説明

DPP−IV阻害剤

本発明は、化学式(I)の化合物に関し、式中、Z、R1〜3、およびAは説明および特許請求の範囲で引用した意味を有する。化合物はDPP-IV阻害剤として有益である。本発明はまた、そのような化合物の調製ならびに薬剤としてのその製造および使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む、新規クラスのジペプチジルペプチダーゼ阻害剤に関し、これらは特に、しばしば非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)と呼ばれる2型糖尿病、ならびにしばしばこの疾患と関連する状態、例えば肥満および脂質障害の治療において治療化合物として有益である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の病因に由来し、空腹時または経口的ブドウ糖負荷試験中のブドウ糖投与後の高い血漿グルコース値または高血糖により特徴づけられる疾病過程を示す。持続的な、または制御されていない高血糖は、罹病率および致死率の増加および早発性に関連する。しばしば、異常なグルコース恒常性は、直接および間接的に、脂質、リポ蛋白質およびアポリポ蛋白質代謝の変化ならびに他の代謝および血行動態疾患と関連する。そのため、2型糖尿病患者では、冠状動脈性心臓病、脳卒中、末梢血管障害、高血圧、腎症、神経症、および網膜症を含む大血管および微小血管合併症の危険が増大する。そのため、グルコース恒常性、脂質代謝および高血圧の治療的制御が、糖尿病の臨床管理および治療では非常に重要である。
【0003】
糖尿病には2つの一般に認識される型がある。1型、またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者はグルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんどまたは全く産生しない。2型、または非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)では、患者はしばしば、糖尿病ではない被験者と比べ、同じかまたは高い血漿インスリンレベルを有する。これらの患者は、主なインスリン感受性組織、すなわち、筋肉、肝臓および脂肪組織におけるグルコースおよび脂質代謝に対する効果を刺激するインスリンに対する耐性を発現する。さらに、血漿インスリンレベルは、上昇している間でも、顕著なインスリン耐性を克服するには不十分である。
【0004】
インスリン耐性は、主にインスリン受容体の数が減少するためではなく、後インスリン受容体結合欠陥によるものであり、これはまだ理解されていない。このインスリン応答性に対する耐性により、筋肉でのグルコース取り込み、酸化および貯蔵のインスリン活性化が不十分になり、ならびに脂肪組織での脂肪分解ならびに肝臓でのグルコース産生および分泌のインスリン阻止が不十分なものとなる。
【0005】
2型糖尿病に対し有効な治療は、何年も実質的には変わっていないが、限界があると認識されている。運動および食事のカロリー摂取量の減少により、糖尿病状態は著しく改善されるが、この治療の遵守は非常に悪い。デスクワーク中心の生活が定着し、食品、特に飽和脂肪量の高い食品の消費が過剰であるためである。膵臓β細胞を刺激しより多くのインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えば、トルブタミドおよびグリピジド)またはメグリチナイドの投与により、および/またはスルホニル尿素またはメグリチナイドが無効な場合インスリン注入により、インスリンの血漿レベルを増加させると、まさにインスリン耐性組織を刺激するのに十分高いインスリン濃度が得られる。しかしながら、インスリンまたはインスリン分泌促進薬(スルホニル尿素またはメグリチナイド)の投与により危険なほど低いレベルの血漿グルコースとなることがあり、さらに血漿インスリンレベルが高くなると、インスリン耐性レベルが高くなることがある。ビグアニドはインスリン感受性を増加させ、高血糖をある程度是正する。しかしながら、2つのビグアニド、フェンホルミンおよびメトホルミンは乳酸アシドーシスおよび吐き気/下痢を誘発することがある。メトホルミンはフェンホルミンよりも副作用が少なく、しばしば2型糖尿病の治療のために処方される。
【0006】
グリタゾン(すなわち、5-ベンジルチアゾリジン-2,4-ジオン)は、2型糖尿病の多くの症状を寛解させる可能性を有する化合物のクラスとして最近説明されている。これらの薬剤は実質的に、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおける筋肉、肝臓および脂肪組織でのインスリン感受性を増加させ、低血糖を起こさずに、グルコースの上昇した血漿レベルを一部、または完全に是正する。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、主にPPAR-γサブタイプの作用薬である。PPAR-γアゴニズムは一般に、グリタゾンを用いると観察されるインスリン感受性の改善の一因であると考えられる。2型糖尿病の治療に対し試験した新規PPAR作用薬は、α、γまたはδサブタイプの作用薬、またはこれらの組み合わせであり、多くの場合、グリタゾンとは化学的に異なる(すなわち、チアゾリジンジオンではない)。トログリタゾンなどのグリタゾンの幾つかを用いると、重篤な副作用(例えば、肝臓毒性)が、起きている。
【0007】
疾患を治療する別の方法はまだ、開発中である。最近導入され、またはまだ開発中である新規生物化学アプローチには、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)および蛋白質チロシンホスファターゼ-IB(PTP-1B)阻害剤による治療が含まれる。
【0008】
ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)酵素の阻害剤である化合物もまた、糖尿病、特に2型糖尿病の治療に有益である可能性のある薬物として開発中である。例えば、WO-A-97/40832(特許文献1)、WO-A-98/19998(特許文献2)、WO-A-03/180(特許文献3)、WO-A-03/181(特許文献4)およびWO-A-2004/007468(特許文献5)を参照されたい。DPP-IV阻害剤の2型糖尿病の治療における実用性は、DPP-IVがペプチド-1(GLP-1)および胃抑制ペプチド(GIP)のようにグルカゴンをインビボで容易に不活性化するという事実に基づく。GLP-1およびGIPはインクレチンであり、食物が消費されると産生される。インクレチンはインスリンの産生を刺激する。DPP-IVの阻害により、インレチンの不活性化が減少し、このため、膵臓によるインスリンの産生を刺激する際のインクレチンの効果が増大する。そのため、DPP-IV阻害により、血清インスリンのレベルが増加する。好都合なことに、インクレチンは、食物が消費された場合にのみ身体により産生されるので、DPP-IV阻害は、過剰に低い血糖(低血糖)に至る可能性のある不適切な場合には、例えば、食間に、インスリンレベルを増大させるとは考えられない。そのため、DPP-IVの阻害は、インスリン分泌促進薬の使用と関連する危険な副作用である低血糖の危険性を増大させずにインスリンを増加させると期待される。
【0009】
DPP-IV阻害剤はまた、他の治療的有用性を有してもよく、本願のいずれかのかの箇所において記述する。DPP-IV阻害剤については、今日まで、特に糖尿病以外の有用性については広く研究されていない。糖尿病治療、潜在的には他の疾患および状態の治療ために改善されたDPP-IV阻害剤を見いだすことができる新規化合物が必要である。
【0010】
【特許文献1】WO-A-97/40832
【特許文献2】WO-A-98/19998
【特許文献3】WO-A-03/180
【特許文献4】WO-A-03/181
【特許文献5】WO-A-2004/007468
【発明の開示】
【0011】
このように、本発明の目的は、2型糖尿病および他のDPP-IVによって調節される疾患の治療に効果的である可能性のある新規クラスのDPP-IV阻害剤を提供することである。
【0012】
したがって、本発明は化学式(I)の新規化合物または薬学的に許容されるその塩を提供し:

式中、
Zは下記からなる群より選択され:フェニル;ナフチル;インデニル;C3〜7シクロアルキル;インダニル;テトラリニル;デカリニル;複素環;および複素二環、ここで、Zは1つまたは複数のR4により置換されてもよく、ここで、R4は、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;OH;NH2;オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和される;R5;およびR6;
R5は下記からなる群より選択され:C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;およびS-C1〜6アルキル、ここで、R5は任意で酸素により割り込まれ、ここで、R5はFおよびClからなる群より独立して選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R6は下記からなる群より選択され:フェニル;複素環;およびC3〜7シクロアルキル、ここで、R6は1つまたは複数のR7により置換されてもよく、ここで、R7は下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;OH;NH2;オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和される;C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;およびS-C1〜6アルキル;
R1は下記からなる群より選択され:H;F;OH;およびR8;
R2は下記からなる群より選択され:H;F;およびR9;
R8は下記からなる群より独立して選択され:C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;N(R8a)-C1〜6アルキル;S-C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;O-C3〜7シクロアルキル;N(R8a)-C3〜7シクロアルキル;S-C3〜7シクロアルキル;-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;O-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;N(R8a)-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;S-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;複素環;O-複素環;N(R8a)-複素環;S-複素環;C1〜6アルキル-複素環;O-C1〜6アルキル-複素環;N(R8a)-C1〜6アルキル-複素環;S-C1〜6アルキル-複素環;ここで、R8はFおよびClからなる群より独立して選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R8aはHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択され;
R9は下記からなる群より独立して選択され:C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル、ここで、R9は1つまたは複数のR9aにより置換されてもよく、ここで、R9aはF、Cl、およびOHからなる群より独立して選択され;
R3はHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択され;
任意で、R1/R2、およびR2/R3からなる群より独立して選択されるR1、R2、R3の1つまたは複数の対は、C3〜7シクロアルキル環を形成し、これは1つまたは複数のR9bにより置換されてもよく、ここで、R9bはF、ClおよびOHからなる群より独立して選択され;
AはA0およびA1からなる群より選択され;
A0はC3〜7シクロアルキルおよび少なくとも1つの窒素を環原子として有する飽和複素環からなる群より選択され;ここで、A0は1つまたは複数のR10aにより置換され、ここで、R10aは下記からなる群より独立して選択され:NR10R10b;NR10S(O)2R10b;NR10S(O)R10b; S(O)2NR10R10b;C(O)NR10R10b;R10、ただし、R10は、飽和複素環の環原子である窒素原子に結合されることを条件とする;およびC1〜3アルキル、これは1つまたは複数のR10cにより置換されてもよく、ここで、R10cはF、C1〜3アルキル、およびC3〜4シクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで、C1〜3アルキルおよびC3〜4シクロアルキルは1つまたは複数のFにより置換されてもよい;
任意で、R10aはF、Cl、およびオキソ(=O)からなる群より独立して選択され;
A1は下記からなる群より選択され:

X、Yは下記からなる群より独立して選択され:-CH2-;-NR10b-;-O-;および-S-;
Wは下記からなる群より選択され:

R10、R10bはT1-T2およびT2からなる群より独立して選択され;
T1は下記からなる群より選択され:-C1〜6アルキル-;-C1〜6アルキル-O-;-C1〜6アルキル-S-;-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)-;-C(O)-C1〜6アルキル-;-C(O)-C1〜6アルキル-O-;-C(O)-C1〜6アルキル-S-;-C(O)-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)O-;-C(O)O-C1〜6アルキル-;-C(O)O-C1〜6アルキル-O-;-C(O)O-C1〜6アルキル-S-;-C(O)O-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)N(R11)-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-O-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-S-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-N(R11a)-;-S(O)2-;-S(O)2-C1〜6アルキル-;-S(O)2-C1〜6アルキル-O-;-S(O)2-C1〜6アルキル-S-;-S(O)2-C1〜6アルキル-N(R11)-;-S(O)-;-S(O)-C1〜6アルキル-;-S(O)-C1〜6アルキル-O-;-S(O)-C1〜6アルキル-S-;および-S(O)-C1〜6アルキル-N(R11)-;ここで、C1〜6アルキルはそれぞれFおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R11、R11aは下記からなる群より独立して選択され:H;C1〜6アルキル-;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;
T2はH、T3およびT4からなる群より選択され;
T3は下記からなる群より選択され:フェニル;ナフチル;およびインデニル、ここでT3は1つまたは複数のR12により置換されてもよく;ここで、R12は、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;COOR13;OC(O)R13;OR13;-C1〜6アルキル-OR13;SR13;S(O)R13;S(O)2R13;C(O)N(R13R14);S(O)2N(R13R14);S(O)N(R13R14);C1〜6アルキル;N(R13)S(O)2R14;およびN(R13)S(O)R14;ここで、C1〜6アルキルはそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
T4は下記からなる群より選択され:C3〜7シクロアルキル;インダニル;テトラリニル;デカリニル;複素環;および複素二環;ここで、T4は1つまたは複数のR15により置換されてもよく、ここで、R15は、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN; OR13;-C1〜6アルキル-OR13;SR13;オキソ(=O)、ここで、環は少なくとも部分的に飽和される;N(R13R14);COOR13;OC(O)R13;C(O)N(R13R14);S(O)2N(R13R14);S(O)N(R13R14);C1〜6アルキル;N(R13)C(O)R14;S(O)2R13;S(O)R13;N(R13)S(O)2R14;およびN(R13)S(O)R14;ここで、C1〜6アルキルはそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
任意でR15はC(O)R13であり、ただし、C(O)R13は、複素環または複素二環の環原子である窒素に結合されることを条件とし;
R13、R14は下記からなる群より独立して選択され:H;C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;ここで、C1〜6アルキルはそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよい。
【0013】
本発明の意味の範囲内で、用語は下記のように使用される。
【0014】
変数または置換基が異なる変異形の群から選択することができ、そのような変数または置換基が1回より多く現れる場合、個々の変異形は同じかまたは異なるものとすることができる。
【0015】
「アルキル」は、二重結合または三重結合を含んでもよい直鎖または分枝炭素鎖を意味する。アルキルは二重結合または三重結合を含まないことが一般に好ましい。「C1〜3アルキル」は1〜3の炭素原子を有するアルキル鎖、例えば、分子末端のメチル、エチル、-CH=CH2、-C≡CH、n-プロピル、イソプロピル、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2を意味する。
【0016】
「C1〜4アルキル」は1〜4の炭素原子を有するアルキル鎖、例えば、分子末端のメチル、エチル、-CH=CH2、-C≡CH、n-プロピル、イソプロピル、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、n-ブチル、イソブチル、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2、sec-ブチルtert-ブチルまたはアミド、例えば、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)-、-C(CH2)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-CH(CH3)2-を意味する。
【0017】
「C1〜6アルキル」は1〜6の炭素原子を有するアルキル鎖、例えば、C1〜4アルキル、メチル、エチル、-CH=CH2、-C≡CH、n-プロピル、イソプロピル、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、n-ブチル、イソブチル、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2、sec-ブチルtert-ブチル、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはアミド、例えば、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)-、-C(CH2)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-CH(CH3)2-を意味する。C1〜6アルキル炭素の各水素は置換基により置換してもよい。
【0018】
「C3〜7シクロアルキル」または「C3〜7シクロアルキル環」は3〜7の炭素原子を有する環状アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルを意味する。シクロアルキル炭素の各水素は置換基により置換されてもよい。「C3〜4シクロアルキル」または「C3〜4シクロアルキル環」は3〜4の炭素原子を有する環状アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチルを意味する。
【0019】
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。ハロゲンはフルオロまたはクロロであることが一般に好ましい。
【0020】
「複素環」は、最大数までの二重結合を含んでもよいシクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタン環(完全に、部分的に飽和されたかもしくは飽和されていない芳香族または非芳香族環)を意味し、ここで、4までの炭素原子の少なくとも1つは、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素および窒素(=N(O)-を含む)からなる群より選択されるヘテロ原子により置換され、ここで、環は炭素または窒素原子を介して分子の残りに結合される。複素環の例は、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、イソキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、アゼピン、またはホモピペラジンである。「複素環」はまたアゼチジンを意味する。
【0021】
「飽和複素環」は上記で規定されるように完全に飽和された複素環を意味する。
【0022】
「複素二環」は、フェニルまたは追加の複素環と縮合され、二環構造を形成する複素環を意味する。「縮合され」二環を形成するとは、2つの環が、2つの環原子を共有することにより互いに結合されることを意味する。複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、ジヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンズアゼピン、プリン、またはプテリジンである。
【0023】
化学式(I)の好ましい化合物は、その中に含まれる残基の1つまたは複数が、下記で示した意味を有する化合物であり、好ましい置換基の定義の全ての組み合わせが本発明の対象である。化学式(I)の全ての好ましい化合物に関して、本発明はまた、全ての互変異性体および立体異性体、ならびにあらゆる比率のそれらの混合物、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0024】
本発明の好ましい態様では、化学式(I)の置換基Z、R1〜3、およびAは独立して下記の意味を有する。このように、置換基Z、R1〜3、およびAの1つまたは複数は、下記で示した好ましい、またはより好ましい意味を有することができる。
【0025】
好ましくは、Zはフェニルおよび複素環からなる群より選択され;3までのR4により置換されてもよく、それらのR4は同じかまたは異なっている。
【0026】
好ましくは、R4はF;Cl;CN;およびC1〜6アルキルからなる群より選択される。
【0027】
好ましくは、R1、R2は下記からなる群より独立して選択される:H;F;および1つまたは複数のFにより置換されてもよいC1〜6アルキル。
【0028】
好ましくはR3はHである。
【0029】
好ましくはAはA0である。
【0030】
好ましくは、A0は環原子として少なくとも1つの窒素原子を有する飽和複素環であり、好ましくはピペリジンである。
【0031】
より好ましくは、A0は下記からなる群より選択される。

【0032】
好ましくは、R10はHおよび-C(O)O-C1〜6アルキルからなる群より選択される。
【0033】
さらに好ましい態様では、R10はT1-T2およびT2からなる群より選択され、ここで、T1は下記からなる群より選択され:-C(O)-;-C(O)-C1〜6アルキル-;-S(O)2-;および-S(O)2-C1〜6アルキル-、およびT2はH、T3、およびT4から選択される。
【0034】
T3は好ましくはフェニルおよびN(R13)S(O)2R14からなる群より選択される。
【0035】
R13およびR14は好ましくはHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択される。
【0036】
好ましくは、T4はC3〜7シクロアルキルおよび複素環からなる群より選択され、ここで、T4は1つまたは複数のR15により置換されてもよい。
【0037】
R15は好ましくはハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群より選択され、ここで、C1〜6アルキルはFおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよい。
【0038】
上記官能基のいくつかもしくは全てが、好ましいまたはより好ましい意味を有する化学式(I)の化合物もまた、本発明の対象である。
【0039】
本発明による化合物の好ましい態様は下記である。







【0040】
さらに、本発明は、上記本発明の化合物のプロドラッグ化合物を提供する。
【0041】
「プロドラッグ化合物」は、生体中で生理学的条件下で、酵素、または胃酸などとの反応により、例えば、それぞれ、酵素的に実施される酸化、還元、または加水分解などにより本発明による化合物に変換される誘導体を意味する。プロドラッグの例は、本発明の化合物中のアミノ基がアシル化、アルキル化またはホスホリル化され、例えば、エイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイルオキシメチルアミノが形成された化合物、またはヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、ホスホリル化され、またはボラートに変換された、例えばアセチルオキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、サクシニルオキシ、フマリルオキシ、アラニルオキシとされた化合物、またはカルボキシル基がエステル化もしくはアミド化された化合物である。これらの化合物は、本発明の化合物から周知の方法により生成することができる。
【0042】
化学式(I)の化合物の代謝産物もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
一般式(I)の化合物またはそれらのプロドラッグの例えば、ケト-エノール互変異性のような互変異性が生じる可能性がある場合、例えばケトおよびエノール型のような個々の形態は、別個に、および共に任意の比率の混合物として主張される。同じことが、立体異性体、例えば鏡像異性体、シス/トランス異性体、および配座異性体などにも当てはまる。
【0044】
所望であれば、異性体は当技術分野で周知の方法により、例えば液体クロマトグラフィーにより分離することができる。同じことが、例えば、キラル固定相を使用することにより鏡像異性体にもあてはまる。さらに、鏡像異性体は、ジアステレオマーに変換させることにより、すなわち、鏡像異性的に純粋な補助化合物とカップリングさせ、その後得られたジアステレオマーを分離し、補助残基を開裂させることにより分離してもよい。また、化学式(I)の化合物の任意の鏡像異性体は、光学的に純粋な出発物質を用いた立体選択的合成から獲得してもよい。
【0045】
化学式(I)による化合物が、1つもしくは複数の酸性または塩基性基を含む場合、発明はまた、対応する薬学的または毒物学的に許容される塩、特にそれらの薬学的に有用な塩を含む。このように、酸性基を含む化学式(I)による化合物は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として、これらの官能基上で存在し、本発明により使用することができる。そのような塩のより正確な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはアンモニアもしくは有機アミン、例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンまたはアミノ酸との塩が挙げられる。1つまたは複数の塩基性基、すなわち、プロトン化することができる基を含む化学式(I)による化合物は、本発明により、それらの無機または有機酸付加塩の形態で存在し、使用することができる。適した酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に公知の他の酸が挙げられる。化学式(I)の化合物が分子中に同時に酸性基および塩基性基を含む場合、本発明はまた、記述した塩形態の他に、分子内塩(inner salt)またはベタイン(両性イオン)を含む。化学式(I)による個々の塩は、当業者などに公知の慣習的な方法により、例えば、これらを有機または無機酸もしくは塩基と溶媒または分散剤中で接触させることにより、または他の塩とのアニオン交換もしくはカチオン交換により得ることができる。本発明はまた、生理学的適合性が低いために、薬剤中で使用するには直接的には適していないが、例えば、化学反応または薬学的に許容される塩の調製のための中間体として使用することができる、化学式(I)の化合物の塩を全て含む。
【0046】
本発明は、DPP-IV阻害剤として一般式(I)の化合物またはそれらのプロドラッグを提供する。DPP-IVは広範囲にわたる生物学的機能に関与する細胞表面タンパク質である。広い組織分布(腸、腎臓、肝臓、膵臓、胎盤、胸腺、脾臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ球および骨髄細胞、血清)、ならびに特徴的な組織および細胞型発現レベルを有する。DPP-IVはT細胞活性化マーカーCD26と同一であり、多くの免疫調節性、内分泌性および神経ペプチドをインビトロで開裂させることができる。これにより、様々な疾患過程でのこのペプチダーゼに対する潜在的な役割が示唆されている。
【0047】
DPP-IV関連疾患については、WO-A-03/181において「利用性」の段落でより詳細に記述されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
したがって、本発明は薬剤として使用するための、化学式(I)の化合物またはそれらのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0049】
さらに、本発明は下記の治療または予防のための薬剤を製造するための、化学式(I)の化合物またはそれらのプロドラッグもしくはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する:非インスリン依存性(II型)糖尿病;高血糖;肥満;インスリン耐性;脂質障害;異脂質血症;高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;低HDL;高LDL;アテローム性動脈硬化症;成長ホルモン欠乏症;免疫応答関連疾患;HIV感染;好中球減少症;神経障害;腫瘍転移;良性前立腺過形成;歯肉炎;高血圧;骨粗鬆症;精子の運動性に関連する疾患;低グルコース耐性;インスリン耐性;インスリンショック療法(ist)続発症;血管再狭窄;過敏性腸症候群;炎症性大腸炎;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む;他の炎症性状態;膵炎;腹部肥満;神経変性疾患;網膜症;腎症;神経症;X症候群;卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群);n型糖尿病;または成長ホルモン欠乏症。非インスリン依存性(II型)糖尿病および肥満が好ましい。
【0050】
本発明は、化学式(I)の化合物またはそれらのプロドラッグ化合物もしくはそれらの薬学的に許容される塩を活性成分として、薬学的に許容される担体と共に含む薬学的組成物を提供する。
【0051】
「薬学的組成物」は1つまたは複数の活性成分、および担体を形成する1つまたは複数の不活性成分、ならびに、直接または間接的に、任意の2つもしくはそれ以上の成分の組み合わせ、複合体化もしくは凝集により、または1つもしくは複数の成分の溶解により、または1つもしくは複数の成分の反応もしくは相互作用の別の型により、得られる任意の生成物を意味する。したがって、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を混合することにより生成される任意の組成物を含む。
【0052】
本発明の薬学的組成物はさらに、1つまたは複数の他の化合物を、化学式(I)の1つまたは複数の追加の化合物、またはプロドラッグ化合物または他のDPP-IV阻害剤のような活性成分として含んでもよい。
【0053】
他の活性成分はWO-A-03/181において「併用療法」の段落で開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0054】
したがって、他の活性成分は下記としてもよい:インスリン増感剤;PPAR作用薬;ビグアナイド;タンパク質チロシンホスファターゼ-IB(PTP-IB)阻害剤;インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進薬;a-グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体拮抗薬;GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体作用薬;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体作用薬;PACAP、PACAP模倣薬およびPACAP受容体3作用薬;コレステロール低下薬;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;捕捉剤;ニコチニルアルコール;ニコチン酸またはその塩;PPARa作用薬;PPARoly二重作用薬;コレステロール吸収阻害剤;アシルCoA;コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;抗酸化剤;PPARo作用薬;抗肥満化合物;回腸胆汁酸輸送体阻害剤;もしくは抗炎症薬またはこれらの活性化合物の薬学的に許容される塩。
【0055】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無機塩基または酸および有機塩基または酸を含む、薬学的に許容される非毒性塩基または酸から調製される塩を示す。
【0056】
組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下、筋内、および静脈内を含む)、眼内投与(眼)、肺投与(鼻内または口腔内吸入)、または鼻内投与のために適した組成物を含むが、任意の一定の場合の最も適した経路は、治療する状態の性質および重篤度、ならびに活性成分の性質に依存する。組成物は単位用量形態で提供されると好都合であり、薬学分野で周知の任意の方法により調製してもよい。
【0057】
実際の使用では、化学式(I)の化合物は、最終混合物中の活性成分として薬学的担体と共に、従来の薬学的配合技術に従い混合することができる。担体は、投与、例えば経口投与または非経口投与(静脈内を含む)に対し所望の調製形態により、様々な形態をとってもよい。経口投与形態のための組成物の調製では、一般的な薬学的媒質、例えば、下記のいずれを使用してもよい:経口用液体調製物、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液の場合、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤など;または、経口用固体調製物、例えば、粉末、ハードおよびソフトカプセルおよび錠剤の場合、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体。固体経口用調製物が液体調製物よりも好ましい。
【0058】
投与の容易さのために、錠剤およびカプセルが最も好都合な経口投与単位形態を示し、この場合、固体の薬学的担体が当然使用される。所望であれば、錠剤は標準水性または非水性技術によりコートしてもよい。そのような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。当然、これらの組成物中の活性化合物の割合は、変動してもよく、単位の約2重量%〜約60重量%の間が好都合である。そのような治療的に有益な組成物中の活性成分の量は、有効用量が得られるようなものである。活性化合物はまた、例えば液滴または噴霧として鼻内投与することができる。
【0059】
錠剤、ピル、カプセルなどはまた、下記を含んでもよい:トラガカントゴム、アカシアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギニン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味剤。投与単位形態がカプセルである場合、上記の型の材料の他に、脂肪油などの液体担体を含んでもよい。
【0060】
様々な他の材料をコーティングとして存在させてもよく、または投与単位の物理形態を修飾するように存在させてもよい。例えば、錠剤はシェラック、糖またはその両方でコートしてもよい。シロップまたはエリキシルは、活性成分の他に、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、およびサクランボまたはオレンジフレーバーなどの香味剤を含んでもよい。
【0061】
化学式(I)の化合物はまた、非経口投与してもよい。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシ-プロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合させた水中で調製することができる。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中、油中で調製することができる。貯蔵および使用の普通の条件下では、これらの調製物は微生物の増殖を阻止するための保存剤を含む。
【0062】
注入用途に適した薬学的形態としては、滅菌水溶液または分散物および滅菌注入用溶液または分散物の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は滅菌状態でなければならず、良好な注入性が存在する程度まで流体でなければならない。製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒質とすることができる。任意の投与経路を使用して、哺乳類、特にヒトに、有効量の本発明の化合物を提供してもよい。例えば、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与、眼内投与、肺投与、鼻内投与などを使用してもよい。剤形としては、錠剤、トローチ、分散物、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが挙げられる。好ましくは、化学式(I)の化合物は経口投与される。
【0063】
使用した活性成分の有効用量は、使用した特別な化合物、投与様式、治療する状態および治療する状態の重篤度によって変動してもよい。そのような用量は当業者であれば容易に確認される可能性がある。
【0064】
糖尿病および/または高血糖または高トリグリセリド血症または化学式(I)の化合物が必要とされる他の疾患を治療または予防する場合、本発明の化合物を約0.1mg〜約100mg/kgの動物の体重の一日量で、好ましくは単回投与により、または1日につき2〜6回の分割投与により、または持続放出形態により、投与すると、一般に満足のいく結果が得られる。最も大きな哺乳類では、一日の総量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの大人のヒトの場合、一日の総量は一般に約7mg〜約350mgである。この投与計画を調整して、最適治療反応を提供してもよい。
【0065】
本願において見られることがあるいくつかの略語は以下の通りである。
【0066】
略語
記号表示
Ar アルゴン
bs ブロードな一重項
Boc(またはBOC) tert-ブトキシカルボニル
d 二重項
DCM ジクロロメタン
DEA ジエチルアミン
Fmoc 9-フルオレニルメトキシカルボニル
Fmoc-OSu N-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド
h 時間
Hal ハロゲン
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
LHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド
m 多重項
Mg マグネシウム
min 分
MsCl メタンスルホニルクロリド
MW 分子量
NH4Cl 塩化アンモニウム
NH4OH 水酸化アンモニウム
PG 保護基
Prep. 分取
rt 保持時間
s 一重項
t 三重項
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0067】
使用可能な出発物質は、化学式R10COOHを有するカルボン酸としてもよく、これらは、ABCR、Array、Astatech、Sigma-Aldrich、Fluka、Kalexsynなどの市販供給元から購入してもよく、または当業者により合成してもよい。適した脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含む化合物と求核剤(例えば、アミン)との間の一般的な求核置換反応を使用してもよい。多様な官能基の変換により、様々なカルボン酸の合成、例えばエステルの酸、またはアミド中間体への変換が可能となり、また、適した官能化出発物質を用いた新規炭素-窒素パラジウム触媒カップリング反応も可能となる。窒素原子に結合された炭素鎖中に変化を導入するために、または多様な(ヘテロ)アリール誘導体を合成するために、多様な炭素-炭素カップリング反応、例えば、遷移金属触媒反応、閉環のための従来技術、(ヘテロ)アリールのホルミル化を使用することが可能である場合がある。
【0068】
スキームAおよびBにより、下記のいくつかの化合物(R10COOH)の合成のための一般手順の概略を示す。スキームで特に記載がなければ、変数は上記と同じ意味を有する。

【0069】
特に記載がなければ、全ての非水反応は、アルゴン雰囲気下、市販の乾燥溶媒を使用して実施した。化合物はフラッシュカラムクロマトグラフィーによりMerckシリカゲル60(230-400メッシュ)を使用し、または逆相分取HPLCによりXterra、MS C18、3.5μm、2.1×100mmカラムを使用し、Shimadzu LC8A-PumpおよびSPD-10Avp UV/Visダイオードアレイ検出器を用いて精製した。1H-NMRスペクトルをVarian VXR-S(1H-NMRでは400MHz)で溶媒としてd6-ジメチルスルホキシドを使用して記録した:化学シフトをテトラメチルシランに対しppmで報告する。分析LCMSをXTerra、MS C18、3.5μm、2.1*×100mm、アセトニトリルを含む水(0.1% HCOOHまたはTFA)の直線勾配流速250μL/minを用いて実施した。保持時間は分で表す。方法は下記の通りである:(I)5%〜70%のアセトニトリルを含む水(0.1% HCOOHまたはTFA)の直線勾配;ESI+方法のSPD-M10Avp UV/Vis ダイオードアレイ検出器およびQP2010 MS-検出器を備えたLC10Advp-Pump(Shimadzu)、214nm、254nmおよび275nm、5分の直線勾配でのUV検出;(II)同上、しかし10分の直線勾配;(III)5%〜90%のアセトニトリルを含む水(0.1% HCOOHまたはTFA)の直線勾配5分の直線勾配;(IV)同上、しかし10分の直線勾配;(V)1%〜30%のアセトニトリルを含む水(0.1% HCOOHまたはTFA)の直線勾配10分の直線勾配;(VI)1%〜60%のアセトニトリルを含む水(0.1% HCOOHまたはTFA)の直線勾配10分の直線勾配;(VII)負の方法(negative mode)、アセトニトリルを含む水(0.1% DEA)、直線勾配;(VIII)下記を用いたキラル分離:Daicel Chiralpak AD-Hカラム、5μm、20*250 prep、4.6*250分析)、均一濃度勾配(0.1% DEA)。
【0070】
本発明の化合物を製造するための一般手順
一般に、下記構造(I):

(式中、変数は上記意味を有する)
を有する化合物は、有機リチウムまたは有機マグネシウム試薬を用いて調製してもよい。例えば、1-ブロモメチル-3-クロロ-ベンゼンをリチウムと組み合わせて、F. Gyenes、K.E. Bergmann、J. T. Welch、J. Org. Chem. 1998、63、2824-2828において記述されているように、N-(トリメチルシリル)イミンに、ジエチルエーテルまたはテトラフドロフランなどの溶媒中で、この有機リチウム試薬を添加するために使用することができる。
【0071】
使用可能な出発物質は、化学式(III)を有するアルデヒドおよび化学式(II)を有するベンジルハロゲニドとしてもよい。

これらは、Array、Sigma-Aldrich、Fluka、ABCRなどの市販供給元から購入してもよく、または当業者により合成してもよい。アミノ基およびカルボキシルまたはスルホニル官能基を含む化合物間の一般的な反応を、適した官能化出発物質を用いたそれらの合成のために使用してもよい。適した脱離基(例えば、ハロゲン化物、メシラート、トシラート)を含む化合物と求核試薬(例えば、アミン)の間の求核置換反応を使用してもよい。様々な官能基(例えばエステル、アルコール、アミド、ニトリル、アジド)の変換により、いくつかの中間体または最終化合物を合成することが可能となる場合がある。
【0072】
スキームC〜Gにより、下記のいくつかの化合物の合成のための一般手順の概略を示す。スキームで特に記載がなければ、変数は上記と同じ意味を有する。


【0073】
保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis 3rd ed.、Ed. Wiley-VCH、New York;1999で記述されているように、例えば、9-フルオレニルメトキシカルボニルの場合はジクロロメタンに溶解したジエチルアミンを用いて、ベンジルオキシカルボニルの場合は活性炭上のパラジウム/水素を用いて、またはtert-ブトキシカルボニルの場合は酸性条件(例えばジクロロメタンに溶解したトリフルオロ酢酸またはジオキサンに溶解した塩酸)を用いて、除去してもよい。
【0074】
中間体または最終生成物の精製のためには、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーが遊離アミンには適している場合があるが、分取HPLCを使用すると対応するトリフルオロ酢酸塩またはギ酸塩が単離される。分取HPLC上でのキラル分離により遊離アミンが得られる。
【0075】
しかしながら、化合物は他の手段により調製してもよく、下記で記述した、示唆される出発物質および手順は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0076】
実施例
本発明をより完全に理解するために下記実施例を提供する。これらの実施例は例示にすぎず、いかなる意味においても本発明を限定するものと考えるべきではない。
【0077】
調製
実施例1

スキームAに従う中間体を製造するための手順
工程1

(Z)-3-ジメチルアミノ-2-ホルミル-アクリル酸エチルエステル
マロン酸エチルカリウム1000mg(5.87mmol)および塩化酸化リン2702mg(17.63mmol)を、アルゴン雰囲気下、乾燥N,N-ジメチルホルムアミド7mLに溶解する。溶液を4時間、還流しながら撹拌する。その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を氷水に溶解する。飽和炭酸カリウム25mLを添加することにより、混合物を中和する。トルエン/エタノール(1:1)20mLを添加し、沈澱した塩を濾過して除去する。水相をさらに、トルエン/エタノール 3×20mLで抽出する。有機層を合わせ塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(I)rt 2.48 min, m/z 172(M+H)+
【0078】
工程2

2-トリフルオロメチル-ピリミジン-5-カルボン酸エチルエステル
エタノール3mLに溶解した工程1から得られた生成物((Z)-3-ジメチルアミノ-2-ホルミル-アクリル酸エチルエステル)160mg(0.94mmol)に、トリフルオロアセトアミジン314mg(2.80mmol)を添加する。溶液を3時間、還流させながら撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 4:1)により精製すると、標題化合物が得られる。
HPLC(I):rt 4.58min
【0079】
工程3

2-トリフルオロメチル-ピリミジン-5-カルボン酸
テトラヒドロフラン8mLおよび水2mLに溶解した、工程2から得られた生成物2-トリフルオロメチル-ピリミジン-5-カルボン酸エチルエステル140mg(0.64mmol)に、水酸化ナトリウム38mg(0.95mmol)を添加する。溶液を室温で2時間撹拌し、その後、反応混合物を1M 塩酸20mLで反応停止する。水相を酢酸エチル3×15mLで抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると、標題化合物が得られる。
HPLC(I):rt 2.91min
LCMS(VII、1〜30%、10 min):rt 3.89 min, m/z 191(M-H)-
【0080】
実施例2

スキームBに従う中間体を製造するための手順
工程1

2-ブロモ-3-トリフルオロメチル-ピリジン
2-クロロ-3-トリフルオロピリジン1000mg(5.53mmol)を、アルゴン雰囲気下、プロピオニトリル2.5mLに溶解する。ブロモトリメチルシラン2.10mL(19.5mmol)を添加し、反応混合物を24時間、100℃で撹拌する。その後、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(III):rt 3.73 min, m/z 267;269(M+MeCN)+

【0081】
工程2

3-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸
2-ブロモ-3-トリフルオロメチル-ピリジン200mg(0.88mmol)を乾燥トルエン1.5mLに、アルゴン雰囲気下溶解する。混合物を-75℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(2.2Mのヘキサン溶液)500μL(1.10mmol)を添加する。反応混合物を2時間-75℃で撹拌し、その後、ドライアイス上に注ぐ。その後、6M 塩酸10mLを添加し、水相をジエチルエーテル3×10mLで抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化させると、標題化合物が得られる。
LCMS(III):rt 1.75 min, m/z 192(M+H)+
LCMS(VII、5〜95%、5 min):rt 1.75 min, m/z 192(M-H)-

【0082】
表1の化合物は、実施例2に対し示した手順に従い、合成する。
【0083】
【表1】

【0084】
実施例6

4-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS;1Mのジエチルエーテル溶液)516μL(0.516mmol)を乾燥ジエチルエーテル2mLに、アルゴン雰囲気下で溶解する。溶液を-30℃まで冷却し、その後、乾燥ジエチルエーテル1mLに溶解した4-ホルミル-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル100mg(0.469mmol)を徐々に添加し、混合物を-30℃で45分間撹拌する。その後、1-ブロモメチル-3-クロロ-ベンゼン123μL(0.938mmol)を添加する。この反応混合物をシリンジを介して、リチウム26mg(3.752mmol)および乾燥ジエチルエーテル10mLが、アルゴン雰囲気下で備えられた別のフラスコに移す。このフラスコを超音波浴に入れ、ジエチルエーテルが還流している場合に反応混合物を徐々に添加し始める。反応物を還流させながら、超音波下に45分間維持する。飽和塩化アンモニウム溶液5mLを添加することにより、反応を停止し、水相を酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、5%クエン酸5×10mLで抽出する。合わせた酸の層のpH値をその後、水酸化アンモニウムでpH12に調整し、この水層を酢酸エチル3×10mLで抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS:rt 3.7 min, m/z 339(M+H)+

【0085】
実施例7

2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチルアミン
ジクロロメタン1mLに溶解させた実施例6[(4-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル)]20mg(0.06mmol)をジクロロメタン1mLに溶解し、トリフルオロ酢酸0.5mLで希釈する。溶液を30分間周囲温度で撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去する。残渣を分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(I):rt 1.9 min, m/z 239(M+H)+

LCMS(キラル、AD-H、ヘプタン/エタノール 20:80):rt 17.4 min;26.1min、m/z 239(M+H)+
【0086】
実施例8

工程1

4-[2-(3-クロロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル
ジクロロメタン4mLに溶解させた[(4-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル]実施例6 437mg(1.29mmol)の溶液に、ピリジン842μL(10.34mmol)およびN-(9-フルオレニルメトキシカルボニル-オキシ)-クロリド368mg(1.42mmol)を0℃で添加する。混合物を2.5時間撹拌し、その後、5%クエン酸溶液20mLで希釈する。水層を酢酸エチル3×15mLで抽出し、有機層を合わせ、水および塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると残渣が得られた。これを分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(II):rt 5.94 min, m/z 583(M+Na)+
【0087】
工程2

[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
工程2から得られた生成物[4-[2-(3-クロロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル]300mg(0.53mmol)をジクロロメタン1.0mLおよびトリフルオロ酢酸1.0mLに溶解する。溶液を30分間周囲温度で撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(I):rt 3.54 min, m/z 461(M+H)+
【0088】
工程3

{2-(3-クロロ-フェニル)-1-[1-(ピリミジン-2-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解した[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル247mg(0.535mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン112μLを添加する。反応混合物に、N,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解したピリミジン-2-カルボン酸79.0mg(0.642mmol)、O-(ベンゾトリアルゾール1-イル)-N-N-N',N'-テトラメチル-ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)243mg(0.642mmol)およびN-メチルモルホリン70.6μL(0.642mmol)の15分予め活性化した溶液を添加する。混合物を一晩中50℃で撹拌する。減圧下で溶媒を除去した後、酢酸エチル20mLを添加する。有機層を5%クエン酸2×20mLおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール95:5)により精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(I):rt 5.10 min, m/z 567(M+H)+
【0089】
工程4

{4-[(R)-1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-イル}-ピリミジン-2-イル-メタノン
ジクロロメタン5mLに溶解した、工程3から得られた生成物({2-(3-クロロ-フェニル)-1-[1-(ピリミジン-2-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル)253mg(0.446mmol)の溶液に、ジエチルアミン2.00mLを0℃で添加する。混合物を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去すると、標題化合物が得られた。これを、分取逆相HPLCおよび分取キラルHPLCにより精製すると鏡像異性体が得られた。
LCMS(I):rt 5.19 min, m/z 345(M+H)+
LCMS(AD-H、エタノール100%):10.56 min, m/z 345(M+H)+

【0090】
表2の化合物は、実施例8に対し示した手順に従い合成する。
【0091】
【表2】




【0092】
実施例34

中間体[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステルを、実施例8に対し記述した手順(工程1〜工程2)に従い合成する。
【0093】
工程1

2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-シクロプロパンスルホニル-ピペリジン-4-イル)-エチルアミン
ジクロロメタンに溶解した[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(実施例8工程2の生成物)30mg(0.06mmol)の溶液に、0℃で、メタンスルホニルクロリド5.4μL(0.07mmol)およびトリエチルアミン10μL(0.08mmol)を添加する。混合物を2時間0℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン20mLで希釈し、5%クエン酸溶液10mL、飽和重炭酸ナトリウム溶液および塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。減圧下で溶媒を除去すると、標題化合物が得られた。これを次の工程でさらに精製せずに使用した。
LCMS(IV):rt 6.49 min, m/z 565(M+H)+
【0094】
工程2

2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-シクロプロパンスルホニル-ピペリジン-4-イル)-エチルアミン
ジクロロメタン5mLに溶解した、工程1から得られた生成物(2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-シクロプロパンスルホニル-ピペリジン-4-イル)-エチルアミン)10mg(0.03mmol)の溶液に、0℃でジエチルアミン100mLを添加する。混合物を30分間撹拌し、その後、ジクロロメタン20mLで希釈し、5%クエン酸溶液10mL、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。減圧下で溶媒を除去すると、標題化合物が得られた。これを分取HPLCにより精製した。
LCMS(II):rt 7.34 min, m/z 343(M+H)+

【0095】
表3の化合物を実施例34に対して示した手順に従い合成する。
【0096】
【表3】

【0097】
実施例40

工程1

4-[1-アミノ-2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS;1Mのジエチルエーテル溶液)1540μL(1.54mmol)を乾燥ジエチルエーテル2mLに、アルゴン雰囲気下で溶解する。溶液を-30℃まで冷却し、その後、乾燥ジエチルエーテル1mLに溶解した4-ホルミル-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル300mg(1.40mmol)を徐々に添加し、混合物を-30℃で45分間撹拌する。その後、1-ブロモメチル-2,5-ジフルオロ-ベンゼン367μL(2.80mmol)を添加する。この反応混合物をシリンジを介して、リチウム78mg(11.20mmol)および乾燥ジエチルエーテル10mLが、アルゴン雰囲気下で備えられた別のフラスコに移す。このフラスコを超音波浴に入れ、ジエチルエーテルが還流している場合に反応混合物を徐々に添加し始める。反応物を還流させながら、超音波下に45分間維持する。飽和塩化アンモニウム溶液15mLを添加することにより、反応を停止し、水層を酢酸エチル3×20mLで抽出する。有機層を合わせ、5%クエン酸5×10mLで抽出する。合わせた酸の層のpH値をその後、水酸化アンモニウムでpH12に調整し、この水層を酢酸エチル3×10mLで抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに、次の工程で使用する。
LCMS:rt 2.68 min, m/z 341(M+H)+

【0098】
実施例41

工程1

4-[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
ジクロロメタン4mLに溶解した[4-[1-アミノ-2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル](実施例40工程1)278mg(0.80mmol)の溶液に、ピリジン521μL(6.40mmol)およびN-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)-クロリド227mg(0.88mmol)を0℃で添加する。混合物を2.5時間撹拌し、その後、5%クエン酸溶液20mLで希釈する。水層を酢酸エチル3×15mLで抽出し、有機層を合わせ、水、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると残渣がえられた。これを分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(IV):rt 6.99 min, m/z 585(M+Na)+
【0099】
工程2

[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
工程2から得られた生成物(4-[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル)20mg(0.06mmol)をジクロロメタン1mLおよびトリフルオロ酢酸0.5mLに溶解する。溶液を30分間周囲温度で撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(IV):rt 3.87 min, m/z 463(M+H)+
【0100】
工程3

{2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-[1-(ピリミジン-2-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解した[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(工程2の生成物)247mg(0.535mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン112μL(0.642mmol)を添加する。N,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解したピリミジン-2-カルボン酸79.0mg(0.642mmol)、O-(ベンゾトリアルゾール1-イル)-N-N-N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)243mg(0.642mmol)およびN-メチルモルホリン70.6μL(0.642mmol)の溶液を15分間予め活性化し、これを反応混合物に添加する。混合物を一晩中50℃で撹拌する。減圧下で溶媒を除去した後、酢酸エチル20mLを添加する。有機層を5%クエン酸2×20mLおよび飽和炭酸水素ナトリウムで抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール95:5)により精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(I):rt 5.49 min, m/z 569(M+H)+
【0101】
工程4

{2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-[1-(ピリミジン-2-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
ジクロロメタン5mLに溶解した{2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-[1-(ピリミジン-2-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(工程3の生成物)183mg(0.322mmol)の溶液に、ジエチルアミン1.00mLを0℃で添加する。混合物を30分間撹拌する。減圧下で溶媒を除去すると標題化合物が得られた。これを分取HPLCおよび分取キラルHPLCにより精製すると単一の鏡像異性体が得られた。
LCMS(II):rt 4.45 min, m/z 347(M+H)+
LCMS(ヘプタン/エタノール 20:80、均一濃度):52.2 min, m/z 347(M+H)+

【0102】
表4の化合物を実施例41に対して示した手順に従い合成する。
【0103】
【表4】




【0104】
実施例62

工程1

4-[1-アミノ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS;1Mのジエチルエーテル溶液)3010μL(3.01mmol)を乾燥ジエチルエーテル4mLに、アルゴン雰囲気下で溶解する。溶液を-30℃まで冷却し、その後、乾燥ジエチルエーテル2mLに溶解した4-ホルミル-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル600mg(2.80mmol)を徐々に添加し、混合物を-30℃で45分間撹拌する。その後、1-ブロモメチル-2,4,5-トリフルオロ-ベンゼン740μL(5.63mmol)を添加する。この反応混合物をシリンジを介して、リチウム157mg(22.5mmol)および乾燥ジエチルエーテル10mLが、アルゴン雰囲気下で備えられた別のフラスコに移す。このフラスコを超音波浴に入れ、ジエチルエーテルが還流している場合に反応混合物を徐々に添加し始める。反応物を還流させながら、超音波下に45分間維持する。飽和塩化アンモニウム溶液15mLを添加することにより、反応を停止し、水層を酢酸エチル3×20mLで抽出する。有機層を合わせ、5%クエン酸5×10mLで抽出する。合わせた酸の層のpH値をその後、水酸化アンモニウムでpH12に調整し、この水層を酢酸エチル3×10mLで抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる、溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLCにより精製する。
LCMS(VI):rt 4.95 min, m/z 358(M+H)+

【0105】
実施例63

工程1

2-ピリジン-4-イル-3-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-プロピオン酸エチルエステル
ジイソプロピルアミン1.02mL(7.50mmol、1.00eq)をテトラヒドロフラン25mLに溶解する。溶液を-15℃まで冷却し、2Mのn-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液3.75mL(7.50mmol、1.00eq)を添加する。反応混合物を15分間撹拌し、-60℃まで冷却する。反応混合物に、ピリジン-4-イル-酢酸エチルエステル1.15mL(7.50eq)を添加し、溶液を30分間撹拌し、その間、温度を-30℃まで上昇させる。溶液をその後、-50℃まで冷却し、1-ブロモメチル-2,4,5-トリフルオロ-ベンゼン1mL(7.50mmol,1.00eq)を添加する。撹拌を3時間続けた後、反応混合物を水および酢酸エチルで希釈する。水層を3度、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、シクロヘキサン:酢酸エチル(1:0〜0:1)を溶離剤として使用して精製する。
LCMS(I):rt 3.40 min, m/z 310[M+H]+, 341[M+ACN]+

【0106】
工程2

2-ピペリジン-4-イル-3-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-プロピオン酸エチルエステル
2-ピリジン-4-イル-3-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-プロピオン酸エチルエステル(工程1の生成物)1.9g(5.96mmol、1.00eq)をエタノール76mLに溶解する。濃塩酸11mLおよび酸化白金250mgを添加し、反応混合物を水素雰囲気下、室温で15時間撹拌する。混合物を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で蒸発させ、さらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(I):rt 2.92 min, m/z 316[M+H]+, 357[M+ACN]+
【0107】
工程3

4-[1-エトキシカルボニル-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル
工程2から得られた粗2-ピペリジン-4-イル-3-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-プロピオン酸エチルエステル2.23g(7.07mmol、1.00eq)をテトラヒドロフラン200mLに溶解する。その後、飽和重炭酸ナトリウム溶液100mLおよびN-(ベンジル-オキシカルボニルオキシ)スクシンイミド2.10g(8.49mmol、1.20eq)を添加する。反応混合物を3時間、室温で撹拌し、酢酸エチルで希釈する。有機層を1M塩酸20mLおよび塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてシクロヘキサン:酢酸エチル(1:0〜3:1)を用いて精製すると、標題化合物が得られる。
LCMS(I):rt 5.29 min, m/z 450[M+H]+

【0108】
工程4

4-[1-カルボキシ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル
4-[1-エトキシカルボニル-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(工程3の生成物)2.05g(4.45mmol、1.00eq)をメタノール60mLおよび水20mLに溶解する。水酸化リチウム240mg(10mmol、2.25eq)を添加した後、反応混合物を95℃で7時間撹拌し、その後、減圧下で、1/3の体積まで濃縮する。残った溶液をジクロロメタンで希釈し、1M塩酸溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。粗生成物をさらに精製せずに、次の工程で使用する。
LCMS(I):rt 4.43 min, m/z 422[M+H]+, 463[M+ACN]+
【0109】
工程5

4-[(R)-1-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステルおよび4-[(S)-1-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル
4-[1-カルボキシ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(工程4の生成物)920mg(2.18mmol、1.00eq)をtert-ブチルアルコール45mLに溶解し、ジフェニルリン酸アジド321μL(2.29mmol、1.05eq)、続いてトリエチルアミン495μL(2.29mmol、1.05eq)を添加する。反応混合物を一晩中70℃で撹拌し、酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液および塩類溶液で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、標題化合物のラセミ混合物が得られる。鏡像異性体を分取キラルHPLCにより分離した。
LCMS(IV):rt 5.25 min, m/z 493[M+H]+, 515[M+Na]+
LCMS(キラル、AD-H、エタノール100%):rt 7.3/9.8 min

【0110】
工程6

[(R)-1-ピペリジン-4-イル-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
4-[(R)-1-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(工程5の生成物)80mg(0.16mmol、1.00eq)をメタノール4mLに溶解する。5wt%の活性炭担持パラジウム(DegussaタイプE101)9mgを添加し、反応混合物を水素雰囲気下、室温で1時間撹拌する。混合物を、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で蒸発させ、さらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(IV):rt 2.66 min, m/z 359[M+H]+, 400[M+ACN]+
【0111】
工程7

[(R)-1-[ピリミジン-2-カルボニル-ピペリジン-4-イル-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
ピリミジン-2-カルボン酸24mg(0.195mmol、1.20eq)およびO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム-ヘキサ-フルオロホスフェート74mg(0.195mmol、1.20eq)をN,N-ジメチルホルムアミド1mLに溶解する。溶液を0℃まで冷却し、4-メチル-ンモルホリン21.5μL(0.195mmol、1.20eq)を添加する。混合物を10分間撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミド1mLに溶解した工程6の粗生成物およびジ-イソ-プロピルエチルアミン35μL(0.195mmol、1.20eq)の溶液を添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール9:1)により精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(IV):rt 3.87 min, m/z 365, 409, 465[M+H]+, 487[M+Na]+
【0112】
工程8

{4-[(R)-1-アミノ-2-(2,4,5-トリフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-イル}-ピリミジン-2-イル-メタノン
工程7の生成物をジクロロメタノ2.5mLに溶解し、トリフルオロ酢酸800μLを添加する。混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗生成物を分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(II):rt 1.86 min, m/z 365[M+H]+
LCMS(キラル、AD-H、エタノール100%):9.04 min、m/z 365(M+H)+

【0113】
表5の化合物を実施例63に対して示した手順に従い合成する。
【0114】
【表5】

【0115】
実施例70

3-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS;1Mのジエチルエーテル溶液)1.55mL(0.516mmol)を乾燥ジエチルエーテル5mLに、アルゴン雰囲気下で溶解する。溶液を-30℃まで冷却し、その後、乾燥ジエチルエーテル5mLに溶解した3-ホルミル-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル800mg(3.75mmol)を徐々に添加し、混合物を-30℃で45分間撹拌する。その後、1-ブロモメチル-3-クロロ-ベンゼン986μL(7.50mmol)を添加する。この反応混合物を、シリンジを介して、リチウム210mg(30.0mmol)および乾燥ジエチルエーテル40mLが、アルゴン雰囲気下で備えられた別のフラスコに移す。このフラスコを超音波浴に入れ、ジエチルエーテルが還流している場合に反応混合物を徐々に添加し始める。反応物を還流させながら、超音波下に45分間維持する。飽和塩化アンモニウム溶液20mLを添加することにより、反応を停止し、水層を酢酸エチル3×20mLで抽出する。有機層を合わせ、5%クエン酸5×20mLで抽出する。合わせた酸の層のpH値をその後、水酸化アンモニウムでpH12に調整し、この水層を酢酸エチル3×20mLで抽出する。有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS:rt 3.7 min, m/z 339(M+H)+

【0116】
実施例71

2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-3-イル-エチルアミン
ジクロロメタン1mLに溶解した実施例70[3-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル]20mg(0.06mmol)をトリフルオロ酢酸0.5mLで希釈する。溶液を30分間周囲温度で撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去する。残渣を分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS:rt 2.21 min, m/z 239(M+H)+

【0117】
実施例72

工程1

3-[2-(3-クロロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
ジクロロメタン5mLに溶解した[4-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert.-ブチルエステル]69mg(0.20mmol)(実施例70)の溶液に、ピリジン132μL(1.63mmol)およびN-(9-フルオレニル-メトキシカルボニルオキシ)-クロリド58mg(0.224mmol)を0℃で添加する。混合物を2.5時間撹拌し、その後、5%クエン酸溶液20mLで希釈する。水層を酢酸エチル3×15mLで抽出し、有機層を合わせ、水および塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。減圧下で溶媒を除去すると、残渣が得られた。これを分取HPLCにより精製すると標題化合物が得られる。
LCMS(I):rt 3.74 min, m/z 562(M+H)+
【0118】
工程2

[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-3-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
工程1から得られた生成物([2-(3-クロロ-フェニル)-1-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル)19mg(0.03mmol)をジクロロメタン1.0mLおよびトリフルオロ酢酸1.0mLに溶解する。溶液を30分間周囲温度で撹拌し、その後、溶媒を減圧下で除去する。粗生成物をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(III):rt 2.42 min, m/z 462(M+H)+
【0119】
工程3

{2-(3-クロロ-フェニル)-1-[1-(3-メタンスルホニルアミノ-ベンゾイル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解した[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-3-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(工程2の生成物)16mg(0.03mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン7.10μL(0.04mmol)を添加する。N,N-ジメチルホルムアミド1mLに溶解した3-エタンスルホニルアミノ-安息香酸8.75mg(0.04mmol)、O-(ベンゾトリアルゾール1-イル)-N-N-N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)15.4mg(0.04mmol)およびN-メチルモルホリン4.50μL(0.04mmol)の溶液を15分間予め活性化し、これを反応混合物に添加する。混合物を一晩中50℃で撹拌する。減圧下で溶媒を除去した後、酢酸エチル20mLを添加する。有機層を5%クエン酸2×20mLおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出する。その後、有機層を塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をさらに精製せずに次の工程で使用する。
LCMS(I):rt 4.35 min, m/z 658(M+H)+
【0120】
工程4

N-(3-{4-[1-アミノ-2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-カルボニル}-フェニル)-メタン-スルホンアミド
工程3から得られた残渣({2-(3-クロロ-フェニル)-1-[1-(3-メタンスルホニルアミノ-ベンゾイル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル)をジクロロメタン1.0mLに溶解し、ジエチルアミン0.8mLを0℃で添加する。混合物を30分間撹拌する。減圧下で溶媒を除去すると、標題化合物が得られた。これを分取逆相HPLCにより精製すると標題化合物が得られた。
LCMS(IV):rt 3.16 min, m/z 436(M+H)+
【0121】
実施例73

中間体[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステルを実施例8に対し記述した手順(工程1〜工程2)に従い合成する。
【0122】
工程1

[2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-ピリミジン-2-イル-ピペリジン-4-イル)-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド0.50mLに溶解した[2-(3-クロロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(実施例8、工程2)20mg(0.04mmol)の溶液に、0℃で、2-クロロピリミジン6.0mg(0.054mmol)およびトリエチルアミン6.5μL(0.05mmol)を添加する。混合物を5分間180℃で、マイクロ波において撹拌する。その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を次の工程でさらに精製せずに使用する。
LCMS(IV):rt 6.64 min, m/z 539(M+H)+
【0123】
工程2

2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-シクロプロパンスルホニル-ピペリジン-4-イル)-エチルアミン
ジクロロメタン1mLに溶解した、工程1から得られた生成物([2-(3-クロロ-フェニル)-1-(1-ピリミジン-2-イル-ピペリジン-4-イル)-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル)19mg(0.03mmol)の溶液に、0℃でジエチルアミン0.40mLを添加する。混合物を30分間撹拌し、その後、ジクロロメタン10mLで希釈し、5%クエン酸溶液、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると標題化合物が得られた。これを分取HPLCにより精製した。
LCMS(IV):rt 3.20 min, m/z 317(M+H)+
【0124】
実施例74

中間体[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステルを実施例41に対し記述した手順(工程1〜工程2)に従い合成する。
【0125】
工程1

3,3-ジフルオロ-ピロリジン-1-カルボニルクロリド
ジクロロメタン3.0mLに溶解したトリホスゲン153mg(0.52mmol)およびピリジン250μL(3.07mmol)の溶液に、-78℃で、ジクロロメタン3mLに溶解した3,3-ジフルオロピロリジン200mg(1.40mmol)およびピリジン113μL(1.40mmol)の溶液を滴下する。混合物を3時間室温で撹拌し、その後、1M塩酸20mlで希釈し、水相をジクロロメタン2×15mLで抽出する。有機層を合わせ、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると残渣が得られた。これをさらに次の工程で精製せずに使用する。
LCMS(I):rt 3.75 min.

【0126】
工程2

{2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-[1-(3,3-ジフルオロ-ピロリジン-1-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
ジクロロメタン2.0mLに溶解した、工程1から得られた生成物(3,3-ジフルオロ-ピロリジン-1-カルボニルクロリド)42.4mg(0.25mmol)および[2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-ピペリジン-4-イル-エチル]-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル40mg(0.17mmol)(実施例41、工程2)の溶液に、0℃でトリエチルアミン49μL(0.35mmol)を添加する。混合物を一晩中撹拌し、その後飽和炭酸水素ナトリウム溶液20mLで希釈する。水相をジクロロメタン2×15mLで抽出し、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると、標題化合物が得られた。
LCMS(I):rt 5.93 min, m/z 374(M+H)+
【0127】
工程3

{4-[1-アミノ-2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-ピペリジン-1-イル}-(3,3-ジフルオロ-ピロリジン-1-イル)-メタノン
工程2から得られた残渣({2-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-1-[1-(3,3-ジフルオロ-ピロリジン-1-カルボニル)-ピペリジン-4-イル]-エチル}-カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル)をジクロロメタン1mLに溶解し、ジエチルアミン0.40mLを0℃で添加する。混合物を2時間撹拌し、その後、ジクロロメタンで希釈し、5%クエン酸溶液、塩類溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去すると標題化合物が得られた。これを分取HPLCにより精製した。
LCMS(IV):rt 3.93 min, m/z 374(M+H)+

【0128】
表6の化合物は実施例74に対して示した手順に従い合成する。
【0129】
【表6】

【0130】
このシリーズの別の実施例を下記に例示する。


【0131】
分析
DPP-IVペプチダーゼ活性の阻害を、連続蛍光分析によりモニタした。この分析は、遊離AMCを放出するDPP-IVによる基質Gly-Pro-AMC(Bachem)の開裂に基づく。この分析は96-ウエルマイクロタイタプレートで実施する。総体積100μLで、10mM Hepes、150mM NaCl、0.005% Tween20(pH7.4)を含む緩衝液を用い、化合物を50 pM DPP-IVと共にプレインキュベートする。16μM 基質を添加することにより反応を開始させ、放出されたAMCの蛍光を10分間25℃で、蛍光読み取り機(BMG-Fluostar;BMG-Technologies)により、370nmの励起波長および450nmの発光波長を用いて検出する。DMSOの最終濃度は1%である。化合物の阻害能力を決定した。DPP-IV活性分析を、ヒトおよびブタDPP-IVを用いて実施した(下記を参照されたい);両方の酵素は同等の活性を示した。
【0132】
膜貫通型アンカー(Gly31-Pro766)が欠如した可溶性ヒトDPP-IVを組換えYEAST-株においてPre-Pro-α-接合融合物として発現させた。分泌された産物(rhuDPP-IV-Gly31-Pro766)を発酵ブロスから精製した(>90%純度)。
【0133】
表7に、上記分析において決定したDPP-IVペプチダーゼ活性の阻害に対するIC50値を列挙する。IC50値を3つのクラスに分類した:a≦100nM;b≧101nMおよび≦1000nM;c≧1001nMおよび≦2000nM。
【0134】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩:

式中、
Zが下記からなる群より選択され:フェニル;ナフチル;インデニル;C3〜7シクロアルキル;インダニル;テトラリニル;デカリニル;複素環;および複素二環、ここで、Zが1つまたは複数のR4により置換されてもよく、ここで、R4が、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;OH;NH2;オキソ(=O)、ここで環が少なくとも部分的に飽和される;R5;およびR6;
R5が下記からなる群より選択され:C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;およびS-C1〜6アルキル、ここで、R5が任意で酸素により割り込まれ、ここで、R5がFおよびClからなる群より独立して選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R6が下記からなる群より選択され:フェニル;複素環;およびC3〜7シクロアルキル、ここで、R6が1つまたは複数のR7により置換されてもよく、ここで、R7が下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;OH;NH2;オキソ(=O)、ここで環が少なくとも部分的に飽和される;C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;およびS-C1〜6アルキル;
R1が下記からなる群より選択され:H;F;OH;およびR8;
R2が下記からなる群より選択され:H;F;およびR9;
R8が下記からなる群より独立して選択され:C1〜6アルキル;O-C1〜6アルキル;N(R8a)-C1〜6アルキル;S-C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;O-C3〜7シクロアルキル;N(R8a)-C3〜7シクロアルキル;S-C3〜7シクロアルキル;-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;O-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;N(R8a)-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;S-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;複素環;O-複素環;N(R8a)-複素環;S-複素環;C1〜6アルキル-複素環;O-C1〜6アルキル-複素環;N(R8a)-C1〜6アルキル-複素環;S-C1〜6アルキル-複素環;ここで、R8がFおよびClからなる群より独立して選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R8aがHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択され;
R9が下記からなる群より独立して選択され:C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル、ここで、R9が1つまたは複数のR9aにより置換されてもよく、ここで、R9aがF、Cl、およびOHからなる群より独立して選択され;
R3がHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択され;
任意で、R1/R2、およびR2/R3からなる群より独立して選択されるR1、R2、R3の1つまたは複数の対が、C3〜7シクロアルキル環を形成し、これは1つまたは複数のR9bにより置換されてもよく、ここで、R9bがF、ClおよびOHからなる群より独立して選択され;
AがA0およびA1からなる群より選択され;
A0がC3〜7シクロアルキルおよび少なくとも1つの窒素を環原子として有する飽和複素環からなる群より選択され;ここで、A0が1つまたは複数のR10aにより置換され、ここで、R10aが下記からなる群より独立して選択され:NR10R10b;NR10S(O)2R10b;NR10S(O)R10b; S(O)2NR10R10b;C(O)NR10R10b;R10、ただし、R10が、飽和複素環の環原子である窒素原子に結合されることを条件とする;およびC1〜3アルキル、これは1つまたは複数のR10cにより置換されてもよく、ここで、R10cがF、C1〜3アルキル、およびC3〜4シクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで、C1〜3アルキルおよびC3〜4シクロアルキルが1つまたは複数のFにより置換されてもよい;
任意で、R10aがF、Cl、およびオキソ(=O)からなる群より独立して選択され;
A1が下記からなる群より選択され:

X、Yが下記からなる群より独立して選択され:-CH2-;-NR10b-;-O-;および-S-;
Wが下記からなる群より選択され:


R10、R10bがT1-T2およびT2からなる群より独立して選択され;
T1が下記からなる群より選択され:-C1〜6アルキル-;-C1〜6アルキル-O-;-C1〜6アルキル-S-;-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)-;-C(O)-C1〜6アルキル-;-C(O)-C1〜6アルキル-O-;-C(O)-C1〜6アルキル-S-;-C(O)-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)O-;-C(O)O-C1〜6アルキル-;-C(O)O-C1〜6アルキル-O-;-C(O)O-C1〜6アルキル-S-;-C(O)O-C1〜6アルキル-N(R11)-;-C(O)N(R11)-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-O-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-S-;-C(O)N(R11)-C1〜6アルキル-N(R11a)-;-S(O)2-;-S(O)2-C1〜6アルキル-;-S(O)2-C1〜6アルキル-O-;-S(O)2-C1〜6アルキル-S-;-S(O)2-C1〜6アルキル-N(R11)-;-S(O)-;-S(O)-C1〜6アルキル-;-S(O)-C1〜6アルキル-O-;-S(O)-C1〜6アルキル-S-;および-S(O)-C1〜6アルキル-N(R11)-;ここで、C1〜6アルキルがそれぞれFおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
R11、R11aが下記からなる群より独立して選択され:H;C1〜6アルキル-;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;
T2がH、T3およびT4からなる群より選択され;
T3が下記からなる群より選択され:フェニル;ナフチル;およびインデニル、ここでT3が1つまたは複数のR12により置換されてもよく;ここで、R12が、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN;COOR13;OC(O)R13;OR13;-C1〜6アルキル-OR13;SR13;S(O)R13;S(O)2R13;C(O)N(R13R14);S(O)2N(R13R14);S(O)N(R13R14);C1〜6アルキル;N(R13)S(O)2R14;およびN(R13)S(O)R14;ここで、C1〜6アルキルがそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
T4が下記からなる群より選択され:C3〜7シクロアルキル;インダニル;テトラリニル;デカリニル;複素環;および複素二環;ここで、T4が1つまたは複数のR15により置換されてもよく、ここで、R15が、下記からなる群より独立して選択され:ハロゲン;CN; OR13;-C1〜6アルキル-OR13;SR13;オキソ(=O)、ここで、環が少なくとも部分的に飽和される;N(R13R14);COOR13;OC(O)R13;C(O)N(R13R14);S(O)2N(R13R14);S(O)N(R13R14);C1〜6アルキル;N(R13)C(O)R14;S(O)2R13;S(O)R13;N(R13)S(O)2R14;およびN(R13)S(O)R14;ここで、C1〜6アルキルがそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよく;
任意でR15がC(O)R13であり、ただし、C(O)R13が、複素環または複素二環の環原子である窒素に結合されることを条件とし;
R13、R14が下記からなる群より独立して選択され:H;C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;および-C1〜6アルキル-C3〜7シクロアルキル;ここで、C1〜6アルキルがそれぞれ、FおよびClからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲンにより置換されてもよい。
【請求項2】
Zがフェニルおよび複素環からなる群より選択され、およびZが2までのR4により置換されてもよく、R4が同じかまたは異なる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R4が下記からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物:F;Cl;CN;およびC1〜6アルキル。
【請求項4】
R1、R2が、下記からなる群より独立して選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物:H;F;および1つまたは複数のFにより置換されてもよいC1〜6アルキル。
【請求項5】
R3がHである、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
AがA0である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
A0が少なくとも1つの窒素原子を環原子として有する飽和複素環である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
A0がピペリジンである、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
A0が下記からなる群より選択される、請求項8項記載の化合物:


【請求項10】
R10がHおよび-C(O)O-C1〜6アルキルからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
下記からなる群より選択される、請求項1記載の化合物:








【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物のプロドラッグ化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、薬学的組成物。
【請求項14】
下記からなる群より選択される1つまたは複数の追加の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項13記載の薬学的組成物:請求項1〜12のいずれか一項記載の別の化合物;別のDPP-IV阻害剤;インスリン増感剤;PPAR作用薬;ビグアニド;タンパク質チロシンホスファターゼ-IB(PTP-1B)阻害剤;インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進薬;a-グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体拮抗薬;GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体作用薬;GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体作用薬;PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3作用薬;コレステロール低下剤;HMG-CoAリダクターゼ阻害剤;捕捉剤;ニコチニルアルコール;ニコチン酸またはその塩;PPARa作用薬;PPARoly二重作用薬;コレステロール吸収阻害剤;アシルCoA;コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;抗酸化剤;PPARo作用薬;抗肥満化合物;回腸胆汁酸輸送体阻害剤;および抗炎症剤。
【請求項15】
薬剤として使用するための請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項16】
下記の治療または予防のための薬剤を製造するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の使用:非インスリン依存性(II型)糖尿病;高血糖;肥満;インスリン耐性;脂質障害;異脂質血症;高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;低HDL;高LDL;アテローム性動脈硬化症;成長ホルモン欠乏症;免疫応答関連疾患;HIV感染;好中球減少症;神経障害;腫瘍転移;良性前立腺過形成;歯肉炎;高血圧;骨粗鬆症;精子の運動性に関連する疾患;低グルコース耐性;インスリン耐性;インスリンショック療法続発症;血管再狭窄;過敏性腸症候群;炎症性大腸炎;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む;他の炎症性状態;膵炎;腹部肥満;神経変性疾患;網膜症;腎症;神経症;X症候群;卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群);n型糖尿病;または成長ホルモン欠乏症。
【請求項17】
DPP-IV阻害剤としての請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物の使用法。

【公表番号】特表2008−501751(P2008−501751A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526293(P2007−526293)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006161
【国際公開番号】WO2005/121089
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(505336024)サンセラ ファーマシューティカルズ (シュバイツ) アーゲー (21)
【Fターム(参考)】