説明

DVD等の貸出しケースのロック機構

【課題】 貸出しケースに収容しているDVDなどが盗難に遭わないようにすると共に、耐久性に優れた貸し出しケースのロック機構の提供。
【解決手段】 ロックプレート3のロック部10には所定の間隔をおいて対を成す2つのロックツメ12a,12bを揺動可能に軸支し、そして両ロックツメ12a,12bの間には偏心した位置に設けた軸に揺動レバー14を軸支している。両ロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bは揺動して降下することで揺動レバー14の先端に係止することが出来るように間には僅かな隙間17a,17bを介在し、そしてロックツメ12a,12bの基部22a,22bには弾性力を付勢して先端ツメ16a,16bがロックプレートロック部10の上面18から突出させ、マグネット20a,20bの磁気力を作用することで両ロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bを降下してケース側に設けた係止部8a,8bから解除可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンタルショップの棚に陳列されているDVD、CD、ゲームソフト等を盗難から守ることが出来る貸出しケースのロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオテープの場合も同じであるが、DVDをケースのまま店内の陳列棚に直接配列している場合には盗難に遭うケースが多い。勿論、DVDの貸出しケースには盗難防止用のタグシールが貼着されていて、店の出入り口にある盗難防止ゲートをそのまま通過することで警報が鳴るようなシステムを採用している。しかし、このタグシールを剥してしまうならば、そのまま持ち出しても盗難防止ゲートが感知して警報を発することはない。
【0003】
そこで、DVDを入れた貸出しケースにはロックプレートが挿入され、該貸し出しケースは開かないようにロックされると共に、ロックプレートに上記タグシールが貼着されている。そして、貸し出しケースは別の陳列用ケースに入れた状態で店内の陳列棚に配列している。そこで顧客は陳列ケースから貸し出しケースを取出して店のカウンターへ運んで借りることが出来る。この際、店員は所定の手続きをとった上でDVDを収容した貸出しケースを顧客に手渡すことになるが、この貸出しケースからDVDが取出せるように解錠しなくてはならない。
【0004】
特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」は、店内の棚に陳列したDVD等が盗難に遭わないように盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケースにおいて、該貸出しケースはDVD等の中心穴に嵌るヘソを備えた本体ケースと本体ケースを閉じる蓋から成り、ケースの側面開口から警報装置が感知するタグシール等を有すロック板をロック板嵌入空間にスライドして嵌入することで蓋が開かないように互いに噛み合ってロックする構造とし、ロック板の側縁にはケースから外側へ突出するツメを備え、又基部を中心として撓み変形する板バネを備えると共に、該板バネにはロックツメを設けてケースに形成した係止部に係止して外れないようにし、そして磁石にて板バネを引き寄せることでロックツメを係止部から解錠することで上記ツメを引いてロック板が抜取られるようになっている。
【0005】
そこで、上記ロックツメを係止部から外す為に磁石が用いられ、磁石の磁気力を利用してロックツメを磁石側へ引き寄せて係止部から外し、その状態でロック板(ロックプレート)をスライドして取外すことが出来る。ここで、ロックプレートにはタグシールが貼着されていて、取外さないで貸出しケースを持ち出すならば、出入り口に設置している防犯装置が感知して警報を発するようにしている。
【0006】
ところで、DVDなどを貸し出しする度にロックプレートを取外し、戻された貸し出しケースには再びロックプレートを嵌めて陳列棚に配置される。このように、該ロックプレートの出入れは頻繁に行われるために、ロックツメや係止部が損傷する。特に、ポリプロピレンを材質としている貸し出しケースに設けられている係止部はロックツメが係止することで磨耗したり、破損する場合もある。こ のようになるとロック機能が働かなくなって、ロックプレートが外されてしまう。
【0007】
一方、客の中にはDVDなどを盗難するためにマグネットを使用してロックプレートを取外す場合もある。ロックプレートが外されてしまうならば、出入り口の防犯装置は反応せずして簡単に持ち出されてしまう。
【特許文献1】特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来のDVD等の貸出しケースをロックしているロック機構には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、安全にロックできると共に、耐久性に優れた貸し出しケースのロック機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る貸出しケースのロック機構は貸出しケースにロックプレートを差し込むことで該貸出しケースが開かないように機能させるものであり、貸出しケース内にはDVDやCDなどを収容している。そして、ロックプレートには出入口に設置される警報装置(防犯装置)に反応するタグシールが貼着されている。貸出しケースは本体ケースと蓋から成り、蓋は継手部を介して開閉可能な構造とし、閉じることで本体ケースを被覆してDVD等を収納することが出来る。
【0010】
ところで、ロックプレートには軸を中心として揺動する2つのロックツメが対を成して取付けられ、両ロックツメの間には揺動レバーが設けられている。そしてこれらロックツメ及び揺動レバーはマグネットによって引き付けられる磁性体で構成されている。そして、貸出しケース側にはロックツメが係止する係止部を設け、貸出しケースにロックプレートを差し込むことで、上記ロックツメが係止部に係止し、引っ張っても抜けないようにロックされる。本発明では係止部の耐久性を向上するために主として金属製としている。
【0011】
上記ロックツメは軸支されて揺動可能な状態にあるが、基部側には弾性力(バネ力)が付勢されて先端ツメは突出して係止部に係止することが出来る。ロックツメはマグネットの磁気力によって先端側が引かれることで先端ツメは後退してケース側の係止部から離れ、ロックプレートを引き抜くことが出来る。磁気力の作用でロックツメが後退する場合、先端ツメは揺動レバーの両端に係止するようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のDVD等の貸出しケースは蓋をロックする為のロックプレートを差し込んでいて、このロックプレートを取外さない限り蓋を開くことが出来ない。ロックプレートには所定の間隔をおいて2つのロックツメが揺動可能に取付けられていて、ロックプレートを貸出しケースのロックプレート空間に差し込むならば、上記ロックツメの先端側に形成している先端ツメはケース側の係止部に係止してロックされる。
【0013】
そこで、蓋を開く為にロックプレートを引き抜く場合には、マグネットを貸出しケースに当接又は近接することでロックツメを引き寄せて先端ツメを係止部から解除する。揺動可能に軸支されているロックツメはマグネットの磁気力に引かれて揺動し、先端ツメは解除される。ここで、対を成す2つのロックツメにおける先端ツメを引き寄せるために、2個のマグネットが使用される。連続した長いマグネットではロックツメの解除が出来ないようになっている。
【0014】
両ロックツメの間に取付けた揺動レバーは両ロックツメの動きを規制することが出来る。すなわち、揺動レバーの軸は一方側に偏心した位置に設けられている為に、長いマグネットを貸出しケースに近づけた場合には、上記揺動レバーが揺動する為に、降下した側のロックツメの先端ツメは後退して係止部から解除されるが、逆に上昇した側のロックツメは後退することが出来ず、係止部から解除されない。勿論、短い(小さい)マグネットの場合には、なお更片方のロックツメしか解除することが出来なくなる。
【0015】
本発明のロック機構は所定の距離を隔てた2個のマグネットを貸出しケースに近づけない限り両ロックツメの解除が出来なくなり、盗難防止を行ううえで大きな効果がある。ロックプレートを抜き取らないで店から貸出しケースごと持ち出すならば、該ロックプレートに貼着しているタグシールが警報装置に反応する。さらに、係止部は金属製であるために、ロックプレートを限りなく出入れしても該係止部が磨耗したり、破損することがなく、耐久性に優れたロック機構である。
【実施例】
【0016】
図1は本発明に係る盗難防止機能を備えたDVDの貸出しケースの外観を示している実施例である。同図の1は本体ケース、2は蓋を示し、蓋2は開閉可能に本体ケース1の縁に取付けられていて、該本体ケース1に被覆される。本体ケース1にはDVDが収容され、該本体ケース1の中央に突出して設けたヘソ6がDVDの穴に嵌って取付けられる。ところでDVDは本体ケース1に収容されて蓋2が閉じられ、この状態で、例えば陳列用ケース(図示なし)に入れて店内の棚に配列される。
【0017】
陳列用ケースにはタイトルシートが備わっている為に、顧客は陳列用ケースからDVDが収容されている貸出しケースを抜取ってカウンターへ持ち運んで借りることが出来る。ところで、本発明の貸出しケースは蓋2を開いてDVDが抜取られないように、該蓋2はロックされている為に、カウンターではこのロックを解錠して貸出すことになる。すなわち、貸出しケースの蓋2を閉じてロックプレート3を本体ケース1の開口4から嵌入することで蓋2はロックされる構造と成っている為に、貸し出す際には該ロックプレート3が抜き取られる。
【0018】
図2は本発明に係る貸出しケースの蓋2を開いた状態の内部構造を示している実施例である。本体ケース1にはDVDを収容する為の空間とロックプレート3を嵌入する為の空間が設けられ、DVD収容空間5の中央にはヘソ6が突出していて、DVDの中心穴に嵌るようになっている。このヘソ6は従来のCDケースと同じである。
【0019】
一方のロックプレート嵌入空間7にはロックプレート3がスライドして嵌入し、蓋2が開かないようにロックされる。すなわち、ロックプレート3を介して本体ケース1と蓋2が互いに連結される構造と成って、蓋2を開くことが出来なくなる。そして、該開口4からロックプレート嵌入空間7に嵌入したロックプレート3は嵌入完了に伴ってロックされ、解錠具にて解錠しない限り抜き取ることが出来なくなる。
【0020】
その為に、蓋2のロックプレート収容空間7の一部であって、ロックプレート3を構成しているロック部10が嵌るロック部嵌入空間19の内面には係止部8a,8bが設けられ、差し込まれたロックプレート3のロックツメが係止することが出来る。同時に、差し込まれたロックプレート3によって蓋2が開かないような構造と成っている。図3はこのロックプレート3を示す具体例であるが、ロックプレート3は平板部9とロック部10を有し、ロック部10は基部11から延び、平板部9はロック部10の途中まで形成されている。
【0021】
ところで、ロック部10には2枚のロックツメ12a,12bが設けられ、ロックツメ12aは軸13aに揺動可能に軸支され、ロックツメ12bは軸13bに揺動可能に軸支されている。そして、両ロックツメ12a,12bの間には揺動レバー14が軸15に軸支されている。揺動レバー14の両端は切欠かれてロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bとの間に隙間17a,17bを残している。
【0022】
上記ロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bはロック部10の上面18から一部が突出している。すなわち、ロックツメ12a,12bの基部側は樹脂製バネにて力Pにて押圧されている為に、先端ツメ16a,16bが上面18から常に突出することに成る。勿論、先端ツメ16a,16bを押圧したり、マグネットの磁気力にて引くならば先端ツメ16a,16bは樹脂製バネの弾性力に対抗して後退(降下)することが出来る。
【0023】
図4はロックプレート3が貸出しケースに嵌入してロックされている場合を示している。(a)は正面図であり、(b)は蓋2に取付けた係止部8a,8bを表している。係止部8a,8bは図2に示しているように蓋2に形成しているロックプレート3のロック部10のロック部嵌入空間19の仕切り部表面に取付けられ、ロック部10が嵌ることでロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bが係止部8a,8bに係止することが出来る。従って、ロックプレート3を引いても外すことは出来なくなる。同図の係止部8a,8bはコ形をした金属部品であり、蓋2の表面から差し込んだ状態で取付けられている。
【0024】
図5はロックプレート3のロックツメ12a,12bの状態を表している概略図である。(a)ロックプレート3が貸出しケースに嵌ってロックされている場合であり、ロックツメ12a,12bは係止部8a,8bに係止している。(b)はマグネット20a,20bによってロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bが引き下げられ、係止部8a,8bから解除されている。従って、ロックプレート3を引き抜くことが出来る。
【0025】
この場合、ロックツメ12a,12bは軸13a,13bを中心として揺動することで、基部側は上昇し、樹脂製バネ21a、21bが撓み変形する。(c)はロックプレート3が引き抜かれた場合であり、マグネット20a,20bによる引っ張り力が無くなると、樹脂製バネ21a,21bのバネ力によって先端ツメは再び上昇する。
【0026】
図6(a)は図5(b)のロックツメ12aを表している。マグネット20aの磁気力によってロックツメ12aの先端ツメ16aが降下し、揺動レバー14の先端に当り、逆に基部22aは上昇して樹脂製バネ21aを撓ませている。図6(b)は図5(c)のロックツメ12aを表している。マグネット20aの磁気力がなくなると、樹脂製バネ21aの作用で基部22aは降下して先端ツメ16aは上昇する。
【0027】
ところで、ロックプレートを引き抜く場合には、所定の距離を隔てた2枚のロックツメ12a,12bにのみ作用するように2個のマグネット20a,20bが使用される。すなわち、ロックツメ12a,12bと同じ位置にマグネット20a,20bを配置した解除具23が用いられる。盗難を目的としてマグネットを用いてロックプレート3を引き抜こうとしても、小さなマグネットであれば、何れか一方のロックツメ12a又は12bが引き寄せられるだけであって、他方のロックツメ12b又は12aの先端ツメ16b又は16aは係止部8a、8bに係止したままとなり、ロックプレート3を引き抜くことは出来ない。
【0028】
本発明のロック機構は、マグネットが大きな場合であっても両ロックツメ12a,12bの先端ツメ16a,16bを降下して解除させることが出来ないようになっている。すなわち、偏心した位置に軸支されている揺動レバー14はマグネットに引かれて揺動し、図7に示すように軸15からの距離の長い右側が降下する。その為に右側のロックツメ12bの先端ツメ16bは降下して係止部から解除されるが、逆に左側のロックツメ12aの先端ツメ16aは上昇することになる。
【0029】
従って、ロックプレート3を引き抜くことは出来ない。従って、マグネットを準備するだけではロックプレート3を外して貸出しケースに収容されているDVDなどを盗難することは不可能となっている。両ロックツメ12a,12bと同じような間隔を隔てた2個のマグネット20a,20bを備えた解除具23でなくては解除することが出来ない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ロックプレートを外して貸出しケースの蓋を開いた状態の概略図。
【図2】貸出しケースの内部構造。
【図3】ロックプレートの実施例で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図を表している。
【図4】ロックプレートのロックツメが蓋に設けた係止部に係止している場合。
【図5】(a)はロックプレートのロックツメが係止部に係止している場合、(b)マグネットに引かれてロックツメの先端ツメが降下した場合、(c)はロックプレートを引き抜いた場合。
【図6】(a)は図5の(b)に示すロックツメ、(b)は図5の(c)ん示すロックツメ。
【図7】大きなマグネットを近づけた場合の両ロックツメの動作。
【符号の説明】
【0031】
1 本体ケース
2 蓋
3 ロックプレート
4 開口
5 DVD収容空間
6 ヘソ
7 ロックプレート収容空間
8 係止部
9 平板部
10 ロック部
11 基部
12 ロックツメ
13 軸
14 揺動レバー
15 軸
16 先端ツメ
17 隙間
18 上面
19 ロック部嵌入空間
20 マグネット
21 樹脂製バネ
22 基部
23 解除具



【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内の棚に陳列したDVD等が盗難に遭わないようにしたDVD等の貸出しケースの盗難防止機構において、該貸出しケースは本体ケースと本体ケースを閉じる蓋から成り、ケースの外側開口から警報装置が感知するタグシール等を貼着したロックプレートをロックプレート収容空間にスライドして嵌入することで上記蓋が開かないように互いに噛み合ってロックする構造とし、ロックプレートのロック部には所定の間隔をおいて対を成す2つのロックツメを揺動可能に軸支し、そして両ロックツメの間には偏心した位置に設けた軸に揺動レバーを軸支し、上記両ロックツメの先端ツメは揺動して降下することで揺動レバーの先端に係止することが出来るように間には僅かな隙間を介在し、そしてロックツメの基部には弾性力を付勢して先端ツメがロックプレートロック部の上面から突出させ、マグネットの磁気力を作用することで両ロックツメの先端ツメを降下してケース側に設けた係止部から解除可能としたことを特徴とする貸出しケースのロック機構。
【請求項2】
ケース側に設けた係止部を金属製とした請求項1記載の貸出しケースのロック機構。
【請求項3】
上記両ロックツメの基部を樹脂製バネにてバネ力を付勢した請求項1、又は請求項2記載の貸出しケースのロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−284102(P2007−284102A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113118(P2006−113118)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(595049622)株式会社ジャストコーポレーション (44)
【Fターム(参考)】