}−1H−ベンズイミダゾール(ラベプラゾール)、5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジ−メトキシ−2−ピリジニル)−メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(パントプラゾール)、水和物、溶媒和物、塩、前記塩の水和物、及び前記塩類の溶媒和物からなる群から選択される。
【0141】
本発明の他の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、塩の形態である。プロトンポンプ阻害剤の塩は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸から調製される場合がある。
【0142】
実施形態において、酸付加塩は、適切な酸との遊離塩基の反応を使用した従来法を使用してプロトンポンプ阻害剤の遊離塩基から調製される。酸付加塩を調製するための適切な酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸だけでなく、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
別の実施態様では、酸付加塩は、好適な塩基による処理によって遊離塩基に変わる。更なる実施態様において、酸付加塩はハロゲン塩であり、それは、塩酸又は臭化水素酸を使用して調製される。更に別の実施態様において、塩基性塩は、ナトリウム塩又は銅塩等のアルカリ金属塩である。
【0144】
プロトンポンプ阻害剤の塩の例には、エソメプラゾールナトリウム、オメプラゾールナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、パントプラゾールナトリウム等のナトリウム塩の形態;或いは米国特許第5,900,424号に記載のエソメプラゾールマグネシウム又はオメプラゾールマグネシウム等のマグネシウム塩の形態;カルシウム塩の形態;或いは米国特許第02/0198239号及び第6,511,996号に記載のエソメプラゾールのカリウム塩等のカリウム塩の形態が含まれるが、これらに限定されない。エソメプラゾールの他の塩については、米国特許第4,738,974号及び第6,369,085号に記載されている。パントプラゾールとランソプラゾールの塩の形態は、それぞれ米国特許第4,758,579号と第4,628,098号に開示されている。
【0145】
一実施態様においては、プロトンポンプ阻害剤のエステルが利用される。エステルは、薬物の分子構造内に存在し得るヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の機能付与によって調製することができる。別の実施態様において、前記エステルは、式−RCOOR(式中、Rはアルキル基、特に低級アルキル基を表す)のカルボキシル酸に由来する部分等の遊離アルコール基のアシル置換誘導体である。エステルは、必要に応じて、水素化分解又は加水分解等の従来方法を使用して、遊離酸に変化させることができる。
【0146】
プロトンポンプ阻害剤又はその塩類は、結晶形態であり得る。プロトンポンプ阻害剤の結晶は、不定量の溶剤を含有する場合がある。従って、「プロトンポンプ阻害剤」という用語は、プロトンポンプ阻害剤やそれらの塩の全ての溶媒和物、特に全ての水和物を包含する。
【0147】
本発明の特定の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、塩又は水和物であって、その塩又は水和物としては、パントプラゾール−ナトリウムセスキ水和物[パントプラゾール−ナトリウム×1.5H0]、(−)−パントプラゾール−ナトリウムセスキ水和物、パントプラゾール−マグネシウム二水和物、オメプラゾール−マグネシウム、オメプラゾール−マグネシウム四水化物、エソメプラゾール−マグネシウム及びエソメプラゾール−マグネシウム四水化物が含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
本発明の各態様において、プロトンポンプ阻害剤は、置換された二環式アリール−イミダゾールであって、アリール基は、例えば、イミダゾール環の4位及び5位に結合するピリジン基、フェニル基又はピリミジン基である場合がある。置換された二環式アリール−イミダゾールを含むプロトンポンプ阻害剤には、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール、或いはその遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ又はそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。(例えば、The Merck Index, Merck & Co.、Rahway, N.J. (2001)を参照)。
【0149】
置換された二環式アリール−イミダゾール化合物は、それらの塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ及び誘導体と同様に、有機合成化学分野の当業者に知られている標準的方法を使用して調製することができる。例えば、March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure, 4th Ed. (New York: Wiley−Interscience, 1992); Leonard, et al., Advanced Practical Organic Chemistry, (1992); Howarth, et al., Core Organic Chemistry (1998);及びWeisermel, et al., Industrial Organic Chemistry (2002)を参照されたい。
【0150】
置換された二環式アリール−イミダゾールの互変異性体には、米国特許第6,262,085号、第6,262,086号;第6,268,385号;第6,312,723号;第6,316,020号;第6,326,384号;第6,369,087号;及び第6,444,689号;並びに米国特許公開第02/0156103号に開示されるオメプラゾールの互変異性体等が含まれるが、これらに限定されない。置換された二環式アリール−イミダゾールの異性体の例にはオメプラゾールの異性体が含まれるが、そのオメプラゾールの異性体には、Oishi, et al., Acta Cryst. (1989), C45, 1921−1923;米国特許第6,150,380号;米国特許公開第02/0156284号;及びPCT国際公開第02/085889号、で開示される異性体が含まれるが、これらに限定されない。
【0151】
二環式のアリール−イミダゾール化合物のアミドは、当業者には知られているか、若しくは関連文献に記載された方法を使用して調製される場合がある。例えば、アミドは、適切なアミン反応物を使用してエステルから調製される場合もあれば、例えばアンモニア又は低級アルキルアミン等のアミン基との反応によって無水物又は酸塩化物から調製される場合もある。
【0152】
適切な多形は、PCT国際公開第92/08716号並びに米国特許第4,045,563号;第4,182,766号;第4,508,905号;第4,628,098号;第4,636,499号;第4,689,333号;第4,758,579号;第4,783,974号;第4,786,505号;第4,808,596号;第4,853,230号;第5,026,560号;第5,013,743号;第5,035,899号;第5,045,321号;第5,045,552号;第5,093,132号;第5,093,342号;第5,433,959号;第5,464,632号;第5,536,735号;第5,576,025号;第5,599,794号;第5,629,305号;第5,639,478号;第5,690,960号;第5,703,110号;第5,705,517号;第5,714,504号;第5,731,006号;第5,879,708号;第5,900,424号;第5,948,773号;第5,948,789号;第5,997,903号;第6,017,560号;第6,123,962号;第6,147,103号;第6,150,380号;第6,166,213号;第6,191,148号;第5,187,340号;第6,268,385号;第6,262,086号;第6,262,085号;第6,296,875号;第6,316,020号;第6,328,994号;第6,326,384号;第6,369,085号;第6,369,087号;第6,380,234号;第6,384,059号、第6,428,810号;第6,444,689号;第6,462,058号;第6,903,122号;第6,933,389号;及び第6,939,971号に記載された多形が含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
本発明の態様において、本発明の使用に適したプロトンポンプ阻害剤は、ベンゾイミダゾール化合物、例えば、以下の特許文献:米国特許第4,045,563号;第4,255,431号;第4,359,465号;第4,472,409号;第4,508,905号;第4,628,098号;第4,738,975号;第5,045,321号;第4,786,505号;第4,853,230号;第5,045,552号及び第5,312,824号;欧州特許出願公開第295603(A)号;欧州特許出願公開第166287(A)号;欧州特許出願公開第519365(A)号;欧州特許第5129号;欧州特許第174,726号;欧州特許第166,287号;英国特許第2,163,747号;及び特開昭59−181277号、に記載されたベンゾイミダゾール化合物である。
【0154】
本発明の実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、レミノプラゾール、ネパプラゾール、テナトプラゾール、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、(−)パントプラゾール、ソラプラザン、イラプラゾール、AZD−0865、ヒドロキシオメプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、或いはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、代謝物又はプロドラッグである。
【0155】
本発明の特定の実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;或いはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、代謝物又はプロドラッグの1つ以上である。
【0156】
本発明の別の特定の実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;或いは、それらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、代謝物又はプロドラッグの1つ以上である。
【0157】
本発明の特定の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;或いはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形又はプロドラッグを含む、又はそれらからなる群から選択される。
【0158】
好適なプロトンポンプ阻害剤は、エソメプラゾール(Nexium)、ランソプラゾール(Zoton)、パントプラゾール(Protium)、ラベプラゾールナトリウム(Pariet)或いはそれらの薬学的に許容される塩又は異性体である。
【0159】
「ヒスタミン−2受容体アンタゴニスト」又は「H−2拮抗剤」は、H−2受容体を遮断するが、ヒスタミン−1受容体を遮断するのに有効な作用を有しない化合物を意味する。選択的なH−2拮抗剤には、米国特許第5,294,433号、第5,364,616号及び米国特許出願第20050042283号に開示される化合物が含まれ、その化合物としては、シメチジン[Merck Index, 11 th edition (1989), p. 354(登録番号2279)及びPhysicians’ Desk Reference, 46th edition (1992), p. 2228];エチンチジン(米国特許第4,112,234号);ラニチジン又はその塩酸塩塩(AH−19065)[米国特許第4,128,658号、Merck Index, 11th edition (1989), p. 1291 (登録番号8126)及びPhysicians’ Desk Reference, 46th edition (1992), p. 1063];ヒドロキシメチルラニチジン;ラニチジンクエン酸ビスマス(GR−122311、GR−122311X);AH−18801;N−シアノ−N’−(2−(((5−((ジメチルアミノ)メチル)−2−f−ウラニル)メチル)チオ)エチル)−N’’―メチル−グアニジン;チオチジン(米国特許第4,165,378号);ORF−17578(米国特許第4,203,909号);ルピチジン(SKF−93479)(米国特許第4,234,588号);ドネチジン(SKF−3574);ファモチジン(YM−11170、MK−208)[Merck Index, 11th edition (1989), p. 617 (登録番号3881)及びPhysicians’ Desk Reference, 46th edition (1992), p. 1524];ロキサチジン又はロザチジンアセテート[米国特許第4,293,557号、Merck Index, 11th edition (1989), p. 1316 (登録番号8252)];ピアチジン;ラムチジン(米国特許第4,318,913号);BL−6548;BMY−25271;ザルチジン(米国特許第4,374,843号);ニザチジン[米国特許第4,375,547号、Merck Index, 11th edition (1989), p. 1052 (登録番号6582)及びPhysicians’ Desk Reference, 46th edition (1992), p. 1246)];ミフェンチジン及びその塩酸塩[(米国特許第4,386,099号、Merck Index, 11th edition (1989), p. 973 (登録番号6108)];ICIA−5165(米国特許第4,165,377号);BMY−25368(SKF−94482)(米国特許第4,390,701号);SYF−94482;ICI−162846(米国特許第4,451,463号);ラミキソチジン(米国特許第4,474,790号);BL−6341A(BMY−26539)(米国特許第4,394,508号);Wy−45727(米国特許第4,490,527号);SR−58042(米国特許第4,514,408号);BMY−25405(米国特許第4,528,377号及び第4,600,779号);オキシチジン(米国特許第4,536,508号);DA−4634(米国特許第4,548,944号第4,645,841号);ビスフェンチジン(米国特許第4,649,150号);スホチジン(米国特許第4,670,448号);エブロチジン(米国特許第4,728,755号)HE−30−256(米国特許第4,738,960号);D−16637(米国特許第4,738,983号);FRG−8813(米国特許第4,912,101号及び第4,977,267号);FRG−8701(米国特許第4,837,316号);イムプロミジン(英国特許第1,531,237号);L−643728(欧州特許出願公開第0,040,696号);MK−208(米国特許第4,283,408号);HB−408(欧州特許出願公開第0,186,275号);ブリマミド;及びメチアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0160】
「ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体化合物」又は(PPAR化合物)とは、PPARリガンド、特にフィブラート化合物又はチアゾリジンジオン等の合成PPARリガンドを包含する、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体、特にペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体α又はγ、或いはそのアゴニストを意味する。PPAR化合物の例には、フェノフィブラート、微粒状フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル及びシプロフィブラート、或いはこのような化合物の薬学的に許容される塩が含まれる。PPAR化合物は、The Merck Index, 13th Edition, (2001)に開示されており、その内容は、あたかも完全に本明細書に記載されているかのように、本明細書において完全に参照により組み込まれている。
【0161】
「病態及び/又は疾患」とは、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の何れか又は両方によって有益効果又は処置効果がもたらされる、1つ以上の病理的病態又は症候群を意味する。前記病態及び/又は疾患は、血糖値の減退、胃酸分泌の阻害、β細胞のアポトーシスの阻害、β細胞の増殖又は分化の促進、並びに体重の減退を必要とするものである場合がある。病態及び/又は疾患の例には、異脂肪血症、高血糖、重度の低血糖エピソード、卒中発作、左室肥大、不整脈、菌血症、敗血症、過敏性大腸症候群、機能性消化不良、糖尿病、手術後の異化作用の変化、ストレス誘発性高血糖、呼吸促迫症候群、胃潰瘍、心筋梗塞、耐糖能障害、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態、代謝症候群及び関連した疾患や障害、肥満、糖尿病合併症が含まれ、同様に、例えば耐糖能障害の罹患体や肥満非糖尿病性の罹患体に認められるレプチン上昇のアテローム発生作用や、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び他の年齢関連性の組織変性疾患等の、血糖値上昇に起因する組織の損傷が認められる他の疾患の病態も含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
本発明の態様において、前記病態及び/又は疾患は、糖尿病、特に2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)の病態、空腹時血漿グルコース異常の病態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満及び骨粗鬆症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病及び/又は代謝症候群又はB細胞保護である。好ましくは、本発明の組成物、抱合体及び方法は、インスリン非依存型糖尿病及び/又は耐糖能障害の治療及び/又は予防に利用される。
【0163】
本明細書で使用される「糖尿病」という用語は、実験動物モデルや、1型糖尿病、2型糖尿病、初期の糖尿病、並びに軽度のインスリン低下又は軽度の血糖値上昇を特徴とする糖尿病前症の病態等のヒトの形態を包含する、あらゆる哺乳類の糖尿病の発現病態を意味する。糖尿病の疾患プロセスは、複数の原因因子に由来する場合があり、空腹時、或いは経口ブドウ糖負荷試験中のグルコース投与の後の血漿グルコース値の上昇又は高血糖を特徴とする。罹患や死亡の増加及び早発は、高血糖の持続又は高血糖の非管理に関連している。グルコースホメオスタシスの異常は、脂質、リポタンパク及びアポリポタンパク質の代謝の変動、並びに他の代謝性疾患及び血行力学的疾患と、直接的及び間接的に関連する場合がある。従って、2型糖尿病の罹患体においては、冠性心疾患、卒中発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経疾患、網膜症等の、大血管合併症及び微小血管合併症のリスクが増加する場合がある。
【0164】
「糖尿病前症の病態」とは、インスリン又はグルコース濃度に関する病態を示す被験体、及び/又は糖尿病、或いは家族歴、遺伝子的疾病素因又は2型糖尿病の場合における肥満に起因する関連病態に対して感受性を示す被験体について説明するものであって、糖尿病又は関連病態を以前に発現し、再発のリスクがある被験体を包含する。
【0165】
糖尿病、特に2型糖尿病と関連した病態及び/又は疾患には、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症及び糖尿病性ニューロパシー、黄斑変性、冠性心疾患、心筋梗塞、糖尿病性心筋症、心筋細胞死、冠動脈疾患、抹消動脈疾患、卒中発作、虚血肢、血管再狭窄、足の潰瘍形成、内皮機能不全及び/又はアテローム性動脈硬化症が含まれるが、これらに限定されない。
【0166】
本発明の態様において、病態及び/又は疾患は、(a)1型及び2型糖尿病並びに関連した疾患、障害又は病態(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症及び糖尿病性ニューロパシーが含まれるが、これらに限定されない);(b)インスリン抵抗性及びエックス症候群、肥満及び関連した疾患、障害又は病態(インスリン抵抗性、2型糖尿病、繁殖障害、心臓血管疾患、肺疾患、胆石症及び絶食によって誘起された胆嚢炎、癌及び皮膚疾患を含むがこれらに限定されない)、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、インスリノーマ、頭蓋咽頭腫、及び視床下部に関連した他の障害;(c)うっ血性心不全、左室肥大、心筋梗塞後残存(Ml)、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、(d)高齢者高血圧、家族性脂質異常性高血圧症、収縮期高血圧(ISH)等の高血圧;コラーゲン形成増加、線維症、及び高血圧に伴うリモデリング(組み合わせの抗増殖効果);血管コンプライアンス異常、卒中発作;高血圧に関連又は関連しないこれらの全ての疾患又は病態、(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、腎症;(f)甲状腺機能低下症;(g)高血圧を伴う又は伴わない内皮機能不全、(h)高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症及び高コレステロール血症、(i)黄斑変性、白内障、緑内障、j)皮膚及び結合組織障害、及び(k)経皮経管血管形成術後の再狭窄、及び冠状動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、からなる群から選択される場合がある。
【0167】
「インスリン分泌活性」とは、グルコース濃度の上昇に反応してインスリン分泌を促進し、細胞によるグルコース取り込みの増加、及び血清グルコース又は血糖値の低下を引き起こすか、若しくは促進させる物質の能力のことをいう。本技術分野で知られている方法を使用してインスリン分泌活性を測定することができる。例えば、インスリン又はC−ペプチドの濃度を測定するインビトロ及びin vivoの方法を使用する場合がある。もし化合物、組成物又は抱合体の存在下で膵島細胞が分泌するインスリンの濃度が、背景濃度又は化合物、組成物又は抱合体の非存在下における濃度を上回っているならば、本明細書に記載の化合物、組成物又は抱合体は、インスリン分泌活性を有する。化合物は動物に投与してよく、時間とともにインスリン濃度を測定することができる。
【0168】
「膵島新生」とは、無限に増殖する能力を有する幹細胞の特性を有し得る、又は有し得ないβ細胞を、分化によって新たに形成することをいう。
【0169】
(本発明の実施形態の詳細な説明)
本発明は、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を使用した組成物、抱合体及び方法に関連する。具体的に、本発明は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を使用した、本明細書において考察される病態及び/又は疾患の予防、介入及び/又は処置のための組成物、抱合体及び方法に関する。本発明の態様において、本発明の組成物、抱合体及び方法は、有益効果、具体的には向上した有益効果、より詳しくは単独のDPP−IV阻害剤及び/又はガストリン化合物と関連する持続的な有益効果を提供する。有益効果は、相補効果、相加効果又は相乗効果である場合がある。
【0170】
本発明の態様において、病態及び/又は疾患が糖尿病である場合、本発明の組成物、併用療法又は抱合体の有益効果、具体的には持続的な有益効果は、以下の1つ以上として現れる場合がある
a)糖尿病の病態を有する被験体への投与後において、活性化合物の非存在下で、又は各化合物単独に測定した濃度に関連する膵臓インスリン濃度の増加。好ましくは、前記化合物は一緒になって、被験体の膵臓インスリン濃度を少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、33%、35%、40%、45%又は50%増加させる。
b)糖尿病の症状を有する被験体への投与後の膵島炎症の症状の減少又は不在。
c)糖尿病の症状を有する被験体において、化合物の非存在下で、又は各化合物単独に測定した濃度に関連する血糖値の減少。好ましくは、前記化合物は、血糖値を少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%減少させる。最も好ましくは、前記化合物は、血糖値を、健常人において一般的に認められる血糖値の辺り又は近くにする。
d)糖尿病の病態を有する被験体において、活性化合物の非存在下で、又は各化合物単独に測定した濃度に関連するC−ペプチド濃度の増加。好ましくは、前記化合物は一緒になって、C−ペプチド濃度を少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、33%、35%、40%、45%又は50%増加させる。
e)(特に長期間にわたる)ほぼ正常な血糖値の維持。
f)長期間にわたる正常濃度のヘモグロビンA1c又は糖化ヘモグロビンの維持(特に、a%ヘモグロビンA1cを6〜8%、より具体的には約7%に維持)。
g)β細胞の破壊の抑制。好ましくは、前記化合物は、少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%抑制させる。
h)β細胞機能の増大。好ましくは、前記化合物は、β細胞機能を、少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%増大させる。
i)糖尿病の被験体において、活性化合物の非存在下又は各化合物単独の場合よりも、インスリンの放出又は使用が減少。好ましくは、前記化合物は、インスリンの放出又は使用を、少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、30〜100%、30〜80%又は35〜75%低下させる。
j)インスリン注射/摂取の必要量が、少なくとも5〜99%、5〜95%、10〜98%、10〜95%、10〜90%、10〜80%、10〜70%、10〜60%、10〜50%、10〜40%、10〜30%、10〜20%、20〜100%、20〜75%30〜100%、30〜90%、30〜80%、30〜75%、35〜90%、35〜80%又は35〜75%減少。
k)糖尿病の被験体の疾患進行の抑制、予防又は緩慢化。
l)糖尿病の症状を伴う重度の高血糖及びケトアシドーシスの発現の抑制又は予防。
m)糖尿病の症状を伴う被験体の生存率の上昇。
【0171】
本発明の実施態様においては、有益効果又は持続的な有益効果は、a)〜m)の内の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個を含むか、若しくは本質的にそれらから構成される。特定の実施態様において、有益効果又は持続的な有益効果は、a)、b)及びc);a)、b)、c)及びd);a)、b)、c)、d)及びe);a)、b)、c)、d)、e)及びf);a)、b)、c)、d)、e)、f)及びg);a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)及びh);a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)及びi);a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)及びj);a)、b)、c)、d)、e)、h)、i)、j)及びk);b)、c)、d)及びe);b)、c)、d)、e)、h)、i)及びj);b)、h)、i)及びj);a)〜e);a)〜f);a)〜g);a)〜h);a)〜i);a)〜j);a)〜k);a)〜l);及びa)〜m)を含むか、若しくは本質的にそれらから構成される。
【0172】
これらの有益効果又は持続的な有益効果の1つ以上は、当業者に知られている標準的方法を使用して、糖尿病の被験体又は疾患モデル、例えば、糖尿病の症状を伴う非肥満性糖尿病(NOD)マウスにおいて示すことができる。例えば、膵臓インスリン濃度、グルコース濃度、C−ペプチド濃度及びヘモグロビンA1cの検定には、市販の方法及びキットが使用される場合がある。
【0173】
ガストリン化合物は、本発明の特定の実施態様のために選択して、そのインスリン分泌活性等の特性に基づいた特異的な有益効果、即ちDPP−IV阻害剤の活性を増大させる能力、及び/又はDPP−IV阻害剤の物理的又は化学的安定性を増大させる能力を提供する場合がある。ガストリン化合物は、β細胞の増殖/分化を促進するその能力、及びin vivoにおけるその半減期に基づいて選択することもできる。
【0174】
本発明の態様において、ガストリン化合物は、アミノ末端からZ−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AAを含むアミノ酸配列を含むものであって、AAはTyr又はPheであり、AAはGly、Ala又はSerであり、AAはTrp、Val又はIleであり、AAは、Met又はLeuであり、AAはAsp又はGluであり、AAはPhe又はTyrであり;Zは任意のポリマーであり、そのポリマーがタンパク質である場合、Zはアミノ酸配列であり;Yは、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xは、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜17の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである。
【0175】
本発明の態様において、本明細書で開示される方法、組成物及び抱合体において使用するガストリン化合物は、場合によりポリマーに結合するガストリン17並びにその類似体及び誘導体である。特定の態様において、ガストリン化合物は、アミノ酸位15[配列番号4]のLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIである。
【0176】
本発明の他の態様において、本明細書で開示される方法、組成物及び抱合体で使用するガストリン化合物は、ガストリン34並びにその類似体及び誘導体である。特定の態様において、ガストリン化合物は、32位[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34である。
【0177】
本発明の更なる実施態様において、本発明の方法、組成物及び抱合体において使用するガストリン化合物は、血清タンパク質、具体的にはアルブミン又は免疫グロブリン、より具体的にはヒト血清アルブミンと直接的又は間接的に相互作用又は結合するガストリン34又はガストリン17又はその部分である。
【0178】
本発明の態様において、ガストリン化合物は、配列番号1又は2の2〜34個のアミノ酸残基や、場合によりN末端システイン及び/又は担体を有する合成ヒトガストリン34;アミノ酸位15[配列番号4]でLeu残基を有する1〜17個のアミノ酸残基や、場合によりN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリン;並びに配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17や、場合により、スペーサー[例えば、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala、即ち、(GA)][配列番号12]を介して結合されるN末端システイン残基及び/又は担体(例えばPEG又はヒト血清アルブミン)を有する合成ヒトガストリン、具体的には、配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17や、場合により、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala[即ち、(GA)]スペーサーを介して結合したヒト血清アルブミン(HSA)ポリマーを伴うN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリンを含む。
【0179】
DPP−IV阻害剤は、以下の特性の1つ以上に基づいて、本発明の特定の応用例のために選択される場合がある:インスリンの作用の拡大;グルカゴン放出の抑制;β細胞産生の増加;及び/又はプログラム細胞死(アポトーシス)の阻害。
【0180】
本発明の態様において、DPP−IV阻害剤は、表1の参考文献に記載される阻害剤を含むか、若しくはそれらから選択される。
【0181】
本発明の特定の態様において、DPP−IV阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンである。
【0182】
本発明の実施態様において、DPP−IV阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン又はサクサグリプチン、具体的にはビルダグリプチン(Galvus(登録商標))である。
【0183】
本発明の薬学的組成物には、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の単独の場合と比較して、好ましくは有益効果、具体的には、統計学的に有意な有益効果、又は持続的な有益効果を提供するものを選択することができる。好ましくは、少なくとも1つの有益効果、例えば、相互に関係があり強化する、遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態のDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物の効果の相互増強、更なる有益効果、より少ない副作用、成分の1つ又は各々の非効果的投与量における併用療法効果、並びに、特に遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態のDPP−IV阻害剤とガストリン化合物との間の、例えば相加効果を超えた相乗効果がある。糖尿病の病態に関する有益効果は、本明細書に記載の有益効果の1つ以上、より具体的には、上記のa)〜m)に記載された有益効果の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上によって示される。
【0184】
本発明の特定の態様は、同時に、別個に又は連続して使用するための組み合わせに関する。好ましくは、前記組み合わせは、遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態の少なくとも1つのDPP−FV阻害剤と、遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態の少なくとも1つのガストリン化合物とを含む薬学的組成物である。好ましくは、前記薬学的組成物は、組み合わせた製剤、又は固定された組み合わせである。好ましくは、前記薬学的組成物は、同時に、別個に又は連続して使用するための組み合わせた製剤である。組み合わせた製剤としては、遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態のDPP−IV阻害剤と、遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態の少なくとも1つのガストリン化合物とを含み、場合により、少なくとも1つの、即ち1つ以上の、例えば2つの、同時に、別個に又は連続して使用するための薬学的に許容される担体を含むものも企図される。
【0185】
好ましくは有益効果を、より好ましくは統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、好ましくは、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤の1つ以上、特に米国特許第6,001,155号、国際公開第99/61431号、国際公開第99/67278号、国際公開第99/67279号、独国特許第19834591号、国際公開第97/40832号、独国特許第19616486(C2)号、国際公開第98/19998号、国際公開第00/07617号、国際公開第99/38501号、国際公開第99/46272号及び米国特許第20050222221号に記載された、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン及びL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるDPP−IV阻害剤、並びに1つ以上のガストリン化合物(例えば、配列番号1、2、3又は4)を含むものが提供される。
【0186】
具体的には有益効果を、より具体的には統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤、具体的には米国特許第6,001,155号、国際公開第99/61431号、国際公開第99/67278号、国際公開第99/67279号、独国特許第19834591号、国際公開第97/40832号、独国特許第19616486(C2)号、国際公開第98/19998号、国際公開第00/07617号、国際公開第99/38501号、国際公開第99/46272号及び米国特許第20050222221号に記載された、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン及びL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるDPP−IV阻害剤の1つ以上と、アミノ末端からZ−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AA(式中、AAはTyr又はPheであり、AAはGly、Ala又はSerであり、AAはTrp、Val又はIleであり、AAはMet又はLeuであり、AAはAsp又はGluであり、AAはPhe又はTyrであり;Zは任意のポリマーであり、そのポリマーがタンパク質である場合、Zはアミノ酸配列であり;Yは、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xは、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜11の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである)を含むアミノ酸配列を有する1つ以上のガストリン化合物を含むものが提供される。特定の実施態様において、Zは、血清タンパク質、具体的にはヒト血清アルブミンである。
【0187】
一態様において、統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、1つ以上のDPP−IV阻害剤と、配列番号1〜9の内の何れか1つのガストリン化合物の1つ以上又はその修正物、特にガストリン34(Leu)[配列番号2]又はガストリン17(Leu)[配列番号4]とを含むものが提供される。
【0188】
一態様において、統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン及びL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるDPP−IV阻害剤の1つ以上と、配列番号1〜9の内の何れか1つのガストリン化合物の1つ以上又はその修正物、特にガストリン34(Leu)[配列番号2]又はガストリン17(Leu)[配列番号4]とを含むものが提供される。
【0189】
一態様において、統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるDPP−IV阻害剤の1つ以上と、ガストリン17(Leu)[配列番号4]とを含むものが提供される。
【0190】
一態様において、統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を有する薬学的組成物としては、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるDPP−IV阻害剤の1つ以上と、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール、或いはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、代謝物又はプロドラッグからなる群から選択される1つ以上のガストリンアゴニストとを含むものが提供される。
【0191】
本発明の特定の態様においては、DPP−FV阻害剤の薬学的に許容される塩及び/又はガストリン化合物の薬学的に許容される塩が利用される。
【0192】
特定の態様における本発明は、病態及び/又は疾患、特に糖尿病を処置する上での持続的な有益効果を提供するための被験体への投与に適合した薬学的組成物を提供する。糖尿病の予防及び/又は処置のための実施態様において、組成物は、被験体に投与することによって血糖値がほぼ正常、特に処置の中止後、長期間にわたって特定の値が被験体に持続して認められるような形態である。
【0193】
本発明は、ガストリン化合物に結合又は相互作用するDPP−IV阻害剤を含む抱合体であって、その相互作用が例えばアミノ基又はカルボキシル基を介したものである、抱合体を提供する。本発明は、本発明の分離された共有結合した抱合体、及び本発明の共有結合した抱合体を含む組成物にも関する。DPP−IV阻害剤は、OHとCOOHの間のエステル結合を介して種と抱合する場合がある。DPP−IV阻害剤とガストリン化合物との抱合体は、中間のスペーサー又はリンカーによって抱合する場合がある。適切なスペーサー又はリンカーは、単糖、二糖、アミノ酸、硫酸塩、スクシナート、アセテート或いはこのような部分の1つ以上を含むオリゴマー、ポリマーのスペーサー又はリンカーである場合がある。
【0194】
本発明は又、薬物動態学的特性、生物活性及び有益効果が改善された抱合体をもたらす抱合体の調製方法も提供する。前記方法は、前記化合物の間に共有結合を形成し得る条件の下で、ガストリン化合物と共にDPP−IV阻害剤をインキュベートすることを含む。従って、本発明は、ガストリン化合物に共有結合又は結合するDPP−IV阻害剤を含む共有結合した抱合体を調製するプロセスであって、前記プロセスが、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の間に共有結合又は結合を形成するのに十分な条件、pH及び時間でガストリン化合物と共にDPP−IV阻害剤をインキュベートすること;及び共有結合した抱合体を分離することを含む、プロセスを企図する。DPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを含む抱合体を調製するための上記プロセスによって、DPP−IV阻害剤に共有結合され、DPP−IV阻害剤の相当量を有する抱合体が提供される場合がある。
【0195】
ガストリン化合物に抱合し、場合によりスペーサー又はリンカーに抱合したペプチドDPP−IV阻害剤を含むN末端又はC末端の融合タンパク質又はキメラタンパク質は、組換え技法により、ペプチドDPP−IV阻害剤のN末端又はC末端の配列並びにガストリン化合物の配列を融合することによって調製してもよい。
【0196】
本発明は、本明細書に記載のプロセスによって調製された抱合体に関する。本発明は、本発明の抱合体と、薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルとを含む薬学的製剤又は薬学的組成物にも関する。
【0197】
本発明は更に、DPP−IV阻害剤単独の場合よりも、有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供するガストリン化合物に共有結合するDPP−IV阻害剤を含む、実質的に純粋に共有結合した抱合体の薬学的製剤又は薬学的組成物に関する。一実施態様において、薬学的製剤としては、中間のスペーサー又はリンカーによらずにガストリン化合物に共有結合するDPP−IV阻害剤を含む、共有結合した抱合体を含むか、又はそれから本質的に構成されるものが提供される。別の実施態様において、薬学的製剤としては、中間のスペーサー又はリンカーによってガストリン化合物に共有結合するDPP−IV阻害剤を含む、共有結合した抱合体を含むか、又はそれから本質的に構成されるものが提供される。
【0198】
本発明の態様において、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを含む組成物又は抱合体においては、処置後の持続的なインスリン分泌活性が、単独のDPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の活性よりも大きい。
【0199】
本発明は、少なくとも1つのガストリン化合物及び少なくとも1つのDPP−IV阻害剤、或いは有益効果、具体的には持続的な有益効果を提供する本発明の薬学的組成物を投与することを含む、被験体の病態及び/又は疾患を予防、処置及び/又は介入する方法を提供する。
【0200】
本発明の方法の態様においては、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物が投与される。特定の態様において、DPP−IV阻害剤は、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンである。
【0201】
本発明の特定の方法においては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンが投与される。本発明の方法の実施態様においては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、又はサクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、好ましくはビルダグリプチンが投与される。
【0202】
本発明の態様において、ガストリン化合物としては、アミノ末端からZ−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AA(式中、AAはTyr又はPheであり、AAはGly、Ala又はSerであり、AAはTrp、Val又はIleであり、AAはMet又はLeuであり、AAはAsp又はGluであり、AAはPhe又はTyrであり;Zは任意のポリマーであり、そのポリマーがタンパク質である場合、Zはアミノ酸配列であり;Yは、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xは、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜17の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである)を含むアミノ酸配列を含むものが、投与される。
【0203】
有益効果、具体的には統計学的に有意な有益効果又は持続的な有益効果を提供する本発明の特定の方法において、DPP−IV阻害剤は、表1に列挙する参考文献に開示されたDPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンからなる群から選択されるものであり、ガストリン化合物は、アミノ末端からZ−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AA(式中、AAはTyr又はPheであり、AAはGly、Ala又はSerであり、AAはTrp、Val又はIleであり、AAはMet又はLeuであり、AAはAsp又はGluであり、AAはPhe又はTyrであり;Zは任意のポリマーであり、そのポリマーがタンパク質である場合、Zはアミノ酸配列であり;Yは、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xは、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜17の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである)を含むアミノ酸配列を含む。特定の一実施態様において、Zは、血清タンパク質、特にヒト血清アルブミンである。
【0204】
本発明の特定の態様において、ガストリン化合物は、DPP−IV阻害剤と併用して投与されるものであって、前記ガストリン化合物は、配列番号1又は2の2〜34のアミノ酸残基並びに場合によりN末端システイン及び/又は担体を有する合成ヒトガストリン34;アミノ酸位15[配列番号4]にロイシン残基を有する1〜17のアミノ酸残基及び場合によりN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリン;並びに配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17、場合により、スペーサー[例えば、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala、即ち(GA)][配列番号12]を介して結合されるN末端システイン残基及び/又は担体(例えば、PEG又はヒト血清アルブミン)を有する合成ヒトガストリン、特に配列番号3又は4のアミノ酸残基2〜17又は5〜17、Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala[即ち(GA)]のスペーサーを介して結合されるヒト血清アルブミン(HSA)ポリマー、及び場合によりN末端システイン残基を有する合成ヒトガストリンを含む。
【0205】
本発明の方法の実施態様において、ガストリン17或いはその類似体又は誘導体、特にアミノ酸位15[配列番号4]にLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIは、DPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンと併用して投与される。
【0206】
本発明の方法の他の実施態様において、ガストリン34或いはその類似体又は誘導体、特定の態様において、32位1[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34は、DPP−IV阻害剤、特にシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン又はL−allo−イソロイシルピロリジンと併用して投与される。
【0207】
本発明の方法の特定の態様においては、DPP−IV阻害剤及び/又はガストリン化合物の薬学的に許容される塩類が利用される。
【0208】
本発明は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤と少なくとも1つのガストリン化合物とを投与することを含む、被験体における本明細書で考察される病態及び/又は疾患の予防及び/又は介入する方法を提供する。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物は、被験体に直接投与、若しくは細胞(例えば、幹細胞又は前駆細胞)に接触させて被験体に投与される場合がある。
【0209】
本発明は又、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を被験体に投与して有益効果を提供することを含む、被験体において本明細書で考察される病態及び/又は疾患を予防及び/又は処置するための併用処置も提供する。一態様において、本発明は、処置後に持続的な有益効果を提供する併用処置又は介入を提供する。
【0210】
具体的に、本発明は、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を被験体に投与して有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供することを含む、被験体の病態及び/又は疾患を処置又は予防するための併用処置を提供する。
【0211】
本発明は又、糖尿病の病態を有する被験体への投与の際に、血糖値の低下、好ましくはほぼ正常値及び/又は膵臓インスリンの増加として現れる有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供する少なくとも1つのガストリン化合物の投与と併用して、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤を投与することを含む治療方法にも関する。
【0212】
本発明の一態様において、治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物は、被験体への投与前に組み合わされる。一実施態様において、治療有効量の1つ以上のDPP−IV阻害剤及び1つ以上のガストリン化合物は、生理学的に許容されるpHで混合される。
【0213】
他の態様において、本発明は、糖尿病、具体的にはインスリン非依存型糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満及び/又は代謝症候群又はB細胞保護等の、DPP−IVと関連した疾患を処置及び/又は予防する方法、好ましくは、インスリン非依存型糖尿病及び/又は耐糖能障害を処置及び/又は予防する方法であって、前記方法が、被験体、特にヒト又は動物に少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を投与することを含む、方法に関する。更に本発明は、上述の通りに処置及び/又は予防する方法であって、前記疾患が高血圧であるか、若しくは利尿剤が有益効果を有する、方法にも関する。
【0214】
更に、本発明は、糖尿病、具体的にはインスリン非依存型糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満及び/又は代謝症候群又はB細胞保護等の、DPP−IVと関連した疾患を処置及び/又は予防する医薬品の調製、好ましくは、インスリン非依存型糖尿病及び/又は耐糖能障害を処置及び/又は予防する医薬品を調製するための、上述の通りの化合物の使用に関する。更に本発明は又、前記疾患が高血圧である、上述の通りの使用、又は利尿剤を調製するための使用に関する。
【0215】
上記の方法及び使用に関して、以下の疾患:即ち、糖尿病、具体的にはインスリン非依存型糖尿病、耐糖能障害、肥満及び/又は代謝症候群又はB細胞保護、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害は、特定の態様に関する。
【0216】
一実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞増殖を促進する方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0217】
別の実施態様において、本発明は、被験体のβ細胞の数及び/又はサイズを増大させる方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0218】
更なる態様において、本発明は、1型糖尿病又は2型糖尿病の予防又は処置のための方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0219】
尚更なる実施態様において、本発明は、疾患の進行を緩和する方法、又は2型糖尿病を患う者の疾患の重症度を低下させる方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0220】
本発明は、耐糖能障害或いはインスリン不要2型糖尿病からインスリン必要2型糖尿病の進行を遅延させる方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0221】
本発明は又、被験体のインスリン合成能力を増大させる方法であって、本発明の治療有効量の組成物又は抱合体を投与すること、或いはDPP−IV阻害剤とガストリン化合物とを併用投与することを含む、方法を提供する。
【0222】
本発明は更に、被験体の膵島新生を誘導する方法であって、膵島前駆細胞を、十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体に接触させて、被験体の膵島前駆細胞の増殖を促進させ、これにより膵島新生を誘導することを含む、方法にも関する。
【0223】
本発明は、糖尿病患者の膵島移植の機能的β細胞集団を拡大させる方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を罹患体に投与することを含む、方法を企図する。
【0224】
一態様において、本発明は、十分な量のガストリン化合物及びDPP−IV阻害剤を含む組成物を投与して罹患体の膵島前駆細胞の分化を引き起こし、インスリン分泌細胞の成熟及び/又は既存の膵島細胞のインスリン合成を促進することによって、糖尿病、特に2型糖尿病の処置を、これらを必要とする患者に対して行う方法を提供する。幾つかの態様における組成物は、全身投与、又は発現ベクターにおける1つ以上の核酸構成要素を含む宿主細胞によるin situでの発現が可能であり、前記核酸構成要素は、膵島前駆細胞において機能する転写調節領域及び翻訳調節領域と共に、ガストリン化合物のコード配列、又はペプチドDPP−TV阻害剤のコード配列、又は両化合物のコード配列を含む。
【0225】
本発明は、細胞、好ましくは本発明のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を使用した培養液中の細胞を処置する方法を提供する。本発明は又、本発明のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を使用した、細胞に基づいた処置方法も提供する[一般培養及び細胞に基づいた処置方法の説明については、PCT/CA03/33595を参照]。
【0226】
一態様において、本発明は、幹細胞又は前駆細胞を増殖させてインスリン分泌細胞に分化させる方法であって、幹細胞又は前駆細胞を、十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体に接触させて、幹細胞又は前駆細胞を増殖及び分化させることを含む、方法に関する。増殖及び分化の量は、化合物、組成物又は抱合体の非存在下の場合と比較して有意差があってよく、特にその量は、単独のDPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の場合における量よりも有意に大きくてよい。一実施態様において、幹細胞又は前駆細胞は、培養液中において化合物、組成物又は抱合体と接触する。別の実施形態において、幹細胞又は前駆細胞は、被験体内において化合物、組成物又は抱合体と接触する。化合物、組成物又は抱合体は、被験体内における幹細胞の移植前、移植中又は移植後に被験体に投与して、被験体内の幹細胞を増殖及び分化させることができる。幹細胞は、膵島、臍帯、胚又は幹細胞系から得ることができる。前記方法は、免疫抑制剤を投与することも更に含む場合がある。
【0227】
本発明は、培養液中のインスリン分泌細胞の増殖を促進する方法であって、その細胞を、十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体に接触させて、その細胞の増殖を促進させることを含む、方法にも関する。増殖の量は、化合物、組成物又は抱合体の非存在下の場合と比較して有意差がある場合がある。
【0228】
本発明は更に、培養液中の膵島細胞又は前駆細胞を維持する方法であって、十分な量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、本発明の組成物又は抱合体の存在下で、前記細胞を培養することを含む、方法にも関する。前記細胞は、化合物、組成物又は抱合体の非存在下、或いは単独のDPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の存在下で培養した細胞よりも、有意に長い期間、培養液中で維持される場合がある。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体の存在下で細胞を培養することは、移植を目的とする細胞の調製及び維持において特に有用である。
【0229】
一態様において、本発明は、病態及び/又は疾患を処置する方法であって、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を複数の細胞と共に、これらを必要とする被験体に投与することにより有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供することを含む、方法を提供する。
【0230】
本明細書に記載の病態及び/又は疾患を有する被験体を処置する方法は、複数の細胞を、ex vivoで、DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体に接触させ、場合により細胞を培養し、細胞を必要とする被験体にその細胞を投与することを含む。
【0231】
前記の細胞に基づく治療方法の実施態様においては、細胞は膵臓管細胞であり、前記方法で使用される化合物/組成物/抱合体の量は、被験体のインスリン分泌細胞の量を増加させるのに概して効果的である。前記細胞は、自己由来(即ち、同じ被験体から)である場合もあれば、同じ種の別の個体又は異なる種からのものである場合もある。
【0232】
本発明は又、被験体に膵島製剤を移植し、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、或いは本発明の組成物又は抱合体を投与することを含む、被験体の糖尿病を処置する方法をも企図する。
【0233】
本発明の細胞に基づく方法において、病態及び/又は疾患を患う個体に投与される細胞の数は、病態及び/又は疾患の重症度、投与様式及び/又は投与部位によって変わる。一般的に、細胞の治療有効量とは安全且つ有効な量であり、特に1つ以上の有益効果、具体的には持続的な有益効果又は相乗効果を提供するために必要な量である。
【0234】
細胞は、当業者にとって明らかな種々の手段を使用して被験体に投与し得る。好適な方法には、被験体の標的部位への細胞の注射が含まれる。細胞は、被験体への注射又は移植を容易にするために、送給装置に入れてよい。送給装置の例には、被験体の身体に細胞及び液を注射するためのチューブ、例えばカテーテルが含まれる。細胞は、種々の異なる形態で送達するために調製し得る。例えば、前記細胞は、溶液又はゲルに懸濁される場合もあれば、細胞が成育可能のまま残っている、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と混合される場合がある。薬学的に許容される担体、賦形剤及び希釈剤には、生理的食塩水、水溶性緩衝液、溶剤及び/又は分散媒が含まれる。このような担体及び希釈剤の使用は、当該技術分野で周知である。前記溶液は一般的に無菌であり、多くの場合、等張性となる。好ましくは、細胞の溶液としては、製造条件及び貯蔵条件の下で安定であって、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、スコルビン酸、チメロサール等を使用することにより、微生物作用の汚染に対して保存されるものが選択される。
【0235】
細胞の投与様式には、全身心臓内注射、冠内注射、静脈内注射、皮内注射又は動脈内注射、並びに活性対象部位の、又は活性部位に近接した組織又は臓器への直接の注射が含まれるが、これらに限定されない。細胞製剤は、あらゆる好都合な経路、例えば、注射又は大量注射によって投与することができ、その他の生理活性物質と共に投与することができる。幾つかの態様における投与は、好ましくは全身性のものである。細胞製剤は、あらゆる好都合な経路、例えば、注射又は大量注射によって投与することができ、その他の生理活性物質と共に投与することができる。
【0236】
本発明の方法は、以下のマーカーの1つ以上を測定又は観察することを更に含む場合がある:即ち、血糖、血清グルコース、血液糖化ヘモグロビン、膵臓β細胞集団、血清インスリン、膵臓インスリン値、形態計測的に測定されたβ細胞集団、インスリン分泌細胞の量、及びインスリン分泌細胞のグルコース反応性。
【0237】
本発明は又、病態及び/又は疾患の処置の際に有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供する医薬品を調製するための少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物の組み合わせを含む組成物の使用についても企図する。一態様において、本発明は、病態及び/又は疾患の処置の際に有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供する医薬品を調製するための治療有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物の組み合わせを含む組成物の使用に関する。一実施態様において、本発明は、処置後の被験体のβ細胞の数及び/又はサイズを増大(好ましくは、増大を維持)させる医薬品を調製するためのDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の使用を提供する。別の実施態様において、本発明は、処置後のβ細胞増殖を促進(好ましくは、促進を維持)する医薬品を調製するためのDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の使用を提供する。尚更なる実施態様において、本発明は、本明細書で開示される病態及び/又は疾患、特に1型糖尿病又は2型糖尿病を処置する医薬品を調製するためのDPP−IV阻害剤及びガストリンの使用を提供する。
【0238】
本発明は、病態及び/又は疾患の処置における有益効果を、好ましくは持続的な有益効果のための医薬品の調製における本発明の薬学的組成物及び抱合体の使用を提供する。
【0239】
本発明の化合物、組成物及び抱合体の治療有効性と毒性は、例えば、ED50(個体群の50%に治療的に有効な投与量)又はLD50(個体群の50%に致死的な投与量)の統計値等の統計パラメータの算出等、細胞培養又は実験動物による標準的な薬学的手順で測定することができる。治療係数は、毒性効果に対する治療効果の用量比であり、ED50/LD50比率として表現し得る。大きな治療係数を示す薬学的組成物が好ましい。
【0240】
本発明の組成物又はその分屑は、意図された投与形態に基づいて選択され、従来薬務に合わせた、適切な医薬希釈剤、賦形剤、ビヒクル又は担体を一般的に含む。担体やビヒクル等は、相加的、相乗的有効量又は処置有効量の活性化合物を得るために適合させてよい。適切な医薬希釈剤、賦形剤、ビヒクル及び担体については、標準テキスト、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。例えば、カプセル剤又は錠剤の形態で経口投与するために、主薬は、ラクトース、デンプン、スクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、カルシウム、硫酸塩、リン酸二カルシウム、マンニトール、ソルビタール等の、経口的で無毒性の、薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。液体状態における経口投与のために、薬物成分は、エタノール、グリセロール、水等の、経口的で無毒性の、薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。適切な結合剤(例えば、ゼラチン、デンプン、トウモロコシ甘味剤;グルコースを含めた天然の糖;天然及び合成のゴム、及び蝋)、滑沢剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウム)、崩壊剤(例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト及びキサンタンガム)、着香剤及び着色剤は、その組成物又は成分と組み合わせる場合がある。
【0241】
本発明の一態様において、薬学的組成物のpHは約7〜10である。
【0242】
本発明の組成物の非経口投与用製剤には、水溶液、シロップ剤、水性又は油性懸濁剤、並びに綿実油、椰子油又は落花生油等の食用油を含む乳剤が含まれる場合がある。水性懸濁液に使用できる分散剤又は懸濁化剤には、トラガカントゴム、アルギン酸塩、アカシア、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース及びポリビニルピロリドン等の、合成ゴム又は天然のゴムが含まれる。
【0243】
非経口投与用組成物には、治療的に活性な剤の非経口投与に都合よく使用される、水、等張の生理的食塩水、等張のブドウ糖液、緩衝液又は他の溶媒等の、滅菌水性溶媒又は非水溶媒が含まれる。非経口投与を目的とした組成物は、例えば、メチルヒドロキシベンゾアート又は類似の添加剤等の抗酸化剤等の、安定化剤、緩衝剤又は保存剤等の従来の添加剤も含む場合がある。
【0244】
一実施例において、固体形態の薬学的組成物(例えば、錠剤、カプセル剤、粉末状形態又は微粉状形態)としては、結晶質又は非晶質のDPP−IV阻害剤並びに結晶質又は非晶質のガストリン化合物を含むものが提供される。
【0245】
別の実施態様において、本発明は、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の薬学的に許容される塩を含む液剤製剤に関し、並びに非経口投与に安定、適切である懸濁剤を提供するように再組成することができる凍結乾燥薬物製剤に関する。
【0246】
特定の一態様において、本発明は、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物の薬学的に許容される塩を含む水溶性組成物に関し、並びに可溶化をもたらす溶媒系に関する。本発明は又、少なくとも1つの可溶化剤を有するDPP−IV阻害剤とガストリン化合物の薬学的に許容される塩の水溶性製剤を含む薬物をも提供する。
【0247】
本発明の組成物は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過、組成物への滅菌剤の添加、組成物の照射、又は組成物の加熱によって滅菌される場合がある。或いは、本発明の化合物、抱合体及び組成物は、使用直前に無菌溶媒に容易に溶解される無菌固形製剤(例えば、凍結乾燥粉末)として提供される場合がある。薬学的組成物は、調製後、適切な容器に入れ得て、表示された病態の処置のためにラベル付けされ得る。本発明の組成物の投与のために、このような表示は、投与の量、頻度及び方法を含む。
【0248】
本明細書に記載の製剤に加えて、前記組成物は、デポ製剤としても調製され得る。このような長時間作用性の製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与される場合がある。従って、例えば、分屑は、適切なポリマー物質又は疎水性物質(例えば、許容される油の乳剤として)、又はイオン交換樹脂、又はやや難溶の誘導体として、例えば、やや難溶の塩として配合される場合がある。
【0249】
本発明の組成物及びその成分は、標的にし得る薬物担体としての可溶性ポリマーを含む場合がある。
【0250】
本発明の化合物、組成物、医薬及び抱合体は、被験体又は罹患体の身体における剤の作用部位に活性薬剤を接触させる、如何なる手段によっても投与され得る。活性成分は、同時に又は連続して、且つ異なる時点に任意の順序で投与して所望の有益効果を提供することができる。各活性成分は、医師又は獣医師によって指示される通り、2回以上を含めた何れかの有効回数によって別個に投与される場合がある。
【0251】
化合物、抱合体及び組成物は、局所的又は全身に送達するための持続放出を目的として配合することができる。それは、本発明の組成物、抱合体及び治療の効果を最適化する投与経路を選択する、熟練した医師又は獣医師の能力の範囲内に含まれる。
【0252】
前記組成物は、錠剤、カプセル剤(それぞれ、持効性製剤又は徐放性製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤及び乳剤等の経口投与形態で投与される場合がある。これらは、医薬技術の当業者に周知の投薬形態を全て利用して、静脈内(大量注射又は点滴)、腹腔内、皮下又は筋肉内の形態で投与される場合もある。本発明の組成物は、適切な経鼻投与のビヒクルの局所的使用による鼻腔内経路、又は、例えば従来の経皮的皮膚貼付剤を使用した、経皮的経路を介して、投与される場合がある。経皮的送達システムを使用した投与のための用量プロトコルは、薬剤投与計画を通して間欠的なものよりは、むしろ連続的なものである場合がある。
【0253】
特定の投与経路は、非経口投与、好ましくは末梢的非経口投与である。非経口投与とは、無菌の注射器又は薬物注入ポンプ等の他の幾つかの機械的装置による、身体内への剤形の注射のことをいうものと一般的に理解される。本発明のためには、非経口投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内の投与経路が含まれる。非経口投与のためには、本明細書に記載の化合物又は抱合体は、適切なpHの蒸留水と組み合わされる場合がある。
【0254】
本発明は、相加的活性又は相乗的活性が得られ、相加的又は相乗的に有効な量が送達される、又は処置有効量の少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物、或いは本発明の抱合体又は組成物の供給量が送達される、併用処置を含む。従って、本発明の使用に適した薬学的組成物には、治療有効量の、とりわけ相乗的有効量の活性成分が含有される組成物が含まれる。
【0255】
本発明の用法・用量は、剤の薬理学的特性、並びにそれらの投与様式及び投与経路;罹患体の種、年齢、性別、健康、医学的状態及び体重;病態の内容及び程度;併用処置の種類;治療の頻度;投与経路;罹患体の腎臓及び肝臓の機能;及び所期の効果、等の公知の要素によって変化する。病態の進行の予防、対処又は阻止に必要な薬物の有効量は、通常の熟練した医師又は獣医師によって容易に決定することができる。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物又は本発明の組成物は、1日1回投与される場合もあれば、1日総投与量を1日2回、3回又は4回の分割量で投与される場合もある。
【0256】
投与の用量プロトコルは、ガストリン化合物の間欠投与を伴うDPP−IV阻害剤の連続投与を含む場合がある。
【0257】
本発明の組成物、医薬品又は処置は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤の単位用量及び少なくとも1つのガストリン化合物の単位用量を含む場合がある。「単位用量」とは、単位、即ち単一の用量の意味であって、罹患体に投与されるものであり、活性薬剤それ自体、又は1つ以上の固形状又は液状の医薬賦形剤、担体又はビヒクルとの混合物の何れかを含む物理的、化学的に安定した単位投与量のままで、容易な取り扱いと包装が可能なものである。
【0258】
本発明の組成物、医薬品又は処置は、ガストリン化合物とDPP−IV阻害剤の何れか単独の用量よりも、処置後の持続期間におけるグルコース濃度の減少又は低減により効果的な、治療的に有効な最適以下の用量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を含む場合がある。改善された薬学的組成物としては、病態及び/又は疾患、特に糖尿病の長期間又は緊急の治療を行うための形態の、治療的に有効な最適以下の量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を含むものも企図される。
【0259】
一態様において、薬学的組成物又は処置としては、病態及び/又は疾患を処置する有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供するために必要とされる各化合物の投与量と等しいか、若しくは1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍少ない投与量の、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含むものが提供される。
【0260】
一態様において、本発明は、単一単位当たり、0.5〜6000、100〜1500、100〜6000、1000〜6000、2000〜6000及び3000〜6000マイクログラムのDPP−IV阻害剤、並びに、単一単位当たり、0.5〜6000、100〜3000、100〜6000、1000〜6000、2000〜6000及び3000〜6000マイクログラムのガストリン化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0261】
一態様において、本発明は、0.01〜1000、0.01〜500、0.01〜400、0.01〜300、0.01〜200、0.01〜100、0.01〜50、0.01〜30、0.01〜20、0.1〜20、0.1〜30、0.1〜40、0.1〜50及び0.1〜60マイクログラム/kg/日のDPP−IV阻害剤、並びに0.01〜1000、0.01〜500、0.01〜400、0.01〜300、0.01〜200、0.01〜100、0.01〜50、0.01〜30、0.01〜20、0.1〜20、0.1〜30、0.1〜40、0.1〜50及び0.1〜60マイクログラム/kg/日のガストリン化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0262】
本発明の特定の態様において、ガストリン化合物の用量範囲は、1日当たり、体重1キログラムにつき、一般的に約0.01マイクログラム〜約500マイクログラムのガストリン化合物、例えば、約0.01マイクログラム〜約1マイクログラム/kg、約0.1マイクログラム/kg〜約10マイクログラム/kg又は約1マイクログラム/kg〜約50マイクログラム/kgである。
【0263】
別の特定の一態様において、本発明は、0.1〜30、0.1〜40、0.1〜50及び0.1〜60マイクログラム/kg/日のガストリン化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0264】
持続的な有益効果を提供する本発明の実施態様において、ガストリン化合物の投与のための用量範囲は、1〜30マイクログラム/kg体重、具体的には3〜30マイクログラム/kg体重、より具体的には5〜20マイクログラム/kg体重である。
【0265】
本発明の組成物におけるガストリン化合物に対するDPP−IV阻害剤の比率は、DPP−IV阻害剤及び/又はガストリン化合物の活性を増大させ、有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供するために選択される場合がある。DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物は、一方又は両方の化合物の活性を増大させて、有益効果、具体的には持続的な有益効果を提供すること、及び/又は、相加効果又は相乗効果を提供することを目的として選択された比率である場合がある。実施態様において、ガストリン化合物に対するDPP−IV阻害剤の比率は、1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、1:1〜1:5及び1:1である場合がある。他の特定の実施態様において、DPP−IV阻害剤に対するガストリン化合物の比率は、1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10及び1:1〜1:5である場合がある。
【0266】
DPP−IV阻害剤は、治療的に有効な体重の比率で、約1:1〜1:150の間、特に1:1〜1:50でガストリン化合物と併用される場合がある。別の実施態様において、ガストリン化合物は、治療的に有効な体重の比率で、約1:1〜1:150の間、特に1:1〜1:50でDPP−IV阻害剤と併用される場合がある。
【0267】
本発明の組成物又は製剤は、被験体に対して、2週間〜12ヵ月間、2週間〜6ヵ月間、2〜16週間、2週間〜12週間及び/又は2〜8週間連続的、或いは周期的に投与される場合がある。
【0268】
本発明は、更なる1つ以上の治療薬と組み合わせた本発明の組成物、抱合体、治療及び方法をも含むものであり、その治療薬には、免疫抑制剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、食欲調節剤、抗高血圧剤、病態及び/又は疾患、特に糖尿病及び肥満に起因又は関連した合併症を処置及び/又は予防する薬剤、制吐薬、抗頭痛薬、並びに副作用を処置又は予防する一般的な薬が含まれるが、これらに限定されず、その抗糖尿病剤には、インスリン、インスリン感受性促進剤、グルコース低下剤、インスリン分泌促進剤及びインスリンシグナリング経路モジュレーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0269】
本発明の態様において、抗糖尿病化合物は、チロシンホスファターゼ(PTPases)の阻害剤や非低分子擬態化合物やグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の阻害剤等のインスリンシグナリング経路モジュレーター、グルコース−6−ホスファターゼの阻害剤やフルクトース−1,6−ビスホスファターゼの阻害剤やグリコーゲンホスホリラーゼの阻害剤やグルカゴン受容体拮抗剤やホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害剤等の無調節な肝グルコース産生に影響する化合物、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、インスリン感受性促進剤、インスリン分泌促進剤、αグルコシダーゼ阻害剤、胃排出阻害剤、インスリン、及びα2−アドレナリン拮抗剤。特定の態様において、更なる治療的化合物は、ナテグリニド、PPAR化合物、レパグリニド、メトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド)、クロロプロパミド、グリボムリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トリルシクラミド)、グリメピリド及びグリクラジド、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体α化合物、又はこのような化合物の薬学的に許容される塩である。
【0270】
本発明の態様において、更なる治療剤は、PPAR化合物である。
【0271】
本発明は、別個に、若しくは抱合体として投与される場合がある活性薬剤の組み合わせを使用する治療方法に関することから、本発明は、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含むキット、即ちキット形態の薬学的組成物又は抱合体をも提供する。本発明は、1つの箱に、DPP−IV阻害剤を有する1つの瓶と、ガストリン化合物を有する別の瓶とを含む医薬キットにも関する。キットは、本発明の抱合体又は組成物を含む容器を収納し、更に、被験体に抱合体又は組成物を投与するための説明書を収納するパッケージを含む場合がある。
【0272】
本発明の実施態様において、医薬パック又はキットとしては、有益効果、具体的には持続的な有益効果を提供するために本発明の薬学的組成物の成分の1つ以上が充填された1つ以上の容器を含むものが提供される。このような容器には、使用説明書等の各種文書、或いは医薬品又は生物学的製剤のラベル付け、製造、使用又は販売について規定する政府機関によって定められた注意事項が関連してもよく、その注意事項は、ヒト投与に関する製造、使用又は販売の当機関による承認を示す。
【0273】
一態様において、本発明は、「要素のキット」に関し、例えば、前記成分、即ち遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態のDPP−IV阻害剤並びに遊離形態又は薬学的に許容される塩の形態のガストリン化合物は、個別に、或いは顕著な量の前記成分の種々の固定された組み合わせを使用して、即ち種々の時点で、又は同時に、投与し得る。キットの要素は、同時に、又は経時的にずらして、即ち、種々の時点、及びキットのあらゆる成分のための等しい、又は異なる時間間隔で、投与される場合がある。時間間隔は、その要素の併用における病態及び/又は疾患に対する効果が、成分の内の何れか1つだけを使用して得られる効果より大きくなるように選択することができる。
【0274】
従って、本発明は、(a)第1の単位用量形態におけるDPP−IV阻害剤又は薬学的に許容される塩の量;(b)少なくとも1つのガストリン化合物又はその薬学的に許容される塩の量を含む、成分(a)及び(b)の、2つ以上の別個の単位の形態における要素のキットにも関する。
【0275】
本発明は更に、同時に、別個に又は連続して使用するための説明書と共に本発明に記載の組み合わせ又は組成物を含む市販のパッケージに関する。
【0276】
一態様において、活性成分として少なくとも1つのDPP−IV阻害剤及び少なくとも1つのガストリン化合物を含む市販のパッケージは、本明細書で開示される病態及び/又は疾患の進行遅延又は処置において、同時の、別個の又は連続した使用、或いはそれらのあらゆる併用のための説明書と共に、成分の2つ以上の別個の単位の形態で提供される。
【0277】
本発明は、具体例によって、より詳細に記載される。以下の実施例は、説明の便宜上、提供されるものであって、如何なる方法においても本発明を限定することを意図しない。本質的には同じ結果を得る変更又は修正が可能な種々の重要でないパラメータについて、当業者は容易に認識するであろう。
【実施例】
【0278】
(実施例1)
(急性糖尿病NODマウスにおけるDPP−IV阻害剤と組み合わせたガストリンの効果)
この実施例は、DPP−IV阻害剤及びガストリンの全身投与後のin vivoのβ細胞新生を促進することによって、糖尿病NODマウスにおける糖尿病を逆転する方法及び組成物について記載する。12〜16週齢の雌性のNODマウスに、ビヒクル(PBS)のみ、DPP−IV阻害剤、或いはDPP−IV阻害剤及びガストリンを、糖尿病発症後の2日間以内は1日2回の腹膜内注射により、18日間投与する。糖尿病の発症は、空腹時血糖(FBG)値(正常なFBGが6.0mM未満であるのに対して、9〜15mM)で判定される。マウスは、尿グルコースに関しては毎日測定し、FBG値については毎週測定する。
【0279】
治療開始時に空腹時血糖値を測定し、それは、一般的に、11〜14mMの範囲内である場合がある。18日間の投与後、治療を中止し、更に6週間FBGを毎週測定する。
【0280】
糖尿病NODマウスへのDPP−IV阻害剤とガストリンとの併用投与の短期間の経過において、高血糖が正常化されて糖尿病を効果的に処置すると考えられる。その併用には、β細胞新生及びインシュリン産生の促進を示す空腹時血糖値に対する持続効果があり得る。
【0281】
(実施例2)
(急性糖尿病NODマウスにおけるDPP−IV阻害剤と組み合わせたガストリン(G1)の効果)
(目的:)
NODマウスは、膵島β細胞の自己免疫破壊により、自然にインスリン依存性糖尿病を発現する。この分析は、DPP−IV阻害剤とガストリン(G1)とを使用して膵島β細胞を再生させることにより、NODマウスの糖尿病を処置することを目的とする。
【0282】
(方法:)
12〜16週齢の雌性のNODマウスに、ビヒクル(PBS)のみ、又は、ガストリン(G1)と併用したDPP−IV阻害剤のみを、腹腔内注射(i.p.)によって18日間投与する。動物は、糖尿病発症後2〜5日以内は1日2回、18日間注射される。空腹時血糖(FBG)値は、糖尿病発症時は一般的に約9〜15mMである(正常なFBGは6.0mM未満である)。前記マウスは、治療中、及び処置後更に6週間、尿グルコース値については毎日測定され、FBG値については毎週測定される。膵臓組織の組織学的分析が行われるだけでなく、膵臓インスリン値が各群について測定される。膵臓組織は、インスリン生成細胞のために固定され、染色される。β細胞集団は、形態計測的分析によって判定される。
【0283】
DPP―IV阻害剤とガストリン化合物との組み合わせは、処置後6週間後でも正常な血糖値の回復に効果的である;膵臓インシュリン量を、糖尿病発症後及び治療前に測定される低値から、血糖正常マウスで測定される値と同様の値に回復させる;及びNODマウスのβ細胞集団を正常に近いレベルにまで増大させると考えられる。
【0284】
(実施例3)
(最近発症した糖尿病を有するNODマウスの糖尿病進行を予防する際にDPP−IV阻害剤と組み合わせたPCT/CA03/01778の修飾ガストリン化合物/抱合体)
DPP−IV阻害剤と未修飾ガストリンとの組み合わせ、並びにDPP−IV阻害剤及び修飾ガストリン化合物/抱合体による治療の効果は、最近発症した糖尿病を有するNODマウスで企図され、DPP−IV阻害剤とガストリンの両方の投与によって、最近発症した糖尿病を有するNODマウスの膵臓インスリン量が増加するだけでなく、重症高血糖が予防されるのかどうかが判定される。使用されるガストリン化合物/抱合体は、以下の通りである。化合物A:アミノ酸位15にLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIとしてのガストリン、化合物B:2〜17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIとしてのガストリン、化合物C:(GA)(即ちGly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala)を介して結合されるHSAポリマーを有する2〜17個のアミノ酸残基を有する合成のヒトガストリンIとしてのガストリン。
【0285】
12〜14週齢の非肥満糖尿病の(NOD)雌性マウスを、糖尿病(空腹時血糖値が8.0〜15mmol/Lを超える)発症の発現について、病態発現後48時間以内に観察し、各4群のマウスに対して以下の通りに投与する:1つの群には、ビヒクルのみを処置する;別の1つの群には、DPP−IV阻害剤を投与する;残りの群には、DPP−IV阻害剤とガストリン化合物との組み合わせを投与する;各投与は、毎日、腹腔内の経路を介して行う。
【0286】
治療は、14日間〜18日間行われる。動物は、空腹時血糖(FBG)値について、毎週測定される。FBG値は、餌の撤収後約12時間目、及び最後のペプチド注射又はビヒクル注射後24時間目に測定される。投与中止と同時に、全てのマウスは、治療的投与終了後に高血糖の予防が持続したかどうかを判定するように、FBG濃度について、次の4週間(2〜6週目)測定する。14日目〜18日目に、投与は中止される。
【0287】
プロトコルには、これらのマウスについて6週目にデータを採取すること、FBG及び血漿C−ペプチドの測定のために血液を採取すること、並びに、膵臓インスリンの判定及び膵島炎症(インスリン炎)のスコアリングのためにマウスを屠殺すること、が含まれる。治療の最初から、マウスは、インスリン置換治療も免疫抑制も施されない。以下のパラメータが評価される:残存率、膵臓インスリン値、膵島炎症の存在、及び空腹時血糖値。
【0288】
半減期が延長された修飾ガストリン化合物/抱合体と組み合わせたDPP−IV阻害剤によって、糖尿病動物の血糖値の低下が向上する。
【0289】
(実施例4)
(糖尿病NODマウスにおけるガストリンとDPP―4阻害剤との併用療法)
非肥満性糖尿病(NOD)マウス、ヒト1型(自己免疫)糖尿病動物モデルは、糖尿病を発症(血糖が8mmol/L以上)して約1週間以内で、血糖が10〜15mmol/Lのものが分析に供される。これらの急性糖尿病NODマウスは、一群につき8匹のマウスで10群に割り当てられ、下表に示すように投与される。
群 投与
1 0(ベースライン)
2 DDP−4阻害剤用ビヒクル
3 ガストリン用ビヒクル
4 DDP−4阻害剤:10mg/kg
5 DDP−4阻害剤:50mg/kg
6 DDP−4阻害剤:250mg/kg
7 ガストリン:15μg/kg
8 ガストリン(15μg/kg)+DDP−4阻害剤(10mg/kg)
9 ガストリン(15μg/kg)+DDP−4阻害剤(50mg/kg)
10 ガストリン(15μg/kg)+DDP−4阻害剤(250mg/kg)
投与されるDPP−4阻害剤は、(1−[[3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン(ビルダグリプチン、Galvus(登録商標))であり、そのビヒクルは、0.5%カルボキシメチルセルロース及び0.2%Tween80である。DPP−4阻害剤及びビヒクルは、4週間の強制飼養により、1日1回投与された。この分析において投与されたガストリンは、ヒトガストリンI[17Leu15]であり、そのビヒクルは、100mmol/LのNaCl及び50mmol/LのNaPO(pH7.4)であった。ガストリン及びそのビヒクルは、4週間、1日2回皮下注射された。マウスは、血糖値及び体重について、毎週測定された。4週後に全ての投与を中止し、マウスは、血糖値及び体重について、更に4週間、毎週測定された。分析8週目(即ち、4週間の投与期間+4週間の非投与期間の後)にマウスを屠殺し、血液及び膵臓が以下の分析のために採取された:
1.血糖は、屠殺前に尾から採取し、血糖計(Ascencia Elite、バイエル)で測定した。
2.総グリコシル化ヘモグロビンは、HPLC(バイオ・ラッド)で測定された。
3.血漿C−ペプチドは、RIA(マウスC−ペプチド特異性、Linco)で測定された。
4.膵臓インスリン量は、RIA(マウスインスリン特異性、Linco)で測定された。
【0290】
分析8週目以前に重症高血糖(血糖>30mmol/L)及び体重減少を発現した、全ての群のマウスが屠殺され、血液及び膵臓が上記の通りに採取され、検査された。
【0291】
結果は表2に示す。ガストリンと組み合わせたDPP−IV阻害剤によって、単独のDPP−IV阻害剤又はガストリンの場合よりも、糖尿病動物の血糖値が正常値に一層低下した。
【0292】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施態様による範囲には限定されず、このような実施態様は、本発明の一態様の単一の例証以外のものとしてあることが意図されていることから、機能的に均等なあらゆる実施態様が、本発明の適用範囲内に入る。実際に、本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の明細書及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0293】
本明細書で参照される全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、公報又は特許出願書が具体的且つ個別に示され、完全に参照により組み込まれているかのように、本明細書において同程度に、完全に参照により組み込まれている。本明細書における如何なる参照の引用も、このような参照を本発明の従来技術として利用できるということに関して容認するものではない。
【0294】
【表1−1】

【0295】
【表1−2】

【0296】
【表1−3】

【0297】
【表1−4】

【0298】
【表1−5】

【0299】
【表1−6】

【0300】
【表1−7】

【0301】
【表1−8】

【0302】
【表2】

NOD雌性マウス(10〜12週齢)に対して、糖尿病(血糖>7.5mmol/L)発症1週間以内に、ビヒクル(水に0.5%メチルセルロース+0.2%Tween80)(第1群)又はこのメチルセルロースビヒクル内のDPP−4阻害剤(第2群)(両投与とも1日1回の経口強制飼養);PBSビヒクル(第3群)又はこのPBSビヒクル内のガストリン(第4群)(両投与とも1日2回の皮下注射);及びDPP−4阻害剤+ガストリン(第5群)を投与した。
a:4週間目まで生き残ったのは最初の7匹のマウスの内の4匹のみ
b:4週間目まで生き残ったのは最初の6匹のマウスの内の4匹のみ
【0303】
【表3−1】

【0304】
【表3−2】

【0305】
【表3−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物と、薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルとを含む、薬学的組成物。
【請求項2】
被験体のほぼ正常な血糖値を提供するDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物の形態であるか、又はそれらの用量を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を、これらを必要とする被験体の長期間又は短期間の治療の形態で含む、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記治療有効量が、ガストリン化合物及び/又はDPP−IV阻害剤が投与されない場合における糖尿病被験体のインスリン必要量に比べて、前記被験体のインスリン必要量を減少させるのに十分な量である、請求項1、2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記治療有効量が、膵臓インシュリン値を少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、33%、35%、40%、45%又は50%増加させるのに十分な量である、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記治療有効量が、糖尿病の処置のために投与した単独の各化合物の量に比べて最適以下である、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ガストリン化合物に対するDPP−IV阻害剤の比率が、DPP−IV阻害剤又はガストリン化合物の活性を増大させるように選択される、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ガストリン化合物に対するDPP−IV阻害剤の比率が、約1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、1:1〜1:5、及び1:1である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
DPP−IV阻害剤に対するガストリン化合物の比率が、約1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、及び1:1〜1:5である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記DPP−IV阻害剤が、約1:1.5〜1:150、好ましくは1:2〜1:50の治療的に有効な重量比で、ガストリン化合物と併用される、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記DPP−IV阻害剤及び前記ガストリン化合物が、糖尿病の処置に必要な各化合物単独の用量よりも少なくとも約1.1〜1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍少ない用量で存在する、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される賦形剤、担体又はビヒクルに相加的な量の前記DPP−IV阻害剤及び前記ガストリン化合物を含む、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項13】
薬学的に許容される賦形剤、担体又はビヒクルに相乗的に有効な量の前記DPP−IV阻害剤及び前記ガストリン化合物を含む、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項14】
有益効果を提供する上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物であって、前記有益効果が、膵島炎症の減少又は不在、疾患進行の抑制、生存率の上昇、或いは疾患又は病態の症状の減少の1つ以上である、薬学的組成物。
【請求項15】
前記有益効果が、処置終了後長期間にわたって持続する持続的な有益効果である、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記有益効果が、処置後少なくとも約2週間、4週間、5週間、6週間又は10週間、2〜4週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2週間〜12ヵ月間、及び2週間〜18ヵ月間維持される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記持続的な有益効果が、C−ペプチド産生の増大、膵臓インシュリン産生の増大、及び/又は処置後長期にわたるほぼ正常な又は低い血糖値として現れ得る、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
有益効果を提供する請求項1〜17の何れか1つに記載の薬学的組成物であって、前記有益効果が、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%の血糖値の低下である、薬学的組成物。
【請求項19】
前記血糖値の低下が、処置後少なくとも約2週間、4週間、6週間、8週間又は10週間、2〜4週間、2〜6週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2週間〜12ヵ月間、又は2週間〜18ヵ月間の期間にわたる、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記ガストリン化合物が、ガストリン71[配列番号5]、ガストリン52[配列番号6]、ガストリン34(大ガストリン)[配列番号1又は2]、ガストリン17(小ガストリン)[配列番号3又は14]、ガストリン14[配列番号7]、ガストリン8、ガストリン6[配列番号8又は9]、ペンタガストリン、又はテトラガストリンである、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記ガストリン化合物が、式Z−Ym−Xn−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6の化合物であって、式中、AA1がTyr又はPheであり、AA2がGly、Ala又はSerであり、AA3がTrp、Val又はIleであり、AA4がMet又はLeuであり、AA5がAsp又はGluであり、AA6が場合によりアミド化されるPhe又はTyrであり;Zが任意の担体、好ましくはポリマー、より好ましくはタンパク質であり;Ymが、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xが、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜11の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6が、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記ガストリン化合物がガストリン17又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記ガストリン化合物が、アミノ酸位15[配列番号4]にLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIである、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記ガストリン化合物がガストリン34又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記ガストリン化合物が、32位[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34である、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記DPP−IV阻害剤が、表1に列挙する参考文献に開示されるDPP−IV阻害剤からなる群から選択され、好ましくは、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン、又はL−allo−イソロイシルピロリジンである、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記DPP−IV阻害剤が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301又はサクサグリプチンである、上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記被験体に治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、又は上記請求項の何れかに記載の薬学的組成物を投与して有益効果を提供することを含む、被験体の疾患を処置又は予防する方法。
【請求項29】
前記有益効果が持続的な有益効果である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記持続的な有益効果が、処置後少なくとも2週間、4週間、6週間、8週間又は10週間、2〜4週間、2〜6週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2週間〜12ヵ月間、又は2週間〜18ヵ月間の期間にわたる血糖値の低下である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
治療有効量の前記DPP−IV阻害剤及び前記ガストリン化合物が、前記被験体への投与前に組み合わされる、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項32】
治療有効量の前記DPP−IV阻害剤及び前記ガストリン化合物が、前記被験体に連続して投与される、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項33】
前記治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物が、相乗的に有効な量である、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項34】
DPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、又は上記請求項の何れかに記載の組成物を複数の細胞と共に、これらを必要とする被験体に投与することにより、有益効果、好ましくは持続的な有益効果を提供することを含む、疾患の処置方法。
【請求項35】
前記疾患が、DPP−IVと関連した疾患、好ましくは糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群、又はB細胞保護である、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項36】
前記疾患が糖尿病である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患が1型糖尿病である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が2型糖尿病である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
被験体の膵島新生を誘導する方法であって、前記被験体の膵島前駆細胞の増殖を促進させることによって膵島新生を誘導するのに十分な量にて、膵島前駆細胞をDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、又は上記請求項の何れかに記載の組成物に接触させることを含む、方法。
【請求項40】
幹細胞をインスリン分泌細胞へ増殖及び分化させる方法であって、前記幹細胞を、有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物、又は上記請求項の何れかに記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項41】
被験体の、インスリン分泌の減少率、β細胞機能の減少率、或いはβ細胞の数及び/又はサイズの減少率を増大、維持又は低減させる方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項42】
被験体の、インスリン分泌の減少率、β細胞機能の減少率、或いはβ細胞の数及び/又はサイズの減少率を増大、維持又は低減させることから利益を得る、疾患を処置する方法であって、治療有効量のDPP−IV阻害剤及びガストリン化合物を、これらを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項43】
前記ガストリン化合物が、ガストリン71[配列番号5]、ガストリン52[配列番号6]、ガストリン34(大ガストリン)[配列番号1又は2]、ガストリン17(小ガストリン)[配列番号3又は14]、ガストリン14[配列番号7]、ガストリン8、ガストリン6[配列番号8又は9]、ペンタガストリン又はテトラガストリンである、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項44】
前記ガストリン化合物が、式Z−Ym−Xn−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6の化合物であって、式中、AA1がTyr又はPheであり、AA2がGly、Ala又はSerであり、AA3がTrp、Val又はIleであり、AA4がMet又はLeuであり、AA5がAsp又はGluであり、AA6が場合によりアミド化されるPhe又はTyrであり;Zが任意の担体、好ましくはポリマー、より好ましくはタンパク質であり;Ymが、セリン及びアラニンを含むがこれらに限定されない中性の小アミノ酸のm個のアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり;Xが、配列番号1又は2の残基1〜28、或いは配列番号3又は4の残基1〜11の任意の連続した部分であり、好ましくは、AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6が、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−Phe又はTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項45】
前記ガストリン化合物がガストリン17又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項46】
前記ガストリン化合物が、アミノ酸位15[配列番号4]にLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIである、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項47】
前記ガストリン化合物がガストリン34又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項48】
前記ガストリン化合物が、32位[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34である、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項49】
前記DPP−IV阻害剤が、表1に列挙する参考文献に開示されるDPP−IV阻害剤からなる群から選択され、好ましくは、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン、又はL−allo−イソロイシルピロリジンである、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項50】
前記DPP−IV阻害剤が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301又はサクサグリプチンである、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項51】
疾患を処置する医薬品を調製するための、少なくとも1つのDPP−IV阻害剤と少なくとも1つのガストリン化合物との組み合わせを含む組成物の使用。
【請求項52】
前記疾患が、DPP−IVと関連した疾患、好ましくは糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群、又はB細胞保護である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項53】
前記疾患が1型糖尿病である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項54】
前記疾患が2型糖尿病である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項55】
前記ガストリン化合物が、ガストリン71[配列番号5]、ガストリン52[配列番号6]、ガストリン34(大ガストリン)[配列番号1又は2]、ガストリン17(小ガストリン)[配列番号3又は14]、ガストリン14[配列番号7]、ガストリン8、ガストリン6[配列番号8又は9]、ペンタガストリン、又はテトラガストリンである、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項56】
前記ガストリン化合物がガストリン17又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項57】
前記ガストリン化合物が、アミノ酸位15[配列番号4]にLeu残基を有する17個のアミノ酸残基を有する合成ヒトガストリンIである、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項58】
前記ガストリン化合物がガストリン34又はその類似体及び誘導体である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項59】
前記ガストリン化合物が、32位[配列番号1又は2]にメチオニン又はロイシンを有する合成ヒトガストリン34である、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項60】
前記DPP−IV阻害剤が、表1に列挙する参考文献に開示されるDPP−IV阻害剤からなる群から選択され、具体的にはシタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301、サクサグリプチン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、L−threo−イソロイシルチアゾリジン(P32/98)、L−allo−イソロイシルチアゾリジン、L−threo−イソロイシルピロリジン、又はL−allo−イソロイシルピロリジンである、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項61】
前記DPP−IV阻害剤が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、PSN9301又はサクサグリプチンである、上記請求項の何れかに記載の使用。
【請求項62】
上記請求項の何れかに記載の組成物又は抱合体のキット形態。

【公表番号】特表2009−510134(P2009−510134A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533837(P2008−533837)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001644
【国際公開番号】WO2007/041833
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(504430972)ワラタ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】