説明

DROSHA媒介性のマイクロRNAプロセッシングを標的するための癌原性ALL−1融合タンパク質

【課題】小さい非コードRNAによって媒介される機構を介して遺伝子発現を調節する薬剤に対する必要性がある。それ故に、細胞内のmiRNAのレベルを調整することによって遺伝子の発現もしくは活性を増大させるかまたは減少させることができるオリゴマー化合物の同定が望ましい。
【解決手段】ALL1融合タンパク質との標的化された相互作用を通じてALL癌細胞の増殖を低下させるための組成物および方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の支援
本発明は、全体的または部分的に、米国政府からの助成金により支援された。政府は本発明における一定の権利を有し得る。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年6月15日に出願された、米国特許仮出願第60/934,707号、およびxxxxxに出願された、国際出願PCT/US20xx/xxxxxxの恩典を主張する。両出願の開示は参照により本明細書に完全にかつ明示的に組み入れられる。
【0003】
本発明は、小さい非コードRNA、特にプリmiRNAの調整のための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、ある実施態様において、プリmiRNAを含む小さい非コードRNA標的を含むかまたはコードする核酸分子と、ハイブリダイズするかまたは該核酸分子に立体的に干渉する、化合物、特にオリゴマー化合物に関する。
【0004】
配列表
本特許出願は「配列表」の項を含む。「配列表」のコピーは、USPTOウェブサイト(seqdata.uspto.gov/sequence)から電子形態で入手可能である。配列表の紙コピーおよび配列表のコンピュータ読み取り可能な形態は、参照により本明細書に組み入れられる。「配列表」の電子コピーも、請求の上、米国特許法施行規則1.19条(b)項(3)に示された手数料を支払えば、USPTOから入手可能である。
【背景技術】
【0005】
急性白血病は、急速に進行する骨髄および血液の悪性疾患で、芽細胞と呼ばれる、未熟で、無機能な細胞の骨髄および血液中での蓄積を結果としてもたらす。骨髄中での芽細胞の蓄積は、正常な血液細胞の発生を妨げる。結果として、赤血球、白血球、および血小板が十分な数で産生されない。本疾患が骨髄リンパ球前駆細胞で生じた場合、それは急性リンパ芽球性白血病(ALL)を結果としてもたらし、本疾患が骨髄性前駆体で生じた場合、それは急性骨髄性白血病(AML)を結果としてもたらす。
【0006】
ALLは、骨髄リンパ球の悪性形質転換に端を発する急速に進行する癌である。ALLは、最も一般的な種類の子供の白血病であり、全年齢群では年間3,000件の新しい症例がある。形質転換した、今や悪性の細胞は、骨髄中で白血病リンパ芽球として増殖し、蓄積される。リンパ芽球は、骨髄中での正常な血液細胞形成を妨げ、赤血球、白血球、および血小板の不十分な産生を結果としてもたらす。
【0007】
侵攻性リンパ腫としても知られる、高悪性度リンパ腫には、処置されなければ比較的急速に進行するリンパ腫の幾つかの亜型が含まれる。これらの亜型には、例えば、AIDS関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、および小型非分割細胞リンパ腫が含まれる。びまん性大B細胞リンパ腫と比較して、高悪性度リンパ腫は、より攻撃的に振る舞い、より集中的な化学治療を要求し、かつより多くの場合子供に生じる。急速に分裂する細胞は抗癌薬剤に対してより敏感であり、若い患者には通常その他の健康問題がないので、これらのリンパ腫のうちの幾つかは、治療に対して劇的な応答を示す。急性リンパ芽球性白血病および高悪性度リンパ腫は、子供で最も一般的な白血病およびリンパ腫である。これらの疾患は、大部分、多クローン性であり、ほんのわずかの遺伝子変化が悪性を誘導するのに十分であるということを示唆している。
【0008】
MLLとも呼ばれる、ALL-1は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)の両方と関連する多発性染色体異常に関与する頻発部位である、染色体バンド11q23からクローニングされた(1,2)。染色体転座により、50よりも多くの異なるパートナー遺伝子の1つとALL1遺伝子の融合、ならびにN末端のAll1配列および切断点の3'に位置する遺伝子のセグメントによってコードされるパートナータンパク質の一部から構成される白血病誘発性タンパク質の産生が結果としてもたらされる(同上)。ALLの中で最もよく見られるALL1再配列は、t(4;11)染色体転座から結果として生じるALL1/AF4キメラ遺伝子である。この再配列は、幼児および成人における非常に不良な予後と関連する(3)。本疾患の攻撃性をもたらす、All1融合タンパク質により調節解除される分子経路は、依然としてほとんど知られていない。
【0009】
miRNAは、標的メッセンジャーRNAの3'非翻訳領域と塩基対を形成することによって、遺伝子発現を転写後レベルで負に調節する短い20〜22ヌクレオチドのRNAである。400個よりも多くのmiRNAがヒトで同定されており、それらは進化的に保存されている。miRNAは細胞分化、細胞増殖、および腫瘍発生などの様々な生理学的および病理学的経路を調節するということが示されている(4に概説されている)。ヒトの癌におけるmiRNAの発現プロファイルを決定するための詳細な研究により、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、乳癌、大腸癌、胃癌、神経膠芽腫、肝細胞癌、乳頭状甲状腺癌、および内分泌膵腫瘍に見られる細胞型特異的なmiRNAフィンガープリントが明らかにされている(5に概説されている)。
【0010】
miRNA遺伝子は哺乳動物ゲノムの1%にしか相当しないが、miRNA遺伝子の50%よりも多くが、癌における増幅、欠失、および転座と関連する領域内にあるということをCalinらは示した(6)。miRNA遺伝子のそのような体細胞変化は、最終的には、癌に見られる特異的な発現パターンに帰する。miRNAの癌特異的な調節解除に帰するさらなる要因は知られていない(最も明白な候補は転写制御であるが)。その他の可能性は、miRNA成熟がそのような要因であるということである。マイクロRNA生合成は、RNAポリメラーゼIIによって生成される、プリmiRNAと呼ばれる1次転写物から始まる(7に概説されている)。プリmiRNAの内部では、miRNAそれ自体が、自ら折り重なってステムループヘアピン構造を形成することができる約60〜80個のヌクレオチドの内部に含まれている。このヘアピン構造は、核RNアーゼIII酵素である、Droshaおよびその結合パートナーDGCR8から構成されるマイクロプロセッサー複合体によって認識され、かつ該複合体によってプリmiRNAから切り出される。プレmiRNAと呼ばれる、切り出されたmiRNAヘアピンは、RAN-GTPおよびエクスポーチン5と会合して細胞質に輸送され、そこでそれは、5'リン酸および2ヌクレオチドの3'突出を有する22ヌクレオチドの成熟2重鎖RNAを放出する、第2のRNアーゼIII酵素、Dicerによってさらにプロセッシングされる。アンチセンスRNA鎖は、塩基対を形成することによってアンチセンスRNA鎖をmRNAに標的し、その結果としてmRNAの翻訳に干渉するかまたはmRNAを切断する、RISC複合体に組み入れられる。原理上は、この成熟過程のどの段階であっても、miRNA産生に影響を及ぼすことができる。
【0011】
その結果として、小さい非コードRNAによって媒介される機構を介して遺伝子発現を調節する薬剤に対する必要性がある。それ故に、細胞内のmiRNAのレベルを調整することによって遺伝子の発現もしくは活性を増大させるかまたは減少させることができるオリゴマー化合物の同定が望ましい。
それ故に、本発明は、RNA干渉およびdsRNA酵素などの作用の機構だけでなく、アンチセンスおよび非アンチセンスの機構にも依存するオリゴマー化合物および方法を含む、プリmiRNAのレベル、発現、またはプロセッシングを調整するのに有用なオリゴマー化合物および方法を提供する。当業者は、ひとたび本開示を用意すれば、必要以上の実験をすることなく、化合物、組成物、およびこれらの使用のための方法を同定することができると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Gu, Y., Nakamura, T., Alder, H., Prasad, R., Canaani, O., Cimino, G., Croce, C.M. & Canaani, E. (1992) Cell 71, 701-709.
【非特許文献2】Tkachuk, D.C., Kohler, S. & Cleary, M.L. (1992) Cell 71,691-700.
【非特許文献3】Johansson, B., Moorman, A.V., Haas, O. A., Watmore, A. E., Cheung, K.L., Swanton, S. & Secker-Walker, L.M. (1998) Leukemia 12,779-787.
【非特許文献4】Bartel, D.P. (2004) Cell 116, 281-297.
【非特許文献5】Calin, G.A. & Croce, C.M. (2006) Nature Rev. Cancer 6, 857-866 (2006).
【非特許文献6】Calin, G. A., Sevignani, C, Dumitru, CD., Hyslop, T., Noch, E., Yendamur, S., Shimizu, M., Rattan, S., Bulrich, F., Negrini, M., et al. (2004) Proc Natl Acad Sci U SA. 101, 2999-3004.
【非特許文献7】Kim, V.N. (2005) Nature Rev. Mol. Cell Biol. 6, 376-385.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、All1融合タンパク質が、特異的miRNAをコードする標的遺伝子への酵素Droshaの動員を媒介するという発見に基づいている。この動員は、関連miRNAの発現亢進の原因であると現在考えられている。
【0014】
1つの態様において、小さい非コードRNAによって媒介される機構を介して遺伝子発現を調節する薬剤を提供する。それ故に、細胞内のmiRNAのレベルを調整することによって遺伝子の発現もしくは活性を増大させるかまたは減少させることができるオリゴマー化合物の同定が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
特定の態様において、RNA干渉およびdsRNA酵素などの作用の機構だけでなく、アンチセンスおよび非アンチセンスの機構にも依存するオリゴマー化合物および方法を含む、プリmiRNAのレベル、発現、またはプロセッシングを調整するのに有用なオリゴマー化合物および方法を提供する。当業者は、ひとたび本開示を用意すれば、必要以上の実験をすることなく、化合物、組成物、およびこれらの使用のための方法を同定することができると考えられる。
【0016】
特定の態様において、小さい非コードRNAを含むかもしくはコードする核酸に標的されるか、または該核酸を模倣し、かつ小さい非コードRNA、特にプリmiRNAのレベルを調整するか、またはそれらの機能に干渉するように作用する、オリゴマー化合物、とりわけ核酸および核酸様のオリゴマー化合物を提供する。
【0017】
特定の態様において、プリmiRNAに標的され、かつプリmiRNAのレベルを調整するか、またはそれらのプロセッシングもしくは機能に干渉するように作用する、オリゴマー化合物、とりわけ核酸および核酸様のオリゴマー化合物を提供する。
【0018】
特定の態様において、プリmiRNA内部のDrosha認識領域に隣接するかまたは該領域と重複する領域を標的するオリゴマー化合物を提供する。
【0019】
さらに、Drosha切断部位に隣接するかまたは該部位と重複する領域を標的するオリゴマー化合物を提供する。プリmiRNAのレベルを増大させるオリゴマー化合物も提供する。例えば、本発明は、ポリシストロン性のプリmiRNA転写物の内部のDrosha認識領域に標的される長さ15〜30ヌクレオ塩基のオリゴマー化合物を提供する。ポリシストロン性のプリmiRNA転写物は、表1に掲載されたmiRNAが由来するポリシストロン性のプリmiRNA転写物であることができる。
【0020】
特定の実施態様において、Drosha認識領域は、表1に掲載されたmiRNAうちの1つまたは複数であることができる。そのようなオリゴマー化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよく、1つまたは複数の化学修飾を含んでもよい。さらに、そのようなオリゴマー化合物は、プリmiRNAレベルを増大させることができる。
【0021】
細胞、組織、または動物を本発明の化合物または組成物のうちの1つまたは複数と接触させる工程を含む、細胞、組織、または動物における小さい非コードRNA、特にプリmiRNAのレベルを調整する方法も提供する。
【0022】
ポリシストロン性のプリmiR転写物を選択する工程、選択されたポリシストロン性のプリmiR転写物に由来する単一のmiRNAのDrosha認識領域を選択する工程、選択されたDrosha認識領域に標的されるかまたは該領域と十分に相補的である長さ15〜30ヌクレオチドのオリゴマー化合物を選択する工程、およびオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、細胞内のポリシストロン性のプリmiR転写物に由来するmiRのレベルを調整する方法をさらに提供する。
【0023】
そのような方法には、選択されたポリシストロン性のプリmiRNAに由来する単一の成熟miRNAのレベルを調整する工程か、またはその代わりに、選択されたポリシストロン性のプリmiRNAに由来する2つ以上の成熟miRNAのレベルを調整する工程が含まれる。
【0024】
そのようなプリmiRNA上のDrosha認識領域に標的されるかまたは該領域と十分に相補的であるオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、表1に掲載されたプリmiRNA由来のプリmiRNAのレベルを調整する方法も提供する。
【0025】
プリmiR転写物に由来するmiRファミリーのメンバーを選択する工程、同定されたオリゴマー化合物が、miRファミリーのその他のメンバーが由来するプリmiR転写物のDrosha認識領域との十分な相補性を欠くことを特徴とする、選択されたプリmiR転写物のDrosha認識領域に標的されるかまたは該領域と十分に相補的である1つまたは複数のオリゴマー化合物を同定する工程、およびそのような同定されたオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、細胞内のmiRファミリーの単一のメンバーを選択的に調整するための方法も本明細書において提供する。
【0026】
少なくとも1つの鎖が修飾を含むことを特徴とし、かつオリゴマー化合物鎖のうちの1つの一部が小さい非コードRNA標的核酸にハイブリダイズすることができることを特徴とする、第1の鎖および第2の鎖を含むオリゴマー化合物も本明細書において提供する。
【0027】
少なくとも1つの領域が修飾を含むことを特徴とし、かつオリゴマー化合物の一部が小さい非コードRNA標的核酸にハイブリダイズすることができることを特徴とする、第1の領域および第2の領域および任意で第3の領域を含むオリゴマー化合物も本明細書において提供する。
【0028】
プリmiRNAレベルを調整することができるオリゴマー化合物を同定するための方法も本明細書において提供する。プリmiRNAを選択し、プリmiRNA内部の成熟miRNA配列に標的されかつ該配列と重複するオリゴマー化合物を含む、オリゴマー化合物を、それらがプリmiRNA配列の内部の様々な標的セグメントに標的されるかまたは該セグメントと十分に相補的であるように設計する。オリゴマー化合物と接触していない細胞と比較した場合のオリゴマー化合物と接触した細胞におけるプリmiRNAのレベルの増大は、オリゴマー化合物がプリmiRNAレベルを調整するということを示す。
【0029】
プリmiRNAレベルを調整することができる小分子を同定するための方法も本明細書において提供する。プリmiRNAを選択し、それらがプリmiRNAレベルを調整する能力について小分子を評価する。小分子は、成熟miRNA配列を含むかもしくは該配列と重複するプリmiRの領域か、またはDrosha認識領域に結合してもよい。小分子と接触していない細胞と比較した場合の小分子と接触した細胞におけるプリmiRNAのレベルの増大は、小分子がプリmiRNAレベルを調整するということを示す。
【0030】
ALLおよびALL関連疾患を処置ならびに/または予防するためのデコイも本明細書において提供する。
【0031】
これらだけでなく、本発明のその他の重要な態様も以下の詳細な説明からより明白になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許または特許出願刊行物のコピーは、請求の上、必要額を支払えば、特許庁により提供されるであろう。
【0033】
【図1】図1。ALL-1再配列を有する白血病細胞株におけるmiR-191およびmiR-155の検出のためのRNアーゼ保護アッセイ。20μgのトータルRNAを、インビトロ転写されたmiR-191またはmiR-155のアンチセンスプローブと終夜43℃でハイブリダイズさせ、その後RNアーゼで処置した。保護されたプローブ断片を、8M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲルで分離した。末端標識したφX174/Hinf Iを分子量マーカーとして用いた。200ヌクレオチドよりも大きいサイズ用のマーカーは圧縮されるので、151ntおよびそれ未満の断片のみが示されている。ローディング対照として、10μgのトータルRNAもシクロフィリンプローブとのハイブリダイゼーションに供した。
【図2】図2Aおよび2B。抗Drosha Abを用いた免疫沈降によるALL-1が再配列された白血病細胞からのDroshaタンパク質の精製。 図2A)免疫沈降されたタンパク質のウェスタンブロット検出。All1のN末端エピトープと反応するAb 169をAll1/Af4およびAll1/Af9の検出に利用した。Droshaの明確な同定のために、pCK-Drosha-FlagプラスミドをトランスフェクトしたK562細胞で外因性に発現される組換えDroshaをIPで精製した(Drosha:FLAG)。20μgの白血病細胞の核抽出物または約2.5μgの免疫精製されたDroshaを解析で用いた。内在性Droshaが核抽出物から精製された一方で、Drosha:FLAGは全細胞ライセートから精製されたということに留意されたい。 図2B)RNアーゼまたはDNアーゼのいずれかで処置されたSEMK2核抽出物からの抗Drosha Abで免疫沈降されたタンパク質のウェスタンブロット検出。
【図3】図3。プラスミドがトランスフェクトされた細胞およびALL1関連白血病細胞株から免疫精製されたDroshaのインビトロ切断アッセイ。ウェスタン解析(図2A)で決定された、等量のDroshaを全ての反応で用いた。対応する容量の非希釈試料は、10μlのDrosha:FLAG、5μlのSEMK2 Drosha、および20μlのPER377 Droshaであった。miR-191およびmiR-155の切断産物を、変性9%ポリアクリルアミドゲルで分離した(左)。切断産物をゲルから切り出し、電気溶出し、組換えDicer酵素によるさらなる切断に供した。15%変性ゲルを用いて分離し、22ヌクレオチドの成熟産物を同定した(右)。
【図4−1】図4A〜B。miR-191およびmiR-23aゲノム座におけるAll1/Af4依存的なDroshaの局在化ならびにDrosha動員に対するAll1/Af4ノックダウンの効果。 図4A)SEMJ siRNAで処置したSEMK2細胞からのAll1/Af4タンパク質の大部分の消失。 図4B)miR-191、miR-155、miR-23a、およびmiR-27aをコードするゲノム座への正常All1タンパク質、All1/Af4タンパク質、およびdroshaタンパク質の動員を決定するためのChIP解析。検査したクロマチンは、非機能性のsiRNA MVJで処置したSEMK2細胞由来か、またはAll1/Af4の大部分をノックダウンするSEMJ siRNAで処置した細胞由来であった。
【図4−2】図4C〜D。miR-191およびmiR-23aゲノム座におけるAll1/Af4依存的なDroshaの局在化ならびにDrosha動員に対するAll1/Af4ノックダウンの効果。 図4C〜4D)miR-191、miR-155、miR-23a、およびmiR-27aをコードするゲノム座への正常All1タンパク質、All1/Af4タンパク質、およびdroshaタンパク質の動員を決定するためのChIP解析。検査したクロマチンは、非機能性のsiRNA MVJで処置したSEMK2細胞由来か、またはAll1/Af4の大部分をノックダウンするSEMJ siRNAで処置した細胞由来であった。
【図4−3】図4E。miR-191およびmiR-23aゲノム座におけるAll1/Af4依存的なDroshaの局在化ならびにDrosha動員に対するAll1/Af4ノックダウンの効果。 図4E)pGEM3Zベクター(Promega)にクローニングされ、RNアーゼ保護アッセイでプローブとして用いられた、マイクロRNA-191[配列番号:xx]をコードするヒトゲノム断片のヌクレオチド配列;pGEM3Zベクター(Promega)にクローニングされ、RNアーゼ保護アッセイでプローブとして用いられた、マイクロRNA-155[配列番号:xx]をコードするヒトゲノム断片のヌクレオチド配列;pGEM3Zベクター(Promega)にクローニングされ、RNアーゼ保護アッセイでプローブとして用いられた、マイクロRNA-23a[配列番号:xx]をコードするヒトゲノム断片のヌクレオチド配列;pGEM3Zベクター(Promega)にクローニングされ、RNアーゼ保護アッセイでプローブとして用いられた、マイクロRNA-27a[配列番号:xx]をコードするヒトゲノム断片のヌクレオチド配列、の配列表。
【図5】図5。プリmiR-191の蓄積に対するAll1/Af4ノックダウンの効果。前駆体プリmiR-191、プリmiR-155、プリmiR-23a、およびプリmiR-27aの存在量だけでなく、それらのプロセッシングされた産物の存在量も、活性のないMVJ siRNAで処置したか、またはAll1/Af4(SEMJ)もしくはDroshaのいずれかをノックダウンしたSEMK2細胞で検査した。RNAは、RNアーゼ保護アッセイ(本文参照)で同定した。Droshaノックダウンによって全ての一次転写物の存在量が増大したということに留意されたい。対照的に、All1/Af4(SEMJ)のノックダウンは、プリmiR-191およびプリmiR-23aのより高い存在量と関連した。
【図6】図6。t(4;11)染色体転座を有する白血病細胞株におけるmiR-191の上方調節。MV4;11、RS4;11、およびSEMK2(全てt(4;11)を有するプロB細胞)、プロB細胞REHおよび380、ならびにプレB細胞株697由来のRNA(20μgのアリコート)のノーザン解析。RNAを20%変性ポリアクリルアミドゲルで分離し、ナイロン膜に電気ブロットした。22ヌクレオチドのmiR-191を、末端標識オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションで同定した。両方ともALL1再配列を欠く、KG1およびK562細胞についての同様のノーザン解析により、380細胞および697細胞の発現に似た低レベルの発現が示された(図示しない)。
【図7−1】図7A。インビボで産生されたか(左のゲル)、またはDroshaおよびDicerを用いたインビトロ切断によって産生された(右のゲル)miR前駆体およびプロセッシングされたRNAのRNアーゼ保護アッセイ(RPA)による同定。T7 RNAポリメラーゼを用いたインビトロ転写によって合成された、miR-191[配列番号:xx]プローブ(図7A)およびmiR-155プローブ[配列番号:xx](図7B)の配列を示す。成熟マイクロRNAおよび隣接するpGEM 3Zベクター配列を、それぞれ赤色字および灰色字で示す。ランオフ転写物を生成させるために用いた制限部位を示す。垂直の矢印は、miR-191について参考文献11で予想されているか、またはmiR-155について参考文献9で報告されている、Drosha切断部位を示す。細胞RNAと均一に標識されたプローブの間のハイブリダイゼーションの産物、および(DroshaまたはDicerによる)インビトロ切断産物の予測されるRNアーゼ保護断片をプローブ配列の下にまとめる。RPAおよびインビトロ切断アッセイの産物を1つの変性ゲルで分離した。インビトロ切断アッセイ用に、Drosha:FLAGを用いた。ゲルからの切出しおよび精製の後、それぞれmiR-191およびmiR-155プローブに由来する、64ntおよび61ntの切断産物を組換えDicerで消化した。miR-155についてのアッセイでは、53ntおよび61ntのRPA保護断片ならびにインビトロ切断産物をゲル中で分離することができず、それらの相対位置を矢印で印している。
【図7−2】図7Aの続き。
【図7−3】図7B。インビボで産生されたか(左のゲル)、またはDroshaおよびDicerを用いたインビトロ切断によって産生された(右のゲル)miR前駆体およびプロセッシングされたRNAのRNアーゼ保護アッセイ(RPA)による同定。T7 RNAポリメラーゼを用いたインビトロ転写によって合成された、miR-191[配列番号:xx]プローブ(図7A)およびmiR-155プローブ[配列番号:xx](図7B)の配列を示す。成熟マイクロRNAおよび隣接するpGEM 3Zベクター配列を、それぞれ赤色字および灰色字で示す。ランオフ転写物を生成させるために用いた制限部位を示す。垂直の矢印は、miR-191について参考文献11で予想されているか、またはmiR-155について参考文献9で報告されている、Drosha切断部位を示す。細胞RNAと均一に標識されたプローブの間のハイブリダイゼーションの産物、および(DroshaまたはDicerによる)インビトロ切断産物の予測されるRNアーゼ保護断片をプローブ配列の下にまとめる。RPAおよびインビトロ切断アッセイの産物を1つの変性ゲルで分離した。インビトロ切断アッセイ用に、Drosha:FLAGを用いた。ゲルからの切出しおよび精製の後、それぞれmiR-191およびmiR-155プローブに由来する、64ntおよび61ntの切断産物を組換えDicerで消化した。miR-155についてのアッセイでは、53ntおよび61ntのRPA保護断片ならびにインビトロ切断産物をゲル中で分離することができず、それらの相対位置を矢印で印している。
【図7−4】図7Bの続き。
【図8A】図8A。図5のRNアーゼ保護アッセイで用いたmiR-23aプローブ[配列番号:xx](図8A)およびmiR-27aプローブ[配列番号:xx](図8B)。成熟マイクロRNAおよび隣接するpGEM 3Zベクター配列を、それぞれ赤色字および灰色字で示す。miR-23aヘアピンおよびmiR-27aヘアピンを持つpGEM 3Z組換え体を、それぞれNae1およびBsu36Iで線状化し、SP6 RNAポリメラーゼでアンチセンスプローブを作製するための鋳型として用いた。
【図8B】図8B。図5のRNアーゼ保護アッセイで用いたmiR-23aプローブ[配列番号:xx](図8A)およびmiR-27aプローブ[配列番号:xx](図8B)。成熟マイクロRNAおよび隣接するpGEM 3Zベクター配列を、それぞれ赤色字および灰色字で示す。miR-23aヘアピンおよびmiR-27aヘアピンを持つpGEM 3Z組換え体を、それぞれNae1およびBsu36Iで線状化し、SP6 RNAポリメラーゼでアンチセンスプローブを作製するための鋳型として用いた。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の特定の実施態様の説明を以下に行なう。
【0035】
本明細書において使用する場合、プリmiRNA転写物の内部の「Drosha認識領域」という用語は、成熟miRNAだけでなく、そのような成熟miRNAの5' Drosha切断部位に対して5'方向にある最大25個までのヌクレオチド、およびそのような成熟miRNAの3' Drosha切断部位に対して3'方向にある最大50個までのヌクレオチドをも包含する。追加の実施態様において、Drosha認識領域は、成熟miRNAならびにそのような成熟miRNAの5' Drosha切断部位に対して5'方向にある最大15個までのヌクレオチド、およびそのような成熟miRNAの3' Drosha切断部位に対して3'方向にある最大40個までのヌクレオチドをも包含する。ある態様において、Drosha認識領域は、この領域に標的されるオリゴマー化合物によって強く影響を受ける領域である、すなわち、プリmiRNAのこの領域へのオリゴマー化合物の標的化によって、3.5倍を上回るプリmiRNAのレベルの増大が結果としてもたらされる。その他の態様において、プリmiRNAのレベルは、この領域に標的されるオリゴマー化合物によって適度に影響を受ける、すなわち、このDrosha認識領域へのオリゴマー化合物の標的化によって、1.5〜2.5倍のプリmiRNAのレベルの増大が結果としてもたらされる。
【0036】
本明細書において使用する場合、「Drosha切断部位」という用語は、プリmiRNAの末端ヘアピンループとステムの接合点からおよそ22ヌクレオ塩基の部位を指すために用いられる。miRNAの一方の末端は、Drosha酵素による切断部位の選択により決定される。
【0037】
ALL1再配列を持つ白血病細胞株で調節解除されたmiRNAの同定
miRNAマイクロアレイ解析を適用して、本発明者らは、ALL1再配列を持つヒト白血病細胞株のmiRNA発現プロファイルを決定した。合計18個のmiRNAが、t(4;11)を有するSEMK2細胞およびRS4;11細胞、ならびにt(9;11)を有するPER377細胞を含む、再配列されたALL1を有する細胞株において統計的有意性で上方調節されていることが分かった。表1に示すように、ALL1異常を全く有さない2つのプロB細胞株、380およびREHは、上方調節を示さなかった。
【0038】
表1は、ALL1再配列を有する細胞およびALL1再配列を有さない細胞のマイクロRNA発現プロファイルの比較を示す。マイクロRNA発現プロファイルは、ALL-1融合タンパク質を発現する3つの細胞株および類似の表現型を有するがALL-1異常を欠く2つの細胞株に由来するトータルRNAでマイクロRNAチップをプロービングすることにより3通りで決定した。太字のmiRのゲノム座は、正常ALL-1の結合部位であると以前に同定されている(14)。
【0039】
【表1】

【0040】
SAMにより、統計的に有意なスコアを有する遺伝子が同定される(すなわち、対応のあるt検定)。各々の遺伝子には、その遺伝子についての反復測定の標準偏差と比較した、その遺伝子発現の変化に基づいてスコアが割り当てられる。閾値よりも大きいスコアを有する遺伝子は、潜在的に有意であるとみなされる。
【0041】
**偶然に同定されたそのような遺伝子のパーセンテージが、誤り発見率(False Discovery Rate)のq値である。本文書で調査された、miR-155およびmiR-27aは、ALL1転座を有する細胞株で上方調節されていない。
【0042】
ノーザン解析により、これらの知見が支持され、拡大された(図6参照)。マイクロアレイの結果の一部を確認し、拡大適用するために、本解析で最上位にランク付けされた、miR-191、およびALL1遺伝子再配列を有する株で示差発現を示さなかったmiR-155の発現を、RNアーゼ保護アッセイを適用することにより決定した(図1参照)。
【0043】
miR-191成熟種は、REH細胞および380細胞でほとんど検出することができなかったものの、それは、t(6;11)染色体転座を有するML-2細胞、PER377細胞、SEMK2細胞、およびRS4;11細胞を含む、All1融合タンパク質を発現する株にたくさんあった。対照的に、成熟miR-155は、その他の細胞と比較してかなりより高いレベルまで380細胞およびREH細胞で発現していた。このアッセイにより、プリmiR-191保護(発現)の程度は、成熟種の発現レベルに関わらず、RS4;11を除き、全ての白血病細胞で同様であるということも示された。これにより、ALL1関連白血病における成熟miR-191のより高い存在量は、プリmiRNAの過剰産生によるものではないということが示されている。
【0044】
All1融合タンパク質、All1/Af4およびAll1/Af9、は、Droshaとインビボで物理的に相互作用する
DroshaおよびAll1融合タンパク質の両方の細胞核への局在化は、後者がDroshaを媒介するmiR-191プロセッシングに影響を及ぼすということを示す。DroshaとAll1融合タンパク質の間の物理的相互作用を検証するために、本発明者らは、共免疫沈降の方法論を適用した。外因性に発現したDrosha:FLAGは、マイクロプロセッサー複合体と呼ばれる、複合体を作るということが以前に報告されている(8,9,10)。さらに、Drosha:FLAGは、EWSを含む多くのRNA結合タンパク質を含む第2のより大きい>2MDaの多タンパク質複合体を作ることが分かった(10)。本発明者らは、抗Drosha Abを用いて、SEMK2およびPER377の細胞核で産生された内在性Droshaを沈降させた。
【0045】
同時に、トランスフェクトしたK562細胞の全細胞ライセートから抗Flag mAbでDrosha-Flagを沈降させた。以前にAbを作製するのに用いた過剰量の合成ペプチドを添加することによって、免疫沈降物中のDroshaを溶出させた。溶出物は、ウェスタンブロット解析(図2参照)だけでなく、miR-191プローブおよびmiR-155プローブのプロセッシングを測定するためのインビトロ切断アッセイ(図3参照)にも供した。
【0046】
ウェスタンブロット解析により、2つの公知のDrosha関連タンパク質、DGCR8およびEWS、の共免疫沈降が示された(図2A参照)。際立つことに、融合タンパク質All1/Af4およびAll1/Af9がDroshaと共免疫沈降した(同上)。対照的に、正常なp300 All1は、共免疫沈降しなかった。このAbは融合タンパク質を効果的に沈降させるが、抗Af4 C末端Abを用いることによるAll1/Af4に対する逆の免疫沈降は、Droshaを共免疫沈降することができなかった(データは示さない)。抗Drosha Abは、Droshaタンパク質が干渉RNAによって下方調節されたSEMK2細胞からAll1/Af4を沈降させなかった(図2B参照)ので、DroshaとAll1融合タンパク質の共免疫沈降は、交差反応によるものではない。
【0047】
抗Af4 AbがDroshaを共免疫沈降させないことは、All1/Af4のほんの一部しかDroshaと会合しないということか、または会合によってAf4 C末端領域上の関連エピトープが隠されるということを示す。本発明者らは次に、All1/Af4とDroshaの会合が、RNA依存的および/またはDNA依存的であるかどうかを決定しようとした。この目的のために、SEMK2核抽出物を、RNアーゼかまたはDNアーゼのいずれかで徹底的に処置し、抗Drosha AbによるIPに供した。ウェスタンブロット解析により、RNアーゼ処置した核抽出物の免疫沈降物中にAll1/Af4、Drosha、DGCR8、およびEWSタンパク質が存在することが示された(図2B)。重要なことに、DNアーゼ処置によって、All1/Af4とDroshaの会合が無効とされる一方で、その他のタンパク質との会合は持続された(同上)。これらの結果により、ゲノムDNAがAll1/Af4とDrosha複合体の間の物理的相互作用に関与するということが示唆される。
【0048】
インビトロ切断アッセイにより、Drosha調製物は全て、3つの種のmiR-191切断産物を生成するということが示された。これらのうち、約66ヌクレオチドの種は、組換えDicer酵素によってそれが切断されるので、プレmiR-191であると同定された(図3、右を参照)。同様に、55ヌクレオチド、59ヌクレオチド、および65ヌクレオチドという3つの種から構成されると推測される、miR-155がプロセッシングされた産物の混合物は、Dicerによってさらに切断され、22塩基の産物の生成を結果としてもたらすことが示された(同上)。これらの結果により、3つのアフィニティー精製されたDrosha調製物は、miR-191鋳型およびmiR-155鋳型の両方に対して機能的に活性があるということが示された。All1/Af4を含むDroshaが最も強いプロセッシング活性を見せたのに対し、All1/Af9を含むDroshaは、Drosha:FLAG調製物のプロセッシング活性と同様の、より小さいプロセッシング活性を有していた。
【0049】
All1/Af4が媒介するmiRNA座へのDrosha動員
All1/Af4とDrosha間の物理的相互作用の細胞DNAに対する依存性は、本発明者らに、2つのタンパク質のmiR-191遺伝子上の占有について調べるように促した。本発明者らは、正常All1がmiR-191ヘアピンの3.5kbおよび1.5kb上流にあるDNA領域だけでなく、ヘアピン配列それ自体にまたがる領域にも結合するということをも発見した(11)。1)SEMK2融合体の接合点特異的siRNAをトランスフェクトしたSEMK2細胞;後者はAll1/Af4タンパク質を>90%の効率で下方調節する、2)異なるALL1/AF4接合点を標的し、それ故に細胞内での融合タンパク質のレベルに影響を及ぼさないsiRNAを発現するSEMK2細胞(2つのsiRNAをそれぞれSEMJおよびMVJ siRNAと呼び;トランスフェクタントにおけるAll1/Af4タンパク質の量を図4Aに示す)に対してクロマチン免疫沈降解析を行なった。
【0050】
MVJ siRNAを含む細胞のクロマチンの解析だけでなく、インタクトのSEMK2細胞のクロマチンの解析(図示しない)もまた、正常All1タンパク質、All1/Af4タンパク質、およびDroshaタンパク質が、miR-191座内の3つの領域を共に占めていることを示した(図4B参照)。対照的に、All1/Af4およびDroshaがmiR-155ヘアピン上を占めていることは検出されなかった(図4C参照)。
【0051】
SEMJ siRNAでの処置によるAll1/Af4のノックダウンは、融合タンパク質のmiR-191遺伝子内の3つの部位上での占有を結果として減らし、同時にDrosha結合の減少をもたらした(図4B参照)。これは、All1/Af4が媒介するmiR-191座へのDrosha動員を示している。本検討を2つの追加のマイクロRNA座にさらに拡大適用した。miR-23a遺伝子およびmiR-27a遺伝子は、5'から3'の配置で一列に並び、84ヌクレオチドの間隔で隔てられている。発現マイクロアレイ解析により、miR-23aはAll1融合タンパク質を発現する白血病細胞で上方調節されているが、miR-27aは上方調節されていないということが示された(表1参照)。
【0052】
ヘアピン配列にまたがるmiR-23aおよびmiR-27aの領域内での正常All1、All1/Af4、およびDroshaのタンパク質結合プロファイルは、それぞれmiR-191およびmiR-155のプロファイルに似ていた(図4D参照)。
【0053】
All1/Af4およびDrosha両方のmiR-23a遺伝子への結合は、Alll/Af4がノックアウトされたSEMK2細胞(SEMJ)で低下しているかまたは消失している(同上)。
【0054】
Alll/Af4ノックダウンは特異的なプリmiRNAの蓄積を引き起こす
miR-191およびmiR-23aをコードするゲノム領域に結合したAll1/Af4およびDroshaの量の低下の帰結を調べるために、本発明者らは、miR-155遺伝子およびmiR-27a遺伝子によってコードされる産物と比較して、座の1次RNA産物およびプロセッシングされたRNA産物の発現レベルを決定した。MVJ siRNA、またはSEMJ siRNA、またはDrosha特異的siRNAで処置したSEMK2細胞由来の産物をRNアーゼ保護アッセイで解析した(図5参照)。
【0055】
All1/Af4およびDrosha両方のノックダウンは、miR-191およびmiR-23aの1次転写物の蓄積を結果としてもたらし、どちらか一方の操作によってDrosha機能が障害されることを示した。DroshaおよびAll1/Af4両方のノックダウンによって引き起こされる明白な障害は、22塩基の成熟miR-23aの存在量の低下に反映されている。対照的に、SEMJ siRNAで処置した細胞でのAll1/Af4のノックダウンは、不活性のMVJ siRNAで処置した細胞と比較してプリmiR-155またはプリmiR-27aの存在量を増大させなかった(Droshaのノックダウンは、プリmiR-155およびプリmiR-27aの蓄積をもたらした)。これにより、All1/Af4の消失は、プリmiR-191およびプリmiR-23aのプロセッシングを障害するが、プリmiR-155またはプリmiR-27aのプロセッシングは障害しないということが示される。
【0056】
考察
ALL1関連白血病で上方調節されていることが同定されている幾つかのマイクロRNAを本明細書において提示している。さらに、本発明者らは、白血病誘発性のAll1融合タンパク質、All1/Af4およびAll1/Af9が、マイクロRNA生合成に必須の核RNアーゼIII酵素である、Droshaと物理的に相互作用するということを示している。Droshaおよびその関連タンパク質によって媒介される核プリmiRNAプロセッシングがインビボでのmiRNA産生に大きな影響を及ぼすという考えは、一次転写物、前駆体、および成熟miRNA種のレベルの相違において最初に注目された。ヒト胚性幹細胞は、let-7a-1をコードする測定可能な量の1次転写物を発現するが、成熟種を欠いている(12)。同様に、びまん性大B細胞リンパ腫におけるmiR-155のレベルは、miR-155が含まれるBIC RNAのレベルと弱い相関しか示さなかった(13)。
【0057】
マウス胚における3つ全ての分子形態のlet-7g発現を決定するための最近の研究により、成熟種は妊娠10.5日で検出可能であり、14.5日で高いのに対し、1次転写物は発生の全体を通じて高度に発現されているということが示された(14)。同様の相違は、マウス発生と関連することが知られている幾つかのmiRNAでも見られた。前駆体種の蓄積は検出されなかったので、胚発生の間に起こる分化事象が特異的miRNAのDroshaプロセッシングを活性化している。同じ研究において、著者らはさらに、1次転写物および対応するmiRNA発現のデータセットを比較することによって彼らの知見を原発性ヒト腫瘍に拡大適用し、癌で観察されるmiRNAの下方調節を引き起こし得る、Droshaプロセッシング遮断を支持する証拠を示した(同上)。明らかに、特異的miRNAに対して向けられた、Droshaプロセッシングの活性化または阻害の根底にある分子機構の探索が次に必要とされることである。
【0058】
All1/Af4を発現するか、または後者に対するsiRNAの取込みを強制されたことによりこの発現が障害されている白血病細胞にChIP解析およびRNアーゼ保護アッセイを適用することによって、本発明者らは今、本明細書において、All1/Af4およびDroshaの両方が特異的なマイクロRNAゲノム座に動員されること、ならびに1次転写物のプロセッシングが増強されることを示している。All1融合タンパク質を産生する細胞株における成熟マイクロRNAの明白な産生亢進は、対応する座へのDroshaの結合によるものであると現在考えられている。
【0059】
特定の態様において、マイクロRNAを調節し得る新しい機構、およびAll1白血病タンパク質についての新しい機能を本明細書において提供する。
【0060】
miR-191の上方調節は、急性骨髄性白血病における不良な予後と関連することが分かっている(15)。miR-191の上方調節は、大腸癌、乳癌、および肺癌を含む、6つの異なる種類の固形腫瘍の研究でも観察されている(16)。
【実施例】
【0061】
材料および方法
細胞培養および抗体
ヒトのプロB ALL 380、プレB ALL 697、t(6;11)を有するML-2、ならびにt(4;11)を有するSEMK2およびMV4;11はDSMZから入手した。REHプロB ALL、t(4;11)を有するRS4;11、およびK562はATCCから購入した。t(9;11)を有するPER377は、Ursulla Kees博士から入手した。細胞株は全て、10%胎仔ウシ血清を補充したRPMI 1640培地中で維持した。Drosha(ab12286)、DGCR8(ab24162)、およびDrosha合成ペプチド(ab12307)に対する抗体は、Abcamから購入した。EWSに対するAbは、Bethyl Laboratories(A300-308A)により作製された。抗FLAG M2 mAbおよび3 x FLAGペプチドは、Sigmaから入手した。ALL-1 N末端に対するAb 169は記載された(17)。AF4 C末端に対するAbは、細菌で合成されたAF4残基2323〜2886にまたがるポリペプチドを用いることによってウサギで作製した。
【0062】
マイクロアレイ解析
マイクロアレイ解析を以前に記載されたように行なった(18)。生データをGENESPRING 7.2ソフトウェア(zcomSilicon Genetics, Redwood City, CA)で正規化し、解析した。GENESPRING正規化オプションおよび類似の結果を伴うBIOCONDUCTORパッケージ(www.hioconduclor.org)の全体的な中央値正規化の両方を用いることにより、発現データを中央値で合わせた。GENESPRING ANOVAツールおよびマイクロアレイの有意性解析(SAM)ソフトウェアを用いることにより、統計的な比較を行なった。
【0063】
miRNA検出
製造元の取扱説明書に従って、AmbionからのRPA IIIキットを用いて、RNアーゼ保護アッセイ(RPA)を行なった。TRIZOL試薬(Invitrogen)で抽出した5〜20μgのトータルRNAを反応毎に用いた。シクロフィリンのアンチセンス対照鋳型をAmbionから入手し、T7 RNAポリメラーゼを利用することによって標識した。プリmiR-191、プレmiR-191、および成熟miR-191、ならびにプリmiR-155、プレmiR-155、および成熟miR-155に対応する保護された種の同定については、図7を参照されたい。
【0064】
ベクター構築およびプローブ調製
BACクローン RP13-131K19をPflMI-Bsu36Iで消化し、平滑末端化し、pGEM-3Z(Promega)のSmaI部位に両方の向きにサブクローニングすることにより、miR-191ヘアピンにまたがるゲノム断片を調製した。これらのコンストラクトをBamHIで線状化し、T7 RNAポリメラーゼ付きのRiboprobeインビトロ転写キット(Promega)を用いることによりRNAプローブを作製するための鋳型として用いた。センスおよびアンチセンスの向きを有するプローブを変性ゲルで精製し、それぞれインビトロ切断アッセイおよびRNアーゼ保護アッセイで用いた。BIC遺伝子の第3エキソン内に埋め込まれている、miR-155ヘアピン領域を、ヒトIMAGE cDNAクローン5176657からPCRで増幅した。
【0065】
それぞれヌクレオチド261〜281および401〜421(参考文献13)に対応する、EcoRI部位が連結されたフォワードプライマーATGCCTCATCCTCTGAGTGCT[配列番号:xx]およびHindIII部位が連結されたリバースプライマーCTCCCACGGCAGCAATTTGTT[配列番号:xx]を増幅に用いた。
【0066】
その後、PCR産物をpGEM-3ZベクターのEcoRI - HindIII部位にクローニングした。それぞれT7 RNAポリメラーゼおよびSP6 RNAポリメラーゼを用いることにより、センスおよびアンチセンスのRNAプローブを合成した。miR-23aおよびmiR-27aのヘアピン配列にまたがるゲノム領域を図8に示すようにPCRで増幅し、pGEM-3ZベクターのHindIII - EcoRI部位にクローニングした。
【0067】
SAMにより、統計的に有意なスコアを有する遺伝子が同定される(すなわち、対応のあるt検定)。各々の遺伝子には、その遺伝子についての反復測定の標準偏差と比較したその遺伝子発現の変化に基づいてスコアが割り当てられる。閾値よりも大きいスコアを有する遺伝子は、潜在的に有意であるとみなされる。
【0068】
**偶然に同定されたそのような遺伝子のパーセンテージが、誤り発見率のq値である。本文書で調査された、miR-155およびmiR-27aは、ALL1転座を有する細胞株で上方調節されていない。
【0069】
組換え体をそれぞれNaeIおよびBsu36Iで消化し、それに続いてSp6 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写を行なうことにより、miR-23aおよびmiR-27aのプローブを調製した。
【0070】
免疫沈降
製造元の取扱説明書(AMAXA)に従ってNucleofector装置を用いることにより、K562細胞にpCK-drosha-flagをトランスフェクトした。2 x 108個のトランスフェクトされた細胞を溶解させ、参考文献11に記載されたように抗Flag M2 mAbによるIPに供した。簡潔に述べると、プロテインGセファロース(GE Healthcare)を用いて4℃、O/Nでプレクリアーした後、25mgの全細胞ライセートを500μg mAbとインキュベートした。免疫複合体をプロテインGセファロースで沈降させ、洗浄し、30mM Hepes、pH7.4/100mM KCl/5%グリセロール/0.2mM EDTA/7.5mM MgCl2/2mM DTTを含む緩衝剤中に0.4mg/mlの濃度で3 x FLAGペプチドを添加することによって沈降物中のDrosha:FLAGを溶出させた。溶出を、各々30分間室温で、3回繰り返し、溶出物を混ぜ合わせた。内在性Droshaの免疫沈降については、Dignamら(19)の方法により調製したSEMK2細胞またはPER377細胞由来の50mgの核抽出物を、300μgの抗Drosha Abを用いるIPに供した。Abcamから購入した、抗Drosha Abは、DroshaのN末端領域に由来する合成ペプチドで免疫することによりウサギで作製されたものであり、該ペプチドは市販されている。
【0071】
小規模のIPを伴う実施例により、過剰なDroshaペプチドを抗Drosha免疫沈降物に添加することでDroshaが放出されること、この手順によってDrosha複合体をネイティブな形態で精製することが可能になるということが示された。該ペプチドを0.4mg/mlの濃度でDroshaの溶出に用いた。あるIPでは、図2Bに示すように、250μgのSEMK2核抽出物を、50μLのDNアーゼを含まないRNアーゼ(Roche)かまたは50UのRQ1 DNアーゼ(Promega)のいずれかと混合し、プロテインAセファロース(GE Healthcare)を用いるRTで60分間のプレクリアーに供した。これに続いて、10μgの抗Drosha AによるIPを行なった。
【0072】
プリmiRNAのインビトロプロセッシング
本質的には記載されたように(8)、インビトロプロセッシングアッセイを行なった。ウェスタンブロット解析でDroshaの含有量を測定することにより、添加されるべきDrosha:FLAGおよび2つのDrosha調製物の量を決定した。簡潔に述べると、免疫精製されたDrosha、7.5mM MgCl2、20UのRNアーゼ阻害剤(RNasin、Promega)、2mM ATP、2mM DTT、および1 x 105 cpmの標識プローブを含む20μLの反応混合物を37℃で90分間インキュベートした。20mM Tris、pH8.0/10mM EDTA/1%SDS/2μgのプロテイナーゼK(Roche)を含む20μLの緩衝剤を添加し、それに続いて45℃で30分間インキュベートすることにより反応を終結させた。フェノール/クロロフォルムおよびクロロフォルムで抽出した後、プロセッシングされた産物をエタノール沈殿し、8M尿素を含むポリアクリルアミドゲルで分離した。
【0073】
RNA干渉
キットVおよびプログラムT-20を用いたAmaxa Nucleofectorを適用することにより、SEMK2細胞でALL-1/AF4およびDroshaのmRNAを標的するsiRNA 2重鎖をトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を採取し、第2のトランスフェクションに供し、その後、培養液中でさらに48時間成長させた。SEMJ siRNAおよびMVJ siRNAの標的配列は、それぞれ5'-AAGAAAAGCAGACCUACUCCA-3'[配列番号:xx]、および5'-AAGAAAAGGAAAUGACCCATT-3'[配列番号:xx]であった。
【0074】
前者のsiRNAがSEMK2細胞で産生されるALL-1/AF4 mRNAを標的する一方で、後者はMV4;11細胞で産生されるALL-1/AF4 mRNAを標的する。両方のsiRNA中の最初の8ヌクレオチドが、融合点のすぐ5'のALL-1 mRNA配列に対応しており、同一であるのに対し、その次の13ヌクレオチドは、融合体間で様々に異なり、それ故にsiRNA間で様々に異なるAF4配列に対応するということに留意されたい。したがって、MVJ siRNAはSEMK2細胞では不活性であると考えられる。Drosha siRNAの配列は参考文献10からのものである。siRNAはDharmaconにより合成された。
【0075】
クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイ
UpstateからのChIPアッセイキットを若干修正して用いてChIPアッセイを行なった。簡潔に述べると、5 x 107個のホルムアルデヒド処置したSEMK2細胞を、50mM Hepes、pH7.4/140mM NaCl/1%Triton X/0.1%デオキシコール酸-Na/1 x 完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)を含む1mL緩衝剤中で溶解させた。調製物の50μLアリコートを処置して、架橋を元に戻し、プロテイナーゼKでタンパク質を除去し、フェノールクロロフォルムで抽出し、DNA濃度を決定した。25μg DNAを含むクロマチン調製物のアリコートをChIP毎に用いた。DNアーゼを含まないRNアーゼ(Roche)を逆架橋の間ずっと200μg/mLの濃度で添加した。プロテイナーゼKでタンパク質を除去した後、製造元の取扱説明書に従ってPCR精製キット(QIAGEN)を用いることにより、50μL TE中にDNAを精製した。1μLアリコートをPCRに用いた。プライマー配列を表2に掲載する。
【0076】
【表2】

【0077】
診断、薬物発見、および治療法
本発明のオリゴマー化合物および組成物をさらに、研究、薬物発見、キット、および治療法に利用することができる。
【0078】
研究での使用のために、本発明のオリゴマー化合物を用いて、それらが標的される核酸分子の正常な機能を干渉する。本発明の1つもしくは複数のオリゴマー化合物または組成物で処置した細胞または組織内での発現パターンを、該化合物または組成物で処置していない対照の細胞または組織と比較し、例えば、検討された遺伝子の疾患関連性、シグナル伝達経路、細胞局在、発現レベル、サイズ、構造、または機能に関連するように、生じたパターンを核酸発現の示差レベルについて解析する。これらの解析を、刺激された細胞かまたは刺激されていない細胞に対して、発現パターンに影響を及ぼすその他の化合物の存在下かまたは非存在下で行なうことができる。
【0079】
薬物発見での使用のために、本発明のオリゴマー化合物を用いて、小さい非コードRNA、遺伝子、またはタンパク質と疾患の状態、表現型、または様態の間に存在する関係性を解明する。これらの方法には、試料、組織、細胞、または生物を本発明のオリゴマー化合物および組成物と接触させる工程、標的のレベルおよび/またはmRNAもしくはそれによってコードされるタンパク質を含む下流の遺伝子産物のレベル、処置後のある時点での関連のある表現型評価項目または化学的評価項目を測定する工程、ならびに任意で測定値を未処置の試料、陽性対照、または陰性対照と比較する工程を含む、標的を検出または調整する工程が含まれる。これらの方法をその他の実験と並行してかまたは組み合わせて行ない、標的バリデーションの過程用に未知遺伝子の機能を決定するか、または疾患の処置もしくは予防用の標的としての特定の遺伝子産物の妥当性を決定することもできる。
【0080】
キットおよび診断での使用のために、本発明のオリゴマー化合物および組成物を、単独かまたはその他の化合物もしくは治療法と組み合わせてかのいずれかで、示差解析および/またはコンビナトリアル解析におけるツールとして用いて、細胞内および組織内で発現した非コード核酸もしくはコード核酸の一部または完全な相補体の発現パターンを解明することができる。
【0081】
化合物および組成物の特異性および感受性は、当業者によって治療的使用のために役立てられることもできる。アンチセンスオリゴマー化合物は、ヒトを含む、動物における疾患状態の処置において治療的部分に利用されている。リボザイムを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド薬物は、安全にかつ効果的にヒトに投与されており、多くの臨床試験が現在進行中である。このように、オリゴマー化合物は、細胞、組織、および動物、とりわけヒトの処置のための処置計画で有用であるように設定することができる有用な治療モダリティーであり得るということが確証されている。
【0082】
治療法のために、選択された小さい非コード標的核酸の発現を調整することによって処置するか、改善するか、または好転させることができる様態を示す疾患または障害を有することが疑われる、動物、好ましくはヒトを、本化合物および組成物を投与することにより処置する。例えば、1つの非限定的な実施態様において、本方法は、有効量の調整因子もしくは模倣体を動物に投与するか、または該調整因子もしくは模倣体と動物を接触させて、疾患または障害と関連する様態を処置するか、改善するか、または好転させる工程を含む。化合物は、小さい非コードRNA標的の活性もしくは機能を効果的に調整するか、または小さい非コードRNA標的の発現もしくはレベルを阻害する。ある種の実施態様において、小さい非コードRNA標的は、ポリシストロン性のプリmiRNA、モノシストロン性のプリmiRNA、プレmiRNA、またはmiRNAである。追加の実施態様において、小さい非コードRNA標的は、miRNAファミリーの単一のメンバーである。あるいは、miRNAファミリーの2つ以上のメンバーを調整のために選択する。さらなる実施態様において、小さい非コードRNA標的は、選択的にプロセッシングされたmiRNAである。1つの実施態様において、動物における標的のレベル、活性、または発現を約10%阻害する。別の実施態様において、動物における標的のレベル、活性、または発現を約30%阻害する。さらに、動物における標的のレベル、活性、または発現を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または95%以上阻害する。
【0083】
別の実施態様において、本発明は、miRNAおよびmiRNAファミリーと関連する任意のおよび全ての様態の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0084】
標的レベルの低下を、血清、脂肪組織、肝臓、または小さい非コードRNAもしくはその前駆体を含むことが知られている任意のその他の動物の体液、組織、もしくは器官で測定してもよい。さらに、解析されている体液、組織、または器官内に含まれる細胞は、小さい非コードRNA標的それ自体によって調節または調整される下流の標的の核酸分子を含む。
【0085】
薬学的組成物を製剤化するための組成物および方法
別の態様において、本発明のオリゴマー化合物、小さい非コードRNA、および組成物を含む薬学的組成物および製剤を本明細書において提供する。薬学的組成物の製剤化のための組成物および方法は、投与の経路、疾患の程度、または投与されるべき用量を含むが、これらに限定されない、多くの基準に依存する。そのような考慮すべき事柄は、当業者により十分に理解されている。
【0086】
本発明のオリゴマー化合物および組成物を、好適な薬学的に許容される希釈剤または担体に有効量の化合物または組成物を添加することによって薬学的組成物に利用することができる。本発明のオリゴマー化合物および方法の使用は、予防的に有用でもあり得る。
【0087】
オリゴマー化合物および組成物は、任意の薬学的に許容される塩、エステル、もしくはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む、動物に投与された時に、生物学的に活性のある代謝物もしくはその残留物を(直接的または間接的に)提供することができる任意のその他の化合物を包含する。したがって、例えば、本開示は、本発明のオリゴマー化合物のプロドラッグおよび薬学的に許容される塩、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、ならびにその他の生物学的等価物にも及ぶ。
【0088】
「プロドラッグ」という用語は、内在性の酵素またはその他の化学物質および/もしくは条件の作用によって身体またはその細胞の中で活性形態(すなわち、薬物)に変換される不活性形態で調製されている治療薬剤を示す。
【0089】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物および組成物の生理学的にかつ薬学的に許容される塩、すなわち、親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、かつ望まない毒物学的効果をそれに付与しない塩を指す。好適な例として、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ある実施態様において、オリゴマー化合物を、経口経路の投与によって対象に投与することができる。対象は、マウス、ラット、イヌ、モルモット、または非ヒト霊長類などの、哺乳動物であってもよい。ある実施態様において、対象は、ヒトまたはヒト患者であってもよい。ある種の実施態様において、対象は、本明細書においてより詳細に考察したような1つもしくは複数のプリmiRNAのレベルまたは発現の調整を必要としていてもよい。ある実施態様において、対象への投与のための組成物は、本明細書において記載したような、1つまたは複数の修飾を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むと考えられる。
【0091】
細胞培養およびオリゴヌクレオチド処置
標的核酸が測定可能なレベルで存在するならば、標的核酸の発現または機能に対するオリゴマー化合物の効果を様々な細胞型のいずれにおいても検査することができる。これは、例えば、ノーザンブロット解析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、またはリアルタイムPCRなどの、当技術分野では日常的な方法で容易に決定することができる。そのような解析に用いられる細胞型は、商業的供給業者(例えば、American Type Culture Collection, Manassus, Va.; Zen-Bio社, Research Triangle Park, N. C; Clonetics社, Walkers ville, Md.)から入手可能であり、細胞は、供給業者の取扱説明書に従って市販の試薬(例えば、Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, Calif.)を用いて培養する。
【0092】
当技術分野において利用可能な任意の遺伝子治療用の方法を本発明に従って用いることができる。遺伝子治療の方法の全般的な概説については、Goldspiel et al., 1993, Clinical Pharmacy 12:488 505;Wu and Wu, 1991, Biotherapy 3:87 95;Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573 596;Mulligan, 1993, Science 260:926 932;およびMorgan and Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191 217; May, 1993, TIBTECH 11(5):155 215を参照されたい。組換えDNA技術の技術分野において一般に知られている使用することができる方法は、Ausubel et al.(編), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY;およびKriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYに記載されている。
【0093】
本発明は様々な好ましい実施態様に関して記載されているが、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、等価物がその要素の代わりになってもよいということが当業者によって理解されるべきである。さらに、その本質的な範囲を逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるために、多くの修正がなされてもよい。それ故に、本発明は、本発明を実行するために企図された本明細書において開示された特定の実施態様に限定されるべきではないが、本発明は特許請求の範囲内に収まる全ての実施態様を含むということが意図される。
【0094】
参考文献
参照により明示的に組み入れられていない本明細書において引用された全ての刊行物の関連教示は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明はその好ましい実施態様に関して特に示され、記載されているが、付随する特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な形態および詳細の変更がその中でなされ得るということが当業者によって理解されると考えられる。本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であるという容認であると解釈されるものではない。
【0095】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
表1中の少なくとも1つのmiRが由来するプリmiRNA転写物の内部のDrosha認識領域に標的されるオリゴマー化合物。
【請求項2】
miR-191の中の少なくとも1つのmiRが由来するプリmiRNA転写物の内部のDrosha認識領域に標的されるオリゴマー化合物。
【請求項3】
オリゴマー化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項4】
Drosha認識領域がmiR-191のDrosha認識領域であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項5】
オリゴマー化合物がプリmiR-191のレベルを変化させることができることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項6】
前記請求項のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む細胞内のプリmiR-191レベルを調整する方法。
【請求項7】
調整によってプリmiR-191レベルの変化が結果としてもたらされることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プリmiRNA内部のDrosha認識領域に隣接するかまたは該領域と重複する領域を標的するオリゴマー化合物。
【請求項9】
Drosha切断部位に隣接するかまたは該部位と重複する領域を標的するオリゴマー化合物。
【請求項10】
ポリシストロン性のプリmiRNA転写物が、表1に掲載されたmiRNAが由来するポリシストロン性のプリmiRNA転写物であり得ることを特徴とする、ポリシストロン性のプリmiRNA転写物の内部のDrosha認識領域に標的される長さ約15〜約30ヌクレオ塩基のオリゴマー化合物を含む、プリmiRNAのレベルを増大させるオリゴマー化合物。
【請求項11】
Drosha認識領域が表1に掲載されたmiRNAのうちの1つまたは複数であることができることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得、かつ1つまたは複数の化学修飾を含み得ることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
細胞、組織、または動物を本発明の化合物または組成物の1つまたは複数と接触させる工程を含む、細胞、組織、または動物における小さい非コードRNA、特にプリmiRNAのレベルを調整する方法。
【請求項14】
ポリシストロン性のプリmiR転写物を選択する工程、選択されたポリシストロン性のプリmiR転写物に由来する単一のmiRNAのDrosha認識領域を選択する工程、選択されたDrosha認識領域に標的されるかまたは該認識領域と十分に相補的である長さ15〜30ヌクレオチドのオリゴマー化合物を選択する工程、およびオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、細胞内のポリシストロン性のプリmiR転写物に由来するmiRのレベルを調整する方法。
【請求項15】
選択されたポリシストロン性のプリmiRNAに由来する単一の成熟miRNAのレベルを調整する工程か、またはその代わりに、選択されたポリシストロン性のプリmiRNAに由来する2つ以上の成熟miRNAのレベルを調整する工程を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
そのようなプリmiRNA上のDrosha認識領域に標的されるかまたは該領域と十分に相補的であるオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、表1に掲載されたプリmiRNA由来のプリmiRNAのレベルを調整する方法。
【請求項17】
プリmiR転写物に由来するmiRファミリーのメンバーを選択する工程、同定されたオリゴマー化合物が、miRファミリーのその他のメンバーが由来するプリmiR転写物のDrosha認識領域との十分な相補性を欠くことを特徴とする、選択されたプリmiR転写物のDrosha認識領域に標的されるかまたは該領域と十分に相補的である1つまたは複数のオリゴマー化合物を同定する工程、およびそのような同定されたオリゴマー化合物と細胞を接触させる工程を含む、細胞内のmiRファミリーの単一のメンバーを選択的に調整するための方法。
【請求項18】
少なくとも1つの鎖が修飾を含むことを特徴とし、かつオリゴマー化合物鎖のうちの1つの部分が小さい非コードRNA標的核酸にハイブリダイズすることができることを特徴とする、第1の鎖および第2の鎖を含むオリゴマー化合物。
【請求項19】
少なくとも1つの領域が修飾を含むことを特徴とし、かつオリゴマー化合物の一部が小さい非コードRNA標的核酸にハイブリダイズすることができることを特徴とする、第1の領域および第2の領域および任意で第3の領域を含むオリゴマー化合物。
【請求項20】
プリmiRNAを選択し、プリmiRNA内部の成熟miRNA配列に標的されかつ該配列と重複するオリゴマー化合物を含むオリゴマー化合物を、それらがプリmiRNA配列の内部の様々な標的セグメントに標的されるかまたは該セグメントと十分に相補的であるように設計することを特徴とする、プリmiRNAレベルを調整することができるオリゴマー化合物を同定するための方法。
【請求項21】
オリゴマー化合物と接触していない細胞と比較した場合のオリゴマー化合物と接触した細胞のプリmiRNAのレベルの増大によって、オリゴマー化合物がプリmiRNAレベルを調整することが示されることを特徴とする、前記請求項記載の方法。
【請求項22】
プリmiRNAを選択し、それらがプリmiRNAレベルを調整する能力について小分子を評価することを特徴とし、かつ小分子が、成熟miRNA配列を含むかもしくは該配列と重複するプリmiRの領域、またはDrosha認識領域に結合し得ることを特徴とする、プリmiRNAレベルを調整することができる小分子を同定するための方法。
【請求項23】
小分子と接触していない細胞と比較した場合の、小分子と接触した細胞のプリmiRNAのレベルの増大によって、小分子がプリmiRNAレベルを調整することが示されることを特徴とする、前記請求項記載の方法。
【請求項24】
対象が、急性リンパ性白血病(ALL)を有するかどうか、またはALLを発症する危険性があるかどうかを診断する方法であって、
対象由来の被検試料における表1のリストから選択された1つまたは複数のmiR遺伝子産物のレベルを測定する工程、を含み
対照試料中の対応するmiR遺伝子産物のレベルと比較した、被検試料中のmiR遺伝子産物のレベルの変化によって、対象がALLを有するかまたはALLを発症する危険性があるかのいずれかであることが示されることを特徴とする、方法。
方法。
【請求項25】
被検試料中の少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルが、対照試料中の対応するmiR遺伝子産物のレベルよりも小さいことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
被検試料中の少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルが、対照試料中の対応するmiR遺伝子産物のレベルよりも大きいことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ALL癌を有する対象の予後を決定する方法であって、
対象由来の被検試料における表1に掲載された1つまたは複数のmiR遺伝子産物のレベルを測定する工程、を含み
miR遺伝子産物がALLにおける予後不良と関連することを特徴とし、かつ
対照試料中の対応するmiR遺伝子産物のレベルと比較した、被検試料中のmiR遺伝子産物のレベルの変化が、予後不良を示すことを特徴とする、方法。
【請求項28】
対象が、ALLを有するか、またはALLを発症する危険性があるかを診断する方法であって、
(1)対象から得られた被検試料由来のRNAを逆転写して、1組の標的オリゴデオキシヌクレオチドを提供する工程と、
(2)標的オリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的なプローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイとハイブリダイズさせて、被検試料についてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する工程と、
(3)被検試料のハイブリダイゼーションプロファイルを対照試料から作成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較する工程と、
を含み
少なくとも1つのmiRNAのシグナルの変化によって、対象がALLを有するか、またはALLを発症する危険性があるかのいずれかであることが示されることを特徴とする、方法。
【請求項29】
対照試料から発生したシグナルと比較した、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが、下方調節されていることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
対照試料から発生したシグナルと比較した、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが、上方調節されていることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
対象が、対象における予後不良を伴うALLを有するか、または該ALLを発症する危険性があるかを診断する方法であって、
(1)対象から得られた被検試料由来のRNAを逆転写して、1組の標的オリゴデオキシヌクレオチドを提供する工程と、
(2)標的オリゴデオキシヌクレオチドをmiRNA特異的なプローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイとハイブリダイズさせて、被検試料についてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する工程と、
(3)被検試料のハイブリダイゼーションプロファイルを対照試料から作成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較する工程と、
を含み
シグナルの変化によって、対象が予後不良を伴うALLを有するか、または該ALLを発症する危険性があるかのいずれかであることが示されることを特徴とする、方法。
【請求項32】
少なくとも1つのmiR遺伝子産物が、対照細胞と比較して対象の癌細胞で下方調節されているかまたは上方調節されているALLを有する対象におけるALLを処置する方法であって、
(1)少なくとも1つのmiR遺伝子産物が癌細胞で下方調節されている場合、対象における癌細胞の増殖が阻害されるように、有効量の少なくとも1つの単離されたmiR遺伝子産物か、もしくはその単離された変異体もしくは生物学的に活性のある断片を対象に投与する工程、または
(2)少なくとも1つのmiR遺伝子産物が癌細胞で上方調節されている場合、対象における癌細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つのmiR遺伝子産物の発現を阻害するための有効量の少なくとも1つの化合物を対象に投与する工程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2010−529857(P2010−529857A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512377(P2010−512377)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/066870
【国際公開番号】WO2008/157319
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(593172050)ジ・オハイオ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション (33)
【氏名又は名称原語表記】THE OHIO STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】