DTMF信号検出装置、方法及びプログラム
【課題】あらかじめ指定した種類の信号(特許文献1では「#」)の受信前だけでなく、DTMF信号の受信開始後も負荷を軽減できるDTMF信号検出装置を提供することである。
【解決手段】本発明のDTMF信号検出装置100は、音声信号に含まれるDTMFの周波数強度を分析する周波数分析部2と、周波数分析部2の分析結果をもとに受信したDTMF信号の種類を判定し、判定結果に応じて、周波数分析部2に対して分析を行う周波数を指示するDTMF信号判定部3を備える。
【解決手段】本発明のDTMF信号検出装置100は、音声信号に含まれるDTMFの周波数強度を分析する周波数分析部2と、周波数分析部2の分析結果をもとに受信したDTMF信号の種類を判定し、判定結果に応じて、周波数分析部2に対して分析を行う周波数を指示するDTMF信号判定部3を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号に含まれるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号を検出するDTMF信号検出装置等に関し、特に、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できるDTMF信号検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
DTMF信号は、電話機のプッシュボタン押下によって生成される音声信号であり、コールセンターやテレフォンバンキングなどの音声サービスにおける、ID番号の入力や処理内容の指示などに使用されている。DTMF信号の仕様は、ITU−TQ.24などで規定されており、低群周波数である697Hz、770Hz、852Hz、941Hzから1つの周波数を選択し、高群周波数である1209Hz、1336Hz、1447Hz、1644Hzから1つの周波数を選択し、それらの周波数の正弦波を合成することにより、16種類の信号を表すものである。
【0003】
図13は、低群周波数と高群周波数の組み合わせに対応するDTMF信号を表した図である。例えば、697Hzと1209Hzとの正弦波を合成したものは「1」を表し、941Hzと1477Hzとを合成したものは「#」を表す。
【0004】
また、ITU−T Q.24では、DTMF信号の最低継続時間などが規定されている。NTT方式の場合は次のようになっている。
(1)DTMF信号の最低継続時間は40ms(DTMF信号は40ms以上継続して送信する必要がある)
(2)最大中断時間は10ms(10ms以下の中断があっても同一の信号として扱う必要がある)
(3)DTMF信号間の最低休止時間は30ms(2つのDTMF信号間には最低30msの休止を挟む必要がある)
(4)信号速度は120ms/digit(1つの信号の送信時間+休止時間を120ms以上にする必要がある)
【0005】
コールセンターやテレフォンバンキングなどの音声サービス提供者は、受信した音声信号に含まれるDTMF信号を検出し、検出したDTMF信号の種類に応じて処理の切り換えなどを行う。
【0006】
DTMF信号検出方式の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1のDTMF受信装置は、留守番電話機に搭載することを想定しており、リモートコントロールのためにあらかじめ既定されたコマンドコードを識別できればよいようになっている。このコマンドコードが「#」から始まる3桁のDTMF信号列であるとすると、「#」以外から始まるDTMF信号はコマンドではないので検出する必要がない。そこで、「#」を検出するまでは、「#」に対応する941Hzと1477Hzの周波数強度分析を行い、「#」検出後はすべての周波数の強度分析を行う。
【0007】
また、特許文献2には、Goertzelアルゴリズムを用いたDFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)を行って周波数の信号強度を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−303653号公報(DTMF受信装置)
【特許文献2】特開2000−324519号公報(周波数偏差検出装置および周波数偏差検出方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のDTMF受信装置では、「#」検出後はDTMF信号検出の負荷を軽減できない、という問題があった。その理由は、「#」検出後は常に8種類すべて(特許文献1では通常使用されないA、B、C、Dを検出するための1633Hzを除いた7種類と記載している)の周波数の強度を分析するためである。
【0010】
そこで、本発明の目的は、あらかじめ指定した種類の信号(特許文献1では「#」)の受信前だけでなく、DTMF信号の受信開始後も負荷を軽減できるDTMF信号検出装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るDTMF信号検出装置は、
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るDTMF信号検出方法は、
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るDTMF信号検出プログラムは、
コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果は、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できることである。その理由は、DTMF信号の検出状況に応じて、分析する周波数の種類を削減できるためである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1[1]は実施形態1のDTMF信号検出装置を示すブロック図であり、図1[2]は図1[1]における周波数分析部を示すブロック図であり、図1[3]は図1[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。
【図2】実施形態1のDTMF信号検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施形態1における周波数強度分析結果を示すグラフであり、図3[1]はDTMF信号と判定する場合であり、図3[2]は非DTMF信号と判定する場合である。
【図4】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その1)である。
【図5】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その2)である。
【図6】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その3)である。
【図7】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その4)である。
【図8】図8[1]は実施形態2の音声自動応答システムを示すブロック図であり、図8[2]は図8[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。
【図9】実施形態2におけるDTMF信号検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その1)である。
【図11】実施形態2における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その2)である。
【図12】実施形態2における分析周波数の決定方法を説明するための図表である
【図13】周波数とDTMF信号との対応を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0017】
図1に示す実施形態1のDTMF信号検出装置100は、音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するものであり、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析する周波数分析部2と、周波数分析部2での分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように周波数分析部2に指示するDTMF信号判定部3と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
DTMF信号検出装置100によれば、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数について分析するだけでDTMF信号であるか否かを判定できるので、すべての周波数について分析する場合に比べて、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できる。
【0019】
DTMF信号判定部3は、既に判定した直近分析区間がDTMF信号である場合と非DTMF信号である場合とで、一部の周波数を異ならせる、ようにしてもよい。一般に、直近の分析区間がDTMF信号であれば次の分析区間も同一のDTMF信号である可能性が高く、同様に、直近の分析区間が非DTMF信号であれば次の分析区間も非DTMF信号である可能性が高い。この傾向に着目して、直近の分析区間がDTMF信号である場合と非DTMF信号である場合とで分析対象となる周波数を異ならせることにより、効率よくDTMF信号を検出できる。
【0020】
例えば、DTMF信号判定部3は、直近分析区間がDTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を一部の周波数に決定する、としてもよい。このとき、1種類ずつの周波数について周波数分析部2で分析された結果、どちらの周波数もしきい値以上である場合に分析区間がDTMF信号であると判定し、どちらの周波数もしきい値未満である場合に「分析区間が非DTMF信号である(後述)」と判定する、としてもよい。また、どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する低群又は高群の残りの3種類の周波数を一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定してもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0021】
ここで、DTMF信号判定部3は、どちらの周波数もしきい値未満である場合に、前述の「分析区間が非DTMF信号である」と判定することに代えて、次のように動作してもよい。低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)あれば分析区間がDTMF信号であると判定する、としてもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0022】
また、DTMF信号判定部3は、直近分析区間が非DTMF信号である場合に、DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を一部の周波数に決定する、としてもよい。このとき、一方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、分析区間が非DTMF信号であると判定する、としてもよい。又は、一方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)である場合に、低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を一部の周波数に決定し、それ以外の場合に分析区間が非DTMF信号であると判定し、他方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)である場合に分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に分析区間が非DTMF信号であると判定する、としてもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0023】
実施形態1のDTMF信号検出方法は、実施形態1のDTMF信号検出装置100の動作を方法の発明として捉えたものである。すなわち、実施形態1のDTMF信号検出方法は、音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するものであって、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析し、この分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析区間について分析することを繰り返す、ことを特徴とする。
【0024】
実施形態1のDTMF信号検出プログラムは、実施形態1のDTMF信号検出装置100の各手段をコンピュータに機能させるためのものである。すなわち、実施形態1のDTMF信号検出プログラムは、コンピュータを備えるとともに音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置100に用いられるものであって、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析する周波数分析手段(周波数分析部2)、及び、周波数分析手段(周波数分析部2)での分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように周波数分析手段(周波数分析部2)に指示するDTMF信号判定手段(DTMF信号判定部3)を、コンピュータに機能させるためのものである。本DTMF信号検出プログラムは、非一時的な記録媒体(non-transitory storage medium)、例えば光ディスク、半導体メモリなどに記録されてもよい。その場合、本DTMF信号検出プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0025】
実施形態1のDTMF信号検出方法及びプログラムの他の構成は、実施形態1のDTMF信号検出装置100の前述の構成に対応させてもよい。実施形態1のDTMF信号検出方法及びプログラムによれば、実施形態1のDTMF信号検出装置100と同様の作用及び効果を奏する。
【0026】
図8に示す実施形態2のDTMF信号検出装置100’において、DTMF信号判定部3’は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報fを受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に一部の周波数を決定する。実施形態2のDTMF信号検出装置100’の他の構成は、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様である。実施形態2のDTMF信号検出装置100’によれば、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様の作用及び効果を奏する。実施形態2のDTMF信号検出装置100’についても、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様に方法及びプログラムの構成を採り得る。
【0027】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
[実施形態1]
図1[1]は実施形態1のDTMF信号検出装置を示すブロック図であり、図1[2]は図1[1]における周波数分析部を示すブロック図であり、図1[3]は図1[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。以下、これらの図面に基づき説明する。
【0029】
図1[1]を参照すると、本実施形態1のDTMF信号検出装置100は、音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3を備える。音声信号受信部1は、通信先からの音声信号aを受信し、音声信号aに対して音声コーデックのデコードなどを行うことによりPCM(Pulse Code Modulation)などのサンプリングデータbに変換する。このとき、音声信号aはDTMF信号検出装置100の記憶領域に保存されていてもよい。また、音声信号aがエンコードされていないPCMデータの場合には、変換処理を行わない。周波数分析部2は、音声信号受信部1から受け取ったサンプリングデータbに対して、DTMF信号で使用される周波数の強度を分析する。DTMF信号判定部3は、周波数分析部2による分析結果cをもとに、受信したDTMF信号の種類を判定し、その判定結果dに応じて、周波数分析部2に対して分析を行う周波数を指示する(制御信号e)。DTMF信号検出装置100が複数のセッションのDTMF信号検出を行う場合、音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3はセッション数と同数存在することになる。
【0030】
図1[2]は、周波数分析部2の構成を表すブロック図である。周波数分析部2は、サンプリングデータ受信部21、周波数強度分析部22、分析結果送信部23及び制御通信部24を備える。サンプリングデータ受信部21は、音声信号受信部1からサンプリングデータbを受信する。周波数強度分析部22は、受信したサンプリングデータbから一定期間のデータ(以下「分析区間」という。)を取り出し、DTMF信号で使用される周波数の強度を分析する。分析結果送信部23は、周波数強度の分析結果cをDTMF信号判定部3へ送信する。制御通信部24は、DTMF信号判定部3からの指示(制御信号e)を受信し、周波数強度分析部22に強度分析を行う周波数の種類を指示する。
【0031】
周波数強度分析部22は、制御通信部24から指示された周波数についてのみ強度分析を行い、他の周波数については強度分析を行わない。各周波数の強度は、一定時間のサンプリングデータを離散フーリエ変換することで得られ、特許文献2にも記載されているGoertzelアルゴリズムが用いられるのが一般的である。Goertzelアルゴリズムは、各周波数の強度を独立に求めるアルゴリズムであるため、強度分析を行う周波数の数を削減することで、負荷の軽減が可能である。この場合、Goertzelアルゴリズムは周波数強度分析方法の一例であり、他の方法を用いてもよい。
【0032】
また、通常、DTMF信号には前述した8種類の周波数が使用されるが、変更されることもあり得る。その場合、周波数強度分析部22で強度を分析する周波数を変更するだけで、対応可能である。
【0033】
図1[3]は、DTMF信号判定部3の構成を表すブロック図である。DTMF信号判定部3は、分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34を備える。分析結果受信部31は、周波数分析部2から各周波数の強度(分析結果c)を受信する。判定制御部32は、分析結果cに基づきDTMF信号の種類を判定し、その結果に応じて周波数分析部2で強度分析を行う周波数の種類を決定する。判定結果出力部33は、判定制御部32で判定したDTMF信号の種類を出力する(判定結果d)。制御通信部34は、強度分析する周波数の種類を周波数分析部2に指示する(制御信号e)。
【0034】
判定結果dの出力は、分析区間ごとに行われる。前述したように、DTMF信号の最低継続時間は40ms、最低休止時間は30msと定められている。これらの条件を満たすか否かの判定は、判定結果出力部33の出力先で行う。
【0035】
図2は、DTMF信号検出装置100の動作を示すフローチャートである。図3は、DTMF信号検出装置100における周波数強度分析結果を示すグラフである。以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1の全体の動作について詳細に説明する。
【0036】
まず、通話セッションが開始されると、DTMF信号検出装置100の初期化を行う(ステップS01)。初期化処理では、新たに開始されたセッションに対する音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3を用意する。DTMF信号判定部3は、周波数分析部2に対して、強度分析を行う周波数を指示する(制御信号e)。初期化完了後、音声信号受信部1は、通信先端末からの音声信号aの受信を開始し、受信した音声信号aをPCMなどのサンプリングデータbに変換して周波数分析部2へ送信する(ステップS02)。
【0037】
周波数分析部2においてサンプリングデータ受信部21は、サンプリングデータbを受信して周波数強度分析部22へ送信する。周波数強度分析部22は、サンプリングデータbを分析区間ごとに分割し、周波数強度分析を行う(ステップS03)。このとき、周波数強度分析部22は、DTMF信号判定部3から指示された周波数のみの強度分析を行う。
【0038】
周波数強度分析部22で分析した各周波数の強度(分析結果c)は、分析結果送信部23からDTMF信号判定部3へ送信される。DTMF信号判定部3において分析結果受信部31は各周波数の強度を受信し、判定制御部32はDTMF信号の種類を判定する(ステップS04)。
【0039】
ここで、判定制御部32における判定方法を、図3を参照して説明する。図3は、周波数分析部2で分析した各周波数の強度を示す。受信した音声信号にDTMF信号が含まれる場合、図3[1]に示すように低群及び高群のそれぞれ1つずつの周波数の強度が極端に大きくなる。一方で、DTMF信号が含まれない場合には、図3[2]に示すように各周波数の強度は小さくなる。この性質を利用し、周波数の強度にしきい値を設けて、低群及び高群それぞれ1つずつの周波数強度がしきい値以上となった場合のみ、DTMF信号を受信したと判定する。
【0040】
8種類すべての周波数強度を分析すれば、DTMF信号か否かの判定が可能である。しかし、本実施形態1では、分析を行わない周波数があるため、判定制御部32における判定結果は、
・非DTMF信号
・DTMF信号(信号の種類も含まれる)
に加えて
・判定不能
となる場合もある。
【0041】
「判定不能」は、DTMF信号の可能性はあるが断定できない状態である。これを断定するためには、追加で周波数強度の分析を行う必要がある(ステップS05)。そこで、判定不能の場合、判定制御部32は追加で強度を分析する周波数を決定して周波数分析部2に指示し(ステップS08)、周波数分析部2は強度分析を行う(ステップS03)。
【0042】
ステップS03〜S05、S08は、判定結果出力部33が非DTMF信号又はDTMF信号と判定できるまで繰り返す。その後、判定結果出力部33は判定結果dを出力する(ステップS06)。
【0043】
続いて判定制御部32は、DTMF信号検出処理を継続するか否かを判定し(ステップS07)、継続する場合には強度分析を行う周波数を決定して制御通信部34から周波数分析部2へ指示する(ステップS09)。
【0044】
次に、本実施形態1の効果について説明する。本実施形態1の効果は、強度分析を行う周波数の数を削減することにより、DTMF信号検出の負荷を軽減できることである。
【0045】
[実施形態2]
図8[1]は実施形態2の音声自動応答システムを示すブロック図であり、図8[2]は図8[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。以下、本実施形態2について、実施形態1と異なる点を中心に、図8を参照して詳細に説明する。
【0046】
図8[1]は、本実施形態2の音声自動応答システム300の構成を表すブロック図である。音声自動応答システム300は、DTMF信号検出装置100’と、通信先の端末に対して音声ガイダンスを送信するガイダンス送信装置200とを備える。
【0047】
図8[2]は、DTMF信号検出装置100’におけるDTMF信号判定部3’の構成を表すブロック図である。DTMF信号判定部3’は、分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34を実施形態1と同様に備え、更にガイダンス送信装置通信部35を備える。分析結果受信部31は、周波数分析部2から各周波数の強度(分析結果c)を受信する。判定制御部32は、DTMF信号の種類を判定し、その結果に応じて、周波数分析部2で強度分析を行う周波数の種類を決定する。判定結果出力部33は、判定制御部32で判定したDTMF信号の種類を出力する(判定結果d)。制御通信部34は、強度分析する周波数の種類を周波数分析部2に指示する(制御信号e)。
【0048】
これに加えて、ガイダンス送信装置通信部35は、ガイダンス送信装置200からの制御情報fを受信する。この制御情報fは、ガイダンス送信装置200が送信するガイダンスメッセージの応答として、通信先の端末が送信する可能性のあるDTMF信号の種類を含んでいる。本実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0049】
図9は、DTMF信号検出装置100’の動作を示すフローチャートである。次に、以下、本実施形態2の全体の動作について、実施形態1と異なる点を中心に、図8及び図9を参照して詳細に説明する。
【0050】
本実施形態2では、初期化(ステップS01)、分析周波数制御(ステップS08,S09)の前に、DTMF信号判定部3’がガイダンス送信装置200から制御情報fを受信する(ステップS10,S11,S12)。DTMF信号判定部3’は、初期化及び分析周波数制御の各ステップで制御情報fを参照し、ガイダンス送信装置200から送信された「音声ガイダンスの応答として端末から送信される可能性のあるDTMF信号」のみを検出するように、強度分析する周波数を選択する。本実施形態2のその他の動作は、実施形態1と同様である。
【0051】
次に、本実施形態2の効果について説明する。本実施形態2によれば、DTMF信号判定部3’が、ガイダンス送信装置200からの制御情報fを受信し、この制御情報fを使って周波数強度分析を行う周波数を削減することにより、更なる負荷軽減が可能である。
【0052】
[実施例1]
次に、実施形態1を更に具体化した実施例1について、その構成を図1に基づき説明する。本実施例1におけるDTMF信号検出装置100はサーバ装置であり、音声信号受信部1はサーバ装置のネットワークインタフェース(LANポート)とCPUで実行するプログラムとの組み合わせで実現される。また、周波数分析部2のサンプリングデータ受信部21、周波数強度分析部22、分析結果送信部23及び制御通信部24、並びに、DTMF信号判定部3の分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34は、いずれもサーバ装置のCPUで実行するプログラムで実現される。
【0053】
周波数分析部2の周波数強度分析部22は、周波数分析を行うためのハードウェアで構成してもよい。その場合、周波数分析を行う拡張ボードをサーバ装置に搭載し、サンプリングデータ受信部21、分析結果送信部23及び制御通信部24は、サーバ装置とボード間のバスとCPUで実行するプログラムの組み合わせで実現される。また、周波数強度分析部22は、拡張ボード上に搭載された周波数強度分析用のDSP(Digital Signal Processor)で実現される。
【0054】
次に、DTMF信号判定部3の判定制御部32における分析周波数の決定方法を、図4乃至図7を中心に説明する。分析周波数の決定方法は、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合と「DTMF信号」と判定した場合とで異なる。
【0055】
図4は、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合の分析周波数の決定方法を示す。まず、高群の4周波数の強度分析を行い、低群の4周波数については強度分析を行わない(ステップS701)。続いて、高群4周波数の強度としきい値とを比較する(ステップS702)。強度がしきい値以上となる周波数がない場合、又は、2種類以上の場合にはDTMF信号の条件を満たさないため、「非DTMF信号」と判定する(ステップS706)。
【0056】
一方で、しきい値以上となる周波数が1種類の場合にはDTMF信号である可能性がある。そこで、低群の4周波数についても周波数の強度分析を行う(ステップS703)。その結果、しきい値以上となる周波数が1種類ならば、DTMF信号と判定する(ステップS705)。しきい値以上となる周波数がない場合又は2種類以上の場合には、DTMF信号でないと判定する(ステップS706)。
【0057】
ここで、図4に示した分析周波数の決定方法の変形例として、低群及び高群のそれぞれで強度がしきい値以上となる周波数が複数あった場合に、強度が最大の周波数をもとにDTMF信号判定を行うようにしてもよい。このとき、ステップS702,S704の判定条件が「しきい値以上の周波数が1種類以上」となる。
【0058】
図5は、直前の分析区間で「DTMF信号」と判定した場合の分析周波数の決定方法である。まず、直前の分析区間で受信したDTMF信号で使用されている、低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数強度分析を行う(ステップS711)。例えばDTMF信号「3」の場合は、図13から明らかなように低群の697Hz及び高群の1477Hzである。その結果、低群及び高群ともに強度がしきい値以上となった場合、直前の分析区間と同一のDTMF信号が継続していると判定する(ステップS716)。
【0059】
また、低群及び高群ともにしきい値未満の場合には、DTMF信号でないと判定する(ステップS717)。
【0060】
一方で、低群及び高群の片方の強度のみがしきい値以上となった場合、しきい値を下回った群の残りの3周波数の強度分析を行う(ステップS714)。例えば、DTMF信号「3」を受信中、697Hzの強度がしきい値以上となり、1477Hzの強度がしきい値を下回った場合、高群の残りである1209Hz、1336Hz、1633Hzの周波数強度分析を行う。その結果、1種類のみがしきい値以上となった場合、「DTMF信号」と判定し、それ以外の場合には「非DTMF信号」と判定する(ステップS715)。例えば、1209Hzのみがしきい値以上となった場合、697Hzと1209Hzで表される「1」を受信したと判定する。このとき、ステップS715では、前述の図4におけるステップS702,S704の場合と同様に、「しきい値以上の周波数が1種類以上」としてもよい。
【0061】
また、低群及び高群ともに強度がしきい値未満の場合(ステップS713の判定結果がNoの場合)、非DTMF信号と判定するのではなく、図6に示す手順で判定を行ってもよい。図6のステップS721,S723では図5のステップS711で分析を行っていない周波数の強度分析を行い、その結果をもとに、DTMF信号判定を実施する。ステップS722、S724では、他の例と同様に判定条件を「しきい値以上の周波数が1種類以上」としてもよい。
【0062】
このとき、図7のように、ステップS712において、両方の強度がしきい値以上となった場合以外(すなわち両方の強度がしきい値未満、又は、片方の強度がしきい値未満の場合)に、「非DTMF信号」と判定してもよい。
【0063】
なお、ステップS701における高群とステップS703における低群とは逆にしてもよい。すなわち、ステップS701で低群の強度分析を行い、S703で高群の強度分析を行ってもよい。
【0064】
また、検出する必要のあるDTMF信号の種類が限定されている場合、一部の周波数の強度分析を行わないようにしてもよい。例えば、DTMF信号「A」「B」「C」「D」を検出する必要がない場合、1633Hzの強度分析を行わないようにする(図13参照)。
【0065】
更に、低群・高群のうち、分析する周波数の少ない方を先(ステップS701)に処理してもよい。例えば、使用するDTMF信号の種類が「1」〜「6」の場合、低群の697Hz及び770Hz、並びに、高群の1209Hz、1336Hz及び1477Hzの強度分析のみを行えばよい(図13参照)。このとき、分析が必要な周波数の種類が少ない低群を先(ステップS701)に強度分析を行う。これにより、低群・高群どちらもしきい値以上となる周波数が存在しない場合(「非DTMF信号」の場合)、ステップS701で周波数強度分析を行う周波数の種類を削減できる。
【0066】
次に、本実施例1の全体の動作を、図1及び図2を中心に説明する。
【0067】
セッション開始時には、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定したものとして動作を開始する。すなわち、DTMF信号判定部3は、初期化ステップS01で高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する。音声信号受信部1は音声信号aを受信し(ステップS02)、周波数分析部2は受信した音声信号aに含まれる高群4周波数の強度を分析し、その分析結果cをDTMF信号判定部3に通知する(ステップS03)。
【0068】
ここでは、4周波数すべての強度がしきい値を下回ったとすると、DTMF信号判定部3は、「非DTMF信号」と判定し(ステップS04)、その判定結果dを出力し(ステップS06)、次の分析区間に移行する(ステップS07)。「非DTMF信号」と判定したため、DTMF信号判定部3は、次の区間でも引き続き高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する(ステップS09)。
【0069】
次の区間では、周波数強度分析(ステップS03)の結果、高群4周波数のうち1336Hzの強度のみがしきい値を上回ったとする。この場合、DTMF信号判定部3は、「判定不能」として(ステップS04)、追加で周波数強度分析を行うことを決定し(ステップS05)、周波数分析部2に対して低群の4周波数の強度分析を行うように指示する(ステップS08)。
【0070】
周波数分析部2は、同一分析区間において低群の4周波数の強度分析を行い(ステップS03)、その結果をDTMF信号判定部3に通知する。続いて、DTMF信号判定部3は、低群の周波数強度としきい値とを比較する。ここでは、852Hzの強度のみがしきい値を上回ったとすると、852Hzと1336Hzとで表されるDTMF信号「8」と判定し(図13、ステップS04)、その結果を出力して(ステップS06)、次の分析区間の処理に進む。
【0071】
DTMF信号判定部3は、直前の区間でDTMF信号「8」と判定したため、次の区間では「8」で使用されている852Hz及び1336Hzの周波数強度分析を行うよう、周波数分析部2に指示する(ステップS09)。周波数分析部2は、指示された周波数の強度をDTMF信号判定部3に通知する。ここで、どちらの周波数も強度がしきい値を超えたとすると、DTMF信号判定部3は、DTMF信号「8」と判定して(ステップS04)その結果を出力し(ステップS06)、次の分析区間の処理に進む。
【0072】
次の分析区間も同様に852Hzと1366Hzの周波数強度分析を行う(ステップS09)。次の分析区間では、どちらの周波数も強度がしきい値を下回ったとすると、DTMF信号判定部3は「非DTMF信号」と判定する。これらの処理を、入力信号が継続している間繰り返す。
【0073】
[実施例2]
次に、実施形態2を更に具体化した実施例2について、その構成を図8に基づき説明する。本実施例2のDTMF信号検出装置100’におけるガイダンス送信装置通信部35は、サーバ装置のネットワークインタフェース(LANポート)とCPUで実行するプログラムとの組み合わせで実現される。また、ガイダンス送信装置200は、サーバ装置であり、通信先の端末及びDTMF信号検出装置100’とは、ネットワークインタフェース(LANポート)を介して接続されている。本実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0074】
次に、DTMF信号判定部3の判定制御部32における、分析周波数の決定方法を説明する。
図10及び図11は、本実施例2における分析周波数の決定方法を示すフローチャートである。実施例1における決定方法(図4及び図5)と比べると、本実施例2における決定方法(図10及び図11)は、ステップS701がステップS707に、ステップS703がステップS708に、ステップS714がステップS718に、それぞれ変更されている。
【0075】
次に、ステップS707,S708,S718における「一部」の周波数の選択方法を説明する。図12は、ガイダンス送信装置200から受信した制御情報f及び周波数分析を行う周波数を表している。図中の「1」及び「3」の丸印は、制御情報fとして「音声ガイダンスの応答としてDTMF信号「1」及び「3」を受信する可能性がある」ことを表している。このケースでは、「1」及び「3」を検出するためには、697Hz、1209Hz及び1477Hzを検出できればよい。
【0076】
そこで、ステップS707では1209Hz及び1477Hzのみの強度分析を行い、どちらか一方の強度がしきい値以上の場合には、ステップS708において697Hzのみの強度分析を行う。ステップS718も同様である。本実施例2のその他の動作は、実施例1と同様である。
【0077】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0078】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0079】
[付記1]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0080】
[付記2]付記1に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近分析区間が前記DTMF信号である場合と前記非DTMF信号である場合とで、前記一部の周波数を異ならせる、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0081】
[付記3]付記2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記DTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0082】
[付記4]付記3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0083】
[付記5]付記2に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近の前記分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0084】
[付記6]付記5に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0085】
[付記7]付記6記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定するとともにそれ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0086】
[付記8]付記1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報を受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に前記一部の周波数を決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0087】
[付記9]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【0088】
[付記10]コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのDTMF信号検出プログラム。
【0089】
[付記11]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号で使用される各周波数の強度を分析する周波数分析部と、
この周波数分析部の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号を判定するDTMF信号判定部とを有し、
このDTMF信号判定部は、DTMF信号の判定結果に応じて前記周波数分析部で強度分析を行う周波数を決定し、前記周波数分析部に指示する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0090】
[付記12]付記11に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、直前の分析区間において「DTMF信号」と判定した場合と、「非DTMF信号」と判定した場合とで、強度分析を行う周波数を変更する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0091】
[付記13]付記12に記載のDTMF信号検出装置であって、
直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合に、低群又は高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0092】
[付記14]付記13に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記低群又は高群の4種類の周波数強度分析の結果、DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0093】
[付記15]付記13又は14に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記低群又は高群の4種類の周波数強度分析の結果、DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が1種類の場合に、周波数強度分析を未実施の4種類の周波数強度分析を行うとともに、
DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が1種類の場合には「DTMF信号」と判定し、それ以外の場合には「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0094】
[付記16]付記12乃至15のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
直前の分析区間で「DTMF信号」と判定した場合に、この「DTMF信号」に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数強度分析を行うように決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0095】
[付記17]付記16に記載のDTMF信号検出装置であって、
周波数強度分析を行った低群・高群それぞれ1種類ずつの周波数の強度が、どちらもしきい値以上の場合に、前記「DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0096】
[付記18]付記16又は17に記載のDTMF信号検出装置であって、
周波数強度分析を行った低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数の強度が、どちらもしきい値未満の場合に、「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0097】
[付記19]付記11乃至18のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
検出が必要なDTMF信号で使用されている周波数についてのみ強度分析を行う、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0098】
[付記20]付記11乃至19のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
ガイダンス送信装置からの制御情報を受信し、この制御情報をもとに強度分析を行う周波数を削減する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0099】
[付記24]付記3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、
どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する前記低群又は前記高群の残りの3種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定し、
どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0100】
[付記25]付記24記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記どちらの周波数もしきい値未満である場合に、
前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定することに代えて、
前記低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば前記分析区間がDTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0101】
[付記26]付記2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0102】
[付記27]付記26記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば、電話回線を通じてユーザの電話端末に音声ガイダンスを送信し、ユーザが電話端末から送信したDTMF信号に応じた処理を行う音声自動応答システム(IVR:Interactive Voice Response)などに利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
100,100’ DTMF信号検出装置
200 ガイダンス送信装置
300 音声自動応答システム
1 音声信号受信部
2 周波数分析部
21 サンプリングデータ受信部
22 周波数強度分析部
23 分析結果送信部
24 制御通信部
3,3’ DTMF信号判定部
31 分析結果受信部
32 判定制御部
33 判定結果出力部
34 制御通信部
35 ガイダンス送信装置通信部
a 音声信号
b サンプリングデータ
c 分析結果
d 判定結果
e 制御信号
f 制御情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号に含まれるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号を検出するDTMF信号検出装置等に関し、特に、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できるDTMF信号検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
DTMF信号は、電話機のプッシュボタン押下によって生成される音声信号であり、コールセンターやテレフォンバンキングなどの音声サービスにおける、ID番号の入力や処理内容の指示などに使用されている。DTMF信号の仕様は、ITU−TQ.24などで規定されており、低群周波数である697Hz、770Hz、852Hz、941Hzから1つの周波数を選択し、高群周波数である1209Hz、1336Hz、1447Hz、1644Hzから1つの周波数を選択し、それらの周波数の正弦波を合成することにより、16種類の信号を表すものである。
【0003】
図13は、低群周波数と高群周波数の組み合わせに対応するDTMF信号を表した図である。例えば、697Hzと1209Hzとの正弦波を合成したものは「1」を表し、941Hzと1477Hzとを合成したものは「#」を表す。
【0004】
また、ITU−T Q.24では、DTMF信号の最低継続時間などが規定されている。NTT方式の場合は次のようになっている。
(1)DTMF信号の最低継続時間は40ms(DTMF信号は40ms以上継続して送信する必要がある)
(2)最大中断時間は10ms(10ms以下の中断があっても同一の信号として扱う必要がある)
(3)DTMF信号間の最低休止時間は30ms(2つのDTMF信号間には最低30msの休止を挟む必要がある)
(4)信号速度は120ms/digit(1つの信号の送信時間+休止時間を120ms以上にする必要がある)
【0005】
コールセンターやテレフォンバンキングなどの音声サービス提供者は、受信した音声信号に含まれるDTMF信号を検出し、検出したDTMF信号の種類に応じて処理の切り換えなどを行う。
【0006】
DTMF信号検出方式の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1のDTMF受信装置は、留守番電話機に搭載することを想定しており、リモートコントロールのためにあらかじめ既定されたコマンドコードを識別できればよいようになっている。このコマンドコードが「#」から始まる3桁のDTMF信号列であるとすると、「#」以外から始まるDTMF信号はコマンドではないので検出する必要がない。そこで、「#」を検出するまでは、「#」に対応する941Hzと1477Hzの周波数強度分析を行い、「#」検出後はすべての周波数の強度分析を行う。
【0007】
また、特許文献2には、Goertzelアルゴリズムを用いたDFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)を行って周波数の信号強度を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−303653号公報(DTMF受信装置)
【特許文献2】特開2000−324519号公報(周波数偏差検出装置および周波数偏差検出方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のDTMF受信装置では、「#」検出後はDTMF信号検出の負荷を軽減できない、という問題があった。その理由は、「#」検出後は常に8種類すべて(特許文献1では通常使用されないA、B、C、Dを検出するための1633Hzを除いた7種類と記載している)の周波数の強度を分析するためである。
【0010】
そこで、本発明の目的は、あらかじめ指定した種類の信号(特許文献1では「#」)の受信前だけでなく、DTMF信号の受信開始後も負荷を軽減できるDTMF信号検出装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るDTMF信号検出装置は、
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るDTMF信号検出方法は、
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るDTMF信号検出プログラムは、
コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果は、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できることである。その理由は、DTMF信号の検出状況に応じて、分析する周波数の種類を削減できるためである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1[1]は実施形態1のDTMF信号検出装置を示すブロック図であり、図1[2]は図1[1]における周波数分析部を示すブロック図であり、図1[3]は図1[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。
【図2】実施形態1のDTMF信号検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施形態1における周波数強度分析結果を示すグラフであり、図3[1]はDTMF信号と判定する場合であり、図3[2]は非DTMF信号と判定する場合である。
【図4】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その1)である。
【図5】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その2)である。
【図6】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その3)である。
【図7】実施形態1における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その4)である。
【図8】図8[1]は実施形態2の音声自動応答システムを示すブロック図であり、図8[2]は図8[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。
【図9】実施形態2におけるDTMF信号検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その1)である。
【図11】実施形態2における分析周波数の決定方法を示すフローチャート(その2)である。
【図12】実施形態2における分析周波数の決定方法を説明するための図表である
【図13】周波数とDTMF信号との対応を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0017】
図1に示す実施形態1のDTMF信号検出装置100は、音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するものであり、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析する周波数分析部2と、周波数分析部2での分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように周波数分析部2に指示するDTMF信号判定部3と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
DTMF信号検出装置100によれば、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数について分析するだけでDTMF信号であるか否かを判定できるので、すべての周波数について分析する場合に比べて、DTMF信号検出処理の負荷を軽減できる。
【0019】
DTMF信号判定部3は、既に判定した直近分析区間がDTMF信号である場合と非DTMF信号である場合とで、一部の周波数を異ならせる、ようにしてもよい。一般に、直近の分析区間がDTMF信号であれば次の分析区間も同一のDTMF信号である可能性が高く、同様に、直近の分析区間が非DTMF信号であれば次の分析区間も非DTMF信号である可能性が高い。この傾向に着目して、直近の分析区間がDTMF信号である場合と非DTMF信号である場合とで分析対象となる周波数を異ならせることにより、効率よくDTMF信号を検出できる。
【0020】
例えば、DTMF信号判定部3は、直近分析区間がDTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を一部の周波数に決定する、としてもよい。このとき、1種類ずつの周波数について周波数分析部2で分析された結果、どちらの周波数もしきい値以上である場合に分析区間がDTMF信号であると判定し、どちらの周波数もしきい値未満である場合に「分析区間が非DTMF信号である(後述)」と判定する、としてもよい。また、どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する低群又は高群の残りの3種類の周波数を一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定してもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0021】
ここで、DTMF信号判定部3は、どちらの周波数もしきい値未満である場合に、前述の「分析区間が非DTMF信号である」と判定することに代えて、次のように動作してもよい。低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)あれば分析区間がDTMF信号であると判定する、としてもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0022】
また、DTMF信号判定部3は、直近分析区間が非DTMF信号である場合に、DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を一部の周波数に決定する、としてもよい。このとき、一方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、分析区間が非DTMF信号であると判定する、としてもよい。又は、一方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)である場合に、低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を一部の周波数に決定し、それ以外の場合に分析区間が非DTMF信号であると判定し、他方の4種類の周波数について周波数分析部2で分析された結果、他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類(又は2種類以上)である場合に分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に分析区間が非DTMF信号であると判定する、としてもよい。ここで、しきい値以上となる周波数が1種類であるときは、その周波数がDTMF信号を構成する周波数であり、しきい値以上となる周波数が2種類以上であるときは、それらの中の最大の強度の周波数がDTMF信号を構成する周波数である、と判定してもよい。
【0023】
実施形態1のDTMF信号検出方法は、実施形態1のDTMF信号検出装置100の動作を方法の発明として捉えたものである。すなわち、実施形態1のDTMF信号検出方法は、音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するものであって、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析し、この分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析区間について分析することを繰り返す、ことを特徴とする。
【0024】
実施形態1のDTMF信号検出プログラムは、実施形態1のDTMF信号検出装置100の各手段をコンピュータに機能させるためのものである。すなわち、実施形態1のDTMF信号検出プログラムは、コンピュータを備えるとともに音声信号aに含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置100に用いられるものであって、音声信号aのサンプリングデータbから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を分析区間について分析する周波数分析手段(周波数分析部2)、及び、周波数分析手段(周波数分析部2)での分析結果cから分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に分析結果cから一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように周波数分析手段(周波数分析部2)に指示するDTMF信号判定手段(DTMF信号判定部3)を、コンピュータに機能させるためのものである。本DTMF信号検出プログラムは、非一時的な記録媒体(non-transitory storage medium)、例えば光ディスク、半導体メモリなどに記録されてもよい。その場合、本DTMF信号検出プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0025】
実施形態1のDTMF信号検出方法及びプログラムの他の構成は、実施形態1のDTMF信号検出装置100の前述の構成に対応させてもよい。実施形態1のDTMF信号検出方法及びプログラムによれば、実施形態1のDTMF信号検出装置100と同様の作用及び効果を奏する。
【0026】
図8に示す実施形態2のDTMF信号検出装置100’において、DTMF信号判定部3’は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報fを受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に一部の周波数を決定する。実施形態2のDTMF信号検出装置100’の他の構成は、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様である。実施形態2のDTMF信号検出装置100’によれば、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様の作用及び効果を奏する。実施形態2のDTMF信号検出装置100’についても、実施形態1のDTMF信号検出装置と同様に方法及びプログラムの構成を採り得る。
【0027】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
[実施形態1]
図1[1]は実施形態1のDTMF信号検出装置を示すブロック図であり、図1[2]は図1[1]における周波数分析部を示すブロック図であり、図1[3]は図1[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。以下、これらの図面に基づき説明する。
【0029】
図1[1]を参照すると、本実施形態1のDTMF信号検出装置100は、音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3を備える。音声信号受信部1は、通信先からの音声信号aを受信し、音声信号aに対して音声コーデックのデコードなどを行うことによりPCM(Pulse Code Modulation)などのサンプリングデータbに変換する。このとき、音声信号aはDTMF信号検出装置100の記憶領域に保存されていてもよい。また、音声信号aがエンコードされていないPCMデータの場合には、変換処理を行わない。周波数分析部2は、音声信号受信部1から受け取ったサンプリングデータbに対して、DTMF信号で使用される周波数の強度を分析する。DTMF信号判定部3は、周波数分析部2による分析結果cをもとに、受信したDTMF信号の種類を判定し、その判定結果dに応じて、周波数分析部2に対して分析を行う周波数を指示する(制御信号e)。DTMF信号検出装置100が複数のセッションのDTMF信号検出を行う場合、音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3はセッション数と同数存在することになる。
【0030】
図1[2]は、周波数分析部2の構成を表すブロック図である。周波数分析部2は、サンプリングデータ受信部21、周波数強度分析部22、分析結果送信部23及び制御通信部24を備える。サンプリングデータ受信部21は、音声信号受信部1からサンプリングデータbを受信する。周波数強度分析部22は、受信したサンプリングデータbから一定期間のデータ(以下「分析区間」という。)を取り出し、DTMF信号で使用される周波数の強度を分析する。分析結果送信部23は、周波数強度の分析結果cをDTMF信号判定部3へ送信する。制御通信部24は、DTMF信号判定部3からの指示(制御信号e)を受信し、周波数強度分析部22に強度分析を行う周波数の種類を指示する。
【0031】
周波数強度分析部22は、制御通信部24から指示された周波数についてのみ強度分析を行い、他の周波数については強度分析を行わない。各周波数の強度は、一定時間のサンプリングデータを離散フーリエ変換することで得られ、特許文献2にも記載されているGoertzelアルゴリズムが用いられるのが一般的である。Goertzelアルゴリズムは、各周波数の強度を独立に求めるアルゴリズムであるため、強度分析を行う周波数の数を削減することで、負荷の軽減が可能である。この場合、Goertzelアルゴリズムは周波数強度分析方法の一例であり、他の方法を用いてもよい。
【0032】
また、通常、DTMF信号には前述した8種類の周波数が使用されるが、変更されることもあり得る。その場合、周波数強度分析部22で強度を分析する周波数を変更するだけで、対応可能である。
【0033】
図1[3]は、DTMF信号判定部3の構成を表すブロック図である。DTMF信号判定部3は、分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34を備える。分析結果受信部31は、周波数分析部2から各周波数の強度(分析結果c)を受信する。判定制御部32は、分析結果cに基づきDTMF信号の種類を判定し、その結果に応じて周波数分析部2で強度分析を行う周波数の種類を決定する。判定結果出力部33は、判定制御部32で判定したDTMF信号の種類を出力する(判定結果d)。制御通信部34は、強度分析する周波数の種類を周波数分析部2に指示する(制御信号e)。
【0034】
判定結果dの出力は、分析区間ごとに行われる。前述したように、DTMF信号の最低継続時間は40ms、最低休止時間は30msと定められている。これらの条件を満たすか否かの判定は、判定結果出力部33の出力先で行う。
【0035】
図2は、DTMF信号検出装置100の動作を示すフローチャートである。図3は、DTMF信号検出装置100における周波数強度分析結果を示すグラフである。以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1の全体の動作について詳細に説明する。
【0036】
まず、通話セッションが開始されると、DTMF信号検出装置100の初期化を行う(ステップS01)。初期化処理では、新たに開始されたセッションに対する音声信号受信部1、周波数分析部2及びDTMF信号判定部3を用意する。DTMF信号判定部3は、周波数分析部2に対して、強度分析を行う周波数を指示する(制御信号e)。初期化完了後、音声信号受信部1は、通信先端末からの音声信号aの受信を開始し、受信した音声信号aをPCMなどのサンプリングデータbに変換して周波数分析部2へ送信する(ステップS02)。
【0037】
周波数分析部2においてサンプリングデータ受信部21は、サンプリングデータbを受信して周波数強度分析部22へ送信する。周波数強度分析部22は、サンプリングデータbを分析区間ごとに分割し、周波数強度分析を行う(ステップS03)。このとき、周波数強度分析部22は、DTMF信号判定部3から指示された周波数のみの強度分析を行う。
【0038】
周波数強度分析部22で分析した各周波数の強度(分析結果c)は、分析結果送信部23からDTMF信号判定部3へ送信される。DTMF信号判定部3において分析結果受信部31は各周波数の強度を受信し、判定制御部32はDTMF信号の種類を判定する(ステップS04)。
【0039】
ここで、判定制御部32における判定方法を、図3を参照して説明する。図3は、周波数分析部2で分析した各周波数の強度を示す。受信した音声信号にDTMF信号が含まれる場合、図3[1]に示すように低群及び高群のそれぞれ1つずつの周波数の強度が極端に大きくなる。一方で、DTMF信号が含まれない場合には、図3[2]に示すように各周波数の強度は小さくなる。この性質を利用し、周波数の強度にしきい値を設けて、低群及び高群それぞれ1つずつの周波数強度がしきい値以上となった場合のみ、DTMF信号を受信したと判定する。
【0040】
8種類すべての周波数強度を分析すれば、DTMF信号か否かの判定が可能である。しかし、本実施形態1では、分析を行わない周波数があるため、判定制御部32における判定結果は、
・非DTMF信号
・DTMF信号(信号の種類も含まれる)
に加えて
・判定不能
となる場合もある。
【0041】
「判定不能」は、DTMF信号の可能性はあるが断定できない状態である。これを断定するためには、追加で周波数強度の分析を行う必要がある(ステップS05)。そこで、判定不能の場合、判定制御部32は追加で強度を分析する周波数を決定して周波数分析部2に指示し(ステップS08)、周波数分析部2は強度分析を行う(ステップS03)。
【0042】
ステップS03〜S05、S08は、判定結果出力部33が非DTMF信号又はDTMF信号と判定できるまで繰り返す。その後、判定結果出力部33は判定結果dを出力する(ステップS06)。
【0043】
続いて判定制御部32は、DTMF信号検出処理を継続するか否かを判定し(ステップS07)、継続する場合には強度分析を行う周波数を決定して制御通信部34から周波数分析部2へ指示する(ステップS09)。
【0044】
次に、本実施形態1の効果について説明する。本実施形態1の効果は、強度分析を行う周波数の数を削減することにより、DTMF信号検出の負荷を軽減できることである。
【0045】
[実施形態2]
図8[1]は実施形態2の音声自動応答システムを示すブロック図であり、図8[2]は図8[1]におけるDTMF信号判定部を示すブロック図である。以下、本実施形態2について、実施形態1と異なる点を中心に、図8を参照して詳細に説明する。
【0046】
図8[1]は、本実施形態2の音声自動応答システム300の構成を表すブロック図である。音声自動応答システム300は、DTMF信号検出装置100’と、通信先の端末に対して音声ガイダンスを送信するガイダンス送信装置200とを備える。
【0047】
図8[2]は、DTMF信号検出装置100’におけるDTMF信号判定部3’の構成を表すブロック図である。DTMF信号判定部3’は、分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34を実施形態1と同様に備え、更にガイダンス送信装置通信部35を備える。分析結果受信部31は、周波数分析部2から各周波数の強度(分析結果c)を受信する。判定制御部32は、DTMF信号の種類を判定し、その結果に応じて、周波数分析部2で強度分析を行う周波数の種類を決定する。判定結果出力部33は、判定制御部32で判定したDTMF信号の種類を出力する(判定結果d)。制御通信部34は、強度分析する周波数の種類を周波数分析部2に指示する(制御信号e)。
【0048】
これに加えて、ガイダンス送信装置通信部35は、ガイダンス送信装置200からの制御情報fを受信する。この制御情報fは、ガイダンス送信装置200が送信するガイダンスメッセージの応答として、通信先の端末が送信する可能性のあるDTMF信号の種類を含んでいる。本実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0049】
図9は、DTMF信号検出装置100’の動作を示すフローチャートである。次に、以下、本実施形態2の全体の動作について、実施形態1と異なる点を中心に、図8及び図9を参照して詳細に説明する。
【0050】
本実施形態2では、初期化(ステップS01)、分析周波数制御(ステップS08,S09)の前に、DTMF信号判定部3’がガイダンス送信装置200から制御情報fを受信する(ステップS10,S11,S12)。DTMF信号判定部3’は、初期化及び分析周波数制御の各ステップで制御情報fを参照し、ガイダンス送信装置200から送信された「音声ガイダンスの応答として端末から送信される可能性のあるDTMF信号」のみを検出するように、強度分析する周波数を選択する。本実施形態2のその他の動作は、実施形態1と同様である。
【0051】
次に、本実施形態2の効果について説明する。本実施形態2によれば、DTMF信号判定部3’が、ガイダンス送信装置200からの制御情報fを受信し、この制御情報fを使って周波数強度分析を行う周波数を削減することにより、更なる負荷軽減が可能である。
【0052】
[実施例1]
次に、実施形態1を更に具体化した実施例1について、その構成を図1に基づき説明する。本実施例1におけるDTMF信号検出装置100はサーバ装置であり、音声信号受信部1はサーバ装置のネットワークインタフェース(LANポート)とCPUで実行するプログラムとの組み合わせで実現される。また、周波数分析部2のサンプリングデータ受信部21、周波数強度分析部22、分析結果送信部23及び制御通信部24、並びに、DTMF信号判定部3の分析結果受信部31、判定制御部32、判定結果出力部33及び制御通信部34は、いずれもサーバ装置のCPUで実行するプログラムで実現される。
【0053】
周波数分析部2の周波数強度分析部22は、周波数分析を行うためのハードウェアで構成してもよい。その場合、周波数分析を行う拡張ボードをサーバ装置に搭載し、サンプリングデータ受信部21、分析結果送信部23及び制御通信部24は、サーバ装置とボード間のバスとCPUで実行するプログラムの組み合わせで実現される。また、周波数強度分析部22は、拡張ボード上に搭載された周波数強度分析用のDSP(Digital Signal Processor)で実現される。
【0054】
次に、DTMF信号判定部3の判定制御部32における分析周波数の決定方法を、図4乃至図7を中心に説明する。分析周波数の決定方法は、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合と「DTMF信号」と判定した場合とで異なる。
【0055】
図4は、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合の分析周波数の決定方法を示す。まず、高群の4周波数の強度分析を行い、低群の4周波数については強度分析を行わない(ステップS701)。続いて、高群4周波数の強度としきい値とを比較する(ステップS702)。強度がしきい値以上となる周波数がない場合、又は、2種類以上の場合にはDTMF信号の条件を満たさないため、「非DTMF信号」と判定する(ステップS706)。
【0056】
一方で、しきい値以上となる周波数が1種類の場合にはDTMF信号である可能性がある。そこで、低群の4周波数についても周波数の強度分析を行う(ステップS703)。その結果、しきい値以上となる周波数が1種類ならば、DTMF信号と判定する(ステップS705)。しきい値以上となる周波数がない場合又は2種類以上の場合には、DTMF信号でないと判定する(ステップS706)。
【0057】
ここで、図4に示した分析周波数の決定方法の変形例として、低群及び高群のそれぞれで強度がしきい値以上となる周波数が複数あった場合に、強度が最大の周波数をもとにDTMF信号判定を行うようにしてもよい。このとき、ステップS702,S704の判定条件が「しきい値以上の周波数が1種類以上」となる。
【0058】
図5は、直前の分析区間で「DTMF信号」と判定した場合の分析周波数の決定方法である。まず、直前の分析区間で受信したDTMF信号で使用されている、低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数強度分析を行う(ステップS711)。例えばDTMF信号「3」の場合は、図13から明らかなように低群の697Hz及び高群の1477Hzである。その結果、低群及び高群ともに強度がしきい値以上となった場合、直前の分析区間と同一のDTMF信号が継続していると判定する(ステップS716)。
【0059】
また、低群及び高群ともにしきい値未満の場合には、DTMF信号でないと判定する(ステップS717)。
【0060】
一方で、低群及び高群の片方の強度のみがしきい値以上となった場合、しきい値を下回った群の残りの3周波数の強度分析を行う(ステップS714)。例えば、DTMF信号「3」を受信中、697Hzの強度がしきい値以上となり、1477Hzの強度がしきい値を下回った場合、高群の残りである1209Hz、1336Hz、1633Hzの周波数強度分析を行う。その結果、1種類のみがしきい値以上となった場合、「DTMF信号」と判定し、それ以外の場合には「非DTMF信号」と判定する(ステップS715)。例えば、1209Hzのみがしきい値以上となった場合、697Hzと1209Hzで表される「1」を受信したと判定する。このとき、ステップS715では、前述の図4におけるステップS702,S704の場合と同様に、「しきい値以上の周波数が1種類以上」としてもよい。
【0061】
また、低群及び高群ともに強度がしきい値未満の場合(ステップS713の判定結果がNoの場合)、非DTMF信号と判定するのではなく、図6に示す手順で判定を行ってもよい。図6のステップS721,S723では図5のステップS711で分析を行っていない周波数の強度分析を行い、その結果をもとに、DTMF信号判定を実施する。ステップS722、S724では、他の例と同様に判定条件を「しきい値以上の周波数が1種類以上」としてもよい。
【0062】
このとき、図7のように、ステップS712において、両方の強度がしきい値以上となった場合以外(すなわち両方の強度がしきい値未満、又は、片方の強度がしきい値未満の場合)に、「非DTMF信号」と判定してもよい。
【0063】
なお、ステップS701における高群とステップS703における低群とは逆にしてもよい。すなわち、ステップS701で低群の強度分析を行い、S703で高群の強度分析を行ってもよい。
【0064】
また、検出する必要のあるDTMF信号の種類が限定されている場合、一部の周波数の強度分析を行わないようにしてもよい。例えば、DTMF信号「A」「B」「C」「D」を検出する必要がない場合、1633Hzの強度分析を行わないようにする(図13参照)。
【0065】
更に、低群・高群のうち、分析する周波数の少ない方を先(ステップS701)に処理してもよい。例えば、使用するDTMF信号の種類が「1」〜「6」の場合、低群の697Hz及び770Hz、並びに、高群の1209Hz、1336Hz及び1477Hzの強度分析のみを行えばよい(図13参照)。このとき、分析が必要な周波数の種類が少ない低群を先(ステップS701)に強度分析を行う。これにより、低群・高群どちらもしきい値以上となる周波数が存在しない場合(「非DTMF信号」の場合)、ステップS701で周波数強度分析を行う周波数の種類を削減できる。
【0066】
次に、本実施例1の全体の動作を、図1及び図2を中心に説明する。
【0067】
セッション開始時には、直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定したものとして動作を開始する。すなわち、DTMF信号判定部3は、初期化ステップS01で高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する。音声信号受信部1は音声信号aを受信し(ステップS02)、周波数分析部2は受信した音声信号aに含まれる高群4周波数の強度を分析し、その分析結果cをDTMF信号判定部3に通知する(ステップS03)。
【0068】
ここでは、4周波数すべての強度がしきい値を下回ったとすると、DTMF信号判定部3は、「非DTMF信号」と判定し(ステップS04)、その判定結果dを出力し(ステップS06)、次の分析区間に移行する(ステップS07)。「非DTMF信号」と判定したため、DTMF信号判定部3は、次の区間でも引き続き高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する(ステップS09)。
【0069】
次の区間では、周波数強度分析(ステップS03)の結果、高群4周波数のうち1336Hzの強度のみがしきい値を上回ったとする。この場合、DTMF信号判定部3は、「判定不能」として(ステップS04)、追加で周波数強度分析を行うことを決定し(ステップS05)、周波数分析部2に対して低群の4周波数の強度分析を行うように指示する(ステップS08)。
【0070】
周波数分析部2は、同一分析区間において低群の4周波数の強度分析を行い(ステップS03)、その結果をDTMF信号判定部3に通知する。続いて、DTMF信号判定部3は、低群の周波数強度としきい値とを比較する。ここでは、852Hzの強度のみがしきい値を上回ったとすると、852Hzと1336Hzとで表されるDTMF信号「8」と判定し(図13、ステップS04)、その結果を出力して(ステップS06)、次の分析区間の処理に進む。
【0071】
DTMF信号判定部3は、直前の区間でDTMF信号「8」と判定したため、次の区間では「8」で使用されている852Hz及び1336Hzの周波数強度分析を行うよう、周波数分析部2に指示する(ステップS09)。周波数分析部2は、指示された周波数の強度をDTMF信号判定部3に通知する。ここで、どちらの周波数も強度がしきい値を超えたとすると、DTMF信号判定部3は、DTMF信号「8」と判定して(ステップS04)その結果を出力し(ステップS06)、次の分析区間の処理に進む。
【0072】
次の分析区間も同様に852Hzと1366Hzの周波数強度分析を行う(ステップS09)。次の分析区間では、どちらの周波数も強度がしきい値を下回ったとすると、DTMF信号判定部3は「非DTMF信号」と判定する。これらの処理を、入力信号が継続している間繰り返す。
【0073】
[実施例2]
次に、実施形態2を更に具体化した実施例2について、その構成を図8に基づき説明する。本実施例2のDTMF信号検出装置100’におけるガイダンス送信装置通信部35は、サーバ装置のネットワークインタフェース(LANポート)とCPUで実行するプログラムとの組み合わせで実現される。また、ガイダンス送信装置200は、サーバ装置であり、通信先の端末及びDTMF信号検出装置100’とは、ネットワークインタフェース(LANポート)を介して接続されている。本実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0074】
次に、DTMF信号判定部3の判定制御部32における、分析周波数の決定方法を説明する。
図10及び図11は、本実施例2における分析周波数の決定方法を示すフローチャートである。実施例1における決定方法(図4及び図5)と比べると、本実施例2における決定方法(図10及び図11)は、ステップS701がステップS707に、ステップS703がステップS708に、ステップS714がステップS718に、それぞれ変更されている。
【0075】
次に、ステップS707,S708,S718における「一部」の周波数の選択方法を説明する。図12は、ガイダンス送信装置200から受信した制御情報f及び周波数分析を行う周波数を表している。図中の「1」及び「3」の丸印は、制御情報fとして「音声ガイダンスの応答としてDTMF信号「1」及び「3」を受信する可能性がある」ことを表している。このケースでは、「1」及び「3」を検出するためには、697Hz、1209Hz及び1477Hzを検出できればよい。
【0076】
そこで、ステップS707では1209Hz及び1477Hzのみの強度分析を行い、どちらか一方の強度がしきい値以上の場合には、ステップS708において697Hzのみの強度分析を行う。ステップS718も同様である。本実施例2のその他の動作は、実施例1と同様である。
【0077】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0078】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0079】
[付記1]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0080】
[付記2]付記1に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近分析区間が前記DTMF信号である場合と前記非DTMF信号である場合とで、前記一部の周波数を異ならせる、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0081】
[付記3]付記2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記DTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0082】
[付記4]付記3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0083】
[付記5]付記2に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近の前記分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0084】
[付記6]付記5に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0085】
[付記7]付記6記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定するとともにそれ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0086】
[付記8]付記1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報を受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に前記一部の周波数を決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0087】
[付記9]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【0088】
[付記10]コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのDTMF信号検出プログラム。
【0089】
[付記11]音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号で使用される各周波数の強度を分析する周波数分析部と、
この周波数分析部の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号を判定するDTMF信号判定部とを有し、
このDTMF信号判定部は、DTMF信号の判定結果に応じて前記周波数分析部で強度分析を行う周波数を決定し、前記周波数分析部に指示する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0090】
[付記12]付記11に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、直前の分析区間において「DTMF信号」と判定した場合と、「非DTMF信号」と判定した場合とで、強度分析を行う周波数を変更する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0091】
[付記13]付記12に記載のDTMF信号検出装置であって、
直前の分析区間で「非DTMF信号」と判定した場合に、低群又は高群の4種類の周波数強度分析を行うように決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0092】
[付記14]付記13に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記低群又は高群の4種類の周波数強度分析の結果、DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が、存在しない場合又は2種類以上の場合に、「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0093】
[付記15]付記13又は14に記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記低群又は高群の4種類の周波数強度分析の結果、DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が1種類の場合に、周波数強度分析を未実施の4種類の周波数強度分析を行うとともに、
DTMF信号と判定するためのしきい値以上の強度となる周波数が1種類の場合には「DTMF信号」と判定し、それ以外の場合には「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0094】
[付記16]付記12乃至15のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
直前の分析区間で「DTMF信号」と判定した場合に、この「DTMF信号」に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数強度分析を行うように決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0095】
[付記17]付記16に記載のDTMF信号検出装置であって、
周波数強度分析を行った低群・高群それぞれ1種類ずつの周波数の強度が、どちらもしきい値以上の場合に、前記「DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0096】
[付記18]付記16又は17に記載のDTMF信号検出装置であって、
周波数強度分析を行った低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数の強度が、どちらもしきい値未満の場合に、「非DTMF信号」と判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0097】
[付記19]付記11乃至18のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
検出が必要なDTMF信号で使用されている周波数についてのみ強度分析を行う、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0098】
[付記20]付記11乃至19のいずれか一つに記載のDTMF信号検出装置であって、
ガイダンス送信装置からの制御情報を受信し、この制御情報をもとに強度分析を行う周波数を削減する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0099】
[付記24]付記3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、
どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する前記低群又は前記高群の残りの3種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定し、
どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0100】
[付記25]付記24記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記どちらの周波数もしきい値未満である場合に、
前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定することに代えて、
前記低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば前記分析区間がDTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0101】
[付記26]付記2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0102】
[付記27]付記26記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば、電話回線を通じてユーザの電話端末に音声ガイダンスを送信し、ユーザが電話端末から送信したDTMF信号に応じた処理を行う音声自動応答システム(IVR:Interactive Voice Response)などに利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
100,100’ DTMF信号検出装置
200 ガイダンス送信装置
300 音声自動応答システム
1 音声信号受信部
2 周波数分析部
21 サンプリングデータ受信部
22 周波数強度分析部
23 分析結果送信部
24 制御通信部
3,3’ DTMF信号判定部
31 分析結果受信部
32 判定制御部
33 判定結果出力部
34 制御通信部
35 ガイダンス送信装置通信部
a 音声信号
b サンプリングデータ
c 分析結果
d 判定結果
e 制御信号
f 制御情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項2】
請求項1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近分析区間が前記DTMF信号である場合と前記非DTMF信号である場合とで、前記一部の周波数を異ならせる、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項3】
請求項2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記DTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項4】
請求項3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、
どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する前記低群又は前記高群の残りの3種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定し、
どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項5】
請求項4記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記どちらの周波数もしきい値未満である場合に、
前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定することに代えて、
前記低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば前記分析区間がDTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項6】
請求項2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項7】
請求項6記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項8】
請求項1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報を受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に前記一部の周波数を決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項9】
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【請求項10】
コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのDTMF信号検出プログラム。
【請求項1】
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析部と、
この周波数分析部での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析部に指示するDTMF信号判定部と、
を備えたことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項2】
請求項1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、既に判定した直近分析区間が前記DTMF信号である場合と前記非DTMF信号である場合とで、前記一部の周波数を異ならせる、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項3】
請求項2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記DTMF信号である場合に、このDTMF信号に使用される低群及び高群それぞれ1種類ずつの周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項4】
請求項3記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記1種類ずつの周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
どちらの周波数もしきい値以上である場合に前記分析区間が前記DTMF信号であると判定し、
どちらか一方の周波数のみがしきい値以上である場合に、他方の周波数の属する前記低群又は前記高群の残りの3種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上であるときに前記分析区間がDTMF信号であると判定し、
どちらの周波数もしきい値未満である場合に前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項5】
請求項4記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記どちらの周波数もしきい値未満である場合に、
前記分析区間が前記非DTMF信号であると判定することに代えて、
前記低群の残りの3種類の周波数及び前記高群の残りの3種類の周波数の一方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば、低群の残りの3種類の周波数及び高群の残りの3種類の周波数の他方を前記一部の周波数に決定し、当該3種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
当該3種類の周波数の全てがしきい値未満であれば前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、当該3種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上あれば前記分析区間がDTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項6】
請求項2記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、前記直近分析区間が前記非DTMF信号である場合に、前記DTMF信号に使用される低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち一方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項7】
請求項6記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、
前記一方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記一方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に、前記低群の4種類の周波数及び高群の4種類の周波数のうち他方の4種類の周波数を前記一部の周波数に決定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定し、
前記他方の4種類の周波数について前記周波数分析部で分析された結果、
前記他方の4種類の周波数のうちしきい値以上となる周波数が1種類又は2種類以上である場合に前記分析区間がDTMF信号であると判定し、それ以外の場合に前記分析区間が非DTMF信号であると判定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項8】
請求項1記載のDTMF信号検出装置であって、
前記DTMF信号判定部は、検出が必要なDTMF信号に関する制御情報を受信し、このDTMF信号に使用されている周波数に前記一部の周波数を決定する、
ことを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項9】
音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出方法であって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析し、
この分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を前記分析区間について分析することを繰り返す、
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【請求項10】
コンピュータを備えるとともに音声信号に含まれるDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置に用いられるDTMF信号検出プログラムであって、
前記音声信号のサンプリングデータから一定期間のデータからなる分析区間を取り出し、前記DTMF信号に使用される複数の周波数のうち一部の周波数の強度を前記分析区間について分析する周波数分析手段、及び、
この周波数分析手段での分析結果から前記分析区間がDTMF信号であるか非DTMF信号であるかを判定するとともに、当該判定ができない場合に前記分析結果から前記一部の周波数を決定し、その周波数の強度を分析するように前記周波数分析手段に指示するDTMF信号判定手段を、
前記コンピュータに機能させるためのDTMF信号検出プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−115807(P2013−115807A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263431(P2011−263431)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]