説明

EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法および装置

EEGアセンブリ(201)を用いて人物を警告する方法は,事象の人物を自動的に警告し,外部機器を操作して上記EEGアセンブリ(201)と上記外部機器(202)の間の無線接続を確立し,上記EEGアセンブリ(201)から上記外部機器(202)へ,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の上記警告をトリガした事象を識別する情報を持つデータメッセージを無線送信し,上記外部機器(202)中の提示手段を用いて上記人物の上記警告をトリガした上記事象に関する情報を提供する。この発明はまた上記方法にしたがって動作する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はEEGアセンブリを持ち運ぶ人物(a person carrying an EEG assembly)を警告する(alerting)方法に関する。より詳細にはこの発明は,低血糖発作といった特定の生物学的事象を通知する(warning)ためにEEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法に関する。さらにこの発明は,特定の生物学的事象を通知するためにEEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低血糖発作は低すぎる血糖値の結果として発症し,インシュリンまたは他の血糖値規制医薬を用いた治療を受けているほとんどの糖尿病患者にとっての問題である。遺伝的素因(a genetic predisposition)を持つ者は,低血糖になると別のリスクを伴う。上記発作は非常に激しくなることもあり,昏睡(意識不明状態)を伴うことさえある。したがって発作のリスクは,このような者ができ得る活動を制限することさらには生活の質を低下させることがある。発作は簡単なやり方で,たとえばブドウ糖値が極端に低くなったときに適切な食べ物を摂取することによって防ぐことができる。しかしながら,問題となるのは,このリスクグループの多くの者は,発作のリスクを伴う極端に低いレベルに血糖値が達したときを自分では認識できないことであり,この現象は無自覚性低血糖症(hypoglycemic unawareness)として知られている。上記リスクグループは約1000万人を数える。
【0003】
国際特許公開第2006066577号は,低血糖発作を予測しかつ通知する装置を開示しており,そこでは,埋込ユニットが一または複数の電極からEEG信号(脳波信号)を収集し,皮膚を通して無線で外部ユニットに送信する低電力消費のインターフェースユニットとして動作するだけである。上記外部ユニットが,信号処理ユニットおよびアラーム信号発生器を含む,より多くの電源を必要とするコンポーネントを含む。この例では上記アラームは音響信号とすることができる。
【0004】
国際特許公開第2006066577号はさらに,信号処理装置,アラーム発生器,外部ユニットによって皮膚を通して無線で充電する充電池と,上記埋込ユニットが上記外部ユニットまたは一または複数の他の外部ユニット(one or more substituting external units)へデータを送信できるようにする無線通信回路との両方を備える埋込ユニットを持つ低血糖発作の予測および通知装置を開示している。
【0005】
国際特許公開第2007047667号は,生体電気計測システム,遠隔モニタリングシステムおよび携帯機器を含む装置を開示する。上記生物電気計測システムは,患者の医学的監察に関連して用いられ,EEGおよびEEGリーディングに関連する生物電気信号パターンを計測する。上記遠隔モニタリングシステムおよび上記携帯機器は,上記生物電気計測システムからの生物電気関連データの送信を受信するように構成されている。緊急の特性が検知されると,上記遠隔モニタリングシステムには医学対応携帯機器への適切なデータおよび/または所定の通知アラームおよびメッセージの送信が指示される。
【0006】
国際特許公開第2008092133号は,発作を持つ者およびその者の罹患性(susceptibility)を監視するシステムを開示する。上記システムは埋込アセンブリおよび外部アセンブリを含む。上記外部アセンブリは通知指示を提供するために用いられる。上記外部アセンブリからの出力は視覚的なもの,聴覚的なもの,触覚的(たとえば振動)なもの,またはこれらの組み合わせとすることができる。開示されているシステムはまた,埋込アセンブリと外部アセンブリの間の通信エラーを示すように構成される警告(アラート)を含むことができる。上記警告は上記内部アセンブリ内または上記外部アセンブリ内のいずれかに配置することができる。上記警告は視覚的警告,聴覚的警告,触覚的警告またはこれらの組み合わせとすることができる。上記外部アセンブリの構成要素はMP3プレーヤ,携帯電話などの典型的な家電製品のハウジング中に統合することができる。典型的には13.56MHzから10GHzの間の周波数が,上記埋込可能アセンブリおよび上記外部アセンブリ間のデータ転送のための無線周波数として用いられる。
【0007】
国際特許公開第2007150003号は長期間にわたって患者からの生体信号を監視する携帯用システムを開示する。上記システムの少なくとも一部を患者体内に埋込むことができる。外部給電されるリードレスの埋込装置を用いて患者から脳活動信号がサンプリングされ,さらなる処理のために携帯型の患者用通信装置に送信される。上記外部機器は典型的にはユーザ・インターフェースを含むことができる。上記ユーザ・インターフェースを,上記埋込装置が通信範囲外となったときに警告信号を提供するために用いることができる。
【0008】
外部機器無しでEEGアセンブリを用いる場合,関連情報を視覚的に提示するための適切な手段がない。
【0009】
無線接続によって接続された外部機器を持つEEGアセンブリを用いる場合,上記システムがユーザを警告することができない休止時間帯のリスク(a risk of periods of down time)がある。
【0010】
無線通信に依存するEEGアセンブリにおける特有の問題は,無線接続の維持がしばしば比較的に電力を消費することにある。
【発明の開示】
【0011】
したがってこの発明の特徴は少なくともこれらの欠点を克服することにあり,信頼性を有しかつユーザフレンドリーな,EEGアセンブリのユーザを警告する方法を提供することにある。
【0012】
この発明の他の特徴は,信頼性を有しかつユーザフレンドリーにEEGアセンブリのユーザを警告するように構成される装置を提供することにある。
【0013】
第1の観点において,この発明は,請求項1に記載のEEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法を提供する。
【0014】
これにより,従来技術の欠点による支障を受けない(does not suffer from),EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法が提供される。
【0015】
第2の観点において,この発明は,請求項12に記載の装置を提供する。
【0016】
さらなる有利な特徴は従属請求項から明らかにされる。
【0017】
この発明のさらに他の特徴は,この発明を詳細に説明する以下の記載から当業者に明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の第1の方法の実施例によるもので,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法を示すフロー図である。
【図2】この発明の第1の装置の実施例によるもので,EEGアセンブリおよび第1の外部機器をかなり概略的に示している。
【図3】この発明の第2の装置の実施例によるもので,EEGアセンブリおよび第1の外部機器をかなり概略的に示している。
【図4】この発明の第3の装置の実施例によるもので,EEGアセンブリおよび第1の外部機器をかなり概略的に示している。
【図5】この発明の第4の装置の実施例によるもので,EEGアセンブリおよび第1の外部機器をかなり概略的に示している。
【実施例】
【0019】
例示的にこの発明の好ましい実施例を示しかつ記載する。当然ではあるが,この発明は他の異なる実施態様も適用可能であり,その様々な細部構造は,この発明から逸脱することなく,様々なすべての自明な点において変更が可能である。したがって図面および明細書は本質的に例示的なものにすぎず限定的なものではない。
【0020】
この明細書において,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の自動警告をトリガすることができる事象(incidence)は,上記人物における特定の生物学的事象または上記EEGアセンブリ中の技術的障害(technical malfunction)の識別ないし予測とすることができる。生物学的事象の一例は低血糖発作である。
【0021】
はじめに図1を参照して,図1はこの発明の第1の方法の実施例による,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する方法のフロー図を示している。第1のステップ101においてEEGアセンブリおよび外部機器(external device)が用意される。第2のステップ102においてEEG電極(複数)および対応する信号処理手段が上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物における事象を検出するために用いられる。第3のステップ103において上記EEGアセンブリ内の警告手段が,事象を持つ上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を自動的に警告する。第4のステップ104において上記外部機器が操作されて上記EEGアセンブリと上記外部機器との間の無線接続が確立される。第5のステップ105において,上記無線接続が用いられて,上記EEGアセンブリから上記外部機器へ向けて,上記警告をトリガした事象を識別する情報を持つデータメッセージが送信される。第6の最後のステップ106において,第1の外部機器中の提示手段が用いられて,受信したデータメッセージの内容に基づく情報が提供される。
【0022】
好ましい実施態様では,上記提供される情報は,上記警告をトリガした特定事象を取除くかまたは防止することについてユーザをアドバイスすることに向けられるものである。上記警告をトリガしたのが特定の生物学的事象であれば,上記情報は適切な医学的処置に関する指示を含むものとすることができる。上記警告をトリガしたのが上記EEGアセンブリ中の技術的障害であれば上記情報は上記障害を取除くことに向けられた提案(suggestions)を含むものとすることができる。技術的障害は時としてたとえば電池交換といった簡単な操作によって直すことができる。
【0023】
一実施態様において上記警告手段は骨導振動器(a bone anchored vibrator)を備える。他の実施態様において上記警告手段は可聴警告を鳴らすことができる電気音響出力トランスデューサを備える。この発明の好ましい実施態様によると,上記ユーザを警告し,上記EEGアセンブリと上記外部機器の間の無線接続を確立して上記警告をトリガした上記事象に関するさらなる情報を受信することが必要であることを気づかせるのには,簡単な可聴ビープ音または短い振動(short vibration)で十分である。
【0024】
好ましい実施態様において,上記無線接続を起動(作動)する(activating)ための上記外部機器の操作は,上記EEGアセンブリに上記外部機器を近づけることを含む。一例では上記EEGアセンブリと上記外部機器の間の距離は約5センチメートル未満である。
【0025】
一実施態様において,上記外部機器中のリンク手段が,上記無線接続を確立するプロセスを作動するシンプルなプッシュボタンを備える。
【0026】
一実施態様において,上記外部機器中の上記リンク手段の起動が一連のリクエスト・メッセージの送信をトリガして上記EEGアセンブリとの無線接続を確立する。上記EEGアセンブリと第1の外部機器とが有効通信範囲内にあれば,上記EEGアセンブリは,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の警告をトリガした事象を識別する情報を持つデータメッセージを送信することで,上記リクエスト・メッセージに対して応答することができる。
【0027】
他の実施態様において,上記外部機器中の上記リンク手段の起動は,上記EEGアセンブリと上記第1の外部機器とが互いに適切な通信範囲内にあるときにこれらを互いに自動的に認識させるための,NFCプロトコルに固有の識別およびハンドシェイキング・コード(the identification and handshaking codes inherent in the NFC protocol)の使用をトリガする。識別が一旦実行されると,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の警告をトリガした事象を識別する情報を持つデータメッセージが第1の外部機器に送信される。
【0028】
一実施態様において,上記外部機器中の上記リンク手段は上記第1の外部機器が起動したときに自動的に起動される。したがってユーザが第1の外部機器を起動して上記EEGアセンブリの受信範囲内に位置させるだけで上記無線通信が確立される。この機能は認知障害者(cognitive weak users)にとって有利となる。
【0029】
一実施態様において,上記外部機器中および上記EEGアセンブリ中のリンク手段は近接磁場通信(near field magnetic communication)をするように構成される。このタイプの無線通信は低電力消費を有することを特徴とする。
【0030】
好ましい実施態様において,上記外部機器中の上記リンク手段のみが無線場(a radio field)を生成し,他方上記EEGアセンブリ中のリンク手段はデータ転送のために負荷変調(load modulation)を使用する。これによって上記EEGアセンブリ中の電力消費を最小限に抑えることができる。
【0031】
一実施態様において,上記外部機器中および上記EEGアセンブリ中のリンク手段はNFC標準(たとえば,ISO/IEC 18092)にしたがって動作するように構成されている。NFCシステムは主高周波誘導通信システム(high frequency mainly inductive communication systems)であり,たとえば数センチのオーダーの非常に短い有効通信範囲を持つ。
【0032】
一実施態様において,上記データメッセージは単に上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の警告をトリガした特定事象を表す数を含むものとされる。これによって上記リンク手段によって消費される電力を低くすることができる。
【0033】
他の実施態様において,上記無線通信は,上記データメッセージの受信を完了したときに上記外部機器によって自動的に停止(起動終了)される(de-activated)。
【0034】
一実施態様において,上記EEGアセンブリ中の警告手段は,必要とされる情報の上記外部機器への送信が完了したときに上記ユーザに対して第2の警告を発行する。
【0035】
一実施態様において,上記EEGアセンブリ中の上記警告手段は単に,上記第1のデータメッセージを正しく受信したことを確認する情報を持つ上記外部機器からの第2のデータメッセージを上記EEGアセンブリが一旦受信したときに,上記人物に対して第2の警告を発行する。
【0036】
他の実施態様において,上記外部機器は,上記第1のデータメッセージが正しく受信されたときに第2の警告を発行する。
【0037】
好ましくは,上記第2の警告は上記第1の警告と簡単に区別可能なものとされる。これにより,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物は,無線リンク手段の有効通信範囲外に上記外部機器を再び置くことができるときを知ることができる。
【0038】
一実施態様において,上記外部機器は単に提示手段およびリンク手段を備える。上記提示手段は視覚的表示装置,メニュー操作手段および警告をトリガした特定事象を取り除くないし防止することに向けられた情報を持つメモリ手段を備える。安価に製造されかつ操作の簡単な装置が提供される。
【0039】
さらなる実施態様において,上記外部機器はユーザ入力をリクエストする情報を提示し,かつユーザによって選択された入力を表す情報を持つデータメッセージを上記EEGアセンブリに送信する。上記EEGアセンブリは受信したデータメッセージに応答して設定または動作モードを変更することができる。上記外部機器から送信されるデータメッセージは,たとえば上記EEGアセンブリから送信されたデータメッセージの受領確認に関する情報,事象検出のための閾値の修正に関する情報,音響警告の音量の修正に関する情報,またはデータ・ロギングの起動に関する情報を持つことができる。
【0040】
さらに他の実施態様において,上記外部機器から上記EEGアセンブリへ送信されるデータメッセージは,上記EEGアセンブリ中の内部クロックを実時間クロック(real-time clock)に同期させることができる情報を持つ。これによって上記EEGアセンブリ中に実時間クロックが提供される。一実施態様において,上記実時間クロックはデータログ中に記憶させるべきイベントの発生の追跡のために用いられる。一実施態様において,上記外部機器はNFC対応の携帯電話である。
【0041】
他の実施態様において,警告をトリガした特定事象を取り除くないし防止することに向けられた情報を提示するために携帯電話中に必要とされるソフトウエアは,上記携帯電話上で実行される適切なJavaプログラムとして実装される。
【0042】
一実施態様によると,上記Javaプログラムは,上記人物に上記EEGアセンブリを取り付けるときと同じ時に(at the same time)上記携帯電話中に保存される。
【0043】
一実施態様において,上記必要とされるソフトウエアは上記EEGアセンブリ中に保存される。これにより上記EEGアセンブリは上記必要とされるソフトウエアを上記携帯電話に送信することができる。これはトリガされた警告に対する応答としてまたは他のいずれかの時点において実行することができる。上記EEGアセンブリは,上記EEGアセンブリおよび上記携帯電話が互いを認識した後に,上記携帯電話に向けて上記ソフトウエアの送信を始める。好ましい実施態様において,これはNFC標準に基づいて行われる。
【0044】
他の実施態様において,上記必要とされるソフトウエアは特定のネットワーク・サーバ上に保存される。これにより上記EEGアセンブリは,上記ソフトウエアをダウンロードするために上記特定のネットワーク・サーバに接続することを上記携帯電話に要求する指示を送信することができる。これによってインターネット対応のあらゆる携帯電話を,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物の警告をトリガした事象に関する情報のアクセスおよび提示のために用いることができる。
【0045】
さらに他の実施態様において,上記EEGアセンブリは,一または複数の携帯電話に接続することを上記携帯電話に要求する指示を送信し,上記警告をトリガした事象に関する情報を送信する。これにより,たとえば親族や介助者を警告するのに有利な方法が提供される。
【0046】
図2を参照して,図2はこの発明の第1の装置の実施例にしたがうもので,特定の生物学的事象の通知に適する,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する装置をかなり概略的に示している。
【0047】
上記装置はEEGアセンブリ201および外部機器202を備えている。上記EEGアセンブリ201は上記アセンブリを持ち運ぶ人物205の耳の後ろに皮下的に埋込まれるように構成されている。上記EEGアセンブリ201は第1の埋込み部分203および第2の埋込部分204を含む。上記第1の部分203は2つのアクティブ領域(active areas)を有するプローブからなり,各アクティブ領域は電気信号の存在を検出するために皮下組織に接触する電極を備える。上記第2の部分204は信号処理回路,アラーム発生器および無線リンク手段を含む。この実施例では,上記信号処理回路は,上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換しかつ特定事象を識別ないし予測するために上記デジタル信号を解析(分析)する。特定事象が識別されまたは予測された場合,上記信号処理回路は,上記識別されたまたは予測された事象を持つ上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物205を警告するために,警告信号を自動的に起動するように構成されている。さらに上記信号処理回路は,上記アラームの発信を完了したことを示すデータ・フラグを設定し,かつ上記警告がトリガされた事象のタイプを表す情報を記憶するように構成されている。上記第2の部分204中の無線リンク手段は上記外部機器202と通信するように構成されている。
【0048】
上記外部機器202は上記EEGアセンブリ201と無線接続を確立し,確立した無線接続を使用して上記EEGアセンブリ201から情報を受信するように構成されている。上記外部機器202はまた上記人物における特定の事象をどのようにして取り除くないし防止するかについての情報を提供するように構成される提示手段(presentation means)を含む。
【0049】
この実施態様において,上記第1の埋込部分203はそれぞれが2つ以上の電極を有する2つ以上のプローブを備えることができる。これによって特定事象を識別ないし予測する能力を向上させることができる。
【0050】
一実施態様において,上記EEGアセンブリは充電池を備えている。
【0051】
一実施態様において,上記第1の外部機器は標準の電池(standard battery)を備え,他の実施態様では標準の充電池を備えている。
【0052】
一実施態様において,上記第1の外部機器中の上記提示手段は,視覚的表示装置(visual display),メニュー操作手段および上記警告をトリガした特定事象を取り除くないし防止することに向けられた情報を持つメモリ手段を備えている。
【0053】
次に図3を参照して,図3はこの発明の第2の装置の実施例による特定の生物学的事象の通知に適する,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する装置をかなり概略的に示している。上記装置はEEGアセンブリ301および外部機器302を備えている。上記EEGアセンブリ301はさらに,上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物306の耳の後ろに皮下的に埋め込まれて構成される埋込部303と耳掛け部304の,2つの分離した機械部材(two separate mechanical parts)から構成されている。
【0054】
上記埋込部303はさらに,第1の埋込部分305と第2の埋込部分307に分けることができる。上記第1の埋込部分305は2つの電極を有するプローブを備えており,図2を参照して記載した上記埋込部分203と同様である。上記第2の埋込部分307は信号処理回路および無線リンク手段を含む。上記信号処理回路は上記電極によって得られた上記信号をデジタル形式に変換するように構成されており,上記無線リンク手段は上記デジタル信号を耳掛け部304に送信するように構成されている。
【0055】
上記EEGアセンブリ301の耳掛け部304は信号処理回路,アラーム発生器および無線リンク手段を含む。上記信号処理回路は上記第2の埋込部分307から受信した上記デジタル信号を解析して特定事象を識別ないし予測し,特定事象が識別されたまたは予測された場合に上記アラーム発生器を起動するように構成されている。上記耳掛け部304中の上記無線リンク手段は上記埋込部分307と通信して上記デジタル化された電極信号を受信するように構成されており,さらに上記外部機器302と通信して識別されたまたは予測された事象を表すデータを送信するように構成されている。
【0056】
一実施態様において,上記埋込部303および上記耳掛け部304の間の無線接続は2つの目的を持つ。第1の目的はさらなる解析および処理のために,上記埋込部303から上記耳掛け部30へ上記デジタル電極信号を送信することである。第2の目的は上記耳掛け部304から上記埋込部303へ電力を送信することである。この構成では上記EEGアセンブリの上記埋込部303はそれ自身がエネルギー源を持たず,他方上記耳掛け部304は電池で給電される。すなわち上記埋込部303は,上記耳掛け部304からの無線誘導電力送信(wireless inductive power transmission)に依存する。
【0057】
上記外部機器302は図2を参照して記載した上記外部機器202と同様の構成部材を備えている。すなわち上記外部機器302は上記耳掛け部304と無線接続を確立するように構成されたリンク手段を備えている。したがってこの実施例では,上記EEGアセンブリ301の上記耳掛け部304中の無線リンク手段は,上述した第1および第2の目的に加えて第3の目的を提供する。
【0058】
この実施例では,上記埋込部303と上記耳掛け部304の間の無線接続は約1MHzの搬送周波数を形成し,上記外部機器302と上記耳掛け部304の間の無線接続は約13MHzの搬送周波数を形成する。
【0059】
いくつかの実施態様では,上記一つ目の接続の上記搬送周波数は0.50MHzから3.0MHzの範囲とすることができ,上記2つ目の接続の上記搬送周波数は9から15MHzの範囲とすることができる。
【0060】
一実施態様において,上記耳掛け部304中の上記無線リンク手段は,上記第1および第2の搬送周波数のそれぞれについて最適化された静電容量値を持つ2つのキャパシタ間のスイッチングによって,簡単に第1および第2の搬送周波数において無線通信できるように構成されている。
【0061】
一実施態様において,上記耳掛け部304中の上記無線リンク手段は,上記2つの搬送周波数の両方に適するただ一つのコイルを備えている。
【0062】
次に図4を参照して,図4はこの発明の第3の装置の実施例による,特定の生物学的事象の通知のための,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する装置をかなり概略的に示している。上記装置はEEGアセンブリ401および外部機器402を備えている。上記EEGアセンブリ401はさらに,埋込部403および耳掛け部404の2つの分離した機械部材からなる。
【0063】
上記埋込部403はさらに第1の埋込部分405および第2の埋込部分407に分けることができる。上記第1の埋込部分405は図2および図3をそれぞれ参照して記載した上記埋込部分203および205と同様である。上記第2の埋込部分407は図2および図3をそれぞれ参照して記載した上記埋込部分204および307と同様である。
【0064】
上記耳掛け部404はハウジング部408,イヤピース部410およびコネクタ部409から構成される。上記ハウジング部408は信号処理回路および無線リンク手段を備え,これらは図3を参照して記載した上記耳掛け部304中の上記回路およびリンク手段と同様である。上記ハウジング部408はさらに電気音響アラーム発生器(図示略)を含む。上記イヤピース部410および上記コネクタ部409は,上記電気音響アラーム発生器から上記人物406の鼓膜に向けて音響アラーム信号を伝えるように構成されている。
【0065】
一実施態様において,上記コネクタ部409は,上記ハウジング部408内に設けられる電気音響出力トランスデューサから上記鼓膜に向けて音響アラーム信号を伝える音チューブ(sound tube)であり,上記イヤピース部410は耳道内に上記コネクタ部409を配置するように構成されている。
【0066】
変形例において,上記イヤピース部401は耳道内に電気音響出力トランスデューサを配置するように構成されており,上記コネクタ部409は上記ハウジング部408中の上記信号処理回路と上記イヤピース部410中の出力トランスデューサの間の電気接続を提供するように構成されている。
【0067】
上記外部機器402は図2および図3を参照して記載したのと同様の構成要素を備えている。
【0068】
次に図5を参照して,図5はこの発明の第3の装置の実施例による,特定の生物学的事象の通知のための,EEGアセンブリを持ち運ぶ人物を警告する装置をかなり概略的に示している。上記装置はEEGアセンブリ501および外部機器502を備えている。
【0069】
上記EEGアセンブリ501は3つの外部部分,すなわちハウジング部503,イヤピース部504およびコネクタ部505を備えている。上記イヤピース部504は脳波信号を計測するように構成された2つの電極(図示略)を備えるシェルを備えており,上記イヤピース・シェルの外表面(the outer surface)の輪郭および上記電極(複数)は上記EEGアセンブリを持ち運ぶ人物506の耳道および甲介(concha)の少なくとも一部と個別に適合されている。上記コネクタ部505は上記電極(複数)と上記ハウジング部503の間の電気接続を提供する。上記ハウジング部503は信号処理回路,音響アラーム発生器および無線リンク手段を備えている。上記信号処理回路の機能は,たとえば図2の上記埋込部204を参照して記載した回路と同様である。上記イヤピース部504およびコネクタ部505はさらに上記音響アラーム発生器から上記人物506の鼓膜に向けて音響アラーム信号を伝えるように構成されている。
【0070】
上記外部機器502は図2,図3および図4を参照して記述したものとの同様の構成要素を備えている。これにより埋込部を持たないシステムが提供される。
【0071】
一実施態様において,上記イヤピース部504は上記電極(複数)によって得られた信号をデジタル形式に変換するように構成された信号処理回路を備え,上記コネクタ部505は上記デジタル信号を上記ハウジング部503へ送信するように構成されており,上記ハウジング部503中の上記信号処理回路はデジタル化された電極信号を受信するように構成されている。
【0072】
構成および手順の他の修正および変形例は,当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EEG解析を利用して所定事象について人物を警告する方法であって,
上記人物からのEEG信号を検出する少なくとも一つの電極,上記EEG信号を解析して上記人物における所定事象を確定する信号処理手段,上記人物を警告する警告手段,および第1のリンク手段を含むEEGアセンブリを上記人物に取付け,
上記人物に情報を提供する提示手段,および上記第1のリンク手段と無線接続を確立する第2のリンク手段を含む外部機器を用意し,
上記確定された事象について上記警告手段によって上記人物を警告し,
上記外部機器を操作して上記EEGアセンブリと上記外部機器の間の無線接続を起動し,
上記EEGアセンブリから上記外部機器へ上記事象についての情報を持つデータメッセージを送信し,
上記提示手段を用いて上記事象についての情報を提供する,
方法。
【請求項2】
上記EEGアセンブリの技術的障害を検出する信号処理手段を上記EEGアセンブリ中に組込むステップを含む,
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記EEGアセンブリ中の技術的障害について上記人物を警告するステップを含む,
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記警告手段は骨導振動器を用いるものである,請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記警告手段は電気音響トランスデューサを用いるものである,請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記第1のリンク手段および上記第2のリンク手段が誘導近距離通信を用いるものである,請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上記第1のリンク手段および上記第2のリンク手段がNFC標準にしたがって動作するように構成されている,請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記外部機器は携帯電話である,請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記EEGアセンブリを取り付けるステップは,
上記電極,上記警告手段および第3のリンク手段を含む第1の機械部分を,上記人物の頭骨の外側に皮下的に埋込み,
上記EEG信号処理手段,第1のリンク手段,および上記第3のリンク手段と無線接続を確立するための第4のリンク手段を含む第2の機械部分を,上記人物の耳の後ろで持ち運ばれるべく取り付けることを含む,
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
上記EEGアセンブリを取り付けるステップは,
上記電極,上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換する電極信号処理回路,および音響警告を生成して音チャンネルによって上記音響警告を上記人物の鼓膜に向けて伝える上記警告手段を備える第1の機械部分を,上記人物の耳道内に少なくとも部分的に装着されるべく取り付け,
上記EEG信号処理手段および上記第1のリンク手段を備える上記第2の機械部分を,上記人物の耳の後ろで持ち運ばれるべく取り付け,
上記EEG信号処理手段を上記警告手段および上記電極信号処理回路に選択的に接続するコネクタ部を取り付けることを含む,
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
上記EEGアセンブリを取り付けるステップは,
上記電極,上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換するように電極信号処理回路および音響警告を上記人物の鼓膜に向けて伝える音チャンネルを含む第1の機械部分を,上記人物の耳道内に少なくとも部分的に装着されるべく取り付け,
上記EEG信号処理手段,上記第1のリンク手段,および音響警告を生成する上記警告手段を含む第2の機械部分を,上記人物の耳の後ろにおいて持ち運ばれるべく取り付け,
上記EEG信号処理手段を上記電極信号処理回路に選択に接続するように構成され,上記第2部分から上記第1部分へ上記音響警告を伝える音チューブを備えるコネクタ部を取り付けることを含む,
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
EEG解析を利用して所定事象について人物を警告する装置であって,
EEG信号を検出する電極,上記EEG信号を解析して所定事象を確定するEEG信号処理手段,上記人物を警告する警告手段,および第1のリンク手段を含むEEGアセンブリと,
上記事象についての情報を提供する提示手段,および上記第1のリンク手段と無線接続を確立する第2のリンク手段を含む外部機器とを備え,
上記第1のリンク手段は上記外部機器からのリクエストに応答して上記人物における所定事象を確定する情報を持つデータメッセージを送信するように構成されている,
装置。
【請求項13】
上記第1のリンク手段および上記第2のリンク手段がNFC標準にしたがって動作するように構成されている,請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記外部機器が,上記第1のリンク手段および上記第2のリンク手段による無線接続の確立を起動するための起動操作手段を備えている,請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
上記EEGアセンブリが,
上記電極,上記警告手段および第3のリンク手段を備える,上記人物の頭骨の外側に皮下的に埋め込まれた第1の機械部分と,
上記EEG信号処理手段,上記第1のリンク手段,および上記第3のリンク手段と無線接続を確立する第4のリンク手段を備える,上記人物の耳の後ろで持ち運ばれる第2の機械部分を備えている,
請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
上記EEGアセンブリが,
上記電極,上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換する電極信号処理回路,および音響警告を生成しかつ上記音響警告を音チャンネルによって上記人物の鼓膜に向けて伝える上記警告手段を備える,上記人物の耳道内に少なくとも部分的に装着される第1の機械部分と,
上記EEG信号処理手段および上記第1のリンク手段を備え,上記人物の耳の後ろにおいて持ち運ばれる第2の機械部分と,
上記EEG信号処理手段を上記警告手段および上記電極信号処理回路に選択的に接続するコネクタ部と,を備えている,
請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
上記EEGアセンブリが,
上記電極,上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換する電極信号処理回路,および音響警告を上記人物の鼓膜に向けて伝える音チャンネルを含む,上記人物の耳道内に少なくとも部分的に装着される第1の機械部分と,
上記EEG信号処理手段,上記第1のリンク手段,および上記音響警告を生成する上記警告手段を含む,上記人物の耳の後ろで持ち運ばれる第2の機械部分と,
上記EEG信号処理手段を上記電極信号処理回路に選択的に接続するように構成され,上記第2部分から上記第1部分へ上記音響警告を伝える音チューブを備えるコネクタ部と,を備えている,
請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−511304(P2013−511304A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539200(P2012−539200)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066191
【国際公開番号】WO2011/066852
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(500011045)ヴェーデクス・アクティーセルスカプ (99)
【Fターム(参考)】