説明

EHC制御方法及び同方法を使用する排気ガス浄化システム

【課題】排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機する。
【解決手段】第1又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、比較的低い電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力を供給する。一方、第1又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1及び/又は第2EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、比較的高い電圧にて第1及び/又は第2EHCに電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化システムにおける電気ヒータ付き触媒(EHC)の制御方法に関する。更に、本発明は、当該EHC制御方法を使用する内燃機関の排気ガス浄化システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関においては、環境保護の観点から、排気中に含まれる煤やSOF(Soluble Organic Fraction)等の粒状物質(PM:Particulate Matter)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)等を削減することが求められている。
【0003】
かかる要求に対し、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)等のPMを捕集するフィルタ等(以降、「PM捕集フィルタ」とも称する)を、内燃機関の排気系に設ける技術が知られている。また、排気中のCO、HC、NOx等の有害物質を浄化する各種排気ガス浄化触媒を設ける技術が知られている。更に、PM捕集フィルタと排気ガス浄化触媒とを組み合わせたもの(以降、「フィルタ等」とも称する)や、複数種の有害物質を浄化するもの(例えば、三元触媒)を内燃機関の排気系に配設する技術が知られている。
【0004】
これらの排気ガス浄化触媒においては、一般に、常温では(触媒の活性化温度に到達していないことから)触媒による排気ガス浄化機能が十分に発揮されない。即ち、排気ガス浄化触媒が本来の排気ガス浄化機能を発揮するためには、これらの触媒が所定の温度に到達している必要がある。また、例えば、吸蔵還元型NOx触媒(以降、「NSR触媒」とも称する)の所謂SOx被毒に対するSOx再生処理等の触媒再生処理もまた、常温では十分に進行せず、再生しようとする触媒が所定の温度に達している必要がある。
【0005】
更に、PM捕集フィルタにおいては、PMの捕集量が増加すると排気の通過抵抗が増え、やがてフィルタが詰まり、最悪の事態としてはPMの急激な燃焼に伴うフィルタの溶損を招く虞がある。従って、PM捕集フィルタにおいては、例えば、同フィルタの上流側と下流側との差圧(以降、「前後差圧」とも称する)が規定値を超えた場合、PM捕集フィルタに捕集されている粒状物質を燃焼させて除去する再生処理(以降、「PM再生処理」とも称する)が行われる。このPM再生処理についても、PM捕集フィルタが所定の温度に達している必要がある。
【0006】
尚、本明細書においては、前述の各種排気ガス浄化触媒及びPM捕集フィルタ等の、排気ガスを浄化するための装置を「排気ガス浄化装置」と総称し、上記SOx再生処理、PM再生処理、及びNOx触媒に対するNOx還元処理等を含めて、排気ガス浄化装置の「再生処理」と総称する場合がある。
【0007】
前述のように、排気ガス浄化装置に本来の排気ガス浄化機能を発揮させたり、排気ガス浄化装置の再生処理を十分に行ったりするためには、排気ガス浄化装置が所定の温度まで昇温されている必要がある。そこで、例えば、これらの排気ガス浄化装置を内燃機関の近くに配設する等して、排気ガスの熱や排気管からの伝導熱を利用して排気ガス浄化装置の温度を早期に高めようとする対策が従来よりなされている。しかしながら、このような対策では、内燃機関が冷えた状態で始動(以降、「冷間始動」とも称する)した場合には、排気ガス浄化装置の温度を所定の温度に到達させることができず、排気ガス浄化装置の排気ガス浄化機能が低下したり、排気ガス浄化装置の再生処理を十分に行えなかったりして、結果として、排気ガスにおける有害物質の排出量の削減が不十分となってしまう虞がある。
【0008】
そこで、内燃機関の排気通路において、前述の排気ガス浄化装置の上流に電気加熱式触媒(EHC)を設け、内燃機関の冷間始動時等、排気ガス浄化装置の温度が所定の温度に到達していない場合には、EHCに通電することにより、EHCの下流側に配設されている排気ガス浄化装置の暖機を促進し、本来の排気ガス浄化機能を発揮させたり、再生処理を十分に行ったりする技術が知られている。
【0009】
しかしながら、上記のようにEHCが設けられる排気通路を流れる排気ガスには、燃料の燃焼に伴って生成される水分が水蒸気として含まれており、例えば、長期間に亘って冷間状態に置かれた内燃機関の冷間始動時等において、排気ガス中の水蒸気が排気通路内で凝縮し、凝縮水を生じ易い傾向にある。
【0010】
このような状況において、前述のようにEHCに通電されると、例えば、EHCと当該EHCを備える設備(例えば、車両等)や排気通路とが凝縮水を介して導通状態となり、漏電を生ずる虞がある。このように漏電を生ずる(又は生じ得る)状況においてEHCに通電すると、本来は排気ガス浄化装置の暖機に供されるべき電力資源の一部が無駄に消費されることに繋がり、省エネルギーの観点からも望ましくない。また、上記のようにEHCを備える設備(例えば、車両等)や排気通路が導通状態となることに起因して、例えば、当該設備(例えば、車両)の運転者が当該設備に接触した際等に、感電する虞を招くので、安全上も好ましくない。
【0011】
そこで、例えば、EHCへの通電開始に先立ち、EHCが漏電を生ずる(又は生じ得る)状況にあるか否かを判定し、その判定結果が肯定(即ち、EHCが漏電を生ずる(又は生じ得る)状況にあるとの判定結果)である場合は、EHCへの通電を禁止する制御を行うことが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。あるいは、EHCの温度が所定の基準値未満である場合は、EHCの上流において排気ガス中の水分を吸着する手段を有するバイパス通路に排気ガスを導いて排気ガス中の水分を低減させることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0012】
しなしながら、上記のように、漏電を回避することを目的としてEHCへの通電を頻繁に制限すると、内燃機関の冷間始動時に排出される有害物質の削減が不十分となり、内燃機関の冷間始動時に排気ガス浄化装置の暖機を促進するという、EHCを設置することの意義そのものが薄れてしまう。また、上記のように、水分吸着手段やバイパス通路を新たに設けることは、排気ガス浄化システムを複雑化・大型化させ、製造コストの増大を招く懸念がある。
【0013】
一方、昨今の環境保護意識の更なる高まりを受け、内燃機関からの有害物質の排出量の削減への要求は益々厳しくなっている。従って、内燃機関の冷間始動時等、排気ガス浄化装置の温度が所定の温度に到達していない場合、排気ガス浄化装置を迅速に暖機して、本来の排気ガス浄化機能を発揮できなかったり、再生処理を十分に行えなかったりする期間を極力短くする技術が従来にも増して必要とされている。
【0014】
上記のように排気ガス浄化装置の暖機をより迅速なものとするには、EHCに供給される電力を高電圧化する(即ち、EHCを高抵抗化する)ことが必要となる。しかしながら、EHCの電気抵抗を高め、EHCに印加される電圧を上げようとすると、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況においては、前述のように漏電が生ずる虞が更に高まるばかりか、EHCにおける凝縮水の存在領域で放電が発生して、EHCを含む排気ガス浄化装置全体の信頼性が低下する虞がある。その結果、EHCへの供給電力の高電圧化(EHCの高抵抗化)は従来から困難であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−223159号公報
【特許文献2】特開2010−270653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述のように、当該技術分野においては、排気ガス浄化装置を迅速に暖機し得る技術が求められている。かかる要求に応えるためには、EHCへの供給電力の高電圧化(EHCの高抵抗化)が必要となる。しかしながら、EHCの電気抵抗を高め、EHCに印加される電圧を上げようとすると、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況において、EHCにおける凝縮水の存在領域で放電が発生して、EHCを含む排気ガス浄化装置全体の信頼性が低下する虞がある。
【0017】
即ち、当該技術分野においては、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機し得る技術に対する継続的な要求が存在する。本発明は、かかる要求に応えるべく創作されたものである。即ち、本発明の目的は、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機し得るEHC制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的は、
内燃機関の排気通路に配設された、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、
前記第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに電力を供給するための電源、
前記電源から前記第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、前記電源から前記第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び前記電源から前記第1EHC及び第2EHCに、前記第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にて、それぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構、
前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段、
前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段、
前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える制御装置、
を備える排気ガス浄化システムにおいて、
前記結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する、結露判定ステップ、
前記第1EHC判定手段により、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定ステップ、
前記第2EHC判定手段により、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定ステップ、並びに
前記結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、及び第2EHC判定ステップにおける判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップであって、前記結露判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップ、
を含むEHC制御方法によって達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るEHC制御方法によれば、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第3回路を介して、比較的低い第3電圧及び第4電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。これにより、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第1EHC又は第2EHCにおいて放電が抑制される。
【0020】
一方、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1EHC判定手段によって、第1EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第1回路を介して、比較的高い第1電圧にて第1EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第1EHCによって、第1排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0021】
また、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第2EHC判定手段によって、第2EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第2回路を介して、比較的高い第2電圧にて第2EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第2EHCによって、第2排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0022】
以上のように、本発明に係るEHC制御方法によれば、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】EHCの断面の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化システムにおけるスイッチ機構の構成及び作動を説明する模式図である。
【図4】本発明の1つの実施態様に係るEHC制御方法において実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述のように、本発明は、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機し得るEHC制御方法を提供することを目的とする。
【0025】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究の結果、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置を備える排気ガス浄化システムにおいて、結露が発生し得る状態にある場合は比較的低い電圧にて第1EHC及び第2EHCに電力を供給し、結露が発生し得る状態にない場合は、比較的高い電圧にて第1EHC及び/又は第2EHCに電力を供給することにより、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機し得ることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0026】
(1)第1態様
本発明の第1態様は、
内燃機関の排気通路に配設された、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、
前記第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに電力を供給するための電源、
前記電源から前記第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、前記電源から前記第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び前記電源から前記第1EHC及び第2EHCに、前記第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にて、それぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構、
前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段、
前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段、
前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える制御装置、
を備える排気ガス浄化システムにおいて、
前記結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する、結露判定ステップ、
前記第1EHC判定手段により、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定ステップ、
前記第2EHC判定手段により、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定ステップ、並びに
前記結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、及び第2EHC判定ステップにおける判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップであって、前記結露判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップ、
を含むEHC制御方法である。
【0027】
上記内燃機関としては、特定のタイプのものに限定されるものではなく、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等、内燃機関として一般的に使用されている種々のタイプの内燃機関が想定される。
【0028】
また、EHCとは、前述のように、電気ヒータ付き触媒を指す。上記第1EHC及び第2EHCは、例えば、通電によって発熱する電熱ヒータが設けられた酸化触媒とすることができる。第1EHC及び第2EHCの基材の材質は、第1EHC及び第2EHCの要求仕様(例えば、使用温度、機械的強度等)を満たすものである限り、特に限定されるものではない。第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置を迅速に暖機させるという第1EHC及び第2EHCの設置目的を鑑みれば、第1EHC及び第2EHCの基材としては、小さな比熱を有する材質(例えば、金属等)であることが好ましい。尚、第1EHC及び第2EHCの構成や材質は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0029】
上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、前述のように、各種排気ガス浄化触媒及びPM捕集フィルタ等の、排気ガスを浄化するための装置を指す。加えて、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、本来の排気ガス浄化機能を発揮したり、当該装置の再生処理を十分に行ったりするためには、所定の温度まで昇温されている必要がある装置を指す。故に、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、上記第1EHC及び第2EHCをそれぞれ備えている。
【0030】
上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置の具体例としては、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)等の粒状物質(PM)を捕集するフィルタ等(PM捕集フィルタ)や、排気中のCO、HC、NOx等の有害物質を浄化する各種排気ガス浄化触媒(例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択型還元触媒(SCR触媒)、NOx貯蔵還元触媒(NSR触媒)等)を挙げることができる。更に、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、前述のように、PM捕集フィルタと排気ガス浄化触媒とを組み合わせたもの(「フィルタ等」とも称する)や、複数種の有害物質を浄化するもの(例えば、三元触媒)であってもよい。
【0031】
上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、前述のように、内燃機関の排気通路に配設される。上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、何れを上流側に配設し、何れを下流側に配設してもよい。例えば、上記内燃機関が車両に搭載される場合は、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置をマニバータ部及びアンダーフロア部(U/F部、床下部)にそれぞれ配設してもよい。
【0032】
上記のように、本実施態様においては、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置が第1EHC及び第2EHCをそれぞれ備える。これにより、本実施態様においては、何れか一方の排気ガス浄化装置のみがEHCを備える場合と比較して、より効率良く排気ガス浄化装置を暖機することができる。具体的には、何れか一方の排気ガス浄化装置(例えば、マニバータ部に配設された排気ガス浄化装置)のみがEHCを備える場合、当該EHCによって他方の排気ガス浄化装置(例えば、U/F部に配設された排気ガス浄化装置)を暖機しようとする場合を想定する。この場合、熱源であるEHCと暖機されるべき排気ガス浄化装置とが離れており、EHCからの熱を伝導すべき排気管からの放熱が多く、他方の排気ガス浄化装置を迅速に暖機させることが困難であるばかりか、EHCに供給される電力を無駄に消費する。逆に、U/F部に配設された排気ガス浄化装置のみがEHCを備える場合も同様である。一方、本実施態様においては、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置が第1EHC及び第2EHCをそれぞれ備えるので、それぞれのEHCがそれぞれの排気ガス浄化装置を迅速に暖機することができ、上述のような放熱による電力の無駄使いが発生しないというメリットも得られる。
【0033】
次に、上記第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力を供給する電源は、特に限定されるものではなく、上記内燃機関が搭載される設備(例えば、車両、船舶等)に応じて、適宜選択することができる。例えば、上記内燃機関が搭載される設備が車両である場合、当該車両に搭載されている電源(例えば、車両用バッテリとして一般的に使用されている電源)を上記電源として使用することができる。また、上記電源は、必要に応じて、例えば、直流・直流変換器(DC−DCコンバータ)等の電圧変換回路や、例えば、AC−DCコンバータ(交流入力直流出力電源)ヤインバータ(直流入力交流出力電源)等の電力変換回路等を備えていてもよい。
【0034】
上記スイッチ機構は、上記電源から上記第1EHC及び第2EHCの何れに電力を供給するかを切り替えるための機構である。具体的には、上記スイッチ機構は、前述のように、上記電源から第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、上記電源から第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び上記電源から第1EHC及び第2EHCに、第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にて、それぞれ電力を供給する第3回路を切り替える。
【0035】
上記のように、上記第1電圧は、上記第1回路によって第1EHCに電力を供給する際に、第1EHCに印加される電圧である。同様に、上記第2電圧は、上記第2回路によって第2EHCに電力を供給する際に、第2EHCに印加される電圧である。一方、上記第3電圧は、上記第3回路によって第1EHCに電力を供給する際に、第1EHCに印加される電圧であり、上記第4電圧は、上記第3回路によって第2EHCに電力を供給する際に、第2EHCに印加される電圧である。
【0036】
上記第1電圧及び第2電圧は、第1EHC及び第2EHCがそれぞれ第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置を迅速に暖機するために必要な電圧であり、これらは同じであっても、異なっていてもよい。第1電圧及び第2電圧の具体的な値は、例えば、第1EHC及び第2EHCの仕様や、暖機されるべき第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置の熱容量等に基づいて、適宜設定することができる。また、上記第3電圧及び第4電圧は、結露が発生し得る状態において第1EHC及び第2EHCでの放電を発生させずに、第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置を暖機するために第1EHC及び第2EHCにそれぞれ印加される電圧であり、これらは同じであっても、異なっていてもよい。更に、前述のように、上記第3電圧及び第4電圧は、第1電圧及び第2電圧よりも低い。
【0037】
尚、上記のような各種電圧(第1電圧、第2電圧、第3電圧、及び第4電圧)を実現するために、それぞれの回路(第1回路、第2回路、及び第3回路)が、必要に応じて、例えば、直流・直流変換器(DC−DCコンバータ)等の電圧変換回路や、例えば、AC−DCコンバータ(交流入力直流出力電源)ヤインバータ(直流入力交流出力電源)等の電力変換回路等を備えていてもよい。
【0038】
上記結露判定手段は、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する。ここで、「結露が発生し得る状態」は、上記内燃機関が搭載された設備(例えば、車両等)の周辺環境を規定する種々の条件のうち、例えば、外気温、湿度、及び大気圧等、各種物理量、制御量、又は指標値等によって表され得る、排気における結露の発生状態(発生し易さや発生速度等を含む)を規定する環境条件を包括する概念に基づいて判断される。尚、本明細書においては、「結露が発生し得る状態」には、結露が発生している状態も含まれるものとする。
【0039】
従って、上記結露判定手段は、例えば、上記のような各種物理量、制御量、又は指標値等(例えば、外気温、湿度、及び大気圧等)を検知する手段(例えば、各種センサ等)を備えるのが一般的である。また、上記結露判定手段は、例えば、上記検知手段から得られる各種物理量、制御量、又は指標値等(例えば、外気温、湿度、及び大気圧等)を表す検出信号等に基づいて、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定するためのアルゴリズムを備えるのが一般的である。当該アルゴリズムは、ソフトウェア(例えば、プログラム等)として実装されていてもよく、ハードウェア(例えば、演算回路等)として実装されていてもよい。例えば、一般的には、当該アルゴリズムは、例えば、上記内燃機関に関する各種制御を行うための電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が備えるROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶装置にプログラムとして格納され、ECUが備える中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって実行されるように実装される。加えて、上記ECUは、例えば、上記検出信号を受け取るための通信ポート等を備える。
【0040】
また、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを結露判定手段が判定するための条件は、例えば、上記のような各種物理量、制御量、又は指標値等(例えば、外気温、湿度、及び大気圧等)に基づくデータテーブル(マップ)を実験等によって予め作成しておき、上記プログラムの実行時に参照できるように、例えば、上記ROM等に格納することができる。あるいは、極めて単純な判定条件の例としては、例えば、第1EHC又は第2EHCの温度が水の沸点未満であるか否かによって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定してもよい。
【0041】
次に、上記第1EHC判定手段及び第2EHC判定手段は、それぞれ第1EHC及び第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する。第1EHC及び第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件は、第1EHC及び第2EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置が如何なる排気ガス浄化装置であるかに応じたものとなる。
【0042】
第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置の具体例としては、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)等の粒状物質(PM)を捕集するフィルタ等(PM捕集フィルタ)や、排気中のCO、HC、NOx等の有害物質を浄化する各種排気ガス浄化触媒(例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択型還元触媒(SCR触媒)、NOx貯蔵還元触媒(NSR触媒)等)を挙げることができる。更に、上記第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置は、前述のように、PM捕集フィルタと排気ガス浄化触媒とを組み合わせたもの(「フィルタ等」とも称する)や、複数種の有害物質を浄化するもの(例えば、三元触媒)であってもよい。
【0043】
前述のように、排気ガス浄化触媒においては、一般に、常温では(触媒の活性化温度に到達していないことから)触媒による排気ガス浄化機能が十分に発揮されない。即ち、排気ガス浄化触媒が本来の排気ガス浄化機能を発揮するためには、これらの触媒が所定の温度に到達している必要がある。従って、第1排気ガス浄化装置又は第2排気ガス浄化装置がかかる排気ガス浄化触媒である場合は、例えば、種々のセンサ(例えば、COセンサ、HCセンサ等)等によって検出される排気ガス中の有害物質の濃度が、予め定められる所定の閾値を超えたときに、第1EHC又は第2EHCに電力を供給すべき状態となる。即ち、第1排気ガス浄化装置又は第2排気ガス浄化装置が上記のような排気ガス浄化触媒である場合は、例えば、種々のセンサ等によって検出される排気ガス中の有害物質の濃度が所定の閾値を超えたか否かが、第1EHC又は第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件となる。
【0044】
また、例えば、第1排気ガス浄化装置がDPF等のPM捕集フィルタである場合は、PMの捕集量が増加あいて排気の通過抵抗が増え、同フィルタの前後差圧が規定値を超えた際に、PM再生処理を行うためにPM捕集フィルタを所定の温度に昇温する必要がある。従って、第1排気ガス浄化装置がDPF等のPM捕集フィルタである場合は、例えば、同フィルタの前後差圧が規定値を超えたときに、第1EHCに電力を供給すべき状態となる。即ち、第1排気ガス浄化装置がDPF等のPM捕集フィルタである場合は、例えば、同フィルタの前後差圧が規定値を超えたか否かが、第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件となる。
【0045】
更に、例えば、第2排気ガス浄化装置がNSR触媒である場合は、例えば、エンジン使用域における排気ガスの状態のテストマッピングに基づくモデル計算によって推計されるNOxの吸蔵量、あるいはNOxセンサによって検出される排気ガス中のNOx濃度に基づいて推計されるNOxの吸蔵量が、予め定められる所定の閾値を超えた際に、内燃機関にリッチスパイク(過剰燃料供給)を発生させると共にNSR触媒を所定の温度に昇温し、一時的に増加した燃料によって、吸着されたNOxを還元して、NSR触媒を浄化する必要がある。また、内燃機関の回転速度や燃料噴射量から算出されるSOx堆積量が所定の閾値を超えた際には、やはり内燃機関にリッチスパイク(過剰燃料供給)を発生させると共にNSR触媒を所定の温度に昇温して、NSR触媒のSOx被毒に対するSOx再生処理を行う必要がある。従って、第2排気ガス浄化装置がNSR触媒である場合は、例えば、NSRにおけるNOxの吸蔵量やSOxの堆積量が所定の閾値を超えたと推計される場合に、第2EHCに電力を供給すべき状態となる。即ち、第2排気ガス浄化装置がNSR触媒である場合は、例えば、NSRにおけるNOxの吸蔵量やSOxの堆積量が所定の閾値を超えたと推計されるか否かが、第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件となる。
【0046】
以上のように、第1EHC及び第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件は、第1EHC及び第2EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置が如何なる排気ガス浄化装置であるかに応じたものとなる。即ち、第1EHC及び第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するための条件は、例えば、第1EHC及び第2EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置が有害物質を浄化する必要があると判断されるか否か、又は第1EHC及び第2EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2排気ガス浄化装置に再生処理を施す必要があるか否かによって判断される。
【0047】
従って、上記第1EHC判定手段及び第2EHC判定手段は、例えば、上記のような判定条件を規定する各種物理量、制御量、又は指標値等(例えば、外気温、湿度、及び大気圧等)を検知する手段(例えば、各種センサ等)を備えるのが一般的である。また、上記第1EHC判定手段及び第2EHC判定手段は、例えば、上記検知手段から得られる各種物理量、制御量、又は指標値等(例えば、外気温、湿度、及び大気圧等)を表す検出信号に基づいて、それぞれ第1EHC又は第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定するためのアルゴリズムを備えるのが一般的である。当該アルゴリズムは、ソフトウェア(例えば、プログラム等)として実装されていてもよく、ハードウェア(例えば、演算回路等)として実装されていてもよい。例えば、一般的には、当該アルゴリズムは、例えば、上記内燃機関に関する各種制御を行うためのECUが備えるROM又はRAM等の記憶装置にプログラムとして格納され、ECUが備えるCPUによって実行されるように実装される。加えて、上記ECUは、例えば、上記検出信号を受け取るための通信ポート等を備える。
【0048】
次に、上記制御装置は、結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、スイッチ機構を作動させて、第1回路、第2回路、及び第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える。具体的には、上記制御装置は、結露判定手段による判定結果が肯定である場合は第3回路に、結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は第1回路に、結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替える。
【0049】
従って、上記制御装置は、例えば、結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定の結果に対応する信号を受け取り、当該信号に基づいて、各EHCへの電力供給回路を第1回路、第2回路、及び第3回路の何れかに切り替えるための制御信号(指示信号)をスイッチ機構に送出する。即ち、上記制御装置は、例えば、結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段から受け取る判定結果(に対応する信号)に基づいて、各EHCへの電力供給回路を、第1回路、第2回路、及び第3回路の何れに切り替えるかを決定するためのアルゴリズムを備えるのが一般的である。当該アルゴリズムは、ソフトウェア(例えば、プログラム等)として実装されていてもよく、ハードウェア(例えば、演算回路等)として実装されていてもよい。例えば、一般的には、当該アルゴリズムは、例えば、上記内燃機関に関する各種制御を行うためのECUが備えるROM又はRAM等の記憶装置にプログラムとして格納され、ECUが備えるCPUによって実行されるように実装される。加えて、上記ECUは、例えば、各EHCへの電力供給回路を第1回路、第2回路、及び第3回路の何れに切り替えるのかを表す制御信号(指示信号)をスイッチ機構に送出するための通信ポート等を備える。
【0050】
以上のように、上記排気ガス浄化システムは、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置、第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、電源、スイッチ機構、結露判定手段、第1EHC判定手段、第2EHC判定手段、及び制御装置を備える。本発明の第1態様に係るEHC制御方法は、かかる排気ガス浄化システムにおいて実行される。
【0051】
前述のように、本発明の第1態様に係るEHC制御方法は、
前記結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する、結露判定ステップ、
前記第1EHC判定手段により、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定ステップ、
前記第2EHC判定手段により、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定ステップ、並びに
前記結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、及び第2EHC判定ステップにおける判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップであって、前記結露判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップ、
を含む。
【0052】
上記EHC制御方法に含まれる各々のステップの詳細については、本発明の第1態様に係るEHC制御方法が適用される排気ガス浄化システムが備える各々の構成要素に関する上述の説明において既に述べた通りである。尚、上記結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、及び第2EHC判定ステップの実行順序については、必ずしも上記に限定されるものではない。
【0053】
また、上記回路切り替えステップにおいては、各EHCへの電力供給回路が、結露判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は第3回路に、結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は第1回路に、結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は第2回路に、それぞれ切り替えられる。この際、結露判定ステップにおける判定結果が否定である場合において、各EHCへの電力供給回路として、第1EHCに第1電圧にて電力を供給する第1回路及び第2EHCに第2電圧にて電力を供給する第2回路の両方が選択されることも排除されない。即ち、結露が発生し得ると判定されない状態においては、第1EHCには第1電圧で、第2EHCには第2電圧で、それぞれ電力を供給して、これらのEHCに同時に高電圧にて通電してもよく、あるいは第1EHC又は第2EHCの何れか一方にのみ高電圧にて通電してもよい。
【0054】
以上のように、本発明の第1態様に係るEHC制御方法は、結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、第2EHC判定ステップ、及び回路切り替えステップを含む。これらの各ステップを実行する処理ルーチンもまた、ソフトウェア(例えば、プログラム等)として実装されていてもよく、ハードウェア(例えば、演算回路等)として実装されていてもよい。例えば、一般的には、当該処理ルーチンは、例えば、上記内燃機関に関する各種制御を行うためのECUが備えるROM又はRAM等の記憶装置にプログラムとして格納され、ECUが備えるCPUによって実行されるように実装される。更に、本発明の第1態様に係るEHC制御方法に含まれる各ステップを実行する処理ルーチンは、例えば、所定のクランク角毎の割り込み処理として、ECUに実行させることができる。
【0055】
以上、本発明の第1態様に係るEHC制御方法及び同方法が適用される排気ガス浄化システムの構成につき、詳しく説明してきた。上記のように、本発明の第1態様に係るEHC制御方法においては、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第3回路を介して、比較的低い第3電圧及び第4電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。これにより、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第1EHC又は第2EHCにおいて放電が抑制される。
【0056】
一方、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1EHC判定手段によって、第1EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第1回路を介して、比較的高い第1電圧にて第1EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第1EHCによって、第1排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0057】
また、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第2EHC判定手段によって、第2EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第2回路を介して、比較的高い第2電圧にて第2EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第2EHCによって、第2排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0058】
上記により、本発明の第1態様に係るEHC制御方法においては、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機するという、冒頭に述べた本発明の目的が達成される。
【0059】
(2)第2態様
ところで、前述のように、本発明に係るEHC制御方法においては、結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合には、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第3回路を介して、比較的低い第3電圧及び第4電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。これにより、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第1EHC又は第2EHCにおいて放電が抑制される。
【0060】
この場合、第3回路を介して比較的低い電圧である第3電圧及び第4電圧を第1EHC及び第2EHCのそれぞれに印加する具体的手段として、前述のように、例えば、直流・直流変換器(DC−DCコンバータ)等の電圧変換回路や、例えば、AC−DCコンバータ(交流入力直流出力電源)ヤインバータ(直流入力交流出力電源)等の電力変換回路等を第3回路に設けてもよい。しかしながら、かかる追加の回路を設けることは、本発明の第1態様に係るEHC制御方法が適用される排気ガス浄化システムの構成を複雑化・大型化させ、また同システムの製造コストを増大させることに繋がる。従って、上記のような追加の回路を設けること無く、第3回路を介して比較的低い電圧である第3電圧及び第4電圧を第1EHC及び第2EHCのそれぞれに印加することが望ましい。
【0061】
即ち、本発明の第2態様は、
本発明の前記第1態様に係るEHC制御方法であって、前記第3回路において、前記第1EHCと前記第2EHCとが直列に接続されていることを特徴とする、EHC制御方法である。
【0062】
上記のように、本発明の第2態様においては、第3回路において、第1EHCと第2EHCとが直列に接続される。これにより、電源から印加される電圧が、第1EHC及び第2EHCのぞれぞれの抵抗値に応じて配分される。即ち、本発明の第2態様によれば、前述のような追加の回路を第3回路に設けること無く、第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに印加される電圧を低下させることができる。
【0063】
(3)第3態様
ところで、本発明に係るEHC制御方法が適用される内燃機関が搭載される設備としては、前述のように、例えば、車両や船舶等が挙げられる。当然のことながら、本発明に係るEHC制御方法の適用対象はこれらに限定されるものではなく、例えば、本発明に係るEHC制御方法を、例えば、発電機やコンプレッサ等、移動体以外の設備に搭載される内燃機関に適用してもよい。このように、本発明に係るEHC制御方法は、多種多様な設備に搭載される内燃機関に適用することができる。それらの中で、地球環境保護の観点から、排気ガス中に含まれる有害物質の削減が最も強く望まれているものの1つが車両である。
【0064】
内燃機関を動力源とする車両に搭載される排気ガス浄化装置としては、例えば、エキゾーストマニホルドに直結して配設される所謂マニバータ(Manifold Converter)と、マニバータの下流に当たる、車両のアンダーフロア部(U/F部、床下部)を通る排気通路に配設されるアンダーフロア触媒(U/F触媒、床下触媒)とが挙げられる。一般的には、マニバータとしては、HC及びCOを低温域から酸化可能な酸化触媒が用いられ、アンダーフロア触媒としては、三元触媒、NOx吸蔵還元触媒等が用いられることが多い。
【0065】
マニバータは、内燃機関本体に近いエキゾーストマニホルドに直結して配設されるため、内燃機関等が暖機されていれば、触媒活性化温度(例えば、約400℃以上)を容易に確保することができるというメリットを有する。その結果、内燃機関の始動時等の低温域では、マニバータが早期に活性化され、その反応による発熱によって排気ガスの温度が上昇する。これにより、アンダーフロア触媒も早期に活性化されるので、低温域におけるエミッションが向上するというメリットもある。
【0066】
とはいえ、前述のように、内燃機関の排気ガスに含まれる有害物質の削減に対する要求は益々強くなってきていることから、内燃機関の冷間始動時等、排気ガス浄化装置の温度が所定の温度に到達していない場合には、EHCに通電することにより、EHCの下流側に配設されている排気ガス浄化装置の暖機を従来にも増して促進し、本来の排気ガス浄化機能をより早期に発揮させたり、再生処理を迅速に行ったりする技術が求められている。
【0067】
従って、本発明の第3態様は、
本発明の前記第1態様又は前記第2態様の何れかに係るEHC制御方法であって、前記第1触媒がマニバータであり、前記第2触媒がアンダーフロア触媒であることを特徴とする、EHC制御方法である。
【0068】
本発明の第3態様に係るEHC制御方法は、上記のような構成とすることにより、従来技術において既に認められている前述のメリットを享受しつつ、更に、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機するという、本発明によってもたらされる更なるメリットを享受することができる。
【0069】
(4)第4態様
以上、本発明に係るEHC制御方法の幾つかの実施態様について詳しく説明してきたが、前述のように、本発明は、当該EHC制御方法を使用する内燃機関の排気ガス浄化システムにも関する。
【0070】
即ち、本発明の第4態様は、
内燃機関の排気通路に配設された、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、
前記第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに電力を供給するための電源、
前記電源から前記第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、前記電源から前記第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び前記電源から前記第1EHC及び第2EHCのそれぞれに前記第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にてそれぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構、
前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段、
前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段、
前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える制御装置、
を備える排気ガス浄化システムであって、
前記結露判定手段が、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定すること、
前記第1EHC判定手段が、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定すること、
前記第2EHC判定手段が、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定すること、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える際に、前記結露判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替えること、
を特徴とする排気ガス浄化システムである。
【0071】
以上のように、本発明の第4態様に係る排気ガス浄化システムは、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置、第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、電源、スイッチ機構、結露判定手段、第1EHC判定手段、第2EHC判定手段、及び制御装置を備える。これらの個々の構成要素の構成及び動作については、本発明の第1態様に係るEHC制御方法に関する説明において詳細に述べたので、ここでの説明は割愛する。
【0072】
本発明の第4態様に係る排気ガス浄化システムにおいては、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第3回路を介して、比較的低い第3電圧及び第4電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。これにより、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第1EHC又は第2EHCにおいて放電が抑制される。
【0073】
一方、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1EHC判定手段によって、第1EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第1回路を介して、比較的高い第1電圧にて第1EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第1EHCによって、第1排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0074】
また、結露判定手段によって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第2EHC判定手段によって、第2EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第2回路を介して、比較的高い第2電圧にて第2EHCに電力が供給される。これにより、比較的高い電圧が供給される第2EHCによって、第2排気ガス浄化装置がより迅速に暖機される。
【0075】
上記により、本発明の第4態様に係る排気ガス浄化システムにおいては、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機するという、冒頭に述べた本発明の目的が達成される。
【0076】
(5)第5態様
ところで、前述のように、本発明に係るEHC制御方法が適用される排気ガス浄化システムにおいては、結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合には、制御装置によってスイッチ機構が作動され、第3回路を介して、比較的低い第3電圧及び第4電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。これにより、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第1EHC又は第2EHCにおいて放電が抑制される。
【0077】
この場合、第3回路を介して比較的低い電圧である第3電圧及び第4電圧を第1EHC及び第2EHCのそれぞれに印加する具体的手段として、前述のように、例えば、直流・直流変換器等の電圧変換回路や、例えば、AC−DCコンバータヤインバータ等の電力変換回路等を第3回路に設けてもよい。しかしながら、かかる追加の回路を設けることは、本発明の第4態様に係る排気ガス浄化システムの構成を複雑化・大型化させ、また同システムの製造コストを増大させることに繋がる。従って、上記のような追加の回路を設けること無く、第3回路を介して比較的低い電圧である第3電圧及び第4電圧を第1EHC及び第2EHCのそれぞれに印加することが望ましい。
【0078】
即ち、本発明の第5態様は、
本発明の前記第4態様に係る排気ガス浄化システムであって、前記第3回路において、前記第1EHCと前記第2EHCとが直列に接続されていることを特徴とする、排気ガス浄化システムである。
【0079】
上記のように、本発明の第5態様においては、第3回路において、第1EHCと第2EHCとが直列に接続される。これにより、電源から印加される電圧が、第1EHC及び第2EHCのぞれぞれの抵抗値に応じて配分される。即ち、本発明の第2態様によれば、前述のような追加の回路を第3回路に設けること無く、第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに印加される電圧を低下させることができる。
【0080】
(6)第6態様
ところで、本発明に係る排気ガス浄化システムが適用される内燃機関が搭載される設備としては、前述のように、例えば、車両や船舶等が挙げられる。当然のことながら、本発明に係るEHC制御方法の適用対象はこれらに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る排気ガス浄化システムを、例えば、発電機やコンプレッサ等、移動体以外の設備に搭載される内燃機関に適用してもよい。このように、本発明に係る排気ガス浄化システムは、多種多様な設備に搭載される内燃機関に適用することができる。それらの中で、地球環境保護の観点から、排気ガス中に含まれる有害物質の削減が最も強く望まれているものの1つが車両である。
【0081】
前述のように、内燃機関を動力源とする車両に搭載される排気ガス浄化装置としては、例えば、エキゾーストマニホルドに直結して配設される所謂マニバータと、マニバータの下流に当たる、車両のアンダーフロア部を通る排気通路に配設されるアンダーフロア触媒とが挙げられる。一般的には、マニバータとしては、HC及びCOを低温域から酸化可能な酸化触媒が用いられ、アンダーフロア触媒としては、三元触媒、NOx吸蔵還元触媒等が用いられることが多い。
【0082】
マニバータは、内燃機関本体に近いエキゾーストマニホルドに直結して配設されるため、内燃機関等が暖機されていれば、触媒活性化温度(例えば、約400℃以上)を容易に確保することができるというメリットを有する。その結果、内燃機関の始動時等の低温域では、マニバータが早期に活性化され、その反応による発熱によって排気ガスの温度が上昇する。これにより、アンダーフロア触媒も早期に活性化されるので、低温域におけるエミッションが向上するというメリットもある。
【0083】
とはいえ、前述のように、内燃機関の排気ガスに含まれる有害物質の削減に対する要求は益々強くなってきていることから、内燃機関の冷間始動時等、排気ガス浄化装置の温度が所定の温度に到達していない場合には、EHCに通電することにより、EHCの下流側に配設されている排気ガス浄化装置の暖機を従来にも増して促進し、本来の排気ガス浄化機能をより早期に発揮させたり、再生処理を迅速に行ったりする技術が求められている。
【0084】
従って、本発明の第6態様は、
本発明の前記第4態様又は前記第5態様の何れかに係る排気ガス浄化システムであって、前記第1触媒がマニバータであり、前記第2触媒が床下触媒であることを特徴とする、排気ガス浄化システムである。
【0085】
本発明の第6態様に係る排気ガス浄化システムは、上記のような構成とすることにより、従来技術において既に認められている前述のメリットを享受しつつ、更に、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつ、EHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機するという、本発明によってもたらされる更なるメリットを享受することができる。
【0086】
以上のように、本発明に係るEHC制御方法及び同方法を使用する排気ガス浄化システムによれば、第1又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、比較的低い電圧にて第1EHC及び第2EHCのそれぞれに電力が供給される。一方、第1又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1及び/又は第2EHCに電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、比較的高い電圧にて第1及び/又は第2EHCに電力が供給される。これにより、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつEHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機することができる。
【0087】
以下、本発明の幾つかの実施態様に係るEHC制御方法及び同方法を使用する排気ガス浄化システムにつき、添付図面等を参照しつつ説明する。但し、以下に述べる説明はあくまで例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0088】
(1)排気ガス浄化システムの概略構成
前述のように、図1は、本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施例に係る排気ガス浄化システムは、内燃機関30の排気通路を構成するエキゾーストマニホルド33の直下に配設され、第1EHC11、排気ガス浄化素子12、及び排気ガス浄化素子13を含む第1排気ガス浄化装置10、並びに第2EHC21及び排気ガス浄化素子22を含む第2排気浄化装置20、第1EHC11及び第2EHC21のぞれぞれに電力を供給するための電源(図示せず)、当該電源から、第1EHC11のみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、第2EHC21のみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び第1EHC11及び第2EHC21のそれぞれに第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にてそれぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構(何れも図示せず)、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段(図示せず)、第1EHC11に電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段(図示せず)、第2EHC21に電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段(図示せず)、これらの判定手段による判定に基づき、スイッチ機構を作動させて、電力供給回路を切り替える制御装置(図示せず)を備える。また、図1において、向かって左側の矢印(41)は吸気の流れを、向かって右側の矢印(42)は排気の流れを、それぞれ表す。
【0089】
尚、本実施例においては、上記排気ガス浄化素子12としてDOC、上記排気ガス浄化素子13としてDPF、及び排気ガス浄化素子22としてSCRを想定しており、排気ガス浄化素子22としてのSCRのための還元剤(例えば、尿素)を供給するために、還元剤添加弁23が第2排気浄化装置20の上流の排気通路34に配設されている。本実施例における排気ガス浄化システムは、かかる構成により、排気ガス中に含まれる各種有害物質(例えば、CO、HC、及びNO等)を酸化し、PM(粒状物質)を捕集し、NOx(窒素酸化物)を還元することにより、排気ガスを浄化する。
【0090】
ここで、各種有害物質の酸化やNOxの還元を行うためには、前述のように、それぞれの排気ガス浄化素子(本実施例においては、排気ガス浄化素子12及び排気ガス浄化素子22を構成するDOC及びSCR)が所定の温度(触媒活性化温度)に到達している必要がある。また、前述のように、PM捕集フィルタ(本実施例においては、排気ガス浄化素子13を構成するDPF)の前後差圧が規定値を超えた際には、PM捕集フィルタに捕集されているPMを燃焼させて除去するPM再生処理が行われるが、このPM再生処理を行うためにも、PM捕集フィルタが所定の温度に達している必要がある。
【0091】
従って、例えば、内燃機関30の冷間始動時等、排気ガス浄化装置10又は排気ガス浄化装置20の温度が所定の温度に到達していない場合、そのままの状態では、排気ガスが十分に浄化されず、有害物質が大気中に放出されてしまう。そこで、第1EHC11又は第2EHC21に電力が供給され、排気ガス浄化装置10又は排気ガス浄化装置20が迅速に昇温される。これにより、例えば、内燃機関30の冷間始動時等、排気ガス浄化装置10又は排気ガス浄化装置20の温度が所定の温度に到達していない場合であっても、第1EHC11又は第2EHC21によって排気ガス浄化装置10又は排気ガス浄化装置20が迅速に昇温され、本来の排気ガス浄化機能を発揮することができる状態が迅速に達成される。
【0092】
尚、図1に示すように、内燃機関30は、インタークーラー付きターボ式過給器を装備する直列4気筒エンジン31から構成されているが、前述のように、本発明が適用される内燃機関は特定のタイプのものに限定されるものではなく、本発明は、内燃機関として使用されている種々のタイプの内燃機関に適用することができる。
【0093】
(2)EHCの概略
前述のように、図2は、電気ヒータ付き触媒(EHC)の断面の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、本実施例における第1EHC11及び第2EHC21は、通電によって発熱する電熱ヒータ(電熱線)が設けられた酸化触媒とした。また、第1EHC11及び第2EHC21の基材は、第1排気ガス浄化装置10及び第2排気ガス浄化装置20を迅速に暖機させるという第1EHC11及び第2EHC21の設置目的を鑑み、小さな比熱を有する材質である金属とした。これにより、第1EHC11及び第2EHC21に設けられた電熱線に電力が供給されると、第1EHC11及び第2EHC21が迅速に昇温され、結果的に第1排気ガス浄化装置10及び第2排気ガス浄化装置20が迅速に昇温される。
【0094】
一方、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態においては、第1EHC11又は第2EHC21に高電圧を印加して、より迅速に昇温させようとすると、第1EHC11又は第2EHC21の基材が金属である場合は特に、結露が発生した領域において放電が起こり易く、第1EHC11又は第2EHC21の信頼性が低下することに繋がる虞がある。本明細書において述べてきたように、本発明は、かかる場合における放電の発生を抑制しつつ、第1EHC11又は第2EHC21への供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置をより迅速に暖機しようとするものである。
【0095】
(3)スイッチ機構の構成及び作動
前述のように、図3は、本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化システムにおけるスイッチ機構の構成及び作動を説明する模式図である。図3に示すように、第1排気ガス浄化装置10は第1EHC11を備え、第1EHC11に隣接して排気ガス浄化素子12を更に備えている。同様に、第2排気ガス浄化装置20は第2EHC21を備え、第2EHC21に隣接して排気ガス浄化素子22を更に備えている。尚、図3においては、図面を簡潔なものとすることを目的として、第1排気ガス浄化装置10が備える排気ガス浄化素子13は図示されていないが、この例示は、第1排気ガス浄化装置10が複数の排気ガス浄化素子を備えることを排除するものではない。また、第1排気ガス浄化装置10が備える第1EHC11及び第2排気ガス浄化装置20が備える第2EHC21は、端子Aから端子Cに至る導線上に直列に接続されており、第1EHC11と第2EHC21とを接続する導線から端子Bに至る配線が別途設けられている。
【0096】
一方、図3の上部には、電源(バッテリ)50が配置されており、プラス(+)端子及びマイナス(−)端子のそれぞれから、黒い丸印によって表される2つの端子の各々に至る配線が設けられている。これらのプラス(+)端子及びマイナス(−)端子と、上述のA端子乃至C端子は、切り替え可能なスイッチによって、接続状態と遮断状態とを切り替えられるように構成されている。具体的には、本実施例においては、プラス(+)端子はA端子又はB端子の何れか一方に接続され、マイナス(−)端子はB端子又はC端子の何れか一方に接続されるように構成されている。当然のことながら、プラス(+)端子及びマイナス(−)端子の両方を同時にB端子に接続すると、ショート(短絡)が発生するので、これらの端子を同時にB端子に接続してはならない。
【0097】
プラス(+)端子及びマイナス(−)端子とA端子乃至C端子との接続状態の切り替えにつき、以下により詳細に説明する。先ず、図3に示すように、プラス(+)端子とA端子とを接続状態とし、マイナス(−)端子とB端子とを接続状態とした場合、電源50から供給される電力は第1EHC11のみに供給される。即ち、かかる状態における電力供給回路(つまり、端子Aから端子Bに至る回路)は、本発明で言うところの「第1回路」に相当する。次に、プラス(+)端子とB端子とを接続状態とし、マイナス(−)端子とC端子とを接続状態とした場合、電源50から供給される電力は第2EHC21のみに供給される。即ち、かかる状態における電力供給回路(つまり、端子Bから端子Cに至る回路)は、本発明で言うところの「第2回路」に相当する。
【0098】
更に、プラス(+)端子とA端子とを接続状態とし、マイナス(−)端子とC端子とを接続状態とした場合、電源50から供給される電力は、端子Aから端子Cに至る回路を介して、第1EHC11及び第2EHC21の両方に供給される。この場合、前述のように、第1EHC11及び第2EHC21は、端子Aから端子Cに至る導線上に直列に接続されている。これにより、電源50から印加される電圧は、第1EHC11及び第2EHC21のぞれぞれの抵抗値に応じて配分されるので、前述の「第1回路」(回路A−B:端子Aから端子Bに至る回路)又は「第2回路」(回路B−C:端子Bから端子Cに至る回路)を介して、第1EHC11又は第2EHC21に電圧が印加される場合と比較して、第1EHC11及び第2EHC21のぞれぞれに印加される電圧を低下させることができる。即ち、かかる状態における電力供給回路(回路A−C:端子Aから端子Cに至る回路)は、本発明で言うところの「第3回路」に相当する。
【0099】
上記のように、本実施例においては、プラス(+)端子及びマイナス(−)端子とA端子乃至C端子との間での接続状態と遮断状態とをスイッチによって切り替えることによって、電源50から第1EHC11及び/又は第2EHC21への電源供給回路を、「第1回路」、「第2回路」、及び「第3回路」の何れかに切り替えることができる。即ち、図3において点線によって囲まれているスイッチ60は、本発明で言うところの「スイッチ機構」に相当する(従って、以降、「スイッチ機構60」とも称する)。
【0100】
(4)スイッチ機構の構成及び作動
本実施例に係るEHC制御方法においては、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、EHCへの電力供給回路を第3回路(回路A−C)に切り替えて、比較的低い電圧(第3電圧及び第4電圧)にて第1EHC11及び第2EHC21のそれぞれに電力を供給する。一方、第1EHC11及び第2EHC21において結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1EHC11又は第2EHC21に電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、EHCへの電力供給回路を第1回路(回路A−B)又は第2回路(回路B−C)に切り替えて、比較的高い電圧(第1電圧又は第2電圧)にて第1EHC11又は第2EHC21に電力を供給する。
【0101】
かかる一連の処理につき、ここで、図4を参照しながら説明する。前述のように、図4は、本発明の1つの実施態様に係るEHC制御方法において実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。同フローチャートに示される一連の処理は、例えば、電子制御装置(ECU)(図示せず)が内蔵するクロックを利用する等して、十分に速い周期で繰り返し実行させることができる。
【0102】
図4に示すように、本実施態様においては、先ずステップS1において、結露判定手段(図示せず)により、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にあるか否かが判定される。当該判定は、例えば、各種物理量等(外気温、湿度、及び大気圧、並びに第1EHC11及び第2EHC21の温度等)を検知するセンサ等から得られる検出信号等に基づき、(実験等によって)予め求められた、かかる物理量と結露の発生の有無とを関連付けるデータマップを参照するように構成されたプログラムによって行うことができる。尚、係るデータマップやプログラムは、例えば、ECUが備えるROM等に格納することができる。あるいは、極めて単純な判定条件の例としては、例えば、第1EHC11又は第2EHC21の温度が水の沸点(1気圧において100℃)未満であるか否かによって、第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定してもよい。
【0103】
ステップS1において、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にあると判定される場合は(ステップS1:Yes)、ステップS2において、制御機構(図示せず)がスイッチ機構60を作動させて、電源50からの電力供給回路を第3回路(即ち、回路A−C)に切り替え、第1EHC11及び第2EHC21の両方に、それぞれの抵抗値に応じた電圧が印加される。
【0104】
一方、ステップS1において、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にないと判定される場合は(ステップS1:No)、ステップS3において、第1EHC判定手段(図示せず)により、第1EHC11に電力を供給すべき状態にあるか否かが判定される。ここで、第1EHC11に電力を供給すべき状態としては、本実施例においては、例えば、第1EHC11を備える第1排気ガス浄化装置10に含まれる排気ガス浄化素子12を構成するDOCが所定の温度(触媒活性化温度)に到達しておらず、迅速に昇温する必要がある場合、又は第1EHC11を備える第1排気ガス浄化装置10に含まれる排気ガス浄化素子13を構成するDPFの前後差圧が規定値を超えており、PM捕集フィルタが所定の温度に昇温して、PM再生処理を実施する必要がある場合が挙げられる。
【0105】
従って、例えば、温度センサ等によって検出される排気ガス浄化素子12(DOC)の温度が所定の温度に到達していない場合、又は圧力センサ等によって検出される排気ガス浄化素子13(DPF)の前後差圧が規定値を超えていてPM再生処理を実施する必要がある場合は、第1EHC11に電力を供給すべき状態であると判定される(ステップS3:Yes)。この場合、ステップS4において、制御機構(図示せず)がスイッチ機構60を作動させて、電源50からの電力供給回路を第1回路(即ち、回路A−B)に切り替え、第1EHC11に十分に高い電圧が印加される。
【0106】
逆に、例えば、温度センサ等によって検出される排気ガス浄化素子12(DOC)の温度が所定の温度に到達しており、且つ圧力センサ等によって検出される排気ガス浄化素子13(DPF)の前後差圧が規定値以下に留まっている場合は、第1EHC11に電力を供給すべき状態ではないと判定される(ステップS3:No)。この場合、ステップS5において、第2EHC判定手段(図示せず)により、第2EHC21に電力を供給すべき状態にあるか否かが判定される。ここで、第2EHC21に電力を供給すべき状態としては、本実施例においては、例えば、第2EHC21を備える第2排気ガス浄化装置20に含まれる排気ガス浄化素子22を構成するSCRが所定の温度(触媒活性化温度)に到達しておらず、迅速に昇温する必要がある場合が挙げられる。
【0107】
従って、例えば、温度センサ等によって検出される排気ガス浄化素子22(SCR)の温度が所定の温度に到達していない場合は、第2EHC21に電力を供給すべき状態であると判定される(ステップS5:Yes)。この場合、ステップS6において、制御機構(図示せず)がスイッチ機構60を作動させて、電源50からの電力供給回路を第2回路(即ち、回路B−C)に切り替え、第2EHC21に十分に高い電圧が印加される。
【0108】
逆に、例えば、温度センサ等によって検出される排気ガス浄化素子22(SCR)の温度が所定の温度に到達している場合は、第2EHC21に電力を供給すべき状態ではないと判定される(ステップS5:No)。この場合は、第1EHC11及び第2EHC21の何れにも電力を供給する必要が無い状態にあると判定されるので、第1回路乃至第3回路の何れによっても電力は供給されず、図4に示すフローチャートに従って実行される一連の処理が終了される。
【0109】
以上のように、図4に示すフローチャートに従って実行される一連の処理は、本発明の1つの実施態様に係るEHC制御方法を表している。即ち、図4に示すフローチャートによって表される、本発明の1つの実施態様に係るEHC制御方法によれば、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にあると判定される場合は、第3回路(回路A−C)により比較的低い電圧にて第1EHC11及び第2EHC21のそれぞれに電力が供給される。一方、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にはないと判定され、且つ第1EHC11又は第2EHC21に電力を供給すべき状態にあると判定される場合は、第1回路(回路A−B)又は第2回路(回路B−C)により比較的高い電圧にて第1EHC11又は第2EHC21に電力が供給される。これにより、排気ガスに含まれる水蒸気に起因する凝縮水が発生する(発生し得る)状況におけるEHCでの放電を回避しつつEHCへの供給電力を高電圧化して、排気ガス浄化装置を迅速に暖機するという本発明の目的を達成することができる。
【0110】
尚、図4を参照しながら説明してきた上記実施態様に係るEHC制御方法においては、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にはないと判定された場合には、第1EHC11又は第2EHC21の何れか一方にのみ電力が供給される。しかしながら、上記実施態様は単なる例示に過ぎず、本発明は、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にはないと判定された場合に、第1EHC11及び第2EHC21の両方に対して比較的高い電圧にて電力を供給することを排除するものではない。即ち、第1EHC11又は第2EHC21において結露が発生し得る状態にはないと判定された場合における第1EHC11及び第2EHC21への電力供給モードとして、第1EHC11及び第2EHC21の両方に対して比較的高い電圧にて電力を供給するモードを含む実施態様もまた、本発明の種々の実施態様に含まれる。
【0111】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成及び特定の手順を有する幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0112】
10…第1排気ガス浄化装置、11…第1EHC、12…排気ガス浄化素子(DOC)、13…排気ガス浄化素子(DPF)、20…第2排気ガス浄化装置、21…第2EHC、22…排気ガス浄化素子(SCR)、23…還元剤添加弁、30…内燃機関、31…エンジン本体、32…インテークマニホルド、33…エキゾーストマニホルド、34…排気通路、41…吸気の流れ、42…排気の流れ、50…電源、及び60…スイッチ機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配設された、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、
前記第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに電力を供給するための電源、
前記電源から前記第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、前記電源から前記第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び前記電源から前記第1EHC及び第2EHCに、前記第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にて、それぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構、
前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段、
前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段、
前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える制御装置、
を備える排気ガス浄化システムにおいて、
前記結露判定手段により、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する、結露判定ステップ、
前記第1EHC判定手段により、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定ステップ、
前記第2EHC判定手段により、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定ステップ、並びに
前記結露判定ステップ、第1EHC判定ステップ、及び第2EHC判定ステップにおける判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップであって、前記結露判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定ステップにおける判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定ステップにおける判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替える、回路切り替えステップ、
を含むEHC制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のEHC制御方法であって、前記第3回路において、前記第1EHCと前記第2EHCとが直列に接続されていることを特徴とする、EHC制御方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の何れか1項に記載のEHC制御方法であって、前記第1触媒がマニバータであり、前記第2触媒がアンダーフロア触媒であることを特徴とする、EHC制御方法。
【請求項4】
内燃機関の排気通路に配設された、第1EHCを備える第1排気ガス浄化装置及び第2EHCを備える第2排気ガス浄化装置、
前記第1EHC及び第2EHCのぞれぞれに電力を供給するための電源、
前記電源から前記第1EHCのみに第1電圧にて電力を供給する第1回路、前記電源から前記第2EHCのみに第2電圧にて電力を供給する第2回路、及び前記電源から前記第1EHC及び第2EHCに、前記第1電圧及び第2電圧よりも低い第3電圧及び第4電圧にて、それぞれ電力を供給する第3回路を切り替えるスイッチ機構、
前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定する結露判定手段、
前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第1EHC判定手段、
前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定する第2EHC判定手段、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定に基づき、前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える制御装置、
を備える排気ガス浄化システムであって、
前記結露判定手段が、前記第1EHC又は第2EHCにおいて結露が発生し得る状態にあるか否かを判定すること、
前記第1EHC判定手段が、前記第1EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定すること、
前記第2EHC判定手段が、前記第2EHCに電力を供給すべき状態にあるか否かを判定すること、並びに
前記結露判定手段、第1EHC判定手段、及び第2EHC判定手段による判定結果に基づき、前記制御装置により前記スイッチ機構を作動させて、前記第1回路、前記第2回路、及び前記第3回路の何れかに電力供給回路を切り替える際に、前記結露判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第3回路に、前記結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第1EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第1回路に、前記結露判定手段による判定結果が否定であり、且つ第2EHC判定手段による判定結果が肯定である場合は前記第2回路に、それぞれ電力供給回路を切り替えること、
を特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項5】
請求項4に記載の排気ガス浄化システムであって、前記第3回路において、前記第1EHCと前記第2EHCとが直列に接続されていることを特徴とする、排気ガス浄化システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5の何れか1項に記載の排気ガス浄化システムであって、前記第1触媒がマニバータであり、前記第2触媒がアンダーフロア触媒であることを特徴とする、排気ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225163(P2012−225163A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90698(P2011−90698)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】